JP6074231B2 - インクジェット装置用洗浄液及びインクジェット用装置の洗浄方法 - Google Patents

インクジェット装置用洗浄液及びインクジェット用装置の洗浄方法 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェット装置用洗浄液及びインクジェット用装置の洗浄方法に関する。
一般に、ワイドフォーマットプリンターは、インクの液滴を吐出する液体吐出ヘッドで構成した記録ヘッドを備え、媒体を搬送しながら、インク滴を用紙に付着させて画像形成を行なうものである。このような液体吐出方式の画像形成装置においては、液体吐出ヘッドのノズルと呼ばれる多数の細孔から液滴を吐出することで、媒体に非接触でパターンを形成することが可能となっている。そのため、媒体の種類や形状にとらわれずに、単一の作像プロセスで画像形成が可能となる。
液体吐出ヘッドは、直径50μm以下の微細なオリフィスをもつノズル部、ノズル部に繋がる圧力発生部、圧力発生部に液体を供給する液室部、液室へ流入する液体を濾過するフィルター部等から構成され、非常に高精度に加工され形成されている。
ヘッド当たりのノズル数は数十から数千と膨大なため、製品として出荷する前に全体が正常に動作し、吐出不良状態(ノズルより吐出できない状態、ノズル面に対して約垂直方向に吐出されない状態、吐出された液滴が所望の大きさを形成できない状態)が存在しないことを確かめる必要がある。
このような検査を行なうために検出可能な液体をヘッドに充填し、ヘッドから吐出させることで不具合を検知することが行われている。また修理等でヘッドやインク供給系に充填したインクが外部に漏れて周囲を汚さないためにも、インクジェット装置内のインクを洗い流すことが必要となる。
従来、水単独、界面活性剤水溶液等が用いられているが、これらは洗浄性が確保できる反面、再充填時の充填性が悪化したり、吐出不良が発生したりするなどの問題がある。
さらに最近では、耐水性、耐光性等の観点から着色剤に顔料を用いたインクが実用化されている。染料を用いる場合には、同様の観点から、染料濃度を高くしたり水溶性の低いものを用いたりするなどの傾向があり、上述の問題がより顕著になってきている。
特に顔料や樹脂を用いるものの場合、ヘッド内のインクが少量でも残存すると固着してしまい吐出性を低下させてしまう。そのため、例えば特許文献1、2では、樹脂溶剤をメンテナンス液に添加することが記載されている。この場合は、メンテナンス液が、インクの乾燥が進んでも残留固形分を溶解、再分散させる働きを付与している。
しかしながら特許文献1及び2に記載の溶剤は、ヘッド内に使用される接着剤に対して溶解性を与え接着面が膨潤する危険性がある。そのためヘッドの強度が低下し目的の剛性が得られず、意図した吐出性が得られない問題点がある。
また、装置の洗浄性や保存性を考慮し、特許文献3に記載されているようなエチンジオール系ノニオン性界面活性剤を用いた洗浄液も提案されている。しかしながら、当該洗浄液は、起泡性は低いが一般的なアルキルアルコール系ノニオン性界面活性剤より水への溶解性が低く、表面張力を下げる能力も低いため洗浄力が不足している。
また、装置内の洗浄性を鑑みて特許文献4に記載されているようなポリオキアルキレンセカンダリーアルコールエーテルを用いる方法が提案されている。このような界面活性剤を用いることで洗浄力を高めることが可能となっている。
しかし、特許文献4に記載の構成だけでは金属部材への微小な腐食が進行することがあり、腐食が原因でヘッドなどの耐久性の低下が問題となっている。そこで、特許文献5には、金属部材の溶出を防ぎ、且つ、洗浄保存を可能とする腐食防止剤を添加した充填液が記載されている。しかしながら、洗浄性との両立は充分ではない。
近年、発色性や定着性を改善した顔料分散体としては顔料表面に水難溶性樹脂を被覆したマイクロエマルジョン型顔料が開発されており、これは発色性、定着性が優れている。しかし顔料表面に分散官能基を共有結合した自己分散顔料に比べて分散安定性が劣っており、乾燥後の再分散性は悪化している。また共有結合で官能基を結合していないため、顔料周囲の環境の影響を大きく受け、温度やpH、溶剤組成、ビヒクルの有機性などで凝集を引き起こしやすい。
これらは洗浄液にてインクジェットヘッドを洗浄した後でも同様の傾向にあり、自己分散型顔料に比べて顔料表面に水難溶性樹脂を被覆した顔料の方が、洗浄後の液中の分散安定性が悪い傾向にある。
特許文献6では、洗浄液にポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルを用いているが、水への溶解性が限られ、洗浄効果が低く、ヘッドの洗浄効果が乏しい欠点がある。特許文献7では、グリコールエーテル類又は、グリコールエステル類を規定しているが、従来のどの洗浄剤に含まれているものであり、洗浄効果は限定的である。特許文献8では、グリコールエーテル類又は、グリコールエステル類を規定し、更に、溶存酸素量を規定しているが、前述と同様に洗浄効果は限定的である。特許文献9では、エチンジオール系非イオン性界面活性剤と多価アルコールと防腐剤を規定しているが、ヘッドに形成される異物を溶解させるなどの洗浄効果は乏しい。
特開2007−119658号公報 特開2007−169314号公報 特開2007−091846号公報 特開2005−146224号公報 特開2009−012361号公報 特開2011−140556号公報 特開2008−274016号公報 特開2010−99874号公報 特開2007−91846号公報
近年、ラテックスインクが開発されているが、ラテックスインクも水難溶性樹脂を被覆した顔料と同様に、洗浄後の液中の分散安定性が悪い傾向がある。さらに、白色顔料インクでは、油性、水性を問わず酸化チタン等の比重の重い顔料が使われる場合が多く、インク中の顔料がインク流路やヘッド内で沈降、堆積して、吐出異常を引き起こす場合が多い。よって、ヘッドの吐出を安定させることがより強く要求されている。
本発明はこのような事情に鑑みて成されたものであり、ヘッドの吐出安定性に対する悪影響を抑制したインクジェット装置用洗浄液を提供することを目的とする。例えば、ラテックスインク、特に、酸化チタンを含有するラテックスにおいて、インク流路の洗浄が充分に行なえ、ヘッド周辺のメンテナンスができ、且つ、洗浄後のインクの吐出安定性に悪影響を及ぼさないインクジェット装置用洗浄液を提供する。
なお、本明細書において「ラテックスインク」とは、バインダ樹脂が乳濁又は懸濁しているインクをいい、当該バインダ樹脂はゴム等のラテックスに限定されず、水性樹脂等であってもよい。
本発明に係るインクジェット装置用洗浄液は、標準状態(25℃、1気圧)における水への溶解量が10wt%以下のポリオールを含むことを特徴としている。
このようなポリオールを含めば、液中の溶存酸素量を低減することができる。溶存酸素量が低ければ、洗浄液に気泡が生じにくい。つまり、洗浄液がヘッド中に残存してインクと混ざっても、当該インクに気泡が生じにくい。仮に、気泡が発生するとインク中の顔料やバインダ樹脂が凝集して吐出不良を導くが、本発明によれば、気泡が発生しにくいため凝集が起こりにくく、吐出安定性に優れる。よって、ヘッドの吐出安定性に対する悪影響を抑制される。
本発明に係るインクジェット装置用洗浄液では、溶存酸素量が5mg/l以下であることがより好ましい。
このように溶存酸素量を低くすることにより、気泡の発生をより抑制することができる。よって、吐出安定性に対する悪影響をより抑制できる。
本発明に係るインクジェット装置用洗浄液では、水、水溶性有機溶剤、グリコールエーテル類をさらに含んでもよい。洗浄液として好適に用いることができる。
本発明に係るインクジェット装置用洗浄液では、上記ポリオールが、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール又は2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールであることがより好ましい。
洗浄液中の溶存酸素量をより低減することができる。よって、吐出安定性に対する悪影響をより抑制できる。
本発明に係るインクジェット装置用洗浄液では、上記ポリオールの含有量が、0.1重量%以上、7.0重量%以下であることがより好ましい。
0.1重量%以上であることにより、ポリオールによる溶存酸素濃度を低下させる効果を十分に得ることができる。また、ポリオールは水に溶解しにくいが、7重量%以下とすることにより本発明に係るインクジェット装置用洗浄液を製造し易くなる。
本発明に係るインクジェット装置用洗浄液では、酸化防止剤を含み、上記酸化防止剤がブチルヒドロキシトルエンであることがより好ましい。
ヘッド表面の酸化をより効率的に防止できる。
本発明に係るインクジェット装置用洗浄液では、水溶性有機溶剤を含み、上記水溶性有機溶剤が、グリセリン、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2、4−ヘキサンジオール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、テトラメチル尿素及び尿素よりなる群から選ばれる少なくとも1つであることがより好ましい。
これらの水溶性有機溶剤は、顔料を分散させるために、インクの溶剤としてよく用いられるものであるので、洗浄液がインクに混合してもインク対して悪影響を与えることを防ぐことができる。
本発明に係るインクジェット装置用洗浄液では、グリコールエーテル類を含み、上記グリコールエーテル類が、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル及びトリエチレングリコールモノブチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1つであることがより好ましい。
これらのグリコールエーテル類は、被記録媒体に対するインクの濡れ性を向上させるために、インクの添加物としてよく用いられているので、洗浄液がインクに混合してもインクに対して悪影響を与えることを防ぐことができる。
本発明に係るインクジェット装置用洗浄液では、下記一般式(1)
Figure 0006074231
(式(1)において、+n〜1の整数、x=6〜15の整数、y=1〜5の整数を示す)
に示すポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルをさらに含むことがより好ましい。
この界面活性剤を含むことにより、洗浄効果をより向上させることができる。
本発明に係るインクジェット装置用洗浄液では、25℃における粘度が、2.0mPa・s以上であり、10mPa・s以下であることがより好ましい。
インクは、上記の粘度であることが多い。洗浄液をこのような粘度にしておくことにより、洗浄液がインクに混ざってもインクの粘度を崩すことを防ぐことができる。
本発明に係るインクジェット装置の洗浄方法は、インク供給路にインクが充填されたインクジェット装置に、本発明に係るインクジェット装置用洗浄液を通液することを特徴としている。
本発明に係るインクジェット装置用洗浄液を用いるので、インクの吐出安定性に悪影響を及ぼすことを抑制して、ヘッド等を洗浄することができる。
本発明に係るインクジェット装置の洗浄方法では、上記インクが、水、水溶性有機溶剤、バインダ樹脂を含み、当該バインダ樹脂が乳濁又は懸濁しているインクであってもよい。
ラテックスインクは吐出の目詰まりを起こしやすい傾向にあり、より一層の吐出安定性が要求されるが、本発明に係るインクジェット装置用洗浄液を用いることにより、吐出安定性に対する悪影響をより抑制することができる。
本発明に係るインクジェット装置の洗浄方法では、上記バインダ樹脂の最低造膜温度(MFT)が0℃以下であってもよい。
