JP5916308B2 - 樹脂ペレットの製造方法及び自動車内装部品 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリブチレンテレフタレート樹脂から構成される樹脂ペレットの製造方法、及び当該製造方法で製造された樹脂ペレットを成形してなる自動車内装部品に関する。
熱可塑性ポリエステル樹脂は、優れた機械特性、耐熱性、成形性を有するため、自動車部品、フィルム、電気・電子部品等に幅広く使用されている。中でもポリエステル樹脂の1種であるポリブチレンテレフタレート樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂は、無機強化材による補強効果が高く、耐薬品性にも優れる。このため、これらの樹脂は、自動車や電気・電子機器のコネクター、リレー、スイッチ等の工業用成形品の材料として広く使用されている。
上記のポリエチレンテレフタレート樹脂は、成形時に熱分解して、アセトアルデヒドを生成する。具体的には、成形時に高温環境下に曝されたポリエチレンテレフタレート樹脂が熱分解することにより、高分子鎖中のエステル結合が開裂して、エチレングリコール等の成分が生成し、このエチレングリコール等の成分がアセトアルデヒドになる。
アセトアルデヒドは、悪臭、異臭の原因となる物質である。このため、ポリエチレンテレフタレート樹脂の成形時における、アセトアルデヒドの発生を抑える技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、ポリブチレンテレフタレート樹脂では、アセトアルデヒドが成形時に生じることはほとんど無いと考えられている。ポリブチレンテレフタレート樹脂からアセトアルデヒドが生成するためには、炭素間の単結合が開裂する必要があるが、炭素間の単結合は、容易に開裂しないからである。
特表2003−503573号公報
以上の通り、ポリブチレンテレフタレート樹脂の成形時にアセトアルデヒドが生成することは無いと考えられている。しかしながら、ポリエチレンテレフタレート樹脂からのアセトアルデヒドの生成量よりは少ないものの、ポリブチレンテレフタレート樹脂からも、成形時にアセトアルデヒドが生成することを、本発明者らは見出した。
また、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドは、揮発性有機化合物(VOC)の一種である。VOCは、大気汚染の主要な原因の一つであり、アセトアルデヒド等のみならず、VOC全体の樹脂成形体からの排出量を抑制する必要がある。
本発明の目的は、ポリブチレンテレフタレート樹脂ペレットからの、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドの排出量、またVOCの排出量を抑えるための技術を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、ポリブチレンテレフタレート樹脂又は該樹脂を含む樹脂組成物を原料として、原料ペレットを製造する第一ペレット化工程と、上記原料ペレットを原料として、樹脂ペレットを製造する第二ペレット化工程とを含む、樹脂ペレットの製造方法を採用することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) ポリブチレンテレフタレート樹脂又は該樹脂を含む樹脂組成物を原料として、原料ペレットを製造する第一ペレット化工程と、前記原料ペレットを原料として、樹脂ペレットを製造する第二ペレット化工程とを含み、前記樹脂ペレットは、下記の方法で測定したアセトアルデヒド濃度、ホルムアルデヒド濃度が、それぞれ0.20μg以下である樹脂ペレットの製造方法。
(測定方法)
前記ポリブチレンテレフタレート樹脂又はそれを含む組成物から構成される100mm×40mm×2mmの試験片2枚を、テドラーバッグ内に入れ、65℃の条件で2時間処理したときに、発生するアセトアルデヒドガス濃度、ホルムアルデヒドガス濃度を測定する。
(2) 前記樹脂ペレットは、ドイツ自動車工業会VDA277に規定のVOC測定法によるVOCが、40μgC/g以下である(1)に記載の樹脂ペレットの製造方法。
(3) (1)又は(2)に記載の方法で製造された樹脂ペレットを成形してなる自動車内装部品。
本発明の方法で製造された樹脂ペレットは、樹脂ペレットが排出するアセトアルデヒド、ホルムアルデヒドの量が少ない。その結果、上記樹脂ペレットを原料として用いれば、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドの排出量が少ない樹脂成形体を製造することができる。
特に、本発明方法で製造された樹脂ペレットが排出するVOC量が少ない。その結果、本発明の樹脂ペレットを用いて製造された樹脂成形体が排出するVOCの量も少なくなる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
<樹脂ペレットの製造方法>
本発明は、ポリブチレンテレフタレート樹脂又は該樹脂を含む樹脂組成物から構成される原料ペレットを用いた樹脂ペレットの製造方法である。
