JP3613685B2 - ポリエステルの製造方法及びそれによって得られるポリエステル - Google Patents

ポリエステルの製造方法及びそれによって得られるポリエステル Download PDF

Info

Publication number
JP3613685B2
JP3613685B2 JP2002279700A JP2002279700A JP3613685B2 JP 3613685 B2 JP3613685 B2 JP 3613685B2 JP 2002279700 A JP2002279700 A JP 2002279700A JP 2002279700 A JP2002279700 A JP 2002279700A JP 3613685 B2 JP3613685 B2 JP 3613685B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester
chip
content
water
ppm
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002279700A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003171457A5 (ja
JP2003171457A (ja
Inventor
義直 松井
憲一 犬塚
圭二 藤村
嘉孝 衛藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP2002279700A priority Critical patent/JP3613685B2/ja
Publication of JP2003171457A publication Critical patent/JP2003171457A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3613685B2 publication Critical patent/JP3613685B2/ja
Publication of JP2003171457A5 publication Critical patent/JP2003171457A5/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボトルをはじめとして、フィルム、シート等の包装材料などに用いられるポリエステルの製造方法に関し、さらに詳しくは、異物をほとんど含まず、透明性に優れた中空成形体等を与え、また、成形体の成形時に金型汚れが発生しにくいポリエステルの製造方法及びそれによって得られるポリエステルに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルは機械的強度、耐熱性、透明性およびガスバリヤー性に優れているので、特にジュース、清涼飲料、炭酸飲料などの飲料充填用容器や、包装用フイルム、オ−ディオ・ビデオ用フイルム等の素材として最適であり、大量に使用されている。
【0003】
また、衣料用繊維やタイヤコ−ドなどの産業資材としても世界的な規模で大量に使用されている。
飲料用ポリエステル製ボトルでは、ボトルに高温で殺菌した飲料を熱充填したり、また飲料を充填後高温で殺菌したりするが、通常のポリエステル製ボトルでは、このような熱充填処理時等に収縮、変形が起こり問題となる。ポリエステル製ボトルの耐熱性を向上させる方法として、ボトル口栓部を熱処理して結晶化度を高めたり、また延伸したボトルを熱固定させたりする方法が提案されている。特に口栓部の結晶化が不十分であったり、また結晶化度のばらつきが大きい場合にはキャップとの密封性が悪くなり、内容物の漏れが生ずることがある。
【0004】
具体的には、果汁飲料、ウ−ロン茶およびミネラルウオ−タなどのように熱充填を必要とする飲料の場合には、プリフォ−ムまたは成形されたボトルの口栓部を熱処理して結晶化する方法(例えば、特許文献1、特許文献2参照)が一般的である。このような方法、すなわち口栓部、肩部を熱処理して耐熱性を向上させる方法は、結晶化処理をする時間・温度が生産性に大きく影響し、低温でかつ短時間で処理できる、結晶化速度が速いPETであることが好ましい。一方、胴部についてはボトル内容物の色調を悪化させないように、成形時の熱処理を施しても透明であることが要求されており、口栓部と胴部では相反する特性が必要である。
【0005】
また、ボトル胴部の耐熱性を向上させるため、延伸ブロ−金型の温度を高温にして熱処理する方法が採られる(例えば、特許文献3参照)。しかし、このような方法によって同一金型を用いて多数のボトル成形を続けると、長時間の運転に伴って得られるボトルが白化して透明性が低下し、商品価値のないボトルしか得られなくなる。これは金型表面にPETに起因する付着物が付き、その結果金型汚れとなり、この金型汚れがボトルの表面に転写するためであることが分かった。特に、近年では、ボトルの小型化とともに成形速度が高速化されてきており、生産性の面から口栓部の結晶化のための加熱時間短縮や金型汚れはより大きな問題となってきている。
【0006】
また、PETをシ−ト状物に押出し、これを真空成形して得た成形体に食品を充填後同一素材からなる蓋をし放置しておくと収縮が起こり蓋の開封性が悪くなったり、また前記成形体を長期間放置しておくと収縮が起こり蓋が出来なくなったりする。
【0007】
【特許文献1】
特開昭55−79237号公報等
【特許文献2】
特開昭58−110221号公報
【特許文献3】
特公昭59−6216号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このような問題を解決するために種々の提案がなされている。例えば、ポリエチレンテレフタレ−トにカオリン、タルク等の無機核剤を添加する方法(特開昭56−2342号公報、特開昭56−21832号公報)、モンタン酸ワックス塩等の有機核剤を添加する方法(特開昭57−125246号公報、特開昭57−207639号公報)があるが、これらの方法は異物やくもりの発生を伴い実用化には問題がある。また、原料ポリエステルに、前記ポリエステルから溶融成形して得たポリエステル成形体を粉砕した処理ポリエステルを添加する方法(特開平5−105807号公報)があるが、この方法は溶融成形粉砕という余分な工程が必要であり、さらにこのような後工程でポリエステル以外の夾雑物が混入する危険性があり、経済的および品質的に好ましい方法ではない。また、耐熱性樹脂製ピ−スを口栓部に挿入する方法(特開昭61−259946号公報、特開平2−269638号公報)が提案されているが、ボトルの生産性が悪く、また、リサイクル性にも問題がある。
【0009】
また、PETチップを流動条件下にポリエチレン部材と接触させることによるPETの改質法(特開平9−71639号公報)や、同様の条件下にポリプロピレン系樹脂またはポリアミド系樹脂からなる部材と接触させることによるPETの改質法(特開平11−209492号公報)が提案されているが、このような方法によっても、適度の、安定した結晶化速度を持ち、かつ透明性の優れた成形体を与えるポリエステルを得るのが非常に難しいことが分かった。
【0010】
本発明は、上記従来の方法の有する問題点を解決し、透明性および耐熱寸法安定性に優れ、結晶化速度変動が少ない成形体、特に耐熱性中空成形体を効率よく生産することができ、また金型を汚すことの少ない長時間連続成形性に優れたポリエステルを製造方法及びそれによって得られるポリエステルを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、主たる繰返し単位がエチレンテレフタレ−トである固相重合ポリエステルをポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタ−ル樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂からなる部材と流動条件下において接触処理させたポリエステルを用いて、透明性および耐熱寸法安定性に優れ、結晶化速度変動が少ない成形体の製造について検討した結果、前記固相重合ポリエステルチップの表層部の極限粘度とチップの極限粘度(IV)の比および前記固相重合ポリエステルのチップ中心部の極限粘度(IVc)とチップの極限粘度(IV)の比がこれらの特性に関係することを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明のポリエステルの製造方法は、主たる繰返し単位がエチレンテレフタレ−トである固相重合ポリエステルのチップを、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタ−ル樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂からなる部材と流動条件下において接触処理させるポリエステルの製造方法であって、前記ポリエステルのチップ表層部の極限粘度(IVs)と前記チップの極限粘度(IV)の比が1.10〜1.30であり、かつ前記ポリエステルのチップ中心部の極限粘度(IVc)と前記チップの極限粘度(IV)の比が0.90〜0.97であることを特徴とするポリエステルの製造方法である。
また、これによって得られる本発明のポリエステルは、主たる繰返し単位がエチレンテレフタレ−トである固相重合ポリエステルのチップを、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタ−ル樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂からなる部材と流動条件下において接触処理してなるポリエステルであって、前記ポリエステルのチップ表層部の極限粘度(IVs)と前記チップの極限粘度(IV)の比が1.10〜1.30であり、かつ前記ポリエステルのチップ中心部の極限粘度(IVc)と前記チップの極限粘度(IV)の比が0.90〜0.97である。
【0012】
前記チップ表層部の極限粘度(IVs)とチップの極限粘度(IV)の比および前記チップ中心部の極限粘度(IVc)とチップの極限粘度(IV)の比は、好ましくは、それぞれ1.12〜1.28および0.91〜0.96であり、さらに好ましくは、それぞれ1.15〜1.23および0.92〜0.95である。
【0013】
チップ表層部の極限粘度(IVs)とチップの極限粘度(IV)の比が1.30を超え、かつチップ中心部の極限粘度(IVc)とチップの極限粘度(IV)の比が0.90未満のポリエステルの場合は、このポリエステルから得られた成形体加熱時の結晶化速度が早くなり、中空成形容器の口栓部の結晶化が過大となり、このため口栓部の収縮量が規定値範囲内におさまらないため口栓部のキャッピング不良となり内容物の漏れが生じたり、また中空成形用予備成形体が白化し、このため正常な延伸が不可能となる。
【0014】
またチップ表層部の極限粘度(IVs)とチップの極限粘度(IV)の比が1.10未満で、かつチップ中心部の極限粘度(IVc)とチップの極限粘度(IV)の比が0.97を超える固相重合ポリエステルを製造しようとすると、平均粒径が1.0mm以下の細粒の溶融重縮合ポリエステルを用いて固相重合するとか、195℃以下の低温で長時間かけて固相重合する必要があり、経済的なポリエステルの生産は困難となる。
【0015】
かくして本発明のポリエステルの製造方法によって、透明性および耐熱寸法安定性に優れ、結晶化速度変動が少ない成形体、特に耐熱性中空成形体を効率よく生産することができる固相重合ポリエステルを得ることができるのである。
【0016】
なお、チップ表層部の極限粘度(IVs)やチップ中心部の極限粘度(IVc)は下記の方法によって測定する。
【0017】
この場合において、前記接触処理前および/または前記接触処理後のポリエステルのファイン含有量、フイルム状物含有量、あるいはファイン含有量とフイルム状物含有量の合計含有量のいずれかの含有量が、300ppm以下であることが好ましい。
【0018】
またここで、ファインとはJIS−Z8801による呼び寸法1.7mmの金網をはった篩いを通過したポリエステルの微粉末を意味し、またフイルム状物とはJIS−Z8801による呼び寸法5.6mmの金網をはった篩い上に残ったポリエステルのうち、2個以上のチップが融着したり、あるいは正常な形状より大きく切断されたチップ状物を除去後のフイルム状物を意味し、これらの含有量は下記の測定法によって測定する。
【0019】
また、この場合において、前記接触処理前および/または前記接触処理後のポリエステル中に含まれるファインの融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度が、265℃以下であることが好ましい。
【0020】
またここで、下記に記載するようにファイン等の融点は示差走査熱量計(DSC)で測定するが、DSCの融解ピ−ク温度を融点と呼ぶ。そして、この融点を表す融解ピ−クは、1つ、またはそれ以上の複数の融解ピ−クから構成され、本発明では、融解ピークが1つの場合には、そのピーク温度を、また融解ピ−クが複数個の場合には、これらの複数の融解ピ−クの内、最も高温側の融解ピ−ク温度を、「ファインの融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度」と称して、実施例等においては「ファインの融点」とする。
【0021】
また、この場合において、前記ポリエステルが、溶融重縮合後のチップ化工程において、ナトリウムの含有量(N)、マグネシウムの含有量(M)、珪素の含有量(S)及びカルシウムの含有量(C)が下記の(1)〜(4)の少なくとも1つを満足する冷却水を用いてチップ化されたポリエステルであることが好ましい。
N ≦ 1.0(ppm) (1)
M ≦ 0.5(ppm) (2)
S ≦ 2.0(ppm) (3)
C ≦ 1.0(ppm) (4)
【0022】
また、この場合において、前記の部材との接触処理前のポリエステルは、290℃の温度で60分間溶融したときの環状3量体増加量が0.50重量%以下、さらには、0.30重量%以下であることが好ましい。
【0023】
また、この場合において、前記部材が、ポリエステルチップの気力輸送用の配管、ポリエステルチップの重力輸送用配管、ポリエステルチップの移送経路に設置された棒状、板状または網状体からなる群から選ばれた少なくとも一種であることが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のポリエステルの製造方法の実施の形態を具体的に説明する。
本発明に係るポリエステルは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコ−ルまたはそのエステル形成性誘導体とを原料として製造される主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレ−トであるポリエステルであって、好ましくはエチレンテレフタレ−ト単位を85モル%以上含む線状ポリエステルであり、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95%以上含む線状ポリエステルである。
【0025】
前記ポリエステルが共重合体である場合に使用される共重合成分としてのジカルボン酸としては、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニ−ル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシ酸及びその機能的誘導体、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体などが挙げられる。
【0026】
前記ポリエステルが共重合体である場合に使用される共重合成分としてのグリコ−ルとしては、ジエチレングリコ−ル、トリメチレングリコ−ル、テトラメチレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル等の脂肪族グリコ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族グリコ−ル、ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族グリコ−ルなどが挙げられる。
【0027】
さらに、前記ポリエステルが共重合体である場合に使用される共重合成分としての多官能化合物としては、酸成分として、トリメリット酸、ピロメリット酸等を挙げることができ、グリコ−ル成分としてグリセリン、ペンタエリスリト−ルを挙げることができる。以上の共重合成分の使用量は、ポリエステルが実質的に線状を維持する程度でなければならない。また、単官能化合物、例えば安息香酸、ナフトエ酸等を共重合させてもよい。
【0028】
