JP3591521B2 - ポリエステルの乾燥方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボトルをはじめとして、フィルム、シート成形用などに用いられるポリエステルの乾燥方法に関するものである。特に、得られた成形体の透明性および結晶化コントロ−ル性に優れたポリエステルの乾燥方法に関する。また成形体に異味、異臭が発生しにくく、かつ成形時に金型汚れが発生しにくいポリエステルを得るために水と接触処理したポリエステルに適した乾燥方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
調味料、油、飲料、化粧品、洗剤などの容器の素材としては、充填内容物の種類およびその使用目的に応じて種々の樹脂が採用されている。
これらのうちでポリエステルは機械的強度、耐熱性、透明性およびガスバリヤー性に優れているので、特にジュース、清涼飲料、炭酸飲料などの飲料充填用容器の素材として最適である。
【0003】
このようなポリエステルは射出成形機械などの成形機に供給して中空成形体用プリフォームを成形し、このプリフォームを所定形状の金型に挿入し延伸ブロー成形した後ボトルの胴部を熱処理(ヒートセット)して中空成形容器に成形され、さらには必要に応じてボトルの口栓部を熱処理(口栓部結晶化)させるのが一般的である。
【0004】
ところが、従来のポリエステルには、環状三量体などのオリゴマー類が含まれており、このオリゴマー類が金型内面や金型のガスの排気口、排気管に付着することによる金型汚れが発生しやすかった。
【0005】
このような金型汚れは、得られるボトルの表面肌荒れや白化の原因となる。もしボトルが白化してしまうと、そのボトルは廃棄しなければならない。このため金型汚れを頻繁に除去しなければならず、ボトルの生産性が低下してしまうという問題点があった。
【0006】
これらの解決方法として、特開平3−174441号公報にはポリエステルを水処理する方法が開示されている。
【0007】
ポリエステルを空気雰囲気下に長時間放置しておくと平衡水分率に近い水分を含有し、特に溶融重合品は早く平衡水分に到達する。また水と接触処理を受けたポリエステルの水分率は約0.5〜数重量%と高くなる。したがって、これらのポリエステルはこのままでは成形に適さないので、乾燥することが必要である。従来、このようなポリエステルの乾燥には、バッチ式真空乾燥機、攪拌機付きのホッパ−型乾燥機等を用いて乾燥していた。しかし、この乾燥時及びその前後の輸送時に、ファインやフイルム状物が非常に多く発生し、このため成型時での結晶化が早過ぎ、透明性の悪いボトルになってしまうという問題があった。また口栓部結晶化による口栓部の収縮が規格内に納まらずにキャッピング不良となる問題もあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記の従来技術の問題点を解決し、かつ乾燥時のポリエステルの極限粘度の低下や色調の変化を起さずに水分率の高いポリエステルを乾燥することができる乾燥方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のポリエステルの乾燥方法は、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレ−トから構成される未乾燥ポリエステルを気体と接触させて乾燥させる乾燥工程と乾燥されたポリエステルからファイン及び/またはフイルム状物を除去するファイン等除去処理工程を含み、得られる乾燥ポリエステルが含有するファインおよび/またはフイルム状物の融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度が265℃以下であり、該乾燥ポリエステルのファイン含有量、フイルム状物含有量、あるいはファイン含有量とフイルム状物含有量の合計含有量のいずれかの含有量が500ppm以下であることを特徴とする。
この場合において、該乾燥ポリエステルのファイン含有量、フイルム状物含有量、あるいはファイン含有量とフイルム状物含有量の合計含有量のいずれかの含有量が100ppm以下、さらには、80ppm以下、さらには、6ppm以下であることができる。
【0010】
ここで、下記に記載するように、ファイン等の融点は示差走査熱量計(DSC)を用いて測定するが、DSCの融解ピ−ク温度を融点と呼ぶ。そして、この融点を表す融解ピ−クは、1つ、またはそれ以上の複数の融解ピ−クから構成される。本発明では、該ピ−ク温度が1つの場合は、このピ−ク温度に、また該ピ−ク温度が複数の場合には、これらの複数の融解ピ−クの内、最も高温側の融解ピ−ク温度に注目する。
【0011】
また下記に記載するように、ファインやフイルム状物の融点は示差走査熱量計(DSC)を用いて測定し、DSCの融解ピ−ク温度を融点と呼ぶ。そして、この融点を表す融解ピ−クは、1つ、またはそれ以上の複数の融解ピ−クから構成され、本発明では、融解ピークが1つの場合には、そのピーク温度を、また融解ピ−クが複数個の場合には、これらの複数の融解ピ−クの内、最も高温側の融解ピ−ク温度を、「ファインまたはフイルム状物の融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度」と称して、実施例等においては「ファインの融点」、「フイルム状物の融点」とする。
【0012】
この場合において、該乾燥工程が、塔型乾燥装置と冷却装置とを含むことができる。
【0013】
この場合において、該冷却装置のポリエステル排出口側に設置した気体供給口から連続的に供給される冷却用気体(a)を乾燥ポリエステルと接触後該冷却装置のポリエステル供給口側に設置した気体排出口から排出させ、次いでこれを必要に応じて50〜140℃の温度に加熱したあと初期乾燥用気体(b)として該塔型乾燥装置の中間部に設置した気体供給口から連続的に供給し、また50〜170℃の温度に加熱した除湿気体(c)を該塔型乾燥装置の下部に設置した除湿気体供給口から連続的に供給してポリエステルと接触後、該初期乾燥用気体(b)と共に該塔型乾燥装置の上部に設置した気体排出口から排出させて未乾燥ポリエステルを乾燥することができる。
【0014】
この場合において、乾燥されたポリエステルの水分率が2000ppmを越えないことができる。
この場合において、該冷却用気体(a)が除湿されていることができる。
この場合において、乾燥装置および冷却装置に供給する気体として、粒径0.3〜5μmの粒子が3.53×10 個/m (1000000個/立方フィ−ト)以下の気体を使用することができる。
【0015】
この場合において、該未乾燥ポリエステルが含有するファインおよび/またはフイルム状物の融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度が265℃以下であり、該未乾燥ポリエステルのファイン含有量、フイルム状物含有量、あるいはファイン含有量とフイルム状物含有量の合計含有量のいずれかの含有量が500ppm以下であることができる。
【0016】
この場合において、該未乾燥ポリエステルの極限粘度が0.55〜1.50デシリットル/グラム、アセトアルデヒド含有量が10ppm以下、環状3量体含有量が0.50重量%以下であることができる。
またこの場合において、該未乾燥ポリエステルが水と接触処理したものであることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係るポリエステルは、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレ−トであるポリエステルであって、好ましくはエチレンテレフタレ−ト単位を85モル%以上含む線状ポリエステルであり、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上含む線状ポリエステルである。
【0018】
前記ポリエステルが共重合体である場合に使用される共重合成分としてのジカルボン酸としては、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニ−ル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシ酸及びその機能的誘導体、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、ダイマ−酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸及びその機能的誘導体などが挙げられる。
【0019】
前記ポリエステルが共重合体である場合に使用される共重合成分としてのグリコ−ルとしては、ジエチレングリコ−ル、トリメチレングリコ−ル、テトラメチレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル等の脂肪族グリコ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族グリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリブチレングリコ−ル等のポリアルキレングリコ−ル、ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族グリコ−ルなどが挙げられる。
【0020】
さらに、前記ポリエステルが共重合体である場合に使用される共重合成分としての多官能化合物としては、酸成分として、トリメリット酸、ピロメリット酸等を挙げることができ、グリコ−ル成分としてグリセリン、ペンタエリスリト−ルを挙げることができる。以上の共重合成分の使用量は、ポリエステルが実質的に線状を維持する程度でなければならない。また、単官能化合物、例えば安息香酸、ナフトエ酸等を共重合させてもよい。
