以下に添付図面を参照して、本発明に係る冷却加熱装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態である冷却加熱装置が適用された自動販売機の内部構造を正面から見た場合を示す断面図である。ここで例示する自動販売機は、本体キャビネット1を備えている。
本体キャビネット1は、前面が開口した直方状の形態を成すものである。この本体キャビネット1には、その内部に例えば2つの断熱仕切板2によって仕切られた3つの独立した商品収容庫3が左右に並んだ態様で設けてある。この商品収容庫3は、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を所望の温度に維持した状態で収容するためのもので、断熱構造を有している。
図2は、図1に示した自動販売機の内部構造を示すものであり、右側の商品収容庫3の断面側面図である。尚、ここでは右側の商品収容庫(以下、適宜右庫とも称する)3aの内部構造について示すが、中央の商品収容庫(以下、適宜中庫とも称する)3b及び左側の商品収容庫(以下、適宜左庫とも称する)3cの内部構造も右庫3aと略同じような構成である。尚、本明細書における右側とは、自動販売機を正面から見た場合の右方を示し、左側とは、自動販売機を正面から見た場合の左方を示す。
かかる図2に示すように、本体キャビネット1の前面には、外扉4及び内扉5が設けてある。外扉4は、本体キャビネット1の前面開口を開閉するためのものであり、内扉5は、商品収容庫3の前面を開閉するためのものである。この内扉5は、上下に分割してあり、上側の扉5aは商品を補充する際に開閉するものである。
上記商品収容庫3には、商品収納ラック6、搬出機構7及び搬出シュータ8が設けてある。商品収納ラック6は、商品を上下方向に沿って並ぶ態様で収納するためのものである。搬出機構7は、商品収納ラック6の下部に設けてあり、この商品収納ラック6に収納された商品群の最下位にある商品を1つずつ搬出するためのものである。搬出シュータ8は、搬出機構7から搬出された商品を外扉4に設けられた商品取出口4aに導くためのものである。
図3は、本発明の実施の形態である冷却加熱装置を概念的に示す概念図である。ここで例示する冷却加熱装置は、主経路20、分岐経路30、放熱経路40及び戻り経路50から成り、内部に冷媒が封入された冷媒回路10を備えて構成してある。
主経路20は、圧縮機21、庫外熱交換器22、第1キャピラリーチューブ23及び庫内熱交換器24を冷媒配管25にて順次接続して構成してある。
圧縮機21は、図2にも示すように機械室9に配設してある。機械室9は、本体キャビネット1の内部であって商品収容庫3と区画され、かつ商品収容庫3の下方側の室である。この圧縮機21は、吸引口を通じて冷媒を吸引し、吸引した冷媒を圧縮して高温高圧の状態(高温高圧冷媒)にして吐出口より吐出するものである。
庫外熱交換器22は、図2にも示すように圧縮機21と同様に機械室9に配設してある。この庫外熱交換器22は、通過する冷媒を凝縮させるものである。より詳細に説明すると、圧縮機21で圧縮され、かつ吐出口から吐出されて冷媒配管25を通じて送出された冷媒を周囲空気と熱交換させて凝縮させるものである。
この庫外熱交換器22と圧縮機21とを接続する冷媒配管25には、高圧側電磁弁261が設けてある。かかる高圧側電磁弁261は、開閉可能な弁体であり、後述するコントローラ70から開指令が与えられた場合には開成して冷媒の通過を許容する一方、閉指令が与えられた場合には閉成して冷媒の通過を規制するものである。
第1キャピラリーチューブ23は、図2にも示すように圧縮機21及び庫外熱交換器22と同様に機械室9に配設してある。この第1キャピラリーチューブ23は、通過する冷媒を減圧して断熱膨張させるものである。
庫内熱交換器24は、複数(図示の例では3つ)設けてあり、各商品収容庫3の内部低域であって、背面ダクトD(図2参照)の前面側に配設してある。これら庫内熱交換器24と第1キャピラリーチューブ23とを接続する冷媒配管25は、その途中に配設された分配器27により3つに分岐され、右庫3aに配設された庫内熱交換器(以下、右庫内熱交換器とも称する)24aの入口側に、中庫3bに配設された庫内熱交換器(以下、中庫内熱交換器とも称する)24bの入口側に、左庫3cの内部に配設された庫内熱交換器(以下、左庫内熱交換器とも称する)24cの入口側にそれぞれ接続してある。
