JP6085921B2 - アクリロニトリル系繊維および該繊維を焼成してなる炭素材料ならびに該材料を含有する電極 - Google Patents

アクリロニトリル系繊維および該繊維を焼成してなる炭素材料ならびに該材料を含有する電極 Download PDF

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Description

本発明は、セルロースナノファイバーを含有するアクリロニトリル系繊維および該繊維を焼成してなる炭素材料ならびに該材料を含有する電極に関する。
従来より、キャパシタや電池などの電極には黒鉛や活性炭などの炭素材料が使用されている。しかし、黒鉛は充放電容量を高くすることができる材料である一方で、黒鉛の内部に電解液を浸透させにくく、充放電サイクル数が多くなってくると容量が低下することが知られている。
一方、活性炭については、例えば、特許文献1にはアクリロニトリル系活性炭素繊維を用いた電気二重層コンデンサが開示されている。また、特許文献2にはフェノール樹脂成形体を発泡、炭化、賦活して得られた炭素多孔体を用いた電気二重層コンデンサが開示されている。
かかる電極に用いる活性炭の特性はキャパシタや電池などの充放電容量などの特性に大きく影響するため様々な検討が行われてきている。例えば、特許文献3においては、活性炭を硝酸で処理することで活性炭表面を清浄化して利用効率を高め、容量を向上させる技術が開示されている。また、特許文献4には、特定の温度で熱処理したメソフェーズピッチ系炭素繊維に対してアルカリ賦活を施し、内部抵抗を小さくすることによって、容量を向上させる技術が開示されている。
特開平3−85711号公報 特開平2−297915号公報 特開昭61−66373号公報 特開平11−135380号公報
以上のように、従来から、キャパシタや電池の容量を向上させるため、さまざまな炭素材料の改良が試みられている。しかしながら、キャパシタや電池の性能向上に対する要望は近年ますます高度化してきており、より高いレベルの性能を得られる炭素材料が求められ続けている。本発明の目的は、かかる高度な要望に応え得る炭素材料を与えることのできる原料、および該原料を用いた炭素材料を提供することである。また、本発明のさらなる目的は、かかる炭素材料を用いた電極を提供することである。
本発明の上記目的は以下の手段により達成される。
(1) アクリロニトリル系重合体と平均繊維径が5〜300nmであるセルロースナノファイバーを含有し、かつ、多孔質構造を有することを特徴とするアクリロニトリル系繊維。
(2) セルロースナノファイバーの含有量がアクリロニトリル系重合体100重量部に対して0.1〜1.5重量部であることを特徴とする(1)に記載のアクリロニトリル系繊維。
(3) セルロースナノファイバーがセルロース原料を物理処理することのみで得られたものであることを特徴とする(1)または(2)に記載のアクリロニトリル系繊維。
(4) アクリロニトリル系繊維中において、一部のセルロースナノファイバーが凝集してより長い繊維形状となっていることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載のアクリロニトリル系繊維。
(5) (1)から()のいずれかに記載のアクリロニトリル系繊維を焼成して得られる炭素材料。
) ()に記載の炭素材料を含有する電極。
本発明のアクリロニトリル系繊維は、セルロースナノファイバーが含有されており、焼成することによって、かかるセルロースナノファイバーの部分が消失し、多数の細孔を有し、比表面積の大きい炭素材料とすることができる。また、繊維中において一部のセルロースナノファイバーが凝集し、より長い繊維形状を採っていることにより、焼成後の細孔は樹枝状に連結して広がり、繊維内部にまで電解液等が浸透しやすい構造となると考えられる。これにより、電極等の材料に用いた場合には、充放電容量の向上に寄与することができると考えられる。
実施例1で得られた本発明のアクリロニトリル系繊維の破断面のSEM画像である。 炭素材料化処理の条件を示す図である。 実施例6、比較例4および参考例1の充放電測定結果を示す図である。