【0021】
上記のポリエステルは、従来公知の製造方法によって製造することが出来る。即ち、PETの場合には、テレフタ−ル酸とエチレングリコ−ル及び必要により他の共重合成分を直接反応させて水を留去しエステル化した後、減圧下に重縮合を行う直接エステル化法、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコ−ル及び必要により他の共重合成分を反応させてメチルアルコ−ルを留去しエステル交換させた後、減圧下に重縮合を行うエステル交換法により製造される。さらに必要に応じて極限粘度を増大させ、アセトアルデヒド含有量等を低下させる為に固相重合を行ってもよい。固相重合前の結晶化促進のため、溶融重合ポリエステルを吸湿させたあと加熱結晶化させたり、また水蒸気を直接ポリエステルチップに吹きつけて加熱結晶化させたりしてもよい。
【0022】
前記溶融重縮合反応は、回分式反応装置で行っても良いし、また連続式反応装置で行っても良い。これらいずれの方式においても、溶融重縮合反応は1段階で行っても良いし、また多段階に分けて行っても良い。固相重合反応は、溶融重縮合反応と同様、回分式装置や連続式装置で行うことが出来る。溶融重縮合と固相重合は連続で行っても良いし、分割して行ってもよい。
【0023】
以下にはポリエチレンテレフタレ−トを例にして連続方式での好ましい製造方法の一例について説明する。
まず、エステル化反応により低重合体を製造する場合について説明する。テレフタル酸またはそのエステル誘導体1モルに対して1.02〜1.5モル、好ましくは1.03〜1.4モルのエチレングリコ−ルが含まれたスラリ−を調整し、これをエステル化反応工程に連続的に供給する。
【0024】
エステル化反応は、少なくとも2個のエステル化反応器を直列に連結した多段式装置を用いてエチレングリコ−ルが還流する条件下で、反応によって生成した水またはアルコ−ルを精留塔で系外に除去しながら実施する。第1段目のエステル化反応の温度は240〜270℃、好ましくは245〜265℃、圧力は0.2〜3kg/cmG、好ましくは0.5〜2kg/cmGである。最終段目のエステル化反応の温度は通常250〜280℃好ましくは255〜275℃であり、圧力は通常0〜1.5kg/cmG、好ましくは0〜1.3kg/cmGである。3段階以上で実施する場合には、中間段階のエステル化反応の反応条件は、上記第1段目の反応条件と最終段目の反応条件の間の条件である。これらのエステル化反応の反応率の上昇は、それぞれの段階で滑らかに分配されることが好ましい。最終的にはエステル化反応率は90%以上、好ましくは93%以上に達することが望ましい。これらのエステル化反応により分子量500〜5000程度の低次縮合物が得られる。
【0025】
上記エステル化反応は原料としてテレフタル酸を用いる場合は、テレフタル酸の酸としての触媒作用により無触媒でも反応させることができるが重縮合触媒の共存下に実施してもよい。
【0026】
また、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ベンジルジメチルアミンなどの第3級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウムなどの水酸化第4級アンモニウムおよび炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウムなどの塩基性化合物を少量添加して実施すると、ポリエチレンテレフタレ−トの主鎖中のジオキシエチレンテレフタレ−ト成分単位の割合を比較的低水準(全ジオ−ル成分に対して5モル%以下)に保持できるので好ましい。
【0027】
次に、エステル交換反応によって低重合体を製造する場合は、テレフタル酸ジメチル1モルに対して1.1〜1.6モル、好ましくは1.2〜1.5モルのエチレングリコ−ルが含まれた溶液を調整し、これをエステル交換反応工程に連続的に供給する。
【0028】
エステル交換反応は、1〜2個のエステル交換反応器を直列に連結した装置を用いてエチレングリコ−ルが還留する条件下で、反応によって生成したメタノ−ルを精留塔で系外に除去しながら実施する。第1段目のエステル交換反応の温度は180〜250℃、好ましくは200〜240℃である。最終段目のエステル交換反応の温度は通常230〜270℃、好ましくは240〜265℃であり、エステル交換触媒として、Zn,Cd,Mg,Mn,Co,Ca,Baなどの脂肪酸塩、炭酸塩やPb,Zn,Sb,Ge酸化物等を用いる。これらのエステル交換反応により分子量約200〜500程度の低次縮合物が得られる。
【0029】
次いで得られた低次縮合物は多段階の液相縮重合工程に供給される。重縮合反応条件は、第1段階目の重縮合の反応温度は250〜290℃、好ましくは260〜280℃であり、圧力は500〜20Torr、好ましくは200〜30Torrで、最終段階の重縮合反応の温度は265〜300℃、好ましくは275〜295℃であり、圧力は10〜0.1Torr、好ましくは5〜0.5Torrである。3段階以上で実施する場合には、中間段階の重縮合反応の反応条件は、上記第1段目の反応条件と最終段目の反応条件の間の条件である。これらの重縮合反応工程の各々において到達される極限粘度の上昇の度合は滑らかに分配されることが好ましい。
【0030】
重縮合反応は、重縮合触媒を用いて行う。重縮合触媒としては、Ge、Sb、Ti、またはAlの化合物が用いられるが、Ge化合物とTi化合物、Ge化合物とAl化合物、Sb化合物とTi化合物、Sb化合物とGe化合物の混合触媒の使用も好都合である。これらの化合物は、粉体、水溶液、エチレングリコ−ル溶液、エチレングリコ−ルのスラリ−等として反応系に添加される。
【0031】
Ge化合物としては、無定形二酸化ゲルマニウム、結晶性二酸化ゲルマニウム粉末またはエチレングリコ−ルのスラリ−、結晶性二酸化ゲルマニウムを水に加熱溶解した溶液またはこれにエチレングリコ−ルを添加加熱処理した溶液等が使用されるが、特に本発明で用いるポリエステルを得るには二酸化ゲルマニウムを水に加熱溶解した溶液、またはこれにエチレングリコ−ルを添加加熱した溶液を使用するのが好ましい。これらの重縮合触媒はエステル化工程中に添加することができる。Ge化合物を使用する場合、その使用量はポリエステル中のGe残存量として10〜150ppm、好ましくは13〜100ppm、更に好ましくは15〜70ppmである。
【0032】
Ti化合物としては、テトラエチルチタネ−ト、テトライソプロピルチタネ−ト、テトラ−n−プロピルチタネ−ト、テトラ−n−ブチルチタネ−ト等のテトラアルキルチタネ−トおよびそれらの部分加水分解物、蓚酸チタニル、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルナトリウム、蓚酸チタニルカリウム、蓚酸チタニルカルシウム、蓚酸チタニルストロンチウム等の蓚酸チタニル化合物、トリメリット酸チタン、硫酸チタン、塩化チタン等が挙げられる。Ti化合物は、生成ポリマ−中のTi残存量として0.1〜10ppmの範囲になるように添加する。
【0033】
Sb化合物としては、三酸化アンチモン、酢酸アンチモン、酒石酸アンチモン、酒石酸アンチモンカリ、オキシ塩化アンチモン、アンチモングリコレ−ト、五酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン等が挙げられる。
Sb化合物は、生成ポリマ−中のSb残存量として50〜250ppmの範囲になるように添加する。
【0034】
また、Al化合物としては、蟻酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、蓚酸アルミニウム等のカルボン酸塩、酸化物、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、炭酸アルミニウム等の無機酸塩、アルミニウムメトキサイド、アルミニウムエトキサイド等のアルミニウムアルコキサイド、アルミニウムアセチルアセトネ−ト、アルミニウムアセチルアセテ−ト等とのアルミニウムキレ−ト化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物およびこれらの部分加水分解物等があげられる。これらのうち酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、およびアルミニウムアセチルアセトネ−トが特に好ましい。Al化合物は、生成ポリマ−中のAl残存量として5〜200ppmの範囲になるように添加する。
【0035】
また、本発明においては、アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物を併用してもよい。アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物は、これら元素の酢酸塩等のカルボン酸塩、アルコキサイド等があげられ、粉体、水溶液、エチレングリコ−ル溶液等として反応系に添加される。アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物は、生成ポリマ−中のこれらの元素の残存量として1〜50ppmの範囲になるように添加する。
【0036】
