JP7275728B2 - 無溶剤接着剤を用いた低溶剤臭ガスバリア積層体、及び該積層体からなる低溶剤臭ガスバリア包装材料と包装袋 - Google Patents
無溶剤接着剤を用いた低溶剤臭ガスバリア積層体、及び該積層体からなる低溶剤臭ガスバリア包装材料と包装袋 Download PDFInfo
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Description
また、本発明の包装材料は、各種包装用袋やレトルト用袋に最適である。
しかし、ガスバリア層としての金属箔は、高い酸素バリア性を達成することができるが、蒸着膜などに比べて厚く、その結果、金属箔を使用した包装材料も厚くなり、耐折り曲げ性に劣ることが知られている。
これに対し、金属あるいは金属酸化物の蒸着膜等を使用すると膜厚を薄くすることができ、折り曲げ性等に優れているが、蒸着膜表面は凹凸を有することからか、十分な酸素バリア性を達成することが困難であるという問題を有していた。
該樹脂硬化物中には、メタキシレンジイソシアネート由来の骨格構造が20%質量以上含有され、かつ前記(A)および(B)の内、3官能以上の化合物の占める割合が、(A)と(B)の総量に対して7質量%以上であることを特徴とする熱硬化型酸素バリア性ポリウレタン樹脂を使用したガス(酸素)バリア性複合フィルム(基材フィルム層と熱硬化型ガスバリア性ポリウレタン樹脂を含む層とを有する)が記載されている。
1.少なくとも、基材層(A)と、ガスバリア性有機接着剤層(B)と、ガスバリア無機蒸着層(C)と、シーラント層(D)とを有する低溶剤臭ガスバリア積層体であって、
基材層(A)の厚みは、5~50μmであり、
ガスバリア無機蒸着層(C)とガスバリア性有機接着剤層(B)とは隣接して積層されており、
ガスバリア性有機接着剤層(B)は、無溶剤接着剤組成物が塗布され、更に硬化されて形成された層であり、厚みが0.6~6.0μmであり、
ガスバリア性有機接着剤層(B)の溶剤含有量は、ゼロまたは6mg/m2以下である、
低溶剤臭ガスバリア積層体。
2.基材層(A)は、ポリプロピレン系樹脂を含む二軸延伸フィルムからなり、
基材層(A)の厚みは、18~40μmである、
上記1に記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
3.基材層(A)は、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を含む二軸延伸フィルムからなり、
基材層(A)の厚みは、5~40μmである、
上記1に記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
4.更に、基材層(A)とガスバリア性有機接着剤層(B)との間に、ガスバリア塗布膜層(E)を有する低溶剤臭ガスバリア積層体であって、
ガスバリア塗布膜層(E)は、金属アルコキシドと水溶性高分子とを含む樹脂組成物から生成された、ゾルゲル法加水分解重縮合物を含有する、
上記1~3の何れかに記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
5.更に、基材層(A)とガスバリア性有機接着剤層(B)との間に、印刷層(F)を有する、
上記1~4の何れかに記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
6.ガスバリア無機蒸着層(C)は、アルミニウム蒸着層、アルミナ蒸着層、及び、シリカ蒸着層、からなる群から選ばれる1種または2種以上を有する層である、
上記1~5の何れかに記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
7.ガスバリア無機蒸着層(C)が、アルミニウム蒸着層を有する層である、上記1~5の何れかに記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
8.ガスバリア無機蒸着層(C)の厚みが、1~100nmである、
上記1~7の何れかに記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
9.前記無溶剤接着剤組成物が、2液硬化型無溶剤接着剤組成物である、上記1~8の何れかに記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
10.23℃90%RH環境下における酸素透過度が、0.05~2cc/m2/day/atmであり、
40℃90%RH環境下における水蒸気透過度が、0.01~2g/m2/dayである、
酸素バリア用及び水蒸気バリア用の、
上記1~9の何れかに記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
11.ゲルボフレックステスターで5回の屈曲負荷を与えた後の、23℃90%RH環境下における酸素透過度の、前記屈曲負荷を与える前からの増加値が、ゼロまたは20cc/m2/day/atm以下である、
