JP5102609B2 - 再充填用インク及びインクカートリッジ - Google Patents
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Description
例えば特許文献1では、溶媒の蒸発によりインクカートリッジ内のインク吸収体に残存する濃縮されたインクを考慮したリフィル方法が提案されている。この提案は、同組成のインクでのリフィルを想定したものである。
また、特許文献2では、インクタンクのリサイクル方法として、内部を洗浄する方法を提示するとともに、内部のインク吸収体の負圧保持力がリサイクル可能かどうかを見極めて効率的にカートリッジを再利用する方法が提案されている。しかし、この提案は、残留インクを再利用していない点、洗浄工程が増える点を考慮するとあまり得策な手段ではない。
また、特許文献3では、カートリッジ内部のインク吸収体からの気泡発生を抑えて、インクが充填口からあふれ出ることなくリフィルする方法が提案されているが、これもインク吸収体を備えるカートリッジ特有の課題を解決しているにすぎない。
また、特許文献4では、カートリッジ内の残留インクを無駄にしないリフィル方法が提案されている。この提案では、インク残量の測定、残留インクの成分の測定等を吸光度やクロマトグラフィーを用いて測定するという時間のかかる工程が必要となる。
また、特許文献5では、残留インクと再充填インクとの物性の差異がある一定の範囲にすることで、残留インクと再充填インクとの混合による変質乃至変色を防げるとしているが、物性の差異の範囲も狭く、汎用性に欠けるものである。
<1> 少なくとも着色剤、湿潤剤、及び界面活性剤を含有し、使用済みのインクカートリッジ内に再充填される再充填用インクであって、
前記使用済みのインクカートリッジ内に残留している残留インクと、前記再充填用インクとを、体積比(残留インク:再充填用インク)で1:1に混合した混合インクにおける混合直後の粒径0.5μm以上の粗大粒子数Aと、前記混合インクを25℃、50%RH環境下で、24時間放置後の粒径0.5μm以上の粗大粒子数Bとが、次式、B/A≦2の関係を満たすことを特徴とする再充填用インクである。
該<1>の再充填用インクについては、再充填するカートリッジ内に残留している残留インクの物性にできるだけ近いインクを充填することが、記録システムとのマッチングも取れたものとなり、画質を確保し、また、保存安定性及び吐出安定性を確保する上でも望まれる。しかし、現在多種多様なプリンタが普及している中で、それぞれの記録システムにあわせた再充填インクを製造するには、残留インクの成分分析等を行う必要があり、かなり困難なことである。
そこで、再充填インクについて最も重要なことは、プリンタの目詰まりを起こさせないことである。そのためには、再充填インクが残留インクと混合された時の粗大粒子数が増加しないことが重要であり、混合インクを25℃、50%RH環境下で24時間放置後の粒径0.5μm以上の粗大粒子数が混合直後の粗大粒子数の2倍以下となるようにインクを調製することで目的が達成される。
<2> 使用済みのインクカートリッジ内に残留している残留インクと、再充填用インクとを、体積比(残留インク:再充填用インク)で1:1に混合した混合インクにおける保存前の25℃での粘度をCとし、前記混合インクを25℃、50%RH環境下、1週間保存後の25℃での粘度をDとすると、次式、D/C≦2の関係を満たす前記<1>に記載の再充填用インクである。
該<2>に記載の再充填用インクにおいては、インクの粘度が変化すると吐出量や吐出速度が変わるため、残留インクの物性との差異が大きいほど、画質が低下することが考えられる。従ってこれもできるだけ残留インクの物性に近いことが望ましいが、混合した後、1週間放置した状態で増粘がなければ、目詰まりを起こす危険も低く、再充填用インクとして使用可能である。
<3> 使用済みのインクカートリッジ内に残留している残留インクと、再充填用インクとを、体積比(残留インク:再充填用インク)で1:1に混合した混合インクにおける保存前の体積平均粒径をEとし、前記混合インクを25℃、50%RH環境下、1週間保存後の体積平均粒径をFとすると、次式、F/E≦1.5の関係を満たす前記<1>から<2>のいずれかに記載の再充填用インクである。
該<3>に記載の再充填用インクにおいては、インクの体積平均粒径が変化すると吐出量や吐出速度が変わるため、残留インクの物性との差異が大きいほど、画質が低下することが考えられる。従ってこれもできるだけ残留インクの物性に近いことが望ましいが、混合した後、1週間放置した状態で平均粒径が大きくならなければ、目詰まりを起こす危険も低く、再充填用インクとして使用可能である。
<4> 再充填用インク中の2価の金属イオン含有量Xと、残留インク中の2価の金属イオン含有量Yとが、次式、1<X/Y≦5の関係を満たす前記<1>から<3>のいずれかに記載の再充填用インクである。
該<4>に記載の再充填用インクにおいては、顔料インクが凝集を起こすメカニズムについては、いろいろな原因が考えられ、特定することは難しいが、一つに多価金属イオン量が挙げられる。インクの精製度が上がればそれだけ信頼性は向上するが、それに伴ってコストがアップする。本発明では残留インクに含有される多価金属イオン量の1倍より大きく5倍以内に調整すれば、吐出信頼性が確保され、中でも、2価の金属イオン量を調整することが重要である。
