JP6132398B2 - エクオール以外のイソフラボン類の含有量が低いエクオール含有組成物 - Google Patents
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Description
〔1〕イソフラボン類を原料として嫌気性微生物を用いて調製されるエクオール含有組成物であって、エクオールに対するエクオール以外のイソフラボン類およびそれらの代謝産物の重量比が0.1以下である、エクオール含有組成物。
〔2〕エクオールに対するエクオール以外のイソフラボン類およびそれらの代謝産物の重量比が0.05以下である、〔1〕記載のエクオール含有組成物。
〔3〕エクオール含量が2%以上である、〔1〕または〔2〕に記載のエクオール含有組成物。
〔4〕イソフラボン類を原料として微生物を用いて調製されるエクオール含有組成物が少なくとも以下の工程を含む方法によって製造される、〔1〕から〔3〕のいずれかに記載のエクオール含有組成物;
(a)イソフラボン類を含む培地で嫌気性微生物を培養することによって製造されるエクオールおよびデキストリン類を含む液を調製する工程、
(b)工程(a)において得られる液からエクオール以外のイソフラボン類およびそれらの代謝産物を分離して液相のエクオールを回収する工程。
〔5〕工程(b)の前に工程(a)において得られる液と酸性溶液を混合する工程をさらに含む、〔4〕に記載のエクオール含有組成物。
〔6〕イソフラボン類を原料として微生物を用いて調製されるエクオール含有組成物が少なくとも以下の工程を含む方法によって製造される、〔1〕から〔3〕のいずれかに記載のエクオール含有組成物;
(a)イソフラボン類を含む培地で嫌気性微生物を培養することによって製造されるエクオールを含む液と酸性溶液を接触させる工程、
(b)工程(a)において得られる液とデキストリン類を接触させる工程、および
(c)工程(b)において得られる液からエクオール以外のイソフラボン類およびそれらの代謝産物を分離して液相のエクオールを回収する工程。
〔7〕酸性溶液のpHが6.0以下である、〔5〕または〔6〕に記載のエクオール含有組成物。
〔8〕デキストリン類がβシクロデキストリン、βシクロデキストリン誘導体及びγシクロデキストリンからなる群より選択される、〔4〕から〔7〕のいずれかに記載のエクオール含有組成物。
〔9〕嫌気性微生物がアサッカロバクター・セラツス(Asaccharobacter celatus)、あるいはアドレクロウチア・エクオリファシエンス(Adlercreutzia equolifaciens)である、〔1〕から〔8〕のいずれかに記載のエクオール含有組成物。
〔10〕以下の工程を含む、エクオールの製造方法;
(a)イソフラボン類を含む培地で嫌気性微生物を培養することによって製造されるエクオールおよびデキストリン類を含む液を調製する工程、
(b)工程(a)において得られる液からエクオール以外のイソフラボン類およびそれらの代謝産物を分離して液相のエクオールを回収する工程。
〔11〕前記(b)工程の前に、工程(a)において得られる液と酸性溶液を混合する工程をさらに含む、〔10〕の製造方法。
〔12〕以下の工程を含む、エクオールの製造方法;
(a)イソフラボン類を含む培地で嫌気性微生物を培養することによって製造されるエクオールを含む液と酸性溶液を混合する工程、
(b)工程(a)において得られる液とデキストリン類を接触させる工程、および
(c)工程(b)において得られる液からエクオール以外のイソフラボン類およびそれらの代謝産物を分離して液相のエクオールを回収する工程。
〔13〕酸性溶液のpHが6.0以下である、〔11〕または〔12〕に記載の製造方法。
〔14〕デキストリン類がβシクロデキストリン、βシクロデキストリン誘導体及びγシクロデキストリンからなる群より選択される、〔10〕から〔13〕のいずれかに記載の製造方法。
〔15〕嫌気性微生物がアサッカロバクター・セラツス(Asaccharobacter celatus)、あるいはアドレクロウチア・エクオリファシエンス(Adlercreutzia equolifaciens)である、〔10〕から〔14〕のいずれかに記載の製造方法。
