本実施形態の二液型接着剤組成物は、アセトアセチル変性PVAとエチレン変性PVAとを保護コロイドとする酢酸ビニル系重合体エマルジョンとイソブチレン−無水マレイン酸共重合体との混合物からなるA液と、ジアルデヒド水溶液からなるB液とからなる。
前記酢酸ビニル系重合体エマルジョンは、酢酸ビニル単独重合体エマルジョン、酢酸ビニル−アクリル酸系共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−メタクリル酸系共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−エチレン共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体エマルジョンからなる群から選択される1種のエマルジョンであり、特に、酢酸ビニル単独重合体エマルジョン、酢酸ビニル−アクリル酸系共重合体エマルジョン、酢酸ビニル−メタクリル酸系共重合体エマルジョンを好適に用いることができる。
前記酢酸ビニル−アクリル酸系共重合体エマルジョンは、酢酸ビニル単量体とアクリル酸系単量体との共重合体を含むエマルジョンであり、前記酢酸ビニル−メタクリル酸系共重合体エマルジョンは、酢酸ビニル単量体とメタクリル酸系単量体との共重合体を含むエマルジョンである。(メタ)アクリル酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリルを用いることができる。尚、前記「(メタ)アクリル酸」との記載は、「アクリル酸」又は「メタクリル酸」のいずれかを意味する。
アセトアセチル変性PVAは、分子内にアセトアセチル基を備えるPVAであって、400〜600の範囲の重合度と、98.5〜99mol%の範囲のケン化度とを備えるものであれば、特に制限はない。前記アセトアセチル変性PVAとして、例えば、酢酸の存在下、PVA系樹脂にジケテン、アセト酢酸、アセト酢酸エステル等を反応させたものを好適に用いることができる。
また、エチレン変性PVAは、分子内にエチレン基を備えるPVAであって、1600〜1800の範囲の重合度と、97.5〜99mol%の範囲のケン化度とを備えるものであれば、特に制限はない。前記エチレン変性PVAとして、例えば、エチレンと、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステルとの共重合体をケン化したものを好適に用いることができる。
まず、アセトアセチル変性PVAを固形分換算で0.45〜4.8質量部と、エチレン変性PVAを固形分換算で0.6〜5.1質量部と、水54〜57質量部とを混合し、撹拌しながら90〜99℃の範囲の温度に加熱することにより、PVA水溶液を調製する。
次に、得られたPVA水溶液に、酢酸ナトリウム0.03〜0.06質量部と、酢酸ビニル単量体4質量部と、公知の重合開始剤とを添加し、60〜80℃の範囲の温度に加熱し、該酢酸ビニル単量体を初期重合させることにより、エマルジョン前駆体を調製する。このとき、前記酢酸ナトリウムに代えて、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムを用いてもよい。前記公知の重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素−酒石酸、過酸化水素−アスコルビン酸、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチルニトリル等を挙げることができる。
次に、得られたエマルジョン前駆体に、酢酸ビニル単量体35.7〜37.8質量部と公知の重合開始剤とを2〜5時間掛けて滴下することにより、アセトアセチル変性PVAとエチレン変性PVAとを保護コロイドとする酢酸ビニル単独重合体エマルジョンを調製することができる。
前記酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、酢酸ビニル単量体100質量部に対してアセトアセチル変性PVAとエチレン変性PVAとを固形分換算で合計7.5〜15質量部の範囲で含む。すなわち、前記酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、酢酸ビニル単独重合体100質量部に対してアセトアセチル変性PVAとエチレン変性PVAとを固形分換算で合計7〜13質量部の範囲で含む。また、前記酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、アセトアセチル変性PVAとエチレン変性PVAとの固形分換算の合計量に対して該アセトアセチル変性PVAを固形分換算で15〜80質量%の範囲で含む。
まず、得られたPVA水溶液に、前記酢酸ビニル単量体と公知の重合開始剤とに加えてアクリル酸系単量体0.004〜0.2質量部を添加して前記加熱を行い、酢酸ビニル単量体及びアクリル酸系単量体を初期共重合させることにより、エマルジョン前駆体を調製する。
次に、得られた前駆体に、酢酸ビニル単量体35.7〜37.8質量部と公知の重合開始剤とに加えてアクリル酸系単量体0.036〜1.9質量部とを2〜5時間掛けて滴下する。これにより、アセトアセチル変性PVAとエチレン変性PVAとを保護コロイドとする酢酸ビニル−アクリル酸系共重合体エマルジョンを調製することができる。
得られた酢酸ビニル−アクリル酸系共重合体エマルジョンは、酢酸ビニル−アクリル酸系共重合体100質量部に対してアセトアセチル変性PVAとエチレン変性PVAとを固形分換算で合計7〜13質量部の範囲で含む。また、前記酢酸ビニル−アクリル酸系共重合体エマルジョンは、アセトアセチル変性PVAとエチレン変性PVAとの固形分換算の合計量に対して該アセトアセチル変性PVAを固形分換算で15〜80質量%の範囲で含む。
まず、得られたPVA水溶液に、前記酢酸ビニル単量体と公知の重合開始剤とに加えてメタクリル酸系単量体0.004〜0.2質量部を添加して前記加熱を行い、酢酸ビニル単量体及びメタクリル酸系単量体を初期共重合させることにより、エマルジョン前駆体を調製する。
次に、得られた前駆体に、酢酸ビニル単量体35.7〜37.8質量部と公知の重合開始剤とに加えてメタクリル酸系単量体0.036〜1.9質量部とを2〜5時間掛けて滴下する。これにより、アセトアセチル変性PVAとエチレン変性PVAとを保護コロイドとする酢酸ビニル−メタクリル酸系共重合体エマルジョンを調製することができる。
得られた酢酸ビニル−メタクリル酸系共重合体エマルジョンは、酢酸ビニル−メタクリル酸系共重合体100質量部に対してアセトアセチル変性PVAとエチレン変性PVAとを固形分換算で合計7〜13質量部の範囲で含む。また、前記酢酸ビニル−メタクリル酸系共重合体エマルジョンは、アセトアセチル変性PVAとエチレン変性PVAとの固形分換算の合計量に対して該アセトアセチル変性PVAを固形分換算で15〜80質量%の範囲で含む。
前記A液は、酢酸ビニル系重合体エマルジョンと、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体とを混合することにより調製され、該A液100質量部に対して前記イソブチレン−無水マレイン酸共重合体を固形分換算で3〜12質量部の範囲で含む。
前記イソブチレン−無水マレイン酸共重合体としては、例えば、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体を水に溶解したイソブチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液を用いることができる。
前記イソブチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液は、例えばイソブチレン−無水マレイン酸共重合体を固形分換算で30質量部と、25質量%アンモニア水溶液を9.8〜13.9質量部と、水56.1〜60.3質量部とを混合し、撹拌しながら90〜99℃の範囲の温度に加熱することにより得ることができる。前記イソブチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液は、前記アンモニア水溶液の混合により、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体の中和度が0.7〜1の範囲とされている。
また、ジアルデヒド水溶液からなるB液としては、例えば、グリオキサール水溶液、グルタルアルデヒド等を用いることができる。グリオキサールは、黄色柱状の結晶であり、例えば25質量%グリオキサール水溶液として用いることができる。また、グルタルアルデヒドは、無色又はわずかに薄い黄色の液体であり、例えば、25質量%グルタルアルデヒド水溶液として用いることができる。
