JP6087818B2 - 樹脂成形体及び自動車内装部品 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体及び、当該樹脂成形体から構成される自動車内装部品(自動車の内装に使用される部品)に関する。
熱可塑性ポリエステル樹脂は、優れた機械特性、耐熱性、成形性を有するため、自動車部品、フィルム、電気・電子部品等に幅広く使用されている。中でもポリエステル樹脂の1種であるポリブチレンテレフタレート樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂は、無機強化材による補強効果が高く、耐薬品性にも優れる。このため、これらの樹脂は、自動車や電気・電子機器のコネクター、リレー、スイッチ等の工業用成形品の材料として広く使用されている。
上記のポリエチレンテレフタレート樹脂は、成形時に熱分解して、アセトアルデヒドを生成する。具体的には、成形時に高温環境下に曝されたポリエチレンテレフタレート樹脂が熱分解することにより、高分子鎖中のエステル結合が開裂して、エチレングリコール等の成分が生成し、このエチレングリコール等の成分がアセトアルデヒドになる。
アセトアルデヒドは、悪臭、異臭の原因となる物質である。このため、ポリエチレンテレフタレート樹脂の成形時における、アセトアルデヒドの発生を抑える技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、ポリブチレンテレフタレート樹脂では、アセトアルデヒドが成形時に生じることはほとんど無いと考えられている。ポリブチレンテレフタレート樹脂からアセトアルデヒドが生成するためには、炭素間の単結合が開裂する必要があるが、炭素間の単結合は、容易に開裂しないからである。
特表2003−534048号公報
以上の通り、ポリブチレンテレフタレート樹脂の成形時にアセトアルデヒドが生成することは無いと考えられている。しかしながら、ポリエチレンテレフタレート樹脂からのアセトアルデヒドの生成量よりは少ないものの、ポリブチレンテレフタレート樹脂からも、成形時にアセトアルデヒドが生成することを、本発明者らは見出した。さらに、本発明者らは、ポリブチレンテレフタレート樹脂の成形時にホルムアルデヒドが生成することも見出した。成形時にアセトアルデヒド、ホルムアルデヒドが生成すると、樹脂成形体内にこれらの成分が残存し、これらの成分が使用時に排出される。また、アセトアルデヒド及びホルムアルデヒドは、揮発性有機化合物(VOC)の一種であり、樹脂成形体の使用時におけるこれらの成分の排出量は少ない方がよい。
本発明の目的は、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の成形体からの、アセトアルデヒドやホルムアルデヒドの排出量を抑えることができる技術を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、ポリブチレンテレフタレート樹脂と、塩基性化合物とを含むポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を原料とすれば以上の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) ポリブチレンテレフタレート樹脂と、塩基性化合物とを含むポリブチレンテレフタレート樹脂組成物から構成され、前記塩基性化合物は、下記の方法で測定したアセトアルデヒドガス濃度が0.15μg以下であり、ホルムアルデヒドガス濃度が0.15μg以下である樹脂成形体。
(測定方法)
前記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物から構成される100mm×40mm×2mmの試験片2枚を、65℃の条件で2時間処理したときに、発生するアルデヒドガス濃度、ホルムアルデヒドガス濃度を測定する。
(2) 前記塩基性化合物が、ヒドラジド基を有する(1)に記載の樹脂成形体。
(3) 前記塩基性化合物が、セバシン酸ヒドラジド、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド及び4−ヒドロキシ安息香酸ヒドラジドからなる群より選択される少なくとも一種である(2)に記載の樹脂成形体。
(4) 前記塩基性化合物の1wt%重量減少温度が230℃以上の(1)に記載の樹脂成形体。
(5) ドイツ自動車工業会VDA277に規定のVOC測定法によるVOCが、40μgC/g以下である(1)から(3)のいずれかに記載の樹脂成形体。
(6) (1)から(5)のいずれかに記載の樹脂成形体から構成される自動車内装部品。
本発明によれば、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の成形体からのアセトアルデヒドの排出量、ホルムアルデヒドの排出量を抑えることができる。このため、本発明の樹脂成形体は、使用時に樹脂成形体から漏れ出るアセトアルデヒド、ホルムアルデヒドの量が少ない。