本発明におけるアクリロニトリル系重合体は、その重合組成の40重量%以上をアクリロニトリルとするものであり、好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上をアクリロニトリルとするものであることが望ましい。従って、該アクリロニトリル系重合体としては、アクリロニトリル単独重合体のほかに、アクリロニトリルと他のモノマーとの共重合体も採用できる。共重合体における他のモノマーとしては、特に限定はないが、ハロゲン化ビニル及びハロゲン化ビニリデン;(メタ)アクリル酸エステル(なお(メタ)の表記は、該メタの語の付いたもの及び付かないものの両方を表す);メタリルスルホン酸、p−スチレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー及びその塩;(メタ)アクリル酸、イタコン酸等のカルボン酸基含有モノマー及びその塩;アクリルアミド、スチレン、酢酸ビニル等が挙げられる。
本発明におけるセルロースナノファイバーは、平均繊維径として5〜300nm、より好ましくは10〜300nmを有するものである。平均繊維径が300nmを超える場合には、繊維強度の低下が大きくなり、またノズル詰まりなどによって繊維形成することが困難となる場合がある。5nmに満たない場合には、紡糸工程においてセルロースナノファイバーの脱落が多く製造上問題となる場合がある。
また、セルロースナノファイバーの平均繊維長としては、好ましくは0.05〜10μm、より好ましくは0.1〜5μmであることが望ましい。平均繊維長が10μmを超える場合には、紡糸工程においてノズル詰まりが発生しやすくなり、繊維を得られなくなる場合がある。また、0.05μmに満たない場合には、紡糸工程においてセルロースナノファイバーの脱落が多く製造上問題となる場合がある。
かかるセルロースナノファイバーは、繊維を構成するアクリロニトリル系重合体100重量部に対して、好ましくは0.1〜1.5重量部、より好ましくは0.5〜1.5重量部含有されるようにすることが望ましい。含有量が0.1重量部未満であると後述する焼成工程において形成される細孔が少なくなって比表面積が大きくならない場合があり、1.5重量部を超えると、紡糸原液中でセルロースナノファイバーが凝集しやすくなり、紡糸工程において糸切れなどが起こり、繊維化が困難となる場合があるほか、焼成工程で形成される細孔径が大きくなりすぎて、比表面積が大きくならなくなる場合がある。
かかるセルロースナノファイバーとしては、セルロース原料を物理処理することのみで得られるものであることが望ましい。ここで、セルロース原料としては、木材チップ、針葉樹系パルプ、広葉樹系パルプ、コットンリンターやコットンリントのような綿系パルプ、麦わらパルプやバガスパルプ等の非木材系パルプなどが挙げられる。また、物理処理の方法としては、グラインダー法、高速ミキサー法、ボールミル分散法、爆砕法などの方法が挙げられる。
以上に述べてきた本発明に採用するセルロースナノファイバーの具体的な例としては、ヒノキチップをマスコロイダ―(増幸産業株式会社製)を用いて湿式粉砕したものや、木材パルプの高圧ホモジナイザー処理により得られる微細化繊維状セルロースであるセリッシュFD100G(株式会社ダイセル製)などを挙げることができる。
以上に説明してきた本発明のアクリロニトリル系繊維中には、図1に示すように、添加したセルロースナノファイバーの繊維長よりも長い繊維長を有する微細繊維が含まれる場合がある。かかる微細繊維は一部のセルロースナノファイバーが凝集してより長い繊維形状を形成したものであると考えられる。かかる特徴を有するアクリロニトリル系繊維を原料とする炭素材料をキャパシタや電池の電極等に用いることによって、充放電容量の向上に大きな効果が得られる。
充放電容量が向上する理由は以下のように考えられる。すなわち、アクリロニトリル系繊維中において、セルロースナノファイバーが凝集してより長い繊維形状を採ることにより、焼成後に得られる炭素材料中には細長い細孔(メソ孔)が形成されることとなる。また、セルロースナノファイバーが凝集せず均一分散されている部分については焼成後ミクロ孔が形成される。この、ミクロ・メソ二元細孔を持つことによりイオンの移動がスムーズとなり充放電容量が増加すると考えられる。さらに、かかる焼成後の繊維を電極用の炭素材料として用いる場合には粉砕を行うため、細長い細孔は炭素材料表面に連通する孔となり、これを通じて、炭素材料中央部のミクロ孔にまで電解液等が浸透しやすくなると予想される。この点からも充放電容量が向上するものと考えられる。
また、かかる長い繊維形状は、アクリロニトリル系重合体とセルロースナノファイバーを含有する紡糸原液を、湿式紡糸等の方法で繊維化する際の延伸によって形成されるものと考えられる。すなわち、紡糸原液中に分散していたセルロースナノファイバーの一部が紡糸ノズルから押し出された後、凝固とともに凝集し、延伸によって繊維軸方向に引き伸ばされることで、多数のセルロースナノファイバーが一方向に連なって、個々のセルロースナノファイバーの繊維長よりも長い繊維形状となるものと考えられる。
