JP3770597B2 - 瞬間硬化水性接着剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着強度および耐水接着強度に優れ、特に初期接着力が発現するまでの時間が短く、初期接着強度が高い2液別塗布型の瞬間硬化水性接着剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
木材やスレート板などの接着剤には、酢酸ビニル系樹脂エマルジョン、アクリル系樹脂エマルジョン、ラテックス、尿素樹脂、ゴムのり、エポキシ樹脂、イソシアネート化合物などが用いられてきたが、これらの従来の接着剤は、一部の有機溶剤系接着剤を除き、初期接着力が低いという問題がある。一方、初期接着力の比較的高い有機溶剤系接着剤も工場などの密閉された場所で使用する場合には、有機溶剤による毒性と火災の危険があり、用途が限定されるという問題がある。また、水性の接着剤の中でも近年環境問題への関心が高まるとともに、ホルマリン等の有害成分を放出する尿素樹脂等の使用は減少し、それらの問題のない水性エマルジョンは耐水接着強度が低く、初期接着力、耐水接着強度、安全性の観点から、すべてのレベルを満足させる接着剤がないというのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この問題を解決する手段として、2液別塗布型の瞬間硬化水性接着剤が提案されており、この接着剤は、第1液と第2液を別々に調製し、保管しておき、接着に際しては、第1液を一方の被着面に塗布し、第2液を他方の被着面に塗布し、塗布面同士を接触、反応させて接着するものであって、特公平1−60192号公報には分子内にアセトアセチル基を有する高分子化合物の水溶液および/または水性エマルジョンからなる第1液とヒドラジン化合物の水溶液からなる第2液とからなる2液別塗布型の瞬間硬化水性接着剤が提案されており、ヒドラジン化合物としてアジピン酸ジヒドラジドなどの2官能ヒドラジドが例示されている。また、本発明者らは、ジアセトンアクリルアミド−脂肪酸ビニルエステルの共重合体のケン化物を乳化・分散剤とし、エチレン性不飽和単量体の重合体を分散質とする水性エマルジョンを含有する第1液とヒドラジン系化合物を含有する水性液の第2液とからなる2液別塗布型の瞬間硬化水性接着剤(特開2000−86997号公報)を提案している。これらの接着剤は第1液と第2液を別々の状態で長期間保管してもそれぞれ安定であり、しかも接着に際して、別々に被接着面に塗布された第1液と第2液を接着させた場合、架橋反応して高度な耐水接着強度を示すが、用途によっては作業スピードを一層、向上させるために、両者を接触させてから接着力が発現するまでの時間がより短い2液別塗布型の瞬間硬化水性接着剤が要望されており、この接着剤でも、初期接着力が発現するまでの時間が十分に短いとはいえなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、前記の2液別塗布型の瞬間硬化水性接着剤の第2液に使用するヒドラジン系化合物の中で、3官能ヒドラジド化合物を使用すると、初期接着力が発現するまでの時間が短くなり、言い換えると、初期接着強度が高くなることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、アセトアセチル基を含有する水性エマルジョンを主成分とする第1液(A)と3官能ヒドラジド化合物を含有する水性液からなる第2液(B)とからなることを特徴とする2液別塗布型の瞬間硬化水性接着剤であり、前記アセトアセチル基を含有する水性エマルジョンが、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール系樹脂を乳化・分散剤とし、エチレン性不飽和単量体の重合体を分散質とする水性エマルジョンであることが望ましく、さらに、前記第1液(A)と前記第2液(B)の少なくとも一方に酸性化合物(C)を配合してなることが望ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の2液別塗布型の瞬間硬化水性接着剤は、第1液(A)と第2液(B)とからなるものであって、第1液(A)の主成分は、アセトアセチル基を含有する水性エマルジョンであり、第2液(B)は、3官能ヒドラジド化合物を含有する水性液からなるものである。
【0006】
本発明で使用する第1液(A)のアセトアセチル基を含有する水性エマルジョンの製造方法としては、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記する)系樹脂を乳化・分散剤として、エチレン性不飽和単量体を乳化重合せしめる方法、および従来公知の乳化剤、保護コロイド剤を使用し、アセトアセチル基を有するエチレン性不飽和単量体単独またはアセトアセチル基を有するエチレン性不飽和単量体と共重合可能なエチレン性不飽和単量体からなる混合モノマーを乳化重合せしめる方法が挙げられ、すなわち、乳化・分散剤および分散質の少なくとも一方がアセトアセチル基を有していることが必須であるが、本発明の効果の点からは前者の方法で得られる水性エマルジョンを使用する方が好ましい。
【0007】
