JP2014126098A - 真空断熱構造体及び真空断熱構造体用外装袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れた断熱性能を示し、長期間使用した際にも断熱性能の低下が非常に少ない真空断熱構造体及びそれに好適に用いられる真空断熱構造体用外装袋を提供すること。
【解決手段】
ポリエステル系フィルム(A)/二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)/二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)の層構成を有する積層体[I]が、二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)を内側にして断熱性材料を密封包装してなることを特徴とする真空断熱構造体及びそれに用いる真空断熱構造体用外装袋。
【選択図】 なし

Description

本発明は、真空断熱構造体および真空断熱構造体用外装袋に関するものであり、更に詳しくは、非常に優れた断熱性能を有し、長期間使用した際にも断熱性能の低下が非常に少ない真空断熱構造体及びそれに好適に用いられる真空断熱構造体用外装袋に関するものである。
従来、冷蔵庫や電気ポットの断熱材、あるいは住宅用断熱壁用の断熱パネルとしては、ポリウレタンフォームを用いた断熱体が利用されてきたが、近年これに代わる、優れた材料として、グラスウール、酸化珪素、発泡樹脂などの断熱性材料を芯材とし、これをガスバリア性ラミネートフィルムで密封し且つ内部を真空とした真空断熱構造体が用いられ始めている。
かかる真空断熱構造体では、ガスバリア性ラミネートフィルムとして、ビニルアルコール系フィルムやアルミ箔を含有した多層フィルムなどが用いられており、ビニルアルコール系フィルムとしては、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルムや、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムが用いられている。
例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルムを含有した多層フィルムを含む真空断熱構造体としては、芯材と、前記芯材を外包する外装袋外被材とを備え、前記外装袋が、蒸着層を有するラミネートフィルム同士、もしくは蒸着層を有するラミネートフィルムと、金属箔を有するラミネートフィルムとを、熱溶着によって袋状にしたものであり、前記蒸着層を有するラミネートフィルムが、熱溶着層と、ガスバリア層と、最外層とを含み、前記ガスバリア層がエチレン−ビニルアルコール系樹脂を含むプラスチックフィルムの片側にアルミ蒸着を施したものであり、かつ、アルミ蒸着を施した面が熱溶着層側に設けられている真空断熱構造体が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを含有した多層フィルムを含む真空断熱構造体としては、断熱性材料を、ポリビニルアルコール系フィルムを含む多層フィルムによって密閉包装して得られる真空断熱構造体であって、かかる多層フィルムとして、二軸延伸ポリビニルアルコールフィルムと、金属が蒸着されていてもよいポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリオレフィンフィルム等が積層した多層フィルムを用いた真空断熱構造体が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開平10−122477号公報 特開2007−078176号公報
しかしながら、特許文献1及び2に開示の技術では、多層フィルムに、アルミ箔、アルミ蒸着ポリエステル系フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム又はビニルアルコール系樹脂フィルム等のフィルムを組み合わせて用いることにより、優れたガスバリア性を有し、優れた断熱性能を有する真空断熱構造体を得ているが、長期にわたり使用した場合には断熱性能が低下し、特に住宅用断熱壁用の断熱パネルなど、より長期の耐久性(断熱性能の持続性)が要求される分野において使用する場合には、改善の余地が残るものであり、耐久性のさらなる向上が求められている。
そこで、本発明ではこのような背景下において、ガスバリア性、更に断熱性能に十分に優れ、建築構造物用途などにも使用可能な長期耐久性に優れた真空断熱構造体及びそれを形成するための真空断熱構造体用外装袋を提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者はかかる事情を鑑み鋭意研究を重ねた結果、真空断熱構造体を形成するにあたり、積層体として、ポリエステル系フィルム(A)/二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)/二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)の層構成を有することにより、非常にガスバリア性に優れ、更には長期間使用した場合においても断熱性能の低下が非常に少ないといった長期耐久性にも優れることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、ポリエステル系フィルム(A)/二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)/二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)の層構成を有する積層体[I]が、二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)を内側にして断熱性材料を密封包装してなることを特徴とする真空断熱構造体に関するものである。
更に本発明においては、前記ポリエステル系フィルム(A)/二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)/二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)の層構成を有する積層体[I]からなる真空断熱構造体用外装袋も提供するものである。
本発明では、積層体[I]のポリエステル系フィルム(A)/二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)/二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)の各層が、この順番で積層されることで、優れたガスバリア性が発揮されるものであり、特に二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)と二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)をこの順番で、併用する点が重要である。
即ち、ポリエステル系フィルム(A)に加え、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)のガスバリア性、特に水蒸気の進入が極めて少量に抑えられることにより、二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)の酸素、窒素等の各種ガスに対する非常に優れたガスバリア性能が十分に発揮されることとなり、積層体[I]が、二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)を内側にして断熱性材料を密封し、真空断熱構造体としたときに、ガスバリア性に非常に優れ、長期間使用した際にも高い信頼度で真空状態が維持されるため断熱性能の低下が非常に少なくなり、長期耐久性に優れた真空断熱構造体が得られるものとなる。
本発明の真空断熱構造体及び真空断熱構造体用外装袋は、ポリエステル系フィルム(A)/二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)/二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)/の層構成を有することにより、ガスバリア性に非常に優れ、更には、長期間使用した際にも断熱性能の低下が非常に少なく、長期耐久性に優れるといった効果を有するものである。
本発明の真空断熱構造体は、ポリエステル系フィルム(A)/二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)/二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)の層構成を有する積層体[I]を用いてなるものである。
本発明で用いられるポリエステル系フィルム(A)としては、真空断熱構造体を作製する際に用いる基材フィルムとして公知一般のポリエステル系フィルムを用いることができ、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルムやポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルムあるいはポリ(1,4−シクロへキシレンジメチレンテレフタレート)フィルムなどを挙げることができる。中でも、加工性の点からポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルムを用いることが好ましく、特には、ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることが好ましい。
また、上記ポリエステル系フィルム(A)は、延伸処理を施されたものを用いることが、フィルム表面の平滑性やフィルム強度の点から好ましく、特には二軸延伸フィルムを用いることが好ましい。
ポリエステル系フィルム(A)の厚みは、通常5〜50μmであり、好ましくは7〜40μm、特に好ましくは10〜30μmである。かかる厚みが薄すぎると加工時の構成フィルムの伸縮差によるカールの発生が強くなる傾向があり、厚すぎると積層体の柔軟性が低下する傾向がある。
