JP6073648B2 - 黒鉛材の製造方法および炭素系原料の粉砕装置 - Google Patents

黒鉛材の製造方法および炭素系原料の粉砕装置 Download PDF

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Description

本発明は、黒鉛材の製造方法および炭素系原料の粉砕装置に関する。
黒鉛材は、シリコン単結晶引き上げ装置用部材、放電加工用電極、太陽電池などに用いられる多結晶シリコン用鋳型、ホットプレス用部材など多岐にわたる産業分野に使用されている。このような黒鉛材は、下記の工程に従って製造されることが知られている。
(1)原材料コークスの粉砕原料(骨材)を得る一次粉砕工程
(2)ピッチと、原材料コークスの粉砕原料(骨材)との混練物を得る混練工程
(3)混練物を粉砕し、成形原料を得る二次粉砕工程
(4)成形原料を成形し成形体を得る成形工程
(5)成形体を加熱することにより、揮発分を除去し焼成体を得る焼成工程
(6)焼成体を焼成工程よりも高い温度で熱処理し、黒鉛化する黒鉛化工程
混練物を粉砕し、冷間静水圧成形(CIP成形:Cold Isostatic Press)して得られた黒鉛材は、きめの細かい組織(fine)を有し、高強度であるので前記の用途で広く使用されている。
特許文献1には、高密度、高強度、高純度かつ高耐酸化性の特殊炭素材(黒鉛材)の製造方法が記載されている。特許文献1に記載される黒鉛材は、平均粒径が15μm以下の生ピッチコークスと、平均粒径が44μm以下のか焼ピッチコークスを主体とした配合物にコールタールピッチ添加してなる特殊炭素材組成物であって、生ピッチコークスとか焼ピッチコークスからなる配合物100重量部のうち、生ピッチコークスが40重量部以上である特殊炭素材組成物である。
このような黒鉛材は、主原料として、生ピッチコークスと、か焼ピッチコークスとを使用することにより、両原料の微粒子とコールタールピッチとの相溶性などを改善し、黒鉛の構造の形成、素材内の均一性を一段と向上させることにより得られ、従来の生石油コークスとか焼コークスとの組み合わせ原料で得られなかった高耐酸化性及び特に高強度かつ高密度で、高純度の特殊炭素材を得ることが記載されている。
特開平4−228412号公報
しかしながら、前述の黒鉛材を製造するに当たり次のような問題がある。
黒鉛材は、前述したように石炭、石油など天然資源を原材料として使用し製造される。これらの鉱物資源は、単一物質ではなく、様々な化合物及び無機物が混合した産地によってその性状が異なる資源であり、黒鉛材の品質を安定化するためにその原材料を調整することが課題となる。これらの原材料として、前述のピッチ、生コークス、か焼コークスについて説明する。
ピッチは、石炭、石油の乾留ガスから得られるタールの残渣分である。生コークスは、ピッチをコーキング(coking)することによって得られる揮発分が残留する炭素質の材料である。コーキング法には、ディレードコーカ法、フルードコーカ法があるが、一般に黒鉛材に用いる生コークスは黒鉛化性に優れるディレードコーカ法のものが用いられる。か焼コークスはさらに生コークスをカルサイナーで高温処理(1000℃以上)することによって得られる揮発分をほとんど含まない炭素質の材料である。
上述した原材料のうち、ピッチに関しては、近年、ニードルコークス製造のためのQI(キノリン不溶分)コントロール技術が進み、タールから安定した揮発分、QI含有量のものが得られるようになった。また、か焼コークスは、高温で処理され、揮発分が炭素化しているので、材料の性質そのものが混練工程での粘結性に対して与える影響が小さく、安定したものが得られやすい。
一方、ディレードコーカ法で製造される生コークスは、加熱したコークスドラム内にタールを投入しコーキングを行い、揮発分が調整される。このため、生コークス自身が、バインダとして機能する揮発分を持っているので、成形性がよく成形工程で割れにくい特徴がある。得られる生コークスの揮発分は、原材料、コークスドラム内での自己反応の状態などにより、揮発分が安定化しにくく、また、投入するロットの初期段階、最終段階でも揮発分がばらつきやすくなる。したがって、これを原材料に用いた従来の黒鉛材は、揮発分を含んでいるので割れにくい利点があるが、かさ密度のばらつきなどが発生しやすく、品質を安定化させることが難しい。
