JP6097017B2 - 難燃性人工皮革とその製造方法および人工皮革用難燃加工剤 - Google Patents

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Description

本発明は、難燃性人工皮革とその製造方法、および人工皮革用難燃加工剤に関し、更に詳しくは、熱可塑性合成繊維からなる織物、編物または不織布をベースとしてポリウレタン樹脂等の高分子弾性体が含浸されてなる人工皮革に対し、耐際付き性、耐熱性に優れるうえ、本来の柔軟な風合いを損ねることなく優れた難燃性能を付与することができる難燃加工剤および、難燃性人工皮革とその製造方法に関するものである。
ここで上記の「際付き」とは、難燃加工剤を付与された人工皮革の表面へ、難燃加工剤に含まれる成分が雨などの水分により溶出し、その水分が乾燥した後に人工皮革の表面に白い斑点やシミを生じる現象をいう。
従来から、極細熱可塑性合成繊維からなる不織布、織物あるいは編物にポリウレタン等の高分子弾性体が含浸されてなる人工皮革、なかでもその表面をバフィングして熱可塑性合成繊維の起毛や立毛を表面に形成させた、いわゆるスエード調人工皮革は、衣料用素材としてのみならず、車両用内装材、家具インテリア用素材、建築材料など様々な分野で使用されている。
上述した分野において、上記の人工皮革は、しばしば高度な難燃性能を有することが要求される。しかしながらこれらの人工皮革は、これを構成するポリウレタン等の高分子弾性体と、不織布、織物、あるいは編物を構成する極細熱可塑性合成繊維とで、難燃化機構が互いに異なることから、難燃化が非常に困難であることが知られている。
上記の難燃化には、従来は臭素系難燃剤が多用されてきたが、燃焼時に有害なハロゲン化ガスが発生し、これが環境に有害な影響を及ぼす等の問題があるため、近年においては臭素系難燃剤を用いることが規制されるに至っている。
そこで、上記の人工皮革に難燃性を付与するための方法として、アクリル酸エステル樹脂を主成分とし、芳香族リン酸エステルおよび金属系酸化物を含む樹脂組成物を、スエード調人工皮革の裏面に付与して難燃化を図る方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、この方法により安定な難燃性を得るには、難燃樹脂組成物を多量に付与する必要があり、手触りなどの風合いが必ずしも良好とは言えない。また、リン酸エステルを難燃剤として用いることから、摩擦堅牢度が経日的に低下するおそれもある。
また、難燃性が優れるとともに、摩耗耐久性や耐光性にも優れた難燃性立毛人工皮革を得る方法として、リン酸グアニジン、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミンおよびリン酸アミドから選ばれる少なくとも1種のリン酸化合物と、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、メラミン、ジシアンジアミド、デンプン類およびソルビトールから選ばれる少なくとも1種の化合物と、バインダー樹脂とを含む難燃組成物を立毛人工皮革の片面に付与する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、この方法では十分な難燃性を得られるものの、水への溶解度が高い難燃成分を含有することから、耐際付き性の点では不十分となりやすい問題があった。
上記の耐際付き性を改善する方法として、水に対する溶解度が1%以下のリン酸化合物と、燃焼時に炭化骨格を形成するビニル基含有樹脂と、水不溶性増粘剤とからなる難燃加工剤をスエード調人工皮革の片面に付与することで、難燃性スエード調人工皮革を得る方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、この方法ではビニル基含有樹脂を含有することから、難燃性人工皮革が高温に曝された場合に、人工皮革に付与されている難燃樹脂組成物が変色して外観や品位の面で問題を生じるおそれがあった。
特許第4065729号公報 特開2005−2512号公報 特許第4664135号公報