本実施形態の二液型接着剤組成物は、A液として、アセトアセチル変性PVAとエチレン変性PVAとを保護コロイドとする酢酸ビニル系重合体エマルジョンとイソブチレン−無水マレイン酸共重合体との混合物を用いるとともに、B液として、ジアルデヒド水溶液を用いることにより、優れた耐水性を得ることができる。
また、本実施形態の二液型接着剤組成物は、アセトアセチル変性PVAが前記範囲の重合度及び前記範囲のケン化度を備えるとともに、エチレン変性PVAが前記範囲の重合度及び前記範囲のケン化度を備えることにより、被着材への優れた浸透性を得ることができる。
また、本発明の二液型接着剤組成物は、A液がイソブチレン−無水マレイン酸共重合体を前記範囲で含むとともに、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体の中和度が前記範囲であって、さらにB液としてジアルデヒド水溶液を用いている。これにより、本発明の二液型接着剤組成物は、優れた速硬化性、すなわち短時間で高い接着強度を得ることができる。
本実施形態の二液型接着剤組成物は、木質材料からなる第1の被着材と第2の被着材とを接着して複合木質材料を製造するときに用いることができる。第1の被着材と第2の被着材とは同一の木質材料からなるものであってもよく、異なる木質材料からなるものであってもよい。
前記木質材料としては、例えば、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)、高密度繊維板(HDF)、軟質繊維板(IB)、合板、化粧単板等の板材、チタン紙、ウレタンコート紙、ポリエチレン複合紙、防湿紙、突板原紙、クラフト紙、ボール紙等の紙材等を挙げることができる。
また、本実施形態の二液型接着剤組成物は、第1の被着材にA液を塗布するとともに第2の被着材にB液を塗布し、両塗布面を対向させて貼り合わせることにより、両被着材を接着することができる。或いは、本実施形態の二液型接着剤組成物は、第1の被着材にA液又はB液のいずれか一方を塗布した後で、その塗布面に他の一方(B液又はA液)を塗布して第2の被着材を対向させて貼り合わせることにより、両被着材を接着することができる。
〔1.酢酸ビニル単独重合体エマルジョンに関する評価〕
〔1−1.各PVAの重合度及びケン化度に関する評価〕
〔実施例1〕
本実施例では、まず、温度計、撹拌手段及び還流手段を有するフラスコ内に、アセトアセチル変性PVAを固形分換算で2質量部と、エチレン変性PVAを固形分換算で2質量部と、水55質量部とを混合し、撹拌しながら95℃の温度に加熱することによりPVA水溶液を調製した。前記アセトアセチル変性PVAとして、重合度500及びケン化度99mol%のアセトアセチル変性PVA(日本合成化学工業株式会社、商品名:ゴーセネックスZ−100)を用いた。また、前記エチレン変性PVAとして、重合度1700及びケン化度99mol%のエチレン変性PVA(株式会社クラレ、商品名:エクセバールRS−2117)を用いた。
次に、前記フラスコ内の前記PVA水溶液に、酢酸ナトリウムを固形分換算で0.04質量部と、酢酸ビニル単量体4質量部と、公知の重合開始剤とを添加し、80℃の温度に加熱して該酢酸ビニル単量体を初期重合させることにより、エマルジョン前駆体を調製した。
次に、前記フラスコ内の前記エマルジョン前駆体に、酢酸ビニル単量体36質量部と公知の重合開始剤とを4時間掛けて滴下することにより、アセトアセチル変性PVAとエチレン変性PVAとを保護コロイドとする酢酸ビニル単独重合体エマルジョンを調製した。
得られた酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、酢酸ビニル単量体100質量部に対してアセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAを固形分換算で合計10質量部含む(アセトアセチル変性PVA:5質量部、エチレン変性PVA:5質量部)。
すなわち、前記酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、酢酸ビニル単独重合体100質量部に対してアセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAを固形分換算で合計9.1質量部含む。また、前記酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、アセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAの固形分換算の合計量に対してアセトアセチル変性PVAを固形分換算で50質量%含む。
次に、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体(クラレ株式会社、商品名:イソバン304)を固形分換算で30質量部と、25質量%アンモニア水溶液11.1質量部と、水58.9質量部とを混合し、撹拌しながら95℃の温度に加熱することにより、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液を調製した。前記イソブチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液は、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体の中和度が0.8である。前記中和度は、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体の酸性基が全て中和された場合を1としたときの割合を示す。
次に、得られた前記酢酸ビニル単独重合体エマルジョン80質量部と、得られた前記イソブチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液20質量部とを混合し撹拌することにより、アセトアセチル変性PVAとエチレン変性PVAとを保護コロイドとする酢酸ビニル単独重合体エマルジョンと、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体との混合物からなるA液を調製した。前記A液は、該A液100質量部に対してイソブチレン−無水マレイン酸共重合体を固形分換算で6質量部含む。
次に、B液として25質量%グリオキサール水溶液を用意した。前記グリオキサールはジアルデヒド化合物の一種である。
そして、得られたA液とB液とから構成される二液型接着剤組成物を得た。
次に、木質材料からなる第1の被着材として厚さ12mm、面積900cm2のパーティクルボード(以下、PBと略記する)を用意するとともに、木質材料からなる第2の被着材としてチタン紙(65g/m2)を用意した。
次に、第1の被着材の片面にB液を11g/m2の塗布量で塗布し、PBのB液塗布面にさらにA液を45g/m2の塗布量で塗布することにより、本実施例の二液型接着剤組成物からなる接着剤層を形成した。そして、前記接着剤層上に第2の被着材を重ね合わせることにより、積層板を作製した。このとき、A液の塗工性は良好であった。
次に、得られた積層板を110℃の温度に加熱されたラミネータ装置に速度15m/分、1.1秒で通過させることにより、複合木質材料からなる試験板を2枚作製した。得られた試験板の表面平滑性は良好であった。
次に、前記試験板について、前記ラミネータ装置を通過後、A液及びB液からなる接着剤層が硬化する時間を測定したところ5秒であった。前記硬化時間は、第2の被着材が本実施例のチタン紙のように紙材からなるとき、20秒以下であれば二液型接着剤組成物は速硬化性に優れ、20秒を超えるのであれば二液型接着剤組成物は速硬化性に劣ることを示している。
次に、1枚目の試験板を用いて、第1の被着材の一端及び第2の被着材の一端を把持した状態で、該第1の被着材から該第2の被着材を該一端から該一端に対向する他端へ向かって2.5mm/秒の速度で剥離した。剥離後、前記第1の被着材の表面に付着する第2の被着材の付着面積を測定し、剥離前の第2の被着材の表面積に対する剥離後の第2の被着材の付着面積の割合を材料破断率として算出したところ、80%であった。前記材料破断率は、二液型接着剤組成物の被着材への浸透性を示し、50%以上であれば浸透性に優れることを示している。