また、この冷媒配管25においては、分配器27から右庫内熱交換器24a、中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cのそれぞれに至る途中に低圧側電磁弁262,263,264が設けてある。低圧側電磁弁262,263,264は、開閉可能な弁体であり、コントローラ70から開指令が与えられた場合には開成して冷媒の通過を許容する一方、閉指令が与えられた場合には閉成して冷媒の通過を規制するものである。
中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cの出口側に接続された冷媒配管25は、途中の第1合流点P1で合流し、更に右庫内熱交換器24aの出口側に接続された冷媒配管25は、第2合流点P2で合流し、アキュムレータ28を介して圧縮機21に接続している。ここでアキュムレータ28は、通過する冷媒が気液混合冷媒である場合に、液相冷媒を貯留して気相冷媒を通過させるためのものである。
中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cの出口側に接続された冷媒配管25には、それぞれ第1合流点P1の上流側に帰還用電磁弁265,266が配設してある。かかる帰還用電磁弁265,266は、開閉可能な弁体であり、コントローラ70から開指令が与えられた場合には開成して冷媒の通過を許容する一方、閉指令が与えられた場合には閉成して冷媒の通過を規制するものである。
分岐経路30は、圧縮機21と高圧側電磁弁261との経路の途中の高圧側分岐点P3から分岐し、その途中でさらに分岐して、一方が中庫内熱交換器24bの入口側の冷媒配管25に、他方が左庫内熱交換器24cの入口側の冷媒配管25にそれぞれ合流する分岐配管31により構成されたものである。この分岐経路30は、圧縮機21で圧縮された冷媒(高圧冷媒)を導入する経路である。ここで、中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cの入口側の冷媒配管25においては、各分岐配管31(各分岐経路30)との合流個所よりも上流側の経路、すなわち各合流個所とその上流にある低圧側電磁弁263,264との間の経路には、逆止弁267,268が設けてある。
かかる分岐経路30においては、分岐個所の下流側にそれぞれ分岐電磁弁321,322が設けてある。分岐電磁弁321,322は、開閉可能な弁体であり、コントローラ70から開指令が与えられた場合には開成して冷媒の通過を許容する一方、閉指令が与えられた場合には閉成して冷媒の通過を規制するものである。
つまり、中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cは、分岐経路30を通じて圧縮機21で圧縮された冷媒が供給された場合には、通過する冷媒を凝縮させて対象となる商品収容庫3(中庫3b、左庫3c)の内部空気を加熱するものである。
放熱経路40は、中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cの出口側に接続された冷媒配管25のそれぞれの途中で分岐され、第3合流点P4で合流し、庫外熱交換器22に隣接する態様で配設されたガスクーラ41の入口側に接続された放熱配管42により構成されたものである。この放熱経路40は、中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cの少なくとも一方で凝縮した冷媒をガスクーラ41に供給するためのものである。かかる放熱経路40により冷媒が供給されたガスクーラ41では、該冷媒と周囲空気との間で熱交換が行われ、該冷媒が放熱する。すなわち、放熱経路40は、庫内熱交換器24で凝縮した冷媒を導入してガスクーラ41に供給し、該ガスクーラ41にて該冷媒を周囲空気と熱交換させて放熱させるものである。
このような放熱経路40を構成する放熱配管42の途中、すなわち中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cの出口側に接続された冷媒配管25との分岐点から第3合流点P4に至る途中に、それぞれ逆止弁431,432が設けてある。
