以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の制御装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態である制御装置が適用された自動販売機の内部構造を正面から見た場合を示す断面図である。ここで例示する自動販売機は、本体キャビネット1を備えている。
本体キャビネット1は、前面が開口した直方状の形態を成すものである。この本体キャビネット1には、その内部に例えば2つの断熱仕切板2によって仕切られた3つの独立した商品収容庫3が左右に並んだ態様で設けてある。この商品収容庫3は、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を所望の温度に維持した状態で収容するためのもので、断熱構造を有している。
図2は、図1に示した自動販売機の内部構造を示すものであり、右側の商品収容庫3の断面側面図である。尚、ここでは右側の商品収容庫3(以下、適宜右庫3aとも称する)の内部構造について示すが、中央の商品収容庫3(以下、適宜中庫3bとも称する)及び左側の商品収容庫3(以下、適宜左庫3cとも称する)の内部構造も右庫3aと略同じような構成であり、これら中庫3b及び左庫3cの内部構造についても右庫3aの内部構造と同じ符号を用いて説明する。尚、本明細書における右側とは、自動販売機を正面から見た場合の右方を示し、左側とは、自動販売機を正面から見た場合の左方を示す。
かかる図2に示すように、本体キャビネット1の前面には、外扉4及び内扉5が設けてある。外扉4は、本体キャビネット1の前面開口を開閉するためのものであり、内扉5は、商品収容庫3の前面を開閉するためのものである。この内扉5は、上下に分割してあり、上側の扉5aは商品を補充する際に開閉するものである。
上記商品収容庫3には、商品収納ラック6、搬出機構7及び搬出シュータ8が設けてある。商品収納ラック6は、商品を上下方向に沿って並ぶ態様で収納するためのものである。搬出機構7は、商品収納ラック6の下部に設けてあり、この商品収納ラック6に収納された商品群の最下位にある商品を1つずつ搬出するためのものである。搬出シュータ8は、搬出機構7から搬出された商品を外扉4に設けられた商品取出口4aに導くためのものである。
図3は、図1及び図2に示した自動販売機に適用された冷媒回路を概念的に示す概念図である。ここで例示する冷媒回路10は、主経路20、分岐経路30、放熱経路40及び戻経路50から成り、内部に冷媒が封入されている。
主経路20は、圧縮機21、庫外熱交換器22、第1キャピラリーチューブ23及び庫内熱交換器24を冷媒配管25にて順次接続して構成してある。
圧縮機21は、図2にも示すように機械室9に配設してある。機械室9は、本体キャビネット1の内部であって商品収容庫3と区画され、かつ商品収容庫3の下方側の室である。この圧縮機21は、吸引口を通じて冷媒を吸引し、吸引した冷媒を圧縮して高温高圧の状態(高温高圧冷媒)にして吐出口より吐出するものである。
庫外熱交換器22は、図2にも示すように圧縮機21と同様に機械室9に配設してある。この庫外熱交換器22は、通過する冷媒を凝縮させるものである。より詳細に説明すると、圧縮機21で圧縮され、かつ吐出口から吐出されて冷媒配管25を通じて送出された冷媒を周囲空気と熱交換させて凝縮させるものである。
この庫外熱交換器22と圧縮機21とを接続する冷媒配管25には、高圧側電磁弁261が設けてある。かかる高圧側電磁弁261は、開閉可能な弁体であり、後述する制御手段70から開指令が与えられた場合には開成して冷媒の通過を許容する一方、閉指令が与えられた場合には閉成して冷媒の通過を規制するものである。
第1キャピラリーチューブ23は、図2にも示すように圧縮機21及び庫外熱交換器22と同様に機械室9に配設してある。この第1キャピラリーチューブ23は、通過する冷媒を減圧して断熱膨張させるものである。
庫内熱交換器24は、複数(図示の例では3つ)設けてあり、各商品収容庫3の内部低域であって、背面ダクトD(図2参照)の前面側に配設してある。これら庫内熱交換器24と第1キャピラリーチューブ23とを接続する冷媒配管25は、その途中に配設された分配器27により3つに分岐され、右庫3aに配設された庫内熱交換器24(以下、右庫内熱交換器24aとも称する)の入口側に、中庫3bに配設された庫内熱交換器24(以下、中庫内熱交換器24bとも称する)の入口側に、左庫3cの内部に配設された庫内熱交換器24(以下、左庫内熱交換器24cとも称する)の入口側にそれぞれ接続してある。
また、この冷媒配管25においては、分配器27から右庫内熱交換器24a、中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cのそれぞれに至る途中に低圧側電磁弁262,263,264が設けてある。低圧側電磁弁262,263,264は、開閉可能な弁体であり、制御手段70から開指令が与えられた場合には開成して冷媒の通過を許容する一方、閉指令が与えられた場合には閉成して冷媒の通過を規制するものである。
中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cの出口側に接続された冷媒配管25は、途中の第1合流点P1で合流し、更に右庫内熱交換器24aの出口側に接続された冷媒配管25は、第2合流点P2で合流し、アキュムレータ28を介して圧縮機21に接続している。ここでアキュムレータ28は、通過する冷媒が気液混合冷媒である場合に、液相冷媒を貯留して気相冷媒を通過させるためのものである。