次に、2枚目の試験板から合板の日本農林規格(以下、JASという)の1類浸せきはく離試験片(一辺75mmの正方形)を作製した。次に、前記1類浸せきはく離試験片について合板のJASの1類浸せきはく離試験によって剥離率を測定したところ、剥離率は0%であった。前記1類浸せきはく離試験では、前記1類浸せきはく離試験片を、沸騰水中に4時間浸漬した後60℃±3℃の温度で20時間乾燥し、さらに沸騰水中に4時間浸漬した後、60℃±3℃の温度で3時間乾燥したときの剥離率を測定する。前記剥離率は、前記1類浸せきはく離試験片の周囲全長300mmに対し、第2の被着材が剥離した長さの割合を百分率で表したものであり、剥離率が20%以下であれば耐水性に優れることを示している。
本実施例の二液型接着剤組成物の性能評価結果として、A液の塗工性、試験板の表面平滑性、硬化時間、材料破断率、及び剥離率を表1〜表6に示す。
〔比較例1〕
本比較例では、まず、重合度1000及びケン化度99mol%のアセトアセチル変性PVA(日本合成化学工業株式会社、商品名:ゴーセネックスZ−200)を用いた以外は、実施例1と全く同一にしてA液を調製し、二液型接着剤組成物を得た。
次に、本比較例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:良好、硬化時間:5秒、材料破断率:0%、剥離率:0%であった。性能評価結果を表1に示す。
〔比較例2〕
本比較例では、まず、重合度700及びケン化度94mol%のアセトアセチル変性PVA(日本合成化学工業株式会社、商品名:ゴーセネックスWR−12)を用いた以外は、実施例1と全く同一にしてA液を調製し、二液型接着剤組成物を得た。
次に、本比較例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:良好、硬化時間:5秒、材料破断率:0%、剥離率:0%であった。性能評価結果を表1に示す。
〔比較例3〕
本比較例では、まず、重合度1000及びケン化度99.6mol%のエチレン変性PVA(株式会社クラレ、商品名:エクセバールHR−3010)を用いた以外は、実施例1と全く同一にしてA液を調製し、二液型接着剤組成物を得た。
次に、本比較例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:良好、硬化時間:5秒、材料破断率:0%、剥離率:0%であった。性能評価結果を表1に示す。
〔比較例4〕
本比較例では、まず、重合度1700及びケン化度93mol%のエチレン変性PVA(株式会社クラレ、商品名:エクセバールRS−1717)を用いた以外は、実施例1と全く同一にしてA液を調製し、二液型接着剤組成物を得た。
次に、本比較例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:良好、硬化時間:5秒、材料破断率:0%、剥離率:0%であった。性能評価結果を表1に示す。
表1から、実施例1の二液型接着剤組成物は、第1の被着材がPBであり第2の被着材がチタン紙である複合木質材料からなる試験板に用いるとき、A液の塗工性及び表面平滑性に優れることが明らかである。また、実施例1の二液型接着剤組成物は、前記試験板に用いるとき、硬化時間が5秒以下であって速硬化性に優れるとともに、材料破断率が80%であって被着材への浸透性に優れ、さらに、剥離率が0%であって耐水性に優れることが明らかである。ここで、実施例1の二液型接着剤組成物は、アセトアセチル変性PVAが400〜600の範囲の重合度と98.5〜99mol%の範囲のケン化度とを備え、エチレン変性PVAが1600〜1800の範囲の重合度と、97.5〜99mol%の範囲のケン化度とを備えている。
一方、アセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAのそれぞれの重合度及びケン化度が前記条件を満たさない比較例1−4の二液型接着材組成物は、前記試験板に用いるとき、材料破断率が0%であって被着材への浸透性に劣ることが明らかである。
〔1−2.PVA合計含有量に関する評価〕
〔実施例2〕
本実施例では、まず、アセトアセチル変性PVAを固形分換算で1.5質量部とし、エチレン変性PVAを固形分換算で1.5質量部とし、水を57質量部とした以外は、実施例1と全く同一にしてPVA水溶液を調製した。
次に、本実施例のPVA水溶液を用いた以外は、実施例1と全く同一にして酢酸ビニル単独重合体エマルジョンを調製した。得られた酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、酢酸ビニル単量体100質量部に対してアセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAを固形分換算で合計7.5質量部含む(アセトアセチル変性PVA:3.75質量部、エチレン変性PVA:3.75質量部)。
すなわち、前記酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、酢酸ビニル単独重合体100質量部に対してアセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAを固形分換算で合計7質量部含む。また、前記酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、アセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAの固形分換算の合計量に対してアセトアセチル変性PVAを固形分換算で50質量%含む。
次に、本実施例の酢酸ビニル単独重合体エマルジョンを用いた以外は、実施例1と全く同一にしてA液を調製し、二液型接着剤組成物を得た。
次に、本実施例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:良好、硬化時間:5秒、材料破断率:80%、剥離率:0%であった。性能評価結果を表2に示す。
〔実施例3〕
本実施例では、まず、アセトアセチル変性PVAを固形分換算で3質量部とし、エチレン変性PVAを固形分換算で3質量部とし、水を54質量部とした以外は、実施例1と全く同一にしてPVA水溶液を調製した。
次に、本実施例のPVA水溶液を用いた以外は、実施例1と全く同一にして酢酸ビニル単独重合体エマルジョンを調製した。得られた酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、酢酸ビニル単量体100質量部に対してアセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAを固形分換算で合計15質量部含む(アセトアセチル変性PVA:7.5質量部、エチレン変性PVA:7.5質量部)。
すなわち、前記酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、酢酸ビニル単独重合体100質量部に対してアセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAを固形分換算で合計13質量部含む。また、前記酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、アセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAの固形分換算の合計量に対してアセトアセチル変性PVAを固形分換算で50質量%含む。
次に、本実施例の酢酸ビニル単独重合体エマルジョンを用いた以外は、実施例1と全く同一にしてA液を調製し、二液型接着剤組成物を得た。
次に、本実施例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:良好、硬化時間:5秒、材料破断率:70%、剥離率:0%であった。性能評価結果を表2に示す。
〔比較例5〕
本比較例では、まず、アセトアセチル変性PVAを固形分換算で1質量部とし、エチレン変性PVAを固形分換算で1質量部とし、水を58質量部とした以外は、実施例1と全く同一にしてPVA水溶液を調製した。
次に、本比較例のPVA水溶液を用いた以外は、実施例1と全く同一にして酢酸ビニル単独重合体エマルジョンを調製しようとしたが、PVA水溶液と酢酸ビニル単量体とが分離し乳化させることができなかった。結果を表2に示す。
調製しようとした酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、酢酸ビニル単独重合体100質量部に対してアセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAを固形分換算で合計5質量部含む(アセトアセチル変性PVA:2.5質量部、エチレン変性PVA:2.5質量部)。
