JP3817891B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式を採用した画像形成装置に関し、特に画像濃度の自動制御(AIDC)技術の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、トナーを用いて原稿画像を再現する画像形成装置では、原稿濃度に忠実なトナー濃度で記録シート上に画像形成を行うことが重要とされている。このため、感光体ドラム周面において原稿画像形成領域から外れた部所にトナーマークを形成し、このマークのトナー付着量をセンサで測定して、この測定値をもとにトナー画像の濃度を理想濃度に自動補正するといったAIDC(Auto Image Density Control)がなされている。このAIDCにおいて、トナーマークのトナー付着量を測定するセンサの測定面としては感光体ドラム表面よりも、転写ベルトや転写ドラムの転写面の方が記録シートに形成されるトナー画像の濃度状態を予測し易く、補正結果も反映させ易いと考えられる。これについては、例えば特開昭63-14349号公報に、転写ベルトと感光体ドラムを備えた画像形成装置において、感光体ドラムから転写ベルト表面にトナーマークを直接転写し、このトナーマークの付着量を測定してAIDCを行う技術が開示されている。
【0003】
ところで一般的に、転写ドラムは周面がポリカーボネート等の柔らかい誘電体樹脂フィルムで構成され、転写ベルトも同様の材料、或いは合成ゴム、合成繊維等の可撓性材料で作製される。このため、これらは傷が付きやすい性質を有しており、表面にトナーマークを形成すると、傷の有無や傷の具合によって各トナーマークのトナー付着量の測定値にばらつきが生じることとなる。これを解決するため、例えば感光体ドラム周面や転写ベルト表面の地肌を基準濃度として測定しておき、この被測定面にトナーマークを形成し、トナー付着量の測定値から地肌測定値を差し引いて、正確なトナー付着量の値に補正するといったAIDC技術(特開平4-146459、特開昭63-14349)が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、転写ベルト上や転写ドラム上検出の場合、裸面状態は、例えばペーパーが常に置かれる位置とそうでない位置とでは大きく異なり、テストパターン検出時に出力差となって現れる。感光体ドラム表面上を検出位置とする場合は、比較的均一に裸面状態が変化するために地肌検出位置を考慮する必要が少なかったが、転写ベルト上や転写ドラム上検出の場合は、他の位置の地肌濃度を用いて別の位置に作成されたパターン出力の補正をすると、結果的に誤った補正による画像を形成してしまう可能性があった。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的は感光体ドラムより転写ベルトまたは転写ドラムに転写されたトナーマークをもとにAIDCを行う場合においても、正確なトナーマークのトナー付着量を測定し、良好なトナー濃度の制御を行うことが可能な画像形成装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は静電潜像担持体に形成した基準パターンの潜像を現像手段でトナーを付着させて可視化した後、転写ベルト又は転写ドラムに転写し、転写後の基準パターンの濃度を検出して画像濃度を自動調整する画像形成装置において、該基準パターン転写前に、回動中の該転写ベルト又は該転写ドラム上の該基準パターン転写位置の地肌状態を検出する地肌状態検出手段を有し、該転写ベルト又は該転写ドラム上の地肌状態が、予め定められた差分対象値よりも大きく変化する値の領域を回避した該基準パターンを形成し、該基準パターンの濃度を検出し、該基準パターン濃度検出値と、該地肌状態検出値を用いて、画像濃度を自動調整することを特徴とする。
【0007】
さらに前記地肌状態検出手段は、転写された基準パターンの濃度を検出する濃度検出手段と兼用することもできる。
【0008】
【発明の実施の形態】