中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cの出口側に接続された冷媒配管25には、それぞれ第1合流点P1の上流側に帰還用電磁弁265,266が配設してある。かかる帰還用電磁弁265,266は、開閉可能な弁体であり、制御手段70から開指令が与えられた場合には開成して冷媒の通過を許容する一方、閉指令が与えられた場合には閉成して冷媒の通過を規制するものである。
分岐経路30は、圧縮機21と高圧側電磁弁261との経路の途中の高圧側分岐点P3から分岐し、その途中でさらに分岐して、一方が中庫内熱交換器24bの入口側の冷媒配管25に、他方が左庫内熱交換器24cの入口側の冷媒配管25にそれぞれ合流する分岐配管31により構成されたものである。この分岐経路30は、圧縮機21で圧縮された冷媒(高圧冷媒)を導入する経路である。ここで、中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cの入口側の冷媒配管25においては、各分岐配管31(各分岐経路30)との合流個所よりも上流側の経路、すなわち各合流個所とその上流にある低圧側電磁弁263,264との間の経路には、逆止弁267,268が設けてある。
かかる分岐経路30においては、分岐個所の下流側にそれぞれ分岐電磁弁321,322が設けてある。分岐電磁弁321,322は、開閉可能な弁体であり、制御手段70から開指令が与えられた場合には開成して冷媒の通過を許容する一方、閉指令が与えられた場合には閉成して冷媒の通過を規制するものである。
つまり、中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cは、分岐経路30を通じて圧縮機21で圧縮された冷媒が供給された場合には、通過する冷媒を凝縮させて対象となる商品収容庫3(中庫3b、左庫3c)の内部空気を加熱するものである。
放熱経路40は、中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cの出口側に接続された冷媒配管25のそれぞれの途中で分岐され、第3合流点P4で合流し、庫外熱交換器22に隣接する態様で配設された加熱側熱交換器41の入口側に接続された放熱配管42により構成されたものである。この放熱経路40は、中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cの少なくとも一方で凝縮した冷媒を加熱側熱交換器41に供給するためのものである。かかる放熱経路40により冷媒が供給された加熱側熱交換器41では、該冷媒と周囲空気との間で熱交換が行われ、該冷媒が放熱する。すなわち、放熱経路40は、庫内熱交換器24で凝縮した冷媒を導入して加熱側熱交換器41に供給し、該加熱側熱交換器41にて該冷媒を周囲空気と熱交換させて放熱させるものである。
このような放熱経路40を構成する放熱配管42の途中、すなわち中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cの出口側に接続された冷媒配管25との分岐点から第3合流点P4に至る途中に、それぞれ逆止弁431,432が設けてある。
戻経路50は、加熱側熱交換器41の出口側に接続され、かつ主経路20を構成する冷媒配管25、すなわち第1キャピラリーチューブ23と分配器27との間の冷媒配管25の第4合流点P5に接続する戻配管51により構成された経路である。
この戻経路50を構成する戻配管51の途中には第2キャピラリーチューブ52が設けてある。この第2キャピラリーチューブ52は、通過する冷媒を減圧して断熱膨張させるものである。
上記冷媒回路10においては、3つのストレーナ、すなわち第1ストレーナS1、第2ストレーナS2及び第3ストレーナS3が配設してある。第1ストレーナS1は、主経路20における庫外熱交換器22と第1キャピラリーチューブ23との間の冷媒配管25に配設してある。かかる第1ストレーナS1は、水分除去を行うための乾燥剤を有しているとともに、異物除去を行うためのフィルタを有しており、該冷媒配管25を通過する冷媒の水分除去及び異物除去を行う除去部材である。
第2ストレーナS2は、戻経路50における戻配管51、すなわち加熱側熱交換器41と第2キャピラリーチューブ52との間の戻配管51に配設してある。かかる第2ストレーナS2は、異物除去を行うためのフィルタを有しており、該冷媒配管25を通過する冷媒の異物除去のみを行う異物除去部材である。
第3ストレーナS3は、主経路20における圧縮機21の吐出口側の冷媒配管25に配設してある。かかる第3ストレーナS3は、異物除去を行うためのフィルタを有しており、該冷媒配管25を通過する冷媒の異物除去を行う異物除去部材である。尚、本実施の形態では、圧縮機21の吐出口側に接続された冷媒配管25にも第3ストレーナS3を配設してあるが、かかるストレーナは必須ではなく、冷却加熱装置の適用条件等に応じて適宜設置すればよい。
図4は、図1〜図3に示した自動販売機の特徴的な制御系を模式的に示すブロック図である。この図4に示すように、自動販売機は、上述した搬出機構7、圧縮機21、各電磁弁261〜266,321,322の他、庫内温度センサ60、一体表示器61、選択ボタン62、売切ランプ63、準備中ランプ64、貨幣処理装置65、入力手段66及び制御手段70を備えている。