上記のポリエステルは、従来公知の製造方法によって製造することが出来る。即ち、PETの場合には、テレフタ−ル酸とエチレングリコ−ル及び必要により他の共重合成分を直接反応させて水を留去しエステル化した後、減圧下に重縮合を行う直接エステル化法、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコ−ル及び必要により他の共重合成分を反応させてメチルアルコ−ルを留去しエステル交換させた後、減圧下に重縮合を行うエステル交換法により製造される。次いで、このようにして得られた溶融重縮合されたポリエステルは固相重合される。
【0029】
前記溶融重縮合反応は、回分式反応装置で行っても良いし、また連続式反応装置で行っても良い。これらいずれの方式においても、溶融重縮合反応は1段階で行っても良いし、また多段階に分けて行っても良い。固相重合反応は、溶融重縮合反応と同様、回分式装置や連続式装置で行うことが出来る。溶融重縮合と固相重合は連続で行っても良いし、分割して行ってもよい。
【0030】
以下にはポリエチレンテレフタレ−トを例にして連続方式での好ましい製造方法の一例について説明する。
まず、エステル化反応により低重合体を製造する場合について説明する。テレフタル酸またはそのエステル誘導体1モルに対して1.02〜1.5モル、好ましくは1.03〜1.4モルのエチレングリコ−ルが含まれたスラリ−を調整し、これをエステル化反応工程に連続的に供給する。
【0031】
エステル化反応は、少なくとも2個のエステル化反応器を直列に連結した多段式装置を用いてエチレングリコ−ルが還流する条件下で、反応によって生成した水またはアルコ−ルを精留塔で系外に除去しながら実施する。第1段目のエステル化反応の温度は240〜270℃、好ましくは245〜265℃、圧力は0.2〜3kg/cmG、好ましくは0.5〜2kg/cmGである。最終段目のエステル化反応の温度は通常250〜280℃好ましくは255〜275℃であり、圧力は通常0〜1.5kg/cmG、好ましくは0〜1.3kg/cmGである。3段階以上で実施する場合には、中間段階のエステル化反応の反応条件は、上記第1段目の反応条件と最終段目の反応条件の間の条件である。これらのエステル化反応の反応率の上昇は、それぞれの段階で滑らかに分配されることが好ましい。最終的にはエステル化反応率は90%以上、好ましくは93%以上に達することが望ましい。これらのエステル化反応により分子量500〜5000程度の低次縮合物が得られる。
【0032】
上記エステル化反応は原料としてテレフタル酸を用いる場合は、テレフタル酸の酸としての触媒作用により無触媒でも反応させることができるが重縮合触媒の共存下に実施してもよい。
また、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ベンジルジメチルアミンなどの第3級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウムなどの水酸化第4級アンモニウムおよび炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウムなどの塩基性化合物を少量添加して実施すると、ポリエチレンテレフタレ−トの主鎖中のジオキシエチレンテレフタレ−ト成分単位の割合を比較的低水準(全ジオ−ル成分に対して5モル%以下)に保持できるので好ましい。
【0033】
次に、エステル交換反応によって低重合体を製造する場合は、テレフタル酸ジメチル1モルに対して1.1〜1.6モル、好ましくは1.2〜1.5モルのエチレングリコ−ルが含まれた溶液を調整し、これをエステル交換反応工程に連続的に供給する。
【0034】
エステル交換反応は、1〜2個のエステル交換反応器を直列に連結した装置を用いてエチレングリコ−ルが還留する条件下で、反応によって生成したメタノ−ルを精留塔で系外に除去しながら実施する。第1段目のエステル交換反応の温度は180〜250℃、好ましくは200〜240℃である。最終段目のエステル交換反応の温度は通常230〜270℃、好ましくは240〜265℃であり、エステル交換触媒として、Zn,Cd,Mg,Mn,Co,Ca,Baなどの脂肪酸塩、炭酸塩やPb,Zn,Sb,Ge酸化物等を用いる。これらのエステル交換反応により分子量約200〜500程度の低次縮合物が得られる。
【0035】
前記の出発原料であるジメチルテレフタレート、テレフタル酸またはエチレングリコールとしては、パラキシレンから誘導されるバージンのジメチルテレフタレート、テレフタル酸あるいはエチレンから誘導されるエチレングリコールは勿論のこと、使用済みPETボトルからメタノール分解やエチレングリコール分解などのケミカルリサイクル法により回収したジメチルテレフタレート、テレフタル酸、ビスヒドロキシエチルテレフタレートあるいはエチレングリコールなどの回収原料も、出発原料の少なくとも一部として利用することが出来る。前記回収原料の品質は、使用目的に応じた純度、品質に精製されていなければならないことは言うまでもない。
【0036】
次いで得られた低次縮合物は多段階の液相縮重合工程に供給される。重縮合反応条件は、第1段階目の重縮合の反応温度は250〜290℃、好ましくは260〜280℃であり、圧力は500〜20Torr、好ましくは200〜30Torrで、最終段階の重縮合反応の温度は265〜300℃、好ましくは275〜295℃であり、圧力は10〜0.1Torr、好ましくは5〜0.5Torrである。3段階以上で実施する場合には、中間段階の重縮合反応の反応条件は、上記第1段目の反応条件と最終段目の反応条件の間の条件である。これらの重縮合反応工程の各々において到達される極限粘度の上昇の度合は滑らかに分配されることが好ましい。
【0037】
重縮合反応は、重縮合触媒を用いて行う。重縮合触媒としては、Ge、Sb、Ti、またはAlの化合物が用いられるが、Ge化合物とTi化合物、Ge化合物とAl化合物、Sb化合物とTi化合物、Sb化合物とGe化合物の混合触媒の使用も好都合である。これらの化合物は、粉体、水溶液、エチレングリコ−ル溶液、エチレングリコ−ルのスラリ−等として反応系に添加される。
【0038】
Ge化合物としては、無定形二酸化ゲルマニウム、結晶性二酸化ゲルマニウム粉末またはエチレングリコ−ルのスラリ−、結晶性二酸化ゲルマニウムを水に加熱溶解した溶液またはこれにエチレングリコ−ルを添加加熱処理した溶液等が使用されるが、特に本発明で用いるポリエステルを得るには二酸化ゲルマニウムを水に加熱溶解した溶液、またはこれにエチレングリコ−ルを添加加熱した溶液を使用するのが好ましい。また、これらの他に、塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラ−n−ブトキシド、亜リン酸ゲルマニウム等の化合物が挙げられる。Ge化合物を使用する場合、その使用量はポリエステル樹脂中のGe残存量として10〜150ppm、好ましくは13〜100ppm、更に好ましくは15〜70ppmである。
【0039】
Ti化合物としては、テトラエチルチタネ−ト、テトライソプロピルチタネ−ト、テトラ−n−プロピルチタネ−ト、テトラ−n−ブチルチタネ−ト等のテトラアルキルチタネ−トおよびそれらの部分加水分解物、蓚酸チタニル、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルナトリウム、蓚酸チタニルカリウム、蓚酸チタニルカルシウム、蓚酸チタニルストロンチウム等の蓚酸チタニル化合物、トリメリット酸チタン、硫酸チタン、塩化チタン等が挙げられる。Ti化合物は、生成ポリマ−中のTi残存量として0.1〜10ppmの範囲になるように添加する。
【0040】
Sb化合物としては、三酸化アンチモン、酢酸アンチモン、酒石酸アンチモン、酒石酸アンチモンカリ、オキシ塩化アンチモン、アンチモングリコレ−ト、五酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン等が挙げられる。
Sb化合物は、生成ポリマ−中のSb残存量として50〜250ppmの範囲になるように添加する。
【0041】
また、Al化合物としては、具体的には、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、蓚酸アルミニウム、アクリル酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、トリクロロ酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、サリチル酸アルミニウムなどのカルボン酸塩、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ホスホン酸アルミニウムなどの無機酸塩、アルミニウムメトキサイド、アルミニウムエトキサイド、アルミニウムn−プロポキサイド、アルミニウムiso−プロポキサイド、アルミニウムn−ブトキサイド、アルミニウムt−ブトキサイドなどアルミニウムアルコキサイド、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテートジiso−プロポキサイドなどのアルミニウムキレート化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物およびこれらの部分加水分解物、酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらのうちカルボン酸塩、無機酸塩およびキレート化合物が好ましく、これらの中でもさらに塩基性酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウムおよびアルミニウムアセチルアセトネートがとくに好ましい。Al化合物は、生成ポリマ−中のAl残存量として5〜200ppmの範囲になるように添加する。
【0042】
また、本発明のポリエステルの製造方法においては、アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物を併用してもよい。アルカリ金属、アルカリ土類金属としては、Li,Na,K,Rb,Cs,Be,Mg,Ca,Sr,Baから選択される少なくとも1種であることが好ましく、アルカリ金属ないしその化合物の使用がより好ましい。アルカリ金属ないしその化合物を使用する場合、特にLi,Na,Kの使用が好ましい。アルカリ金属やアルカリ土類金属の化合物としては、例えば、これら金属のギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、蓚酸などの飽和脂肪族カルボン酸塩、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和脂肪族カルボン酸塩、安息香酸などの芳香族カルボン酸塩、トリクロロ酢酸などのハロゲン含有カルボン酸塩、乳酸、クエン酸、サリチル酸などのヒドロキシカルボン酸塩、炭酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、炭酸水素、リン酸水素、硫化水素、亜硫酸、チオ硫酸、塩酸、臭化水素酸、塩素酸、臭素酸などの無機酸塩、1−プロパンスルホン酸、1−ペンタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などの有機スルホン酸塩、ラウリル硫酸などの有機硫酸塩、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシなどのアルコキサイド、アセチルアセトネートなどとのキレート化合物、水素化物、酸化物、水酸化物などが挙げられる。
【0043】
前記のアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物は、粉体、水溶液、エチレングリコ−ル溶液等として反応系に添加される。アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物は、生成ポリマ−中のこれらの元素の残存量として1〜50ppmの範囲になるように添加する。
【0044】
また、安定剤として種々のP化合物を使用することができる。本発明で使用されるP化合物としては、リン酸、亜リン酸およびそれらの誘導体等が挙げられる。具体例としてはリン酸、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリエチルエステル、リン酸トリブチルエステル、リン酸トリフェニ−ルエステル、リン酸モノメチルエステル、リン酸ジメチルエステル、リン酸モノブチルエステル、リン酸ジブチルエステル、亜リン酸、亜リン酸トリメチルエステル、亜リン酸トリエチルエステル、亜リン酸トリブチルエステル、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチルエステル、エチルホスホン酸ジメチルエステル、フェニ−ルホスホン酸ジメチルエステル、フェニ−ルホスホン酸ジエチルエステル、フェニ−ルホスホン酸ジフェニ−ルエステル等であり、これらは単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。P化合物は、生成ポリマ−中のP残存量として1〜1000ppmの範囲になるように前記のポリエステル生成反応工程の任意の段階で添加することができる。
【0045】
前記のようにして得られた溶融重縮合ポリエステルは、溶融重縮合終了後に細孔から押出され、冷却水で冷却しながらチップ化される。前記のような方法によって得た極限粘度0.50〜0.75デシリットル/グラム、末端カルボキシル基の全末端基に対する割合が15%以下の溶融重縮合ポリエステルプレポリマーを、不活性ガス雰囲気下または減圧下に190〜210℃の温度で固相重合中の極限粘度の増加が0.20デシリットル/グラム未満になるようにして固相重合を行い、固相重合終了後約1分以内にチップ温度を約50℃以下にすることによって、本発明に係るポリエステルを得ることができる。
【0046】
本発明に係る、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレ−トから構成されるポリエステルの極限粘度は0.65〜0.90デシリットル/グラム、好ましくは0.67〜0.88デシリットル/グラム、さらに好ましくは0.70〜0.85デシリットル/グラムの範囲である。ポリエステルの極限粘度が0.65デシリットル/グラム未満では、得られた成形体等の機械的特性が悪い。また、ポリエステルの極限粘度が0.90デシリットル/グラムを越える場合は、成型機等による溶融時に樹脂温度が高くなって熱分解が激しくなり、保香性に影響を及ぼす遊離の低分子量化合物が増加したり、成形体が黄色に着色する等の問題が起こる。
【0047】
本発明に係る、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレ−トから構成されるポリエステルのチップの形状は、シリンダ−型、角型、球状または扁平な板状等の何れでもよく、その平均粒径は、通常1.5〜5mm、好ましくは1.6〜4.5mm、さらに好ましくは1.8〜4.0mmの範囲である。例えば、シリンダ−型の場合は、長さは1.5〜4mm、径は1.5〜4mm程度であるのが実用的である。球状粒子の場合は、最大粒子径が平均粒子径の1.1〜2.0倍、最小粒子径が平均粒子径の0.7倍以上であるのが実用的である。また、チップの重量は10〜30mg/個の範囲が実用的である。
【0048】
本発明に係る、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレ−トから構成されるポリエステルのアセトアルデヒド含有量は10ppm以下、好ましくは8ppm以下、更に好ましくは5ppm以下、ホルムアルデヒド含有量は7ppm以下、好ましくは6ppm以下、更に好ましくは4ppm以下である。アセトアルデヒド含有量が10ppmを超える場合やホルムアルデヒド含有量が7ppmを超える場合は、このようなポリエステルから得られた成形体等の内容物の風味や臭い等が悪くなる。
【0049】
また、本発明に係る、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレ−トから構成されるポリエステルに共重合されたジエチレングリコール量は前記のポリエステルを構成するグリコール成分の1.0〜5.0モル%、好ましくは1.3〜4.5モル%、更に好ましくは1.5〜4.0モル%である。ジエチレングリコール量が5.0モル%を越える場合は、熱安定性が悪くなり、成型時に分子量低下が大きくなったり、またアセトアルデヒド含有量やホルムアルデヒド含有量の増加量が大となり好ましくない。またジエチレングリコ−ル含有量が1.0モル%未満の場合は、得られた成形体の透明性が悪くなる。
【0050】
また、本発明に係る、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレ−トから構成されるポリエステルの環状3量体の含有量は0.5重量%以下、好ましくは0.45重量%以下、さらに好ましくは0.40重量%以下である。本発明のポリエステルから耐熱性の中空成形体等を成形する場合は加熱金型内で熱処理を行うが、環状3量体の含有量が0.5重量%以上含有する場合には、加熱金型表面へのオリゴマー付着が急激に増加し、得られた中空成形体等の透明性が非常に悪化する。
【0051】
