以下に、添付図面を参照して、本発明の画像形成装置の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。又、フローチャートにおける数字の前に付されたアルファベットSはステップを意味する。
<画像形成装置>
以下、本発明に係る画像形成装置1について説明する。図1は、本実施形態の画像形成装置1の概略構成図である。
画像形成装置1は、画像データに基づいてトナー画像を形成するタンデム式の画像形成部A1、用紙を収容する用紙収容部2、画像形成部A1で形成されたトナー画像を用紙上に転写する二次転写部3を備えている。又、転写されたトナー画像を用紙上に定着させる定着部4、定着の完了した用紙を排紙する排紙装置5、及び、排紙された用紙を受ける排紙トレイ7を備えている。さらに、画像形成装置1は、用紙収容部2から排紙装置5まで用紙を搬送する用紙搬送部6を備えている。
画像形成部A1は、中間転写ベルトB1(中間転写体)、中間転写ベルトB1をクリーニングするクリーニング部B2、並びに、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色にそれぞれ対応した画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBを備える。
中間転写ベルトB1は、導電性を有する使用可能な用紙搬送方向に直角な方向の長さが最大の用紙より幅広であって、無端状、すなわちループ状のベルト状部材であり、図1において時計回りに循環駆動される。
画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBは、中間転写ベルトB1に沿って、中間転写ベルトB1の移動方向において、クリーニング部B2より下流かつ二次転写部3の上流に、この順に配される。なお、各画像形成ユニットFY、FM、FC、FBの配置の順番はこの限りではないが、各色の混色による完成画像への影響を配慮すると、この配置が好ましい。画像形成ユニットFY、FM、FC、FBの配置は、当該画像形成ユニット間の間隔が均等になるように配置される。
次に、この画像形成装置1の画像形成動作を説明する。図2は、画像形成ユニットFY、FM、FC、FBの1つの詳細図である。各画像形成ユニットFY、FM、FC、FBはほぼ同等な構成となっている。
画像形成ユニットFYは、感光体ドラム(像担持体)10、帯電器11、露光装置12、黄色用の現像装置HY、一次転写ローラ(電圧印加部)20、感光体ドラム10のクリーニングブレード35、除電装置13、キャリア除去ローラ(キャリア除去部材)30を備える。
尚、他の画像形成ユニットFM、FC、FBはそれぞれの色に対応した現像装置HM、HC、HBを備える。又、画像形成ユニットのうち、中間転写ベルトB1の移動方向の最下流側に位置する画像形成ユニットFBには、その下流に画像形成部が位置しないためキャリア除去ローラ30が設けられていないが、その他の構成は同一である。
感光体ドラム10は、その表面に帯電(本実施形態ではプラス極性に帯電)したトナーを含むトナー像を担持することができるようになっていればよい。
本実施形態において、感光体ドラム10は、中間転写ベルトB1の移動方向に垂直かつ中間転写ベルトB1の面方向に平行な回転軸を中心に回転可能に配される略円筒状の部材とする。又、感光体ドラム10は、中間転写ベルトB1の表面に、所定の一次転写位置10Sにて接するようになっている。そして、感光体ドラム10は、一次転写位置10Sでの移動方向が中間転写ベルトB1の移動方向と同方向になるように、つまり図2においては反時計回りに回転可能である。
クリーニングブレード35、除電装置13、帯電器11、露光装置12、黄色用の現像装置HYは、感光体ドラム10の回りに、上述の回転方向に沿って、一次転写位置から見てこの順に配される。
帯電器11は、感光体ドラム10表面を一様に帯電させることができる。露光装置12は、レーザースキャナユニット(LSU)等の光源を有し、上述の上位装置からの画像データに応じて、帯電した感光体ドラム10表面を画像データに応じた光で照射し、感光体ドラム10表面に静電潜像を形成可能である。