庫内温度センサ60は、各商品収容庫3の内部に個別に配設してあり、自身が配設された商品収容庫3の庫内温度を検出する検出手段である。この庫内温度センサ60で検出された庫内温度に関する情報は、温度信号として制御手段70に与えられる。
一体表示器61は、自動販売機の前面、すなわち外扉4の前面に設けてあり、投入金額や釣銭金額等、商品を購入する場合に必要となるデータを表示するためのもので、例えば液晶表示器によって構成してある。
選択ボタン62は、自動販売機の前面、すなわち外扉4の前面に設けてあり、利用者が購入商品を選択するためのもので、商品見本(図示せず)とともに配設してある。個々の選択ボタン62は、利用者によって押圧操作された場合にそれぞれの出力信号を制御手段70に対して出力する。
売切ランプ63は、利用者に対して商品が販売可能であるか否かを表示するためのもので、個々の選択ボタン62に対応して設けてある。準備中ランプ64は、利用者に対して商品が販売可能な状態にないことを表示するためのもので、売切ランプ63と同様に個々の選択ボタン62に対応して設けてある。
貨幣処理装置65は、コインメカニズムやビルバリデータと称されるものであり、利用者によって貨幣が投入された場合にこれを鑑別し、その鑑別結果を制御手段70に出力するものである。
入力手段66は、例えばリモコン等のような各種設定入力を行うためのものであり、各種機能キーやテンキー等の入力部661と、液晶表示器等の表示部662とを備えて構成してある。入力部661が操作された場合には、その出力信号が制御手段70に出力される。
制御手段70は、貨幣処理装置65、選択ボタン62、入力手段66から出力信号が与えられた場合、予めメモリ80に格納したプログラムやデータに従って搬出機構7、圧縮機21、各電磁弁261〜266,321,322、一体表示器61、売切ランプ63、準備中ランプ64、入力手段66の動作を制御するもので、入力制御部71、出力制御部72、販売動作制御部73及び冷却・加熱動作制御部74を有している。
ここでメモリ80には、種々の情報が記憶されており、本発明の特徴的なものとしては、冷却温度情報及び加熱温度情報が記憶されている。
冷却温度情報は、冷却対象となる商品収容庫(冷却庫)3の通常運転時に目標とする冷却温度範囲を定めるためのものであり、上限値としての冷却オン温度(本実施の形態では4℃とする)、並びに下限値としての冷却オフ温度(本実施の形態では−2℃とする)を含むものである。加熱温度情報は、加熱対象となる商品収容庫(加熱庫)3の通常運転時に目標とする加熱目標温度を定めるためのものであり、上限値としての加熱オフ温度(本実施の形態では65℃とする)、並びに下限値としての加熱オン温度(本実施の形態では53℃とする)を含むものである。
入力制御部71は、入力手段66の入力部661が操作された場合にそれぞれの入力操作に対応する指令を各部に与えるものである。また、入力制御部71は、入力手段66の入力部661が操作されることにより省エネ運転時間が入力された場合には、かかる省エネ時間をメモリ80に記憶させて設定するとともに各部に与えるものである。
更に、入力制御部71は、入力手段66の入力部661が操作されることにより冷却調整温度及び加熱調整温度が入力された場合には、下記条件式(1)〜(4)を用いて冷却調整上限温度、冷却調整下限温度、加熱調整下限温度及び加熱調整上限温度を算出し、算出した各温度をメモリ80に記憶させて設定するものである。尚、下記条件式(1)〜(4)は適用される自動販売機毎に実験的に求められるものである。
条件式(1)
冷却調整上限温度(℃)=冷却調整温度+2+(冷却オン温度−5)
条件式(2)
冷却調整下限温度(℃)=冷却調整温度−2+(冷却オフ温度−1)
条件式(3)
加熱調整下限温度(℃)=加熱調整温度−3+(加熱オン温度−56)
条件式(4)
加熱調整上限温度(℃)=加熱調整温度+3+(加熱オフ温度−62)
出力制御部72は、表示指令が与えられた場合に一体表示器61若しくは入力手段66の表示部662を通じて所望の表示を行うものである。
販売動作制御部73は、商品の販売に関わる処理を統括的に制御するものである。具体的には、貨幣処理装置65に貨幣が投入された場合、投入貨幣が販売価格以上となった時点で該当する選択ボタン62を有効化する。有効化した選択ボタン62が押圧操作された場合、販売動作制御部73は、対応する商品収納ラック6に設けられた搬出機構7を動作させて商品を一つ払い出す動作を行うものである。
また、販売動作制御部73は、図示せぬ売切センサを通じて商品収納ラック6の商品を監視し、商品無しを検出した場合、対応する売切ランプ63を点灯して売切状態であることを報知する処理を行うものである。
更に、販売動作制御部73は、商品収容庫3の庫内温度が販売温度に達していない場合には、対応する準備中ランプ64を点灯して商品が販売可能な状態でないことを報知する処理を行うものである。
冷却・加熱動作制御部74は、圧縮機21の駆動、並びに各電磁弁261〜266,321,322の開閉動作を制御するものである。
以上のような構成を有する自動販売機の動作について説明する。ここでは圧縮機21を駆動させて商品収容庫3に収容された商品を冷却、あるいは加熱する場合について説明する。