上記1~10の何れかに記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
12.総構成層数が6以下である、上記1~11の何れかに記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
13.上記1~12の何れかに記載の低溶剤臭ガスバリア積層体を用いた、低溶剤臭ガスバリア包装材料。
14.上記13に記載の低溶剤臭ガスバリア包装材料を用いた、低溶剤臭ガスバリア包装袋。
15.上記13に記載の低溶剤臭ガスバリア包装材料を用いた、低溶剤臭ガスバリアピロー包装袋。
また、ガスバリア性有機接着剤層(B)の溶剤含有率が低いことから、ガスバリア性を更に向上させ、内容物への溶剤臭転移を低減化することができる。
本発明における、総構成層数とは、積層体を構成する、基材層、ガスバリア層、接着剤層、及びシーラント層等の層の詳細な数であり、各層における蒸着層やACコート等の特殊処理コート層をも含む層数のことである。例えば、アルミニウム蒸着層付きPETフィルム層は、2層として数える。
次に、本発明に係る積層体および該積層体からなる包装材料とピロー包装袋の材料、それらの製造法等について説明する。
本発明において使用される樹脂名は、業界において慣用されるものを用いることとする。また、本発明は、以降の列記された諸々の具体例に限定されるものでは無い。
基材層(A)としては、化学的ないし物理的強度に優れ、無機蒸着膜を形成する条件等に耐え、それら無機蒸着膜等の特性を損なうことなく良好に保持し得ることができる金属、金属酸化物等の無機材料や樹脂等の有機材料を例えばフィルムやシートとして使用することができる。
基材層(A)としては、単層フィルムまたは多層積層フィルムが用いられるが、特に限定されず、各種包装材料に用いられる任意のフィルムを使用することができる。これらの中から、包装する内容物の種類や充填後の加熱処理の有無等の使用条件に応じて、適するものを自由に選択して使用する。
基材層(A)の厚さは、成形性、透明性、屈曲後のガスバリア性維持の観点から、5μm以上、50μm以下であり、好ましくは15μm以上、40μm以下である。上記範囲よりも薄いと、積層体の剛性が低すぎる為に屈曲時にガスバリア性に寄与する層が破壊され易く、また、積層体の強度が不足し易い。またこれより厚いと、積層体の剛性が高くなりすぎる為に屈曲時にガスバリア性に寄与する層が破壊され易く、また、積層体の加工が困難になり易い。
基材層(A)の厚みは、基材層(A)がポリプロピレン系樹脂を含む二軸延伸フィルムからなる場合には18~40μmが好ましく、基材層(A)がポリエチレンテレフタレート系樹脂を含む二軸延伸フィルムからなる場合には5~40μmが好ましい。
また、基材層(A)及び基材層(A)を構成するフィルム又はシートは、ガスバリア性有機接着剤層(B)等の各接着剤層あるいはガスバリア無機蒸着層(C)等の各無機蒸着層との密着性を向上させるために、ラミネートあるいは蒸着前に基材層(A)及び基材層(A)を構成するフィルム又はシートの密着させる表面に、必要に応じて、前もって、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理などの物理的な処理や、化学薬品を用いた酸化処理などの化学的な処理や、接着剤層、プライマーコート剤層、アンダーコート層、あるいは、蒸着アンカーコート剤層等を形成する処理、及びその他処理を施してもよく、該表面処理後に無機蒸着層を設け、さらに、該無機蒸着層上に、後述のガスバリア塗布膜層(E)等のバリアコート層を設けた構成としてもよい。
基材層(A)に用いる樹脂のフィルム又はシートとしては、例えば、前記の樹脂の群から選ばれる1種又は2種以上の樹脂を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等従来から使用されている製膜化法により、又は、2種以上の樹脂を使用して多層共押し出し製膜化法により製造することができる。さらに、フィルムの強度、寸法安定性、耐熱性の観点から、例えば、テンター方式、あるいは、チューブラー方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸することができる。
基材層(A)に用いる樹脂のフィルム又はシートは、必要に応じて、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、他の性能に悪影響を与えない範囲で目的に応じて、任意に添加することができる。
本発明におけるガスバリア性有機接着剤層(B)は、無溶剤接着剤組成物が塗布され、更に硬化されて形成された層であり、積層体中でガスバリア無機蒸着層(C)と隣接して積層されており、ガスバリア性、特に酸素と水蒸気に対するバリア性を有する。
接着剤樹脂組成物は、ラミネート時に、例えば、無溶剤のまま、加熱して低粘度化して用いられる。