黄色用の現像装置HYは、黄色のトナー及びキャリアを含む現像剤を前記静電潜像に対向するように保持することで、静電潜像にトナーを付与し、静電潜像をトナー像として現像することができる。このトナー像は一次転写ローラ20によって中間転写ベルトB1に一次転写される。一次転写ローラ20の詳細については後述する。
クリーニングブレード35は、感光体ドラム10に接するように配されたブレード状の部材である。クリーニングブレード35は一次転写後、感光体ドラム10の表面に残留した現像剤を除去する。
除電装置13は光源を備え、クリーニングブレード35による現像剤除去後、感光体ドラム10の表面を光源からの光によって除電し、次の画像形成に備える。
一次転写ローラ20は、中間転写ベルトB1の裏面に、中間転写ベルトB1の移動方向において前記一次転写位置10Sより下流の電圧印加位置20Sで接するように配される。一次転写ローラ20には、図示しない電源からトナー像中のトナーとは逆極性(本実施形態ではマイナス)の電圧を印加されるようになっている。つまり、一次転写ローラ20は、電圧印加位置20Sにて、中間転写ベルトB1にトナーと逆極性の電圧を印加することができる。中間転写ベルトB1は導電性を有するので、この印加電圧によって、電圧印加位置20Sの中間転写ベルトB1の表面側及びその周辺にトナーが引き付けられる。
そこで、本実施形態では、前記一次転写位置10Sを、この印加電圧によってトナーが中間転写ベルトB1側に引き付けられる範囲内に配する。その結果、感光体ドラム10から中間転写ベルトB1の表面へトナーが移動し、一次転写が行われる。
このように一次転写が可能であれば、一次転写ローラ20の具体的な構成は特に限定されず、具体的な構成は適宜変更可能である。本実施形態においては、一次転写ローラ20は、感光体ドラム10の回転軸と平行な回転軸を中心として感光体ドラム10と逆方向に回転可能な、つまり電荷印加位置20Sでの移動方向が中間転写ベルトB1と同方向になるように回転可能な、略円柱状の部材とする。
本実施形態では、キャリア除去ローラ30は、感光体ドラム10の回転軸と平行な回転軸を中心として感光体ドラム10と同方向に回転可能な略円柱状の部材であるとするが、これに限定されるものではなく、中間転写ベルトB1の移動方向において電荷印加位置20Sよりも下流、二次転写位置よりも上流で中間転写ベルトB1表面からキャリアを除くことができればよい。具体的には、キャリア除去ローラ30は、中間転写ベルトB1の表面に接することによって、中間転写ベルトB1表面のキャリアを自身の表面に移動させることができるようになっていればよい。
一次転写時には、トナーと共にキャリアも感光体ドラム10から中間転写ベルトB1へと少量転移することがある。このキャリアの転移は、下流側の画像形成部における一次転写を妨げて画像のぼけ及びにじみ等の画像の不具合を引き起こす場合がある。キャリア除去ローラ30を設けることによって、このような画像の不具合を防ぐことができる。
本実施形態では、キャリア除去ローラ30が、中間転写ベルトB1の移動方向において前記電荷印加位置20Sよりも下流で中間転写ベルトB1の表面に接するように配置される。前記キャリア除去ローラ30は、上述のクリーニングブレード35と共に、クリーニングユニット31に組み込まれている。クリーニングユニット31は、画像形成ユニットFY内に設けられており、クリーニングブレード35及びキャリア除去ローラ30の他に、キャリア除去ローラ30の表面に接することでキャリア除去ローラ30表面に付着したキャリアを除去するキャリア除去ブレード31bと、キャリア除去ローラ30から除去されたキャリア、及び感光体ドラム10表面からクリーニングブレード35によって除去された現像剤(トナー及びキャリアを含む)とを、クリーニングユニット31の外部に搬送する搬送部材31cを備える。画像形成ユニットFYはさらに、搬送部材31cによって搬送されたキャリア及びトナーを再利用するため、キャリアとトナーとを分離する分離部等を備えてもよい。
次に、現像装置HYの構成について説明する。各色の現像装置HY、HM、HC、HBの構成は同等である。