アセトアセチル基変性PVA系樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法で製造されるが、好ましくはPVAにジケテンを反応させて得られる。例えばPVAを酢酸溶媒中に分散させておき、これにジケテンを添加する方法、PVAをジメチルホルムアミド、またはジオキサンなどの溶媒にあらかじめ溶解しておき、これにジケテンを添加する方法およびPVAにジケテンガスまたは液状ジケテンを直接接触させる方法などが挙げられる。前記のアセトアセチル基を有するPVA系樹脂を製造する際に用いられるPVAには特に限定されないが、重合度300〜2600、ケン化度85〜99モル%の範囲が好ましい。
【0008】
前記のアセトアセチル基変性PVA系樹脂のアセトアセチル基含有量は、0.1〜20モル%が好ましく、より好ましくは0.5〜15モル%である。アセトアセチル基の量が少なすぎる場合、目的とする初期接着強度、耐水性が得られず、一方、アセトアセチル基の量が多すぎると、エマルジョン重合時に均質な乳濁状態が得られにくく、得られたエマルジョンの安定性が低下する。
【0009】
一方、アセトアセチル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、アセト酢酸アリル、2−アセトアセトキシエチルアクリレート、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート、2−アセトアセトキシプロピルアクリレート、2−アセトアセトキシプロピルメタクリレート、2−シアノアセトアセトキシエチルメタクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸アセト酢酸エステル、2−アセトアセトキシエチルクロトネート、2−アセトアセトキシプロピルクロトネート等のアルキレングリコールのクロトン酸アセト酢酸エステル、N−(アセトアセトキシメチル)アクリルアミド、N−(アセトアセトキシメチル)メタクリルアミド、N−(アセトアセトキシエチル)アクリルアミド、N−(アセトアセトキシエチル)メタクリルアミド等のN−アルキロール(メタ)アクリルアミドのアセト酢酸エステルおよび2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルメタクリレート、1,4−ブチレングリコールモノアクリレート、1,4−ブチレングリコールモノメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ヒドロキシスチレン等の水酸基を有するエチレン性不飽和単量体のアセトアセチル化物が例示され、これらは単独又は2種以上が併用される。
【0010】
これらのアセトアセチル基を有するエチレン性不飽和単量体を使用する場合は、PVA、変性PVA系樹脂、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等の従来公知の乳化・分散剤を使用することができる。
【0011】
また、アセトアセチル基変性PVA系樹脂を乳化・分散剤とした乳化重合に使用されるエチレン性不飽和単量体、および従来公知の乳化剤、保護コロイド剤を使用した乳化重合に使用されるアセトアセチル基を有するエチレン性不飽和単量体と共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン、塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化オレフィン、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどのビニルエステル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルなどのメタクリル酸エステル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルおよびこれらの4級化物、さらには、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどのアクリルアミド系単量体、その他N−ビニルピロリドン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン系単量体などが挙げられ、これらは単独あるいは2種以上を混合して用いられる。
【0012】
本発明で使用する水性エマルジョンの製造方法としては、アセトアセチル基変性PVA系樹脂の水溶液、または従来公知の乳化・分散剤に、重合開始剤の存在下に前記エチレン性不飽和単量体を一時または連続的に添加して乳化重合させる方法、またエチレン性不飽和単量体をアセトアセチル基変性PVA系樹脂の水溶液または従来公知の乳化・分散剤を用いて乳化した混合物を、連続的に反応系に添加して乳化重合させる方法などがあり、その他にも、従来公知の方法で得られた水性エマルジョンに後添加でアセトアセチル基変性PVA系樹脂を添加したものであっても良い。
【0013】
なお、アセトアセチル基変性PVA系樹脂を使用する場合の使用量については、特に制限はないが、エチレン性不飽和単量体の重合体100質量部に対して、通常1〜30質量部使用される。
【0014】
