以下に、添付図面を参照して、本発明の画像形成装置の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。又、フローチャートにおける数字の前に付されたアルファベットSはステップを意味する。
<画像形成装置>
以下、本発明に係る画像形成装置1について説明する。図1は、本実施形態の画像形成装置1の概略構成図である。
画像形成装置1は、画像データに基づいてトナー画像を形成するタンデム式の画像形成部A1、用紙を収容する用紙収容部2、画像形成部A1で形成されたトナー画像を用紙上に転写する二次転写部3を備えている。又、転写されたトナー画像を用紙上に定着させる定着部4、定着の完了した用紙を排紙する排紙装置5、及び、排紙された用紙を受ける排紙トレイ7を備えている。さらに、画像形成装置1は、用紙収容部2から排紙装置5まで用紙を搬送する用紙搬送部6を備えている。
画像形成部A1は、中間転写ベルトB1(中間転写体)、中間転写ベルトB1をクリーニングするクリーニング部B2、並びに、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色にそれぞれ対応した画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBを備える。
中間転写ベルトB1は、導電性を有する使用可能な用紙搬送方向に直角な方向の長さが最大の用紙より幅広であって、無端状、すなわちループ状のベルト状部材であり、図1において時計回りに循環駆動される。
画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBは、中間転写ベルトB1に沿って、中間転写ベルトB1の移動方向において、クリーニング部B2より下流かつ二次転写部3の上流に、この順に配される。なお、各画像形成ユニットFY、FM、FC、FBの配置の順番はこの限りではないが、各色の混色による完成画像への影響を配慮すると、この配置が好ましい。画像形成ユニットFY、FM、FC、FBの配置は、当該画像形成ユニット間の間隔が均等になるように配置される。
次に、この画像形成装置1の画像形成動作を説明する。図2は、画像形成ユニットFY、FM、FC、FBの1つの詳細図である。各画像形成ユニットFY、FM、FC、FBはほぼ同等な構成となっている。
画像形成ユニットFYは、感光体ドラム(像担持体)10、帯電器11、露光装置12、黄色用の現像装置HY、一次転写ローラ(電圧印加部)20、感光体ドラム10のクリーニングブレード35、除電装置13、キャリア除去ローラ(キャリア除去部材)30を備える。
尚、他の画像形成ユニットFM、FC、FBはそれぞれの色に対応した現像装置HM、HC、HBを備える。又、画像形成ユニットのうち、中間転写ベルトB1の移動方向の最下流側に位置する画像形成ユニットFBには、その下流に画像形成部が位置しないためキャリア除去ローラ30が設けられていないが、その他の構成は同一である。
感光体ドラム10は、その表面に帯電(本実施形態ではプラス極性に帯電)したトナーを含むトナー像を担持することができるようになっていればよい。
本実施形態において、感光体ドラム10は、中間転写ベルトB1の移動方向に垂直かつ中間転写ベルトB1の面方向に平行な回転軸を中心に回転可能に配される略円筒状の部材とする。又、感光体ドラム10は、中間転写ベルトB1の表面に、所定の一次転写位置10Sにて接するようになっている。そして、感光体ドラム10は、一次転写位置10Sでの移動方向が中間転写ベルトB1の移動方向と同方向になるように、つまり図2においては反時計回りに回転可能である。
クリーニングブレード35、除電装置13、帯電器11、露光装置12、黄色用の現像装置HYは、感光体ドラム10の回りに、上述の回転方向に沿って、一次転写位置から見てこの順に配される。
帯電器11は、感光体ドラム10表面を一様に帯電させることができる。露光装置12は、レーザースキャナユニット(LSU)等の光源を有し、当該光源から射出された光線を、回転するポリゴンミラー等の偏向器で偏向し、感光体ドラム10に導く。そして、露光装置12は、上述の上位装置からの画像データに応じて、帯電した感光体ドラム10表面を画像データに応じた光で照射し、感光体ドラム10表面に静電潜像を形成可能である。
