以下に添付図面を参照して、本発明に係る冷媒回路装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1である冷媒回路装置が適用された自動販売機の内部構造を正面から見た場合を示す断面図である。ここで例示する自動販売機は、本体キャビネット1を備えている。
本体キャビネット1は、前面が開口した直方状の形態を成すものである。この本体キャビネット1には、その内部に例えば2つの断熱仕切板2によって仕切られた3つの独立した商品収容庫3が左右に並んだ態様で設けてある。この商品収容庫3は、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を所望の温度に維持した状態で収容するためのもので、断熱構造を有している。
図2は、図1に示した自動販売機の内部構造を示すものであり、右側の商品収容庫3の断面側面図である。尚、ここでは右側の商品収容庫3(以下、適宜右庫3aとも称する)の内部構造について示すが、中央の商品収容庫3(以下、適宜中庫3bとも称する)及び左側の商品収容庫3(以下、適宜左庫3cとも称する)の内部構造も右庫3aと略同じような構成である。尚、本明細書における右側とは、自動販売機を正面から見た場合の右方を示し、左側とは、自動販売機を正面から見た場合の左方を示す。
かかる図2に示すように、本体キャビネット1の前面には、外扉4及び内扉5が設けてある。外扉4は、本体キャビネット1の前面開口を開閉するためのものであり、内扉5は、商品収容庫3の前面を開閉するためのものである。この内扉5は、上下に分割してあり、上側の扉5aは商品を補充する際に開閉するものである。
上記商品収容庫3には、商品収納ラック6、搬出機構7及び搬出シュータ8が設けてある。商品収納ラック6は、商品を上下方向に沿って並ぶ態様で収納するためのものである。搬出機構7は、商品収納ラック6の下部に設けてあり、この商品収納ラック6に収納された商品群の最下位にある商品を1つずつ搬出するためのものである。搬出シュータ8は、搬出機構7から搬出された商品を外扉4に設けられた商品取出口4aに導くためのものである。
図3は、図1及び図2に示した自動販売機に適用された冷媒回路装置を概念的に示す概念図である。ここで例示する冷媒回路装置10は、主回路20、分岐経路30、戻り経路40、バイパス経路50、バイパスバルブ(バイパス用弁体)51及びコントローラCを備えている。
主回路20は、圧縮機21、凝縮器22、第1膨張機構23及び庫内熱交換器(室内熱交換器)24を冷媒配管25にて順次接続して構成してあり、内部に冷媒(例えばR134a)が封入してある。
圧縮機21は、図2にも示すように機械室9に配設してある。機械室9は、本体キャビネット1の内部であって商品収容庫3と区画され、かつ商品収容庫3の下方側の室である。この圧縮機21は、吸引口を通じて冷媒を吸引し、吸引した冷媒を圧縮して高温高圧の状態(高温高圧冷媒)にして吐出口より吐出するものである。
凝縮器22は、図2にも示すように圧縮機21と同様に機械室9に配設してある。この凝縮器22は、通過する冷媒を凝縮させるものである。より詳細に説明すると、圧縮機21で圧縮され、かつ吐出口から吐出されて冷媒配管25を通じて送出された冷媒を周囲空気と熱交換させて凝縮させるものである。
この凝縮器22と圧縮機21とを接続する冷媒配管25には、高圧側電磁弁(第1電磁弁)261が設けてある。かかる高圧側電磁弁261は、開閉可能な弁体であり、コントローラCから開指令が与えられた場合には開成して冷媒の通過を許容する一方、閉指令が与えられた場合には閉成して冷媒の通過を規制するものである。
第1膨張機構23は、図2にも示すように圧縮機21及び凝縮器22と同様に機械室9に配設してある。この第1膨張機構23は、キャピラリーチューブにより構成してあり、通過する冷媒を減圧して断熱膨張させるものである。図3中の符号262は、逆止弁である。
庫内熱交換器24は、複数(図示の例では3つ)設けてあり、各商品収容庫3の内部に配設してある。ここで、これら庫内熱交換器24と第1膨張機構23とを接続する冷媒配管25は、その途中の分岐点251で3つに分岐して、右庫3aに配設された庫内熱交換器24(以下、右庫内熱交換器24aとも称する)の入口側に、中庫3bに配設された庫内熱交換器24(以下、中庫内熱交換器24bとも称する)の入口側に、左庫3cの内部に配設された庫内熱交換器24(以下、左庫内熱交換器24cとも称する)の入口側にそれぞれ接続してある。
