JP6076010B2 - 真空断熱構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、真空断熱構造体に関するものであり、更に詳しくは、優れた断熱性能を示し、更に、長期間使用した際にも断熱性能の経時安定性に優れた真空断熱構造体に関するものである。
従来、冷蔵庫や電気ポットの断熱材、あるいは住宅用断熱壁用の断熱パネルとしては、ポリウレタンフォームを用いた断熱体が利用されてきたが、近年これに代わる、優れた材料として、グラスウール、酸化珪素、発泡樹脂などの断熱性材料を芯材とし、これをガスバリア性ラミネートフィルムで密封し且つ内部を真空とした真空断熱構造体が用いられ始めている。
かかるガスバリア性ラミネートフィルムとして、アルミ箔を含有した多層フィルムや、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムやエチレン−ビニルアルコール系樹脂フィルムを含有した多層フィルムなどが挙げられる。
例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルムを含有した多層フィルムを含む真空断熱構造体としては、芯材と、前記芯材を外包する外装袋外被材とを備え、前記外装袋が、蒸着層を有するラミネートフィルム同士、もしくは蒸着層を有するラミネートフィルムと、金属箔を有するラミネートフィルムとを、熱溶着によって袋状にしたものであり、前記蒸着層を有するラミネートフィルムが、熱溶着層と、ガスバリア層と、最外層とを含み、前記ガスバリア層がエチレン−ビニルアルコール系樹脂を含むプラスチックフィルムの片側にアルミ蒸着を施したものであり、かつ、アルミ蒸着を施した面が熱溶着層側に設けられている真空断熱体(例えば、特許文献1参照。)や、また、断熱性材料を二軸延伸ポリビニルアルコールフィルムを含む多層フィルムにより密封包装して得られる真空断熱構造体であり、かかる多層フィルムとしては、二軸延伸ポリビニルアルコールと、金属が蒸着されていてもよいポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリオレフィンフィルム等が積層した多層フィルムを用いた真空断熱構造体(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
また、外装袋として、金属を蒸着した蒸着層を有する複数の基材を備え、これら複数の基材を前記蒸着層同士が対向するように積層したものも提案されている(例えば、特許文献3参照。)
特開平10−122477号公報 特開2005−237940号公報 特開2006−84077号公報
しかしながら、上記特許文献1〜3の開示技術においては、外装袋に、各種フィルムがラミネートされた多層フィルムが用いられるが、かかる多層フィルムを構成する各種フィルムあるいはそれらをラミネートするための接着剤には、製造時に除去しきれなかったり、保管時に吸収されたりした、水分や有機溶剤などの揮発成分が内包されており、かかる揮発成分が、真空断熱構造体を構成した後に、経時とともにその構造体内部にガスとして染み出すこととなり、それが原因で断熱性能を著しく低下させてしまうおそれがあった。特に、上記特許文献3においては、蒸着層同士が対向するように積層されているため、通常真空断熱構造体の外装袋を作製する際に一般的に行われる乾燥条件(例えば、70〜100℃で1〜3時間程度)では蒸着層間に挟まれた揮発成分が除去しがたいものであり、近年の断熱性能の高まりの中、更なる改良が求められているところである。
そこで、本発明ではこのような背景下において、優れた断熱性能を有し、更に、長期間使用した際にも断熱性能の経時安定性に優れた真空断熱構造体を提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者等はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、真空断熱構造体に用いる外装袋において、金属或いは金属酸化物が蒸着されたガスバリア性フィルムと金属或いは金属酸化物が蒸着されたポリエステル系フィルムとを接着剤を介して接着して外装袋の積層体を得るにあたり、互いの蒸着面同士を蒸着面が向き合うように接着してなり、かつ、かかる接着剤として、無溶剤型接着剤を用い、更に、かかる積層体におけるガスクロマトグラフィ/質量分析法(GC/MS)によって測定される揮発成分量が500μg/m 2 以下であることにより、優れた断熱性能を有し、更に、長期間使用した際にも断熱性能の経時安定性に優れた真空断熱構造体を得ることができることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、金属或いは金属酸化物が蒸着されたガスバリア性フィルム(A)と金属或いは金属酸化物が蒸着されたポリエステル系フィルム(B)とを互いの蒸着面が向き合うように接着剤を介して接着してなる積層体[I]により、断熱性材料が密封包装されてなる真空断熱構造体であって、該接着剤が無溶剤型接着剤であり、かつ、積層体[I]におけるガスクロマトグラフィ/質量分析法(GC/MS)によって測定される揮発成分量が500μg/m 2 以下であることを特徴とする真空断熱構造体に関するものである。
なお、本発明においては、蒸着面同士が対向するように接着されてなる積層体の蒸着層間に内包された揮発成分に着目したものであり、かかる揮発成分は、ガスバリア性の高い蒸着層に挟まれているため、通常真空断熱構造体の外装袋を作製する際に一般的に行われる乾燥条件(例えば、70〜100℃で1〜3時間程度)では除去しがたいものであったところ、乾燥条件を厳しくすることもなく、また、蒸着層間の揮発成分を大幅に低減させることができたものである。
本発明の真空断熱構造体は、金属或いは金属酸化物が蒸着されたガスバリア性フィルム
(A)と金属或いは金属酸化物が蒸着されたポリエステル系フィルム(B)とを互いの蒸
着面が向き合うように接着剤を介して接着してなる積層体[I]により、断熱性材料が密
封包装されてなる真空断熱構造体であり、かかる接着剤として無溶剤型接着剤を用い、更に、積層体[I]におけるガスクロマトグラフィ/質量分析法(GC/MS)によって測定される揮発成分量が500μg/m 2 以下であることにより、優れた断熱性能を示し、更に、長期間使用した際にも断熱性能の経時安定性に優れた効果を有するものである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
まず、断熱性材料を密封包装するための外装袋となる積層体[I]について説明する。
本発明の積層体[I]は、金属或いは金属酸化物が蒸着されたガスバリア性フィルム(A)と金属或いは金属酸化物が蒸着されたポリエステル系フィルム(B)とを互いの蒸着面が向き合うように接着剤を介して接着してなる積層体である。
本発明で用いられるガスバリア性フィルム(A)は、ガスバリア性を有するフィルム(a)に金属或いは金属酸化物が蒸着されたフィルムであり(以下、蒸着される前のフィルムを(a)、蒸着された後のフィルムを(A)と付することとする。)、真空断熱構造体の外装袋として用いられる公知のフィルムであればよく、通常、かかるガスバリア性フィルム(a)の中でも、23℃−50%RHの条件でJIS K 7126(等圧法)に記載の方法に準じて測定した際の酸素透過量が、1ml/(m2・day・atm)以下のフィルムを用いることが好ましく、特には、0.1ml/(m2・day・atm)以下のフィルムを用いることが好ましい。具体的には、ビニルアルコール系フィルムであることが高いガスバリア性を得るという点で特に好ましい。
かかるビニルアルコール系フィルムは、ビニルアルコール系樹脂より製膜されてなるものであり、ビニルアルコール系樹脂とは、ビニルエステル単位がケン化されてなるビニルアルコール単位を有するものであればよく、好ましくは平均ケン化度が90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上、更に好ましくは97モル%以上である。