黄色用の現像装置HYは、黄色のトナー及びキャリアを含む現像剤を前記静電潜像に対向するように保持することで、静電潜像にトナーを付与し、静電潜像をトナー像として現像することができる。このトナー像は一次転写ローラ20によって中間転写ベルトB1に一次転写される。一次転写ローラ20の詳細については後述する。
クリーニングブレード35は、感光体ドラム10に接するように配されたブレード状の部材である。クリーニングブレード35は一次転写後、感光体ドラム10の表面に残留した現像剤を除去する。
除電装置13は光源を備え、クリーニングブレード35による現像剤除去後、感光体ドラム10の表面を光源からの光によって除電し、次の画像形成に備える。
一次転写ローラ20は、中間転写ベルトB1の裏面に、中間転写ベルトB1の移動方向において前記一次転写位置10Sより下流の電圧印加位置20Sで接するように配される。一次転写ローラ20には、図示しない電源からトナー像中のトナーとは逆極性(本実施形態ではマイナス)の電圧を印加されるようになっている。つまり、一次転写ローラ20は、電圧印加位置20Sにて、中間転写ベルトB1にトナーと逆極性の電圧を印加することができる。中間転写ベルトB1は導電性を有するので、この印加電圧によって、電圧印加位置20Sの中間転写ベルトB1の表面側及びその周辺にトナーが引き付けられる。
そこで、本実施形態では、前記一次転写位置10Sを、この印加電圧によってトナーが中間転写ベルトB1側に引き付けられる範囲内に配する。その結果、感光体ドラム10から中間転写ベルトB1の表面へトナーが移動し、一次転写が行われる。
このように一次転写が可能であれば、一次転写ローラ20の具体的な構成は特に限定されず、具体的な構成は適宜変更可能である。本実施形態においては、一次転写ローラ20は、感光体ドラム10の回転軸と平行な回転軸を中心として感光体ドラム10と逆方向に回転可能な、つまり電荷印加位置20Sでの移動方向が中間転写ベルトB1と同方向になるように回転可能な、略円柱状の部材とする。
本実施形態では、キャリア除去ローラ30は、感光体ドラム10の回転軸と平行な回転軸を中心として感光体ドラム10と同方向に回転可能な略円柱状の部材であるとするが、これに限定されるものではなく、中間転写ベルトB1の移動方向において電荷印加位置20Sよりも下流、二次転写位置よりも上流で中間転写ベルトB1表面からキャリアを除くことができればよい。具体的には、キャリア除去ローラ30は、中間転写ベルトB1の表面に接することによって、中間転写ベルトB1表面のキャリアを自身の表面に移動させることができるようになっていればよい。
一次転写時には、トナーと共にキャリアも感光体ドラム10から中間転写ベルトB1へと少量転移することがある。このキャリアの転移は、下流側の画像形成部における一次転写を妨げて画像のぼけ及びにじみ等の画像の不具合を引き起こす場合がある。キャリア除去ローラ30を設けることによって、このような画像の不具合を防ぐことができる。
本実施形態では、キャリア除去ローラ30が、中間転写ベルトB1の移動方向において前記電荷印加位置20Sよりも下流で中間転写ベルトB1の表面に接するように配置される。前記キャリア除去ローラ30は、上述のクリーニングブレード35と共に、クリーニングユニット31に組み込まれている。クリーニングユニット31は、画像形成ユニットFY内に設けられており、クリーニングブレード35及びキャリア除去ローラ30の他に、キャリア除去ローラ30の表面に接することでキャリア除去ローラ30表面に付着したキャリアを除去するキャリア除去ブレード31bと、キャリア除去ローラ30から除去されたキャリア、及び感光体ドラム10表面からクリーニングブレード35によって除去された現像剤(トナー及びキャリアを含む)とを、クリーニングユニット31の外部に搬送する搬送部材31cを備える。画像形成ユニットFYはさらに、搬送部材31cによって搬送されたキャリア及びトナーを再利用するため、キャリアとトナーとを分離する分離部等を備えてもよい。
