JP2002234936A - ポリエステル成形体の製造方法 - Google Patents

ポリエステル成形体の製造方法

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JP2002234936A
JP2002234936A JP2001364958A JP2001364958A JP2002234936A JP 2002234936 A JP2002234936 A JP 2002234936A JP 2001364958 A JP2001364958 A JP 2001364958A JP 2001364958 A JP2001364958 A JP 2001364958A JP 2002234936 A JP2002234936 A JP 2002234936A
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polyester
water
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JP2001364958A
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Atsushi Hara
厚 原
Yoshinao Matsui
義直 松井
Hirotoshi Sonoda
博俊 園田
Yoshitaka Eto
嘉孝 衛藤
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 経済的にポリエステル成形体を製造すること
ができ、製造時のエネルギ−コストを下げ、かつ透明性
および結晶化速度の安定性に優れたポリエステル成形体
を得ることができ、また成形体製造時の金型汚れも改良
することができるポリエステル成形体を製造する方法を
提供すること。 【解決手段】 芳香族ジカルボン酸またはその機能的誘
導体とグリコ−ルまたはその機能的誘導体とをエステル
化またはエステル交換する低重合体製造工程(a)、低
重合体を重縮合する重縮合工程(b)、ポリエステルを
水と接触処理させる水処理工程(c)、ポリエステルを
ポリオレフィン樹脂製部材、ポリアミド樹脂製部材、ポ
リアセタ−ル樹脂製部材からなる群から選択される少な
くとも一種の部材と接触処理する接触処理工程(d)、
ポリエステルを溶融成形する成形工程(e)とを含むこ
とを特徴とするポリエステル成形体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品包装用シ−ト
あるいはフイルム、またはボトル等の容器の製造に用い
られるポリエステルの成形体を製造する方法に関し、さ
らに詳しくは、重縮合されたポリエステルを水と接触処
理したあと、ポリオレフィン樹脂製部材、ポリアミド樹
脂製部材、ポリアセタ−ル樹脂製部材からなる群から選
択される少なくとも一種の部材と接触処理し、ついで直
接溶融成形することにより、透明性に優れ、成形体に異
味、異臭が発生しにくく、かつ成形時に金型汚れが発生
しにくいポリエステル成形体を経済的に有利に製造する
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレ−トなどのポリ
エステルは、機械的性質及び化学的性質が共に優れてい
るため、工業的価値が高く、繊維、フイルム、シ−ト、
ボトルなどとして広く使用されている。
【0003】調味料、油、飲料、化粧品、洗剤などの容
器の素材としては、充填内容物の種類およびその使用目
的に応じて種々の樹脂が採用されている。
【0004】これらのうちでポリエステルは機械的強
度、耐熱性、透明性およびガスバリヤー性に優れている
ので、特にジュース、清涼飲料、炭酸飲料などの飲料充
填用容器の素材として最適である。
【0005】このようなポリエステルは射出成形機械な
どの成形機に供給して中空成形体用プリフォームを成形
し、このプリフォームを所定形状の金型に挿入し延伸ブ
ロー成形したあとボトルの胴部を熱処理(ヒートセッ
ト)して中空成形容器に成形され、さらには必要に応じ
てボトルの口栓部を熱処理(口栓部結晶化)させるのが
一般的である。
【0006】ところが、従来のポリエステルには、環状
三量体などのオリゴマー類が含まれており、このオリゴ
マー類が金型内面や金型のガスの排気口、排気管に付着
することによる金型汚れが発生しやすかった。
【0007】また、最近になって小型耐熱ボトルが使用
されるようになると、成形時の生産性を向上することが
必要となり、このためにはボトル口栓部の結晶化速度お
よびその均一性も問題となってきた。
【0008】また、ポリエステルは、副生物であるアセ
トアルデヒドを含有する。ポリエステル中のアセトアル
デヒド含有量が多い場合には、これから成形された容器
やその他包装等の材質中のアセトアルデヒド含有量も多
くなり、該容器等に充填された飲料等の風味や臭いに影
響を及ぼす。したがって、従来よりポリエステル中のア
セトアルデヒド含有量を低減させるために種々の方策が
採られてきた。
【0009】近年、ポリエチレンテレフタレ−ト(以
下、PETと略称する)を中心とするポリエステル製容
器は、ミネラルウオ−タやウ−ロン茶等の低フレ−バ−
飲料用の容器として使用されるようになってきた。この
ような飲料の場合は、一般にこれらの飲料を熱充填した
りまたは充填後加熱して殺菌されるが、飲料容器のアセ
トアルデヒド含有量の低減だけではこれらの内容物の風
味や臭いが改善されないことがわかってきた。
【0010】また、飲料用金属缶については、工程簡略
化、衛生性、公害防止等の目的から、その内面にエチレ
ンテレフタレ−トを主たる繰り返し単位とするポリエス
テルフイルムを被覆した金属板を利用して製缶する方法
が採られるようになってきた。この場合にも、内容物を
充填後高温で加熱殺菌されるが、この際アセトアルデヒ
ド含有量の低いフイルムを使用しても内容物の風味や臭
いが改善されないことが分かってきた。
【0011】また、特開平8−238643号公報で
は、極限粘度0.5〜0.75dl/gの溶融ポリエチ
レンテレフタレートを後縮合反応器中で、極限粘度を
0.75〜0.95dl/gに上昇させるとともにアセ
トアルデヒド含有量を低減させて、プリフォームに成形
する方法が開示されている。この方法は、固相化・再溶
融の工程を通らないで成形体を得る点で従来法に対して
より経済的ではあるが、極限粘度を上げるために、後縮
合反応器中での滞留時間が30〜60分という時間がか
かり、重縮合の生産性の観点から問題であり、また環状
3量体やオリゴマ−類の含有量は約1.0重量%以上と
多く、前記の金型汚れは改善されず、また口栓部の結晶
化速度も遅いので、成形の生産性の観点からも問題であ
る。
【0012】このような問題点を解決する方法として、
特開平3−47830号にはポリエチレンテレフタレ−
ト(以下、PETと略称する)を水処理する方法が提案
されている。この方法によって得られたPETを成形材
料として用いることによって金型汚れはある程度改善さ
れるが、口栓部の結晶化は改善されない。
【0013】このような問題点を解決するための方法と
して、特開平9−71639号公報にはポリエチレンテ
レフタレ−トチップをポリエチレン部材と接触処理させ
てPETチップ表面にポリエチレン樹脂を付着させる方
法が提案されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】従来は、前記のポリエ
チレン等と接触処理したポリエステルチップは、輸送用
フレキシブルコンテナ−等の容器に充填、一時的に保管
され、ついで成形工程へ輸送される。一般的に前記の貯
蔵用容器や輸送用容器は、該容器の内側にポリエチレン
フイルムからなる内貼りや内袋等を備えているので、ポ
リエステルチップの充填や排出時に、このポリエチレン
フイルムは一部のポリエステルチップと接触するが、こ
の際に微量のポリエチレンが一部のポリエステルチップ
の表面に付着したりして混入し、ポリエステルに付着し
たポリエチレンの付着量が大きく変動する。このため、
成形体の透明性の変動および悪化や成形体の滑り性の変
動等の問題が生じる。
【0015】また、このような複雑な工程を経る間にポ
リエステルチップと各種の工程の機器や配管等との長時
間の接触や衝突によって、薄片状の形態や微粉状の形態
に変化した形状不良品(以下、「ファイン」、「フイル
ム状物」と略称)が多量に発生する。これらの形状不良
品の中には、高融点化したものが存在する場合があり、
これは成形体中に未溶融物として現れ、また融点が正常
でもポリエステルの結晶化促進効果を発揮するものが存
在する。また、配管等との衝突によってチップ表面の微
細構造が変化するためか、チップ表面にも結晶化促進効
果が付与される。このような複雑な工程を経て得られた
成形体の結晶化速度は速くなり、またその変動も大きく
なり、例えば中空成形体の透明性が悪くなったり、フイ
ルムの滑り性が変化したりして問題となる。また、空気
雰囲気下で貯蔵容器等に充填し、1ヶ月以上長期間保管
された場合には、その環境にもよるが、成形体の内容物
の風味や臭いが悪化する場合がある。
【0016】本発明は、前記の従来技術の問題点を解決
することにあり、成形体の透明性に優れ、成形体に異
味、異臭が発生しにくく、かつ成形時に金型汚れが発生
しにくい、経済的に有利な、また環境への悪影響が少な
いポリエステルの製造方法を提供することを目的として
いる。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のポリエステル成形体の製造方法は、芳香族
ジカルボン酸またはその機能的誘導体とグリコ−ルまた
はその機能的誘導体とをエステル化またはエステル交換
する低重合体製造工程(a)、該低重合体製造工程で得
られた低重合体を重縮合する重縮合工程(b)、該重縮
合工程で得られたポリエステルを水と接触処理させる水
処理工程(c)、該水処理工程で得られたポリエステル
をポリオレフィン樹脂製部材、ポリアミド樹脂製部材、
ポリアセタ−ル樹脂製部材からなる群から選択される少
なくとも一種の部材と接触処理する接触処理工程
(d)、該接触処理工程で得られたポリエステルを溶融
成形する成形工程(e)とを含むことを特徴とする。
【0018】この場合において、該重縮合工程(b)
が、溶融重縮合工程(f)または溶融重縮合工程(f)
と固相重合工程(g)を含むことができる。
【0019】この場合において、該水処理工程(c)の
あとに乾燥工程を追加することができる。
【0020】この場合において、該成形工程(e)に脱
気工程を追加し、減圧下または/および不活性気体流通
下に脱気させることができる。
【0021】この場合において、該接触処理工程(d)
後のポリエステルの極限粘度と該成形体の極限粘度との
差が下記の式を満足することができる。 該接触処理工程(d)後のポリエステルの極限粘度−該
成形体の極限粘度=−0.10〜0.15dl/g
【0022】この場合において、該溶融重縮合工程
(f)と該水処理工程(c)の中間工程、該水処理工程
(c)と該接触処理工程(d)の中間工程、あるいは該
接触処理工程(d)と該成形工程(e)の中間工程の少
なくとも一つの中間工程に、ファインおよび/またはフ
イルム状物を除去するファイン等除去工程(h)を追加
することができる。
【0023】この場合において、該溶融重縮合工程
(f)と該固相重合工程(g)の中間工程、該固相重合
工程(g)と該水処理工程(c)の中間工程、該水処理
工程(c)と該接触処理工程(d)の中間工程、あるい
は該接触処理工程(d)と該成形工程(e)の中間工程
の少なくとも一つの中間工程に、ファインおよび/また
はフイルム状物を除去するファイン等除去工程(h)を
追加することができる。
【0024】この場合において、該ファイン等除去工程
(h)を経由して、該固相重合工程(g)、該水処理工
程(c)、該接触処理工程(d)、あるいは該成形工程
(e)の少なくとも1つの工程へ供給されるポリエステ
ルのファイン含有量、フイルム状物含有量、あるいはフ
ァイン含有量とフイルム状物含有量の合計含有量のいず
れかの含有量が、300ppm以下であることができ
る。
【0025】ここで、ファインとはJIS−Z8801
による呼び寸法1.7mmの金網をはった篩いを通過し
たポリエステルの微粉末を意味し、またフイルム状物と
はJIS−Z8801による呼び寸法5.6mmの金網
をはった篩い上に残ったポリエステルのうち、2個以上
のチップが融着したり、あるいは正常な形状より大きく
切断されたチップ状物を除去後のフイルム状物を意味
し、これらの含有量は下記の測定法によって測定する。
【0026】この場合において、該ファイン等除去工程
(h)を経由して、該固相重合工程(g)、該水処理工
程(c)、該接触処理工程(d)、あるいは該成形工程
(e)の少なくとも1つの工程へ供給されるポリエステ
ル中に含まれるファインおよび/またはフイルム状物
の、融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度が、26
5℃以下であることができる。
【0027】この場合において、該成形工程(e)で発
生するスクラップ、または使用済み成形体あるいは使用
済み成形体のリサイクル品を該成形工程(e)に添加す
ることができる。
【0028】この場合において、ポリエステルが、ポリ
エチレンテレフタレ−トであることができる。
【0029】またこの場合において、該ポリエステル成
形体が、シ−ト、フイルム、中空成形体およびチュ−ブ
状物であることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明のポリエステル成形体の製造方法は、芳香
族ジカルボン酸またはその機能的誘導体とグリコ−ルま
たはその機能的誘導体とをエステル化またはエステル交
換する低重合体製造工程(a)、該低重合体製造工程で
得られた低重合体を重縮合する重縮合工程(b)、該重
縮合工程で得られたポリエステルを水と接触処理させる
水処理工程(c)、該水処理工程で得られたポリエステ
ルをポリオレフィン樹脂製部材、ポリアミド樹脂製部
材、ポリアセタ−ル樹脂製部材からなる群から選択され
る少なくとも一種の部材と接触処理する接触処理工程
(d)、該接触処理工程で得られたポリエステルを溶融
成形する成形工程(e)とを含む。
【0031】本発明に係るポリエステルは、主として芳
香族ジカルボン酸成分とグリコ−ル成分とから得られる
ポリエステルであり、好ましくは芳香族ジカルボン酸単
位が酸成分の85モル%以上含むポリエステルであり、
さらに好ましくは芳香族ジカルボン酸単位が酸成分の9
0モル%以上含むポリエステルである。