戻り経路50は、ガスクーラ41の出口側に接続され、かつ主経路20を構成する冷媒配管25、すなわち第1キャピラリーチューブ23と分配器27との間の冷媒配管25の第4合流点P5に接続する戻り配管51により構成された経路である。
この戻り経路50を構成する戻り配管51の途中には第2キャピラリーチューブ52が設けてある。この第2キャピラリーチューブ52は、通過する冷媒を減圧して断熱膨張させるものである。
上記冷媒回路10においては、3つのストレーナ、すなわち第1ストレーナS1、第2ストレーナS2及び第3ストレーナS3が配設してある。第1ストレーナS1は、主経路20における庫外熱交換器22と第1キャピラリーチューブ23との間の冷媒配管25に配設してある。かかる第1ストレーナS1は、水分除去を行うための乾燥剤を有しているとともに、異物除去を行うためのフィルタを有しており、該冷媒配管25を通過する冷媒の水分除去及び異物除去を行う除去部材である。
第2ストレーナS2は、戻り経路50における戻り配管51、すなわちガスクーラ41と第2キャピラリーチューブ52との間の戻り配管51に配設してある。かかる第2ストレーナS2は、異物除去を行うためのフィルタを有しており、該冷媒配管25を通過する冷媒の異物除去のみを行う異物除去部材である。
第3ストレーナS3は、主経路20における圧縮機21の吐出口側の冷媒配管25に配設してある。かかる第3ストレーナS3は、異物除去を行うためのフィルタを有しており、該冷媒配管25を通過する冷媒の異物除去を行う異物除去部材である。尚、本実施の形態では、圧縮機21の吐出口側に接続された冷媒配管25にも第3ストレーナS3を配設してあるが、かかるストレーナは必須ではなく、冷却加熱装置の適用条件等に応じて適宜設置すればよい。
図4は、本実施の形態である冷却加熱装置の制御系を模式的に示すブロック図である。この図4に示すように、冷却加熱装置は、入力手段60、右庫内温度センサ61、中庫内温度センサ62、左庫内温度センサ63、中庫内ヒータ65b、左庫内ヒータ65c及びコントローラ70を備えている。
入力手段60は、例えばリモコン等のような各種設定入力を行うためのものであり、ここで設定入力された情報は、コントローラ70に与えられる。
右庫内温度センサ61は、右庫3aの内部に配設してあり、右庫3aの庫内温度(室内温度)を検出する検出手段である。中庫内温度センサ62は、中庫3bの内部に配設してあり、中庫3bの庫内温度(室内温度)を検出する検出手段である。左庫内温度センサ63は、左庫3cの内部に配設してあり、左庫3cの庫内温度(室内温度)を検出する検出手段である。これら右庫内温度センサ61、中庫内温度センサ62及び左庫内温度センサ63で検出された温度に関する情報は、温度信号としてコントローラ70に与えられる。
中庫内ヒータ65bは、中庫3bの内部に配設、より詳細には、中庫3bの底部であって庫内送風ファンの近傍に配設してある。この中庫内ヒータ65bは、駆動すると通電状態となり、中庫3bの内部空気を加熱する加熱手段である。左庫内ヒータ65cは、左庫3cの内部に配設、より詳細には、左庫3cの底部であって庫内送風ファンの近傍に配設してある。この左庫内ヒータ65cは、駆動すると通電状態となり、左庫3cの内部空気を加熱する加熱手段である。
コントローラ70は、メモリ80に記憶されるプログラムやデータにしたがって上記冷媒回路10の各部の動作を統括的に制御するものであり、入力処理部71、電磁弁駆動処理部72、冷却運転制御部73及び加熱運転制御部74を備えて構成してある。
ここでメモリ80には、種々の情報が記憶されており、本発明の特徴的なものとしては、冷却温度情報、加熱温度情報、並びに待機時間情報が記憶されている。冷却温度情報は、冷却対象となる商品収容庫3(冷却庫)の目標とする冷却温度範囲を定めるためのものであり、上限値としての冷却上限温度、並びに下限値としての冷却下限温度が含まれている。加熱温度情報は、加熱対象となる商品収容庫3(加熱庫)の目標とする加熱温度範囲を定めるためのものであり、上限値としての加熱上限温度、並びに下限値としての加熱下限温度が含まれている。待機時間情報は、後述する加熱運転制御処理を実施する際の待機時間に関する情報である。ここで本実施の形態における待機時間としては、例えば2分間としている。