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、耐際付き性、耐熱性に優れるうえ、人工皮革本来の柔軟な風合いを損ねることなく、優れた難燃性能を付与することができる難燃加工剤および、そのような難燃加工剤を付与することによって得られる、人工皮革とその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、従来の人工皮革の難燃加工における上述した問題を解決するため鋭意研究した結果、リン成分として表面が難水溶化されたポリリン酸アンモニウムと、窒素成分として水溶解度が3.0g/L以下のトリアジン系難燃剤と、バインダー樹脂とを含む難燃加工剤を人工皮革に付与することによって、人工皮革本来の柔軟な風合いを損ねることなく優れた難燃性を備え、しかも上述したような高温に曝された場合の樹脂組成物の変色や、際付きの発生を抑えた難燃性人工皮革が得られることを見出して本発明に至ったものである。
即ち、本発明1は人工皮革用難燃加工剤に関し、難水溶化処理が施されたポリリン酸アンモニウムと、水溶解度が3.0g/L以下のトリアジン系難燃剤と、バインダー樹脂とを含むことを特徴とする。
本発明2は難燃性人工皮革に関し、織物、編物または不織布からなる熱可塑性合成繊維布帛とこれに含浸した高分子弾性体とを備える人工皮革に、難水溶化処理が施されたポリリン酸アンモニウムと、水溶解度が3.0g/L以下のトリアジン系難燃剤と、バインダー樹脂とを含む難燃樹脂組成物が付与されていることを特徴とする。
本発明3は難燃性スエード調人工皮革の製造方法に関し、織物、編物または不織布からなる熱可塑性合成繊維布帛とこれに含浸した高分子弾性体とを備える人工皮革に、本発明1の人工皮革用難燃加工剤を付与することを特徴とする。
本発明1によれば、スエード調等の人工皮革本来の柔軟な風合いを損ねることなく、優れた耐際付き性、耐熱性とともに、優れた難燃性を人工皮革に付与することができる。
即ち、上記の難燃加工剤を人工皮革に付与する本発明3の製造方法により、人工皮革本来の柔軟な風合いを損ねることなく優れた難燃性を備え、しかも際付きの発生が抑えられて耐際付き性に優れるうえ、高温に曝された場合にも樹脂組成物の変色が抑制されて耐熱性に優れている、本発明2の難燃性人工皮革を提供することができる。
特に本発明3の製造方法において、上記の人工皮革を予めホスホン酸系キレート剤により酸性化してこの人工皮革の抽出液pHを6.5〜2.0に調整したのち、上記の人工皮革用難燃加工剤を付与する場合には、このホスホン酸系キレート剤による酸性化と本発明1の難燃加工剤との相乗効果により優れた難燃性を発揮することができる。この結果、例えば高濃度で染色されたスエード調人工皮革などにも優れた難燃性を容易に付与でき、また、難燃加工剤の塗工量を低減できるので、人工皮革本来の優れた風合いを一層良好に維持することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明において、人工皮革とは、例えば単繊維繊度が1デシテックス以下、好ましくは0.5デシテックス以下、更に好ましくは0.3デシテックス以下の極細の合成繊維を含む織物、編物または不織布からなる熱可塑性合成繊維布帛に、ポリウレタンなどの高分子弾性体を含浸させてあり、スエード調人工皮革にあっては、表面に起毛または立毛を形成したものである。
上記の織物、編物または不織布を構成する極細合成繊維は、特定の合成繊維に限定されず、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートやこれらを主成分とした共重合ポリエステル系繊維に代表されるポリエステル系合成繊維、ナイロン6やナイロン6,6に代表されるポリアミド系合成繊維、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィン系合成繊維などの合成繊維を用いることができる。なかでも染色性、染色堅牢度ならびに耐摩耗性に優れるポリエチレンテレフタレートが好ましい。
また上記の高分子弾性体も特定の材質に限定されず、例えば、ポリウレタンエラストマー、アクリロニトリルブタジエンラバー、天然ゴム、ポリ塩化ビニルなどを使用することができる。
上記のスエード調等の人工皮革の製造方法は、特に限定されるものではなく、通常の方法を用いることができる。
例えば、上記の極細熱可塑性合成繊維布帛は次の手順で製造される。最初に、海島型複合紡糸法によりポリスチレンを海成分、ポリエステルを島成分とする複合繊維を紡糸し、該複合繊維を用いて、スパンボンド、メルトブロー、抄紙法、カードとクロスラッパーとを組み合わせた方法等により繊維ウェブを形成し、該繊維ウェブを用いてニードルパンチ処理あるいはウォータージェットパンチ処理などの絡合処理を施すことにより、絡合不織布を形成する。この際、布帛の機械的強度を増すため等の理由から、他の織物、編物または不織布、或いはこれらの2以上を、絡合または接着等によりこの絡合不織布と一体化させても良い。また、一体化させる織物や、編物、不織布は、無機粒子やシリコーンオイル等を含んだものでも良い。次に、この絡合不織布に含まれる複合繊維の海成分を、溶剤抽出または熱分解等の方法で除去し、これにより上記の極細熱可塑性合成繊維布帛が得られる。