また、この冷媒配管25においては、分岐点251から右庫内熱交換器24a、中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cのそれぞれに至る途中に低圧側電磁弁263,264,265が設けてある。低圧側電磁弁263,264,265は、開閉可能な弁体であり、コントローラCから開指令が与えられた場合には開成して冷媒の通過を許容する一方、閉指令が与えられた場合には閉成して冷媒の通過を規制するものである。
上記庫内熱交換器24の出口側に接続された冷媒配管25は、途中の合流点252で合流し、アキュムレータ27を介して圧縮機21に接続している。ここで、アキュムレータ27は、通過する冷媒が気液混合冷媒である場合に、液相冷媒を貯留して気相冷媒を通過させるためのものである。
分岐経路30は、圧縮機21と高圧側電磁弁261との経路の途中の高圧側分岐点253から分岐し、その途中でさらに分岐して、一方が中庫内熱交換器24bの入口側の冷媒配管25に、他方が左庫内熱交換器24cの入口側の冷媒配管25にそれぞれ合流する分岐配管により構成された経路である。この分岐経路30は、圧縮機21で圧縮された冷媒(高圧冷媒)を導入する経路である。ここで、中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cの入口側の冷媒配管25においては、各分岐配管(各分岐経路30)との合流個所よりも上流側の経路、すなわち各合流個所とその上流にある低圧側電磁弁264,265との間の経路には、逆止弁266,267が設けてある。
かかる分岐経路30においては、分岐個所の下流側にそれぞれ分岐電磁弁(第2電磁弁)311,312が設けてある。分岐電磁弁311,312は、開閉可能な弁体であり、コントローラCから開指令が与えられた場合には開成して冷媒の通過を許容する一方、閉指令が与えられた場合には閉成して冷媒の通過を規制するものである。
つまり、中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cは、分岐経路30を通じて圧縮機21で圧縮された冷媒が供給された場合には、通過する冷媒を凝縮させて対象となる商品収容庫3(中庫3b、左庫3c)の内部空気を加熱するものである。
戻り経路40は、中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cで凝縮された冷媒を主回路20に戻すための経路であり、3種類の戻り配管(以下、便宜上、第1戻り配管41、第2戻り配管42、第3戻り配管43とも称する)と、庫外熱交換器44と、第2膨張機構45とを備えている。
第1戻り配管41は、中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cの出口側の冷媒配管25の途中で分岐する態様で接続してあり、これら第1戻り配管41は途中で合流して庫外熱交換器44の入口側に接続してある。ここで、図3中の符号411,412は、逆止弁であり、符号A,Bは電磁弁である。電磁弁A,Bは、開閉可能な弁体であり、コントローラCから開指令が与えられた場合には開成して冷媒の通過を許容する一方、閉指令が与えられた場合には閉成して冷媒の通過を規制するものである。また、中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cの出口側の冷媒配管25において、第1戻り配管41との分岐個所から合流点252に至る経路の途中に帰還用電磁弁268,269が設けてある。帰還用電磁弁268,269は、開閉可能な弁体であり、コントローラCから開指令が与えられた場合には開成して冷媒の通過を許容する一方、閉指令が与えられた場合には閉成して冷媒の通過を規制するものである。
第2戻り配管42は、庫外熱交換器44の出口側と、第2膨張機構45の入口側とを接続するものであり、第3戻り配管43は、第2膨張機構45の出口側と、主回路20における第1膨張機構23から分岐点251に至る冷媒配管25の所定個所(合流個所)254とを接続してある。
庫外熱交換器44は、圧縮機21と同様に機械室9に配設してある。この庫外熱交換器44は、通過する冷媒を周囲空気との間で熱交換、すなわち通過する空気と周囲空気(例えば外気)とを熱交換させるものである。より詳細に説明すると、庫外熱交換器44は、第1戻り配管41を通じて中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cの少なくとも一方から供給された冷媒、すなわち中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cの少なくとも一方で凝縮された冷媒を周囲空気(外気)に放熱させるためのものである。