本発明のポリエステルの製造方法においては、前記の固相重合ポリエステルのチップを、ポリオレフィン樹脂等の樹脂からなる部材と流動条件下において接触処理させる。ポリエステルをポリオレフィン樹脂等の樹脂製の部材に接触処理させる方法としては、前記樹脂製の部材が存在する空間内で、ポリエステルを前記部材に衝突接触させることが好ましく、具体的には、例えば、ポリエステルの固相重合直後、また、ポリエステルの製品としての輸送段階等での輸送用容器への充填時あるいは同容器からの排出時、また、ポリエステルの成形段階での成形機投入時、等における気力輸送用配管、重力輸送用配管、サイロ、マグネットキャッチャ−のマグネット部等の一部を前記樹脂製とするか、または、前記樹脂をライニングするとか、或いは前記移送経路内に棒状体、板状体、管状体又は網状体等の前記樹脂製部材を設置するなどして、ポリエステルを移送する方法が挙げられる。ポリエステルの前記部材との接触時間は、通常、0.01秒〜数分程度の短時間であるが、ポリエステルに前記樹脂を微量配合させることができる。
【0052】
本発明のポリエステルの製造方法においては、主たる繰返し単位がエチレンテレフタレ−トである固相重合ポリエステルのチップを、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタ−ル樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂からなる部材と流動条件下において、前記部材の表面積(cm)と単位時間当たりの前記ポリエステルチップの処理量(トン/時)の比Aが、下記の式を満足することがさらに好ましい。
Figure 0003613685
【0053】
前記部材の表面積(cm)と単位時間当たりの前記ポリエステルチップの処理量(トン/時)の比Aは、好ましくは8〜4000、さらに好ましくは10〜3000である。前記の部材の表面積(cm)と単位時間当たりの前記ポリエステルチップの処理量(トン/時)の比Aが6未満の場合は、ポリエステルへの前記樹脂の配合量が少なくなり、このため得られた成形体の結晶化速度が不充分、かつその変動が大きくなる。そして中空成形体の口栓部の結晶化が不充分となり、このため口栓部の収縮量が規定値範囲内におさまらないためキャッピング不良現象が発生する。また前記の部材の表面積(cm)と単位時間当たりの前記ポリエステルチップの処理量(トン/時)の比Aが5000を超える場合は、ポリエステルへの前記樹脂の配合量が過大となり、かつ配合量の変動が非常に大きくなる。このため得られた成形体の結晶化速度が早くなり、かつその変動が非常に大きくなる。そして中空成形体の口栓部の結晶化が過大となり、このため口栓部の収縮量が規定値範囲内におさまらないため口栓部のキャッピング不良となり内容物の漏れが生じたり、また中空成形用予備成形体が白化し、このため正常な延伸が不可能となる。
【0054】
本発明において接触処理に用いられる樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタ−ル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂が挙げられる。
本発明において接触処理に用いられるポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、またはα−オレフィン系樹脂が挙げられる。またこれらの樹脂は結晶性でも非晶性でもかまわない。
【0055】
本発明において用いられるポリエチレン系樹脂としては、例えば、エチレンの単独重合体、エチレンと、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等の炭素数2〜20程度の他のα−オレフィンや、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、不飽和エポキシ化合物等のビニル化合物との共重合体等が挙げられる。具体的には、例えば、超低・低・中・高密度ポリエチレン等(分岐状又は直鎖状)のエチレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等のエチレン系樹脂が挙げられる。
【0056】
また本発明において用いられるポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンと、エチレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等の炭素数2〜20程度の他のα−オレフィンや、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン等のビニル化合物との共重合体、あるいはヘキサジエン、オクタジエン、デカジエン、ジシクロペンタジエン等のジエンとの共重合体等が挙げられる。具体的には、例えば、プロピレン単独重合体(アタクチック、アイソタクチック、シンジオタクチックポリプロピレン)、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体等のプロピレン系樹脂が挙げられる。
【0057】
また本発明において用いられるα−オレフィン系樹脂としては、4−メチルペンテン−1等の炭素数2〜8程度のα−オレフィンの単独重合体、それらのα−オレフィンと、エチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等の炭素数2〜20程度の他のα−オレフィンとの共重合体等が挙げられる。具体的には、例えば、ブテン−1単独重合体、4−メチルペンテン−1単独重合体、ブテン−1−エチレン共重合体、ブテン−1−プロピレン共重合体等のブテン−1系樹脂や4−メチルペンテン−1とC〜C18のα−オレフィンとの共重合体、等が挙げられる。
【0058】
また、本発明において用いられるポリアミド樹脂としては、例えば、ブチロラクタム、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、エナントラクタム、ω−ラウロラクタム等のラクタムの重合体、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸の重合体、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、2,2,4−又は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシルメタン)等の脂環式ジアミン、m−又はp−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等のジアミン単位と、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸等のジカルボン酸単位との重縮合体、及びこれらの共重合体等が挙げられ、具体的には、例えば、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン8、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン611、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロンMXD6、ナイロン6/MXD6、ナイロンMXD6/MXDI、ナイロン6/66、ナイロン6/610、ナイロン6/12、ナイロン6/6T、ナイロン6I/6T等が挙げられる。またこれらの樹脂は結晶性でも非晶性でもかまわない。
【0059】
また、本発明において用いられるポリアセタ−ル樹脂としては、例えばポリアセタ−ル単独重合体や共重合体が挙げられる。ポリアセタ−ル単独重合体としては、ASTM−D792の測定法により測定した密度が1.40〜1.42g/cm、ASTMD−1238の測定法により、190℃、荷重2160gで測定したメルトフロー比(MFR)が0.5〜50g/10分の範囲のポリアセタ−ルが好ましい。
【0060】
また、ポリアセタ−ル共重合体としては、ASTM−D792の測定法により測定した密度が1.38〜1.43g/cm、ASTMD−1238の測定法により、190℃、荷重2160gで測定したメルトフロー比(MFR)が0.4〜50g/10分の範囲のポリアセタ−ル共重合体が好ましい。これらの共重合成分としては、エチレンオキサイドや環状エ−テルが挙げられる。
【0061】
また、本発明において用いられる前記樹脂のポリエステルへの配合割合は、0.1ppb〜0.1ppb〜50000ppm、好ましくは0.3ppb〜10000ppm、より好ましくは0.5ppb〜100ppm、さらに好ましくは1.0ppb〜1ppm、特に好ましくは1.0ppb〜45ppbである。配合量が0.1ppb未満の場合は、結晶化速度が非常におそくなり、中空成形体の口栓部の結晶化が不十分となるため、サイクルタイムを短くすると口栓部の収縮量が規定値範囲内におさまらないためキャッピング不良となったり、また、耐熱性中空成形体を成形する延伸熱固定金型の汚れが激しく、透明な中空成形体を得ようとすると頻繁に金型掃除をしなければならない。また50000ppmを超える場合は、結晶化速度が早くなり、中空成形体の口栓部の結晶化が過大となり、このため口栓部の収縮収縮量が規定値範囲内におさまらないためキャッピング不良となり内容物の漏れが生じたり、また中空成形体用予備成形体が白化し、このため正常な延伸が不可能となる。また、シ−ト状物の場合、50000ppmを越えると透明性が非常に悪くなり、また延伸性もわるくなって正常な延伸が不可能で、厚み斑の大きな、透明性の悪い延伸フイルムしか得られない。
【0062】
前記樹脂からなる部材とポリエステルを接触処理させる場合、前記樹脂はポリエステルチップの表面に付着した状態で存在していることが望ましいが、ポリエステルチップが前記部材へ衝突する際の衝撃力や接触する際の圧着力等の大きさによって、あるいは前記樹脂製部材の耐衝撃性や耐剥離性等の性質によって、前記樹脂製がポリエステルチップに付着しない状態で、すなわちポリエステルチップとは独立した状態、例えば細粒として前記の接触処理されたポリエステルチップと混合された状態になっているものもある。このような前記の樹脂細粒が混合した状態のポリエステルから得られた成形体は、その結晶化速度が非常に早くなりすぎたり、またその速度の変動が非常に大きくなる。中空成形体用予備成形体の場合には、前記予備成形体の白化や透明性の斑がひどく、また正常な延伸が不可能となるため厚み斑が大きい、透明性の悪い中空成形体しか得られない。また通常は微細な細粒として存在するが、時には平均粒径が約0.5〜数mmの大きさの粒状体や塊状体の形態でポリエステルチップと独立した状態で前記の接触処理されたポリエステル中に混在する場合もある。このような場合には、前記樹脂は得られた成形体中で異物となり、その結果、得られた成形体には、厚み斑、空孔、白化等の欠点が非常に多くなる。したがって、ポリエステルチップと独立して存在している前記樹脂の細粒状体、粒状体や塊状体を成形前に除去しておくことが望ましい。
【0063】
前記樹脂からなる部材と接触処理されたポリエステルから前記樹脂の細粒状体、粒状体や塊状体を分離除去する方法としては下記のような方法が挙げられる。すなわち、溶融重縮合ポリエステルまたは固相重合ポリエステルを前記樹脂からなる部材と接触処理させたあと、振動篩工程及び空気流による気流分級工程等で処理する方法、あるいはイオン交換水による水洗工程で処理する方法、あるいは浮遊選別処理する方法等によって処理することによって、これらの細粒状、粒状及び塊状の前記樹脂を除去する。このような前記樹脂の細粒状体、粒状体や塊状体を分離除去する方法は、後記のポリエステルのファインやフイルム状物を除去する方法としても有効である。
【0064】
溶融重縮合されたポリエステルはチップ化されたあと、貯蔵するために輸送配管中をサイロ等へ輸送されたり、また固相重合工程に輸送される。また固相重合したポリエステルチップも同様に次工程やサイロ等へ輸送される。このようなチップの輸送を、例えば空気を使用した強制的な低密度輸送方法で行うと、ポリエステルのチップの表面には配管との衝突によって大きな衝撃力がかかり、この結果ファインやフイルム状物が多量に発生する。このようにして生じたファインの一部やフイルム状物の大部分は、265℃を越える非常に高い融解ピ−ク温度を持つようになる。また、回転式の固相重合装置を用いて固相重合したり、あるいは次工程への輸送方法としてポリエステルチップに衝撃力やせん断力がかかる送り装置を用いたりする場合にも、前記のような265℃を越える融解ピ−ク温度のファインやフイルム状物が発生する。これは、チップ表面に加わる衝撃力等の大きな力のためにチップが発熱すると同時にチップ表面においてポリエステルの配向結晶化が起こり、緻密な結晶構造が生じるためではないかと推定される。
【0065】
そして前記のような265℃を越える融解ピ−ク温度を持つポリエステルのファインやフイルム状物は、これをポリエステルチップと共に固相重合処理したり、次いで水処理したりすると、これらの融解ピ−ク温度は処理前よりさらに高くなる。また、265℃以下だが、正常な融解ピ−ク温度よりかなり高い融解ピ−ク温度を持つファインやフイルム状物も、前記のこれらの処理によって、これらの融解ピ−ク温度は265℃を越える融解ピ−ク温度を持つようになる。これは、これらの処理によって、結晶構造がさらに緻密な結晶構造に変化するためであろうと推定される。
【0066】
このような正常な融点より高い、265℃を越える融点ピ−クを持つファインやフイルム状物を含むポリエステルを通常の成形条件で成形する場合は、溶融成形時に結晶が完全に溶融せず、結晶核として残る。この結果、加熱時の結晶化速度が早くなるため中空成形容器の口栓部の結晶化が過大となり、このため口栓部の収縮量が規定値範囲内におさまらなくなり、口栓部のキャッピング不良となり内容物の漏れが生じるという問題が起こる。また中空成形用予備成形体が白化し、このため正常な延伸が不可能となり、厚み斑が生じ、また結晶化速度が速いため得られた中空成形体の透明性が悪くなり、また透明性の変動も大となる。
【0067】
265℃を越える融解ピ−ク温度のファイン等を含むポリエステルから透明性や延伸性の良好な中空成形用予備成形体やシ−ト状物を得ようとする場合には、300℃以上の高温度において溶融成形しなければならない。ところが、このような300℃以上の高温度では、ポリエステルの熱分解が激しくなり、アセトアルデヒドやホルムアルデヒド等の副生物が大量に発生し、その結果得られた成形体等の内容物の風味などに大きな影響を及ぼすことになるのである。また、本発明の製造方法で得られたポリエステルが、前記樹脂を含む場合は、前記樹脂は本発明のポリエステルより熱安定性に劣る場合が多いので、上記のごとく300℃以上の高温度の成形においては熱分解を起して多量の副生物を発生させるため、得られた成形体等の内容物の風味などにより一層大きな影響を及ぼすことになる。
【0068】
一般にポリエステルは、製造方法にもよるが、前記のファインやフイルム状物を含むファイン等を約100ppm〜約数重量%含有しており、しかもこのようなファイン等はポリエステルチップに均一な混合状態で存在しているのではなくて偏在している。したがって、このようなポリエステルを流動条件下にポリオレフィン樹脂等の樹脂からなる部材と接触処理を行うと、結晶化速度はさらに早くなるが、その速度が非常に変動したポリエステルしか得られず問題となる。
【0069】
また本発明では、前記部材との接触処理前および/または前記接触処理後のポリエステルのファイン含有量、フイルム状物含有量、あるいはファイン含有量とフイルム状物含有量の合計含有量のいずれかの含有量が、300ppm以下、好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下に低下させることによって上記の問題点をより一層解決することができる。
前記部材との接触処理前および/または前記接触処理後のポリエステルのファイン含有量、フイルム状物含有量、あるいはファイン含有量とフイルム状物含有量の合計含有量のいずれかの含有量が300ppmを越える場合は、得られたポリエステルからの成形体の加熱時の結晶化速度が早くなるため中空成形容器の口栓部の結晶化が過大となり、このため口栓部の収縮量が規定値範囲内におさまらなくなり、口栓部のキャッピング不良となり内容物の漏れが生じるという問題が生じる。また中空成形用予備成形体が白化し、このため正常な延伸が不可能となり、厚み斑が生じ、また結晶化速度が速いため得られた中空成形体の透明性が悪くなり、また透明性の変動も大となる。
【0070】
また本発明は、前記部材との接触処理前および/または前記接触処理後のポリエステル中に含まれるファインの融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度が、265℃以下であることによって上記の問題点をさらにより一層解決するものである。
【0071】
前記部材との接触処理前および/または前記接触処理後のポリエステルからファインおよび/またはフイルム状物を分離除去する方法としては下記のような方法が挙げられる。すなわち、固相重合工程の直前及び前記樹脂からなる部材と接触処理する工程の直前や直後に別々に設置した振動篩工程及び空気流による気流分級工程、等で処理する方法等が挙げられる。
