以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の好適な実施の形態について詳細に説明する。
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1である自動販売機を示す断面側面図である。ここで例示する自動販売機は、例えば缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を冷却、若しくは加熱した状態で販売するもので、自動販売機本体である本体キャビネット1を備えている。
本体キャビネット1は、複数の金属板を適宜組み合わせることによって構成されたもので、前面が開口した直方体状に構成されている。この本体キャビネット1には、その内部に前面が開口した断熱構造の商品収容庫2が設けられている。本実施の形態1では、本体キャビネット1の内面に予め板状に成形した断熱ボードが配設されることにより、これら断熱ボードによって囲まれる空間に商品収容庫2が構成されるようにしている。断熱ボードは、図には明示していないが、発泡ウレタン等の断熱材によって成形した板状部材の表裏両面にそれぞれ面材として樹脂フィルムやクラフト紙が貼着されたものである。
この商品収容庫2の収納域2aには、商品収納装置である商品収納ラック10が配設されている。商品収納ラック10は、一対の側板11の間に通路形成部材12が配設されることによって上下方向に沿って延在する蛇行状の商品収納通路13が構成されたものであって、商品収納通路13に商品を収納する一方、商品販売指令が与えられた場合には最下位に位置するものから商品の払い出しを行うものである。本実施の形態1では、複数の商品収納通路13を有した商品収納ラック10が前後に配設されるようにしている。
また、商品収容庫2には、商品シュータ3及び背面ダクト20が設けられている。商品シュータ3は、商品収納ラック10の下方域に設けられている。この商品シュータ3は、多数の通気孔を有した平板状部材であり、商品収容庫2の後方から前方に向けて漸次低くなる態様で傾斜して配設されている。
背面ダクト20は、商品収容庫2における背面側において、上記収納域2aと区画される導風路20aを構成するものである。この背面ダクト20は、上下方向に沿って延在するものであり、最上部は商品収納ラック10に収納される商品よりも上方側に位置している。
この背面ダクト20においては、商品シュータ3よりも下方側となる部位に下方側開口21が設けられているとともに、商品収納ラック10に収納される商品よりも上方側となる部位に上方側開口22が設けられている。
また、この背面ダクト20においては、下方側開口21の前方側に下方側庫内送風ファンF1が設けられているとともに、上方側開口22の前方側に上方側庫内送風ファンF2が設けられている。下方側庫内送風ファンF1及び上方側庫内送風ファンF2は、後述する制御ユニット(制御手段)50からの駆動指令に応じて駆動することで商品収容庫2の内部の空気を収納域2aと導風路20aとの間で循環させる循環手段である。ここで下方側庫内送風ファンF1は、駆動する場合には、下方側開口21を通じて導風路20aにある空気を収納域2aに送出するものであり、上方側庫内送風ファンF2は、駆動する場合には、収納域2aの空気を上方側開口22から導風路20aに導入するものである。
さらに、この背面ダクト20においては、下方側開口21と上方側開口22との間であって、商品収納ラック10に収納された商品のうち最下位のものから数本目に相当する高さレベルに中間開口23が設けられている(図1参照)。
上記商品シュータ3の下方域において下方側庫内送風ファンF1の前方側には、蒸発器4a及びヒータHが設けられている。蒸発器4aは、下方側庫内送風ファンF1の前方側に配設されており、商品収容庫2の下部の機械室5に配置された圧縮機4b、凝縮器4c及び膨張機構4dとともに冷却ユニットを構成する冷却手段である。ヒータHは、蒸発器4aの前方側に配設されており、通電状態となる場合に発熱する加熱手段である。
一方、上記自動販売機には、扉体である内扉30及び外扉40が設けられている。内扉30は、商品収容庫2の前面開口を覆うためのもので、本体キャビネット1の一側縁部に開閉可能に配設された断熱構造を有するものである。この内扉30には商品搬出口31が設けられている。商品搬出口31は、商品搬出扉32により開閉されるものである。
外扉40は、本体キャビネット1の前面開口を覆うためのもので、内扉30よりも前方側となる位置において、本体キャビネット1の一側縁部に開閉可能に配設されている。外扉40の前面には、商品を販売する際に必要となるディスプレイウィンドウ41や商品取出口42が設けられているとともに、図には明示しないが、商品選択ボタン、紙幣挿通口、硬貨投入口、返却レバー、金額表示器、硬貨返却口等が設けられている。ここで商品取出口42は、商品取出扉43により開閉されるものである。
図2は、本発明の実施の形態1である自動販売機の特徴的な制御系を模式的に示すブロック図である。この図2に示すように、本実施の形態1の自動販売機は、自販機制御部100、下部庫内温度センサ(下部温度検出手段)S1、上部庫内温度センサ(上部温度検出手段)S2、開閉センサS3及び制御ユニット50を備えている。
自販機制御部100は、図示せぬ記憶部に記憶されたプログラムやデータにしたがって自動販売機の販売動作を統括して制御するものである。
下部庫内温度センサS1は、商品収納ラック10の下部に設けられている。この下部庫内温度センサS1は、商品収容庫2における収納域2aの下部温度を検出した場合には、制御ユニット50に対して検出信号としてその旨を送出するものである。
上部庫内温度センサS2は、商品収納ラック10の上部に設けられている。この下部庫内温度センサS1は、商品収容庫2における収納域2aの上部温度を検出した場合には、制御ユニット50に対して検出信号としてその旨を送出するものである。
開閉センサS3は、本体キャビネット1の前面開口の開閉を検知するものである。この開閉センサS3は、扉体(内扉30及び外扉40)が開移動されることで本体キャビネット1の前面開口が開成される場合には制御ユニット50に対してオン信号を出力する一方、扉体が閉移動されることで本体キャビネット1の前面開口が閉成される場合には制御ユニット50に対してオフ信号を出力するものである。
制御ユニット50は、メモリ60に予め格納されているプログラムやデータにしたがって圧縮機4bや、下方側庫内送風ファンF1及び上方側庫内送風ファンF2の駆動を制御するものであり、入力処理部501、運転決定部502、圧縮機駆動処理部503及びファン駆動処理部504を備えて構成されている。この制御ユニット50は、自販機制御部100と通信可能に構成されている。尚、本実施の形態1では、制御ユニット50は、自販機制御部100から独立した形態で構成されるものであるが、本発明においては自販機制御部100とともに共通の制御体をなしていてもよい。