【0032】本発明に係るポリエステルを構成する芳香
族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、2、6−
ナフタレンジカルボン酸、ジフェニ−ル−4,4'−ジ
カルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香
族ジカルボン酸及びその機能的誘導体等が挙げられる。
【0033】また本発明に係るポリエステルを構成する
グリコ−ル成分としては、エチレングリコ−ル、トリメ
チレングリコール、テトラメチレングリコール等の脂肪
族グリコ−ル、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族
グリコール等が挙げられる。前記ポリエステル中に共重
合して使用される酸成分としては、テレフタル酸、2、
6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニ
−ル−4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジ
カルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、p−オキシ安息香
酸、オキシカプロン酸等のオキシ酸及びその機能的誘導
体、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、
ダイマ−酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導
体、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタ
ル酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボ
ン酸及びその機能的誘導体などが挙げられる。
【0034】前記ポリエステル中に共重合して使用され
るグリコ−ル成分としては、エチレングリコ−ル、トリ
メチレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエ
チレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族
グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのア
ルキレンオキサイド付加物等の芳香族グリコール、シク
ロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ポリエ
チレングリコ−ル、ポリブチレングリコ−ル等のポリア
ルキレングリコ−ルなどが挙げられる。
【0035】さらにポリエステルが実質的に線状である
範囲内で多官能化合物、例えばトリメリット酸、トリメ
シン酸、ピロメリット酸、トリカルバリル酸、グリセリ
ン、ペンタエリスリトール、トリメチロ−ルプロパン等
を共重合してもよく、また単官能化合物、例えば安息香
酸、ナフトエ酸等を共重合させてもよい。
【0036】本発明に係るポリエステルの好ましい一例
は、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレート単位
から構成されるポリエステルであり、さらに好ましくは
エチレンテレフタレート単位を85モル%以上含む線状
ポリエステルであり、特に好ましくはエチレンテレフタ
レート単位を90モル%以上含む線状ポリエステル、即
ち、ポリエチレンテレフタレ−ト(以下、PETと略
称)である。
【0037】また本発明に係るポリエステルの好ましい
他の一例は、主たる繰り返し単位がエチレン−2、6−
ナフタレート単位から構成されるポリエステルであり、
さらに好ましくはエチレン−2、6−ナフタレート単位
を85モル%以上含む線状ポリエステルであり、特に好
ましいのは、エチレン−2、6−ナフタレート単位を9
0モル%以上含む線状ポリエステル、即ち、ポリエチレ
ンナフタレ−トホモポリマ−またはエチレンテレフタレ
−ト単位を含むポリエチレンナフタレ−トコポリマ−
(以下、PENと略称)である。
【0038】また本発明に係るポリエステルの好ましい
その他の例としては、プロピレンテレフタレート単位を
85モル%以上含む線状ポリエステル、1,4−シクロ
ヘキサンジメチレンテレフタレート単位を85モル%以
上含む線状ポリエステル、またはブチレンテレフタレ−
ト単位を85モル%以上含む線状ポリエステルである。
本発明に係るポリエステルの製造方法としては回分方
式、連続方式が挙げられるが、以下にはポリエチレンテ
レフタレ−トを例にして連続方式での好ましい製造方法
の一例について説明する。
【0039】前記のテレフタル酸またはそのエステル形
成性誘導体とエチレングリコ−ルまたはそのエステル形
成性誘導体とを含む原料は、低重合体製造工程(a)に
おいてエステル化反応またはエステル交換反応されて低
重縮合体となる。
【0040】まず、エステル化反応により低重合体を製
造する場合について説明する。テレフタル酸またはその
エステル誘導体1モルに対して1.02〜1.5モル、
好ましくは1.03〜1.4モルのエチレングリコール
が含まれたスラリーを調整し、これをエステル化反応工
程に連続的に供給する。エステル化反応は、少なくとも
2個のエステル化反応器を直列に連結した多段式装置を
用いてエチレングリコールが還流する条件下で、反応に
よって生成した水またはアルコールを精留塔で系外に除
去しながら実施する。第1段目のエステル化反応の温度
は240〜270℃、好ましくは245〜265℃、圧
力は0.2〜3kg/cm2G、好ましくは0.5〜2
kg/cm2Gである。最終段目のエステル化反応の温
度は通常250〜280℃好ましくは255〜275℃
であり、圧力は通常0〜1.5kg/cm2G好ましく
は0〜1.3kg/cm2Gである。3段階以上で実施
する場合には、中間段階のエステル化反応の反応条件
は、上記第1段目の反応条件と最終段目の反応条件の間
の条件である。これらのエステル化反応の反応率の上昇
は、それぞれの段階で滑らかに分配されることが好まし
い。最終的にはエステル化反応率は90%以上、好まし
くは93%以上に達することが望ましい。これらのエス
テル化反応により分子量500〜5000程度の低重合
体が得られる。
【0041】上記エステル化反応は原料としてテレフタ
ル酸を用いる場合は、テレフタル酸の酸としての触媒作
用により無触媒でも反応させることができるが重縮合触
媒の共存下に実施してもよい。
【0042】また、トリエチルアミン、トリn−ブチル
アミン、ベンジルジメチルアミンなどの第3級アミン、
水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラn−ブ
チルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニ
ウムなどの水酸化第4級アンモニウムおよび炭酸リチウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウムな
どの塩基性化合物を少量添加して実施すると、ポリエチ
レンテレフタレートの主鎖中のジオキシエチレンテレフ
タレート成分単位の割合を比較的低水準(全ジオール成
分に対して5モル%以下)に保持できるので好ましい。
【0043】次に、エステル交換反応によって低重合体
を製造する場合は、テレフタル酸ジメチル1モルに対し
て1.1〜1.6モル、好ましくは1.2〜1.5モル
のエチレングリコールが含まれた溶液を調整し、これを
エステル交換反応工程に連続的に供給する。
【0044】エステル交換反応は、1〜2個のエステル
交換反応器を直列に連結した装置を用いてエチレングリ
コールが還留する条件下で、反応によって生成したメタ
ノールを精留塔で系外に除去しながら実施する。第1段
目のエステル交換反応の温度は180〜250℃、好ま
しくは200〜240℃である。最終段目のエステル交
換反応の温度は通常230〜270℃、好ましくは24
0〜265℃であり、エステル交換触媒として、Zn,
Cd,Mg,Mn,Co,Ca,Baなどの脂肪酸塩、
炭酸塩やPb,Zn,Sb,Ge酸化物等を用いる。こ
れらのエステル交換反応により分子量約200〜500
程度の低重合体が得られる。
【0045】次いで得られた低重縮合体は、重縮合触媒
の存在下に減圧下で、得られるポリエステルの融点以上
の温度に加熱し、この際生成するグリコ−ルを系外に溜
去させて重縮合する溶融重縮合工程(f)に供給され
る。
【0046】このような重縮合反応は、1段階で行って
も、また多段階に分けて行ってもよい。多段階で行う場
合について説明する。重縮合反応条件は、第1段階目の
重縮合の反応温度は250〜290℃、好ましくは26
0〜280℃であり、圧力は500〜20Torr、好
ましくは200〜30Torrで、最終段階の重縮合反
応の温度は265〜300℃、好ましくは275〜29
5℃であり、圧力は10〜0.1Torr、好ましくは
5〜0.5Torrである。
【0047】重縮合反応を3段階以上で実施する場合に
は、中間段階の重縮合反応の反応条件は、上記第1段目
の反応条件と最終段目の反応条件の間の条件である。こ
れらの重縮合反応工程の各々において到達される極限粘
度(IV)上昇の度合は滑らかに分配されることが好まし
い。
【0048】重縮合反応は、重縮合触媒を用いる。重縮
合触媒としては、Ge、Sb、Ti、またはAlの化合
物が用いられるが、Ge化合物とTi化合物、Ge化合
物とAl化合物、Sb化合物とTi化合物、Sb化合物
とGe化合物の混合触媒の使用も好都合である。これら
の化合物は、粉体、水溶液、エチレングリコ−ル溶液、
エチレングリコ−ルのスラリ−等として反応系に添加さ
れる。
【0049】Ge化合物としては、無定形二酸化ゲルマ
ニウム、結晶性二酸化ゲルマニウム粉末またはエチレン
グリコールのスラリー、結晶性二酸化ゲルマニウムを水
に加熱溶解した溶液またはこれにエチレングリコールを
添加加熱処理した溶液等が使用されるが、特に本発明で
用いるポリエステルを得るには二酸化ゲルマニウムを水
に加熱溶解した溶液、またはこれにエチレングリコール
を添加加熱した溶液を使用するのが好ましい。これらの
重縮合触媒はエステル化工程中に添加することができ
る。Ge化合物を使用する場合、その使用量はポリエス
テル中のGe残存量として10〜150ppm、好まし
くは13〜100ppm、更に好ましくは15〜70p
pmである。
【0050】Ti化合物としては、テトラエチルチタネ
−ト、テトライソプロピルチタネ−ト、テトラ−n−プ
ロピルチタネ−ト、テトラ−n−ブチルチタネ−ト等の
テトラアルキルチタネ−トおよびそれらの部分加水分解
物、蓚酸チタニル、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チ
タニルナトリウム、蓚酸チタニルカリウム、蓚酸チタニ
ルカルシウム、蓚酸チタニルストロンチウム等の蓚酸チ
タニル化合物、トリメリット酸チタン、硫酸チタン、塩
化チタン等が挙げられる。Ti化合物は、生成ポリマ−
中のTi残存量として0.1〜10ppmの範囲になる
ように添加する。
【0051】Sb化合物としては、三酸化アンチモン、
酢酸アンチモン、酒石酸アンチモン、酒石酸アンチモン
カリ、オキシ塩化アンチモン、アンチモングリコレ−
ト、五酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン等が挙
げられる。Sb化合物は、生成ポリマ−中のSb残存量
として50〜250ppmの範囲になるように添加す
る。
【0052】また、Al化合物としては、蟻酸アルミニ
ウム、酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、
蓚酸アルミニウム等のカルボン酸塩、酸化物、水酸化ア
ルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウ
ム、炭酸アルミニウム等の無機酸塩、アルミニウムメト
キサイド、アルミニウムエトキサイド等のアルミニウム
アルコキサイド、アルミニウムアセチルアセトネ−ト、
アルミニウムアセチルアセテ−ト等とのアルミニウムキ
レ−ト化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルア
ルミニウム等の有機アルミニウム化合物およびこれらの
部分加水分解物等があげられる。これらのうち酢酸アル
ミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水
酸化塩化アルミニウム、およびアルミニウムアセチルア
セトネ−トが特に好ましい。Al化合物は、生成ポリマ
−中のAl残存量として5〜200ppmの範囲になる
ように添加する。
【0053】また、本発明においては、アルカリ金属化
合物またはアルカリ土類金属化合物を併用してもよい。
アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物は、
これら元素の酢酸塩等のカルボン酸塩、アルコキサイド
等があげられ、粉体、水溶液、エチレングリコ−ル溶液
等として反応系に添加される。アルカリ金属化合物また
はアルカリ土類金属化合物は、生成ポリマ−中のこれら
の元素の残存量として1〜50ppmの範囲になるよう
に添加する。
【0054】また、安定剤として種々のP化合物を使用
することができる。本発明で使用されるP化合物として
は、リン酸、亜リン酸およびそれらの誘導体等が挙げら
れる。具体例としてはリン酸、リン酸トリメチルエステ
ル、リン酸トリエチルエステル、リン酸トリブチルエス
テル、リン酸トリフェニ−ルエステル、リン酸モノメチ
ルエステル、リン酸ジメチルエステル、リン酸モノブチ
ルエステル、リン酸ジブチルエステル、亜リン酸、亜リ
ン酸トリメチルエステル、亜リン酸トリエチルエステ
ル、亜リン酸トリブチルエステル等であり、これらは単
独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
P化合物は、生成ポリマ−中のP残存量として1〜10
00ppmの範囲になるように前記のポリエステル生成
反応工程の任意の段階で添加することができる。
【0055】前記の最終重縮合反応器より得られた溶融
ポリエステルは、ダイスより水中に押出されて水中でカ
ットする方式、あるいは大気中に押出されたあと、直ち
に冷却水で冷却しながらカットする方式等によってチッ
プ化される。
【0056】ポリエステルのチップの形状は、シリンダ
−型、角型、球状または扁平な板状等の何れでもよく、
その平均粒径は、通常1.5〜5mm、好ましくは1.