また、安定剤として種々のP化合物を使用することができる。本発明で使用されるP化合物としては、リン酸、亜リン酸およびそれらの誘導体等が挙げられる。具体例としてはリン酸、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリエチルエステル、リン酸トリブチルエステル、リン酸トリフェニ−ルエステル、リン酸モノメチルエステル、リン酸ジメチルエステル、リン酸モノブチルエステル、リン酸ジブチルエステル、亜リン酸、亜リン酸トリメチルエステル、亜リン酸トリエチルエステル、亜リン酸トリブチルエステル等であり、これらは単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。P化合物は、生成ポリマ−中のP残存量として1〜1000ppmの範囲になるように前記のポリエステル生成反応工程の任意の段階で添加することができる。
【0037】
前記の最終重縮合反応器より得られた溶融ポリエステルは、ダイスより水中に押出されて水中でカットする方式、あるいは大気中に押出された後、直ちに冷却水で冷却しながらカットする方式等によってチップ化される。
【0038】
ポリエステルのチップの形状は、シリンダ−型、角型、球状または扁平な板状等の何れでもよく、その平均粒径は、通常1.5〜5mm、好ましくは1.6〜4.5mm、さらに好ましくは1.8〜4.0mmの範囲である。例えば、シリンダ−型の場合は、長さは1.5〜4mm、径は1.5〜4mm程度であるのが実用的である。球状粒子の場合は、最大粒子径が平均粒子径の1.1〜2.0倍、最小粒子径が平均粒子径の0.7倍以上であるのが実用的である。また、チップの重量は15〜30mg/個の範囲が実用的である。
【0039】
また、チップ化工程の冷却水中のナトリウムの含有量、マグネシウムの含有量、珪素の含有量及びカルシウムの含有量をそれぞれN、M、S、Cとした場合、下記の(1)〜(4)の少なくとも一つを満足するようにして溶融重縮合ポリエステルのチップ化を行うのが好ましい。
N ≦ 1.0ppm(より好ましくは≦5ppm) (1)
M ≦ 0.5ppm(より好ましくは(≦3ppm) (2)
S ≦ 2.0ppm(より好ましくは≦10ppm) (3)
C ≦ 1.0ppm(より好ましくは(≦10ppm) (4)
それぞれの下限は独立して、0.1ppb以上であることが好ましい。
また、冷却水中の粒径1〜25μmの粒子は0.1〜50000個/10ml含む水であることが好ましい。
【0040】
前記の条件を外れる冷却水を用いた場合には、これらの金属含有化合物などがポリエステルチップ表面に付着し、得られた最終のポリエステルの結晶化速度が非常に早く、またその変動が大きくなり好ましくない。
【0041】
前記の溶融重縮合反応後のポリエステルの極限粘度は用途によって所望の極限粘度にすることができるが、0.45〜0.90dl/gであることが好ましい。より好ましくは0.50〜0.85dl/gであり、さらに好ましくは0.55〜0.80dl/gの範囲である。
【0042】
また、低フレ−バ−飲料用耐熱容器や飲料用金属缶の内面用フイルム等のように低アセトアルデヒド含有量や低環状3量体含有量を要求される場合は、このようにして得られた溶融重縮合されたポリエステルは固相重合される。前記のポリエステルを従来公知の方法によって固相重合する。まず固相重合に供される前記のポリエステルは、不活性ガス下または減圧下あるいは水蒸気または水蒸気含有不活性ガス雰囲気下において、100〜210℃の温度で1〜5時間加熱して予備結晶化される。次いで不活性ガス雰囲気下または減圧下に190〜230℃の温度で1〜30時間の固相重合を行う。
【0043】
本発明に係るポリエステルの極限粘度は、好ましくは0.55〜1.50デシリットル/グラム、より好ましくは0.58〜1.20デシリットル/グラム、さらに好ましくは0.60〜0.90デシリットル/グラムの範囲である。極限粘度が0.55デシリットル/グラム未満では、得られた成形体等の機械的特性が悪い。また1.50デシリットル/グラムを越える場合は、成型機等による溶融時に樹脂温度が高くなって熱分解が激しくなり、保香性に影響を及ぼす遊離の低分子量化合物が増加したり、成形体が黄色に着色する等の問題が起こる。
【0044】
また、本発明に係るポリエステルのアセトアルデヒド含有量は10ppm以下、好ましくは8ppm以下、更に好ましくは5ppm以下、ホルムアルデヒド含有量は7ppm以下、好ましくは6ppm以下、更に好ましくは4ppm以下である。本発明で用いられるポリエステルのアセトアルデヒド含有量を10ppm以下、またホルムアルデヒド含有量を7ppm以下にする方法は特に限定されるものではないが、例えば低分子量のポリエステルを減圧下または不活性ガス雰囲気下において170〜230℃の温度で固相重合する方法を挙げることが出来る。
また、本発明に係るポリエステルに共重合されたジエチレングリコール量は該ポリエステルを構成するグリコール成分の1.0〜5.0モル%、好ましくは1.3〜4.5モル%、更に好ましくは1.5〜4.0モル%である。ジエチレングリコール量が5.0モル%を越える場合は、熱安定性が悪くなり、成型時に分子量低下が大きくなったり、またアセトアルデヒド含有量やホルムアルデヒド含有量の増加量が大となり好ましくない。またジエチレングリコ−ル含有量が1.0モル%未満の場合は、得られた成形体の透明性が悪くなる。
【0045】
また、本発明に係るポリエステルにおいて、固相重合したポリエステルの環状3量体の含有量は0.50重量%以下、好ましくは0.45重量%以下、さらに好ましくは0.40重量%以下である。本発明のポリエステルから耐熱性の中空成形体等を成形する場合は加熱金型内で熱処理を行うが、環状3量体の含有量が0.50重量%以上含有する場合には、加熱金型表面へのオリゴマー付着が急激に増加し、得られた中空成形体等の透明性が非常に悪化する。
【0046】
溶融重縮合されたポリエステルはチップ化されたあと、輸送配管中を一時貯蔵用サイロや乾燥工程等へ輸送されたり、また固相重合工程や水処理工程などの次の工程に輸送される。また固相重合したポリエステルチップも同様に水処理工程や乾燥工程へ輸送される。このようなチップの輸送を、例えば、ポリエステルチップ表面に大きな衝撃力がかかるロ−タリ−フィ−ダ等の回転式フィ−ダ−や空気を使用した強制的な低密度輸送方法で行うと、ポリエステルのチップの表面には配管との衝突によって大きな衝撃力やせん断力がかかり、この結果ファインやフイルム状物が多量に発生する。このようにして生じたファインの一部やフイルム状物の大部分は、融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度が265℃を越える非常に高い融点を持つようになる。また、回転式の固相重合装置を用いて固相重合したり、攪拌機付き乾燥機や回転式乾燥機を用いて乾燥する場合にも、前記のような265℃を越える融点のファインやフイルム状物が発生する。これは、チップ表面に加わる衝撃力等の大きな力のためにチップが発熱すると同時にチップ表面においてポリエステルの配向結晶化が起こり、緻密な結晶構造が生じるためではないかと推定される。
【0047】
そして前記のような265℃を越える融点を持つポリエステルのファインやフイルム状物は、これをポリエステルチップと共に固相重合処理、水との接触処理、あるいは乾燥処理を行ったりすると、これらの融点は処理前よりさらに高くなる。また、265℃以下だが、正常な融点よりかなり高い融点を持つファインやフイルム状物も、前記のこれらの処理によって、これらの融点は265℃を越える場合もある。これは、これらの処理によって、結晶構造がさらに緻密な結晶構造に変化するためであろうと推定される。
【0048】
このような高融点のファインやフイルム状物を含むポリエステルを通常の成形条件で成形する場合は、溶融成形時に結晶が完全に溶融せず、結晶核として残る。この結果、得られた成形体の加熱時の結晶化速度が早くなり、中空成形容器の口栓部の結晶化が過大となり、このため口栓部の収縮量が規定値範囲内におさまらないため口栓部のキャッピング不良となり内容物の漏れが生じたり、また中空成形用予備成形体が白化し、このため正常な延伸が不可能となり、厚み斑が生じ、また結晶化速度が速いため得られた中空成形体の透明性が悪くなり、また透明性の変動も大となる。
【0049】
また後記の水と接触処理したポリエステルチップは、水との接触処理前のチップよりも脆くなっており、例えば、前記と同様にポリエステルチップ表面に大きな衝撃力がかかるロ−タリ−フィ−ダ等の回転式フィ−ダ−や空気を利用した強制的な低密度輸送方式を利用して、脱水機や乾燥機、冷却機または一時保管用サイロへ輸送配管中を輸送したり、また攪拌機付き乾燥機や回転式乾燥機を用いる場合にも、ファインやフイルム状物が非常に大量に発生し、それらの含有量は、時にはポリエステルチップに対して1000ppm以上になる場合がある。特に、接触処理時間が長くなったり、また処理温度が高くなる程、ファインやフイルム状物の発生量が多くなる。しかも、時にはこのようなファインの一部分やフイルム状物の大部分は265℃を越える高い融点を持っており、また結晶化促進効果があり、しかもポリエステルチップに均一な状態で混合して存在しているのではなくて、偏在している。したがって、このようなポリエステルから得た成形体の加熱時の結晶化速度は早くなり、また、成形体の結晶化速度の変動や透明性の変動が非常に大きくなり問題となる。
【0050】
したがって本発明のポリエステルの乾燥方法は、未乾燥ポリエステルを気体と接触させて乾燥させる乾燥工程と乾燥されたファイン及び/またはフイルム状物を除去するファイン等除去処理工程を含み、得られる乾燥ポリエステルが含有するファインおよび/またはフイルム状物の融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度が265℃以下であり、該乾燥ポリエステルのファイン含有量、フイルム状物含有量、あるいはファイン含有量とフイルム状物含有量の合計含有量のいずれかの含有量が500ppm以下であるポリエステルの乾燥方法である。
