JP3953664B2 - ポリ酢酸ビニルエマルジョンおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリ酢酸ビニルエマルジョンおよびその製造方法に関する。本発明によって提供されるポリ酢酸ビニルエマルジョンは、接着剤、塗料、製紙用糊料等として有用である。
【0002】
【従来の技術】
ポリ酢酸ビニルエマルジヨンは、酢酸ビニルを乳化重合することによって製造され、接着剤、塗料等の用途に使用されている。酢酸ビニルの乳化重合に際しては、アニオン界面活性剤やノニオン界面活性剤などの乳化剤に加え、一般にポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアミン、カゼインなどの水溶性高分子が保護コロイドとして添加される。これらの中でもポリビニルアルコールを保護コロイドとして使用すると、乳化重合が容易である上、使用するポリビニルアルコールのケン化度、重合度等を調整することによって任意の粘度のエマルジョンを得ることができるという利点がある。
しかし、得られたエマルジョンについては、低温時における粘度上昇が著しく、低温時での造膜性に劣ること、また、エマルジョンを接着剤として使用したとき、得られる接着層の耐熱、耐水性に問題があることなどが指摘されている。
このような問題点を改良すべく、保護コロイドとしてイソブチレン−無水マレイン酸共重合体を使用することが提案されている (特公昭51−20213号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体を保護コロイドとするエマルジョンであっても、炭酸カルシウム等の多価金属塩を併用しない場合には、十分な耐水性を達成することはできない。
しかして本発明は、低温時の粘度上昇、接着剤として使用したときの耐水性といった上記の問題点を克服できるポリ酢酸ビニルエマルジョンおよびその製造方法を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記の課題の一つは、α−オレフィンから誘導される構造単位(I)、α,β−不飽和カルボン酸またはその無水物から誘導される構造単位(II)および下記一般式(1)
【0005】
【化3】
【0006】
(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数6〜25のアルキル基または炭素数3〜12のシクロアルキル基を表す)で表される構造単位(III)からなる共重合体に塩基性物質を反応させて得られる中和物を保護コロイドとして含有するポリ酢酸ビニルエマルジョンを提供することにより解決される。
【0007】
また、本発明によれば、上記の課題の他の一つは、α−オレフィンから誘導される構造単位(I)、α,β−不飽和カルボン酸またはその無水物から誘導される構造単位(II)および下記一般式(1)
【0008】
【化4】
【0009】
(式中、R1 は水素原子またはメチル基、R2 は炭素数6〜25のアルキル基または炭素数3〜12のシクロアルキル基を表す)
で表される構造単位(III )からなる共重合体に塩基性物質を反応させて得られる中和物の存在下、酢酸ビニルを乳化重合することからなるポリ酢酸ビニルエマルジョンの製造方法を提供することにより解決される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明においてエマルジョンの分散質であるポリ酢酸ビニルは、酢酸ビニルの単独重合体の他、例えばエチレン、プロピレン等のオレフィン類などの酢酸ビニルと共重合可能なモノマーが少量共重合されたものであってもよい。
【0011】
本発明において使用する共重合体中の構造単位(I)を構成するα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ブテン、ジイソブチレンなどが挙げられるが、これらの中でもイソブチレンが好ましい。
【0012】
本発明において使用する共重合体中の構造単位(II)は、α,β−不飽和カルボン酸またはその無水物から誘導される構造単位である。α,β−不飽和カルボン酸またはその無水物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、イタコン酸、フマール酸などが挙げられるが、それらの中でも無水マレイン酸が好ましい。
【0013】
