JP2016017557A - 真空断熱構造体用芯材及びそれを用いた真空断熱構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】長期的に使用した際にも断熱性能の低下が少なく、耐熱性に優れた真空断熱構造体用芯材及びそれを用いた真空断熱構造体を得る。
【解決手段】ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする連続多孔質の相分離体からなることを特徴とする真空断熱構造体用芯材。この真空断熱構造体用芯材を、ガスバリア性フィルム(A)を含む積層体[I]からなる外装袋を用いて密封包装してなることを特徴とする真空断熱構造体。
【選択図】なし

Description

本発明は、真空断熱構造体用芯材及びそれを用いた真空断熱構造体に関するものであり、更に詳しくは、長期的に使用した際にも断熱性能の低下が少なく、耐熱性に優れた真空断熱構造体用芯材及びそれを用いた真空断熱構造体に関するものである。
従来、冷蔵庫や電気ポットの断熱材、あるいは住宅用断熱壁用の断熱パネルとしては、ポリウレタンフォームを用いた断熱体が利用されてきた。しかし、ポリウレタンフォームは製造時にフロンを使用するので、近年これに代わる断熱体が開発されている。例えば、断熱性材料を芯材とし、これをガスバリア性ラミネートフィルムで密封し且つ内部を真空とした真空断熱構造体が優れた断熱体として用いられ始めている。
かかる真空断熱構造体では、断熱性材料として、シリカなどの無機粉末材料、グラスウールなどの無機繊維材料、ウレタンフォームやスチレンフォーム等の連続気泡を有する発泡樹脂体等が一般に用いられている。
発泡樹脂体を断熱性材料としたものとしては、例えば、熱伝導率の低い粉末からなるスペーサー材と、連通ウレタンフォームで成形され、上記スペーサー材を中空部に充填する中空成形体と、この中空成形体とともに上記スペーサー材を真空密封する外包材とを備えたことを特徴とする真空断熱パネル(特許文献1参照。)や、二酸化炭素を主たる発泡剤として用い、造核剤を実質的に含有しない、発泡体の独立気泡率の低いスチレン系樹脂真空断熱用発泡体及び該発泡体を用いた真空断熱体(特許文献2参照。)等が提案されている。
特開平4−297775号公報 特開2000−248102号公報
しかしながら、特許文献1または2に記載の技術では、発泡体中の一部に存在する閉鎖系気泡中に残存するガスや、芯材から発生する微量な有機揮発分の影響によって、初期の断熱性能が発現され難い、もしくは経時的に真空度が低下し、熱伝導率が大きくなるため、断熱性能が長期にわたって持続し難いなどの問題があった。
また、通常、芯材を真空包装する際には、芯材や外装袋に残存する水分や有機揮発分を更に除去するために、加熱乾燥した後で減圧し、ラミネート処理が行なわれている。しかしながら、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリレート樹脂などの熱可塑性樹脂からなる発泡体は耐熱性が不十分であるため、加熱乾燥時に、変形したり、発泡体の気泡がつぶれて空隙が少なくなり、十分な断熱性能が得られないという問題があった。
そこで、本発明では、このような背景下において、長期的に使用した際にも断熱性能の低下が少なく、耐熱性に優れた真空断熱構造体用芯材及びそれを用いた真空断熱構造体を得ることを目的とする。
しかるに、本発明者は、真空断熱構造体の断熱性能との関係において、断熱性材料に着目し検討を重ねた結果、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする連続多孔質の相分離体を真空断熱構造体の芯材に用いることにより、断熱性能の持続性に優れた真空断熱構造体が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする連続多孔質の相分離体からなることを特徴とする真空断熱構造体用芯材である。
また本発明の要旨は、本発明の真空断熱構造体用芯材を、ガスバリア性フィルム(A)を含む積層体[I]からなる外装袋を用いて密封包装してなることを特徴とする真空断熱構造体である。
なお、以下では、連続多孔質の相分離体を「連続多孔質体」と表記することがある。
本発明の真空断熱構造体用芯材は、耐熱性に優れ、真空断熱構造体の芯材に用いることで、優れた断熱性能を示し、長期的に使用した際にも断熱性能の低下が少ない真空断熱構造体を得ることができ、更には、廃棄する際のコストが軽減されるという効果が得られる。
即ち、本発明の真空断熱構造体用芯材は、ポリビニルアルコール(以下、PVAと表記することがある。)系樹脂を主成分とするため、他の熱可塑性樹脂からなる発泡体や多孔質体よりも耐熱性が高い。例えば、ポリスチレンの融点は一般に230℃程度であるが、立体構造によって融点が変化し、80℃を越えると徐々に柔らかくなる。また、ポリメチルメタクリレート(PMMA)の融点は一般に160℃程度であるが、耐熱温度としては70℃程度で、80℃以上で急激に柔軟化する。これに対して、PVA系樹脂の耐熱温度が200℃程度であるから、PVA系樹脂を主成分とする連続多孔質体からなる真空断熱構造体用芯材は他の熱可塑性樹脂からなる発泡体や多孔質体よりも耐熱性が高い。従って、本発明の真空断熱構造体用芯材は、真空包装の際の加熱乾燥による変形したり、連続多孔質体の気泡がつぶれて空隙が少なくなり、十分な断熱性能が得られないという問題が発生し難い。
また、本発明の真空断熱構造体用芯材は、PVA系樹脂を主成分とする連続多孔質の相分離体からなり、独立した中空部を有する通常の発泡体の形態とは異なり、複数の中空部が連続して貫通孔を形成した連続多孔質の形態であるので、連続多孔質体の中空部にガスが残留することがない。従って、本発明の真空断熱構造体用芯材を用いることにより、連続多孔質体中に残留したガスにより、経時的に真空断熱構造体の真空度が低下することを抑制することができ、長期耐久性、断熱性能の長期持続性に優れた真空断熱構造体を得ることができるものである。
更に、本発明の真空断熱構造体用芯材は、PVA系樹脂を水系の良溶媒と油系の貧溶媒の双方に溶解し、相分離によって連続多孔質体を形成することにより製造されるので、PVA系樹脂中の不純物がいずれかの溶媒に溶解し、相分離による再析出の際に不純物が再びPVA系樹脂中に取り込まれ難くなる。PVA系樹脂に含まれる不純物の多くは低分子量の物質であり、このような不純物は、真空断熱構造体を真空包装により形成する際に、減圧を妨げたり、経時的に揮発したりして真空断熱構造体内部の圧力を上昇させ、断熱性能の低下を招くおそれがあるところ、相分離によって連続多孔質体を形成することにより、PVA系樹脂中の不純物を効率よく取り除くことができるものである。また、二酸化炭素等のガスが孔内に残存する発泡法とは異なり、本発明の真空断熱構造体は相分離によって製造されるので、ガスが孔内に残存することもないものである。
本願発明の真空断熱構造体用芯材は、孔を形成する骨格部分(PVA系樹脂の骨格部分)も孔部分と同様に連続した構造を形成しているため強度に優れるものであり、外圧がかかっても孔を保持することができ、耐圧縮性の高い真空断熱構造体を得ることができるものである。
本発明の真空断熱構造体用芯材は、成形性や生産性の点でも有利である。例えば、無機系芯材を用いた場合、廃棄する際には、PVA系樹脂等の易分解性の樹脂からなる外装袋と芯材とを分離することが必要となり、手間とコストがかかる。また、無機微粒子の芯材を用いた場合は、成形性や生産性の点から、予め不織布等で包装する必要があり、生産性に問題がある。本発明の真空断熱構造体は、易分解性のPVA系樹脂からなり、また不織布等の包装が不要であるため、これらの問題点も解決することができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
〔真空断熱構造体用芯材〕