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の再充填用インクを容器中に再充填してなることを特徴とするインクカートリッジである。
該<5>に記載のインクカートリッジにおいては、本発明の前記再充填用インクをインクカートリッジに再充填して使用することにより、膨大なインクカートリッジの廃棄を防ぎ、環境負荷を低減することができる。
<6> 内部にインク吸収体を有していない前記<5>に記載のインクカートリッジである。
本発明の再充填用インクは、使用済みのインクカートリッジ内に再充填され、少なくとも着色剤、湿潤剤、及び界面活性剤を含有してなり、浸透剤、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記混合直後とは、残留インクと、再充填用インクとを混合した後30分間以内までを意味する。
前記再充填用インク中の粗大粒子数は、少ないことが好ましく、30,000〜500,000がより好ましい。
ここで、前記粒径0.5μm以上の粗大粒子数は、例えばAccuSizer 780(Particle Sizing Systems社製)を用いて測定することができる。
前記保存前とは、残留インクと、再充填用インクとを混合した後30分間以内までを意味する。
前記再充填用インクの25℃での粘度Cは、残留(純正)インクの粘度±2mPa・sが好ましく、残留(純正)インクの粘度±1mPa・sがより好ましい。
ここで、前記粘度は、例えば東機産業株式会社製のRL500を用いて測定することができる。
前記保存前とは、残留インクと、再充填用インクとを混合した後30分間以内までを意味する。
前記再充填用インクの体積平均粒径は、10〜200nmが好ましく、30〜150nmがより好ましい。
ここで、前記体積平均粒径は、例えば日機装株式会社製のマイクロトラックUPA150を用いて測定することができる。
前記再充填用インク中の2価の金属イオンの含有量は、合計で、1ppm〜50ppmが好ましい。また、前記2価の金属イオンとしては、例えばCa2+、Mg2+、Ba2+などが挙げられる。
ここで、前記インク中の2価の金属イオン含有量の測定は、例えばイオンクロマトグラフィーなどにより行うことができる。
前記着色剤としては、顔料が好適に用いられる。該顔料としては、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック、紺青、金属粉などが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックなどが好ましい。なお、前記カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。
前記顔料の色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色用のもの、カラー用のもの、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
このようなカーボンブラックとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、No.2300、No.900、MCF−88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B(いずれも、三菱化学株式会社製);Raven700、同5750、同5250、同5000、同3500、同1255(いずれも、コロンビア社製);CAB−O−JET200、Regal400R、同330R、同660R、MogulL、Monarch700、同800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、Monarch1400(いずれも、キャボット社製);カラーブラックFW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、同S150、同S160、同S170、プリンテックス35、同U、同V、同140U、同140V、スペシャルブラック6、同5、同4A、同4(いずれも、デグッサ社製)、Bonjet CW−1(オリエント社製)などが挙げられる。
また、中間色では、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばレッド、グリーン、ブルー用として、C.I.ピグメントレッド177、194、224;C.I.ピグメントオレンジ43;C.I.ピグメントバイオレット3,19,23,37;C.I.ピグメントグリーン7、36などが挙げられる。
前記自己分散型の顔料を含むインクは乾燥後の再分散性に優れるため、長期間印字を休止し、インクジェットヘッドのノズル付近のインクの水分が蒸発した場合も目詰まりを起こさず簡単なクリーニング動作で容易に良好な印字が行えるようになる。このような自己分散型の顔料は、後述する界面活性剤及び浸透剤と組み合わせた時に、特に相乗効果が大きく、より信頼性の高い、高品位な画像を得ることが可能となる。
前記ポリマーエマルジョンを形成するポリマーとしてはビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、及びポリウレタン系ポリマー等が挙げられるが、特に好ましいポリマーはビニル系ポリマー及びポリエステル系ポリマーである。