第2膨張機構45は、キャピラリーチューブにより構成してあり、第2戻り配管42を通じて庫外熱交換器44で放熱した冷媒を導入し、該冷媒を減圧して断熱膨張させるものである。この第2膨張機構45で断熱膨張された冷媒は、第3戻り配管43を通じて主回路20に戻ることになる。
つまり、戻り経路40は、中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cの少なくとも一方で凝縮された冷媒を主回路20に戻すものである。
バイパス経路50は、圧縮機21から高圧側電磁弁261に至る経路の途中、すなわち高圧側分岐点253から高圧側電磁弁261に至る経路の途中で分岐し、高圧側電磁弁261から凝縮器22に至る経路(冷媒配管25)に合流する態様で設けたバイパス配管により構成してある。このバイパス経路50は、圧縮された冷媒を凝縮器22に送出するためのものである。
バイパスバルブ51は、バイパス経路50を構成するバイパス配管に設けてある。このバイパスバルブ51は、例えばリリーフバルブのようなものであり、常態においては閉成して該バイパス経路(バイパス配管)50を冷媒が通過することを規制する一方、配設個所よりも上流側の圧力が予め決められた閾値を超える場合には開成して該バイパス経路(バイパス配管)50を冷媒が通過することを許容するものである。このバイパスバルブ51が開成した場合には、その旨の開成信号がコントローラCに与えられる。ここで、バイパスバルブ51に予め決められている閾値は、圧縮機21の出口側の経路に高圧異常が生じない程度の大きさとされている。尚、より簡単な制御方式として、バイパスバルブ51に開成信号を発信する機能を持たせずに、単にバイパス経路50を開成させるだけでも良い。
コントローラCは、各電磁弁の開閉を制御するものである。このコントローラCは、例えば右庫3aの内部空気を冷却、中庫3b及び左庫3cの内部空気を加熱する場合、すなわち右庫3aに収容された商品を冷却、中庫3b及び左庫3cの内部に収容された商品を加熱するいわゆるHHC運転を行う場合、高圧側電磁弁261、低圧側電磁弁264,265及び帰還用電磁弁268,269に対して閉指令を与え、分岐電磁弁311,312、低圧側電磁弁263及び電磁弁A,Bに対して開指令を与えるものである。また、すべての商品収容庫3の内部空気を冷却する場合、すなわち右庫3a、中庫3b及び左庫3cに収容された商品を冷却するいわゆるCCC運転を行う場合、分岐電磁弁311,312及び電磁弁A,Bに閉指令を与え、高圧側電磁弁261、低圧側電磁弁263,264,265及び帰還用電磁弁268,269に対して開指令を与えるものである。
また、このコントローラCは、バイパスバルブ51から開成信号が与えられた場合には、低圧側電磁弁263に対して開指令を与えるものである。
以上のような構成を有する冷媒回路装置10は、次のようにして商品収容庫3に収容された商品を冷却、あるいは加熱する。
まず、HHC運転を行う場合について説明する。この場合、コントローラCは、高圧側電磁弁261、低圧側電磁弁264,265及び帰還用電磁弁268,269に対して閉指令を与え、分岐電磁弁311,312、低圧側電磁弁263及び電磁弁A,Bに対して開指令を与える。これにより圧縮機21で圧縮された冷媒は、図4に示すように循環する。
すなわち、圧縮機21で圧縮された冷媒は、分岐経路30を通過して中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cに至る。中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cに至った冷媒は、該熱交換器を通過中に、中庫3b及び左庫3cの内部空気とそれぞれ熱交換し、該内部空気に放熱して凝縮する。これにより、中庫3b及び左庫3cの内部空気を加熱する。加熱された内部空気は、図示せぬ庫内送風ファンの駆動により、中庫3b及び左庫3cのそれぞれの内部を循環し、これにより各商品収容庫3(中庫3b及び左庫3c)に収容された商品は、循環する内部空気に加熱される。
中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cで凝縮した冷媒は、第1戻り配管41を通過して庫外熱交換器44に至り、該庫外熱交換器44で周囲空気に放熱した後、第2戻り配管42を通じて第2膨張機構45に至る。第2膨張機構45に至った冷媒は、断熱膨張する。第2膨張機構45で膨張した冷媒は、開成する低圧側電磁弁263を通過して右庫内熱交換器24aに至り、この右庫内熱交換器24aで蒸発して右庫3aの内部空気から熱を奪い、該内部空気を冷却する。冷却された内部空気は、右庫内送風ファンF1(図2参照)の駆動により右庫3aの内部を循環し、これにより右庫3aに収容された商品は冷却される。右庫内熱交換器24aで蒸発した冷媒は、アキュムレータ27にて気液分離された後、気相部分が圧縮機21に吸引され、圧縮機21に圧縮されて上述した循環を繰り返す。