入力処理部71は、入力手段60、各庫内温度センサ61,62,63から与えられる指令やデータ等の情報を入力処理するためのものである。電磁弁駆動処理部72は、各電磁弁、すなわち高圧側電磁弁261、低圧側電磁弁262,263,264、帰還用電磁弁265,266及び分岐電磁弁321,322のそれぞれに対して開指令、あるいは閉指令を与えてこれらを個別に開成、あるいは閉成させるものである。
冷却運転制御部73は、冷却温度判定部731及び圧縮機駆動処理部732を備えている。冷却温度判定部731は、冷却庫(商品収容庫3)の内部に配設された庫内温度センサ61,62,63から与えられた温度、すなわち庫内温度センサ61,62,63により検出された庫内温度が、目標とする冷却温度範囲にあるか否かを判定するものである。より詳細には、検出された庫内温度が冷却下限温度を下回るか否か、あるいは検出された庫内温度が冷却上限温度を超えるか否かを判定するものである。圧縮機駆動処理部732は、圧縮機21に駆動指令、あるいは駆動停止指令を与えて圧縮機21を所定の回転数で駆動させる処理を行うものである。
加熱運転制御部74は、加熱温度判定部741、時間計測部742、圧縮機運転判定部743及びヒータ駆動処理部744を備えている。加熱温度判定部741は、加熱庫(商品収容庫3)の内部に配設された庫内温度センサ62,63から与えられた温度、すなわち庫内温度センサ62,63により検出された庫内温度が、目標とする加熱温度範囲にあるか否かを判定するものである。より詳細には、検出された庫内温度が加熱下限温度を下回るか否か、あるいは検出された庫内温度が加熱上限温度を超えるか否かを判定するものである。時間計測部742は、待機時間の計測を行うものである。
圧縮機運転判定部743は、圧縮機21が駆動しているか否かの判定を行うものである。より詳細には、冷却運転制御部73の圧縮機駆動処理部732から駆動指令が与えられた場合には、圧縮機21が駆動しているものと判定する一方、圧縮機駆動処理部732から駆動停止指令が与えられた場合には、圧縮機21が駆動停止しているものと判定するものである。ヒータ駆動処理部744は、庫内ヒータ65b、65cを通電状態にして駆動、あるいは庫内ヒータ65b、65cを非通電状態にして駆動停止させるものである。
以上のような構成を有する冷却加熱装置は、次のようにして商品収容庫3に収容された商品を冷却、あるいは加熱する。
まず、CCC運転(すべての商品収容庫3の内部空気を冷却する運転)を行う場合について説明する。この場合、入力手段60を通じてCCC運転を行う旨の指令が与えられたコントローラ70は、電磁弁駆動処理部72を通じて分岐電磁弁321,322を閉成させ、高圧側電磁弁261、低圧側電磁弁262,263,264及び帰還用電磁弁265,266を開成させる。これにより圧縮機21で圧縮された冷媒は、図5に示すように循環する。
すなわち、圧縮機21で圧縮された冷媒は、開成する高圧側電磁弁261を通過して庫外熱交換器22に至る。庫外熱交換器22に至った冷媒は、該庫外熱交換器22を通過中に、周囲空気(外気)に放熱して凝縮する。庫外熱交換器22で凝縮した冷媒は、第1ストレーナS1を通過して、水分及び異物が除去され、その後に第1キャピラリーチューブ23で断熱膨張する。
第1キャピラリーチューブ23で断熱膨張して気化した冷媒は、分配器27で3つに分岐され、右庫内熱交換器24a、中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cに至り、各庫内熱交換器24で蒸発して商品収容庫3の内部空気から熱を奪い、該内部空気を冷却する。冷却された内部空気は、各庫内送風ファン(F1)の駆動により内部を循環し、これにより各商品収容庫3に収容された商品は、循環する内部空気に冷却される。各庫内熱交換器24で蒸発した冷媒は、アキュムレータ28にて気液分離された後、気相部分が圧縮機21に吸引され、圧縮機21に圧縮されて上述した循環を繰り返す。
次に、HHC運転(中庫3b及び左庫3cの内部空気を加熱し、かつ右庫3aの内部空気を冷却する運転)を行う場合について説明する。この場合、入力手段60を通じてHHC運転を行う旨の指令が与えられたコントローラ70は、電磁弁駆動処理部72を通じて高圧側電磁弁261、低圧側電磁弁263,264及び帰還用電磁弁265,266を閉成させ、分岐電磁弁321,322及び低圧側電磁弁262を開成させる。これにより圧縮機21で圧縮された冷媒は、図6に示すように循環する。