また上記の高分子弾性体の付与方法としては、高分子弾性体を塗布あるいは含浸して乾燥、固着させる方法等を採用することができる。また上記の人工皮革をスエード調とする場合、上記の起毛または立毛は、例えば上記の高分子弾性体を付与した不織布に対して、表面をサンドペーパー等により起毛処理を施すことで形成でき、これにより、スエード調の立毛面を有する人工皮革を得ることができる。
上記の人工皮革は必要に応じて染色処理を施すことができる。この染色処理としては、例えば、ジッガー染色機や液流染色機を用いた液流染色処理、連続染色機を用いたサーモゾル染色処理等の浸染処理、或いはローラー捺染、スクリーン捺染、インクジェット方式捺染、昇華捺染、真空昇華捺染等による立毛面への捺染処理等を用いることができる。中でも、柔軟な風合いが得られること等、品質・品位面から液流染色機を用いることが好ましい。また、必要に応じて、染色後に各種の樹脂仕上げ加工を施しても良い。
また、上記の人工皮革は、必要に応じてその表面に意匠性を施すことができる。例えば上記の人工皮革に、パーフォレーション等の穴開け加工、エンボス加工、レーザー加工、ピンソニック加工、プリント加工等の後加工処理を施しても良い。
上記の人工皮革に付与される、本発明に係る人工皮革用難燃加工剤は、リン成分として表面が難水溶化されたポリリン酸アンモニウムと、窒素成分として水溶解度が3.0g/L以下のトリアジン系難燃剤と、バインダー樹脂とを含むことを特徴とする。
上記のポリリン酸アンモニウムとトリアジン系難燃剤とバインダー樹脂は、通常、水に分散させてある。この分散には、必要であれば例えばアニオン性界面活性剤やノニオン性界面活性剤などの公知の界面活性剤を用いて、プロペラ撹拌機やホモジナイザーなどで撹拌するなどの一般的な方法を用いることができる。
水に分散させるための公知のアニオン性またはノニオン性界面活性剤としては、下記のような化合物が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。また、これら界面活性剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
アニオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルスルホ琥珀酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物の塩、アルキルナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物の塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸及び燐酸塩、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸及び燐酸塩等が挙げられる。
また、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
上記ポリリン酸アンモニウムの表面を難水溶化するためには、好ましくはメラミン樹脂あるいは酸化ケイ素系樹脂が用いられる。なお車両内装用途に関しては、揮発性有機化合物(VOC)の発生を抑制する観点から、特に酸化ケイ素系樹脂により処理されたものがより好ましい。
上記のメラミン樹脂あるいは酸化ケイ素系樹脂により表面を難水溶化されたポリリン酸アンモニウムは、公知の化合物であり、それ自体公知の方法で製造することができ、これら公知の方法を用いて表面処理したものであれば、特定の製造方法によるものに限定することなく用いることができる。また、市販品として入手することも可能である。
即ち、メラミン樹脂により表面を難水溶化されたポリリン酸アンモニウムとしては、例えば特開昭61−103962号や特開平9−227110号などで提案されている処理方法により得ることができる。また市販品として入手できる製品としては、例えばExolit AP462(Clariant社製)、FR−CROS−C60(Budenheim社製)、Exflam APP202(Wellchem社製)などを挙げることができる。