6〜4.5mm、さらに好ましくは1.8〜4.0mm
の範囲である。例えば、シリンダ−型の場合は、長さは
1.5〜4mm、径は1.5〜4mm程度であるのが実
用的である。球状粒子の場合は、最大粒子径が平均粒子
径の1.1〜2.0倍、最小粒子径が平均粒子径の0.
7倍以上であるのが実用的である。また、チップの重量
は15〜30mg/個の範囲が実用的である。
【0057】また、チップ化工程の冷却水中のナトリウ
ムの含有量、マグネシウムの含有量、珪素の含有量及び
カルシウムの含有量をそれぞれN、M、S、Cとした場
合、下記の(1)〜(4)の少なくとも一つ、好ましく
はすべてを満足するようにして溶融重縮合ポリエステル
のチップ化を行うのが好ましい。 N ≦ 1.0(ppm) (1) M ≦ 0.5(ppm) (2) S ≦ 2.0(ppm) (3) C ≦ 1.0(ppm) (4)
【0058】前記の条件を外れる冷却水を用いた場合に
は、これらの金属含有化合物がポリエステルチップ表面
に付着し、得られた最終のポリエステルの結晶化速度が
非常に早く、またその変動が大きくなり好ましくない。
【0059】ポリエステルチップの形状は、シリンダー
型、角型、または扁平な板状等の何れでもよく、その大
きさは、縦、横、高さがそれぞれ通常1.5〜4mmの
範囲である。例えばシリンダー型の場合は、長さは1.
5〜4mm、径は1.5〜4mm程度であるのが実用的
である。また、チップの重量は15〜30mg/個の範
囲が実用的である。
【0060】前記の重縮合反応後の極限粘度は用途によ
って所望の極限粘度にすることができるが、0.50〜
0.90dl/gであることが好ましい。より好ましく
は0.55〜0.85dl/gであり、さらに好ましく
は0.60〜0.80dl/gの範囲である。
【0061】また、本発明に係るポリエステルに共重合
されたジエチレングリコール含有量は該ポリエステルを
構成するグリコール成分の1.0〜5.0モル%、好ま
しくは1.3〜4.5モル%、更に好ましくは1.5〜
4.0モル%である。ジエチレングリコール含有量が
5.0モル%を越える場合は、熱安定性が悪くなり、成
型時に分子量低下が大きくなったり、またアセトアルデ
ヒド含有量やホルムアルデヒド含有量の増加量が大とな
り好ましくない。またジエチレングリコ−ル含有量が
1.0モル%未満の場合は、得られた成形体の透明性が
悪くなる。
【0062】また、本発明に係るポリエステルの酸価
は、好ましくは5〜80当量/tonの範囲である。酸
価が5当量/tonより低い場合は、分解によるアルデ
ヒド発生量が多くなり、ポリエステル成形体のアセトア
ルデヒド含有量を30ppm以下に低下しない。また、
酸価が80当量/tonを越えると、重縮合の反応速度
が遅くなり、所望する極限粘度に到達するまでの重縮合
反応機中での滞留が長くなるという問題があり、ポリエ
ステルの着色が起こったり、ポリエステル分解による不
純物が多くなったりする。
【0063】また、低フレ−バ−飲料用耐熱容器や飲料
用金属缶の内面用フイルム等のように低アセトアルデヒ
ド含有量や低環状3量体含有量を要求される場合は、こ
のようにして得られた溶融重縮合されたポリエステルは
固相重合される。前記のポリエステルを従来公知の方法
によって固相重合する。まず固相重合に供される前記の
ポリエステルは、不活性ガス下または減圧下あるいは水
蒸気または水蒸気含有不活性ガス雰囲気下において、1
00〜210℃の温度で1〜5時間加熱して予備結晶化
される。次いで不活性ガス雰囲気下または減圧下に19
0〜230℃の温度で1〜30時間の固相重合を行う。
【0064】溶融重縮合で得られたポリエステルのアセ
トアルデヒド含有量は約50ppm以上と高いが、固相
重合で得られたポリエステルのアセトアルデヒド含有量
は10ppm以下、好ましくは8ppm以下、さらに好
ましくは5ppm以下、ホルムアルデヒド含有量は7p
pm以下、好ましくは6ppm以下、さらに好ましくは
4ppm以下に低下できる。
【0065】また、このようにして固相重合で得られた
ポリエステルの環状3量体の含有量は0.50重量%以
下、好ましくは0.45重量%以下、さらに好ましくは
0.40重量%以下である。本発明に係るポリエステル
から耐熱性の中空成形体等を成形する場合は加熱金型内
で熱処理を行うが、環状3量体の含有量が0.50重量
%以上含有する場合には、加熱金型表面へのオリゴマー
付着が急激に増加し、得られた中空成形体等の透明性が
非常に悪化する。
【0066】つぎに前記の溶融重縮合工程(f)や固相
重合工程(g)によって得られたポリエステルは、環状
三量体などのオリゴマー類が成形時に金型内面や金型の
ガスの排気口、排気管等に付着して生じる金型汚れ等を
防止するために、水処理工程(c)において重縮合触媒
を失活処理させる。ポリエステルの触媒失活処理方法と
しては、溶融重縮合後や固相重縮合後にポリエステルチ
ップを水や水蒸気または水蒸気含有気体と接触処理する
方法が挙げられる。
【0067】水との接触処理の方法としては、水中に浸
ける方法が挙げられる。水との接触処理を行う時間とし
ては5分〜2日間、好ましくは10分〜1日間、さらに
好ましくは30分〜10時間であり、水の温度としては
20〜180℃、好ましくは40〜150℃、さらに好
ましくは50〜120℃である。
【0068】ポリエステルのチップを連続的に水処理す
る場合は、塔型の処理槽に継続、あるいは断続的にポリ
エステルのチップを上部より受け入れ、並流又は向流で
水を連続供給して水処理させることができる。処理され
たポリエステルチップは処理層の下部から継続、あるい
は断続的に抜き出す。水処理されたポリエステルチップ
は、振動篩機、シモンカ−タ−等の水切り装置で水切り
し、処理水と分離する。ポリエステルチップをバッチ方
式で水処理をする場合は、サイロタイプの処理槽が挙げ
られる。すなわち、バッチ方式でポリエステルのチップ
をサイロへ受け入れ水処理を行なう。あるいは回転筒型
の処理槽にポリエステルのチップを受け入れ、回転させ
ながら水処理を行ない水との接触をさらに効率的にする
こともできる。
【0069】この場合、ポリエステルチップは全量を処
理槽内に投入、充填すると共に処理水を満たし、処理水
は必要により継続的又は断続的(総称して連続的という
ことがある)に循環し、また、継続的又は断続的に一部
の処理水を排出して新しい処理水を追加供給する。水処
理後はポリエステルチップの全量を処理層から抜き出
す。この場合も、水処理されたポリエステルチップは、
振動篩機、シモンカ−タ−等の水切り装置で水切りし、
処理水と分離する。
【0070】水処理の方法が連続的に、又はバッチ的の
いずれの場合であっても、処理槽から排出した処理水の
すべて、あるいは殆どを工業排水としてしまうと、新し
い水が多量に入用であるばかりでなく、排出した処理水
の熱量の損失および排水量増大による環境への影響が懸
念される。
【0071】このような問題点を解決するために、水処
理槽のオ−バ−フロ−口から排出された処理水と処理槽
よりポリエステルチップと共に排出され、次いで該チッ
プから分離された処理水との実質的に全量、あるいはそ
の約50%程度を水処理に再利用する方法が採用され
る。
【0072】したがって、水処理を問題なく実施するた
めには、前記のような原因によって減少する水量を系外
より新しい水を補給することによって補うことが必要で
ある。このような系外からの補給水量は循環水量の約5
0%以下である。
【0073】水処理槽からの排水としては、水処理槽か
らポリエステルチップと共に排出された処理水および水
処理槽のオ−バ−フロ−口から排出された処理水の2種
が挙げられるが、水処理槽から排出したこれらの処理水
の実質的に全量を水処理槽へ戻して再利用したり、また
次バッチの水処理に再利用することにより、水処理に必
要な新しく補給する水量を低減し、また排水量増大によ
る環境への影響を低減することができ、さらには水処理
槽へ返される排水がある程度温度を保持していれば、処
理水の加熱量も小さく出来るため、処理層から排出され
た処理水は水処理層へ戻して再利用できる。ここでは、
このようにして処理槽から排出された処理水を処理槽に
戻して再利用される処理水をリサイクル水と称する。
【0074】水処理において処理槽から排出される処理
水には、処理槽にポリエステルチップを受け入れる段階
で既にポリエステルチップに付着しているファインや、
水処理時にポリエステルチップ同士あるいは処理槽壁と
の摩擦で発生するポリエステルのファインが含まれてい
る。従って、処理槽から排出した処理水を再度処理槽へ
戻して再利用すると、処理槽内の処理水に含まれるファ
イン量は次第に増えていく。そのため、処理水中に含ま
れているファインが処理槽壁や配管壁に付着して、配管
を詰まらせることがある。また処理水中に含まれている
ファインが再びポリエステルチップに付着し、このあ
と、水分を乾燥除去する段階でポリエステルチップにフ
ァインが静電効果により付着するため、ポリエステルの
ファイン含有量が非常に多くなる。
【0075】ポリエステル製造工程において発生するフ
ァインには結晶化促進効果があるが、水処理工程(c)
を経たポリエステルチップから前記のような工程で発生
したファインの結晶化促進効果は非常に高いことが判明
した。このようなファインによりポリエステルの結晶性
が促進されて、得られたボトルの透明性は悪くなり、ま
たボトル口栓部結晶化時の結晶化度が過大となって口栓
部の寸法が規格に入らなくなり、そのため口栓部のキャ
ッピング不良、したがって内容物の漏れの原因になる。
【0076】したがって、リサイクル水中に存在する粒
径が1〜40μmの粒子を100、000個/10ml
以下、好ましくは80、000個/10ml以下、さら
に好ましくは50、000個/10ml以下に維持しな
がら処理槽に戻して繰り返し使用するのが望ましい。
【0077】リサイクル水中の粒子量の増加を抑えるた
めに、処理槽から排出した処理水が再び処理槽に返され
るまでの工程で少なくとも1ヶ所以上にファインを除去
する装置を設置する。ファインを除去する装置としては
フィルター濾過装置、膜濾過装置、沈殿槽、遠心分離
器、泡沫同伴処理機等が挙げられる。例えばフィルター
濾過装置であれば、方式としてベルトフィルター方式、
バグフィルター方式、カートリッジフィルター方式、ス
クリ−ンフィルタ−方式、遠心濾過方式等の濾過装置が
挙げられる。中でも連続的に行うにはベルトフィルター
方式、遠心濾過方式、バグフィルター方式、スクリ−ン
フィルタ−方式の濾過装置が適している。またベルトフ
ィルター方式の濾過装置であれば濾材としては、紙、金
属、布等が挙げられる。またファインの除去と処理水の
流れを効率良く行なうため、フィルターの目のサイズは
5〜100μm、好ましくは5〜70μm、さらに好ま
しくは5〜40μmがよい。
【0078】またポリエステルチップは、ポリエステル
製造中に生成したアセトアルデヒドやホルムアルデヒド
等のアルデヒド化合物、原料であるグリコ−ル、反応生
成物である芳香族ジカルボン酸とグリコ−ルとから成る
モノマ−や芳香族ジカルボン酸とグリコ−ルとから成る
ダイマ−等の低分子化合物を含んでおり、水処理時にこ
れらのアルデヒド化合物、グリコ−ル、芳香族ジカルボ
ン酸とグリコ−ルとから成るモノマ−やダイマ−等が処
理水中に溶出する。
【0079】経済的な観点および環境上の観点より、バ
ッチ方式の水処理の場合は処理水を繰り返し使用し、ま
た連続式水処理の場合は水処理槽から排出した処理水を
再度処理槽へ戻して再利用するが、いずれの場合も処理
槽中のアセトアルデヒド含有量、グリコ−ル含有量、芳
香族ジカルボン酸とグリコ−ルとから成るモノマ−含有
量やダイマ−含有量が経時的に増加していく。これらの
化合物が多くなると、水処理乾燥後のチップ中の該含有
量が高くなり、このようなポリエステルチップを用いた
中空成形容器等中の内容物の風味や香りが非常に悪くな
る。また、水処理装置の処理槽や配管の汚れも激しくな
る。
【0080】連続方式の場合はリサイクル水中の該ポリ
エステルに由来するグリコ−ルの含有量および芳香族ジ
カルボン酸とグリコ−ルとから成るモノマ−の含有量を
それぞれ100ppm以下、好ましくは50ppm以
下、さらに好ましくは10ppm以下、またリサイクル
水中のアセトアルデヒド含有量を10ppm以下、好ま
しくは5ppm以下、さらに好ましくは1ppm以下に
維持することによって上記の問題点を解決する。またバ
ッチ方式の場合は水処理終了時の処理槽中の処理水の該
ポリエステルに由来するグリコ−ルの含有量および芳香
族ジカルボン酸とグリコ−ルとから成るモノマ−の含有
量をそれぞれ100ppm以下、好ましくは50ppm