次に、現像装置HYの構成について説明する。各色の現像装置HY、HM、HC、HBの構成は同等である。
現像装置HYは、現像容器40、現像ローラ40a、磁気ローラ(マグローラ)40b、汲み上げローラ40c、撹拌スパイラル40d及び40e、磁気ローラドクターブレード40gを備える。
現像容器40は、内部に黄色のトナー(トナー粒子)とキャリアからなる現像剤を貯留する。撹拌スパイラル40d及び40eは、現像容器40の現像剤に全体が浸るように設けられ、現像剤を撹拌する。撹拌スパイラル40dと40eの回転によってトナーがキャリアに均一に分散される。
汲み上げローラ40cは現像容器の現像剤にその一部が浸るように配置され、現像剤をその表面に付着させて汲み上げる。この汲み上げローラ40cに接するようにして磁気ローラ40bが配置され、汲み上げローラ40cから現像剤の供給を受ける。磁気ローラ40bは現像ローラ40aのカウンター方向に回転し、ニップ近傍において、現像剤の引き剥がしと現像剤の載せとを同時に行っている磁気ローラドクターブレード40gが設けられる。磁気ローラドクターブレード40gは、磁気ローラ40bの表面の現像剤層厚を所定量になるように規制する。磁気ローラ40bと接するように現像ローラ40a(現像器ともいう)が配置され、その表面に磁気ローラ40bから現像剤が付与される。磁気ローラ40bの現像剤の層厚が所定値に規制されているので現像ローラ40aの表面に形成される現像剤の層厚も所定値に保たれる。この現像ローラ40aは感光体ドラム10と接し、感光体ドラム10の表面の静電潜像の電位と現像ローラ40aに印加される現像バイアス値の電位差によって上位装置から形成指示された画像に応じたトナー像が感光体ドラム10表面に形成される(現像動作)。
本発明の画像形成装置では、前記現像ローラ40aに印加される現像バイアス値(電圧値、単にバイアス値とする)を調整することで、トナー像の画像濃度補正を行うことを特徴としている。
感光体ドラム10への現像動作を終えた現像ローラ40aの表面の現像剤は、磁気ローラ40bを介して、磁気ローラドクターブレード40gによって除去され、磁気ローラドクターブレード40gの表面に沿って流下し図示しない流路を通って現像容器40に貯留されている現像剤と混合される。
又、現像容器にはトナー濃度センサー40hが配置され、現像容器40内の現像剤のトナー濃度を検出する。トナー濃度が所定値より低いことが検出された場合には、図示しないトナーカートリッジからトナー(所定値よりトナー濃度が高い現像剤)が現像容器40に供給され、トナー濃度が所定値より高い場合には図示しないキャリアカートリッジからキャリアがトナー容器40に供給される。
このような構成の下、パーソナルコンピュータ(PC)等の上位装置から画像形成の指示を受けた画像形成装置1は、指示を受けた画像データに対応した各色のトナー像を画像形成ユニットFY、FM、FC、FBを用いて形成する。各画像形成部で形成されたトナー像は中間転写ベルトB1に転写されて、中間転写ベルトB1上で重ね合わされてカラートナー像となる。
このカラートナー像の形成と同期して用紙収容部2に収容されている用紙が図示しない給紙装置で用紙収容部2から一枚ずつ取り出されて、用紙搬送部6上を搬送される。そして、用紙は中間転写ベルトB1への一次転写とタイミングを合わせて二次転写部3に送り込まれ、二次転写部3で中間転写ベルトB1上のカラートナー像が用紙に二次転写される。カラートナー像が転写された用紙はさらに定着部4に搬送されて熱と圧力によりカラートナー像が用紙に定着される。さらに用紙は排紙装置5によって画像形成装置1の外周に設けられた排紙トレイ部7に排紙される。二次転写後、中間転写ベルトB1に残留したトナーは、クリーニング部B2によって中間転写ベルトB1から除去される。