入力処理部501は、下部庫内温度センサS1、上部庫内温度センサS2及び開閉センサS3から与えられる信号を入力するとともに、自販機制御部100からの各種情報を入力するものである。
運転決定部502は、全体冷却運転への切換時刻(全体冷却運転開始時刻)を経過した場合には、全体冷却運転を行うことを決定し、かかる全体冷却運転を保冷運転への切換時刻まで行い、保冷運転切換時刻(保冷運転開始時刻)に達したときには保冷運転を行うことを決定するものである。また、保冷運転をゾーン冷却運転への切換時刻(ゾーン冷却運転開始時刻)まで行い、ゾーン冷却運転切換時刻に達したときには、ゾーン冷却運転を行うことを決定する。つまり、自動販売機は、所定のタイムスケジュールにしたがって、全体冷却運転→保冷運転→ゾーン冷却運転を順次行うようにしている。
また、上記運転決定部502は、後述する全体冷却運転時間決定処理において全体冷却運転を行う時間を算出し、全体冷却運転切換時刻を決定する処理を行うものである。つまり、本実施の形態1の自動販売機は、全体冷却運転切換時刻を可変とすることで全体冷却運転時間を調整することができる。
さらに、上記運転決定部502は、後述するリカバリー運転制御処理においてリカバリー運転(ゾーン冷却運転及び全体冷却運転)を行うか否かについて決定するものである。
圧縮機駆動処理部503は、圧縮機4bに対して駆動指令、あるいは駆動停止指令を与えて圧縮機4bの駆動処理を行うものである。
ファン駆動処理部504は、下方側庫内送風ファンF1及び上方側庫内送風ファンF2に対して駆動指令、あるいは駆動停止指令を与えて下方側庫内送風ファンF1及び上方側庫内送風ファンF2の駆動処理を行うものである。
以上のような構成を有する自動販売機において、全体冷却運転を行う場合には、制御ユニット50が圧縮機駆動処理部503を通じて圧縮機4bの駆動を維持しながら、ファン駆動処理部504を通じて下方側庫内送風ファンF1及び上方側庫内送風ファンF2を駆動させる。
これにより、商品収容庫2における収納域2aの空気は、図3に示すように、上方側開口22から導風路20aに進入し、導風路20aを通過した後に下方側開口21から収納域2aに送出されて商品収納ラック10に収納された商品を通過して循環することになる。つまり、蒸発器4aで冷却された内部空気は、商品収納ラック10を通過して該商品収納ラック10に収納された商品を冷却する。かかる全体冷却運転を行う結果、商品収納ラック10に収納された商品全体が所望の温度状態に冷却される。
このような全体冷却運転を行って保冷運転切換時刻に達すると、自動販売機は全体冷却運転から保冷運転に移行する。
保冷運転を行う場合には、制御ユニット50は、圧縮機駆動処理部503を通じて圧縮機4bを駆動停止にさせるとともに、ファン駆動処理部504を通じて下方側庫内送風ファンF1及び上方側庫内送風ファンF2を駆動停止にさせる。
これにより、商品収容庫2の内部の空気は庫内を循環することもなく、また蒸発器4aにより冷却されることもない。この保冷運転では、商品収納ラック10の下部側商品は、上部側商品により冷却された冷気が下方に流れることで冷却状態を保持されることになる。
このような保冷運転を行ってゾーン冷却運転切換時刻に達すると、自動販売機は保冷運転からゾーン冷却運転に移行する。
ゾーン冷却運転を行う場合には、制御ユニット50には、圧縮機駆動処理部503を通じて圧縮機4bを駆動させるとともに、ファン駆動処理部504を通じて下方側庫内送風ファンF1のみを駆動させる。
これにより、商品収容庫2における収納域2aの空気は、図4に示すように、中間開口23から導風路20aに進入し、導風路20aを通過した後に下方側開口21から収納域2aに送出されて商品収納ラック10に収納された商品を通過して循環することになる。つまり、蒸発器4aで冷却された内部空気は、商品収納ラック10の下方部を通過して該商品収納ラック10の下方部に収納された商品を冷却する。かかるゾーン冷却運転を行う結果、商品収納ラック10の下方部に収納された商品が所望の温度状態に冷却される。
図5は、上述したゾーン冷却運転を行っている場合に実施する全体冷却運転時間決定処理の処理内容を示すフローチャートである。
上述したゾーン冷却運転を行っている際に、入力処理部501を通じて自販機制御部100より前回の商品補充時からの累計の商品販売数を入力した場合(ステップS101:Yes)、制御ユニット50は、運転決定部502を通じて商品収納ラック10における在庫数量を算出する(ステップS102)。かかる在庫数量の算出は、商品補充時に商品収納ラック10の収納上限値まで商品が補充されて満杯になっているものとし、かかる収納上限値から累計の商品販売数を減算することによって行われる。尚、本実施の形態1においては、収納上限値から商品販売数を減算することにより在庫数量を算出したが、本発明においては商品搬出装置の重量を検出することにより在庫数量を算出するような様々な手法を採用して在庫数量を算出してもよい。
在庫数量を算出した制御ユニット50は、運転決定部502を通じてメモリ60よりテーブル(運転情報)を読み出す(ステップS103)。ここで読み出されるテーブルは、図6に示すように、在庫数量と全体冷却運転時間とが関連付けられたものであり、メモリ60に予め記憶されている。このテーブルでは、在庫数量がa1本以上である場合に全体冷却運転時間はT1(最大時間)とされ、在庫数量がa2本以上a1本未満である場合に全体冷却運転時間がT1より短いT2とされ、在庫数量がa3本以上a2本未満である場合に全体冷却運転時間がT2より短いT3とされ、在庫数量がa3本未満である場合に全体冷却運転時間がT3より短いT4とされているものとする。
テーブルを読み出した制御ユニット50は、運転決定部502を通じて算出した在庫数量と、テーブルとを比較して全体冷却運転時間を算出する(ステップS104)。ここでは在庫数量がa2本以上a1本未満であったとして全体冷却運転時間としてT2が算出されたものとする。
このように全体冷却運転時間を算出した制御ユニット50は、運転決定部502を通じて全体冷却運転切換時刻を決定する(ステップS105)。全体冷却運転時間がT2と算出した場合には、かかるT2はT1よりも短いので、全体冷却運転時間がT1として予め決められていた全体冷却運転切換時刻(例えば「23:00」とする)よりも後の時刻(例えば「1:00」)に決定する。これによりゾーン冷却運転時間が相対的に延長されることとなる。
かかる全体冷却運転切換時刻を決定した制御ユニット50は、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
このような全体冷却運転時間決定処理によれば、全体冷却運転切換時刻を可変として商品収納ラック10における在庫数量に応じて全体冷却運転時間を算出するので、冷却負荷に応じて最適な全体冷却運転時間を算出することとなり、全体冷却運転時間が冷却負荷に対して過大なものとなることを抑制して消費電力を低減させることができる。