また、本発明において使用する共重合体中の構造単位(III)は、下記の式(2)で表される(メタ)アクリレート系単量体から誘導される。
【0014】
【化5】
【0015】
(上記式中、R1 およびR2 は前記定義のとおりである。)
上記の式(2)において、R2 が表す炭素数6〜25のアルキル基としては、例えば、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ステアリル基、ラウリル基などが挙げられる。また、R2 が表す炭素数3〜12のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0016】
式(2)で表される(メタ)アクリレート系単量体としては、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、これらの中でもラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートが好ましい。
式(2)で表される(メタ)アクリレート系単量体は、1種類のものを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0017】
本発明において用いられる共重合体中の構造単位(I)、構造単位(II)および構造単位(III)の組成モル比は通常、[構造単位(I)]:[構造単位(II)]:[構造単位(III)]=1:0.9〜1.1:0.01〜0.3である。構造単位(III)の割合が上記の範囲より少ない場合には、得られるエマルジョンを接着剤として使用した際に耐水性が乏しくなり、一方、構造単位(III)の割合が上記の範囲より多くなると乳化重合の際の安定性が得られない。共重合体中の各構造単位の組成モル比は、[構造単位(I)]:[構造単位(II)]:[構造単位(III)]=1:1:0.05〜0.2であることが好ましい。
なお、本発明において用いられる共重合体はマレイミド単位などのイミド型の構造単位を含有していてもよい。
【0018】
また、本発明において用いられる共重合体の数平均分子量は、通常、1,000〜500,000であるが、乳化重合の際の安定性と得られるエマルジョンの低温時の粘度などの観点から、1,000〜300,000であることが好ましい。
【0019】
本発明において用いられる共重合体は、α−オレフィン、α,β−不飽和カルボン酸またはその無水物および式(2)で表される(メタ)アクリレート系単量体(以下、これらを原料モノマーと略称する)から、常法に従って製造することができる。例えば、原料モノマーを反応容器に仕込み、溶媒中、ラジカル重合開始剤を用いて溶液重合法により共重合させることによって製造することができる。
【0020】
ラジカル重合開始剤としては、従来から使用されているものを特に制限なく使用することができ、例えば、ジ(ドデカノイル)パーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ化合物などを使用することができる。ラジカル重合開始剤の使用量は特に制限されるものではないが、通常、原料モノマー100重量部に対して、0.05〜5重量部の範囲である。
【0021】
また、重合反応に際して用いられる溶媒としては、ラジカル重合を阻害しない種々の溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;n−ヘキサン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭素水素類;酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル類;ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム等の塩素化炭化水素類などを使用することができる。これらの溶媒は1種類のものを使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0022】
原料モノマーの仕込量のモル比は、共重合体を構成する構造単位の組成モル比とほぼ同じ比率、すなわち、[α−オレフィン]:[α,β−不飽和カルボン酸またはその無水物]:[式(2)で示される(メタ)アクリレート系単量体]=1:0.9〜1.1:0.01〜0.3とすることが好ましい。
【0023】