本発明の真空断熱構造体用芯材は、PVA系樹脂を主成分とする連続多孔質の相分離体からなることを特徴とする。まず、PVA系樹脂について説明する。
<PVA系樹脂>
PVA系樹脂は水(温水も含む。)に溶解し得る熱可塑性樹脂であり、本発明で用いられるPVA系樹脂としては、未変性のPVAや変性PVAが挙げられる。未変性のPVAは、酢酸ビニルを単独重合し、更にそれをケン化して製造される。一方、変性PVAには、共重合変性PVAと後変性PVAとがあり、その変性量は本発明の効果を損なわない範囲内であり、通常10モル%未満である。
上記共重合変性PVAは、酢酸ビニルと、酢酸ビニルと共重合可能な不飽和単量体とを共重合させた後、ケン化して製造されるものである。
上記酢酸ビニルと共重合可能な不飽和単量体としては、例えば、エチレンやプロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類;3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類およびそのアシル化物などの誘導体;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、ウンデシレン酸等の不飽和酸類、その塩、そのモノエステル、あるいはそのジアルキルエステル;ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸類あるいはその塩等が挙げられる。
また、共重合変性PVAとして、側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVAを用いることもできる。側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVAは、例えば、(ア)酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化する方法、(イ)酢酸ビニルとビニルエチレンカーボネートとの共重合体をケン化及び脱炭酸する方法、(ウ)酢酸ビニルと2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとの共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法、(エ)酢酸ビニルとグリセリンモノアリルエーテルとの共重合体をケン化する方法、等により得られる。
本発明において、側鎖に1,2−ジオール構造を有するPVAを用いる場合には、側鎖1,2−ジオール構造の含有量は、0.01〜20モル%であることが良好な成形性を得る点で好ましく、特には0.2モル%〜15モル%、更には0.5モル%〜12モル%が好ましい。
前記の後変性PVAは、未変性のPVAを後変性することにより製造することができる。かかる後変性の方法としては、未変性のPVAあるいは上記変性PVAをアセト酢酸エステル化、アセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化、またはオキシアルキレン化する方法等が挙げられる。
本発明においては、上記PVA系樹脂の平均重合度は、通常300〜4000であり、適度な濃度から適度な量の連続多孔質体を得るという点から、好ましくは500〜3000、特に好ましくは1000〜2600である。
かかる平均重合度が高すぎると、溶解時の濃度が低くなりすぎて、連続多孔質体形成時の体積収縮が大きくなり、所望の量の連続多孔質体を得るために用いる溶剤等の量が多くなりすぎて生産性が低下する傾向がある。また、平均重合度が低すぎると、温度差による溶解性の差が小さくなり、相分離の条件を設定することが難しくなる傾向がある。
また、上記PVA系樹脂の平均ケン化度は、通常80モル%以上であり、得られた連続多孔質体の耐水性を得るという点から、好ましくは80モル%〜99.9モル%、特に好ましくは90モル%〜99.9モル%、更に好ましくは95モル%〜99. 9モル%である。
かかる平均ケン化度が低すぎると、樹脂の良溶媒及び貧溶媒への溶解度が高すぎて相分離の条件を設定することが難しくなる傾向がある。
また、上記PVA系樹脂の4重量%水溶液の粘度としては、通常2mPa・s(20℃)以上であり、PVA系樹脂溶液の濃度や温度等、適切な反応条件で、好適な連続多孔質体を得るという点から、好ましくは2mPa・s(20℃)〜200mPa・s(20℃)、特に好ましくは2.5mPa・s(20℃)〜150mPa・s(20℃)、更に好ましくは2.5mPa・s(20℃)〜100mPa・s(20℃)である。
粘度が高すぎると、相分離により連続多孔質体を得る作業を円滑に行う為に希釈する際に、希釈のための溶剤が過剰に必要になる傾向があり、粘度が低すぎると、相分離の条件設定が難しくなる傾向がある。
なお、上記平均重合度、平均ケン化度及び粘度は、JIS K6726に準じて測定することができる。
これらのPVA系樹脂は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
<連続多孔質体>
本発明の真空断熱構造体用芯材は、上記のPVA系樹脂を主成分とする連続多孔質体からなる。
本発明の真空断熱構造体用芯材を構成する連続多孔質体の製造方法としては、一般に、相分離法、発泡剤による発泡化法、強制的な気体吹き込みによる発泡化法、圧力変化法などが挙げられ、種々の方法を用いることができるが、本発明においては、相分離法によって製造することが好ましい。PVA系樹脂を含む連続多孔質体を相分離法で製造する方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、特開2012−251057号公報に記載の方法を採用することができる。
相分離法により製造された連続多孔質体は、樹脂結晶が溶液中から析出し、これが相互につながりながら多孔質体を形成することから、連続多孔質体を効率よく入手できるという点で、連続多孔質体の製造方法としては相分離法が好ましい。特に、樹脂中に残存するモノマーなどの不純物が溶媒中に溶解するので、不純物含有量の少ない多孔質体を得ることができる点からも、本発明においては相分離法が好ましい。
本発明の真空断熱構造体用芯材を構成する連続多孔質体には、難燃剤が含まれていてもよい。難燃剤としては、例えば、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、ハロゲン系難燃剤及びアンチモン系難燃剤が挙げられ、これらの難燃剤のうち1種または2種以上を用いることができる。好適にはリン系難燃剤が挙げられ、特に好ましくは赤燐、リン酸系難燃剤等が挙げられる。
連続多孔質体の形状としては、例えば、膜状、立方体状、直方体状、円柱状、卵形状等が挙げられる。
本発明の連続多孔質体の平均孔径は、通常50μm以下であり、熱伝導率を小さくする点から、好ましくは0.01μm〜30μm、特に好ましくは0.01μm〜10μm、更に好ましくは0.01μm〜5μm、殊に好ましくは0.01μm〜3μmである。
連続多孔質体の平均孔径が大きすぎると、真空中の微量気体分子が自由に移動し衝突することで気体分子同士のエネルギーの授受が可能となり、これによって熱エネルギーが系内を伝わってしまい、ひいては熱伝導率が低下する傾向がある。
なお、連続多孔質体の平均孔径は、例えば、電子顕微鏡あるいは原子間力顕微鏡による実像観察により測定することができる。
本発明の連続多孔質体を形成する骨格の平均骨格径は、通常50μm以下であり、真空中の微量気体分子の運動及びその運動による熱の移動を抑制するという点から、好ましくは0.01μm〜30μm、特に好ましくは0.01μm〜10μm、更に好ましくは0.01μm〜5μm、殊に好ましくは0.01μm〜3μmである。
連続多孔質体の平均骨格径が小さすぎると、真空包装内部で多孔質構造を保持するのに十分な強度が得がたくなる傾向があり、大きすぎると、骨格部分を熱が伝導することにより真空包装による断熱材を形成した際の性能が得がたくなる傾向がある。