<構成の説明>
以下、本発明の一適用例であるデジタル式複写機について説明する。複写機の主要構成を示す正面断面図(図1)のように、本複写機はイメ−ジリ−ダ部10とプリンタ部20に大別され、プリンタ部20はさらに、制御部30、書き込み光学系40、画像形成部50、給紙部60、定着部70等から構成されている。
【0009】
イメ−ジリ−ダ部10は、紙面の水平方向に配置されたプラテンガラス2と、CCDスキャナ4および露光ランプ3を備えたCCDスキャナユニット5等で構成され、プラテンガラス2直下においてCCDスキャナユニット5がガラス平面と平行に移動することにより、プラテンガラス2上に載置された原稿画像のデータがCCDスキャナ4に読み取られるようになっている。
【0010】
制御部30は、前記CCDスキャナ4と接続されており、その内部に読み取られた原稿画像データを記憶する画像メモリ(不図示)と、原稿画像データについて公知のシェーディング補正、UCR−BPおよびγ補正等の画像処理を行う画像補正回路(不図示)と、後述の転写ベルト58付近に配置された地肌測定センサ305、トナー濃度測定センサ306等の測定信号に基づいてAIDCを行うAIDC回路301を備えている。
【0011】
書き込み光学系40は、半導体レーザ41、ポリゴンミラー42、走査レンズ43、fθレンズ44等から構成され、上記制御部30によって画像処理を行った画像データを用いて半導体レーザ41のレーザ光を変調し、回転駆動されるポリゴンミラー42のミラー面でレーザ光を反射し、図中の一点鎖線をレーザ光路として、走査レンズ43およびfθレンズ44等を通過した後に感光体ドラム51の周面を走査できるようになっている。
【0012】
画像形成部50は、複写機筐体内部の中央においてXB方向に回転駆動される感光体ドラム51と、その周面付近において図中左下から時計回りに配設されたドラムクリーナ52、帯電器53、現像器54、転写器55等の構成、さらに感光体ドラム51直下において、駆動ローラ57、従動ローラ56に張架され、感光体ドラム51と同期してXA方向に回動駆動される転写ベルト58等の構成からなり、また転写ベルト58の表面を清浄にする可撓性ブレードを備えたベルトクリーナ59が、駆動ローラ57に掛かる転写ベルト58表面近くに配置されている。これらの構成は、主として以下の動作を行うものである。
【0013】
すなわち、ドラムクリーナ52で清浄にした感光体ドラム51の周面を帯電器53で一様に帯電し、これにレーザ光を照射して原稿画像の静電潜像を形成し、この上に現像器54によってトナー画像を形成し、ベルトクリーナ59で清浄にした転写ベルト58上を搬送される記録紙Sに、転写器55の発生する電界によって感光体ドラム51周面上のトナー画像を転写形成する。なお本実施の形態では、AIDC用のトナーマークは原稿画像と同様に書き込み光学系40より感光体ドラム51の周面の所定位置へ書き込まれる。
【0014】
また記録紙Sは、転写ベルト58の搬送方向上流側にある給紙部60において、複写機筐体側面に設けた給紙カセット61から繰り出しローラ62によって繰り出し、捌きローラ63によって一枚ずつ転写ベルト58の往路上流側から送出されるようになっている。転写後の記録紙Sは、転写ベルト58の往路下流側にある定着部70において、互いに周面を圧接され、それぞれYAまたはYB方向に回転駆動される定着ローラ71、72の間を通過することでトナー画像を熱定着され、定着部70より下流側の排紙トレー80上に排紙される。
【0015】
なお前記現像器54は、トナーが収納されたトナータンク452と、感光体ドラム51周面に近接するよう配された現像スリーブ451等から構成される。現像スリーブ451にはバイアス用電源540が接続されており、現像スリーブ451に所定のバイアス電圧(現像バイアス電圧Vb)を印加して、その電圧値に対応する量のトナーを感光体ドラム51の周面に付着させ、感光体ドラム51から記録シートに転写されるトナー画像の濃度を制御するようになっている。
【0016】