すなわち、圧縮機21で圧縮された冷媒は、分岐経路30を通過して中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cに至る。中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cに至った冷媒は、該熱交換器を通過中に、中庫3b及び左庫3cの内部空気とそれぞれ熱交換し、該内部空気に放熱して凝縮する。これにより、中庫3b及び左庫3cの内部空気を加熱する。加熱された内部空気は、図示せぬ庫内送風ファンの駆動により、中庫3b及び左庫3cのそれぞれの内部を循環し、これにより各商品収容庫3(中庫3b及び左庫3c)に収容された商品は、循環する内部空気に加熱される。
中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cで凝縮した冷媒は、放熱経路40を構成する放熱配管42を通過してガスクーラ41に至り、該ガスクーラ41で周囲空気に放熱する。ガスクーラ41で放熱した冷媒は、第2ストレーナS2を通過して異物が除去され、その後に第2キャピラリーチューブ52で断熱膨張する。
第2キャピラリーチューブ52で断熱膨張して気化した冷媒は、分配器27を経由して開成する低圧側電磁弁262を通過して右庫内熱交換器24aに至り、この右庫内熱交換器24aで蒸発して右庫3aの内部空気から熱を奪い、該内部空気を冷却する。冷却された内部空気は、右庫内送風ファンF1(図2参照)の駆動により右庫3aの内部を循環し、これにより右庫3aに収容された商品は冷却される。右庫内熱交換器24aで蒸発した冷媒は、アキュムレータ28にて気液分離された後、気相部分が圧縮機21に吸引され、圧縮機21に圧縮されて上述した循環を繰り返す。このように冷媒回路10は、ヒートポンプとしての機能を有している。
このような冷媒回路10においては、庫外熱交換器22が圧縮機21で圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器を構成し、庫内熱交換器24が断熱膨張した冷媒を蒸発させる蒸発器を構成しており、主経路20のうち圧縮機21と、庫外熱交換器22と、第1キャピラリーチューブ23と、庫内熱交換器24とを冷媒配管25にて順次接続して構成したものが冷却経路を構成している。中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cが圧縮機21で圧縮された冷媒の一部を導入して凝縮させる庫内熱交換器を構成し、分岐経路30、放熱経路40及び戻り経路50が加熱経路を構成している。
上記HHC運転を行うことにより、各商品収容庫3の庫内温度が所望の温度範囲に至ると、コントローラ70は、次のような冷却運転制御処理及び加熱運転制御処理を実施する。
図7は、コントローラが実施する冷却運転制御処理の処理内容を示すフローチャートである。図7に示す冷却運転制御処理において、圧縮機21を駆動させている状態で入力処理部71を通じて庫内温度センサ(HHC運転の場合は右庫内温度センサ61)から右庫内温度を入力した場合(ステップS101:Yes、ステップS102:Yes)、コントローラ70の冷却運転制御部73は、冷却温度判定部731を通じてメモリ80から冷却下限温度に関する情報を読み出してかかる冷却下限温度と右庫内温度とを比較し、右庫内温度が冷却下限温度を下回るか否かを判定する(ステップS103)。
右庫内温度が冷却下限温度を下回る場合(ステップS103:Yes)、コントローラ70の冷却運転制御部73は、圧縮機駆動処理部732を通じて圧縮機21に駆動停止指令を与えて駆動停止させ(ステップS104)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これによれば、右庫3aの内部の冷却が停止され、庫内温度が上昇する方向に推移する。この場合、中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cにも冷媒が流れなくなるため、中庫3bの内部空気は中庫内熱交換器24bに加熱されなくなり、左庫3cの内部空気は左庫内熱交換器24cに加熱されなくなる。そのため、中庫3bの庫内温度及び左庫3cの庫内温度は、低下する方向に推移する。