次に、CCC運転を行う場合について説明する。この場合、コントローラCは、分岐電磁弁311,312及び電磁弁A,Bに閉指令を与え、高圧側電磁弁261、低圧側電磁弁263,264,265及び帰還用電磁弁268,269に対して開指令を与える。これにより圧縮機21で圧縮された冷媒は、図5に示すように循環する。
すなわち、圧縮機21で圧縮された冷媒は、開成する高圧側電磁弁261を通過して凝縮器22に至る。凝縮器22に至った冷媒は、該凝縮器22を通過中に、周囲空気(外気)に放熱して凝縮する。凝縮器22で凝縮した冷媒は、第1膨張機構23で断熱膨張し、右庫内熱交換器24a、中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cに至り、各庫内熱交換器24で蒸発して商品収容庫3の内部空気から熱を奪い、該内部空気を冷却する。冷却された内部空気は、各庫内送風ファンの駆動により内部を循環し、これにより各商品収容庫3に収容された商品は、循環する内部空気に冷却される。各庫内熱交換器24で蒸発した冷媒は、アキュムレータ27にて気液分離された後、気相部分が圧縮機21に吸引され、圧縮機21に圧縮されて上述した循環を繰り返す。
ところで、このようなCCC運転を行う場合に高圧側電磁弁261に閉故障が生じた場合や、HHC運転を行う場合に分岐電磁弁311,312に閉故障が生じた場合、更には運転状態に関係なく高圧側電磁弁261及び分岐電磁弁311,312のすべてに閉故障が生じた場合には、駆動し続ける圧縮機21により圧縮された冷媒が吐出される結果、圧縮機21の出口側の冷媒配管25の経路中の圧力が非常に高くなる。このように圧縮機21の出口側経路の圧力が非常に高くなる結果、かかる経路に連通する、バイパス経路50におけるバイパスバルブ51の配設個所上流側の圧力が予め決められている閾値を超える場合に、バイパスバルブ51は開成する。バイパスバルブ51が開成した場合には、開成信号がコントローラCに与えられ、コントローラCは低圧側電磁弁263を開成させる。その結果、圧縮機21で圧縮された冷媒は、図6に示すように循環する。
すなわち、圧縮機21で圧縮された冷媒は、バイパスバルブ51が開成することによりバイパス経路50を通過して凝縮器22に至る。凝縮器22に至った冷媒は、該凝縮器22を通過中に、周囲空気(外気)に放熱して凝縮する。凝縮器22で凝縮した冷媒は、第1膨張機構23で断熱膨張し、開成する低圧側電磁弁263を通過して右庫内熱交換器24aに至り、右庫内熱交換器24aで蒸発して右庫3aの内部空気から熱を奪い、該内部空気を冷却する。冷却された内部空気は、右庫内送風ファンF1の駆動により内部を循環し、これにより右庫3aに収容された商品は、循環する内部空気に冷却される。右庫内熱交換器24aで蒸発した冷媒は、アキュムレータ27にて気液分離された後、気相部分が圧縮機21に吸引され、圧縮機21に圧縮されて上述した循環を繰り返す。
以上説明したように、本実施の形態1における冷媒回路装置10によれば、バイパス経路50が、圧縮機21から高圧側電磁弁261に至る経路の途中で分岐して、高圧側電磁弁261から凝縮器22に至る経路の途中に合流する態様で配設され、バイパス経路50の所定個所に配設されたバイパスバルブ51が、常態においては閉成して該バイパス経路50を冷媒が通過することを規制する一方、配設個所よりも上流側の圧力が予め決められた閾値を超える場合には開成して該バイパス経路50を冷媒が通過することを許容するので、高圧側電磁弁261や分岐電磁弁311,312に閉故障が生じても圧縮機21の出口側の冷媒配管25の経路に高圧異常が生じることを回避することができ、圧縮機21が破損してしまう虞れがない。従って、圧縮機21で圧縮された冷媒を導入するための電磁弁が閉故障してしまった場合に、圧縮機21が破損してしまうことを防止することができる。このように圧縮機21が破損してしまうことを防止できるので、ルートマン等が自動販売機から圧縮機21を取り出して修理する必要がない。特に、バイパスバルブ51が開成した場合に低圧側電磁弁263を開成させるので、冷却専用庫となる右庫3aの右庫内熱交換器24aには継続して冷媒を供給することができ、これにより右庫3aに収容する商品を安定して冷却することができる。