〔16〕〔10〕から〔15〕のいずれかに記載の方法によって得られるエクオール。
〔17〕〔1〕から〔9〕のいずれかに記載のエクオール含有組成物もしくは〔16〕記載のエクオールを含む食品もしくは食品添加物。
〔18〕〔1〕から〔9〕のいずれかに記載のエクオール含有組成物もしくは〔16〕記載のエクオールを含む化粧品。
〔19〕〔1〕から〔9〕のいずれかに記載のエクオール含有組成物もしくは〔16〕記載のエクオールを含む医薬品。
エクオールを含む液は、当業者に公知の手法を用いて調製することができる。本発明においては、有機合成反応によるエクオール合成法によりエクオールを含む液を調製することも、イソフラボン類を原料として微生物を用いて調製することもできるが、後者が好ましい。したがって本発明は、特に、イソフラボン類を原料として微生物を用いて調製されるエクオールを含む液にデキストリンを接触させる工程を含む方法によって製造させるエクオール含有組成物であって、エクオール以外のイソフラボン類およびそれらの代謝産物の含有量が低い(少ない)エクオール含有組成物に関する。
(a)イソフラボン類を含む培地で嫌気性微生物を培養することによって製造されるエクオールおよびデキストリン類を含む液を調製する工程、
(b)工程(a)において得られる液からエクオール以外のイソフラボン類およびそれらの代謝産物を分離して液相のエクオールを回収する工程。
本発明においては、工程(b)の前に、工程(a)において得られる液と酸性溶液を混合する工程をさらに含むことができる。
(a)イソフラボン類を含む培地で嫌気性微生物を培養することによって製造されるエクオールを含む液と酸性溶液を混合する工程、
(b)工程(a)において得られる液とデキストリン類を接触させる工程、および
(c)工程(b)において得られる液からエクオール以外のイソフラボン類およびそれらの代謝産物を分離して液相のエクオールを回収する工程。
(a)イソフラボン類を含む培地で嫌気性微生物を培養することによって製造されるエクオールおよびデキストリン類を含む液を調製する工程、
(b)工程(a)において得られる液からエクオール以外のイソフラボン類およびそれらの代謝産物を分離して液相のエクオールを回収する工程。
本発明においては、工程(b)の前に、工程(a)において得られる液と酸性溶液を混合する工程をさらに含むことができる。
(a)イソフラボン類を含む培地で嫌気性微生物を培養することによって製造されるエクオールを含む液と酸性溶液を混合する工程、
(b)工程(a)において得られる液とデキストリン類を接触させる工程、および
(c)工程(b)において得られる液からエクオール以外のイソフラボン類およびそれらの代謝産物を分離して液相のエクオールを回収する工程。
(a)イソフラボン類を含む培地で嫌気性微生物を培養することによって製造されるエクオールおよびデキストリン類を含む液を調製する工程、及び
(b)工程(a)において得られる液からエクオール以外のイソフラボン類およびそれらの代謝産物を分離して液相のエクオールを回収する工程。
本発明においては、工程(b)の前に、工程(a)において得られる液と酸性溶液を混合する工程をさらに含むことができる。
(a)イソフラボン類を含む培地で嫌気性微生物を培養することによって製造されるエクオールを含む液と酸性溶液を混合する工程、
(b)工程(a)において得られる液とデキストリン類を接触させる工程、および
(c)工程(b)において得られる液からエクオール以外のイソフラボン類およびそれらの代謝産物を分離して液相のエクオールを回収する工程。
さらに、イソフラボン類を含む培地にデキストリン類を添加し、イソフラボン類とデキストリン類を含む培地で嫌気性微生物を培養することによって得られる培養物を、「イソフラボン類を含む培地で嫌気性微生物を培養することによって製造されるエクオールおよびデキストリン類を含む液」とすることができる。あるいは、嫌気性微生物の培養の途中でイソフラボン類を含む培地にデキストリン類を添加し、嫌気性微生物の培養を継続することによって得られる培養物を、「イソフラボン類を含む培地で嫌気性微生物を培養することによって製造されるエクオールおよびデキストリン類を含む液」とすることもできる。