また、水性エマルジョンの製造の際に使用される重合開始剤としては、通常乳化重合に使用される公知の開始剤を適用することができる。例えば、過酸化水素や過硫酸カトリウム、過硫酸ナリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩が挙げられる。また、レドックス系開始剤としては、(a)過酸化水素、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、過硫酸塩、過硫酸t−ブチル、安息香酸t−ブチルの中から選ばれた少なくとも一種、(b)Fe2+、Cr2+、V2+、Co2+、Ti3+、Cu2+等の電子移動を受けることのできる金属イオン、(c)ロンガリット、l−アスコルビン酸等の還元性物質のうち、(a)と(b)または(a)と(b)と(c)の組み合わせで使用される。
【0015】
本発明で使用する水性エマルジョンを製造する際に、必要に応じて連鎖移動剤を併用することができ、例えばn−プロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸およびその塩、2−メルカプトプロピオン酸およびその塩、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン等を挙げることができるが、これらに限られない。
【0016】
また、本発明の第1液(A)には、アセトアセチル基を含有する水性エマルジョン以外に、例えばPVA、変性PVA、でんぷん、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸誘導体、ゼラチン等の天然高分子、合成高分子、クレー、カオリン、タルク、シリカ、炭酸カルシウム等の無機充填剤、グリセリン、ソルビトール等の可塑剤、界面活性剤、消泡剤、キレート剤を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0017】
第2液(B)において用いられる3官能ヒドラジド化合物としては、化学式−CO−NH−NH2で示されるヒドラジド基を分子内に3個有する化合物であり、例えばブタントリカルボヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、ニトリロ酢酸トリヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、1,2,4−ピロメリット酸トリヒドラジドなどが挙げられるが、これらに限らない。
【0018】
第2液(B)において用いられる3官能ヒドラジド化合物の水性液は、3官能ヒドラジド化合物を含有する水溶液または水分散液であって、その濃度は特に制限は無いが、1〜50質量%が好ましく、より好ましくは2〜25質量%である。
【0019】
第1液(A)、第2液(B)の少なくとも一方に酸性化合物(C)を配合することができる。ここで(C)として用いられる酸性化合物としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、ギ酸、リン酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、アスコルビン酸、スルホン酸、シュウ酸、乳酸、グルコン酸、硫酸アルミニウム、塩化アンモニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウムなどが挙げられるが、これらに限られない。また、酸性化合物(C)の添加量には、特に制限は無いが、第1液(A)、第2液(B)の少なくとも一方に混合した際の溶液、または分散液のpHが2.0〜6.0になることが好ましい。
【0020】
本発明の2液別塗布型の瞬間硬化水性接着剤は、接着に際しては、アセトアセチル基を含有する水性エマルジョンを主成分とする第1液を一方の被着面に塗布し、3官能ヒドラジド化合物の水性液からなる第2液を他方の被着面に塗布し、両被着面を密着、貼り合わせるのであるが、その際の塗布量については特に制限はなく、第1液が5〜300g/m2(固形分として)であり、第2液が0.1〜50g/m2(3官能ヒドラジド化合物として)であることが好ましい。
【0021】
また、必要に応じて、本発明の接着剤の第1液、第2液の少なくとも一方に3官能ヒドラジド化合物以外の架橋剤を添加し、耐水接着強度をさらに向上させることも可能で、その際使用される架橋剤の種類としては、2官能のヒドラジン系化合物、多官能イソシアネート、多官能ブロック化イソシアネート、イソブチレンーマレイン酸共重合体、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。中でも、最終的な耐水化効果の点で、多官能イソシアネート、多官能ブロック化イソシアネートなどのイソシアネート化合物を使用することが好ましく、例えばトリフェニルメタントリイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、メチレンビス・ジ・フェニルイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリメチロールプロパンーTDIアダクト、水素化TDI、水素化MDI、HMDIのアダクト変性化合物、キシレンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が例示されるが、これらに限らない。また、その使用量としては特に制限はないが、水性エマルジョン100質量部に対し、0.1〜500質量部が、使用目的に応じて使用される。
【0022】