さらに、本発明の樹脂成形体は、使用時に排出されるVOC量が、ポリブチレンテレフタレート樹脂からなる樹脂成形体の場合と比較して非常に少ない。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
<樹脂成形体>
本発明の樹脂成形体は、ポリブチレンテレフタレート樹脂と、塩基性化合物とを含むポリブチレンテレフタレート樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」という場合がある。)から構成される。
樹脂組成物に含まれるポリブチレンテレフタレート樹脂は、少なくともテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体(C1−6のアルキルエステルや酸ハロゲン化物等)を含むジカルボン酸成分と、少なくとも炭素原子数4のアルキレングリコール(1,4−ブタンジオール)又はそのエステル形成性誘導体(アセチル化物等)を含むグリコール成分とを重縮合して得られるポリブチレンテレフタレート樹脂である。ポリブチレンテレフタレート樹脂はホモポリブチレンテレフタレート樹脂に限らず、ブチレンテレフタレート単位を60モル%以上(特に75モル%以上95モル%以下)含有する共重合体であってもよい。
本発明において用いるポリブチレンテレフタレート樹脂において、テレフタル酸及びそのエステル形成性誘導体以外のジカルボン酸成分(コモノマー成分)としては、例えば、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル等のC8−14の芳香族ジカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のC4−16のアルカンジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等のC5−10のシクロアルカンジカルボン酸;これらのジカルボン酸成分のエステル形成性誘導体(C1−6のアルキルエステル誘導体や酸ハロゲン化物等)が挙げられる。これらのジカルボン酸成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
これらのジカルボン酸成分の中では、イソフタル酸等のC8−12の芳香族ジカルボン酸、及び、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のC6−12のアルカンジカルボン酸がより好ましい。
本発明において用いるポリブチレンテレフタレート樹脂において、1,4−ブタンジオール以外のグリコール成分(コモノマー成分)としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−オクタンジオール等のC2−10のアルキレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール;シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA等の脂環式ジオール;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族ジオール;ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加体等の、ビスフェノールAのC2−4のアルキレンオキサイド付加体;又はこれらのグリコールのエステル形成性誘導体(アセチル化物等)が挙げられる。これらのグリコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
これらのグリコール成分の中では、樹脂の物性等の観点から、エチレングリコール、トリメチレングリコール等のC2−6のアルキレングリコール、ジエチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール、又は、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール等がより好ましい。
なお、エチレングリコールを用いる場合には、ポリエチレンテレフタレート樹脂の場合と同様に、炭素間の単結合が開裂することなくアセトアルデヒドが生成する。ポリブチレンテレフタレート樹脂に、エチレングリコール成分が含まれない場合、エチレングリコール成分が微量しか含まれない場合であっても、ポリブチレンテレフタレート樹脂の成形時にアセトアルデヒドが生成する場合があり、このアセトアルデヒドの生成を抑えられることが本発明の特徴の一つである。上記の「エチレングリコール成分が含まれない場合、エチレングリコール成分が微量しか含まれない場合」とは、ポリブチレンテレフタレート樹脂中に、エチレングリコール由来の繰り返し単位が0モル%以上1モル%以下の場合を指す。