以下、さらに好ましくは10ppm以下、またリサイク
ル水中のアセトアルデヒド含有量を10ppm以下、好
ましくは5ppm以下、さらに好ましくは1ppm以下
に維持することによって上記の問題点を解決する。
【0081】ここで、ポリエステルがポリエチレンテレ
フタレ−トの場合は、前記のグリコ−ルはエチレングリ
コ−ルであり、芳香族ジカルボン酸とグリコ−ルとから
成る前記のモノマ−はモノヒドロキシエチルテレフタレ
−トおよびビスヒドロキシエチルテレフタレ−トであ
る。
【0082】またポリエステルがポリエチレン−2、6
−ナフタレ−トの場合は、前記のグリコ−ルはエチレン
グリコ−ルであり、芳香族ジカルボン酸とグリコ−ルと
から成る前記のモノマ−は2、6−モノヒドロキシエチ
ルナフタレ−トおよび2、6−ビスヒドロキシエチルナ
フタレ−トである。
【0083】以下にリサイクル水中のグリコ−ル等の含
有量を100ppm以下、またアセトアルデド含有量を
10ppm以下にする方法を例示するが、本発明はこれ
に限定するものではない。
【0084】さらに以下の方法を用いると、リサイクル
水の中のグリコ−ルやアセトアルデヒドだけでなく、ホ
ルムアルデヒド、酢酸、蟻酸等の微量の臭気成分も除去
でき、処理水の中のこれらの含有量を一定値以下にする
ことができる。
【0085】水処理槽に供給するリサイクル水中のグリ
コ−ルや芳香族ジカルボン酸とグリコ−ルとからなるモ
ノマ−やアセトアルデヒドの含有量の増加を抑えるため
に、水処理槽から処理水が排出して、再び水処理槽に循
環水が戻されるまでの工程中の少なくとも1カ所以上に
グリコ−ル等を除去する装置を設置する。
【0086】グリコ−ル等を除去する方法としては、蒸
留装置による蒸留処理、活性炭吸着処理、水中への不活
性気体のバブリング処理、加熱脱気処理等、公知の方法
が挙げられる。また、リサイクル水に新しいイオン交換
水等を追加する方法も挙げられる。
【0087】また、リサイクル水中の粒子個数や前記の
ポリエステル由来の低分子化合物の濃度を自動的に測定
する機器をリサイクル水の送り配管等に設置して自動的
にこれらの濃度を測定し、これらの濃度値によって濾過
装置のフィルタ−を交換したり、また吸着装置の吸着材
を交換したりすることが出来る。
【0088】つぎに、主として前記のリサイクル水の不
足分を補うために系外より導入される水について説明す
る。ポリエステルチップを工業的に水処理する場合、処
理に用いる水が大量であることから天然水(工業用水)
や排水を再利用して使用することが多い。通常この天然
水は、河川水、地下水などから採取したもので、水(液
体)の形状を変えないまま、殺菌、異物除去等の処理を
したものを言う。また、一般的に工業用に用いられる天
然水には、自然界由来の、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩
等の粘土鉱物を代表とする無機粒子や細菌、バクテリア
等や、腐敗した植物、動物に起源を有する有機粒子や有
機化合物等を多く含有している。これらの無機粒子は、
ナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素等の金属
含有物質から構成されている。
【0089】そして、水処理方法が連続方式の場合であ
ってもバッチ方式の場合であっても、系外から導入する
水の中に存在する、粒径が1〜25μmの粒子の個数を
X、ナトリウムの含有量をN、マグネシウムの含有量を
M、カルシウムの含有量Cを、珪素の含有量をSとした
ときに、下記(5)〜(9)の範囲の少なくとも一つ、
好ましくはすべてを満足する水を用いて水処理を行うの
が望ましい。 1 ≦ X ≦ 50000 (個/10ml) (5) 0.001 ≦ N ≦ 1.0 (ppm) (6) 0.001 ≦ M ≦ 0.5 (ppm) (7) 0.001 ≦ C ≦ 0.5 (ppm) (8) 0.01 ≦ S ≦ 2.0 (ppm) (9)
【0090】水処理槽に導入する水中の粒子個数、ナト
リウム、マグネシウム、カルシウム、珪素の含有量のい
ずれかを上記範囲に設定することにより、スケールと呼
ばれる酸化物や水酸化物等の金属含有物質が処理水中に
浮遊、沈殿、さらには処理槽壁や配管壁に付着したり
し、これがポリエステルチップに付着、浸透して、成形
時での結晶化が促進され、透明性の悪いボトルになるこ
とを防ぐことができる。以下に水処理に用いる、粒径1
〜25μmの粒子を1〜50000個/10ml含む水
を得る方法を例示する。
【0091】水中の粒子数を50000個/10ml以
下にする方法としては、工業用水等の自然水を処理槽に
供給するまでの工程の少なくとも1ヶ所以上に粒子を除
去する装置を設置する。好ましくは自然界の水の採取口
から、前記した処理槽、処理槽から排水した水を再度処
理槽に戻す配管、ファイン除去装置等、水処理に必要な
付帯設備を含めた処理装置に至るまでの間に粒子を除去
する装置を設置し、処理装置に供給する水中の、粒径1
〜25μmの粒子の含有量を1〜50000個/10m
lにすることが好ましい。粒子を除去する装置としては
フィルター濾過装置、膜濾過装置、沈殿槽、遠心分離
器、泡沫同伴処理機等が挙げられる。例えばフィルター
濾過装置であれば、方式としてベルトフィルター方式、
バグフィルター方式、カートリッジフィルター方式、ス
クリ−ンフィルタ−方式、遠心濾過方式等の濾過装置が
挙げられる。中でも連続的に行うにはベルトフィルター
方式、遠心濾過方式、バグフィルター方式、スクリ−ン
フィルタ−方式の濾過装置が適している。またベルトフ
ィルター方式の濾過装置であれば濾材としては、紙、金
属、布等が挙げられる。また粒子の除去と処理水の流れ
を効率良く行なうため、フィルターの目のサイズは5〜
100μm、好ましくは10〜70μm、さらに好まし
くは15〜40μmがよい。
【0092】また系外からの水中のナトリウムやマグネ
シウム、カルシウム、珪素を低減させるために、処理槽
に工業用水が送られるまでの工程で少なくとも1ヶ所以
上にナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素を除
去する装置を設置する。また、粒子状になった二酸化珪
素やアルミノ珪酸塩等の粘土鉱物を除去するためにはフ
ィルターを設置する。ナトリウムやマグネシウム、カル
シウム、珪素を除去する装置としては、イオン交換装
置、限外濾過装置などが挙げられる。
【0093】系外から導入される水は、水処理槽に直接
導入してもよいし、またリサイクル水の貯槽やリサイク
ル水の送りの配管中においてリサイクル水と混合後水処
理槽に導入してもよい。
【0094】水処理後、水切り装置で水切りしたポリエ
ステルチップは、乾燥空気または不活性ガスの雰囲気
下、あるいは該気流下において貯蔵タンクに輸送され,
一時的に乾燥空気または乾燥不活性ガス気流下において
保管される。
【0095】またポリエステルのチップと水蒸気または
水蒸気含有ガスとを接触させて処理する場合は、50〜
150℃、好ましくは50〜110℃の温度の水蒸気ま
たは水蒸気含有ガスあるいは水蒸気含有空気を好ましく
は粒状ポリエチレンテレフタレ−ト1kg当り、水蒸気と
して0.5g以上の量で供給させるか、または存在させ
て粒状ポリエチレンテレフタレ−トと水蒸気とを接触さ
せる。
【0096】この、ポリエステルのチップと水蒸気との
接触は、通常10分間〜2日間、好ましくは20分間〜
10時間行われる。
【0097】以下に粒状ポリエチレンテレフタレ−トと
水蒸気または水蒸気含有ガスとの接触処理を工業的に行
なう方法を例示するが、これに限定されるものではな
い。また処理方法は連続方式、バッチ方式のいずれであ
っても差し支えない。
【0098】ポリエステルのチップをバッチ方式で水蒸
気と接触処理をする場合は、サイロタイプの処理装置が
挙げられる。すなわちポリエステルのチップをサイロへ
受け入れ、バッチ方式で、水蒸気または水蒸気含有ガス
を供給し接触処理を行なう。
【0099】ポリエステルのチップを連続的に水蒸気と
接触処理する場合は塔型の処理装置に連続で粒状ポリエ
チレンテレフタレ−トを上部より受け入れ、並流あるい
は向流で水蒸気を連続供給し水蒸気と接触処理させるこ
とができる。
【0100】上記の如く、水又は水蒸気で処理した場合
は粒状ポリエチレンテレフタレ−トを必要に応じて振動
篩機、シモンカ−タ−などの水切り装置で水切りし、コ
ンベヤ−によって次の乾燥工程へ移送する。
【0101】水又は水蒸気と接触処理したポリエステル
のチップの乾燥には、通常用いられるポリエステルの乾
燥処理を用いることができる。連続的に乾燥する方法と
しては、上部よりポリエステルのチップを供給し、下部
より乾燥ガスを通気するホッパ−型の通気乾燥機が通常
使用される。また、回転ディスクや外部ジャケットに加
熱媒体等を供給する回転ディスク型連続乾燥機によって
も乾燥することができる。
【0102】バッチ方式で乾燥する場合は、ダブルコ−
ン型回転乾燥機を用いて減圧下で乾燥したり、また大気
圧下で乾燥ガスを通気しながら乾燥してもよい。
【0103】乾燥ガスとしては大気空気でも差し支えな
いが、ポリエステルの加水分解や熱酸化分解による分子
量低下を防止する点からは乾燥窒素、除湿空気が好まし
い。ここで、水処理工程(c)とは、水との接触処理を
行う処理装置から乾燥後のチップ冷却までの工程をい
う。
【0104】前記のように水処理工程(c)により得ら
れたポリエステルは、次いでこれから得られる成形体の
結晶化速度を早め、その変動を抑えるために、ポリオレ
フィン樹脂製部材、ポリアミド樹脂製部材、ポリアセタ
−ル樹脂製部材からなる群から選択される少なくとも一
種の樹脂(以下、「熱可塑性樹脂」と略称することがあ
る)製部材と接触処理する接触処理工程(d)へ送られ
る。
【0105】ポリエステルをポリオレフィン樹脂製部
材、ポリアミド樹脂製部材、ポリアセタ−ル樹脂製部材
からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂製部材
に接触処理させる方法としては、前記熱可塑性樹脂製部
材が存在する空間内で、ポリエステルを該部材に衝突接
触させることが好ましく、具体的には、例えば、ポリエ
ステルの溶融重縮合直後または固相重合直後、また、ポ
リエステルの製品としての輸送段階等での輸送用容器へ
の充填時あるいは同容器からの排出時、また、ポリエス
テルの成形段階での成形機投入時、等における気力輸送
用配管、重力輸送用配管、サイロ、マグネットキャッチ
ャ−のマグネット部等の一部を前記の前記熱可塑性樹脂
製とするか、または、前記の前記熱可塑性樹脂をライニ
ングするとか、或いは前記移送経路内に棒状、板状又は
網状体等の前記熱可塑性樹脂製部材を設置する等して、
ポリエステルを移送する方法が挙げられる。ポリエステ
ルの前記部材との接触時間は、通常、0.01秒〜数分
程度の短時間であるが、ポリエステルに前記のポリオレ
フィン樹脂、ポリアミド樹脂、またはポリアセタ−ル樹
脂を微量配合させることができる。
【0106】本発明のポリエステル成形体の製造方法に
おいて用いられるポリオレフィン樹脂としては、ポリエ
チレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、またはα−オレ
フィン系樹脂が挙げられる。またこれらの樹脂は結晶性
でも非晶性でもかまわない。本発明のポリエステル成形
体の製造方法において用いられるポリエチレン系樹脂と
しては、例えば、エチレンの単独重合体、エチレンと、
プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、ペン
テン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オ
クテン−1、デセン−1等の炭素数2〜20程度の他の
α−オレフィンや、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル
酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸
エステル、スチレン等のビニル化合物との共重合体等が
挙げられる。具体的には、例えば、低・中・高密度ポリ
エチレン等(分岐状又は直鎖状)のエチレン単独重合
体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン
−1共重合体、エチレン−4−メチルペンテン−1共重
合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オ
クテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル
酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等の
エチレン系樹脂が挙げられる。
【0107】また本発明のポリエステル成形体の製造方
法において用いられるポリプロピレン系樹脂としては、
例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンと、エチ
レン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、ペンテン−
1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン
−1、デセン−1等の炭素数2〜20程度の他のα−オ
レフィンや、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸、メ
タクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステ
ル、スチレン等のビニル化合物との共重合体等が挙げら
れる。具体的には、例えば、ブロピレン単独重合体、プ
ロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−
ブテン−1共重合体等のプロピレン系樹脂が挙げられ
る。
【0108】また本発明のポリエステル成形体の製造方
法において用いられるα−オレフィン系樹脂としては、
4−メチルペンテン−1等の炭素数2〜8程度のα−オ
レフィンの単独重合体、それらのα−オレフィンと、エ
チレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−
1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセ
ン−1等の炭素数2〜20程度の他のα−オレフィンと
の共重合体等が挙げられる。具体的には、例えば、ブテ
ン−1単独重合体、4−メチルペンテン−1単独重合
体、ブテン−1−エチレン共重合体、ブテン−1−プロ
ピレン共重合体等のブテン−1系樹脂や4−メチルペン
テン−1とC2〜C18のα−オレフィンとの共重合体、
等が挙げられる。
【0109】また、本発明のポリエステル成形体の製造
方法において用いられるポリアミド樹脂としては、例え
ば、ブチロラクタム、δ−バレロラクタム、ε−カプロ
ラクタム、エナントラクタム、ω−ラウロラクタム等の
ラクタムの重合体、6−アミノカプロン酸、11−アミ
ノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカ
ルボン酸の重合体、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチ
レンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレン
ジアミン、ウンデカメチレンジアミン、2,2,4−又
は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の
脂肪族ジアミン、1,3−又は1,4−ビス(アミノメ
チル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシ
ルメタン)等の脂環式ジアミン、m−又はp−キシリレ
ンジアミン等の芳香族ジアミン等のジアミン単位と、グ
ルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸等の脂
肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂
環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳
香族ジカルボン酸等のジカルボン酸単位との重縮合体、
及びこれらの共重合体等が挙げられ、具体的には、例え
ば、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン
8、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロ
ン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン61
1、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン6I、ナ
イロンMXD6、ナイロン6/66、ナイロン6/61
0、ナイロン6/12、ナイロン6/6T、ナイロン6
I/6T等が挙げられる。またこれらの樹脂は結晶性で
も非晶性でもかまわない。
【0110】また、本発明のポリエステル成形体の製造
方法において用いられるポリアセタ−ル樹脂としては、
例えばポリアセタ−ル単独重合体や共重合体が挙げられ
る。ポリアセタ−ル単独重合体としては、ASTM−D
792の測定法により測定した密度が1.40〜1.4
2g/cm3、ASTMD−1238の測定法により、
190℃、荷重2160gで測定したメルトフロ−比
(MFR)が0.5〜50g/10分の範囲のポリアセ
タ−ルが好ましい。
【0111】また、ポリアセタ−ル共重合体としては、
ASTM−D792の測定法により測定した密度が1.
38〜1.43g/cm3、ASTMD−1238の測
定法により、190℃、荷重2160gで測定したメル
トフロ−比(MFR)が0.4〜50g/10分の範囲
のポリアセタ−ル共重合体が好ましい。これらの共重合
成分としては、エチレンオキサイドや環状エ−テルが挙
げられる。
【0112】また、本発明においては、ポリブチレンテ
レフタレ−ト樹脂も用いることができる。例えば、テレ
フタル酸と1,4−ブタンジオ−ルからなるポリブチレ
ンテレフタレ−ト単独重合体や、これにナフタレンジカ
ルボン酸、ジエチレングリコ−ル、1,4−シクロヘキ
サンジメタノ−ル等を共重合した共重合体が挙げられ
る。
【0113】また、本発明において用いられる前記熱可
塑性樹脂のポリエステルへの配合割合は、0.1ppb
〜1000ppm、好ましくは0.3ppb〜100p
pm、より好ましくは0.5ppb〜1ppm、さらに
好ましくは0.5ppb〜45pbbである。配合量が
0.1ppb未満の場合は、結晶化速度が非常におそく
なり、中空成形体の口栓部の結晶化が不十分となるた
め、サイクルタイムを短くすると口栓部の収縮量が規定
値範囲内におさまらないためキャッピング不良となった
り、また、耐熱性中空成形体を成形する延伸熱固定金型
の汚れが激しく、透明な中空成形体を得ようとすると頻
繁に金型掃除をしなければならない。また1000pp
mを超える場合は、結晶化速度が早くなり、中空成形体
の口栓部の結晶化が過大となり、このため口栓部の収縮
収縮量が規定値範囲内におさまらないためキャッピング
不良となり内容物の漏れが生じたり、また中空成形体用
予備成形体が白化し、このため正常な延伸が不可能とな
る。また、シ−ト状物の場合、1000ppmを越える
と透明性が非常に悪くなり、また延伸性もわるくなって
正常な延伸が不可能で、厚み斑の大きな、透明性の悪い
延伸フイルムしか得られない。
【0114】前記熱可塑性樹脂からなる部材との接触処
理を行ったポリエステルを該接触処理工程(d)に直結
された成形工程(e)に輸送することによって、輸送容
器等からのポリエチレンの混入がなくなり、透明性に優
れ、結晶化速度の変動が少ない成形体を与えるポリエス
テルを成形工程(e)に供給することが可能となる。な
お、前記熱可塑性樹脂からなる部材とポリエステルとの
接触処理工程(d)は、水処理工程(c)に直結して複
数系列を設置することが可能である。
【0115】前記のようにして該接触処理工程(d)を
経たポリエステルは、これに直結した成形工程(e)に
送られる。この際、ポリエステルの含有水分率が約0.
1重量%以上と高い場合には、乾燥工程を該接触処理工
程(d)のあとに追加することが望ましい。後記するよ
うに、この場合は乾燥工程のあとにファイン等除去工程
を設置することが必要である。
【0116】該接触処理後、乾燥工程を経由しない場合
は、ポリエステルが保有する水分の低下およびアセトア
ルデヒド含有量の低下あるいは生成抑制のために、成形
工程(e)に脱気工程を追加することができる。脱気工
程としては、溶融ポリエステルの表面を急速に更新する
ことが出来る装置であればいずれでもよいが、ベント付
き射出成形機、ベント付き押出機、回転式ディスクプロ
セッサ−、脱気タンク等を使用できる。
【0117】本発明に用いるベント付き押出機として
は、1軸押出機、2軸押出機のいずれも可能であるが、
アセトアルデヒドの低減効率あるいは生成抑制の点から
2軸押出機が好ましい。なお、2軸押出機のスクリュは
噛み合い型、非噛み合い型、不完全噛み合い型のいずれ
でも良い。
【0118】ベント付き押出機内での樹脂温度は250
℃〜310℃が好ましい。ベント付き押出機の減圧度
は、50torr以下、好ましくは20torr以下、
より好ましくは10torr以下で目的を達成すること
ができる。滞留時間は10分以下が好ましく、より好ま
しくは5分以下、さらに好ましくは4分以下、特に好ま
しくは3分以下、最も好ましくは2分以下である。
【0119】脱気処理は、ポリエステル成形体の着色を
防止するために、可及的に短時間で行うべきであり、こ
のためには、上記の温度、時間および減圧下に処理を行
うべきである。減圧の際の圧力が上記範囲を上回ると、
アセトアルデヒドを有効に除去、あるいは抑制すること
が困難となり、ポリエステル成形体が着色する傾向があ
る。また、処理時の樹脂温度が上記範囲を上回ると、や
はりアセトアルデヒドを有効に除去、あるいは抑制する
ことが困難となり、ポリエステル成形体が着色する傾向
がある。
【0120】また、乾燥工程を経由する場合は、前記の
ベント付き射出成形機、ベント付き押出機、ベントのな
い射出成形機や押出機が使用できる。
【0121】該接触処理工程(d)を経由したポリエス
テルチップの乾燥は、水処理後のポリエステルチップの
乾燥と同様に、通常用いられるポリエステルチップの乾
燥処理を用いることができる。連続的に乾燥する方法と
してはホッパー型の通気乾燥機や回転ディスク型加熱方
式の連続乾燥機が通常使用される。バッチ方式で乾燥す
る乾燥機としてはダブルコーン型回転乾燥機が用いられ
る。乾燥ガスとしては大気空気でも差し支えないが、ポ
リエステルの加水分解や熱酸化分解による分子量低下を
防止する点からは窒素等の除湿不活性ガスや除湿空気が
好ましい。
【0122】押出機内での樹脂温度は250℃〜310
℃が好ましい。ベント付き押出機の減圧度は、50to
rr以下、好ましくは20torr以下、より好ましく
は10torr以下で目的を達成することができる。滞
留時間は10分以下が好ましく、より好ましくは5分以
下、さらに好ましくは4分以下、特に好ましくは3分以
下、最も好ましくは2分以下である。
【0123】本発明によれぱ、重縮合により形成された
ポリエステルを水と接触処理後、前記熱可塑性樹脂から
なる部材と接触処理し、ベント付き成形機で溶融させた
溶融物を、該ポリエステルの極限粘度を実質上減少ある
いは増大させることなく、アセトアルデヒド含有量を脱
気処理で減少させるか、あるいはアセトアルデヒド含有
量の濃度増加を脱気処理で抑制させることができる。
【0124】また、ポリエステル成形体の極限粘度が実
質的に上昇しないような条件下で不活性ガスを流通させ
ながら脱気処理を行うこともできる。使用できる不活性
ガスとしては炭酸ガス、窒素等が好ましいが、なかでも
炭酸ガスが最も好ましい。ついで、溶融ポリエステル
は、押出機あるいは成形機、または脱気工程に連続して
設置された押出工程あるいは成形機へと送られ、成形さ
れる。
【0125】成形体がシ−トまたは未延伸フイルムの場
合は、該接触処理後のポリエステルはベント付き押出機
で溶融され、ダイスから冷却ロ−ル上に押出され、冷却
されたあと巻き取られる。延伸フイルムの場合は、該未
延伸フイルムはさらに延伸される。
【0126】また、成形体がパリソンやこれを延伸ブロ
−成形したボトル等の中空成形体の場合は、該ポリエス
テルは前記のベント付き射出成形機でプリフォ−ムに成
形され、次いで延伸ブロ−される。
【0127】本発明の成形工程(e)では、該接触処理
工程(d)後の極限粘度と成形体の極限粘度との差が、
−0.10〜0.15dl/gの範囲で成形されること
が好ましく、より好ましくは−0.08〜0.13dl
/gの範囲、さらに好ましくは−0.05〜0.10/
gの範囲で成形することが好ましい。該接触処理工程
(d)後の極限粘度と成形体の極限粘度との差が−0.
