以下に、添付図面を参照して、本発明の画像形成装置の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。また、フローチャートにおける数字の前に付されたアルファベット「S」はステップを意味する。
<画像形成装置>
以下、本発明に係る画像形成装置1について説明する。
図1は、本実施形態の画像形成装置1の概略構成図である。
画像形成装置1は、画像データに基づいてトナー画像を形成するタンデム式の画像形成部A1、用紙を収容する用紙収容部2、画像形成部A1で形成されたトナー画像を用紙上に転写する二次転写部3を備えている。また、転写されたトナー画像を用紙上に定着させる定着部4、定着の完了した用紙を排紙する排紙装置5、及び、排紙された用紙を受ける排紙トレイ7を備えている。さらに、画像形成装置1は、用紙収容部2から排紙装置5まで用紙を搬送する用紙搬送部6を備えている。
画像形成部A1は、中間転写ベルトB1(中間転写体)、中間転写ベルトB1のクリーニング部B2、並びに、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色にそれぞれ対応した画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBを備える。
中間転写ベルトB1は、導電性を有する使用可能な用紙搬送方向に直角な方向の長さが最大の用紙より幅広であって、無端状、すなわちループ状のベルト状部材であり、図1において時計回りに循環駆動される。
画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBは、中間転写ベルトB1に沿って、中間転写ベルトB1の移動方向において、中間転写ベルトB1のクリーニング部B2より下流かつ二次転写部3の上流に、この順に配される。なお、各画像形成ユニットFY、FM、FC、FBの配置の順番はこの限りではないが、各色の混色による完成画像への影響を配慮すると、この配置が好ましい。画像形成ユニットの配置は、当該画像形成ユニット間の間隔が均等になるように配置される。
次に、この画像形成装置1の画像形成動作を説明する。図2は、画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBの1つの詳細図である。各画像形成ユニットFY、FM、FC、FBはほぼ同等な構成となっている。
画像形成ユニットFYは、感光体ドラム(像担持体)10、帯電器11、LED露光装置12、黄色用の現像装置HY、一次転写ローラ(電圧印加部)20、感光体ドラム10のクリーニングブレード35、除電装置13、キャリア液除去ローラ(キャリア除去部材)30を備える。
尚、他の画像形成ユニットFM、FC、FBはそれぞれの色に対応した現像装置HM、HC、HBを備える。又、画像形成ユニットのうち、中間転写ベルトB1の移動方向の最下流側に位置する画像形成ユニットFBには、その下流に画像形成部が位置しないためキャリア液除去ローラ30が設けられていないが、その他の構成は同一である。
感光体ドラム10は、その表面に帯電(本実施形態ではプラス極性に帯電)したトナーを含むトナー像を担持することができるようになっていればよい。
本実施形態において、感光体ドラム10は、中間転写ベルトB1の移動方向に垂直かつ中間転写ベルトB1の面方向に平行な回転軸を中心に回転可能に配される略円筒状の部材とする。又、感光体ドラム10は、中間転写ベルトB1の表面に、所定の一次転写位置10Sにて接するようになっている。そして、感光体ドラム10は、一次転写位置10Sでの移動方向が中間転写ベルトB1の移動方向と同方向になるように、つまり図2においては反時計回りに回転可能である。
クリーニングブレード35、除電装置13、帯電器11、露光装置12、黄色用の現像装置HYは、感光体ドラム10の回りに、上述の回転方向に沿って、一次転写位置から見てこの順に配される。
帯電器11は、感光体ドラム10表面を一様に帯電させることができる。露光装置12は、LED等の光源を有し、上述の上位装置からの画像データに応じて、帯電した感光体ドラム10表面を画像データに応じた光で照射し、感光体ドラム10表面に静電潜像を形成可能である。
黄色用の現像装置HYは、黄色のトナー及び液体のキャリアを含む現像剤を上記静電潜像に対向するように保持することで、静電潜像にトナーを付与し、静電潜像をトナー像として現像することができる。このトナー像は一次転写ローラ20によって中間転写ベルトB1に一次転写される。一次転写ローラ20の詳細については後述する。
クリーニングブレード35は、感光体ドラム10に接するように配されたブレード状の部材である。クリーニングブレード35は一次転写後、感光体ドラム10の表面に残留した現像剤を除去する。
除電装置13は光源を備え、クリーニングブレード35による現像剤除去後、感光体ドラム10の表面を光源からの光によって除電し、次の画像形成に備える。
一次転写ローラ20は、中間転写ベルトB1の裏面に、中間転写ベルトB1の移動方向において上記一次転写位置10Sより下流の電圧印加位置20Sで接するように配される。一次転写ローラ20には、図示しない電源からトナー像中のトナーとは逆極性(本実施形態ではマイナス)の電圧を印加されるようになっている。つまり、一次転写ローラ20は、電圧印加位置20Sにて、中間転写ベルトB1にトナーと逆極性の電圧を印加することができる。中間転写ベルトB1は導電性を有するので、この印加電圧によって、電圧印加位置20Sの中間転写ベルトB1の表面側及びその周辺にトナーが引き付けられる。
そこで、本実施形態では、上記一次転写位置10Sを、この印加電圧によってトナーが中間転写ベルトB1側に引き付けられる範囲内に配する。その結果感光体ドラム10から中間転写ベルトB1の表面へトナーが移動し、一次転写が行われる。
このように一次転写が可能であれば、一次転写ローラ20の具体的な構成は特に限定されず、具体的な構成は適宜変更可能である。本実施形態においては、一次転写ローラ20は、感光体ドラム10の回転軸と平行な回転軸を中心として感光体ドラム10と逆方向に回転可能な、つまり電荷印加位置20Sでの移動方向が中間転写ベルトB1と同方向になるように回転可能な、略円柱状の部材とする。
本実施形態では、キャリア除去ローラ30は、感光体ドラム10の回転軸と平行な回転軸を中心として感光体ドラム10と同方向に回転可能な略円柱状の部材であるとするが、これに限定されるものではなく、中間転写ベルトB1の移動方向において電荷印加位置20Sよりも下流、二次転写位置よりも上流で中間転写ベルトB1表面からキャリアを除くことができればよい。具体的には、キャリア除去ローラ30は、中間転写ベルトB1の表面に接することによって、中間転写ベルトB1表面のキャリアを自身の表面に移動させることができるようになっていればよい。