本発明において用いるポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に制限されない。ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(IV)は0.65dL/g以上1.4dL/g以下であるのが好ましい。かかる範囲の固有粘度を有するポリブチレンテレフタレート樹脂を用いる場合には、得られるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物が特に成形性に優れたものとなる。また、異なる固有粘度を有するポリブチレンテレフタレート樹脂をブレンドして、固有粘度を調整することもできる。例えば、固有粘度1.0dL/gのポリブチレンテレフタレート樹脂と固有粘度0.7dL/gのポリブチレンテレフタレート樹脂とをブレンドすることにより、固有粘度0.9dL/gのポリブチレンテレフタレート樹脂を調製することができる。ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(IV)は、o−クロロフェノール中で温度35℃の条件で測定することができる。
本発明において用いるポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基量は、本発明の目的を阻害しない限り特に制限されない。本発明において用いるポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基量は、30meq/kg以下が好ましく、25meq/kg以下がより好ましい。上記末端カルボキシル基量がかかる範囲にあるポリブチレンテレフタレート樹脂を用いる場合には、得られるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物が湿熱環境下での加水分解による強度低下を受けにくくなる。
樹脂成形体中のポリブチレンテレフタレート樹脂の含有量は、30質量%以上であることが好ましい。30質量%以上であれば、ポリブチレンテレフタレート樹脂を含有することによる物性の向上が樹脂成形体に表れるため好ましい。より好ましいポリブチレンテレフタレート樹脂の含有量は、50質量%以上99.06質量%以下である。
塩基性化合物は、ヒドラジド基を有するものであることが好ましい。ヒドラジド基を有する塩基性化合物としては、脂肪族ヒドラジド、脂環族ヒドラジド、芳香族ヒドラジド等が挙げられる。
脂肪族ヒドラジドとしては、ラウリン酸ヒドラジド、ステアリン酸ヒドラジド、12−ヒドロキシステアリン酸ヒドラジド、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸ヒドラジド、コハク酸モノヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸モノヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸モノヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸モノヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸モノヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸モノヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸モノヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸モノヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、エイコサン二酸モノヒドラジド、エイコサン二酸ジヒドラジド、7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボヒドラジド等が挙げられる。また、ダイマー酸のモノヒドラジドやジヒドラジド、トリマー酸のモノヒドラジド、ジヒドラジド、トリヒドラジド等も挙げられる。
脂環族ヒドラジド化合物としては、シクロヘキサンカルボン酸ヒドラジド、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸モノヒドラジド、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジヒドラジド、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸モノヒドラジド、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジヒドラジド、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸モノヒドラジド、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸モノヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸ジヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド等が挙げられる。