また、か焼コークスは、生コークスをカルサイナーで高温処理(1000℃以上)することによって得られる揮発分をほとんど含まない炭素質の材料である。揮発分をほとんど含まないので、揮発分の含有量は、安定している。しかしながら、か焼コークス自身は、バインダとして機能する揮発分をほとんど持っていないので、成形性が悪く、これを原材料に用いた従来の黒鉛材は、添加するピッチの量を増やして成形性を付与することとなる。これを原材料に用いた従来の黒鉛材は、かさ密度を安定化させやすい利点があるが、ピッチ等の添加の仕方によっては、成形性が悪く、成形工程で割れやすくなる。
本発明は、黒鉛材のかさ密度など品質ばらつきを抑えるために、揮発分の安定したか焼コークスと、安定した揮発分およびQI含有量が得られるピッチとを主原料として用い、黒鉛材が割れることなく安定的に得るための製造方法及び粉砕装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様の黒鉛材の製造方法は、バインダと骨材とからなる炭素系原料を粉砕して粉砕原料を得る粉砕工程と、当該粉砕原料を、少なくとも第1分級原料と、前記第1分級原料より粒度分布のピークの大きい第2分級原料と、に分級する分級工程と、前記第1分級原料の質量を基準に第2分級原料の配合量を決定し、成形原料を得る配合工程と、を含む。
例えば、前記第2分級原料より粒径分布のピークの大きい第3分級原料が、前記分級工程においてさらに分級され、前記第2分級原料の余剰分と前記第3分級原料とを前記粉砕工程に戻して粉砕する。
例えば、前記粉砕原料を分級し、前記第1分級原料と前記第2分級原料とを得る第1分級機と、前記第1分級原料を貯蔵する第1貯蔵タンクと、前記第2分級原料を貯蔵する第2貯蔵タンクと、前記第1分級機と前記第2貯蔵タンクとの間に設けられ第2分級原料を粉砕工程に戻す切り替え弁と、が設けられ、前記第2貯蔵タンクに前記第1分級原料の質量を基準に算出される一定量の第2分級原料を貯蔵した後、切り替え弁を切り替えて、余剰分の第2分級原料を前記粉砕工程に戻して粉砕する。
例えば、前記粉砕原料を分級し、前記第1分級原料を得る第1分級機と、前記第1原料を除去した粉砕原料の残分から前記第2分級原料を得ると共に、余剰分を粉砕機に戻す第2分級機と、前記第1分級原料を貯蔵する第1貯蔵タンクと、前記第2分級原料を貯蔵する第2貯蔵タンクと、前記第2分級機と前記第2貯蔵タンクとの間に設けられ第2分級原料を粉砕工程に戻す切り替え弁と、が設けられ、前記第2貯蔵タンクに前記第1分級原料の質量を基準に算出される一定量の第2分級原料を貯蔵した後、前記切り替え弁を切り替えて、余剰分の第2分級原料を前記粉砕工程に戻して粉砕する。
例えば、前記粉砕原料を分級し、前記第1分級原料を得る第1分級機と、前記第1原料を除去した粉砕原料の残分から第2分級原料を得ると共に、余剰分を粉砕工程に戻す第2分級機と、前記第1分級原料を貯蔵する第1貯蔵タンクと、前記第2分級原料を貯蔵する第2貯蔵タンクと、前記第1分級機と前記第2分級機との間に設けられ前記第1分級原料を除去した粉砕原料の残分を粉砕工程に戻す切り替え弁と、が設けられ、前記第2貯蔵タンクに前記第1分級原料の質量を基準に算出される一定量の第2分級原料を貯蔵した後、前記切り替え弁を切り替えて、余剰分の第2分級原料を前記粉砕工程に戻して粉砕する。
例えば、前記骨材は、か焼コークスである。
本発明の一態様の黒鉛材の製造方法は、前記成形原料を成形して成形体を得る成形工程と、当該成形体を焼成して焼成体を得る焼成工程と、当該焼成体を黒鉛化して黒鉛材を得る黒鉛化工程と、をさらに有する。
本発明の一態様の粉砕装置は、バインダと骨材とからなる炭素系原料を粉砕して粉砕原料を得る粉砕装置であって、粉砕原料を分級し、第1分級原料と第2分級原料とを得る第1分級機と、前記第1分級原料を貯蔵する第1貯蔵タンクと、前記第2分級原料を貯蔵し、計量器を有する第2貯蔵タンクと、前記第1分級機と前記第2貯蔵タンクとの間に設けられ、前記第2分級原料を粉砕工程に戻す切り替え弁と、前記の計量器の計量値と、任意に設定される設定値とを比較し、前記切り替え弁を切り替え、前記第2分級原料を粉砕工程に戻す計量装置と、を備える。