まず、CCC運転(すべての商品収容庫3の内部空気を冷却する運転)を行う場合について説明する。この場合、入力手段66を通じてCCC運転を行う旨の指令が与えられた制御手段70(冷却・加熱動作制御部74)は、分岐電磁弁321,322を閉成させ、高圧側電磁弁261、低圧側電磁弁262,263,264及び帰還用電磁弁265,266を開成させる。これにより圧縮機21で圧縮された冷媒は、図5に示すように循環する。
すなわち、圧縮機21で圧縮された冷媒は、開成する高圧側電磁弁261を通過して庫外熱交換器22に至る。庫外熱交換器22に至った冷媒は、該庫外熱交換器22を通過中に、周囲空気(外気)に放熱して凝縮する。庫外熱交換器22で凝縮した冷媒は、第1ストレーナS1を通過して、水分及び異物が除去され、その後に第1キャピラリーチューブ23で断熱膨張する。
第1キャピラリーチューブ23で断熱膨張して気化した冷媒は、分配器27で3つに分岐され、右庫内熱交換器24a、中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cに至り、各庫内熱交換器24で蒸発して商品収容庫3の内部空気から熱を奪い、該内部空気を冷却する。冷却された内部空気は、各庫内送風ファンF1(図2参照)の駆動により内部を循環し、これにより各商品収容庫3に収容された商品は、循環する内部空気に冷却される。各庫内熱交換器24で蒸発した冷媒は、アキュムレータ28にて気液分離された後、気相部分が圧縮機21に吸引され、圧縮機21に圧縮されて上述した循環を繰り返す。
次にHCC運転(左庫3cの内部空気を加熱し、かつ中庫3b及び右庫3aの内部空気を冷却する運転)を行う場合について説明する。この場合、入力手段66を通じてHCC運転を行う旨の指令が与えられた制御手段70(冷却・加熱動作制御部74)は、高圧側電磁弁261、低圧側電磁弁264、帰還用電磁弁266、分岐電磁弁321を閉成させ、低圧側電磁弁262,263、分岐電磁弁322及び帰還用電磁弁265を開成させる。これにより圧縮機21で圧縮された冷媒は、図6に示すように循環する。
すなわち、圧縮機21で圧縮された冷媒は、分岐経路30を通過して左庫内熱交換器24cに至る。左庫内熱交換器24cに至った冷媒は、該熱交換器を通過中に、左庫3cの内部空気と熱交換し、該内部空気に放熱して凝縮する。これにより、左庫3cの内部空気を加熱する。加熱された内部空気は、庫内送風ファンF1(図2参照)の駆動により、左庫3cのそれぞれの内部を循環し、これにより左庫3cに収容された商品は、循環する内部空気に加熱される。
左庫内熱交換器24cで凝縮した冷媒は、放熱経路40を構成する放熱配管42を通過して加熱側熱交換器41に至り、該加熱側熱交換器41で周囲空気に放熱する。加熱側熱交換器41で放熱した冷媒は、第2ストレーナS2を通過して異物が除去され、その後に第2キャピラリーチューブ52で断熱膨張する。
第2キャピラリーチューブ52で断熱膨張して気化した冷媒は、分配器27を経由して開成する低圧側電磁弁262,263を通過して中庫内熱交換器24b及び右庫内熱交換器24aに至り、これら中庫内熱交換器24b及び右庫内熱交換器24aで蒸発して中庫3b及び右庫3aのそれぞれの内部空気から熱を奪い、該内部空気を冷却する。冷却された内部空気は、庫内送風ファンF1(図2参照)の駆動により中庫3b及び右庫3aのそれぞれの内部を循環し、これにより中庫3b及び右庫3aに収容された商品は冷却される。中庫内熱交換器24b及び右庫内熱交換器24aのそれぞれで蒸発した冷媒は、アキュムレータ28にて気液分離された後、気相部分が圧縮機21に吸引され、圧縮機21に圧縮されて上述した循環を繰り返す。このように冷媒回路10は、ヒートポンプとしての機能を有している。そのため冷媒回路10(圧縮機21)は、本体キャビネット1の商品収容庫3に収容された商品を冷却する冷却手段及び該商品を加熱する加熱手段の双方を構成するものである。
このような自動販売機においては、通常運転時に次のような冷却運転制御及び加熱運転制御を行う。尚、ここではHCC運転が行われている場合を例に説明する。
図7は、通常運転時において制御手段が実行する冷却運転制御の処理内容を示すフローチャートであり、図8は、通常運転時において制御手段が実行する加熱運転制御の処理内容を示すフローチャートである。
図7に示す冷却運転制御において、制御手段70は、圧縮機21が駆動している場合(ステップS101:Yes)において、庫内温度センサ60から冷却庫3(右庫3a及び中庫3b)の庫内温度(冷却庫内温度)が入力されると(ステップS102:Yes)、冷却庫内温度がメモリ80から読み出した冷却温度範囲の下限値である冷却オフ温度以下であるか否かを判断する(ステップS103)。
冷却庫内温度が冷却オフ温度以下となる場合(ステップS103:Yes)、制御手段70は圧縮機21を駆動停止させ(ステップS104)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
このように圧縮機21の駆動を停止させることにより、冷却庫3(右庫3a及び中庫3b)の庫内温度は上昇する方向に推移することになる。
一方、冷却庫内温度が冷却オフ温度を上回る場合(ステップS103:No)、制御手段70は、圧縮機21の駆動を維持して手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これによれば、冷却庫3(右庫3a及び中庫3b)の庫内温度は下降する方向に推移する。