このように皮膜を造りやすいインクに対しても本発明に係るインクジェット装置用洗浄液を好適に用いることができる。
本発明に係るインクジェット装置の洗浄方法では、上記インクが、平均粒子径が10〜80nmの酸化チタンをさらに含んでもよい。
このように皮膜を造りやすいインクに対しても本発明に係るインクジェット装置用洗浄液を好適に用いることができる。
本発明によれば、ヘッドの吐出安定性に対する悪影響を抑制できるという効果を奏する。例えば、インク流路の洗浄、及びヘッド周辺のメンテナンスを充分に行なうことができ、洗浄後のインク再充填性に問題を起こさない。つまり、洗浄後にインクを再充填して用いる場合でも吐出安定性に悪影響を及ぼさない。
本発明に係るインクジェット装置用洗浄液は、標準状態(25℃、1気圧)における水への溶解量が10wt%以下のポリオールを含む。
インクジェット装置用洗浄液としては、インクジェット装置のインク流路を洗浄し、インクを押し流す機能が必要とされる。インク流路の洗浄にはインクと混合置換しながらインク成分をインク流路から剥離させる事が求められる。このとき洗浄液によってインク流路部材を劣化させないことが求められている。
また、洗浄後に、ヘッド内を完全に洗浄液で置換されている状態にするには、多量の洗浄液及び時間を要するため効率が悪い。そのため一定の濃度までインクが混ざってもインクジェット装置の品質を保つようにする必要がある。洗浄液とインクとの相性が悪いと、インクが凝集してインクジェットヘッドのノズル及びフィルターに吸着し、吐出不良及び抵抗の増加を引き起こす。そのためインクと洗浄液が混合した状態でもインクの性質が安定していることが要求される。
さらに洗浄性及びインクとの混合性(相性のよさ)を満たすことで、新たにインクを充填するときに再充填性を確保することが可能となる。つまり、再度インクを充填しても吐出の安定性に悪影響を及ぼさない。
<ポリオール>
本発明に係るインクジェット装置用洗浄液に含まれるポリオールは、標準状態(25℃、1気圧)における水への溶解量が10wt%以下のものであればよい。つまり、当該ポリオールは、標準状態において、水に溶解させることができる量が10wt%以下のものである。
このようなポリオールを含めば、液中の溶存酸素量を低減することができる。つまり、一旦溶存酸素量を後述の方法で低く調整した後に、新たに酸素が溶解することを防ぐので、溶存酸素量を低い状態で保つことができる。
溶存酸素量が低ければ、洗浄液に気泡が生じにくい。つまり、洗浄液がヘッド中に残存してインクと混ざっても、当該インクに気泡が生じにくい。仮に、気泡が発生するとインク中の顔料やバインダ樹脂が凝集して吐出不良を導くが、本発明によれば、気泡が発生しにくいため凝集が起こりにくく、吐出安定性に優れる。よって、ヘッドの吐出安定性に対する悪影響を抑制される。
本発明者らは、標準状態(25℃、1気圧)における、水への溶解量が低いポリオールを洗浄液に含有させることにより、溶存酸素量を低減させることで、優れたヘッド吐出安定性が得られることを見出した。酸素は、窒素よりも極性が高く水への溶解度が高い。本発明に係るインクジェット装置用洗浄液に含まれるポリオールは、水への溶解度が低いために、酸素が水中に取り込まれる割合が減り溶存酸素量の安定化に寄与し、保存後の溶存酸素量の増加が少なくなると考えられる。また、溶存窒素量を増やすことで溶存酸素が溶存窒素に置き換わり、溶存酸素量が減る。
また、標準状態(25℃、1気圧)における、水への溶解度が低いポリオールは、洗浄液中の溶存酸素量を低く保つことができ、ヘッド表面の酸化を防ぐことができる。その理由は、当該ポリオールは水への溶解度が低く、10%を超える配合量では油状成分の性状を示す材料であるからである。当該ポリオールは、酸素に対する活性が低く、また、当該ポリオールの溶存酸素量は水に比べてはるかに低いため、当該ポリオールを洗浄液が含むことにより、例えば、溶存酸素量を5mg/l以下という低酸素状態を保つことができる。低溶存酸素濃度の洗浄液を用いればヘッド表面の酸化を防止することができる。酸化防止の観点からは、後述する酸化防止剤を加えてもよい。
標準状態(25℃、1気圧)における水への溶解量が10wt%以下のポリオールの中でも、炭素数7以上、11以下のものがより好ましい。また、このようなポリオールの具体例としては、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール等が挙げられる。洗浄液中の溶存酸素量をより低減することができる。よって、吐出安定性に対する悪影響をより抑制できる。
ポリオールの含有量は特に限定されないが、例えば、0.1重量%以上、7.0重量%以下であることがより好ましい。
0.1重量%以上であることにより、ポリオールによる溶存酸素濃度を低下させる効果を十分に得ることができる。また、ポリオールは水に溶解しにくいが、本発明において用いるポリオールは7重量%以下であれば容易に溶解させることができるので、本発明に係るインクジェット装置用洗浄液を製造し易くなる。
<溶存酸素量>
本発明に係るインクジェット装置用洗浄液の溶存酸素量は、上述のポリオールを含んでいることが低くなっているが、具体的には、低ければ低いほどよく、溶存酸素量が5mg/l以下であることがより好ましい。このように溶存酸素量を低くすることにより、インクに混ざった際に、インク中に気泡が発生することをより抑制することができる。
溶存酸素量を調節する方法に関しては特に限定されないが、インクを減圧下で脱気する方法、超音波を照射して脱気する方法、中空糸膜により脱気する方法などがある。後述の実施例においては、減圧下で脱気する方法と中空糸膜の二つの方法を用いた。これらの方法により、好適に溶存酸素量を例えば0.1mg/l、又は、さらに低い濃度に調節することができる。
溶存酸素濃度を測定する方法としては、例えば、オストワルド法(実験化学講座1基本操作[1]、241頁、1:2075年、丸善 参照)や、マススペクトル法で測定する方法、酸素濃度計や比色分析法を用いて測定することができる。また市販の溶存酸素濃度計を用いても簡便に測定することができる。
<水>
本発明に係るインクジェット装置用洗浄液は水を含んでもよい。洗浄液の調製が容易であり、また、残存してもインクの性質等に悪影響を及ぼさない。
<水溶性有機溶剤>
本発明に係るインクジェット装置用洗浄液は水溶性有機溶剤を含んでもよい。
水溶性有機溶剤としては、水素結合しやすく、単独では粘度が高いもので、かつ、平衡水分量が高く、水分の存在下では粘度が低下するようなものがより好ましい。
そのような多価アルコールとしてはグリセリン、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、テトラエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール2−メチル−2、4−ヘキサンジオール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、テトラメチル尿素、尿素等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく複数種を混合してもよい。特にグリセリンは保水力、保湿力に優れる点で、洗浄液及びインクに含まれることが望ましい。
本発明に係るインクジェット装置用洗浄液全体に占める水溶性有機溶剤の割合は、例えば、20〜60質量%の範囲であればより好適に本発明の効果を発揮でき、特に好ましくは30〜50質量%の範囲である。水溶性有機溶剤量を20質量%以上とすることにより、洗浄液の水分保持力を保ち、保管時の乾燥を抑える。また、水溶性有機溶剤量を60質量%以下にすると、洗浄液の粘度を低く抑えることができ、ヘッドへの充填性を向上させ、また、可燃性を抑えることができる。
また水溶性有機溶剤の特性によっては保湿力や有機性などが大きく変わる。特にグリセリンは保湿性が高くインクジェット用途のインク、洗浄液に添加されている。
このように、水溶性有機溶剤には保湿性のあるものを用いることがさらに好ましい。保湿性のある水溶性有機溶剤を含む洗浄液は、より凝集し易いな顔料を用いた顔料インクに対してより好適である。例えば、酸化チタンを含むラテックスインクを用いる場合、顔料とバインダ樹脂との接着が不十分であり不安定な顔料分散体となる。しかし、保湿性のある水溶性有機溶剤を含む洗浄液は、酸化チタンを含むラテックスインクが充填されたインクジェット装置を洗浄しても洗浄液が分散安定性に優れるため、放置されたインクにおいても、高い信頼性を保つことができる。
<グリコールエーテル類>
本発明に係るインクジェット装置用洗浄液は、グリコールエーテル類を含んでもよい。グリコールエーテル類を含むことで、洗浄液がインクジェットヘッド内の流路のインクと混ざり合う浸透力と、インクとの混合後にインク中の顔料の分散状態を保持する分散力とを兼ね備えることが可能となる。さらに起泡性、消泡性に関しても適度に抑泡するため、インクジェット装置内で気泡の発生を抑えて、洗浄性と保存性を示すことができる。
本発明に係るインクジェット装置用洗浄液に含まれるグリコールエーテル類としては、例えば、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルが挙げられる。これらは単独で用いてもよく複数種を混合して用いてもよい。これらのグリコールエーテル類は、被記録媒体に対するインクの濡れ性を向上させるために、インクの添加物としてよく用いられているので、洗浄液がインクに混合してもインクに対して悪影響を与えることを防ぐことができる。
本発明に係るインクジェット装置用洗浄液全体に占めるグリコールエーテル類の割合は、例えば、1〜40質量%の範囲が好ましく、より好ましくは2〜30質量%の範囲であり、特に好ましくは5〜20質量%の範囲である。1質量%未満のグリコールエーテルでは、充分な色材の紙表面の濡れ性及び浸透性を得ることができない場合があり、40質量%より多いグリコールエーテルでは、配合量が多すぎて、滲みやビーディングの発生をもたらす場合がある。1〜40質量%の範囲のグリコールエーテル類を加えることにより、色材の紙表面の濡れ性及び浸透性を向上させることができる。また、特性、その他の溶剤の配合量の観点及びインクのコストの観点から5〜20質量%の範囲が特に好ましい。
<酸化防止剤>
本発明に係るインクジェット印刷用洗浄液は酸化防止剤を含んでもよい。酸化防止剤を含むことにより酸化防止の効果が上がり、ヘッド周辺の洗浄と共に、洗浄後のインク再充填性に及ぼす悪影響を抑えることができる。
酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)としては、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトライキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等が挙げられる。
アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチル−フェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ジヒドロキフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルβ,β’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイド等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、トリフェニルフォスファイト、オクタデシルフォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイト等が挙げられる。