本発明の一態様の粉砕装置は、バインダと骨材とからなる炭素系原料を粉砕して粉砕原料を得る粉砕装置であって、粉砕原料を分級し、第1分級原料を得る第1分級機と、前記第1分級原料を除去した粉砕原料の残分から第2分級原料を得ると共に、余剰分を粉砕機に戻す第2分級機と、前記第1分級原料を貯蔵する第1貯蔵タンクと、前記第2分級原料を貯蔵し、計量器を有する第2貯蔵タンクと、前記第2分級機と前記第2貯蔵タンクとの間に設けられ、前記第2分級原料を粉砕工程に戻す切り替え弁と、前記計量器の計量値と、任意に設定される設定値とを比較し、前記切り替え弁を切り替え、前記第2分級原料を粉砕工程に戻す計量装置と、を備える。
本発明の一態様の粉砕装置は、バインダと骨材とからなる炭素系原料を粉砕して粉砕原料を得る粉砕装置であって、粉砕原料を分級し、第1分級原料を得る第1分級機と、前記第1分級原料を除去した粉砕原料の残分から第2分級原料を得ると共に、余剰分を粉砕工程に戻す第2分級機と、前記第1分級原料を貯蔵する第1貯蔵タンクと、前記第2分級原料を貯蔵し、計量器を有する第2貯蔵タンクと、前記第1分級機と前記第2分級機との間に設けられ、前記第1分級原料を除去した粉砕原料の残分を粉砕工程に戻す切り替え弁と、前記計量器の計量値と、任意に設定される設定値とを比較し、前記切り替え弁を切り替え、前記第2分級原料を粉砕工程に戻す計量装置と、を備える。
本発明によれば、黒鉛材のかさ密度など品質ばらつきを抑えるために、揮発分の安定したか焼コークスと、安定した揮発分およびQI含有量が得られるピッチとを主原料として用い、かつ、過粉砕することなく安定した粒度分布の原材料を使用して製造することができる。したがって、かさ密度などの様な品質のばらつきが少なく割れることの少ない黒鉛材が安定的に得ることができる。さらに本発明の製造装置によれば、かさ密度などの様な品質のばらつきが少なく割れることの少ない黒鉛材が安定的に得られる粉砕装置を提供することができる。
(a)は一般的なセラミック材の焼成前後の粒子を模式的に示す図であり、(b)は黒鉛材の焼成前後の粒子を模式的に示す図 黒鉛材の製造方法の各工程における粒子の粒度分布を示すグラフ 本発明の一実施形態の黒鉛材製造装置の全体概要図(黒鉛材の製造方法のフロー図) 本発明の他の実施形態の黒鉛材製造装置の全体概要図(黒鉛材の製造方法のフロー図) 図4の実施形態の変形例である黒鉛材製造装置の全体概要図(黒鉛材の製造方法のフロー図) 本発明の実施例の成形原料の粒度分布を示すグラフ 本発明の比較例の成型原料の粒度分布を示すグラフ
以下、本発明の黒鉛材の製造方法の一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。図1は、一般的なセラミック材と黒鉛材の焼成メカニズムを模式的に示す図である。
黒鉛材は、他の一般的なセラミック材とは焼成メカニズムが異なる。図1(a)に示すように、一般的なセラミック材の焼成においては、焼成温度を上げることによって焼結助剤の作用により、粒子1どうしの接合面積が大きくなり、強く結合し、寸法収縮していく。これに対して、黒鉛材の焼成においては、図1(b)の上に示すように、骨材とバインダを加熱混練して骨材とバインダを結合させる混練工程の結果、焼成前から存在する、炭化収率の高いバインダピッチ2が最終的な結合に作用する。黒鉛材は1000℃前後の炭素化までに、バインダ成分を有する炭素系原料の粒子(バインダピッチ2と骨材3からなる)の結合がほぼ完結し、それ以上の温度の熱処理では、結晶化度が高まることによって真密度を高め、材料収縮によって高密度化される。
また、黒鉛材においては、有機物がバインダとなっているため熱分解で気孔が形成されること(焼成後のバインダ2A)、一般的な焼結助剤によるセラミックの焼結と異なり気孔を潰す作用がないこと、等の要因により高密度化することが難しく、多孔質となる傾向がある。このように、黒鉛材では気孔が多く形成されやすいので、如何に気孔を制御するかによってかさ密度をはじめとした材料特性が決定される。
本発明において、炭素系原料とは、バインダと骨材とからなる二元系の炭素系原料である。
