JP2018032537A - リチウムイオン電池用セパレータ - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、耐熱性が高く、内部抵抗の低い微細セルロース繊維からなるリチウムイオン電池用セパレータに関し、耐ショート性に優れるセパレータを提供することである。【解決手段】ナノセルロースと、水酸化マグネシウム及びベーマイトからなる群から選択される1種以上の無機粒子と、高分子バインダとを含むことを特徴とするリチウムイオン電池用セパレータ。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン電池用セパレータに関する。
従来、リチウムイオン電池用セパレータ(以下、「セパレータ」と略記する場合がある)としては、貫通した微細孔を有するポリオレフィン多孔フィルムが用いられてきた。ポリオレフィン多孔フィルムのセパレータは、リチウムイオン電池(以下、「電池」と略記する場合がある)が異常を起こして発熱した場合に、貫通した微細孔が溶融して閉塞し、電池の内部抵抗を高めることで、電池の温度上昇が抑制される。しかし、外熱によって温度が上昇した場合や、温度上昇により電池内部で化学反応が起きた場合には、多孔フィルムが収縮して内部短絡が起こり、発火・破裂等の重大な事象に至ることがある。また、ポリオレフィン多孔フィルムは電解液の保液性が低いため、イオン伝導性が低く、内部抵抗が高いという課題があった。
このような課題に対し、微細セルロース繊維からなる不織布セパレータが提案されている(例えば、特許文献1参照)。セルロースはガラス転移温度が現れず、セルロース繊維を用いた不織布は、その分解温度となる200℃以上まで熱収縮も少なく、上記ポリオレフィン多孔フィルムよりも耐熱性が高い。さらに、種々の有機溶媒への濡れ性が良く、保液性も高いため、内部抵抗の低いセパレータが得られる。しかし、このようなセルロース繊維からなる不織布は、水中での強度保持が困難で、耐水性に課題がある。また、微細セルロース繊維を用いることで、セパレータに適した、薄膜且つ微細孔を有する不織布の設計が可能だが、薄膜化はより一層強度の低下を招く方向であり、耐ショート性に課題があった。
このような課題に対し、微細セルロース繊維と、無機粒子、高分子粒子及び無機繊維からなる群から選択される1種以上のフィラー材とを含む不織布セパレータが提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2では、無機粒子として、金、銀、銅、鉄、亜鉛、錫、ニッケル、チタンや各種合金(例えばステンレス)等の金属粒子、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化錫、酸化銅、酸化銀、酸化ジルコニウム等の金属酸化物粒子、チタン酸バリウム等の複合金属酸化物粒子、窒化アルミニウム等の金属窒化物粒子、フュームドシリカ、コロイダルシリカ、ゼオライト、マイカ、スメクタイト等のシリカ系粒子、活性炭やグラファイト、カーボンナノチューブ等の炭素系粒子が挙げられている。しかし、これらの無機粒子によって、セパレータに必要な耐熱性を付与することができるが、特許文献2で例示されている無機粒子の中には導電性を有する無機粒子、耐熱性が不足する無機粒子もあるため、セパレータの必須機能である絶縁性が阻害され、セパレータの耐ショート性に課題が残るなど、その実用性には疑問があった。
国際公開2006/004012号パンフレット 特開2010−202987号公報
本発明の課題は、耐熱性が高く内部抵抗の低い微細セルロース繊維を含むリチウムイオン電池用セパレータに関し、耐ショート性に優れるセパレータを提供することである。
本発明者は鋭意研究した結果、課題を解決できるリチウムイオン電池用セパレータを発明するに至った。即ち、リチウムイオン電池用セパレータにおいて、ナノセルロースと、水酸化マグネシウム及びベーマイトからなる群から選択される1種以上の無機粒子と、高分子バインダとを含むことを特徴とするリチウムイオン電池用セパレータである。
本発明によれば、微細セルロース繊維を含むリチウムイオン電池用セパレータにおいて、耐ショート性に優れるリチウムイオン電池用セパレータが得られ、該リチウムイオン電池用セパレータを用いた電池の安全性が高いという効果が得られる。
本発明のリチウムイオン電池用セパレータは、ナノセルロースと、水酸化マグネシウム及びベーマイトからなる群から選択される1種以上の無機粒子と、高分子バインダとを含む。
本発明において、ナノセルロースとは、数平均繊維径1000nm以下のセルロースである。数平均繊維径が1000nm以下であることで、該ナノセルロースを含むリチウムイオン電池用セパレータは、セパレータに適した微細な細孔径分布が得られ、耐ショート性が高くなる。セパレータの耐ショート性をさらに高めるために、数平均繊維径は、より好ましくは850nm以下であり、さらに好ましくは700nm以下である。また、数平均繊維径が2nm以上であることが、セパレータ製造の際、繊維のハンドリングが容易であることから好ましい。
本発明において、数平均繊維径は、以下のようにして定義される。即ち、セパレータの表面から無作為の3箇所以上について、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を10,000〜30,000倍の倍率で行って繊維径を観察し、無作為に選んだ100本の繊維の繊維径の平均として数平均繊維径を算出する。
本発明におけるナノセルロースとしては、針葉樹、広葉樹等の木材パルプ;コットン、麻、バガス、ケナフ、竹等の非木材パルプ等の原料を、所望の繊維径となるまで機械的にせん断して微細化したセルロースを使用することができる。または、アミンオキサイドに溶解させた紡糸原液を水中に乾湿式紡糸してセルロースを析出させた溶剤紡糸セルロース繊維を原料として用いてもよい。パルプや繊維等の原料を微細化する手段としては、リファイナー、ビーター、ミル、摩砕装置、回転刃式ホモジナイザー、二重円筒式高速ホモジナイザー、超音波破砕器、高速ホモジナイザー等による機械的せん断が挙げられる。
本発明のリチウムイオン電池用セパレータに含有される無機粒子は、水酸化マグネシウム及びベーマイトからなる群から選択される1種以上の無機粒子である。これらの無機粒子は熱安定性が高く、セパレータの耐熱性をより高め、本発明のセパレータを使用したリチウムイオン電池の安全性をさらに高めることが可能である。水酸化マグネシウムとベーマイトのどちらか1種を使用してもよいし、2種を混合して使用することも可能である。無機粒子の含有量は、セパレータに対して2〜20質量%であることが、耐熱性向上、また、セパレータの細孔径維持の観点から好ましい。また、無機粒子の平均粒子径は0.1〜10μmであることが好ましく、より好ましくは、0.2〜7.5μmである。なお、本発明における平均粒子径とは、レーザー回折散乱法により測定される平均粒子径(D50)を指す。
本発明における高分子バインダとしては、耐水性が高く、セパレータの強度向上に有効な高分子ラテックスが好ましく用いられる。具体例としては、例えばスチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン三元共重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸エステル、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン等のラテックス高分子が挙げられるが、これらに限定されるものではない。セパレータの内部抵抗を悪化させない範囲で、強度向上に有効な高分子バインダの含有量として、セパレータに対して、2〜20質量%であることが好ましい。
本発明のリチウムイオン電池用セパレータにおいて、セパレータの坪量は4〜30g/mが好ましく、より好ましくは、5〜25g/mである。また、セパレータの厚みは、6〜30μmが好ましく、8〜25μmがより好ましい。セパレータの密度としては、0.2〜1.2g/cmが好ましく、0.3〜1.0g/cmがより好ましい。なお、坪量はJIS P 8124に規定された方法に基づく坪量を意味する。また、密度は、坪量を厚みで除した値である。厚みはJIS B 7502に規定された方法に基づき、外側マイクロメーターにより測定された値を意味する。
本発明のリチウムイオン電池用セパレータは、円網式、長網式、短網式、傾斜型短網式等の抄紙方式の中から1種の抄紙方式を有する抄紙機、同種または異種の2種以上の抄紙方式を組合せて有するコンビネーション抄紙機等を用いて抄紙する方法によって製造することができる。抄造用スラリーには、ナノセルロース、無機粒子、高分子バインダの他に、必要に応じて、分散剤、増粘剤、消泡剤などを適宜添加することができ、0.001〜5質量%程度の固形分濃度に抄造用スラリーを調製する。この抄造用スラリーをさらに所定濃度に希釈して抄紙し、乾燥する。抄紙して得られたリチウムイオン電池用セパレータは、必要に応じて、カレンダー処理、熱カレンダー処理、熱処理などが施される。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例において、%及び部は、特にことわりのない限り、すべて質量基準である。
実施例1
リファイナーを用いて、数平均繊維径900nmに調製した固形分濃度0.8%の溶剤紡糸セルロース繊維1000部に、平均粒子径2.3μmのベーマイト10部を混合し、アジテーターで攪拌しながら、45%スチレン/ブタジエン共重合体のラテックス高分子20部を混合、攪拌して濃度1%の均一な抄造用スラリーを調製した。傾斜型短網抄紙機を用い、この抄造用スラリーを湿式法で抄き上げ、130℃のヤンキードライヤーによって乾燥した後、誘電発熱ジャケットロール(金属製熱ロール)及び弾性ロールからなる1ニップ式熱カレンダーを使用して、熱ロール温度100℃、線圧100kN/m、処理速度40m/分の条件で熱カレンダー処理し、坪量10g/m、厚み20μmのリチウムイオン電池用セパレータを作製した。
実施例2
平均粒子径2.3μmのベーマイト10部の代わりに、平均粒子径2.0μmの水酸化マグネシウム10部を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン電池用セパレータを作製した。
比較例1
平均粒子径2.3μmのベーマイト10部の代わりに、平均粒子径0.3μmの5%金コロイドナノ粒子分散液200部を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン電池用セパレータを作製した。
比較例2
平均粒子径2.3μmのベーマイト10部の代わりに、平均粒子径0.1μmの5%カーボンナノチューブ分散液200部を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン電池用セパレータを作製した。
<リチウムイオン電池>
[負極の作製]
負極活物質として、平均粒子径0.7μm、Li吸蔵電位が1.55Vであるスピネル構造のLiTi12で表されるチタン酸リチウムを95質量%、導電剤としてアセチレンブラック2.5質量%と、ポリフッ化ビニリデン2.5質量%を混合し、これをN−メチル−2−ピロリドンに分散させたスラリーを調製し、厚さ15μm、平均結晶粒子径30μmのアルミニウム箔からなる集電体の両面に塗布して圧延した後、150℃で2時間真空乾燥して、厚さ100μmのリチウムイオン電池用負極を作製した。
[正極の作製]
正極活物質として、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)粉末90質量%、アセチレンブラック3質量%、グラファイト3質量%及びポリフッ化ビニリデン4質量%を混合し、これをN−メチル−2−ピロリドンに分散させたスラリーを調製した。このスラリーを厚さ15μm、平均結晶粒子径30μmのアルミニウム箔からなる集電体の両面に塗布して圧延した後、150℃で2時間真空乾燥して、厚さ100μmのリチウムイオン電池用正極を作製した。
[電極群の作製]
正極及び負極の集電体に端子をそれぞれ接続し、正極、セパレータ、負極、セパレータの順番に積層した後、この積層物を正極、負極の端子がセパレータの長手方向に対して直角になるように捲回した。続いてこの捲回物を90℃で加熱プレスすることにより、70×100mm、厚さ3.0mmの寸法をもつ扁平状電極群を作製した。
[ショート不良率]
作製した各電極群について、テスターで電極間の導通を調べることにより、ショートの有無を確認した。ショート不良率は、各セパレータについて各100個の電極群を作製し、ショートを有する電極群の数の百分率である。
◎:ショート不良率が1%未満。
○:ショート不良率が1%以上5%以下。
×:ショート不良率が5%超。
Figure 2018032537
表1から明らかなように、実施例1〜2のセパレータは、耐ショート性に優れる。
本発明のリチウムイオン電池用セパレータは、リチウムイオン電池用途以外にも、リチウムイオンポリマー電池、リチウムイオンキャパシター等にも利用でき、さらに、リチウム以外の金属を用いた金属イオン電池、金属イオンポリマー電池、金属イオンキャパシター等にも利用できる。

Claims (1)

  1. ナノセルロースと、水酸化マグネシウム及びベーマイトからなる群から選択される1種以上の無機粒子と、高分子バインダとを含むことを特徴とするリチウムイオン電池用セパレータ。
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