本発明の2液別塗布型の瞬間硬化水性接着剤の作用機構については十分解明されたわけではないが、アセトアセチル基を含有する水性エマルジョンを主成分とする第1液と3官能ヒドラジド化合物の水性液からなる第2液がそれぞれ別々に塗布された被着面を貼り合わせる際に、アセトアセチル基と3官能ヒドラジド化合物のヒドラジド基が急速に架橋反応を生ずるため、高度な耐水接着強度が得られるのみならず、3官能ヒドラジド化合物の使用によりアセトアセチル基とヒドラジド基の接触確率が最適に増加し、初期接着力の発現時間が良好に短縮できると考えられる。また、これらの第1液、第2液の少なくとも一方に酸性化合物を添加すると、反応時のpHが低下し、アセトアセチル基とヒドラジド基の反応速度が高くなるため、初期接着力がより高くなると考えられる。
【0023】
本発明の2液別塗布型の瞬間硬化水性接着剤は、短時間の圧締で十分な初期接着力が得られ、比較的低温で乾燥しても優れた耐水性を示すことから、木材、合板、パーティクルボード、ハードボード等の繊維質材料、スレート板、珪カル板、モルタル、タイル等の無機質材料、メラミン化粧板、ベークライト、発泡スチロール等のプラスチック材料、段ボール、板紙、クラフト紙等の紙質材料などの高速接着に有用である。
【0024】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
実施例中の諸物性の測定方法を以下に示す。
【0025】
(1).初期接着強度
25mm×30mm×10mmの2片の木材試験片のうちの一方の試験片の接着面(25mm×30mm)に第1液を100g/m2塗布し、他方の試験片の接着面に第2液を50g/m2塗布した後、塗布面同士を密着し、直ちに19.6Nの荷重で圧締した。圧締開始後、30秒、60秒、120秒後に解圧して、すぐに東洋精機(株)製ストログラフを使用し、圧縮剪断接着強度(MPa)を測定した。
【0026】
(2).耐水接着強度
JISK−6852に基づき、25mm×30mm×10mmの2片の試験片の一方の接着面(25mm×30mm)に第1液を100g/m2塗布し、他方の試験片の接着面に第2液を50g/m2塗布した後、塗布面同士を密着し、直ちに49Nの荷重で4分間圧締した。解圧後、20℃×65%RHで72時間養生し、接着試験片を20℃の水に3時間浸潰した後、取り出して直ちに圧縮剪断接着強度(MPa)を測定した。
【0027】
合成例1
重合度1800、ケン化度98.5モル%のPVA粉末(粒度80メッシュ以下)196質量部をニーダーに仕込み、回転数60rpmで攪拌しながら、液状のジケテン16.8質量部を30℃で30分間にわたって噴霧添加した後、60℃に昇温して3時間反応させ、アセトアセチル基変性PVA系樹脂(変性度3.3モル%)を得た。
【0028】
合成例2
重合度1010、ケン化度98.4モル%のPVA粉末(粒度80メッシュ以下)196質量部をニーダーに仕込み、回転数60rpmで攪拌しながら、液状のジケテン25.0質量部を30℃で30分間にわたって噴霧添加した後、60℃に昇温して3時間反応させ、アセトアセチル基変性PVA系樹脂(変性度4.9モル%)を得た。
【0029】
実施例1
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口を備えたガラス製重合容器に、イオン交換水500質量部、アセトアセチル基変性PVA系樹脂(重合度1.800、ケン化度98.5モル%、変性度3.3モル%)39質量部を仕込み、95℃で完全に溶解した。これを70℃まで冷却し、過硫酸アンモニウム0.5質量部を添加し、窒素雰囲気下で攪拌しながら、酢酸ビニル460質量部を2時間かけて連続的に添加した後、80℃に昇温し、さらに2時間熟成反応を行い、乳化重合を完結させ、酢酸ビニル系樹脂エマルジョンを得た。
【0030】
第1液として上記の酢酸ビニル系樹脂エマルジョン、第2液としてブタントリカルボヒドラジドの10質量%水溶液を使用し、木材の接着を行い、初期接着強度および耐水接着強度を測定した。結果を表1に示す。表1より明らかなように、短時間で高い初期接着強度を示し、耐水接着強度も高かった。
【0031】
実施例2
第2液としてブタントリカルボヒドラジドに代えて、クエン酸トリヒドラジドの10質量%水溶液を使用した以外は実施例1と同様にして、木材の接着を行い、初期接着強度および耐水接着強度を測定した。結果を表1に示す。表1より明らかなように、短時間で高い初期接着強度を示し、耐水接着強度も高かった。
【0032】
実施例3
第2液としてブタントリカルボヒドラジドに代えて、ニトリロ酢酸トリヒドラジドの10質量%水溶液を使用した以外は実施例1と同様にして、木材の接着を行い、初期接着強度および耐水接着強度を測定した。結果を表1に示す。表1より明らかなように、短時間で高い初期接着強度を示し、耐水接着強度も高かった。
【0033】
実施例4
第2液としてブタントリカルボヒドラジドの10質量%水溶液100質量部に硫酸アルミニウム5質量部を添加した混合水溶液を使用した以外は実施例1と同様にして、木材の接着を行い、初期接着強度および耐水接着強度を測定した。結果を表1に示す。表1より明らかなように、短時間で高い初期接着強度を示し、耐水接着強度も高かった。
【0034】
実施例5
第2液としてブタントリカルボヒドラジドの10質量%水溶液100質量部に50質量%リン酸水溶液2質量部を添加した混合水溶液を使用した以外は実施例1と同様にして、木材の接着を行い、初期接着強度および耐水接着強度を測定した。結果を表1に示す。表1より明らかなように、短時間で高い初期接着強度を示し、耐水接着強度も高かった。