ビニルアルコール系樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂と略記することがある)や、エチレン−ビニルアルコール系樹脂(以下、EVOH系樹脂と略記することがある)を挙げることができ、中でもPVA系樹脂であることが特に好ましい。
ビニルアルコール系フィルムとしては、公知のPVA系樹脂又はEVOH系樹脂からなるフィルムを用いることができるが、これら樹脂について以下に説明する。
まず、PVA系樹脂について説明する。
PVA系樹脂としては、酢酸ビニルを単独重合し、それをケン化したPVAと、変性PVAを挙げることができ、かかる変性PVAとしては、共重合変性品と後変性品とを挙げることができる。PVAは、酢酸ビニルを単独重合し、更にそれをケン化して製造される。また変性PVAは、酢酸ビニルと酢酸ビニルと共重合可能な不飽和単量体を共重合させた後ケン化して製造されるものであり、その変性量としては本発明の効果を損なわない範囲であり通常10モル%未満である。
上記酢酸ビニルと共重合可能な不飽和単量体としては、例えばエチレンやプロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類およびそのアシル化物などの誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、ウンデシレン酸等の不飽和酸類、その塩、モノエステル、あるいはジアルキルエステル、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸類あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、ビニルエチレンカーボネート、2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン、グリセリンモノアリルエーテル、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、等のビニル化合物、酢酸イソプロペニル、1−メトキシビニルアセテート等の置換酢酸ビニル類、塩化ビニリデン、1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、ビニレンカーボネート、等が挙げられる。
また、PVA系樹脂として、側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂を用いることもでき、かかる側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVA系樹脂は、例えば、(ア)酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化する方法、(イ)酢酸ビニルとビニルエチレンカーボネートとの共重合体をケン化及び脱炭酸する方法、(ウ)酢酸ビニルと2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとの共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法、(エ)酢酸ビニルとグリセリンモノアリルエーテルとの共重合体をケン化する方法、等により得られる。
更に、変性PVAとしては、PVAを後変性することにより製造することもできる。かかる後変性の方法としては、PVAをアセト酢酸エステル化、アセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化、オキシアルキレン化する方法等が挙げられる。
本発明においては、上記PVA系樹脂の重合度が1100以上、平均ケン化度90モル%以上であることが好ましく、重合度の更に好ましい範囲は1100〜4000、特に好ましい範囲は1200〜2600であり、平均ケン化度の更に好ましい範囲は95〜100モル%、特に好ましい範囲は99〜100モル%である。かかる重合度が低すぎるとフィルムとしたときの機械強度が低下する傾向にある。なお、重合度が高すぎると製膜および延伸時の加工性が低下する傾向にある。平均ケン化度が低すぎると耐水性が低下し、ガスバリア性の湿度による変化が著しくなる傾向にあるので、比較的高いものを選ぶことが好ましい。なお、上記重合度及び平均ケン化度は、JIS K6726に準じて測定される。
また、上記PVA系樹脂の4重量%水溶液の粘度としては、2.5〜100mPa・s(20℃)が好ましく、更には2.5〜70mPa・s(20℃)、特には2.5〜60mPa・s(20℃)が好ましい。該粘度が低すぎるとフィルム強度等の機械的物性が低下傾向があり、高すぎるとフィルムへの製膜性が低下する傾向がある。
尚、上記粘度はJIS K6726に準じて測定されるものである。
これらのPVA系樹脂は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
次に、EVOH系樹脂について説明する。
EVOH系樹脂は、エチレンとビニルエステルを共重合させた後にケン化させることにより得られる、水(温水も含む。)には溶解しない熱可塑性樹脂であり、エチレンとビニルエステル系モノマーとの重合は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合などにより行うことができる。
かかるビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表的なものとして挙げられるが、その他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど)も使用できる。また、EVOH系樹脂には、加熱溶融時の安定性向上のために共重合成分としてビニルシラン化合物を0.0002〜0.2モル%含有させることもできる。
ここで、ビニルシラン系化合物としては、たとえば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシランが挙げられる。なかでも、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好適に用いられる。さらに、本発明の目的が阻害されない範囲で、他の共重合性単量体、例えば、プロピレン、ブチレン;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸またはそのエステル;N−ビニルピロリドンなどのビニルピロリドン等を共重合することもできる。
EVOH系樹脂のエチレン含有量は20〜60モル%であるが、良好な延伸性を得る観点からは、エチレン含有量は25モル%以上、さらには30モル%以上であることが特に好ましい。また、ガスバリア性の観点からは、エチレン含有量は55モル%以下、さらには50モル%以下であることが特に好ましい。エチレン含有量が少なすぎると溶融成形性が低下する傾向があり、多すぎるとガスバリア性が低下する傾向がある。
なお、かかるEVOH系樹脂のエチレン含有量は、核磁気共鳴(NMR)法により求めることができる。
また、かかるEVOH系樹脂のケン化度は、好適には90%以上であり、より好適には95%以上であり、更に好適には99%以上である。ケン化度が低すぎると、高湿度下でのガスバリア性が低下する傾向がある。
なお、ここで、EVOH系樹脂が、ケン化度の異なる2種類以上のEVOH系樹脂の配合物からなる場合には、配合重量比から算出される平均値をケン化度とする。
さらに、本発明の目的を阻外しない範囲内で加熱溶融時の安定性を向上させるためにEVOH系樹脂にホウ素化合物をブレンドすることもできる。ここでホウ素化合物としては、例えば、ホウ酸類、ホウ酸エステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素類等が挙げられる。具体的には、ホウ酸類としては、例えば、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸などが挙げられ、ホウ酸エステルとしてはホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチルなどが挙げられ、ホウ酸塩としては上記の各種ホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ホウ砂などが挙げられる。これらの化合物のうちでもオルトホウ酸(以下、単にホウ酸と表示する場合がある)であることが好ましい。