デキストリン類は固形状のものであっても、溶媒中に溶解したものであってもよい。デキストリン類の量は、例えば0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜15重量%、より好ましくは1〜10重量%とすることができるがこれらに限定されない。
本発明においては、「接触」を「混合」、「添加」などと言い換えることもできる。
液相のエクオールは公知の手段を使ってさらに精製することもできる。そのままスプレードライなどの温風乾燥、あるいは凍結乾燥することもできる。また、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトンなどの有機溶媒で抽出することもできる。あるいは三菱化学製HP20などのスチレン-ジビニルベンゼン系の吸着樹脂により吸脱着して精製することもできる。
また「イソフラボン類を含む培地で嫌気性微生物を培養することによって製造されるエクオールおよびデキストリン類を含む液」は、「エクオールおよびデキストリン類を含む培養液」、「エクオールおよびデキストリン類を含む液」などと言い換えることもできる。
・グルコシル−β−シクロデキストリン(6−O−α−D−Glucosy−β−cyclodextrin)
・マルトシル−β−シクロデキストリン(6−O−α−D−Maltosy−β−cyclodextrin)
・ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(Hydroxypropy−β−cyclodextrin)
・メチル−β−シクロデキストリン(Methyl−β−cyclodextrin)
・ポリ−β−シクロデキストリン(Poly−β−cyclodextrin)
培地中へのデキストリンの添加量は、例えば培地中のイソフラボン類の0.5モル〜5モル倍、好ましくは1.0モル〜3モル倍とすることができるがこれらに限定されない。
エクオールやエクオール以外のイソフラボン類およびそれらの代謝産物の定量方法は後述した。
ダイジン、マロニルダイジン、アセチルダイジン、ダイゼイン、ジヒドロダイゼイン等のダイゼイン類、
ゲニスチン、マロニルゲニスチン、アセチルゲニスチン、ゲニステイン、ジヒドロゲニステイン等のゲニステイン類、
グリシチン、マロニルグリシチン、アセチルグリシチン、グリシティン、ジヒドログリシティン等のグリシティン類
プエラリン、ビオカニンA
などが挙げられるがこれらに限定されない。
本発明におけるエクオール含量は、エクオールを含む液を加熱、噴霧あるいは凍結乾燥などの手段で乾燥した後の乾燥物中におけるエクオールの重量パーセントを指す。
無機酸としては、
・塩化水素(塩酸)、臭化水素(臭化水素酸)などのハロゲン化水素
・硫酸
・硝酸
・リン酸
などを例示することができるがこれらに限定されない。
カルボン酸としては
・酢酸
・クエン酸
・ギ酸
・グルコン酸
・乳酸
・シュウ酸
・酒石酸
などを例示することができるがこれらに限定されない。
アグリコンの例として、ダイゼイン、6-ヒドロキシダイゼイン、ジヒドロキシダイゼイン、ゲニステイン、グリシテイン、ビオカニンA、フォルモネチン、及びクメストロールなどを挙げることができるがこれらに限定されない。
また配糖体の例として、ゲニスチン、グリシチン、ダイジン、プエラリンなどを挙げることができるがこれらに限定されない。
・コーリオバクテリウム(Coriobacterium)属
・アドレクラウチア(Adlercreutzia)属
・アサッカロバクター(Asaccharobacter)属
・アトポビウム(Atopobium)属
・コリンゼラ(Collinsella)属
・クリプトバクテリウム(Cryptobacterium)属
・デニトロバクテリウム(Denitrobacterium)属
・エガセラ(Eggerthella)属
・エンテロハブダス(Enterorhabdus)属
・ゴードニバクター(Gordonibacter)属