或いは、形成されたガスバリア性有機接着剤層(B)の溶剤含有量を上記範囲にし得る溶剤を含んでいてもよい。
ポリオール(J)は、1分子内に水酸基を2個以上有し、主骨格がポリエステル構造、ポリエステルポリウレタン構造、ポリエーテル構造、及びポリエーテルポリウレタン構造からなる群から選ばれる1種または2種以上を有するものである。前記ポリエステル構造は、例えば、多価カルボン酸類と多価アルコールとを公知慣用の方法で重縮合反応させて得ることができるが、合成ルートはこれに限定されない。
多価アルコールとしては、脂肪族多価アルコールと芳香族多価フェノールが挙げられる。
イソシアネート化合物(K)は、分子内にイソシアネート基を2個以上有し、芳香族または脂肪族のどちらでもよく、低分子化合物または高分子化合物のどちらでもよく、イソシアネート基が2個のジイソシアネート化合物や、3個以上のポリイソシアネート化合物等の公知の化合物が使用できる。イソシアネート化合物(K)としては、公知のイソシアネートブロック化剤を用いて公知慣用の適宜の方法より付加反応させて得られたブロック化イソシアネート化合物であってもよい。
中でも、接着性や耐レトルト性の観点から、ポリイソシアネート化合物が好まれ、酸素バリア性付与という点では、芳香族環を有するものが好ましく、特に、メタキシレン骨格を含むイソシアネート化合物が、ウレタン基の水素結合だけでなく芳香環同士のπ-πスタッキングによって酸素バリア性を向上させることが出来るという理由から好ましい。
リン酸変性化合物(L)は、無機系部材に対する接着強度を向上させる効果を有するものであり、公知慣用のものを用いることができる。
溶剤は、ポリオール(J)とイソシアネート化合物(K)とを溶解し、リン酸変性化合物(L)や板状無機化合物(M)を均一に分散可能で、積層体の製造工程上の適切な沸点や揮発性を有し、形成されたガスバリア性有機接着剤層(B)の溶剤含有量をゼロまたは6mg/m2以下にし得るものならば、特に制限は無い。
該接着剤樹脂組成物に、例えば極性が高い溶剤を使用している場合には、作業性に乏しくなりやすい。例えばアセトンのような溶解性の高い溶剤を使用した場合には、沸点が低く且つ外気の水を取り込みやすいため、水とイソシアネートとの反応によって該接着剤樹脂組成物の粘度が上昇しやすいといった問題が発生することがある。
よって、本発明においては、溶剤を用いないことが好ましい。
板状無機化合物(M)は、ガスバリア性有機接着剤層(B)のラミネート強度とガスバリア性を向上させる効果を有する。
板状無機化合物(M)としては、具体的には、カオリナイト-蛇紋族粘土鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト等、アンチゴライト、クリソタイル等)、パイロフィライト-タルク族(パイロフィライト、タルク、ケロライ等)等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
多価カルボン酸変性ポリエステルポリオール(N)は、1分子内に1個または2個以上のカルボキシル基と2個以上の水酸基を有する化合物である。
多価カルボン酸変性ポリエステルポリオール(N)は、例えば、1分子内に3個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールの水酸基の一部に、多価カルボン酸類を反応させることにより得ることができる。
ガスバリア無機蒸着層(C)は、酸素ガスおよび水蒸気等の透過を防ぐガスバリア性を有するバリア膜であり、無機物または無機酸化物からなる蒸着膜が挙げられる。
一般的に、無機蒸着層表面には超微細な凹凸が生じており、超微細レベルでは、無機蒸着層の厚みは均一では無く、薄い部分は面方向のガスバリア性が弱い。
ガスバリア無機蒸着層(C)は、シーラント層(D)上に直接、ガスバリア性有機接着剤層(B)等の接着層を介さずに設けることができる。
シーラント層(D)は、本発明に係る積層体及び該積層体からなる包装材料にヒートシール性と耐屈曲性、耐衝撃性等の機能を付与するものであり、特に耐屈曲性を付与することで屈曲後のガスバリア性の低下を抑制することができるものが望ましい。
本発明においては、シーラント層(D)は、ヒートシール性の樹脂層を有することが望ましい。ヒートシール性の樹脂層は、熱によって溶融し相互に融着し得るものであればよい。
上記の樹脂には、必要に応じて、公知の耐屈曲性改良剤、無機又は有機添加剤等を配合することができる。
本発明においては、上記のような諸条件を充足する材料を任意に使用することができる。
シーラント層(D)の厚さは、任意に選択し得るが、包装材料としての強度等の観点から、5~500μm位の範囲から選択して使用することができ、好ましくは10~250μm、更に好ましくは15~100μmの範囲である。これより薄いとヒートシールしても充分なラミネート強度が得られず、包装材料としては機能しないし耐突き刺し性等が抵下する。また、これより厚いと、コスト上昇を招くと共にフィルムが硬くなり作業性が悪くなる。