これらの中でも、ブチルヒドロキシトルエンが好ましい。
<界面活性剤>
本発明に係るインクジェット装置用洗浄液は界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤としては、下記一般式(1)
Figure 0006074231
(式(1)において、+n〜1の整数、x=6〜15の整数、y=1〜5の整数を示す)
に示すポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルが挙げられる。
このような界面活性剤を含むことにより、洗浄性が優れ、インク流路に対する損傷、損耗等を抑制し、且つ、インク再充填したときの吐出安定性が高い洗浄液を得ることができる。
上記一般式(1)に示すポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルの含有量は、本発明に係るインクジェット装置用洗浄液全量に対して0.1〜10質量%が好ましく、さらに好ましくは0.3〜3.0質量%である。含有量が0.1質量%異常であることにより、優れた洗浄効果を得られ、10質量%以下であることにより、洗浄液の粘度が高くなることを防ぐことができる。粘度が高いと洗浄性、気泡・消泡性、接液性などの問題が生じる。
上記一般式(1)において、m,x,yの値を変えることにより、疎水性、親水性の制御ができる。mを増やすとアルキル部が長くなり疎水性に傾き、xを増やすとオキシエチレン部が長くなり親水性に傾く、またyを増やすとオキシプロピレン部が長くなり疎水性に傾く。さらに、x,yの比率を変えることによっても特性が変化し、yが多くなると泡安定性が低下し、起泡・消泡性が向上する。また低温状態での界面活性剤のロウ化が抑制されるため界面活性剤として取り扱いが向上する。
上記一般式(1)で示される界面活性剤の中でも、HLBが10〜13のものがより好ましい。HLBが10以上であれば曇点が低くないので、常温での溶解性に優れ、性能をより効果的に発揮できる。曇点が低ければ、洗浄後の保管環境で温度上昇したときに洗浄液より界面活性剤が析出するため、洗浄残液に含まれているインクの顔料分散体の分散状態を悪化させて凝集を促進する問題があるが、HLBが10以上であればこれを防ぐことができる。またHLBが13以下にすることで、界面活性剤の親水性が高くなりすぎることを防ぐ。親水性が高すぎると浸透力が低下して、インク流路に付着したインクに浸透できず洗浄効果が低くなると考えられるが、HLBを13以下にすることでこのようなことが起こることを抑制できる。
また、オキシエチレン鎖長xが6未満の場合、最適な浸透性を得るためにはオキシプロピレン鎖yが1以下になってしまう。そのため主構造がオキシプロピレン鎖を含まない界面活性剤となってしまい、液の泡が立ちやすく消えにくくなる問題が発生する。xが15を超えると界面活性剤の分子量が大きくなりすぎるため浸透力が低くなり洗浄力が低下する。また短周期での動的表面張力が低下するため、流速の早い所での濡れ性を付与することには対応できず、洗浄性や充填性が不足する。
直鎖の長さはmが3以上が好ましい。3未満になると疎水性が不足するためオキシプロピレン鎖の比率を多くする必要性があり浸透性が低下するため洗浄性が不足する。またmが16以上になると疎水性が強くなりすぎるため、親水性とのバランスを取るためにオキシエチレン鎖が多くなり、界面活性剤の分子量が大きくなりすぎるため動的表面張力が低下し、流速の早い場所での濡れ性が低下する。
また色材として樹脂微粒子に水不溶性又は難溶性の色材を含有させてなる着色樹脂微粒子を用いる場合、ヘッド洗浄後の状態はインクが極度に洗浄液にて希釈された状態であるため、顔料周囲の環境が大きく変わっており、分散安定性が保ちにくくなっている。しかし、本発明に係るインクジェット装置用洗浄液が上記一般式(1)に示す界面活性剤を含むことにより、分散安定性を保つことができる。
このような界面活性剤は花王(株)製エマルゲンLS−106、LS−110、LS−114、MS−110、ライオン(株)製レオックスCL2008、青木油脂(株)製WONDERSURF80、100、140、日油(株)ユニループ50MB−11、50MB−26、50MB−72、50MB−168、ノニオンA−10R、A−13P、A−25B、ユニセーフ5P−4、5P−8、10P−4、10P−8、20P−4、20P−8などの界面活性剤メーカより容易に入手できる。
<粘度>
本発明に係るインクジェット装置用洗浄液の粘度は特に限定されないが、インクに近い粘度であることが好ましく、例えば、25℃における粘度が、2.0mPa・s以上であり、10mPa・s以下であることがより好ましい。インクは、上記の粘度であることが多い。洗浄液をこのような粘度にしておくことにより、洗浄液がインクに混ざってもインクの粘度を崩すことを防ぐことができる。
低粘度の洗浄液はヘッド内の流速も早くインクとの混合性も高い。しかしインクジェットヘッドのように多数のノズルが存在する場合、各ノズルから均一にインクが抜けないと洗浄ムラが生じやすい。インクより粘度が低い洗浄液がインクに置き換わってヘッド内の個別液室を流れると、他の液室より流体抵抗が低いため、他の液室より多くの洗浄液が流れやすい状況となる。そのため洗浄液に完全に置換されたノズルは流れやすくなり、残っているノズルは流れにくいままで、完全にノズルを洗浄することが出来ないようになる。
そこで、洗浄液の物性をインクの物性に近づける方がヘッド内の洗浄には好ましく、25℃における粘度が、好ましくは2.0mPa・s以上、より好ましくは2.5mPa・s以上であることで、ヘッド内のインクとの粘度差をより小さくすることができ、ヘッドをより均一に洗浄することが可能となる。
また、液粘度が高い方が顔料インクと混合したときの顔料分散体の沈降を抑制することができ、混合安定性を向上させることができる。しかし、粘度が高すぎてもインクの物性と離れてしまい好ましくない。また、粘度が高すぎると液の流速が低下するため洗浄性が低下し、洗浄時間及び洗浄廃液量の増加を招くことがある。特に、本発明に係るインクジェット装置用洗浄液においても、粘度が15mPa・sを超えると洗浄性が悪化する虞がある。このため、15mPa・s以下であることが好ましく、10mPa・s以下であることがより好ましい。
以上より、粘度が2.0mPa・s以上、10mPa・s以下、より好ましくは2.5mPa・s以上、10mPa・s以下であることにより特に好ましい結果が得られる。
本発明に係るインクジェット装置用洗浄液の粘度は、例えば、グリセリン又はグリコールエーテルを適切量配合することにより調整することができる。これらの溶剤は水に比べて高粘度であり、所望の粘度を配合量によって調整できる。
<添加剤>
本発明に係るインクジェット装置用洗浄液は、上述した成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、防腐防黴剤、pH調整剤、キレート剤、防錆剤、浸透剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
防腐防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が挙げられる。
pH調整剤としては、調合される洗浄液に悪影響を及ぼさず、さらにインクジェット装置のインク流路にダメージを与えないものであり、pHを所望の値に調整できるものであることがより好ましい。
例えば、塩基性に調整するときにはアミン類、アルカリ金属水酸化物、第四級化合物水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、酸性に調整するときは無機酸、有機酸が挙げられる。
具体的には、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。
また、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸などの無機酸および硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウムなどの一価の弱カチオンと形成する塩、酢酸、蓚酸、乳酸、サリチル酸、安息香酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、アルギニン酸、システイン、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、リシン、リンゴ酸、クエン酸、グリシン、グルタミン酸、コハク酸、酒石酸、フタル酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、カルボラン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体等の有機酸が挙げられる。
pH調整剤は、ここに列挙した化合物に限定されるものではない。pH調整剤はインクのpH変動に応じた特性に合わせて、最適のpKaのものを適宜利用することができ、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、また、Buffer剤を併用しても構わない。これらは東京化成工業株式会社を初めとした種々のメーカーより入手可能である。
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
浸透剤としては界面活性剤や有機溶剤による浸透性を補うために必要に応じて添加すればよい。このような浸透剤は20℃の水に対する溶解量が0.2質量%以上5.0質量%未満のポリオールのであることがより好ましい。つまり、本発明に係るインクジェット印刷用洗浄液は、上述の溶存酸素量を低減させる目的で含有させる標準状態(25℃、1気圧)における水への溶解量が10wt%以下のポリオールのほかに、浸透剤としてのポリオールを含んでもよい。
このようなポリオールのうち、脂肪族ジオールとしては、例えば、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2、2、4−トリメチル−1、3−ペンタンジオール等が挙げられる。
これらのなかで最も望ましいものは2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及びまたは2、2、4−トリメチル−1、3−ペンタンジオールである。つまり、これらのポリオールは浸透剤としても、上述の溶存酸素量を低減させるものとしても良好に機能する。
その他の併用できる浸透剤として、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類、エタノール等の低級アルコール類などが挙げられるが、洗浄液中に溶解し、所望の物性に調整できるものであれば、これらに限らない。
浸透剤の添加量としては0〜4.0質量%の範囲が望ましい。添加量が4.0質量%以下であれば、被洗浄対象のインクの顔料分散体の分散安定性が損なわない。つまり、分散体が凝集したり、インク流路部材に浸食したり、接着剤を膨潤、溶出させたりするなどの問題を抑制できる。
<インク>
本発明に係るインクジェット装置用洗浄液により洗浄対象となるインクジェット装置に用いるインクは特に限定されず、様々なインクを用いるインクジェット装置に適用できる。
洗浄液とインクとの組み合わせは重要となる。色材、樹脂微粒子、界面活性剤、水溶性有機溶剤、浸透剤、消泡剤、その他添加剤がインクジェットインクに配合されており、界面活性剤、水溶性有機溶剤、浸透剤、添加剤に関しては洗浄液と同様の物質が利用可能のである。配合量は印字を目的とした機能を発現するために最適化されればよい。