10dl/gより低いと経済的でないばかりか、時には
得られるポリエステル成形体の機械的特性が不十分とな
る。また、該接触処理工程(d)後の極限粘度と成形体
の極限粘度との差が0.15/gを越えると、ベント式
押出機内での滞留の長時間化によって、生産性が悪くな
るばかりか、得られた成形体が着色したり、またアセト
アルデヒド含有量の増加などの悪影響が生じる。
【0128】また、これらのポリエステルの成形工程
(e)は、接触処理工程(d)に直結して複数系列を設
置することも可能である。
【0129】このようにして得られた本発明のポリエス
テル成形体の極限粘度は0.50dl/g〜0.85d
l/gである。好ましくは0.55dl/g〜0.83
dl/g、さらに好ましくは0.60dl/g〜0.8
0dl/gである。極限粘度が0.50dl/gより低
い場合は、得られたポリエステルの機械的特性が充分で
ない。また、極限粘度が0.85dl/g以上の場合
は、アセトアルデヒド含有量が多くなり、さらには生産
性が低下するため好ましくない。
【0130】本発明のポリエステル成形体のアセトアル
デヒド含有量は30ppm以下、好ましくは20ppm
以下、さらに好ましくは15ppm以下、最も好ましく
は12ppm以下にすることによって低フレ−バ−飲料
用容器を含めて、種々の用途への使用が可能である。
【0131】溶融重縮合されたポリエステルはチップ化
されたあと、輸送配管中を一時的な貯蔵のためのサイロ
等へ輸送されたり、また固相重合工程(g)や前記熱可
塑性樹脂からなる部材との接触処理工程(d)などの次
の工程に輸送される。また固相重合したポリエステルチ
ップも同様に次工程や貯蔵用サイロ等へ輸送される。こ
のようなチップの輸送を、例えば空気を使用した強制的
な低密度輸送方法で行うと、ポリエステルのチップの表
面には配管との衝突によって大きな衝撃力がかかり、こ
の結果ファインやフイルム状物が多量に発生する。この
ようなファインやフイルム状物はポリエステルの結晶化
を促進させる効果を持っており、多量に存在する場合に
は得られた成形体の透明性が非常に悪くなる。また、こ
のようなファインやフイルム状物等には、正常な融点よ
り約10〜20℃以上高い融点を持つものが含まれる。
また、回転式の固相重合装置を用いて固相重合したり、
あるいはポリエステルチップに衝撃力やせん断力がかか
る送り装置を用いたりする場合にも、正常な融点より約
10〜20℃以上高い融点のファインやフイルム状物が
非常に多量に発生する。これは、チップ表面に加わる衝
撃力等の大きな力のためにチップが発熱すると同時にチ
ップ表面においてポリエステルの配向結晶化が起こり、
緻密な結晶構造が生じるためではないかと推定される。
【0132】前記のような正常な融点より約10〜20
℃以上高い融点を持つポリエステルのファインやフイル
ム状物を固相重合処理や水との接触処理をすると、これ
らの融点は処理前よりさらに高くなる。また、正常な融
点より約10℃以上高くない融点を持つファインやフイ
ルム状物でも、前記のこれらの処理によって、これらの
融点は正常な融点より約10〜20℃以上高い融点を持
つようになる。これは、これらの処理により、結晶構造
がさらに緻密な結晶構造に変化するためであろうと推定
される。
【0133】このような正常な融点より約10〜20℃
以上高い融点のファインやフイルム状物を含むポリエス
テルを前記の成形条件で成形する場合は、溶融成形時に
結晶が完全に溶融せず、結晶核として残る。この結果、
加熱時の結晶化速度が早くなるため中空中空成形体の口
栓部の結晶化が過大となり、このため口栓部の収縮量が
規定値範囲内におさまらなくなり、口栓部のキャッピン
グ不良となり内容物の漏れが生じるという問題が起こ
る。また中空成形用予備成形体が白化し、このため正常
な延伸が不可能となり、厚み斑が生じ、また結晶化速度
が速いため得られた中空成形体の透明性が悪くなり、ま
た透明性の変動も大となる。
【0134】一般にポリエステルは、製造方法にもよる
が、前記のような正常な融点より約10〜20℃以上高
い融点を持つファインやフイルム状物を含むファイン等
を約10〜約1000ppm含有しており、しかもこの
ようなファイン等はポリエステルチップに均一な混合状
態で存在しているのではなくて偏在している。したがっ
て、環状オリゴマ−やアセトアルデヒド等の含有量を減
少させるために、このようなポリエステルを固相重合す
ると、結晶化速度が非常に変動したポリエステルしか得
られず問題となる。
【0135】本発明においては、下記に記載するように
ファイン等の融点は示差走査熱量計(DSC)で測定す
るが、DSCの融解ピ−ク温度を前記のように融点と呼
ぶ。そして、この融点を表す融解ピ−クは、1つ、また
はそれ以上の複数の融解ピ−クから構成され、本発明で
はこれらの複数の融解ピ−クの内、最も高温側の融解ピ
−ク温度に注目する。
【0136】本発明に係る主たる繰り返し単位がエチレ
ンテレフタレ−トであるポリエステルの場合は、前記の
最も高温側の融解ピ−ク温度が265℃を越えるファイ
ンやフイルム状物を含む場合には、得られたポリエステ
ルの結晶化速度が早くなりすぎたり、またその変動が非
常に大きくなり得られた中空成形用予備成形体が白化
し、このため正常な延伸が不可能となり、厚み斑が生
じ、また得られた中空成形体の透明性が悪くなり、また
透明性の変動も大となり問題となる。
【0137】さらに前記の水処理工程(c)を経たポリ
エステルチップは、水との接触処理前のチップよりも脆
くなっており、例えば、ポリエステルチップ表面に大き
な衝撃力がかかるロ−タリ−フィ−ダ等の回転式フィ−
ダ−や空気を利用した強制的な低密度輸送方式を利用し
て、結晶性熱可塑性樹脂との接触処理工程(d)へ輸送
配管中を輸送したりすると、ファインやフイルム状物が
非常に大量に発生し、その含有量は、時にはポリエステ
ルチップに対して1000ppm以上になる場合があ
る。特に、水との接触処理時間が長くなったり、また処
理温度が高くなる程、ファインやフイルム状物の発生量
が多くなる。しかも、このようなファインやフイルム状
物は、前記のファイン等と同様に、正常なポリエステル
の融点よりも約10〜20℃以上高い融点を持ってお
り、また結晶化促進効果があり、しかもポリエステルチ
ップに均一な状態で混合して存在しているのではなく
て、偏在している。したがって、このようなポリエステ
ルから得た成形体の加熱時の結晶化速度は早くなり、ま
た、成形体の結晶化速度の変動や透明性の変動が非常に
大きくなり問題となる。
【0138】したがって、本発明においては、溶融重縮
合工程(f)や固相重合工程(g)で重縮合されたポリ
エステル、あるいは水処理工程(c)や接触処理工程
(d)で処理されたポリエステルは、ファインおよび/
またはフイルム状物を分離除去するためにファイン等除
去工程(h)へ輸送され、これらを出来るだけ多量に除
去したあと、次工程へ送ることが重要である。このよう
なポリエステルのファイン等除去処理は、前記の溶融重
縮合工程(f)、固相重合工程(g)、水処理工程
(c)、あるいは接触処理工程(d)の少なくとも一つ
の工程を経由したあとで実施することが出来るが、これ
らの各々の工程を経由したポリエステルについて実施す
るのが最も好ましい。
【0139】さらに場合によっては、該成形工程(e)
の直前にファイン等除去工程(h)をさらに追加するこ
ともできる。
【0140】そして本発明においては、該ファイン等除
去工程(h)を経由して、該固相重合工程(g)、該水
処理工程(c)、該接触処理工程(d)、あるいは該成
形工程(e)の少なくとも1つの工程へ供給されるポリ
エステルのファイン含有量、フイルム状物含有量、ある
いはファイン含有量とフイルム状物含有量の合計含有量
のいずれかの含有量を300ppm以下にすることによ
って上記の問題点を解決するものであり、好ましくは2
00ppm以下、より好ましくは100ppm以下、さ
らに好ましくは50ppm以下に低下させるのが望まし
い。
【0141】またさらに本発明に係る主たる繰り返し単
位がエチレンテレフタレ−トであるポリエステルの場合
は、該ファイン等除去工程(h)を経由して、該固相重
合工程(g)、該水処理工程(c)、該接触処理工程
(d)、あるいは該成形工程(e)の少なくとも1つの
工程へ供給されるポリエステル中に含まれるファインお
よび/またはフイルム状物の、融解ピ−ク温度の最も高
温側の融解ピ−ク温度が、265℃以下であることによ
って上記の問題点をより一層解決するものである。
【0142】ポリエステルからファインおよび/または
フイルム状物を分離除去する方法としては下記のような
方法が挙げられる。すなわち、溶融重縮合ポリエステル
を結晶性熱可塑製樹脂と接触処理する場合は、該溶融重
縮合工程(f)と該水処理工程(c)の中間工程、該水
処理工程(c)と該接触処理工程(d)の中間工程、あ
るいは該接触処理工程(d)と該成形工程(e)の中間
工程の少なくとも一つの中間工程に、また固相重合ポリ
エステルを結晶性熱可塑製樹脂と接触処理する場合は、
該溶融重縮合工程(f)と該固相重合工程(g)の中間
工程、該固相重合工程(g)と該水処理工程(c)の中
間工程、該水処理工程(c)と該接触処理工程(d)の
中間工程、あるいは該接触処理工程(d)と該成形工程
(e)の中間工程の少なくとも一つの中間工程に、それ
ぞれ設置した振動篩機及び空気流による気流分級機、重
量式分級機等で除去処理する方法、等が挙げられる。
【0143】これらのファイン等除去処理工程は、出来
るだけ該固相重合工程(g)の直前、該接触処理工程
(d)の直前、あるいは該成形工程(e)の直前に設置
するのが望ましい。
【0144】ポリエステルの製造工程においては、溶融
重縮合工程や固相重合工程等から篩分工程や気流分級工
程等の各工程を経由してサイロ、成形機のホッパ−、輸
送用コンテナ−等の容器に充填されるが、これらの工程
間のポリエステルの輸送や乾燥には、一般に送風機等に
よって処理設備近辺の空気を工程に採りいれて使用され
る。従来は、このような空気は、これを未処理のままで
使用するか、または、JIS B 9908(199
1)で規定される形式3のような低性能フィルタユニッ
トを装着した清浄機によって処理しただけで使用するの
が一般的であった。
【0145】しかし、このような工程で処理されたポリ
エステルからは、透明性が悪い成形体しか得られないと
いう問題が生じる場合があった。特に、ポリエステルの
低重合体から成形体に適した重合度のポリエステルに重
縮合し、得られたポリエステルを直接成形する方法にお
いて、この製造工程でポリエステルと接触する気体とし
て前記のような品質の空気を用いると、得られた成形体
の結晶化速度や透明性等の変動が大となり問題となる可
能性がある。
【0146】したがって、本発明のポリエステル成形体
の製造方法においては、重縮合工程において得られたポ
リエステルチップを次の工程に輸送する段階から、それ
以降の工程においてポリエステルと接触する気体とし
て、粒径0.3〜5μmの粒子が1000000(個/
立方フィ−ト)以下の系外より導入される気体を使用す
ることが重要である。
【0147】なお、気体中の粒径0.3μm未満の粒子
に関しては、特に規定するものではないが、透明な成形
体を与える樹脂を得るためには、少ない方が好ましい。
粒径0.3μm未満の粒子数としては好ましくは100
00000(個/立方フィ−ト)以下、より好ましくは
5000000(個/立方フィ−ト)以下、さらに好ま
しくは2000000(個/立方フィ−ト以下)であ
る。
【0148】以下に、系外から導入する気体中の粒径
0.3〜5μmの粒子数を1000000(個/立方フ
ィ−ト)以下に制御する方法を例示するが、本発明はこ
れに限定するものではない。
【0149】系外から導入する気体中の粒径0.3〜5
μmの粒子数を1000000(個/立方フィ−ト)以
下にする方法としては、系外から導入する気体がポリエ
ステルチップと接触するまでの工程中の少なくとも1ケ
所以上に該粒子を除去する清浄化装置を設置する。該気
体が処理設備近辺の空気の場合は、該空気採りいれ口か
ら送風機によって導入した空気がポリエステルチップと
接触するまでの工程中に、JIS B 9908(19
91)で規定される形式1又は/及び形式2のフィルタ
ユニットを装着した気体清浄装置を設置し、該空気中の
粒径0.3〜5μmの粒子数を1000000(個/立
方フィ−ト)以下にすることが好まし。また、該空気採
りいれ口にJIS B 9908(1991)で規定さ
れる形式3のフィルタユニットを装着した気体清浄装置
を設置して、前記のフィルタユニットを装着した気体清
浄装置と併用することによって前記のフィルタユニット
の寿命を延ばすことが可能である。
【0150】気体中の粒子を除去するJIS B 99
08(1991)で規定される形式1の超高性能のフィ
ルタ(以下、HEPAフィルタと略称する)ユニットの
素材としては、ガラス繊維からなる濾紙が挙げられる。
【0151】また、JIS B 9908(1991)