セルロースナノファイバーが凝集してより長い繊維形状を採ることは本発明の特筆すべき点である。なぜなら、繊維中に繊維長の長いナノファイバーを複合させることは容易なことではないからである。すなわち、繊維長の長いナノファイバーをあらかじめ紡糸原液に添加して紡糸を行う場合、フィルターや紡糸ノズルにおいて目詰まりを起こしやすくなるため、繊維を得ることが難しくなる。一方、本発明においては紡糸原液の段階では短いセルロースナノファイバーであり、延伸によって後天的に繊維長を長くするため、ノズルの目詰まりの問題は起こらないのである。
以上に述べてきた本発明のアクリロニトリル系繊維の製造方法としては、アクリロニトリル系重合体を溶媒に溶解させた溶液にセルロースナノファイバーを混合して紡糸原液とし、これを紡糸することにより繊維を得る方法を挙げることができる。ここで、アクリロニトリル系重合体を溶解させる溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの有機系溶媒や硝酸、塩化亜鉛水溶液、チオシアン酸ナトリウム水溶液などの無機塩系溶媒を挙げることができる。ただし、溶媒の選定にあたっては、セルロースナノファイバーを溶解しない溶媒を採用することが必要である。
また、セルロースナノファイバーについては、乾燥粉末として混合するよりも、含水状態あるいは水分散液などの分散液状態として混合することが望ましい。これらの状態で混合することにより、紡出前の紡糸原液中においてセルロースナノファイバーが凝集しにくくなるため、フィルターや紡糸ノズルの目詰まりを起こすことなく、紡糸することができる。なお、含水状態とは、流動性はないものの個々のセルロースナノファイバー間に多量の水を含んでいる状態を指す。
また、紡糸条件としては、従来公知の紡糸条件を採用することができるほか、繊維に多孔質構造を形成できる条件なども採用できる。多孔質構造の場合、焼成のしやすさや比表面積向上の面から有利であると考えられ、例えば、チオシアン酸ナトリウム等の無機塩系溶媒を用いて製造する場合であれば、以下のような方法を採ることができる。まず、上述したアクリロニトリル系重合体を無機塩系溶媒に溶解した後に、セルロースナノファイバーを含水状態または水分散液として添加混合した紡糸原液を作製し、ノズルから紡出後、凝固、水洗、延伸の各工程を経て、延伸後の未乾燥繊維の水分率を50〜130重量%、好ましくは60〜120重量%とする。続いて湿熱処理を105℃〜130℃、好ましくは110℃〜125℃で行い、その後湿熱処理温度以下で乾燥することにより多孔質構造を有する本発明のアクリロニトリル系繊維が得られる。
ここで、延伸後の未乾燥繊維の水分率は以下の方法により求められるものである。まず、延伸後の未乾燥繊維を純水中に浸漬した後、遠心加速度1100G(Gは重力加速度を示す)下2分間脱水する。脱水後重量を測定(W3とする)後、該未乾燥繊維を120℃で15分間乾燥して重量を測定(W2とする)し、次式により計算する。
延伸後の未乾燥繊維の水分率(%)=(W3−W2)/W2×100
なお、延伸後の未乾燥繊維の水分率を制御する方法は多数あるが、上記範囲内に制御するには、凝固浴温度としては1℃〜15℃程度、延伸倍率としては7〜15倍程度が望ましい。また、溶媒として有機系溶媒を用いる場合でも上記紡糸条件は同じである。ただし、凝固浴温度については、延伸後の未乾燥繊維の水分率を上記範囲内に制御するために、40℃以上とするのが望ましい。
上述してきた本発明のアクリロニトリル系繊維は焼成を行うことで炭素材料化することができる。焼成条件としては従来公知の条件を採用することができ、例えば、空気中での不融化後、窒素下での炭化ならびに二酸化炭素による賦活という手法を採ることができる。
上述のようにして得られた炭素材料は、焼成によりセルロースナノファイバーの部分が消失し、多数の空孔を有する構造となる。このため、通常のアクリロニトリル系繊維を焼成して得られる炭素材料に比べて比表面積の大きなものとなり、消臭剤や吸湿剤、あるいは触媒の担体などに利用できるが、なかでも電極用の材料として好適に利用できるものである。