また本発明で用いられる該乾燥工程が、塔型乾燥装置と冷却装置とを含むことができる。
【0051】
乾燥後のポリエステルが含有するファインおよび/またはフイルム状物の融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度が265℃を越える場合には、結晶化速度が早くなり、中空成形体の口栓部の結晶化が過大となり、このため口栓部の収縮量が規定値範囲内におさまらないため口栓部のキャッピング不良となり内容物の漏れが生じたり、また中空成形用予備成形体が白化し、このため正常な延伸が不可能となる。
【0052】
また乾燥後、ファイン及び/またはフイルム状物を除去処理したポリエステルのファイン含有量、フイルム状物含有量、あるいはファイン含有量とフイルム状物含有量の合計含有量のいずれかの含有量が500ppm以下、好ましくは300ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下であることが重要である。このようなファイン等の含有量が500ppmを越える場合は、結晶化速度が早くなり、中空成形体の口栓部の結晶化が過大となり、このため口栓部の収縮量が規定値範囲内におさまらないため口栓部のキャッピング不良となり内容物の漏れが生じたり、また中空成形用予備成形体が白化し、このため正常な延伸が不可能となる。
【0053】
融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度が265℃を越えるファインおよび/またはフイルム状物を含まないようにする方法としては、次のような方法が挙げられる。
【0054】
すなわち、含有するファインおよび/またはフイルム状物の融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度が265℃以下であり、ファイン含有量、フイルム状物含有量、あるいはファイン含有量とフイルム状物含有量の合計含有量のいずれかの含有量が500ppm以下、好ましくは300ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下の未乾燥ポリエステルを乾燥工程に供給して乾燥する方法、あるいは乾燥後さらに振動篩機及び空気流による気流分級機、重力式分級機等で処理する方法等が挙げられる。
【0055】
ファインおよび/またはフイルム状物の融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度が265℃以下にする方法としては、例えば、チップ化工程において、チップ形状に角が少なくなるよう工夫すること、具体的には溶融重縮合後ダイスより溶融ポリエステルを水中に押出して水中でカットする方式、あるいは大気中に押出した後、直ちに冷却水で冷却しながらカットする方式によってチップ化し、輸送時に衝撃のかかりにくい方法、具体的はプラグ輸送方式やバケット式コンベヤ−輸送方式により貯蔵用タンクに送る。該タンクからのチップの抜出はスクリュ−式フィ−ダ−により、次工程へはプラグ輸送方式やバケット式コンベヤ−輸送方式によって輸送する方法、を適宜組み合わせることができる。
さらに、チップ状に形成したポリエステルチップを水切り後、振動篩工程および空気流による気流分級工程、あるいは水洗処理工程によって所定のサイズ以外の形状のチップやファインやフイルム状物を除去することもファイン量を低減させる際に有効である。
【0056】
ポリエステルは、環状三量体などのオリゴマ−類が成形時に金型内面や金型のガスの排気口、排気管等に付着することによる金型汚れ等を防止するために、前記の溶融重縮合または固相重合の後に水や水蒸気または水蒸気含有気体との接触処理を行なうことができる。
01
前記のポリエステルチップを水や水蒸気または水蒸気含有気体と接触処理する方法を次に述べる。
熱水処理方法としては、水中に浸ける方法やシャワ−でチップ上に水をかける方法等が挙げられる。処理時間としては5分〜2日間、好ましくは10分〜1日間、さらに好ましくは30分〜10時間で、水の温度としては20〜180℃、好ましくは40〜150℃、さらに好ましくは50〜120℃である。
【0057】
以下に水処理を工業的に行う方法を例示するが、これに限定するものではない。また処理方法は連続方式、バッチ方式のいずれであっても差し支えないが、工業的に行うためには連続方式の方が好ましい。
【0058】
ポリエステルのチップを連続的に水処理する場合は、塔型の処理槽に継続的、あるいは断続的にポリエステルのチップを上部より受け入れ、並流又は向流で水を連続供給して水処理させることができる。処理されたポリエステルチップは処理層の下部から継続的、あるいは断続的に抜き出す。
【0059】
ポリエステルチップをバッチ方式で水処理をする場合は、サイロタイプの処理槽が挙げられる。すなわち、バッチ方式でポリエステルのチップをサイロへ受け入れ水処理を行なう。あるいは回転筒型の処理槽にポリエステルのチップを受け入れ、回転させながら水処理を行ない水との接触をさらに効率的にすることもできる。
【0060】
この場合、ポリエステルチップは全量を処理槽内に投入、充填すると共に処理水を満たし、処理水は必要により継続的又は断続的に循環し、また、継続的又は断続的に一部の処理水を排出して新しい処理水を追加供給する。水処理後はポリエステルチップの全量を処理層から抜き出す。
【0061】
水処理方法が連続方式の場合であってもバッチ方式の場合であっても、系外から導入する水の中に存在する粒径が1〜25μmの粒子の個数をX、ナトリウムの含有量をN、マグネシウムの含有量をM、カルシウムの含有量Cを、珪素の含有量をSとした場合、下記(1)〜(5)の少なくとも一つを満足させて水処理を行うのが望ましい。
1 ≦ X ≦ 50000 (個/10ml) (1)
0.001 ≦ N ≦ 1.0 (ppm) (2)
0.001 ≦ M ≦ 0.5 (ppm) (3)
0.001 ≦ C ≦ 0.5 (ppm) (4)
0.01 ≦ S ≦ 2.0 (ppm) (5)
【0062】
水処理槽に導入する水中の粒子個数、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、珪素の含有量のいずれかを上記範囲に設定することにより、スケ−ルと呼ばれる酸化物や水酸化物等の金属含有物質が処理水中に浮遊、沈殿、さらには処理槽壁や配管壁に付着したりし、これがポリエステルチップに付着、浸透して、成形時での結晶化が促進され、透明性の悪いボトルになることを防ぐことができる。
【0063】
以下に水処理に用いる、粒径1〜25μmの粒子を1〜50000個/10ml含む水を得る方法を例示する。
水中の粒子数を50000個/10ml以下にする方法としては、工業用水等の自然水を処理槽に供給するまでの工程の少なくとも1ヶ所以上に粒子を除去する装置を設置する。好ましくは自然界の水の採取口から、前記した処理槽、処理槽から排水した水を再度処理槽に戻す配管、ファイン除去装置等、水処理に必要な付帯設備を含めた処理装置に至るまでの間に粒子を除去する装置を設置し、処理装置に供給する水中の、粒径1〜25μmの粒子の含有量を1〜50000個/10mlにすることが好ましい。粒子を除去する装置としてはフィルタ−濾過装置、膜濾過装置、沈殿槽、遠心分離器、泡沫同伴処理機等が挙げられる。
【0064】
例えばフィルタ−濾過装置であれば、方式としてベルトフィルタ−方式、バグフィルタ−方式、カ−トリッジフィルタ−方式、スクリ−ンフィルタ−方式、遠心濾過方式等の濾過装置が挙げられる。中でも連続的に行うにはベルトフィルタ−方式、遠心濾過方式、バグフィルタ−方式、スクリ−ンフィルタ−方式の濾過装置が適している。またベルトフィルタ−方式の濾過装置であれば濾材としては、紙、金属、布等が挙げられる。また粒子の除去と処理水の流れを効率良く行なうため、フィルタ−の目のサイズは5〜100μm、好ましくは10〜70μm、さらに好ましくは15〜40μmがよい。
【0065】
また系外からの水中のナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素を前記の範囲に低減させるために、処理槽に工業用水が送られるまでの工程で少なくとも1ヶ所以上にナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素を除去する装置を設置する。また、粒子状になった二酸化珪素やアルミノ珪酸塩等の粘土鉱物を除去するためにはフィルタ−を設置する。ナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素を除去する装置としては、イオン交換装置、限外濾過装置などが挙げられる。
【0066】
水処理の方法が連続的、又はバッチ的のいずれの場合であっても、処理槽から排出した処理水のすべて、あるいは殆どを工業排水としてしまうと、新しい水が多量に入用であるばかりでなく、排水量増大による環境への影響が懸念される。即ち、処理槽から排出した少なくとも一部の処理水を、水処理槽へ戻して再利用することにより、必要な水量を低減し、また排水量増大による環境への影響を低減することが出来、さらには水処理槽へ返される排水がある程度温度を保持していれば、処理水の加熱量も小さく出来るため、処理層から排出された処理水は水処理層へ戻して再利用されることが好ましい。また、水を再利用させることで処理層中の処理水の流量を上げることができ、結果としてポリエステルチップに付着したファインを洗い流すことができるため、ファイン除去効果も生まれる。ここで、水処理槽から排出された後、再び処理槽に戻して再利用される処理水としては、水処理槽のオ−バ−フロ−口から排出された水と処理槽よりポリエステルチップと共に排出され、次いで該チップから分離された処理水がある。