原料モノマーを仕込む場合には、原料モノマーの重合反応性の相違を考慮して仕込むことにより均一な組成の共重合体を得ることができる。例えば、式(2)で示される(メタ)アクリレート系単量体の反応性が低い場合、重合反応の初期段階において、かかる(メタ)アクリレート系単量体の濃度が高くなるように仕込むことが好ましい。また、α,β−不飽和カルボン酸またはその無水物として無水マレイン酸を使用する場合、無水マレイン酸は重合反応を通じて反応系中での濃度が一定となるような割合で仕込むことが好ましい。
【0024】
重合温度は、使用する溶媒やラジカル重合開始剤等により異なるが、一般に0〜200℃、好ましくは20〜150℃の範囲である。また、重合時間は、一般に1〜50時間、好ましくは2〜20時間の範囲である。また、重合は常圧または加圧下で行うことができる。
【0025】
重合反応終了後、反応混合物からの共重合体の分離取得は、例えば、i)沈澱した共重合体を濾過脱液し、次いで乾燥する方法、また、ii)反応混合物から溶媒を除去し、得られた残留物を乾燥する方法などの常法に従って実施することができる。
【0026】
上記共重合体は、塩基性物質と反応し、塩を形成して水溶化する。本発明では上記共重合体はこのようにして得られる塩基性物質との反応による中和物、すなわち塩の形として使用される。
ここで塩基性物質としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属の水酸化物;アンモニア;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどのアルカリ金属の酢酸塩;酢酸アンモニウム等が挙げられる。これらの中でも水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたはアンモニアが好ましい。これらの塩基性物質は1種類のものを使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0027】
塩基性物質は、共重合体に対し、中和度が通常0.05〜0.6、好ましくは0.1〜0.5の範囲となる量を使用する。ここで、中和度とは、共重合体中の酸基と塩基性物質との比率を示すものであり、共重合体中のカルボキシル基のモル数がx(モル)、使用した塩基性物質の量がy(グラム当量)であるときy/xで与えられる。
なお、共重合体中に酸無水物基が存在するときには、該酸無水物基はカルボキシル基2個に相当するものとして計算する。
【0028】
上記共重合体と塩基性物質の反応は、常法に従って実施できるが、水の存在下に実施し、共重合体の中和物を水溶液として得る方法が簡便である。
【0029】
本発明における中和物の使用量は、それを与える上記共重合体の量に換算して、乳化重合を行う酢酸ビニル(モノマー)100重量部当たり通常5〜40重量部の範囲内である。中和物の使用量が上記の範囲より少ないと得られるエマルジョンを接着剤として使用したときの耐水性が十分ではなく、一方中和物の使用量が上記の範囲より多いと乳化重合を行う際の分散液の粘度が高くなり、乳化重合の安定性が達成できない。中和物の使用量は、それを与える上記共重合体の量に換算して、乳化重合を行う酢酸ビニル(モノマー)100重量部当たり通常15〜40重量部の範囲内であることが好ましい。
また、本発明では、発明の趣旨を損なわない範囲で、上記中和物に加え、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体などの、従来からポリ酢酸ビニルエマルジョンの保護コロイドとして使用されているものを併用してもよい。
【0030】
本発明のポリ酢酸ビニルエマルジョンには、必要に応じて充填剤、顔料、紫外線吸収剤、防かび剤などを添加してもよい。充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー、タルク、けいそう土、アルミナ、マイカ、硫酸アルミナ、硫酸バリウム、アスベスト、グラファイト、ガラスビーズなどが挙げられ、その配合量は特に限定されないが、一般的には、それらを含まないポリ酢酸ビニルエマルジョン100重量部に対して3〜100重量部である。この充填剤の配合によりポリ酢酸ビニルエマルジョンの硬化皮膜の強度が向上する。また、顔料としては、例えば、酸化チタンやべンガラなどの水性顔料が挙げられる。これらの充填剤、顔料などは、通常乳化重合の終了後に添加されるが、乳化重合時に系中に存在していてもよい。