【0072】
また融解ピ−ク温度の最も高温側の融解ピ−ク温度が265℃を越えるファインを含まないようにする方法としては、前記樹脂と接触処理した後に前記のようなファイン等除去工程で処理する方法が挙げれる。
【0073】
前記の製造方法によって得られたポリエステルを用いることによって透明性に優れ、結晶化速度の変動が少ない成形体を得ることができるが、前記の理由から前記樹脂からなる部材との接触処理前のポリエステルが含有するファインやフイルム状物の含有量やそれらの性状等についても注意を払うことが必要である。
【0074】
また、前記樹脂からなる部材との接触処理前のポリエステルがこのような高温の融点を持つファイン等を含まないようにする方法の具体的な例をつぎに説明する。溶融重縮合ポリエステルの場合は、溶融重縮合後ダイスより溶融ポリエステルを水中に押出して水中でカットする方式、あるいは大気中に押出した後、直ちに冷却水で冷却しながらカットする方式によってチップ化し、ついでチップ状に形成したポリエステルチップを水切り後、振動篩工程および空気流による気流分級工程、あるいは水洗処理工程によって所定のサイズ以外の形状のチップやファインやフイルム状物を除去し、プラグ輸送方式やバケット式コンベヤ−輸送方式により貯蔵用タンクに送る。前記タンクからのチップの抜出はスクリュ−式フィ−ダ−により、次工程へはプラグ輸送方式やバケット式コンベヤ−輸送方式によって輸送し、前記接触処理工程の直前や直後に空気流による気流分級工程によってファイン除去処理を行う。次いで、前記のファインやフイルム状物の除去処理を行った溶融重縮合ポリエステルを再度、固相重合工程直前で空気流による気流分級工程によってファインやフイルム状物の除去を行い、固相重合工程へ投入する。溶融重縮合したプレポリマ−チップを固相重合設備へ輸送する際や固相重合後のポリエステルチップを篩分工程、前記接触処理工程や貯槽等へ輸送する際には、これらの輸送の大部分はプラグ輸送方式やバケット式コンベヤ輸送方式を採用し、また結晶化装置や固相重合反応器からのチップの抜出しはスクリュ−フィ−ダ−を使用するなどして、チップと工程の機器や輸送配管等との衝撃を出来るだけ抑えることができる装置を使用する。
【0075】
また本発明では、チップ化工程の冷却水として、ナトリウムの含有量(N)、マグネシウムの含有量(M)、珪素の含有量(S)及びカルシウムの含有量(C)が下記の(1)〜(4)の少なくとも1つ、特にはすべてを満足する冷却水を用いて溶融重縮合ポリエステルのチップ化を行うのがより一層好ましい。
N ≦ 1.0(ppm) (1)
M ≦ 0.5(ppm) (2)
S ≦ 2.0(ppm) (3)
C ≦ 1.0(ppm) (4)
【0076】
冷却水中のナトリウム含有量(N)は、好ましくはN≦0.5ppmであり、さらに好ましくはN≦0.1ppmである。
冷却水中のマグネシウム含有量(M)は、好ましくはM≦0.3ppmであり、さらに好ましくはM≦0.1ppmである。
また、冷却水中の珪素の含有量(S)は、好ましくはS≦0.5ppmであり、さらに好ましくはS≦0.3ppmである。
さらに、冷却水中のカルシウム含有量(C)は、好ましくはC≦0.5ppmであり、さらに好ましくはC≦0.1ppmである。
【0077】
また、冷却水中のナトリウム含有量(N)、マグネシウム含有量(M)、珪素の含有量(S)およびカルシウム含有量(C)の下限値は、N≧0.001ppm、M≧0.001ppm、S≧0.02ppmおよびC≧0.001ppmである。このような下限値以下にするには、莫大な設備投資が必要であり、また運転費用も非常に高くなり経済的な生産は困難である。
【0078】
前記の条件を外れる冷却水を用いた場合には、これらの金属含有化合物がポリエステルチップ表面に付着し、得られた最終の固相重合ポリエステルの結晶化速度が非常に早く、またその変動が大きくなり好ましくない。また、前記の条件を外れる冷却水を用いて冷却しながらチップ化した溶融重縮合ポリエステルを固相重合すると、チップ化工程においてチップ表面に付着して固相重合反応装置に持ち込まれた前記の金属含有物質は、ポリエステルチップの表面層の一部と共に固相重合装置の器壁に固着し、これが約170℃以上の高温度での長時間加熱によって金属含有量の高いスケ−ルとなって器壁に付着していく。そして、これが時々剥離してポリエステルチップ中に混入し、ボトル等成形体中の異物となって商品価値を低下さすという問題が発生する。
【0079】
また、シ−トを製造する際には、製膜時に前記のスケ−ルが溶融ポリマ−濾過フィルタ−に詰まるためフィルタ−濾過圧の上昇が激しくなり、操業性や生産性が悪くなるという問題も発生する。
以下にチップの冷却水のナトリウム含有量、マグネシウム含有量、珪素含有量、カルシウム含有量を前記の範囲に抑える方法を例示するが、本発明はこれに限定するものではない。
【0080】
冷却水のナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素を低減させるために、チップ冷却工程に工業用水が送られるまでの工程で少なくとも1ヶ所以上にナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素を除去する装置を設置する。また、粒子状になった二酸化珪素やアルミノ珪酸塩等の粘土鉱物を除去するためにはフィルターを設置する。ナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素を除去する装置としては、イオン交換装置、限外濾過装置や逆浸透膜装置などが挙げられる。
【0081】
また、チップ冷却水として系外から導入する水の中に存在する粒径が1〜25μmの粒子を50000個/10ml以下にした水を使用することが望ましい。冷却水中の粒径1〜25μmの粒子の個数は、好ましくは10000個/10ml以下、さらに好ましくは1000個/10ml以下である。導入水中の粒径25μmを越える粒子は、特に規定するものではないが、好ましくは2000個/10ml以下、より好ましくは500個/10ml以下、さらに好ましくは100個/10ml、特に好ましくは10個/10ml以下である。
【0082】
なお、導入水中の粒径1μm未満の粒子に関しては、本発明で特に規定するものではないが、透明な成形体や適正な結晶化速度を持つ成形体を与えるポリエステルを得るためには、少ない方が好ましい。粒径1μm未満の粒子数としては好ましくは100000個/10ml以下、より好ましくは50000個/10ml以下、さらに好ましくは20000個/10ml以下、特に好ましくは10000個/10ml以下である。1μm以下の粒子を水中から除去、コントロールする方法としてはセラミック膜、有機膜等の膜を用いた精密濾過法や限外濾過法等を用いることができる。
【0083】
以下にチップ化工程で導入する導入水中の、粒径1〜25μmの粒子を50000個/10ml以下に制御する方法を例示するが、本発明はこれに限定するものではない。
【0084】
水中の粒子数を50000個/10ml以下にする方法としては、工業用水等の自然水をチップ化工程に供給するまでの少なくとも1ヶ所以上に粒子を除去する装置を設置する。好ましくは自然界の水の採取口から、前記したチップ化工程に至るまでの間に粒子を除去する装置を設置し、チップ化工程に供給する水中の、粒径1〜25μmの粒子の含有量を50000個/10ml以下にすることが好ましい。粒子を除去する装置としてはフィルター濾過装置、膜濾過装置、沈殿槽、遠心分離器、泡沫同伴処理機等が挙げられる。例えばフィルター濾過装置であれば、方式としてベルトフィルター方式、バグフィルター方式、カートリッジフィルター方式、遠心濾過方式等の濾過装置が挙げられる。中でも連続的に行うにはベルトフィルター方式、遠心濾過方式、バグフィルター方式の濾過装置が適している。またベルトフィルター方式の濾過装置であれば濾材としては、紙、金属、布等が挙げられる。また粒子の除去と導入水の流れを効率良く行なうため、フィルターの目のサイズは5〜100μm、好ましくは10〜70μm、さらに好ましくは15〜40μmがよい。
【0085】
また、チップの冷却水は繰り返しリサイクルしながら使用することが経済性、生産性を向上させる点から好ましい。冷却水のリサイクル工程中に、フィルタ−や温度調節機、アセトアルデヒド等の不純物を除去する装置等を設けることができる。また、前記の粒子やナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素を除去する装置を設けることもできる。
【0086】
さらにまた、本発明において、前記樹脂からなる部材との接触処理前のポリエステルは、290℃の温度で60分間溶融したときの環状3量体増加量が0.50重量%以下、より好ましくは0.30重量%以下、さらに好ましくは0.10重量%以下のポリエステルである。
【0087】
290℃の温度で60分間溶融した時の環状3量体の増加量が0.50重量%以下のポリエステルは、溶融重縮合後や固相重合後に得られたポリエステルの重縮合触媒を失活処理することにより製造することができる。ポリエステルの重縮合触媒を失活処理する方法としては、固相重合後にポリエステルチップを水や水蒸気または水蒸気含有気体と接触処理する方法が挙げられる。
【0088】
前記のポリエステルチップを水や水蒸気または水蒸気含有気体と接触処理する方法を次に述べる。
熱水処理方法としては、水中に浸ける方法やシャワ−でチップ上に水をかける方法等が挙げられる。処理時間としては5分〜2日間、好ましくは10分〜1日間、さらに好ましくは30分〜10時間で、水の温度としては20〜180℃、好ましくは40〜150℃、さらに好ましくは50〜120℃である。
【0089】
以下に水処理を工業的に行う方法を例示するが、これに限定するものではない。また処理方法は連続方式、バッチ方式のいずれであっても差し支えないが、工業的に行うためには連続方式の方が好ましい。
【0090】
ポリエステルのチップをバッチ方式で水処理する場合は、サイロタイプの処理槽が挙げられる。すなわちバッチ方式でポリエステルのチップをサイロへ受け入れ水処理を行う。ポリエステルのチップを連続方式で水処理する場合は、塔型の処理槽に継続的又は間欠的にポリエステルのチップを上部より受け入れ、水処理させることができる。
【0091】
水処理方法が連続方式の場合であってもバッチ方式の場合であっても、系外から導入する水の中に存在する粒径が1〜25μmの粒子の個数をX、ナトリウムの含有量をN、マグネシウムの含有量をM、カルシウムの含有量Cを、珪素の含有量をSとした場合、下記(5)〜(9)の少なくとも一つを満足させて水処理を行うのが望ましい。
1 ≦ X ≦ 50000 (個/10ml) (5)
0.001 ≦ N ≦ 1.0 (ppm) (6)
0.001 ≦ M ≦ 0.5 (ppm) (7)
0.001 ≦ C ≦ 0.5 (ppm) (8)
0.01 ≦ S ≦ 2.0 (ppm) (9)
【0092】
水処理槽に導入する水中の粒子個数、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、珪素の含有量のいずれかを上記範囲に設定することにより、スケ−ルと呼ばれる酸化物や水酸化物等の金属含有物質が処理水中に浮遊、沈殿、さらには処理槽壁や配管壁に付着したりし、これがポリエステルチップに付着、浸透して、成形時での結晶化が促進され、透明性の悪いボトルになることを防ぐことができる。
【0093】
以下に水処理に用いる、粒径1〜25μmの粒子を1〜50000個/10ml含む水を得る方法を例示する。
水中の粒子数を50000個/10ml以下にする方法としては、工業用水等の自然水を処理槽に供給するまでの工程の少なくとも1ヶ所以上に粒子を除去する装置を設置する。好ましくは自然界の水の採取口から、前記した処理槽、処理槽から排水した水を再度処理槽に戻す配管、ファイン除去装置等、水処理に必要な付帯設備を含めた処理装置に至るまでの間に粒子を除去する装置を設置し、処理装置に供給する水中の、粒径1〜25μmの粒子の含有量を1〜50000個/10mlにすることが好ましい。粒子を除去する装置としてはフィルタ−濾過装置、膜濾過装置、沈殿槽、遠心分離器、泡沫同伴処理機等が挙げられる。例えばフィルタ−濾過装置であれば、方式としてベルトフィルタ−方式、バグフィルタ−方式、カ−トリッジフィルタ−方式、スクリ−ンフィルタ−方式、遠心濾過方式等の濾過装置が挙げられる。中でも連続的に行うにはベルトフィルタ−方式、遠心濾過方式、バグフィルタ−方式、スクリ−ンフィルタ−方式の濾過装置が適している。またベルトフィルタ−方式の濾過装置であれば濾材としては、紙、金属、布等が挙げられる。また粒子の除去と処理水の流れを効率良く行なうため、フィルタ−の目のサイズは5〜100μm、好ましくは10〜70μm、さらに好ましくは15〜40μmがよい。
【0094】
また系外からの水中のナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素を前記の範囲に低減させるために、処理槽に工業用水が送られるまでの工程で少なくとも1ヶ所以上にナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素を除去する装置を設置する。また、粒子状になった二酸化珪素やアルミノ珪酸塩等の粘土鉱物を除去するためにはフィルタ−を設置する。ナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素を除去する装置としては、イオン交換装置、限外濾過装置などが挙げられる。
【0095】
水処理の方法が連続的、又はバッチ的のいずれの場合であっても、処理槽から排出した処理水のすべて、あるいは殆どを工業排水としてしまうと、新しい水が多量に入用であるばかりでなく、排水量増大による環境への影響が懸念される。即ち、処理槽から排出した少なくとも一部の処理水を、水処理槽へ戻して再利用することにより、必要な水量を低減し、また排水量増大による環境への影響を低減することが出来、さらには水処理槽へ返される排水がある程度温度を保持していれば、処理水の加熱量も小さく出来るため、処理層から排出された処理水は水処理層へ戻して再利用されることが好ましい。また、水を再利用させることで処理層中の処理水の流量を上げることができ、結果としてポリエステルチップに付着したファインを洗い流すことができるため、ファイン除去効果も生まれる。ここで、水処理槽から排出された後、再び処理槽に戻して再利用される処理水としては、水処理槽のオ−バ−フロ−口から排出された水と処理槽よりポリエステルチップと共に排出され、次いで前記チップから分離された処理水がある。
【0096】
しかし、水処理において処理槽から排出される処理水には、処理槽にポリエステルチップを受け入れる段階で既にポリエステルチップに付着しているファインや、水処理時にポリエステルチップ同士あるいは処理槽壁との摩擦で発生するポリエステルのファインが含まれている。また新しい処理水中にも無機物質由来の微粒子や腐敗植物、動物に起因する有機微粒子等が含まれている。
【0097】
したがって、処理槽から排出した処理水を再度処理槽へ戻して再利用すると、処理槽内の処理水に含まれるファイン量や微粒子量は次第に増加し、処理水中に含まれているファインや微粒子が処理槽壁や配管壁に付着して、配管を詰まらせる場合があった。
【0098】
また処理水中に含まれているファインや微粒子がポリエステルチップに付着し、この後、水分を乾燥除去する段階でポリエステルチップにファインや微粒子が付着あるいは浸透するため、ポリエステルのファインや微粒子の含有量が非常に多くなり、このようにして得られたポリエステルは結晶化速度が早くなるため、得られたボトルの透明性は悪くなり、またボトル口栓部結晶化時の結晶化度が過大となって口栓部の寸法が規格に入らなくなり、そのため口栓部のキャッピング不良、内容物の漏れが生じる場合があった。
【0099】
したがって、本発明において、水処理槽から排出された後、少なくともその一部を再度処理槽へ戻して再利用される処理水中に存在する粒径が1〜40μmの粒子を100000個/10ml以下、好ましくは80000個/10ml以下、さらに好ましくは50000個/10ml以下に維持するのが望ましい。ここでは、このようにして処理槽に戻して再利用される処理水をリサイクル水と称する。
【0100】
以下に前記リサイクル水中の粒径が1〜40μmの粒子数を100000個/10ml以下にする方法を例示するが、本発明はこの限りではない。前記リサイクル水中の粒径が1〜40μmの粒子数を100000個/10ml以下にする方法としては、処理槽から排出した処理水が再び処理槽に返されるまでの工程で少なくとも1ヶ所以上にファインと微粒子を除去する装置を設置する。ファインと微粒子を除去する装置としてはフィルタ−濾過装置、膜濾過装置、沈殿槽、遠心分離器、泡沫同伴処理機等が挙げられる。例えばフィルタ−濾過装置であれば、方式として自動自己洗浄方式、ベルトフィルタ−方式、バグフィルタ−方式、カ−トリッジフィルタ−方式、遠心濾過方式等の濾過装置が挙げられる。中でも連続的に行うにはベルトフィルタ−方式、遠心濾過方式、バグフィルタ−方式の濾過装置が適している。またベルトフィルタ−方式の濾過装置であれば濾材としては、紙、金属、布等が挙げられる。またファインの除去と処理水の流れを効率良く行なうため、フィルタ−の目のサイズは5〜100μm、好ましくは5〜70μm、さらに好ましくは5〜40μmがよい。