【0067】
しかし、水処理において処理槽から排出される処理水には、処理槽にポリエステルチップを受け入れる段階で既にポリエステルチップに付着しているファインや、水処理時にポリエステルチップ同士あるいは処理槽壁との摩擦で発生するポリエステルのファインが含まれている。また新しい処理水中にも無機物質由来の微粒子や腐敗植物、動物に起因する有機微粒子等が含まれている。
【0068】
したがって、処理槽から排出した処理水を再度処理槽へ戻して再利用すると、処理槽内の処理水に含まれるファイン量や微粒子量は次第に増加し、処理水中に含まれているファインや微粒子が処理槽壁や配管壁に付着して、配管を詰まらせる場合があった。
【0069】
また処理水中に含まれているファインや微粒子がポリエステルチップに付着し、この後、水分を乾燥除去する段階でポリエステルチップにファインや微粒子が付着あるいは浸透するため、ポリエステルのファインや微粒子の含有量が非常に多くなり、このようにして得られたポリエステルは結晶性が促進されて、得られたボトルの透明性は悪くなり、またボトル口栓部結晶化時の結晶化度が過大となって口栓部の寸法が規格に入らなくなり、そのため口栓部のキャッピング不良、内容物の漏れが生じる場合があった。
【0070】
したがって、本発明において、水処理槽から排出された後、少なくともその一部を再度処理槽へ戻して再利用される処理水中に存在する粒径が1〜40μmの粒子を100000個/10ml以下、好ましくは80000個/10ml以下、さらに好ましくは50000個/10ml以下に維持するのが望ましい。ここでは、このようにして処理槽に戻して再利用される処理水をリサイクル水と称する。
【0071】
以下に該リサイクル水中の粒径が1〜40μmの粒子数を100000個/10ml以下にする方法を例示するが、本発明はこの限りではない。該リサイクル水中の粒径が1〜40μmの粒子数を100000個/10ml以下にする方法としては、処理槽から排出した処理水が再び処理槽に返されるまでの工程で少なくとも1ヶ所以上にファインと微粒子を除去する装置を設置する。ファインと微粒子を除去する装置としてはフィルタ−濾過装置、膜濾過装置、沈殿槽、遠心分離器、泡沫同伴処理機等が挙げられる。例えばフィルタ−濾過装置であれば、方式として自動自己洗浄方式、ベルトフィルタ−方式、バグフィルタ−方式、カ−トリッジフィルタ−方式、遠心濾過方式等の濾過装置が挙げられる。
【0072】
中でも連続的に行うにはベルトフィルタ−方式、遠心濾過方式、バグフィルタ−方式の濾過装置が適している。またベルトフィルタ−方式の濾過装置であれば濾材としては、紙、金属、布等が挙げられる。またファインの除去と処理水の流れを効率良く行なうため、フィルタ−の目のサイズは5〜100μm、好ましくは5〜70μm、さらに好ましくは5〜40μmがよい。
【0073】
また、系外から導入する水は、水処理槽からチップと共に排出され、次いで濾過等の処理を行ったあと再利用される処理水と一緒にして処理槽へ供給することも可能である。
【0074】
またポリエステルのチップと水蒸気または水蒸気含有ガスとを接触させて処理する場合は、50〜150℃、好ましくは50〜110℃の温度の水蒸気または水蒸気含有ガスあるいは水蒸気含有空気を好ましくは粒状ポリエチレンテレフタレ−ト1kg当り、水蒸気として0.5g以上の量で供給させるか、または存在させて粒状ポリエチレンテレフタレ−トと水蒸気とを接触させる。
この、ポリエステルのチップと水蒸気との接触は、通常10分間〜2日間、好ましくは20分間〜10時間行われる。
【0075】
以下に粒状ポリエチレンテレフタレ−トと水蒸気または水蒸気含有ガスとの接触処理を工業的に行なう方法を例示するが、これに限定されるものではない。また処理方法は連続方式、バッチ方式のいずれであっても差し支えない。
【0076】
ポリエステルのチップをバッチ方式で水蒸気と接触処理をする場合は、サイロタイプの処理装置が挙げられる。すなわちポリエステルのチップをサイロへ受け入れ、バッチ方式で、水蒸気または水蒸気含有ガスを供給し接触処理を行なう。
【0077】
ポリエステルのチップを連続的に水蒸気と接触処理する場合は塔型の処理装置に連続で粒状ポリエチレンテレフタレ−トを上部より受け入れ、並流あるいは向流で水蒸気を連続供給し水蒸気と接触処理させることができる。
【0078】
前記のように水又は水蒸気と接触処理したポリエステルチップは振動篩機、シモンカーターなどの水切り装置で水切りし、乾燥工程へ移送する。当然のことながら水切り装置でポリエステルチップと分離された水は前記のファイン除去装置へ送られ、再度水処理に用いることができる。
【0079】
前記のように水や水蒸気と接触処理し、次いで水切りされた未乾燥のポリエステルチップの水分率は約0.5〜数重量%と非常に高い。また空気雰囲気下に長時間放置したポリエステルチップは平衡水分に近い水分を含有している。
【0080】
成形工程に設置された乾燥装置は、一般に水分率が約0.2重量%以下のポリエステルを80〜160℃の気体によって1〜5時間で0.01重量%以下、好ましくは0.005重量%以下に乾燥するように設計されている。したがって、前記のポリエステルの水分率を約0.2重量%以下になるように乾燥することが必要である。
【0081】
乾燥方法としては、従来公知の回分式または連続式の乾燥方法を採用することができる。
連続的に乾燥する方法としては上部よりポリエステルチップを供給し、下部より乾燥ガスを通気するホッパ−型やサイロ型の通気乾燥機が通常使用される。また溶融重合ポリエステルを乾燥する場合には、融着防止のため攪拌機付き乾燥機も使用される。乾燥ガス量を減らし、効率的に乾燥する方法としては回転ディスク型加熱方式の連続乾燥機が選ばれ、少量の乾燥ガスを通気しながら、回転ディスクや外部ジャケットに加熱蒸気、加熱媒体などを供給した粒状ポリエステルチップを間接的に乾燥することができる。
【0082】
バッチ方式で乾燥する乾燥機としてはダブルコ−ン型回転乾燥機が用いられ、真空下で、あるいは真空下少量の乾燥ガスを通気しながら乾燥することができる。あるいは大気圧下で乾燥ガスを通気しながら乾燥してもよい。
【0083】
乾燥ガスとしては大気空気でも差し支えないが、ポリエステルの加水分解や熱酸化分解による分子量低下を防止する点からは乾燥窒素、除湿空気が好ましく、特に乾燥窒素がよい。
また本発明の結晶化されたポリエステルまたは固相重合されたポリエステルの乾燥方法の具体的な例としては、該冷却装置のポリエステル排出口側に設置した気体供給口から連続的に供給される冷却用気体(a)を乾燥ポリエステルと接触後該冷却装置のポリエステル供給口側に設置した気体排出口から排出させ、次いでこれを必要に応じて50〜140℃の温度に加熱したあと初期乾燥用気体(b)として該塔型乾燥装置の中間部に設置した気体供給口から連続的に供給し、また50〜170℃の温度に加熱した除湿気体(c)を該塔型乾燥装置の下部に設置した除湿気体供給口から連続的に供給してポリエステルと接触後、該初期乾燥用気体(b)と共に該塔型乾燥装置の上部に設置した気体排出口から排出させて未乾燥ポリエステルを乾燥する方法が挙げられる。
【0084】
ポリエステルの水分率を約0.2重量%以下に乾燥することが必要であるが、水分率をこの水準に低下さすためには、50〜170℃の気体と接触させて乾燥することが望ましい。
【0085】
170℃を越える気体で乾燥を行うとポリエステルの極限粘度の低下を招く恐れがあり、この場合には成形した成形体の透明性が悪くなる傾向がある。また、乾燥用の気体として空気を使用した場合は、ポリエステルの酸化分解が起こり、その結果として着色が起こる場合がある。
【0086】
また、本発明の乾燥に使用する除湿気体(c)の露点は、−25℃以下、好ましくは−28℃以下、さらに好ましくは−30℃以下である。露点が−25℃を越える場合は、乾燥後のポリエステルの極限粘度が低下し問題となる。
乾燥後のポリエステルの温度が約100℃以上の場合は、空気に直接接触すると着色したりするので、冷却することが望ましい。
【0087】
冷却装置としては、ホッパ−型や塔型の通気式冷却装置、回転ディスク型冷却装置や回転式冷却装置等が挙げられる。
また、本発明の冷却に使用する冷却用気体(a)としては、未除湿気体を使用してもよいし、あるいは除湿された気体でもよい。除湿された気体の露点は、−10℃以下、好ましくは−20℃以下、さらに好ましくは−30℃以下である。
また乾燥および冷却に使用される気体としては、空気、窒素、炭酸ガスから選ばれた気体のいずれか一種であることが望ましく、特に窒素が好ましい。
【0088】
また、本発明において乾燥および冷却に使用する気体としては、粒径0.3〜5μmの粒子が3.53×10 個/m (1000000個/立方フィ−ト)以下、より好ましくは1.77×10 個/m (500000個/立方フィ−ト)以下、さらに好ましくは3.53×10 個/m (100000個/立方フィ−ト)以下の気体であることが好ましい。乾燥および冷却用気体として、粒径0.3〜5μm以上の粒子が3.53×10 個/m (1000000個/立方フィ−ト)を超える粒子を含む気体を系外より導入して使用すると、得られた乾燥ポリエステルチップからの成形体、特に肉厚の大型成形体の透明性が悪くなる。粒径0.3〜5μmの粒子は3.53×10個/m (1個/立方フィ−ト)以上が経済的な意味から好ましい。