上記の酸化ケイ素系樹脂により難水溶化されたポリリン酸アンモニウムとしては、シロキサンオリゴマーとエポキシ基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基などの官能基を含有する有機ケイ素化合物との反応物を用いて、ポリリン酸アンモニウムの表面が改質されたものであり、例えば、特許第2935857号や特開2009−1435号などで提案されている処理方法により得ることができる。また市販品として入手できる製品としては、例えばFR−CROS−486(Budenheim社製)、Exflam APP204(Wellchem社製)、FRX−304(信越化学工業株式会社製)などを挙げることができる。
本発明の人工皮革用難燃加工剤において、上記ポリリン酸アンモニウムは難燃加工剤中に5〜30質量%、好ましくは10〜25質量%含むことが望ましい。5質量%以下の場合、スエード調人工皮革に対し難燃加工剤を多量に付与することとなり経済性の面で不利となる傾向がある。また、30質量%を超える場合は、難燃加工剤としての保存安定性が悪くなるおそれがある。
上記トリアジン系難燃剤は、水溶解度が3.0g/L以下であればよく、具体的には例えば、シアヌル酸、メラミンシアヌレート、ポリリン酸メラミンなどが挙げられるが、耐際付き性の観点から水溶解度の低いものとしてメラミンシアヌレートが特に好ましい。
上記のポリリン酸アンモニウムとトリアジン系難燃剤の配合比は、その相乗効果から、リン原子と窒素原子の質量比が1:0.6〜1:2.5であると好ましく、1:0.8〜1:2.3の範囲であるとより好ましい。リン原子に対する窒素原子の質量比が0.6未満である場合や2.5より大きい場合は、十分な相乗効果が発揮されず優れた難燃性を得ることができないおそれがある。
上記バインダー樹脂は、例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂などから選ばれ、特に限定されるものではないが、接着性および耐熱性の観点からアクリル樹脂であると好ましい。このバインダー樹脂の配合量は、特定の値に限定されないが、難燃加工剤中に含有する粉体質量、即ち上記のポリリン酸アンモニウムとトリアジン系難燃剤の合計質量に対し、5〜50質量%の範囲が好ましく用いられる。5質量%以下では粉体成分の脱落を生じやすく、50質量%を超えるとスエード調人工皮革の風合いが損なわれるおそれがある。
上記の人工皮革用難燃加工剤には、上述した成分の他に、更に難燃助剤として水酸化アルミニウムや、水酸化マグネシウム、金属酸化物などを含有させることもできる。
更に、上記の難燃加工剤には、経日安定性や生産作業性向上のための増粘剤や、流動パラフィン、ポリエチレングリコール等の柔軟剤が添加されていても良い。
上記増粘剤としては、耐際付き性に悪影響を与えない範囲で、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルカリ増粘型アクリル樹脂、エチレンオキサイド高級脂肪酸エステルなどを用いることができる。
次に、上記の人工皮革用難燃加工剤を用いた、本発明の難燃性人工皮革の製造方法について説明する。
本発明の難燃性人工皮革の製造方法では、前記の人工皮革に上記の難燃加工剤が付与される。即ち前述したように、リン成分として表面が難水溶化されたポリリン酸アンモニウムと、窒素成分として水溶解度が3.0g/L以下のトリアジン系難燃剤と、バインダー樹脂とを含む人工皮革用難燃加工剤を、上記の人工皮革に付与することによって、難燃性人工皮革を製造するものである。
上記の人工皮革が前記のスエード調人工皮革である場合は、スエード調立毛面の裏面に難燃加工剤が付与される。この人工皮革への難燃加工剤の付与方法としては、特定の方法に限定されるものではなく、例えば、ロータリースクリーン、ナイフロールコーター、グラビアロールコーター、キスロールコーター、カレンダーコーター等の装置を用いて所定量を付与すれば良い。また難燃加工剤を付与した後の乾燥方法としては、テンター乾燥機などの公知の乾燥機を用いて乾燥することができる。
上記の人工皮革は、予めホスホン酸系キレート剤により酸性化してこの人工皮革の抽出液pHを6.5〜2.0に調整しておき、この酸性化した人工皮革に上記の人工皮革用難燃加工剤を付与することができる。この場合は、そのキレート剤による酸性化と難燃加工剤との相乗効果により、一層優れた難燃性を発揮できるので、好ましい。
なお上記の人工皮革を染色する場合は、その染色後に、上記のホスホン酸系キレート剤による酸性化加工を人工皮革に施すことができる。