一次転写時には、トナーと共にキャリアも感光体ドラム10から中間転写ベルトB1へと少量転移することがある。このキャリアの転移は、下流側の画像形成部における一次転写を妨げて画像のぼけ及びにじみ等の画像の不具合を引き起こす場合がある。キャリア除去ローラ30を設けることによって、このような画像の不具合を防ぐことができる。
本実施形態では、キャリア除去ローラ30が、中間転写ベルトB1の移動方向において上記電荷印加位置20Sよりも下流で中間転写ベルトB1の表面に接するように配置される。上記キャリア除去ローラ30は、上述のクリーニングブレード35と共に、クリーニングユニット31に組み込まれている。クリーニングユニット31は、画像形成ユニットFY内に設けられており、クリーニングブレード35及びキャリア除去ローラ30の他に、キャリア除去ローラ30の表面に接することでキャリア除去ローラ30表面に付着したキャリアを除去するキャリア除去ブレード31bと、キャリア除去ローラ30から除去されたキャリア、及び感光体ドラム10表面からクリーニングブレード35によって除去された現像剤(トナー及びキャリアを含む)とを、クリーニングユニット31の外部に搬送する搬送部材31cを備える。画像形成ユニットFYはさらに、搬送部材31cによって搬送されたキャリア及びトナーを再利用するため、キャリアとトナーとを分離する分離部等を備えてもよい。
次に、現像装置HYの構成について説明する。各色の現像装置HY、HM、HC、HBの構成は同等である。
現像装置HYは、現像容器40、現像ローラ40a、供給ローラ40b、汲み上げローラ40c、撹拌スパイラル40d及び40e、クリーニングブレード45、並びに供給ローラドクターブレード40gを備える。
現像容器40は、内部に黄色のトナー粒子と液体のキャリアからなる現像剤を貯留する。撹拌スパイラル40d及び40eは、現像容器40の現像剤に全体が浸るように設けられ、現像剤を撹拌する。撹拌スパイラル40dと40eの回転によってトナー粒子がキャリア液に均一に分散される。
汲み上げローラ40cは現像容器の現像剤にその一部が浸るように配置され、現像剤をその表面に付着させて汲み上げる。この汲み上げローラ40cに接するようにして供給ローラ40bが配置され、汲み上げローラ40cから現像剤の供給を受ける。供給ローラ40bの回転方向の汲み上げローラ40cと接する位置の下流側に、供給ローラ40bの表面の現像剤の層厚を規制する供給ローラドクターブレード40gが設けられる。供給ローラドクターブレード40gは、供給ローラ40bの表面の現像剤層厚を所定量になるように規制する。供給ローラ40bと接するように現像ローラ40aが配置され、その表面に供給ローラ40bから現像剤が付与される。供給ローラ40bの現像剤の層厚が所定値に規制されているので現像ローラ40aの表面に形成される現像剤の層厚も所定値に保たれる。この現像ローラ40aは感光体ドラム10と接し、感光体ドラム10の表面の静電潜像の電位と現像ローラ40aに印加される現像バイアスの電位差によって上位装置から形成指示された画像に応じたトナー像が感光体ドラム10表面に形成される(現像動作)。
本発明の画像形成装置では、この現像バイアス(電圧)を調整することで、トナー像の画像濃度補正を行うことを特徴としている。
感光体ドラム10への現像動作を終えた現像ローラ40aの表面の現像剤は現像クリーニングブレード40fによって除去され、クリーニングブレード45の表面に沿って流下し図示しない流路を通って現像容器40に貯留されている現像剤と混合される。
また、現像容器にはトナー濃度センサ40hが配置され、現像容器40内の現像剤のトナー濃度を検出する。トナー濃度が所定値より低いことが検出された場合には、図示しないトナーカートリッジからトナー(所定値よりトナー濃度が高い現像剤)が現像容器40に供給され、トナー濃度が所定値より高い場合には図示しないキャリア液カートリッジからキャリア液がトナー容器40に供給される。
また、現像容器40には現像液液面センサ40iが配置され、現像容器40内の現像剤の液面が所定値かどうかを検出する。現像剤の液面が所定値より低いことを検出した場合には、図示しない配管を経由してトナーカートリッジ(図示しない)からトナーを、キャリア液カートリッジ(図示しない)からキャリア液をそれぞれ現像容器40に所定割合で供給し、液面が所定値になるように調整する。なお、現像剤調整装置を設けて、トナーとキャリア液を所定割合で混合した後、現像容器40に供給してもよい。現像剤の液面が所定値より高いことを検出した場合には、現像容器40に設けられた図示しない現像剤排出管から現像液を排出し図示しないリザーブタンク等に一時貯蔵する。
このような構成の下、パーソナルコンピュータ(PC)等の上位装置から画像形成の指示を受けた画像形成装置1は、指示を受けた画像データに対応した各色のトナー像を画像形成ユニットFY、FM、FC、FBを用いて形成する。各画像形成部で形成されたトナー像は中間転写ベルトB1に転写されて、中間転写ベルトB1上で重ね合わされてカラートナー像となる。
このカラートナー像の形成と同期して用紙収容部2に収容されている用紙が図示しない給紙装置で用紙収容部2から一枚ずつ取り出されて、用紙搬送部6上を搬送される。そして、用紙は中間転写ベルトB1への一次転写とタイミングを合わせて二次転写部3に送り込まれ、二次転写部3で中間転写ベルトB1上のカラートナー像が用紙に二次転写される。カラートナー像が転写された用紙はさらに定着部4に搬送されて熱と圧力によりカラートナー像が用紙に定着される。さらに用紙は排紙装置5によって画像形成装置1の外周に設けられた排紙トレイ部7に排紙される。二次転写後、中間転写ベルトB1に残留したトナーは、中間転写ベルトのクリーニング部B2によって中間転写ベルトB1から除去される。