制御手段70は、圧縮機21が駆動停止している場合(ステップS101:No)において、庫内温度センサ60から冷却庫3(右庫3a及び中庫3b)の庫内温度(冷却庫内温度)が入力されると(ステップS105:Yes)、冷却庫内温度がメモリ80から読み出した冷却温度範囲の上限値である冷却オン温度以上であるか否かを判断する(ステップS106)。
冷却庫内温度が冷却オン温度以上となる場合(ステップS106:Yes)、制御手段70は圧縮機21を駆動させ(ステップS107)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
このように圧縮機21を駆動させることにより、冷却庫3(右庫3a及び中庫3b)の庫内温度は下降する方向に推移することになる。
一方、冷却庫内温度が冷却オン温度を下回る場合(ステップS106:No)、制御手段70は、圧縮機21の駆動停止を維持して手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これによれば、冷却庫3(右庫3a及び中庫3b)の庫内温度は上昇する方向に推移する。
このような冷却運転制御を実施することにより、冷却庫3(右庫3a及び中庫3b)の庫内温度(冷却庫内温度)を所望の冷却温度範囲に調整することができる。
図8に示す加熱運転制御において、制御手段70は、圧縮機21が駆動している場合(ステップS111:Yes)において、庫内温度センサ60から加熱庫3(左庫3c)の庫内温度(加熱庫内温度)が入力されると(ステップS112:Yes)、加熱庫内温度がメモリ80から読み出した加熱温度範囲の上限値である加熱オフ温度以上であるか否かを判断する(ステップS113)。
加熱庫内温度が加熱オフ温度以上となる場合(ステップS113:Yes)、制御手段70は圧縮機21を駆動停止させ(ステップS114)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
このように圧縮機21の駆動を停止させることにより、加熱庫3(左庫3c)の庫内温度は下降する方向に推移することになる。
一方、加熱庫内温度が加熱オフ温度を下回る場合(ステップS113:No)、制御手段70は、圧縮機21の駆動を維持して手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これによれば、加熱庫3(左庫3c)の庫内温度は上昇する方向に推移する。
制御手段70は、圧縮機21が駆動停止している場合(ステップS111:No)において、庫内温度センサ60から加熱庫3(左庫3c)の庫内温度(加熱庫内温度)が入力されると(ステップS115:Yes)、加熱庫内温度がメモリ80から読み出した加熱温度範囲の下限値である加熱オン温度以下であるか否かを判断する(ステップS116)。
加熱庫内温度が加熱オン温度以下となる場合(ステップS116:Yes)、制御手段70は圧縮機21を駆動させ(ステップS117)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
このように圧縮機21を駆動させることにより、加熱庫3(左庫3c)の庫内温度は上昇する方向に推移することになる。
一方、加熱庫内温度が加熱オン温度を上回る場合(ステップS116:No)、制御手段70は、圧縮機21の駆動停止を維持して手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これによれば、加熱庫3(左中庫3b)の庫内温度は下降する方向に推移する。
このような加熱運転制御を実施することにより、加熱庫3(左庫3c)の庫内温度(加熱庫内温度)を所望の加熱温度範囲に調整することができる。
このような自動販売機においては、次のようにして省エネ運転時間や、省エネ運転時における冷却調整温度範囲及び加熱調整温度範囲を設定する。
省エネ運転時間は、入力手段66の入力部661を操作されて所定の時間帯(例えば22時から5時までの時間帯)が省エネ運転時間として入力されることにより、制御手段70の入力制御部71がメモリ80に記憶させることで設定される。
また、入力手段66の入力部661が操作されることにより冷却調整温度及び加熱調整温度が入力されると、制御手段70の入力制御部71は、上記条件式(1)〜(4)を用いて冷却調整上限温度、冷却調整下限温度、加熱調整下限温度及び加熱調整上限温度を算出し、算出した各温度をメモリ80に記憶させることにより冷却調整温度範囲及び加熱調整温度範囲が設定される。
より具体的に説明すると、入力手段66を通じて入力された冷却調整温度が例えば20℃、加熱調整温度が40℃である場合、冷却調整温度範囲及び加熱調整温度範囲は次のように設定される。すなわち、冷却調整上限温度は、条件式(1)に当てはめると20+2+(4−5)となり、21(℃)と算出され、冷却調整下限温度は、条件式(2)に当てはめると20ー2+(−2−1)となり、15℃と算出され、加熱調整下限温度は、条件式(3)に当てはめると40−3+(53−56)となり、34℃と算出され、加熱調整上限温度は、条件式(4)に当てはめると40+3+(65−62)となり、46℃と算出される。そして、入力制御部71がこれら各温度をメモリ80に記憶させることで、冷却調整温度範囲(15℃以上21℃以下の範囲)及び加熱調整温度範囲(34℃以上46℃以下の範囲)が設定される。つまり、冷却調整上限温度及び冷却調整下限温度は冷却オン温度よりも高く、加熱調整下限温度及び加熱調整上限温度は加熱オン温度よりも低い。