本発明の炭素系原料は、骨材とバインダとが混練されてなる。二元形の炭素系原料の骨材は、一般的にバインダの役割を果たす揮発分を含まないか、揮発分の含有量が少なく炭素がその主成分であればよい。骨材としては例えばか焼コークス、生コークス、天然黒鉛、人造黒鉛などが利用できる。中でも、か焼コークス、天然黒鉛、人造黒鉛は、揮発分をほとんど含有していないので、焼成での収縮性が安定しているので、好適に使用することができる。バインダとしては骨材をつなぎ止める機能があればどのようなものでもよいが、焼成、黒鉛化を経て黒鉛材の一部となるので、炭化収率の高いピッチが好ましい。
揮発分が安定した骨材を含有する炭素系原料を用いた黒鉛材の製造方法において、成形工程、焼成工程、または黒鉛化工程で割れやすくなる3つ要因を突き止めることができた。以下にその3つの要因を順に説明する。
<A要因:粉砕機の消耗度>
上述したような骨材およびバインダとからなる炭素系原料を粉砕して粉砕原料を得た後、黒鉛材が製造される。炭素系原料は硬いため粉砕機の歯、ライナー、ハンマーなど消耗部品は次第に消耗する。このため粉砕機は、一定の粉砕能力を維持することが難しく、定期的に歯の交換を行う必要が生ずる。
このように炭素系原料は、粉砕機の消耗のしやすさに起因して、粉砕後の原料の粒度が粉砕毎に不安定になりやすい(粒度分布のばらつきが発生しやすい)性質を元来有する。炭素系原料が、細かく粉砕されると、骨材が露出しやすくなり、骨材どうしの結合力が無くなる部分が生じ、後の成形工程、焼成工程、黒鉛化工程で割れが生じる原因となる。特に、揮発分をほとんど含有しないか焼コークス、天然黒鉛、人造黒鉛を骨材として使用した場合、割れが生じやすくなる。
<B要因:骨材の組織のばらつき>
一方、塊状のか焼コークス、生コークスなどの一次粉砕によって得られた骨材は1つの塊の中、ロット内、及びロット外に渡って均一の組織を有していない。このような骨材は、一般的に収縮性が高く硬いモザイク状組織の領域と、収縮性が低く軟らかい流れ組織の領域とを有している。このような異なる領域の混在に起因した骨材内部の粉砕性のばらつきがあるので、得られる炭素系原料の粒度分布のばらつきが生じ易くなる。炭素系原料が、細かく粉砕された場合、骨材が露出しやすくなり、骨材どうしの結合力が無くなる部分が生じ、後の成形工程、焼成工程、黒鉛化工程で割れが生じる原因となる。また、単に得られた粉砕原料の微粉側、粗粉側をカットして粒度を調整すると、収縮性の高いモザイク状組織由来の粉、または収縮性の低い流れ組織由来の粉を選択的に取り除いてしまうこととなってしまう。かさ密度などの安定化を図るため、揮発分の安定した炭素系原料を使用しても、炭素系原料の一部を選択的に除去すると、かさ密度などの安定化は困難になると考えられる。
<C要因:混練工程でのばらつき>
また、二元系の炭素系原料は、骨材とバインダをニーダーを用い、熱を加えながら混練する混練工程によって、塊状の炭素系原料(混連物)が得られる。混練工程では、外気温、骨材の粒度分布ニーダーの羽根への混連物の付着度合いなどの影響により、混練物の大きさの分布は安定しない。粉砕工程に投入する炭素系原料の大きさの分布が不安定であると、粉砕毎に得られる粉砕原料の粒度分布のばらつきが生じ易くなる。炭素系原料が、細かく粉砕された場合、骨材が露出しやすくなり、骨材どうしの結合力が無くなる部分が生じ、後の成形工程、焼成工程、黒鉛化工程で割れが生じる原因となる。
図2は、黒鉛材の製造方法の各工程における粒子の粒度分布を示すグラフであり、横軸が粒度(粒径)、縦軸が質量割合(%)である。図2(a1)、(b1)、(c1)は、粉砕機によって得られた粉砕原料の粒度分布において、(a1)は粒子径が細かく粉砕される(小さい)場合、(c1)は粒子径が粗く粉砕される(大きい)場合、(b1)は粒子径がその中間程度に粉砕される場合に対応する。上述したような、粉砕機の消耗度(A要因)、骨材の組織のばらつき(B要因)、混練工程でのばらつき(C要因)等の要因によって、このような粒度分布の異なるケースが生じる。そして、これら粒度分布の異なる成形材料が、一律に同じ条件で焼成工程、黒鉛化工程等によって処理されると、結果として粉砕毎に得られる黒鉛材の粒度にばらつきが発生し易くなる。粒子径が細かく粉砕される(小さい)場合(a1)、骨材が露出しやすくなり、骨材どうしの結合力が無くなる部分が生じ、後の成形工程、焼成工程、黒鉛化工程で割れが生じる原因となる。粒子径が粗く粉砕される(大きい)場合(c1)、得られる黒鉛材の組織が粗くなるため、強度低下の原因となる。