右庫内温度が冷却下限温度を下回っていない場合(ステップS103:No)、すなわち右庫内温度が冷却下限温度以上の場合には、コントローラ70の冷却運転制御部73は、圧縮機21に対して指令を与えずに圧縮機21の駆動を維持し(ステップS105)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これによれば、右庫内熱交換器24aで冷媒が蒸発する結果、右庫3aの内部空気が冷却され、庫内温度が低下する方向に推移する。この場合、中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cでも冷媒が凝縮する結果、中庫3bの内部空気及び左庫3cの内部空気が加熱され、それぞれの庫内温度が上昇する方向に推移する。
一方、圧縮機21を駆動させていない状態で入力処理部71を通じて右庫内温度センサ61から右庫内温度を入力した場合(ステップS101:No,ステップS106:Yes)、コントローラ70の冷却運転制御部73は、冷却温度判定部731を通じてメモリ80から冷却上限温度に関する情報を読み出してかかる冷却上限温度と右庫内温度とを比較し、右庫内温度が冷却上限温度を超えているか否かを判定する(ステップS107)。
右庫内温度が冷却上限温度を超えている場合(ステップS107:Yes)、コントローラ70の冷却運転制御部73は、圧縮機駆動処理部732を通じて圧縮機21に駆動指令を与えて駆動させ(ステップS108)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これによれば、右庫内熱交換器24aで冷媒が蒸発する結果、右庫3aの内部空気が冷却され、庫内温度が低下する方向に推移する。この場合、中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cでも冷媒が凝縮する結果、中庫3bの内部空気及び左庫3cの内部空気が加熱され、それぞれの庫内温度が上昇する方向に推移する。
右庫内温度が冷却上限温度を超えていない場合(ステップS107:No)、すなわち右庫内温度が冷却上限温度以下の場合には、コントローラ70の冷却運転制御部73は、圧縮機21に対して指令を与えずに圧縮機21の駆動停止を維持し(ステップS109)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これによれば、右庫内熱交換器24aにおいて内部空気が冷却されることなく、右庫3aの庫内温度が上昇する方向に推移する。この場合、中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cにより中庫3bの内部空気及び左庫3cの内部空気は加熱されず、中庫3bの庫内温度及び左庫3cの庫内温度は、低下する方向に推移する。
図8は、コントローラが実施する加熱運転制御処理の処理内容を示すフローチャートである。ここで説明する加熱運転制御処理は、庫内ヒータ(65b、65c)を駆動、あるいは駆動停止させる処理である。尚、上述した冷却運転制御処理により、圧縮機21が駆動する場合には中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cが凝縮器として作用し、中庫3bの内部空気及び左庫3cの内部空気を加熱する。
図8に示す加熱運転制御処理において、庫内ヒータ(HHC運転の場合は中庫内ヒータ65b及び左庫内ヒータ65c)を駆動させている状態で入力処理部71を通じて庫内温度センサ(HHC運転の場合は中庫内温度センサ62及び左庫内温度センサ63)から庫内温度をそれぞれ入力した場合(ステップS201:Yes、ステップS202:Yes)、コントローラ70の加熱運転制御部74は、加熱温度判定部741を通じてメモリ80から加熱上限温度に関する情報を読み出してかかる加熱上限温度と庫内温度(中庫内温度及び左庫内温度)とを比較し、各庫内温度が加熱上限温度を下回るか否かを判定する(ステップS203)。
庫内温度が加熱上限温度を超える場合(ステップS203:Yes)、コントローラ70の加熱運転制御部74は、ヒータ駆動処理部744を通じて該当する商品収容庫3の内部の庫内ヒータに駆動停止指令を与えて非通電状態にさせて駆動停止させ(ステップS204)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これによれば、該当する商品収容庫3の内部の庫内ヒータによる加熱が停止され、庫内温度が低下する方向に推移する。