現像装置HYは、現像容器40、現像ローラ40a、磁気ローラ(マグローラ)40b、汲み上げローラ40c、撹拌スパイラル40d及び40e、磁気ローラドクターブレード40gを備える。
現像容器40は、内部に黄色のトナー(トナー粒子)とキャリアからなる現像剤を貯留する。撹拌スパイラル40d及び40eは、現像容器40の現像剤に全体が浸るように設けられ、現像剤を撹拌する。撹拌スパイラル40dと40eの回転によってトナーがキャリアに均一に分散される。
汲み上げローラ40cは現像容器の現像剤にその一部が浸るように配置され、現像剤をその表面に付着させて汲み上げる。この汲み上げローラ40cに接するようにして磁気ローラ40bが配置され、汲み上げローラ40cから現像剤の供給を受ける。磁気ローラ40bは現像ローラ40aのカウンター方向に回転し、ニップ近傍において、現像剤の引き剥がしと現像剤の載せとを同時に行っている磁気ローラドクターブレード40gが設けられる。磁気ローラドクターブレード40gは、磁気ローラ40bの表面の現像剤層厚を所定量になるように規制する。磁気ローラ40bと接するように現像ローラ40a(現像器ともいう)が配置され、その表面に磁気ローラ40bから現像剤が付与される。磁気ローラ40bの現像剤の層厚が所定値に規制されているので現像ローラ40aの表面に形成される現像剤の層厚も所定値に保たれる。この現像ローラ40aは感光体ドラム10と接し、感光体ドラム10の表面の静電潜像の電位と現像ローラ40aに印加される現像バイアス値の電位差によって上位装置から形成指示された画像に応じたトナー像が感光体ドラム10表面に形成される(現像動作)。
本発明の画像形成装置では、前記現像ローラ40aに印加される現像バイアス値(電圧値、単にバイアス値とする)を調整することで、トナー像の画像濃度補正を行うことを特徴としている。
感光体ドラム10への現像動作を終えた現像ローラ40aの表面の現像剤は、磁気ローラ40bを介して、磁気ローラドクターブレード40gによって除去され、磁気ローラドクターブレード40gの表面に沿って流下し図示しない流路を通って現像容器40に貯留されている現像剤と混合される。
又、現像容器にはトナー濃度センサー40hが配置され、現像容器40内の現像剤のトナー濃度を検出する。トナー濃度が所定値より低いことが検出された場合には、図示しないトナーカートリッジからトナー(所定値よりトナー濃度が高い現像剤)が現像容器40に供給され、トナー濃度が所定値より高い場合には図示しないキャリアカートリッジからキャリアがトナー容器40に供給される。
このような構成の下、パーソナルコンピュータ(PC)等の上位装置から画像形成の指示を受けた画像形成装置1は、指示を受けた画像データに対応した各色のトナー像を画像形成ユニットFY、FM、FC、FBを用いて形成する。各画像形成部で形成されたトナー像は中間転写ベルトB1に転写されて、中間転写ベルトB1上で重ね合わされてカラートナー像となる。
このカラートナー像の形成と同期して用紙収容部2に収容されている用紙が図示しない給紙装置で用紙収容部2から一枚ずつ取り出されて、用紙搬送部6上を搬送される。そして、用紙は中間転写ベルトB1への一次転写とタイミングを合わせて二次転写部3に送り込まれ、二次転写部3で中間転写ベルトB1上のカラートナー像が用紙に二次転写される。カラートナー像が転写された用紙はさらに定着部4に搬送されて熱と圧力によりカラートナー像が用紙に定着される。さらに用紙は排紙装置5によって画像形成装置1の外周に設けられた排紙トレイ部7に排紙される。二次転写後、中間転写ベルトB1に残留したトナーは、クリーニング部B2によって中間転写ベルトB1から除去される。
又、所定のタイミングで中間転写ベルトB1に形成されたパッチのパッチ濃度及び中間転写ベルトB1の地肌濃度を検出するための2つの濃度検出センサー605、606が、ブラックの画像形成ユニットFBと二次転写部3との間の所定の位置に設けられている。ブラックの画像形成ユニットFBは、他の画像形成ユニットFY、FM、FCと比較すると、中間転写ベルトB1の回転方向に対して最下流に位置する。そのため、濃度検出センサー605、606は、複数の画像形成ユニットFY、FM、FC、FBのうち、いずれかによってパッチが中間転写ベルトB1上に形成されたとしても、いずれのパッチのパッチ濃度を検出できるよう構成されている。