なお上記感光体ドラム51から転写ベルト58上に転写されたある位置でのトナー付着量R1と、転写ベルト58上(または記録シート上)での制御目標となるトナー付着量Rpに関しては、一般にMp/M1=Rp/R1が成立する。本実施の形態ではこのことを利用して、上記現像バイアス電圧Vbを変化させることにより感光体ドラム51から転写ベルト58上に所定のトナー濃度のトナーマークを形成し、AIDCを行うようにしている。またこの他にも、半導体レーザ41の最大出力を調節してViレベルを変える方法を採用することもできる。
【0017】
一方転写ベルト58の往路上には、図1中に示すように発光ダイオードを発光素子306Aとし、フォトトランジスタを受光素子306Bとする反射型フォトセンサがトナー濃度測定センサ306として感光体ドラム51より下流側に配置され、これと同様に発光素子305Aと受光素子305Bからなる地肌測定センサ305が転写ベルト58の帰路最下流付近において配置されている。地肌測定センサ305は転写ベルト58表面の地肌濃度を検出し、トナー濃度測定センサ306は地肌測定センサ305の検出位置に転写されたトナーマークの濃度を検出する。これらの地肌測定センサ305およびトナー濃度測定センサ306は、CPU302によって周期パルス信号として検出値を得るように制御され、転写ベルト58の回動速度V1(m/sec)と、地肌測定センサ305およびトナー濃度測定センサ306のパルス検出周期X1(sec/pulse)との積で表される転写ベルト58上の検出間隔X1V1(m/pulse)が常に一定になるように、上記パルス信号の周期を制御しながら稼働される。
【0018】
次にAIDC回路301の構成について具体的に説明する。当該回路は図1に示すように主としてCPU302、RAM303、ROM304等からなり、このうちRAM303とROM304は共にCPU302に接続されている。
CPU302は、内部に備えられたクロックタイマとフラグレジスタ等を利用し、ROM304に記憶されたプログラムに基づいて、図3および図4に示すAIDC処理とコピー処理に関連した制御フローを実行する。その制御は概して以下のようになる。
【0019】
CPU302はユーザによってコピー選択がなされると、先ずコピー処理に先立って転写ベルト58を回動駆動(空回り)させ、地肌測定センサ305により転写ベルト58の所定領域の地肌を一定間隔X1V1毎に同期パルスで検出しつつ、その測定回数(パルス数に相当)をカウントする。続いてCPU302は、転写ベルト58上の検出間隔X1V1の値と上記測定回数のカウント数(測定カウント数n)とから、測定カウントが開始されてからの転写ベルト58の回動距離n×X1V1(m)を算出し、さらに当該カウント開始時のクロックタイマ時刻情報を利用して、検出に供した転写ベルト58の地肌領域が回動駆動中の転写ベルト58のどこにあるかを把握する。
【0020】
さらにCPU302は、転写ベルト58の長手方向に沿ったトナーマークの長さLに対し、L=j×X1V1を満足する整数jを測定カウント数nの上限値として、測定カウント数nがこの上限値jに達した場合にはカウント動作をリセットし、再び1からリピートする。CPU302はまた、上記測定カウント数nとは別に、このリピート回数をカウントリピート数Cとしてカウントする。カウントリピート数Cは、転写ベルト58上に形成されるトナーマーク数に相当するものであり、上限値としてC=Cmaxが設定されている。これは、転写ベルト58上に形成可能なトナーマーク数以下の値として設定される数値である。
【0021】
本実施の形態では、このように2種類のカウントをなされつつ検出される地肌検出値を、以降V(c、n)(C;カウントリピート数1〜Cmax、n;測定カウント数1〜j)として表記する。一例を挙げると、V(5、8)はカウントリピート数Cが5回目かつカウント数nが8番目のときに検出した地肌検出値を表す。