上記のホスホン酸系キレート剤としては、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、ホスホノブタントリカルボン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。なお、これらホスホン酸系キレート剤は、溶解性を高めるために、アンモニアやグアニジンにより部分的に中和されていても良い。
上記のホスホン酸系キレート剤により人工皮革を酸性化する場合、その人工皮革は抽出液のpH範囲が、JIS L 1096:2010「織物及び編物の生地試験方法」の8.37(抽出液のpH)に記載のA法(JIS法)による測定方法で、6.5〜2.0に調整され、好ましくは5.0〜3.0に調整される。pHが6.5以上の場合、難燃性が不良となるおそれがあり、他方、pHが2.0以下の場合、加工機等を腐食したり、難燃性スエード調人工皮革と接する他の部材等を腐食するおそれがある。
上記のホスホン酸系キレート剤の付与量は、耐際付き性の観点から、人工皮革の質量に対し、0.1〜1.0質量%であると好ましく、より好ましくは0.2〜0.5質量%の範囲内で付与される。ホスホン酸系キレート剤の付与量が0.1質量%以下の場合、難燃性が不良となるおそれがあり、他方1.0質量%以上の場合、耐際付き性が不良となるおそれがある。
ホスホン酸系キレート剤の付与方法としては、特に限定されるものではないが、例えばパディング法、スプレー法、キスロール法等により所定量を付与すれば良い。例えば、パディング法によるときは、ホスホン酸系キレート剤にスエード調人工皮革を浸漬して所定の付着量になるようにマングル等で絞った後、テンター乾燥機などの公知の乾燥機を用いて乾燥すればよい。
上記の人工皮革用難燃加工剤は、通常は上記の人工皮革の質量に対しリン原子の濃度が2質量%以上となるように付与されると、人工皮革を良好に難燃化できて好ましい。ただし、上記の人工皮革が予め上記のようにホスホン酸系キレート剤で酸性化されている場合は、より高い難燃性が付与されるので、上記の難燃加工剤は、人工皮革の質量に対しリン原子の濃度が1.5質量%以上となるように付与されると好ましい。
上記の人工皮革用難燃加工剤の付与量は、特定の値に限定されないが、スエード調等の人工皮革本来の柔軟な風合いを損なわない範囲で且つ良好な難燃性を発揮するために、通常、人工皮革に対して乾燥時の質量(固形分質量)が9〜25質量%であると好ましく、より好ましくは10〜20質量%の範囲で付与される。ただし、上記の人工皮革が予め上記のようにホスホン酸系キレート剤で酸性化されている場合は、より高い難燃性が付与されるので、上記の難燃加工剤の付与量は、人工皮革に対して乾燥時の質量(固形分質量)が7〜25質量%であると好ましく、より好ましくは8〜18質量%の範囲で付与される。
上記の製造方法により得られる本発明の難燃性人工皮革は、スエード調等の人工皮革本来の風合いを損ねることなく、耐際付き性、耐熱性に優れており、しかも優れた難燃性を備える。
特に、人工皮革を予めホスホン酸系キレート剤により酸性化して上記の難燃加工剤を付与している場合は、難燃性を高めることや、その難燃加工剤の付与量を低減することができるので、高濃度で染色されたスエード調等の人工皮革の難燃加工や、特に風合いを重視する難燃加工の場合など、難燃加工剤の付与による風合いの硬化を抑制したい場合に好適である。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、各物性は以下のように評価した。
(難燃性能試験)
FMVSS(米国連邦自動車安全基準)No.302の自動車内装材燃焼試験規格に基づいて水平燃焼速度を測定し、次の判定基準により難燃性能を評価した。
・A標線に達する前に自消した場合、判定区分を「A標線内自消」とし、合格とした。
・A標線を越えて自消した場合であって、燃焼距離が50mm以内であり、且つ燃焼時間が60秒以内の場合、判定区分を「自消」とし、合格とした。
・自消しないが、標線間の燃焼速度が4インチ/分(約101.6mm/分)以下である場合、判定区分を「規定速度以下の燃焼」とし、合格とした。
・自消せず、標線間の燃焼速度が4インチ/分(約101.6mm/分)を超える場合、判定区分を「規定速度を超える燃焼」とし、不合格とした。
(際付き性試験)
ウレタンフォームの上に人工皮革試料を置き、表面に水3ccを滴下し自然乾燥するまで放置した後、試料表面の輪染み等の発生を観察した。
(耐熱性試験)
人工皮革を100℃の恒温槽に100時間放置し、難燃加工した裏面の変色を変退色用グレースケールにて判定した。
(柔軟性試験)