本発明においては、上記ポリエステル系フィルム(A)は、蒸着処理が施された蒸着ポリエステル系フィルムであることがより高いガスバリア性および水蒸気バリア性を得る点で好ましい。蒸着は、一度の蒸着処理で得られたものであってもよいし、複数回にわたり蒸着処理を繰り返して得られたものであってもよい。また、蒸着処理は、ポリエステル系フィルム(A)のどちらか一方の面に施されていても、両面に施されていてもよいが、少なくとも後述の二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)が積層される側の面に蒸着処理が施されていることが好ましい。
蒸着材料は、真空断熱構造体に用いる積層体を作製する際に用いられる公知一般の蒸着材料であればよいが、シリカ、金属または金属酸化物が好ましく用いられる。
上記金属または金属酸化物としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、クロム、スズ、インジウム、亜鉛などの金属、或いはかかる金属の酸化物を用いることができる。
上記蒸着材料のなかでも、アルミニウム、金、銀、スズ、アルミナ、シリカが好ましく用いられ、特に緻密な膜を適度なコストで製造するという点からアルミニウムが好ましく用いられる。
蒸着方法としては、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング方、抵抗加熱蒸着方、高周波誘導加熱蒸着法、電子ビーム加熱蒸着法などの一般的な真空蒸着法を用いることができる。
蒸着の厚みは、通常50〜1000Å、特には200〜800Åが好ましい。薄すぎると、熱放射特性が得られにくくなる傾向があり、厚すぎると、その厚みを得るための蒸着時間が長くなり、蒸着時の熱的な影響が大きくなるとともにコストがかさむ傾向がある。
ポリエステル系フィルムに上記蒸着処理を施した場合、蒸着ポリエステル系フィルムは、23℃−50%RHの条件でJIS K 7126(等圧法)に記載の方法に準じて測定した際の酸素透過量が、10ml/(m2・day・atm)以下であることが好ましく、特には、5ml/(m2・day・atm)以下であることが好ましい。
次に、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)について説明する。
本発明に用いられる二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)は、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂を膜状に成形した後に二軸延伸処理を施してなる二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルムである。
エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂は、水(温水も含む。)には溶解しない熱可塑性樹脂であり、エチレンとビニルエステル系モノマーを共重合させた後にケン化させることにより得られる。エチレンとビニルエステル系モノマーとの重合は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合などにより行うことができる。
エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂のエチレン含有量は、通常20〜60モル%であるが、良好なフィルム製膜性を得る観点から、エチレン含有量は25モル%以上であることが好ましく、さらには30モル%以上であることが特に好ましい。また、ガスバリア性の観点からは、エチレン含有量は55モル%以下であることが好ましく、さらには50モル%以下であることが特に好ましい。エチレン含有量が少なすぎると溶融成形でのフィルム製膜性が低下する傾向があり、エチレン含有量が多すぎるとガスバリア性が低下する傾向がある。
なお、かかるエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂のエチレン含有量は、核磁気共鳴(NMR)法により求めることができる。
上記ビニルエステル系モノマーとしては、一般的に酢酸ビニルが用いられるが、他のビニルエステル系モノマー、例えばギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の脂肪族ビニルエステル、安息香酸ビニル等の芳香族ビニルエステル等の、通常炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜10、特に好ましくは炭素数4〜7の脂肪族ビニルエステルを用いてもよい。これらのモノマーは通常単独で用いるが、必要に応じて複数種を同時に用いてもよい。
さらに、本発明の効果が阻害されない範囲で、エチレン、ビニルエステル系モノマー以外に、他のエチレン性不飽和単量体を共重合していてもよい。他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1,2−ジオール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類やそのエステル化物、アシル化物などの誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類等が挙げられる。
また、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂として、側鎖に1,2−ジオール構造を有するエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂を用いることも好ましく、側鎖1,2−ジオール構造の含有量は、0.01〜20モル%であることが良好なフィルム成形性を得る点で好ましく、特には、0.2〜15モル%、更には0.5〜10モル%が好ましい。
前記エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂におけるビニルエステル成分の平均ケン化度は、通常90〜100モル%、好ましくは95〜100モル%、特に好ましくは99〜100モル%である。かかる平均ケン化度が低すぎた場合にはガスバリア性、熱安定性、耐湿性等が低下する傾向がある。
なお、平均ケン化度は、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂を水/メタノール溶液に均一に溶解した溶液に調整した上で、JIS K6726に基づいて計測した値である。
上記エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂のメルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2160g)は、通常0.5〜100g/10分であり、好ましくは1〜50g/10分、特に好ましくは2〜35g/10分である。MFRが大きすぎる場合には、得られるフィルムの強度が低下する傾向があり、小さすぎる場合には製膜時の生産性が低下する傾向がある。
エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂には、本発明の目的を阻外しない範囲内で、酸化防止剤、色剤、紫外線吸収剤、スリップ剤、帯電防止剤、可塑剤、硼酸等の架橋剤、無機充填剤、無機乾燥剤等の各種添加剤、ポリアミド、ポリオレフィン、高吸水性樹脂等の各種樹脂を配合してもよい。
さらに、本発明の目的を阻外しない範囲内で加熱溶融する場合に安定性を向上させるためにエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂にホウ素化合物をブレンドすることもできる。ここでホウ素化合物としては、例えば、ホウ酸類、ホウ酸エステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素類等が挙げられる。具体的には、ホウ酸類としては、例えば、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸などが挙げられ、ホウ酸エステルとしてはホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチルなどが挙げられ、ホウ酸塩としては上記の各種ホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ホウ砂などが挙げられる。これらの化合物のうちでもオルトホウ酸(以下、単にホウ酸と表示する場合がある)であることが好ましい。
エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂にホウ素化合物をブレンドする場合、ホウ素化合物の含有量は、好ましくはホウ素元素換算で20〜2000ppm、より好ましくは50〜1000ppmである。この範囲内でホウ素化合物をブレンドすることで加熱溶融時のトルク変動が抑制されたエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂を得ることができる。ホウ素化合物の含有量が少なすぎると添加効果が小さく、多すぎるとゲル化しやすく、成形性不良となる場合がある。
さらに、本発明に用いられるエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂は、公知の方法にてウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化など、後変性されていてもよい。
これらのエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
本発明では、上記エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂を用いて二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)を製膜するのであるが、かかる製膜方法は公知のものでよく、例えば、ドラム、エンドレスベルト等の金属面上にビニルアルコール系樹脂溶液を流延してフィルム形成する流延式成形法、あるいは押出機により溶融押出する溶融成形法によってエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルムを製膜し、その後、二軸延伸処理が施される。
かかる二軸延伸処理は、同時二軸延伸、逐次二軸延伸など、公知方法に従い行うことが可能である。
以下、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)の具体的な製法について説明する。