又、当該濃度検出センサー605、606は、パッチが形成される中間転写ベルトB1の位置に対応した位置に予め設けられるが、本発明の実施形態では、中間転写ベルトB1の両端近傍にそれぞれ二つ設けられる。当該濃度検出センサー605、606は、各色毎のパッチのパッチ濃度又は地肌濃度を検出可能なセンサーであれば、どのような形態でも構わないが、例えば、パッチ又は中間転写ベルトB1上の地肌を光源からの光で照射し、反射光強度を受光センサーで検出して光の強度情報を濃度に変換する反射型の濃度検出センサー605、606が該当する。尚、前記濃度検出センサー605、606は、後述するベタ帯画像のトナー濃度の検出にも利用される。
図3は、本実施形態における画像形成装置1の制御関連の概略構成図である。
画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)301、RAM(Random Access Memory)302、ROM(Read Only Memory)303、HDD(Hard Disk Drive)304及び前記印刷における各駆動部に対応するドライバ305が内部バス306を介して接続されている。前記CPU301は、例えばRAM302を作業領域として利用し、ROM303やHDD304等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて前記ドライバ305とデータや命令を授受することにより前記図1に示した各駆動部の動作を制御する。又、前記駆動部以外の後述する各手段(図4に示す)についても、CPU301がプログラムを実行することで各手段として動作する。
<本発明の実施形態>
次に、図4、図5を参照しながら、本発明の実施形態に係る構成及び実行手順について説明する。図4は、本発明の画像形成装置の機能ブロック図である。又、図5は、本発明の実行手順を示すためのフローチャートである。
先ず、ユーザは、画像形成装置1に電源を投入すると、当該画像形成装置1が起動して、当該画像形成装置1のキャリブレーション手段401が、キャリブレーションの準備をするか否かを判定する(図5:S101)。
ここで、前記キャリブレーションは、画像形成装置1で行われるキャリブレーションであれば、どのようなキャリブレーションでも対象になるが、例えば、濃度調整キャリブレーション、位置調整キャリブレーション等を挙げることが出来る。
又、前記キャリブレーション手段401が、前記キャリブレーションの準備をするか否かを判定する方法は、どのような方法でも構わない。例えば、前記キャリブレーション手段401が、画像形成装置1に始めて電源が投入された時点、所定の枚数を印刷した時点、所定量のトナーを消費した時点、予め設けられた温度計の温度が第一の設定温度(例えば、35度)以上又は第二の設定温度(例えば、15度)以下になった時点等の特定の時点であるか否かを判定する方法を採用することが出来る。
ここで、先ほど、画像形成装置1が起動したため、前記キャリブレーション手段401は、前記キャリブレーションの準備をすると判定し(図5:S101YES)、その旨を測定手段402に通知する。当該通知を受けた測定手段402は、印刷時にトナー画像を形成させる中間転写ベルトB1の回転方向の一周の長さを測定する(図5:S102)。
前記測定手段402が、前記中間転写ベルトB1の回転方向の一周の長さを測定する方法は、どのような方法でも構わないが、例えば、以下のようになされる。
即ち、図6(A)に示すように、前記中間転写ベルトB1には、通常、トナー画像を形成させるタイミングを決定するために、当該中間転写ベルトB1の回転方向と直角方向の一端部に基準位置部材600が予め設けられており、前記基準位置部材600に対応して、当該基準位置部材600を検知可能な検知部材601が更に備えられている。この基準位置部材600は、前記中間転写ベルトB1に一箇所だけ設けられるため、前記測定手段402が、当該中間転写ベルトB1の回転に対応して、当該位置基準部材600を検知した時点から新たに位置基準部材600を検知した時点までに要する時間T(sec)を計測し、当該計測した時間T(sec)に、前記中間転写ベルトB1の回転速度V(mm/sec)を乗算した乗算値を、前記中間転写ベルトB1の回転方向の一周の長さL(mm)とすることが可能となる。