本発明の製造方法において、ポリブチレンテレフタレート樹脂又は該樹脂を含む樹脂組成物は上記原料ペレットの原料である。
[ポリブチレンテレフタレート樹脂]
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、少なくともテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体(C1−6のアルキルエステルや酸ハロゲン化物等)を含むジカルボン酸成分と、少なくとも炭素原子数4のアルキレングリコール(1,4−ブタンジオール)又はそのエステル形成性誘導体(アセチル化物等)を含むグリコール成分とを重縮合して得られるポリブチレンテレフタレート樹脂である。ポリブチレンテレフタレート樹脂はホモポリブチレンテレフタレート樹脂に限らず、ブチレンテレフタレート単位を60モル%以上(特に75モル%以上95モル%以下)含有する共重合体であってもよい。
本発明で用いるポリブチレンテレフタレート樹脂において、テレフタル酸及びそのエステル形成性誘導体以外のジカルボン酸成分(コモノマー成分)としては、例えば、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル等のC8−14の芳香族ジカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のC4−16のアルカンジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等のC5−10のシクロアルカンジカルボン酸;これらのジカルボン酸成分のエステル形成性誘導体(C1−6のアルキルエステル誘導体や酸ハロゲン化物等)が挙げられる。これらのジカルボン酸成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
これらのジカルボン酸成分の中では、イソフタル酸等のC8−12の芳香族ジカルボン酸、及び、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等のC6−12のアルカンジカルボン酸がより好ましい。
本発明において用いるポリブチレンテレフタレート樹脂において、1,4−ブタンジオール以外のグリコール成分(コモノマー成分)としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−オクタンジオール等のC2−10のアルキレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール;シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA等の脂環式ジオール;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族ジオール;ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加体等の、ビスフェノールAのC2−4のアルキレンオキサイド付加体;又はこれらのグリコールのエステル形成性誘導体(アセチル化物等)が挙げられる。これらのグリコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
これらのグリコール成分の中では、樹脂の物性等の観点から、エチレングリコール、トリメチレングリコール等のC2−6のアルキレングリコール、ジエチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール、又は、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール等がより好ましい。
なお、エチレングリコールを用いる場合には、ポリエチレンテレフタレート樹脂の場合と同様に、炭素間の単結合が開裂することなくアセトアルデヒドが生成する。ポリブチレンテレフタレート樹脂中のエチレングリコール成分が多くなるほど、ポリエチレンテレフタレート樹脂から排出されるVOCを構成する成分とポリブチレンテレフタレート樹脂から排出されるVOCを構成する成分とが、類似するといえる。一方、ポリブチレンテレフタレート樹脂中のエチレングリコール成分が少なくなるほど、ポリエチレンテレフタレート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とで、VOCを構成する成分の共通性が低くなる。したがって、ポリブチレンテレフタレート樹脂に、エチレングリコール成分が含まれない場合、エチレングリコール成分が微量しか含まれない場合には、ポリブチレンテレフタレート樹脂から排出されるVOCとポリエチレンテレフタレート樹脂から排出されるVOCとを同様に考えることはできないといえる。ここで、「エチレングリコール成分が含まれない場合、エチレングリコール成分が微量しか含まれない場合」とは、ポリブチレンテレフタレート樹脂中に、エチレングリコール由来の繰り返し単位が0モル%以上1モル%以下の場合を指す。