・オルセネラ(Olsenella)属
・パラエゲセエラ(Paraeggerthella)属
・スラッキア(Slackia)属
・ラクトコッカス(Lactococcus)属
例えば、培養液に酢酸エチルを加えて、激しく攪拌した後遠心し、酢酸エチル層を取り出す。必要に応じて同培養液に同様の操作を数回行い、それら酢酸エチル層を合わせてエクオール抽出液を得ることができる。この抽出液をエバポレーターで減圧下に濃縮、乾固し、メタノールに溶解させる。これをポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜などの膜を使用して濾過し、不溶物を除去したものを高速液体クロマトグラフィー測定サンプルとすることができる。高速液体クロマトグラフィーの条件は例えば以下のものを例示することができるがこれに限定されない。
[高速液体クロマトグラフィー条件]
カラム:Phenomenox Luna 5uC18、2.0mm×150mm(島津ジーエルシー)
移動相:水/メタノール[55:45,v/v]
流速:0.2mL/min
カラム温度:40℃
検出:UV280nm
保持時間:ジヒドロダイゼインが13.8分、ダイゼインが19.6分、グリシテインが22.5分、エクオールが25.6分、ゲニステインが35.0分。
・Adlercreutzia equolifaciens DSM 19450
・Enterorhabdus mucosicola DSM 19490
・Slackia isoflavoniconvertens HE8(DSM 22006)
・Slackia sp. TM-30 FERM AP-20729号
・Slackia equolifaciens DSM 24851
・Eggerthella sp. KCCM-10490
・Asaccharobacter celatus DSM 18785
・Lactococcus garvieae DSM 6783
・アサッカロバクター・セラツス(Asaccharobacter celatus)DSM 18785株
・アドレクラウチア・エクオーリファシエンス(Adlercreutzia equolifaciens)DSM 19450株
・スラッキア・イソフラボニコンバーテンス(Slackia isoflavoniconvertens)DSM 22006株
・スラッキア・エクオリファシエンス(Slackia equolifaciens)DSM 24851
FERM 特許生物寄託センター;International Patent Organism Depositary (IPOD)
http://unit.aist.go.jp/pod/ci/index.html
DSM German Collection of Microorganisms and Cell Cultures (DSMZ)
http://www.dsmz.de/
KCCM Korean Culture Center of Microorganisms
ソルボース、フラクトース、グルコースなどの糖類
メタノールなどのアルコール類
吉草酸、酪酸、プロピオン酸、酢酸、ギ酸など有機酸類
一方、好ましい有機窒素源はアミノ酸類、酵母エキス、ペプトン類(例えばポリペプトンNなど)、肉エキス、肝臓エキス、消化血清末などである。より好ましい有機窒素源はアルギニン、システイン、シトルリン、リジン、酵母エキス、ペプトン類(例えばポリペプトンNなど)である。
無機化合物 ビタミン類
リン酸二水素カリウム ビオチン
硫酸マグネシウム 葉酸
硫酸マンガン ピリドキシン
塩化ナトリウム チアミン
塩化コバルト リボフラビン
塩化カルシウム ニコチン酸
硫酸亜鉛 パントテン酸
硫酸銅 ビタミンB12
明ばん チオオクト酸
モリブデン酸ソーダ p-アミノ安息香酸
塩化カリウム
ホウ酸等
塩化ニッケル
タングステン酸ナトリウム
セレン酸ナトリウム
硫酸第一鉄アンモニウム
本発明の培地は、デキストリン類を含むことができる。デキストリン類を含む培地で嫌気性微生物を培養すれば、培養後に改めて培養物にデキストリン類を接触させることなく、エクオールおよびデキストリン類を含む液を調製することができる。