さて、前記測定手段402が、前記中間転写ベルトB1の回転方向の一周の長さL(mm)の測定を完了すると、その旨を算出手段403に通知する。当該通知を受けた算出手段403は、前記測定された中間転写ベルトB1の回転方向の一周の長さL(mm)と、予め設定された、前記中間転写ベルトB1の回転方向の一周の長さに形成することが可能なパッチの総数S(個)とに基づいて、当該パッチの回転方向の長さL0(mm)と、前記中間転写ベルトB1の回転方向の一周の長さに対して各パッチの位置を示すパッチ番号N(−)とを算出する(図5:S103)。
前記算出手段403が、前記パッチの回転方向の長さL0(mm)(一つのパッチにおける回転方向の長さ)と、前記パッチ番号N(−)とを算出する方法は、どのような方法でも構わないが、例えば、以下のようになされる。
例えば、前記測定された中間転写ベルトB1の回転方向の一周の長さL(mm)が960mmであり、所定のメモリに予め記憶されたパッチの総数S(個)が85個である場合、前記算出手段403は、前記中間転写ベルトB1の回転方向の一周の長さL(mm)を前記パッチの総数S(個)で除算した除算値(960/85=11.294mm)を、前記パッチの回転方向の長さL0(mm)とする。
ここで、前記除算値を印刷のトナー画像の解像度(600dpi)の単位に対応させる場合は、前記算出手段403が、前記除算値(11.294mm)に変換係数(42.33*1000mm/dpi)を除算した値(266.8=266dpi)を、前記解像度に対応するパッチの回転方向の長さL0(dpi)とすることが出来る。これにより、印刷の際に、前記算出したパッチの回転方向の長さL0(dpi)に対応したパッチの画像データを形成しやすくなる。
次に、前記算出手段403は、前記中間転写ベルトB1の回転方向の長さL(mm)を前記算出したパッチの回転方向の長さL0(mm)で区分して、各パッチの位置を形成し、当該形成したパッチの位置に対して、当該中間転写ベルトB1の基準位置部材600を最初の番号N(例えば、1番)とし、ここから順番に、前記パッチの総数S(個)に対応して番号Nを振っていく。尚、前記中間転写ベルトB1の基準位置部材600の手前の最後のパッチの位置には、前記パッチの総数S(個)に対応するS番目が振られる。これにより、前記中間転写ベルトB1の回転方向の長さL(mm)に対応してパッチの位置を示すパッチ番号N(−)を算出することが可能となる。
前記算出手段403が、前記パッチの回転方向の長さL0(mm)と、前記パッチ番号N(−)との算出を完了すると、その旨を下地濃度対応手段404に通知する。当該通知を受けた下地濃度対応手段404は、前記中間転写ベルトB1の下地濃度D0(−)を測定し、前記測定した下地濃度D0(−)を各パッチ番号N(−)に対応付ける。
前記下地濃度対応手段404が、前記下地濃度D0(−)を測定し、当該下地濃度D0(−)を各パッチ番号N(−)に対応付ける方法は、どのような方法でも構わないが、例えば、以下のようになされる。
例えば、図6(A)に示すように、パッチを形成する、中間転写ベルトB1の回転方向に直角方向の両端に対応して、二つの濃度検知センサー605、606が予め設けられているため、先ず、前記下地濃度対応手段404は、前記二つの濃度検知センサー605、606を用いて、前記中間転写ベルトB1の基準位置部材600から、次の基準位置部材600が現れるまで、前記パッチの回転方向の長さL0(mm)を一つの単位として、当該中間転写ベルトB1の回転方向の下地濃度D0(−)を測定する(図5:S104)。
ここで、一のパッチ番号N(−)に対して二ヵ所の下地濃度D0(−)が測定されるため、例えば、両者の平均値を、一つのパッチ番号N(−)に対する下地濃度D0(−)としてもよいし、一つのパッチ番号N(−)に対して(左右)両端の下地濃度D0(−)を対応付けて、一つのパッチ番号N(−)に対して二つのパッチ濃度を測定値として測定して、各下地濃度D0(−)を利用して、二つのパッチ濃度を算出値として算出するよう構成してもよい。