上記エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂を用いて、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)を製膜する際には、主に溶融成形が用いられる。以下に溶融成形方法について説明する。
かかる溶融成形時の条件としては、特に限定されないが、通常はノンベント、スクリュータイプ押出機を用い、溶融温度190〜250℃で押出製膜される。通常、圧縮比2.0〜4.5のスクリューを用い、Tダイス、または丸ダイスを用いて製膜される。
上記により得られた無延伸フィルムに対して、更に、二軸延伸、好ましくは逐次二軸延伸を施すことにより、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)とすることができる。
かかる二軸延伸の延伸倍率については、機械の流れ方向(MD方向)に1.5〜6倍、特には3〜5倍、幅方向(TD方向)に1.5〜6倍、特には3〜5倍であることが好ましく、更に、面積倍率としては、3倍以上、特には6倍以上、更には特に9倍以上であることが、ガスバリア性および機械強度の観点から好ましい。なお、上限値は通常25倍である。延伸する方法としては、ダブルバブル法、テンター法、ロール法等の一軸または二軸延伸する方法等公知の延伸方法を採用することができ、二軸延伸の場合は、同時延伸、逐次延伸のいずれの方式も採用出来る。
また、延伸前の原反フィルムに予め含水させておくことで容易な連続延伸が可能となり、延伸前の原反フィルムの水分率としては、2〜30重量%が好ましく、特には5〜30重量%が好ましく、更には10〜30重量%が好ましい。水分率が少なすぎると、延伸斑が残りやすく、また特にテンターで延伸する場合、グリップに近い部分の延伸倍率が高くなるために、グリップ近辺での破れが生じやすくなることがある。一方、水分率が高すぎると、延伸された部分の弾性率が低く、未延伸部分との差が十分でなく、延伸斑が残りやすくなることがある。
かかる延伸温度に関しては、延伸前の原反フィルムの水分率によって多少異なるが、一般に50〜130℃の範囲が適応可能である。特に同時二軸延伸においては、70〜100℃の範囲において、厚み斑の少ない二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルムが得られやすく、逐次二軸延伸においては、ロールでの長手方向の延伸において70〜100℃、テンターでの幅方向の延伸において80〜120℃の温度範囲で行うことにより、厚み斑の少ない二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルムが得られやすい。
そして、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)の製造に関するさらに重要な因子としては、延伸後の熱処理と、その熱処理の結果として得られる二軸延伸二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルムの密度および水分率がある。熱処理は、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂の融点より5℃〜40℃低い温度で、5〜20秒間行われることが好ましい。熱処理温度が低すぎると、熱処理が不十分なため、後工程で蒸着を施す場合にそれに蒸着工程に耐えるだけの耐熱性及び充分なガスバリア性が得られない傾向がある。一方、熱処理温度が高すぎると、部分的に延伸効果が低減されることがある。
かくして本発明で用いられる二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)が得られる。
本発明で用いられる二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)の厚みは、好ましくは5〜100μm、特に好ましくは8〜50μm、更に好ましくは8〜30μmである。かかる厚みが厚すぎると工業的にコストアップとなるとともに、形成される積層体[I]が硬くなり過ぎて、真空包装時の形状追従性が低下し、一部が破損する可能性が生じる傾向があり、薄すぎるとフィルムの一部に欠損が発生したり極端な薄膜箇所が発生したりして必要なガスバリア性が得難くなる傾向がある。
本発明においては、上記二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)は、蒸着処理が施されていることが好ましい。蒸着は、一度の蒸着処理で得られたものであってもよいし、複数回にわたり蒸着処理を繰り返して得られたものであってもよい。また、蒸着処理は、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(B)のどちらか一方の面に施されていても、両面に施されていてもよいが、少なくともポリエステル系フィルム(A)が積層される側の面に蒸着処理が施されていることが好ましい。
蒸着材料は、真空断熱構造体に用いる積層体を作製する際に用いられる公知一般の蒸着材料であればよいが、シリカ、金属または金属酸化物が好ましく用いられる。
上記金属または金属酸化物としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、クロム、スズ、インジウム、亜鉛などの金属、或いはかかる金属の酸化物を用いることができる。これらのなかでも、アルミニウム、金、銀、スズ、アルミナ、シリカが好ましく用いられ、特に安価で加工することができるという経済的な観点からアルミニウムが好ましく用いられる。
金属または金属酸化物の蒸着方法としては、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法、高周波誘導加熱蒸着法、電子ビーム加熱蒸着法などの一般的な真空蒸着法を用いることができる。
かかる蒸着層の厚みは、通常200〜1000Å、特には300〜800Åが好ましい。蒸着層の厚みが薄すぎると、熱放射特性が得られにくくなる傾向があり、厚すぎると、その厚みを得るための蒸着時間が長くなり、蒸着時の熱的な影響が大きくなるとともにコストがかさむ傾向があり、工業的に好ましくない傾向がある。
また、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)に蒸着処理を施す前に、フィルムの表面に前処理をすることも可能であり、かかる前処理としては、例えば、コロナ処理等の基材そのものの活性化を促す方法や、ポリエチレンやポリエーテルを主剤としウレタン系硬化剤を用いるようなコーティング剤で薄膜層を形成する方法等を挙げることができる。
次に、二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)について説明する。
本発明に用いられる二軸延伸ポリビニルアルコール系フィルム(C)は、ポリビニルアルコール系樹脂を製膜後に二軸延伸処理を施してなる二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルムである。
ポリビニルアルコール系樹脂は、水(温水も含む。)に溶解し得る熱可塑性樹脂であり、本発明で用いられるポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリビニルアルコールや変性ポリビニルアルコールが挙げられ、かかる変性ポリビニルアルコールとしては、共重合変性品と後変性品とを挙げることができる。ポリビニルアルコールは、酢酸ビニルを単独重合し、更にそれをケン化して製造される。共重合変性ポリビニルアルコール系樹脂は、酢酸ビニルと酢酸ビニルと共重合可能な不飽和単量体を共重合させた後ケン化して製造されるものであり、その変性量としては本発明の効果を損なわない範囲内であり、通常10モル%未満である。
上記酢酸ビニルと共重合可能な不飽和単量体としては、例えばエチレンやプロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類およびそのアシル化物などの誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、ウンデシレン酸等の不飽和酸類、その塩、モノエステル、あるいはジアルキルエステル、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸類あるいはその塩等が挙げられる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂として、側鎖に1,2−ジオール構造を有するポリビニルアルコール系樹脂を用いることもでき、かかる側鎖に1,2−ジオール構造を有するポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、(ア)酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化する方法、(イ)酢酸ビニルとビニルエチレンカーボネートとの共重合体をケン化及び脱炭酸する方法、(ウ)酢酸ビニルと2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとの共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法、(エ)酢酸ビニルとグリセリンモノアリルエーテルとの共重合体をケン化する方法、等により得られる。
本発明において、側鎖に1,2−ジオール構造を有するポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合には、側鎖1,2−ジオール構造の含有量は、0.01〜20モル%であることが良好なフィルム成形性を得る点で好ましく、特には0.2〜15モル%、更には0.5〜12モル%が好ましい。
更に、変性ポリビニルアルコールとしては、ポリビニルアルコールを後変性することにより製造することもできる。かかる後変性の方法としては、ポリビニルアルコールをアセト酢酸エステル化、アセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化、オキシアルキレン化する方法等が挙げられる。