上記のような実情に鑑みた上で検討された、本発明の一実施形態の黒鉛材の製造方法の各工程を、図3を用いて説明する。図3は実施形態の黒鉛材製造装置10の全体概要図であると同時に、黒鉛材の製造方法の各工程を示すフロー図にもなっている。黒鉛材製造装置10は、炭素系原料タンク11と、粉砕機12と、第1分級機13と、切り替え弁14aと、第1貯蔵タンク16と、第2貯蔵タンク17と、成形原料タンク18と、計量装置19とを備える。これらの装置は、実線で示したように、原材料を送り出し可能なパイプの如き経路で接続されている。
まず、図1(b)の上に示すように、骨材とバインダを加熱混練して骨材とバインダを結合させる混練工程により、骨材とバインダとからなる炭素系原料が得られた後、当該炭素系原料を炭素系原料タンク11に貯蔵する。そして、炭素系原料タンク11に貯蔵された炭素系原料を、粉砕機12を用いて粉砕し、粉砕原料を得る(粉砕工程)。粉砕原料の粒度分布は、上述したような粉砕工程における種々の要因のため、図2(a1)、(b1)、(c1)に示すように、異なるパターンが発生することが想定される。
次に粉砕工程の後、得られた粉砕原料を、第1分級機13を用いて少なくとも第1分級原料と、粒径分布において第1分級原料より大きい、言い換えると、粒度分布のピークが第1分級原料のピークより大きい第2分級原料とに分級する(分級工程)。得られた第1分級原料は、第1貯蔵タンク16に送られ、第1貯蔵タンク16内に貯蔵される。第1分級原料と、第2分級原料とに分級することにより、さらに粉砕の必要な第2分級原料のみを粉砕工程に戻し、第1分級原料の過粉砕を防ぐことができる。第1分級原料を過粉砕しないので、原材料である骨材が露出しにくくなり、後の成形工程、焼成工程、黒鉛化工程で割れを生じにくくすることできる。なお、粒度分布のピークとは、粒度分布における最頻値である。
ここで、原材料、環境などの影響から、混練工程のバッチ毎、粉砕工程のバッチ毎に元の粉砕原料は、図2(a1)、(b1)、(c1)に示すように、その粒度分布がさまざまな状態にばらついていることがある。したがって、第1分級機13によって第1分級原料と第2分級原料とに分級した状態では、図2(a2)、(b2)、(c2)に示すように、(第1及び第2)分級原料の粒度分布もさまざまな状態にばらつくことになる。すなわち、粒子径が中間の図2(b2)に比較して、粒子径が細かい図2(a2)では、第1分級原料の質量比が大きくなり、第2分級原料の質量比が小さくなる。一方、粒子径が中間の図2(b2)に比較して、粒子径が粗い図2(c2)では、第1分級原料の質量比が小さくなり、第2分級原料の質量比が大きくなる。
そこで本実施形態においては、分級工程の後、得られた第2分級原料については、当該第2分級原料の第1分級原料に対する余剰の質量分に相当する第2分級原料の余剰分を、切り替え弁14aを用いて除去する。ここで、第1分級原料を基準に第2分級原料との所定の配合比(質量比)を予め定めておき、当該配合比に基づいて、第2分級原料の配合量を算出することができる。
骨材は、例えば5〜30μmの50%体積累積径のものが好適に利用できる。50%体積累積径が5μm以上の骨材を用いると、骨材をつなぎ止めるために大量のバインダを必要としないので、後の焼成工程で、バインダの分解ガスの発生量を少なくすることができ、分解ガスの内圧による割れを発生しにくくすることができる。50%体積累積径が30μm以下の骨材を用いると、骨材間に形成される空隙が小さくすることができるので、きめの細かい組織の高強度の黒鉛材を得ることができる。
50%体積累積径とは、レーザー回折散乱法において体積粒子径の累積度数分布の50%を示す粒子径(直径)である。
