JP6077784B2 - 二輪車用索体のクランプ構造 - Google Patents
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Description
本発明の目的は、クランプ部材の車軸方向に沿う幅寸法を小さくすることにある。
また、固定部の少なくとも一部を、索体で隠すことができ、美観を向上できる。
メインフレーム10の後部には、シートレール15が連結され、該シートレール15に運転者用シート16と同乗者用シート17が前後に亘って支持されている。メインフレーム10の後端下部には、下方に延びるスイングアームブラケット14が設けられ、該スイングアームブラケット14に、スイングアーム6の前端部がピポット軸61を介して揺動自在に支持されている。該スイングアーム6は一対の脚片60を備え、該一対の脚片60は平面視で二股状に形成される。該一対の脚片60の後端部に後輪9が挟まれるように位置する。後輪9は車軸93によって、スイングアーム6に支持されている。スイングアーム6には後輪9による泥撥ねや水撥ねから運転者を保護するフェンダ3が、後輪9の上方に被さるように取り付けられている。スイングアーム6よりも前方にて、メインフレーム10の下部にはエンジンEが支持され、該エンジンEによってチェーン97を介して後輪9が駆動される。該エンジンEにマフラ98を備えた排気装置99が接続されている。即ち、本実施形態の自動二輪車1はガソリンを燃料とする二輪車を想定している。
前記スイングアームブラケット14には、中間ブラケット81を介して、後輪ブレーキ用のブレーキペダル80が揺動可能に支持されており、該ブレーキペダル80にマスタシリンダ8が連結される。該マスタシリンダ8は後輪ブレーキホース5を介して、リザーバタンク(図示せず)から後記のブレーキキャリパ51に作動流体、具体的にはブレーキオイルを供給している。
車速検知ディスク40には、周方向に沿って多数の透孔41が開設され、該透孔41に対向するように車速センサ42がスイングアーム6に設けられている。該車速センサ42にはセンサケーブル4の一端が接続されている。該センサケーブル4と前記後輪ブレーキホース5とが、本発明の「二輪車用索体」に相当する。
該センサケーブル4はスイングアーム6の上面に沿って車体前方向に延び、エンジンコントロールユニット(ECU)(図示せず)に他端が接続される。車速センサ42は単位時間当たりに該車速センサ42を通過する透孔41の数をデータとして検出して、センサケーブル4を介して、該データを前記ECUに送信する。該ECUは該データから後輪9の回転速度を求め、前輪の回転速度と比較して車輪の空転を検知する。即ち、車速センサ42は公知のトラクションコントロールシステムを構成する。
ネジ35は脚片60の上方からクランプ部材2に挿入されて脚片60に螺合する。即ち、ネジ35は、本発明の「固定具」に相当する。しかし、ネジ35に代えて、脚片60の下面からボルトを挿入し、フェンダ3とクランプ部材2とを貫通したボルトの先端部にナットを嵌めて、フェンダ3とクランプ部材2を脚片60上に取り付けてもよい。
クランプ部材2は脚片60上にて後輪9の外周に最も接近した箇所に取り付けられるのが好ましい。クランプ部材2によって後輪ブレーキホース5及びセンサケーブル4の不用意な挙動を規制するから、該後輪ブレーキホース5及びセンサケーブル4が後輪9に接近する可能性を更に低減することができる。
図4(a)は、クランプ部材2の斜視図、図4(b)は、図4(a)の平面図、図4(c)は、図4(a)をC方向から見た側面図である。クランプ部材2は、スイングアーム6の脚片60に取り付けられ前後に延びた板状の固定部21と、該固定部21よりも後方且つ上方に位置する第1保持片20と、該固定部21と第1保持片20とを接続する接続片25と、該固定部21よりも車幅方向内側に位置する第2保持片7とを備える。第1保持片20がセンサケーブル4を、第2保持片7が後輪ブレーキホース5を夫々保持し、センサケーブル4は後輪ブレーキホース5よりも車幅方向外側を通る。第1保持片20と接続片25と固定部21とは、1枚の金属板を折曲して形成され、固定部21の前端部には、脚片60に螺合するネジ35が通過する第1ネジ通過孔22が開設されている。第1保持片20は前後方向に垂直な断面がC字形状に形成されて前後に延び、車幅方向外側に前記センサケーブル4が通る第1挿入口23を設けている。即ち、第1挿入口23は、第1保持片20に対して第2保持片7が位置する向きとは反対向きに開口している。
ストッパ片24は、接続片25と逆向きに折曲されて、該接続片25から前方に離れて形成される。第1保持片20を形成する前に、ストッパ片24と接続片25とを折曲することにより、ストッパ片24と接続片25とを容易に形成することができる。