本発明においては、基材層(A)とガスバリア性有機接着剤層(B)との間に、酸素ガスおよび水蒸気等のガスへのバリア性を高めるために、更に、ガスバリア塗布膜層(E)を設けることができる。ガスバリア塗布膜層(E)は、基材層(A)に積層されたガスバリア無機蒸着層の上に設けられてもよい。
ガスバリア塗布膜層(E)は、金属アルコキシドと水溶性高分子とを含む樹脂組成物から、ゾルゲル法触媒、水及び有機溶剤等の存在下で生成された、ゾルゲル法加水分解重縮合物を含有する層であることが好ましい。
R1 nM(OR2)m
(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1~8の有機基を表し、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を表す。)
金属アルコキシドは、1種ないし2種以上を混合して用いてもよい。
シランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができるが、特に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適であり、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、あるいは、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を用いることができる。
ゾルゲル法触媒としては、酸またはアミン系化合物が好適である。
まず、金属アルコキシド、水溶性高分子、ゾルゲル法触媒、水、有機溶媒、および、必要に応じてシランカップリング剤等を混合して、樹脂組成物から成る塗工液を調製する。該塗工液中では次第に重縮合反応が進行する。
本発明に係る積層体は、必要に応じて、例えば、基材層(A)とガスバリア性有機接着剤層(B)との間に、特に例えば、図3に示すように、ガスバリア塗布膜層(E)とガスバリア性有機接着剤層(B)との間に、文字、図形、記号、その他の所望の絵柄を通常の印刷方式にて任意に形成した印刷層(F)を設けることができる。
従来の積層体においては、十分なガスバリア性を得る為には、AC(アンカーコート)や金属蒸着層等を含めると、総構成層数に8層程度以上が必要であり、そのために製造工程が長く、複雑化していたが、本発明に係る積層体は、総構成層数を従来よりも少なくすることが可能であり、6層以下で従来と同等以上のガスバリア性を発現することが可能である。
エージングは、30~50℃で、1~3日が好ましい。上記範囲よりも低温又は短時間だと、エージングの効果が充分には発揮され難い場合が有り、上記範囲よりも高温または長時間だと、エネルギーまたは長時間を要する割にはエージングの効果がそれ以上には向上され難く、生産性が悪化し易い。
本発明に係る包装袋は、本発明に係る包装材料から作製されたものであり、ガスバリア性と低溶剤臭性と耐屈曲性に優れる。包装袋の具低例としては、例えば、ピロー包装袋等が挙げられる。
本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。
PETフィルム1:東洋紡社製PETフィルム、T4100。片面コロナ処理。10μm厚。
PETフィルム2:東レフィルム加工(株)社製PETフィルム、1310。片面アルミニウム蒸着処理(40nm厚)。12μm厚。
OPPフィルム1~6:東洋紡(株)社製OPP(2軸延伸ポリプロピレン)フィルム、2161。片面コロナ処理。厚さ18、20、25、30、40、60μm。
ONYフィルム1:東洋紡社製ONYフィルム、N1100。片面コロナ処理。15μm厚。
ACコート剤1:(株)日本触媒社製、エポミンP-1000。
ガスバリア塗布膜用樹脂組成物1:下記で作製。
無溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1:下記で調製。
無溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物2:DIC(株)社製無溶剤型PASLIM
含溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1:下記で調製。
2液硬化型ウレタン接着剤1:東洋モートン(株)社製、トモフレックスTM-340/東洋モートン(株)社製CAT-29
低密度ポリエチレン1:日本ポリエチレン(株)製低密度ポリエチレン、LC600A。CPPフィルム1:東レフィルム加工(株)社製、2703。片面アルミニウム蒸着処理(40nm厚)。25μm厚。
CPPフィルム2:下記で作製。
CPPフィルム3:下記で作製。
CPPフィルム4:三井化学東セロ(株)社製CPPフィルム、TAF-511。厚さ18μm。
下記の原料を混合して、ガスバリア塗布膜層(E)用の、ガスバリア塗布膜用樹脂組成物1を調製した。
