JP6094825B2 - 複合粉末だし取り用調味料およびその製造方法 - Google Patents
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Description
さらに、それら天然素材の保管、だしを取った後のだしガラの処理などが手間であった。
そこで、それらだし取り用の天然素材を適量に小分けしてパックにした、いわゆるだし取り用の調味料パックが重宝されている。
このだしの素は、手軽で扱いやすいというメリットはあるものの、やはり、天然素材を用いて取った天然だしの方が風味や旨みに優れており、人工のだしの素に見られるような化学調味料や人工甘味料から来るエグ味がない。
第1は、既に上記で述べた点であるが、天然素材ごとにだしの取り方のコツがあり、その習得が必要となる点である。
天然素材ごとに作り方のコツが違い、だしを取るための使用量、水の量、抽出方法、煮る場合は煮炊きの温度と時間、冷まし方などを間違えないようにしなければならない。
天然だしは非常に旨みと風味が豊かであるが、十分に濃いだしを取るためには天然素材の量を多くし、かつ、抽出時間を長くかける必要がある。手短な時間で濃いだしを取ることは困難とされている。
天然だしには魚節、貝類、昆布類、キノコ類など、多種多様の素材があり、それぞれから独特の旨みと風味を持っただしが得られるが、それらを複数組み合わせた複合だしも魅力が大きい。単体の天然素材から醸し出される旨みと風味が複数組み合わさると一層深みとコクが生まれ、重奏的な旨みと風味が得られる。複合だしの素材を一度に使用してだしを取ろうとすると、天然素材ごとに適しただしの抽出方法ではないため、すべての天然素材から適切な旨みと風味を得ることは困難である。一般的には、天然素材ごとにだしを取り、それを合わせるという方法となるが、一般利用者にとって手間がかかり、難しいものと言わざるを得ないという問題があった。
なお、前記第3の工程において、前記グループのうち少なくとも1つのグループについては、前記非ガラ粉末の前記だし取り未処理素材が前記ガラ粉末の素材とは異種の素材であり、異種同士の前記非ガラ粉末と前記ガラ粉末の混合により前記ペーストを得ることが可能である。
また、前記第3の工程において、前記グループのうち少なくとも1つのグループについては、前記非ガラ粉末の前記だし取り未処理素材が前記ガラ粉末の素材とは異系統の素材であり、異系統同士の前記非ガラ粉末と前記ガラ粉末の混合により前記ペーストを得ることが可能である。
なお、上記製造工程において、第2の工程と第3の工程の間に、だしエキスを濃縮、調整するだしエキス濃縮調整工程を伴うものでも良い。
第2の工程では最適な濃さのだしが得られたとしても、利用者が煮出す際により濃いだしがでるようにエキス濃縮して調整しておいた方が良い場合もあり得るからである。
例えば、魚節貝類系の素材としては鰹や宗田鰹を含み、さらに干しあさり、ホタテ貝柱、いわし、あご、マグロのいずれかを任意で含むものがある。
例えば、キノコ系の素材としては、しいたけを含み、えのき、しめじ、舞茸のいずれかを任意で含むものがある。
例えば、薬膳植物系の素材としては、植物系として、例えば、茶(ほうじ茶やむぎ茶などの焙煎茶、緑茶などの非発酵茶、ウーロン茶などの発酵茶など)、人参、牛蒡、ほうれん草、リンゴ、ナツメ、玉ねぎのいずれかまたはその組み合わせを含む。他の植物も含まれ得る。また、薬膳系としては、甘草、はと麦、ドクダミをはじめ、その他の薬膳類も含まれ得る。なお、薬膳系の甘草、はと麦、ドクダミに関しては、煎じた後に抽出液を得て、当該抽出液を利用することが好ましい。なお、薬膳植物系の素材は、複合だしの素材として必須ではなく、含めるか否かは商品コンセプトに応じて決めれば良い。
例えば、下記のグループに大別して行う。順不同であるが、1つ目が海草系の素材のグループに対しては海草系だし取り製法でだしを取り、だしとガラを得る海草系工程、2つ目が魚節貝類系の素材のグループに対して魚節貝類系だし取り製法でだしを取り、だしとガラを得る魚節貝類系工程、3つ目がキノコ系の素材のグループに対してキノコ系だし取り製法でだしを取り、だしとガラを得る魚節貝類系工程、4つ目が薬膳植物系の素材のグループに対して薬膳植物系だし取り製法でだしを取り、だしとガラを得る薬膳植物系工程がある。