前記分散剤の質量平均分子量は、3,000〜50,000が好ましく、5,000〜30,000がより好ましく、7,000〜15,000が更に好ましい。
前記分散剤の添加量は、顔料を安定に分散させ、本発明の他の効果を失わせない範囲で適宣添加され、質量比(顔料:分散剤)で1:0.06〜1:3が好ましく、1:0.125〜1:3がより好ましい。
前記水溶性染料としては、カラーインデックスにおいて酸性染料、直接性染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料に分類される染料であり、好ましくは耐水性、及び耐光性に優れたものが用いられる。
前記平均粒径が10nmよりも小さいと、インク中の分散安定性が損なわれ、また印字されたときの画像濃度が劣る結果となる。またそのレベルまで顔料を微粒子化するのにコストがかかるという問題も生じる。一方、平均粒径が200nmを超えると、画像の定着性が劣るほか、長期保存時に凝集が起こりやすく、目詰まりしやすくなることがある。
前記着色剤のインク中の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5質量%〜15質量%が好ましく、5質量%〜12質量%がより好ましい。
前記湿潤剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用して使用してもよい。これらの中でも、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類が特に好ましい。このような湿潤剤を含有することにより、インクの水分蒸発を防止し、インク吐出口での着色剤の析出、粘度上昇による吐出不良をより良く抑制することができ、吐出信頼性の高い顔料インクを提供することができる。
前記多価アルコールアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
前記多価アルコールアリールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテルなどが挙げられる。
前記含窒素複素環化合物としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタムなどが挙げられる。
前記アミド類としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
前記アミン類としては、例えば、モノエタノ−ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。
前記含硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノールなどが挙げられる。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アニオン界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などが挙げられる。このような界面活性剤の添加により、紙への浸透性を高め、速乾燥性で、文字にじみ、境界にじみを更に低減させた高品位な画像を得ることができる。
前記アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。該アセチレングリコール系界面活性剤は、市販品として、例えば、エアープロダクツ社(米国)のサーフィノール104、82、465、485、TGなどが挙げられる。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。該市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越シリコーン株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社などから容易に入手できる。
前記パーフルオロアルキルカルボン化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩、などが挙げられる。
これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3などが挙げられる。
該市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製)、フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製)、メガファックF−470、F1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製)、ゾニールTBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR(いずれも、デュポン社製)、FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス製)、PF−151N(オムノバ社製)などが挙げられる。これらの中でも、信頼性と発色向上に関して良好な点から、ゾニールFS−300、FSN、FSN−100、FSO(いずれも、デュポン社製)が特に好ましい。