すなわち、前記酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、酢酸ビニル単独重合体100質量部に対してアセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAを固形分換算で合計4.8質量部含む。また、前記酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、アセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAの固形分換算の合計量に対してアセトアセチル変性PVAを固形分換算で50質量%含む。
〔比較例6〕
本比較例では、まず、アセトアセチル変性PVAを固形分換算で4質量部とし、エチレン変性PVAを固形分換算で4質量部とし、水を52質量部とした以外は、実施例1と全く同一にしてPVA水溶液を調製した。
次に、本比較例のPVA水溶液を用いた以外は、実施例1と全く同一にして酢酸ビニル単独重合体エマルジョンを調製しようとしたが、酢酸ビニル単量体の滴下完了前に、両PVAが保護コロイドとして作用できなくなり、該酢酸ビニル単独重合体エマルジョンが分離するとともに粗粒子が生じた。結果を表2に示す。
調製しようとした酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、酢酸ビニル単独重合体100質量部に対してアセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAを固形分換算で合計20質量部含む(アセトアセチル変性PVA:10質量部、エチレン変性PVA:10質量部)。
すなわち、前記酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、酢酸ビニル単独重合体100質量部に対してアセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAを固形分換算で合計16.7質量部含む。また、前記酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、アセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAの固形分換算の合計量に対してアセトアセチル変性PVAを固形分換算で50質量%含む。
表2から、実施例1−3の二液型接着剤組成物は、前記試験板に用いるとき、A液の塗工性及び表面平滑性に優れることが明らかである。また、実施例1−3の二液型接着剤組成物は、前記試験板に用いるとき、硬化時間が5秒以下であって速硬化性に優れるとともに、材料破断率が70〜80%であって被着材への浸透性に優れ、さらに、剥離率が0%であって耐水性に優れることが明らかである。ここで、実施例1−3の二液型接着剤組成物は、A液を構成する酢酸ビニル単独重合体エマルジョンにおいて、酢酸ビニル単独重合体100質量部に対するアセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAの含有量が固形分換算で合計7〜13質量部の範囲内である。
一方、前記アセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAの含有量が前記範囲外である比較例5,6では、A液を構成する酢酸ビニル単独重合体エマルジョン自体を調製することができず、二液型接着剤組成物として使用できないことは明らかである。
〔1−3.アセトアセチル変性PVAの含有量に関する評価〕
〔実施例4〕
本実施例では、まず、アセトアセチル変性PVAを固形分換算で0.6質量部とし、エチレン変性PVAを固形分換算で3.4質量部とした以外は、実施例1と全く同一にしてPVA水溶液を調製した。
次に、本実施例のPVA水溶液を用いた以外は、実施例1と全く同一にして酢酸ビニル単独重合体エマルジョンを調製した。得られた酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、酢酸ビニル単量体100質量部に対してアセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAを固形分換算で合計10質量部含む(アセトアセチル変性PVA:1.5質量部、エチレン変性PVA:8.5質量部)。
すなわち、前記酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、酢酸ビニル単独重合体100質量部に対してアセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAを固形分換算で合計9.1質量部含む。また、前記酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、アセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAの固形分換算の合計量に対してアセトアセチル変性PVAを固形分換算で15質量%含む。
次に、本実施例の酢酸ビニル単独重合体エマルジョンを用いた以外は、実施例1と全く同一にしてA液を調製し、二液型接着剤組成物を得た。
次に、本実施例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:良好、硬化時間:5秒、材料破断率:80%、剥離率:20%であった。性能評価結果を表3に示す。
〔実施例5〕
本実施例では、まず、アセトアセチル変性PVAを固形分換算で3.2質量部とし、エチレン変性PVAを固形分換算で0.8質量部とした以外は、実施例1と全く同一にしてPVA水溶液を調製した。
次に、本実施例のPVA水溶液を用いた以外は、実施例1と全く同一にして酢酸ビニル単独重合体エマルジョンを調製した。得られた酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、酢酸ビニル単量体100質量部に対してアセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAを固形分換算で合計10質量部含む(アセトアセチル変性PVA:8質量部、エチレン変性PVA:2質量部)。
すなわち、前記酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、酢酸ビニル単独重合体100質量部に対してアセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAを固形分換算で合計9.1質量部含む。また、アセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAの固形分換算の合計量に対してアセトアセチル変性PVAを固形分換算で80質量%含む。
次に、本実施例の酢酸ビニル単独重合体エマルジョンを用いた以外は、実施例1と全く同一にしてA液を調製し、二液型接着剤組成物を得た。
次に、本実施例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:良好、硬化時間:5秒、材料破断率:80%、剥離率:0%であった。性能評価結果を表3に示す。
〔比較例7〕
本比較例では、まず、エチレン変性PVAは全く用いずに、アセトアセチル変性PVAを固形分換算で4質量部とした以外は、実施例1と全く同一にしてPVA水溶液を調製した。
次に、本比較例のPVA水溶液を用いた以外は、実施例1と全く同一にして酢酸ビニル単独重合体エマルジョンを調製した。得られた酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、酢酸ビニル単量体100質量部に対してアセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAを固形分換算で合計10質量部含む(アセトアセチル変性PVA:10質量部、エチレン変性PVA:0質量部)。
すなわち、前記酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、酢酸ビニル単独重合体100質量部に対してアセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAを固形分換算で合計9.1質量部含む。また、前記酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、アセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAの固形分換算の合計量に対してアセトアセチル変性PVAを固形分換算で100質量%含む。