又、所定のタイミングで中間転写ベルトB1に形成されたパッチのパッチ濃度及び中間転写ベルトB1の地肌濃度を検出するための濃度検出センサ400が、ブラックの画像形成ユニットFBと二次転写部3との間の所定の位置に設けられている。ブラックの画像形成ユニットFBは、他の画像形成ユニットFY、FM、FCと比較すると、中間転写ベルトB1の回転方向に対して最下流に位置する。そのため、濃度検出センサ400は、複数の画像形成ユニットFY、FM、FC、FBのうち、いずれかによってパッチが中間転写ベルトB1上に形成されたとしても、いずれのパッチのパッチ濃度を検出できるよう構成されている。又、当該濃度検出センサ400は、パッチが形成される中間転写ベルトB1の位置に対応した位置に予め設けられるが、本発明の実施形態では、中間転写ベルトB1の両端近傍にそれぞれ二つ設けられる。当該濃度検出センサ400は、各色毎のパッチのパッチ濃度又は地肌濃度を検出可能なセンサであれば、どのような形態でも構わないが、例えば、パッチ又は中間転写ベルトB1上の地肌を光源からの光で照射し、反射光強度を受光センサで検出して光の強度情報を濃度に変換する反射型の濃度検出センサ400が該当する。
図3は、本実施形態における画像形成装置1の制御関連の概略構成図である。
画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)301、RAM(Random Access Memory)302、ROM(Read Only Memory)303、HDD(Hard Disk Drive)304及び上記印刷における各駆動部に対応するドライバ305が内部バス306を介して接続されている。上記CPU301は、例えばRAM302を作業領域として利用し、ROM303やHDD304等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて上記ドライバ305とデータや命令を授受することにより上記図1に示した各駆動部の動作を制御する。また、上記駆動部以外の後述する各手段(図4に示す)についても、CPU301がプログラムを実行することで各手段として動作する。
<本発明の実施形態>
次に図4乃至図5を参照しながら、本発明の画像形成装置1が、キャリブレーション補正の精度を低下させることなく、当該補正に要する時間を短縮する手順について説明する。図4は、本発明の画像形成装置1の機能ブロック図である。図5は、本発明の実行手順を示すためのフローチャートである。
まず、ユーザが画像形成装置1に画像形成を実行させるために、図示しないコンピュータ(PC)から所定の画像データを当該画像形成装置1に送信すると、画像データ受信手段401が画像データを受信する(図5:S101)。
画像データ受信手段401が画像データを受信すると、画像形成手段402が、画像形成装置1の低電力状態(スリープ状態)を画像形成可能な状態(レディ状態)に移行し、画像データがカラー印刷データかモノクロ印刷データかを判定する(図5:S102)。
画像形成手段402が、受信した画像データがカラー印刷データかモノクロ印刷データかを判定する方法はどのような方法でも構わないが、例えば、ユーザがPCから画像形成装置1に画像データを送信する際に、当該画像データに付属させるカラー/モノクロ識別情報を画像形成手段402が参照して判定する方法が挙げられる。
画像形成手段402が、画像データはカラー印刷データであると判定した場合、4色分の画像形成ユニットFY、FM、FC、FBに対してキャリブレーション(画像濃度補正)を実行する(図5:S102YES)。キャリブレーションは、例えば、各色毎の画像形成ユニットFY、FM、FC、FBにおける所定の濃度に対応した現像バイアスの調整が該当する。
キャリブレーションを実行する場合、画像形成手段402が、パッチ形成手段403に、複数のパッチからなるパッチパターンを中間転写ベルトB1上に形成させるよう命令(指示)する(図5:S102YES→S103)。
パッチ形成手段403が画像形成手段402からの命令(指示)を受けると、画像形成ユニットFY、FM、FC、FBを制御して、中間転写ベルトB1上に相互に所定の間隔を空けて配置された複数のパッチからなるパッチパターンを形成する(図5:S103→S104)。
図6は、パッチ形成手段403が形成するパッチパターン600の概略図である。尚、図6の上下方向がパッチパターン600の上下方向に対応し、図6の左右方向がパッチパターン600の左右方向に対応する。
パッチ形成手段403が形成するパッチパターン600は、中間転写ベルトB1上に相互に所定の間隔Yを空けて配置された複数のパッチから構成される。ここで、パッチとは、所定の濃度を有する略均一な単色の試験画像であり、長方形状を有している。パッチの中間転写ベルトB1の回転方向の幅(以下、横幅とする)と、回転方向に直角な幅(以下、縦幅とする)は、画像形成装置1の性能、各色毎の画像形成ユニットFY、FM、FC、FBの性能、各画像形成ユニットFY、FM、FC、FB毎に使用されるトナーの品質、濃度検出センサ400の性能、中間転写ベルトB1の材質、サイズ等に応じて任意に設定される。
複数のパッチは、中間転写ベルトB1の回転方向(図6では左右方向)に対して一直線上に所定のピッチX(m)で配列される。各パッチ間に設けられる所定の間隔Y(m)、つまり、各パッチ間に設けられた中間転写ベルトB1の地肌の回転方向の幅Y(m)は、パッチの横幅X1(m)と同等に設定されている。例えば、各パッチの横幅X1が1.0cmであると、地肌の回転方向の幅Yは1.0cmである。当該構成により、パッチ濃度と地肌濃度とを交互に取得することが可能となる(後述する)。
又、パッチの種類は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の4種類である。各色毎のパッチの配置順は、中間転写ベルトB1の回転方向に対して上流から下流に配置された画像形成ユニットFY、FM、FC、FBの順番(以下、色順番とする)である。色順番で形成された4種類のパッチを一パッチ群601とすると、一パッチ群601を構成する各パッチの濃度は、共通の一のパッチ濃度が設定されている。又、パッチ群601は、中間転写ベルトB1の回転方向に対して上流から下流に4つ配置されており、各パッチ群毎のパッチ濃度は、中間転写ベルトB1の回転方向に対して下流へ向かって段階的に増加するように設定される。例えば、上流から下流までの各パッチ群に設定されたパッチ濃度は、40%、60%、80%、100%と設定される。当該設定により、濃度の階調調整を実行することが可能となる。
パッチの形成位置(パッチパターン600の形成位置)は、中間転写ベルトB1上の両端近傍602に位置する。当該両端近傍602は、二つの濃度検出センサ400の濃度検出位置811に対応し、二つの濃度検出センサ400がパッチのパッチ濃度を検出できるように構成されている。又、二つのパッチパターン600は、走査方向(図6では、上下方向)に対して同一のパッチが対向するに形成される。これにより、中間転写ベルトB1上の両端近傍におけるキャリブレーションを同時に並行して実行することになる。