前記浸透剤としては、ポリオール化合物、グリコールエーテル化合物などが用いられ、特に、炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物の少なくともいずれかが好適である。
前記ポリオール化合物の炭素数が8未満であると、十分な浸透性が得られず、両面印刷時に記録用メディアを汚したり、記録用メディア上でのインクの広がりが不十分で画素の埋まりが悪くなるため、文字品位や画像濃度の低下が生じることがある。
前記炭素数8以上のポリオール化合物としては、例えば、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが好適である。
本発明のインクには消泡剤を添加してもよい。特にシリコーン系の消泡剤は破泡効果に優れるものが多く、種類としてはオイル型、コンパウンド型、自己乳化型、エマルジョン型などがあるが、水系での使用を考慮すると、自己乳化型もしくはエマルジョン型を用いることが、信頼性を確保する上で好ましい。また、アミノ変性、カルビノール変性、メタクリル変性、ポリエーテル変性、アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、アルキレンオキサイド変性等の変性シリコーン系消泡剤を使用してもよい。
前記消泡剤の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.001質量%〜3質量%が好ましく、0.05質量%〜0.5質量%がより好ましい。
市販の消泡剤で入手可能なものとしては、信越化学工業株式会社製のシリコーン消泡剤(例えばKS508、KS531、KM72、KM85など)、東レ・ダウ・コーニング株式会社製のシリコーン消泡剤(例えばQ2−3183A、SH5510など)、日本ユニカー株式会社製のシリコーン消泡剤(例えばSAG30など)、旭電化工業株式会社製の消泡剤(アデカネートシリーズ)などが挙げられる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができ、例えば、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤、などが挙げられる。
本発明のインクカートリッジは、本発明の前記再充填用インクを容器中に再充填してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材などを有してなる。本発明の前記再充填用インクをインクカートリッジに再充填して使用することにより、膨大なインクカートリッジの廃棄を防ぎ、環境負荷を低減することができる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋などを少なくとも有するもの、などが好適に挙げられる。
インクカートリッジ10は、図1に示すように、インク注入口42からインク袋41内に充填され、排気した後、該インク注入口42は融着により閉じられる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口43に装置本体の針を刺して装置に供給される。
インク袋41は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。このインク袋41は、図2に示すように、通常、プラスチックス製のカートリッジケース44内に収容され、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いられるようになっている。
ジェルジェットプリンター(株式会社リコー製、IPSiO G717)用の純正仕様のブラックインク、イエローインク、マゼンタインク、及びシアンインクを、それぞれインクカートリッジに搭載して、印字を行い、使用済みとなったインクカートリッジ内に残留している残留インクNo.1(ブラック、Bk)、残留インクNo.2(イエロー、Y)、残留インクNo.3(マゼンタ、M)、及び残留インクNo.4(シアン、C)を使用した。
−再充填用インクNo.1(ブラックインク)の調製−
下記処方のインク組成物を作製し、室温にて十分に攪拌した後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターにて濾過を行い、再充填用インクNo.1を作製した。
・カーボンブラック(Bonjet CW−1、オリエント社製)・・・30質量%
・グリセリン・・・7.5質量%
・ジエチレングリコール・・・22.5質量%
・2−ピロリドン・・・2質量%
・界面活性剤(ECTD3NEX、日光ケミカルズ株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩)・・・1質量%
・シリコーン消泡剤(KS508、信越化学工業株式会社製、自己乳化型)・・・0.1質量%
・イオン交換水・・・残量
<再充填用インクNo.2(イエローインク)の調製>
−イエロー顔料分散液1の作製−
下記成分を混合した後、湿式サンドミルにて分散を行い、遠心処理にかけて粗大粒子を取り除き、イエロー顔料分散液1を作製した。
・C.I.ピグメントイエロー 97・・・30質量%
・ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸アンモニウム・・・15質量%