庫内温度が加熱上限温度を超えていない場合(ステップS203:No)、すなわち庫内温度が加熱上限温度以下の場合には、コントローラ70の加熱運転制御部74は、該当する庫内ヒータに対して指令を与えずに該庫内ヒータの駆動(通電状態)を維持し(ステップS205)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これによれば、庫内ヒータで該当する商品収容庫3の内部空気が加熱され、庫内温度が上昇する方向に推移する。
このようなステップS201〜ステップS205の処理を具体的に説明すると、中庫内温度及び左庫内温度の双方が加熱上限温度を超えている場合には、中庫内ヒータ65b及び左庫内ヒータ65cの双方を非通電状態にさせて駆動停止させ、中庫内温度及び左庫内温度のいずれか一方が加熱上限温度を超えている場合には、加熱上限温度を超えた商品収容庫3(例えば左庫3c)の左庫内ヒータ65cを駆動停止させ、他方(例えば中庫3b)の中庫内ヒータ65bを駆動維持させる。
一方、庫内ヒータを駆動させていない状態で入力処理部71を通じて庫内温度センサから庫内温度を入力した場合(ステップS201:No,ステップS206:Yes)、コントローラ70の加熱運転制御部74は、加熱温度判定部741を通じてメモリ80から加熱下限温度に関する情報を読み出してかかる加熱下限温度と庫内温度(中庫内温度及び左庫内温度)とを比較し、各庫内温度が加熱下限温度を下回っているか否かを判定する(ステップS207)。
各庫内温度が加熱下限温度を下回っている場合(ステップS207:Yes)、コントローラ70の加熱運転制御部74は、時間計測部742を通じて待機時間(例えば2分間)の計測を開始する(ステップS208)。
そして、加熱運転制御部74が、待機時間が経過するまでの間に圧縮機運転判定部743を通じて圧縮機21が駆動しているものと判定した場合(ステップS209:Yes,ステップS210:No)、すなわち待機時間が経過するまでの間に圧縮機運転判定部743を通じて、冷却運転制御部73の圧縮機駆動処理部732から駆動指令が与えられていると判定した場合、ヒータ駆動処理部744を通じて該当する庫内ヒータに対して指令を与えずに該庫内ヒータの駆動停止(非通電状態)を維持し(ステップS211)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。この場合、圧縮機21の駆動により中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cが凝縮器として作用し、中庫3b及び左庫3cの内部空気が加熱され、中庫内温度及び左庫内温度が上昇する方向に推移する。
上記ステップS207において各庫内温度が加熱下限温度以上の場合(ステップS207:No)にも、コントローラ70の加熱運転制御部74は、ヒータ駆動処理部744を通じて該当する庫内ヒータに対して指令を与えずに該庫内ヒータの駆動停止(非通電状態)を維持し(ステップS211)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
ところで、待機時間が経過しても圧縮機21が駆動しているものと判定されなかった場合(ステップS209:No,ステップS210:Yes)、コントローラ70の加熱運転制御部74は、ヒータ駆動処理部744を通じて該当する商品収容庫3の内部の庫内ヒータに駆動指令を与えて通電状態にさせて駆動させ(ステップS212)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これによれば、該当する商品収容庫3の内部空気が庫内ヒータにより加熱され、庫内温度が上昇する方向に推移する。
以上説明したように、本実施の形態である冷却加熱装置によれば、コントローラ70の加熱運転制御部74が、該当する商品収容庫3の庫内温度が加熱温度を下回っている場合でも、待機時間が経過するまでは該商品収容庫3の内部の庫内ヒータの駆動を規制するので、庫内ヒータが駆動する機会を低減させて、圧縮機21の駆動に基づく庫内熱交換器24による内部空気の加熱の機会、すなわちヒートポンプ運転を行う機会を増大させることができる。しかも、待機時間は例えば2分間のように商品を許容範囲内で温蔵することが可能な程度であるので、商品が必要以上に冷却されてしまう虞れもない。従って、消費電力の低減化を図りながら、収容される商品に損傷を与える虞れがない。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