次に、本比較例の酢酸ビニル単独重合体エマルジョンを用いた以外は、実施例1と全く同一にしてA液を調製し、二液型接着剤組成物を得た。
次に、本比較例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:良好、硬化時間:5秒、材料破断率:0%、剥離率:0%であった。性能評価結果を表3に示す。
〔比較例8〕
本比較例では、まず、アセトアセチル変性PVAは全く用いずに、エチレン変性PVAを固形分換算で4質量部とした以外は、実施例1と全く同一にしてPVA水溶液を調製した。
次に、本比較例のPVA水溶液を用いた以外は、実施例1と全く同一にして酢酸ビニル単独重合体エマルジョンを調製した。得られた酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、酢酸ビニル単量体100質量部に対してアセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAを固形分換算で合計10質量部含む(アセトアセチル変性PVA:0質量部、エチレン変性PVA:10質量部)。
すなわち、前記酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、酢酸ビニル単独重合体100質量部に対してアセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAを固形分換算で合計9.1質量部含む。また、アセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAの固形分換算の合計量に対してアセトアセチル変性PVAを全く含まない。
次に、本比較例の酢酸ビニル単独重合体エマルジョンを用いた以外は、実施例1と全く同一にしてA液を調製し、二液型接着剤組成物を得た。
次に、本比較例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:良好、硬化時間:5秒、材料破断率:0%、剥離率:80%であった。性能評価結果を表3に示す。
〔比較例9〕
本比較例では、まず、アセトアセチル変性PVAを固形分換算で0.4質量部とし、エチレン変性PVAを固形分換算で3.6質量部とした以外は、実施例1と全く同一にしてPVA水溶液を調製した。
次に、本比較例のPVA水溶液を用いた以外は、実施例1と全く同一にして酢酸ビニル単独重合体エマルジョンを調製した。得られた酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、酢酸ビニル単量体100質量部に対してアセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAを固形分換算で合計10質量部含む(アセトアセチル変性PVA:1質量部、エチレン変性PVA:9質量部)。
すなわち、前記酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、酢酸ビニル単独重合体100質量部に対してアセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAを固形分換算で合計9.1質量部含む。また、前記酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、アセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAの固形分換算の合計量に対してアセトアセチル変性PVAを固形分換算で10質量%含む。
次に、本比較例の酢酸ビニル単独重合体エマルジョンを用いた以外は、実施例1と全く同一にしてA液を調製し、二液型接着剤組成物を得た。
次に、本比較例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:良好、硬化時間:5秒、材料破断率:10%、剥離率:80%であった。性能評価結果を表3に示す。
〔比較例10〕
本比較例では、まず、アセトアセチル変性PVAを固形分換算で3.6質量部とし、エチレン変性PVAを固形分換算で0.4質量部とした以外は、実施例1と全く同一にしてPVA水溶液を調製した。
次に、本比較例のPVA水溶液を用いた以外は、実施例1と全く同一にして酢酸ビニル単独重合体エマルジョンを調製した。得られた酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、酢酸ビニル単量体100質量部に対してアセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAを固形分換算で合計10質量部含む(アセトアセチル変性PVA:9質量部、エチレン変性PVA:1質量部)。
すなわち、前記酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、酢酸ビニル単独重合体100質量部に対してアセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAを固形分換算で合計9.1質量部含む。また、前記酢酸ビニル単独重合体エマルジョンは、アセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAの固形分換算の合計量に対してアセトアセチル変性PVAを固形分換算で90質量%含む。
次に、本比較例の酢酸ビニル単独重合体エマルジョンを用いた以外は、実施例1と全く同一にしてA液を調製し、二液型接着剤組成物を得た。
次に、本比較例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:良好、硬化時間:5秒、材料破断率:10%、剥離率:0%であった。性能評価結果を表3に示す。
表3から、実施例1,4,5の二液型接着剤組成物は、前記試験板に用いるとき、A液の塗工性及び表面平滑性に優れることが明らかである。また、実施例1,4,5の二液型接着剤組成物は、前記試験板に用いるとき、速硬化性に優れるとともに、材料破断率が80%であって被着材への浸透性に優れ、さらに剥離率が0〜20%であって耐水性に優れることが明らかである。ここで、実施例4,5の二液型接着剤組成物は、A液を構成する酢酸ビニル単独重合体エマルジョンにおいて、両PVAの固形分換算の合計量に対する該アセトアセチル変性PVAの固形分換算の含有量が15〜80質量%の範囲内である。
一方、前記含有量が前記範囲外である比較例7〜10の二液型接着剤組成物は、材料破断率が0〜10%であって被着材への浸透性に劣り、さらに比較例7,10の二液型接着剤組成物は、剥離率が0%であって耐水性にも劣ることが明らかである。
〔1−4.イソブチレン−無水マレイン酸共重合体の含有量に関する評価〕
〔実施例6〕
本実施例では、まず、実施例1と全く同一にして酢酸ビニル単独重合体エマルジョンを調製した。
次に、実施例1と全く同一にして、前記中和度が0.8であるイソブチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液を調製した。
次に、前記酢酸ビニル単独重合体エマルジョン90質量部と、前記イソブチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液10質量部とを混合した以外は、実施例1と全く同一にしてA液を調製した。前記A液は、該A液100質量部に対してイソブチレン−無水マレイン酸共重合体を固形分換算で3質量部含む。
次に、本実施例で得られたA液と前記B液とから二液型接着剤組成物を得た。
次に、本実施例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:良好、硬化時間:20秒、材料破断率:70%、剥離率:0%であった。性能評価結果を表4に示す。
〔実施例7〕
本実施例では、まず、実施例1と全く同一にして酢酸ビニル単独重合体エマルジョンを調製した。
次に、実施例1と全く同一にして、前記中和度が0.8であるイソブチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液を調製した。
次に、前記酢酸ビニル単独重合体エマルジョン60質量部と、前記イソブチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液40質量部とを混合した以外は、実施例1と全く同一にしてA液を調製した。前記A液は、該A液100質量部に対してイソブチレン−無水マレイン酸共重合体を固形分換算で12質量部含む。
次に、本実施例で得られたA液と前記B液とから二液型接着剤組成物を得た。