パッチ形成手段403が、各パッチを中間転写ベルトB1上に形成する方法は、どのような方法でも構わないが、例えば、以下のような方法が挙げられる。
画像形成手段402からの命令を受けたパッチ形成手段403は、パッチパターン記憶手段404に記憶されているパッチパターンテーブルのパッチ形成タイミング(パッチ形成時刻、パッチ形成時間)を参照し、パッチパターン600を構成するパッチの個数に対応する所定数のパッチ形成タイミングを特定する。
図7(A)は、パッチパターンテーブル700の一例を示す図である。
パッチパターンテーブル700には、図7(A)に示すように、上記画像形成手段402からパッチ形成の命令が出されてからパッチの形成を開始するまでのタイミング(時間)を示すパッチ形成タイミング(sec)701と、形成するパッチの色を示すパッチ色702と、形成するパッチの濃度を示すパッチ濃度(%)703と、パッチを形成する中間転写ベルトB1上の位置を示すパッチ形成位置704(例えば、濃度検出センサ400の配置位置(濃度検出位置)に対応する「両端近傍」等)とが関連付けて記憶されている。尚、パッチ形成タイミングは、図7(A)の右方向から左方向へ向かって、時間が進むように設定されている。又、パッチ濃度は発明の理解を容易にするために各色毎に共通して百分率表示している。以下で説明するパッチ濃度、地肌濃度も同様である。
パッチ形成手段403が、上記パッチパターンテーブル700を用いて複数のパッチ形成タイミングを特定すると、パッチ形成手段403に予め備えられている第一のタイマーにより、画像形成手段402からの命令を受けた時点からの経過時間の計時を開始するとともに、当該経過時間が所定数のパッチ形成タイミングのうちから所定のパッチ形成タイミングと一致するまで待機する。
パッチ形成手段403が待機している状態で、第一のタイマーにより経過時間が所定のパッチ形成タイミング(例えば、「t0(sec)」)と一致すると、パッチ形成手段403は、一致したパッチ形成タイミングに対応するパッチ色(「イエロー」)とパッチ濃度(「C1(%)」)とパッチ形成位置(「両端近傍」)とをパッチパターンテーブル700から取得する。
ここで、濃度−現像バイアス記憶手段405には、各画像形成ユニットFY、FM、FC、FB毎に対して濃度−現像バイアスグラフがそれぞれ記憶されている。パッチ色等を取得したパッチ形成手段403は、濃度−現像バイアス記憶手段405に記憶されている濃度−現像バイアスグラフを参照して、取得したパッチ色(「イエロー」)に対応する濃度−現像バイアスグラフを特定する。
図7(B)は、イエローに対応する濃度−現像バイアスグラフの一例を示す図である。
濃度−現像バイアスグラフ705には、図7(B)に示すように、所定の濃度(%)706に対して所定の現像バイアス(電圧値)707が特定可能となるよう対応付けられている。又、濃度−現像バイアスグラフ705は、高い濃度に対して高い現像バイアスが対応付けて記憶されている。前記濃度−現像バイアスグラフ705は、画像形成手段402が画像データに基づいて画像形成する際に当該画像形成手段402により使用されるため、キャリブレーションの対象となる。
パッチ形成手段403が、パッチ色に対応する濃度−現像バイアスグラフ705を特定すると、取得したパッチ濃度に対応する現像バイアスを取得する。そして、パッチ形成手段403は、取得したパッチ色に対応する画像形成ユニットを当該現像バイアスで制御して、取得したパッチ形成位置に対応する中間転写ベルトB1上の所定の位置にパッチを形成する。
例えば、図7(A)に示すように、第一のタイマーが計時した、画像形成手段402からの命令を受けた時点からの経過時間が複数のパッチ形成タイミングのうちの最初のパッチ形成タイミング「t0(sec)」708と一致すると、パッチ形成手段403は、「t0(sec)」708に対応付けられたパッチ色「イエロー」709とパッチ濃度「C1(%)」(例えば、「40(%)」)710とパッチ形成位置「両端近傍」711とを取得する。次に、パッチ形成手段403は、図7(B)に示すように、パッチ色「イエロー」に対応する濃度−現像バイアスグラフ705を特定し、パッチ濃度「40(%)」710に対応する現像バイアス「VY40(V)」712を取得する。そして、パッチ形成手段403は、当該現像バイアス「VY40(V)」712でイエローの画像形成ユニットFYを制御してイエローのパッチを中間転写ベルトB1上のパッチ形成位置「両端近傍」712に形成する。パッチ形成手段403がパッチを形成する場合、形成するパッチが横幅X1となるように、画像形成ユニットFYを制御する。
これにより、一のパッチが中間転写ベルトB1上に形成される。
一のパッチを形成すると、パッチ形成手段403は、第一のタイマーで継続して計時している経過時間が、複数のパッチ形成タイミングのうちから次のパッチ形成タイミング「t1(sec)」と一致するまで待機することになる。
例えば、図7(A)に示すように、経過時間が次の「t1(sec)」713と一致すると、パッチ形成手段403は「t1(sec)」713に対応付けられたパッチ色「マゼンタ」714とパッチ濃度「C1(%)」715とパッチ形成位置「両端近傍」716とを取得する。そして、パッチ形成手段403は、パッチ色「マゼンタ」714に対応する濃度−現像バイアスグラフ(図示せず)を特定するとともに、パッチ濃度「C1(%)」715に対応する現像バイアス「VM40(V)」(図示せず)を取得する。更に、パッチ形成手段403は、当該現像バイアス「VM40(V)」でマゼンタの画像形成ユニットFMを制御してマゼンタのパッチを中間転写ベルトB1上のパッチ形成位置「両端近傍」に形成する。
このようにして、パッチ形成手段403は、パッチパターンテーブル700に記憶されている全てのパッチ形成タイミング(「t2(sec)」、「t3(sec)」、、、)についてパッチ形成の処理を繰返し実行し、パッチパターンを形成する。
パッチパターンテーブル700に記憶されているパッチ形成タイミング701とパッチ色702とパッチ濃度703とパッチ形成位置704とは、パッチ形成手段403が図6に示すパッチパターンを形成するように、各色毎の画像形成ユニットFY、FM、FC、FBの配置位置、各パッチ間に設けられる所定の間隔Y、パッチの横幅X1、中間転写ベルトB1の回転速度等に対応して設定されている。