かかる炭素材料の比表面積としては、好ましくは700m/g以上であることが望ましい。電極用材料に用いた場合、比表面積が700m/g未満であると、通常のアクリロニトリル系繊維から得られた炭素材料と比較して、充放電容量の向上効果が得られない場合がある。また、比表面積は大きい方が望ましいのであるが、2000m/gを超えるようなものについては、原料となるアクリロニトリル系繊維に多量のセルロースナノファイバーを添加させる必要が生じ、紡糸工程においてノズル詰まりや糸切れが起こりやすくなり、製造が困難になってくる場合がある。
かかる炭素材料を用いた電極の作成方法としては特に限定はないが、たとえば、本発明の炭素材料を粉砕した後、バインダーポリマーと混合し、分散媒を加えてスラリーとしたものを集電体に塗布する方法等を挙げることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらにより限定されるものではない。実施例中の部および百分率は断りのない限り重量基準で示す。
(1)セルロースナノファイバーの平均繊維径、及び平均繊維長
セルロースナノファイバー試料の走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を5000倍の倍率で、無作為に3箇所行う。得られた各SEM画像について、一つの画像につき51本の繊維径及び繊維長を実測し、得られた測定結果から平均繊維径及び平均繊維長を算出する。
(2)比表面積
BELSORP−mini II(日本ベル株式会社製)を使用し、定容量法ガス吸着法により吸脱着等温線を測定し、BET,Langmuir法により比表面積を算出する。
[実施例1]
<アクリロニトリル系繊維の製造>
アクリロニトリル90重量%、アクリル酸メチル9重量%、メタアリルスルホン酸ナトリウム1重量%を水系懸濁重合することによってアクリロニトリル系重合体を作成した。かかるアクリロニトリル系重合体を濃度45重量%のチオシアン酸ナトリウム水溶液に、濃度12重量%となるように溶解した後、セルロースナノファイバーの1%水分散液(株式会社ダイセル製セリッシュFD100G(固形分10%、平均繊維径20nm、平均繊維長0.5μm)を純水で10倍に希釈したもの)を添加混合し、アクリロニトリル系重合体とセルロースナノファイバーの重量比が100:1である紡糸原液を作成した。該原液を15重量%、1.5℃のチオシアン酸ナトリウム水溶液中に押出し、次いで水洗し、12倍延伸後110℃×10分間湿熱処理し、110℃で乾燥することにより10dtexのアクリロニトリル系繊維を作成した。得られた繊維の破断面のSEM写真を図1に示す。かかる写真より、繊維中に多数の繊維状物が含まれていることがわかる。
<炭素材料化>
次に、上述のようにして得られたアクリロニトリル系繊維に対して、電気炉により温度および気流条件を図2に示すように制御した条件下で加熱処理し、炭素材料化を行った。得られた炭素材料の比表面積は900m/gであった。
[実施例2]
得られる繊維の繊度を3.3dtexとすること以外は実施例1と同様にして繊維の製造、及び炭素材料化を行った。得られた炭素材料の比表面積は1280m/gであった。
[実施例3]
得られる繊維の繊度を1.0dtexとすること以外は実施例1と同様にして繊維の製造、及び炭素材料化を行った。得られた炭素材料の比表面積は1420m/gであった。
[実施例4]
アクリロニトリル系重合体とセルロースナノファイバーの重量比を100:0.1とすること以外は実施例1と同様にして繊維の製造、及び炭素材料化を行った。得られた炭素材料の比表面積は790m/gであった。
[実施例5]
セルロースナノファイバーをマスコロイダ―(増幸産業株式会社製)を用いてヒノキチップを湿式粉砕して得られたもの(平均繊維径10nm、平均繊維長0.1μm)とすること以外は実施例1と同様にして繊維の製造、及び炭素材料化を行った。得られた炭素材料の比表面積は950m/gであった。
[比較例1]
アクリロニトリル系重合体とセルロースナノファイバーの重量比を100:3.0とすること以外は実施例1と同様にして繊維の製造を行ったが繊維は得られなかった。
[比較例2]
セルロースナノファイバーをセリッシュPC110T(株式会社ダイセル製、平均繊維径350nm、平均繊維長50μm)とすること以外は実施例1と同様にして繊維の製造を行ったが繊維は得られなかった。
[比較例3]
セルロースナノファイバーを加えないこと以外は実施例1と同様にして繊維の製造、及び炭素材料化を行った。得られた炭素材料の比表面積は350m/gであった。