次に、本実施例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:良好、硬化時間:5秒、材料破断率:70%、剥離率:0%であった。性能評価結果を表4に示す。
〔比較例11〕
本比較例では、まず、実施例1と全く同一にして酢酸ビニル単独重合体エマルジョンを調製した。
次に、前記酢酸ビニル単独重合体エマルジョン100質量部をA液とした。前記A液は、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体を全く含まない。
次に、本比較例で得られたA液と前記B液とから二液型接着剤組成物を得た。
次に、本比較例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:不良(第2の被着材の表面にシワ及び膨れが生じた)、硬化時間:120秒以上、材料破断率:0%、剥離率:0%であった。性能評価結果を表4に示す。
〔比較例12〕
本比較例では、まず、実施例1と全く同一にして酢酸ビニル単独重合体エマルジョンを調製した。
次に、実施例1と全く同一にして、前記中和度が0.8であるイソブチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液を調製した。
次に、前記酢酸ビニル単独重合体エマルジョン55質量部と、前記イソブチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液45質量部とを混合した以外は、実施例1と全く同一にしてA液を調製した。前記A液は、該A液100質量部に対してイソブチレン−無水マレイン酸共重合体を固形分換算で13.5質量部含む。
次に、本比較例で得られたA液と前記B液とから二液型接着剤組成物を得た。
次に、本比較例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:不良(粘度が高くて塗布しづらい)、試験板の表面平滑性:不良(表面に凹凸が多かった)、硬化時間:5秒、材料破断率:0%、剥離率:50%であった。性能評価結果を表4に示す。
〔比較例13〕
本比較例では、まず、実施例1と全く同一にして酢酸ビニル単独重合体エマルジョンを調製した。
次に、実施例1と全く同一にして、前記中和度が0.8であるイソブチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液を調製した。
次に、前記酢酸ビニル単独重合体エマルジョン95質量部と、前記イソブチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液5質量部とを混合した以外は、実施例1と全く同一にしてA液を調製した。前記A液は、該A液100質量部に対してイソブチレン−無水マレイン酸共重合体を固形分換算で1.5質量部含む。
次に、本比較例で得られたA液と前記B液とから二液型接着剤組成物を得た。
次に、本比較例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:不良(第2の被着材の表面にシワ及び膨れが生じた)、硬化時間:120秒以上、材料破断率:0%、剥離率:0%であった。性能評価結果を表4に示す。
表4から、実施例1,6,7の二液型接着剤組成物は、前記試験板に用いるとき、A液の塗工性及び表面平滑性に優れることが明らかである。また、実施例1,6,7の二液型接着剤組成物は、前記試験板に用いるとき、硬化時間が20秒以下であって速硬化性に優れるとともに、材料破断率が70%であって被着材への浸透性に優れ、さらに耐水性に優れることが明らかである。ここで、実施例1,6,7の二液型接着剤組成物は、前記A液におけるイソブチレン−無水マレイン酸共重合体の含有量が、該A液100質量部に対して固形分換算で3〜12質量部の範囲である。
一方、前記A液におけるイソブチレン−無水マレイン酸共重合体の含有量が0〜1.5質量部である比較例11,13の二液型接着剤組成物は、いずれも、表面平滑性に劣るとともに硬化時間が120秒以上であって速硬化性に劣り、さらに材料破断率が0%であって浸透性にも劣ることが明らかである。また、前記A液におけるイソブチレン−無水マレイン酸共重合体の含有量が13.5質量部である比較例12の二液型接着剤組成物は、A液の塗工性及び表面平滑性に劣るとともに、材料破断率が0%であって浸透性に劣り、さらに剥離率が50%であって耐水性にも劣ることが明らかである。
〔1−5.中和度及び中和剤に関する評価〕
〔実施例8〕
本実施例では、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体を固形分換算で30質量部と、25質量%アンモニア水溶液9.8質量部と、水60.3質量部とした以外は、実施例1と全く同一にしてイソブチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液を調製した。前記イソブチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液は、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体の中和度が0.7である。
次に、本実施例で得られたイソブチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液を用いた以外は、実施例1と全く同一にしてA液を調製し、二液型接着剤組成物を得た。
次に、本実施例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:良好、硬化時間:20秒、材料破断率:50%、剥離率:0%であった。性能評価結果を表5に示す。
〔実施例9〕
本実施例では、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体を固形分換算で30質量部と、25質量%アンモニア水溶液13.9質量部と、水56.1質量部とした以外は、実施例1と全く同一にしてイソブチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液を調製した。前記イソブチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液は、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体の中和度が1.0である。
次に、本実施例で得られたイソブチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液を用いた以外は、実施例1と全く同一にしてA液を調製し、二液型接着剤組成物を得た。
次に、本実施例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:良好、硬化時間:5秒、材料破断率:80%、剥離率:0%であった。性能評価結果を表5に示す。
〔比較例14〕
本比較例では、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体を固形分換算で30質量部と、25質量%アンモニア水溶液5.6質量部と、水64.4質量部とした以外は、実施例1と全く同一にしてイソブチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液を調製した。前記イソブチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液は、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体の中和度が0.4である。
次に、本比較例で得られたイソブチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液を用いた以外は、実施例1と全く同一にしてA液を調製し、二液型接着剤組成物を得た。
次に、本比較例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:不良(第2の被着材の表面にシワ及び膨れが生じた)、硬化時間:120秒以上、材料破断率:0%、剥離率:0%であった。性能評価結果を表5に示す。
表5から、実施例1,8,9の二液型接着剤組成物は、前記試験板に用いるとき、A液の塗工性及び表面平滑性に優れることが明らかである。また、実施例1,8,9の二液型接着剤組成物は、前記試験板に用いるとき、硬化時間が20秒以下であって速硬化性に優れるとともに、被着材への浸透性及び耐水性に優れることが明らかである。ここで、実施例1,8,9の二液型接着剤組成物は、前記A液におけるイソブチレン−無水マレイン酸共重合体の中和度が0.7〜1の範囲である。