第1分級原料と第2分級原料との所定の配合比に基づく分級は、例えばあらかじめ設定した両者のカットポイントを用いて行われる。第1分級原料と、第2分級原料のカットポイントとは、分級機によって第1分級原料と、第2分級原料とに分級される比率がそれぞれ50%である粒子径のことを示す。カットポイントより大きい粒子径の粉砕原料は主に第2分級原料に分級され、カットポイントより小さい粒子径の粉砕原料は主に第1分級原料に分級される。分級機は、確率的な要素があるためカットポイントによって完全に分離することはできず、カットポイントよりも大きな粒子が第1分級原料側に混入すること、カットポイントよりも小さな粒子が第2分級原料側に混入することがあるため、第1分級原料と、第2分級原料とに分級される比率がそれぞれ50質量%である粒子径と定義される。
第1分級原料と、第2分級原料のカットポイントは、骨材の50%体積累積径よりも大きいことが望ましい。
粉砕原料は、骨材にバインダが付着させるように調整される。このため、第1分級原料と、第2分級原料のカットポイントを、骨材の50%体積累積径より大きくすることにより、原材料である骨材が露出しにくくなり、後の成形工程、焼成工程、黒鉛化工程で割れを生じにくくすることできる。第1分級原料と、第2分級原料とのカットポイントは40〜100μmの範囲内にあることが望ましい。カットポイントが40μm以上であると、骨材の50%体積累積径よりも十分に大きくすることができるので、さらに原材料である骨材が露出しにくくなり、後の成形工程、焼成工程、黒鉛化工程で割れを生じにくくすることできる。カットポイントが100μm以下であると、十分な量の第2分級原料が得られるので、得られる第1分級原料の質量に応じて調整できる第2分級原料の量の範囲を広くすることができる。
本発明の実施の形態は第1分級原料の質量を基準に第2分級原料の配合量を決定する。50%体積累積径の大きな第2分級原料を余らせるように配合量を決定するので、余剰となった第2分級原料は再度粉砕して、第1分級原料として用いることができる。第1分級原料と第2分級原料との配合比(第1分級原料:第2分級原料)は、カットポイントとなる粒子径、分級前の粒度分布によって適宜選択することができる。配合比は特に限定されないが、70%:30%〜95%:5%(質量%)の範囲内で決定されることが好ましい。
炭素系原料は、粉砕機によって繰り返し粉砕されることによって粒子径が細かくなる。粗い炭素系原料は、粉砕機の通過回数が少なく、細かい炭素系原料は、繰り返し粉砕機を通過し粉砕される。このため粉砕機の通過回数の少ない第2分級原料は、粒度分布がばらつきやすく、粉砕機の通過回数の多い第1分級原料は粒度分布がばらつきにくいと考えられる。本発明の実施形態では、第1分級原料の配合比が70%以上であるので、ばらつきの影響を受けやすい第2分級原料が少なく、ばらつきの小さい黒鉛材を安定的に得ることができる。また、第1分級原料の配合比の望ましい上限は95%である。すなわち5%以上の第2分級原料が含まれ、粒度の粗い原料を加えることにより粒度の安定化を図ることができる。第1分級原料と第2分級原料とは、それぞれの50%体積累積径が異なり、かつ大きさも異なるので、2つの分級原料を定量的に配合することによって、ばらつきの小さい黒鉛材を安定的に得ることができる。
粉砕機は、過粉砕しないように粉砕能力を適宜調整し使用することが好ましい。調整の方法は、粉砕機の回転数、歯、ハンマーの数などにより適宜調整することができる。また、粉砕機の種類を適宜選択することにより、望ましい粒度分布の粉砕原料を得ることができる。
ここで、計量装置19は図示せぬ計量器を有し、第2貯蔵タンク17に貯蔵された第2分級原料の量を計量し、任意に設定される設定値と比較して一定量の第2分級原料を貯蔵した後、第1貯蔵タンク16と第2貯蔵タンク17との間に設けられた切り替え弁14aに切り替え指示信号を出す(図中の点線)。当該切り替え指示信号に基づき、切り替え弁14aが切り替わり余剰分の第2分級原料を炭素系原料タンク11に戻すようにしてもよい。一定量の第2分級原料とは、例えば、第1貯蔵タンク16に貯蔵された第1分級原料の量を基に算出される。余剰分の第2分級原料を再び粉砕することにより、原料を無駄なく使用することが可能となる。