インクが、顔料として酸化チタン分散体、ラテックスインクに含まれエマルション等を形成しているバインダ樹脂、又は、樹脂微粒子に水不溶性又は難溶性の色材を含有させてなる着色樹脂微粒子を用いている場合、ヘッド洗浄後の状態はインクが極度に洗浄液にて希釈された状態であるため、顔料周囲の環境が大きく変わっており、分散安定性が保ちにくくなっている。しかし、本発明に係るインクジェット装置用洗浄液、特に上述の水溶性有機溶媒及びグリコールエーテル類の選別、粘度の調整等によってインクの性状に合わせた洗浄液は、このようなインクを用いるインクジェット装置に対しても好適に用いることができる。
インクには、水、水溶性有機溶剤、グリコールエーテル類等を含んでもよい。これらの性状は本発明に係るインクジェット装置用洗浄液に含まれるものと近いことが好ましく、説明も、本発明に係るインクジェット装置用洗浄液において行なった説明に準じる。
〔色材〕
インクに含まれる色材については、耐候性の面から主として顔料が用いられるが、色調を調整する目的で、また、耐候性を劣化させない範囲内で、染料を含有しても構わない。
無機顔料としては、酸化チタン及び酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロ−に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等が挙げられる。これらの顔料のうち、特に、水と親和性の良いものが好ましく用いられる。
より好ましく用いられる黒色用の顔料の具体例としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカ−ボンブラック(C.I..ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I..ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I..ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。
より好ましく用いられるカラー用の顔料の具体例としては、C.I..ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、408、109、110、117、120、128、138、150、151、153、183、C.I..ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I..ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パ−マネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I..ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I..ピグメントブル−1、2、15、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I..ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等が挙げられる。
他の適切な着色顔料の例は、The Colour Index、第三版(The SoC.I.ety of Dyers and Colourists,1982)に記載されている。
これら顔料のうち、好ましい形態としては、顔料の表面に少なくとも1種の親水基が直接もしくは他の原子団を介して結合するように表面改質されたものである。そのためには、顔料の表面に、ある特定の官能基(スルホン基やカルボキシル基等の官能基)を化学的に結合させるか、又は、次亜ハロゲン酸及び/若しくはその塩を用いて湿式酸化処理する等の方法が用いられる。中でも好ましい形態は、顔料の表面にカルボキシル基が結合され、水中に分散されている形態である。これも顔料が表面改質されカルボキシル基が結合しているために、分散安定性が向上するばかりではなく、高品位な印字品質が得られるとともに、印字後の記録媒体の耐水性がより向上する。
またこの形態のインクは乾燥後の再分散性に優れるため、長期間印字を休止し、インクジェットヘッドのノズル付近のインクの水分が蒸発した場合も目詰まりを起こさず簡単なクリーニング動作で容易に良好な印字が行なえるようになる。またこの自己分散型の顔料は、後述する界面活性剤及び浸透剤と組み合わせた時に、特に相乗効果が大きく、より信頼性の高い、高品位な画像を得ることが可能となる。
また、ポリマー微粒子に顔料を含有させたポリマーエマルジョンを使用することも可能である。顔料を含有させたポリマーエマルジョンとは、ポリマー微粒子中に顔料を封入したもの、及び/又はポリマー微粒子の表面に顔料を吸着させたものである。この場合、全ての顔料が封入及び/又は吸着している必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲で該顔料がエマルジョン中に分散にしていてもよい。ポリマーエマルジョンを形成するポリマーとしてはビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、及びポリウレタン系ポリマー等が挙げられるが、特に好ましく用いられるポリマーはビニル系ポリマー及びポリエステル系ポリマーであり、特開2000−53897号公報、2001−139849号公報に開示されているポリマーを引用する。
本発明では顔料のみでなく、以下に示す染料を併用することも可能である。
例えば、酸性染料及び食用染料としては、C.I..アシッド・イエロー 17、23、42、44、79、142C.I..アシッド・レッド 1、8、13、14、18、26、27、35、37、42、52、82、87、89、92、97、106、111、114、115、134、186、249、254、289;C.I..アシッド・ブルー 9、29、45、92、249;C.I..アシッド・ブラック 1、2、7、24、26、94;C.I..フード・イエロー 2、3、4;C.I..フード・レッド 7、9、14C.I..フード・ブラック 1、2等が挙げられる。
直接性染料としては、C.I..ダイレクト・イエロー 1、12、24、26、33、44、50、120、132、142、144、86;C.I..ダイレクト・レッド 1、4、9、13、17、20、28、31、39、80、81、83、89、225、227;C.I..ダイレクト・オレンジ 26、29、62、102;C.I..ダイレクト・ブルー 1、2、6、15、22、25、71、76、79、86、87、90、98、163、165、199、202;C.I..ダイレクト・ブラック 19、22、32、38、51、56、71、74、75、77、154、168、171等が挙げられる。
塩基性染料としては、C.I..ベーシック・イエロー 1、2、11、13、14、15、19、21、23、24、25、28、29、32、36、40、41、45、49、51、53、63、465、67、70、73、77、87、91;C.I..ベーシック・レッド 2、12、13、14、15、18、22、23、24、27、29、35、36、38、39、46、49、51、52、54、59、68、69、70、73、78、82、102、104、109、112;C.I..ベーシック・ブルー 1、3、5、7、9、21、22、26、35、41、45、47、54、62、65、66、67、69、75、77、78、89、92、93、105、117、120、122、124、129、137、141、147、155;C.I..ベーシック・ブラック 2、8等が挙げられる。
反応性染料としては、C.I..リアクティブ・ブラック 3、4、7、11、12、17;C.I..リアクテイブ・イエロー 1、5、11、13、14、20、21、22、25、40、47、51、55、65、67;C.I..リアクティブ・レッド 1、14、17、25、26、32、37、44、46、55、60、66、74、79、96、97;C.I..リアクティブ・ブルー 1、2、7、14、15、23、32、35、38、41、63、80、95等が挙げられる。
これらのなかで特に好ましいのは、酸性染料及び直接性染料である。
これら以外でも構造が非開示であるがインクジェット用染料として市販されている物は利用できる。インクジェット用染料は、富士フイルムイメージングカラーラント株式会社、日本化薬株式会社、三菱化学株式会社、ダイワ化成株式会社、クラリアント株式会社、チバ・スペシャルディ・ケミカルズ株式会社などから入手することができる。
インク中の色材の添加量は、1〜15質量%程度が好ましく、より好ましくは3〜12
質量%程度である。
〔酸化チタン〕
本発明に係るインクジェット装置用洗浄液で洗浄する対象のインクジェット装置にて用いられるインクは、色材として酸化チタンを含んでいてもよい。このように皮膜を造りやすいインクに対しても本発明に係るインクジェット装置用洗浄液を好適に用いることができる。
酸化チタンは、ルチル型、アナターゼ型等があるが、色材として使用できる特性内にあれば、特に限定されずに用いられる。
平均粒子径は、10から80nmの微粒子が好ましい。その理由は、酸化チタンの比重は4〜5、平均4.5程度であり、沈降し易いためである。粒子径が小さくし自己分散性を高めることで、分散安定性がより向上するためである。
酸化チタンには、アナターゼ(Anatase;鋭錐石)、ルチル(Rutile;金紅石)、ブルカイト(Brookite;板チタン石)の3種の結晶形態がある。このうち、工業的に利用されているのはルチル及びアナターゼであり、ブルカイトは学術的に取り上げるのみで、工業面の利用はない。
酸化チタン結晶中の原子の配列は3種の結晶形とも1個のTi原子を中心に6個のO原子が配位し、O原子により8面体の稜が形成されている。ルチル結晶は8面体の2稜が共有されc軸方向に鎖状に伸びた構造である。電子雲の拡がり空間を考慮すると、大きなO原子の充填にした隙間にTi原子が挟まった構造と考える。
ルチルは前述のようにc軸方向の8面体2稜共有鎖状構造であるが、ブルカイトは3稜共有構造、アナターゼは4稜共有の連なった構造である。
結晶の単位格子ユニットセルは、ルチルがTiOの化学単位を2個含み、ブルカイトが8個、アナターゼが4個含む構造となっている。3結晶のユニットセルと結晶系のデータを下記の表1に示す。ルチル及びアナターゼは正方晶系でブルカイトは斜方晶系である。また1モルあたりの体積はルチル、ブルカイト、アナターゼの順に大きくなる。
結晶構成原子の化学結合のイオン性、共有性についてはPaulingの電気陰性度が広く普及している。Ti−O結合のイオン性は、桐山による50%、Grantによる43%、Beohmによる63%などの報告がある(酸化チタン〜物性と応用技術〜 清野学著 技報堂出版株式会社)が、イオン性・共有性はほぼ半々の結合と考えられている。また、8面体の稜の共有数が増えるほど、イオン性が減少すると言われており、イオン性はルチル、ブルカイト、アナターゼの順に低下し、共有性が強くなる。
酸化チタンの化学的性質は、アナターゼ、ルチルともに、弗酸、熱濃硫酸及び溶解アルカリ塩に溶解するがそれ以外の酸、アルカリ、水、有機溶媒等に溶解しない。また、常温・常圧下ではHF、SO、Cl、HS等反応性の強いガスと酸化チタンとは反応することはないが、高温ではHFと反応しTiFとなる。さらに還元剤共存下高温でCl等のハロゲンと反応してTiCl等のハロゲン化チタンを生成する。また、高温下、H、CO等で還元されて、低次酸化物に変化する。
酸化チタンはこのように特殊条件下では他の物質と反応することはあるが、通常の使用条件ではきわめて安定で、燃焼、暴発などの危険性はまったくない。