図7は、上述した保冷運転を行っている場合に実施するリカバリー運転制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
上述した保冷運転を行っている際に、入力処理部501を通じて入力される開閉センサS3からの信号がオン信号からオフ信号に切り替わった場合(ステップS111:Yes)、すなわち扉体(内扉30及び外扉40)が開閉移動されることにより本体キャビネット1の前面開口が一旦開成された後に閉成された場合、制御ユニット50は、商品補充が行われたものとして、圧縮機駆動処理部503を通じて圧縮機4bを駆動させるとともに、ファン駆動処理部504を通じて下方側庫内送風ファンF1を駆動させる(ステップS112,ステップS113)。
このように圧縮機4bが駆動されて下方側庫内送風ファンF1が駆動されることで、図4に示したように、商品収容庫2における収納域2aの空気が、中間開口23から導風路20aに進入し、導風路20aを通過した後に下方側開口21から収納域2aに送出されて商品収納ラック10に収納された商品を通過して循環することとなり、上述したゾーン冷却運転と同様なリカバリー運転(以下、「リカバリーゾーン冷却運転」ともいう)が行われる。
その後、制御ユニット50は、入力処理部501を通じて下部庫内温度センサS1より下部温度を入力した場合(ステップS114:Yes)、運転決定部502を通じてメモリ60より下部閾値を読み出し、下部温度と下部閾値とを比較する(ステップS115)。下部閾値は、かかるリカバリーゾーン冷却運転を停止させるための閾値としてメモリ60に予め記憶されている。
下部温度が下部閾値以上の場合(ステップS115:No)、制御ユニット50はリカバリーゾーン冷却運転を継続する。つまり、下部温度が下部閾値を下回るまでリカバリーゾーン冷却運転を行うことになる。
その一方、下部温度が下部閾値を下回る場合(ステップS115:Yes)、制御ユニット50は、ファン駆動処理部504を通じて上方側庫内送風ファンF2を駆動させる(ステップS116)。
このように上方側庫内送風ファンF2が駆動されることで、図3に示したように、商品収容庫2における収納域2aの空気が、上方側開口22から導風路20aに進入し、導風路20aを通過した後に下方側開口21から収納域2aに送出されて商品収納ラック10に収納された商品を通過して循環することとなり、上述した全体冷却運転と同様なリカバリー運転(以下、「リカバリー全体冷却運転」ともいう)が行われる。
その後、制御ユニット50は、入力処理部501を通じて上部庫内温度センサS2より上部温度を入力した場合(ステップS117:Yes)、運転決定部502を通じてメモリ60より上部閾値を読み出し、上部温度と上部閾値とを比較する(ステップS118)。上部閾値は、かかるリカバリー全体冷却運転を停止させるための閾値としてメモリ60に予め記憶されている。
上部温度が上部閾値以上の場合(ステップS118:No)、制御ユニット50はリカバリー全体冷却運転を継続する。つまり、上部温度が上部閾値を下回るまでリカバリー全体冷却運転を行うことになる。
その一方、上部温度が上部閾値を下回る場合(ステップS118:Yes)、制御ユニット50は、圧縮機駆動処理部503を通じて圧縮機4bを駆動停止にさせるとともに、ファン駆動処理部504を通じて下方側庫内送風ファンF1及び上方側庫内送風ファンF2を駆動停止にさせて(ステップS119,ステップS120)、保冷運転に戻り、その後に手順をリターンさせて今回のリカバリー運転制御処理を終了する。
このようなリカバリー運転制御処理によれば、保冷運転中に商品補充が行われることにより商品収容庫2の庫内温度が上昇した場合にも、リカバリーゾーン冷却運転及びリカバリー全体冷却運転を行うことで、商品収納ラック10に収納された商品を良好に冷却して保冷運転をゾーン冷却運転切換時刻まで継続させることができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態1である自動販売機においては、全体冷却運転を行う場合において、制御ユニット50が下方側庫内送風ファンF1及び上方側庫内送風ファンF2を駆動させることで、商品収容庫2における収納域2aの空気を上方側開口22から導風路20aに進入させて導風路20aを通過した後に下方側開口21から収納域2aに送出させるよう商品収容庫2の内部で循環させることで商品収納ラック10に収納された商品全体を冷却するので、その後に保冷運転に移行しても、次期販売商品を含む商品収納ラック10の下部側商品を、該商品収納ラック10の上部側商品により冷却されて下方に向けて流れる冷気により冷却することができる。特に、最下位の商品を払い出すような本実施の形態1の自動販売機においては、最上位商品を冷熱源として最後まで商品収容庫2の内部に残すことができるため、かかる最上位商品を有効活用して他の商品を冷却することができる。この結果、保冷運転に要する時間の長大化を図ることができる。
また、ゾーン冷却運転を行う場合において、制御ユニット50が下方側庫内送風ファンF1のみを駆動させることで、商品収容庫2における収納域2aの空気を中間開口23から導風路20aに進入させて導風路20aを通過した後に下方側開口21から収納域2aに送出させるよう商品収容庫2の内部で循環させることで、次期販売商品を含む商品収納ラック10の下部側商品を集中的に冷却することができ、これら下部側商品が好適な冷却温度帯から外れてしまうことを防止でき、この結果、販売機会の逸脱を回避することができる。
さらに、保冷運転時に全体冷却運転時間決定処理を実施することにより、冷却負荷に応じて最適な全体冷却運転時間を算出することができ、全体冷却運転時間が冷却負荷に対して過大なものとなることを抑制することができるので、消費電力の低減化を図ることができる。
従って、本実施の形態1である自動販売機によれば、商品の販売機会を逸脱する虞れがなく、保冷運転時間の長大化及び消費電力の低減化を図ることができる。
上記自動販売機によれば、保冷運転時において必要に応じてリカバリーゾーン冷却運転を行ってからリカバリー全体冷却運転を行うので、次期販売商品を含む商品収納ラック10の下部側商品を先に冷却することで、販売機会の逸脱を防止することができる。
また、上記自動販売機によれば、下方側庫内送風ファンF1が下方側開口21の前方側に設けてあり、上方側庫内送風ファンF2が上方側開口22の前方側に設けられていることにより、効率よく内部空気を循環させることができ、これにより冷却効率を向上させることができる。
以上、本発明の好適な実施の形態1について説明したが、かかる実施の形態1では、上述したリカバリー運転制御処理の代わりに以下のようなリカバリー運転制御処理を行ってもよい。
図8は、リカバリー運転制御処理の変形例の処理内容を示すフローチャートである。