EVOH系樹脂にホウ素化合物をブレンドする場合、ホウ素化合物の含有量は、好ましくはホウ素元素換算で20〜2000ppm、より好ましくは50〜1000ppmである。この範囲内でホウ素化合物をブレンドすることで加熱溶融時のトルク変動が抑制されたEVOH系樹脂を得ることができる。ホウ素化合物の含有量が少なすぎると添加効果が小さく、多すぎるとゲル化しやすく、成形性不良となる場合がある。
かかるEVOH系樹脂の好適なメルトフローレート(MFR)(230℃、2160g荷重下)は、通常1〜50g/10分であり、より好適には3〜40g/10分、更に好適には5〜30g/10分である。これらのEVOH系樹脂は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
本発明では、上記ビニルアルコール系樹脂を用いてフィルム製膜するのであるが、かかる製膜方法も公知のものでよく、例えば、ドラム、エンドレスベルト等の金属面上にビニルアルコール系樹脂溶液を流延してフィルム形成する流延式成形法、あるいは押出機により溶融押出する溶融成形法によって製膜される。
かかるビニルアルコール系フィルムは、無延伸フィルムとして用いてもよいが、通常一軸延伸或いは二軸延伸フィルムとして用いることが好ましく、特にガスバリア性の点から、二軸延伸フィルムとして用いるのが好ましい。かかる一軸および二軸延伸フィルムの流れ方向(MD方向)の延伸倍率としては2.5〜5倍であることが好ましい。
かかる延伸処理方法は、通常行われる一軸延伸方法や、同時二軸延伸、逐次二軸延伸など、公知方法に従い行うことが可能である。
本発明においては、かかる二軸延伸ビニルアルコール系フィルムの中でも、二軸延伸PVA系フィルム、二軸延伸EVOH系フィルムが好ましく用いられ、特には二軸延伸PVA系フィルムが好ましく用いられる。以下、これら二軸延伸フィルムの具体的な製法について説明する。
まず、二軸延伸PVA樹脂系フィルムについて説明する。
上記PVA系樹脂を用いて、PVA系フィルム(延伸前PVA系フィルム)を製膜するわけであるが、通常は、製膜用の原液として、PVA系樹脂濃度が5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%のPVA系樹脂−水の組成物を調製する。
かかるPVA系樹脂−水組成物には、本発明の効果を損なわない範囲でエチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の多価アルコール類の可塑剤やフェノール系、アミン系等の抗酸化剤、リン酸エステル類等の安定剤、着色料、香料、増量剤、消包剤、剥離剤、紫外線吸収剤、無機粉体、界面活性剤等の通常の添加剤を適宜配合しても差し支えない。また、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のPVA系樹脂以外の他の水溶性樹脂を混合してもよい。
PVA系フィルムの製膜法については、特に限定されないが、上記PVA系樹脂−水組成物を押出機に供給して溶融混練した後、Tダイ法、インフレーション法により押出し製膜し、乾燥する方法が好ましい。
かかる方法における押出機内での溶融混練温度は、50〜170℃、特には55〜160℃が好ましい。かかる温度が低すぎるとフィルム肌の不良を招き、高すぎると発泡現象を招く傾向にある。また、製膜後のフィルムの乾燥については、70〜120℃で行うことが好ましく、更には80〜100℃で行うことが好ましい。
上記で得られたPVA系フィルムに対して、更に二軸延伸を施すことにより、本発明で好ましく用いられる二軸延伸PVA系フィルムとなる。
かかる二軸延伸については、機械の流れ方向(MD方向)の延伸倍率が2.5〜5倍、幅方向(TD方向)の延伸倍率が2〜4.5倍であることが好ましく、特に好ましくはMD方向の延伸倍率が3〜5倍、TD方向の延伸倍率が2.5〜4.5倍である。該MD方向の延伸倍率が低すぎると延伸による物性向上が得難くかつ耐熱性が損なわれる傾向があり、高すぎるとフィルムがMD方向へ裂けやすくなる傾向がある。また、TD方向の延伸倍率が低すぎると延伸による物性向上が得難く、かつ耐熱性が損なわれる傾向があり、高すぎると工業的にフィルムを製造する際に延伸時の破断が多発する傾向がある。
かかる逐次二軸延伸あるいは同時二軸延伸を行うにあたっては、PVA系フィルムの含水率を5〜30重量%、特には20〜30重量%に調整しておくことが好ましい。含水率の調整は、乾燥前のPVA系フィルムを引き続き乾燥する方法、含水率5重量%未満のPVA系フィルムを水に浸漬あるいは調湿等を施す方法等により行うことができる。かかる含水率が低すぎても、高すぎても延伸工程でMD方向、TD方向の延伸倍率を高めることができない傾向がある。
更に、二軸延伸を施した後は、熱固定を行うことが好ましく、かかる熱固定の温度は、PVA系樹脂の融点より低い温度を選択することが好ましく、特には140〜250℃であることが好ましい。熱固定温度が、融点より80℃以上低い温度の場合は、寸法安定性が悪く収縮率が大きくなる傾向があり、一方、融点より高い場合は、フィルムの厚み変動が大きくなる傾向がある。また、熱固定時間は1〜30秒間であることが好ましく、より好ましくは5〜10秒間である。
また、必要に応じて、熱変形性をさらに減少させる目的で、かかる二軸延伸PVA系フィルムに、水溶液への接触および乾燥の加工を施すことも可能である。水溶液との接触においては、通常5〜60℃、好ましくは10〜50℃の水溶液が用いられ、水溶液との接触時間は、水溶液の温度に応じて適宜選択されるが、工業的には10〜60秒であることが好ましい。
かかる水溶液との接触方法については、例えば、水溶液への浸漬や水溶液の噴霧、水溶液の塗布、スチーム処理などが挙げられ、これらを併用することもできる。水溶液との接触の後、工業的には、エアーシャワー等で非接触的に表面の付着水を取り除き、次いでニップロール等で接触的な水分除去を次に行うことが好ましい。また、乾燥機の種類としては、例えば、金属ロールやセラミックロール等に直接接触して乾燥する方法、あるいは非接触型の乾燥機を用いる方法などが挙げられる。
かかる水溶液との接触と乾燥の後に、得られた二軸延伸PVA系フィルムを再度巻き取ってロール状とする場合は、フィルムの水分量を通常3重量%以下、好ましくは0.1〜2重量%にすることが望まれる。かかる水分量が多すぎるとフィルムロールの中でフィルム同士が密着してしまう傾向があり、再度加工のための巻き出しを行う際にフィルムが破損するなどの問題を発生するおそれがある。
かくして本発明で好適に用いられる二軸延伸PVA系フィルムが得られる。
次に、二軸延伸EVOH系フィルムについて説明する。
上記EVOH系樹脂を用いて、EVOH系フィルム(延伸前EVOH系フィルム)を製膜するわけである。
かかるEVOH系樹脂には、本発明の目的を阻外しない範囲内で、酸化防止剤、色剤、紫外線吸収剤、スリップ剤、帯電防止剤、可塑剤、硼酸等の架橋剤、無機充填剤、無機乾燥剤等の各種添加剤、ポリアミド、ポリオレフィン、高吸水性樹脂等の各種樹脂を配合してもよい。
上記EVOH系樹脂を用いて、EVOH系フィルムを製膜する際には、主に溶融成形が用いられる。以下に溶融成形方法について説明する。
かかる溶融成形時の条件としては、特に限定されないが、通常はノンベント、スクリュータイプ押出機を用い、溶融温度190〜250℃で押出製膜される。通常、圧縮比2.0〜4.5のスクリューを用い、Tダイス、または丸ダイスを用いて製膜される。
かくしてEVOH系フィルムが得られるわけであるが、該フィルムに対しては、更に、二軸延伸、好ましくは逐次二軸延伸を施すことにより、二軸延伸EVOH系フィルムとすることができる。