所定割合で組み合わせた天然素材のガラそれぞれから得られる天然だしエキスが自然と溶け出して混ざり合うため、一度の煮出し作業で自然と複合だしが形成される。
また、素材の系統ごとにガラのみでなく、だし取り素材とは異種の天然素材を粉砕などして加工した粉末も天然だしに加えてペースト化するため、利用者が煮出しする際、ベースとなる天然だしに対して異系統または異種素材から新たに供給されるだし成分が追加されるため重層化された旨みと風味が醸し出されることとなる。さらに、複数の系統を所定割合で混合した粉末とするので、さらに重層化された旨みと風味が醸し出されることとなる。
ガラ粉末(一度だし取りで煮炊きしたガラ)に対して異系統、異種素材の非ガラ粉末(一度も煮炊きしていない素材の粉末)を混ぜてからエキス混合粒を製造するため粒の結着性も向上する。
図1は本発明の複合粉末だし取り用調味料100の製造工程を簡単に示すフローチャートである。
図1に示すように、本発明の複合粉末だし取り用調味料100の製造工程は、第1工程(S101)、第2工程(S102)、第3工程(S103)、第4工程(S104)の4つの工程を備えている。
なお、第1工程から第4の工程まで一気通貫に行っても良いし、第1工程(S101)から第3工程(S103)まで行ってだしエキス混合粒を製造しておき、必要に応じて第4工程(S104)を随時行うことも可能である。ただし、天然だしであるため、風味の劣化などを考慮すれば、第1工程から第4の工程まで一気通貫に行うことが好ましい。
第1工程(S101)は、目的とする味や成分のだしを製造するために取り揃えた素材を、素材の系統、抽出方法の別にグルーピング化する工程である。グルーピング化の一例としては、海草系、魚節貝類系、キノコ系、薬膳植物系などがある。
目的とする味や成分のだしは、多種多様であり、様々な天然素材の組み合わせにより目的とする味や成分のだしを製造する。本発明では、それら天然素材は単品ではなく、複数種類の組み合わせが前提となる。その目的とする味や成分のだしを製造するため取り揃えた素材をグルーピングする。
魚節貝類系の素材としては、まず、鰹節、宗田鰹節、さらに、配合によっては鯖節(サバ)、鮪節(マグロ)、室節(アジ)、うるめ節(ウルメいわし)などの節類、また、いわし(いりこ)、あごなどの煮干しなどもある。
また、貝類として、ホタテ貝柱、さらに、ホタテ干しヒモ(外套膜)、あさり、しじみ、はまぐり、牡蠣などの干し貝肉などがある。
キノコ系の素材としては、干し椎茸、さらに、えのき、しめじ、舞茸、平茸、なめこ、松茸、きくらげなどがあげられる。
薬膳植物系素材としては、甘草、はと麦、ドクダミなどの薬膳類、人参、牛蒡、ほうれん草、玉ねぎなどの野菜類、リンゴ、ナツメなどの果実類、さらに、いわゆる漢方薬の素材などもあり得る。
上記は例示であり、海草系、魚節貝類系、キノコ系、薬膳植物系には他にも様々な素材を採用し得る。
この第1工程(S101)を経て、素材のグルーピングが行われる。
第2工程(S102)は、第1工程(S101)でグルーピングされた各々のグループに対して、当該グループごとの素材に適しただし取り製法でだしを取り、だしエキスとガラを得る工程である。
この第2工程には様々なレシピがあり得る。本発明ではこの第2工程(S102)のだし取り製法のレシピを限定するものではない。製造者が適していると判断するレシピを用いれば良い。
以下に系統別のだし取り工程となる第2工程(S102)とその後に続く、だしエキス混合粒を得る第3工程(S103)を併せて示す。第2工程(S102)と第3工程(S103)を別々に説明しても良いが、この2つの工程を併せて説明する方が分かりやすい場合もあるので、両工程を併せて説明する。
以下は一例であり、レシピのバリエーションはあり得る。
図2は、海草系グループの素材の第2工程(S102)および第3工程(S103)を示すフローチャートと、だし取り工程の様子を示す図である。