【0089】
以下に、乾燥および冷却に使用する気体中の粒径0.3〜5μmの粒子数を3.53×10 個/m (1000000個/立方フィ−ト)以下に制御する方法を例示するが、本発明はこれに限定するものではない。
【0090】
乾燥および冷却に使用する気体中の粒径0.3〜5μmの粒子数を3.53×10 個/m (1000000個/立方フィ−ト)以下にする方法としては、該気体が前記の冷却貯蔵タンクや乾燥装置に供給されるまでの工程中の少なくとも1ケ所以上に該粒子を除去する清浄化装置を設置する。該気体が処理設備近辺の空気の場合は、該空気採りいれ口から送風機によって導入した空気がポリエステルチップと接触するまでの工程中に、JIS B 9908(1991)で規定される形式1又は/及び形式2のフィルタユニットを装着した気体清浄装置を設置し、該空気中の粒径0.3〜5μmの粒子数を3.53×10 個/m (1000000個/立方フィ−ト)以下にすることが好ましい。
【0091】
また、該空気採りいれ口にJIS B 9908(1991)で規定される形式3のフィルタユニットを装着した気体清浄装置を設置して、前記のフィルタユニットを装着した気体清浄装置と併用することによって前記のフィルタユニットの寿命を延ばすことが可能である。
【0092】
気体中の粒子を除去するJIS B 9908(1991)で規定される形式1の超高性能のフィルタ(以下、HEPAフィルタと略称する)ユニットの素材としては、ガラス繊維からなる濾紙が挙げられる。
【0093】
また、JIS B 9908(1991)で規定される形式2の高性能フィルタユニットの素材としては、ポリプロピレン繊維からなるフィルタやポリテトラフルオロエチレンフイルムとPET繊維布の積層体からのフィルタ等が挙げられる。
一般には、ポリプロピレン繊維製の静電フィルタが使用される。
また、JIS B 9908(1991)で規定される形式3の低性能フィルタユニットの素材としては、PETやポリプロピレンからなる不織布等が挙げられる。
【0094】
本発明の乾燥方法により処理されたポリエステルは、ポリオレフィン樹脂製部材、ポリアミド樹脂製部材、ポリアセタ−ル樹脂製部材からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂製の部材と接触処理することが可能である。
【0095】
前記の接触処理において用いられるポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、またはα−オレフィン系樹脂が挙げられる。またこれらの樹脂は結晶性でも非晶性でもかまわない。
【0096】
前記の接触処理において用いられるポリエチレン系樹脂としては、例えば、エチレンの単独重合体、エチレンと、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等の炭素数2〜20程度の他のα−オレフィンや、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン等のビニル化合物との共重合体等が挙げられる。具体的には、例えば、低・中・高密度ポリエチレン等(分岐状又は直鎖状)のエチレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等のエチレン系樹脂が挙げられる。
【0097】
また前記の接触処理において用いられるポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンと、エチレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等の炭素数2〜20程度の他のα−オレフィンや、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン等のビニル化合物との共重合体等が挙げられる。具体的には、例えば、ブロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体等のプロピレン系樹脂が挙げられる。
【0098】
また前記の接触処理において用いられるα−オレフィン系樹脂としては、4−メチルペンテン−1等の炭素数2〜8程度のα−オレフィンの単独重合体、それらのα−オレフィンと、エチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等の炭素数2〜20程度の他のα−オレフィンとの共重合体等が挙げられる。具体的には、例えば、ブテン−1単独重合体、4−メチルペンテン−1単独重合体、ブテン−1−エチレン共重合体、ブテン−1−プロピレン共重合体等のブテン−1系樹脂や4−メチルペンテン−1とC〜C18のα−オレフィンとの共重合体、等が挙げられる。
【0099】
また、前記の接触処理において用いられるポリアミド樹脂としては、例えば、ブチロラクタム、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、エナントラクタム、ω−ラウロラクタム等のラクタムの重合体、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸の重合体、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、2,2,4−又は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシルメタン)等の脂環式ジアミン、m−又はp−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等のジアミン単位と、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸等のジカルボン酸単位との重縮合体、及びこれらの共重合体等が挙げられ、具体的には、例えば、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン8、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン611、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロンMXD6、ナイロン6/MXD6、ナイロンMXD6/MXDI、ナイロン6/66、ナイロン6/610、ナイロン6/12、ナイロン6/6T、ナイロン6I/6T等が挙げられる。またこれらの樹脂は結晶性でも非晶性でもかまわない。
【0100】
また、前記の接触処理において用いられるポリアセタ−ル樹脂としては、例えばポリアセタ−ル単独重合体や共重合体が挙げられる。ポリアセタ−ル単独重合体としては、ASTM−D792の測定法により測定した密度が1.40〜1.42g/cm、ASTMD−1238の測定法により、190℃、荷重2160gで測定したメルトフロー比(MFR)が0.5〜50g/10分の範囲のポリアセタ−ルが好ましい。
【0101】
また、ポリアセタ−ル共重合体としては、ASTM−D792の測定法により測定した密度が1.38〜1.43g/cm、ASTMD−1238の測定法により、190℃、荷重2160gで測定したメルトフロー比(MFR)が0.4〜50g/10分の範囲のポリアセタ−ル共重合体が好ましい。これらの共重合成分としては、エチレンオキサイドや環状エ−テルが挙げられる。
【0102】
また、前記の接触処理において用いられる該熱可塑性樹脂のポリエステルへの配合割合は、0.1ppb〜1000ppm、好ましくは0.3ppb〜100ppm、より好ましくは0.5ppb〜1ppm、さらに好ましくは0.5ppb〜45pbbである。配合量が0.1ppb未満の場合は、結晶化速度が非常におそくなり、中空成形体の口栓部の結晶化が不十分となるため、サイクルタイムを短くすると口栓部の収縮量が規定値範囲内におさまらないためキャッピング不良となったり、また、耐熱性中空成形体を成形する延伸熱固定金型の汚れが激しく、透明な中空成形体を得ようとすると頻繁に金型掃除をしなければならない。また1000ppmを超える場合は、結晶化速度が早くなり、中空成形体の口栓部の結晶化が過大となり、このため口栓部の収縮収縮量が規定値範囲内におさまらないためキャッピング不良となり内容物の漏れが生じたり、また中空成形体用予備成形体が白化し、このため正常な延伸が不可能となる。また、シ−ト状物の場合、1000ppmを越えると透明性が非常に悪くなり、また延伸性もわるくなって正常な延伸が不可能で、厚み斑の大きな、透明性の悪い延伸フイルムしか得られない。
【0103】
本発明に係るポリエステルには、必要に応じて他の添加剤、例えば、公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤、酸素吸収剤、酸素捕獲剤、外部より添加する滑剤や反応中に内部析出させた滑剤、離型剤、核剤、安定剤、帯電防止剤、染料や顔料などの各種の添加剤を配合してもよい。
【0104】
本発明の方法で乾燥されたポリエステルは、中空成形体、シ−ト、トレ−、2軸延伸フイルムなどの包装材、金属缶被覆用フイルムなどとして好ましく用いることが出来る。また、多層成形体や多層フイルムなどの一構成層としても用いることが出来る。また繊維製品、不織布等の素材としても好ましく用いられる。
【0105】
【実施例】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、本明細書中における主な特性値の測定法を以下に説明する。