本発明において用いるポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に制限されない。ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(IV)は0.65dL/g以上1.4dL/g以下であるのが好ましい。かかる範囲の固有粘度を有するポリブチレンテレフタレート樹脂を用いる場合には、得られるポリブチレンテレフタレート樹脂又はこの樹脂を含む樹脂組成物が特に成形性に優れたものとなる。また、異なる固有粘度を有するポリブチレンテレフタレート樹脂をブレンドして、固有粘度を調整することもできる。例えば、固有粘度1.0dL/gのポリブチレンテレフタレート樹脂と固有粘度0.7dL/gのポリブチレンテレフタレート樹脂とをブレンドすることにより、固有粘度0.9dL/gのポリブチレンテレフタレート樹脂を調製することができる。ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(IV)は、o−クロロフェノール中で温度35℃の条件で測定することができる。
本発明において用いるポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基量は、本発明の目的を阻害しない限り特に制限されない。本発明において用いるポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基量は、30meq/kg以下が好ましく、25meq/kg以下がより好ましい。上記末端カルボキシル基量がかかる範囲にあるポリブチレンテレフタレート樹脂を用いる場合には、得られるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物が湿熱環境下での加水分解による強度低下を受けにくくなる。
[樹脂組成物]
原料ペレットの原料が樹脂組成物の場合、樹脂成形体中のポリブチレンテレフタレート樹脂の含有量は、30質量%以上であることが好ましい。30質量%以上であれば、ポリブチレンテレフタレート樹脂を含有することによる物性の向上が樹脂成形体に表れるため好ましい。より好ましいポリブチレンテレフタレート樹脂の含有量は、50質量%以上である。
樹脂組成物は、上記ポリブチレンテレフタレート樹脂を主成分として含むが、本発明の効果を害さない範囲で、ポリブチレンテレフタレート樹脂以外に、その他の樹脂、ガラス繊維等の強化剤、顔料、滑剤、核剤等の添加剤等のその他の成分を含んでもよい。樹脂組成物中の、その他の成分の含有量は、70質量%以下であることが好ましい。より好ましくは50質量%以下である。
[製造工程]
次いで、本発明の樹脂ペレットの製造方法について説明する。本発明の製造方法は、ポリブチレンテレフタレート樹脂又は当該樹脂を含む樹脂組成物を原料として、原料ペレットを製造する第一ペレット化工程と、上記原料ペレットを原料として、樹脂ペレットを製造する第二ペレット化工程とを備える。
原料ペレットを製造する第一ペレット化工程は、ポリブチレンテレフタレート樹脂又は当該樹脂を含む樹脂組成物を原料として、原料ペレットを製造する工程である。原料ペレットを製造する方法は、特に限定されない。例えば、重合工程を経てポリブチレンテレフタレート樹脂の吐出ペレットとして得られる場合、重合工程でポリブチレンテレフタレート樹脂以外の成分を添加し組成物ペレットとして得られる場合、もしくは、従来公知の1軸又は2軸押出機を使用して樹脂組成物ペレットを得る場合等が挙げられる。上記のようにして得られたペレットが原料ペレットである。
第二ペレット化工程では、上記第一ペレット化工程にて得られた原料ペレットを原料として、樹脂ペレットを製造する。樹脂ペレットは、1軸又は2軸押出機を使用して製造することができる。このとき、ポリブチレンテレフタレート樹脂以外の成分を添加することもできる。
押出機は、原料を投入するためのホッパを有するシリンダーに、スクリューが配設されている。スクリューは、ホッパ側からフィードゾーン(供給部)、コンプレッションゾーン(圧縮部)、メータリングゾーン(計量部)を、スクリューの上流から下流に向かってこの順で有する。そして、シリンダーの下流側端部には、ダイが設けられている。
供給部は、通常、原料が溶融しないような温度設定で、原料をホッパ側からダイ方向側に移送する働きを有する。具体的には、供給部は原料を圧縮部に送る。圧縮部は、原料に圧力を加えながら、原料を溶融混練し、溶融混練された原料を計量部に送る。計量部は、溶融混練された原料を、一定圧のもとに一定量ずつダイに送り出す。なお、計量部よりも下流側にミキシングゾーン(混練部)を有するスクリューを使用してもよい。
より具体的には、先ず、押出機にペレットの原料を投入する。原料が複数の成分から構成される場合には、全ての成分を同時に成形機に投入してもよいし、一部の成分を圧縮部やその他の部分で投入してもよい。
原料の状態は、特に限定されない。例えば、重合後のポリマーを一旦ペレット化することなく、押出成形機に投入して、原料ペレットを製造してもよい。