また、製造工程上硫酸法も塩素法も800〜1100℃の熱処理を経ているため、酸化チタン自身は800℃以下の加熱による変質は本質的にない。
酸化チタンの物理的性質は、次のとおりである。
(1)電気伝導度
酸化チタンは室温では完全な絶縁体であるが、これを加熱又は紫外線照射等の外部から適当なエネルギーを加えるとn型半導体として作用する。
(2)熱転移
酸化チタンの3結晶形態の中、ルチルが最も安定でアナターゼ、ブルカイトは加熱によりルチルに転移する。転移制御剤や促進剤のない場合、アナターゼは915±15℃以上でルチルに転移しブルカイトは650℃以上でルチルに転移する。
この反応は不可逆であるからアナターゼ、ブルカイトに転移することはない。ルチルはさらに加熱すると1825℃で溶融する。
Figure 0006074231
酸化チタンは、石原産業の超微粒子酸化チタンTTO−51(20nm)及びTTO−55(35nm)が好ましく、富士チタン社及びDupont社等から種々の材料が上市されている。
また、顔料表面に少なくとも一種の親水性基が直接又は他の原子団を介して結合している顔料を用いてもよい。分散剤を使用することなく安定に分散させることができる。
表面に親水性基を導入した顔料としては、イオン性を有するものが好ましく、アニオン性に帯電したものやカチオン性に帯電したものが好適である。
アニオン性親水性基としては、例えば、−COOM、−SOM、−POHM、−PO、−SONH、−SONHCOR(但し、式中のMは水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表わし、Rは炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基を表わす。)等が挙げられる。本発明においては、これらの中でも、特に−COOM、−SOMが表面に結合された顔料を用いることが好ましい。
アニオン性に帯電した顔料を得る方法としては、例えば顔料を次亜塩素酸ソーダで酸化処理する方法、スルホン化処理する方法、ジアゾニウム塩を反応させる方法等が挙げられる。
カチオンに帯電した親水性基としては、例えば第4級アンモニウム基を用いることができる。より好ましくは下記に挙げる第4級アンモニウム基の少なくともひとつが、顔料表面に結合された顔料が用いられる。
また、顔料を分散剤で水性媒体中に分散させた顔料分散体を用いることもできる。好ましい分散剤としては、顔料分散液調整に用いられる公知の分散剤を使用することができ、例えば以下のものが挙げられる。
ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチ
レン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等。
また、顔料の分散に用いるノニオン系又はアニオン系分散剤としては顔料種別又はインクの処方に応じて適宜選択でき、例えば、ノニオン系分散剤としてはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンαナフチルエーテル、ポリオキシエチレンβナフチルエーテル、ポリオキシエチレンモノスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル、ポリオキシエチレンモノスチリルナフチルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルナフチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体等が挙げられる。また、各ポリオキシエチレンの一部をポリオキシプロピレンに置き換えた分散剤、及び、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の芳香環を有する化合物をホルマリン等で縮合させた分散剤も使用できる。
ノニオン系分散剤のHLBは12以上20.5以下のものが好ましく、13以上20以下のものがより好ましい。HLBが12以上であれば、分散剤の分散媒へのなじみが良いため分散安定性が良好になり、HLBが20.5以下であれば、分散剤が酸化チタン等の顔料に吸着しやすいため分散安定性が良好になる。
さらに、酸化チタンとして、樹脂被覆型の着色剤も好適に利用できる。これについて以下に説明する。
当該着色剤は、ポリマー微粒子に酸化チタンを含有させたポリマーエマルジョンからなる。本明細書において、「酸化チタンを含有させた」とは、ポリマー微粒子中に酸化チタンを封入した状態およびポリマー微粒子の表面に酸化チタンを吸着させた状態の何れか又は双方を意味する。この場合、インクに配合される酸化チタンはすべてポリマー微粒子に封入または吸着されている必要はなく、当該酸化チタンがエマルション中に分散していてもよい。このような酸化チタンとしては、水不溶性又は水難溶性であって、ポリマーによって吸着され得る酸化チタンであれば特に限定されない。
<ラテックスインク>
本発明に係るインクジェット装置用洗浄液は、ラテックスインクを用いるインクジェット用装置にも好適に用いることができる。以下、ラテックスインクにおいて乳濁又は懸濁しているバインダ樹脂を「ポリマーラテックス」と表記する。インクに含まれるポリマーラテックスとしては、水分散性樹脂を用いることが好ましい。
水分散性樹脂としては、縮合系合成樹脂(ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、珪素樹脂など)や付加系合成樹脂(ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、不飽和カルボン酸系樹脂など)、天然高分子(セルロース類、ロジン類、天然ゴムなど)を用いることができ、樹脂はホモポリマーとして使用されても良く、またコポリマーして使用して複合系樹脂として用いてもよく、単相構造型及びコアシェル型、パワーフィード型エマルジョンの何れのものも使用できる。
水分散性樹脂としては、樹脂自身に親水基を持ち自己分散性を持つもの、樹脂自身は分散性を持たず界面活性剤や親水基をもつ樹脂にて分散性を付与したものが使用できる。特にポリエステル樹脂及びポリウレタン樹脂のアイオノマー、並びに、不飽和単量体の乳化及び懸濁重合によって得られた樹脂粒子のエマルジョンが最適である。不飽和単量体の乳化重合の場合、不飽和単量体、重合開始剤、及び界面活性剤、連鎖移動剤、キレート剤、pH調整剤等を添加した水内にて反応を行なうことによって、樹脂エマルジョンを得るため、容易に水分散性樹脂を得ることができる。よって、樹脂構成を容易に替えやすいため目的の性質を作りやすい。乳化及び懸濁重合に使用可能な不飽和単量体としては、不飽和カルボン酸類、(メタ)アクリル酸エステル単量体類、(メタ)アクリル酸アミド単量体類、芳香族ビニル単量体類、ビニルシアン化合物単量体類、ビニル単量体類、アリル化合物単量体類、オレフィン単量体類、ジエン単量体類、不飽和炭素を持つオリゴマー類等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。これらの単量体を組み合わせることで柔軟に性質を改質することが可能であり、オリゴマー型重合開始剤を用いて重合反応、グラフト反応を行なうことで樹脂の特性を改質することもできる。
不飽和単量体の具体例を以下に示す。
(不飽和カルボン酸類)
アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸等((メタ)アクリル酸エステル類)。
(単官能体)
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、メタクリ
ロキシエチルトリメチルアンモニウム塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランメチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−へキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロへキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジ
メチルアミノエチルアクリレート、アクリロキシエチルトリメチルアンモニウム塩等。
(多官能体)
エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリブチレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメ
チロールエタントリメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパントリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ジトリメチロールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート。
((メタ)アクリル酸アミド単量体類)
アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等。
(芳香族ビニル単量体類)
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、4−t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等。
(ビニルシアン化合物単量体類)
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(アリル化合物単量体類)
アリルスルホン酸その塩、アリルアミン、アリルクロライド、ジアリルアミン、ジアリルジメチルアンモニウム塩等。
(オレフィン単量体類)
エチレン、プロピレン等。
(ジエン単量体類)
ブタジエン、クロロプレン等。
(ビニル単量体類)
酢酸ビニル、塩化ビニリデン、塩化ビニル、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン、ビニルスルホン酸およびその塩、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等。
(不飽和炭素を持つオリゴマー類)
メタクリロイル基を持つスチレンオリゴマー、メタクリロイル基を持つスチレン−アクリロニトリルオリゴマー、メタクリロイル基を持つメチルメタクリレートオリゴマー、メタクリロイル基を持つジメチルシロキサンオリゴマー、アクリロイル基を持つポリエステルオリゴマー等。
これらの単量体を単独で用いることにより、又は、複数組み合わせて用いることにより、柔軟に水分散性樹脂の性質を改質することが可能である。またこのような水分散性樹脂は強アルカリ性、強酸性下では分散破壊や加水分解などの分子鎖の断裂が引き起こされるため、pHは4〜12が望ましい。特に水分散色材との混和性からpHが6〜11が好ましく、pHが7〜9がより好ましい。
水分散性樹脂の粒径は分散液の粘度と関係しており、組成が同じものでは粒径が小さくなるほど同一固形分での粘度が大きくなる。インク化した時に過剰な高粘度にならないためにも水分散性樹脂の平均粒子径は50nm以上が望ましい。また粒径が数十μmになるとインクジェットヘッドのノズル口より大きくなるため使用できない。ノズル口より小さくとも粒子径の大きな粒子がインク中に存在すると吐出性を悪化させることは知られている。インク吐出性を阻害させないために平均粒子径が500nm以下であることが望ましく、150nm以下がより好ましい。