又、所定のタイミングで中間転写ベルトB1に形成されたパッチのパッチ濃度及び中間転写ベルトB1の地肌濃度を検出するための2つの濃度検出センサー605、606が、ブラックの画像形成ユニットFBと二次転写部3との間の所定の位置に設けられている。ブラックの画像形成ユニットFBは、他の画像形成ユニットFY、FM、FCと比較すると、中間転写ベルトB1の回転方向に対して最下流に位置する。そのため、濃度検出センサー605、606は、複数の画像形成ユニットFY、FM、FC、FBのうち、いずれかによってパッチが中間転写ベルトB1上に形成されたとしても、いずれのパッチのパッチ濃度を検出できるよう構成されている。
又、当該濃度検出センサー605、606は、パッチが形成される中間転写ベルトB1の位置に対応した位置に予め設けられるが、本発明の実施形態では、中間転写ベルトB1の両端近傍にそれぞれ二つ設けられる。当該濃度検出センサー605、606は、各色毎のパッチのパッチ濃度又は地肌濃度を検出可能なセンサーであれば、どのような形態でも構わないが、例えば、パッチ又は中間転写ベルトB1上の地肌を光源からの光で照射し、反射光強度を受光センサーで検出して光の強度情報を濃度に変換する反射型の濃度検出センサー605、606が該当する。
尚、前記濃度検出センサー605、606は、後述するベタ帯画像のトナー濃度の検出にも利用される。
図3は、本実施形態における画像形成装置1の制御関連の概略構成図である。
画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)301、RAM(Random Access Memory)302、ROM(Read Only Memory)303、HDD(Hard Disk Drive)304及び前記印刷における各駆動部に対応するドライバ305が内部バス306を介して接続されている。前記CPU301は、例えばRAM302を作業領域として利用し、ROM303やHDD304等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて前記ドライバ305とデータや命令を授受することにより前記図1に示した各駆動部の動作を制御する。又、前記駆動部以外の後述する各手段(図4に示す)についても、CPU301がプログラムを実行することで各手段として動作する。
<本発明の実施形態>
次に、図4、図5を参照しながら、本発明の実施形態に係る構成及び実行手順について説明する。図4は、本発明の画像形成装置の機能ブロック図である。又、図5は、本発明の実行手順を示すためのフローチャートである。
先ず、ユーザが、画像形成装置1に電源を投入すると、当該画像形成装置1が起動して、当該画像形成装置1のキャリブレーション手段401が、主走査方向の書き出しタイミングを調整するか否かを判定する(図5:S101)。
前記キャリブレーション手段401が、前記主走査方向の書き出しタイミングを調整するか否かを判定する方法は、どのような方法でも構わない。例えば、前記キャリブレーション手段401が、画像形成装置1に始めて電源が投入された時点、所定の枚数を印刷した時点、所定量のトナーを消費した時点、用紙収容部2に用紙が収容された時点、複数の用紙収容部2がある場合に用紙取り出しの際の用紙収容部2を変更した時点等の特定の時点であるか否かを判定する方法を採用することが出来る。
ここで、先ほど、画像形成装置1が起動したため、前記キャリブレーション手段401は、前記主走査方向の書き出しタイミングを調整すると判定し(図5:S101YES)、その旨を形成測定手段402に通知する。当該通知を受けた形成測定手段402は、前記主走査方向の書き出しタイミングを調整するために、主走査方向に沿って直線状の第一のパッチと、当該第一のパッチに対して所定の基準距離だけ空けて主走査方向に対して所定の鋭角を有する斜め状の第二のパッチとを有するパッチパターンを中間転写ベルト上に形成し、濃度検知センサーを用いて、第一のパッチと第二のパッチとの間の距離に対応するパッチ間時間を測定する。
前記形成測定手段402が前記パッチパターンを形成する方法は、どのような方法でも構わないが、例えば、以下のようになされる。