かかる二軸延伸の面積倍率については、好ましくは3倍以上、より好ましくは6倍以上、特に好ましくは9倍以上であることが、ガスバリア性および機械強度の観点から重要である。延伸する方法としては、ダブルバブル法、テンター法、ロール法等の一軸または二軸延伸する方法等公知の延伸方法を採用することができ、二軸延伸の場合は、同時延伸、逐次延伸のいずれの方式も採用出来る。
また、延伸前の原反フィルムに予め含水させておくことで容易な連続延伸が可能となり、延伸前の原反フィルムの水分率としては、2〜30重量%が好ましく、特には5〜30重量%が好ましく、更には10〜30重量%が好ましい。水分率が少なすぎると、延伸斑が残りやすく、また特にテンターで延伸する場合、グリップに近い部分の延伸倍率が高くなるために、グリップ近辺での破れが生じやすくなることがある。一方、水分率が高すぎると、延伸された部分の弾性率が低く、未延伸部分との差が十分でなく、延伸斑が残りやすくなることがある。
かかる延伸温度に関しては、延伸前の原反フィルムの水分率によって多少異なるが、一般に50〜130℃の範囲が適応可能である。特に同時二軸延伸においては、70〜100℃の範囲において、厚み斑の少ない二軸延伸EVOH系フィルムが得られやすく、逐次二軸延伸においては、ロールでの長手方向の延伸において70〜100℃、テンターでの幅方向の延伸において80〜120℃の温度範囲で行うことにより、厚み斑の少ない二軸延伸EVOH系フィルムが得られやすい。
そして、二軸延伸EVOH系フィルムの製造に関するさらに重要な因子としては、延伸後の熱処理と、その熱処理の結果として得られる二軸延伸EVOH系フィルムの密度および水分率がある。熱処理は、EVOHの融点より5℃〜40℃低い温度で、5〜20秒間行われることが好ましい。熱処理温度が低すぎると、熱処理が不十分なため、蒸着工程に耐えるだけの耐熱性および充分なガスバリア性が得られないことがある。一方、熱処理温度が高すぎると、部分的に延伸効果が低減されることがある。
かくして本発明で好適に用いられる二軸延伸EVOH系フィルムが得られる。
本発明においては、上記ビニルアルコール系フィルム等のガスバリア性フィルム(a)に対して、金属或いは金属酸化物を蒸着し、金属或いは金属酸化物が蒸着されたガスバリア性フィルム(A)として用いる。
かかる金属或いは金属酸化物としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、クロム、スズなどの金属、或いはかかる金属の酸化物を用いることができる。それらのなかでも、アルミニウム、金、銀、スズが好ましく用いられ、特にアルミニウムが、コストの面からも好ましく用いられる。
かかる金属或いは金属酸化物が蒸着されて形成される蒸着層の厚みは、好ましくは200〜1000Å、特に好ましくは300〜800Åである。蒸着層の厚みが薄すぎると、熱放射特性が得られにくい傾向があり、厚すぎるとその厚みを得るための蒸着時間が長すぎて、蒸着時の熱的な影響が大きくなりすぎる傾向があり、工業的に好ましくない傾向がある。
また、上記蒸着層は、一度の蒸着処理で得られたものであってもよいし、複数回にわたり蒸着処理を繰り返して得られたものであってもよい。
かかる金属或いは金属酸化物の蒸着方法としては、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法、高周波誘導加熱蒸着法、電子ビーム加熱蒸着法などの一般的な真空蒸着法を用いることができる。
また、ガスバリア性フィルム(a)に蒸着処理を施す前に、フィルムの表面に前処理をすることも可能であり、かかる前処理としては、例えば、コロナ処理等の基材そのものの活性化を促す方法や、ポリエステルやポリエーテルを主剤としウレタン系硬化剤を用いるようなコーティング剤で薄膜層を形成する方法等を挙げることができる。
かくして本発明で用いられるガスバリア性フィルム(A)が得られるが、その厚みとしては、通常5〜100μm、好ましくは8〜50μm、特に好ましくは8〜30μmであることが、工業的な生産性の面で有利である。また、二軸延伸PVA系フィルムを用いる際のフィルムの厚みは、好ましくは5〜50μm、特に好ましくは8〜30μmであり、二軸延伸EVOH系フィルムを用いる際のフィルムの厚みは、好ましくは5〜50μm、特に好ましくは10〜40μmである。かかる厚みが厚すぎると工業的にコストアップとなると共にラミネートして形成される積層体が硬くなり過ぎて、真空包装時の形状追従性が低下して、場合によって一部が破損する可能性が高まる傾向があり、薄すぎるとフィルムの一部に欠損が発生したり極端な薄膜箇所が発生したりして必要なバリア性が得難くなる傾向がある。
本発明で用いられるポリエステル系フィルム(B)は、真空断熱構造体用外装袋を作製する際に用いる公知のポリエステル系フィルム(b)に金属或いは金属酸化物が蒸着されたフィルムであり(以下、蒸着される前のフィルムを(b)、蒸着された後のフィルムを(B)と付することとする。)、ポリエステル系フィルム(b)はポリエステル系樹脂からなり、該ポリエステル系樹脂は、酸成分とグリコール成分から構成される。
かかる酸成分としては、例えば、テレフタル酸、シュウ酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などのジカルボン酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン、乳酸などのオキシカルボン酸などが挙げられる。
かかるグリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのグリコールが挙げられる。
上記、酸(成分)とグリコール(成分)とを共重合させることで、本発明で用いられるポリエステル系樹脂が得られる。両成分の組合せについては特には限定されず、任意の組合せで共重合させたものを用いることができるが、中でも、ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートが好ましく用いられ、更には、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましく用いられる。
本発明で用いられるポリエステル系フィルム(b)は、上記ポリエステル系樹脂を2種以上混合してなるものでもよく、更には他の熱可塑性樹脂を混合したものであってもよい。
また、かかるポリエステル系フィルム(b)は、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤、顔料、蛍光増白剤等、さらにシリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン等の無機粒子、アクリル酸、スチレンなどを構成成分とする有機粒子も必要に応じて適宜含有していてもよい。
かかるポリエステル系フィルム(b)の製造方法に関しては、公知の製造方法を用いることができる。例えば、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとからのエステル交換反応法、あるいは、テレフタル酸とエチレングリコールとからの直接エステル化法によりオリゴマーを得た後、溶融重合、あるいはさらに固相重合する方法等を挙げることができる。
かくして得られるポリエステル系フィルム(b)に関しては、このまま用いてもよいが、延伸処理を施し、一軸延伸或いは二軸延伸ポリエステル系フィルムとして用いることが好ましく、特には水蒸気のバリア性およびガスバリア性の点から、二軸延伸ポリエステル系フィルムが好ましく用いられる。
かかる二軸延伸ポリエステル系フィルムの製造方法に関しては、公知公用の方法を用いることができ、例えば、次のような方法を挙げることができる。