本発明においては、上記ポリビニルアルコール系樹脂の重合度が1100以上、平均ケン化度が90モル%以上であることが好ましく、重合度の更に好ましい範囲は1100〜4000、特に好ましい範囲は1200〜2600であり、平均ケン化度の更に好ましい範囲は95〜100モル%、特に好ましい範囲は99〜100モル%である。かかる重合度が低すぎるとフィルムとしたときの機械強度が低下する傾向にあり、重合度が高すぎると製膜および延伸時の加工性が低下する傾向にある。平均ケン化度が低すぎると耐水性が低下し、ガスバリア性の湿度による変化が著しくなる傾向にあるので、比較的高いものを選ぶことが好ましい。
なお、上記重合度及び平均ケン化度は、JIS K6726に準じて測定される。
また、上記ポリビニルアルコール系樹脂の4重量%水溶液(20℃)の粘度としては、2.5〜100mPa・sが好ましく、更には2.5〜70mPa・s、特には2.5〜60mPa・sが好ましい。粘度が低すぎるとフィルム強度等の機械的物性が低下する傾向があり、高すぎるとフィルムへの製膜性が低下する傾向がある。
なお、上記粘度はJIS K6726に準じて測定される。
これらのポリビニルアルコール系樹脂は、それぞれ単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
本発明では、上記ポリビニルアルコール系樹脂を用いて二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)を製膜するのであるが、かかる製膜方法も公知のものでよく、例えば、ドラム、エンドレスベルト等の金属面上にビニルアルコール系樹脂溶液を流延してフィルム形成する流延式成形法、あるいは押出機により溶融押出する溶融成形法によってポリビニルアルコール系樹脂フィルムを製膜し、その後、二軸延伸処理が施される。
かかる二軸延伸処理は、同時二軸延伸、逐次二軸延伸など、公知方法に従い行うことが可能である。
以下、二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)の具体的な製法について説明する。
上記ポリビニルアルコール系樹脂を用いて、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(延伸前ポリビニルアルコール系樹脂フィルム)を製膜するわけであるが、通常は、製膜用の原液として、ポリビニルアルコール系樹脂濃度が5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%のポリビニルアルコール系樹脂−水の組成物を調製する。
かかるポリビニルアルコール系樹脂−水組成物には、本発明の効果を損なわない範囲でエチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の多価アルコール類の可塑剤やフェノール系、アミン系等の抗酸化剤、リン酸エステル類等の安定剤、着色料、香料、増量剤、消包剤、剥離剤、紫外線吸収剤、無機粉体、界面活性剤等の通常の添加剤を適宜配合しても差し支えない。また、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のPVA系樹脂以外の他の水溶性樹脂を混合してもよい。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの製膜法については、特に限定されないが、上記ポリビニルアルコール系樹脂−水組成物を押出機に供給して溶融混練した後、Tダイ法、インフレーション法により押出し製膜し、乾燥する方法が好ましい。
かかる方法における押出機内での溶融混練温度は、50〜170℃、特には55〜160℃が好ましい。かかる温度が低すぎるとフィルム肌の不良を招き、高すぎると発泡現象を招く傾向にある。また、製膜後のフィルムの乾燥については、70〜120℃で行うことが好ましく、更には80〜100℃で行うことが好ましい。
かくして、二軸延伸前のポリビニルアルコール系樹脂フィルムが得られるが、その厚みとしては、通常5〜100μmであり、工業的な生産性の面で、好ましくは8〜50μm、特に好ましくは8〜30μmである。
上記で得られたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに対して、更に二軸延伸を施すことにより、本発明で用いられる二軸延伸ポリビニルアルコール系フィルム(C)となる。
かかる二軸延伸については、機械の流れ方向(MD方向)の延伸倍率が2.5〜5倍、幅方向(TD方向)の延伸倍率が2〜4.5倍であることが好ましく、特に好ましくはMD方向の延伸倍率が3〜5倍、TD方向の延伸倍率が2.5〜4.5倍である。該MD方向の延伸倍率が低すぎると延伸による物性向上が得難くかつ耐熱性が損なわれる傾向があり、高すぎるとフィルムがMD方向へ裂けやすくなる傾向がある。また、TD方向の延伸倍率が低すぎると延伸による物性向上が得難く、かつ耐熱性が損なわれる傾向があり、高すぎると工業的にフィルムを製造する際に延伸時の破断が多発する傾向がある。
また、MD方向とTD方向の延伸倍率比としては、加工時の破断を抑制する点から、1:3〜3:1、特には1:2〜2:1であることが好ましい。
かかる二軸延伸を行うにあたっては、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの含水率を5〜30重量%、特には20〜30重量%に調整しておくことが好ましい。含水率の調整は、乾燥前のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを引き続き乾燥する方法、含水率5重量%未満のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬あるいは調湿等を施す方法等により行うことができる。かかる含水率が低すぎても、高すぎても延伸工程でMD方向、TD方向の延伸倍率を高めることが難しくなる傾向がある。
更に、二軸延伸を施した後は、熱固定を行うことが形状の安定性を得る点で好ましく、かかる熱固定の温度は、ポリビニルアルコール系樹脂の融点より低い温度を選択することが好ましく、特には140〜250℃であることが好ましい。熱固定温度が、融点より80℃以上低い温度の場合は、寸法安定性が低下し収縮率が大きくなる傾向があり、一方、融点より高い場合は、フィルムの厚み変動が大きくなる傾向がある。また、熱固定時間は1〜30秒間であることが好ましく、より好ましくは5〜10秒間である。
また、必要に応じて、熱変形性をさらに減少させる目的で、かかる二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに延伸、水溶液への接触および乾燥の加工を施すことも可能である。水溶液との接触においては、通常5〜60℃、好ましくは10〜50℃の水溶液が用いられ、水溶液との接触時間は、水溶液の温度に応じて適宜選択されるが、工業的には10〜60秒であることが好ましい。
かかる水溶液との接触方法については、例えば、水溶液への浸漬や水溶液の噴霧、水溶液の塗布、スチーム処理などが挙げられ、これらを併用することもできる。水溶液との接触の後、工業的には、エアーシャワー等で非接触的に表面の付着水を取り除き、次いでニップロール等で接触的な水分除去を次に行うことが好ましい。また、乾燥機の種類としては、例えば、金属ロールやセラミックロール等に直接接触して乾燥する方法、あるいは非接触型の乾燥機を用いる方法などが挙げられる。
かかる水溶液との接触と乾燥の後に、得られた二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)を巻き取ってロール状とする場合はフィルムの水分量を通常3重量%以下、好ましくは0.1〜2重量%にすることが望まれる。かかる水分量が多すぎるとフィルムロールの中でフィルム同士が密着してしまう傾向があり、再度加工のための巻き出しを行う際にフィルムが破損するなどの問題を発生するおそれがある。
かくして本発明で用いられる二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)が得られるが、その厚みとしては、好ましくは5〜50μm、特に好ましくは8〜30μmであり、かかる厚みが厚すぎると工業的にコストアップとなるとともに、他のフィルムを積層して積層体を得る際に積層体が硬くなり過ぎて、真空包装時の形状追従性が低下して、場合によって一部が破損する可能性が生じる傾向があり、薄すぎるとフィルムの一部に欠損が発生したり極端な薄膜化所が発生したりして必要なガスバリア性が得難くなる傾向がある。
また、二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)として、蒸着処理が施されていてもよい。蒸着は、一度の蒸着処理で得られたものであってもよいし、複数回にわたり蒸着処理を繰り返して得られたものであってもよい。また、蒸着処理は、二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)のどちらか一方の面に施されていても、両面に施されていてもよいが、少なくとも二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)が積層される側の面に蒸着処理が施されていることが好ましい。
かかる蒸着層の厚みは、通常200〜1000Å、特には300〜800Åが好ましい。
蒸着方法や蒸着材料は上記と同様である。
本発明においては、上記のポリエステル系フィルム(A)、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルム(B)及び二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)を用いて、(A)/(B)/(C)の層構成を有する積層体[I]を得るわけであるが、各層の厚み比については、好ましくは(A)/(B)/(C)=1/0.1〜2/0.1〜2、さらに好ましくは1/0.3〜2/0.3〜2、特に好ましくは1/0.5〜1.5/0.5〜1.5である。各フィルムの厚み比が上記範囲から外れると、該積層体[I]で断熱材料を包装して真空断熱構造体を作製する際に、ガスバリア性と外装袋の機械強度のバランスが低下し、特に外装袋が硬すぎて封止の際に発生する皺等に新たな欠損箇所が発生したり、外装袋が柔らか過ぎて封止あるいは使用時に穴が発生したりする傾向がある。