上述した保冷運転を行っている際に、入力処理部501を通じて自販機制御部100より商品販売数を入力した場合(ステップS131:Yes)、制御ユニット50は、運転決定部502を通じてメモリ60より基準テーブル(運転基準情報)を読み出す(ステップS132)。ここで読み出される基準テーブルは、図9に示すように、保冷運転切換時刻(保冷運転開始時点)からの経過時間と基準販売数とが関連付けられたものであり、メモリ60に予め記憶されている。この基準テーブルでは、保冷運転切換時刻からの経過時間がA時間以内の場合の基準販売数がb1本とされ、保冷運転切換時刻からの経過時間がA〜B時間以内の場合の基準販売数がb1よりも少ないb2本とされ、保冷運転切換時刻からの経過時間がC〜B時間以内の場合の基準販売数がb2よりも少ないb3本とされているものとする。
基準テーブルを読み出した制御ユニット50は、内蔵する時計により計測された時間を用いて、運転決定部502を通じて商品販売数が該当する経過時間における基準販売数以上であるか否かを比較する(ステップS133)。
商品販売数が該当する経過時間における基準販売数未満である場合(ステップS133:No)、制御ユニット50は、後述する処理を実施することなく手順をリターンさせて、今回のリカバリー運転制御処理を終了する。
商品販売数が該当する経過時間における基準販売数以上である場合(ステップS133:Yes)、制御ユニット50は、圧縮機駆動処理部503を通じて圧縮機4bを駆動させるとともに、ファン駆動処理部504を通じて下方側庫内送風ファンF1を駆動させる(ステップS134,ステップS135)。
このように圧縮機4bが駆動されて下方側庫内送風ファンF1が駆動されることで、図4に示したように、商品収容庫2における収納域2aの空気が、中間開口23から導風路20aに進入し、導風路20aを通過した後に下方側開口21から収納域2aに送出されて商品収納ラック10に収納された商品を通過して循環することとなり、リカバリーゾーン冷却運転が行われる。
その後、制御ユニット50は、入力処理部501を通じて下部庫内温度センサS1より下部温度を入力した場合(ステップS136:Yes)、運転決定部502を通じてメモリ60より下部閾値を読み出し、下部温度と下部閾値とを比較する(ステップS137)。下部閾値は、かかるリカバリーゾーン冷却運転を停止させるための閾値としてメモリ60に予め記憶されている。
下部温度が下部閾値以上の場合(ステップS137:No)、制御ユニット50はリカバリーゾーン冷却運転を継続する。つまり、下部温度が下部閾値を下回るまでリカバリーゾーン冷却運転を行うことになる。
その一方、下部温度が下部閾値を下回る場合(ステップS137:Yes)、制御ユニット50は、ファン駆動処理部504を通じて上方側庫内送風ファンF2を駆動させる(ステップS138)。
このように上方側庫内送風ファンF2が駆動されることで、図3に示したように、商品収容庫2における収納域2aの空気が、上方側開口22から導風路20aに進入し、導風路20aを通過した後に下方側開口21から収納域2aに送出されて商品収納ラック10に収納された商品を通過して循環することとなり、リカバリー全体冷却運転が行われる。
その後、制御ユニット50は、入力処理部501を通じて上部庫内温度センサS2より上部温度を入力した場合(ステップS139:Yes)、運転決定部502を通じてメモリ60より上部閾値を読み出し、上部温度と上部閾値とを比較する(ステップS140)。上部閾値は、かかるリカバリー全体冷却運転を停止させるための閾値としてメモリ60に予め記憶されている。
上部温度が上部閾値以上の場合(ステップS140:No)、制御ユニット50はリカバリー全体冷却運転を継続する。つまり、上部温度が上部閾値を下回るまでリカバリー全体冷却運転を行うことになる。
その一方、上部温度が上部閾値を下回る場合(ステップS140:Yes)、制御ユニット50は、圧縮機駆動処理部503を通じて圧縮機4bを駆動停止にさせるとともに、ファン駆動処理部504を通じて下方側庫内送風ファンF1及び上方側庫内送風ファンF2を駆動停止にさせて(ステップS141,ステップS142)、保冷運転に戻り、その後に手順をリターンさせて今回のリカバリー運転制御処理を終了する。
このようなリカバリー運転制御処理によれば、保冷運転の経過とともに商品が販売されることにより商品収容庫2の庫内温度が徐々に上昇した場合にも、リカバリーゾーン冷却運転及びリカバリー全体冷却運転を行うことで、商品収納ラック10に収納された商品を良好に冷却して保冷運転をゾーン冷却運転切換時刻まで継続させることができる。
図10は、リカバリー運転制御処理の他の変形例の処理内容を示すフローチャートである。
上述した保冷運転を行っている際に、入力処理部501を通じて下部庫内温度センサS1より下部温度を入力した場合(ステップS151:Yes)、制御ユニット50は、運転決定部502を通じて温度上昇率を算出する(ステップS152)。ここでは、前回入力した下部温度と今回入力した下部温度とを用いて、前回の下部温度入力から今回の下部温度入力までの経過時間に対する温度上昇の割合(傾き)を算出することとなる。
温度上昇率を算出した制御ユニット50は、運転決定部502を通じて、算出された温度上昇率から当該保冷運転中に予め決められた許容される上限温度を超えるか否かを比較する(ステップS153)。
算出された温度上昇率から当該保冷運転中に上限温度を超えないと判定された場合(ステップS153:No)、制御ユニット50は、後述する処理を実施することなく手順をリターンさせて、今回のリカバリー運転制御処理を終了する。
算出された温度上昇率から当該保冷運転中に予め決められた許容される上限温度を超えるものと判定される場合(ステップS153:Yes)、制御ユニット50は、圧縮機駆動処理部503を通じて圧縮機4bを駆動させるとともに、ファン駆動処理部504を通じて下方側庫内送風ファンF1を駆動させる(ステップS154,ステップS155)。
このように圧縮機4bが駆動されて下方側庫内送風ファンF1が駆動されることで、図4に示したように、商品収容庫2における収納域2aの空気が、中間開口23から導風路20aに進入し、導風路20aを通過した後に下方側開口21から収納域2aに送出されて商品収納ラック10に収納された商品を通過して循環することとなり、リカバリーゾーン冷却運転が行われる。
その後、制御ユニット50は、入力処理部501を通じて下部庫内温度センサS1より下部温度を入力した場合(ステップS156:Yes)、運転決定部502を通じてメモリ60より下部閾値を読み出し、下部温度と下部閾値とを比較する(ステップS157)。下部閾値は、かかるリカバリーゾーン冷却運転を停止させるための閾値としてメモリ60に予め記憶されている。
下部温度が下部閾値以上の場合(ステップS157:No)、制御ユニット50はリカバリーゾーン冷却運転を継続する。つまり、下部温度が下部閾値を下回るまでリカバリーゾーン冷却運転を行うことになる。