まず、ポリエステルチップを押出機に投入し、加熱溶融した後、Tダイのダイオリフィスからシート状に押し出し、静電印加キャスト法などにより冷却ドラムに密着して巻きつけて冷却し、未延伸シートを製造する。引き続き、温度85〜140℃で、縦横にそれぞれ2.5〜5倍の倍率で延伸し、さらに温度200〜245℃で熱処理し、二軸延伸フィルムとする。延伸温度が低すぎると、均質な延伸フィルムを得ることができない傾向があり、高すぎると、ポリエステルの結晶化が促進されて、透明性が低下する傾向がある。延伸倍率が低すぎると、得られる延伸フィルムの強度が低くなり、延伸倍率が大きすぎると延伸が困難となる傾向がある。また、熱処理温度が低すぎると、得られる延伸フィルムの熱収縮率が大きくなり、寸法安定性が低下する傾向があり、また、熱処理温度がり高すぎるとフィルムの溶断が発生する場合がある。
なお、二軸延伸方法としては、テンター同時二軸延伸法、ロールとテンターによる逐次二軸延伸法のいずれでもよい。また、チューブラー法で二軸延伸フィルムを製造してもよい。また、かかる二軸延伸フィルムには、コロナ放電処理、表面硬化処理、メッキ処理、着色処理、あるいは各種のコーティング処理による表面処理を付与することができる。
本発明においては、上記ポリエステル系フィルム(b)に対して、金属或いは金属酸化物を蒸着し、金属或いは金属酸化物が蒸着されたポリエステル系フィルム(B)として用いる。
かかる金属或いは金属酸化物としては、上記と同様のものが用いられ、また、蒸着方法についても上記と同様の方法により行われる。かかる蒸着層は、一度の蒸着処理で得られたものであってもよいし、複数回にわたり蒸着処理を繰り返して得られたものであってもよい。
かかる金属或いは金属酸化物が蒸着されて形成される蒸着層の厚みは、好ましくは100〜1500Å、特に好ましくは200〜1200Å、更に好ましくは300〜1000Åである。蒸着層の厚みが薄すぎると、熱放射特性が得られにくい傾向があり、厚すぎるとその厚みを得るための蒸着時間が長すぎて、蒸着時の熱的な影響が大きくなりすぎる傾向があり、工業的に好ましくない傾向がある。
かくして本発明で用いられるポリエステル系フィルム(B)が得られるが、その厚みとしては、通常5〜80μm、好ましくは8〜40μm、特に好ましくは10〜30μmであることが、コスト面およびラミネートにより得られる積層体に適度な柔軟性を与える点で好ましい。かかる厚みが厚すぎるとラミネートにより得られる積層体が硬くなり過ぎて真空包装時の形状追従性が低くなり、場合によって破損を招く傾向があり、薄すぎるとそのポリエステルフィルム層の一部が欠損したりして、必要なバリア性が失われる傾向がある。
本発明においては、上記のガスバリア性フィルム(A)と上記のポリエステル系フィルム(B)とを互いの蒸着面が向き合うように接着剤を介して接着して、外装袋となる積層体[I]を得るわけであるが、特にかかる接着剤として無溶剤型接着剤を用いることが重要である。
かかる無溶剤型接着剤としては、溶剤を含まない接着剤であり、例えば、二液反応型無溶剤接着性樹脂や、一液反応型無溶剤接着性樹脂を用いることができる。二液反応型無溶剤接着性樹脂の組成は、ポリエステル、ポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリエステルウレタンポリオール等と脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート等のポリイソシアネートを各々組み合わせた組成である。一液反応型無溶剤接着性樹脂は、ポリエステル、ポリオール、ポリウレタンを主要構造体とし、脂肪族イソシアネート、芳香族イソシアネートなどを組み込んだものが用いられる。
本発明では、上記無溶剤型接着剤を用いて、上記のガスバリア性フィルム(A)と上記のポリエステル系フィルム(B)とを互いの蒸着面が向き合うように接着するのであるが、接着に際しては、(1)ガスバリア性フィルム(A)の蒸着面に該無溶剤型接着剤を塗工して、ポリエステル系フィルム(B)の蒸着面と接着する方法、(2)ポリエステル系フィルム(B)の蒸着面に該無溶剤型接着剤を塗工して、ガスバリア性フィルム(A)の蒸着面と接着する方法、(3)どちらの蒸着面にも該無溶剤型接着剤を塗工して接着する方法など、適宜選択しても用いられるが、中でも生産安定性の点で(2)の方法が好ましく用いられる。
また、接着剤層の厚みとしては、接着強度の点から0.1〜10μmであることが好ましく、特には0.3〜7μm、更には0.5〜5μmであることが好ましい。かかる接着剤層の厚みが薄すぎると接着力が不充分する傾向があり、厚すぎると接着剤層そのものの破壊によりデラミが発生し、接着強度が低下する傾向がある。
かくして本発明で用いられる積層体[I]が得られ、該積層体[I]により断熱性材料を密封包装し真空断熱構造体を得ることができる。
更に本発明の真空断熱構造体においては、積層体[I]が、ガスバリア性フィルム(A)(蒸着面側)/(蒸着面側)ポリエステル系フィルム(B)の層構成を有し、ガスバリア性フィルム(A)を内側(断熱性材料側)にして断熱性材料が密封包装されていることが水蒸気の影響を受けにくくガスバリア性に優れ、断熱性能の維持に優れる点から好ましい。
また、本発明では、ガスバリア性フィルム(A)、ポリエステル系フィルム(B)を含有する積層体を保護する目的で、積層体[I]が、ポリエステル系フィルム(B)の外側に更に保護フィルム(C)が積層されてなることが好ましい。
上記保護フィルム(C)としては、例えば、ポリエステル系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリウレタン系フィルム等が挙げられる。中でもポリオレフィン系フィルム、好ましくはポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、あるいはフッ素系フィルムを用いることが、該主要バリア層に到達する水蒸気を減少させるために好ましい。
かかるポリオレフィン系フィルムとしては、公知のポリオレフィン系フィルムを用いることできる。
例えば、ポリプロピレン、ポリブテン−1、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンなどのホモポリマーが挙げられる他、プロピレンを主成分とするエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、スチレンなどとの共重合体、さらには無水マレイン酸などのカルボン酸でグラフト変性されたもの、ブテン−1を主成分とするエチレン、プロピレン、ブテン−2、イソブチレン、ブタジエン、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1などとの共重合体、さらには無水マレイン酸などのカルボン酸でグラフト変性されたもの、エチレンを主成分とするプロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセン、1−オクテン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸、メタクリル酸グリシディルなどとの共重合体、さらには無水マレイン酸などのカルボン酸でグラフト変性されたもの等を挙げられる。これらの中でも、特にはポリプロピレンを用いることが防湿性および工業的な生産性の点で好ましい。
また、延伸処理を施し、一軸延伸或いは二軸延伸ポリオレフィン系フィルムを用いることも好ましく、特には、より薄膜でより高いガスバリア性を得るという点から、二軸延伸ポリオレフィン系フィルムが好ましく用いられる。
保護フィルム(C)の厚みに関しては、通常5〜200μm、特には10〜100μmであることが好ましい。フィルム厚みが薄すぎると得られる真空断熱構造体の芯材となる断熱性材料の充填性が低下し、厚すぎると加工性が低下するばかりでなく経済的にも不利となる。
更に、保護フィルム(C)は、初期弾性率が1〜100GPa、更には0.5〜50GPaであることが好ましく、また、水蒸気透過度が10g/m2/day以下、更には8g/m2/day以下であることが好ましい。
なお、上記初期弾性率は、JIS K 7127に則して測定された23℃×60%r.h.での値であり、水蒸気透過度は、JIS Z 0208に則して測定された23℃×Δ90%RHでの値である。