【0106】
(1)ポリエステルの極限粘度(IV)
1,1,2,2−テトラクロルエタン/フェノール(2:3重量比)混合溶媒中30℃での溶液粘度から求めた。
【0107】
(2)ポリエステルの密度
硝酸カルシュウム/水混合溶液の密度勾配管で30℃で測定した。
【0108】
(3)ポリエステルの環状3量体の含有量
試料をヘキサフルオロイソプロパノ−ル/クロロフォルム混合液に溶解し、さらにクロロフォルムを加えて希釈する。これにメタノールを加えてポリマ−を沈殿させた後、濾過する。濾液を蒸発乾固し、ジメチルフォルムアミドで定容とし、液体クロマトグラフ法よりエチレンテレフタレ−ト単位から構成される環状3量体を定量した。
【0109】
(4)ポリエステルのアセトアルデヒド含有量(以下「AA含有量」という)
試料/蒸留水=1グラム/2ccを窒素置換したガラスアンプルに入れた上部を溶封し、160℃で2時間抽出処理を行い、冷却後抽出液中のアセトアルデヒドを高感度ガスクロマトグラフィ−で測定し、濃度をppmで表示した。
【0110】
(5)水分率
三菱化学(株)の微量水分測定器(model:CA−06/VA−06)を用いて測定した。
【0111】
(6)ファインの含有量およびフイルム状物含有量の測定
樹脂約0.5kgを、JIS−Z8801による呼び寸法5.6mmの金網をはった篩(A)と呼び寸法1.7mmの金網をはった篩(直径20cm)(B)を2段に組合せた篩の上に乗せ、テラオカ社製揺動型篩い振トウ機SNF−7で1800rpmで1分間篩った。この操作を繰り返し、樹脂を合計20kg篩った。
【0112】
前記の篩(A)上にフイルム状物とは別に、2個以上のチップがお互いに融着したものや正常な形状より大きなサイズに切断されたチップ状物が捕捉されている場合は、これらを除去した残りのフイルム状物および篩(B)の下にふるい落とされたファインは、別々にイオン交換水で洗浄し岩城硝子社製G1ガラスフィルターで濾過して集めた。これらをガラスフィルタ−ごと乾燥器内で100℃で2時間乾燥後、冷却して秤量した。再度、イオン交換水で洗浄、乾燥の同一操作を繰り返し、恒量になったことを確認し、この重量からガラスフィルタ−の重量を引き、ファイン重量およびフイルム状物の重量を求めた。ファイン含有量あるいはフイルム状物含有量は、ファイン重量またはフイルム状物重量/篩いにかけた全樹脂重量、である。これらの値より合計含有量を求める。
【0113】
(7)ファインおよびフイルム状物の融点測定
セイコ−電子工業(株)製の示差走査熱量計(DSC)、RDC−220を用いて測定。(6)において、
20kgのポリエステルから集めたファインまたはフイルム状物を25℃で3日間減圧下に乾燥し、これから一回の測定に試料4mgを使用して昇温速度20℃/分でDSC測定を行い、融解ピ−ク温度の最も高温側の融解ピ−ク温度を求める。測定は最大10ケの試料について実施し、最も高温側の融解ピ−ク温度の平均値を求める。
【0114】
(8)ヘイズ(霞度%)
下記(10)の成形体(肉厚5mm)および中空成形容器の胴部(肉厚約0.45mm)より試料を切り取り、ヘ−ズを日本電色(株)製ヘイズメ−タ−で測定。
(9)ポリエステルのカラ−b値(以下「Co−b」という)
東京電飾製の色差計TC1500MC88を用いて以下のように測定した。チップを光沢のある面が下になるようガラス製セルに並べセルの8分目まで入れた。さらに軽くセルを振り、密に詰めた後、蓋が出来るまでレジンを追加し、蓋をした。樹脂を詰めたセルを試料台に乗せ、測定した。測定はセルを1回測定するごとに約120度づつ回して3回、すなわち120度づつ3方向から測定し、その平均を求めた。
【0115】
(10)段付成形板の成形
乾燥したポリエステルを名機製作所製M−150C(DM)射出成型機により、シリンダー温度290℃において、10℃に冷却した段付平板金型を用い成形する。得られた段付成形板は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11mmの厚みの約3cm×約5cm角のプレートを階段状に備えたもので、1個の重量は約146gである。5mm厚みのプレ−トはヘイズ(霞度%)測定に使用する。
【0116】
(11)チップと接触する気体中の粒子数の測定
気体を強制的に送るための送風機等によって送られ、気体清浄装置を通過した気体をチップと接触する前に気体本流と分岐して粒子測定器に導入して測定する。
5回測定を繰返し、平均値を求め、気体1立方フィ−ト当たりの個数を計算する。なお、1m 当たりの個数は、これに35.3を乗じることによって計算することができる。
粒子測定器としては、リオン株式会社製の光散乱式粒子測定器、KC−01Bを用いた。
【0117】
(実施例1)
極限粘度が0.69デシリットル/グラム、Co−bが1.0、密度が1.338グラム/cm、含有水分率が0.26重量%、ファイン等含有量が約4ppm、ファイン等の融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度が249℃である溶融重合したポリエチレンテレフタレ−ト(以下、PETと略称する)チップを回転ディスク型結晶化装置を用いて窒素雰囲気下で約130℃で結晶化した。次いで通気式乾燥機を使用して約150℃に加熱された除湿窒素(露点−30℃)を用いて乾燥し、次いで未除湿空気で冷却したあと空気流による気流分級機および振動式篩分機によりファイン等除去処理を行った。
【0118】
乾燥後の極限粘度は0.69デシリットル/グラム、Co−bは1.0と変化なく、水分率は720ppm、ファイン等含有量は約6ppm、ファイン等の融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度は249℃であった。
前記の乾燥したPETチップをさらに真空乾燥し、成形板による評価を実施した。
成形板(5mm厚み)のヘイズは7.6%と問題なかった。
【0119】
(実施例2)
極限粘度が0.725デシリットル/グラムであり、Co−bが0.8、AA含有量が4ppm、密度が1.4030グラム/cm、環状3量体含有量が0.30重量%、ファイン等含有量が約5ppm、ファイン等の融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度が249℃であるPETを連続水処理装置に投入して、処理水温度95℃で3時間連続的に水処理を行った。
【0120】
水処理後、乾燥機に供給する前のPETのファイン等含有量は約40ppm、ファイン等の融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度は249℃であった。
図1の乾燥装置を使用し、冷却装置のポリエステル供給口側に設置した気体排出口から排出された水分含有空気を120℃に加熱した未除湿空気及び別系列からの135℃に加熱された除湿空気(露点−30℃)を用いて前記の水処理したPETを乾燥、冷却し、次いで空気流による気流分級機および振動式篩分機によりファイン等除去処理を行った。
【0121】
なお、水切り工程を経て乾燥装置までの工程で水処理したPETと接触する空気、乾燥用および冷却用の空気として、JIS B 9908(1991)の形式3のPET不織布製フィルタユニットを装着した空気清浄機及びJIS B 9908(1991)の形式1の粒子捕集率99%以上のHEPAフィルタユニットを装着した空気清浄機で濾過した空気(粒径0.3〜5μmの粒子数は全て約18000個/m (約510個/立方フィ−ト))を使用した。
【0122】
乾燥後の極限粘度は0.725デシリットル/グラム、Co−bは0.8と変化なく、またAA含有量は4ppm、環状3量体含有量は0.30重量%、水分率は510ppm、ファイン等含有量は約5ppm、ファイン等の融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度は249℃であった。
前記の乾燥したPETチップをさらに真空乾燥し、成形板及び二軸延伸成形ボトルによる評価を実施した。
【0123】
成形板(5mm厚み)のヘイズは3.3%と問題なかった。また名機製作所製M−150(DM)射出成形機によりボトルの予備成形体を成形した。射出成形温度は290℃とした。次にこの予備成形体を遠赤外線ヒーター方式の自家製口栓部結晶化装置で口栓部を結晶化した。次にこの予備成形体をCOPOPLAST社製のLB−01E成形機で縦方法に約2.5倍、周方向に約5倍の倍率に二軸延伸ブローし、容量が2000ccの容器(胴部肉厚0.45mm)を成形した。延伸温度は100℃にコントロールした。
得られたポリエステル容器のヘイズは0.9%と良好であった。
なお、実施例1,2において、チップは溶融重縮合後ダイスより溶融ポリエステル大気中に押出した後、直ちに冷却水シャワー状に浴びせて冷却しながらカットする方式によってチップ化し、プラグ輸送方式により貯蔵用タンクに送られたものを用いた。
【0124】
(実施例3)
実施例2の乾燥装置を用いて、除湿空気の温度を120℃に変更する以外は実施例2と同様の条件で実施例2で得られた水処理したPETを乾燥、乾燥、冷却し、次いで空気流による気流分級機および振動式篩分機によりファイン等除去処理を行った。
乾燥後の極限粘度は0.725デシリットル/グラム、Co−bは0.8、AA含有量は4ppm、環状3量体含有量は0.30重量%、水分率は1300ppm、ファイン等含有量は約80ppm、ファイン等の融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度は249℃であった。
前記の乾燥したPETチップをさらに真空乾燥し、実施例2と同様にして成形板及び二軸延伸成形ボトルによる評価を実施した。