また、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルム(B)と二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)の厚み比については、好ましくは(B)/(C)=1/3〜3/1、さらに好ましくは1/2〜2/1、特に好ましくは1/1.5〜1.5/1である。二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルム(B)と二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)は相互にそのバリア性を補完する関係にあり、特に高温多湿条件等の劣悪な環境下で、それぞれが侵入を防ぐガス種には違いがあるため、互いが相応の厚みをもってバリア性を発現する必要があり、その厚みの比率は上記の範囲が好ましい。
本発明において、積層体[I]の各層を積層する方法としては、例えば、ポリエステルやポリエーテルを主剤としてイソシアネート系の硬化剤を用いる接着剤によるノンソルベントドライラミネート法、溶剤ドライラミネート法や、エマルジョン系接着剤によるウェットラミネート法などがあるが、特にこの方法に限られるものではない。
本発明においては、(A)〜(C)のフィルムは、相互に各種の接着剤を用いて貼り合わされるが、その際使用する接着剤の希釈溶剤の影響をできる限り減らすために、軟包装衛生協議会の定めるガスクロマトグラフィー標準試験法によって測定される有機性揮発成分量が0.8mg/m以下であることが好ましい。かかる有機性揮発成分量の好ましい範囲は0.7mg/m以下、特に好ましい範囲は0.6mg/m以下である。かかる有機揮発成分量が多すぎると封止後減圧された真空断熱構造体内部において、有機揮発成分による気圧上昇が発生し、その断熱性能を著しく低下させる傾向がある。
上記有機揮発成分量を上記範囲に調整する方法としては、例えば、(1)ラミネート時における接着剤の乾燥条件を最適化する方法、例えば接着剤を第一基材に塗工した後の乾燥条件の温度、風量あるいは乾燥機滞留時間をコントロールするなどの方法、(2)ラミネート後あるいは製袋後に適当な温度条件下で追加乾燥する方法、(3)真空包装時に到達真空度を低くしたり、真空引きする時間を延ばしたりして包装条件を強くする方法、(4)接着剤に有機溶剤による希釈を必要としない接着剤を使用する方法などが挙げられるが、中でも残溶剤分を簡単に管理制御するという点で(2)の方法が好ましい。
上記(2)の方法について、具体的には、積層体[I]を好ましくは70〜150℃、特に好ましくは80〜130℃の恒温条件下で、好ましくは0.3時間以上、特に好ましくは0.5時間以上150時間以下、さらに好ましくは0.5時間以上100時間以下で保持乾燥することにより、上記範囲とすることができる。
また、かかる方法の他にも、乾燥機内を減圧してより低い温度で乾燥する、例えば0.001気圧で60〜120℃などの条件で乾燥したり、逆に、フィルムを加熱した材料に接触させる、例えば80℃に加熱した金属プレートに乗せてより短時間で乾燥したりすることにより調整することもできる。
なお軟包装衛生協議会の定めるガスクロマトグラフィー標準試験法によって測定される有機性揮発成分量とは、具体的には以下の通り測定される。
即ち、測定対象となる多層フィルムの0.2mサイズを500mlの三角フラスコ内に入る程度に切断あるいは折りたたんで小さくし、これを500mlの三角フラスコに入れた後、シリコンゴム栓で密閉し、80℃の恒温槽内で30分保持した後、フラスコ内のガスをシリンジで捕集し、これをカラムにPEG−20M(20% on Chromosorb−W(AW−DMCS))、80/100mesh、(3m×2.6mm)glass をセットし、キャリアガスN(窒素)でガス流量20ml/分、80℃に加温したガスクロに注入ガス量1mlを打ち込んで、別に用意した検量線から各種溶剤(この場合、酢酸エチル、メチルエチルケトン、イソプロパノール、トルエン)のピークを特定し、そのピーク強度から有機性揮発成分量を求める。
本発明では、上記積層体[I]を用いて真空断熱構造体用の外装袋として、断熱性材料を密封包装して、真空断熱構造体を得るわけであるが、積層体[I]の各層の間の接着剤層を含め、シール層(D)や保護層(E)など、更に他の層を有していてもよい。
本発明においては、積層体[I]の二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)の、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)と貼り合わされた面と反対側の面に、更に、シール層(D)を積層することが好ましい。
本発明におけるシール層(D)としては、通常、シール強度の観点からポリオレフィン系樹脂層からなる層であることが好ましく、中でもポリプロピレンや高密度ポリエチレンや、低密度ポリエチレンが好ましく用いられる。また、ポリオレフィン系樹脂以外として、エチレン−酢酸ビニル共重合体なども好適に用いられる。
本発明においては、シール層(D)を形成するに当たり、(1)上記シール層(D)を形成する樹脂を用いて、別途フィルムを作製しておき、外装袋の内側となる面に更に積層することもでき、また、(2)外装袋の内側となる面に直接溶融押出形成にて積層することもできるが、(1)のほうがシール性の点で好ましい。
シール層(D)の厚みは、通常は10〜100μm、特には20〜80μmが好ましく、薄すぎるとシール強度が低下する傾向があり、厚すぎるとシール層(D)の端面からのガス侵入が助長されることになりガスバリア性が低下する傾向がある。
また、本発明においては、ポリエステル系フィルム(A)の、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)が積層される側と反対側に、更に保護フィルム(E)を積層することが好ましい。なお、保護フィルム(E)を設けず、ポリエステル系フィルム(A)を最外層として保護フィルムの役割をもたせることもある。
本発明で用いられる保護フィルム(E)は、主として、積層体[I]で真空断熱構造体を作製したときの外層を保護する目的で用いられるフィルムであり、例えば、ポリエステル系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリウレタン系フィルム等が挙げられる。中でもポリオレフィン系フィルム、好ましくはポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、あるいはフッ素系フィルム等であり、これらを用いることが、水蒸気バリア性を有する点から好ましい。
かかるポリオレフィン系フィルムとしては、汎用のポリオレフィン系フィルムを用いることできる。
例えば、ポリプロピレン、ポリブテン−1、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンなどのホモポリマーが挙げられる他、プロピレンを主成分とするエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、スチレンなどとの共重合体、さらには無水マレイン酸などのカルボン酸でグラフト変性されたもの、ブテン−1を主成分とするエチレン、プロピレン、ブテン−2、イソブチレン、ブタジエン、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1などとの共重合体、さらには無水マレイン酸などのカルボン酸でグラフト変性されたもの、エチレンを主成分とするプロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセン、1−オクテン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸、メタクリル酸グリシディルなどとの共重合体、さらには無水マレイン酸などのカルボン酸でグラフト変性されたもの等を挙げられる。これらの中でも、特にはポリプロピレンを用いることが防湿性および工業的な生産性の点で好ましい。
また、延伸処理を施し、一軸延伸或いは二軸延伸ポリオレフィン系フィルムを用いることも好ましく、特には、より薄膜でより高いガスバリア性を得るという点から、二軸延伸ポリオレフィン系フィルムが好ましく用いられる。
保護フィルム(E)の厚みに関しては、通常5〜200μm、特には10〜100μmであることが好ましい。厚みが薄すぎると得られる真空断熱構造体の芯材となる断熱性材料の充填性が低下し、厚すぎると加工性が低下するばかりでなく経済的にも不利となる。
更に、保護フィルム(E)は、初期弾性率が1〜100GPa、更には0.5〜50GPaであることが好ましく、また、水蒸気透過度が10g/m2/day以下、更には8g/m2/day以下であることが好ましい。なお、上記初期弾性率は、JIS K 7127に則して測定された23℃×60%r.h.での値であり、水蒸気透過度は、JIS Z 0208に則して測定された23℃×90%r.h.での値である。
また、より薄い層構成において高いバリア性を得るという点で、必要に応じて、保護フィルムの代わりに塗料層を設けることも好ましい。
塗料層を付与する場合においては、任意の塗料を選ぶことができるが、熱放射特性の点から、その塗料層の反射率が60%以上、特には80%以上であることが好ましく、色として白色、白銀色、銀色等が好適に用いられる。塗料層の形成方法としては特に制限されないが、市販の塗料をグラビア印刷、オフセット印刷あるいはフレキソ印刷等の印刷法によって付与する方法が実用的である。
かかる積層体[I]の全体の厚み(他の層を含んだ場合はそれらの層も含める)は、通常40〜500μmであり、特には、50〜200μmが好ましい。
また、本発明の積層体[I]の水蒸気透過度は、通常1g/m2/day以下であり、更には0.5g/m2/day以下であることが好ましい。特に積層体[I]を構成する中で、ポリエステル系フィルム(A)と二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)の2層を貼り合わせたものの水蒸気透過度が1g/m2/day以下であることが重要で、この水蒸気透過度が高すぎると過剰な水蒸気が積層体[I]の内部に取り込まれ、その内側の二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)の水蒸気バリア性まで低下させてしまうこととなり、積層体全体の水蒸気バリア性の低下をまねき、真空断熱構造体を作製した後に水蒸気が内部に侵入し断熱性能を著しく低下させる傾向がある。
なお、水蒸気透過度は、JIS Z 0208に則して測定された23℃×90%r.h.での値である。