テトラエトキシシラン 100質量部
エバールEP-F101 20質量部
N,N-ジメチルべンジルアミン 0.2質量部
イソプロピルアルコール 300質量部
下記のように操作して、ガスバリア性有機接着剤層(B)用の、無溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1を調製した。
先ず、精留管と水分分離器を備えたポリエステル反応容器に下記原料を投入して徐々に加熱し、窒素雰囲気下で、反応液の液温220℃、蒸気温100℃を維持しながらエステル化反応を進行させ、反応液の酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、液温を120℃まで冷却した。
無水フタル酸 241.9質量部
エチレングリコール 105.4質量部
グリセリン 75.2質量部
チタニウムテトライソプロポキシド 0.042質量部
無水マレイン酸 77.5質量部
数平均分子量:約520、
水酸基価:216.6mgKOH/g、
酸価:96.2mgKOH/g
1分子当たりの水酸基数:2個 (設計値)
1分子当たりのカルボキシル基数:1個 (設計値)
多価カルボン酸変性ポリエステルポリオールA 100質量部
デスモジュールN3200 49.5質量部
タケネート500 28.9質量部
下記の接着剤と溶剤を混合して、含溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1を調製した。接着剤:PASLIM VM001/VM102CP(DIC(株)社製) 19質量部溶剤:酢酸エチル 15質量部
CPPフィルム4のコロナ処理面に、下記条件でアルミナ蒸着膜(20nm厚)を形成した。
真空チャンバ―内の真空度;2~6×10-6mBar
蒸着チャンバ―内の真空度:2~5×10-3mBar
冷却・電極ドラム供給電力:10kW
ライン速度:100m/min
プラズマ発生装置:グロー放電プラズマ発生装置
パワー:9kw
混合ガス:酸素ガス/アルゴンガス=7.0/2.5(単位:s1m)
混合ガス圧:6×10-3Torrで
CPPフィルム4のコロナ処理面に、下記条件で酸化珪素蒸着膜(20nm厚)を形成した。
導入ガス:ヘキサメチルジシロキサン/酸素ガス/ヘリウム=1.0/3.0/3.0(単位:s1m)
真空チャンバ―内の真空度;2~6×10-6mBar
蒸着チャンバ―内の真空度:2~5×10-3mBar
冷却・電極ドラム供給電力:10kW
ライン速度:100m/min
プラズマ発生装置:グロー放電プラズマ発生装置
パワー:9kw
混合ガス:酸素ガス/アルゴンガス=7.0/2.5(単位:s1m)
混合ガス圧:6×10-3Torrで
基材層(A)としてPETフィルム1、ガスバリア性有機接着剤層(B)として無溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1、シーラント層(D)としてCPPフィルム1を用いて、PETフィルム1のコロナ処理面と、CPPフィルム1のアルミニウム蒸着面とを、無溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1を介してラミネートし、次いで40℃で1日間エージング処理し、積層体を得た。
このときの無溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1の塗布量は、硬化後の厚さが2μmになる量とした。
得られた積層体について各種評価を実施した。結果を表1に示す。
層構成:PETフィルム1(10μm)/無溶剤ガスバリア性有機接着剤樹脂組成物1硬化物(2μm)/アルミニウム蒸着(40nm)/CPPフィルム1(25μm)
基材層(A)用のフィルムを、表1、表2に記載のフィルムに変えた以外は、実施例1と同様に操作して、同様に評価した。結果を表1、表2に示す。
基材層(A)としてOPPフィルム5、ガスバリア性有機接着剤層(B)として無溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1、シーラント層(D)としてCPPフィルム1、ガスバリア塗布膜層(E)ガスバリア塗布膜用樹脂組成物1を用いた。
PETフィルム1のコロナ処理面に、ガスバリア塗布膜用樹脂組成物1を塗布して、乾燥後に、該ガスバリア塗布膜用樹脂組成物1の乾燥面と、CPPフィルム1のアルミニウム蒸着面とを、無溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1を介してラミネートし、次いで40℃で1日間エージング処理し、積層体を得た。
このときの、ガスバリア塗布膜用樹脂組成物1の塗布量は、乾燥後の厚さが2μmになる量と、無溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1の塗布量は、硬化後の厚さが2μmになる量とした。