また、ポリエステル系フィルム(B)の外側に更に保護フィルム(C)が積層するに際しては、接着剤を用いて接着すればよく、かかる接着剤としては、通常フィルムのドライラミネートに一般的に用いられる有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物等の接着剤が挙げられる。また、前記の無溶剤型接着剤を用いることもできる。なお、蒸着面同士が接着される場合に前記の無溶剤型接着剤を用いることは非常に重要であるが、そうでない場合には公知一般の接着剤でも後の乾燥処理で揮発成分は充分に除去できるものである。
また、必要に応じて、ガスバリア性フィルム(A)やポリエステル系フィルム(B)には塗料層を設けることも、より薄い層構成において高いバリア性を得るという点で好ましい。塗料層は各フィルムのどちらの面に設けてもよく、蒸着層側の面及び該蒸着層とは反対側の面のどちらに設けてもよい。
塗料層を付与する場合においては、任意の塗料を選ぶことができるが、熱放射特性の点から、その塗料層の反射率が60%以上、特には80%以上であることが好ましく、色として白色、白銀色、銀色等が好適に用いられる。塗料層の形成方法としては特に制限されないが、市販の塗料をグラビア印刷、オフセット印刷あるいはフレキソ印刷等の印刷法によって付与する方法が実用的である。ガスバリア性フィルム(A)やポリエステル系フィルム(B)と塗料層とのバインダーについても、特に限定されないが、バインダーにウレタン系硬化剤を配合しておく方が密着性の点から好ましい。
また、ガスバリア性フィルム(A)やポリエステル系フィルム(B)の表面に塗料層を施すにあたり、より塗料層との密着性を向上する目的で、金属或いは金属酸化物が蒸着された各フィルムの表面に前処理を行うこともできる。前処理としてはコロナ処理等の基材そのものの活性化を促す方法や、ポリエステルやポリエーテルを主剤としウレタン系硬化剤を用いるようなコーティング剤で薄膜層を形成する方法等が例示できる。
本発明の積層体[I]は、上記の層構成を有するものであるが、更に、シール層等、他の層を有していてもよい。
また、本発明において、ガスバリア性フィルム(A)とポリエステル系フィルム(B)と保護フィルム(C)の厚み比については、好ましくは(A)/(B)/(C)=1/0.5〜3/0.5〜5、特に好ましくは1/1〜1.5/1〜3である。各フィルムの厚み比が上記範囲から外れると ガスバリア性と厚みによる袋の機械強度のバランスが低下し、特に袋が硬すぎて封止の際に発生する皺等に新たな欠損箇所が発生したり、袋が柔らか過ぎて封止あるいは使用時に穴が発生したりする傾向がある。
本発明の積層体[I]においては、下記の通りのガスクロマトグラフィ/質量分析法(GC/MS)によって測定される揮発成分量が500μg/m2以下であり、特には300μg/m2以下、には150μg/m2以下であることが好ましい。かかる揮発成分量が多すぎると封止後減圧された真空断熱構造体内部において、揮発成分による気圧上昇が発生し、その断熱性能を著しく低下させる傾向がある。なお、揮発成分量の下限値としては、通常、0.1μg/m2である。
なお、本発明において、揮発成分とは、層構成を形成する際に使用される接着剤層や、塗料層を形成する際に使用される樹脂溶液中に残留する揮発成分が主に対象となる成分であり、具体的には、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール等のアルコール類等が挙げられる。また、本発明の積層体[I]を構成するフィルム中に残留する低分子量の有機性成分なども含められる。
なお、ガスクロマトグラフィ/質量分析法(GC/MS)によって測定される揮発成分量とは、具体的には以下の通り測定される。
即ち、測定対象となる積層体を100℃で1時間乾燥した後、かかる積層体の0.03m分を22mlの三角フラスコ内に入る程度に折りたたんで小さくし、これを22mlの三角フラスコに入れた後、シリコンゴム栓で密閉し、100℃の恒温槽内で120分保持した後、フラスコ内のガスをシリンジで捕集し、これをカラムDB‐17MSにセットし、キャリアガスHe(ヘリウム)でガス流量1ml/分、ガスクロに注入ガス量1mlを打ち込んで、別に用意した検量線から揮発成分(この場合、酢酸エチル、メチルエチルケトン、イソプロパノール、トルエン等の有機性成分)を特定し、そのピーク強度から揮発成分量を求める。
また、本発明の積層体[I]の水蒸気透過度は、通常10g/m2/day以下であり、更には8g/m2/day以下であることが好ましい。積層体[I]の水蒸気透過度が高すぎると過剰な水蒸気が積層体内に取り込まれ、ひいてはガスバリア性フィルム(A)の水蒸気透過度まで低下させてしまうこととなり、積層体全体の水蒸気透過度の低下をまねき、真空断熱構造体を構成した後に水蒸気が内部に侵入し性能を著しく低下させる傾向がある。
なお、水蒸気透過度は、JIS Z 0208に則して測定された23℃×Δ90%RHでの値である。
また、積層体[I]の酸素透過量は、23℃−50%RHの条件で、JIS K 7126(等圧法)に記載の方法に準じて測定した際の値が、通常1ml/(m2・day・atm)以下、好ましくは、0.1ml/(m2・day・atm)以下である。酸素透過量が高すぎると上記水蒸気と同様に真空断熱構造体を構成した後に窒素や酸素などの外気構成ガスが内部に侵入し性能を著しく低下させる傾向がある。
次に、上記積層体[I]により断熱性材料が密封包装されてなる本発明の真空断熱構造体について説明する。
かかる断熱性材料を包装するに当たって、その包装方法は、例えば、積層体[I]を袋状に加工した外装袋を形成し、その中に断熱性材料を入れる方法等を用いることができる。
外装袋を形成する積層体[I]には、外装袋の内側となる面に、シール層を設けることが好ましい。シール層としては、シール強度の観点からポリオレフィン系樹脂層が好ましく、中でもポリプロピレンや高密度ポリエチレンや低密度ポリエチレンあるいはエチレン−酢酸ビニル系樹脂などが好適に用いられる。シール層については、上記樹脂より別途フィルムを作製しておき、かかるフィルムを外装袋となる積層体[I]の内側となる面に接着剤等を用いて貼り付け積層してもよいし、また、外装袋となる積層体[I]の内側となる面に直接押し出して積層してもよい。シール層をフィルムとして積層する場合は、無延伸フィルムとして積層する方がシール性を得る点で有利である。シール層の厚みは、通常は10〜100μm、特には20〜80μmが好ましい。
本発明の積層体[I]により、断熱性材料が密封包装される際の好ましい層構成としては、特に水蒸気の真空断熱構造体内部への侵入の可能性をより小さくするという点から、外層側(断熱性材料とは逆側)から、
〔保護フィルム(C)/接着剤層/ポリエステル系フィルム(B)(蒸着面側)/無溶剤型接着剤層/(蒸着面側)ガスバリア性フィルム(A)/接着剤層/シール層〕
であることが好ましい。
積層体[I]を用いて真空断熱構造体を製造する際には、積層体[I]を袋状に加工した後、70℃以上の恒温槽に入れて追加乾燥を行うことが好ましい。
追加乾燥としては、70℃以上150℃以下、特には80℃以上130℃以下、さらには80℃以上110℃以下で乾燥することが好適である。乾燥温度が低すぎると各層間に内包された揮発成分を除去するのに期間を要する傾向があり、乾燥温度が高すぎるとシール層が、その内部で融着し、袋の内部空間が一部閉塞してしまう傾向がある。
乾燥時間としては、通常0.25〜5時間であり、好ましくは0.5〜2時間である。乾燥時間が短すぎると揮発成分が残ってしまう傾向があり、長すぎると生産性が低下する傾向がある。
さらに追加乾燥は、常圧条件下で行うことが一般的であるが、減圧条件下で行うことも可能である。この場合、減圧することによって常圧条件下に比べて同じ温度での乾燥時間を短縮することが可能となる。