デキストリン類の培地への添加は、微生物の培養前および培養中に行うことができる。
発酵時間は、エクオールの生成量、イソフラボン類の残存量等に応じて適宜設定できる。例えば8〜120時間、好ましくは12〜72時間、特に好ましくは16〜60時間を例示することができるがこれらに限定されない。
本発明のエクオール含有組成物を医薬品として提供する場合、その剤型は、予防または治療しようとする疾患や医薬品の使用形態、投与経路等に応じて選択することができる。例えば錠剤、被覆錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、注射剤、坐剤、浸剤、煎剤、チンキ剤等が挙げられる。これらの各種製剤は、常法に従って主薬に対して必要に応じて充填剤、増量剤、賦形剤、結合剤、保湿剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤などの医薬の製剤技術分野において通常使用しうる既知の補助剤を用いて製剤化することができる。また、この医薬製剤中に着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等や他の医薬品を含有させてもよい。
本発明のエクオール含有組成物は、乳癌、前立腺癌、骨粗しょう症、心疾患、更年期障害の予防や治療のために使用することができる。
本発明のエクオール含有組成物は、必要に応じて、瓶、袋、缶、スプレー缶、噴霧容器、箱、パック等の適宜の容器に封入することができる。
なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
〔実施例1〕
GAMブイヨン培地(日水製薬製)5.9 gとL-アルギニン塩酸塩1.2 gを純水100 mLに溶かし、窒素ガスを通じながら10 mLずつ嫌気性菌培養用18 mm試験管(三紳工業製)に分注し、ブチルゴム栓、プラスチックキャップをして115℃、15分間滅菌した。
この培地に-80℃で凍結保存していたアサッカロバクター・セラツス(Asaccharobacter celatus)DSM 18785株を植菌し、無菌フィルターを通した水素ガスで気相を2分間以上置換した後(水素の分圧パーセント濃度 100%)、37℃、250 spmで18時間振とう培養を行い、種培養液を調製した。
表1に示すような培地を調製し、1000 mLを2 L容加圧ミニジャー(オートマチックシステムリサーチ製)にいれ、窒素ガスを20分間以上通じた後、115℃、15分間滅菌した。ただし、イソフラボンは予め市販β-グルコシダーゼ剤をもちいて、配糖体を加水分解し、アグリコン化して使用した。
この培地に上記種培養液20 mLを植菌し、スパージャーより水素/窒素[2:98](体積比)のガスを無菌的に0.1 L/minで通気し、37℃、500 rpm、50 kPaで培養を行った。培養中pHは硫酸で7.2に調整した。48時間後、培養液を取り出した。この培養液中には、エクオール 2.75 g/Lが生成し、他に未反応のダイゼイン 0.47 g/L、グリシテイン 2.17 g/L、ゲニステイン 0.27 g/Lが残存していた。
培養液を硫酸でpH 5.0に調整後105℃、1分加熱処理した。室温まで冷却後、15000×g、10 分間、20℃で遠心分離を行った。上清を分離しそのイソフラボン類の代謝産物を定量したところ、エクオール 2.64 g/L、ダイゼイン 0.03 g/L、ジヒドロダイゼイン 0.00g/L、グリシテイン 0.01 g/L、ゲニステイン 0.00 g/Lであった(エクオールに対するエクオール以外のイソフラボン類の代謝産物の含有量の重量比は0.015(ダイゼイン 0.03 g/L+ジヒドロダイゼイン 0.00g/L+グリシテイン 0.01 g/L+ゲニステイン 0.00 g/L/エクオール 2.64 g/L)であった)。この結果から、エクオールのみが特異的に溶解し、その他イソフラボン類の代謝産物の量が非常に少ない、高純度のエクオール製品が容易に調製できることが分かった。本上清液をスプレードライした結果、エクオール含量は6.5%であった。