なお、連続多孔質体の平均骨格径は、例えば、電子顕微鏡あるいは原子間力顕微鏡による実像観察により測定することができる。
本発明の連続多孔質体の空隙率は、通常50%以上であり、連続多孔質体を構成する樹脂の熱伝導率の点から、好ましくは60%〜95%、特に好ましくは70%〜95%である。
空隙率が小さすぎると、連続多孔質体を構成する樹脂を熱が自由に伝搬し、その熱伝導によって熱が拡散することから断熱性能が低下する傾向がある。空隙率が大きすぎると、連続多孔質体の強度が低下し、真空にしたときに構成樹脂の構造が崩壊して空間がつぶれてしまう傾向がある。
なお、連続多孔質体を構成する樹脂が水を含むと、樹脂が膨潤して空隙率が変化するので、空隙率は、通常、連続多孔質体の含水率が3%以下となるよう十分に乾燥させた状態で測定する。
連続多孔質体の空隙率は下記式から求めることができる。
空隙率 = {(連続多孔質体の体積)−(構成樹脂の体積)}/(連続多孔質体の体積)×100
ここで、上記式中の「連続多孔質体の体積」は、連続多孔質体を任意の箇所で直方体に切り出してサンプルとし、そのサンプルの縦横高さを計測することにより求めることができる。
また、上記式中の「構成樹脂の体積」は下記式から求めることができる。
構成樹脂の体積 = {(連続多孔質体の質量)/(構成樹脂の比重)}
ここで、上記式中の「連続多孔質体の質量」は、上記で切り出された直方体のサンプルの質量を測定することにより求められる。
本発明の連続多孔質体の嵩密度は、通常、0.65g/cm以下であり、好ましくは0.065g/cm〜0.52g/cm、特に好ましくは0.065g/cm〜0.39g/cmである。
連続多孔質体の嵩密度は下記式で示すことができる。
嵩密度 = (連続多孔質体の質量)/(連続多孔質体の体積)
= (1−空隙率/100)×(構成樹脂の比重)
本発明の真空断熱構造体用芯材の厚みは、通常、0.1mm〜50mmであり、断熱性と省スペース性の点から、好ましくは1mm〜30mmである。芯材の厚みが薄すぎると断熱性が低下する傾向があり、厚すぎると断熱性は充分得られるが、真空断熱構造体を使用するデバイスの有効な空間が損なわれる傾向がある。
また、本発明の真空断熱構造体用芯材の大きさは、通常、縦と横が50〜5000mmの範囲であり、本発明の真空断熱構造体用芯材は、通常、直方体状や立方体状等の形状に加工される。
なお、真空断熱構造体用芯材の厚みや大きさは、真空包装後の断熱材の厚みや大きさを表す。
〔真空断熱構造体〕
本発明の真空断熱構造体は、本発明に係る上記の真空断熱構造体用芯材を、ガスバリア性フィルム(A)を含む積層体[I]からなる外装袋を用いて密封包装してなることを特徴とする。以下、上記で用いられる外装袋について説明する。
本発明で用いられる外装袋は、ガスバリア性フィルム(A)を含む積層体[I]からなるものである。
本発明で用いられるガスバリア性フィルム(A)は、真空断熱構造体用外装袋のガスバリア性フィルムとして通常用いられる合成樹脂フィルムが用いられ、例えば、ポリ塩化ビニリデンフィルムやナイロンフィルム、ビニルアルコール系樹脂フィルム等の合成樹脂フィルムを挙げることができる。通常、かかるガスバリア性フィルムの中でも、23℃×50%RHの条件でJIS K 7126(等圧法)に記載の方法に準じて測定した際の酸素透過量が1ml/(m・day・atm)以下のフィルムを用いることが好ましく、特には0.1ml/(m・day・atm)以下のフィルムを用いることが好ましい。本発明においては、具体的には、高いガスバリア性を得るという点でビニルアルコール系樹脂フィルムであることが好ましい。
かかるビニルアルコール系樹脂フィルムは、ビニルアルコール系樹脂より製膜されてなるものであり、ビニルアルコール系樹脂とは、ビニルエステル単位がケン化されてなるビニルアルコール単位を有するものであればよく、好ましくは平均ケン化度が90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上、更に好ましくは97モル%以上である。
ビニルアルコール系樹脂としては、例えば、PVA系樹脂や、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(以下、EVOHと略記することがある)を挙げることができる。更に、PVA系樹脂としては、酢酸ビニルを単独重合し、それをケン化したPVAと、変性PVAを挙げることができ、かかる変性PVAとしては、共重合変性品と後変性品とを挙げることができる。
以下、各ビニルアルコール系樹脂フィルムについて詳細に説明する。
まず、PVA系樹脂について説明する。
ビニルアルコール系樹脂フィルムに用いられるPVA系樹脂としては、本発明の真空断熱構造体用芯材を構成する連続多孔質の材料としてのPVA系樹脂と同様のものを挙げることができる。
ただし、ビニルアルコール系樹脂フィルムに用いられるPVA系樹脂は、平均重合度が1100以上、平均ケン化度が90モル%以上であることが好ましく、平均重合度の更に好ましい範囲は1100〜4000、特に好ましい範囲は1200〜2600である。かかる平均重合度が低すぎるとフィルムとしたときの機械強度が低下する傾向にある。なお、平均重合度が高すぎると製膜および延伸時の加工性が低下する傾向にある。平均ケン化度の更に好ましい範囲は95モル%〜100モル%、特に好ましい範囲は99モル%〜100モル%である。かかる平均ケン化度が低すぎると耐水性が低下し、ガスバリア性の湿度による変化が著しくなる傾向にあるので、比較的高いものを選ぶことが好ましい。
また、上記PVA系樹脂の4重量%水溶液の粘度としては、2.5mPa・s(20℃)〜100mPa・s(20℃)が好ましく、更には2.5〜70mPa・s(20℃)、特には2.5mPa・s(20℃)〜60mPa・s(20℃)が好ましい。該粘度が低すぎるとフィルム強度等の機械的物性が劣る傾向があり、高すぎるとフィルムへの製膜性が低下する傾向がある。
これらのPVA系樹脂は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
次に、EVOH系樹脂について説明する。
EVOH系樹脂は、エチレンとビニルエステル系モノマーを共重合させた後にケン化させることにより得られる、水(温水も含む。)には溶解しない熱可塑性樹脂である。エチレンとビニルエステル系モノマーとの重合は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合などにより行うことができる。
上記ビニルエステル系モノマーとしては、一般的に酢酸ビニルが用いられるが、他のビニルエステル系モノマー、例えばギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の脂肪族ビニルエステル、安息香酸ビニル等の芳香族ビニルエステル等の、通常炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜10、特に好ましくは炭素数4〜7の脂肪族ビニルエステルを用いてもよい。これらのモノマーは通常単独で用いるが、必要に応じて複数種を同時に用いてもよい。
さらに、本発明の効果が阻害されない範囲で、エチレン、ビニルエステル系モノマー以外に、他のエチレン性不飽和単量体を共重合していてもよい。他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1,2−ジオール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類やそのエステル化物、アシル化物などの誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類等が挙げられる。