【0101】
また、系外から導入する水は、水処理槽からチップと共に排出され、次いで濾過等の処理を行ったあと再利用される処理水と一緒にして処理槽へ供給することも可能である。
またポリエステルのチップと水蒸気または水蒸気含有ガスとを接触させて処理する場合は、50〜150℃、好ましくは50〜110℃の温度の水蒸気または水蒸気含有ガスあるいは水蒸気含有空気を好ましくは粒状ポリエチレンテレフタレ−ト1kg当り、水蒸気として0.5g以上の量で供給させるか、または存在させて粒状ポリエチレンテレフタレ−トと水蒸気とを接触させる。
この、ポリエステルのチップと水蒸気との接触は、通常10分間〜2日間、好ましくは20分間〜10時間行われる。
【0102】
以下に粒状ポリエチレンテレフタレ−トと水蒸気または水蒸気含有ガスとの接触処理を工業的に行なう方法を例示するが、これに限定されるものではない。また処理方法は連続方式、バッチ方式のいずれであっても差し支えない。
【0103】
ポリエステルのチップをバッチ方式で水蒸気と接触処理をする場合は、サイロタイプの処理装置が挙げられる。すなわちポリエステルのチップをサイロへ受け入れ、バッチ方式で、水蒸気または水蒸気含有ガスを供給し接触処理を行なう。
【0104】
ポリエステルのチップを連続的に水蒸気と接触処理する場合は塔型の処理装置に連続で粒状ポリエチレンテレフタレ−トを上部より受け入れ、並流あるいは向流で水蒸気を連続供給し水蒸気と接触処理させることができる。
上記の如く、水又は水蒸気で処理した場合は粒状ポリエチレンテレフタレ−トを、例えば振動篩機、シモンカ−タ−などの水切り装置で水切りし、必要に応じて次の乾燥工程へ移送する。
【0105】
水又は水蒸気と接触処理したポリエステルのチップの乾燥は通常用いられるポリエステルの乾燥処理を用いることができる。連続的に乾燥する方法としては、上部よりポリエステルのチップを供給し、下部より乾燥ガスを通気するホッパ−型の通気乾燥機が通常使用される。
【0106】
バッチ方式で乾燥する乾燥機としては大気圧下で乾燥ガスを通気しながら乾燥してもよい。
乾燥ガスとしては大気空気でも差し支えないが、ポリエステルの加水分解や熱酸化分解による分子量低下を防止する点からは乾燥窒素、除湿空気が好ましい。
【0107】
また重縮合触媒を失活させる別の手段として、リン化合物を固相重合後のポリエステルの溶融物に添加、混合して重合触媒を不活性化する方法が挙げられる。
【0108】
固相重合ポリエステルにリン化合物を配合する方法としては、固相重合ポリエステルにリン化合物をドライブレンドする方法やリン化合物を溶融混練して配合したポリエステルマスタ−バッチチップと固相重合ポリエステルチップを混合する方法によって所定量のリン化合物をポリエステルに配合後、押出機や成形機中で溶融し、重縮合触媒を不活性化する方法等が挙げられる。
【0109】
使用されるリン化合物としては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸およびそれらの誘導体等が挙げられる。具体例としてはリン酸、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリエチルエステル、リン酸トリブチルエステル、リン酸トリフェニ−ルエステル、リン酸モノメチルエステル、リン酸ジメチルエステル、リン酸モノブチルエステル、リン酸ジブチルエステル、亜リン酸、亜リン酸トリメチルエステル、亜リン酸トリエチルエステル、亜リン酸トリブチルエステル、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチルエステル、エチルホスホン酸ジメチルエステル、フェニ−ルホスホン酸ジメチルエステル、フェニ−ルホスホン酸ジエチルエステル、フェニ−ルホスホン酸ジフェニ−ルエステル等であり、これらは単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0110】
また、溶融重縮合工程または固相重合工程以降のポリエステル、あるいは前記樹脂からなる部材と接触処理後のポリエステルと接触する気体として、粒径0.3〜5μmの粒子が1000000(個/立方フィ−ト)以下の、好ましくは500000(個/立方フィ−ト)以下、さらに好ましくは100000(個/立方フィ−ト)以下の、系外より導入される気体を使用することが望ましい。気体中の粒径5μmを超える粒子は、特に限定するものではないが、好ましくは5(個/立方フィ−ト)以下、さらに好ましくは1(個/立方フィ−ト)以下である。
【0111】
ポリエステルの製造工程において、溶融重縮合工程や固相重合工程等から篩分工程や気流分級工程等の各工程を経由してサイロ、成形機のホッパ−、輸送用コンテナ−等の容器に充填されるが、これらの工程間のポリエステルの輸送や乾燥には、一般に送風機等によって処理設備近辺の空気を工程に採りいれて使用される。従来は、このような空気は、これを未処理のままで使用するか、または、JIS B 9908(1991)で規定される形式3のような低性能フィルタユニットを装着した清浄機によって処理しただけで使用するのが一般的であった。しかし、このような工程で処理されたポリエステルからは、透明性が悪い成形体しか得られないという問題が生じる場合があった。特に、前記樹脂からなる部材との接触処理工程の前後において、ポリエステルと接触する気体として前記のような品質の空気を用いると、得られた成形体の結晶化速度や透明性等の変動が大となり問題となる可能性が大きい。
【0112】
したがって、本発明の前記樹脂からなる部材との接触処理によるポリエステルの製造方法においては、溶融重縮合後、固相重合後、水処理後あるいは前記樹脂からなる部材との接触処理後のポリエステルのうち、少なくとも一つのポリエステルが、次工程への輸送工程、篩分工程、貯蔵工程、容器充填工程のいづれか一つの工程において接触する気体として、粒径0.3〜5μmの粒子が1000000(個/立方フィ−ト)以下の系外より導入される気体を使用することが望ましい。
【0113】
なお、気体中の粒径0.3μm未満の粒子に関しては、特に規定するものではないが、透明な成形体を与える樹脂を得るためには、少ない方が好ましい。粒径0.3μm未満の粒子数としては好ましくは10000000(個/立方フィ−ト)以下、より好ましくは5000000(個/立方フィ−ト)以下、さらに好ましくは2000000(個/立方フィ−ト以下)である。
【0114】
以下に、系外から導入する気体中の粒径0.3〜5μmの粒子数を1000000(個/立方フィ−ト)以下に制御する方法を例示するが、本発明はこれに限定するものではない。
【0115】
系外から導入する気体中の粒径0.3〜5μmの粒子数を1000000(個/立方フィ−ト)以下にする方法としては、系外から導入する気体がポリエステルチップと接触するまでの工程中の少なくとも1ケ所以上に前記粒子を除去する清浄化装置を設置する。前記気体が処理設備近辺の空気の場合は、前記空気採りいれ口から送風機によって導入した空気がポリエステルチップと接触するまでの工程中に、JIS B 9908(1991)で規定される形式1又は/及び形式2のフィルタユニットを装着した気体清浄装置を設置し、前記空気中の粒径0.3〜5μmの粒子数を1000000(個/立方フィ−ト)以下にすることが好まし。また、前記空気採りいれ口にJIS B 9908(1991)で規定される形式3のフィルタユニットを装着した気体清浄装置を設置して、前記のフィルタユニットを装着した気体清浄装置と併用することによって前記のフィルタユニットの寿命を延ばすことが可能である。
【0116】
気体中の粒子を除去するJIS B 9908(1991)で規定される形式1の超高性能のフィルタ(以下、HEPAフィルタと略称する)ユニットの素材としては、ガラス繊維からなる濾紙が挙げられる。
【0117】
また、JIS B 9908(1991)で規定される形式2の高性能フィルタユニットの素材としては、ポリプロピレン繊維からなるフィルタやテフロン(R)フイルムとPET繊維布の積層体からのフィルタ等が挙げられる。
一般には、ポリプロピレン繊維製の静電フィルタが使用される。
【0118】
また、JIS B 9908(1991)で規定される形式3の低性能フィルタユニットの素材としては、PETやポリプロピレンからなる不織布等が挙げられる。
【0119】
本発明の製造方法により得られたポリエステルは、前記ポリエステルを溶融成形して得た厚さ2mmの成形体からの試験片の昇温時の結晶化温度(Tc1)が150〜168℃の範囲、好ましくは155〜165℃の範囲であるのが好ましい。Tc1が168℃を越える場合は、加熱結晶化速度が非常に遅くなり結晶化の改良効果が期待できない。また、Tc1が150℃未満の場合は、中空成形体の透明性が低下し問題となる。
【0120】
本発明の製造方法によって得られるポリエステルは、使用済みPETボトルをケミカルリサイクル法によって精製し回収したジメチルテレフタレートやテレフタル酸などの原料を少なくとも出発原料の一部として用いて得たPETや、使用済みPETボトルをメカニカルリサイクル法により精製し回収したフレーク状PETやチップ状PETなどと混合して用いることができる。
【0121】
本発明の製造方法によって得られるポリエステルには、必要に応じて他の添加剤、例えば、公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤、酸素吸収剤、酸素捕獲剤、外部より添加する滑剤や反応中に内部析出させた滑剤、離型剤、核剤、安定剤、帯電防止剤、顔料などの各種の添加剤を配合してもよい。
【0122】
また、本発明の製造方法によって得られるポリエステルをシ−ト等の用途に使用する場合には、滑り性、巻き性、耐ブロッキング性などのハンドリング性を改善するために、ポリエステル中に炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム等の無機粒子、蓚酸カルシウムやカルシウム、バリウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム等のテレフタル酸塩等の有機塩粒子やジビニルベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸またはメタクリル酸のビニル系モノマーの単独または共重合体等の架橋高分子粒子などの不活性粒子を含有させることが出来る。
【0123】
本発明の製造方法で得られるポリエステルを用いた中空成形体は、一般に用いられる溶融成形法、即ちインジェクションブロ−、ダイレクトブロ−、延伸ブロ−等の方法により成形することが出来る。
延伸中空成形体を製造する場合は、公知のホットパリソン法またはコ−ルドパリソン法等の方法を用いて本発明のポリエステルから、透明な、耐熱性に優れた中空成形体を作ることが出来る。
【0124】
本発明の製造方法によって得られるポリエステルを用いて延伸中空成形体を製造する場合は、先ず射出成形により予備成形体を成形し、次いでこれを延伸ブロ−成形してボトルに成形する。射出成形は、一般に約265〜約300℃の射出温度、約30〜約70kg/cm2 の射出圧力で実施し、予備成形体を成形する。この予備成形体の口栓部を熱処理して結晶化させる。このようにして得られた予備成形体を、コ−ルドパリソン法の場合は約80〜約120℃に予熱し、またホットパリソン法の場合は約80〜約120℃になるように冷却する。この予備成形体をブロ−金型中で約120〜約210℃にて延伸ブロ−成形し、次いで約0.5〜約30秒間熱処理する。延伸倍率は、通常、縦方向に1.3〜3.5倍、周方向に2〜6倍とするのがよい。
また、本発明の製造方法によって得られるポリエステルは、多層中空成形体用にも使用することが出来る。
【0125】
【実施例】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが本発明はこの実施例に限定されるものではない。
なお、主な特性値の測定法を以下に説明する。
【0126】
(1)ポリエステルチップの極限粘度(以下「IV」という)
1,1,2,2−テトラクロルエタン/フェノ−ル(2:3重量比)混合溶媒中30℃での溶液粘度から求めた。
ポリエステルチップの極限粘度を測定するための試料は、固相重合ポリエステルを冷凍粉砕して測定に供する。
また、下記(2)の方法で得られた「溶解したポリエステル」の極限粘度も同一条件で測定する。
【0127】
(2)ポリエステルチップ表層部およびチップ中心部の極限粘度(以下、それぞれ「IVs」、「IVc」という)
固相重合ポリエステル、4グラムをヘキサフロロイソプロパノ−ル100mlとクロロフォルム50mlの混合溶媒を入れた三角フラスコに入れ、25℃で所定時間静置して溶解処理を行う。所定時間溶解後、溶解したポリエステルを含む溶媒をナスフラスコに移し、未溶解ポリエステルチップはクロロホルムで洗浄し、この洗浄液をナスフラスコ中の溶媒に混合する。ナスフラスコ中の溶媒およびクロロホルムを蒸発して除去し、ナスフラスコに残ったポリエステル(以下「溶解したポリエステル」という)を採取して、加熱下に真空乾燥して溶媒等を除去し、重量(W)を求める。この「溶解したポリエステル」の極限粘度(IV)を(1)の方法で測定する。次いで、前記の未溶解ポリエステルチップは、再度上記と同様の操作により一定時間静置して溶解後、同様にして「溶解したポリエステル」の重量(W)および極限粘度(IV)を求める。静置時間を適当な間隔になるように4〜5点とり、各時間について上記と同様にして「溶解したポリエステル」の重量(W)および極限粘度(IV)を求める。
下記の式より、チップ中心からの重量%(W%)を求め、W%とこれに対応する「溶解したポリエステル」の極限粘度のグラフを書く。このグラフより、チップ中心からの重量%が20%に対応する極限粘度をチップ中心部の極限粘度(IVc)として、またチップ中心からの重量%が90%に対応する極限粘度をチップ表層部の極限粘度(IVs)として求める。
チップ中心からの重量%={1−(W+W+・・・・・・・・・+W)/W}−W/2W}×100
【0128】
(3)ポリエステルのジエチレングリコ−ル含有量(以下[DEG含有量」という)
メタノ−ルによって分解し、ガスクロマトグラフィ−によりDEG量を定量し、全グリコ−ル成分に対する割合(モル%)で表した。
【0129】
(4)ポリエステルの環状3量体の含有量(以下「CT含有量」という)
試料をヘキサフルオロイソプロパノ−ル/クロロフォルム混合液に溶解し、さらにクロロフォルムを加えて希釈する。これにメタノ−ルを加えてポリマ−を沈殿させた後、濾過する。濾液を蒸発乾固し、ジメチルフォルムアミドで定容とし、液体クロマトグラフ法よりエチレンテレフタレ−ト単位から構成される環状3量体を定量した。
【0130】
(5)ポリエステルのアセトアルデヒド含有量(以下「AA含有量」という)
試料/蒸留水=1グラム/2ccを窒素置換したガラスアンプルに入れた上部を溶封し、160℃で2時間抽出処理を行い、冷却後抽出液中のアセトアルデヒドを高感度ガスクロマトグラフィ−で測定し、濃度をppmで表示した。
【0131】
(6)ポリエステルの溶融時の環状3量体増加量(△CT量)
乾燥したポリエステルチップ3gをガラス製試験管に入れ、窒素雰囲気下で290℃のオイルバスに60分浸漬させ溶融させる。溶融時の環状3量体増加量は、次式により求める。
溶融時の環状3量体増加量(重量%)=溶融後の環状3量体含有量(重量%)−溶融前の環状3量体含有量(重量%)
【0132】
(7)ファインの含有量およびフイルム状物含有量の測定
樹脂約0.5kgを、JIS−Z8801による呼び寸法5.6mmの金網をはった篩(A)と呼び寸法1.7mmの金網をはった篩(直径20cm)(B)を2段に組合せた篩の上に乗せ、テラオカ社製揺動型篩い振トウ機SNF−7で1800rpmで1分間篩った。この操作を繰り返し、樹脂を合計20kg篩った。
前記の篩(A)上にフイルム状物とは別に、2個以上のチップがお互いに融着したものや正常な形状より大きなサイズに切断されたチップ状物が捕捉されている場合は、これらを除去した残りのフイルム状物および篩(B)の下にふるい落とされたファインは、別々にイオン交換水で洗浄し岩城硝子社製G1ガラスフィルターで濾過して集めた。これらをガラスフィルタ−ごと乾燥器内で100℃で2時間乾燥後、冷却して秤量した。再度、イオン交換水で洗浄、乾燥の同一操作を繰り返し、恒量になったことを確認し、この重量からガラスフィルタ−の重量を引き、ファイン重量およびフイルム状物の重量を求めた。ファイン含有量あるいはフイルム状物含有量は、ファイン重量またはフイルム状物重量/篩いにかけた全樹脂重量、である。これらの値より合計含有量を求める。
【0133】
(8)ファインの融解ピ−ク温度の測定