前記下地濃度対応手段404が、次の基準位置部材600が現れるまで、言い換えると、前記中間転写ベルトB1の回転方向の一周の長さL(mm)の全てにわたって、前記パッチの回転方向の長さL0(mm)を単位として下地濃度D0(−)を測定し終えると、前記算出したパッチ番号N(−)を利用して、前記基準位置部材600に対応する最初の番号のパッチ番号N(−)(1番目)から順番に、測定した下地濃度D0(−)を対応付けていく(図5:S105)。尚、前記中間転写ベルトB1の基準位置部材600の手前の最後のパッチ番号N(−)(S番目)には、最後に測定された下地濃度D0(−)が対応付けられる。又、前記パッチ番号N(−)と、これに対応付けられた下地濃度D0(−)は、所定のメモリに記憶される。
これにより、例えば、中間転写ベルトB1が環境の変化(例えば、温度変化)により、当該中間転写ベルトB1の回転方向の一周の長さL(mm)が変動したとしても、前記キャリブレーションの準備として、その都度、前記パッチの回転方向の長さL0(mm)を算出し、これに対応する下地濃度D0(−)を測定するため、上述した変動に影響されることなく、キャリブレーションを実行することが可能となり、当該キャリブレーションの精度を向上させることが可能となる。
特に、前記中間転写ベルトB1では、例えば、環境温度が10度変動すると、当該中間転写ベルトB1の回転方向の一周の長さL(mm)が1mm程度変動することが知られている。そのため、本発明のように、前記キャリブレーションの準備として、その都度、前記パッチの回転方向の長さL0(mm)を決定することで、前記変動に対応することが可能となる。
又、中間転写ベルトB1の回転方向の一周の長さに対応する下地濃度D0(−)が、各パッチ番号N(−)に対応付けられ、中間転写ベルトB1のどこにパッチを形成したとしても、これに対応する下地濃度D0(−)を測定する必要が無くなる。
さて、前記下地濃度対応手段404が、前記下地濃度D0(−)の各パッチ番号N(−)への対応付けを完了すると、前記キャリブレーションの準備を完了した旨をキャリブレーション手段401に通知する。当該通知を受けたキャリブレーション手段401は、前記パッチ番号N(−)毎の下地濃度D0(−)を利用していつでもキャリブレーションを実行することが可能となる。
さて、例えば、ユーザーが、パーソナルコンピュータ(PC)等の上位装置から画像形成装置1に、所定の画像データに対応する画像形成の指示を送信すると、当該画像形成装置1の印刷手段405は、当該指示を受信して(図5:S106YES)、印刷の実行を開始する。
前記印刷手段405が、前記印刷を実行する際に、その旨をキャリブレーション手段401に通知し、当該通知を受けたキャリブレーション手段401は、前記中間転写ベルトB1の領域のうち、前記印刷に対応する画像領域以外の非画像領域に、前記キャリブレーション用のパッチを前記パッチの回転方向の長さL0(mm)を単位として形成し、当該パッチの濃度D(−)を測定値として測定し、当該パッチの位置を示すパッチ番号N(−)に対応付けられた下地濃度D0(−)を用いて、当該パッチ濃度を算出値として算出して、前記キャリブレーションを実行する。
例えば、前記印刷手段405が、図6(B)に示すように、前記中間転写ベルトB1の基準位置部材600から、前記印刷の画像データに対応するトナー画像を形成する(図5:S107)。ここで、前記印刷の画像データが複数(例えば、3つ)存在する場合には、前記中間転写ベルトB1の回転方向に沿って所定の間隔を空けて、前記画像データに対応するトナー画像を形成する。このトナー画像が形成される領域が画像領域となる。このトナー画像の間には、所定の間隔が空けられているため、この間隔に対応する領域は非画像領域となる。
ここで、上述では、前記中間転写ベルトB1の回転方向の一周の長さに対応するパッチ番号N(−)、下地濃度D0(−)を既に取得済みであるため、前記キャリブレーション手段401は、前記印刷手段405と連動して、図6(B)に示すように、前記非画像領域に、前記パッチ602を形成する(図5:S108)。