イソフラボンとしてAglyMax-30(ニチモウバイオテックス社製)を18.0 g使った他は同じ条件で培養実験を行った。ただし、この場合、すでにアグリコン化されているので、β-グルコシダーゼ剤をもちいての前処理は実施しなかった。
培養液終了後には、エクオール 3.03 g/Lが生成し、他に未反応のダイゼイン 0.82 g/L、グリシテイン 2.00 g/L、ゲニステイン 0.23 g/Lが残存していた。
培養液を硫酸でpH 5.0に調整後105℃、1分加熱処理した。室温まで冷却後、15000×g、10 分間、20℃で遠心分離を行った。上清を分離しそのイソフラボン類およびそれらの代謝産物を定量したところ、エクオール 2.99 g/L、ダイゼイン 0.16 g/L、ジヒドロダイゼイン 0.05 g/L、グリシテイン 0.06 g/L、ゲニステイン 0.01 g/Lであった(エクオールに対するエクオール以外のイソフラボン類およびそれらの代謝産物含有量の重量比は0.093(ダイゼイン 0.16 g/L+ジヒドロダイゼイン 0.05g/L+グリシテイン 0.06 g/L+ゲニステイン 0.01 g/L/エクオール 2.99 g/L)であった)。この結果から、イソフラボン配糖体の場合と同様に、エクオールのみが特異的に溶解し、その他イソフラボン類の代謝産物の量が非常に少ない、高純度のエクオール製品が容易に調製できることが分かった。本上清液をスプレードライした結果、エクオール含量は5.0%であった。
Claims (11)
- 嫌気性微生物の培養物を含むエクオール含有組成物であって、
前記組成物は酸性であり、
前記培養物は
(i)エクオール、エクオール以外のイソフラボン類およびそれらの代謝産物並びにβシクロデキストリンを含み、
(ii)エクオールに対するエクオール以外のイソフラボン類およびそれらの代謝産物の重量比が0.1以下である、前記組成物。 - エクオールに対するエクオール以外のイソフラボン類およびそれらの代謝産物の重量比が0.05以下である、請求項1記載のエクオール含有組成物。
- エクオール含量が2%以上である、請求項1または2に記載のエクオール含有組成物。
- 嫌気性微生物がアサッカロバクター・セラツス(Asaccharobacter celatus)、あるいはアドレクロウチア・エクオリファシエンス(Adlercreutzia equolifaciens)である、請求項1から3のいずれかに記載のエクオール含有組成物。
- 以下の工程を含む、エクオールの製造方法;
(a)イソフラボン類を含む培地で嫌気性微生物を培養することによって製造されるエクオールおよびβシクロデキストリンを含む液を調製する工程、
(b)工程(a)において得られる液と酸性溶液を混合する工程、および
(c)工程(b)において得られる液からエクオール以外のイソフラボン類およびそれらの代謝産物を分離して液相のエクオールを回収する工程。 - 以下の工程を含む、エクオールの製造方法;
(a)イソフラボン類を含む培地で嫌気性微生物を培養することによって製造されるエクオールを含む液と酸性溶液を混合する工程、
(b)工程(a)において得られる液とβシクロデキストリンを接触させる工程、および
(c)工程(b)において得られる液からエクオール以外のイソフラボン類およびそれらの代謝産物を分離して液相のエクオールを回収する工程。 - 酸性溶液のpHが6.0以下である、請求項5または6に記載の製造方法。
- 嫌気性微生物がアサッカロバクター・セラツス(Asaccharobacter celatus)、あるいはアドレクロウチア・エクオリファシエンス(Adlercreutzia equolifaciens)である、請求項5から7のいずれかに記載の製造方法。
- 請求項1から4のいずれかに記載のエクオール含有組成物を含む食品もしくは食品添加物。
- 請求項1から4のいずれかに記載のエクオール含有組成物を含む化粧品。
- 請求項1から4のいずれかに記載のエクオール含有組成物を含む医薬品。
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