得られた積層体について、実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
シーラント層(D)用のフィルムを、表2に記載のフィルムに変えた以外は、実施例3と同様に操作して、同様に評価した。結果を表2に示す。
ガスバリア性有機接着剤層(B)の厚みを表3に記載の値に変えた以外は、実施例3と同様に操作して、同様に評価した。結果を表3に示す。
ガスバリア性有機接着剤層(B)に、無溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物2を用いたこと以外は、実施例3と同様に操作して、同様に評価した。結果を表3に示す。
[実施例14、15]
基材層(A)用のフィルムを、表3に記載のフィルムに変えた以外は、実施例13と同様に操作して、同様に評価した。結果を表3に示す。
無溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1を2液硬化型ウレタン接着剤1に変え、エージング条件を25℃1日に変えた以外は、実施例3と同様に操作して、積層体を得て、同様に評価した。結果を表4に示す。
OPPフィルム2のコロナ処理面にACコート剤1を塗布して乾燥し、該ACコート剤1乾燥面とPETフィルム2のアルミニウム蒸着面とを、溶融押出された低密度ポリエチレン1を介して、押出しラミネートして積層体前駆体を得た。このときの低密度ポリエチレン1層の厚みは10μmになるように調整した。
無溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1を含溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1に変えた以外は、実施例3と同様に操作して、積層体を得て、同様に評価した。結果を表3に示す。
基材層(A)用のフィルムを、OPPフィルム6に変えた以外は、実施例1と同様に操作して、同様に評価した。結果を表4に示す。
ガスバリア性有機接着剤層(B)の厚みを0.55μmに変えた以外は、実施例3と同様に操作して、同様に評価した。結果を表4に示す。
[ガスバリア性]
(1)酸素透過度
各積層体をA4サイズに裁断し、米国MOCON社製OXTRAN2/20を使用し、23℃、90%RHの条件下での酸素透過度(cc/m2/day/atm)を測定した。2cc/m2/day/atm以下を合格とした。
(2)水蒸気透過度
各積層体をA4サイズに裁断し、米国MOCON社製PERMATRAN3/31を使用し、40℃、90%RHの条件下での水蒸気透過度(g/m2/day)を測定した。2g/m2/day以下を合格とした。
(3)屈曲負荷後
ゲルボフレックステスターで5回の屈曲負荷を与えた後に、酸素透過度と水蒸気透過度を、上記と同一の方法及び条件下で測定した。前記屈曲負荷を与える前からの増加値が、酸素透過度は20cc/m2/day/atm以下、水蒸気透過度は20g/m2/day以下を合格とした。
下記条件で、内容物無しの空袋で、縦ピロー充填性を評価した。
充填機:KBF-6100(株式会社川島製作所社製)
包装袋サイズ:巾200mm×高さ240mm
シール条件:縦シール140℃、横シール150℃
ショット数:30個/分
積層体から、幅15mmの短冊状の試験片を切り出し、テンシロン引張試験機((株)オリエンテック製RTC-1310A)を用いて、25℃雰囲気下、T字剥離方式(引張速度50mm/分)により、基材層とシーラント層間を剥離した際の最大荷重を測定し、ラミネート強度(N/15mm)とした。更には、剥離界面部位を確認した。表1内の表記は下記の意味である。ラミネート強度は、1N/15mm以上を合格とした。
蒸/シ:ガスバリア無機蒸着層(C)/シーラント層(D)の界面で剥離
接/蒸:ガスバリア性有機接着剤層(B)/ガスバリア無機蒸着層(C)の界面で剥離
蒸着膜=アルミニウム、アルミナ、酸化珪素の蒸着膜。
接着剤=無溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1、無溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物2、含溶剤ガスバリア性有機接着剤組成物1、2液硬化型ウレタン接着剤1、低密度ポリエチレン1。
シーラント部=CPPフィルム1~4のCPP部。
ガスクロマトグラフィーにてガスバリア性有機接着剤層(B)中の、トルエン、酢酸エチル、IPA、メタノール、MEKの総量(mg/m2)を測定した。総量がゼロまたは6mg/m2以下を合格とした。
実施例1~15は、総構成層数が4~5層構成でありながらも、良好な、縦ピロー充填性と、屈曲負荷前後の酸素透過度と水蒸気透過度と、ラミネート性と、シール強度とのバランスを示し、従来のガスバリア積層体である総構成層数が8層の比較例2と同等以上のガスバリア性を示した。
しかし、ガスバリア性有機接着剤層(B)を有していない比較例1~3は、屈曲負荷前の酸素透過度及び/または屈曲負荷後の酸素透過度の増加値が高くなった。