即ち、前記形成測定手段402が、帯電器11で感光体ドラム10の表面に一様に帯電させるとともに、所定のメモリに予め記憶された前記パッチパターンに対応する画像データを読み取って、当該画像データに基づいて、露光装置12のレーザースキャナユニットの偏光器(ポリゴンミラー)を所定の回転速度VL(mm/sec)(=主走査方向の速度)で回転し、主走査方向の書き出しタイミングをレーザースキャナユニットの所定の基準からの経過時間T1(sec)として、前記パッチパターンの静電潜像を形成する。そして、前記形成測定手段402が、中間転写ベルトB1を所定の回転速度VP(mm/sec)(=副走査方向の速度)で回転するとともに、現像装置により、静電潜像に対応するトナー像のパッチパターンを前記回転中の中間転写ベルトB1に形成する(図5:S102)。
ここで、前記パッチパターン600は、図6(A)に示すように、直線状の第一のパッチ601と、所定の鋭角が45度である斜め状の第二のパッチ602とを一対のパッチとして備え、当該第一のパッチ601と当該第二のパッチ602との間の距離が、所定のメモリーに予め記憶された基準距離LD(mm)とされる。又、前記パッチパターン600は、中間転写ベルトB1上の濃度を検知する濃度検知センサー605、606の検知領域605a、606aに対応した位置にそれぞれ2つ形成され、一対のパッチが複数副走査方向に配置された形態とされる。
仮に、主走査方向の書き出しタイミングにずれが生じていなければ、図6(A)に示すように、前記パッチパターン600が、前記濃度検知センサー605、606の検知領域605a、606aに対応した位置に形成され、当該濃度検知センサー605、606で検知される一対のパッチの間の距離、言い換えると、第一のパッチ601と当該第二のパッチ602との間の距離が、基準距離LD(mm)と一致することになる。
しかしながら、画像形成装置1の環境変化、温度変化等の何らかの理由により、主走査方向の書き出しタイミングT1にずれが生じて、例えば、図6(B)に示すように、前記パッチパターン600が、主走査方向の下流側(右方向)にずれた場合、前記第二のパッチ602が斜め状であることから、前記第一のパッチ601と当該第二のパッチ602との間の距離LS(mm)が基準距離TD(mm)よりも長くなる。尚、前記パッチパターン600が、主走査方向の上流側(左方向)にずれた場合は、前記第一のパッチ601と当該第二のパッチ602との間の距離LS(mm)が基準距離LD(mm)よりも短くなる。
そこで、前記第一のパッチ601と当該第二のパッチ602との間の距離LS(mm)、言い換えると、この距離LS(mm)に対応するパッチ間時間TS(sec)を測定し、前記基準距離LD(mm)に副走査方向の速度VP(mm/sec)で除算した、当該基準距離LD(mm)に対応する基準時間TS(sec)と比較することで、主走査方向の書き出しタイミングT1がずれているか否かが明らかになる。
そのため、前記形成測定手段402は、前記形成したパッチパターン600のうち、濃度検知センサー605、606を用いて、当該パッチパターン600の第一のパッチ601と第二のパッチ602との間の距離LS(mm)に対応するパッチ間時間TS(sec)を測定する(図5:S103)。
ここで、一つのパッチパターン600では、前記パッチ間時間TS(sec)を測定可能な一対のパッチが複数、副走査方向に配置されているため、前記形成測定手段402は、一つのパッチパターン600から、一対のパッチの数に対応するパッチ間時間TS(sec)を測定し、その測定値の平均値をパッチ間時間TS(sec)とすることで、主走査方向の書き出しタイミングT1のずれの検知精度を向上させる。
又、二つの濃度検知センサー605、606に対応して、二つのパッチパターン600が形成されるため、前記形成測定手段402は、二つのパッチパターン600から測定される複数のパッチ間時間TS(sec)を平均化して、その平均値をパッチ間時間TS(sec)とすることで、更に、主走査方向の書き出しタイミングT1のずれの検知精度を向上させることが可能となる。