【0031】
本発明のポリ酢酸ビニルエマルジョンは、上記共重合体の塩基性物質による中和物の存在下に、酢酸ビニルおよび所望により少量のコモノマーを常法に従って乳化重合させることによって製造することができる。
酢酸ビニル等のモノマーの使用量は、得られるエマルジョン中におけるポリ酢酸ビニルの濃度が30〜60重量%となる量であることが好ましい。
また、共重合体の塩基性物質による中和物は、通常水溶液として使用されるが、乳化重合を行う際、水溶液中の濃度は5〜50重量%であることが好ましい。乳化重合を行う温度は、一般に70〜95℃である。なお、乳化重合に際しては、アニオン界面活性剤やノニオン界面活性剤を併用してもよい。
【0032】
また、重合触媒としては、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソホウ酸ナトリウム、クメンヒドロパーオキシドなどが使用される。重合触媒の使用量は、酢酸ビニル100重量部に対して、通常0.3〜1重量部である。
【0033】
本発明のポリ酢酸ビニルエマルジョンは、紙器、紙管、段ボール、合紙、製本、アルミ箔と紙のラミネート、ラベルなどの紙用途や、化粧紙合板、家具、椅子の組立接着、天然本化粧合板、集成材、合板などの木材接着用途や、モザイクパーケット、体育館のフローリングボードなどの木質フローリング施工用壁紙用途や、吸音板、石膏板などの天井仕上材の接着用途に用いることができる。
また、本発明の酢酸ビニルエマルジョンは、塗料、繊維処理剤、製紙用糊料などの用途に使用することもできる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例において、エマルジョンの各種性能は以下の方法により評価した。
【0035】
▲1▼低温放置時のエマルジョンの粘度
エマルジョン300gを蓋付きガラス瓶に精秤し、0℃の雰囲気下で7日間放置した直後の粘度をB型粘度計を用いて測定した。
【0036】
▲2▼初期接着力(引張り剪断強度)
日本接着剤工業会規格(JAI−5)の「α−オレフィン−無水マレイン酸樹脂木材接着剤」に規定された「5.5.9 接着立上がり強さ」の試験方法に準じ、ラワン合板の接着面へのエマルジョン(接着剤)の塗布量を200g/m2 となる量とし、圧締め時間を10分として作製した試験片について引張り剪断強度を測定した。
【0037】
▲3▼常態接着力(圧縮剪断強度)
日本接着剤工業会規格(JAI−5)の「α−オレフィン−無水マレイン酸樹脂木材接着剤」に規定された「5.5.1 圧縮せん断接着強さ(常態)」の試験方法に準じ、樺材の接着面へのエマルジョン(接着剤)の塗布量を250g/m2 として作製した試験片について圧縮剪断強度を測定した。
【0038】
▲4▼耐水接着力(圧縮剪断強度)
日本接着剤工業会規格(JAI−5)の「α−オレフィン−無水マレイン酸樹脂木材接着剤」に規定された「5.5.2 圧縮せん断接着強さ(耐水)」に準じ、樺材の接着面へのエマルジョン(接着剤)の塗布量を250g/m2 として作製した試験片について圧縮剪断強度を測定した。
【0039】
▲5▼耐温水接着力(圧縮剪断強度)
日本接着剤工業会規格(JAI−5)の「α−オレフィン−無水マレイン酸樹脂木材接着剤」に規定された「5.5.3 圧縮せん断接着強さ(耐温水)」に準じ、樺材の接着面へのエマルジョン(接着剤)の塗布量を250g/m2 として作製した試験片について圧縮剪断強度を測定した。
【0040】
参考例1
撹拌機を備えた内容積1リットルのオートクレーブに、窒素雰囲気下、トルエン650g、イソブチレン24g( 0.43モル) 、無水マレイン酸41g( 0.42モル) 、ステアリルメタクリレート7g( 0.02モル) および過酸化ベンゾイル0.2gを仕込み、70℃で6時間重合を行った。
重合反応終了後、オートクレーブ中の反応混合物を取り出し、メタノール中に注ぎ込み、得られた沈殿物を減圧下100℃で6時間乾燥して、数平均分子量が47000の共重合体Aを得た。1 H−NMR分析の結果、この共重合体A中のイソブチレン単位、無水マレイン酸単位、ステアリルメタクリレート単位の組成モル比は、1:1:0.05であることが分かった。
【0041】
参考例2