上記の通り、圧縮部では原料に圧力を加えながら混練する。混練の程度は、使用するスクリューエレメントの種類、スクリュー回転数等の成形条件に依存する。本発明の樹脂成形体の製造においては、樹脂の種類、樹脂成形体の形状等に応じて、適宜、混練の程度を調整することができる。
圧縮部において、原料に圧力や熱が加わることで、アセトアルデヒドが発生する。アセトアルデヒドの発生量は、ポリエチレンテレフタレート樹脂を使用する場合と比較して非常に少ない。これは、ポリブチレンテレフタレート樹脂からアセトアルデヒドを生成するためには、炭素間の単結合が開裂する必要があるためと考えられる。
また、圧縮部において原料に圧力や熱が加わることで、ホルムアルデヒドが生成する場合がある。
上記のアセトアルデヒドやホルムアルデヒドは、製造される原料ペレットに混入する。これらのアルデヒドが原料ペレットに混入すると、原料ペレットを用いて樹脂成形体を製造した場合に、樹脂成形体にもこれらのアルデヒドが含まれてしまうことになる。その結果、樹脂成形体の使用時にこれらのアルデヒドが排出されることになる。しかし、本発明では、原料ペレットからさらに樹脂ペレットを製造する。この樹脂ペレットは、アセトアルデヒドやホルムアルデヒドの含有量が、上記原料ペレットと比較して少ない。したがって、本発明の方法で製造された樹脂ペレットを用いて樹脂成形体を製造すれば、得られる樹脂成形体に含まれるアセトアルデヒド量、ホルムアルデヒド量も少なくなる。その結果、樹脂成形体の使用時に排出されるアセトアルデヒド量、ホルムアルデヒド量を抑えることができる。
さらに、本発明によれば、上記のホルムアルデヒド、アセトアルデヒドを含めたVOCの、樹脂成形体からの排出も大幅に抑えることができる。
上記の通り、計量部では、圧縮部で混練された原料を、一定圧のもとに一定量ずつダイに送り出す。上記の「一定圧」及び「一定量」については、樹脂成形体の形状等に応じて、適宜、変更することが可能である。これらは、スクリューエレメントの溝幅、溝深さを調整することで調整可能である。
ダイから押し出された押出物を、従来公知の方法(例えば、ペレタイズ法)で切断することでペレットを製造することができる。
押出機によるペレット化工程において、ベントから減圧を行うことが行われている。減圧操作により揮発成分を除去しながら樹脂ペレットを作製することで、揮発成分の少ない樹脂ペレットを作製することができる。
<樹脂ペレット>
樹脂ペレットは、アセトアルデヒドの含有量、ホルムアルデヒドの含有量が非常に少ない。アセトアルデヒドの含有量、ホルムアルデヒドの含有量は、下記のアセトアルデヒド濃度、ホルムアルデヒド濃度で評価することができる。
本発明の製造方法で得られた樹脂ペレットを射出成形した後、下記の方法で測定したアセトアルデヒドの濃度が0.20μg以下であり、ホルムアルデヒドの含有量が0.20μg以下である。
(アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドの含有量の測定方法)
100mm×40mm×2mmの試験片2枚を、テドラーバッグ内に入れ、65℃の条件で2時間処理したときに、発生するアルデヒドガス濃度を測定する。
樹脂ペレットより作製された成形品は、ドイツ自動車工業会VDA277に規定のVOC測定法による、VOCの排出量が少ない。具体的には、実施例に記載の方法で測定した、成形品1gあたりのVOCの排出量が、40(μgC/g)以下である。
本発明の樹脂ペレットにより作製された成形品は、密閉される空間、又は密閉され得る空間で使用される部品の原料として好適に使用することができる。密閉された空間においては、微量のVOCが樹脂成形体から排出される場合であっても問題になる可能性があるからである。このような部品の具体例としては、自動車内装用部品を挙げることができる。
以下、実施例及び比較例によって本発明を説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
<材料>
実施例、及び比較例で、ポリブチレンテレフタレート樹脂材料として、以下の成分を使用した。
(原料ペレット)
テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとの重縮合体、固有粘度(IV)が0.69、ウィンテックポリマー社製「ジュラネックス300FP」
<樹脂ペレットの製造>
上記ポリブチレンテレフタレート樹脂(原料ペレット)を二軸押出機(JSW製、TEX−30)に投入した。下記の条件にて、上記原料をベントからの減圧操作を行いながら溶融混練して樹脂ペレットを製造した。
<溶融混練条件>
シリンダー温度:260℃
スクリュー回転数:130rpm
押出量:12kg/hr
上記の方法で得られた樹脂ペレットを、140℃の恒温乾燥機内で3時間保持し、ペレットを乾燥した。乾燥させたペレットを用いて、射出成形機(JSW製、J75EP)により、100mm×40mm×2mmの試験片を成形した。
<射出成形条件>
シリンダー温度:250℃
金型温度:60℃
射出速度:16.7mm/秒