さて、前記形成測定手段402がパッチ間時間TS(sec)の測定を完了すると、その旨を判定手段403に通知し、当該通知を受けた判定手段403は、前記測定されたパッチ間時間TS(sec)が前記基準時間TD(sec)を中心とする第一の範囲内に含まれるか否かを判定する(図5:S104)。
ここで、前記第一の範囲は、例えば、前記基準時間TD(sec)を中心として、当該基準時間TD(sec)に所定の割合(例えば、0.1%)を乗算した乗算値を算出し、当該基準時間TD(sec)に乗算値を加算した加算値を第一の範囲の上限値とし、当該基準時間TD(sec)に乗算値を減算した減算値を第一の範囲の下限値として構成される。
前記判定の結果、前記パッチ間時間TS(sec)が前記第一の範囲内に含まれない場合には(図5:S104NO)、前記判定手段403は、主走査方向の書き出しタイミングにずれが生じていると判定し、その旨を調整手段404に通知し、当該通知を受けた調整手段404は、前記パッチ間時間TS(sec)と前記基準時間TD(sec)との差分に基づいて主走査方向の書き出しタイミングを調整する(図5:S105)。
具体的には、前記調整手段404は、前記パッチ間時間TS(sec)から前記基準時間TD(sec)を減算した減算値に副走査方向の速度VP(mm/sec)を乗算し、更に、主走査方向の速度VL(mm/sec)を除算して、前記パッチパターン600の主走査方向のズレ時間TX(sec)を算出する。図6(B)では、前記ズレ時間TX(sec)に対応するズレ量LX(mm)を示している。そして、前記調整手段404は、前記レーザースキャナユニットの所定の基準からの経過時間T1(sec)に前記ズレ時間TX(sec)だけ減算した減算値(T1−TX)を新たな経過時間T2(cse)とし、前記主走査方向の書き出しタイミングを、前記レーザースキャナユニットの所定の基準からの新たな経過時間T2(sec)として設定する。これにより、前記主走査方向の書き出しタイミングを調整することが可能となる。
例えば、前記基準時間TS(sec)が0.322580secであり、前記副走査方向の速度VP(mm/sec)が155mm/secであり、前記主走査方向の速度VL(mm/sec)が1675mm/secであり、前記パッチ間時間TD(sec)が0.324193secである場合、前記第一の範囲の上限値が0.32290258secであり、前記第一の範囲の下限値が0.32225742secであり、前記パッチ間時間TD(sec)が第一の範囲内に含まれない。そのため、(TD−TS)*VP/VL=0.000149secとなるため、これをズレ時間TX(sec)として、予め設定された主走査方向の書き出しタイミングから当該ズレ時間TX(sec)を減算することで、次回の主走査方向の書き出しタイミングを適切に補正することが可能となる。
又、前記調整手段404は、前記主走査方向の書き出しタイミングの調整を完了すると、前記第一のパッチ601及び第二のパッチ602の主走査方向の寸法を前記濃度検知センサー605、606の検知領域605a、606aの主走査方向の寸法に対応させて、当該パッチ幅を変更する(図5:S106)。
具体的には、図7(A)に示すように、前記調整手段404が、前記パッチパターン600の第一のパッチ601及び第二のパッチ602の主走査方向の寸法を前記濃度検知センサー605、606の検知領域605a、606aの主走査方向の寸法に丁度一致させて、当該パッチ幅を狭める。尚、前記パッチ幅の変更は、各濃度検知センサー605、606に対応するパッチパターン600(第一のパッチ601及び第二のパッチ602)毎に行われる。
これにより、第一のパッチ601及び第二のパッチ602の主走査方向の寸法(幅)を狭くすることで、無駄なトナー消費量を削減することが可能となる。又、前記第一のパッチ601及び第二のパッチ602は、通常、主走査方向の書き出しタイミングの調整以外のキャリブレーション、例えば、色ズレ補正、カラーレジストレーション調整、濃度補正等にも利用することが可能であることから、共通するパッチ601、602の幅を狭めることで、各キャリブレーション毎の無駄なトナー消費量を削減することが可能となる。又、上述で、主走査方向の書き出しタイミングを正確に調整したことから、各パッチの幅を濃度検知センサー605、606の検知領域605a、606aに対応するように限界まで狭めたとしても、精度が悪化することも無い。