セイコ−電子工業(株)製の示差走査熱量計(DSC)、RDC−220を用いて測定。(7)において、
20kgのポリエステルから集めたファインを25℃で3日間減圧下に乾燥し、これから一回の測定に試料4mgを使用して昇温速度20℃/分でDSC測定を行い、融解ピ−ク温度の最も高温側の融解ピ−ク温度を求める。測定は最大10ケの試料について実施し、最も高温側の融解ピ−ク温度の平均値を求める。
【0134】
(9)ポリエステルチップの平均密度およびプリフォーム口栓部の密度
硝酸カルシュウム/水混合溶液の密度勾配管で30℃で測定した。
【0135】
(10)ヘイズ(霞度%)およびヘイズの最大値と最小値の差(以下「ヘイズのR」という)
下記(13)の成形体(肉厚5mm)および(14)の中空成形体の胴部(肉厚約0.45mm)より試料を切り取り、日本電色(株)製ヘイズメ−タ−、modelNDH2000で測定。
また、連続した1ヶ月の間、毎日サンプリングした試料について(13)の方法で成形した成形板(肉厚5mm)のヘイズを測定し、1ヶ月間の「ヘイズのR」は下記により求めた。
ヘイズのR(%)=1ヶ月間の成形板のヘイズの最大値−1ヶ月間の成形板のヘイズの最小値
【0136】
(11)成形体の昇温時の結晶化温度(Tc1)
セイコ−電子工業株式会社製の示差熱分析計(DSC)、RDC−220で測定。下記(13)の成形板の2mm厚みのプレ−トの中央部からの試料10mgを使用。昇温速度20度C/分で昇温し、その途中において観察される結晶化ピ−クの頂点温度を測定し、昇温時結晶化温度(Tc1)とする。
【0137】
(12)プリフォーム口栓部の加熱による密度上昇
プリフォーム口栓部を自家製の赤外線ヒ−タ−によって60秒間熱処理し、天面から試料を採取し密度を測定した。
【0138】
(13)段付成形板の成形
乾燥したポリエステルを名機製作所製M−150C(DM)射出成型機により、シリンダ−温度290℃において、10℃の水で冷却した段付平板金型(表面温度約22℃)を用い成形する。得られた段付成形板は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11mmの厚みの約3cm×約5cm角のプレ−トを階段状に備えたもので、1個の重量は約146gである。2mm厚みのプレ−トはTc1測定に、5mm厚みのプレ−トはヘイズ(霞度%)測定に使用する。
【0139】
(14)中空成形体の成形
ポリエステルを脱湿空気を用いた乾燥機で乾燥し、各機製作所製M−150C(DM)射出成型機により樹脂温度290℃でプリフォ−ムを成形した。このプリフォ−ムの口栓部を自家製の口栓部結晶化装置で加熱結晶化させた。次にこの予備成形体をCOPOPLAST社製のLB−01E成形機で縦方法に約2.5倍、周方向に約3.8倍の倍率に二軸延伸ブロ−し、引き続き約150℃に設定した金型内で熱固定し、容量が2000ccの容器(胴部肉厚0.45mm)を成形した。延伸温度は100℃にコントロ−ルした。
【0140】
(15)中空成形体からの内容物の漏れ評価
前記(14)で成形した中空成形体に90℃の温湯を充填し、キャッピング機によりキャッピングをしたあと容器を倒し放置後、内容物の漏洩を調べた。また、キャッピング後の口栓部の変形状態も調べた。
【0141】
(16)中空成形体の異物
下記(14)の中空成形体3本を目視で観察し、平均値を求め、下記のように評価した。
◎ : 異物が存在しない
○ : 異物の量が非常に少ない(中空成形体1本あたり0.5mm以下の大きさの異物が3個以下)
△ : 中空成形体1本あたり0.5mm以上の大きさの異物が5〜10個
× : 非常に沢山存在する(中空成形体1本あたり0.5mm以上の大きさの異物が10個以上)
【0142】
(17)チップ化工程の冷却水および水処理工程の導入水中のナトリウム含有量、カルシウム含有量、マグネシウム含有量および珪素含有量
粒子除去およびイオン交換済みの冷却水または導入水を採取し、岩城硝子社製1G1ガラスフィルタ−で濾過後、濾液を島津製作所製誘導結合プラズマ発光分析装置で測定。
【0143】
(18)チップ化工程の冷却水および水処理時導入水中およびリサイクル水中の粒子数の測定
粒子除去およびイオン交換済みの冷却水、導入水、または濾過装置(5)および吸着塔(8)で処理したリサイクル水を光遮断法による粒子測定器である株式会社セイシン企業製のPAC 150を用いて測定し、粒子数を個/10mlで表示した。
【0144】
(19)ポリエステルチップと接触する気体中の粒子数の測定
気体を強制的に送るための送風機等によって送られ、気体清浄装置を通過した気体をチップと接触する前に気体本流と分岐して粒子測定器に導入して測定する。5回測定を繰返し、平均値を求め、気体1立方フィ−ト当たりの個数を計算する。
粒子測定器としては、リオン株式会社製の光散乱式粒子測定器、KC−01Bを用いた。
【0145】
(実施例1)
予め反応物を含有している第1エステル化反応器に、高純度テレフタル酸とエチルグリコ−ルとのスラリ−を連続的に供給し、撹拌下、約250℃、0.5kg/cmGで平均滞留時間3時間反応を行った。この反応物を第2エステル化反応器に送付し、撹拌下、約260℃、0.05kg/cmGで所定の反応度まで反応を行った。また、結晶性二酸化ゲルマニウムを水に加熱溶解し、これにエチレングリコ−ルを添加加熱処理した触媒溶液および燐酸のエチレングリコ−ル溶液を別々にこの第2エステル化反応器に連続的に供給した。このエステル化反応生成物を連続的に第1重縮合反応器に供給し、撹拌下、約265℃、25torrで1時間、次いで第2重縮合反応器で撹拌下、約265℃、3torrで1時間、さらに最終重縮合反応器で撹拌下、約275℃、0.3〜1torrで重縮合させた。得られた溶融重縮合PETの極限粘度は0.59デシリットル/グラム、カルボキシル末端基濃度は9当量/トン(全末端基に対する割合は約8%)であった。
【0146】
工業用水(河川伏流水由来)をフィルタ−濾過装置、活性炭吸着装置およびイオン交換装置で処理した、粒径1〜25μmの粒子が約510個/10ml、ナトリウム含有量が0.03ppm、マグネシウム含有量が0.02ppm、カルシウム含有量が0.02ppm、珪素含有量が0.09ppmの導入水をチップ化工程の冷却水貯蔵タンクに導入する。連続的にストランド状に押出した前記の溶融重縮合PETを、前記のタンクからの20℃の冷却水で冷却しながらチップ化した後、貯蔵用サイロへ輸送し、次いで振動式篩分工程および気流分級工程によってファインおよびフイルム状物を除去することにより、これらの合計含有量を40ppm以下とし、次いで連続式固相重合装置へ輸送した。窒素雰囲気下、約155℃で結晶化し、さらに窒素雰囲気下で約200℃に予熱後、連続固相重合反応器に送り窒素雰囲気下で約205℃で固相重合し、1分以内にチップ温度が50℃以下になるように急冷した。前記の固相重合PETチップを振動式篩分工程および気流分級工程によって処理し、ファイン含有量を45ppmとした。また環状3量体増加量は0.40重量%であった。
【0147】
次いで気流分級工程のあとに設置した輸送用容器充填工程に接続するSUS304製の輸送配管の一部に、直鎖状低密度ポリエチレン(MI=約0.9g/10分、密度=約0.923g/cm)製の内径70mm、長さ700mmの円筒パイプを接続した輸送配管内を約3トン/時で輸送し接触処理を行った。ポリエステルチップの単位時間当たり処理量(トン/時)に対する円筒パイプの表面積(cm)の比Aは、約513であった。接触処理後、気流分級工程でさらに処理した。
【0148】
得られたPETの極限粘度は0.74デシリットル/グラム、DEG含有量は2.7モル%、環状3量体の含有量は0.34重量%、チップ表層部の極限粘度(IVs)とチップ極限粘度(IV)の比は1.20、チップ中心部の極限粘度(IVc)とチップ極限粘度(IV)の比は0.95、平均密度は1.403g/cm、AA含有量は3.3pm、ファイン含有量は約45ppm、ファインの融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度は245℃、ポリエチレン含有量は約10ppbであった。
【0149】
チップ化工程からの排出水を濾材が紙製の30μmの連続式フィルターであるファイン除去装置で処理後、前記の冷却水貯蔵タンクにほぼ全量を戻して前記の導入水と混合する。この冷却水を連続的に循環させながら不足分を系外から補給して冷却水として使用する。
なお、溶融重縮合PETチップや固相重合PETチップを輸送用容器や保管用容器に充填、貯蔵するまでにチップと接触する空気として、JIS B 9908(1991)の形式3のPET不織布製フィルタユニットを装着した空気清浄機及びJIS B 9908(1991)の形式1の粒子捕集率99%以上のHEPAフィルタユニットを装着した空気清浄機で濾過した空気(粒径0.3〜5μmの粒子数は約500個/立方フィ−ト)を使用した。
【0150】
このPETについて、前記の(13)および(14)の方法により成形板及び二軸延伸成形ボトルによる評価を実施した。
段付成形板(5mm厚み)のヘイズは4.5%、ヘイズのRは0.5%、Tc1は165℃であり、またボトルの口栓部の密度は1.377g/cm、ボトルの異物は、「◎(異物が存在しない)」であり、問題なかった。ボトルの透明性も1.0%と良好であった。また、内容物の漏れ試験でも、問題はなく、口栓部の変形もなかった。
【0151】
なお、実施例1、2および比較例1、2の固相重合反応には、それぞれの実施例や比較例ごとに、オ−バ−ホ−ルし、清浄化した連続固相重合装置を用い、また連続生産開始から3ヶ月目の固相重合PETを成形評価やボトル成形評価に用いた。
【0152】
(実施例2)
実施例1で得られた、PE接触処理前の固相重合PETを、次のようにして水処理した。
処理槽上部の原料チップ供給口(1)、処理槽の処理水上限レベルに位置するオ−バ−フロ−排出口(2)、処理槽下部のポリエステルチップと処理水の混合物の排出口(3)、オ−バ−フロ−排出口から排出された処理水と、処理槽下部の排出口から排出されたポリエステルチップの水切り装置(4)を経由した処理水が、濾材が紙の連続式フィルタ−であるファイン濾過除去装置(5)および吸着塔(8)を経由して再び水処理槽へ送られる配管(6)、ISP社製のGAFフィルタ−バッグPE−1P2S(ポリエステルフェルト、濾過精度1μm)である水中の粒子除去装置とイオン交換装置を経由した、系外からの新しいイオン交換水をこの配管(6)の途中の導入口(9)に導入して得た水の導入口(7)を備えた内容量50mの塔型の、図1に示す処理槽を使用してポリエチレンテレフタレ−ト(以下、PETと略称)チップを連続的に水処理した。
【0153】
前記の固相重合PETチップを振動式篩分工程および気流分級工程によって処理し、ファイン及びフイルム状物の含有量を約40ppmとした後、処理水温度95℃にコントロ−ルされた処理槽の上部の供給口(1)から連続投入し、水処理時間3時間で水処理槽下部の排出口(3)からPETチップを処理水と共に連続的に抜出しながら水処理を行った。上記処理装置のイオン交換水導入口(9)の手前で採取した導入水中の粒径1〜25μmの粒子含有量は約1600個/10ml、ナトリウム含有量が0.02ppm、マグネシウム含有量が0.02ppm、カルシウム含有量が0.03ppm、珪素含有量が0.08ppmであり、また濾過装置(5)および吸着塔(8)で処理後のリサイクル水の粒径1〜40μmの粒子数は約18000個/10mlであった。
【0154】
水処理後、加熱した乾燥空気で連続的に乾燥し、引き続き振動式篩分工程および気流分級工程で処理してファイン及びフイルム状物を除去し、その合計含有量を約40ppmとした。環状3量体増加量は0.04重量%、ファイン等の融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度は245℃であった。
実施例1と同一の設備および方法によりポリエチレンとの接触処理およびファイン等除去処理を行った。
【0155】
得られたPETの極限粘度は0.74デシリットル/グラム、DEG含有量は2.7モル%、環状3量体の含有量は0.34重量%、平均密度は1.403g/cm、AA含有量は3.3ppm、ファイン含有量は約45ppm、ポリエチレン含有量は約10ppbであった。
また、固相重合したPETチップをそれ以降の工程へ送る空気および乾燥用の除湿空気として、JIS B 9908(1991)の形式3のPET不織布製フィルタユニットを装着した空気清浄機及びJIS B 9908(1991)の形式1の粒子捕集率99%以上のHEPAフィルタユニットを装着した空気清浄機で濾過した空気(粒径0.3〜5μmの粒子数は530個/立方フィ−ト)を使用した。
【0156】
このPETについて成形板及び二軸延伸成形ボトルによる評価を実施した。結果を表1に示す。
成形板のヘイズは5.0%、ヘイズのRは0.5%、Tc1は161℃、口栓部の密度は1.379g/cmと問題のない値であり、ボトルの異物は、「◎(異物が存在しない)」であり、ボトルの透明性も1.1%と良好であった。
また、内容物の漏れ試験でも、問題はなく、口栓部の変形もなかった。ボトルのAA含有量は16.0ppmと問題のない値であった。5000本以上の連続延伸ブロ−成形を実施したが、金型汚れは認められず、またボトルの透明性も良好であった。
【0157】
(比較例1)
エステル化条件および溶融重縮合条件を変更する以外は実施例1と同様にして極限粘度が0.50デシリットル/グラム、カルボキシル末端基濃度は38当量/トン(全末端基に対する割合は約25%)の溶融重縮合PETを得た。次いで振動式篩分工程および気流分級工程によってファインおよびフイルム状物を除去することにより、これらの合計含有量を40ppm以下とし、次いで連続式固相重合装置へ輸送した。窒素雰囲気下、約155℃で結晶化し、さらに窒素雰囲気下で約200℃に予熱後、連続固相重合反応器に送り窒素雰囲気下で約220℃で固相重合し、窒素気流下に徐冷した。この固相重合PETを実施例1と同様にしてファイン等除去処理後、実施例1と同一の方法及び条件でポリエチレンとの接触処理を行った。
【0158】
得られたPETの極限粘度は0.75デシリットル/グラム、DEG含有量は2.7モル%、環状3量体の含有量は0.32重量%、チップ表層部の極限粘度(IVs)とチップ極限粘度(IV)の比は1.55、チップ中心部の極限粘度(IVc)とチップ極限粘度(IV)の比は0.88、平均密度は1.402g/cm、AA含有量は3.0pm、ファイン含有量は約50ppm、ファインの融解ピ−ク温度のもっとも高温側のピ−ク温度は247℃、ポリエチレン含有量は約10ppbであった。
【0159】
成形板のTc1は低く、ヘイズおよびヘイズのRは大きく、ボトルの透明性は問題があり、口栓部の結晶化速度が速すぎ、ボトルの異物は「×(非常に沢山存在する)」で、商品価値のないものであった。また、内容物の漏れ試験では内容物の漏れが認められた。ボトルの胴部ヘイズは8.9%と非常に高く問題があった。
【0160】
(比較例2)
実施例1で使用したイオン交換装置を使用せずに工業用水をそのままチップ化時の冷却水として使用する以外は比較例1と同様にして溶融重縮合ポリエステルを得、次いで固相重合し、引き続きPE接触処理を実施後、成形に供した。
チップ化時の冷却水として使用した工業用水中に含まれる粒径1〜25μmの粒子は約600000〜850000個/10ml、ナトリウム含有量が6.0〜7.5ppm、マグネシウム含有量が2.0〜3.5ppm、カルシウム含有量が3.4〜6.0ppm、珪素含有量が12.0〜15.8ppmであった。このPET中に含有されるファイン等の融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度は、275℃であった。
【0161】
得られたPET、これを成形した成形板及び二軸延伸成形ボトルの特性を表1に示す。
得られたPETの極限粘度は0.75デシリットル/グラム、DEG含有量は2.7モル%、環状3量体の含有量は0.30重量%、平均密度は1.402g/cm、AA含有量は3.2ppm、ファイン含有量は約40ppmであった。
【0162】
成形板のTc1は低く、ヘイズおよびヘイズのRは大きく、ボトルの透明性は問題があり、口栓部の結晶化速度が速すぎ、ボトルの異物は「×(非常に沢山存在する)」で、商品価値のないものであった。また、内容物の漏れ試験では内容物の漏れが認められた。ボトルの胴部ヘイズは20.8%と非常に高く問題があった。
【0163】
【表1】
Figure 0003613685
【0164】
【発明の効果】
本発明のポリエステルの製造方法によれば、透明性やフレ−バ性に優れ、異物をほとんど含まない中空成形体等を与え、また操業性の改善されたポリエステルを有利に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いた水処理装置の概略図
【符号の説明】
1 原料チップ供給口
2 オ−バ−フロ−排出口
3 ポリエステルチップと処理水との排出口
4 水切り装置
5 ファイン除去装置
6 配管
7 リサイクル水または/およびイオン交換水の導入口
8 吸着塔
9 イオン交換水導入口