また、EVOH系樹脂として、側鎖に1,2−ジオール構造を有するEVOH系樹脂を用いることも好ましく、側鎖1,2−ジオール構造含有は、0.01モル%〜20モル%であることが良好なフィルム成形性を得る点で好ましく、特には、0.2モル%〜15モル%、更には0.5モル%〜10モル%が好ましい。
EVOH系樹脂のエチレン含有量は、通常20モル%〜60モル%であるが、良好な延伸性を得る観点からは、エチレン含有量は25モル%以上であることが好ましく、さらには30モル%以上であることが特に好ましい。また、ガスバリア性の観点からは、エチレン含有量は55モル%以下、さらには50モル%以下であることが特に好ましい。エチレン含有量が多すぎるとガスバリア性が低下する傾向がある。
なお、かかるEVOH系樹脂のエチレン含有量は、核磁気共鳴(NMR)法により求めることができる。
前記EVOH系樹脂におけるビニルエステル成分の平均ケン化度は、JIS K6726(ただしEVOH樹脂は水/メタノール溶媒に均一に溶解した溶液にて)に基づいて計測した値で、通常90モル%〜100モル%、好ましくは95モル%〜100モル%、特に好ましくは99モル%〜100モル%である。かかる平均ケン化度が低すぎた場合にはガスバリア性、熱安定性、耐湿性等が低下する傾向がある。
前記EVOH系樹脂のメルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2160g)は、通常0.5g/10分〜100g/10分であり、好ましくは1g/10分〜50g/10分、特に好ましくは2g/10分〜35g/10分である。MFRが大きすぎる場合には、製膜性が不安定となる傾向があり、小さすぎる場合には粘度が高すぎて流動不良が生じて、スジ・ムラなどの外観不良を発生する傾向がある。
かかるEVOH系樹脂には、本発明の目的を阻外しない範囲内で、酸化防止剤、色剤、紫外線吸収剤、スリップ剤、帯電防止剤、可塑剤、硼酸等の架橋剤、無機充填剤、無機乾燥剤等の各種添加剤、ポリアミド、ポリオレフィン、高吸水性樹脂等の各種樹脂を配合してもよい。
さらに、本発明の目的を阻外しない範囲内で、加熱溶融する場合に安定性を向上させるためにEVOH系樹脂にホウ素化合物をブレンドすることもできる。ここでホウ素化合物としては、例えば、ホウ酸類、ホウ酸エステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素類等が挙げられる。具体的には、ホウ酸類としては、例えば、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸などが挙げられ、ホウ酸エステルとしてはホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチルなどが挙げられ、ホウ酸塩としては上記の各種ホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ホウ砂などが挙げられる。これらの化合物のうちでもオルトホウ酸(以下、単にホウ酸と表示する場合がある)であることが好ましい。
EVOH系樹脂にホウ素化合物をブレンドする場合、ホウ素化合物の含有量は、好ましくはホウ素元素換算で20ppm〜2000ppm、より好ましくは50ppm〜1000ppmである。この範囲内でホウ素化合物をブレンドすることで加熱溶融時のトルク変動が抑制されたEVOH系樹脂を得ることができる。ホウ素化合物の含有量が少なすぎると添加効果が小さく、多すぎるとゲル化しやすく、成形性不良となる場合がある。
さらに、本発明に用いられるEVOH系樹脂は、公知の方法にてウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化など「後変性」されていてもよい。
これらのEVOH系樹脂は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
本発明では、上記ビニルアルコール系樹脂を用いてフィルム製膜するのであるが、かかる製膜方法も公知のものでよく、例えば、ドラム、エンドレスベルト等の金属面上にビニルアルコール系樹脂溶液を流延してフィルム形成する流延式成形法、あるいは押出機により溶融押出する溶融成形法によって製膜される。
かかるビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常、一軸延伸或いは二軸延伸フィルムとして用いることが好ましく、特にガスバリア性の点から、二軸延伸フィルムとして用いるのが好ましい。かかる一軸および二軸延伸フィルムの流れ方向(MD方向)の延伸倍率としては2.5倍〜5倍であることが好ましい。
かかる延伸処理方法は、通常行われる一軸延伸方法や、同時二軸延伸、逐次二軸延伸など、公知方法に従い行うことが可能である。
本発明においては、かかる二軸延伸ビニルアルコール系樹脂フィルムの中でも、二軸延伸PVA系樹脂フィルム、二軸延伸EVOH系樹脂フィルムが好ましく用いられ、特には二軸延伸PVA系樹脂フィルムが好ましく用いられる。以下、これら二軸延伸フィルムの具体的な製法について説明する。
まず、二軸延伸PVA系樹脂フィルムについて説明する。
上記PVA系樹脂を用いて、PVA系樹脂フィルム(延伸前PVA系樹脂フィルム)を製膜するわけであるが、通常は、製膜用の原液として、PVA系樹脂濃度が5重量%〜70重量%、好ましくは10重量%〜60重量%のPVA系樹脂−水の組成物を調製する。
かかるPVA系樹脂−水組成物には、本発明の効果を損なわない範囲でエチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の多価アルコール類の可塑剤やフェノール系、アミン系等の抗酸化剤、リン酸エステル類等の安定剤、着色料、香料、増量剤、消包剤、剥離剤、紫外線吸収剤、無機粉体、界面活性剤等の通常の添加剤を適宜配合しても差し支えない。また、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のPVA系樹脂以外の他の水溶性樹脂を混合してもよい。
PVA系樹脂フィルムの製膜法については、特に限定されないが、上記PVA系樹脂−水組成物を押出機に供給して溶融混練した後、Tダイ法、インフレーション法により押出し製膜し、乾燥する方法が好ましい。
かかる方法における押出機内での溶融混練温度は、50℃〜170℃、特には55℃〜160℃が好ましい。かかる温度が低すぎるとフィルム肌の不良を招き、高すぎると発泡現象を招く傾向にある。また、製膜後のフィルムの乾燥については、70℃〜120℃で行うことが好ましく、更には80℃〜100℃で行うことが好ましい。
上記で得られたPVA系樹脂フィルムに対して、更に二軸延伸を施すことにより、本発明で好ましく用いられる二軸延伸PVA系樹脂フィルムとなる。
かかる二軸延伸については、機械の流れ方向(MD方向)の延伸倍率が2.5倍〜5倍、幅方向(TD方向)の延伸倍率が2倍〜4.5倍であることが好ましく、特に好ましくはMD方向の延伸倍率が3倍〜5倍、TD方向の延伸倍率が2.5倍〜4.5倍である。該MD方向の延伸倍率が低すぎると延伸による物性向上が得難くかつ耐熱性が損なわれる傾向があり、高すぎるとフィルムがMD方向へ裂けやすくなる傾向がある。また、TD方向の延伸倍率が低すぎると延伸による物性向上が得難く、かつ耐熱性が損なわれる傾向があり、高すぎると工業的にフィルムを製造する際に延伸時の破断が多発する傾向がある。
かかる逐次二軸延伸あるいは同時二軸延伸を行うにあたっては、PVA系樹脂フィルムの含水率を5重量%〜30重量%、特には20重量%〜30重量%に調整しておくことが好ましい。含水率の調整は、乾燥前のPVA系樹脂フィルムを引き続き乾燥する方法、含水率5重量%未満のPVA系樹脂フィルムを水に浸漬あるいは調湿等を施す方法等により行うことができる。かかる含水率が低すぎても、高すぎても延伸工程でMD方向、TD方向の延伸倍率を高めることができない傾向がある。