で規定される形式2の高性能フィルタユニットの素材と
しては、ポリプロピレン繊維からなるフィルタやポリテ
トラフルオロエチレンフイルムとPET繊維布の積層体
からのフィルタ等が挙げられる。一般には、ポリプロピ
レン繊維製の静電フィルタが使用される。
【0152】また、JIS B 9908(1991)
で規定される形式3の低性能フィルタユニットの素材と
しては、PETやポリプロピレンからなる不織布等が挙
げられる。
【0153】また、本発明の成形工程(e)で発生した
品質不良のポリエステルスクラップや、トリミングした
シ−トあるいはフイルム屑、市場から回収された使用済
み中空成形体からの清浄化フレ−クまたはチップ等は、
必要に応じて乾燥し、ベント付き押出機で溶融し、成形
工程(e)へ投入して回収することが可能である。添加
量は30重量%までが好ましく、これを越える場合は得
られた成形体のアセトアルデヒド含有量が30ppm以
上になり、また成形体の透明性や色も悪化し、問題であ
る。これらの回収ポリエステルには結晶化を促進する効
果が大きい形状不良のポリエステルが含まれているの
で、成形工程(e)に供給する前にファイン除去工程を
設置して処理をすることが望ましい。
【0154】また使用済み中空成形体を粉砕し、洗浄工
程によって処理され、清浄化されたフレ−ク状またはチ
ップ状形態のリサイクル品を再び中空成形体用に使用す
る場合は、得られた成形体の透明性の点から十分に洗浄
して不純物が極微量に低下させたリサイクル品が好まし
い。
【0155】また溶融成形時のアセトアルデヒドの生成
を抑制するためにポリエステルの溶融前または溶融体に
アセトアルデヒド生成抑制剤を添加することができる。
これらのアセトアルデヒド生成抑制剤としては、ポリカ
プロラクタム,ポリヘキサメチレンアジパミド,ポリ−
m−キシリレンアジパミド等のポリアミド,ポリエステ
ルアマイド,エチレンジアミンテトラアセティックアシ
ッド,アルコキシル化ポリオ−ル類,ゼオライト化合
物,超臨界二酸化炭素,プロトン酸触媒、立体障害フェ
ノ−ル性水酸基含有化合物およびこれらの混合物からな
るグル−プが挙げられる。
【0156】なお、本発明において用いるポリエステル
には必要に応じて着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、
酸素吸収剤、酸素捕獲剤、帯電防止剤、滑剤、核剤、離
型剤などを本発明の目的を損わない範囲で添加すること
ができる
【0157】
【実施例】以下本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。なお、本明細書中における主な特性値の測定法を以
下に説明する。
【0158】(1)ポリエステルの極限粘度(IV) 1,1,2,2−テトラクロルエタン/フェノール
(2:3重量比)混合溶媒中30℃での溶液粘度から求
めた。
【0159】(2)ポリエステルのジエチレングリコ−
ル含有量(以下[DEG含有量」という) メタノ−ルにより分解し、ガスクロマトグラフィ−によ
りDEG含有量を定量し、全グリコ−ル成分に対する割
合(モル%)で表した。
【0160】(3)密度 硝酸カルシュウム/水混合溶液の密度勾配管で30℃で
測定した。
【0161】(4)ポリエステルの環状3量体の含有量 試料をヘキサフルオロイソプロパノ−ル/クロロフォル
ム混合液に溶解し、さらにクロロフォルムを加えて希釈
する。これにメタノールを加えてポリマ−を沈殿させた
あと、濾過する。濾液を蒸発乾固し、ジメチルフォルム
アミドで定容とし、液体クロマトグラフ法よりエチレン
テレフタレ−ト単位から構成される環状3量体を定量し
た。
【0162】(5)ポリエステルのアセトアルデヒド含
有量(以下「AA含有量」という) 試料/蒸留水=1グラム/2ccを窒素置換したガラス
アンプルに入れた上部を溶封し、160℃で2時間抽出
処理を行い、冷却後抽出液中のアセトアルデヒドを高感
度ガスクロマトグラフィ−で測定し、濃度をppmで表
示した。
【0163】(6)ファインの含有量およびフイルム状
物含有量の測定 樹脂約0.5kgを、JIS−Z8801による呼び寸
法5.6mmの金網をはった篩(A)と呼び寸法1.7
mmの金網をはった篩(直径20cm)(B)を2段に
組合せた篩の上に乗せ、テラオカ社製揺動型篩い振トウ
機SNF−7で1800rpmで1分間篩った。この操
作を繰り返し、樹脂を合計20kg篩った。
【0164】前記の篩(A)上にフイルム状物(厚みが
0.5mm以下)とは別に、2個以上のチップがお互い
に融着したものや正常な形状より大きなサイズに切断さ
れたチップ状物が捕捉されている場合は、これらを除去
した残りのフイルム状物および篩(B)の下にふるい落
とされたファインは、別々にイオン交換水で洗浄し岩城
硝子社製G1ガラスフィルターで濾過して集めた。これ
らをガラスフィルタ−ごと乾燥器内で100℃で2時間
乾燥後、冷却して秤量した。再度、イオン交換水で洗
浄、乾燥の同一操作を繰り返し、恒量になったことを確
認し、この重量からガラスフィルタ−の重量を引き、フ
ァイン重量およびフイルム状物の重量を求めた。ファイ
ン含有量あるいはフイルム状物含有量は、ファイン重量
またはフイルム状物重量/篩いにかけた全樹脂重量、で
ある。これらの値より合計含有量を求める。
【0165】(7)ファインおよびフイルム状物の融点
測定 セイコ−電子工業(株)製の示差走査熱量計(DS
C)、RDC−220を用いて測定。(6)において、
20kgのポリエステルから集めたファインまたはフイ
ルム状物を25℃で3日間減圧下に乾燥し、これから一
回の測定に試料4mgを使用して昇温速度20℃/分で
DSC測定を行い、融解ピ−ク温度の最も高温側の融解
ピ−ク温度を求める。測定は最大10ケの試料について
実施し、最も高温側の融解ピ−ク温度の平均値を求め
る。
【0166】(8)中空成形容器口栓部の密度 硝酸カルシュウム/水混合溶液の密度勾配管で30℃で
測定した。
【0167】(9)ヘイズ(霞度%) 実施例および比較例の成形体(肉厚5mm)、および中
空成形容器の胴部(肉厚約0.45mm)より試料を切
り取り、日本電色(株)製ヘイズメ−タ−で測定。
【0168】(10)導入水中の粒子径および粒子数測
定 光遮光式の粒子測定器パシフィックサイエンティフィッ
クカンパニー社製HIAC/ROYCO.カウンター4
100型、サンプラー3000型を用いて測定した。
【0169】(11)チップ化工程の冷却水および水処
理工程の導入水中のナトリウム含有量、カルシウム含有
量、マグネシウム含有量および珪素含有量 粒子除去およびイオン交換済みの冷却水および導入水を
採取し、岩城硝子社製1G1ガラスフィルタ−で濾過
後、濾液を島津製作所製誘導結合プラズマ発光分析装置
で測定。
【0170】(12)ポリエステルチップと接触する気
体中の粒子数の測定 気体を強制的に送るための送風機等によって送られ、気
体清浄装置を通過した気体をチップと接触する前に気体
本流と分岐して粒子測定器に導入して測定する。5回測
定を繰返し、平均値を求め、気体1立方フィ−ト当たり
の個数を計算する。粒子測定器としては、リオン株式会
社製の光散乱式粒子測定器、KC−01Bを用いた。
【0171】(実施例1)予め反応物を含有している第
1エステル化反応器に、高純度テレフタル酸とエチルグ
リコ−ルとのスラリ−を連続的に供給し、撹拌下、約2
50℃、0.5kg/cm2Gで平均滞留時間3時間反
応を行った。この反応物を第2エステル化反応器に送付
し、撹拌下、約260℃、0.05kg/cm2Gで所
定の反応度まで反応を行った。また、六方晶型二酸化ゲ
ルマニウムを水に加熱溶解し、これにエチレングリコ−
ルを添加後加熱して水を溜去したエチレングリコ−ル溶
液、および燐酸のエチレングリコ−ル溶液を別々にこの
第2エステル化反応器に連続的に供給した。このエステ
ル化反応生成物を連続的に第1重縮合反応器に供給し、
撹拌下、約265℃、25torrで1時間、次いで第
2重縮合反応器で撹拌下、約265℃、3torrで1
時間、さらに最終重縮合反応器で撹拌下、約275℃、
0.5〜1torrで1時間重縮合させた。溶融重縮合
反応物を冷却水(ナトリウム含有量が0.01ppm、
マグネシウム含有量が0.02ppm、カルシウム含有
量が0.02ppm、珪素含有量が0.08ppm)で
冷却しながらチップ化後、貯蔵用タンクへ輸送し、次い
で振動式篩分工程および気流分級工程によってファイン
およびフイルム状物を除去することにより、これらの合
計含有量を約3ppm以下とし、次いで連続式固相重合
装置へ輸送した。このPET中に含有されるファイン等
の融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度は、255
℃であった。
【0172】窒素雰囲気下、約155℃で結晶化し、さ
らに窒素雰囲気下で約200℃に予熱後、連続固相重合
反応器に送り窒素雰囲気下で約205℃で固相重合し
た。固相重合後篩分工程および気流分級工程で連続的に
処理しファイン等を除去し、これらの合計含有量を約9
ppmとした。PET中に含有されるファイン等の融解
ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度は249℃以下で
あった。
【0173】水処理設備としては、ISP社製のGAF
フィルターバッグPE−1P2S(ポリエステルフェル
ト、濾過精度1μm)である水中の粒子除去装置(9)
を設置し、この装置(9)を経由したイオン交換水の導
入口(8)、処理槽上部の原料チップ供給口(1)、処
理槽の処理水上限レベルに位置するオーバーフロー排出
口(2)、処理槽下部のポリエステルチップと処理水の
混合物の排出口(3)、オーバーフロー排出口から排出
された処理水と、処理槽下部の排出口から排出されたポ
リエステルチップの水切り装置である(連続式遠心分離
機)(4)を経由した処理水が、濾材が紙製の30μm
のベルト式フィルターである濾過装置(5)を経由して
再び水処理槽へ送る配管(6)、これらのファイン除去
済み処理水の導入口(7)およびファイン除去済み処理
水中のアセトアルデヒドやグリコ−ル等を吸着処理させ
る吸着塔(10)を備えた内容量500リットルの塔型
の、図1に示す処理槽を使用した。
【0174】水処理装置のイオン交換水の導入口(8)
で採取した水中の粒径1〜25μmの粒子含有量は約2
500(個/10ml)、ナトリウム含有量が0.03
ppm、マグネシウム含有量が0.02ppm、カルシ
ウム含有量が0.02ppm、珪素含有量が0.10p
pmであった。
【0175】前記の貯蔵タンクからPETを処理水温度
95℃にコントロールされた水処理槽へ50kg/時間
の速度で処理槽の上部(1)から連続投入を開始した。
投入開始から5時間経過後に、PETの水処理槽への投
入を続けたまま水処理槽の下部(3)からPETを50
kg/時間の速度で処理水ごと抜出しを開始すると共
に、風力を利用した連続式遠心脱水装置(4)を経由し
た処理水を濾過装置(5)を経由して再び水処理槽に戻
して繰り返し使用を開始した。なお、処理槽より排出す
る処理水中のファイン含有量は約10ppmであった。
【0176】100時間連続運転後の水処理したPET
は、結晶性熱可塑性樹脂との接触処理工程に直結した貯
蔵タンクに送られ、約110℃に加熱された脱湿窒素気
流下に保管して水分を0.1重量%以下に低下させた。
次いで、振動式篩分機と気流分級工程でファイン等を除
去して、これらの合計含有量を約4ppmとした。PE
T中に含有されるファイン等の融解ピ−ク温度の最も高
温側のピ−ク温度は249℃以下であった。
【0177】気流分級工程の下に設置した一時貯蔵用タ
ンクに接続するSUS304製の重力輸送配管の一部
に、直鎖状低密度ポリエチレン(MI=約0.9g/1
0分、密度=約0.923g/cm3)製の、長さ約3
m、一辺が約10cm、断面がほぼ正方形の四角形状パ
イプを垂直方向に対して約10度の角度に傾けて取り付
けた配管内部を、前記のファイン等除去したPETチッ
プを落下させてポリエチレンとの接触処理を行った。
【0178】ついでPETは、成形工程に直結した一時
貯蔵用タンクに送られ、約110℃に加熱された脱湿窒
素気流下に保管して水分を0.1重量%以下に低下さ
せ、ついで気流分級工程によってファイン等を約6pp
mとしたあと、ベント付き2軸押出・射出成形機の押出
機ホッパ−に供給し、押出温度280℃、ベント真空度
3torr、滞留時間2minで溶融押出したあと、直
接、射出成形機部分に供給し、成形温度280℃、成形
サイクル50秒で、段付成形板を成形した。得られた段
付成形板は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、
11mmの厚みの約3cm×約5cm角のプレートを階
段状に備えたもので、1個の重量は約146gである。
【0179】該接触処理後、成形工程に供給したPET
の極限粘度は0.741dl/g、DEG含有量は2.