第1分級機13における第1分級原料と第2分級原料の分級は、大量の粉砕原料を処理するため、例えば気流分級によって行われる。後述するように、第1分級原料と第2分級原料は後から混合されるため、第2分級原料に分級されるべき粗い粒子が第1分級原料に入っても(いわゆる「とび粉」)、黒鉛材に粗い組織を形成することがないので気流分級が好適に利用できる。なお、とび粉(isolated coarse particle)とは大多数の微粉の中にごく少量存在し、その粉末を加工して最終製品にしたときに悪影響を及ぼす粗大粒子のことを指す。
そして、第1貯蔵タンク16に貯蔵された第1分級原料と、第2貯蔵タンク17に貯蔵された第2分級原料とを、成形原料タンク18にて配合することにより、成形原料が得られる。
上述した第1および第2分級原料から成形材料が得られる工程において、粒度分布の変化を図2(a3)、(b3)、(c3)に示す。図2(a3)、(b3)、(c3)における点線で示された分布は、図2(a2)、(b2)、(c2)で示した分布に対応する。そして、実線で示した第1分級原料の質量に合わせて、実線で示した第2分級原料の質量が設定され、点線から実践に示すように、第2分級原料は余剰分が除去されている。そして、実線で示した第1分級原料と第2分級原料の分布曲線が得られるが、第1分級原料と第2分級原料の質量比は図2(a3)、(b3)、(c3)総てにおいてほぼ等しくなる。
上述したように、本実施形態においては、粉砕原料の粒度分布状態にかかわらず、第1分級原料と第2分級原料とを一定比率で配合し、成形原料を作ることができる。したがって、成形原料の粒度分布に偏りが生じにくくなり安定化するため、過粉砕によって骨材が露出することなく、成形工程、焼成工程、黒鉛化工程で割れにくい黒鉛材を得ることができる。
すなわち、粉砕工程で得られる粉砕原料は、粒の硬さ、バインダ成分の比率によって粉砕性が異なるので、得られる粒子の大きさ毎に成形性が異なると考えられる。骨材としてバインダ成分を含有しないか焼コークスを用いた炭素系原料は、粉砕するとバインダの付着していない骨材が微粉側に形成されやすくなる。本実施形態では、微粉を除去することなく安定した粒度分布が得られるので、粉砕後の成形原料に含まれるバインダの比率は、粉砕前の粉砕原料と変わらない。したがって、微粉の除去による収縮性への影響が生じないため、かさ密度の安定し、かつ後の成形工程、焼成工程、黒鉛化工程で割れにくい黒鉛材が提供される。
図4は他の実施形態の黒鉛材製造装置10の全体概要図であると同時に、黒鉛材の製造方法の各工程を示すフロー図にもなっている。図3の装置との違いは、第1分級機13の下流において、切り替え弁14aの代わりに、第2分級機15と切り替え弁14bが設けられている点である。
本実施形態においては、分級工程において、第1分級機13に加えて第2分級機15を用いて、粒径分布において第2分級原料より大きい、言い換えると、粒度分布のピークが第2分級原料のピークより大きい第3分級原料をさらに分級する。この第3分級原料は、第2分級機から、直接炭素系原料タンク11へ戻される。また、図3の実施形態と同様、計量装置19の図示せぬ計量器が、第2貯蔵タンク17に貯蔵された第2分級原料の量を計量し、任意に設定される設定値と比較して一定量の第2分級原料を貯蔵した後、第2分級機15と第2貯蔵タンク17との間に設けられた切り替え弁14bに切り替え指示信号を出す(図中の点線)。当該切り替え指示信号に基づき、切り替え弁14bが切り替わり余剰分の第2分級原料を炭素系原料タンク11に戻す。そして、先述した第3分級原料と、切り替え弁14bにより除去された余剰分の第2分級原料とを炭素系原料タンク11に戻し、再度粉砕する。
ここで、第2分級原料と第3分級原料のカットポイントは、成形原料の最大粒子径を決定する要因である。第3分級原料を一旦生成した後、粉砕工程に戻しながら成形原料が製造されるので、粉砕工程で得られる粉砕原料が粗く形成されやすくなるので、粉砕原料の粒度分布を粗い側に設定することができ、過粉砕によって露出した骨材が粉砕原料に含まれることを防ぐことができる。
第2分級機15における第2分級原料と第3分級原料との分級は、例えば篩(金網)によって行われる。粗い粒子(とび粉:isolated coarse particle)はごく少量混入すると、液晶画面の欠陥のように、黒鉛材の加工面に観察されやすく目立つので粗い粒子の混入は最小限に抑えることが好ましい。篩による分級は、原理的に粗い粒子を通過させることがないので、微細で欠陥の無い組織を形成することができる。