人工皮革の柔軟性はJIS L1096:2010「織物及び編物の生地試験方法」の8.21(剛軟度)の、8.21.1に記載のA法(45°カンチレバー法)に基づき、タテ方向で2cm×15cmの試験片を作成し45°の斜面を有する水平台へ置き、試験片を滑らせて試験片の一端の中央点が斜面と接したときのスケールを読みとって評価した。
(生地抽出液のpH)
JIS L 1096:2010「織物及び編物の生地試験方法」の8.37(抽出液のpH)に記載のA法(JIS法)に基づき測定した。
(実施例1)
〈人工皮革の製造〉
島成分としてポリエチレンテレフタレート、海成分としてポリスチレンからなる、成分比55/45、島数36、複合繊維繊度3.1デシテックス、繊維長51mm、捲縮数15山/2.5cmの海島型複合繊維からなるステープルを用い、カード、クロスラッパーを通してウェブを作成したのちこれをニードルパンチングにて仮絡合を施し、次いで両面に目付75g/mの平織ポリエステルスクリムを重ねてニードルパンチングにて絡合一体化処理して、目付710g/m、繊維密度0.23g/cmのパンチング不織布を作成した。この海島型複合繊維からなる不織布を湿熱収縮させたのち、ポリビニルアルコールを不織布当たり15質量%となるように含浸したのち乾燥した。その後、トリクロロエチレン中で、海成分であるポリスチレンを抽出除去し、乾燥を行って、平均単繊維直径2.1μmの極細繊維からなる不織布シートを得た。
次いで、この不織布シートに、ポリカーボネート系ポリウレタンのジメチルホルムアミド溶液を対繊維当たり25質量%となるように含浸し、25℃のジメチルホルムアミド濃度30%の水溶液中でポリウレタンを凝固せしめた。その後、熱水にてポリビニルアルコール及びジメチルホルムアミドを除去したのち乾燥した。
その後、このシートを厚み方向にスライス装置で半裁したのち、得られた半裁シートの半裁面をサンドペーパーを用いてバフィングし、起毛処理を施した。これらの処理により、目付350g/m、平均単繊維直径2.1μmの極細繊維を有する、未染色のスエード調人工皮革を得た。なお、この実施例では半裁面に起毛処理を施したが、本発明ではこの起毛処理を半裁シートの非半裁面に施してもよい。
次いで、この未染色のスエード調人工皮革に、液流染色機を用いて液流染色を施し、乾燥仕上げを施して、目付380g/mのスエード調人工皮革を得た。
〈難燃加工剤の調製〉
表1にように、純水64部にノニオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート0.2部と、酸化ケイ素系樹脂処理ポリリン酸アンモニウムとしてExflam APP204(Wellchem社製、リン含有量28%、窒素含有量14%、以下、APP204と記載することがある)20部と、メラミンシアヌレート(窒素含有量49.4%、以下、MCと記載することがある)4部とを混合し均一に分散させたのち、バインダー樹脂として不揮発分50%のアクリル酸メチル樹脂11部を混合し、増粘剤として、ヒドロキシエチルセルロースを用いて増粘を行い、加工剤の粘度を3000mPa・sに調整して難燃加工剤Aを得た。この難燃加工剤Aのリン:窒素の質量比は、1:0.9であった。
この難燃加工剤Aを上記のスエード調人工皮革の裏面(立毛面の裏面)へ、人工皮革に対するリン付着量が2質量%となるように、スクリーンコーターにて塗布するコーティング加工を行い、その後、100℃で7分間、乾燥処理を行った。人工皮革に対する難燃加工剤Aの乾燥付着量は10.7質量%であった。
(実施例2、3、4)
APP204とMCの混合比率を表1記載のように変更した以外は、実施例1と同様に難燃加工剤を調製し、これを同様に処理して上記のスエード調人工皮革の裏面に付着させた。
即ち実施例2では、APP204を18部、MCを6部として難燃加工剤Bを得た。この難燃加工剤B中のリン:窒素の質量比は、1:1.1であった。また人工皮革に対する難燃加工剤Bの乾燥付着量は11.9質量%であった。
また実施例3では、APP204を15部、MCを9部として難燃加工剤Cを得た。この難燃加工剤C中のリン:窒素の質量比は、1:1.6であった。また人工皮革に対する難燃加工剤Cの乾燥付着量は14.3質量%であった。
また実施例4では、APP204を12部、MCを12部として難燃加工剤Dを得た。この難燃加工剤D中のリン:窒素の質量比は、1:2.3であった。また人工皮革に対する難燃加工剤Dの乾燥付着量は17.9質量%であった。
(実施例5)