6モル%、環状3量体の含有量は0.30重量%、AA
含有量は2.7ppm、密度は1.421g/cm3
ファイン含有量は約6ppm、同ファイン等の融解ピ−
ク温度の最も高温側のピ−ク温度は249℃であった。
また、5mm厚みの成形板の極限粘度は0.734dl
/g、ヘイズは3.2%、AA含有量は15.8ppm
と問題ない値であった。
【0180】また、前記の成形機に2Lボトル用プリフ
ォ−ム用金型を取りつけて、成形工程に直結した一時貯
蔵用タンクから前記ファイン等除去処理工程を経由した
前記の特性のPETを押出温度280℃、ベント真空度
3torr、滞留時間1.5minで溶融押出したあ
と、直接射出成形機部分に供給し、成形温度280℃、
成形サイクル55秒で、プリフォ−ムを成形した。つい
で、このプリフォ−ムの口栓部を、近赤外線ヒーター方
式の自家製口栓部結晶化装置で加熱して口栓部を結晶化
した。次にこのプリフォ−ムをコ−ポプラスト社製のL
B−01E成形機で縦方法に約2.5倍、周方向に約5
倍の倍率に二軸延伸ブローし、引き続き約150℃に設
定した金型内で約5秒間熱固定し、容量が2000cc
の容器を成形した。延伸温度は100℃にコントロール
した。
【0181】得られた容器の極限粘度は0.733dl
/g、口栓部密度は1.370g/cm3と問題のない
値であり、またヘイズは0.8%、AA含有量は10.
1ppmと優れた透明性および低AA含有量を示す。
【0182】なお、上記のPETの製造工程において、
PETチップを次工程に輸送する手段としては、すべて
高圧の空気を使用した低速度で輸送するプラグ輸送方式
を採用し、また固相重合ポリエステルチップを気流分級
工程以降の工程でポリエステルチップと接触する空気お
よび乾燥用の除湿空気として、JIS B 9908
(1991)の形式3のPET不織布製フィルタユニッ
トを装着した空気清浄機及びJIS B 9908(1
991)の形式1の粒子捕集率99%以上のHEPAフ
ィルタユニットを装着した空気清浄機で濾過した空気
(粒径0.3〜5μmの粒子数は530個/立方フィ−
ト)を使用した。
【0183】(比較例1)溶融重縮合後、固相重合後、
水処理後、PE接触処理後および成形工程直前のファイ
ン等除去工程を取り外す以外は実施例1と同一の設備お
よび条件で、溶融重縮合、固相重合、水処理およびPE
接触処理を実施したPETチップは貯蔵サイロに保管し
た。ついで、このサイロよりPETを排出させ、ポリエ
チレン内袋を装着した1トン容量のフレキシブルコンテ
ナ−に充填した。
【0184】フレキシブルコンテナ−に充填したPET
は約1ヶ月保管後、成形工場にトラックで輸送し、フレ
キシブルコンテナ−よりPETを排出させて、乾燥機の
貯槽に送った。PETの極限粘度は0.734dl/
g、DEG含有量は2.6モル%、環状3量体の含有量
は0.30重量%、AA含有量は2.7ppm、ファイ
ン含有量は約790ppm、また密度は1.420g/
cm3、であった。またPET中に含有されるファイン
等の融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度は281
℃であった。
【0185】実施例1と同一の成形機を使用して同一条
件下で段付成形板を成形した。5mm厚みの成形板の極
限粘度は0.72dl/g、AA含有量は17.3pp
mで、ヘイズは39.7%と高く問題である。
【0186】また実施例1と同一の成形機を使用して同
一条件下でプリフォ−ムを成形し、同様にして2Lの中
空成形容器を延伸ブロ−成形した。得られた容器の極限
粘度は0.73dl/g、口栓部密度は1.393g/
cm3と高すぎ、またヘイズは15.2%と非常に悪か
った。
【0187】なお、比較例の製造工程におけるPETチ
ップの輸送手段は低密度輸送方式を用い、また固相重合
ポリエステルチップを気流分級工程以降の工程でポリエ
ステルチップと接触する空気および乾燥用の除湿空気は
実施例1の空気清浄機で処理しなかった。
【0188】
【発明の効果】本発明のポリエステル成形体の製造方法
によれば、経済的にポリエステル成形体を製造すること
ができ、製造時のエネルギ−コストを下げ、かつ透明性
および結晶化安定性に優れたポリエステル成形体を得る
ことができ、また成形体製造時の金型汚れも改良するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で用いたポリエステルの製造方法に用
いる装置の概略図。
【符号の説明】
1 原料チップ供給口 2 オーバーフロー排出口 3 ポリエステルチップと処理水との排出口 4 連続式遠心脱水装置 5 ファイン除去濾過装置 6 配管 7 処理水導入口 8 イオン交換水導入口 9 粒子除去装置 10 吸着塔
フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA45 AA45X AA46 AA46X AH04 AH05 BA01 BB05 BB06 BC01 BC04 BC05 4J029 AA03 AB04 AB05 AC01 AC02 AD02 AE01 AE03 BA03 BA04 BA05 BB13A BD07A BF19 BF24 BF26 CA02 CA04 CA05 CA06 CB05A CB06A CB10A CC06A CD03 CF15 EA05 EB05A HA01 HB01 JA113 JA123 JA253 JC033 JC053 JC093 JF023 JF033 JF131 JF161 JF181 JF191 JF221 JF321 JF361 JF381 JF541 JF571 KB02 KC01 KC04 KD07 KE05 KE12 KH06 KH08 LA01 LA02 LA05 LA14 LB04 LB05 LB06 LB08 LB10

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ジカルボン酸またはその機能的誘
    導体とグリコ−ルまたはその機能的誘導体とをエステル
    化またはエステル交換する低重合体製造工程(a)、該
    低重合体製造工程で得られた低重合体を重縮合する重縮
    合工程(b)、該重縮合工程で得られたポリエステルを
    水と接触処理させる水処理工程(c)、該水処理工程で
    得られたポリエステルをポリオレフィン樹脂製部材、ポ
    リアミド樹脂製部材、ポリアセタ−ル樹脂製部材からな
    る群から選択される少なくとも一種の部材と接触処理す
    る接触処理工程(d)、該接触処理工程で得られたポリ
    エステルを溶融成形する成形工程(e)とを含むことを
    特徴とするポリエステル成形体の製造方法。
  2. 【請求項2】 該重縮合工程(b)が、溶融重縮合工程
    (f)または溶融重縮合工程(f)と固相重合工程
    (g)を含むことを特徴とする請求項1に記載のポリエ
    ステル成形体の製造方法。
  3. 【請求項3】 該水処理工程(c)のあとに乾燥工程を
    追加することを特徴とする請求項1または2のいずれか
    に記載のポリエステル成形体の製造方法。
  4. 【請求項4】 該成形工程(e)に脱気工程を追加し、
    減圧下または/および不活性気体流通下に脱気させるこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル
    成形体の製造方法。
  5. 【請求項5】 該接触処理工程(d)後のポリエステル
    の極限粘度と該成形体の極限粘度との差が下記の式を満
    足することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載
    のポリエステル成形体の製造方法。 該接触処理工程(d)後のポリエステルの極限粘度−該
    成形体の極限粘度=−0.10〜0.15dl/g
  6. 【請求項6】 該溶融重縮合工程(f)と該水処理工程
    (c)の中間工程、該水処理工程(c)と該接触処理工
    程(d)の中間工程、あるいは該接触処理工程(d)と
    該成形工程(e)の中間工程の少なくとも一つの中間工
    程に、ファインおよび/またはフイルム状物を除去する
    ファイン等除去工程(h)を追加することを特徴とする
    請求項1〜5に記載のポリエステル成形体の製造方法。
  7. 【請求項7】 該溶融重縮合工程(f)と該固相重合工
    程(g)の中間工程、該固相重合工程(g)と該水処理
    工程(c)の中間工程、該水処理工程(c)と該接触処
    理工程(d)の中間工程、あるいは該接触処理工程
    (d)と該成形工程(e)の中間工程の少なくとも一つ
    の中間工程に、ファインおよび/またはフイルム状物を
    除去するファイン等除去工程(h)を追加することを特
    徴とする請求項1〜5に記載のポリエステル成形体の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 該ファイン等除去工程(h)を経由し
    て、該固相重合工程(g)、該水処理工程(c)、該接
    触処理工程(d)、あるいは該成形工程(e)の少なく
    とも1つの工程へ供給されるポリエステルのファイン含
    有量、フイルム状物含有量、あるいはファイン含有量と
    フイルム状物含有量の合計含有量のいずれかの含有量
    が、300ppm以下であることを特徴とする請求項1
    〜7に記載のポリエステルの製造方法。
  9. 【請求項9】 該ファイン等除去工程(h)を経由し
    て、該固相重合工程(g)、該水処理工程(c)、該接
    触処理工程(d)、あるいは該成形工程(e)の少なく
    とも1つの工程へ供給されるポリエステル中に含まれる
    ファインおよび/またはフイルム状物の、融解ピ−ク温
    度の最も高温側のピ−ク温度が、265℃以下であるこ
    とを特徴とする請求項1〜8に記載のポリエステルの製
    造方法。
  10. 【請求項10】 該成形工程(e)で発生するスクラッ
    プ、または使用済み成形体あるいは使用済み成形体のリ
    サイクル品を該成形工程(e)に添加することを特徴と
    する請求項1〜9のいずれかに記載のポリエステル成形
    体の製造方法。
  11. 【請求項11】 ポリエステルが、ポリエチレンテレフ
    タレ−トであることを特徴とする請求項1〜10のいず
    れかに記載のポリエステル成形体の製造方法。
  12. 【請求項12】 該ポリエステル成形体が、シ−ト、フ
    イルム、中空成形体およびチュ−ブ状物であることを特
    徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のポリエステ
    ル成形体の製造方法。
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