(ステップS102A1)
昆布を適量、鍋の水に入れて半日から一日程度漬け込む。
(ステップS102A2)
昆布を漬け込んだ鍋をそのまま煮炊きする。中の昆布ガラを取り出し、昆布ガラと煮汁を得る。
(ステップS102A3)
煮汁に対して適量の鰹節を入れて半日から一日程度漬け込む。
このステップS102A3で、第2工程が終わり昆布の煮汁とガラに取り分けられる。
第2工程を終え、第3工程に入る。
昆布ガラを破砕してペースト状に加工する。
(ステップS103A5)
次に、当該昆布ガラペーストを煮汁に対して入れ、昆布ガラペーストと煮汁の混合により全体がペースト状になるまで昆布ガラペーストを投入して撹拌する。
(ステップS103A6)
ガラペーストと煮汁混合物を半日から一日寝かせ、その後、乾燥機を用いて低温(60℃程度)で乾燥し、粉砕機で適度な粒度となるよう粉砕して粉末を得る。
このステップS103A3で第3工程が終了する。
図3は、魚節貝類系グループの素材の第2工程(S102)および第3工程(S103)を示すフローチャートと、だし取り工程の様子を示す図である。
この例では、だし取り素材は鰹節、煮干とし、異系統異種素材は昆布や椎茸とした例となっている。
(ステップS102B1)
先に鍋の水を沸騰させ、その中に適量の鰹節などの魚節やあご等の煮干し、さらに干し貝柱やあさりの干し貝肉などを投入し、だしを抽出しながら半日から一日程度漬け込む。
(ステップS102B2)
漬け込みが終了すると、だしの抽出液と魚節貝類のガラが得られる。
(ステップS102B3)
なお、適宜、抽出汁に対してはさらに適量の鰹節を追加しても良い。
このステップS102B1で、第2工程が終わり魚節貝類の抽出汁とガラに取り分けられる。
第2工程を終え、第3工程に入る。
魚節貝類ガラから加工したガラペースト、さらに、昆布や椎茸を加工した非ガラペーストを加工しておく。
(ステップS103B5)
抽出汁に対して全体がペースト状になるまでガラペースト、非ガラペーストを投入して撹拌する。必要に応じて魚醤などの天然調味料を添加することもあり得る。
(ステップS103B6)
ペースト混合物を半日から一日寝かせ、その後、乾燥機を用いて低温(60℃程度)で乾燥し、粉砕機で適度な粒度となるよう粉砕して粉末を得る。
このステップS103B3で第3工程が終了する。
図4は、キノコ系グループの素材の第2工程(S102)および第3工程(S103)を示すフローチャートと、だし取り工程の様子を示す図である。
この例では、だし取り用素材は、乾燥椎茸、乾燥しめじ、乾燥えのき、乾燥舞茸などの乾燥キノコ類であり、異種素材は、魚節貝類系の鰹節とする。
(ステップS102C1)
乾燥椎茸、乾燥しめじ、乾燥えのき、乾燥舞茸などの乾燥キノコ類を適量、鍋の水に入れて半日から一日程度漬け込む。
(ステップS102C2)
乾燥キノコ類を漬け込んだ鍋をそのまま一時間程度煮炊きする。
(ステップS102C3)
中のキノコガラを取り出し、煮汁をさらに二時間程度、中火で煮炊きを続け、煮汁を濃縮する。
このステップS103C3において第2工程が終わり、キノコ濃縮煮汁とキノコガラに取り分けられる。
キノコガラを破砕してペースト状にする。
(ステップS103C5)
当該キノコガラペーストをキノコ濃縮煮汁に対して入れ、さらに鰹節粉末を加え、全体がペースト状になるまでキノコガラペーストを投入して撹拌する。
(ステップS103C6)
ステップS103C5で生成したペーストを半日から一日寝かせ、その後、乾燥機を用いて低温(60℃程度)で乾燥し、粉砕機で適度な粒度となるよう粉砕して粉末を得る。
このステップS103C6で第3工程が終了する。
図5は、薬膳植物系グループの素材の第2工程(S102)および第3工程(S103)を示すフローチャートと、だし取り工程の様子を示す図である。
この例では、だし取り用素材は、甘草、はと麦、ドクダミの薬膳であり、異種素材は、野菜系の人参、牛蒡、ほうれん草とする。
(ステップS102D1)
あらかじめ、人参、牛蒡、ほうれん草などの野菜をペースト状にすりつぶし、野菜ペーストを中火で約1時間程度炒める。