また、積層体[I]の酸素透過度は、23℃×50%r.h.の条件で、JIS K 7126(等圧法)に記載の方法に準じて測定した際の値が、通常0.5ml/(m2・day・atm)以下、好ましくは、0.1ml/(m2・day・atm)以下である。酸素透過度が高すぎると、上記水蒸気と同様に、真空断熱構造体を構成した後に酸素や窒素などの外気構成ガスが内部に侵入し断熱性能を著しく低下させる傾向がある。
かくして、上記の積層体[I]を用いて、真空断熱構造体用の外装袋が得られ、かかる積層体[I]が、二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)を内側にして断熱性材料を密封包装することにより、本発明の真空断熱構造体を得ることができる。
次に、本発明の真空断熱構造体について説明する。
断熱性材料を包装する方法としては、例えば、積層体[I]を袋状に加工した外装袋を形成し、その中に断熱性材料を入れた状態で減圧し、真空包装する方法等を用いることができる。
断熱性材料を密封包装する積層体[I]の好ましい層構成としては、ガスバリア性および防湿性、さらに長期耐久性の点から、断熱性材料を包装する側とは反対側から、例えば、
(1)保護フィルム(E)/接着剤層/蒸着ポリエステル系フィルム(A)(蒸着面)/接着剤層/二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)/接着剤層/二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)/接着剤層/シール層(D)
あるいは、
(2)蒸着ポリエステル系フィルム(A)(蒸着面)/接着剤層/二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)/接着剤層/二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)/接着剤層/シール層(D)
(3)保護フィルム(E)/接着剤層/蒸着ポリエステル系フィルム(A)(蒸着面)/接着剤層/(蒸着面)蒸着二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)/接着剤層/二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)/接着剤層/シール層(D)
(4)蒸着ポリエステル系フィルム(A)(蒸着面)/接着剤層/(蒸着面)蒸着二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)/接着剤層/二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)/接着剤層/シール層(D)
(5)保護フィルム(E)/接着剤層/蒸着ポリエステル系フィルム(A)(蒸着面)/接着剤層/蒸着二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)(蒸着面)/接着剤層/二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)/接着剤層/シール層(D)
(6)蒸着ポリエステル系フィルム(A)(蒸着面)/接着剤層/蒸着二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)(蒸着面)/接着剤層/二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)/接着剤層/シール層(D)
等が挙げられるが、
蒸着層によるガスバリア性、特には水蒸気バリア性をより高くし、水蒸気の真空断熱構造体内部への侵入の可能性をより小さくするという点から、ポリエステル系フィルム(A)と二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)のそれぞれに蒸着処理が施され、それぞれの蒸着面同士が向かい合って積層された構造である、(3)または(4)の層構成が好ましい。
積層体[I]を用いて真空断熱構造体を製造する際には、有機性揮発性分量を調整するため、一度積層体[I]を袋状に加工した後、70℃以上の恒温槽に入れて追加乾燥を行うことが好ましい。
追加乾燥としては、70℃以上150℃以下、特には80℃以上130℃以下、さらには80℃以上110℃以下で乾燥することが好適である。乾燥温度が低すぎると所定の残溶剤量にまで到達させるのに時間がかかりすぎる傾向があり、乾燥温度が高すぎると外装袋の用いるシール層(D)が、その内部で融着し、袋の内部空間が一部閉塞してしまう傾向がある。
さらに追加乾燥は、常圧条件下で行うことが一般的であるが、減圧条件下で行うことも可能である。この場合、減圧することによって常圧条件下に比べて同じ温度での乾燥時間を短縮することが可能となる。
積層体[I]により密封包装される断熱性材料としては、例えば、内部に連続気泡を有する高分子、あるいは無機物や金属の微粉末が好ましく用いられ、外装袋内部を真空引きしても形状を保持できるものである。外装袋内部を真空引きし、開口部を封止して用いるにあたり、断熱性材料の高分子が気泡を有していない、あるいは独立気泡を有するものであると、真空断熱構造体の断熱効果が低減し好ましくない。
積層体[I]により密封包装される断熱性材料としては、例えば、アルミナ、シリカ、パーライトなどの微粉末、グラスウール、ロックウール、ケイソウ土、ケイ酸カルシウム成形体、連続気泡を有するウレタンフォーム、カーボンフォーム、フェノールフォーム、フェノールーウレタンフォームなどを用いることができる。
これらの中でも、グラスウールなどの繊維状断熱性材料、粒状酸化ケイ素、発泡樹脂体などの粒状断熱性材料が、外装袋内部を真空引きしても形状を保持できる点や、気泡を有しているため真空断熱構造体の断熱効果を保持することができる点で好ましい。
かかる断熱性材料を積層体[I]からなる外装袋に入れ、真空包装し、真空断熱構造体を形成するわけであるが、断熱性材料を外装袋に入れる際に、断熱性材料を予め所定の形状(例えば、立方体、直方体など)や大きさに形成しておくことが、断熱性能や作業性の点や、製品の形状を揃えるという点で好ましい。
また、本発明では、断熱性材料とともに吸湿剤も内包しておくことが好ましい。
本発明で用いられる吸湿剤としては、23℃×60%r.h.の条件下に、24時間放置された場合に、自重の5%以上の水蒸気あるいは水を吸収し、かつ自重に対して5%の水蒸気あるいは水を吸湿した後に、2℃で20Torrの条件下に1時間放置した場合に吸収した水蒸気あるいは水の50%以上を保持し続ける事の出来る吸湿剤であり、その吸着には主に化学的な変化を伴うものが好適に用いられる。
中でも本発明においては、吸湿剤として、特に化合物の結晶水の一部あるいは全部を放出した状態の化合物あるいは無水化合物、例えば、1/2〜18水和物の一部あるいは全部を放出した状態の化合物あるいは無水化合物が好適に用いられる。かかる水和物としては、硫酸カルシウムの1/2水和物や塩化カルシウム6水和物、塩化マグネシウム(2,4,6)水和物、硫酸銅5水和物、硫酸マグネシウム7水和物、硫酸アルミニウム18水和物などが挙げられる。中でも、このようなタイプの吸湿剤としては、例えば、無水塩化カルシウムや塩化カルシウム1水和物などを利用する塩化カルシウム系乾燥剤、あるいは塩化マグネシウム系乾燥剤、塩化スズ系乾燥剤、硫酸ナトリウム系乾燥剤などが挙げられる。
また本発明の吸湿剤としては、特に周囲の水分と化学反応を起こすような吸湿剤、即ち、吸湿前と吸湿後で別の化合物となるような吸湿剤も好適に用いられる。このようなタイプの吸湿剤としては、例えば、五酸化リン、酸化カルシウムなどが挙げられる。これらの化合物はそれぞれ水分と反応してリン酸、水酸化カルシウムなどに変化することで吸湿するものである。
かかる非再放出性の吸湿剤は、23℃×60%r.h.の様な常圧常湿条件において24時間の一定時間放置された場合に自重の5%以上の水蒸気を吸収することが好ましい。吸湿量が自重の5%未満であると、相当量の吸湿剤を真空断熱構造体に内包する必要があり、更にこれの吸湿剤の断熱性能は、標準的なシリカゲルやグラスウールに比べると劣るため、真空断熱構造体としての断熱性能の低下を引き起こすこととなる。
また、非再放出性として、自重の5%を吸湿させた吸湿剤を23℃で20Torrの条件下に1時間放置した場合において、その吸湿した水蒸気あるいは水の50%以上をその吸湿剤自身の内部に保持し続けることが必要であり、その保持率が50%未満であれば、非再放出性であるとは言い難く、水蒸気の再放出による真空度の低下により断熱性能の低下が発生する可能性が高くなるため信頼性が得られない。
これらの吸湿剤の真空断熱構造体への包装方法としては、吸湿剤を粉末状あるいはフレーク状として、内部の断熱材料に混合して包装することもできるし、吸湿剤だけを透過性の高い包装材で個別包装し、これを断熱材料とともに包装することもできる。この場合の透過性の高い包装材としては紙、不織布、織布あるいはセロファンフィルムなどがあり、これらを単独あるいは複数を重ね合わせて利用することも出来る。また、吸湿剤を紙や不織布等の表面に塗布するなどして、複合体として形成し、これを断熱性材料と包装することも可能である。
かかる吸湿剤の使用量としては、内部の断熱性材料100重量部に対して0.01〜10重量部であることが好ましく、0.1〜5重量部であることがより好ましい。吸湿剤が少なすぎると本発明の真空断熱構造体の真空度が低下する傾向があり、多すぎると断熱構造体に比べて吸湿剤が高価であることから真空断熱構造体の経済性を著しく低下させる傾向がある。なお、本発明においては、上記吸湿剤以外のシリカゲルなどの従来より用いられる吸湿剤を併用してもよい。
本発明においては、真空断熱構造体の形状、大きさは特に限定されるものではなく、目的に応じて決めればよい。例えば、かかる真空断熱構造体形状については、一つの真空断熱構造体に対し、外装袋が一つ含まれる形状でもよいし、一つの真空断熱構造体に対し、外装袋が複数個含まれる形状のものでもよい。
かかる外装袋が複数個含まれる形状である場合においては、外装袋部同士のつなぎ目になるシール部分が真空断熱構造体の中で厚みの薄い部分となり、真空断熱構造体を変形させた場合の変形の中心部となるため、真空断熱構造体が容易に変形することが可能となり好ましい。
更には、外的要因によって穴等が発生し、真空断熱構造体の真空性が失われてしまう場合にも、外装袋が複数個含まれる形状であると、断熱性の減少を最小限に留めることができ好ましい。