その一方、下部温度が下部閾値を下回る場合(ステップS157:Yes)、制御ユニット50は、ファン駆動処理部504を通じて上方側庫内送風ファンF2を駆動させる(ステップS158)。
このように上方側庫内送風ファンF2が駆動されることで、図3に示したように、商品収容庫2における収納域2aの空気が、上方側開口22から導風路20aに進入し、導風路20aを通過した後に下方側開口21から収納域2aに送出されて商品収納ラック10に収納された商品を通過して循環することとなり、リカバリー全体冷却運転が行われる。
その後、制御ユニット50は、入力処理部501を通じて上部庫内温度センサS2より上部温度を入力した場合(ステップS159:Yes)、運転決定部502を通じてメモリ60より上部閾値を読み出し、上部温度と上部閾値とを比較する(ステップS160)。上部閾値は、かかるリカバリー全体冷却運転を停止させるための閾値としてメモリ60に予め記憶されている。
上部温度が上部閾値以上の場合(ステップS160:No)、制御ユニット50はリカバリー全体冷却運転を継続する。つまり、上部温度が上部閾値を下回るまでリカバリー全体冷却運転を行うことになる。
その一方、上部温度が上部閾値を下回る場合(ステップS160:Yes)、制御ユニット50は、圧縮機駆動処理部503を通じて圧縮機4bを駆動停止にさせるとともに、ファン駆動処理部504を通じて下方側庫内送風ファンF1及び上方側庫内送風ファンF2を駆動停止にさせて(ステップS161,ステップS162)、保冷運転に戻り、その後に手順をリターンさせて今回のリカバリー運転制御処理を終了する。
このようなリカバリー運転制御処理によれば、保冷運転の経過とともに商品収容庫2の庫内温度が徐々に上昇した場合にも、リカバリーゾーン冷却運転及びリカバリー全体冷却運転を行うことで、商品収納ラック10に収納された商品を良好に冷却して保冷運転をゾーン冷却運転切換時刻まで継続させることができる。尚、ここでは保冷運転中に上限温度を超えるものと判定された場合にリカバリーゾーン冷却運転及びリカバリー全体冷却運転を行っていたが、本発明においては、上限温度を超える直前にリカバリーゾーン冷却運転及びリカバリー全体冷却運転を行うようにしてもよい。
<実施の形態2>
図11は、本発明の実施の形態2である自動販売機の特徴的な制御系を模式的に示すブロック図である。尚、上述した実施の形態1である自動販売機と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
この図11に示すように、本実施の形態2の自動販売機は、自販機制御部100、下部庫内温度センサS1(下部温度検出手段)、上部庫内温度センサS2(上部温度検出手段)、外気温度センサS4及び制御ユニット51を備えている。
外気温度センサS4は、本体キャビネット1の外部に設けられている。この外気温度センサS4は、外気温度を検出した場合には、制御ユニット51に対して検出信号としてその旨を送出するものである。
制御ユニット51は、メモリ61に予め格納されているプログラムやデータにしたがって圧縮機4bや、下方側庫内送風ファンF1及び上方側庫内送風ファンF2の駆動を制御するものであり、入力処理部511、運転決定部512、圧縮機駆動処理部513及びファン駆動処理部514を備えて構成されている。この制御ユニット51は、自販機制御部100と通信可能に構成されている。尚、本実施の形態2では、制御ユニット51は、自販機制御部100から独立した形態で構成されるものであるが、本発明においては自販機制御部とともに共通の制御体をなしていてもよい。
入力処理部511は、下部庫内温度センサS1、上部庫内温度センサS2及び外気温度センサS4から与えられる信号を入力するとともに、自販機制御部100からの各種情報を入力するものである。
運転決定部512は、全体冷却運転への切換時刻(全体冷却運転開始時刻)を経過した場合には、全体冷却運転を行うことを決定し、かかる全体冷却運転を保冷運転への切換時刻まで行い、保冷運転切換時刻(保冷運転開始時刻)に達したときには保冷運転を行うことを決定するものである。また、保冷運転をゾーン冷却運転への切換時刻(ゾーン冷却運転開始時刻)まで行い、ゾーン冷却運転切換時刻に達したときには、ゾーン冷却運転を行うことを決定する。つまり、自動販売機は、所定のタイムスケジュールにしたがって、全体冷却運転→保冷運転→ゾーン冷却運転を順次行うようにしている。
また、上記運転決定部512は、後述する全体冷却運転時間決定処理において全体冷却運転を行う時間を算出し、全体冷却運転切換時刻を決定する処理を行うものである。つまり、本実施の形態2の自動販売機は、全体冷却運転切換時刻を可変とすることで全体冷却運転時間を調整することができる。
さらに、上記運転決定部512は、リカバリー運転制御処理においてリカバリー運転(ゾーン冷却運転及び全体冷却運転)を行うか否かについて決定するものである。
圧縮機駆動処理部513は、圧縮機4bに対して駆動指令、あるいは駆動停止指令を与えて圧縮機4bの駆動処理を行うものである。
ファン駆動処理部514は、下方側庫内送風ファンF1及び上方側庫内送風ファンF2に対して駆動指令、あるいは駆動停止指令を与えて下方側庫内送風ファンF1及び上方側庫内送風ファンF2の駆動処理を行うものである。
以上のような構成を有する自動販売機において、全体冷却運転を行う場合には、制御ユニット51が圧縮機駆動処理部513を通じて圧縮機4bの駆動を維持しながら、ファン駆動処理部514を通じて下方側庫内送風ファンF1及び上方側庫内送風ファンF2を駆動させる。
これにより、商品収容庫2における収納域2aの空気は、上方側開口22から導風路20aに進入し、導風路20aを通過した後に下方側開口21から収納域2aに送出されて商品収納ラック10に収納された商品を通過して循環することになる(図3参照)。つまり、蒸発器4aで冷却された内部空気は、商品収納ラック10を通過して該商品収納ラック10に収納された商品を冷却する。かかる全体冷却運転を行う結果、商品収納ラック10に収納された商品全体が所望の温度状態に冷却される。
このような全体冷却運転を行って保冷運転切換時刻に達すると、自動販売機は全体冷却運転から保冷運転に移行する。
保冷運転を行う場合には、制御ユニット51は、圧縮機駆動処理部513を通じて圧縮機4bを駆動停止にさせるとともに、ファン駆動処理部514を通じて下方側庫内送風ファンF1及び上方側庫内送風ファンF2を駆動停止にさせる。
これにより、商品収容庫2の内部の空気は庫内を循環することもなく、また蒸発器4aにより冷却されることもない。この保冷運転では、商品収納ラック10の下部側商品は、上部側商品により冷却された冷気が下方に流れることで冷却状態を保持されることになる。
このような保冷運転を行ってゾーン冷却運転切換時刻に達すると、自動販売機は保冷運転からゾーン冷却運転に移行する。