参考例1において、イソブチレン、無水マレイン酸およびステアリルメタクリレートの使用量をそれぞれ21g、37gおよび14gに代えたこと以外は参考例1と同様の操作を行い、数平均分子量が34000の共重合体Bを得た。1 H−NMR分析の結果、この共重合体B中のイソブチレン単位、無水マレイン酸単位、ステアリルメタクリレート単位の組成モル比は、1:1:0.1であることが分かった。
【0042】
参考例3
参考例1において、イソブチレンおよび無水マレイン酸の使用量をそれぞれ21gおよび36gに変え、かつステアリルメタクリレート7gに代えてn−へキシルメタクリレート16g(0.09モル)を使用したこと以外は参考例1と同様の操作を行い、数平均分子量が63000の共重合体Cを得た。1 H−NMR分析の結果、この共重合体C中のイソブチレン単位、無水マレイン酸単位、n−へキシルメタクリレート単位の組成モル比は、1:1:0.2であることが分かった。
【0043】
参考例4
参考例1において、イソブチレンおよび無水マレイン酸の使用量をそれぞれ21gおよび37gに変え、かつステアリルメタクリレート7gに代えてn−ブチルメタクリレート13g( 0.09モル) を使用したこと以外は参考例1と同様の操作を行い、数平均分子量が75000の共重合体Dを得た。1 H−NMR分析の結果、この共重合体D中のイソブチレン単位、無水マレイン酸単位、n−ブチルメタクリレート単位の組成モル比は、1:1:0.2であることが分かった。
【0044】
実施例1
参考例1で得た共重合体Aを30g取り、蒸留水100gに分散した後、25%アンモニア水を5g (中和度が0.4となる量) 加えて加熱し、溶解させた。得られた溶液に過硫酸アンモニウム0.3gを加え、次いで酢酸ビニル80gを3時間かけて滴下し、激しく撹拌しながら85℃で乳化重合を行い、固形分濃度が50.5重量%のポリ酢酸ビニルエマルジョンを得た。このエマルジョンの30℃における粘度は12000cps(センチポイズ)〔B型粘度計を用いて測定した〕であった。得られたエマルジョンの各種性能を前記の方法に従って測定した。結果を表1に示す。
【0045】
実施例2、3および比較例1
実施例1において共重合体Aの30gに代えてそれぞれ共重合体Bの30g(実施例2)、共重合体Cの30g(実施例3)、共重合体Dの30g(比較例1)を使用し、かつ5%アンモニア水の使用量をそれぞれ3.6g(中和度が0.3となる量、実施例2)、11.8g(中和度が0.5となる量、実施例3)、14.3g(中和度が0.6となる量、比較例1)としたこと以外は実施例1と同様の操作により、ポリ酢酸ビニルエマルジヨンを作成し、得られたエマルジョンの各種性能を前記の方法に従って測定した。結果を表1に示す。
【0046】
比較例2
ポリビニルアルコール (重合度:1700、ケン化度:98.5%)を30gとり、蒸留水100gに分散した後加熱溶解させた。得られた溶液に過硫酸アンモニウム0.3gを加え、次いで酢酸ビニル80gを3時間かけて滴下し、激しく攪拌しながら85℃で乳化重合を行うことによってポリ酢酸ビニルエマルジョンを作製した。得られたエマルジョンの各種性能を前記の方法に従って測定した。結果を表1に示す。
【0047】
比較例3
イソブチレンと無水マレイン酸の共重合体〔イソバン04(商品名、(株)クラレ製)、分子量Mw=65000〕を30gとり、蒸留水100gに分散した後、25%アンモニア水を10.6g(中和度が0.4となる量)加えて加熱し、溶解させた。得られた溶液に過硫酸アンモニウム0.3gを加え、次いで酢酸ビニル80gを3時間かけて滴下し、激しく攪拌しながら85℃で乳化重合を行うことによって酢酸ビニルエマルジヨンを作製した。得られたエマルジョンの各種性能を前記の方法に従って測定した。結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
表1から明らかなように、本発明のポリ酢酸ビニルエマルジョンは、接着剤として使用したとき、耐水性に優れるとともに、初期接着力にも優れている。また本発明のポリ酢酸ビニルエマルジョンは、低温時の粘度上昇の割合が小さい。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、接着剤として使用したときの耐水性に優れ、また低温時の粘度上昇の割合が小さく、低温時の造膜性が良好なポリ酢酸ビニルエマルジョンが提供される。
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