実施例1〜3では繊度を変化させたが、セルロースナノファイバーを添加していない比較例3と比較し比表面積が飛躍的に増加しており、細繊度とするほどその傾向が大きくなることがわかった。また、実施例4はセルロースナノファイバーの添加量を減少させた例であるが、少量の添加でも比表面積の増加が確認できる。また、実施例5はセルロースナノファイバー種を変更した例であるが、用いたセルロースナノファイバーは本発明に推奨する繊維径、繊維長を有するものであり、実施例1と同様に比表面積の大きい炭素材料が得られた。
比較例1では比表面積をさらに増加させるためセルロースナノファイバーの添加量を増やした例であるが、紡糸原液中でセルロースナノファイバーの凝集が起こってしまい、ノズル詰まりが発生したため繊維は得られなかった。比較例2はセルロースナノファイバーの繊維径および繊維長を大きくした例であるが、これについてもノズル詰まりが発生したため紡糸不可能であった。また、比較例3のようにセルロースナノファイバーを添加していない通常のポリアクリロニトリル系繊維では得られる炭素材料の比表面積が小さく、性能の飛躍的な向上は見込めないレベルである。
[実施例6]
<電極作製>
上記で得られた実施例1の炭素材料に、バインダーとしてKFポリマー(株式会社クレハ製)を重量比10%となるように加え、分散媒N―メチルピロリドン加えながら15分攪拌した。その後、デシケーター内で2分間減圧、5分間保持を行い、再び15分間攪拌してスラリーを調製した。得られたスラリーを銅メッシュに塗布し、150℃下、1時間の減圧乾燥を行い、直径18mmの大きさに打ち抜いて負極電極を作製した。一方、正極については、市販活性炭であるベルファインAP(エア・ウォーター・ベルパール株式会社製)を使用し、上記と同様の手順で直径16mmの大きさの正極電極を作製した。
<二極式セルの作製と充放電測定>
アルゴンガス充填グローブボックス内で上述した正極と負極を使用し、短絡防止のためにセパレータを2枚介して二極式セルを作製した。電解液として、1M LiPF溶液(溶媒はプロピレンカーボネート/エチレンカーボネート/ジエチルカーボネートをモル比3/1/4で混合したもの)を用い、セル内にスポイトで約0.50ミリリットル加えて30分の減圧で電解液を含浸後、密閉した。作製した二極式セルを30℃の恒温器に入れて充放電試験装置を使い、電流10〜500mA/g、電圧0〜900mVで5サイクルの充放電測定を行った。結果を図3に示す。
[比較例4]
負極電極に用いる炭素材料を比較例3の炭素材料とすること以外は実施例6と同様にして負極電極を作製し、充放電測定を行った。結果を図3に示す。
[参考例1]
負極電極に用いる炭素材料を黒鉛(比表面積6m/g)とすること以外は実施例6と同様にして負極電極を作製し、充放電測定を行った。結果を図3に示す。
図3からわかるように、実施例6の放電容量は比較例4が持つ放電容量よりも大きく、その大きさは3倍程であった。また、一般的に負極電極として使われている黒鉛を使用した参考例1の放電容量は200mAh/g程の大きさであった。サイクルの初期では参考例1の方が実施例6よりも大きな放電容量を持つが、サイクルが進むにつれて、実施例6の放電容量が増加し、参考例1の放電容量に近い値となった。これは比較例4のような通常のアクリロニトリル系繊維を原料とした負極電極では得難い高い放電容量であり、アクリロニトリル系繊維にセルロースナノファイバーを複合させることにより、細孔構造の発達した炭素材料が得られ、放電容量が向上するものと考えられる。

Claims (6)

  1. アクリロニトリル系重合体と平均繊維径が5〜300nmであるセルロースナノファイバーを含有し、かつ、多孔質構造を有することを特徴とするアクリロニトリル系繊維。
  2. セルロースナノファイバーの含有量がアクリロニトリル系重合体100重量部に対して0.1〜1.5重量部であることを特徴とする請求項1に記載のアクリロニトリル系繊維。
  3. セルロースナノファイバーがセルロース原料を物理処理することのみで得られたものであることを特徴とする請求項1または2に記載のアクリロニトリル系繊維。
  4. アクリロニトリル系繊維中において、一部のセルロースナノファイバーが凝集してより長い繊維形状となっていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のアクリロニトリル系繊維。
  5. 請求項1からのいずれかに記載のアクリロニトリル系繊維を焼成して得られる炭素材料。
  6. 請求項に記載の炭素材料を含有する電極。
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