積層体[I]からなる外装袋に密封包装される断熱性材料としては、例えば、内部に連続気泡を有する高分子、あるいは無機物や金属の微粉末が好ましく用いられ、外装袋内部を真空引きしても形状を保持できるものである。外装袋内部を真空引きし、開口部を封止して用いるにあたり、断熱性材料の高分子が気泡を有していない、あるいは独立気泡を有するものであると、真空断熱構造体の断熱効果が低減し好ましくない。
かかる断熱性材料としては、具体的には、ウレタンフォーム、カーボンフォーム、フェノールフォーム、フェノールーウレタンフォームなどの連続気泡を有する高分子、アルミナ、シリカ、パーライトなどの微粉末、グラスウール、ロックウール、ケイソウ土、ケイ酸カルシウムなどの成形体等を挙げることができる。
これらの中でも、グラスウールなどの繊維状断熱性材料、粒状酸化ケイ素、発泡樹脂体などの粒状断熱性材料が、外装袋内部を真空引きしても形状を保持できる点や、気泡を有しているため真空断熱構造体の断熱効果を保持することができる点で好ましい。
また、かかる断熱性材料には、水分により真空度の低下をまねく場合があるため、生石灰や塩化カルシウム、酸化カルシウム等の乾燥剤を混合して使用することも好ましい。
かかる断熱性材料を積層体[I]からなる外装袋に入れ、真空包装し、真空断熱構造体を形成するわけであるが、断熱性材料を外装袋に入れる際に、断熱性材料は予め所定の形状(例えば、立方体、直方体など。)に形成しておくことが、断熱性能や作業性の点で好ましい。
本発明においては、断熱性材料を積層体[I]からなる外装袋に入れた状態で、減圧し、最後に袋の開口部をシールして閉じることで真空断熱構造体を得ることができる。該真空断熱構造体の真空度としては、特に制限されるわけではないが、100Pa以下が好ましく、さらには10Pa以下が好ましく、特には5Pa以下が好ましい。
本発明においては、真空断熱構造体の形状、大きさは特に限定されるものではなく、目的に応じて決めればよい。例えば、かかる真空断熱構造体形状については、一つの真空断熱構造体に対し、積層体[I]からなる外装袋が一つ含まれる形状でもよいし、一つの真空断熱構造体に対し、外装袋が複数個含まれる形状のものでもよい。
かかる外装袋が複数個含まれる形状である場合においては、外装袋部同士のつなぎ目になるシール部分が真空断熱構造体の中で厚みの薄い部分となり、真空断熱構造体を変形させた場合の変形の中心部となるため、真空断熱構造体が容易に変形することが可能となり好ましい。
更には、外的要因によって穴等が発生し、真空断熱構造体の真空性が失われてしまう場合にも、外装袋が複数個含まれる形状であると、断熱性の減少を最小限に留めることができ好ましい。
かかる真空断熱構造体の大きさに関しては、一般的に厚み5〜100mmで、縦と横が100〜1000mmの範囲の直方体状に加工される場合が多い。真空断熱構造体の体積が不必要に大きいと、外装袋に穴等の欠陥が発生した場合に性能を失う面積が大きくなり、真空断熱構造体を利用した最終商品の性能を低下させるおそれがあるため、適当な大きさとすることが好ましい。
かくして得られる本発明の真空断熱構造体は、優れた断熱性能を示し、更に、長期間使用した際にも断熱性能の経時安定性に優れたものとなり、クーラーボックス、ボトルケース等の生活用品、冷蔵庫、ジャーポット、炊飯器等の生活家電、温水器、浴槽、ユニットバス、便座等の住宅設備、床暖房、太陽光屋根、低温輻射板等の住宅システム、外壁用断熱パネル等の住宅建材、等の断熱材として有効に用いることができる。とりわけ、これらの中でも、特に冷蔵庫用の断熱材として特に好適に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
<実施例1>
以下のフィルムを用意した。
〔ガスバリア性フィルム(A)〕
(アルミ蒸着二軸延伸PVAフィルム(A−1))
ジャケット温度を60〜150℃に設定した二軸押出機型混練機(スクリューL/D=40)のホッパーからPVA(重合度1700、4重量%水溶液の粘度40mPa・s、ケン化度99.7モル%、酢酸ナトリウム含有量0.3%)と水をPVA/水の重量比40/60にて、定量ポンプにより供給し、混練し、吐出量500kg/hrの条件で吐出した。
この吐出物を直ちに一軸押出機(スクリューL/D=30)に圧送し、温度85〜140℃にて混練した後、Tダイより5℃のキャストロールに押出し、90℃の熱風乾燥機で30秒間乾燥し、含水率25%のPVAフィルム(厚み150μm)を作製した。引き続き、かかるPVAフィルムをMD方向に3.8倍延伸した後、テンターでTD方向に3.8倍延伸し、次いで180℃で8秒間熱固定し、二軸延伸PVAフィルム(厚み12μm)(a−1)を得た。
上記で得られた二軸延伸PVAフィルム(a−1)の片面に、電子線加熱方式による真空蒸着装置により、金属アルミニウムを真空蒸発させ、厚さ600Åのアルミ蒸着二軸延伸PVAフィルム(A−1)を得た。
〔ポリエステル系フィルム(B)〕
(アルミ蒸着二軸延伸ポリエステルフィルム(B−1))
厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(b−1)(東洋紡社製、商品名「コスモシャイン」)の平滑な片方の面に、金属アルミニウムを真空蒸発させ、厚さ800Åのアルミ蒸着二軸延伸ポリエステルフィルム(B−1)を得た。
〔保護フィルム(C)〕
(二軸延伸ポリプロピレンフィルム(C−1))
厚さ25μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(C−1)(東洋紡社製、商品名「パイレンOT」)を用意した。このフィルムの23℃×Δ90%RHでの水蒸気透過度を測定したところ7.2g/m/dayであった。
〔シール層〕
厚さ30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡社製、商品名「パイレンCT」)を用意した。
上記各フィルムを用いて、下記の通り真空断熱構造体を作製した。
アルミ蒸着二軸延伸ポリエステルフィルム(B−1)の蒸着処理を施していない面に、接着剤用主剤「タケラックA626」(三井化学社製)17部と接着剤用硬化剤「タケネートA50」(三井化学社製)17部に酢酸エチルを66部混合したドライラミネート用接着剤を塗工量10g/mとなるようにメッシュ100μmのグラビアロールを使ったグラビアコーターによって塗布し、これを80℃に暖めた乾燥機中を通し、滞留時間12秒で、乾燥後塗工量を3.4g/mとした後、ラミネート圧力3.5kg/cm2で、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(C−1)と貼り合わせ、積層体[Ia]を得た。
次に、アルミ蒸着二軸延伸ポリエステルフィルム(B−1)の蒸着処理を施した面に、無溶剤型接着剤として、脂肪族ポリイソシアネート(ディックドライ2K−SF−900A、DICグラフィックス株式会社製)で67部とポリエステルウレタンポリオール(ディックドライHA900B、DICグラフィックス株式会社製)33部を混合したドライラミネート用接着剤を塗工量2g/mとなるようにノンソルベントラミネータ機によって、2g/mとなるように塗布し、ラミネート圧力2kg/cm2で、上記の積層体[Ia]のアルミ蒸着二軸延伸PVAフィルム(A−1)のアルミ蒸着を施した面と貼り合わせ、積層体[Ib]を得た。なお、かかる接着剤層の厚みは1.2μmである。
次に、上記で得られた積層体[Ib]のアルミ蒸着PVAフィルム(A−1)の蒸着処理を施していない面に、接着剤用主剤「タケラックA626」(三井化学社製)17部と接着剤用硬化剤「タケネートA50」(三井化学社製)17部に酢酸エチルを66部混合したドライラミネート用接着剤を塗工量10g/mとなるようにメッシュ100μmのグラビアロールを使ったグラビアコーターによって塗布し、これを80℃に暖めた乾燥機中を通し、滞留時間12秒で、乾燥後塗工量を3.4g/mとした後、ラミネート圧力3.5kg/cm2で、厚さ30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(C−1)を貼り合わせ、積層体[I−1]を得た。積層体[I−1]の層構成は以下の通りである。