メラミン樹脂処理ポリリン酸アンモニウムとして、Exolit AP462(Clariant社製、リン含有量29%、窒素含有量15%、以下AP462と記載することがある)を用いた以外は、実施例1と同様に調整して難燃加工剤Eを得た。この難燃加工剤Eのリン:窒素の質量比は、1:0.9であった。そしてこの難燃加工剤Eを、実施例1と同様に処理して上記のスエード調人工皮革の裏面に付着させた。この人工皮革に対する難燃加工剤Eの乾燥付着量は10.3質量%であった。
(比較例1)
APP204を24部とし、MCの配合を省略した以外は実施例1と同様に調整して難燃加工剤Fを得た。この難燃加工剤F中のリン:窒素の質量比は、1:0.5であった。そしてこの難燃加工剤Fを、人工皮革に対するリン付着量が2.7質量%となるように塗工量を調整する以外は実施例1と同様に処理して、上記のスエード調人工皮革の裏面に付着させた。この人工皮革に対する難燃加工剤Fの乾燥付着量は12.1質量%であった。
(比較例2)
実施例1のAPP204に代えて、表面を難水溶化していないポリリン酸アンモニウムである、Exolit AP422(Clariant社製、リン含有量31%、窒素含有量14%、以下、AP422と記載することがある)を用いた以外は、実施例1と同様に調整して難燃加工剤Gを得た。この難燃加工剤G中のリン:窒素の質量比は、1:0.8であった。そしてこの難燃加工剤Fを、実施例1と同様に処理して上記のスエード調人工皮革の裏面に付着させた。この人工皮革に対する難燃加工剤Gの乾燥付着量は9.7質量%であった。
上記の実施例1〜5と比較例1、2について、難燃加工剤の組成と、人工皮革に対する乾燥後の薬剤付着量、処理された人工皮革の難燃性能、耐際付き性、耐熱性、柔軟性の評価結果を、それぞれ表1に記載した。
Figure 0006097017
上記の表1から明らかなように、トリアジン系難燃剤を省略した比較例1は易燃性であって、FMVSSNo.302の規格に不合格であり、例えば自動車用内装材として必要な難燃性能を得ることができなかった。またポリリン酸アンモニウムが難水溶化されていない比較例2では、耐際付き性が劣る問題点があった。これに対し本願発明の実施例1〜5では、いずれも自消性という優れた難燃性能を備えるうえ、耐際付き性と耐熱性に優れた難燃性人工皮革が得られた。
(実施例6)
難燃加工剤をコーティングする前の上記のスエード調人工皮革を、ホスホン酸系キレート剤である、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)のグアニジン塩(以下、「NTMP−Gu」と記載することがある)の濃度2.0g/Lの水溶液に浸漬し、30分放置して酸性化処理を施した。その後、絞り率が人工皮革の生地質量に対して50%になるように公知のDip−Nip法で処理し、100℃で7分間の乾燥処理を実施した。この酸性化されたスエード調人工皮革は、生地抽出液のpHが6.0であった。この酸性化されたスエード調人工皮革の裏面に、上記の難燃加工剤Aを、人工皮革に対するリン付着量が1.6質量%となるように塗工量を調整する以外は、実施例1と同様に処理して付着させた。この人工皮革に対する難燃加工剤Aの乾燥付着量は8.6質量%であった。
(実施例7)
上記の酸性化処理に用いるNTMP−Gu水溶液の濃度を6.4g/Lに調整した以外は、実施例6と同様に処理して上記のスエード調人工皮革を酸性化した。この酸性化されたスエード調人工皮革は、生地抽出液のpHが5.0であった。この酸性化されたスエード調人工皮革の裏面に、上記の難燃加工剤Aを、人工皮革に対するリン付着量が1.5質量%となるように塗工量を調整する以外は、実施例1と同様に処理して付着させた。この人工皮革に対する難燃加工剤Aの乾燥付着量は8.0質量%であった。
(実施例8)
ホスホン酸系キレート剤を、上記のNTMP−Gu水溶液に代えて、ホスホノブタントリカルボン酸(以下、「PBTC」と記載することがある)の濃度6.4g/Lの水溶液を用いた以外は、実施例6と同様に処理して上記のスエード調人工皮革を酸性化した。この酸性化されたスエード調人工皮革は、生地抽出液のpHが3.0であった。この酸性化されたスエード調人工皮革の裏面に、上記の難燃加工剤Aを、人工皮革に対するリン付着量が1.5質量%となるように塗工量を調整する以外は、実施例1と同様に処理して付着させた。この人工皮革に対する難燃加工剤Aの乾燥付着量は8.0質量%であった。
(実施例9)
上記の酸性化処理に用いるNTMP−Gu水溶液の濃度を0.9g/Lに調整した以外は、実施例6と同様に処理して上記のスエード調人工皮革を酸性化した。この酸性化されたスエード調人工皮革は、生地抽出液のpHが7.0であった。この酸性化されたスエード調人工皮革の裏面に、上記の難燃加工剤Aを、人工皮革に対するリン付着量が1.8質量%となるように塗工量を調整する以外は、実施例1と同様に処理して付着させた。この人工皮革に対する難燃加工剤Aの乾燥付着量は9.6質量%であった。