CPU302は上記のようなカウント動作を、一のカウントリピート数C中で連続する2つの地肌測定値V(c、n-1)、V(c、n)が、次の数1式を満足する場合にのみ継続して行い、得られた地肌測定値を順次RAM303内に記憶する。この数1式を満足しない場合は、現在のカウントリピート数Cと測定カウント数nをリセットし、それまで記憶していた当該カウントリピート数Cに属する全ての地肌測定値をクリアする。
【0022】
(数1)
│V(c、n)-V(c、n-1)│<Vs
すなわちCPU302は、得られた地肌測定値V(c、n)と、この直前の地肌測定値V(c、n-1)との差分が差分対象値Vsより小さいことが成立するか否かを判断し、これが成立する場合にのみ次の地肌測定値V(c、n+1)についても同様のカウント動作を継続して行う。そして測定カウント数nが上限値jに達すると、CPU302は当該カウントリピート数Cに属する全ての地肌測定値V(c、n)の平均値(平均地肌測定値Vc)を算出し、これを測定カウント数n=1のときの地肌測定時刻を示すクロックタイマ時刻情報Tcと併せてRAM303に記憶する。
【0023】
本実施の形態では、連続する地肌測定値の差分が差分対象値より大きい場合、すなわち地肌測定値が一定の程度以上に急激変化する場合には、その地肌測定箇所に損傷の激しい傷が生じているとみなし、この領域へのトナーマークの形成を避けるようにしている。言い換えれば、転写ベルトの表面の傷が一定以下の程度の場合にのみ、トナーマークを形成する。
【0024】
ここで、図2のZ方向から見た転写ベルトの正面図において、地肌測定センサ305より伸びるベルト回動方向に平行な検出スポット列Pの中で部分的に斜線で示した長方形の領域は、CPU302によってトナーマークの出力の補正が可能であると判断された領域を示している。この長方形が、本実施の形態で実際に形成されるトナーマークの大きさおよび形状に相当する。また当該長方形の領域において検出スポット間隔X1V1で配列するj個の検出スポット列の長さは、トナーマークのベルト回動方向に沿った長さLに相当する。なお図2では、トナーマークを形成可能な検出領域のリピートカウント数Cが(C=C、C+1、C+2)の3つの位置について、それぞれのトナーマーク形成位置を表示している。また、地肌測定センサ305寄りの連続する地肌測定値V(C+3、1)とV(C+3、2)は、図2の状態にある現在において、リピートカウント数C=C+3で測定カウント数nをカウントされた測定値の検出位置を示す。
【0025】
CPU302は、カウントリピート数Cが上限値Cmaxに達するまで、それぞれのカウントリピート数Cに対応する平均地肌測定値Vcと、測定カウント数n=1の地肌測定時刻情報をRAM303に記憶する。
続いてCPU302は上記のようにして記憶したRAM303内の各情報をもとに、以下のようなAIDCコピー処理を実行する。具体的にはまず、転写ベルト58上における各平均地肌検出値Vcの測定カウント数n=1の測定位置の先端が、転写ベルト58の回動駆動により感光体ドラム51の転写位置に達するタイミングに合わせて、感光体ドラム51の周面上にトナーマークを形成し、これを転写ベルト58上の所定位置へ転写する。この場合、感光体ドラム51にトナーマークが形成されるタイミングは、トナーマーク形成位置から転写ベルト58への転写位置までの周長をLとすると、当該転写位置よりLだけ上流の位置に前記先端が達するときに相当する。なおCPU302はトナーマークの形成に際し、ROM304に記憶されたトナーマークの形状データを逐次読み出す。
【0026】
転写ベルト58上に転写されたトナーマークは、次にトナー濃度センサ306によってそのトナー濃度を測定され、各カウントリピート数Cに一対一で対応するトナー濃度測定値McとしてCPU302に把握される。トナー付着量Rcは、転写ベルト58の回動駆動によってトナー濃度センサ306の検出位置をトナーマークが通過する毎に各トナーマーク毎に算出され、その算出結果を基にして、原稿画像に対するAIDCコピー処理が連続的に行われる。このAIDCコピー処理に際し、CPU302はROM304内のプログラムに基づいて、感光体ドラム51上のトナー付着量を調節する。
【0027】