上述した実施の形態においては、加熱運転制御処理において待機時間が経過するまで庫内ヒータの駆動を規制していたが、本発明においては、図9に示すような加熱運転制御処理を行っても良い。尚、図8に示す処理と同じステップには同一の番号を付し、かかるステップについての説明は省略する。
図9に示すステップS207において各庫内温度が加熱下限温度を下回っている場合(ステップS207:Yes)、コントローラ70の加熱運転制御部74は、メモリ80から待機下限温度に関する情報を読み出して、かかる待機下限温度と庫内温度(中庫内温度及び左庫内温度)とを比較し、各庫内温度が待機下限温度を下回るまでに圧縮機21が駆動するか否かを判定する(ステップS213,ステップS214)。ここで待機下限温度は、加熱下限温度よりも例えば1〜2℃低い温度であり、加熱運転をする上で商品に悪影響を与えない許容範囲に含まれるものである。
各庫内温度が待機下限温度を下回るまでの間に圧縮機運転判定部743を通じて圧縮機21が駆動しているものと判定した場合(ステップS213:Yes,ステップS214:No)、コントローラ70の加熱運転制御部74は、ヒータ駆動処理部744を通じて該当する庫内ヒータに対して指令を与えずに該庫内ヒータの駆動停止(非通電状態)を維持し(ステップS215)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。この場合、圧縮機21の駆動により中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cが凝縮器として作用し、中庫3b及び左庫3cの内部空気が加熱され、中庫内温度及び左庫内温度が上昇する方向に推移する。
上記ステップS207において各庫内温度が加熱下限温度以上の場合(ステップS207:No)にも、コントローラ70の加熱運転制御部74は、ヒータ駆動処理部744を通じて該当する庫内ヒータに対して指令を与えずに該庫内ヒータの駆動停止(非通電状態)を維持し(ステップS215)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
ところで、各庫内温度が待機下限温度を下回っても圧縮機21が駆動しているものと判定されなかった場合(ステップS213:No,ステップS214:Yes)、コントローラ70の加熱運転制御部74は、ヒータ駆動処理部744を通じて該当する商品収容庫3の内部の庫内ヒータに駆動指令を与えて通電状態にさせて駆動させ(ステップS216)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これによれば、該当する商品収容庫3の内部空気が庫内ヒータにより加熱され、庫内温度が上昇する方向に推移する。
このような加熱運転制御処理によっても、コントローラ70の加熱運転制御部74が、該当する商品収容庫3の庫内温度が加熱温度を下回っている場合でも、該庫内温度が待機下限温度を下回るまでは該商品収容庫3の内部の庫内ヒータの駆動を規制するので、庫内ヒータが駆動する機会を低減させて、圧縮機21の駆動に基づく庫内熱交換器24による内部空気の加熱の機会、すなわちヒートポンプ運転を行う機会を増大させることができる。しかも、待機下限温度は加熱下限温度より例えば1〜2℃低いもので商品に悪影響を与えない許容範囲に含まれるものであるので、商品が必要以上に冷却されてしまう虞れもない。従って、消費電力の低減化を図りながら、収容される商品に損傷を与える虞れがない。
上述した実施の形態では、ヒートポンプ運転の一例として、HHC運転の場合を示したが、本発明はこれに限定されることなく、HCC運転(左庫3cの内部空気を加熱し、かつ中庫3b及び右庫3aの内部空気を冷却する運転)でも良いし、CHC運転(中庫3bの内部空気を加熱し、かつ右庫3a及び左庫3cの内部空気を冷却する運転)でも良い。HCC運転の場合、加熱運転制御処理の対象となる商品収容庫3は左庫3cであり、庫内ヒータは、左庫内ヒータ65cとなる。CHC運転の場合、加熱運転制御処理の対象となる商品収容庫3は中庫3bであり、庫内ヒータは、中庫内ヒータ65bとなる。