芳香族ヒドラジド化合物としては、安息香酸ヒドラジド、4−ヒドロキシ安息香酸ヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、1,5−ナフタレンジカルボン酸ジヒドラジド、1,8−ナフタレンカルボン酸ジヒドラジド、2,6−ナフタレンカルボン酸ジヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジド、1,5−ジフェニルカルボヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、2,4−トルエンジスルホニルヒドラジド、アミノベンズヒドラジド、4−ピリジンカルボン酸ヒドラジド、ビス(4−ヒドロキシベンゼンスルホニル)ヒドラジド等が挙げられる。
上記塩基性化合物の中でも、セバシン酸ヒドラジド、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド及び4−ヒドロキシ安息香酸ヒドラジドからなる群より選択される少なくとも一種を使用することが好ましい。
樹脂成形体中の塩基性化合物の含有量は、0.04質量%以上0.5質量%以下であることが好ましい。0.04質量%以上であれば、発生するアルデヒドガスを抑制できるという理由で好ましい。0.5質量%以下であれば、ポリブチレンテレフタレート樹脂の分解を促進させないという理由で好ましい。より好ましいポリブチレンテレフタレート樹脂の含有量は、0.05質量%以上0.3質量%以下である。
樹脂成形体には、本発明の効果を害さない範囲で、以上の必須成分以外に、その他の樹脂、ガラス繊維等の強化剤、顔料、酸化防止剤、安定剤等の添加剤を含んでもよい。樹脂組成物中のこれらのその他の成分の含有量は、60質量%以下であることが好ましい。より好ましくは30質量%以下である。
その他の成分として、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系安定剤を使用することがポリブチレンテレフタレート樹脂の分解を抑制するという理由で好ましい。
<樹脂成形体の製造方法>
本発明の樹脂成形体は上述の樹脂組成物を、一般的な成形方法で成形してなる。成形方法としては、例えば、射出成形法、押出成形法が挙げられる。以下、本発明の樹脂成形体の製造方法について、押出成形機を用いる場合を例に説明する。
一般的な押出成形機は、原料を投入するためのホッパを有するシリンダーに、スクリューが配設されている。スクリューは、ホッパ側からフィードゾーン(供給部)、コンプレッションゾーン(圧縮部)、メータリングゾーン(計量部)を、スクリューの上流から下流に向かってこの順で有する。そして、シリンダーの下流側端部には、ダイが設けられている。
供給部は、通常、原料が溶融しないような温度設定で、原料をホッパ側からダイ方向側に移送する働きを有する。具体的には、供給部は原料を圧縮部に送る。圧縮部は、原料に圧力や熱を加えながら、原料を溶融混練し、溶融混練された原料を計量部に送る。計量部は、溶融混練された原料を、一定圧のもとに一定量ずつダイに送り出す。なお、計量部よりも下流側にミキシングゾーン(混練部)を有するスクリューを使用してもよい。
より具体的には、先ず、押出成形機に原料を投入する。原料とは上記成分であり、全ての成分を同時に成形機に投入してもよいし、一部の成分を圧縮部やその他の部分で投入してもよい。
本発明においては、ホッパからポリブチレンテレフタレート樹脂ペレット及び粉状のポリブチレンテレフタレート樹脂を、塩基性化合物やその他の成分とともに投入してもよい。
上記の通り、圧縮部では原料に圧力や熱を加えながら混練する。混練の程度は、使用するスクリューエレメントの種類、スクリュー回転数等の成形条件に依存する。本発明の樹脂成形体の製造においては、樹脂の種類、樹脂成形体の形状等に応じて、適宜、混練の程度を調整することができる。
圧縮部において、原料に圧力や熱が加わることで、アセトアルデヒドが発生する。アセトアルデヒドの発生量は、ポリエチレンテレフタレート樹脂を使用する場合と比較して非常に少ない。これは、ポリブチレンテレフタレート樹脂からアセトアルデヒドが生成するためには、炭素間の単結合が開裂する必要があるためと考えられる。このため、従来はポリブチレンテレフタレート樹脂の成形時にアセトアルデヒドが生成するとは考えられていなかった。
つまり、本発明によれば、炭素間の結合が切れることによるアセトアルデヒドの生成を抑えることができると考えられる。
また、圧縮部において原料に圧力が加わることで、ホルムアルデヒドが生成する場合がある。上記塩基性化合物を含むポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を原料として使用すれば、アセトアルデヒドやホルムアルデヒドが成形体から排出される量を効果的に抑制することができる。