このようにして設定された省エネ運転時間は、次のような省エネ運転処理に用いられる。図9は、図4に示した制御手段が実行する省エネ運転処理の処理内容を示すフローチャートである。尚、ここでは上記HCC運転が行われている場合の処理内容について示している。
この省エネ運転処理において制御手段70は、内蔵する時計機能を利用して現在時刻が省エネ運転開始時刻(例えば22時)を経過した場合(ステップS201:Yes)、販売動作制御部73を通じて商品の販売を停止させ、省エネ運転状態になる(ステップS202,ステップS203)。このように商品の販売を停止させる具体的な手段としては、販売動作制御部73が、売切ランプ63若しくは準備中ランプ64を点灯させるとともに選択ボタン62を無効化し、貨幣処理装置65の貨幣の受け付けを停止させる。
省エネ運転状態においては、制御手段70は次のような低レベル冷却運転制御及び低レベル加熱運転制御を行う。尚、ここではHCC運転が行われている場合を例に説明する。
図10は、省エネ運転状態において制御手段が実行する低レベル冷却運転制御の処理内容を示すフローチャートであり、図11は、省エネ運転状態において制御手段が実行する低レベル加熱運転制御の処理内容を示すフローチャートである。
図10に示す低レベル冷却運転制御において、制御手段70は、圧縮機21が駆動している場合(ステップS301:Yes)において、庫内温度センサ60から冷却庫3(右庫3a及び中庫3b)の庫内温度(冷却庫内温度)が入力されると(ステップS302:Yes)、冷却庫内温度がメモリ80から読み出した冷却調整温度範囲の下限値である冷却調整下限温度以下であるか否かを判断する(ステップS303)。
冷却庫内温度が冷却調整下限温度以下となる場合(ステップS303:Yes)、制御手段70は圧縮機21を駆動停止させ(ステップS304)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
このように圧縮機21の駆動を停止させることにより、冷却庫3(右庫3a及び中庫3b)の庫内温度は上昇する方向に推移することになる。
一方、冷却庫内温度が冷却調整下限温度を上回る場合(ステップS303:No)、制御手段70は、圧縮機21の駆動を維持して手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これによれば、冷却庫3(右庫3a及び中庫3b)の庫内温度は下降する方向に推移する。
制御手段70は、圧縮機21が駆動停止している場合(ステップS301:No)において、庫内温度センサ60から冷却庫3(右庫3a及び中庫3b)の庫内温度(冷却庫内温度)が入力されると(ステップS305:Yes)、冷却庫内温度がメモリ80から読み出した冷却調整温度範囲の上限値である冷却調整上限温度以上であるか否かを判断する(ステップS306)。
冷却庫内温度が冷却調整上限温度以上となる場合(ステップS306:Yes)、制御手段70は圧縮機21を駆動させ(ステップS307)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
このように圧縮機21を駆動させることにより、冷却庫3(右庫3a及び中庫3b)の庫内温度は下降する方向に推移することになる。
一方、冷却庫内温度が冷却調整上限温度を下回る場合(ステップS306:No)、制御手段70は、圧縮機21の駆動停止を維持して手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これによれば、冷却庫3(右庫3a及び中庫3b)の庫内温度は上昇する方向に推移する。
このような低レベル冷却運転制御を実施することにより、冷却庫3(右庫3a及び中庫3b)の庫内温度(冷却庫内温度)を所望の冷却調整温度範囲、すなわち冷却温度範囲よりも高い所望の温度範囲に調整することができる。
図11に示す低レベル加熱運転制御において、制御手段70は、圧縮機21が駆動している場合(ステップS311:Yes)において、庫内温度センサ60から加熱庫3(左庫3c)の庫内温度(加熱庫内温度)が入力されると(ステップS312:Yes)、加熱庫内温度がメモリ80から読み出した加熱調整温度範囲の上限値である加熱調整上限温度以上であるか否かを判断する(ステップS313)。
加熱庫内温度が加熱オフ温度以上となる場合(ステップS313:Yes)、制御手段70は圧縮機21を駆動停止させ(ステップS314)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
このように圧縮機21の駆動を停止させることにより、加熱庫3(左庫3c)の庫内温度は下降する方向に推移することになる。
一方、加熱庫内温度が加熱オフ温度を下回る場合(ステップS313:No)、制御手段70は、圧縮機21の駆動を維持して手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これによれば、加熱庫3(左庫3c)の庫内温度は上昇する方向に推移する。
制御手段70は、圧縮機21が駆動停止している場合(ステップS311:No)において、庫内温度センサ60から加熱庫3(左庫3c)の庫内温度(加熱庫内温度)が入力されると(ステップS315:Yes)、加熱庫内温度がメモリ80から読み出した加熱調整温度範囲の下限値である加熱調整下限温度以下であるか否かを判断する(ステップS316)。