以上、本発明の好適な実施の形態1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。例えば、上述した実施の形態1では、バイパス経路50は、高圧電磁弁から凝縮器22に至る経路の途中に合流する態様で配設されていたが、本発明では、凝縮器22から第1膨張機構23に至る経路の途中に合流する態様で配設されていても構わない。このような構成によっても、圧縮機21で圧縮された冷媒を導入するための電磁弁が閉故障してしまった場合に、圧縮機21が破損してしまうことを防止することができる。
<実施の形態2>
図7は、本発明の実施の形態2である冷媒回路装置を概念的に示す概念図である。尚、上述した実施の形態1と同一の構成を有するものには同一の符号を付して説明を省略する。ここで例示する冷媒回路装置11は、主回路20、分岐経路30、戻り経路40、バイパス経路52、バイパスバルブ(バイパス用弁体)53及びコントローラCを備えている。
バイパス経路52は、圧縮機21から高圧側電磁弁261に至る経路の途中、すなわち高圧側分岐点253から高圧側電磁弁261に至る経路の途中で分岐し、第2戻り配管42の途中、すなわち庫外熱交換器44の上流側経路に合流する態様で設けたバイパス配管により構成してある。このバイパス経路52は、圧縮された冷媒を庫外凝縮器22に送出するためのものである。
バイパスバルブ53は、バイパス経路52を構成するバイパス配管に設けてある。このバイパスバルブ53は、例えばリリーフバルブのようなものであり、常態においては閉成して該バイパス経路(バイパス配管)52を冷媒が通過することを規制する一方、配設個所よりも上流側の圧力が予め決められた閾値を超える場合には開成して該バイパス経路(バイパス配管)52を冷媒が通過することを許容するものである。このバイパスバルブ53が開成した場合には、その旨の開成信号がコントローラCに与えられる。ここで、バイパスバルブ53に予め決められている閾値は、圧縮機21の出口側の経路に高圧異常が生じない程度の大きさとされている。
このような構成において、CCC運転を行う場合に高圧側電磁弁261に閉故障が生じた場合や、HHC運転を行う場合に分岐電磁弁311,312に閉故障が生じた場合、更には運転状態に関係なく高圧側電磁弁261及び分岐電磁弁311,312のすべてに閉故障が生じた場合には、圧縮機21で圧縮された冷媒が吐出される結果、圧縮機21の出口側の冷媒配管25の経路中の圧力が非常に高くなる。このように圧縮機21の出口側経路の圧力が非常に高くなる結果、かかる経路に連通する、バイパス経路52におけるバイパスバルブ53の配設個所上流側の圧力が予め決められている閾値を超える場合に、バイパスバルブ53は開成する。バイパスバルブ53が開成した場合には、開成信号がコントローラCに与えられ、コントローラCは低圧側電磁弁263を開成させる。その結果、圧縮機21で圧縮された冷媒は、バイパスバルブ53が開成することによりバイパス経路52を通過して庫外熱交換器44に至る。庫外熱交換器44に至った冷媒は、該庫外熱交換器44を通過中に、周囲空気(外気)に放熱して凝縮する。庫外熱交換器44で凝縮した冷媒は、第2膨張機構45で断熱膨張し、開成する低圧側電磁弁263を通過して右庫内熱交換器24aに至り、右庫内熱交換器24aで蒸発して右庫3aの内部空気から熱を奪い、該内部空気を冷却する。冷却された内部空気は、右庫内送風ファンF1の駆動により内部を循環し、これにより右庫3aに収容された商品は、循環する内部空気に冷却される。右庫内熱交換器24aで蒸発した冷媒は、アキュムレータ27にて気液分離された後、気相部分が圧縮機21に吸引され、圧縮機21に圧縮されて上述した循環を繰り返す。
以上説明したように、本実施の形態2における冷媒回路装置11によれば、バイパス経路52が、圧縮機21から高圧側電磁弁261に至る経路の途中で分岐して、戻り経路40の途中に合流する態様で配設され、バイパス経路52の所定個所に配設されたバイパスバルブ53が、常態においては閉成して該バイパス経路52を冷媒が通過することを規制する一方、配設個所よりも上流側の圧力が予め決められた閾値を超える場合には開成して該バイパス経路52を冷媒が通過することを許容するので、高圧側電磁弁261や分岐電磁弁311,312に閉故障が生じても圧縮機21の出口側の冷媒配管25の経路に高圧異常が生じることを回避することができ、圧縮機21が破損してしまう虞れがない。従って、圧縮機21で圧縮された冷媒を導入するための電磁弁が閉故障してしまった場合に、圧縮機21が破損してしまうことを防止することができる。