更に、二軸延伸を施した後は、熱固定を行うことが好ましく、かかる熱固定の温度は、PVA系樹脂の融点より低い温度を選択することが好ましく、特には140℃〜250℃であることが好ましい。熱固定温度が、融点より80℃以上低い温度の場合は、寸法安定性が悪く収縮率が大きくなる傾向があり、一方、融点より高い場合は、フィルムの厚み変動が大きくなる傾向がある。また、熱固定時間は1秒間〜30秒間であることが好ましく、より好ましくは5秒間〜10秒間である。
また、必要に応じて、熱変形性をさらに減少させる目的で、かかる二軸延伸PVA系樹脂フィルムに、水溶液への接触および乾燥の加工を施すことも可能である。水溶液との接触においては、通常5℃〜60℃、好ましくは10℃〜50℃の水溶液が用いられ、水溶液との接触時間は、水溶液の温度に応じて適宜選択されるが、工業的には10℃〜60秒であることが好ましい。
かかる水溶液との接触方法については、例えば、水溶液への浸漬や水溶液の噴霧、水溶液の塗布、スチーム処理などが挙げられ、これらを併用することもできる。水溶液との接触の後、工業的には、エアーシャワー等で非接触的に表面の付着水を取り除き、次いでニップロール等で接触的な水分除去を次に行うことが好ましい。また、乾燥機の種類としては、例えば、金属ロールやセラミックロール等に直接接触して乾燥する方法、あるいは非接触型の乾燥機を用いる方法などが挙げられる。
かかる水溶液との接触と乾燥の後に、得られた二軸延伸PVA系樹脂フィルムを再度巻き取ってロール状とする場合は、フィルムの水分量を通常3重量%以下、好ましくは0.1重量%〜2重量%にすることが望まれる。かかる水分量が多すぎるとフィルムロールの中でフィルム同士が密着してしまう傾向があり、再度加工のための巻き出しを行う際にフィルムが破損するなどの問題を発生するおそれがある。
かくして二軸延伸PVA系樹脂フィルムが得られる。
次に、二軸延伸EVOH系樹脂フィルムについて説明する。
上記EVOH系樹脂を用いて、EVOH系樹脂フィルム(延伸前EVOH系樹脂フィルム)を製膜するわけである。
上記EVOH系樹脂を用いて、EVOH系樹脂フィルムを製膜する際には、主に溶融成形が用いられる。以下に溶融成形方法について説明する。
かかる溶融成形時の条件としては、特に限定されないが、通常はノンベント、スクリュータイプ押出機を用い、溶融温度190℃〜250℃で押出製膜される。通常、圧縮比2.0〜4.5のスクリューを用い、Tダイス、または丸ダイスを用いて製膜される。
かくしてEVOH系樹脂フィルムが得られるわけであるが、該フィルムに対しては、更に、二軸延伸、好ましくは逐次二軸延伸を施すことにより、二軸延伸EVOH系樹脂フィルムとすることができる。
かかる二軸延伸の面積倍率については、好ましくは3倍以上、より好ましくは6倍以上、特に好ましくは9倍以上であることが、ガスバリア性および機械強度の観点から重要である。延伸する方法としては、ダブルバブル法、テンター法、ロール法等の一軸または二軸延伸する方法等公知の延伸方法を採用することができ、二軸延伸の場合は、同時延伸、逐次延伸のいずれの方式も採用することができる。
また、延伸前の原反フィルムに予め含水させておくことで容易な連続延伸が可能となり、延伸前の原反フィルムの水分率としては、2重量%〜30重量%が好ましく、特には5重量%〜30重量%が好ましく、更には10重量%〜30重量%が好ましい。水分率が少なすぎると、延伸斑が残りやすく、また特にテンターで延伸する場合、グリップに近い部分の延伸倍率が高くなるために、グリップ近辺での破れが生じやすくなることがある。一方、水分率が高すぎると、延伸された部分の弾性率が低く、未延伸部分との差が十分でなく、延伸斑が残りやすくなることがある。
かかる延伸温度に関しては、延伸前の原反フィルムの水分率によって多少異なるが、一般に50℃〜130℃の範囲が適応可能である。特に同時二軸延伸においては、70℃〜100℃の範囲において、厚み斑の少ない二軸延伸EVOH系樹脂フィルムが得られやすく、逐次二軸延伸においては、ロールでの長手方向の延伸において70℃〜100℃、テンターでの幅方向の延伸において80℃〜120℃の温度範囲で行うことにより、厚み斑の少ない二軸延伸EVOH系樹脂フィルムが得られやすい。
そして、二軸延伸EVOH系樹脂フィルムの製造に関するさらに重要な因子としては、延伸後の熱処理と、その熱処理の結果として得られる二軸延伸EVOH系樹脂フィルムの密度および水分率がある。熱処理は、EVOHの融点より5℃〜40℃低い温度で、5秒間〜20秒間行われることが好ましい。熱処理温度が低すぎると、熱処理が不十分なため、蒸着工程に耐えるだけの耐熱性および充分なガスバリア性が得られないことがある。一方、熱処理温度が高すぎると、部分的に延伸効果が低減されることがある。
かくして二軸延伸EVOH系樹脂フィルムが得られる。
更に、本発明におけるガスバリア性フィルム(A)は少なくとも一方の面に蒸着処理が施されたものであることが好ましい。
蒸着材料としては、真空断熱構造体に用いる積層体を作製する際に用いられる公知一般の蒸着材料であればよいが、金属または金属酸化物が好ましく用いられる。
上記金属または金属酸化物としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、クロム、スズなどの金属、またはかかる金属の酸化物を用いることができる。それらのなかでも、アルミニウム、金、銀、スズが好ましく用いられ、特にアルミニウムが、コストの面からも好ましく用いられる。また、金属または金属酸化物による蒸着の代わりに、シリカ蒸着を行うこともできる。
蒸着方法としては、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング方、抵抗加熱蒸着方、高周波誘導加熱蒸着法、電子ビーム加熱蒸着法などの一般的な真空蒸着法を用いることができる。
また、フィルムに蒸着処理を施す前に、蒸着されるフィルムの表面に前処理をすることも好ましく、かかる前処理としては、例えば、コロナ処理等の基材そのものの活性化を促す方法と、ポリエチレンやポリエーテルを主剤としウレタン系硬化剤を用いるようなコーティング剤で薄膜層を形成する方法を挙げることができる。
なお、蒸着は、一度の蒸着処理で得られたものであってもよいし、複数回にわたり蒸着処理を繰り返して得られたものであってもよい。
蒸着の厚みは、通常100Å〜1000Å、特には300Å〜800Åが好ましい。薄すぎると、熱放射特性が得られにくくなる傾向があり、厚すぎると、その厚みを得るための蒸着時間が長くなり、蒸着時の熱的な影響が大きくなるとともにコストがかさむ傾向があり、工業的に好ましくない傾向がある。
更に、蒸着面にトップコートを施すことが、蒸着面の保護やガスバリア性の点から好ましい。これにより、蒸着後、他の層を積層する際などに、蒸着面が傷つくことによりガスバリア性が低下することを抑制することができる。
トップコートは、通常樹脂の薄膜塗工に用いられる方法ですることができるが、例えば、硬化性樹脂等をグラビアコーターで塗工することで形成することができる。
トップコート層の厚みは、通常0.1〜10μmであり、0.5〜5μmが好ましい。薄すぎると、擦過等のストレスにより蒸着膜とともに剥離する傾向があり、厚すぎると、柔軟性が低下し表面に蒸着層まで巻き込んだクラックが発生する傾向がある。
また、蒸着面上にトップコートを施した上にさらに蒸着を施し、蒸着層とトップコート層を複数積層することも、ガスバリア性の点で好ましい。
ガスバリア性フィルム(A)は、23℃×50%RHの条件でJIS K 7126(等圧法)に記載の方法に準じて測定した際の酸素透過度が、1ml/(m・day・atm)以下であることが好ましく、特には、0.1ml/(m・day・atm)以下であることが好ましい。なお、かかる酸素透過度は小さければ小さいほどよいが、通常、下限値としては0.000001ml/(m・day・atm)である。