(ステップS102D2)
甘草、はと麦、ドクダミなどの薬膳類を煎じて薬膳煎汁を抽出する。
(ステップS102D3)
薬膳ガラと薬膳煎汁とに取り分ける。
このステップS102D2において第2工程が終わり、薬膳煎汁と薬膳ガラに取り分けられる。
次に、第3工程として、薬膳ガラを破砕してペースト状にし、当該薬膳ガラペーストを得る。
(ステップS103D5)
薬膳煎汁に対して、野菜ペースト、薬膳ガラペーストを加え、撹拌して全体を馴染ませる。
(ステップS103D3)
魚醤などの天然調味料で味を整え、中火で沸騰直前まで煮た後火を止め、半日から一日寝かせて熟成させる。
(ステップS103D4)
乾燥機を用いて生成ペーストを低温(60℃程度)で乾燥し、粉砕機で適度な粒度となるよう粉砕して粉末を得る。
次に、第4工程(S104)を説明する。
第4工程(S104)は、前記第3の工程で製造された各々のグループのだしエキス混合粒を所定割合で混合して複合粉末だし取り用調味料を製造する工程である。
目的とする味や成分のだしとなるよう第3工程で得られただしエキス混合粒を所定割合で混合・配合し、複合粉末だし取り用調味料を製造する。
混合・配合する所定割合は特に限定されないが、例えば、海草系だしエキス混合粒:魚節貝類系だしエキス混合粒:キノコ系だしエキス混合粒:薬膳植物系だしエキス混合粒を、a:b:c:dの割合で混ぜるものとする。
図6は、複合粉末だし取り用調味料を封入しただしパックの様子を簡単に示す図である。このパックの中にはそれぞれのだしエキス混合粒がa:b:c:dの割合で配合されている。
本発明の複合粉末だし取り用調味料を所定量の水を張った鍋に入れ、軽く煮て煮汁を取る。その際、各々の海草系だしエキス混合粒、魚節貝類系だしエキス混合粒、キノコ系だしエキス混合粒、薬膳植物系だしエキス混合粒からだしエキスが煮出てくる。このだしエキスは第2工程で好適に作成されただしエキスであり、濃く抽出されただしであるため、素早く十分の量のだしを煮出すことができる。
また、利用者は、本来なら天然素材から1日以上かかる天然だし取り作業が不要となり、ひと煮立ちするだけで旨みと風味が豊かな複合だしを取ることができる。また、天然だしは短い時間で濃くだし取りすることが難しいが、本発明の複合粉末だし取り用調味料を用いれば十分に濃いだしを取ることができる。
また、本来は多くの手間と手数がかかる複合だし取りに関して、ひと煮立ちするという簡単なレシピだけで旨みと風味が豊かな複合だしを取ることができる。
Claims (2)
- 魚節貝類を煮出して抽出した魚節貝類ガラと魚節貝類だし抽出液を得る第1の熱履歴工程と、
前記第1の熱履歴工程で得た魚節貝類だし抽出液のみに対して鰹節を添加してさらに加熱する第2の熱履歴工程と、
昆布および椎茸を加熱せずにペースト加工して非ガラペーストを得る第3の熱履歴工程と、
それら熱履歴が3通りに異なる前記第1の熱履歴工程で得た前記魚節貝類ガラと、前記第2の熱履歴工程で得た前記魚節貝類だし抽出液と、前記第3の熱履歴工程で得た非ガラ粉末とを混合して粉末化する粉末化工程を備え、
それら熱履歴が3通りに異なり、かつ、前記魚節貝類と、前記昆布および椎茸という異種の原材料同士を混合して一体化することにより、だしの重層性を奏出せしめた複合粉末だし取り用調味料の製造方法。 - 乾燥キノコ類を煮出して抽出したキノコ類ガラとキノコ類だし抽出液を得る第1の熱履歴工程と、
前記第1の熱履歴工程で得たキノコ類だし抽出液のみをさらに加熱濃縮する第2の熱履歴工程と、
加熱せずに鰹節を粉末化する第3の熱履歴工程と、
それら熱履歴が3通りに異なる前記第1の熱履歴工程で得た前記キノコ類ガラと、前記第2の熱履歴工程で得た前記キノコ類だし抽出液と、前記第3の熱履歴工程で得た鰹節粉末とを混合して粉末化する粉末化工程を備え、
それら熱履歴が3通りに異なり、かつ、前記キノコ類と、前記鰹節という異種の原材料同士を混合して一体化することにより、だしの重層性を奏出せしめた複合粉末だし取り用調味料の製造方法。
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