以上、本発明の好適な実施の形態2について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。例えば、上述した実施の形態2では、バイパス経路52は、第2戻り配管42の途中、すなわち庫外熱交換器44の上流側経路の途中に合流する態様で配設されていたが、本発明では、戻り経路40の途中であればどこでも構わない。これによっても、圧縮機21で圧縮された冷媒を導入するための電磁弁が閉故障してしまった場合に、圧縮機21が破損してしまうことを防止することができる。
<実施の形態3>
図8は、本発明の実施の形態3である冷媒回路装置を概念的に示す概念図である。尚、上述した実施の形態1と同一の構成を有するものには同一の符号を付して説明を省略する。ここで例示する冷媒回路装置12は、主回路20、分岐経路30、戻り経路40、第1バイパス経路54、第2バイパス経路55、第3バイパス経路56、第1バイパスバルブ57、第2バイパスバルブ58、第3バイパスバルブ59及びコントローラCを備えている。
第1バイパス経路54は、圧縮機21から高圧側電磁弁261に至る経路の途中、すなわち高圧側分岐点253から高圧側電磁弁261に至る経路の途中で分岐し、高圧側電磁弁261から凝縮器22に至る経路(冷媒配管25)に合流する態様で設けたバイパス配管により構成してある。この第1バイパス経路54は、圧縮された冷媒を凝縮器22に送出するためのものである。
第2バイパス経路55は、圧縮機21から分岐電磁弁311に至る経路の途中、すなわち分岐電磁弁311の上流側経路の途中で分岐し、分岐電磁弁311から中庫内熱交換器24bに至る経路(分岐配管)に合流する態様で設けたバイパス配管により構成してある。この第2バイパス経路55は、圧縮された冷媒を中庫内熱交換器24bに送出するためのものである。
第3バイパス経路56は、圧縮機21から分岐電磁弁312に至る経路の途中、すなわち分岐電磁弁312の上流側経路の途中で分岐し、分岐電磁弁312から左庫内熱交換器24cに至る経路(分岐配管)に合流する態様で設けたバイパス配管により構成してある。この第3バイパス経路56は、圧縮された冷媒を左庫内熱交換器24cに送出するためのものである。
第1バイパスバルブ57は、第1バイパス経路54を構成するバイパス配管に設けてある。この第1バイパスバルブ57は、例えばリリーフバルブのようなものであり、常態においては閉成して該第1バイパス経路(バイパス配管)54を冷媒が通過することを規制する一方、配設個所よりも上流側の圧力が予め決められた閾値を超える場合には開成して該第1バイパス経路(バイパス配管)54を冷媒が通過することを許容するものである。ここで、第1バイパスバルブ57に予め決められている閾値は、圧縮機21の出口側の経路に高圧異常が生じない程度の大きさとされている。
第2バイパスバルブ58は、第2バイパス経路55を構成するバイパス配管に設けてある。この第2バイパスバルブ58は、例えばリリーフバルブのようなものであり、常態においては閉成して該第2バイパス経路(バイパス配管)55を冷媒が通過することを規制する一方、配設個所よりも上流側の圧力が予め決められた閾値を超える場合には開成して該第2バイパス経路(バイパス配管)55を冷媒が通過することを許容するものである。ここで、第2バイパスバルブ58に予め決められている閾値は、圧縮機21の出口側の経路に高圧異常が生じない程度の大きさとされている。
第3バイパスバルブ59は、第3バイパス経路56を構成するバイパス配管に設けてある。この第3バイパスバルブ59は、例えばリリーフバルブのようなものであり、常態においては閉成して該第3バイパス経路(バイパス配管)56を冷媒が通過することを規制する一方、配設個所よりも上流側の圧力が予め決められた閾値を超える場合には開成して該第3バイパス経路(バイパス配管)56を冷媒が通過することを許容するものである。ここで、第3バイパスバルブ59に予め決められている閾値は、圧縮機21の出口側の経路に高圧異常が生じない程度の大きさとされている。
このような構成において、CCC運転を行う場合に高圧側電磁弁261に閉故障が生じた場合や、HHC運転を行う場合に分岐電磁弁311,312に閉故障が生じた場合、更には運転状態に関係なく高圧側電磁弁261及び分岐電磁弁311,312のすべてに閉故障が生じた場合には、圧縮機21で圧縮された冷媒が吐出される結果、圧縮機21の出口側の冷媒配管25の経路中の圧力が非常に高くなる。このように圧縮機21の出口側経路の圧力が非常に高くなる結果、第1バイパスバルブ57、第2バイパスバルブ58及び第3バイパスバルブ59のいずれかが開成した場合には、開成信号がコントローラCに与えられ、コントローラCは低圧側電磁弁263を開成させる。その結果、圧縮機21で圧縮された冷媒は、開成したバイパスバルブ53が配設されたバイパス経路52を通過して、凝縮器22、中庫内熱交換器24b及び左庫内熱交換器24cのいずれかに至る。