成形板(5mm厚み)のヘイズは4.7%と問題なかった。また、得られたポリエステル容器のヘイズは1.3%と良好であった。
【0125】
(比較例1)
極限粘度が0.69デシリットル/グラム、Co−bが1.0、密度が1.338グラム/cm、含有水分率が0.26重量%、ファイン等含有量が約650ppm、ファイン等の融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度は282℃である溶融重合したPETを実施例1で使用した乾燥装置を用いて実施例1と同一の装置で同一条件にて乾燥し、ファイン等除去装置で処理せずにそのまま成形に供した。
乾燥後の極限粘度は0.69デシリットル/グラム、Co−bは1.1、水分率は320ppm、ファイン等含有量は約1200ppm、ファイン等の融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度は283℃であった。
前記の乾燥したPETチップをさらに真空乾燥し、成形板による評価を実施した。
成形板(5mm厚み)のヘイズは37.5%と非常に悪かった。
【0126】
(比較例2)
極限粘度が0.725デシリットル/グラムであり、Co−bが0.8、AA含有量が4ppm、密度が1.4030グラム/cm、環状3量体含有量が0.30重量%、ファイン等含有量が約690ppm、ファイン等の融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度が278℃であるPETを実施例2で使用した水処理装置を用いて水処理した。水処理後、乾燥機に供給する前のPETのファイン等含有量は約680ppm、ファイン等の融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度は280℃であった。
実施例1で使用した乾燥装置を用いて実施例1と同一の装置で同一条件にて乾燥し、ファイン等除去装置を用いずにそのまま次工程に供した。
【0127】
乾燥後の極限粘度は0.725デシリットル/グラム、Co−bは0.8、AA含有量は4ppm、環状3量体含有量は0.30重量%、水分率は490ppm、ファイン等含有量は約950ppm、ファイン等の融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度は282℃であった。
前記の乾燥したPETチップをさらに真空乾燥し、成形板及び二軸延伸成形ボトルによる評価を実施した。
成形板(5mm厚み)のヘイズは28.9%と悪く、得られたポリエステル容器のヘイズは12.2%と悪かった。
なお、比較例で用いた溶融重合したチップは、溶融重縮合後ダイスより溶融ポリエステル大気中に押出した後、直ちに冷却水中で冷却し、完全に冷却されたストランドをカットする方式によってチップ化し、空気輸送により貯蔵用タンクに送られたものを用いた。
また、実施例、比較例において、チップ化の際の冷却水は工業用水(河川伏流水由来)をイオン交換装置およびISP社製のGAFフィルターバッグPE−1P2S(ポリエステルフェルト、濾過精度1μm)で処理した、粒径1〜25μmの粒子が約2500個/10ml、ナトリウム含有量が0.04ppm、マグネシウム含有量が0.02ppm、カルシウム含有量が0.05ppm、珪素含有量が0.11ppmの冷却水を用いた。
【0128】
(比較例3)
実施例1の通気式乾燥機を用いて、約120℃の未除湿空気によって比較例2の水処理したPETを乾燥し、ファイン等除去処理装置で処理せずにそのまま成形に供した。
乾燥後の極限粘度は0.710デシリットル/グラム、Co−bは1.0、AA含有量は5ppm、環状3量体含有量は0.30重量%、水分率は3010ppm、ファイン等含有量は約1150ppm、ファイン等の融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度は283℃であった。
前記の乾燥したPETチップをさらに真空乾燥し、成形板及び二軸延伸成形ボトルによる評価を実施した。
成形板(5mm厚み)のヘイズは34.2%と悪く、得られたポリエステル容器のヘイズは15.1%と非常に悪かった。
【0129】
【発明の効果】
本発明のポリエステルの乾燥方法によれば、乾燥後のポリエステルから透明性および結晶化コントロ−ル性に優れたポリエステルを得ることができる。また本方法によれば乾燥時のポリエステルの極限粘度の低下や色調の変化を来さずにポリエステルを乾燥することができる。また、水処理および本発明の乾燥方法により得られたポリエステルから内容物に異味、異臭がない成形体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリエステルの乾燥方法に用いる装置例の概略図である。
【符号の説明】
1 未乾燥ポリエステルの供給口
2 冷却装置からのポリエステルの排出口
3 濾過済みの除湿空気の供給ライン
4 濾過済みの冷却用空気の供給ライン
5 予備乾燥用空気の供給ライン
6 塔型乾燥装置
7 冷却装置
8 冷却装置から排出された水分含有空気の濾過機
9 加熱器
10 乾燥ポリエステル供給装置

Claims (12)

  1. 主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレ−トから構成される未乾燥ポリエステルを気体と接触させて乾燥させる乾燥工程と乾燥されたポリエステルからファイン及び/またはフイルム状物を除去するファイン等除去処理工程を含み、得られる乾燥ポリエステルが含有するファインおよび/またはフイルム状物の融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度が265℃以下であり、該乾燥ポリエステルのファイン含有量、フイルム状物含有量、あるいはファイン含有量とフイルム状物含有量の合計含有量のいずれかの含有量が500ppm以下であることを特徴とするポリエステルの乾燥方法。
  2. 乾燥ポリエステルのファイン含有量、フイルム状物含有量、あるいはファイン含有量とフイルム状物含有量の合計含有量のいずれかの含有量が100ppm以下であることを特徴とする請求項1記載のポリエステルの乾燥方法。
  3. 該乾燥ポリエステルのファイン含有量、フイルム状物含有量、あるいはファイン含有量とフイルム状物含有量の合計含有量のいずれかの含有量が80ppm以下であることを特徴とする請求項1記載のポリエステルの乾燥方法。
  4. 該乾燥ポリエステルのファイン含有量、フイルム状物含有量、あるいはファイン含有量とフイルム状物含有量の合計含有量のいずれかの含有量が6ppm以下であることを特徴とする請求項1記載のポリエステルの乾燥方法。
  5. 該乾燥工程が、塔型乾燥装置と冷却装置とを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステルの乾燥方法。
  6. 該冷却装置のポリエステル排出口側に設置した気体供給口から連続的に供給される冷却用気体(a)を乾燥ポリエステルと接触後該冷却装置のポリエステル供給口側に設置した気体排出口から排出させ、次いでこれを必要に応じて50〜140℃の温度に加熱したあと初期乾燥用気体(b)として該塔型乾燥装置の中間部に設置した気体供給口から連続的に供給し、また50〜170℃の温度に加熱した除湿気体(c)を該塔型乾燥装置の下部に設置した除湿気体供給口から連続的に供給してポリエステルと接触後、該初期乾燥用気体(b)と共に該塔型乾燥装置の上部に設置した気体排出口から排出させて未乾燥ポリエステルを乾燥することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の記載のポリエステルの乾燥方法。
  7. 乾燥されたポリエステルの水分率が2000ppmを越えないことを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載のポリエステルの乾燥方法。
  8. 該冷却用気体(a)が除湿されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のポリエステルの乾燥方法。
  9. 乾燥装置および冷却装置に供給する気体として、粒径0.3〜5μmの粒子が3.53×10 個/m 以下の気体を使用することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のポリエステルの乾燥方法。
  10. 該未乾燥ポリエステルが含有するファインおよび/またはフイルム状物の融解ピ−ク温度の最も高温側のピ−ク温度が265℃以下であり、該未乾燥ポリエステルのファイン含有量、フイルム状物含有量、あるいはファイン含有量とフイルム状物含有量の合計含有量のいずれかの含有量が500ppm以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のポリエステルの乾燥方法。
  11. 該未乾燥ポリエステルの極限粘度が0.55〜1.50デシリットル/グラム、アセトアルデヒド含有量が10ppm以下、環状3量体含有量が0.50重量%以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のポリエステルの乾燥方法。
  12. 該未乾燥ポリエステルが水と接触処理したものであることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のポリエステルの乾燥方法。
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