粉状のポリブチレンテレフタレート樹脂を使用し、充分な混練を実現することにより、樹脂成形体中に塩基性化合物やその他の成分を充分に分散させることができる。これらが充分に分散されることで、樹脂成形体内部でのアセトアルデヒド等の発生を効率よく抑えることができる。
上記の通り、計量部では、圧縮部で混練された原料を、一定圧のもとに一定量ずつダイに送り出す。上記の「一定圧」及び「一定量」については、樹脂成形体の形状等に応じて、適宜、変更することが可能である。これらは、スクリューエレメントの溝幅、溝深さを調整することで調整可能である。
ダイから押し出されることで、本発明の樹脂成形体が得られる。樹脂成形体の形状は、ダイの吐出孔の形状によって異なり、例えば、シート状、ストランド状、チューブ状等である。また、ストランド状の樹脂成形体を、従来公知の方法(例えば、ペレタイズ法)で切断することで樹脂ペレットを製造することができる。
なお、複雑な形状の樹脂成形体を製造する場合には、射出成形法を採用することが好ましい。
<樹脂成形体の性質>
本発明の樹脂成形体は、アセトアルデヒドの含有量、ホルムアルデヒドの含有量が非常に少ない。下記の方法で測定したアセトアルデヒドの濃度が0.15μg以下であり、ホルムアルデヒドの濃度が0.15μg以下である。
(アセトアルデヒドガス、ホルムアルデヒドガスの濃度の測定方法)
ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物から構成される100mm×40mm×2mmの試験片2枚を、65℃という条件で2時間処理したときに、発生するアルデヒドガス濃度、ホルムアルデヒドガス濃度を測定する。より具体的には実施例に記載の通りである。
後述する比較例から確認できるように、ポリブチレンテレフタレート樹脂の成形時に、アセトアルデヒドのみではなく、ホルムアルデヒドも生成する。上記のような塩基性化合物をポリブチレンテレフタレート樹脂と併用することで、アセトアルデヒド及びホルムアルデヒドの排出を効果的に抑えることができる。
本発明の樹脂成形体は、密閉される空間、又は密閉され得る空間で使用される部品として好適に使用することができる。密閉された空間においては、微量のアセトアルデヒド等のVOCが樹脂成形体から生じる場合であっても問題になる可能性があるからである。このような部品の具体例としては、自動車内装用部品を挙げることができる。
以下、実施例及び比較例によって本発明を説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
<材料>
実施例、及び比較例で、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の材料として、以下の成分を使用した。
(ポリブチレンテレフタレート樹脂)
テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとの重縮合体、固有粘度(IV)が0.69、ウィンテックポリマー社製「ジュラネックス 300FP」
(塩基性化合物)
脂肪族ジヒドラジド:セバシン酸ヒドラジド(1%重量減少温度が227℃)
脂環族ジヒドラジド:1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジヒドラジド(1%重量減少温度が255℃)
芳香族ジヒドラジド:2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド(1%重量減少温度が314℃)
芳香族モノヒドラジド:4−ヒドロキシ安息香酸ヒドラジド(1%重量減少温度が237℃)
<重量減少温度測定方法>
それぞれの物質10mg程度を測り取り、熱重量測定装置TGA Q500(ティー・エイ・インスツルメント社製)にて窒素雰囲気下で50℃から400℃まで10℃/分の速度で昇温し、重量減少量を測定した。1%重量が減少した時の温度を、1%重量減少温度とした。
<樹脂成形体の製造方法>
表1に示す成分を表1に示す割合(単位は質量%)で混合したものを原料とし、この原料を二軸押出機(JSW製、TEX−30)に投入した。下記の条件にて、上記原料を溶融混練してポリブチレンテレフタレート樹脂組成物ペレットを製造した。得られた樹脂組成物ペレットを用いて後述の手法で試験片を成形し、成形体を得た。後述するVOC排出量の測定、アセトアルデヒドガス濃度及びホルムアルデヒドガス濃度の測定を行った。
<溶融混練条件>
シリンダー温度:260℃
スクリュー回転数:130rpm
押出量:12kg/hr
<試験片の作製>
ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物のペレットを140℃の恒温機内で3時間保持し、ペレットを乾燥した。乾燥させたペレットを用いて、射出成形機(JSW製、J75EP)により、100mm×40mm×2mmの試験片を成形した。
(射出成形条件)
シリンダー温度:250℃
金型温度:60℃
射出速度:16.7mm/秒
<VOC排出量の測定>