水分散性樹脂は水分散色材を紙面に定着させる働きを持ち、常温で被膜化して色材の定着性を向上させることが望まれている。そのためには水分散性樹脂、つまり、ラテックスインクに乳濁又は懸濁しているバインダ樹脂の最低造膜温度(MFT)は、常温以下であることがより好ましく20℃以下であることがさらに好ましく、0℃以下が特に好ましい。しかしガラス転移点が−40℃以下になると樹脂皮膜の粘稠性が強くなり印字物にタックが生じるため、ガラス転移点が−30℃以上の水分散性樹脂であることが望ましい。
〔界面活性剤〕
インクには界面活性剤が含まれていてもよい。界面活性剤としてはアニオン系界面活性剤またはノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。色材の種類や湿潤剤、水溶性有機溶剤の組合せによって、分散安定性を損なわない界面活性剤を選択すればよい。
アニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、琥珀酸エステルスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどが挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。具体例として以下に挙げるものが好適に使用されるが、これらに限定されるわけではない。ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシド、ポリオキシエチレンヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ジメチルアルキル(ヤシ)ベタイン、ジメチルラウリルベタイン等が挙げられる。
このような界面活性剤は日光ケミカルズ(株)、日本エマルジョン(株)、日本触媒(株)、東邦化学(株)、花王(株)、アデカ(株)、ライオン(株)、青木油脂(株)、三洋化成(株)などの界面活性剤メーカより容易に入手できる。
またアセチレングリコール系界面活性剤は、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどのアセチレングリコール系(例えばエアープロダクツ社(米国)のサーフィノール104、82、465、485あるいはTGなど)を用いることができるが、特にサーフィノール465、104やTGが良好な印字品質を示す。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーおよびこの硫酸エステル塩、フッ素系脂肪族系ポリマーエステルが挙げられる。
このようなフッ素系界面活性剤として市販されているものを挙げると、サーフロンS−111、S−112、S−113、S121、S131、S132、S−141、S−145(旭硝子社製)、フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431、FC−4430(住友スリーエム社製)、FT−110、250、251、400S(ネオス社製)、ゾニールFS−62、FSA、FSE、FSJ、FSP、TBS、UR、FSO、FSO−100、FSN N、FSN−100、FS−300、FSK(Dupont社製)、ポリフォックスPF−136A、PF−156A、PF−151N(OMNOVA社製)などがあり、メーカより容易に入手できる。
界面活性剤は、ここに例示したものに限定されない。また、界面活性剤は一種類を用いてもよく、複数種類を混合して用いてもよい。一種類の界面活性剤ではインクに容易に溶解しない場合があっても、混合することで可溶化されて、安定に存在することができるものもある。
界面活性剤の量としては、浸透性の効果を良好に発揮するために、インク全量に対して0.01〜5.0質量%であることがより好ましく、0.5〜2.0質量%がさらに好ましい。界面活性剤総量が0.01質量%未満では濡れ性を付与する効果が低く充填性を向上させるには不十分であり、5.0質量%より多い添加では濡れ性を高くしすぎるためヘッド表面の撥水部を濡らしてしまいヘッドの吐出機能を低下させる。また吐出検査後の印字物の視認性において、記録媒体への浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下が発生し視認性が低下する。
さらに一部の界面活性剤では、乾燥時に界面活性剤の溶解性が不足し析出したり、界面活性剤の影響で粘度が上昇したりするため、5.0質量%より多い添加は様々な問題を引き起こすことがある。
<消泡剤>
インクは消泡剤を含んでもよい。消泡剤としては、例えば、一般的に利用されている消泡剤が使用可能である。これらにはシリコーン消泡剤、ポリエーテル消泡剤、脂肪酸エステル消泡剤等が挙げられ、単独で含んでもよく、複数種を混合して含んでもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点でシリコーン消泡剤がより好ましい。
シリコーン消泡剤としては、例えば、オイル型シリコーン消泡剤、コンパウンド型シリコーン消泡剤、自己乳化型シリコーン消泡剤、エマルジョン型シリコーン消泡剤、変性シリコーン消泡剤等が挙げられる。
変性シリコーン消泡剤としては、例えば、アミノ変性シリコーン消泡剤、カルビノール変性シリコーン消泡剤、メタクリル変性シリコーン消泡剤、ポリエーテル変性シリコーン消泡剤、アルキル変性シリコーン消泡剤、高級脂肪酸エステル変性シリコーン消泡剤、アルキレンオキサイド変性シリコーン消泡剤等が挙げられる。
これらの中でも、水系媒体であるインクへの使用を考慮すると、自己乳化型シリコーン消泡剤、エマルジョン型シリコーン消泡剤などが好ましい。
消泡剤としては、市販品を使用してもよく、市販品としては、信越化学工業(株)製のシリコーン消泡剤(KS508、KS531、KM72、KM85等)、東レ・ダウ・コーニング(株)製のシリコーン消泡剤(Q2−3183A、SH5510等)、日本ユニカー(株)製のシリコーン消泡剤(SAG30等)、旭電化工業(株)製の消泡剤(アデカネートシリーズ等)等が挙げられる。
インクにおける消泡剤の含有量としては、特に限定されないが、消泡剤はインクに完全に溶解しない物が多く、分離析出する可能性が高いため、極力添加しない方がよい。しかしながら充填時に起泡していると充填性が悪化するため、最小量を使用することが好ましい。例えば、0〜3.0質量%がより好ましく、0〜0.5質量%がさらに好ましい。
消泡剤には、破泡効果を高める観点から無機微粒子を含有するものがあるが、インクには利用しない方が好ましい。
<インクジェット装置について>
本発明に係るインクジェット装置用洗浄液による洗浄の対象となるインクジェット記録装置としては、様々な種類の装置が挙げられる。例えば、インク流路内のインクを加圧する圧力発生手段として圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの(特開平2−51734号公報参照)、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させるいわゆるサーマル型のもの(特開昭61−59911号公報参照)、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることで,インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のもの(特開平6−71882号公報参照)等が挙げられる。いずれのものであっても本発明に係るインクジェット装置用洗浄液にて好適に洗浄することができる。
本発明に係るインクジェット装置用洗浄液は、各種分野において好適に使用することができる。特に、インクジェット記録方式による画像形成装置(プリンター等)において好適に使用することができ、ヘッド以外のインク流路に充填して出荷することが可能である。
<洗浄方法>
本発明に係るインクジェット装置の洗浄方法は、インク供給路にインクが充填されたインクジェット装置に、本発明に係るインクジェット装置用洗浄液を通液する。
具体的な洗浄方法としては、本発明に係るインクジェット装置用洗浄液を用いること以外の方法は特に限定されるものではない。
本発明に係るインクジェット装置用洗浄液をインク流路内に供給して排出する工程を繰り返してもよい。
例えば、インクジェット装置本体の供給、吸引機構を用いて、本発明に係るインクジェット装置用洗浄液の入ったカートリッジから、洗浄液をインク流路内に供給及び排出を繰り返す方法、外部から洗浄液容器を加圧して洗浄液を供給する方法、ヘッド側から外部のポンプを用いて吸引する方法等が挙げられる。
いずれの方法であっても、インク供給路にインクが充填されたインクジェット装置に、本発明に係るインクジェット装置用洗浄液を通液して、インク供給路内の液体を当該洗浄液に置換することで、インクジェット記録装置を洗浄できる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、本発明の実施例および比較例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例に記載の各成分の量は重量基準である。
<洗浄液の調整>
洗浄液の調整は以下の手順で行なった。
まずpH調整剤、界面活性剤、水を混合して、均一に溶解させた。そこに水溶性有機溶剤を混合して、一時間攪拌を行ない、均一に混合した。この混合液を0.8μセルロースアセテートメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子及びごみを除去して、評価に用いる洗浄液を得た。
洗浄液の調合は以上の方法を用いて、下記の組成に基づいて調合した。なお、以下の成分割合を示す数値の単位は質量%である。
実施例1
3−メチル−1,3−ブタンジオール 12wt%(固形分)
グリセリン 10wt%
2−ピロリドン 5wt%
ジエチレングリコールイソブチルエーテル 20wt%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 4wt%
界面活性剤 分岐有りEO/PO(エマルゲン 花王製) 1wt%
酸化防止剤 ブチルヒドロキシトルエン 0.5wt%
2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール 0.1wt%
イオン交換水を加えて100%とした。
実施例2
1,3−ブタンジオール 12wt%(固形分)
グリセリン 13wt%
2−ピロリドン 5wt%
トリエチレングリコールイソブチルエーテル 20wt%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 5wt%
界面活性剤 分岐有りEO/PO(レオックス ライオン製) 1wt%
酸化防止剤 ブチルヒドロキシトルエン 0.5wt%
トリエタノールアミン 0.1wt%
イオン交換水を加えて100%とした。
実施例3
グリセリン 20wt%(固形分)
ジエチレングリコールイソブチルエーテル 20wt%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 5wt%
界面活性剤 分岐有りEO/PO(エマルゲン 花王製) 1wt%
酸化防止剤 ブチルヒドロキシトルエン 0.5wt%
トリエタノールアミン 0.1wt%
イオン交換水を加えて100%とした。
実施例4
3−メチル−1,3−ブタンジオール 10wt%(固形分)
グリセリン 15wt%
トリエチレングリコールイソブチルエーテル 20wt%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 5wt%
界面活性剤 分岐有りEO/PO(エマルゲン 花王製) 1wt%
酸化防止剤 ブチルヒドロキシトルエン 0.5wt%
水酸化ナトリウム 0.1wt%
イオン交換水を加えて100%とした。