図8は、各色毎の画像形成ユニットFY、FM、FC、FBの配置位置と濃度検出センサ400の配置位置との概略図(図8(A))と、中間転写ベルトB1上に形成されたパッチの平面概略図(図8(B))である。
尚、図8(A)、図8(B)では、中間転写ベルトB1は所定の回転速度V(m/sec)で回転され、各色毎の画像形成ユニットFY、FM、FC、FBは相互に所定の間隔Z(m)を空けて配置されているものとする。又、中間転写ベルトB1の最上流に配置されるブラックの画像形成ユニットFBと濃度検出センサ400とは所定の間隔W(m)を空けて配置されているものとする。
例えば、図8(A)、図8(B−a)に示すように、画像形成手段402からの命令を受信してからパッチ形成タイミング「t0(sec)」となると、パッチ形成手段403は、パッチ濃度「C1(%)」でパッチ色「イエロー」のパッチ801の形成を開始する。そして、当該パッチ801がパッチの横幅X1(m)となるように、パッチ形成手段403がイエローの画像形成ユニットFYを制御する。
次に、図8(B−b)に示すように、パッチ形成タイミング「t1(sec)」となると、パッチ形成手段403は、パッチ濃度「C1(%)」でパッチ色「マゼンタ」のパッチ802の形成を開始する。ここで、前記パッチ形成タイミング「t1(sec)」は、イエローの画像形成ユニットFYにより形成されたパッチ色「イエロー」のパッチ801の先端が、中間転写ベルトB1の回転によって、イエローの画像形成ユニットFYの画像形成位置803とマゼンタの画像形成ユニットFMの画像形成位置804との間の間隔Z(m)と所定のピッチX(m)とを加算した距離だけ移動するのに要した時間t0+Z/V+X/V(sec)に設定される。
更に、図8(A)、図8(B−c)に示すように、パッチ形成タイミング「t2(sec)」となると、パッチ形成手段403は、パッチ濃度「C1(%)」でパッチ色「シアン」のパッチ805の形成を開始する。ここで、前記パッチ形成タイミング「t2(sec)」は、マゼンタの画像形成ユニットFMにより形成されたパッチ色「マゼンタ」のパッチ802の先端が、中間転写ベルトB1の回転によって、マゼンタの画像形成ユニットFMの画像形成位置804とシアンの画像形成ユニットFCの画像形成位置806との間の間隔Z(m)と所定のピッチX(m)とを加算した距離だけ移動するのに要した時間t1+Z/V+X/V(sec)に設定される。
このように、パッチパターンテーブル700におけるパッチ形成タイミングは、イエローのパッチ801とマゼンタのパッチ802とシアンのパッチ805が相互に所定の間隔Y(m)を空けて中間転写ベルトB1上に形成されるように設定される。
前記シアンのパッチ805の後続に隣接して形成されるブラックのパッチも、上記と同様に設定されたパッチ形成タイミング等に基づいて形成されるため、その説明を割愛する。
又、パッチ形成手段403が図6に示すパッチパターンを形成するために、図7(A)に示すパッチパターンテーブル700には、複数のパッチ群に対して段階的に増加した複数のパッチ濃度(「C1(%)」=40(%)、「C2(%)」=60(%)等)と当該パッチ濃度に対応するパッチ形成時点とが設定されている。
例えば、図8(A)、図8(B−d)に示すように、パッチ形成タイミング「t4(sec)」となると、パッチ形成手段403は、パッチ濃度「C2(%)」でパッチ色「イエロー」のパッチ807の形成を開始する。ここで、パッチ濃度「C1(%)」で一パッチ群808の色順番の最初の色であるイエローのパッチ801と最後の色であるブラックのパッチ809(図7(B)では破線で示しているパッチ)とは所定の間隔U(m)空けて形成されるものとする。すると、前記パッチ形成タイミング「t4(sec)」は、パッチ濃度「C1(%)」のイエローのパッチ801の先端が、中間転写ベルトB1の回転によって、一パッチ群808における最初の色のパッチと最後の色のパッチとの間の間隔U(m)と所定のピッチX(m)とを加算した距離だけ移動するのに要した時間t0+U/V+X/V(sec)に設定される。
更に、図8(A)、図8(B−e)に示すように、パッチ形成タイミング「t5(sec)」となると、パッチ形成手段403は、パッチ濃度「C2(%)」でパッチ色「マゼンタ」のパッチ810の形成を開始する。ここで、前記パッチ形成タイミング「t5(sec)」は、パッチ濃度「C2(%)」のイエローのパッチ807の先端が、中間転写ベルトB1の回転によって、イエローの画像形成ユニットFYの画像形成位置803とマゼンタの画像形成ユニットFMの画像形成位置804との間の間隔Z(m)と所定のピッチX(m)とを加算した距離だけ移動するのに要した時間t4+Z/V+X/V(sec)に設定される。
さて、パッチ形成手段403が、パッチパターンテーブル700と濃度−現像バイアスグラフ705とを利用して、前記パッチパターンを構成する複数のパッチを中間転写ベルトB1上に形成すると、濃度取得手段406は、濃度検出センサ400を用いて当該パッチからパッチ濃度を取得するとともに、各パッチ間に設けられた所定の間隔Y(各パッチ間における中間転写ベルトB1上の地肌)から中間転写ベルトB1上の地肌濃度を取得する(図5:S104→S105)。
濃度取得手段406がパッチ濃度と地肌濃度とを取得する方法は、どのような方法でも構わないが、例えば、以下の方法が挙げられる。
パッチ形成手段403が、パッチパターンテーブル700に従って一のパッチを形成すると、濃度取得手段406が、パッチ形成手段403が形成したパッチに対応するパッチ色(例えば、「イエロー」)とパッチ濃度(例えば、「C1(%)」)とを取得する。そして、濃度取得手段406が、濃度取得タイミング記憶手段407に記憶されている濃度取得タイミングテーブルを参照し、取得したパッチ色に対応するパッチ濃度取得タイミングと地肌濃度取得タイミングとを特定する。
図9(A)は、濃度取得タイミングテーブルの一例を示す図である。
濃度取得タイミングテーブル900には、図9(A)に示すように、パッチ色901と、パッチ濃度を取得するタイミング(時間、時刻)を示すパッチ濃度取得タイミング(sec)902と、地肌濃度を取得するタイミングを示す地肌濃度取得タイミング(sec)903とが関連付けて記憶されている。