Claims (8)

  1. 主たる繰返し単位がエチレンテレフタレ−トである固相重合ポリエステルのチップを、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタ−ル樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂からなる部材と流動条件下において接触処理させるポリエステルの製造方法であって、前記ポリエステルのチップ表層部の極限粘度(IVs)と前記チップの極限粘度(IV)の比が1.10〜1.30であり、かつ前記ポリエステルのチップ中心部の極限粘度(IVc)と前記チップの極限粘度(IV)の比が0.90〜0.97であることを特徴とするポリエステルの製造方法。
  2. 前記接触処理前および/または前記接触処理後のポリエステルのファイン含有量、フイルム状物含有量、あるいはファイン含有量とフイルム状物含有量の合計含有量のいずれかの含有量が、300ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルの製造方法。
  3. 前記接触処理前および/または前記接触処理後のポリエステル中に含まれるファインの融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度が、265℃以下であることを特徴とする請求項12のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
  4. 前記ポリエステルが、溶融重縮合後のチップ化工程において、ナトリウムの含有量(N)、マグネシウムの含有量(M)、珪素の含有量(S)及びカルシウムの含有量(C)が下記の(1)〜(4)の少なくとも1つを満足する冷却水を用いてチップ化されたポリエステルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
    N ≦ 1.0(ppm) (1)
    M ≦ 0.5(ppm) (2)
    S ≦ 2.0(ppm) (3)
    C ≦ 1.0(ppm) (4)
  5. 前記部材との接触処理前のポリエステルは、290℃の温度で60分間溶融したときの環状3量体増加量が0.50重量%以下であることを特徴とする請求項
    1〜4のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
  6. 前記部材との接触処理前のポリエステルは、290℃の温度で60分間溶融したときの環状3量体増加量が0.30重量%以下であることを特徴とする請求項5記載のポリエステルの製造方法。
  7. 前記の部材が、ポリエステルチップの気力輸送用の配管、ポリエステルチップの重力輸送用配管、ポリエステルチップの移送経路に設置された棒状、板状または網状体からなる群から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
  8. 主たる繰返し単位がエチレンテレフタレ−トである固相重合ポリエステルのチップを、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタ−ル樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂からなる部材と流動条件下において接触処理してなるポリエステルであって、前記ポリエステルのチップ表層部の極限粘度(IVs)と前記チップの極限粘度(IV)の比が1.10〜1.30であり、かつ前記ポリエステルのチップ中心部の極限粘度(IVc)と前記チップの極限粘度(IV)の比が0.90〜0.97であることを特徴とするポリエステル。
JP2002279700A 2001-09-25 2002-09-25 ポリエステルの製造方法及びそれによって得られるポリエステル Expired - Fee Related JP3613685B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002279700A JP3613685B2 (ja) 2001-09-25 2002-09-25 ポリエステルの製造方法及びそれによって得られるポリエステル