ゾーン冷却運転を行う場合には、制御ユニット51には、圧縮機駆動処理部513を通じて圧縮機4bを駆動させるとともに、ファン駆動処理部514を通じて下方側庫内送風ファンF1のみを駆動させる。
これにより、商品収容庫2における収納域2aの空気は、中間開口23から導風路20aに進入し、導風路20aを通過した後に下方側開口21から収納域2aに送出されて商品収納ラック10に収納された商品を通過して循環することになる(図4参照)。つまり、蒸発器4aで冷却された内部空気は、商品収納ラック10の下方部を通過して該商品収納ラック10の下方部に収納された商品を冷却する。かかるゾーン冷却運転を行う結果、商品収納ラック10の下方部に収納された商品が所望の温度状態に冷却される。
図12は、上述したゾーン冷却運転を行っている場合に実施する全体冷却運転時間決定処理の処理内容を示すフローチャートである。
上述したゾーン冷却運転を行っている際に、入力処理部511を通じて外気温度センサS4より外気温度を入力した場合(ステップS201:Yes)、制御ユニット51は、運転決定部512を通じてメモリ61よりテーブル(運転情報)を読み出す(ステップS202)。ここで読み出されるテーブルは、図13に示すように、外気温度と全体冷却運転時間とが関連付けられたものであり、メモリ61に予め記憶されている。このテーブルでは、外気温度がc1℃以上である場合に全体冷却運転時間はT1(最大時間)とされ、外気温度がc2℃以上c1℃未満である場合に全体冷却運転時間がT1より短いT2とされ、外気温度がc3℃以上c2℃未満である場合に全体冷却運転時間がT2より短いT3とされ、外気温度がc3℃未満である場合に全体冷却運転時間がT3より短いT4とされているものとする。
テーブルを読み出した制御ユニット51は、運転決定部512を通じて外気温度とテーブルとを比較して全体冷却運転時間を算出する(ステップS203)。ここでは外気温度がc2℃以上c1℃未満であったとして全体冷却運転時間としてT2が算出されたものとする。
このように全体冷却運転時間を算出した制御ユニット51は、運転決定部512を通じて全体冷却運転切換時刻を決定する(ステップS204)。全体冷却運転時間がT2と算出した場合には、かかるT2はT1よりも短いので、全体冷却運転時間がT1として予め決められていた全体冷却運転切換時刻(例えば「23:00」とする)よりも後の時刻(例えば「1:00」)に決定する。これによりゾーン冷却運転時間が相対的に延長されることとなる。
かかる全体冷却運転切換時刻を決定した制御ユニット51は、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
このような全体冷却運転時間決定処理によれば、全体冷却運転切換時刻を可変として外気温度に応じて全体冷却運転時間を算出するので、冷却負荷に応じて最適な全体冷却運転時間を算出することとなり、全体冷却運転時間が冷却負荷に対して過大なものとなることを抑制して消費電力を低減させることができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態2である自動販売機においては、全体冷却運転を行う場合において、制御ユニット51が下方側庫内送風ファンF1及び上方側庫内送風ファンF2を駆動させることで、商品収容庫2における収納域2aの空気を上方側開口22から導風路20aに進入させて導風路20aを通過した後に下方側開口21から収納域2aに送出させるよう商品収容庫2の内部で循環させることで商品収納ラック10に収納された商品全体を冷却するので、その後に保冷運転に移行しても、次期販売商品を含む商品収納ラック10の下部側商品を、該商品収納ラック10の上部側商品により冷却されて下方に向けて流れる冷気により冷却することができる。特に、最下位の商品を払い出すような本実施の形態2の自動販売機においては、最上位商品を冷熱源として最後まで商品収容庫2の内部に残すことができるため、かかる最上位商品を有効活用して他の商品を冷却することができる。この結果、保冷運転に要する時間の長大化を図ることができる。
また、ゾーン冷却運転を行う場合において、制御ユニット51が下方側庫内送風ファンF1のみを駆動させることで、商品収容庫2における収納域2aの空気を中間開口23から導風路20aに進入させて導風路20aを通過した後に下方側開口21から収納域2aに送出させるよう商品収容庫2の内部で循環させることで、次期販売商品を含む商品収納ラック10の下部側商品を集中的に冷却することができ、これら下部側商品が好適な冷却温度帯から外れてしまうことを防止でき、この結果、販売機会の逸脱を回避することができる。
さらに、保冷運転時に全体冷却運転時間決定処理を実施することにより、冷却負荷に応じて最適な全体冷却運転時間を算出することができ、全体冷却運転時間が冷却負荷に対して過大なものとなることを抑制することができるので、消費電力の低減化を図ることができる。
従って、本実施の形態2である自動販売機によれば、商品の販売機会を逸脱する虞れがなく、保冷運転時間の長大化及び消費電力の低減化を図ることができる。
かかる実施の形態2である自動販売機においても、実施の形態1である自動販売機と同様に、保冷運転を行っている際に上述したリカバリー運転制御処理を行うことができるが、重複した説明となるために割愛する。
<実施の形態3>
図14は、本発明の実施の形態3である自動販売機の特徴的な制御系を模式的に示すブロック図である。尚、上述した実施の形態1及び2である自動販売機と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
この図14に示すように、本実施の形態3の自動販売機は、自販機制御部100、下部庫内温度センサS1(下部温度検出手段)、上部庫内温度センサS2(上部温度検出手段)及び制御ユニット52を備えている。
制御ユニット52は、メモリ62に予め格納されているプログラムやデータにしたがって圧縮機4bや、下方側庫内送風ファンF1及び上方側庫内送風ファンF2の駆動を制御するものであり、入力処理部521、運転決定部522、圧縮機駆動処理部523及びファン駆動処理部524を備えて構成されている。この制御ユニット52は、自販機制御部100と通信可能に構成されている。尚、本実施の形態3では、制御ユニット52は、自販機制御部100から独立した形態で構成されるものであるが、本発明においては自販機制御部とともに共通の制御体をなしていてもよい。
入力処理部521は、下部庫内温度センサS1及び上部庫内温度センサS2から与えられる信号を入力するとともに、自販機制御部100からの各種情報を入力するものである。
運転決定部522は、全体冷却運転への切換時刻(全体冷却運転開始時刻)を経過した場合には、全体冷却運転を行うことを決定し、かかる全体冷却運転を保冷運転への切換時刻まで行い、保冷運転切換時刻(保冷運転開始時刻)に達したときには保冷運転を行うことを決定するものである。また、保冷運転をゾーン冷却運転への切換時刻(ゾーン冷却運転開始時刻)まで行い、ゾーン冷却運転切換時刻に達したときには、ゾーン冷却運転を行うことを決定する。つまり、自動販売機は、所定のタイムスケジュールにしたがって、全体冷却運転→保冷運転→ゾーン冷却運転を順次行うようにしている。