かかる真空断熱構造体の大きさに関しては、一般的に厚み5〜100mmで、縦と横が100〜2000mmの範囲の直方体状に加工される場合が多い。真空断熱構造体の体積が不必要に大きいと、外装袋に穴等の欠陥が発生した場合に性能を失う面積が大きくなり、真空断熱構造体を利用した最終商品の性能を低下させるおそれがあるため、適当な大きさとすることが好ましい。
かくして本発明では、優れた断熱性能を有し、更に、長期間使用した際にも断熱性能の低下しない真空断熱構造体が得られる。かかる真空断熱構造体は、クーラーボックス、ボトルケース等の生活用品、冷蔵庫、ジャーポット、炊飯器等の生活家電、温水器、浴槽、ユニットバス、便座等の住宅設備、床暖房、太陽光屋根、低温輻射板等の住宅システム、外壁用断熱パネル等の住宅建材、等の断熱材として有効に用いることができるが、これらの中でも、冷蔵庫用や住宅建材用の断熱材として特に好適に用いることができる。
以下実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、例中、「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
以下のフィルムを用意した。
[アルミ蒸着ポリエステル系フィルム(A−1)]
二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡社製、商品名「コスモシャイン」、厚み12μm)の一方の面に、金属アルミニウムを真空蒸発させ、厚さ800Åの金属アルミニウムが蒸着されたアルミ蒸着二軸延伸ポリエステルフィルム(A−1)を得た。
[シリカ蒸着ポリエステル系フィルム(A−2)]
二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡社製、商品名「コスモシャイン」、厚み12μm)の一方の面に、酸化珪素を真空蒸発させ、目標膜厚200Åの酸化珪素を蒸着したシリカ蒸着二軸延伸ポリエステルフィルム(A−2)を得た。
[二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B−1)]
圧縮比3.4のフルフライト型スクリューおよび600mm幅コートハンガーダイを使用した40mmφ単軸押出機(L/D=28)で、エチレン含有量32モル%、ケン化度99.6モル%、メルトフローレート値(MFR)3.2g/10分のエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂を押出し、30℃に制御した冷却ロールを第一ロールに有する引取装置で、厚み125μmの二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルムを作製した。
得られた二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルムを、80℃で湿度90%の調湿ゾーンに通して含水率を12%に調整した後、槽内温度100℃に調整した連続同時二軸延伸機にて縦方向及び横方向にそれぞれ3.2倍に延伸を行い、その後、連続的に155℃で5秒間の熱処理を行うことで膜厚12μmの二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B−1)を得た。
[アルミ蒸着二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B−2)]
上記で得られた二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B−1)の片面に、電子線加熱方式による真空蒸着装置により、金属アルミニウムを真空蒸発させ、厚さ600Åのアルミ蒸着二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B−2)を得た。
[二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C−1)]
ジャケット温度を60〜150℃に設定した二軸押出機型混練機(スクリューL/D=40)のホッパーからポリビニルアルコール(重合度1700、4重量%水溶液の粘度40mPa・s(20℃)、ケン化度99.7モル%、酢酸ナトリウム含有量0.3%)と水をPVA/水の重量比40/60にて、定量ポンプにより供給し、混練し、吐出量500kg/hrの条件で吐出した。
上記吐出物を直ちに一軸押出機(スクリューL/D=30)に圧送し、温度85℃〜140℃にて混練した後、Tダイより5℃のキャストロールに押出し、90℃の熱風乾燥機で30秒間乾燥し、含水率25%のポリビニルアルコールフィルム(厚み150μm)を得た。
続いて、かかるポリビニルアルコールフィルムをMD方向に3.8倍延伸した後、テンターでTD方向に3.8倍延伸し、次いで180℃で8秒間熱固定し、厚さ12μmの二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C−1)を得た。
[シール層(D−1)]
シール層(D−1)として、無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡社製、商品名「パイレンCT」、厚さ30μm)を用意した。
[保護フィルム(E−1)]
保護フィルム(E−1)として、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡社製、商品名「パイレンOT」、厚さ25μm)を用意した。このフィルムの23℃×90%r.h.での水蒸気透過度を測定したところ7.2g/m dayであった。
<実施例1>
上記各フィルムを用いて、下記の通り真空断熱構造体を作製した。
アルミ蒸着ポリエステル系フィルム(A−1)の蒸着処理を施している面に、接着剤用主剤(三井化学社製、商品名「タケラックA626」)17部と接着剤用硬化剤(三井化学社製、商品名「タケネートA50」)17部に酢酸エチルを66部混合したドライラミネート用接着剤を、塗工量10g/mとなるようにメッシュ100μmのグラビアロールを使ったグラビアコーターによって塗布し、これを80℃に暖めた乾燥機中を通し、滞留時間12秒で乾燥し、乾燥後塗工量を3.4g/mとした後、ラミネート圧力3.5kg/cm2で、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B−1)と貼り合わせ、積層体(1a)を得た。
次に、二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C−1)に、接着剤用主剤(三井化学社製、商品名「タケラックA626」)17部と接着剤用硬化剤(三井化学社製、商品名「タケネートA50」)17部に酢酸エチルを66部混合したドライラミネート用接着剤を、塗工量10g/mとなるようにメッシュ100μmのグラビアロールを使ったグラビアコーターによって塗布し、これを80℃に暖めた乾燥機中を通し、滞留時間20秒で、乾燥後塗工量を3.4g/mとした後、ラミネート圧力3.5kg/cm2で、上記の積層体(1a)の二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B−1)側の面と貼り合わせ、積層体(1b)を得た。
上記で得られた積層体(1b)の、アルミ蒸着ポリエステル系フィルム(A−1)の蒸着処理を施していない面に、接着剤用取材(三井化学社製、商品名「タケラックA626」)17部と接着剤用硬化剤(三井化学社製、商品名「タケネートA50」)17部に酢酸エチルを66部混合したドライラミネート用接着剤を、塗工量10g/mとなるようにメッシュ100μmのグラビアロールを使ったグラビアコーターによって塗布し、これを80℃に暖めた乾燥機中を通し、滞留時間12秒で、乾燥後塗工量を3.4g/mとした後、ラミネート圧力3.5kg/cm2で、上記保護フィルム(E−1)と貼り合わせ、積層体(1c)を得た。
さらに得られた積層体(1c)の二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C−1)側の面に接着剤用主剤(三井化学社製、商品名「タケラックA626」)17部と接着剤用硬化剤(三井化学社製、商品名「タケネートA50」)17部に酢酸エチルを66部混合したドライラミネート用接着剤を、塗工量10g/mとなるようにメッシュ100μmのグラビアロールを使ったグラビアコーターによって塗布し、これを80℃に暖めた乾燥機中を通し、滞留時間12秒で、乾燥後塗工量を3.4g/mとした後、ラミネート圧力3.5kg/cm2で、シール層(D−1)を貼り合わせ、積層体(1d)を得た。
得られた積層体(1d)を、巻物状のまま40℃に保たれたエージングルームに4日間放置し、各接着剤層の硬化反応を完結させた。
上記で得られた硬化反応を完結させた積層体(1d)から30cm角のシートを裁断し、これを2枚用いて、そのシール層(D−1)の面同士を重ね合わせて、4辺のうち3辺を、端部から10mmの幅で、シール温度130℃にてヒートシールすることで、三方シール包装袋(1e)を得た。
市販の微細グラスウール(マグ・イゾベール社製、「WR800」)を2kg/mとなるように積層し、これを630℃に加熱してから厚さ10mmになるまで荷重をかけて圧縮し、徐冷した後に20cm角に裁断して断熱性材料(G)を得た。
上記断熱性材料(G)をあらためて150℃の恒温槽に1時間放置して乾燥した後、ただちに先の三方シール包装袋(1e)の中央部に挿入し、袋を閉じずに100℃の恒温槽に8時間放置して乾燥を行った。
上記乾燥後、その三方シール包装袋(1e)の内縁部にポリプロピレンの不織布に入った生石灰乾燥剤3gを同封し、直ちに真空包装機に配置し、2.0Paの圧力で減圧封止し、真空断熱構造体(1f)を作製した。
〔層構成=外側:二軸延伸ポリプロピレンフィルム/接着剤層/蒸着ポリエステル系フィルム(アルミ蒸着面)/接着剤層/二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム/接着剤層/二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム/接着剤層/無延伸ポリプロピレンフィルム:内側〕
得られた真空断熱構造体(1f)について以下の評価を行った。結果を表1に示す。
<断熱性評価1>
真空断熱構造体(1f)を20℃×40%r.h.の恒温室内で24時間放置した後、熱伝導率(W1)(mW/mK)を測定した。その後、さらに100℃の環境下に10日間放置した後に、同様に熱伝導率(W2)(mW/mK)を測定し、耐久後の熱伝導率劣化(W3=W2−W1)(mW/mK)を求め、断熱性能を以下のように評価した。