パッチ色901に対応するパッチ濃度取得タイミング902には、当該パッチ色901の画像形成ユニットがパッチの形成を開始した時点から、中間転写ベルトB1の回転により当該パッチの中心位置が濃度検出センサ400の濃度検出位置に到達した時点までの間の時間が設定されている。又、パッチ色901に対応する地肌濃度取得タイミング903には、当該パッチ色901の画像形成ユニットがパッチの形成を開始した時点から、中間転写ベルトB1の回転により当該パッチと後続に隣接するパッチとの間の中心に位置する中間転写ベルトB1の地肌が濃度検出センサ400の濃度検出位置に到達した時点までの間の時間が設定されている。前記パッチ濃度取得タイミング902と前記地肌濃度取得タイミング903は、各色毎の画像形成ユニットFY、FM、FC、FBの配置位置、パッチの横幅X1、中間転写ベルトB1の回転速度V、濃度検出センサ400の配置位置等に対応して適宜設定される。尚、本実施形態では、地肌濃度取得タイミング903は、パッチ濃度取得タイミング902よりも長い時間となる。
濃度取得手段406がパッチ濃度取得タイミング902と地肌濃度取得タイミング903とを特定すると、濃度取得手段406に予め備えられている第二のタイマーにより、パッチ形成手段403がパッチの形成を開始した時点からの経過時間の計時を開始するとともに、経過時間が、特定したパッチ濃度取得タイミング902となるまで待機する。
濃度取得手段406が待機している状態で、第二のタイマーによる経過時間がパッチ濃度取得タイミング902となると、濃度取得手段406は、濃度検出センサ400から出力される濃度(出力信号)を取得して、当該濃度を先ほど取得したパッチ色とパッチ濃度とに関連付けて濃度結果記憶手段408の濃度結果テーブルに記憶させる。
次に、第二のタイマーにて継続して計時している経過時間が地肌濃度取得タイミング903となると、濃度取得手段406は、濃度検出センサ400から出力される濃度(出力信号)を取得して、当該濃度を地肌に関する情報(例えば、「地肌」)に関連付けて前記濃度結果テーブルに記憶させる。
例えば、パッチ形成手段403がイエローのパッチの形成を開始すると、濃度取得手段406が、パッチ形成手段403からパッチ色「イエロー」とパッチ濃度「C1(%)」(例えば、「40(%)」)とを取得し、図9(A)に示すように、濃度取得タイミングテーブル900から当該パッチ色「イエロー」904に対応するパッチ濃度取得タイミング「t01(sec)」905と地肌濃度取得タイミング「t02(sec)」906を特定する。そして、濃度取得手段406は、パッチ形成手段403がイエローのパッチの形成を開始した時点からの経過時間が「t01(sec)」905となるまで待機する。当該経過時間が「t01(sec)」905となると、濃度取得手段406は、濃度検出センサ400から出力される濃度(例えば、「42%」)を取得する。濃度取得手段406は、濃度検出センサ400から取得した濃度「42%」をパッチ色「イエロー」とパッチ濃度「40(%)」とに関連付けて濃度結果テーブルに記憶させる。
ここで、図8(A)、図8(B−f)に示すように、パッチ色「イエロー」に関連付けられたパッチ濃度取得タイミング「t01(sec)」905は、イエローの画像形成ユニットFYがパッチ濃度「C1(%)」のイエローのパッチ801の形成を開始してから、中間転写ベルトB1の回転により当該パッチ801の中心位置が濃度検出センサ400の濃度検出位置811に到達するまでの時間t0+Z/V+Z/V+Z/V+W/V+0.5X1/V(sec)に設定される。そのため、濃度取得手段406は、イエローのパッチ801のパッチ濃度を適切にパッチ色「イエロー」に関連付けることが可能となる。
又、第二のタイマーにて継続して計時されている経過時間が「t02(sec)」906となると、濃度取得手段406は、濃度検出センサ400から出力される濃度(例えば、「1%」)を取得する。そして、濃度取得手段406は、濃度検出センサ400から取得した濃度「1%」を「地肌」に関連付けて濃度結果テーブルに記憶させる。
ここで、図8(A)、図8(B−g)に示すように、パッチ色「イエロー」に関連付けられた地肌濃度取得タイミング「t02(sec)」906は、イエローの画像形成ユニットFYがパッチ濃度「C1(%)」のイエローのパッチ801の形成を開始してから、中間転写ベルトB1の回転により当該パッチ801と後続に隣接するパッチ802との間の中心に位置する中間転写ベルトB1の地肌812が濃度検出センサ400の濃度検出位置811に到達するまでの時間t0+Z/V+Z/V+Z/V+W/V+0.5X/V(sec)に設定される。そのため、濃度取得手段406は、地肌濃度を適切に「地肌」に関連付けることが可能となる。
尚、他のパッチ色についても、上記と同様に設定されたパッチ濃度取得タイミング等に基づいてパッチ濃度等が取得されるため、その説明を割愛する。
図9(B)は、濃度結果テーブル907の一例を示す図である。
濃度結果テーブル907には、図9(B)に示すように、実測値に対応する濃度908と、パッチに関する情報(パッチ色、パッチ濃度)又は地肌に関する情報909とが関連付けて記憶される。
上述のようなパッチ濃度取得処理と地肌濃度取得処理とを、濃度取得手段406がパッチ色に応じて繰り返すことにより、濃度取得手段406は、中間転写ベルトB1上に形成されたパッチパターンからパッチ濃度と地肌濃度とを交互に取得することが可能となる。又、濃度取得手段406が、パッチ濃度取得タイミング902又は地肌濃度取得タイミング903に応じて、取得した濃度をパッチに関する情報(パッチ色、パッチ濃度)又は地肌に関する情報に関連付けて濃度結果テーブル907に記憶させるため、後述する画像濃度補正手段409が適切にキャリブレーションを実行することが可能となる。
濃度取得手段406の実行するパッチ濃度取得処理と地肌濃度取得処理は、パッチ形成手段403がパッチを形成する毎に実行される。
さて、濃度取得手段406が、パッチ形成手段403が形成したパッチからパッチ濃度と、当該パッチ間の地肌から地肌濃度とを全て取得すると、濃度結果テーブル907にはキャリブレーションに必要なデータが全て記憶されたことになるので、画像濃度補正手段409が濃度結果テーブル907に記憶されたデータ(パッチ濃度、地肌濃度)を利用してキャリブレーションを実行する(図5:S105→S106)。
画像濃度補正手段409がキャリブレーションを実行する方法は、どのような方法でも構わないが、例えば、以下の方法が挙げられる。