そして、前記キャリブレーション手段401は、前記形成したパッチ602の濃度D(−)を、二つの濃度検知センサー605、606で測定値として測定し(図5:S109)、当該パッチ602が形成された非画像領域におけるパッチ番号N(−)から、当該パッチ602に対応する下地濃度D0(−)を利用して、当該パッチ濃度を算出値として算出する。
ここで、前記算出値とするパッチ濃度(−)は、通常、前記測定値とするパッチ濃度(−)から下地濃度D0(−)を減算することで算出される。この減算値に対応するパッチ濃度(−)が、通常、キャリブレーションには利用される。
前記キャリブレーション手段401は、前記測定されたパッチ濃度に基づいてキャリブレーションを実行する(図5:S110)。
例えば、現像バイアス値の大小によりトナー濃度を調整するキャリブレーションである場合は、前記キャリブレーション手段401が、現像バイアス値がトナー濃度に対して段階的に異なるグラフに基づいて、現像バイアス値が段階的に異なるパッチを非画像領域に形成し、そのパッチ濃度を算出する。そして、前記キャリブレーション手段401は、前記グラフのトナー濃度に対応する現像バイアス値を、前記算出値であるパッチ濃度(−)に対応する現像バイアス値になるように加減調整し、前記グラフを再構成する。ここで、各グラフは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色毎にそれぞれ存在し、前記キャリブレーション手段401は、各色毎のグラフに対してそれぞれパッチを形成し、パッチ濃度を算出し、キャリブレーション(グラフ調整)を実行する。これにより、前記キャリブレーションが完了する。
このように、前記キャリブレーション手段401は、印刷実行中であっても、前記キャリブレーションを実行することが出来るため、当該キャリブレーションのために、前記中間転写ベルトB1を回転させて、当該中間転写ベルトB1にパッチを形成させる必要が無くなり、言い換えると、前記キャリブレーションはいつでも実行可能となるから、キャリブレーションに要する時間を短縮することが可能となる。
又、本発明では、中間転写ベルトB1のどこの領域でもキャリブレーションが実行出来ることから、次の効果もある。
即ち、図7(A)に示すように、前記パッチの回転方向の長さL0(mm)の整数倍(総数S倍)が、中間転写ベルトB1の回転方向の長さL(mm)に対応し、前記中間転写ベルトB1の一周目の最後のパッチ番号N(−)(S番目)と、前記中間転写ベルトB1の二周目の最初のパッチ番号N(−)(1番目)(基準位置部材600に対応するパッチ番号)とのパッチ境界が無く、連続することになる。そのため、前記キャリブレーション手段401は、前記パッチの回転方向の長さL0(mm)に基づいて、前記中間転写ベルトB1の一周目から二周目にかけて連続して、前記キャリブレーション用のパッチ602を連続して形成して、各パッチ602の濃度を測定値として測定することが可能となる。
従来であれば、図7(B)に示すように、前記パッチの回転方向の長さL1(mm)が、予め設定された値であり、前記中間転写ベルトB1の回転方向の長さL(mm)に対応して変動することが無かったため、前記中間転写ベルトB1の一周目の最後に形成されたパッチが、前記中間転写ベルトB1の二周目の最初に形成されるパッチに重複してしまう。従って、この場合、従来の画像形成装置では、前記中間転写ベルトB1の基準位置部材600の検知を待った後に、前記中間転写ベルトB1の二周目の開始時点から、前記キャリブレーション用のパッチを形成せざるを得ず、無駄な待ち時間が生じてしまう。
本発明では、図7(A)に示すように、上述した待ち時間を削除することが可能となるため、前記キャリブレーションに要する時間を更に短縮化することが可能となるのである。