実施例5
1,6−ヘキサンジオール 10wt%(固形分)
グリセリン 13wt%
2−ピロリドン 5wt%
トリエチレングリコールイソブチルエーテル 20wt%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 4wt%
界面活性剤 分岐有りEO/PO(レオックス ライオン製) 1wt%
酸化防止剤 ブチルヒドロキシトルエン 0.5wt%
水酸化ナトリウム 0.1wt%
イオン交換水を加えて100%とした。
比較例1
グリセリン 14wt%(固形分)
ジプロピレングリコール 10wt%
ジエチレングリコールイソブチルエーテル 10wt%
1,4−ブタンジオール 10wt%
界面活性剤 分岐有りEO/PO(エマルゲン花王製) 1wt%
トリエタノールアミン 0.1wt%
イオン交換水を加えて100%とした。
比較例2
3−メチル−1,3−ブタンジオール 10wt%(固形分)
2−メチル−2,4−ペンタンジオール 10wt%
グリセリン 10wt%
トリエチレングリコールイソブチルエーテル 16wt%
界面活性剤 分岐有りEO/PO(エマルゲン花王製) 1wt%
水酸化ナトリウム 0.1wt%
イオン交換水を加えて100%とした。
比較例3
1,3−ブタンジオール 10wt%(固形分)
1,6−ヘキサン−ジオール 5wt%
グリセリン 13wt%
2−ピロリドン 5wt%
トリエチレングリコールイソブチルエーテル 15wt%
界面活性剤 分岐有りEO/PO(レオックス ライオン製) 1wt%
2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール 0.1wt%
イオン交換水を加えて100%とした。
比較例4
グリセリン 12wt%(固形分)
1,5−ペンタンジオール 18wt%
ジエチレングリコールイソブチルエーテル 20wt%
界面活性剤 分岐有りEO/PO(エマルゲン花王製) 1wt%
トリエタノールアミン 0.1wt%
イオン交換水を加えて100%とした。
比較例5
グリセリン 14wt%(固形分)
ジプロピレングリコール 10wt%
1,6−ヘキサンジオール 5wt%
ジエチレングリコールイソブチルエーテル 10wt%
3−メチル−1,5−ペンタジオール 10wt%
界面活性剤 分岐有りEO/PO(レオックス ライオン製)1wt%
水酸化ナトリウム 0.1wt%
イオン交換水を加えて100%とした。
〔脱気工程〕
実施例1〜5迄の各洗浄液を、残存酸素量を調整する工程を経て、溶存酸素量が5mg/l以下の範囲にあるように調整した。具体的には、三菱レーヨン社製の中空糸膜脱気モジュールを使い、脱気真空圧90kPa(ULVAC製DAP−6D使用の脱気MAX)で、溶存酸素量が、1mg/l以下になるまで脱気を行なった。
その結果、各洗浄液の溶存酸素濃度は次の表2の通りになった。この様にして作製した各洗浄液を実施例1〜5の洗浄液とした(表2)。
また、比較例1〜5の洗浄液のうち、2〜4についても同様に脱気工程を経て溶存酸素量が、1mg/l以下になるまで脱気を行なった。
Figure 0006074231
〔色材の調整〕
ポリマーグラフト色材の合成例
合成例1(酸化チタン分散体)
(a)ビニル基を有する有機団を付与した酸化チタンの合成
1Lのガラス製の反応容器にエタノール300.0g、脱イオン水20.0gを投入して150rpmで攪拌しながら、酢酸を滴下し、pH4.5に調整した。
次に、酸化チタンR−960(Dupont社製)200gを投入して150rpmで30分攪拌した後、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート20gをエタノール80gに溶解させた溶液を、1時間程度で滴下した後、60℃で4時間攪拌した。
次に、室温に戻して攪拌して得られた分散物を5000rpmで30分間遠心分離し、デカンテーションした。得られた白色粉体にエタノール400mLを投入して攪拌し再分散させ後、得られた分散物を5000rpmで30分間遠心分離し、デカンテーションした。得られた白色粉体を一夜間放置し、乾燥した後、70℃で4時間真空乾燥し、荷電性基(アミノ基)を持たず、ビニル基を有する有機団を付加した表面処理酸化チタンが得られた。
(b)酸化チタン粒子表面へのグラフトポリマー鎖の導入(グラフト酸化チタンの合成)
次に、1Lの加圧反応容器にラウリルメタクリレート100.0g、パラフィン炭化水素 ネオチオゾール(中央化成社製)300.0g、予め粉砕した前記表面処理酸化チタン96.0g、AIBN 0.600gを投入して窒素置換を行ない、0.1Mpaに窒素で加圧した後、300rpmで攪拌しながら、30分間分散を行なった。その後1時間程度で75℃まで加熱し、75℃で7時間攪拌した。
次に、室温に戻して攪拌して得られた分散物を10000rpmで30分間遠心分離し、デカンテーションした。得られた白色粉体にイソオクタン600mL投入して攪拌し、再分散させた後、10000rpmで30分間遠心分離し、デカンテーションする操作を計2回繰り返した。さらに、一夜間放置し、乾燥した後、70℃で4時間真空乾燥し、ポリマーグラフト酸化チタンが得られた。なお、グラフト酸化チタンを熱重量分析すると、重量減少が9.3%であった(G−T)。
合成例2(カーボンブラック分散体)
CTAB比表面積が150m/g、DBP吸油量100ml/100gのカーボンブラック90gを、2.5N規定の硫酸ナトリウム溶液3000mlに添加し、温度60℃、速度300rpmで攪拌し、10時間反応させ酸化処理を行なった。この反応液を濾過し、濾別したカーボンブラックを水酸化ナトリウム溶液で中和し、限外濾過を行なった。得られたカーボンブラック(G−K)を水洗いし乾燥させ、20重量%となるよう純水中に分散させた。
ポリマー内包色材の合成例
合成例3
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えた1Lフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー(東亜合成(株)製、商品名:AS−6)4.0g及びメルカプトエタノール0.4gを仕込み、65℃に昇温した。
次にスチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー(東亜合成(株)製、商品名:AS−6)36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスジメチルバレロニトリル2.4g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内に、メチルエチルケトン364gを添加し、固形分濃度が50%のポリマー溶液800gを得た。
合成例4(イエロー顔料ポリマー内包分散体)
合成例3で作成したポリマー溶液28g及びピグメントイエロー74顔料26g、1mol/Lの水酸化カリウム溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、イオン交換水30gを十分に攪拌した後、三本ローロミルを用いて混練した。
得られたペーストをイオン交換水200gに投入し、十分に攪拌した後、エバポレーターを用いてメチルエチルケトン及び水を留去して、シアン色のポリマー微粒子分散体(P−Ye)を得た。粒子径は156nmであった。
合成例5(酸化チタンポリマー内包分散体)
合成例3で作成したポリマー溶液28g及び酸化チタン(石原産業製TTO−51 粒子径20nm)26g、1mol/Lの水酸化カリウム溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、イオン交換水30gを十分に攪拌した後、三本ローロミルを用いて混練した。得られたペーストをイオン交換水200gに投入し、十分に攪拌した後、エバポレーターを用いてメチルエチルケトン及び水を留去して、白色のポリマー微粒子分散体(P−T)を得た。粒子径は50nmであった。
樹脂分散色材の作製例
作製例1
酸化チタン(石原産業製TTO−55 粒子径35nm)を150g、ソルスパース(SOLSPERSE)43000(ルブリゾール社製)、3.0%、ソルスパース(SOLSPERSE)44000(ルブリゾール社製)、3.0%、蒸留水738gを混合し、この混合物をプレ分散させた後、ディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社KDL型、メディア:0.3mmφジルコニアボール使用)で20時間循環分散し、酸化チタン(R−T)の顔料分散体を得た。
作製例2(ジメチルキナクリドン顔料分散体)
C.I.ピグメントレッド122を150g、ソルスパース(SOLSPERSE)43000(ルブリゾール社製)、3.38%、ソルスパース(SOLSPERSE)44000(ルブリゾール社製)、3.38%、蒸留水738gを混合し、この混合物をプレ分散させた後、ディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社KDL型、メディア:0.3mmφジルコニアボール使用)で20時間循環分散し、ジメチルキナクリドン顔料分散体(R−M)を得た。
次に、本発明で使用するポリマーラテックスの合成例を示す。
合成例6
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えたフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、アクアロンRN−20(第一工業製薬)10g、過硫酸カリウム1g及び純水286gを仕込み、65℃に昇温した。次に、メタクリル酸メチル150g、アクリル酸2エチルヘキシル100g、アクリル酸20g、ビニルトリエトキシシラン20g、アクアロンRN−2010g、過硫酸カリウム4g、アクアロンRN−20を10g、過硫酸カリウム4g及び純水398.3gの混合溶液を2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。80℃でさらに3時間加熱熟成した後冷却し、水酸化カリウムでpHを7〜8となるよう調整した。マイクロトラックUPAを用いて測定した樹脂の粒子径は130nmであった。また、最低造膜温度(MTF)は0℃であった(P−1)。
合成例7
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えたフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、アクアロンRN−20(第一工業製薬)10g、過硫酸カリウム1g及び純水286gを仕込み、65℃に昇温した。次に、メタクリル酸メチル150g、アクリル酸2エチルヘキシル100g、アクリル酸20g、ヘキシルトリメトキシシラン40g、アクアロンRN−2010g、過硫酸カリウム4g、アクアロンRN−20を10g、過硫酸カリウム4g及び純水398.3gの混合溶液を3時間かけてフラスコ内に滴下した。80℃でさらに3時間加熱熟成した後冷却し、水酸化カリウムでpHを7〜8となるよう調整した。マイクロトラックUPAを用いて測定した樹脂の粒子径は148nmであった。また、最低造膜温度(MTF)は0℃であった(P−2)。
合成例8