加熱庫内温度が加熱調整下限温度以下となる場合(ステップS316:Yes)、制御手段70は圧縮機21を駆動させ(ステップS317)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
このように圧縮機21を駆動させることにより、加熱庫3(左庫3c)の庫内温度は上昇する方向に推移することになる。
一方、加熱庫内温度が加熱調整下限温度を上回る場合(ステップS316:No)、制御手段70は、圧縮機21の駆動停止を維持して手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これによれば、加熱庫3(左中庫3b)の庫内温度は下降する方向に推移する。
このような低レベル加熱運転制御を実施することにより、加熱庫3(左庫3c)の庫内温度(加熱庫内温度)を所望の加熱調整温度範囲、すなわち加熱温度範囲よりも低い所望の温度範囲に調整することができる。
上述したステップS203の後、内蔵する時計機能を利用して現在時刻が省エネ運転終了時刻(例えば5時)を経過した場合(ステップS204:Yes)、制御手段70は、冷却・加熱動作制御部74を通じて圧縮機21を100%の出力で全力駆動させる(ステップS205)。このように圧縮機21を全力駆動させると、冷媒が冷媒回路10を循環し(図6参照)、冷却庫3(右庫3a及び中庫3b)の庫内温度は下降する方向に推移し、加熱庫3(左庫3c)の庫内温度は上昇する方向に推移する。庫内温度センサ60から各商品収容庫3の庫内温度の検出結果を入力し(ステップS206)、冷却庫3(右庫3a及び中庫3b)のそれぞれの庫内温度がメモリ80から読み出した冷却温度情報の冷却オフ温度以下となり、かつ加熱庫3(左庫3c)の庫内温度がメモリ80から読み出した加熱温度情報の加熱オフ温度以上となる場合(ステップS207:Yes,ステップS208:Yes)、制御手段70は、販売動作制御部73を通じて売切ランプ63若しくは準備中ランプ64を消灯させるとともに選択ボタン62を有効化し、更に貨幣処理装置65に貨幣の受け付けを可能にさせて、商品販売可能状態にさせ(ステップS209)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
つまり、制御手段70は、低レベル冷却運転制御及び低レベル加熱運転制御を行う省エネ運転時間が経過した場合においても、商品収容庫3の庫内温度が予め設定されたオフ温度に達するまで商品の販売停止を継続させている。
以上説明したように本発明の実施の形態である自動販売機の制御装置によれば、制御手段70が、設定された省エネ時間においては、冷却庫3の庫内温度が冷却調整上限温度以上となる場合には、圧縮機21を駆動させる一方、庫内温度が冷却調整下限温度以下となる場合には、圧縮機21の駆動を停止させる低レベル冷却運転制御を行うので、冷却庫3(右庫3a及び中庫3b)の庫内温度を所望の冷却調整温度範囲に調整することができ、商品の品温を好ましい範囲に維持することができ、しかも消費電力を低減させることができる。従って、消費電力の低減化を図りながら商品の品質劣化を防止することができる。
また、省エネ運転時間に冷却庫3(右庫3a及び中庫3b)の庫内温度を冷却調整温度範囲に調整することで、従来のように電力の供給を遮断するのに対して、省エネ運転時間経過後に該庫内温度を冷却温度範囲に低下させる時間の短縮化を図ることができる。
また、上記自動販売機の制御装置によれば、制御手段70が、設定された省エネ時間においては、加熱庫3の庫内温度が加熱調整下限温度以下となる場合には、圧縮機21を駆動させる一方、庫内温度が加熱調整上限温度以上となる場合には、圧縮機21の駆動を停止させる低レベル加熱運転制御を行うので、加熱庫3(左庫3c)の庫内温度を所望の加熱調整温度範囲に調整することができ、商品の品温を好ましい範囲に維持することができ、しかも消費電力を低減させることができる。従って、消費電力の低減化を図りながら商品の品質劣化を防止することができる。
また、省エネ運転時間に加熱庫3(左庫3c)の庫内温度を加熱調整温度範囲に調整することで、従来のように電力の供給を遮断するのに対して、省エネ運転時間経過後に該庫内温度を加熱温度範囲に上昇させる時間の短縮化を図ることができる。
更に、上記自動販売機の制御装置によれば、制御手段70が、入力手段66を通じて冷却調整温度及び加熱調整温度が入力された場合に、予め設定された条件式(1)〜(4)により冷却調整上限温度、冷却調整下限温度、加熱調整下限温度及び加熱調整上限温度を算出して低レベル冷却運転制御及び低レベル加熱運転制御を行うので、利用者は冷却調整温度等を入力するだけでよく利便性の向上を図ることができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。以下に変形例について説明する。
上述した実施の形態である自動販売機の制御装置においては、省エネ運転処理(図9参照)において、省エネ運転状態では商品の販売を停止させていたが、本発明では、商品の販売を継続してもよい。
図12は、制御手段が実行する省エネ運転処理の変形例の処理内容を示すフローチャートである。尚、ここでは上記HCC運転が行われている場合の処理内容について示している。
この省エネ運転処理において制御手段70は、内蔵する時計機能を利用して現在時刻が省エネ運転開始時刻を経過した場合(ステップS211:Yes)、販売動作制御部73を通じて注意喚起表示を行って省エネ運転状態になる(ステップS212,ステップS213)。