【0035】
実施例6
合成例1で得られたアセトアセチル基変性PVA系樹脂に代えて、合成例2で得られたアセトアセチル基変性PVA系樹脂(重合度1010、ケン化度98.4モル%、変性度4.9モル%)を使用した以外は、実施例1と同様にして、木材の接着を行い、初期接着強度および耐水接着強度を測定した。結果を表1に示す。表1より明らかなように、短時間で高い初期接着強度を示し、耐水接着強度も高かった。
【0036】
実施例7
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口を備えたガラス製重合容器に、イオン交換水500質量部、アニオン系界面活性剤(日本乳化剤(株)製ニューコール707SF)1質量部を仕込み、これを70℃に昇温し、過硫酸アンモニウム0.5質量部を添加し、窒素雰囲気下で攪拌しながら、アクリル酸2−エチルヘキシル220質量部、メタクリル酸メチル220質量部、アクリル酸10質量部、および2−アセトアセトキシエチルアクリレート50質量部の混合モノマー系を2時間かけて連続的に添加した後、80℃に昇温し、さらに2時間熟成反応を行い、乳化重合を完結させ、アクリル系樹脂エマルジョンを得た。
【0037】
第1液として上記のアクリル系樹脂エマルジョン、第2液としてブタントリカルボヒドラジドの10質量%水溶液を使用し、木材の接着を行い、初期接着強度および耐水接着強度を測定した。結果を表1に示す。表1より明らかなように、短時間で高い初期接着強度を示し、耐水接着強度も高かった。
【0038】
実施例8
第1液として実施例7で作製したアクリル系樹脂エマルジョン、第2液としてブタントリカルボヒドラジドの10質量%水溶液100質量部に50質量%リン酸水溶液2質量部を添加した混合水溶液を使用した以外は、実施例7と同様にして、木材の接着を行い、初期接着強度および耐水接着強度を測定した。結果を表1に示す。表1より明らかなように、短時間で高い初期接着強度を示し、耐水接着強度も高かった。
【0039】
比較例1
第1液として実施例1で作製した酢酸ビニル系樹脂エマルジョンを使用し、第2液を使用せず、2片の木材の一方に第1液だけを塗布し、木材の接着を行い、初期接着強度および耐水接着強度を測定した。結果を表1に示す。表1より明らかなように、初期接着強度および耐水接着強度は低かった。
【0040】
比較例2
第2液としてブタントリカルボヒドラジドに代えて、2官能ヒドラジド化合物であるアジピン酸ジヒドラジドの10質量%水溶液を使用した以外は実施例1と同様にして、木材の接着を行い、初期接着強度および耐水接着強度を測定した。結果を表1に示す。表1より明らかなように、初期接着強度は3官能ヒドラジド化合物を使用した実施例よりも低く、耐水接着強度は低かった。
【0041】
比較例3
第2液としてブタントリカルボヒドラジドに代えて、2官能ヒドラジド化合物であるカルボヒドラジドの10質量%水溶液を使用した以外は実施例1と同様して、木材の接着を行い、初期接着強度および耐水接着強度を測定した。結果を表1に示す。表1より明らかなように、初期接着強度は3官能ヒドラジド化合物を使用した実施例よりも低く、耐水接着強度は低かった。
【0042】
比較例4
第1液として実施例7で作製したアクリル系樹脂エマルジョンを使用し、第2液としてブタントリカルボヒドラジドに代えて、2官能ヒドラジド化合物であるアジピン酸ジヒドラジドの10質量%水溶液を使用した以外は実施例6と同様にして、木材の接着を行い、初期接着強度および耐水接着強度を測定した。結果を表1に示す。表1より明らかなように、初期接着強度は3官能ヒドラジド化合物を使用した実施例よりも低く、耐水接着強度は低かった。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、別々に被接着面に塗布された第1液と第2液を接着させると急速に反応が開始し、両者を接触させて短い圧締時間で十分な初期接着力が発現するので、各種の接着の作業スピードを著しく向上させることが可能であり、しかも比較的低温で乾燥しても高い耐水接着強度を発現する2液別塗布型の瞬間硬化水性接着剤を提供することができる。
Claims (2)
- アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール系樹脂を乳化・分散剤とし、エチレン性不飽和単量体の重合体を分散質とする水性エマルジョンを主成分とする第1液(A)と、ブタントリカルボヒドラジドを含有する水性液からなる第2液(B)とからなることを特徴とする2液別塗布型の瞬間硬化水性接着剤。
- 請求項1記載の第1液(A)と第2液(B)の少なくとも一方に酸性化合物(C)を配合してなることを特徴とする請求項1記載の2液別塗布型の瞬間硬化水性接着剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001403097A JP3770597B2 (ja) | 2001-12-28 | 2001-12-28 | 瞬間硬化水性接着剤 |
Applications Claiming Priority (1)
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