なおAIDCコピー処理に用いられたトナーマークは、ベルトクリーナ59により消去される。また原稿画像の濃度調整に供されたトナー付着量Rc値も、RAM303内から順次消去されるようになっている。
<動作の説明>
以上のような構成によれば、ユーザによって複写機に商用電源が供給され、複写機が起動されると、まず図3のメインルーチンにおいてCPU302内部のクロックタイマの開始および複写機内部の定着部70の昇温等の初期設定がなされる(S100)。このメインルーチンは初期設定S100の後、AIDC前処理S200、AIDCコピー処理S300を経て、クロックタイマの終了を待って(S400)リターンするようになっている。
【0028】
複写機の起動後にユーザがコピースタートを選択したとき、CPU302はAIDCコピー処理S300に先立ち、AIDC前処理すなわち転写ベルト58の地肌測定処理(S200)を実行するべく図4のAIDC前処理S200のサブルーチンに進む。
当該サブルーチンのS201において、CPU302はAIDC前処理終了フラグがCPU302内の所定のフラグレジスタに立てられているか否かを判断する。ここでAIDC前処理終了フラグとは、AIDC前処理S200がAIDC処理S300に先立って、すでに完全に終了しているか否かをCPU302が判断するために用いられるものであり、複写機の主電源の遮断とともに消去される。したがって、起動直後の今の場合には当該フラグが立てられていないことがCPU302によって確認される。
【0029】
次にS202において、CPU302はAIDC前処理開始フラグがCPU302内に立てられているか否かを判断する。AIDC前処理開始フラグは、転写ベルト58の地肌測定処理が開始され、すでに第1番目の地肌測定がなされたことを示すものである。ここでは未だ地肌測定が開始されていないため、S203にて当該フラグが立てられ(AIDC前処理開始フラグ←1)、転写ベルト58が回動駆動され、カウントリピート数Cおよび測定カウント数nについてのカウント動作が開始される(n←1、C←C+1)。そして第1番目の地肌測定がなされ、これによって得られた地肌測定センサ305の測定値V(c、1)(今の場合n=1、C=1よりV(1、1))と、このときの測定時刻であるクロックタイマ測定時刻TcがRAM303内に記憶される。CPU302の処理はこの後、メインルーチンへとリターンされる。なお、上記カウント開始前には、当然ながらカウントリピート数Cおよび測定カウント数nはリセット状態に維持されているものとする。
【0030】
再び処理が当該サブルーチンへ移行し、S202にてAIDC前処理開始フラグが立てられていることがCPU302により確認されると、次にCPU302は処理をS204に進め、クロックタイマを利用して第1番目の地肌測定時刻から転写ベルト58上の検出間隔X1V1(m/pulse)分だけ測定を遅らせて、第2番目の地肌測定タイミングをとる。このタイミングが揃うと、CPU302はS205にて測定カウント数nを更新(n←n+1)し、地肌測定により測定値V(c、2)(この場合C=1、n=2であるからV(1、2))を得、これをRAM303へ記憶する。
【0031】
続いてCPU302は、前記記憶したばかりの地肌測定値V(c、n)(ここではV(1、2))と、その前に記憶された地肌測定値V(c、n-1)(ここではV(1、1))との差分が、差分対象値Vs以上か否かを判断する(S206)。このとき、当該差分が差分対象値Vs以上に相当する場合には、CPU302はRAM303内に記憶されている現カウントリピート数Cに関するクロックタイマ時刻情報Tc、およびこのカウントリピート数Cに対応する全ての地肌測定値V(c、1)〜V(c、n)をクリアし、測定カウント数nをリセット(n←0)する(S207)。これにより、連続する2つの地肌測定値の差分が、差分対象値Vs以上に急激変化する領域については、その情報の記憶が回避される。
【0032】