〔外側:二軸延伸ポリプロピレンフィルム(C−1)/接着剤層/アルミ蒸着二軸延伸ポリエステルフィルム(蒸着面)(B−1)/無溶剤型接着剤層/(蒸着面)アルミ蒸着二軸延伸PVAフィルム(A−1)/接着剤層/無延伸ポリプロピレンフィルム:内側〕。
得られた積層体[I−1]を、巻物状のまま40℃に保たれたエージングルームに4日間放置し、各接着剤層の硬化反応を完結させた。
得られた積層体[I−1]について、下記のガスクロマトグラフィ/質量分析法(GC/MS)によって測定される揮発成分量を測定したところ、41μg/mであった。
なお、上記揮発成分量は、以下の方法により測定した。
即ち、測定対象となる積層体を100℃で1時間乾燥した後、かかる積層体の0.03m分を22mlの三角フラスコ内に入る程度に折りたたんで小さくし、これを22mlの三角フラスコに入れた後、シリコンゴム栓で密閉し、100℃の恒温槽内で120分保持した後、フラスコ内のガスをシリンジで捕集し、これをカラムDB‐17MSにセットし、キャリアガスHe(ヘリウム)でガス流量1ml/分、ガスクロに注入ガス量1mlを打ち込んで、別に用意した検量線から有機性揮発成分を特定し、そのピーク強度から揮発成分量を求めた。
上記で得られた積層体[I−1]から30cm角のシートを裁断し、これを2枚用いて、その無延伸プロピレンフィルムの面同士を重ね合わせて、端部から10mmの幅で四辺の内三辺をシール温度130℃にてヒートシールすることで、三方シール包装袋を得た。
市販の微細グラスウール(マグ・イゾベール社製、「WR800」)を2kg/mとなるように積層し、これを630℃に加熱してから厚さ10mmになるまで荷重をかけて圧縮し、これを徐冷した後に20cm角に裁断して断熱性材料を得た。
上記で得られた断熱性材料をあらためて150℃の恒温槽に1時間放置して乾燥した。一方、三方シール包装袋を口を開いたままの状態で100℃の恒温槽に1時間放置して乾燥し、その中に上記の乾燥した断熱性材料を挿入し、更に、その三方シール包装袋の内縁部にポリプロピレンの不織布に入った生石灰乾燥剤3gを同封し、直ちに真空包装機に配置し、その真空包装機にて2Paの圧力で減圧封止し、真空断熱構造体を得た。
得られた真空断熱構造体について、以下の評価を行った。
(初期断熱性能(α))
得られた真空断熱構造体を20℃に保たれた恒温室内に24時間放置した後の熱伝導率を、測定機「HC−074−304」(英弘精機社製)にて測定し、初期断熱性能として評価した。
(耐久後の断熱性能(β))
上記の初期断熱性能(α)を評価した後、真空断熱構造体を100℃の恒温槽に2日間放置した後の熱伝導率を、上記と同様に測定し、耐久後の断熱性能として評価した。
<比較例1>
実施例1において、アルミ蒸着PVAフィルム(A−1)の蒸着処理を施した面と上記の積層体[Ia]のアルミ蒸着二軸延伸ポリエステルフィルム(B−1)のアルミ蒸着を施した面とを貼り合わせるにあたり、アルミ蒸着PVAフィルム(A−1)の蒸着処理を施した面に、接着剤用主剤「タケラックA626」(三井化学社製)17部と接着剤用硬化剤「タケネートA50」(三井化学社製)17部に酢酸エチルを66部混合したドライラミネート用接着剤を塗工量10g/mとなるようにメッシュ100μmのグラビアロールを使ったグラビアコーターによって塗布し、これを80℃に暖めた乾燥機中を通し、滞留時間20秒で、乾燥後塗工量を3.4g/mとした後、ラミネート圧力3.5kg/cm2で上記の積層体[Ia]のアルミ蒸着二軸延伸ポリエステルフィルム(B−1)のアルミ蒸着を施した面と貼り合わせた以外は同様に行い、積層体[I′]及び真空断熱構造体を得、実施例1と同様の評価を行った。
なお、積層体[I′]の層構成は以下の通りである。
〔外側:二軸延伸ポリプロピレンフィルム(C−1)/接着剤層/アルミ蒸着二軸延伸ポリエステルフィルム(蒸着面)(B−1)/接着剤層/(蒸着面)アルミ蒸着二軸延伸PVAフィルム(A−1)/接着剤層/無延伸ポリプロピレンフィルム:内側〕。
得られた積層体[I′]について、上記のガスクロマトグラフィ/質量分析法(GC/
MS)によって測定される揮発成分量を測定したところ、514μg/m2であった。
上記の実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
Figure 0006076010
上記の結果から、真空断熱構造体の外装袋となる積層体の層構成において、ガスバリア性フィルム(A)とポリエステル系フィルム(B)との蒸着面同士の接着に、無溶剤型接着剤を用いた実施例の場合には、揮発成分の残留が大幅に軽減され、初期断熱性能に優れるとともに、高温で長期間の使用においても断熱性能の低下が非常に少ないものであるのに対して、通常の接着剤を用いた比較例の場合においては、初期断熱性能は有するものの、高温での経時安定性に劣るものとなり、実施例よりも断熱性能の低下が大きく見られたものであり、実施例の真空断熱構造体のほうが優れているものであることがわかる。
なお、実施例と比較例における熱伝導率の差異については、単に数値だけを見る限りにおいては小さな数値の差であるが、現実的には、技術の高度化、要求性能の高まりの中において、レベルの高いものに対して更にほんの少しの数値を上げることが難しい状況であり、上記の差異は非常に大きな差異と言えるものである。
本発明の真空断熱構造体は、金属或いは金属酸化物が蒸着されたガスバリア性フィルム(A)と金属或いは金属酸化物が蒸着されたポリエステル系フィルム(B)とを互いの蒸着面が向き合うように接着剤を介して接着してなる積層体[I]により、断熱性材料が密封包装されてなり、該接着剤が無溶剤型接着剤であり、かつ、積層体[I]におけるガスクロマトグラフィ/質量分析法(GC/MS)によって測定される揮発成分量が500μg/m 2 以下である真空断熱構造体であるため、初期の断熱性能に優れるのは勿論のこと、長期間使用した際にも断熱性能の経時安定性に優れた真空断熱構造体となり、クーラーボックス、ボトルケース等の生活用品、冷蔵庫、ジャーポット、炊飯器等の生活家電、温水器、浴槽、ユニットバス、便座等の住宅設備、床暖房、太陽光屋根、低温輻射板等の住宅システム、外壁用断熱パネル等の住宅建材、等の断熱材として有効に用いることができ、とりわけ、これらの中でも、冷蔵庫用の断熱材として特に好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. 金属或いは金属酸化物が蒸着されたガスバリア性フィルム(A)と金属或いは金属酸化物が蒸着されたポリエステル系フィルム(B)とを互いの蒸着面が向き合うように接着剤を介して接着してなる積層体[I]により、断熱性材料が密封包装されてなる真空断熱構造体であって、該接着剤が無溶剤型接着剤であり、かつ、積層体[I]におけるガスクロマトグラフィ/質量分析法(GC/MS)によって測定される揮発成分量が500μg/m 2 以下であることを特徴とする真空断熱構造体。
  2. 積層体[I]が、ガスバリア性フィルム(A)(蒸着面側)/(蒸着面側)ポリエステル系フィルム(B)の層構成を有し、ガスバリア性フィルム(A)を内側にして断熱性材料が密封包装されていることを特徴とする請求項1記載の真空断熱構造体。
  3. 積層体[I]が、ポリエステル系フィルム(B)の外側に更に保護フィルム(C)が積層されてなることを特徴とする請求項2記載の真空断熱構造体。
  4. ガスバリア性フィルム(A)が、ビニルアルコール系フィルムであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の真空断熱構造体。
  5. ビニルアルコール系フィルムが、二軸延伸ポリビニルアルコール系フィルムであることを特徴とする請求項4記載の真空断熱構造体。
  6. 保護フィルム(C)が、ポリオレフィン系フィルムであることを特徴とする請求項3〜5いずれか記載の真空断熱構造体。
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