原料ペレットを用いた成形品を比較例1とし、上記の方法にて得られた樹脂ペレットを用いた成形品を実施例1として、実施例1、比較例1のアセトアルデヒドガス濃度及びホルムアルデヒドガス濃度、VOC排出量の評価を行った。
<アセトアルデヒドガス濃度及びホルムアルデヒドガス濃度の測定>
実施例及び比較例のペレットから発生するアセトアルデヒドガスの量、ホルムアルデヒドガスの量を、以下の方法で測定されるアセトアルデヒドガス濃度、ホルムアルデヒドガス濃度で評価した。
アセトアルデヒドガス濃度の測定は、以下の(i)〜(ii)に記載の方法で行った。
(i)射出成形によって成形した試験片2枚を容積10Lのテドラーバッグに封入し、バッグに含まれる空気を真空ポンプにて除去した後、テドラーバッグに純窒素ガス4Lを充填し、テドラーバッグのコックを閉じた。テドラーバッグをオーブンの中に入れ、コックの先にサンプリング用テフロン(登録商標)チューブを取り付けてオーブンの外まで延ばし、この状態で65℃、2時間加熱処理を行った。この加熱処理で試料ガスを作製した。
(ii)上記(i)で作製した試料ガスを、65℃の加熱状態で、2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(2,4−Dinitrophenylhydrazine(略称:DNPH))カートリッジに3L採取した。採取後のカートリッジはアセトニトリルで溶出処理を行い、得られた溶出液を高速液体クロマトグラフ(HPLC;Waters製、型式:Ultra Performance Liquid Chromatography Aquiy)を用いて、溶出した成分のアセトアルデヒド濃度、ホルムアルデヒド濃度を測定した。濃度算出は、アルデヒド・ケトン−DNPH標準混合試料ERA―028を標準溶液として、サンプルのピーク面積から2枚の成形片から発生したアセトアルデヒドガス量、ホルムアルデヒドガス量を導出した。導出結果を表1に示した。
<VOC排出量の測定>
実施例、比較例の成形品を10〜25mgに切断したサンプル約2gをそれぞれ22mlのバイアル瓶に入れ、サンプル重量を精秤した後、密封してHS−GCで120℃、5時間加熱処理を行った。そして、ガスクロマトグラフィーで検出された揮発有機物成分のピーク積分面積を算出し、アセトンを標準に重量換算値として、成形品の重量当たりの揮発性有機化合物量(μgC/g)を求めた。結果を表1に示した。
上記樹脂ペレットを用いた成形品を実施例1、原料ペレットを用いた成形品を比較例1として、上記の測定法から得られた結果を表1に記載する。
Figure 0005916308
実施例、比較例から確認できる通り、原料ペレットを原料として、樹脂ペレットを製造すれば、樹脂ペレットに含まれるアセトアルデヒド量、ホルムアルデヒド量、VOC量のいずれも低減される。

Claims (5)

  1. 自動車内装部品を成形するための樹脂ペレットの製造方法であって、
    エチレングリコール由来の繰り返し単位が0モル%以上1モル%以下のポリブチレンテレフタレート樹脂又は該樹脂を含む樹脂組成物を原料として、原料ペレットを製造する第一ペレット化工程と、
    前記原料ペレットを原料として、ベントから減圧を行いながら、押出機を用いて樹脂ペレットを製造する第二ペレット化工程とを含み、
    前記樹脂ペレットは、下記の方法で測定したアセトアルデヒド濃度、ホルムアルデヒド濃度が、それぞれ0.20μg以下である樹脂ペレットの製造方法。
    (測定方法)
    前記ポリブチレンテレフタレート樹脂又はそれを含む組成物から構成される100mm×40mm×2mmの試験片2枚を、テドラーバッグ内に入れ、65℃の条件で2時間処理したときに、発生するアセトアルデヒドガス濃度、ホルムアルデヒドガス濃度を測定する。
  2. 前記樹脂ペレットは、ドイツ自動車工業会VDA277に規定のVOC測定法によるVOCが、40μgC/g以下である請求項1に記載の樹脂ペレットの製造方法。
  3. 前記ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基量が、30meq/kg以下である請求項1又は2に記載の樹脂ペレットの製造方法。
  4. 前記第一ペレット化工程では、ベントから減圧を行いながら、押出機を用いて前記原料ペレットを製造する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の樹脂ペレットの製造方法。
  5. エチレングリコール由来の繰り返し単位が0モル%以上1モル%以下のポリブチレンテレフタレート樹脂又は該樹脂を含む樹脂組成物を原料として、原料ペレットを製造する第一ペレット化工程と、
    前記原料ペレットを原料として、ベントから減圧を行いながら、押出機を用いて樹脂ペレットを製造する第二ペレット化工程と、
    前記樹脂ペレットから自動車内装部品を成形する成形工程とを含み、
    前記樹脂ペレットは、下記の方法で測定したアセトアルデヒド濃度、ホルムアルデヒド濃度が、それぞれ0.20μg以下である自動車内装部品の製造方法
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