・エチレングリコール・・・30質量%
・純水・・・残量
下記処方のインク組成物を作製し、室温にて十分に攪拌した後、平均孔径1.2μmのメンブレンフィルターにて濾過を行い、再充填用インクNo.2を作製した。
・上記イエロー顔料分散液1・・・10質量%
・グリセリン・・・8質量%
・ポリエチレングリコール・・・20質量%
・アセチレングリコール系界面活性剤(サーフィノール465、エアープロダクツ社製)・・・1質量%
・シリコーン消泡剤(KS531、信越化学工業株式会社製)・・・0.1質量%
・イオン交換水・・・残量
<再充填用インクNo.3(マゼンタインク)の調製>
−マゼンタ顔料分散液2の作製−
下記成分を混合した後、3本ロールミルにて分散を行い、マゼンタ顔料分散液2を作製した。
・C.I.ピグメントレッド 122・・・30質量%
・ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸アンモニウム・・・15質量%
・グリセリン・・・30質量%
・純水・・・残量
下記処方のインク組成物を作製し、室温にて十分に攪拌した後、平均孔径1.2μmのメンブレンフィルターにて濾過を行い、再充填用インクNo.3を作製した。
・上記マゼンタ顔料分散液2・・・10質量%
・グリセリン・・・8質量%
・ジエチレングリコール・・・22質量%
・2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール・・・2質量%
・界面活性剤(ECTD3NEX、日光ケミカルズ株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩)・・・1質量%
・シリコーン消泡剤(KS531、信越化学工業株式会社製)・・・0.1質量%
・イオン交換水・・・残量
<再充填用インクNo.4(シアンインク)の調製>
−シアン顔料分散液3の作製−
下記成分を混合した後、湿式サンドミルにて分散を行い、シアン顔料分散液3を作製した。
・C.I.ピグメントブルー 15:3・・・30質量%
・ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸アンモニウム・・・15質量%
・エチレングリコール・・・30質量%
・純水・・・残量
下記処方のインク組成物を作製し、室温にて十分に攪拌した後、平均孔径1.2μmのメンブレンフィルターにて濾過を行い、再充填用インクNo.4を作製した。
・上記シアン顔料分散液3・・・15質量%
・グリセリン・・・8質量%
・ジエチレングリコール・・・22質量%
・2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール・・・2質量%
・界面活性剤(ECTD3NEX、日光ケミカルズ株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩)・・・1質量%
・シリコーン消泡剤(KS531、信越化学工業株式会社製)・・・0.1質量%
・イオン交換水・・・残量
−再充填用インクNo.5(シアンインク)の調製−
下記処方のインク組成物を作製し、室温にて十分に攪拌した後、平均孔径1.2μmのメンブレンフィルターにて濾過を行い、再充填用インクNo.5を作製した。
・C.I.Direct Blue 199・・・5質量%
・グリセリン・・・7質量%
・ジエチレングリコール・・・23質量%
・界面活性剤(ECTD3NEX、日光ケミカルズ株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩)・・・1質量%
・シリコーン消泡剤(KS531、信越化学工業株式会社製)・・・0.1質量%
・イオン交換水・・・残量
−再充填用インクNo.6(マゼンタインク)の調製−
下記処方のインク組成物を作製し、室温にて十分に攪拌した後、平均孔径1.2μmのメンブレンフィルターにて濾過を行い、再充填用インクNo.6を作製した。
・C.I.Direct Red 227・・・5質量%
・グリセリン・・・7.5質量%
・ジエチレングリコール・・・22.5質量%
・界面活性剤(ECTD3NEX、日光ケミカルズ株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩)・・・1質量%
・シリコーン消泡剤(KS531、信越化学工業株式会社製)・・・0.1質量%
・イオン交換水・・・残量
−再充填用インクNo.7(ブラックインク)の調製−
下記処方のインク組成物を作製し、室温にて十分に攪拌した後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターにて濾過を行い、再充填用インクNo.7を作製した。
・カーボンブラック(CAB−O−JET200、キャボット社製)・・・30質量%
・グリセリン・・・8質量%
・ジエチレングリコール・・・22質量%
・2−ピロリドン・・・2質量%
・界面活性剤(ECTD3NEX、日光ケミカルズ株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩)・・・1質量%
・シリコーン消泡剤(KS531、信越化学工業株式会社製)・・・0.1質量%
・イオン交換水・・・残量
−再充填用インクNo.8(マゼンタインク)の調製−