(実施例10)
上記のNTMP−Gu水溶液に代えて、濃度2.4g/Lの氷酢酸液を用いた以外は、実施例6と同様に処理して上記のスエード調人工皮革を酸性化した。この酸性化されたスエード調人工皮革は、生地抽出液のpHが6.0であった。この酸性化されたスエード調人工皮革の裏面に、上記の難燃加工剤Aを、人工皮革に対するリン付着量が1.8質量%となるように塗工量を調整する以外は、実施例1と同様に処理して付着させた。この人工皮革に対する難燃加工剤Aの乾燥付着量は9.6質量%であった。
上記の実施例6〜10について、難燃加工剤の組成と、人工皮革に対する乾燥後の薬剤付着量、処理された人工皮革の難燃性能、耐際付き性、耐熱性、柔軟性の評価結果を、それぞれ表2に記載した。
Figure 0006097017
上記の表2から明らかなように、人工皮革に予め酸性化処理を施している場合、上記の難燃加工剤の塗工量を少なくすると、実施例1に比べて、実施例9、10では柔軟性が向上するものの、難燃性能がやや低下した。これに対し、人工皮革を予めホスホン酸系キレート剤で酸性化処理して人工皮革の抽出液pHを所定の範囲内に調整した実施例6〜8では、上記の難燃加工剤の塗工量を低減しても優れた難燃性能を示しており、しかも耐際付き性に優れるうえ、塗工量の多い実施例1に比べて良好な柔軟性を示しており、人工皮革本来の柔軟な風合いを良好に維持した難燃性人工皮革が得られた。
上記の各実施例で説明した人工皮革用難燃加工剤や難燃性人工皮革とその製造方法は、本発明の技術的思想を具体化するために例示したものであり、難燃加工剤の各成分や配合量、人工皮革の形態や製造方法、構成フィラメントの材質、繊度、高分子弾性体の種類、酸性化処理剤の成分、各処理方法などを、上記の実施例のものに限定するものではなく、本発明の特許請求の範囲内において種々の変更を加え得るものである。
例えば上記の実施例では、いずれも人工皮革を構成する布帛が不織布である場合について説明したが、本発明の人工皮革は織物や編物に高分子弾性体を含浸させたものであってもよい。また上記の実施例では、人工皮革がスエード調である場合について説明したが、本発明の人工皮革は他の形態のものであってもよいことは、言うまでもない。
本発明の人工皮革用難燃加工剤を用いて製造した難燃性人工皮革は、耐際付き性、耐熱性に優れるうえ、本来の柔軟な風合いを損ねることなく優れた難燃性能を備えるので、衣料用素材としてのみならず、車両用内装材、家具インテリア用素材、建築材料など様々な分野で使用されるスエード調人工皮革に特に好適であるが、スエード調以外の人工皮革にも好適である。

Claims (5)

  1. 織物、編物または不織布からなる熱可塑性合成繊維布帛とこれに含浸した高分子弾性体とを備える人工皮革にホスホン酸系キレート剤が付与されており、この人工皮革の抽出液pHが6.5〜2.0に調整されており、上記人工皮革に対して、メラミン樹脂あるいは酸化ケイ素系樹脂により難水溶化処理が施されたポリリン酸アンモニウムと、水溶解度が3.0g/L以下のメラミンシアヌレートと、バインダー樹脂とを含む難燃樹脂組成物が乾燥時の質量で7〜25質量%付与され、当該人工皮革に対するリン原子の濃度が1.5質量%以上であってリン原子と窒素原子の質量比が1:0.6〜1:2.5であることを特徴とする、難燃性人工皮革。
  2. 上記のホスホン酸系キレート剤がニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、ホスホノブタントリカルボン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、及びジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)から選ばれる少なくとも1つである、請求項に記載の難燃性人工皮革。
  3. 上記の難水溶化処理がメラミン樹脂あるいは酸化ケイ素系樹脂により施されている、請求項1または2に記載の難燃性人工皮革。
  4. 上記の人工皮革が表面に起毛または立毛を有するスエード調人工皮革である、請求項1からのいずれかに記載の難燃性人工皮革。
  5. 上記のスエード調人工皮革の立毛面の裏面に上記の難燃樹脂組成物が付与されている、請求項に記載の難燃性人工皮革。
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