一方、前記A液におけるイソブチレン−無水マレイン酸共重合体の中和度が前記範囲外である比較例14の二液型接着剤組成物は、表面平滑性に劣るとともに、硬化時間が120秒以上であって速硬化性に劣ることが明らかである。
〔実施例10〕
本実施例では、まず、実施例1と全く同一にして酢酸ビニル単独重合体エマルジョンを調製した。
次に、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体を固形分換算で24.6質量部と、25質量アンモニア水溶液に代えて100%NaOH5.4質量部と、水70.0質量部とを用いた以外は、実施例1と全く同一にして、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液を調製した。前記イソブチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液は、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体の中和度が0.8である。
次に、本実施例で得られたイソブチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液を用いた以外は、実施例1と全く同一にしてA液を調製し、二液型接着剤組成物を得た。
次に、本実施例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:良好、硬化時間:5秒、材料破断率:70%、剥離率:0%であった。
本実施例の二液型接着剤組成物によれば、前記試験板に用いるとき、A液の塗工性、表面平滑性、速硬化性、被着材への浸透性及び耐水性に優れることが明らかである。
〔1−6.フィラーに関する評価〕
〔実施例11〕
本実施例では、まず、実施例1と全く同一にしてA液を調製した後、該A液の固形分換算100質量部に対して22.2質量部の重質炭酸カルシウム(無処理、45μmふるい残分0質量%、吸油量33ml/100g、白色度95)をフィラーとして該A液に添加した。
次に、本実施例で得られたフィラーを含有するA液を用いた以外は実施例1と全く同一にして、二液型接着剤組成物を得た。
次に、本実施例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:良好、硬化時間:5秒、材料破断率:70%、剥離率:0%であった。
〔実施例12〕
本実施例では、まず、実施例1と全く同一にしてA液を調製した後、該A液の固形分換算100質量部に対して11.1質量部の非晶質シリカ(45μmふるい残分0.01%、吸油量270ml/100g)をフィラーとして該A液に添加した。
次に、本実施例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:良好、硬化時間:5秒、材料破断率:70%、剥離率:0%であった。
〔実施例13〕
本実施例では、まず、実施例1と全く同一にしてA液を調製した後、該A液の固形分換算100質量部に対して22.2質量部の二酸化チタン(ルチル型、45μmふるい残分0.004%、吸油量22ml/100g、白色度97)をフィラーとして該A液に添加した。
次に、本実施例で得られたフィラーを含有するA液を用いた以外は実施例1と全く同一にして、二液型接着剤組成物を得た。
次に、本実施例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:良好、硬化時間:5秒、材料破断率:70%、剥離率:0%であった。
〔実施例14〕
本実施例では、まず、実施例1と全く同一にしてA液を調製した後、該A液の固形分換算100質量部に対して11.1質量部のカオリンクレー(45μmふるい残分0.01%、白色度86)をフィラーとして該A液に添加した。
次に、本実施例で得られたフィラーを含有するA液を用いた以外は実施例1と全く同一にして、二液型接着剤組成物を得た。
次に、本実施例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:良好、硬化時間:5秒、材料破断率:70%、剥離率:0%であった。
以上から、A液がフィラーとして重質炭酸カルシウム、非晶質シリカ、二酸化チタン、カオリンクレーのうちの1種を含む実施例11−14の二液型接着剤組成物は、A液の塗工性、表面平滑性、速硬化性、被着材への浸透性及び耐水性に優れることが明らかである。
〔1−7.B液の種類に関する評価〕
〔実施例15〕
本実施例では、まず、実施例1と全く同一にしてA液を調製した。
次に、本実施例では、B液として25質量%グルタルアルデヒド水溶液を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、二液型接着剤組成物を得た。前記グルタルアルデヒドはジアルデヒド化合物の一種である。
次に、本実施例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:良好、硬化時間:5秒、材料破断率:80%、剥離率:0%であった。
〔比較例15〕
本比較例では、まず、実施例1と全く同一にしてA液を調製した。
次に、本比較例では、B液として100質量%エチレンジアミンを用いた以外は、実施例1と全く同一にして、二液型接着剤組成物を得た。
次に、本比較例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:不良(第2の被着材の表面にシワ及び膨れが生じた)、硬化時間:120秒以上、材料破断率:0%、剥離率:0%であった。
〔比較例16〕
本比較例では、まず、実施例1と全く同一にしてA液を調製した。
次に、本比較例では、B液として3質量%ホウ酸水溶液を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、二液型接着剤組成物を得た。
次に、本比較例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:不良(第2の被着材の表面にシワ及び膨れが生じた)、硬化時間:100秒、材料破断率:0%、剥離率:0%であった。
〔比較例17〕
本比較例では、まず、実施例1と全く同一にしてA液を調製した。
次に、本比較例では、B液として5質量%アジピン酸ジヒドラジド水溶液を用いた以外は実施例1と全く同一にして、二液型接着剤組成物を得た。
次に、本比較例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:不良(第2の被着材の表面にシワ及び膨れが生じた)、硬化時間:120秒以上、材料破断率:0%、剥離率:0%であった。
以上から、B液としてジアルデヒド水溶液を用いる実施例1及び実施例15の二液型接着剤組成物は、A液の塗工性、表面平滑性、速硬化性、被着材への浸透性及び耐水性に優れることが明らかである。一方、B液としてジアルデヒド水溶液以外の水溶液を用いる比較例15−17の二液型接着剤組成物は、平面平滑性、速硬化性、及び被着材への浸透性に劣ることが明らかである。
〔1−8.被着材に関する評価〕
〔実施例16〕
次に、実施例1の二液型接着組成物について、第1の被着材及び第2の被着材の組み合わせを代えて性能評価を行った。
まず、本実施例では、第1の被着材としてPBを用い、第2の被着材としてチタン紙に代えてウレタンコート紙(60g/m2)を用いた以外は、実施例1と全く同一にして試験板を作製した。
次に、本実施例で得られた試験板を用いた以外は実施例1と全く同一にして、実施例1の二液型接着剤組成物の性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:良好、硬化時間:5秒、材料破断率:70%、剥離率:0%であった。
〔実施例17〕
まず、本実施例では、第1の被着材としてPBを用い、第2の被着材としてチタン紙に代えて和紙(25g/m2)を用いた以外は、実施例1と全く同一にして試験板を作製した。
次に、本実施例で得られた試験板を用いた以外は実施例1と全く同一にして、実施例1の二液型接着剤組成物の性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:良好、硬化時間:5秒、材料破断率:80%、剥離率:0%であった。
〔実施例18〕
まず、本実施例では、第1の被着材としてPBに代えて、厚さ3.0mm、面積900cm2の中密度繊維板(以下、MDFと略記する)を用い、第2の被着材としてチタン紙を用いた以外は、実施例1と全く同一にして試験板を作製した。