まず、画像濃度補正手段409は、濃度結果記憶手段408の濃度結果テーブル907から所定のパッチ色とパッチ濃度とに関連付けられたパッチ濃度を取得するとともに、当該パッチ濃度の直前(直近)に取得された地肌濃度(「地肌」に関連付けられた地肌濃度)を取得する。例えば、図9(B)に示す濃度結果テーブル907では、画像濃度補正手段409が、所定のパッチ濃度と、当該パッチ濃度の直下に記憶された地肌濃度とを取得することになる。次に、画像濃度補正手段409は、取得したパッチ濃度から地肌濃度を減算した値を補正前パッチ濃度として算出する。このような補正前パッチ濃度の算出処理を、画像濃度補正手段409は、濃度結果テーブル907に交互に記憶されたパッチ濃度と地肌濃度とを一対として、一対毎に補正前パッチ濃度を算出する。全てのパッチ濃度と地肌濃度とに対して補正前パッチ濃度を算出すると、画像濃度補正手段409は、所定のパッチ色に対応する一の補正前パッチ濃度を選択するとともに、当該パッチ色に対応する濃度−現像バイアスグラフを参照する。次に、画像濃度補正手段409は、参照した濃度−現像バイアスグラフにおいて補正前パッチ濃度に対応する現像バイアスを、取得時に予め関連付けられていたパッチ濃度(目標となるパッチ濃度、補正後パッチ濃度)に対応する現像バイアスとなるように、補正前パッチ濃度に対応する現像バイアスを加減調整(補正)する。これにより、一のパッチ色におけるパッチ濃度のキャリブレーションが完了する。
例えば、パッチ色「イエロー」とパッチ濃度「40(%)」とに関連付けられたパッチ濃度が「42(%)」であり、当該パッチ濃度に対応する地肌濃度が「1(%)」であると、画像濃度補正手段409は、補正前パッチ濃度として「41(%)」を算出する。次に、画像濃度補正手段409が前記補正前パッチ濃度「41(%)」を選択した場合、当該補正前パッチ濃度のパッチ色「イエロー」に対応する濃度−現像バイアスグラフ705を参照し、図7(B)に示すように、参照した濃度−現像バイアスグラフ705において補正前パッチ濃度「41(%)」710に対応する現像バイアス「VY40」712を、補正後パッチ濃度「40(%)」717に対応する現像バイアス「VY40‘」718となるように、当該現像バイアス「VY40」712を現像バイアス「VY40‘」718に相当する低い値に低下させる(補正する)。これにより、次に「イエロー」に対応する濃度−現像バイアスグラフを用いて画像形成する画像形成手段402は、実測値に基づいた濃度で画像データを画像形成することが可能となる。
又、画像濃度補正手段409が、一のパッチ色に属する全てのパッチ濃度(例えば、40%、60%、80%、100%)に対するキャリブレーションが完了すると、例えば、当該パッチ色に対応する濃度−現像バイアスグラフを構成する直線近似式を再構成して書き換える。当該書き換え処理が濃度の階調調整に該当する。
このような、現像バイアスの補正処理を画像濃度補正手段409が濃度結果テーブル907のパッチ濃度全てについて実行することによって、全てのキャリブレーションが完了する。
尚、キャリブレーションの完了後に、色ズレ補正を実行するよう構成しても構わない。例えば、パッチ形成手段403が、上述したパッチパターンを形成した後に色ズレ補正用の色ズレ試験画像を中間転写ベルトB1上に形成して、濃度取得手段406が濃度検出センサ400を用いて色ズレ試験画像の位置を取得して色ズレ補正を実行しても構わない。
さて、画像濃度補正手段409がキャリブレーションを完了すると、画像形成手段402は、受信した画像データをカラー印刷にて画像形成する(図5:S106→S107)。
画像形成手段402がカラー印刷で画像形成する場合、画像データに設定されている各色毎の濃度と各色毎の濃度−現像バイアスグラフとを利用して、各色毎の画像形成ユニットFY、FM、FC、FBから所定の可視像を形成させる。各色毎の濃度−バイアスグラフは既にキャリブレーションが完了した状態であるから、品質のよい画像形成が実現されることになる。
尚、画像形成手段402が、画像データはモノクロ印刷データであると判定した場合、4色分の画像形成ユニットFY、FM、FC、FBに対してキャリブレーションを実行する必要がないため、画像形成手段402は、画像データをモノクロ印刷にて画像形成することになる(図5:S102NO→S107)。
次に、本発明の実施形態における作用効果について説明する。
図10は、本実施形態に係るパッチパターンの概略図(図10(A))と、従来技術に係るパッチパターンの概略図(図10(B))である。尚、図10の上下方向がパッチパターンの上下方向に対応し、図10の左右方向がパッチパターンの左右方向に対応する。尚、図10には、中間転写ベルトB1の二回転分の領域を示しており、一回転分の領域は破線にて区分して示している。又、本実施形態に係るパッチパターンのパッチの数と、従来技術に係るパッチの数とは同一に設定しており、パッチの数は、例えば、濃度の階調調整のために4種類(40%、60%、80%、100%)の濃度が各色毎に設定された数(16個)を設定している。
図10(A)に示すように、本発明の実施形態に係るパッチパターン1000、つまり、中間転写ベルトB1上に相互に所定の間隔Yを空けて配置された複数のパッチからなるパッチパターン1000では、当該パッチパターン1000が形成された領域のみでキャリブレーションを実行することが出来るため、キャリブレーションに要する領域は、パッチパターン1000が形成された領域に対応する、中間転写ベルトB1の一回転半の領域Aのみで足りることが理解される。
一方、図10(B)に示すように、従来技術に係るパッチパターン1001では、回転方向に対して各色毎のパッチが相互に近接して形成される。又、前記パッチパターン1001は、二つの濃度検出センサ400の濃度検出位置811に対応して、中間転写ベルトB1上の両端近傍にそれぞれ形成されるものの、例えば、一方のパッチパターン1001aは、最初の中間転写ベルトB1の一回転分の領域に形成され、他方のパッチパターン1001bは、次の中間転写ベルトB1の一回転分の領域に形成される。又、従来技術に係るパッチパターン1001では、パッチが形成された位置と同一の位置の地肌から地肌濃度を取得する必要があるため、パッチパターン1001が形成された領域に加えて、当該パッチパターン1001がクリーニングされた領域に対応する、中間転写ベルトB1の一回転分の地肌領域が必要である。そのため、キャリブレーションに要する領域は、パッチパターン1001が形成された領域と、パッチパターン1001がクリーニングされた領域とに対応する、中間転写ベルトB1の二回転分の領域Bが必要であることが理解される。