また、ガスバリア性フィルム(A)の厚みは、通常、5〜100μmであり、好ましくは5〜50μm、特に好ましくは5〜30μmである。かかる厚みが厚すぎると、真空断熱構造体に仕上げた場合に外装袋に入るシワの部分へ集中する応力が増大しピンホールの発生する可能性が高まる傾向があり、薄すぎると真空断熱構造体に仕上げた場合の外装袋としての強度が充分に得られず、加工中および使用中に破袋する傾向がある。
本発明における積層体[I]は、上記ガスバリア性フィルム(A)を含むものであるが、強度やガスバリア性などの点から、ガスバリア性フィルム(A)/基材層(B)/保護層(C)の層構成を含むものであることが好ましい。なお、各フィルムを複数積層したり、各層の間に更に、接着剤(または粘着剤)層など他の層を有していてもよい。
本発明で用いられる基材層(B)としては、通常、真空断熱構造体用外装袋に使用される積層体の基材フィルムとして用いられる樹脂フィルム又は金属箔であればよい。樹脂フィルムとしては、具体的には、例えば、ポリエステル系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリエーテル系フィルム、ポリウレタン系フィルム等が挙げられる。中でも、ポリエステル系フィルム、ポリオレフィン系フィルム等のフィルムを使用することが、加工性、耐久性および経済性の点で好ましく、特にはポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム等のフィルムが好ましく、殊にはポリエチレンテレフタレートフィルム等のフィルムが好ましい。
また、上記基材層(B)に用いられる樹脂フィルムは、延伸処理を施されたものを用いることが、フィルム表面の平滑性や連続塗工機や連続貼合機への適用性の点から好ましく、特には二軸延伸フィルムを用いることが好ましい。
なお、基材層(B)についても、少なくとも一方の面に蒸着処理が施されていることが好ましい。蒸着材料や蒸着方法等については、前述と同様である。
また、基材層(B)として、樹脂フィルムの代わりに金属箔を用いることができ、例えば、アルミ箔や銅箔などを用いることができる。
基材層(B)は、23℃×50%RHの条件でJIS K 7126(等圧法)に記載の方法に準じて測定した際の酸素透過度が、10ml/(m・day・atm)以下であることが好ましく、特には、5ml/(m・day・atm)以下であることが好ましい。なお、かかる酸素透過度は小さければ小さいほどよいが、通常、下限値としては0.000001ml/(m・day・atm)である。
また、基材層(B)の厚みは、通常5〜80μm、好ましくは8〜40μm、特に好ましくは10〜30μmであることが、コスト面及び、他のフィルムを積層して積層体を得る際に積層体に適度な柔軟性を与えることができる点で好ましい。かかる厚みが厚すぎると積層体が硬くなり真空包装時の形状追従性が低くなり、破損を招く傾向があり、薄すぎるとその基材層の一部が欠損したりして、十分なガスバリア性が得られない傾向がある。
保護層(C)は、主として、積層体[I]を用いて真空断熱構造体用外装袋を作製したときの外層を保護する目的で用いられるフィルムであり、例えば、ポリエステル系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリウレタン系フィルム等が挙げられる。中でもポリオレフィン系フィルム、好ましくはポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、あるいはフッ素系フィルムを用いることが、水蒸気バリア性が高い点から好ましい。
かかるポリオレフィン系フィルムとしては、汎用のポリオレフィン系フィルムを用いることができる。
例えば、ポリプロピレン、ポリブテン−1、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンなどのホモポリマーが挙げられる他、プロピレンを主成分とするエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、スチレンなどとの共重合体、さらには無水マレイン酸などのカルボン酸でグラフト変性されたもの、ブテン−1を主成分とするエチレン、プロピレン、ブテン−2、イソブチレン、ブタジエン、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1などとの共重合体、さらには無水マレイン酸などのカルボン酸でグラフト変性されたもの、エチレンを主成分とするプロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセン、1−オクテン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸、メタクリル酸グリシディルなどとの共重合体、さらには無水マレイン酸などのカルボン酸でグラフト変性されたもの等が挙げられる。これらの中でも、特にはポリプロピレンを用いることが防湿性および工業的な生産性の点で好ましい。
また、延伸処理を施し、一軸延伸或いは二軸延伸ポリオレフィン系フィルムを用いることも好ましく、特には、より薄膜でより高いガスバリア性を得るという点から、二軸延伸ポリオレフィン系フィルムが好ましく用いられる。
保護層の厚み(C)は、通常5μm〜200μm、特には10μm〜100μmであることが好ましい。厚みが薄すぎると得られる真空断熱構造体の芯材となる断熱性材料の充填性が低下し、厚すぎると加工性が低下するばかりでなく経済的にも不利となる。
更に、保護層(C)は、初期弾性率が1GPa〜100GPa、更には0.5GPa〜50GPaであることが好ましく、また、水蒸気透過度が10g/m/day以下、更には8g/m/day以下であることが好ましい。なお、上記初期弾性率は、JIS K 7127に則して測定された23℃×60%RHでの値であり、水蒸気透過度は、JIS Z 0208に則して測定された23℃×90%RHでの値である。かかる水蒸気透過度は小さければ小さいほどよいが、通常、下限値としては0.00001g/m/dayである。
更に、本発明における積層体[I]は、外装袋とした場合に、ガスバリア性フィルム(A)の内側にシール層(D)を積層してなるものであることが好ましい。
本発明で用いられるシール層(D)は、積層体[I]を用いて真空断熱構造体用外装袋を作製したときの内側に設けられるものであり、通常、シール強度の観点からポリオレフィン系樹脂層からなる層であることが好ましく、中でもポリプロピレンや高密度ポリエチレンや、低密度ポリエチレンが好ましく用いられる。また、ポリオレフィン系樹脂以外として、エチレン−酢酸ビニル共重合体なども好適に用いられる。
本発明においては、シール層(D)を形成するに当たり、(1)上記シール層を形成する樹脂を用いて、別途フィルムを作製しておき、外装袋の内側となる面に更に積層することもでき、また、(2)外装袋の内側となる面に直接溶融押出形成にて積層することもできるが、(1)のほうがシール性の点で好ましい。
シール層(D)の厚みは、通常は10μm〜100μm、特には20μm〜80μmが好ましく、薄すぎるとシール強度が低下する傾向があり、厚すぎるとシール層の端面からのガス侵入が助長されることになりガスバリア性が低下する傾向がある。
本発明において、積層体[I]を構成する各層を積層する方法としては、例えば、ポリエステルやポリエーテルを主剤としてイソシアネート系の硬化剤を用いる接着剤によるノンソルベントドライラミネート法、溶剤ドライラミネート法や、エマルジョン系接着剤によるウェットラミネート法などがある。但し、特にこの方法に限られるものではない。
接着剤層の厚みとしては、接着強度の点から0.1μm〜10μmであることが好ましく、特には0.3μm〜7μm、更には0.5μm〜5μmであることが好ましい。かかる接着剤層の厚みが薄すぎると接着力が不充分となる傾向があり、厚すぎると接着剤層そのものの破壊によりデラミが発生し、接着強度が低下する傾向がある。