また、通常のパッチ601、602は、濃度検知センサー605、606との相対位置等のある程度の公差を考慮して、当該濃度検知センサー605、606の検知領域605a、606aの主走査方向の寸法よりも比較的長く構成されている。本発明では、前記主走査方向の書き出しタイミングを正確に調整した後であれば、上述した公差を考慮する必要が無くなるから、各パッチの幅を限界まで狭めることで、無駄なトナー消費量を防止するとともに、パッチ601、602の検知精度を限界まで維持することが可能となる。
前記調整手段404が、パッチの幅の変更を完了すると、その旨を判定手段403に通知して、当該通知を受けた判定手段403は、次の処理を行う(図5:S107)。
一方、S104において、前記パッチ間時間TS(sec)が前記第一の範囲内に含まれる場合には(図5:S104YES)、前記判定手段403は、主走査方向の書き出しタイミングにずれが生じていないと判定し、特に何もせず、次の処理に取り掛かる(図5:S107)。
S107では、前記判定手段403は、次に、画像形成装置1に予め設けられた温度センサーを用いて、当該画像形成装置1の環境温度を測定し、当該測定した環境温度が、基準温度を中心とする第二の範囲内に含まれるか否かを判定する(図5:S107)。
ここで、前記基準温度は、前記画像形成装置1が通常設置される温度、例えば、常温とされ、前記第二の範囲は、例えば、前記基準温度を中心として、当該基準温度に所定の設定値(例えば、20度)を加算した加算値を第二の範囲の上限値とし、当該基準温度に前記設定値を減算した減算値を第二の範囲の下限値として構成される。
前記判定の結果、前記環境温度が前記第二の範囲内に含まれる場合には(図5:S107YES)、前記判定手段403は、主走査方向の書き出しタイミングが今後ずれる可能性がないと判定し、特に何もせず、処理を終了する。これで、前記主走査方向の書き出しタイミングの調整は終了する。
一方、S107において、前記判定の結果、前記環境温度が前記第二の範囲内に含まれない場合には(図5:S107NO)、前記判定手段403は、主走査方向の書き出しタイミングが今後ずれる可能性があると判定し、その旨を調整手段404に通知する。当該通知を受けた調整手段404は、前記パッチ幅を変更した第一のパッチ601及び第二のパッチ602の両端に、当該パッチ601、602の副走査方向の寸法を狭くした線部を略主走査方向にそれぞれ延出して追加する(図5:S108)。
具体的には、図7(B)に示すように、前記調整手段404が、前記濃度検知センサー605、606の検知領域605a、606aの主走査方向の寸法に対応させた第一のパッチ601及び第二のパッチ602の両端に、当該パッチ601、602の副走査方向の寸法よりも数倍狭くした寸法を有する線部701、702を追加して、当該パッチ601、602の主走査方向の寸法を、パッチ幅を狭くする前の予め設定されたパッチ601、602の主走査方向の寸法に対応するようにする。前記第一のパッチ601であれば、主走査方向に、両端から線部701が延出される。又、前記第二のパッチ602であれば、当該第二のパッチ602の軸方向、言い換えると、主走査方向に対して所定の鋭角を有する方向に、両端から線部702が延出される。つまり、前記調整手段404が、前記第一のパッチ601及び第二のパッチ602の、前記濃度検知センサー605、606の検知領域605a、606aよりも外の領域では線部701、702が現れることになる。
これにより、図7(A)に示すように、前記パッチ幅を前記濃度検知センサー605、606の検知領域605a、606aに対応させたパッチ601、602で主走査方向の書き出しタイミングを調整したり他のキャリブレーションを実行したりする方が、無駄なトナー消費量を抑える点で有利であるものの、温度変化によって、例えば、露光装置12を含む主走査光学装置内のレンズ系の屈折率変化や線膨張に起因する主走査方向の書き出しタイミングのずれが発生するから、図7(B)に示すように、前記パッチ601、602に線部701、702を設けることで、前記主走査方向の書き出しタイミングのずれが更に生じたとしても、それを検知することが可能となる。