凝縮器22に至った冷媒は、該凝縮器22を通過中に、周囲空気(外気)に放熱して凝縮する。凝縮器22で凝縮した冷媒は、第1膨張機構23で断熱膨張し、開成する低圧側電磁弁263を通過して右庫内熱交換器24aに至り、右庫内熱交換器24aで蒸発して右庫3aの内部空気から熱を奪い、該内部空気を冷却する。右庫内熱交換器24aで蒸発した冷媒は、アキュムレータ27にて気液分離された後、気相部分が圧縮機21に吸引され、圧縮機21に圧縮されて上述した循環を繰り返す。
中庫内熱交換器24bに至った冷媒は、該熱交換器を通過中に、中庫3bの内部空気とそれぞれ熱交換し、該内部空気に放熱して凝縮する。これにより、中庫3bの内部空気を加熱する。中庫内熱交換器24bで凝縮した冷媒は、第1戻り配管41を通過して庫外熱交換器44に至り、該庫外熱交換器44で周囲空気に放熱した後、第2戻り配管42を通じて第2膨張機構45に至る。第2膨張機構45に至った冷媒は、断熱膨張する。第2膨張機構45で膨張した冷媒は、開成する低圧側電磁弁263を通過して右庫内熱交換器24aに至り、この右庫内熱交換器24aで蒸発して右庫3aの内部空気から熱を奪い、該内部空気を冷却する。右庫内熱交換器24aで蒸発した冷媒は、アキュムレータ27にて気液分離された後、気相部分が圧縮機21に吸引され、圧縮機21に圧縮されて上述した循環を繰り返す。
左庫内熱交換器24cに至った冷媒は、該熱交換器を通過中に、左庫3cの内部空気とそれぞれ熱交換し、該内部空気に放熱して凝縮する。これにより、左庫3cの内部空気を加熱する。左庫内熱交換器24cで凝縮した冷媒は、第1戻り配管41を通過して庫外熱交換器44に至り、該庫外熱交換器44で周囲空気に放熱した後、第2戻り配管42を通じて第2膨張機構45に至る。第2膨張機構45に至った冷媒は、断熱膨張する。第2膨張機構45で膨張した冷媒は、開成する低圧側電磁弁263を通過して右庫内熱交換器24aに至り、この右庫内熱交換器24aで蒸発して右庫3aの内部空気から熱を奪い、該内部空気を冷却する。右庫内熱交換器24aで蒸発した冷媒は、アキュムレータ27にて気液分離された後、気相部分が圧縮機21に吸引され、圧縮機21に圧縮されて上述した循環を繰り返す。
以上説明したように、本実施の形態3における冷媒回路装置12によれば、第1バイパス経路54が、圧縮機21から高圧側電磁弁261に至る経路の途中で分岐して、高圧側電磁弁261から凝縮器22に至る経路の途中に合流する態様で配設され、第1バイパス経路54の所定個所に配設された第1バイパスバルブ57が、常態においては閉成して該第1バイパス経路54を冷媒が通過することを規制する一方、配設個所よりも上流側の圧力が予め決められた閾値を超える場合には開成して該第1バイパス経路54を冷媒が通過することを許容し、第2バイパス経路55が、圧縮機21から分岐電磁弁311に至る経路の途中で分岐して、分岐電磁弁311から中庫内熱交換器24bに至る経路の途中に合流する態様で配設され、第2バイパス経路55の所定個所に配設された第2バイパスバルブ58が、常態においては閉成して該第2バイパス経路55を冷媒が通過することを規制する一方、配設個所よりも上流側の圧力が予め決められた閾値を超える場合には開成して該第2バイパス経路55を冷媒が通過することを許容し、第3バイパス経路56が、圧縮機21から分岐電磁弁312に至る経路の途中で分岐して、分岐電磁弁312から左庫内熱交換器24cに至る経路の途中に合流する態様で配設され、第3バイパス経路56の所定個所に配設された第3バイパスバルブ59が、常態においては閉成して該第3バイパス経路56を冷媒が通過することを規制する一方、配設個所よりも上流側の圧力が予め決められた閾値を超える場合には開成して該第3バイパス経路56を冷媒が通過することを許容するので、高圧側電磁弁261や分岐電磁弁311,312に閉故障が生じても圧縮機21の出口側の冷媒配管25の経路に高圧異常が生じることを回避することができ、圧縮機21が破損してしまう虞れがない。従って、圧縮機21で圧縮された冷媒を導入するための電磁弁が閉故障してしまった場合に、圧縮機21が破損してしまうことを防止することができる。
<実施の形態4>
図9は、本発明の実施の形態4である冷媒回路装置を概念的に示す概念図である。尚、上述した実施の形態1と同一の構成を有するものには同一の符号を付して説明を省略する。ここで例示する冷媒回路装置13は、主回路20、分岐経路30、戻り経路40、バイパス経路60、バイパスバルブ(バイパス用弁体)61及びコントローラCを備えている。