実施例の樹脂成形体、比較例の樹脂成形体を10〜25mgに切断したサンプル約2gをそれぞれ22mlのバイアル瓶に入れ、サンプル重量を精秤した後、密封してHS−GCで120℃、5時間加熱処理を行った。そして、ガスクロマトグラフィーで検出された揮発有機物成分のピーク積分面積を算出し、アセトンを標準に重量換算値として、ポリブチレンテレフタレート樹脂成形品の重量当たりの揮発性有機化合物量(μgC/g)を求めた。結果を表1に示した。
<アセトアルデヒドガス濃度及びホルムアルデヒドガス濃度の測定>
実施例及び比較例の樹脂成形体から発生するアセトアルデヒドガスの量、ホルムアルデヒドガスの量を、以下の方法で測定されるアセトアルデヒドガス濃度、ホルムアルデヒドガス濃度で評価した。
アセトアルデヒドガス濃度の測定は、以下の(i)〜(iii)に記載の方法で行った。
(i)射出成形によって成形した試験片2枚を容積10Lのテドラーバッグに封入し、バッグに含まれる空気を真空ポンプにて除去した後、のテドラーバッグに純窒素ガス4Lを充填し、テドラーバッグのコックを閉じた。テドラーバッグをオーブンの中に入れ、コックの先にサンプリング用テフロン(登録商標)チューブを取り付けてオーブンの外まで延ばし、この状態で65℃、2時間加熱処理を行った。この加熱処理で試料ガスを作製した。
(ii)上記(i)で作製した試料ガスを、65℃の加熱状態で、2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(2,4−Dinitrophenylhydrazine(略称:DNPH))カートリッジに3L採取した。採取後のカートリッジはアセトニトリルで溶出処理を行い、得られた溶出液を高速液体クロマトグラフ(HPLC;Waters製、型式:Ultra Performance Liquid Chromatography Aquiy)を用いて、溶出した成分のアセトアルデヒド濃度、ホルムアルデヒド濃度を測定した。濃度算出は、アルデヒド・ケトン−DNPH標準混合試料ERA−028を標準溶液として、サンプルのピーク面積から、2枚の成形片から発生したアセトアルデヒドガス量、ホルムアルデヒドガス量を導出した。導出結果を表1に示した。
<VOC排出量の測定>
実施例の樹脂成形体、比較例の樹脂成形体を10〜25mgに切断したサンプル約2gをそれぞれ22mlのバイアル瓶に入れ、サンプル重量を精秤した後、密封してHS−GCで120℃、5時間加熱処理を行った。そして、ガスクロマトグラフィーで検出された揮発有機物成分のピーク積分面積を算出し、アセトンを標準に重量換算値として、ポリアセタール樹脂成形品の重量当たりの揮発性有機化合物量(μgC/g)を求めた。結果を表1に示した。
Figure 0006087818
比較例1の結果から、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドが、ポリブチレンテレフタレート樹脂から排出されることが確認された。
実施例1〜4から、ポリブチレンテレフタレート樹脂と特定の塩基性化合物とを組み合わせることで、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドの排出が抑えられることが確認された。また、VOC排出量についても、ポリブチレンテレフタレート樹脂と特定の塩基性化合物とを組み合わせることで、排出低減の効果があることが確認された。

Claims (4)

  1. 自動車内装部品用の樹脂成形体であって、
    エチレングリコール由来の繰り返し単位が0モル%以上1モル%以下のポリブチレンテレフタレート樹脂と、ヒドラジド基を有する塩基性化合物とを含むポリブチレンテレフタレート樹脂組成物から構成され、
    前記樹脂成形体中の前記塩基性化合物の含有量は、0.04質量%以上0.5質量%以下であり、
    前記塩基性化合物の1wt%重量減少温度が230℃以上であり、
    下記の方法で測定したアセトアルデヒドガス濃度が0.15μg以下であり、ホルムアルデヒドガス濃度が0.15μg以下である樹脂成形体。
    (測定方法)
    前記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物から構成される100mm×40mm×2mmの試験片2枚を、65℃の条件で2時間処理したときに、発生するアルデヒドガス濃度、ホルムアルデヒドガス濃度を測定する。
  2. 前記塩基性化合物が、ヒドラジド基を有する請求項1に記載の樹脂成形体。
  3. 前記塩基性化合物が、セバシン酸ヒドラジド、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド及び4−ヒドロキシ安息香酸ヒドラジドからなる群より選択される少なくとも一種である請求項2に記載の樹脂成形体。
  4. ドイツ自動車工業会VDA277に規定のVOC測定法によるVOCが、40μgC/g以下である請求項1から3のいずれかに記載の樹脂成形体。
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