第2保持片7は金属線を折曲して形成され、後端部が後方に延びて接続片25の外面に溶接される取付け具74を形成している。該取付け具74は前後方向に亘って連続しまたは互いに離間して設けられた溶接部26にて接続片25に溶接される。
挟み部70は、第1保持片20に対して車幅方向にずれて配置され、本実施形態では車幅方向内側にずれて配置される。即ち、接続部75によって挟み部70は取付け具74よりも車幅方向内側に位置する。
固定部21と第1保持片20とを合わせた全体の車幅方向の寸法は、脚片60の幅よりも短い。第2保持片7は脚片60の上方にあり、第2挿入口73は脚片60の上面に接近している。クランプ部材2がスイングアーム6の脚片60に取り付けられた状態で、図4(c)に示すように、連結片72は該脚片60の内側面に接近する、或いは接する。
前記の如く、センサケーブル4は第1挿入口23を通って、第1保持片20に挿入される。センサケーブル4は前後に延びて、第1保持片20に保持され、排気装置99のマフラ98等に干渉することが防止される。この状態で固定部21の少なくとも一部及びネジ35の頭部はセンサケーブル4によって隠れる。これにより、自動二輪車1の外観の美観を向上させることができる。また、ネジ35が挿入される固定部21と、第1保持片20は前後方向にずれているから、ネジ35を第1ネジ通過孔22を通して脚片60に螺合する際に、第1保持片20が邪魔にならない。
1つのクランプ部材2にて、後輪ブレーキホース5とセンサケーブル4を保持できるので、別個の部品で後輪ブレーキホース5とセンサケーブル4を保持する場合に比して、部品点数を削減することができる。後輪ブレーキホース5とセンサケーブル4を1つの部材で保持すると、該部材の幅が大きくなり易いが、上述の構成により、クランプ部材2の車幅方向の寸法が大きくなることを抑えることができる。
また、固定部21上にセンサケーブル4が配置されるから、車軸方向に固定部21とセンサケーブル4とが並ぶ場合に比して、クランプ部材2の車軸方向の寸法、及び固定部21が配置される脚片60上の領域の車軸方向の寸法を小さくすることができる。これにより、脚片60の上面にクランプ部材2を収め易くなる。
接続片25によって、第1保持片20と固定部21とは上下に間隔を空けることができ、ネジ35の頭部とセンサケーブル4との干渉を防ぐことが出来る。第1保持片20と接続片25とが、前後方向に延びることで、センサケーブル4の上下又は水平方向の変位を抑え、安定して保持することができる。
前記の如く、第2保持片7は金属線を折曲して形成され、一般に金属線は断面円形である。従って、第2保持片7を後輪ブレーキホース5を保持するのに用いることにより、第2保持片7に面取り等の更なる加工を行うことなく、後輪ブレーキホース5の表面と接触した場合に後輪ブレーキホース5の損傷を防ぐことが出来る。
ネジ35によってクランプ部材2がスイングアーム6に着脱可能に取り付けられるから、フェンダ3が損傷した場合にはフェンダ3の交換を図ることが出来る。
図5は、クランプ部材2をスイングアーム6の脚片60に取り付ける際の作業手順を示す斜視図である。フェンダ3は前記通過孔30を設けた側部から、外向きに取付け片31を水平に突出しており、該取付け片31に前記固定部21の第1ネジ通過孔22に合わさる第2ネジ通過孔32が開設されている。
予め、後輪ブレーキホース5を、フェンダ3の通過孔30に通しておき、該フェンダ3の取付け片31を脚片60の上面に置く。脚片60上にはネジ35が螺合するネジ孔(図示せず)が開設され、前記第2ネジ通過孔32はネジ孔に合わさる。フェンダ3は前記の如く、該第2ネジ通過孔32を含む合計3箇所にて、スイングアーム6にネジ止めされる(図3参照)。
この状態で、クランプ部材2を取付け片31の上方に配置する。フェンダ3から後方に延びた後輪ブレーキホース5を第2挿入口73を通して第2保持片7の挟み部70に嵌める。後輪ブレーキホース5は弾性変形されて、第2挿入口73を通過した後に弾性復帰して、挟み部70に嵌まる。これとともに、第2保持片7の当接部71を後輪ブレーキホース5の内側端部に当接させる。即ち、後輪ブレーキホース5はフェンダ3の通過孔30、当接部71、挟み部70の3箇所にてクランプされ、後輪ブレーキホース5は該通過孔30と当接部71とにて挟持される。前記の如く、当接部71は挟み部70の内側端部よりも外側に位置するから、挟み部70と通過孔30の間に位置する後輪ブレーキホース5が後輪9に接近することを防止できる。