(評価)
○・・・熱伝導率劣化(W3)が0〜0.5以下
△・・・熱伝導率劣化(W3)が0.5超〜1.0以下
×・・・熱伝導率劣化(W3)が1.0超
<断熱性評価2>
断熱性評価1で用いた真空断熱構造体とは別の真空断熱構造体(1f)を40℃×95%r.h.に設定された恒温恒湿槽に3ヶ月間放置した後、熱伝導率(W4)(mW/mK)を測定し、耐久後の熱伝導率劣化(W5=W4−W1)(mW/mK)を求め、断熱性能を以下のように評価した。
(評価)
○・・・熱伝導率劣化(W5)が0〜0.5以下
△・・・熱伝導率劣化(W5)が0.5超〜1.0以下
×・・・熱伝導率劣化(W5)が1.0超
なお伝導率は「HC−074−304」(英弘精機社製)で測定した。
<実施例2>
実施例1において、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B−1)をアルミ蒸着二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B−2)に代え、アルミ蒸着ポリエステル系フィルム(A−1)の蒸着処理を施した面とアルミ蒸着二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B−2)の蒸着処理を施した面同士が向かい合うように貼り合わせた以外は同様にして、積層体(2d)を作製し、これを用いて、真空断熱構造体(2f)を得た。得られた、真空断熱構造体を用いて、実施例1と同様にして、断熱性評価を行った。結果を表1に示す。
〔層構成=外側:二軸延伸ポリプロピレンフィルム/接着剤層/蒸着ポリエステル系フィルム(アルミ蒸着面)/接着剤層/(アルミ蒸着面)蒸着二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム/接着剤層/二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム/接着剤層/無延伸ポリプロピレンフィルム:内側〕
<実施例3>
実施例1において、保護フィルム(E−1)の積層を省略した以外は同様にして、積層体(3d)を作製し、これを用いて真空断熱構造体(3f)を得た。得られた真空断熱構造体(3f)を用いて、実施例1と同様にして断熱性評価を行った。結果を表1に示す。
〔層構成=外側:蒸着ポリエステル系フィルム(アルミ蒸着面)/接着剤層/二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム/接着剤層/二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム/接着剤層/無延伸ポリプロピレンフィルム:内側〕
<実施例4>
実施例2において、保護フィルム(E−1)の積層を省略した以外は同様にして、積層体(4d)を作製し、これを用いて真空断熱構造体(4f)を得た。得られた真空断熱構造体(4f)を用いて、実施例1と同様にして断熱性評価を行った。結果を表1に示す。
〔層構成=外側:蒸着ポリエステル系フィルム(アルミ蒸着面)/接着剤層/(アルミ蒸着面)蒸着二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム/接着剤層/二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム/接着剤層/無延伸ポリプロピレンフィルム:内側〕
<実施例5>
実施例2において、アルミ蒸着ポリエステル系フィルム(A−1)の代わりにシリカ蒸着ポリエステル系フィルム(A−2)を用いた以外は同様にして、積層体(5d)を作製し、これを用いて真空断熱構造体(5f)を得た。得られた真空断熱構造体(5f)を用いて、実施例1と同様にして断熱性評価を行った。結果を表1に示す。
〔層構成=外側:二軸延伸ポリプロピレンフィルム/接着剤層/蒸着ポリエステル系フィルム(シリカ蒸着面)/接着剤層/(アルミ蒸着面)蒸着二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム/接着剤層/二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム/接着剤層/無延伸ポリプロピレンフィルム:内側〕
<比較例1>
実施例1において、二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C−1)の積層を省略した以外は同様にして、積層体(1d’)を作製し、これを用いて真空断熱構造体(1f’)を得た。得られた真空断熱構造体(1f’)を用いて、実施例1と同様にして断熱性評価を行った。結果を表1に示す。
〔層構成=外側:二軸延伸ポリプロピレンフィルム/接着剤層/蒸着ポリエステル系フィルム(アルミ蒸着面)/接着剤層/二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム/接着剤層/無延伸ポリプロピレンフィルム:内側〕
<比較例2>
実施例1において、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B−1)の積層を省略した以外は同様にして、積層体(2d’)を作製し、これを用いて真空断熱構造体(2f’)を得た。得られた真空断熱構造体(2f’)を用いて、実施例1と同様にして断熱性評価を行った。結果を表1に示す。
〔層構成=外側:二軸延伸ポリプロピレンフィルム/接着剤層/蒸着ポリエステル系フィルム(アルミ蒸着面)/接着剤層/二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム/接着剤層/無延伸ポリプロピレンフィルム:内側〕
Figure 2014126098
注)W1=20℃×40%r.h.で24時間放置した後の熱伝導率
W2=20℃×40%r.h.で24時間放置した後さらに100℃で10日間放置した後の熱伝導率
W4=20℃×40%r.h.で24時間放置した後さらに40℃×95%r.h.で3ヶ月間放置した後の熱伝導率
熱伝導率の単位は(mW/mK)である。
上記表1で示される結果から、実施例で得られた真空断熱構造体の熱伝導率劣化においては、断熱性評価1及び断熱性評価2ともに1.0mW/mK以下であり、10日間程度という比較的短期間の試験後の熱伝導率劣化のみならず、3ヶ月間という長期間試験後の熱伝導率劣化も小さいのに対し、比較例で得られた真空断熱構造体では、10日放置後の熱伝導率劣化は1.0mW/mK以下であるものの、3ヶ月間放置後の熱伝導率劣化が非常に大きかった。これより、実施例で得られた真空断熱構造体のほうが、初期の断熱性能に優れるのみでなく、断熱性能の持続性にも優れていることがわかる。
本発明の真空断熱構造体は、ポリエステル系フィルム(A)/二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)/二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)の層構成を有する積層体[I]が、二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)を内側にして断熱性材料を密封包装してなる真空断熱構造体であり、初期の断熱性能に優れるだけでなく、長期間使用した際にも断熱性能の低下が非常に少ない、長期耐久性に優れたものである。そのため、クーラーボックス、ボトルケース等の生活用品、冷蔵庫、ジャーポット、炊飯器等の生活家電、温水器、浴槽、ユニットバス、便座等の住宅設備、床暖房、太陽光屋根、低温輻射板等の住宅システム、外壁用断熱パネル等の住宅建材、等の断熱材として有効に用いることができるが、これらの中でも、冷蔵庫用や住宅建材用の断熱材として特に好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. ポリエステル系フィルム(A)/二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)/二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)の層構成を有する積層体[I]が、二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)を内側にして断熱性材料を密封包装してなることを特徴とする真空断熱構造体。
  2. ポリエステル系フィルム(A)が、金属または金属酸化物からなる蒸着層を有する蒸着ポリエステル系フィルムであることを特徴とする請求項1記載の真空断熱構造体。
  3. 二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)が、金属または金属酸化物からなる蒸着層を有する蒸着二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1または2記載の真空断熱構造体。
  4. 二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)の、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)が積層される側と反対側の面に、シール層(D)が積層されてなることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の真空断熱構造体。
  5. ポリエステル系フィルム(A)の、二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)が積層される側と反対側の面に、保護フィルム(E)が積層されてなることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の真空断熱構造体。
  6. ポリエステル系フィルム(A)/二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム(B)/二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(C)の層構成を有する積層体[I]からなることを特徴とする真空断熱構造体用外装袋。
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