ここにおいて図6は、地肌測定センサ305の地肌測定信号を電圧で示し、このセンサの測定信号と、当該信号を得た転写ベルト位置との関係を転写ベルト一周長に亘って表した図である。当図が示すように、地肌測定センサ305の測定値(電圧値)は転写ベルト58の位置に関わらず、常に大小の変化を伴っている。この変化の程度は、前記地肌測定値の差分に対して実験的に設定された差分対象値Vsを尺度とした場合、Vsより変化量が小さい転写ベルト領域601〜607と、Vsより変化量が大きい領域608〜612とに分けられる。このうちVsより変化量が大きい領域608〜612が、連続する2つの地肌測定値の差分が差分対象値Vs以上に急激変化する領域に相当する。つまりS207でのCPU302の処理は、この差分対象値Vsより変化量が大きい領域608〜612上にトナーマークを形成しないようにするものである。
【0033】
一方、S206にて前記差分が差分対象値Vsよりも小さいと判断されれば、処理はS208へ進む。ここで、測定カウント数nが上限値j以上に達したか否かがCPU302により判断され、上限値j以上に達していないと判断されれば、制御フローは再びメインルーチンへリターンされる。この(S206→S208→メインルーチンへリターン)の制御フローは、測定カウント数nが上限値jに達するまで繰り返される。この間、S206において地肌測定値の差分が差分対象値Vs以上と判断された場合には、当該カウントリピート数Cに対応する情報の全てがクリアまたはリセットされる(S207)。
【0034】
やがて、S208において測定カウント数nが上限値jに達したことがCPU302が判断すると、制御フローをS209に進め、CPU302は当該カウントリピート数Cについての平均地肌測定値Vc(今の場合V1)を算出し、これをRAM303内に記憶する。そしてこの記憶処理と引き替えに、CPU302は当該平均地肌測定値Vcの算出に用いた地肌測定値V(c、1)〜V(c、n)をRAM303内からクリアし、測定カウント数nのリセット(n←0)と、カウントリピート数Cの更新(C←C+1)を行う。つまりこの時点でRAM303内には、平均地肌測定値Vcと、当該平均地肌測定値Vcの算出に用いた地肌測定値V(c、1)のクロックタイマ時刻情報Tcの2つが関連づけられて記憶されることとなる。
【0035】
次にS210において、カウントリピート数Cが上限値Cmaxに達したか否かがCPU302により判断される。ここでカウントリピート数CがCmaxに達しないと判断されれば、CPU302はそのまま制御フローをメインルーチンへリターンするが、カウントリピート数CがCmaxに達したと判断された場合には、CPU302はAIDC前処理終了フラグを内部に立て(AIDC前処理終了フラグ←1)、当該AIDC前処理を終了する(S211)。この後制御フローは、S201においてAIDC前処理終了フラグが立てられていることがCPU302により判断されると、直ちにメインルーチンへリターンされることとなる。
【0036】
続いてCPU302はAIDCコピー処理S300へ制御フローを進め、図5のサブルーチンS301へ移行し、ここにおいてAIDC前処理終了フラグがCPU302の内部に立てられているか否かを判断する。AIDC前処理S200が終了した段階では、当該フラグはすでに立てられていることから、CPU302はフローをS302に進め、次に複写機が現在コピー処理の最中にあるか否かを判断する。なおここでいうコピー処理とは、感光体ドラム51上に静電潜像を形成し、これにトナー画像を形成して、記録シート上に転写する一連の処理を示す。したがって、現時点ではまだこのコピー処理はなされていないため、CPU302はS303にて上記コピー処理の動作を開始させる。
【0037】
そしてCPU302は、次に感光体ドラム51の周面上における書き込み光学系40からの走査位置から、記録シートへ転写を行う転写位置までの周長Lに対し、このLと同じ距離だけ転写位置から記録シート搬送方向上流側に遡った転写ベルト58上の位置に、各カウントリピート数Cにおいて測定カウント数n=1のときに地肌測定値V(C、1)を得たベルト位置が一致しているか否かを、RAM303に格納中の各地肌平均測定値Vcのクロックタイマ時刻情報Tc等を用いて判断する(S304)。この判断は、トナーマークの転写位置に合わせて感光体ドラム51上にトナーマークの静電潜像を形成するためのものである。上記地肌測定値V(C、1)を得たベルト位置がL位置になければ、CPU302は処理をS305へ進める。