このように注意喚起表示の具体例としては、販売動作制御部73が、準備中ランプ64を点滅点灯させる、あるいは一体表示器61に例えば「ただいま省エネ運転中です。適温でない可能性がありますのでご注意下さい。」のような表示をさせる。商品の販売を停止させる具体的な手段としては、販売動作制御部73が、売切ランプ63若しくは準備中ランプ64を点灯させるとともに選択ボタン62を無効化し、貨幣処理装置65の貨幣の受け付けを停止させる。また、省エネ運転状態においては、制御手段70は上述したような低レベル冷却運転制御及び低レベル加熱運転制御を行う(図10及び図11参照)。
その後、内蔵する時計機能を利用して現在時刻が省エネ運転終了時刻を経過した場合(ステップS214:Yes)、制御手段70は、冷却・加熱動作制御部74を通じて圧縮機21を100%の出力で全力駆動させる(ステップS215)。このように圧縮機21を全力駆動させると、冷媒が冷媒回路10を循環し、冷却庫3(右庫3a及び中庫3b)の庫内温度は下降する方向に推移し、加熱庫3(左庫3c)の庫内温度は上昇する方向に推移する。庫内温度センサ60から各商品収容庫3の庫内温度の検出結果を入力し(ステップS216)、冷却庫3(右庫3a及び中庫3b)のそれぞれの庫内温度がメモリ80から読み出した冷却温度情報の冷却オフ温度以下となり、かつ加熱庫3(左庫3c)の庫内温度がメモリ80から読み出した加熱温度情報の加熱オフ温度以上となる場合(ステップS217:Yes,ステップS218:Yes)、制御手段70は、販売動作制御部73を通じて注意喚起表示を非表示にし(ステップS219)、すなわち準備中ランプ64を消灯させたり一体表示器61の表示を消去させたりして、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
このように省エネ運転状態となる場合でも商品の販売を継続させることにより、商品の販売機会の低減を防止することが可能になる。
上述した実施の形態では、HCC運転を行う場合における省エネ運転処理について説明したが、CCC運転を行う場合における省エネ運転処理においては、ステップS208(ステップS218)の処理を省略すればよく、低レベル加熱運転制御(図11参照)を省略すればよい。
上述した実施の形態では、省エネ運転処理において現在時刻が省エネ運転終了時刻を経過してから圧縮機21を駆動させていたが、本発明においては、省エネ運転終了時刻の数分〜数十分前に設けられた移行時刻を現在時刻が経過した場合に圧縮機21を駆動させるようにしてもよい。
上述した実施の形態では、適用される自動販売機の冷媒回路10がヒートポンプ機能を有しているものであったので、圧縮機21を駆動及び駆動停止させることが、冷却手段及び加熱手段を駆動及び駆動停止させることとなったが、本発明においては、加熱庫の商品を加熱するのは当該加熱庫に内蔵されたヒータであり、冷媒回路10が冷却庫3の商品を冷却する冷凍サイクルとして機能する自動販売機に適用しても構わない。また、ヒータを加熱手段としてPID制御により駆動させて加熱庫の内部雰囲気を加熱する場合には、低レベル加熱運転制御においては、入力手段を通じて入力された加熱調整温度を目標温度としてヒータをPID制御により駆動させることが好ましい。
上述した実施の形態では、省エネ運転時間は、入力手段66を通じて所定の時間帯が入力されることにより設定されていたが、本発明においては、メモリに複数種類の省エネ運転時間に関するパターンが予め記憶されており、入力手段の入力部が操作されることによりいずれかのパターンが選択されて省エネ運転時間が設定されてもよい。このような場合においては、入力手段の入力部が操作されることにより、入力制御部を通じて入力手段から省エネ時間帯パターンの設定指令を入力した制御手段は、メモリから省エネ時間帯パターンを読み出し、出力制御部を通じて各パターンを表示部に表示させる。そして、作業者が入力部を操作して表示されたいずれかの省エネ時間帯パターンを選択すると、選択指令が制御手段に与えられる。かかる選択指令が与えられた制御手段は、入力制御部を通じて選択された省エネ時間帯パターンを各部に与えることにより、省エネ運転時間が設定される。
上述した実施の形態では、冷却調整温度や加熱調整温度が入力されることで条件式(1)〜(4)を用いて冷却調整上限温度、冷却調整下限温度、加熱調整下限温度、加熱調整上限温度を算出して冷却調整温度範囲や加熱調整温度範囲を設定していたが、本発明においては、冷却調整温度や加熱調整温度が入力されないで、冷却調整上限温度、冷却調整下限温度、加熱調整下限温度、加熱調整上限温度が実験的あるいは経験的に予め決められていることで冷却調整温度範囲や加熱調整温度範囲が設定されていてもよい。
このように設定された冷却調整温度範囲に基づいて省エネ時間に低レベル冷却運転制御を行うことにより、冷却庫の庫内温度を所望の温度範囲に調整することができ、商品の品温を好ましい範囲に維持することができ、しかも消費電力を低減させることができる。従って、消費電力の低減化を図りながら商品の品質劣化を防止することができる。
また、このように設定された加熱調整温度範囲に基づいて省エネ時間に低レベル加熱運転制御を行うことにより、加熱庫の庫内温度を所望の温度範囲に調整することができ、商品の品温を好ましい範囲に維持することができ、しかも消費電力を低減させることができる。従って、消費電力の低減化を図りながら商品の品質劣化を防止することができる。