本発明の積層体[I]を用いてなる真空断熱構造体用外装袋で断熱性材料を密封包装する際の好ましい層構成としては、ガスバリア性および防湿性、さらには長期耐久性の点から、外層側(断熱性材料とは逆側)から、例えば、
(1)保護層/接着剤層/蒸着ポリエステル系フィルム(蒸着面)/接着剤層/二軸延伸ビニルアルコール系樹脂フィルム/接着剤層/シール層
(2)保護層/接着剤層/蒸着ポリエステル系フィルム(蒸着面)/接着剤層/(蒸着面)蒸着二軸延伸ビニルアルコール系樹脂フィルム/接着剤層/シール層
(3)保護層/接着剤層/(蒸着面)蒸着ポリエステル系フィルム/接着剤層/(蒸着面)蒸着二軸延伸ビニルアルコール系樹脂フィルム/接着剤層/シール層
(4)保護層/接着剤層/蒸着ポリエステル系フィルム(蒸着面)/接着剤層/蒸着ポリエステル系フィルム(蒸着面)/接着剤層/二軸延伸ビニルアルコール系樹脂フィルム/接着剤層/シール層
(5)保護層/接着剤層/アルミ箔/接着剤層/二軸延伸ビニルアルコール系樹脂フィルム/接着剤層/シール層
等を挙げることができるが、かかる層構成に限定されるものではない。
また、本発明における積層体[I]の全体の厚みは、通常5〜500μmであり、特には、510〜200μmが好ましい。
また、本発明の積層体[I]の水蒸気透過度は、通常1g/m/day以下であり、更には0.5g/m/day以下であることが好ましい。
なお、水蒸気透過度は、JIS Z 0208に則して測定された23℃×90%RHでの値である。かかる水蒸気透過度は小さければ小さいほどよいが、通常、下限値としては0.00001g/m/dayである。
また、積層体[I]の酸素透過度は、23℃×50%RHの条件で、JIS K 7126(等圧法)に記載の方法に準じて測定した際の値が、通常0.5ml/(m・day・atm)以下、好ましくは、0.1ml/(m・day・atm)以下である。酸素透過度が高すぎると、上記水蒸気と同様に、真空断熱構造体を構成した後に酸素や窒素などの外気構成ガスが内部に侵入し断熱性能を著しく低下させる傾向がある。なお、かかる酸素透過度は小さければ小さいほどよいが、通常、下限値としては0.000001ml/(m・day・atm)である。
上記で得られる積層体[I]を用いて、真空断熱構造体用外装袋を得ることができ、かかる外装袋を用いて、本発明の真空断熱構造体用芯材(以下、芯材と略記することがある。)を密封包装することにより、本発明の真空断熱構造体を得ることができる。
上記の積層体[I]からなる外装袋により、本発明の芯材を包装するに当たって、例えば、積層体[I]を袋状に加工した外装袋を形成し、その中に芯材を入れる方法を用いることができる。
具体的には、上記の本発明の真空断熱構造体用芯材を積層体[I]からなる外装袋に入れ、真空包装し、真空断熱構造体を形成する。 本発明の芯材を予め所定の形状(例えば、立方体、直方体など。)に形成しておくことが、断熱性能や作業性の点で好ましい。
本発明においては、芯材を積層体[I]からなる外装袋に入れた状態で、減圧し、最後に袋の開口部をシールして閉じることで真空断熱構造体を得ることができる。該真空断熱構造体の真空度としては、特に制限されるわけではないが、通常1000Pa以下であり、100Pa以下が好ましく、特には10Pa以下が好ましく、更には5Pa以下が好ましい。なお、通常、下限は0.1Paである。
本発明においては、真空断熱構造体の形状、大きさは特に限定されるものではなく、目的に応じて決めることができる。例えば、かかる真空断熱構造体の形状については、一つの真空断熱構造体に対し、積層体[I]からなる外装袋が一つ含まれる形状でもよいし、一つの真空断熱構造体に対し、外装袋が複数個含まれる形状のものでもよい。
かかる外装袋が複数個含まれる形状である場合においては、外装袋部同士のつなぎ目になるシール部分が真空断熱構造体の中で厚みの薄い部分となり、真空断熱構造体を変形させた場合の変形の中心部となるので、真空断熱構造体が容易に変形することが可能となり好ましい。更には、外的要因によって穴等が発生し、真空断熱構造体の真空性が失われてしまう場合にも、外装袋が複数個含まれる形状であると、断熱性の減少を最小限に抑えることができるため好ましい。
かかる真空断熱構造体の大きさに関しては、一般的に厚み5mm〜100mmで、縦と横が500mm〜5000mmの範囲の直方体状に加工される場合が多い。真空断熱構造体の体積が不必要に大きいと、外装袋に穴等の欠陥が発生した場合に性能を失う面積が大きくなり、真空断熱構造体を利用した最終商品の性能を低下させるおそれがあるため、適当な大きさとすることが好ましい。
積層体[I]からなる外装袋には、本発明の芯材に加えて他の断熱性材料が密封包装されていてもよい。かかる断熱性材料としては、例えば、内部に連続気泡を有する高分子、あるいは無機物や金属の微粉末が好ましく用いられ、外装袋内部を真空引きしても形状を保持できるものが用いられる。外装袋内部を真空引きし、開口部を封止して用いるにあたり、断熱性材料の高分子が気泡を有していない、あるいは独立気泡を有するものであると、真空断熱構造体の断熱効果が低減し好ましくない。
かかる断熱性材料としては、具体的には、粒状酸化ケイ素、グラスウールなどの繊維状断熱性材料、発泡樹脂体などの粒状断熱性材料が、外装袋内部を真空引きしても形状を保持できる点や、気泡を有しているため真空断熱構造体の断熱効果を保持することができる点で好ましい。
また、かかる断熱性材料には、水分により真空度の低下をまねく場合があるため、酸化カルシウムや塩化カルシウム等の乾燥剤を混合して使用したり、かかる乾燥剤を同封しておくことも好ましい。
かくして得られる本発明の真空断熱構造体用芯材を用いてなる真空断熱構造体は、優れた断熱性能を示し、更に、長期間使用した際にも断熱性能の経時安定性に優れたものとなり、クーラーボックス、ボトルケース等の生活用品、冷蔵庫、ジャーポット、炊飯器等の生活家電、温水器、浴槽、ユニットバス、便座等の住宅設備、床暖房、太陽光屋根、低温輻射板等の住宅システム、外壁用断熱パネル等の住宅建材等の断熱材として有効に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
<PVA系樹脂の連続多孔体の製造>
平均ケン化度99. 7%、平均重合度1700の完全ケン化型PVA系樹脂を重量濃度10%となるように冷水中に撹拌分散させ、撹拌したまま昇温して95℃まで加熱し、その後2時間95℃で保持することでPVA水溶液を得た後、このPVA水溶液を50℃で保持した。
アセトンと水を体積比で2:1となるように混合した貧溶媒溶液を得て、この貧溶媒溶液を50℃で保持した。
50℃で保持したまま撹拌されているPVA水溶液中に、同じく50℃で保持された貧溶媒溶液を1:1.38(PVA水溶液:貧溶媒溶液、重量比)となるように、徐々に加えていき、相分離原液を得た。
この相分離原液を50℃で保持したまま、直方体のアルミ製容器に注ぎ入れ、20℃に保持して18時間放置した。
この20℃で18時間の放置によって、相分離原液中でPVA系樹脂の相分離が発生し、放置後、直方体状のPVA相分離体を得た。
得られたPVA相分離体をアセトン100%の相分離停止液中に浸漬し、3時間放置した。
その後、一旦、PVA相分離体を相分離停止液から取り出し、風乾した後に、新たにアセトン100%の溶媒置換液(第1)に浸漬して3時間放置した。
さらに、PVA相分離体を溶媒置換液(第1)から取り出し、風乾した後に、さらに新たにアセトン100%の溶媒置換液(第2)に浸漬して12時間放置した。
PVA相分離体を溶媒置換液(第2)から取り出し、風乾した後に、40℃に加熱した真空乾燥機で24時間乾燥し、乾燥したPVA相分離体を得た。
この乾燥したPVA相分離体は、走査型電子顕微鏡観察による平均孔径が7μm〜10μmであり、この相分離体の一部を直方体状に切り出したサンプルの体積は12.5cmであり、その質量は3.14gであった。これらから算出される空隙率は80.7%であった。