固定部21の上方から、ネジ35を第1ネジ通過孔22と第2ネジ通過孔32とを貫通してネジ孔に螺合させる。ストッパ片24が取付け片31及び脚片60の外側面に当接し、連結片72が取付け片31及び脚片60の内側面に当接し又は接近するから、ネジ35を回転させても、クランプ部材2の回転は規制される。ネジ35のネジ孔への螺合が完了すると、クランプ部材2が脚片60に固定され、且つフェンダ3と共止めされる。ネジ35のフェンダ3への螺合と前後して、他の2つのネジ35aをフェンダ3に通してスイングアーム6に螺合させる。
後輪ブレーキホース5がフェンダ3を通ることにより、該後輪ブレーキホース5の一部は自動二輪車1の外側から見えない。これによって、自動二輪車1の外観上の美観が更に向上する。また、後輪ブレーキホース5はセンサケーブル4よりも大径であって剛性が高い。従って、後輪ブレーキホース5は不用意な挙動が規制されるから、該後輪ブレーキホース5を取り付けたクランプ部材2をスイングアーム6に取り付けることが容易になる。
図6は、センサケーブル4を第1保持片20へ取り付ける構造の応用例を示す図であって、第1保持片20を外側から見ている。センサケーブル4にはゴム製のグロメット47が嵌められており、該グロメット47は第1保持片20に嵌められる筒体48の両端部に鍔体49を設けて構成される。センサケーブル4を包んだ筒体48が、第1挿入口23を通って、第1保持片20にクランプされた状態で、鍔体49は第1保持片20の前後端面に接して、センサケーブル4が前後に動くことを防ぐ。これにより、センサケーブル4が第1保持片20と直接擦れることによる、センサケーブル4の磨耗を防ぐことができる。尚、後輪ブレーキホース5にグロメット47を嵌めて、第2保持片7にクランプしてもよい。
センサケーブル4がグロメット47に嵌まることにより、センサケーブル4の一部に応力集中が生じることを防ぐことが出来る。鍔体49が第1保持片20の内径よりも大きく形成され、両鍔体49の間隔が第1保持片20の前後方向寸法よりも大きく形成されることにより、スイングアーム6が揺動してもセンサケーブル4が第1保持片20に対して前後方向に変位することを防ぐことが出来る。また、固定部21の第1ネジ通過孔22が第1保持片20と間隔を空けて配置されることで、グロメット47の鍔体49とネジ35の頭部とが干渉することを防ぐことが出来る。また、第2保持片7と鍔体49とを間隔を空けて配置することで、鍔体49と第2保持片7とが干渉することを防ぐことが出来る。
センサケーブル4の代わりに、後輪ブレーキホース5が固定部21の上に被さるように保持されても良い。従って、本発明はセンサケーブル4を備えない車両においても適用可能である。
上記の実施形態では、第1保持片20は固定部21よりも後方に配置されている。しかし、固定部21の真上を後輪ブレーキホース5又はセンサケーブル4が通過すればよく、第1保持片20は固定部21よりも前方に配置されてもよい。また、第1保持片20は前後方向に関して固定部21と同じ位置で、固定部21の上方に配置されてもよい。また、平面視において、後輪ブレーキホース5又はセンサケーブル4が固定部21と重なればよいが、後輪ブレーキホース5又はセンサケーブル4の中心軸線が固定部21と重なることがより好ましい。
クランプ部材2は、フェンダ3に共締めされていなくてもよく、スイングアーム6に直接締結されても良い。また、クランプ部材2は金属板と金属線とを組み合わせて形成されるとしたが、金属板のみでクランプ部材2を形成しても良い。
本実施形態に係る自動二輪車では、ガソリンを燃料とする二輪車を想定したが、本実施形態の技術的な内容は例えば電動二輪車にも応用することができる。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する1つの態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
2 クランプ部材
3 フェンダ
4 センサケーブル
5 後輪ブレーキホース
6 スイングアーム
7 第2保持片
9 後輪
20 第1保持片
21 固定部
Claims (1)
- 二輪車の車軸を支持するスイングアーム上を前後方向に延びる索体を保持するクランプ部材を設けた二輪車用索体のクランプ構造であって、
前記クランプ部材は、
固定具にて前記スイングアームの上面に取り付けられる固定部と、
該固定部に設けられ、前記索体を保持する保持部とを備え、
前記索体は、前記固定部に上方から被さるように、前記保持部に保持され、
前記保持部は、第1の索体を保持する第1保持片と、第2の索体を保持する第2保持片とを含み、
前記第1保持片及び第2保持片は、前後方向にずれて配置される、二輪車用索体のクランプ構造。
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