下記処方のインク組成物を作製し、室温にて十分に攪拌した後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターにて濾過を行い、再充填用インクNo.8を作製した。
・上記マゼンタ顔料分散液2・・・20質量%
・グリセリン・・・10質量%
・ジエチレングリコール・・・20質量%
・2−ピロリドン・・・2質量%
・界面活性剤(ECTD3NEX、日光ケミカルズ株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩)・・・1質量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル・・・1.5質量%
・シリコーン消泡剤(KS531、信越化学工業株式会社製)・・・0.1質量%
・イオン交換水・・・残量
AccuSizer 780(Particle Sizing Systems社製)を用いて、各インクのそれぞれ5μL中に存在する粒径0.5μm以上の粗大粒子数の測定を行った。
TOADKK社製のイオンクロマトグラフィー ICA−5222を使用し、10倍希釈したインクを0.2μmのフィルターで濾過したものに含まれる2価の金属イオン(Ca2+、Mg2+)量を測定した。
インクの粘度は、東機産業株式会社製のRL500を用いて25℃で測定した。
インクの体積平均粒径については、日機装株式会社製のマイクロトラックUPA150を用いて、各顔料濃度が0.01質量%になるように希釈して測定を行った。
残留インクNo.1〜No.4及び再充填用インクNo.1〜8を表2に示す組み合わせで、残留インクと、再充填用インクとを1:1(体積比)になるように混合した混合インクについて、混合直後、混合後25℃、50%RH環境下で24時間放置した後の粒径0.5μm以上の粗大粒子数をそれぞれ測定した。結果を表2に示す。
なお、粗大粒子数は、Accu Sizer 780(Particle Sizing Systems社製)を用いて、各混合インクのそれぞれ5μL中に存在する粒径0.5μm以上の粗大粒子数の測定を行った。
残留インクNo.1〜No.4及び再充填用インクNo.1〜8を表3及び表4に示す組み合わせで、残留インクと、再充填用インクとを1:1(体積比)になるように混合した混合インクについて、25℃、50%RH、及び50℃、30%RHで1週間保存し、保存前後の粘度と平均粒径を測定した。粘度については東機産業株式会社製のRL500を用いて25℃にて測定した。また、体積平均粒径については日機装株式会社製のマイクロトラックUPA150を用いて、各顔料濃度が0.01質量%になるように希釈して測定を行った。結果を表3及び表4に示す。
残留インクNo.1〜No.4及び再充填用インクNo.1〜8を表5に示す組み合わせで、残留インクと、再充填用インクとを1:1(体積比)になるように混合した混合インクについて、連続印字評価を行った。
評価機としてはジェルジェットプリンター(株式会社リコー製、IPSiO G717)を使用し、各色とも同じ吐出量となるベタ画像のチャートを連続印字させて、画像かすれが生じる連続印字枚数をチェックした。画像かすれがなく連続印字できた枚数を表5に示す。
これに対し、評価1のB/Aの値が2倍を超える比較例1及び2のインクは、評価2の保存性も悪く、評価3の吐出安定性についても悪い結果となった。
41 インク袋
42 インク注入口
43 インク排出口
44 カートリッジ外装
Claims (6)
- 少なくとも着色剤、湿潤剤、及び界面活性剤を含有し、使用済みのインクカートリッジ内に再充填される再充填用インクであって、
前記使用済みのインクカートリッジ内に残留している残留インクと、前記再充填用インクとを、体積比(残留インク:再充填用インク)で1:1に混合した混合インクにおける混合直後の粒径0.5μm以上の粗大粒子数Aと、前記混合インクを25℃、50%RH環境下で、24時間放置後の粒径0.5μm以上の粗大粒子数Bとが、次式、B/A≦2の関係を満たすことを特徴とする再充填用インク。 - 使用済みのインクカートリッジ内に残留している残留インクと、再充填用インクとを体積比(残留インク:再充填用インク)が1:1になるように混合した混合インクにおける保存前の25℃での粘度をCとし、前記混合インクを25℃、50%RH環境下、1週間保存後の25℃での粘度をDとすると、次式、D/C≦2の関係を満たす請求項1に記載の再充填用インク。
- 使用済みのインクカートリッジ内に残留している残留インクと、再充填用インクとを、体積比(残留インク:再充填用インク)で1:1に混合した混合インクにおける保存前の体積平均粒径をEとし、前記混合インクを25℃、50%RH環境下、1週間保存後の体積平均粒径をFとすると、次式、F/E≦1.5の関係を満たす請求項1から2のいずれかに記載の再充填用インク。
- 再充填用インク中の2価の金属イオン含有量Xと、残留インク中の2価の金属イオン含有量Yとが、次式、1<X/Y≦5の関係を満たす請求項1から3のいずれかに記載の再充填用インク。
- 請求項1から4のいずれかに記載の再充填用インクを容器中に再充填してなることを特徴とするインクカートリッジ。
- 内部にインク吸収体を有していない請求項5に記載のインクカートリッジ。
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