また、上記運転決定部522は、後述する全体冷却運転時間決定処理において全体冷却運転を行う時間を算出し、全体冷却運転切換時刻を決定する処理を行うものである。つまり、本実施の形態3の自動販売機は、全体冷却運転切換時刻を可変とすることで全体冷却運転時間を調整することができる。
さらに、上記運転決定部522は、リカバリー運転制御処理においてリカバリー運転(ゾーン冷却運転及び全体冷却運転)を行うか否かについて決定するものである。
圧縮機駆動処理部523は、圧縮機4bに対して駆動指令、あるいは駆動停止指令を与えて圧縮機4bの駆動処理を行うものである。
ファン駆動処理部524は、下方側庫内送風ファンF1及び上方側庫内送風ファンF2に対して駆動指令、あるいは駆動停止指令を与えて下方側庫内送風ファンF1及び上方側庫内送風ファンF2の駆動処理を行うものである。
以上のような構成を有する自動販売機において、全体冷却運転を行う場合には、制御ユニット52が圧縮機駆動処理部523を通じて圧縮機4bの駆動を維持しながら、ファン駆動処理部524を通じて下方側庫内送風ファンF1及び上方側庫内送風ファンF2を駆動させる。
これにより、商品収容庫2における収納域2aの空気は、上方側開口22から導風路20aに進入し、導風路20aを通過した後に下方側開口21から収納域2aに送出されて商品収納ラック10に収納された商品を通過して循環することになる(図3参照)。つまり、蒸発器4aで冷却された内部空気は、商品収納ラック10を通過して該商品収納ラック10に収納された商品を冷却する。かかる全体冷却運転を行う結果、商品収納ラック10に収納された商品全体が所望の温度状態に冷却される。
このような全体冷却運転を行って保冷運転切換時刻に達すると、自動販売機は全体冷却運転から保冷運転に移行する。
保冷運転を行う場合には、制御ユニット52は、圧縮機駆動処理部523を通じて圧縮機4bを駆動停止にさせるとともに、ファン駆動処理部524を通じて下方側庫内送風ファンF1及び上方側庫内送風ファンF2を駆動停止にさせる。
これにより、商品収容庫2の内部の空気は庫内を循環することもなく、また蒸発器4aにより冷却されることもない。この保冷運転では、商品収納ラック10の下部側商品は、上部側商品により冷却された冷気が下方に流れることで冷却状態を保持されることになる。
このような保冷運転を行ってゾーン冷却運転切換時刻に達すると、自動販売機は保冷運転からゾーン冷却運転に移行する。
ゾーン冷却運転を行う場合には、制御ユニット52には、圧縮機駆動処理部523を通じて圧縮機4bを駆動させるとともに、ファン駆動処理部524を通じて下方側庫内送風ファンF1のみを駆動させる。
これにより、商品収容庫2における収納域2aの空気は、中間開口23から導風路20aに進入し、導風路20aを通過した後に下方側開口21から収納域2aに送出されて商品収納ラック10に収納された商品を通過して循環することになる(図4参照)。つまり、蒸発器4aで冷却された内部空気は、商品収納ラック10の下方部を通過して該商品収納ラック10の下方部に収納された商品を冷却する。かかるゾーン冷却運転を行う結果、商品収納ラック10の下方部に収納された商品が所望の温度状態に冷却される。
図15は、上述したゾーン冷却運転を行っている場合に実施する全体冷却運転時間決定処理の処理内容を示すフローチャートである。
上述したゾーン冷却運転を行っている際に、入力処理部521を通じて自販機制御部100より前週までの曜日毎の商品の売上情報を入力した場合(ステップS301:Yes)、制御ユニット52は、運転決定部522を通じて次回の保冷運転を行う日と同一曜日の売上情報に含まれる販売数を取得する(ステップS302)。かかる売上情報は、該当する商品収容庫2の商品収納ラック10の全体の売上情報であり、販売数も当該商品収納ラック10の全体の販売数であるものとする。
販売数を取得した制御ユニット52は、運転決定部522を通じてメモリ62よりテーブル(運転情報)を読み出す(ステップS303)。ここで読み出されるテーブルは、図16に示すように、販売数と全体冷却運転時間とが関連付けられたものであり、メモリ62に予め記憶されている。このテーブルでは、販売数がd1本以上である場合に全体冷却運転時間はT1(最大時間)とされ、販売数がd2本以上d1本未満である場合に全体冷却運転時間がT1より短いT2とされ、販売数がd3本以上d2本未満である場合に全体冷却運転時間がT2より短いT3とされ、販売数がd3本未満である場合に全体冷却運転時間がT3より短いT4とされているものとする。
テーブルを読み出した制御ユニット52は、運転決定部522を通じて販売数とテーブルとを比較して全体冷却運転時間を算出する(ステップS304)。ここでは販売数がd2本以上d1本未満であったとして全体冷却運転時間としてT2が算出されたものとする。
このように全体冷却運転時間を算出した制御ユニット52は、運転決定部522を通じて全体冷却運転切換時刻を決定する(ステップS305)。全体冷却運転時間がT2と算出した場合には、かかるT2はT1よりも短いので、全体冷却運転時間がT1として予め決められていた全体冷却運転切換時刻(例えば「23:00」とする)よりも後の時刻(例えば「1:00」)に決定する。これによりゾーン冷却運転時間が相対的に延長されることとなる。
かかる全体冷却運転切換時刻を決定した制御ユニット52は、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
このような全体冷却運転時間決定処理によれば、全体冷却運転切換時刻を可変として商品収納ラック10における販売数に応じて全体冷却運転時間を算出するので、冷却負荷に応じて最適な全体冷却運転時間を算出することとなり、全体冷却運転時間が冷却負荷に対して過大なものとなることを抑制して消費電力を低減させることができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態3である自動販売機においては、全体冷却運転を行う場合において、制御ユニット52が下方側庫内送風ファンF1及び上方側庫内送風ファンF2を駆動させることで、商品収容庫2における収納域2aの空気を上方側開口22から導風路20aに進入させて導風路20aを通過した後に下方側開口21から収納域2aに送出させるよう商品収容庫2の内部で循環させることで商品収納ラック10に収納された商品全体を冷却するので、その後に保冷運転に移行しても、次期販売商品を含む商品収納ラック10の下部側商品を、該商品収納ラック10の上部側商品により冷却されて下方に向けて流れる冷気により冷却することができる。特に、最下位の商品を払い出すような本実施の形態3の自動販売機においては、最上位商品を冷熱源として最後まで商品収容庫2の内部に残すことができるため、かかる最上位商品を有効活用して他の商品を冷却することができる。この結果、保冷運転に要する時間の長大化を図ることができる。