基材層(A)が厚過ぎる比較例4は、屈曲負荷後の酸素透過度と水蒸気透過度が高い結果を示した。
ガスバリア性有機接着剤層(B)の厚みが薄過ぎる比較例5は、十分な屈曲負荷前の酸素透過度を示さなかった為、以降の評価を中断した。
2 基材層(A)
3 ガスバリア性有機接着剤層(B)
4 ガスバリア無機蒸着層(C)
5 シーラント層(D)
6 ガスバリア無機蒸着層
7 ガスバリア塗布膜層(E)
8 印刷層(F)
Claims (14)
- 少なくとも、基材層(A)と、ガスバリア性有機接着剤層(B)と、ガスバリア無機蒸着層(C)と、シーラント層(D)とをこの順に有する低溶剤臭ガスバリア積層体であって、
基材層(A)の厚みは、5~50μmであり、
ガスバリア無機蒸着層(C)とガスバリア性有機接着剤層(B)とは隣接して積層されており、
ガスバリア無機蒸着層(C)は、シーラント層(D)上に直接設けられており、厚みは10~40nmであり、
ガスバリア性有機接着剤層(B)は、無溶剤接着剤組成物が塗布され、更にエージング硬化されて形成された層であり、厚みが0.6~6.0μmであり、
ガスバリア性有機接着剤層(B)を形成する接着剤樹脂組成物は、多価カルボン酸変性ポリエステルポリオールと、イソシアネート化合物(K)とを含有し、
ガスバリア性有機接着剤層(B)の溶剤含有量は、ゼロまたは6mg/m2以下である、
低溶剤臭ガスバリア積層体。 - 基材層(A)は、ポリプロピレン系樹脂を含む二軸延伸フィルムからなり、
基材層(A)の厚みは、18~40μmである、
請求項1に記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。 - 基材層(A)は、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を含む二軸延伸フィルムからなり、
基材層(A)の厚みは、5~40μmである、
請求項1に記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。 - 更に、基材層(A)とガスバリア性有機接着剤層(B)との間に、ガスバリア塗布膜層(E)を有する低溶剤臭ガスバリア積層体であって、
ガスバリア塗布膜層(E)は、金属アルコキシドと水溶性高分子とを含む樹脂組成物から生成された、ゾルゲル法加水分解重縮合物を含有する、
請求項1~3の何れか1項に記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。 - 更に、基材層(A)とガスバリア性有機接着剤層(B)との間に、印刷層(F)を有する、請求項1~4の何れか1項に記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
- ガスバリア無機蒸着層(C)は、アルミニウム蒸着層、アルミナ蒸着層、及び、シリカ蒸着層からなる群から選ばれる1種または2種以上を有する層である、請求項1~5の何れか1項に記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
- ガスバリア無機蒸着層(C)が、アルミニウム蒸着層を有する層である、請求項1~5の何れか1項に記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
- 前記無溶剤接着剤組成物が、2液硬化型無溶剤接着剤組成物である、請求項1~7の何れか1項に記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
- 23℃90%RH環境下における酸素透過度が、0.05~2cc/m2/day/atmであり、
40℃90%RH環境下における水蒸気透過度が、0.01~2g/m2/dayである、
酸素バリア用及び水蒸気バリア用の、請求項1~8の何れか1項に記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。 - ゲルボフレックステスターで5回の屈曲負荷を与えた後の、23℃90%RH環境下における酸素透過度の、前記屈曲負荷を与える前からの増加値が、ゼロまたは20cc/m2/day/atm以下である、
請求項1~9の何れか1項に記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。 - 総構成層数が6以下である、請求項1~10の何れか1項に記載の低溶剤臭ガスバリア積層体。
- 請求項1~11の何れか1項に記載の低溶剤臭ガスバリア積層体を用いた、低溶剤臭ガスバリア包装材料。
- 請求項12に記載の低溶剤臭ガスバリア包装材料を用いた、低溶剤臭ガスバリア包装袋。
- 請求項12に記載の低溶剤臭ガスバリア包装材料を用いた、低溶剤臭ガスバリアピロー包装袋。
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