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001292217 2001-09-25
JP2001-292217 2001-09-25
JP2002279700A JP3613685B2 (ja) 2001-09-25 2002-09-25 ポリエステルの製造方法及びそれによって得られるポリエステル

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2003171457A JP2003171457A (ja) 2003-06-20
JP3613685B2 true JP3613685B2 (ja) 2005-01-26
JP2003171457A5 JP2003171457A5 (ja) 2005-05-19

Family

ID=26622835

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002279700A Expired - Fee Related JP3613685B2 (ja) 2001-09-25 2002-09-25 ポリエステルの製造方法及びそれによって得られるポリエステル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3613685B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006002123A (ja) * 2004-06-21 2006-01-05 Toyobo Co Ltd ポリエステル組成物及びそれからなるポリエステル成形体
JP2006002122A (ja) * 2004-06-21 2006-01-05 Toyobo Co Ltd ポリエステル組成物及びそれからなるポリエステル成形体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003171457A (ja) 2003-06-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3741095B2 (ja) ポリエステル組成物並びにそれからなるポリエステル成形体
JP2003306541A (ja) ポリエステルの製造方法
JP2003306540A (ja) ポリエステルの製造方法
JP3613685B2 (ja) ポリエステルの製造方法及びそれによって得られるポリエステル
JP3698256B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP3685328B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP2004300428A (ja) ポリエステル樹脂組成物およびそれからなるポリエステル成形体
JP2003206346A (ja) ポリエステル組成物の製造方法
JP3698258B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP3698257B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP4009902B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP2002173524A (ja) ポリエステル、それからなる中空成形体、シ−ト状物および延伸フイルム
JP2003160657A (ja) ポリエステルの製造方法
JP3659411B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP2003119275A (ja) ポリエステルの製造方法
JP3659410B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP3685325B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP2002332340A (ja) ポリエステルの製造方法
JP2002173528A (ja) ポリエステルの製造方法
JP2005247886A (ja) ポリエステル組成物ならびにそれからなるポリエステル成形体
JP2003012788A (ja) ポリエステルの製造方法
JP2003012789A (ja) ポリエステルの製造方法
JP2003137992A (ja) ポリエステルの製造方法
JP2003192777A (ja) ポリエステルの製造方法
JP2004059909A (ja) ポリエステルの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20040223

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040707

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040707

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20040707

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20040727

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040810

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040903

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20041005

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20041018

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071112

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081112

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081112

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091112

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091112

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101112

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111112

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111112

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121112

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121112

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131112

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees