JP2016182817A - 積層体 - Google Patents

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克彦 渡邉
Katsuhiko Watanabe
克彦 渡邉
將徳 今井
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將徳 今井
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    • Y02E60/13Energy storage using capacitors

Abstract

【課題】電気化学素子用のセパレータとしての性能に優れ、且つ、優れた強度を備えており、特に、リチウムデンドライトによる短絡が発生し難い、電気化学素子用のセパレータとして好適に使用可能な積層体を提供すること。
【解決手段】2〜20μmの平均繊維径を有する繊維からなる多孔性シート、前記多孔性シートの表面に存在する、50〜1000nmの平均繊維径を有する第1の高分子微細繊維からなる多孔性微細繊維層、及び、前記多孔性微細繊維層の表面に存在する、20〜100nmの平均繊維径を有する第2の高分子微細繊維からなる微多孔膜を備える積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、特定の3層構造を備える積層体に関し、特に、電気化学素子用のセパレータに好適な積層体に関する。
本明細書において、電気化学素子とは、正極及び負極とセパレータとを備えた電気化学素子であり、例えば、リチウムイオン二次電池、ポリマーリチウム電池等の各種二次電池、アルミニウム電解コンデンサ、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等の各種キャパシタ等が挙げられる。
近年、化石資源の枯渇、及び、CO削減等に関する環境問題に対応するためのエネルギー源としての電気の利用が高まりつつある。そこで、例えば、自動車業界では二次電池を利用した電気自動車の開発が盛んに行われている。また、太陽光、風力等の自然エネルギーの有効利用の観点からも二次電池は注目を浴びている。
電気自動車の駆動用の二次電池としては、一般に、出力とエネルギー密度の関係から現時点ではリチウムイオン二次電池が採用されている。一方で、より高いエネルギー密度、出力、安全性等の観点から次世代電池の開発に各社力を注いでおり、大きな市場が期待される分野である。
一方、リチウムイオン二次電池に限らず、他の二次電池、一次電池、キャパシタ(コンデンサ)等には、紙、不織布、微多孔フィルム等からなるセパレータが使用されている。一般的にセパレータに要求される性能は、正負極間の短絡防止、電解液に対する化学的安定性、低い内部抵抗等である。これらの要求性能はデバイス間によって求められる程度に差があるが、種類によらずセパレータに共通して求められる特性でもある。
ほとんどのリチウムイオン二次電池のセパレータには、ポリプロピレン、ポリエチレン等の高分子有機化合物で作られた微多孔膜が採用されている。これらの微多孔膜は、リチウムイオン二次電池に適した幾つかの特徴を有する。例えば、
1)電解液に対して化学的に安定であり、セパレータにより致命的な欠陥を起こさない。
2)セパレータの厚みを自由に設計することができるため、様々な要求に対応したセパレータの提供が可能である。
3)細孔径のサイズを小さく設計することができるため、リチウム遮断特性が優れ、リチウムデンドライトによる短絡が発生し難い。
4)リチウムイオン二次電池が熱暴走を起こした際に、ポリプロピレンやポリエチレンが溶融することで細孔が狭くなり初期の熱暴走を抑制することが可能である。
といった点である。
しかしながら、これまでのリチウムイオン二次電池の研究では、熱暴走を起こす根本的な原因は解明されておらず、二次電池に用いられる各種素材は熱暴走のリスクを回避するための手段を経験的な手法で各社検討し提案しているのが現状である。熱暴走の原理の解明から統一した評価法も含めて今後明らかになることによって、より安全性の高い自動車用途に適した材料開発が進むと考えられ、安全性に関する課題も解決されることが期待される。
一方、自動車用途における二次電池への2つめの課題はコストである。コストの中でもセパレータは、電池コストの2割を占める材料であり今以上のコストダウンが求められているのが現状である。
ところで、例えば、電気自動車等の充電式の輸送機器の分野、及び、携帯電話等の携帯電子端末の分野では、小さな体積でも長時間稼動するように単位体積当たりの貯蔵電気エネルギーが大きい電気エネルギー貯蔵デバイスが求められているが、かかる電気エネルギー貯蔵デバイスとしては、例えば、電解液に溶解している電解質が電極に吸着され、電解質と電極との間に形成される界面(電気二重層)に電気エネルギーを貯蔵する電気二重層キャパシタがある。
電気二重層キャパシタにおけるセパレータの主な役割は、電極の短絡防止(セパレート性)、電解液中のイオンの移動を妨げないこと(低い内部抵抗)等である。しかし、上記のような微多孔膜は密度が高いため、内部抵抗が高くなる傾向にある。一方、不織布をキャパシタのセパレータに用いることも知られているが、セパレート性を保持するために繊維径を小さくしたり、繊維密度を高めると内部抵抗が高くなるという問題があった。そのため、内部抵抗の低いセパレータの開発が望まれている。また、電気二重層キャパシタの高容量化のためには電極層を厚くする必要があり、その分だけセパレータを薄くすることが要求されている。
ポリプロピレン、ポリエチレン等の高分子微多孔膜の製造方法は大きく分けて、湿式法と乾式法に分けられる。それぞれの製造法には特徴があり、湿式法はポリエチレン等の高分子に可塑剤を添加しフィルム成形した後、二軸延伸し、溶剤で可塑剤を洗うことによって微多孔を設ける方法を取っている。この方法では細孔のサイズや膜厚の調整に優れており、電池のタイプ毎の様々な要求に対応できることがメリットだが製造プロセスが複雑なためコストが高いことが課題である。一方、乾式法はポリオレフィン等の高分子を溶解し、フィルム上に押出し、アニーリングしたものを低温で延伸して初期段階の空孔を形成した後、高温で延伸し多孔質化している。この方法では融点の異なる高分子を積層することができることと、プロセスが簡易であるためコストが安いことがメリットであるが、細孔の調整や膜厚の調整の精度に欠ける点が課題である。
高分子微多孔フィルム以外に合成繊維、無機繊維等からなる不織布を用いたセパレータも提案されている。従来不織布は、乾式不織布と湿式不織布がありどちらもセパレータとして利用されてきたが、リチウムイオン二次電池用途においては繊維分布の均一性が得られない乾式不織布は電極隔離効果が低いため使用することができないといわれている。一方、湿式不織布は乾式不織布と比べると繊維分布が均一であることが特徴で、製法上の特徴から微多孔フィルムより空孔率を高く調整することができるため、インピーダンスの低いシートを作ることが可能である。しかしながら、現在広くリチウムイオン二次電池に採用されているグラファイト負極を用いた電池には使用することは実質困難である。これはリチウムイオン二次電池が負極側にリチウムデンドライトを生成するという特徴があるためで、このリチウムデンドライトはセパレータ内のリチウムイオンが多く通る負極表面に生成しやすい特性がある。このため数十μmオーダーの範囲でシートそのものに粗密ができる不織布では、リチウムデンドライトが生成した際にショートを抑制する遮断特性はフィルムタイプと比較して低いとされている。また、前述のようにセパレータの厚さを薄くすることが要求されるが、特に不織布を用いたセパレータは薄くなるにつれて強度低下が生じ、その結果、短絡など安全性に問題が生じたり、電池二重層キャパシタを製造する際のセパレータの加工性に難が生じるおそれがある。
これらの課題を解決するために特許文献1(特開平11−040130号公報)に代表されるように、細孔サイズをある一定の範囲内に規定することが行われている。しかしながら、孔のサイズは繊維径に左右されるため、細孔サイズを小さくコントロールするには繊維径を細くすることが必要となるが、現在の技術では、安価にナノオーダーのサイズの繊維を作るのは難しいため、極細と呼ばれているような合成繊維を使用したとしてもリチウムイオン二次電池に適した孔のサイズにコントロールすることは実質不可能であり、リチウム遮断特性を向上することはできない。
更に、特許文献2(特許第4425576号公報)に代表されるような静電紡糸法を用いて不織布を製造する方式が提案されている。しかしながら、静電紡糸法のみで数十μmの厚みのシートを作るのは現在考案されている生産設備では実質困難あることと、生産効率を考えると現実的な手法とは言えない。
特開平11−040130号公報 特許第4425576号公報
本発明は上述の状況に鑑みて為されたものであり、電気化学素子用のセパレータとしての性能に優れ、特に、短絡が発生し難く、且つ、優れた強度を備えており、電気化学素子用のセパレータとして好適に使用可能な積層体を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、好ましくは不織布又は織布からなる、比較的大径の繊維から主に構成される多孔性シート上に、比較的小径の繊維から主に構成される高分子微細繊維からなる多孔性微細繊維層を介して、比較的小径の別の繊維から主に構成される微多孔膜を積層した積層体が電気化学素子用のセパレータとしての性能、及び、強度に優れることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
2〜20μmの平均繊維径を有する繊維からなる多孔性シート、
前記多孔性シートの表面に存在する、50〜1000nmの平均繊維径を有する第1の高分子微細繊維からなる多孔性微細繊維層、及び、
前記多孔性微細繊維層の表面に存在する、20〜500nmの平均繊維径を有する第2の高分子微細繊維からなる微多孔膜
を備える積層体に関する。なお、ここでの「平均繊維径」とは、多孔性シート、多孔性微細繊維層又は微多孔膜の各表面の複数箇所を電子顕微鏡によって拡大観察し、各電子顕微鏡画像中から所定数の繊維を無作為に選別し、選別された当該繊維の径を測定し平均して得られた平均繊維径を意味する。選別される繊維の数は100以上であり、150以上が好ましく、200以上がより好ましく、300以上が更により好ましい。また、第1の高分子微細繊維及び第2の高分子微細繊維は相互に区別可能な別異の繊維である。
前記多孔性シートは1〜60μmの厚みを有することが好ましい。
前記多孔性シートは織布、不織布又は紙から構成されていてもよい。
前記多孔性微細繊維層は0.01〜1g/mの坪量を有することが好ましい。
前記第1の高分子微細繊維及び前記第2の高分子微細繊維は、それぞれ独立して、ポリビニルアルコール、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリスルホン、セルロースアセテート、セルロース、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキシド、ポリメチルペンテン、ポリアクリロニトリルポリフェニレンスルフィド、ポリアセチル、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン、及び、これらの組み合わせから選択される高分子からなることができる。
前記第1の高分子微細繊維は静電紡糸法、エレクトロブローイング法又は遠心紡糸法によって調製されることが好ましい。
前記第2の高分子微細繊維はセルロースからなることが好ましい。
前記第2の高分子微細繊維に
400nm以下の太さのセルロース繊維がセルロース繊維の全重量を基準として50重量%以上含まれていることが好ましい。
前記微多孔膜は3〜50μmの厚みを有することが好ましい。
前記多孔性シート、前記多孔性微細繊維層及び前記微多孔膜の少なくとも1つの空孔率が30〜70%であることが好ましい。
1mol/LiPF/プロピレンカーボネート溶液を含浸させた状態において20kHzの交流を使用して決定した前記積層体の体積抵抗率が1500Ω・cm以下であることが好ましい。
前記多孔性シートの一方の表面に前記多孔性微細繊維層及び前記微多孔膜が存在し、且つ、他方の表面に前記多孔性微細繊維層及び/又は前記微多孔膜が存在してもよい。
本発明は、前記積層体を備える電気化学素子用セパレータにも関する。更に、本発明は、前記電気化学素子用セパレータを備える、電池、キャパシタ等の電気化学素子にも関する。
本発明の積層体は、比較的大径の繊維から主に構成され、それ自体ではリチウムデンドライトの遮断特性に乏しい多孔性シート上に、比較的小径の繊維から主に構成される高分子微細繊維からなる多孔性微細繊維層を介して、比較的小径の別の繊維から主に構成され、リチウムデンドライトの遮断特性に優れる微多孔膜を積層しているので、全体として、高い短絡防止性を備えており、また、その他の電気化学素子用のセパレータとしての性能にも優れている。
また、本発明の積層体は、前記多孔性シート、前記多孔性微細繊維層及び前記微多孔膜の3層を備えているので、優れた強度を有する。前記微多孔膜が比較的大径の繊維を一部含む場合は、本発明の積層体は電気化学素子用のセパレータとして更に優れた強度特性を発揮することができる。
そして、本発明の積層体を用いて、従来の不織布、紙等では困難であった高いリチウム遮断特性等の優れた特性を有する電気化学素子用セパレータを容易に又は低コストで製造することが可能である。
前記多孔性シートの一方の表面に前記多孔性微細繊維層及び前記微多孔膜が存在し、且つ、他方の表面に前記多孔性微細繊維層及び/又は前記微多孔膜が存在する場合は、例えば、本発明の積層体の製造時又は保存時の変形を防止乃至低減することができ、また、後述する表面粗さの影響によるセパレータと電極との接触抵抗を低減することができる。
実施例における引裂強度の評価方法を示す図である。
本発明の積層体は、
2〜20μmの平均繊維径を有する繊維からなる多孔性シート、
前記多孔性シートの表面に存在する、50〜1000nmの平均繊維径を有する第1の高分子微細繊維からなる多孔性微細繊維層、及び、
前記多孔性微細繊維層の表面に存在する、20〜500nmの平均繊維径を有する第2の高分子微細繊維からなる微多孔膜
を備える。
本発明の積層体は、前記多孔性シート及び高分子微細繊維からなる多孔性微細繊維層、前記微多孔膜の3つの層を少なくとも備える。前記多孔性微細繊維層及び前記微多孔膜は別個の層である。本発明の積層体はこれら以外の層を備えてもよいが、前記多孔性シート、前記多孔性微細繊維層及び前記微多孔膜が直接接触して積層されていることが好ましい。また、前記多孔性シート及び高分子微細繊維からなる多孔性微細繊維層、前記微多孔膜は単に接触して積層されていてもよいが、一体化されている方が好ましい。
[多孔性シート]
前記多孔性シートは、2〜20μmの平均繊維径(太さ)の高分子繊維を含むものであり、2μm未満の平均繊維径の高分子繊維を一部含んでもよいが、多孔性シートの全重量を基準として、その配合量は20重量%未満が好ましく、10重量%未満がより好ましく、5重量%未満が更により好ましい。したがって、前記多孔性シートは比較的太い繊維から主に構成される。なお、前記多孔性シートは20μm超の平均繊維径の高分子繊維を一部含んでもよいが、多孔性シートの全重量を基準として、その配合量は30重量%未満が好ましく、20重量%未満がより好ましく、10重量%未満が更により好ましい。
前記多孔性シートは織布又は不織布から構成されていてもよく、製法の簡便さ等の点で不織布から構成されることが好ましい。
前記多孔性シートを構成する繊維の素材は特には限定されるものではなく、例えば、セルロース、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース等)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル[ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等]、ポリアクリロニトリル、(PAN)、ポリアラミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリビニルアルコール(PVA)等の有機材料;ガラス、アルミナ、シリカ等の無機材料(無機酸化物);等が挙げられる。多孔性シートの構成繊維は、これらの素材の1種を含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。また、多孔性シートの構成繊維は、その構成成分として、上記の素材の他に、必要に応じて、公知の各種添加剤(例えば、前記素材が樹脂の場合には酸化防止剤等)を含有していてもよい。
前記多孔性シートとしては、例えば、紙、PP不織布、ポリエステル不織布(PET不織布、PEN不織布、PBT不織布)、PAN不織布等の不織布が好ましい。特に、融点を有さない材料又は200℃以上、好ましくは250℃以上、より好ましくは300℃以上の融点を有する材料からなるものが好ましい。
前記多孔性シートの構成繊維の平均繊維径は、3〜18μmであることが好ましく、4〜15μmがより好ましく、5〜10μmが更により好ましい。平均繊維径が大きすぎると、積層体の厚みが増大して取り扱いが困難となるおそれがある。また、径が小さすぎると、積層体の空隙が小さくなりすぎて、イオン透過性が低下する傾向にあり、セパレータとして使用したときに、電池の負荷特性を低下させてしまうおそれがある。
前記多孔性シートの厚みは、特に限定されるものではないが、1〜60μmが好ましく、2〜50μmが好ましく、5〜40μmがより好ましく、10〜30μmが更により好ましく、15〜25μmが更により好ましい。
[多孔性微細繊維層]
本発明は、多孔性シート上に第1の高分子微細繊維からなる多孔性微細繊維層を形成することを特徴の1つとする。第1の高分子微細繊維からなる多孔性微細繊維層の役割の一つは、後述する微多孔膜を多孔性シート上に形成する際に、微多孔膜の構成成分が裏抜けすることを防ぐ目止め層である。目止め層として機能するために、多孔性微細繊維層は50〜1000nmの平均繊維径を有するナノファイバーから主に構成される。平均繊維径が1000nmを超えると、単位重量あたりの繊維量が少なくなりすぎるため、目止め効果を十分に発揮することができず好ましくない。また、平均繊維径が50nm未満となるとナノファイバーの安価な調製が困難となる。第1の高分子微細繊維の平均繊維径としては、100超〜950nmが好ましく、150〜900nmがより好ましく、200〜850nmが更により好ましく、200〜800nmが更により好ましい。
更に、多孔性シート上に第1の高分子微細繊維からなる多孔性微細繊維層を設けることで、本発明の積層体全体の孔の状態を制御することができる。特に、多孔性シートとして紙、不織布等のシートを用いる場合、比較的大きな径の貫通孔が存在するため、本発明の積層体を電池のセパレータとして使用すると当該電池中の電極が短絡を起こす危険性がある。多孔性微細繊維層により、シートの表面を均一に被覆することで、これら貫通孔による短絡を防止することができる。
前記第1の高分子微細繊維には、ポリビニルアルコール、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリスルホン、セルロースアセテート、セルロース、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキシド、ポリメチルペンテン、ポリアクリロニトリルポリフェニレンスルフィド、ポリアセチル、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン、及び、これらの組み合わせから選択される高分子を利用することができる。特に、電気化学的に安定であることから、ポリエチレンやポリフッ化ビニリデン系の樹脂を用いることが好ましい。
前記第1の高分子微細繊維を調製する手法は、一般にナノファイバーを製造する方法であれば任意のものを利用可能であるが、例えば、静電紡糸法、エレクトロブローイング法又は遠心紡糸法(フォーススピニング法)を利用することができる。特に、より細い繊維を形成可能であることから、静電紡糸法を好適に利用することができる。
多孔性シート上に第1の高分子微細繊維からなる多孔性微細繊維層を設けるにあたっては、別途製造された多孔性微細繊維層を多孔性シート上に積層してもよいが、多孔性シート上で多孔性微細繊維層を直接製造することが好ましい。特に、静電紡糸法によって製造されたナノファイバーを多孔性シート上に積層して多孔性微細繊維層を形成することがより好ましい。
前記多孔性微細繊維層は、0.01〜1g/mの坪量を有することが好ましい。0.01g/mを下回ると、微多孔膜層を加工する際の裏抜けを抑制する効果が十分発揮されない。一方、ナノファイバーの生産効率が低いことから、1g/mを上回る目付け量はコスト高となるため好ましくない。
[微多孔膜]
前記微多孔膜は、20〜500nmの平均繊維径(太さ)の第2の高分子微細繊維を含むものであり、20nm未満の平均繊維径の高分子繊維を一部含んでもよいが、微多孔膜の全重量を基準として、その配合量は20重量%未満が好ましく、10重量%未満がより好ましく、5重量%未満が更により好ましい。なお、前記微多孔膜は500nm超の平均繊維径の高分子繊維を一部含んでもよいが、微多孔膜の全重量を基準として、その配合量は30重量%未満が好ましく、20重量%未満がより好ましく、10重量%未満が更により好ましい。第2の高分子微細繊維の平均繊維径としては、50〜450nmが好ましく、100〜400nmがより好ましく、150〜380nmが更により好ましく、200〜360nmが更により好ましい。
前記第2の高分子微細繊維には、ポリビニルアルコール、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリスルホン、セルロースアセテート、セルロース、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン− ヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキシド、ポリメチルペンテン、ポリアクリロニトリルポリフェニレンスルフィド、ポリアセチル、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン テトラフルオロエチレン、及び、これらの組み合わせから選択される高分子を利用することができる。
前記第2の高分子微細繊維はセルロースからなることが好ましい。すなわち、前記第2の高分子微細繊維はセルロース繊維であることが好ましい。
前記第2の高分子微細繊維には400nm以下、好ましくは350nm以下、より好ましくは300nm以下の太さ(径)の繊維が第2の高分子微細繊維の全重量を基準として50重量%以上含まれていることが好ましく、60重量%以上がより好ましく、70重量%以上が更により好ましく、80重量%以上が更により好ましく、90重量%以上が特に好ましい。したがって、前記微多孔膜は400nm以下の太さを有する比較的細い高分子繊維から主に構成されることが好ましい。
前記第2の高分子微細繊維は、好ましくは20〜400nm、より好ましくは60〜350nm、更により好ましくは100〜300nmの平均繊維径を有する高分子微細繊維、並びに、好ましくは400nm超〜500nm、より好ましくは420〜490nm、更により好ましくは440〜480nmの平均繊維径を有する高分子微細繊維を、好ましくは99:1〜60:40、より好ましくは95:5〜70:30、更により好ましくは90:10〜80:20の質量比で混合したものであることが好ましい。
前記第2の高分子微細繊維には1μm以上の太さ(径)の繊維が第2の高分子微細繊維の全重量を基準として5重量%以上含まれていることが好ましく、10重量%以上がより好ましく、15重量%以上が更により好ましく、20重量%以上が更により好ましく、25重量%以上が特に好ましい。特に、後述する微多孔膜の製造方法ではキャスト塗工を行うため、スラリーの粘度が極端に高くなるような繊維径が1μm未満の細い繊維のみを用いてスラリーを調製して使用することが困難である。また、これを塗工可能とするためにはスラリーの低濃度化が必要となり、そのために使用する溶媒等の乾燥コストが増えるため経済的ではない。また一般的手法で繊維にせん断力を与えて繊維径の細い高分子微細繊維を製造すると繊維長もあわせて短くなる傾向があり、作成したシートの引裂強度が低下する傾向がある。そのため、1μm以上の太さを有する繊維が5重量%以上存在することで得られるシートの引裂強度を向上させることができる。
一方、1μm以上の太さの繊維の配合量は、微多孔膜の全重量を基準として、40重量%未満が好ましく、35重量%未満がより好ましく、30重量%未満が更により好ましい。1μm以上の太さを有する繊維が40重量%超存在すると、第2の高分子微細繊維がセルロース繊維の場合、セルロース繊維同士が水素結合によって接触する接点の数が減少するため、引張強度が著しく低下するおそれがあり好ましくない。1μm以上の径を有する繊維の含有率を5重量%以上40重量%以下とすることで、引張強度と引裂強度を両立させることができる。
セルロース繊維はセルロース分子の持つ水酸基により、水に均一に分散することが可能であるが、そのスラリーの粘度は、セルロース繊維の繊維長と表面積に依存する。セルロース繊維が細くなることは、それだけセルロースの表面積が増えるため、スラリーの粘度も必然的に上昇することになる。またその繊維長が長くなるほど繊維間の相互作用が増えることによってこれも粘度上昇に繋がる要因として考えられる。これらの相互作用による粘度上昇は、高濃度におけるシート化を阻害する要因となっており、ナノセルロースを取り扱うには濃度を下げる手段が一般的にとられている。
更に、セルロース繊維はその水酸基により、脱水工程において繊維同士が水素結合を行う性質を持っており、再生セルロース以外の合成繊維で作った不織布にはない特徴が見られる。この水素結合形成の工程において強度が発現する一方で、繊維間が相互作用により乾燥工程における収縮が合成繊維を使った不織布よりも大きいことも特徴として挙げられる。特に繊維径が細くなるに従い繊維の剛度が下がるため、この収縮が顕著に見られる。また極度にフィブリル化が進んだ繊維を用いて作成したシートは繊維間が完全に密着するために透明化することが知られている。つまり、繊維径を細くすることのみでは孔径をコントロールするどころか、多孔質化シートを作ることは困難である。このため、多孔質化されたシートを製造するには乾燥時の収縮を抑えることと繊維間の水素結合を阻害させることが必要となる。これまでに提案されている具体的な手法は、抄紙法やキャスト法でシート化した原料をアセトンのような親水性の溶媒に置換した後、更にトルエンとアセトンの混合溶媒といったより疎水性の高い溶媒に置換して乾燥させる等の方法が提案されている。しかしながらこの手法は2つの問題点がある。まず一つは分散溶媒の水からアセトンに溶媒置換する作業である。セルロース繊維は、繊維径が細くなるに従い保水性が高くなるため、水から溶媒への置換は非常に時間のかかる作業となっており実生産の面で生産性を下げる要因となっている。更に、細孔径は繊維の太さに依存されるため、細孔径はあくまで繊維の太さによってコントロールされることになり、均一化された繊維を利用しなくては目的の細孔径をえることが出来ず、セルロース繊維の処理工程にも時間とコストが必要となっている。
本発明において(微多孔膜だけでなく多孔性シート及び多孔性微細繊維層についても)使用可能なセルロース繊維は、特にセルロースI型、セルロースII型等のセルロースの型は限定されないが、コットン、コットンリンター、木材パルプに代表されるような、セルロースI型の天然繊維が好ましい。再生セルロースに代表されるセルロースII型の繊維はセルロースI型の繊維に比べ結晶化度が低くフィブリル化処理を行う際に、短繊維化しやすい傾向があるので好ましくない。
微多孔膜に使用されるセルロース繊維はミクロフィブリル化されていてもよい。セルロース繊維をミクロフィブリル化処理する装置は特に限定されるものではないが、例えば、高圧ホモジナイザー処理(マントン・ゴーリン型分散機による高圧分散処理)、ラニエタイプ圧力式ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー処理(アルテマイザーTM(スギノマシーン株式会社製)、ビーズミルや流星ミル等の分散装置、マスコロイダー(粒度16〜120番の砥粒を備える砥粒板を複数枚擦合せ配置した砥粒板擦合装置、増幸産業株式会社製)等のホモジナイザー等が挙げられる。また、ミクロフィブリル化処理する前にダブルディスクリファイナー、ビーター等製紙用で使用している叩解機を前処理に使用することも可能である。また、添加量は限られてくるが、TEMPO酸化触媒によってナノファイバー化されたセルロースナノファイバーを用いることも可能である。特に、本発明においては、微多孔膜に使用されるセルロース繊維が、粒度16〜120番の砥粒を備える砥粒板を複数枚擦合せ配置した砥粒板擦合装置の擦合せ部に予め叩解処理したパルプスラリーを通過させる微細化処理、又は予め叩解処理したパルプスラリーを高圧ホモジナイザー処理する微細化処理を受けていることが好ましい。
前記微多孔膜の厚みは、特に限定されるものではないが、3〜50μmが好ましく、5〜40μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
[積層体]
本発明の積層体は、上記構成による優れた強度特性を備えることができる。本発明の積層体は、その引張強度を50N・m/g以上、及び/又は、その引裂強度を0.40kN/m以上とすることが好ましい。引張強度はJIS C2151に従って測定することができる。一方、引裂強度はJIS K7128−1に従うトラウザー引裂法によって測定することができる。引張強度は55N・m/g以上が好ましく、60N・m/g以上がより好ましい。引裂強度は0.5kN/m以上が好ましく、0.55kN/g以上がより好ましく、0.6kN/m以上が更により好ましい。なお、微多孔膜を構成する第2の高分子微細繊維がセルロース繊維である場合、当該セルロース繊維に1μm以上の太さの繊維がセルロース繊維の全重量を基準として5重量%以上含まれている場合には、本発明の積層体の引張強度及び引裂強度を共により優れたものとすることができる。
特に、本発明の積層体は優れた引裂強度を備えることができる。なお、異なる積層体間の引裂強度の相対的優劣は、例えば、各積層体を反対方向に引張り、その際の積層体の破断の有無を観測する簡便な方法によって定性的に決定することができる。この際、引張操作前の積層体の一部に引張方向とは異なる方向、好ましくは鉛直方向、に切れ目を入れておくことが好ましい。切れ目を入れることによって、積層体が破断しなくとも、切れ目の成長の程度を観察することによって、各積層体の引裂強度の相対的な優劣を定性的に決定することができる。
前記多孔性シート、前記多孔性微細繊維層及び前記微多孔膜の少なくとも1つの空孔率は30〜70%が好ましい。各層の空孔率を30%〜70%の範囲に維持することで、本発明の積層体は電気化学素子に良好に対応可能である。空孔率30%未満でも本発明の積層体は電気化学素子として作動することは可能ではあるが、抵抗値が高いため出力が下がり電気化学素子としての性能が十分ではないおそれがある。空孔率が70%を超える場合には、細孔分布のモード径が大きくなり微多孔膜に起因する抵抗が下がるので電気化学素子の出力性能及びサイクル特性は向上するが、リチウムイオン二次電池用途ではリチウム遮断特性が低下し、リチウムデンドライトによる短絡が発生するリスクが高くなるため、安全上好ましくない。
本発明における空孔率は、繊維を膨潤させない溶媒を前記多孔性シート、前記多孔性微細繊維層又は前記微多孔膜に含浸させて、その吸液した溶媒の重量から計算することが可能である。具体的には、50mm×50mmのサイズにカットしたサンプルを23℃50%相対湿度の雰囲気下で1日調湿した後、サンプルの厚みを測定し、更にサンプルの重量を4桁若しくは5桁秤を用いて秤量する。秤量後、溶媒に1分間含浸させた後、表面について余分な溶媒を吸い取り紙で吸収した後、再度秤量を行う。含浸後の重量から含浸前の重量を引いた値を含浸した溶媒の密度で割ることにより溶媒の体積を求める。この体積を厚みから計算した全体の体積の百分率を空孔率とする。したがって、この場合の空孔率は以下の式により求めることができる。

空孔率(%)=100×(吸液後のシート重量−吸液前のシート重量)/吸液させた溶媒の密度×5×5×厚み(cm)
本発明において空孔率を測定することが可能な溶媒は、繊維を膨潤させない溶媒なので、セルロース繊維等の極性を有する繊維の場合は極性の低い有機溶媒を用いるのが好ましい。また吸液させた溶媒が短い測定時間の間で揮発してしまわないものを選定する必要がある。特に好ましいものとしては、通常電解液で使用されるプロピレングリコールやケロシン等石油系の高沸点溶媒等が挙げられる。
本発明の積層体は、1mol/Lの濃度のLiPFのプロプレンカーボネート溶液を含浸させた状態において20kHzの交流電流を用いて測定される体積抵抗率が1500Ω・cm以下であることが好ましい。体積抵抗率は、後述する透気抵抗度及び前述の空孔率と相関があり、基本的には、透気抵抗度が低く、空孔率が高くなると体積抵抗率が下がる傾向にあるが、体積抵抗率には空孔のサイズ及び膜中の空孔の分布状態も影響するため、透気抵抗度が低く、空孔率が高いものが必ずしも低い体積抵抗率を示すとは限らない。ここで、周波数が20kHzの交流を利用するのは、電極界面の反応等の電気化学的な要素を体積抵抗率の測定値から除くことが目的である。これにより、測定装置の抵抗と微多孔膜のイオン電導性の合計のみが測定値に寄与するため、当該測定値が微多孔膜の細孔分布及び細孔径を反映することができる。前記微多孔膜は、この体積抵抗率が1500Ω・cm以下であることが好ましく、1000Ω・cm以下がより好ましい。1500Ω・cmを超えるとサイクル特性が悪くなるおそれがある。1500Ω・cm以下では良好なサイクル特性を発現し、本発明の積層体は電気化学素子用セパレータとして好適に使用可能である。
本発明における20kHzの交流を用いた体積抵抗率の測定は、以下の手順で行うことができる。まず、直径20mmのサイズに打ち抜いた微多孔膜を150℃の条件で24時間以上乾燥させる。次に、乾燥した本発明の積層体を、例えば、SH2−Z型固体用サンプルホルダ(東陽テクニカ製)に5枚重ねて入れ、1mol/Lの濃度のLiPF/プロピレンカーボネートの電解液に十分に浸す。そして、好ましくは、0.8MPaまで減圧して微多孔膜間に残る空気を脱気した後、対向する2枚の金電極の間に挟み、ポテンショ/ガルバノスタッドを組み合わせた周波数応答アナライザVSP(Bio−Logic製)を用いて掃引周波数100m〜1MHz、振幅10mVの条件で交流インピーダンス値(Ω)を測定する。この値と本発明の積層体の厚みから単位体積当たりの抵抗率(体積抵抗率)に換算する。なお、測定装置が持つ抵抗成分のみを測定しておくか、測定結果に反映されないようキャンセルしておくことが望ましい。
本発明の積層体は、膜厚10μm当たりの透気抵抗度が10〜600秒(/100cc)であることが好ましく、20〜450秒がより好ましく、30〜250秒が更により好ましい。前記透気抵抗度はJIS P8117に基づいて測定することができる。前記透気抵抗度が10秒未満の場合、リチウムイオン二次電池用途ではリチウム遮断特性が低下し、リチウムデンドライトによる短絡が発生するリスクが高くなるため、安全上好ましくない。600秒超の場合は、特に体積抵抗率が大きくなり電気化学素子の出力特性を落とすことになるため好ましくない。
本発明の積層体に関して、バブルポイント法で測定される細孔径の平均値は、前記多孔性シートが2〜10μm、前記微多孔膜が20〜100nmであることが好ましい。リチウムイオン電池等の電気化学素子で使用される電極活物質の粒子径は様々な大きさがあるため、必ずしも細孔径が小さくなければならない訳ではない。およその基準としては、使用される活物質の粒子径の1/4の細孔径であれば短絡は起きないとされている。
本発明の積層体の表面粗さは、表裏ともにRa値1.5以下が好ましい。表面粗さは、電気化学素子を作製した際の正極とセパレータの接触抵抗として交流インピーダンスに影響を与えることが知られている。この接触抵抗は、例えばラミネートセルやコイン電池等の組電池等の電気化学素子で測定した周波数が0.1Hzの値と20000Hzの交流インピーダンス値の差から算出することができる。表面粗さRa値が大きくなるに従い0.1Hzの値と20000Hzの値の差が大きくなる。交流インピーダンスの値はオームの法則に従い対向面積に反比例するが、対向面積を大きくすると測定値自体が小さくなるため測定誤差の影響を受けやすいことや、周波数が低くなるに従い、正極、負極の抵抗成分も交流インピーダンスの値に含まれるため、セパレータの違いだけで値を指定できるものではない。但し、同じ電極、同じ電解液、同じサイズの電池であれば、セパレータの表面性の影響の違いを見ることができる。例えばCoLiO系正極、グラファイト系負極を用い、電解液にはLiPFといった一般的なリチウムイオン二次電池で用いる材料で作成した対向面積15cmのラミネートセルのこの値は、Ra値1.5でおよそ1Ω程度となる。電池の接触抵抗は出来るだけ低い方が好ましいことからRaができるだけ小さくなる条件が好ましい。なお電池を作製して交流インピーダンスを測定する際には、事前に3から5サイクルほど低いレートで充放電を行ったのち、一定の電圧まで充電後にインピーダンスを測定するのが望ましい。
本発明の積層体においては、前記多孔性シートの一方の表面に前記多孔性微細繊維層及び前記微多孔膜が存在し、且つ、前記多孔性シートの他方の表面に前記多孔性微細繊維層及び/又は前記微多孔膜が存在してもよい。すなわち、前記他方の表面には前記多孔性微細繊維層又は前記微多孔膜の一方、或いは、前記多孔性微細繊維層及び前記微多孔膜の両方が存在してもよい。前記多孔性シートの両面に何らかの層が存在することにより、多孔性シートの両面の力学的バランスが改善し、積層体の製造時又は保存時の変形を防止乃至低減することができる。前記多孔性シートの一方の表面に前記多孔性微細繊維層及び前記微多孔膜が存在し、且つ、前記多孔性シートの他方の表面に前記微多孔膜が存在する態様が好ましい。更に、前記多孔性シートの両方の表面に前記多孔性微細繊維層及び前記微多孔膜が存在する場合は、本発明の積層体の層構造が多孔性シートを挟んで略対称となり、当該積層体の両表面の力学的挙動が同一乃至近似するので、例えば、本発明の積層体の製造時又は保存時の、前記多孔性シートと前記多孔性微細繊維層及び/又は前記微多孔膜との力学特性の差異に起因する変形を更に防止乃至低減することができる。
[製造方法]
本発明の積層体は、例えば、以下に示す方法で製造することができる。
(1)前記多孔性シート上に前記多孔性微細繊維層を形成する。前記多孔性微細繊維層の形成方法は特に限定されるものではないが、静電紡糸法、エレクトロブローイング法又は遠心紡糸法(フォーススピニング法)を利用することが好ましく、静電紡糸法が特に好ましい。
静電紡糸法は特に問わず、ノズルをから紡糸溶液を押し出す方法、ワイヤーに紡糸溶液を塗布する方法、バブルを利用する方法、ノズルからの押し出しとエアーを併用する方法などが適宜利用可能であるが、例えば、
(i)第1の高分子微細繊維を構成する高分子を含む紡糸溶液をノズルから押し出すとともに、押し出した紡糸溶液に電界を作用させて繊維化する紡糸工程、
(ii)前記繊維化した第1の高分子微細繊維を前記多孔性シート上に集積させて多孔性微細繊維層を形成する集積工程、
(iii)必要に応じて、前記多孔性微細繊維層に圧力を加えて緻密化し、引張り強さを高める加圧工程
により前記多孔性シート上に前記多孔性微細繊維層を形成することができる。
前記(i)紡糸工程では、より具体的には、まず、紡糸溶液を用意する。この紡糸溶液は第1の高分子微細繊維を構成する高分子を所定の溶媒に溶解させた溶液である。このような紡糸溶液をノズルへ供給し、ノズルから押出すとともに、押出した紡糸溶液に電界を作用させて繊維化する。
前記ノズルは金属製であっても、非金属製であってもよい。ノズルが金属製であればノズルを一方の電極として使用することができ、ノズルが非金属製である場合には、ノズルの内部に電極を設置することにより、押出した紡糸溶液に電界を作用させることができる。
前記(i)紡糸工程では、前記ノズルから紡糸溶液を押出し、押出した紡糸溶液に電界を作用させることにより延伸して繊維化する。この電界は、極細繊維の繊維径、ノズルと繊維を集積する多孔性シートとの距離、紡糸溶液の溶媒、紡糸溶液の粘度などによって変化するため、特に限定されるものではないが、印加する電界が大きければ、その電界値の増加に応じて第1の高分子微細繊維の繊維径が細くなる傾向がある。但し、印加する電界が大きすぎると、空気の絶縁破壊が生じやすいので好ましくない。
前述のように押出した紡糸溶液に電界を作用させることにより、紡糸溶液に静電荷が蓄積され、多孔性シート側に別途設置した電極によって電気的に引っ張られ、引き伸ばされて繊維化する。電気的に引き伸ばしているため、繊維が多孔性シートに近づくにしたがって、電界により繊維の速度が加速され、繊維径の小さい第1の高分子微細繊維となる。また、溶媒の蒸発によって細くなり、静電気密度が高まり、その電気的反発力によって分裂し、更に繊維径の小さい極細繊維になることもできる。
このような電界は、例えば、ノズル( 金属製ノズルの場合にはノズル自体、ガラス、樹脂等の非金属製ノズルの場合にはノズルの内部の電極) と多孔性シートとの間に電位差を設けることによって、作用させることができる。例えば、ノズルに電圧を印加するとともに多孔性シート側に別途設置した電極をアースすることによって電位差を設けることができるし、逆に、多孔性シート側に別途設置した電極に電圧を印加するとともにノズルをアースすることによって電位差を設けることもできる。なお、電圧を印加する装置は特に限定されるものではないが、直流高電圧発生装置を使用できるほか、ヴァン・デ・グラフ起電機を用いることもできる。また、印加電圧は前述のような電界強度とすることができるのであれば良く、特に限定するものではないが、5〜50KV程度であるのが好ましい。
なお、印加する電圧の極性はプラスとマイナスのいずれであっても良い。しかしながら、電圧印加時のコロナ放電を抑制しやすいように、多孔性シート側の対向電極を接地し、ノズル側をプラスに印加して、ノズル側をプラス電位となるようにするのが好ましい。
次に、前記(ii)繊維化した繊維を多孔性シート上に集積させて多孔性微細繊維層を形成する集積工程を実施する。多孔性微細繊維層が形成される多孔性シートの面の反対側に電極を設置することが好ましい。前記電極は体積抵抗が10Ω以下の導電性材料(例えば、金属製) からなるのが好ましい。多孔性シートと前記電極は接触していてもよいし、離間していてもよい。
(2)このようにして、多孔性シート上に多孔性微細繊維層を形成した後、当該多孔性微細繊維層の上に微多孔膜を形成する。前記微多孔膜の形成方法は特に限定されるものではないが、キャスト法が好ましい。
キャスト法では、例えば、(iv)第2の高分子微細繊維及び親水性開孔剤を少なくとも含むスラリーを、多孔性微細繊維層上に塗布し、(v)前記スラリーを乾燥させて前記多孔性微細繊維層上に微多孔膜を形成する。
多孔性微細繊維層上でのキャスト塗工により微多孔膜を調製する製造方法は、微多孔膜が多孔性微細繊維層上に直接調製されるので、微多孔膜と多孔性微細繊維層が直接接合され、両者を良好に一体化することができる。
上記形成方法では、微多孔膜の調製手段として、第2の高分子微細繊維と共に親水性開孔剤を含むスラリーを多孔性微細繊維層上に塗布し乾燥するプロセスを採用しているので、生産効率を大幅に改善することができる。更に、親水性開孔剤の水への溶解度を調整することによって微多孔膜の孔のサイズを制御することができる。また、親水性開孔剤の添加量の調整により微多孔膜の空孔率を自由に制御することができる。例えば、第2の高分子微細繊維100重量(質量)部に対して親水性開孔剤を好ましくは50〜600重量部、より好ましくは80〜400重量部、更により好ましくは100〜300重量部の割合で使用することができる。
前記親水性開孔剤は、第2の高分子微細繊維からなるシートに微細な孔を形成可能な親水性物質であれば特に限定されるものではないが、親水性開孔剤の沸点は、180℃以上であることが好ましい。第2の高分子微細繊維がセルロース繊維のように水素結合可能な場合、繊維間の水素結合は、乾燥時のシート水分が10〜20重量%の間で形成されることが知られている。この水素結合が形成される際に開孔剤がシート中に存在し、かつ繊維間の水素結合を阻害することにより多孔質化が可能となる。沸点が180℃未満の開孔剤を用いた場合は、添加量を多くしても乾燥工程において開孔剤が揮発してしまい、十分に多孔化することができないおそれがある。そのため沸点が180℃以上の開孔剤が好ましいが、より好ましくは200℃以上である。例えばヘキサノールよりも少ない分子量の一級アルコール等は、水溶性と疎水性をあわせ持つ材料であるが、乾燥工程において水よりも揮発しやすいため十分に水素結合を阻害することができないため本発明においては用いることはできない。但し開孔剤の蒸気で満たした空気を用いて乾燥したり、水よりも蒸気圧の低い溶媒を用いて多段乾燥を用いる等の通常の乾燥条件とは異なる乾燥方法を用いた場合は必ずしも沸点が180℃以上である必要はない。
前記親水性開孔剤は、水への溶解度が10重量%以上のものが好ましく、20重量%以上のものがより好ましく、30重量%以上のものが更により好ましい。水への溶解度が10重量%未満の開孔剤を用いた場合には、開孔剤の添加量が限られるため、目的とする空孔率を開孔剤の添加量のみでコントロールすることが困難となりうる。また乾燥が進むに従い溶媒量が減少することで溶解できない開孔剤が分離するため、シートの面方向、厚み方向に均一に多孔化することが困難となりうる。なお、このような疎水性の開孔剤は乳化剤等によりエマルジョン化することで、ある程度均一に多孔化することが可能であるが、孔径の制御は困難である。一方、水への溶解度が10重量%以上の開孔剤を用いた場合には、スラリーに均一に分散可能であり、また、水への溶解性が高いので乾燥工程で分離しないため、乾燥工程において均一に水素結合を阻害することで細孔を均一に作ることができる。
前記親水性開孔剤は、25℃における蒸気圧が0.1kPa未満のものが好ましく、0.09kPa未満のものがより好ましく、0.08kPa未満のものが更により好ましい。蒸気圧が0.1kPa以上の親水性開孔剤は揮発性が高いので膜の多孔化に寄与する前に揮発する傾向が高く、結果として、微多孔質の膜を得ることが困難となるおそれがある。
前記親水性開孔剤は、水/オクタノールの分配係数(Log Pow)が−1.2〜0.8の範囲のものが好ましく、−1.1〜0.8の範囲のものがより好ましく、−0.7〜0.4の範囲のものが更により好ましい。前記オクタノールとしてはn−オクタノールが好ましい。前記分配係数が−1.2未満の親水性開孔剤を使用すると、得られるセルロース製微多孔膜のインピーダンス値が高まるおそれがある。
前記親水性開孔剤としては具体的には次のようなものがある。例えば1、5−ペンタンジオール、1-メチルアミノ-2,3-プロパンジオール等の高級アルコール類、イプロシンカプロラクトン、α−アセチル−γ−ブチルラクトン等のラクトン類、ジエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類、更にその他にグリセリン、炭酸プロピレン、N-メチルピロリドン等が挙げられるがその限りではない。これらの中でもグリコールエーテル類は蒸気圧が低く、微多孔膜の製造に最も適している。
前記スラリーは、第2の高分子微細繊維と親水性開孔剤以外に繊維間を繋ぐための接着剤として親水性高分子バインダーを該繊維100重量部に対して3〜80重量部、好ましくは5〜50重量部含むことが好ましい。親水性高分子バインダーは、接着剤としての機能以外に、繊維の分散性を向上させる機能を発揮することができる。均一な細孔分布を得るためには、スラリー中に繊維が均一に分散する必要があるが、親水性高分子バインダーは繊維の表面に定着することで保護コロイドに似た役割を果たすため分散性が向上する。バインダーの添加量が3重量部未満となると、出来上がったシートの強度が低下するおそれがあり、また、繊維の分散性が悪化するため、均一な細孔を得ることが困難となる。一方、80重量部よりも多い場合には、バインダーが細孔を埋めてしまう形となり、微多孔膜の体積抵抗率が高くなるため好ましくない。
前記親水性高分子バインダーとしては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース等のセルロース誘導体、リン酸エステル化デンプン、カチオン化デンプン、コーンスターチ等の多糖類の誘導体、電極用のバインダーとして知られているスチレンブタジエン共重合体エマルジョン、ポリフッ化ビニリデン等のバインダーを使用することが可能である。
前記形成方法において、第2の高分子微細繊維及び親水性開孔剤を含むスラリーを多孔性微細繊維層上に塗布する手法は、塗布層の膜厚が一定の範囲内となるように均一塗布できる塗工方法であればいかなる手段でも使うことができる。例えば、スロットダイコーター、カーテンコーター等の前計量タイプのコーターや、MBコーター、MBリバースコーター、コンマコーター等の後計量タイプでも塗工が可能である。
必要な場合には、添加剤として界面活性剤をスラリーに添加することができる。消泡剤やレベリング剤としてアセチレングリコール等に代表されるノニオン性の界面活性剤を電気化学素子性能に影響を与えない程度であれば使用可能である。イオン性の界面活性剤は、電気化学素子性能に影響を与える可能性があるので使わない方が好ましい。
この他に、第2の高分子微細繊維及び親水性開孔剤を含むスラリーには、前記バインダー、前記界面活性剤以外にも填料を含むことが可能である。例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子といった無機填料、シリコーンパウダー等の有機填料等を使用することが可能である。これらの粒子は、微多孔膜の細孔に影響を与えない程度に添加可能であるが、できるだけ平均粒子径が2μm未満のものを使用する方が好ましい。平均粒子径が2μm以上になると、粒子間の隙間により細孔径の大きな孔が開いてしまうため好ましくない。なお、これらの填料は塗工スラリーの粘度を下げる効果があるために塗料濃度を上げることが可能となり生産効率を上げるのに好適である。一方、添加量が多すぎると強度が低下するため、第2の高分子微細繊維100重量部に対して100重量部よりも多い添加量は好ましくない。
前記スラリーの溶媒は基本的に水を使用する必要があるが、乾燥効率を向上させることを目的としてメタノールやエタノール、t−ブチルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル等のエーテル類等の水よりも蒸気圧の高い溶媒を溶媒全体量の50重量%まで添加することが可能である。これらの溶媒を50重量%以上添加すると第2の高分子微細繊維の分散性が悪くなり細孔分布の均一性が悪くなるため好ましくない。
前記形成方法では、多孔性微細繊維層上に塗布された前記スラリーを乾燥して、多孔性微細繊維層上に直接微多孔膜を形成することができる。乾燥方法は特に限定されるものではないが、具体的には、熱風乾燥及び遠赤外線乾燥の単独又は組み合わせ等の一般的に使用されている乾燥手法を使用して実施することが可能であり、例えば熱風温度は、30〜150℃、好ましくは60〜120℃とすることができるが、できるだけシートの厚み方向の構造が均一に乾燥されるように熱風温度、熱風量、遠赤外線の照射条件等を調整する必要がある。また乾燥効率の向上のために、マイクロ波加熱を使用することもできる。
前記微多孔膜は有機溶媒で洗浄されてもよい。この洗浄工程は、界面活性剤等を必要に応じて使用した場合等において電気化学素子性能を阻害するような成分を取り除き、また、基材から前記シートを剥がす工程をスムーズに行うためのものである。洗浄工程に用いることのできる有機溶媒であれば、特に限定されるものではないが、残留水分が有機溶媒中に移行することによる微多孔膜の収縮の影響を避けるためには、水の溶解度が低い疎水性の溶媒が好ましい。
前記有機溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、n‐ヘキサン、トルエン、プロパノール等の比較的揮発速度の速い有機溶剤を1種類又は2種類以上を単独又は混合で1回から数回に分けて使用することができるが、これらに限定されるものではない。残留した開孔剤を洗浄する目的では、エタノール、メタノール等の水と親和性の高い溶媒が好ましいが、微多孔膜中の水分が溶媒に移行したり、空気中の水分を吸湿したりして、微多孔膜の物性や形状に影響与えるため、水分量が管理された状態で使用することが必要である。n−ヘキサン、トルエン等の疎水性の高い溶媒は、親水性開孔剤の洗浄効果は劣るが吸湿しにくいため好適に使用できる。以上の理由から例えば、アセトン、トルエン、n−ヘキサンのように、次第に疎水性が高くなるような順序で洗浄を繰り返しながら溶媒置換していく手法が好ましい。
なお、前記多孔性シートの一方の表面に前記多孔性微細繊維層及び前記微多孔膜を形成する一方で、前記多孔性シートの他方の表面に前記多孔性微細繊維層及び/又は前記微多孔膜を形成する場合は、前記多孔性シートの一方の表面上での前記多孔性微細繊維層及び前記微多孔膜の形成を実施し、また、前記多孔性シートの他方の表面上での前記多孔性微細繊維層及び/又は前記微多孔膜の形成を実施する。
本発明の積層体は、電気化学素子用セパレータの一構成要素として又はそのまま電気化学素子用セパレータとして使用することができる。
本発明の電気化学素子用セパレータは、例えば、リチウムイオン二次電池、ポリマーリチウム電池等の電池、並びに、アルミニウム電解コンデンサ、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等のキャパシタに用いることができる。
上記電気化学素子の構成は、本発明の積層体を電気化学素子用セパレータとして用いていること以外は、従来の電気化学素子と全く同様の構成とすることができる。なお、電気化学素子のセル構造は特に限定するものではなく、積層型、円筒型、角型、コイン型等が挙げられる。
例えば、本発明のセパレータを備える電気化学素子としてのリチウムイオン二次電池は、正極と負極とを有し、これらの間に本発明の電気化学素子用セパレータが配置され、この電気化学素子用セパレータに電解液が含浸されたものである。
上記正極及び負極は電極活物質を含む。正極活物質としては従来公知のものを用いることができ、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMn等のリチウム遷移金属酸化物や、LiFePO等のリチウム金属リン酸塩等が挙げられる。負極活物質としては従来公知のものを用いることができ、例えば、グラファイト等の炭素材料やリチウム合金等が挙げられる。また、電極には必要に応じて、従来公知の導電助材や結着剤が添加される。
リチウムイオン二次電池を製造するにはまず、正極活物質、負極活物質とそれぞれ、必要に応じて、従来公知の導電助材や結着剤とを含有してなる正極合剤、負極合剤を従来公知の集電体に塗布する。集電体としては例えば、正極にはアルミニウム等、負極には銅、ニッケル等が用いられる。正極合剤、負極合剤を集電体に塗布した後、乾燥させ、加圧成形することにより、集電体に活物質層が形成された正極及び負極がそれぞれ得られる。
次いで、得られた正極及び負極と、本発明の電気化学素子用セパレータとを、正極、電気化学素子用セパレータ、負極の順に積層し或いは巻回して素子を構成する。次いで、その素子を外装材に収納し、集電体を外部電極に接続して、従来公知の電解液を含浸した後、外装材を封止してリチウムイオン二次電池が得られる。
また、例えば、本発明のセパレータを備える電気化学素子としての電気二重層キャパシタは、正極と負極とを有し、これらの間に本発明の電気化学素子用セパレータが配置され、この電気化学素子用セパレータに電解液が含浸されたものである。
上記正極及び負極の電極は例えば、活性炭粉末と従来公知の導電助材や結着剤とを含有してなる電極合剤を従来公知の集電体に塗布し、乾燥させ、加圧成形することにより得られる。集電体としては例えば、アルミニウム等が用いられる。
電気二重層キャパシタは、正極及び負極と、本発明の電気化学素子用セパレータとを、正極、電気化学素子用セパレータ、負極の順に積層し或いは巻回して素子を構成する。次いで、その素子を外装材に収納し、集電体を外部電極に接続して、従来公知の電解液を含浸した後、外装材を封止することにより得られる。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではない。
(1) 平均繊維径の測定
電子顕微鏡(日立製作所製)で倍率5000倍の画像を5箇所撮影し、それぞれの視野から任意で20本の繊維を選択して繊維径を測定することで、(数)平均繊維径を測定した。
(2)厚さの測定
厚み計TM600(熊谷理機製)を用い、50mm×50mmのサンプルの厚さを任意で5点測定し、その平均値を膜厚とした。
(3)引裂強度の測定
積層体を50mm×25mmの短冊にカットした。図1に示すように、短冊の長辺の中央より、片方の辺は上下5mmの位置に、もう片方の辺は上下10mmの位置に印をつけ、上と下それぞれの点を線で結び、短冊に2つの斜線を入れた。図1に示すように、短冊の5mmの線をつけた側の長辺の中央に長さ1mmの切込みを入れ、試験片とした。これを、チャック間距離10mmに設定したテンシロン万能引張り試験機(RTG−1210、エー・アンド・デイ製)に、上述の斜線がテンシロンの2つのチャックの下辺に沿うように、上下10mmの位置に印をつけた側の長辺がたるむようにセットした。チャックの移動速度は5mm/分として、チャックの移動距離が11mmとなるまで逆方向に移動させ、試験片の引っ張りを行い、引裂強度を評価した。
[実施例1]
(1)セルロース塗料の調製
NBKPをイオン交換水中に3重量%濃度になるように分散させ、ダブルディスクリファイナーを用いて数平均繊維長1.0mm以下となるような条件までサイクリングにて叩解した。数平均繊維長が1.0mm以下となったセルロース繊維分散液を高圧ホモジナイザー(LAB−1000)で800barの条件で10回処理することにより微細化セルロース繊維原料1を得た。
同様の手法を用いて、高圧ホモジナイザーで3回処理することにより微細化セルロース繊維原料2を得た。
それぞれ、繊維遠心分離装置を用いて10000rpmの条件で5分処理することにより約10重量%まで濃縮した。微細化セルロース繊維原料1を等量のトリエチレングリコールブチルメチルエーテルと混合し、120℃のオーブンで乾燥して溶媒を除去したうえで電子顕微鏡を用いて平均繊維径を測定したところ、280nmであった。微細化セルロース繊維原料2を等量のトリエチレングリコールブチルメチルエーテルと混合し、120℃のオーブンで乾燥して溶媒を除去したうえで電子顕微鏡を用いて平均繊維径を測定したところ、460nmであった。
セルロース繊維の全体量に対して、セルロース繊維原料1の固形分を90重量%、セルロース繊維原料2を10重量%混ぜた原料を100重量部とし、当該原料100重量部に対して、親水性開孔剤として沸点が261℃、水への溶解度が無限大であるトリエチレングリコールブチルメチルエーテルを250重量部、バインダーとして1重量%濃度でイオン交換水に溶解したカルボキシメチルセルロースを20重量部添加し、最終的に固形分濃度が1.0重量%となるように水を加えた塗料を3μmのジルコニアビーズを用いて、ビーズミルを使用して均一に混ざるまで分散を行ってセルロース塗料を調製した。
(2)多孔性シート表面への多孔性微細繊維層の形成
多孔性シート基材として、PPスパンボンド(銘柄:ELTAS E01012、旭化成せんい製)を用いた。多孔性シートの繊維の数平均繊維径は13.0μmであった。シート基材をカレンダー処理することで、平均厚さ25μmの多孔性シートを得た。多孔性微細繊維層の樹脂にはPVDF樹脂(アルケマ社の721)を用いた。樹脂はDMF:アセトン6:4の溶媒に、樹脂濃度が12.5%になるように溶解した。多孔性微細繊維層の形成にはエレクトロスピニング装置(メック製)を利用し、シングルノズルを用いて紡糸を行った。多孔性シートを回転ドラムコレクタに貼り付け、ドラムを回転しながら紡糸を行った。液の吐出量は1ml/時、ノズルとコレクタの距離は250mm、電圧は40kV、ドラムの回転速度50rpmとし、PVDFの目付け量が0.5g/m相当となる時間処理を行い、多孔性シート表面上の多孔性微細繊維層を得た。多孔性微細繊維層を構成する繊維の平均繊維径は約200nmであった。
(3)多孔性微細繊維層上へのセルロース繊維からなる微多孔膜の形成
多孔性微細繊維層を形成した多孔性シートを厚さ100μmのPETフィルム上に貼り付け、セルロース塗料を多孔性微細繊維層表面からのWET膜厚が0.5mmとなるようアプリケーターを用いて多孔性微細繊維層上に塗布し、100℃の熱風及び赤外線ヒーターを用いて12分間乾燥することで、膜厚が28μmのセルロース微多孔膜を得た。このセルロース微多孔膜を構成するセルロース繊維の平均繊維径は360nmであった。その後、PETフィルムから多孔性シートを剥離することで、多孔性シート、多孔性微細繊維層、及び、セルロース微多孔膜がこの順で積層された積層体を得た。
[実施例2]
多孔性シート基材には実施例1と同じPPスパンボンドを使用した。多孔性微細繊維層の樹脂にはPP樹脂(ExxionMobil社 69361G)を用い、遠心紡糸装置(ファイブリオ社のFiberLab L−100D)を利用して紡糸を行った。ヘッドの回転速度5000rpmで紡糸を行い、吸引形のコレクタで生成したナノファイバーを多孔性シート上に約0.9g/mとなるように捕集することで多孔性微細繊維層を形成した。多孔性微細繊維層を構成する繊維の平均繊維径は約800nmであった。以降の工程は実施例1と同様にし、膜厚が29μmのセルロース微多孔膜を得た。その後、PETフィルムから多孔性シートを剥離することで、多孔性シート、多孔性微細繊維層、及び、セルロース微多孔膜がこの順で積層された積層体を得た。
[実施例3]
多孔性シート基材としてポリエステル不織布(ミライフ:JX日鉱日石エネルギー社製、平均繊維径9.8μm)を用いたこと以外は実施例1と同様の手段で、膜厚が25μmのセルロース微多孔膜を得た。その後、PETフィルムから多孔性シートを剥離することで、多孔性シート、多孔性微細繊維層、及び、セルロース微多孔膜がこの順で積層された積層体を得た。
[実施例4]
実施例1で調製したセルロース塗料をPETフィルム上にWET膜厚が0.25mmとなるようにアプリケーターで塗布した後、実施例1と同一の多孔性微細繊維層を形成した多孔性シートを多孔性微細繊維層が上面となるように塗工面の上に重ね、さらにその上から、多孔性微細繊維層表面からのWET膜厚が0.75mmとなるようにセルロース塗料を塗布し、100℃の熱風及び赤外線ヒーターを用いて12分間乾燥後、PETフィルムから剥離することで、膜厚が30μmのセパレータを得た。その後、PETフィルムからセルロース微多孔膜を剥離することで、セルロース微多孔膜、多孔性シート、多孔性微細繊維層、及び、セルロース微多孔膜がこの順で積層された積層体を得た。
[比較例1]
実施例1で使用したセルロース塗料を厚さ100μmのPETフィルム上にWET膜厚が1mmとなるようアプリケーターを用いて塗布し、100℃の熱風及び赤外線ヒーターを用いて12分間乾燥した。得られた塗工膜をトルエン中でPETフィルムから剥離してトルエンを揮発させることにより膜厚が28μmのセルロース微多孔膜を得た。
[比較例2]
多孔性微細繊維層の形成を行わなかったことを除いては、実施例1と同じ手法により、セルロース微多孔膜の目付量が実施例1と同じ量になるように多孔性シート上にセルロース微多孔膜を形成して積層体を得た。しかし、セルロースの塗料が部分的に多孔性シート基材に沈み込んだことによりピンホールが多数存在するシートとなった。
[比較例3]
セルロース繊維からなる微多孔膜の形成を行わなかったことを除いては、実施例1と同様な手法により、多孔性シート上と多孔性微細繊維層の複合体を得た。
比較例1のシートは、チャックの移動距離が11mmに達した時点でシートの切れ目が短冊の反対側まで達したのに対し、多孔性シートを用いた実施例1〜4、比較例2及び3については、多孔性シートの繊維が骨格として残り、シートが完全に破断するには至らなかった。以上の実験により、多孔性シートを用いることで引裂強度を向上できることが確認された。
なお、実施例4のシートは平坦形状保持性に優れており、経時的にカール状に変形することがなかった。
(電気二重層キャパシタの作製)
電極は、活性炭、アセチレンブラック及びテトラフルオロエチレンの混合物を固形分の質量比10:1:1で混合した合剤を、アルミニウム箔上に塗布・乾燥し、加圧成型した後に加熱処理して作製した。
電気化学素子用セパレータとしては実施例1〜4及び比較例1〜3を用い、そのセパレータを電極より0.5mm程大きいサイズに切り出した。電極は対向面積15cmとなるようにし、2枚の電極の間にセパレータを介在させ、1mol/LのテトラエチルアンモニウムBF塩(有機系電解質)のプロピレンカーボネート溶液を充填し、電気二重層キャパシタを作製した。これらのキャパシタの充放電サイクル試験を実施したが、比較例2と3については、いずれも充電することができず、内部で微短絡が発生していることが推測された。一方、実施例1〜4及び比較例1のシートは、100サイクルの正常な充放電を行うことが確認できた。
上記の結果より、多孔性シートを用いなかった比較例1は、電気化学素子用セパレータとしての性能は良好であったものの、強度特性がそのほかのものと比較して劣っていた。多孔性微細繊維層を設けなかった比較例2、及び、微多孔膜を設けなかった比較例3は、電気化学素子用セパレータとして利用した際、電極同士の接触を十分に防ぐことができず、セパレータとしての機能が不十分であった。

Claims (15)

  1. 2〜20μmの平均繊維径を有する繊維からなる多孔性シート、
    前記多孔性シートの表面に存在する、50〜1000nmの平均繊維径を有する第1の高分子微細繊維からなる多孔性微細繊維層、及び、
    前記多孔性微細繊維層の表面に存在する、20〜500nmの平均繊維径を有する第2の高分子微細繊維からなる微多孔膜
    を備える積層体。
  2. 前記多孔性シートが1〜60μmの厚みを有する、請求項1記載の積層体。
  3. 前記多孔性シートが織布、不織布又は紙からなる、請求項1又は2記載の積層体。
  4. 前記多孔性微細繊維層が0.01〜1g/mの坪量を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
  5. 前記第1の高分子微細繊維及び前記第2の高分子微細繊維が、それぞれ独立して、ポリビニルアルコール、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリスルホン、セルロースアセテート、セルロース、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキシド、ポリメチルペンテン、ポリアクリロニトリルポリフェニレンスルフィド、ポリアセチル、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン、及び、これらの組み合わせから選択される高分子からなる、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
  6. 前記第1の高分子微細繊維が、静電紡糸法、エレクトロブローイング法又は遠心紡糸法によって調製される、請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
  7. 前記第2の高分子微細繊維がセルロースからなる、請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
  8. 前記第2の高分子微細繊維に
    400nm以下の太さの繊維が第2の高分子微細繊維の全重量を基準として50重量%以上含まれている請求項7記載の積層体。
  9. 前記微多孔膜が3〜50μmの厚みを有する、請求項1〜8のいずれかに記載の積層体。
  10. 前記多孔性シート、前記多孔性微細繊維層及び前記微多孔膜の少なくとも1つの空孔率が30〜70%である、請求項1〜9のいずれかに記載の積層体。
  11. 1mol/LiPF/プロピレンカーボネート溶液を含浸させた状態において20kHzの交流を使用して決定した体積抵抗率が1500Ω・cm以下である、請求項1〜10のいずれかに記載の積層体。
  12. 前記多孔性シートの一方の表面に前記多孔性微細繊維層及び前記微多孔膜が存在し、且つ、他方の表面に前記多孔性微細繊維層及び/又は前記微多孔膜が存在する、請求項1〜11のいずれかに記載の積層体。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の積層体を備える電気化学素子用セパレータ。
  14. 請求項13記載の電気化学素子用セパレータを備える電気化学素子。
  15. 電池又はキャパシタである請求項14記載の電気化学素子。
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