【0038】
S305において、CPU302はRAM303内にトナー付着量Rcの情報が記憶されているか否かを判断する。このときトナー付着量Rcの情報が記憶されていないと判断されれば、CPU302は次のS306にて通常のコピー処理、すなわちAIDCコピー処理を行わず、トナーマークも作成しないコピー処理を行う。一方S305においてトナー付着量Rcの情報が記憶されていると判断されれば、CPU302は次に処理をS311に進め、ここで当該トナー付着量Rcの情報に基づきトナーマークを形成しつつAIDCコピー処理を実行する。しかし今の場合、当該Rcの情報がまだRAM303内に記憶されていないため、このS311に制御フローは移行しない。
【0039】
このようにS306或いはS311にて所定のコピー処理を実行した後、CPU302は次にトナー付着量測定センサ306によりトナーマークのトナー付着量が検出されたか否かを判断し(S307)、検出されなければ制御フローをメインルーチンへリターンする。一方検出したと判断した場合は、当該トナー付着量Rc情報をRAM303内に記憶した(S312)後に、制御フローをメインルーチンへリターンする。
【0040】
次にCPU302が制御フローをS301→S302→S304に進め、ここで測定カウント数n=1のときに地肌測定値V(C、1)を得たベルト位置がL位置と一致していると判断した場合には、次に制御フローをS308に進めてAIDCコピースタートフラグがCPU302内に立てられているか否かを判断する。ここではまだAIDCコピーが開始されていないために当該フラグは立っておらず、したがって当該フラグをCPU302内に立て(AIDCコピースタートフラグ←1)、通常コピー処理とトナーマークの形成を行う(S309)。
【0041】
このようにAIDCコピースタートフラグが一旦立てられた後は、次にS304において転写ベルト58上のL位置に平均地肌測定値の先端があると判断された場合には、CPU302は制御フローをS304→S308→S311に進め、AIDCコピー処理およびトナーマーク形成を行う。すなわちAIDCコピースタートフラグが立てられた以降は、複写機の主電源が遮断されない限り、前記AIDC前処理で選択されRAM303内に記憶されている各平均地肌測定値Vcの検出位置に対して順次トナーマークが形成され、これによってユーザによって指定されたコピー回数分の全てにわたってAIDCコピー処理が行われることとなる。
【0042】
なお本実施の形態中でトナー形状を長方形としたが、当然ながら本発明はこれに限定するものではなく、大きさを変えたり、従来より使用されている形状のマークを形成しても良い。また、トナーマークを形成する領域も、転写ベルトの幅方向寄りだけでなく、記録シートの搬送間隔においてベルト幅方向に平行なライン状の領域としてもよい。
【0043】
さらに地肌測定センサ・トナー付着量検出センサとして反射型フォトセンサを用いた例を示したが、この代わりに透過型フォトセンサや赤外線センサ等を用いてもよい。但し透過型フォトセンサを使用する場合は、当然ながら被検出対象部材(転写ベルトや転写ドラム)が基本的に透明素材で作製されていなければならない。
【0044】
さらに本実施の形態では、コピー処理を行う前に転写ベルトの地肌濃度測定を行う例を示したが、コピー処理中に地肌測定処理を行い、この領域にトナーマークを形成してトナー付着量を検出するようにしてもよい。
また本実施の形態では、地肌濃度が急激変化する領域へのトナーマーク形成を避ける例を示したが、トナーマーク形成領域に一様にマークを形成し、地肌濃度が急激変化する領域のトナーマークに対してはトナー付着量の情報を無効にするようにしてもよい。
【0045】