また、ゾーン冷却運転を行う場合において、制御ユニット52が下方側庫内送風ファンF1のみを駆動させることで、商品収容庫2における収納域2aの空気を中間開口23から導風路20aに進入させて導風路20aを通過した後に下方側開口21から収納域2aに送出させるよう商品収容庫2の内部で循環させることで、次期販売商品を含む商品収納ラック10の下部側商品を集中的に冷却することができ、これら下部側商品が好適な冷却温度帯から外れてしまうことを防止でき、この結果、販売機会の逸脱を回避することができる。
さらに、保冷運転時に全体冷却運転時間決定処理を実施することにより、冷却負荷に応じて最適な全体冷却運転時間を算出することができ、全体冷却運転時間が冷却負荷に対して過大なものとなることを抑制することができるので、消費電力の低減化を図ることができる。
従って、本実施の形態3である自動販売機によれば、商品の販売機会を逸脱する虞れがなく、保冷運転時間の長大化及び消費電力の低減化を図ることができる。
かかる実施の形態3である自動販売機においても、実施の形態1である自動販売機と同様に、保冷運転を行っている際に上述したリカバリー運転制御処理を行うことができるが、重複した説明となるために割愛する。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されず、種々の変更を行うことができる。
上述した実施の形態においては、全体冷却運転、保冷運転及びゾーン冷却運転を順次行うようにしていたが、本発明においては、ゾーン冷却運転を行わずに、全体冷却運転及び保冷運転を順次行うようにしてもよい。
上述した実施の形態においては、在庫数量情報、外気温度情報及び前週までの曜日毎の売上情報を冷却負荷に関する冷却負荷情報として説明したが、本発明はこれらに限定されるものではないことはいうまでもない。
上述した実施の形態においては、冷却負荷として在庫数量、外気温度及び売上情報の少なくとも1つを例示し、この冷却負荷と全体冷却運転を行う時間とが関連付けられたテーブルを用いて全体冷却運転時間を算出するようにしていたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、冷却運転供給量として全体冷却運転を行う時間を例示したが、本発明においては、全体冷却運転を行う冷却出力量(圧縮機の回転数等)を冷却運転供給量として算出し、算出した冷却出力量にて全体冷却運転を行うようにしても構わない。これによっても、上述した実施の形態が奏する作用効果と同様の作用効果を発揮することができる。
上述した実施の形態においては、在庫数量情報、外気温度情報及び前週までの曜日毎の売上情報のいずれかを冷却負荷に関する情報として全体冷却運転時間決定処理を行っていたが、本発明においては、これら在庫数量情報、外気温度情報及び前週までの曜日毎の売上情報をすべて用いて全体冷却運転時間決定処理を行うようにしてもよい。
上述した実施の形態においては、全体冷却運転時間決定処理に用いられるテーブル(運転情報)は、メモリ60,61,62に予め記憶されるものとして説明したが、本発明においては、かかるテーブル、すなわち運転情報のパラメータは、全体冷却運転、保冷運転及びゾーン冷却運転が行われている場合の実績に応じて更新可能なものであっても構わない。この場合、更新後の情報がメモリに記憶されることとなる。
上述した実施の形態においては、リカバリー運転制御処理に用いられる基準テーブル(運転基準情報)は、メモリ60に予め記憶されるものとして説明したが、本発明においては、かかる基準テーブル、すなわち運転基準情報のパラメータは、各種運転が行われている最中の実績に応じて更新可能なものであっても構わない。この場合、更新後の情報がメモリに記憶されることとなる。
上述した実施の形態においては、ゾーン冷却運転から全体冷却運転への切換タイミングの一例として切換時刻を例示したが、本発明においては、これに限定されずに所定のセンサやスイッチ等による検知等から導かれる時機を切換タイミングとしてゾーン冷却運転から全体冷却運転に切り換えるようにしても構わない。
上述した実施の形態においては、下方側庫内送風ファンF1が下方側開口21の前方に設けられ、かつ上方側庫内送風ファンF2が上方側開口22の前方に設けられていたが、本発明においては、循環手段としての機能を発揮することができるのであれば、下方側庫内送風ファン及び上方側庫内送風ファンの配設個所は特に限定されない。
上述した実施の形態においては、全体冷却運転を行う場合において、商品収容庫2における収納域2aの空気が、上方側開口22から導風路20aに進入し、導風路20aを通過した後に下方側開口21から収納域2aに送出されるよう循環していたが、本発明においては、商品収容庫における収納域の空気が、下方側開口から導風路に進入し、導風路を通過した後に上方側開口から収納域に送出されるよう循環していてもよい。
上述した実施の形態においては、ゾーン冷却運転を行う場合において、商品収容庫2における収納域2aの空気が、中間開口23から導風路20aに進入し、導風路20aを通過した後に下方側開口21から収納域2aに送出されるよう循環していたが、本発明においては、商品収容庫における収納域の空気が、下方側開口から導風路に進入し、導風路を通過した後に中間開口から収納域に送出されるよう循環していてもよい。
上述した実施の形態においては、商品収容庫2に上下方向に沿って配設されたダクトとして背面ダクト20を例示したが、本発明におけるダクトは、かかる背面ダクトに限られず、商品収納装置(商品収納ラック)の側方に上下方向に沿って配設される側面ダクトであっても構わない。
上述した実施の形態においては、冷却手段である蒸発器4aが下方側庫内送風ファンF1の前方側に配設してあったが、本発明においては、冷却手段の配設個所は特に限定されるものではなく、商品収容庫の内部空気を良好に冷却することができればどのような個所であっても構わない。
上述した実施の形態においては、保冷運転時におけるリカバリーゾーン冷却運転及びリカバリー全体冷却運転について1つの商品収容庫2に対して説明したが、本発明においては、複数の商品収容庫が並設された自動販売機に適用される場合、いずれかの商品収容庫でリカバリーゾーン冷却運転及びリカバリー全体冷却運転が行われる場合、他の商品収容庫においてもリカバリーゾーン冷却運転及びリカバリー全体冷却運転が行われるようにしてもよい。
また、本発明では、下方側庫内送風ファン及び上方側庫内送風ファンは正逆回転駆動するようなものであってもよいし、下方側庫内送風ファンの送風量と上方側庫内送風ファンの送風量とが異なるように下方側庫内送風ファン及び上方側庫内送風ファンのいずれか一方を間欠駆動等させてもよい。