<真空断熱構造体の製造>
得られた乾燥したPVA相分離体を厚さ10mmで底面が200mm×2000mmの直方体状に切り出し、120℃で2時間の条件で追加乾燥し、追加乾燥したPVA相分離体を得た。
二軸延伸ポリプロピレンフィルム(25μm)(東洋紡社製、パイレンOT)とアルミ蒸着ポリエステルフィルム(12μm)(尾池工業社製、テトライト)と二軸延伸ポリビニルアルコールフィルム(12μm)(平均ケン化度99.9%、平均重合度1700)と無延伸ポリプロピレンフィルム(30μm)(東洋紡社製、パイレンCT)をこの順番で接着剤により積層した積層フィルム(層構成:二軸延伸ポリプロピレンフィルム/アルミ蒸着ポリエステルフィルム(蒸着面)/二軸延伸ポリビニルアルコールフィルム/無延伸ポリプロピレンフィルム)を用いて、無延伸ポリプロピレンフィルム側を熱溶融させることで300mm×300mmの外装袋(シール部分の幅10mm)を形成し、105℃で1時間乾燥した。
上記の追加乾燥したPVA相分離体と、ポリエステル製の不織布に封入された3gの酸化カルシウム系乾燥剤とを、上記の外装袋の中央部に入れ、1.0Paで5分間保持した後に、外装袋の開口部を熱融着により封止して、真空断熱構造体を得た。
この真空断熱構造体の熱伝導率を、英弘精機社製の熱伝導率測定機HC−074にて測定したところ、11. 4mW/mKであった。
さらに、この真空断熱構造体を100℃の恒温機の中に30日間放置した後に、再度、熱伝導率を測定したところ、15.5mW/mKであった。
〔実施例2〕
実施例1において、外装袋の開口部を封止する際の減圧度を1000Paとし、5分間保持した後に、外装袋の開口部を熱融着により封止する以外は同様にして真空断熱構造体を得た。
この真空断熱構造体の熱伝導率は20.1mW/mKであった。
〔実施例3〕
実施例1において、アルミ蒸着ポリエステルフィルムをアルミ箔(厚さ6.5μm)に変更した積層フィルムを用いた以外は同様にして、真空断熱構造体を得た。
この真空断熱構造体の熱伝導率は12. 5mW/mKであった。
さらに、この真空断熱構造体を100℃の恒温機の中に30日間放置した後に、再度、熱伝導率を測定したところ、15.0mW/mKであった。
〔比較例1〕
厚さ20mmの発泡ポリスチレンボード(ダウ化工社製、スタイロフォームIB)を300mm×300mmに加工し、70℃で48時間乾燥してポリスチレン断熱材料とした。実施例1で用いた外装袋(シール部分の幅10mm)を105℃で1時間乾燥し、ポリスチレン断熱材料と、実施例1と同様の不織布に封入された酸化カルシウム系乾燥剤とを一緒に、乾燥した外装袋の中央部に入れ、1.0Paで5分間保持した後に、外装袋の開口部を熱融着により封止し、真空断熱構造体を得た。
なお、ポリスチレンは耐熱性が低いので、PVAでの乾燥温度(120℃)で乾燥を行なうと樹脂が軟化し、発泡体の構造を有しなくなる。そのため、本比較例では発泡ポリスチレンボードの乾燥温度を70℃に設定した。
この真空断熱構造体の熱伝導率は22. 5mW/mKであった。
さらに、この真空断熱構造体を100℃の恒温機の中に30日間放置した後に、再度、熱伝導率を測定したところ、112.0mW/mKであった。
Figure 2016017557
上記表1で示されるように、PVA系樹脂を主成分とする連続多孔質の相分離体を芯材として用いた実施例1の真空断熱構造体は、初期の熱伝導率が低く断熱性能に優れ、さらには耐久試験後においても熱伝導率が低く、断熱性能の持続性に優れたものであることがわかる。
また、実施例1と同様に、PVA系樹脂を主成分とする連続多孔質の相分離体を芯材として用いた実施例2の真空断熱構造体は、真空包装の際の真空度を実施例1のときよりも低くして、長期間の使用により内部圧力が上昇した状態の真空断熱構造体を想定して作製したものである。本実施例のように内部圧力が上昇した場合においても、真空断熱構造体は20mW/mK程度の熱伝導率を保持していることから、本発明の真空断熱構造体は、長期間使用することにより内部圧力がある程度上昇しても、優れた断熱性能を保持し得ることがわかる。
さらに、実施例3は、実施例1の積層フィルムにおけるアルミ蒸着ポリエステルフィルムをアルミ箔に変更して形成された外装袋を用いた真空断熱構造体であり、実施例1と同程度に、初期の熱伝導率が低く断熱性能に優れ、さらには耐久試験後においても熱伝導率が低く、断熱性能の持続性に優れたものであることがわかる。
これに対して、発泡ポリスチレンボードを芯材とした比較例1の真空断熱構造体では、初期においては熱伝導率が低く断熱性能に優れるものの、耐久試験後においては熱伝導率が著しく高くなり断熱性能が劣ることがわかる。
本発明の真空断熱構造体用芯材は、PVA系樹脂を主成分とする連続多孔質体の相分離体からなり、耐熱性に優れ、かかる真空断熱構造体用芯材を用いてなる真空断熱構造体は、初期において優れた断熱性能を有し、更に、長期間使用した際にも断熱性能の低下が非常に少ないものである。かかる真空断熱構造体は、クーラーボックス、ボトルケース等の生活用品、冷蔵庫、ジャーポット、炊飯器等の生活家電、温水器、浴槽、ユニットバス、便座等の住宅設備、床暖房、太陽光屋根、低温輻射板等の住宅システム、外壁用断熱パネル等の住宅建材、等の断熱材として有効に用いることができる。
とりわけ、本発明によれば、熱伝導率が20mW/mK以下の性能を有する真空断熱構造体が得られるので、必要となる断熱材の厚みを減らすことが可能となり、より多くのスペースを確保できるため、冷蔵庫等の生活家電および外壁用断熱パネルに用いた場合に有用である。

Claims (11)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする連続多孔質の相分離体からなることを特徴とする真空断熱構造体用芯材。
  2. 連続多孔質の平均孔径が50μm以下であることを特徴とする請求項1記載の真空断熱構造体用芯材。
  3. 連続多孔質の空隙率が50%以上であることを特徴とする請求項1または2記載の真空断熱構造体用芯材。
  4. ポリビニルアルコール系樹脂の平均ケン化度が80モル%以上であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の真空断熱構造体用芯材。
  5. ポリビニルアルコール系樹脂の20℃での4重量%水溶液粘度が2mPa・s以上であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の真空断熱構造体用芯材。
  6. 請求項1〜5いずれか記載の真空断熱構造体用芯材を、ガスバリア性フィルム(A)を含む積層体[I]からなる外装袋を用いて密封包装してなることを特徴とする真空断熱構造体。
  7. 外装袋が、ガスバリア性フィルム(A)/基材層(B)/保護層(C)の層構成を有する積層体[I]からなり、ガスバリア性フィルム(A)を内側にして、真空断熱構造体用芯材を密封包装してなることを特徴とする請求項6記載の真空断熱構造体。
  8. ガスバリア性フィルム(A)がビニルアルコール系樹脂フィルムであることを特徴とする請求項6または7記載の真空断熱構造体。
  9. ビニルアルコール系樹脂フィルムが、二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルムであることを特徴とする請求項8記載の真空断熱構造体。
  10. 基材層(B)が、金属もしくは金属酸化物を蒸着したポリエステル系フィルムまたは金属箔であることを特徴とする請求項7〜9いずれか記載の真空断熱構造体。
  11. 積層体[I]が、ガスバリア性フィルム(A)の基材層(B)と反対側に、シール層(D)を積層してなるものであることを特徴とする請求項7〜10いずれか記載の真空断熱構造体。
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