このように、本発明では、印刷時にトナー画像を形成させる中間転写ベルトB1の回転方向の一周の長さL(mm)を測定する測定手段402と、前記測定された中間転写ベルトB1の回転方向の一周の長さL(mm)と、予め設定された、前記中間転写ベルトB1の回転方向の一周の長さに形成することが可能なパッチの総数S(個)とに基づいて、当該パッチの回転方向の長さL0(mm)と、前記中間転写ベルトB1の回転方向の一周の長さに対して各パッチの位置を示すパッチ番号N(−)とを算出する算出手段403とを備える。更に、前記中間転写ベルトB1の下地濃度D0(−)を測定し、前記測定した下地濃度D0(−)を各パッチ番号N(−)に対応付ける下地濃度対応手段404と、前記パッチの回転方向の長さL0(mm)に対応してパッチを形成し、当該パッチのパッチ濃度D(−)と、当該パッチのパッチ番号N(−)に対応する下地濃度D0(−)とに基づいてキャリブレーションするキャリブレーション手段401とを備える。これにより、キャリブレーションの精度向上と時間短縮を両立することが可能となる。
尚、本発明の実施形態では、前記算出手段402が前記パッチの回転方向の長さL0(mm)と前記パッチ番号N(−)とを算出した後に、前記下地濃度対応手段404が前記下地濃度D0(−)をパッチ番号N(−)に対応付けるよう構成したが、他の構成でも構わない。例えば、前記測定手段402が、前記中間転写ベルトB1の回転方向の一周の長さL(mm)を測定している最中に、前記下地濃度対応手段404が、前記中間転写ベルトB1の下地濃度D0(−)を測定するよう構成しても構わない。これにより、前記中間転写ベルトB1の一周の空回転により、前記パッチの回転方向の長さL0(mm)と前記中間転写ベルトB1の下地濃度D0(−)を同時に測定することが可能となり、キャリブレーションに要する時間を更に短縮することが可能となる。
又、本発明の実施形態では、前記キャリブレーション手段401が、前記キャリブレーションの準備が完了した後に、前記印刷の実行のタイミングで、当該キャリブレーションを実行するよう構成したが、他の構成でも構わない。例えば。前記キャリブレーション手段401が、前記キャリブレーションの準備が完了した後に、直ぐに、前記パッチの回転方向の長さL0(mm)に対応してパッチを形成し、当該パッチのパッチ濃度D(−)と、当該パッチのパッチ番号N(−)に対応する下地濃度D0(−)とに基づいてキャリブレーションするよう構成しても良い。
又、本発明の実施形態では、前記キャリブレーション手段401が、前記非画像領域に、前記パッチの回転方向の長さL0(mm)に対応するパッチを形成し、キャリブレーションを実行するよう構成したが、他の構成でも構わない。例えば、前記下地濃度対応手段404が、所定のタイミングで、前記非画像領域の下地濃度D0(−)を測定し、前記測定した下地濃度D0(−)を、当該非画像領域のパッチ番号N(−)に再度対応付ける(更新する)よう構成しても良い。これにより、下地濃度D0(−)は、印刷回数等により変動するため、前記下地濃度対応手段404が、適度に、前記非画像領域を利用して、下地濃度D0(−)を更新することで、前記変動に対応して精度高いパッチ濃度を算出することが可能となる。
又、本発明は、タッチダウン現像方式を想定したが、トナー画像と、パッチによるキャリブレーションを実行する画像形成装置であれば、どのような画像形成装置でも構わない。尚、タッチダウン現像方式とは、トナー及びキャリアを含有する二成分の現像剤を担持する磁気ローラからトナーのみを転移させることにより現像スリーブ上にトナー薄層を形成させ、静電潜像が形成された感光体の表面に、前記トナー薄層からトナーを飛翔させて静電潜像をトナー像として現像する方式のことである。
又、本発明では、中間転写ベルトを、トナー画像が形成される中間転写体としたが、例えば、これが感光体ドラム等であっても構わない。
又、本発明の実施形態では、画像形成装置1が各手段を備えるよう構成したが、当該各手段を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。当該構成では、前記プログラムを画像形成装置1に読み出させ、当該画像形成装置1が前記各手段を実現する。その場合、前記記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。更に、各手段が実行するステップをハードディスクに記憶させる方法として提供することも可能である。