又、前記線部701、702は、前記パッチ601、602の副走査方向の寸法よりも数倍小さい(薄い)構成であるため、仮に、環境変化等により主走査方向の書き出しタイミングのずれが生じたとしても、色ズレ補正等のキャリブレーションの検知に対する影響を最小限に抑えることが可能となる。
S108において、前記調整手段404が、前記線部701、702の追加を完了すると、処理を終了する。これで、前記主走査方向の書き出しタイミングの調整は終了することになる。
このように、本発明は、前記主走査方向の書き出しタイミングのキャリブレーションをする際に、主走査方向に沿って直線状の第一のパッチ601と、当該第一のパッチ601に対して所定の基準距離だけ空けて主走査方向に対して所定の鋭角を有する斜め状の第二のパッチ602とを有するパッチパターン600を中間転写ベルトB1上に形成し、濃度検知センサー605、606を用いて、第一のパッチ601と第二のパッチ602との間の距離LSに対応するパッチ間時間TSを測定する形成測定手段402と、前記測定されたパッチ間時間TSが前記基準距離LDに対応する基準時間TDを中心とする第一の範囲内に含まれるか否かを判定する判定手段403と、前記判定の結果、前記パッチ間時間TSが前記第一の範囲内に含まれない場合に、前記パッチ間時間TSと前記基準時間TDとの差分に基づいて主走査方向の書き出しタイミングを調整する調整手段404とを備えることを特徴とする。
これにより、走査方向の書き出しタイミングを精度高く調整することが可能となる。
尚、本発明では、一つの用紙収容部2を想定したが、画像形成装置1に複数の用紙収容部が備えられている場合に、各用紙収容部2毎に前記主走査方向の書き出しタイミングのキャリブレーションがなされるよう構成すると好ましい。これにより、用紙収容部2に収納される用紙は、収容時に主走査方向で多少ズレが生じているため、そのズレを各用紙収容部2毎の主走査方向の書き出しタイミングのキャリブレーションにより解消することが可能となる。
又、本発明では、前記判定手段403が、前記測定した環境温度が前記第二の範囲内に含まれるか否かを判定するよう構成したが、他の構成でも構わない。例えば、環境温度に対する主走査方向の書き出しタイミングのずれは、温度の大小によって多段階に判定された方が、効率よくパッチの形態を変更し、無駄なトナー消費量を抑えることが可能となる。そのため、例えば、前記第二の範囲よりも狭い範囲の第三の範囲を更に設けて、前記判定手段403が、前記測定した環境温度が前記第三の範囲外であり、且つ前記第二の範囲内であるか否かを判定するよう構成しても良い。前記第二の範囲が、例えば、基準温度(中心)に対して20度の幅を有する範囲であれば、前記第三の範囲は、例えば、基準温度に対して10度の幅を有する範囲とされる。
又、本発明は、タッチダウン現像方式を想定したが、どのような画像形成装置でも構わない。尚、タッチダウン現像方式とは、トナー及びキャリアを含有する二成分の現像剤を担持する磁気ローラからトナーのみを転移させることにより現像スリーブ上にトナー薄層を形成させ、静電潜像が形成された感光体の表面に、前記トナー薄層からトナーを飛翔させて静電潜像をトナー像として現像する方式のことである。
又、本発明の実施形態では、画像形成装置1が各手段を備えるよう構成したが、当該各手段を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。当該構成では、前記プログラムを画像形成装置1に読み出させ、当該画像形成装置1が前記各手段を実現する。その場合、前記記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。更に、各手段が実行するステップをハードディスクに記憶させる方法として提供することも可能である。