このように、本発明の実施形態に係るパッチパターン1000では、従来技術に係るパッチパターン1001と比較すると、キャリブレーションに要する領域を中間転写ベルトB1の半周分の領域だけ削減することができる。言い換えると、本発明の実施形態に係るキャリブレーションに要する時間は、従来技術に係るキャリブレーションに要する時間と比較すると、中間転写ベルトB1の半周分を回転させるために要する時間だけ短縮することが可能となる。本発明の実施形態では、中間転写ベルトB1の回転速度V、中間転写ベルトB1の回転方向の全長等に応じて変動するものの、キャリブレーションに要する時間を従来技術におけるキャリブレーション時間20秒から15秒へ短縮することができた。
更に、本発明の実施形態に係るキャリブレーションでは、各パッチ間の地肌の地肌濃度を取得してキャリブレーションを実行している。ここで、当該地肌濃度は、パッチ濃度を取得したパッチの領域に近接する地肌から取得される濃度である。そのため、本発明の実施形態に係るキャリブレーションで取得される地肌濃度は、従来技術に係るキャリブレーションで取得される地肌濃度、つまり、パッチが形成された位置と同一の位置の地肌から取得される地肌濃度に極めて近接した値となる。その結果、本発明の実施形態に係るキャリブレーションの精度は、従来技術に係るキャリブレーションの精度に近いものを得ることが出来た。
このように、本発明の実施形態に係る画像形成装置1は、中間転写ベルトB1上に相互に所定の間隔Yを空けて配置された複数のパッチからなるパッチパターンを形成するパッチ形成手段403と、前記パッチパターンを構成する各パッチからパッチ濃度を取得するとともに、各パッチ間における中間転写ベルトB1上の地肌から地肌濃度を取得することによって、パッチ濃度と地肌濃度とを交互に取得する濃度取得手段406とを備える。
当該構成により、中間転写ベルトB1上にパッチ濃度を検出する領域(パッチ)と地肌濃度を検出する領域(地肌)とを並列させ、中間転写ベルトB1上の一面からパッチ濃度と地肌濃度とを並行して取得することが可能となる。又、地肌濃度が取得される地肌の位置は、各パッチ間に設けられた所定の間隔における中間転写ベルトB1の地肌の位置であるから、地肌濃度の検出位置とパッチ濃度の検出位置とが相互に近接することになる。そのため、交互に取得されるパッチ濃度と地肌濃度とでキャリブレーションを実行したとしても、パッチが形成された位置と同一の位置の地肌から取得される地肌濃度にて実行されたキャリブレーションの精度とほぼ同等の精度を得ることが可能となる。その結果、キャリブレーションの精度を低下させることなく、当該キャリブレーションに要する時間を短縮することが可能となる。
又、前記パッチパターンを構成する各パッチは、濃度の階調調整のためのパッチであるよう構成することができる。
当該構成により、濃度の階調調整のためのパッチ濃度と地肌濃度とは通常大きく乖離しているため、交互に取得されるパッチ濃度と地肌濃度とでキャリブレーションを実行したとしても、パッチが形成された位置と同一の位置の地肌から取得される地肌濃度にて実行されたキャリブレーションの精度と同等の精度を得ることが可能となる。そのため、キャリブレーションの精度を低下させることなく、当該キャリブレーションに要する時間を短縮することが可能となる。
又、前記パッチパターンを構成する各パッチ間における所定の間隔は、当該パッチのサイズと同等であるよう構成することができる。
当該構成により、パッチ形成手段403が無駄なくパッチを形成することが出来るとともに、濃度取得手段406が適切に各パッチ間の地肌から地肌濃度を取得することが可能となるため、キャリブレーションに要する時間をより一層短縮することが可能となる。
又、前記濃度取得手段406が、各パッチ間の中心の位置における中間転写ベルトB1上の地肌から地肌濃度を取得するよう構成することができる。
当該構成により、濃度取得手段406が各パッチ間の地肌から地肌濃度を取得する際に、各パッチ間のパッチ濃度の影響を最小限に抑えた位置の地肌から地肌濃度を取得することが可能となる。そのため、より一層キャリブレーションの精度を高めることが可能となる。
又、本発明の実施形態では、画像形成手段402が、モノクロ印刷の際にキャリブレーションを実行しないよう構成したが、印刷回数、印字率、ユーザ(管理者)の設定等に応じて、所定の時期にブラックの画像形成ユニット等についてキャリブレーションを実行するよう構成しても構わない。ブラックについてのキャリブレーションを実行する場合は、当然、上述で説明したパッチパターンに基づいてキャリブレーションを実行することになる。
又、本発明の実施形態に係るパッチパターンテーブル700には、パッチ形成位置704をパッチ形成タイミング701に対応付けて記憶するよう構成したが、予め濃度検出センサ400の濃度検出位置に対応してパッチ形成手段403がパッチを形成できるよう構成し、パッチパターンテーブル700からパッチ形成位置704を削除しても構わない。尚、パッチ形成位置704は、濃度検出センサ400の位置、画像形成ユニットの配置位置、中間転写ベルトB1の全長等に応じてユーザ(管理者)により任意に設定される。
又、本発明の実施形態に係るパッチパターンでは、16個のパッチからなるよう構成しているが、当該パッチの数はユーザ(管理者)により任意に設定される。又、当該パッチパターンでは、パッチ群は、中間転写ベルトB1の回転方向に対して上流から下流に4つ配置されるよう構成したが、その個数はユーザ(管理者)により任意に設定される。更に、当該パッチパターンでは、各パッチ群毎のパッチ濃度は、中間転写ベルトB1の回転方向に対して下流へ向かって段階的に増加するように設定されたが、段階的に減少するように設定しても無作為に増減するよう設定しても構わない。
尚、本実施形態では、地肌濃度取得タイミング903は、パッチ濃度取得タイミング902よりも長い時間となるが、パッチの従前に位置する中間転写ベルトB1の地肌から地肌濃度を取得できるよう、地肌濃度取得タイミング903をパッチ濃度取得タイミング902よりも短い時間に設定しても構わない。
又、本発明の実施形態では、タンデム型の画像形成装置の場合を例として説明したが、本発明はこれに限られず、ロータリー現像器を用いる画像形成装置でも、複数色の印刷を行うすべての画像形成装置に適用可能であることは言うまでもない。
又、本発明の実施形態では、画像形成装置が各手段を備えるよう構成したが、当該各手段を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。当該構成では、上記プログラムを複合機に読み出させ、その画像形成装置が上記各手段を実現する。その場合、上記記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。さらに、各手段が実行するステップを画像濃度補正方法として提供することも可能である。