バイパス経路60は、圧縮機21から高圧側電磁弁261に至る経路の途中、すなわち高圧側分岐点253から高圧側電磁弁261に至る経路の途中で分岐し、アキュムレータ27の上流側経路、すなわち合流点252からアキュムレータ27に至る経路に合流する態様で設けたバイパス配管により構成してある。このバイパス経路60は、圧縮された冷媒をアキュムレータ27に主に送出するためのものである。
バイパスバルブ61は、バイパス経路60を構成するバイパス配管に設けてある。このバイパスバルブ61は、例えばリリーフバルブのようなものであり、常態においては閉成して該バイパス経路(バイパス配管)60を冷媒が通過することを規制する一方、配設個所よりも上流側の圧力が予め決められた閾値を超える場合には開成して該バイパス経路(バイパス配管)60を冷媒が通過することを許容するものである。このバイパスバルブ61が開成した場合には、その旨の開成信号がコントローラCに与えられる。ここで、バイパスバルブ61に予め決められている閾値は、圧縮機21の出口側の経路に高圧異常が生じない程度の大きさとされている。
このような構成において、CCC運転を行う場合に高圧側電磁弁261に閉故障が生じた場合や、HHC運転を行う場合に分岐電磁弁311,312に閉故障が生じた場合、更には運転状態に関係なく高圧側電磁弁261及び分岐電磁弁311,312のすべてに閉故障が生じた場合には、圧縮機21で圧縮された冷媒が吐出される結果、圧縮機21の出口側の冷媒配管25の経路中の圧力が非常に高くなる。このように圧縮機21の出口側経路の圧力が非常に高くなる結果、かかる経路に連通する、バイパス経路60におけるバイパスバルブ61の配設個所上流側の圧力が予め決められている閾値を超える場合に、バイパスバルブ61は開成する。バイパスバルブ61が開成した場合には、開成信号がコントローラCに与えられる。その結果、圧縮機21で圧縮された冷媒は、バイパスバルブ61が開成することによりバイパス経路60を通過して主にアキュムレータ27に至るので、圧縮機21の出口側の経路の圧力上昇に要する時間を長大化させることが可能になる。
以上説明したように、本実施の形態4における冷媒回路装置13によれば、バイパス経路60が、圧縮機21から高圧側電磁弁261に至る経路の途中で分岐して、アキュムレータ27の上流側経路の途中に合流する態様で配設され、バイパス経路60の所定個所に配設されたバイパスバルブ61が、常態においては閉成して該バイパス経路60を冷媒が通過することを規制する一方、配設個所よりも上流側の圧力が予め決められた閾値を超える場合には開成して該バイパス経路60を冷媒が通過することを許容するので、高圧側電磁弁261や分岐電磁弁311,312に閉故障が生じても圧縮機21の出口側の冷媒配管25の経路における圧力上昇に要する時間を長大化させることができ、高圧異常の発生を検出する時間を確保することができ、これにより圧縮機21が破損してしまう事態を回避することが可能になる。従って、圧縮機21で圧縮された冷媒を導入するための電磁弁が閉故障してしまった場合に、圧縮機21が破損してしまうことを防止することができる。特に、パイパス経路60が主回路20の高圧側で分岐して主回路20の低圧側に合流する態様で配設してあるので、バイパスバルブ61の開成動作及び閉成動作をスムースに行うことができる。
以上、本発明の好適な実施の形態4について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。例えば、上述した実施の形態4では、バイパス経路60は、アキュムレータ27の上流側経路の途中に合流する態様で配設されていたが、本発明では、低圧側領域における経路(第1膨張機構23、あるいは第2膨張機構45から圧縮機21に至る経路)の途中であればどこでも構わない。これによっても、圧縮機21で圧縮された冷媒を導入するための電磁弁が閉故障してしまった場合に、圧縮機21の出口側の冷媒配管25の経路における圧力上昇に要する時間を長大化させることができ、高圧異常の発生を検出する時間を確保することができ、これにより圧縮機21が破損してしまう事態を回避することが可能になる。
以上、本発明の好適な実施の形態1〜4について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。例えば、上述した実施の形態1〜4における冷媒回路装置10〜13は、例えばR134aを冷媒とする回路構成であったが、本発明においては、例えば二酸化炭素を冷媒とする回路構成であっても構わない。かかる回路構成を採用する場合には、圧縮機を二段圧縮機とし、凝縮器(あるいは庫外熱交換器)から第1膨張機構に至る冷媒と、各庫内熱交換器から圧縮機に至る冷媒とを互いに熱交換させる内部熱交換器を有している。