次に、本実施例で得られた試験板を用いた以外は実施例1と全く同一にして、実施例1の二液型接着剤組成物の性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:良好、硬化時間:5秒、材料破断率:80%、剥離率:0%であった。
〔実施例19〕
まず、本実施例では、第1の被着材としてPBに代えて、厚さ12mm、面積900cm2の合板を用い、第2の被着材としてチタン紙を用いた以外は、実施例1と全く同一にして試験板を作製した。
次に、本実施例で得られた試験板を用いた以外は実施例1と全く同一にして、実施例1の二液型接着剤組成物の性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:良好、硬化時間:5秒、材料破断率:70%、剥離率:0%であった。
〔実施例20〕
まず、本実施例では、第1の被着材としてPBに代えて、厚さ12mm、面積900cm2の合板を用い、第2の被着材としてチタン紙に代えて、厚さ3.0mm、面積900cm2のMDFを用いた以外は、実施例1と全く同一にして積層板を作製した。
次に、本実施例で得られた積層板を用い、ラミネータ装置に代えて油圧平板プレス(温度20℃、圧締時間60秒、圧力0.7MPa)を用いて試験板を作製した。
次に、本実施例で得られた試験板を用いた以外は実施例1と全く同一にして、実施例1の二液型接着剤組成物の性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:良好、硬化時間:60秒、材料破断率:70%、剥離率:0%であった。前記硬化時間は、第2の被着材が本実施例のMDFのように木材からなる場合には、180秒以下であれば二液型接着剤組成物は速硬化性に優れ、180秒を超えるのであれば二液型接着剤組成物は速硬化性に劣ることを示している。
〔実施例21〕
まず、本実施例では、第1の被着材としてPBに代えて、厚さ12mm、面積900cm2の合板を用い、第2の被着材としてチタン紙に代えて、厚さ0.25mm、面積900cm2の広葉樹単板を用いた以外は、実施例1と全く同一にして積層板を作製した。
次に、本実施例で得られた積層板を用いた以外は実施例20と全く同一にして、試験板を作製した。
次に、本実施例で得られた試験板を用いた以外は実施例1と全く同一にして、実施例1の二液型接着剤組成物の性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:良好、硬化時間:60秒、材料破断率:90%、剥離率:0%であった。
以上から、実施例1の二液型接着剤組成物は、第1の被着材がPB、MDF、合板のうちのいずれかであり、第2の被着材がチタン紙、ウレタンコート紙、和紙のうちの1種であるである複合木質材料からなる試験板に用いるとき、A液の塗工性、表面平滑性、速硬化性、被着材への浸透性及び耐水性に優れることが明らかである。
また、実施例1の二液型接着剤組成物は、第1の被着材が合板であり、第2の被着材がMDF又は単板である複合木質材料からなる試験板に用いるとき、A液の塗工性、表面平滑性、速硬化性、被着材への浸透性及び耐水性に優れることが明らかである。
〔2.酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸系共重合体エマルジョンに関する評価〕
〔実施例22〕
本実施例では、まず、実施例1と全く同一にしてPVA水溶液を調製した。
次に、前記フラスコ内の前記PVA水溶液に、酢酸ナトリウムと酢酸ビニル単量体と公知の重合体開始剤とに加えてアクリル酸単量体0.16質量部を添加して加熱した以外は、実施例1と全く同一にしてエマルジョン前駆体を調製した。前記加熱により、酢酸ビニル単量体及びアクリル酸単量体を初期共重合した。
次に、前記フラスコ内の前記エマルジョン前駆体に、酢酸ビニル単量体36質量部とアクリル酸単量体1.44質量部と公知の重合開始剤とを4時間掛けて滴下することにより、アセトアセチル変性PVAとエチレン変性PVAとを保護コロイドとする酢酸ビニル−アクリル酸共重合体エマルジョンを調製した。
得られた酢酸ビニル−アクリル酸共重合体エマルジョンは、酢酸ビニル単量体100質量部及びアクリル酸単量体4質量部の合計104質量部に対して、アセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAを固形分換算で合計10質量部含む(アセトアセチル変性PVA:5質量部、エチレン変性PVA:5質量部)。
すなわち、前記酢酸ビニル−アクリル酸共重合体エマルジョンは、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体100質量部に対してアセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAを固形分換算で合計8.8質量部含む。また、前記酢酸ビニル−アクリル酸共重合体エマルジョンは、アセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAの固形分換算の合計量に対してアセトアセチル変性PVAを固形分換算で50質量%含む。
次に、酢酸ビニル単独重合体に代えて酢酸ビニル−アクリル酸共重合体エマルジョンを用いた以外は、実施例1と全く同一にしてA液を調製した。前記A液は、アセトアセチル変性PVAとエチレン変性PVAとを保護コロイドとする酢酸ビニル−アクリル酸共重合体エマルジョンと、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体との混合物からなる。
次に、得られたA液を用いた以外は実施例1と全く同一にして、二液型接着剤組成物を得た。
次に、本実施例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:良好、硬化時間:5秒、材料破断率:80%、剥離率:0%であった。性能評価結果を表6に示す。
〔実施例23〕
本実施例では、アクリル酸単量体に代えてメタクリル酸メチル単量体0.2質量部を添加した以外は、実施例22と全く同一にしてエマルジョン前駆体を調製した。前記加熱により、酢酸ビニル単量体及びメタクリル酸メチル酸単量体を初期共重合した。
次に、アクリル酸単量体に代えてメタクリル酸メチル単量体1.8質量部を用いた以外は、実施例22と全く同一にしてアセトアセチル変性PVAとエチレン変性PVAとを保護コロイドとする酢酸ビニル−メタクリル酸メチル共重合体エマルジョンを調製した。
得られた酢酸ビニル−メタクリル酸メチル共重合体エマルジョンは、酢酸ビニル単量体100質量部及びメタクリル酸メチル単量体5質量部の合計105質量部に対して、アセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAを固形分換算で合計10質量部含む(アセトアセチル変性PVA:5質量部、エチレン変性PVA:5質量部)。
すなわち、前記酢酸ビニル−メタクリル酸メチル共重合体エマルジョンは、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体100質量部に対してアセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAを固形分換算で合計8.7質量部含む。また、前記酢酸ビニル−メタクリル酸メチル共重合体エマルジョンは、アセトアセチル変性PVA及びエチレン変性PVAの固形分換算の合計量に対してアセトアセチル変性PVAを固形分換算で50質量%含む。
次に、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体エマルジョンに代えて酢酸ビニル−メタクリル酸メチル共重合体エマルジョンを用いた以外は、実施例22と全く同一にしてA液を調製した。前記A液は、アセトアセチル変性PVAとエチレン変性PVAとを保護コロイドとする酢酸ビニル−メタクリル酸メチル共重合体エマルジョンと、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体との混合物からなる。
次に、得られたA液を用いた以外は実施例1と全く同一にして、二液型接着剤組成物を得た。
次に、本実施例の二液型接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして性能を評価したところ、A液の塗工性:良好、試験板の表面平滑性:良好、硬化時間:5秒、材料破断率:80%、剥離率:0%であった。性能評価結果を表6に示す。
表6から、実施例22,23の二液型接着剤組成物は、実施例1の二液型接着組成物と同様に、PB及びチタン紙からなる前記試験板に用いるとき、A液の塗工性、表面平滑性、速硬化性、被着材への浸透性及び耐水性に優れることが明らかである。