また、本実施の形態で転写ベルトを使用する例を示したが、本発明はこれに限定されず、転写ドラムを使用する場合に適用してもよい。また転写ベルト或いは転写ドラムを記録紙搬送体として用いる場合だけでなく、これらを転写中間体として用いる場合に本発明を適用してもよい。
さらに、形成するトナーマーク数(すなわちカウントリピート数C=Cmax)を少なく設定する場合は、トナーマークの形成に適した領域を探すために必ずしも転写ベルトを一周させる必要がないことから、必要なトナーマーク数の転写領域が判断された時点で地肌測定処理を中止するようにしてもよい。
【0046】
また本実施の形態では、地肌測定センサとトナー付着量測定センサを別個に配置する例を示したが、これを一つのセンサで兼用するようにしてもよい。ただしこの場合は、センサを感光体ドラムの転写位置の下流側、かつベルトクリーナの上流側に設ける必要があるため、コピー処理を行う前に転写ベルトまたは転写ドラムの地肌測定を行わなければならない。
【0047】
さらに本実施の形態ではモノクロ複写機を用いた例を示したが、本発明はこれに限定されず、カラー複写機に適用してよい。特に複数の感光体ドラムを転写ベルト上に直列に配したタンデム型カラー複写機に関しては、各色についてトナー付着量測定センサを設けても、一つのセンサで全ての色のトナー付着量を測定するようにしてもよい。
【0048】
【発明の効果】
以上のことから明らかなように、本発明は静電潜像担持体に形成した基準パターンの潜像を現像手段でトナーを付着させて可視化した後、転写ベルト又は転写ドラムに転写し、転写後の基準パターンの濃度を検出して画像濃度を自動調整する画像形成装置において、該基準パターン転写前に、回動中の該転写ベルト又は該転写ドラム上の該基準パターン転写位置の地肌状態を検出する地肌状態検出手段を有し、該転写ベルト又は該転写ドラム上の地肌状態が、予め定められた差分対象値よりも大きく変化する値の領域を回避した該基準パターンを形成し、該基準パターンの濃度を検出し、該基準パターン濃度検出値と、該地肌状態検出値を用いて、画像濃度を自動調整するので、転写ベルト又は転写ドラム表面を用いてAIDCを行う場合においても、転写された位置の地肌レベルに応じて、トナーマークの付着量を検出して、適切なAIDCを行うことが可能になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一適用例であるデジタル複写機の主要構成を示す正面断面図である。
【図2】Z方向から見た転写ベルトの正面図である。
【図3】CPU302のメインルーチンである。
【図4】AIDC前処理のサブルーチンである。
【図5】AIDCコピー処理のサブルーチンである。
【図6】 転写ベルトの地肌測定センサの検出結果を示す図である。
【符号の説明】
51 感光体ドラム
59 ベルトクリーナ
54 現像器
301 AIDC回路
302 CPU
303 RAM
304 ROM
305 地肌測定センサ
306 トナー付着量測定センサ
540 バイアス用電源
541 現像スリーブ
Claims (2)
- 静電潜像担持体に形成した基準パターンの潜像を現像手段でトナーを付着させて可視化した後、転写ベルト又は転写ドラムに転写し、転写後の基準パターンの濃度を検出して画像濃度を自動調整する画像形成装置において、
該基準パターン転写前に、回動中の該転写ベルト又は該転写ドラム上の該基準パターン転写位置の地肌状態を検出する地肌状態検出手段を有し、
該転写ベルト又は該転写ドラム上の地肌状態が、予め定められた差分対象値よりも大きく変化する値の領域を回避した該基準パターンを形成し、該基準パターンの濃度を検出し、該基準パターン濃度検出値と、該地肌状態検出値を用いて、画像濃度を自動調整する構成である
ことを特徴とする画像形成装置。 - 前記地肌状態検出手段は、転写された基準パターンの濃度を検出する濃度検出手段と兼用されている構成である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
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