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えたフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、純水100g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3g及びポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル1gを仕込み、過硫酸アンモニウム1g、亜硫酸水素ナトリウム0.2gを添加し、60℃に昇温した。次に、アクリル酸ブチル30g、メタクリル酸メチル40g、メタクリル酸ブチル1:20g、ビニルシラントリオールカリウム塩10g及び3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン1gを3時間かけてフラスコ内に滴下した。このとき重合反応液をアンモニア水溶液でpH7となるよう調整して重合を行なった。マイクロトラックUPAを用いて測定した樹脂の粒子径は160nmであった。また、最低造膜温度(MTF)は0℃であった。(P−3)。
〔ラテックスインク作製〕
作製した6種類の顔料分散液及びポリマーラテックスを用いて、実施例及び比較例の各インクを作製した。下記のとおり処方してインク組成物を作製し、pHが9になるように水酸化リチウム10%水溶液にて調整した。その後、平均孔径が0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行ないインク組成物を得た。
インク作製例1
合成例1で合成したポリマーグラフト酸化チタン(G−T) 9wt%(固形分)
ポリマーラテックス(P−1) (固形分45%) 8wt%
3−メチル−1,3−ブタンジオール 12wt%
グリセリン 10wt%
2−ピロリドン 2wt%
ジエチレングリコールイソブチルエーテル 10wt%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2wt%
ポリアルキレングリコール系界面活性剤(旭電化) 1wt%
アミン化合物 0.1wt%
イオン交換水を加えて100%とした。
インク作製例2
合成例2で合成したポリマーグラフトカーボンブラック(G−K) 8wt%(固形分)
ポリマーラテックス(P−2) (固形分45%) 6wt%
1,3−ブタンジオール 10wt%
グリセリン 13wt%
2−ピロリドン 1wt%
トリエチレングリコールイソブチルエーテル 10wt%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2wt%
ポリアルキレングリコール系界面活性剤(旭電化) 1wt%
アミン化合物 0.1wt%
イオン交換水を加えて100%とした。
インク作製例3
作製例4で合成したポリマー内包イエロー顔料(P−Ye) 8wt%(固形分)
ポリマーラテックス(P−3) (固形分45%) 10wt%
グリセリン 20wt%
ジエチレングリコールイソブチルエーテル 10wt%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2wt%
ポリアルキレングリコール系界面活性剤(旭電化) 1wt%
アミン化合物 0.1wt%
イオン交換水を加えて100%とした。
インク作製例4
合成例5で合成したポリマー内包酸化チタン(P−T) 8wt%(固形分)
ポリマーラテックス(P−1) (固形分45%) 5wt%
3−メチル−1,3−ブタンジオール 10wt%
グリセリン 15wt%
トリエチレングリコールイソブチルエーテル 10wt%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2wt%
ポリアルキレングリコール系界面活性剤(旭電化) 1wt%
アミン化合物 0.1wt%
イオン交換水を加えて100%とした。
インク作製例5
作製例1で作製した樹脂分散酸化チタン(R−T) 8wt%(固形分)
ポリマーラテックス(P−2) (固形分45%) 6wt%
1,6−ヘキサンジオール 10wt%
グリセリン 13wt%
2−ピロリドン 1wt%
トリエチレングリコールイソブチルエーテル 10wt%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2wt%
ポリアルキレングリコール系界面活性剤(旭電化) 1wt%
アミン化合物 0.1wt%
イオン交換水を加えて100%とした。
インク作製例6
作製例2で作製した樹脂分散キナクリドン(R−M) 8wt%(固形分)
ポリマーラテックス(P−3) (固形分45%) 6wt%
グリセリン 14wt%
ジプロピレングリコール 10wt%
ジエチレングリコールイソブチルエーテル 10wt%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2wt%
ポリアルキレングリコール系界面活性剤(旭電化) 1wt%
アミン化合物 0.1wt%
イオン交換水を加えて100%とした。
<洗浄液としての均一性>
洗浄液の均一性は、上述の方法で得た洗浄液を1時間静置し、静置後の液の状態を目視で観察して評価を行なった。
丸:分離や不溶解物なき状態で、均一な状態
バツ:成分の一部が分離、または不溶解物があり、不均一な状態。
<洗浄液の粘度の測定>
洗浄液の粘度の測定には東機産業(株)社製の粘度計RE80Lを使用し、100回転、もしくは50回転にて25℃の液粘度を測定した。
<洗浄液とインクの混合性評価>
洗浄液を97質量%、インク3質量%とする混合液を作成し、65℃に50時間放置して外観変化にて評価を行った。
丸:分離の有無が判らない
三角:濃淡が見られる
バツ:分離が起こっている
また、洗浄液としての均一性を確保できないものはインクと混合した段階で不均一であるため、評価から除外した。
<洗浄液の洗浄性評価>
・初期状態の設定
インクジェットプリンター「JV5」(ミマキエンジニアリング社製、製品名)を用いて、ヘッドにGEN5(株式会社リコー製)を取り付け、インク供給経路やヘッド内のインクを純水置換し、その後ブラック、シアンインクの代わりに上記作製例で得たマゼンタインクを充填したカートリッジ、マゼンタ、イエローインクの代わりに上記作製例で得たイエローインクを充填したカートリッジを取り付け、充填動作後にヘッドリフレッシング動作を10回繰り返しインク供給経路やヘッド内のインクを、上記作製例で得たインクに置き換えた。その後、ノズルチェックパターンを印字し、ノズル抜けが無くなるまでヘッドリフレッシング動作を行った。
・洗浄処理
インクジェットプリンターのノズル抜けが無いことを確認した後、洗浄液を充填したカートリッジを全カートリッジの代わりに取り付け、ヘッドリフレッシング動作を6回行なった。その後、プリンターの維持ユニットを動作させ、各ヘッドから4.5ccだけ吸引して、再び充填する動作を3回繰り返した。再度充填後、各ヘッドから2cc吸引した後、ノズル面をワイピングすることでインクジェット装置内の経路の洗浄を行なった。
・洗浄性の評価
最後の吸引洗浄液を回収し、白(酸化チタン)インクで280nm、カーボンブラックインクで255nm、イエローインクで421nm、マゼンタインクで563nmでの吸光度測定を行ない、インクの同波長の吸光度との比較により、回収した洗浄液中の着色微粒子の濃度(質量%)を算出した。
なお、洗浄液とインクとの混合性評価にて分離が引き起こされる洗浄液は、洗浄性の評価装置(インクジェットプリンター)中でインクと混合した段階でインク中の色材成分の分離が引き起こされ、粒径の大きな沈殿物が発生する。そのため評価装置のノズル詰まりやフィルター詰まりが発生するため評価から除外した。
<初期充填性評価>
インクジェットプリンター「JV5」(ミマキエンジニアリング社製、製品名)を用いて、ヘッドにGEN5(株式会社リコー製)を取り付け、<洗浄液の洗浄性評価>の項で述べた洗浄処理にてインクジェットプリンターを洗浄し、ノズル面に保湿キャップをした状態で50℃、60%RH環境下にて1ヶ月間放置した後、上記作製例で得たイエローインク、マゼンタインクを充填したインクカートリッジを取り付け、初期充填動作を実施させた。その後ノズルチェックパターンを印字し、充填動作後にヘッドリフレッシング動作を繰り返し、ノズルチェックにて吐出不良(ノズルの不吐出や吐出曲がり=画像に対する白筋や黒筋が目立つ状態)が無くなるまでのヘッドリフレッシング回数(最大8回)にて評価を行なった。
丸:ヘッドリフレッシング2回以下
三角:ヘッドリフレッシング3回以上4回以下
バツ:ヘッドリフレッシング5回以上必要、もしくは回復不能
なお、洗浄液の洗浄性評価と同様に、洗浄液とインクの混合性評価にて分離が引き起こされる洗浄液は、評価装置のノズル詰まりやフィルター詰まりが発生するため評価から除外した。インク番号は、インク作製例1〜5を表わす。評価結果を以下の表に記す。
Figure 0006074231
Figure 0006074231
以上の結果より、実施例に示す様な洗浄液とすることで、インクとの混合安定性が高く、洗浄性が良好で、初期充填性に優れた洗浄液を提供することが出来る。
本発明は、インクジェット装置の洗浄に利用することができる。

Claims (10)

  1. 標準状態(25℃、1気圧)における水への溶解量が10wt%以下のポリオールを含み、溶存酸素量が5mg/l以下であることを特徴とするインクジェット装置用洗浄液。
  2. 上記ポリオールが、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール又は2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット装置用洗浄液。
  3. 酸化防止剤を含み、上記酸化防止剤がブチルヒドロキシトルエンであることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット装置用洗浄液。
  4. グリコールエーテル類を含み、上記グリコールエーテル類が、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル及びトリエチレングリコールモノブチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット装置用洗浄液。
  5. 下記一般式(1)
    Figure 0006074231
    (式(1)において、+n〜1の整数、x=6〜15の整数、y=1〜5の整数を示す)
    に示すポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルをさらに含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット装置用洗浄液。
  6. 25℃における粘度が、2.0mPa・s以上であり、10mPa・s以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェット装置用洗浄液。
  7. インク供給路にインクが充填されたインクジェット装置に、請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェット装置用洗浄液を通液することを特徴とするインクジェット装置の洗浄方法。
  8. 上記インクが、水、水溶性有機溶剤、バインダ樹脂を含み、当該バインダ樹脂が乳濁又は懸濁しているインクであることを特徴とする請求項に記載のインクジェット装置の洗浄方法。
  9. 上記インクが、平均粒子径が10〜80nmの酸化チタンをさらに含むことを特徴とする請求項7又は8に記載のインクジェット装置の洗浄方法。
  10. 標準状態(25℃、1気圧)における水への溶解量が10wt%以下のポリオールを含む洗浄液を脱気して、その溶存酸素量を5mg/l以下に調節する工程を含むことを特徴とするインクジェット装置用洗浄液の製造方法。
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