図5の実施形態は、図4の実施形態の変形例であり、図3の例と同様、計量装置19が第2貯蔵タンク17に貯蔵された第2分級原料の量を測定しつつ、一定量の第2分級原料を貯蔵した後、切り替え弁14aに切り替え指示信号を出す(図中の点線)。当該切り替え指示信号に基づき、切り替え弁14aが切り替わり余剰分の第2分級原料を炭素系原料タンク11に戻す。さらに、第2貯蔵タンク17に送る前に、第2分級機15を用いて、第2分級原料と第3分級原料との分級を行う。この例では、切り替え弁14aにおける切り替えの後でも、第2分級機15の内部に粉砕原料が残留しているので、さらに第2分級原料を第2貯蔵タンク17に送る。このため、計量装置19がモニタして切り替え信号を生成する第2貯蔵タンク17における第2分級原料の量は、図3、図4のものに比べて小さく設定される。
図3〜図5に示した工程の後、成形原料タンク18に貯蔵された成形原料を成形して成形体を得る成形工程と、当該成形体を焼成して焼成体を得る焼成工程と、当該焼成体を黒鉛化して黒鉛材を得る黒鉛化工程と、を経ることにより、黒鉛材が製造される。
成形工程においては、黒鉛材の成形方法に使用可能な方法であればどのようなものでも利用することができる。例えば、押出成形、型押し成形、冷間静水圧成形(CIP成形:Cold Isostatic Press)等の成形方法が利用可能である。中でも細かな成形原料を用いた成形に適した型押し成形、冷間静水圧成形が好ましく、高いかさ密度及び大きなサイズの黒鉛材が得られる冷間静水圧成形が特に好ましい。
焼成工程は、成形体を炭化できれば特に方法は限定されない。焼成の温度は例えば800〜1300℃に設定される。焼成温度を800℃以上にすることにより、十分に炭素化した焼成体が得られるため、熱伝導率、強度が高くすることができ後の黒鉛化工程で割れにくくすることができる。また、焼成温度が800℃以上であれば、焼成体の固有抵抗が下げられるので、黒鉛化で焼成体に通電することができ、効率良く黒鉛化することができる。
焼成工程は、電気炉、マッフル炉、燃焼炉など、どのような形態の炉を用いても良く、炉の種類は特に限定されない。
黒鉛化工程は、焼成工程において得られた焼成体を黒鉛化して黒鉛材を得る工程であり、焼成体をさらに高温で熱処理し、黒鉛化する。黒鉛化工程についてもその諸条件、装置等は特に限定されない。
本発明によれば、炭素系原材から、成形原料を得る際、炭素系原料、粉砕機に起因する粒度分布のばらつきを抑えることができるため、結果的に過粉砕による骨材の露出を抑えることができ、結合力のない骨材どうしの接触箇所を少なくし、後の成形工程、焼成工程、黒鉛化工程で割れの発生を防止することができる。更に、きめの細かい組織(fine)を得ることができるので、高強度の黒鉛材を製造することができる。すなわち、製造工程で割れにくく、高強度の黒鉛材を得ることができる製造方法を提供することができる。また、図3〜図5の製造方法においては、粉砕工程から配合工程までの間に、粒度分析をせずに、粒度分布を安定化させることができるので、粉砕から配合まで連続した一連の工程で行うことができる。このため、設備の稼働率を高め、生産性を高めることができる。
<実施例>
以下に、本発明の実施例について説明する。
(一次粉砕工程)
石炭系ピッチコークスを粉砕し骨材を得た。得られた骨材の50%体積累積径は14μmであった。
(混練工程)
前記工程で得られた骨材と、石炭系ピッチとをニーダーを用いて混練した。使用した石炭系ピッチは、軟化点が85℃であった。ニーダーは熱媒オイルによって210℃前後に保温され、2本の羽根によって回転しながら混練する形式である。ニーダーが軟化点より高い温度で保温されているので、石炭系ピッチは溶融し、骨材である石炭系ピッチコークスに練り込まれ、炭素系原料である混練物を形成した。
(粉砕工程)
前記混練工程で得られた炭素系原料を、ピンミルを用いて粉砕し粉砕原料を得た。ピンミルは、固定歯と、回転歯とから構成され、ロストルを有していない形式の粉砕機を使用した。
(分級工程)
前記工程で得られた粉砕原料を回転式ロータを用いた気流分級機である第1分級機を用いて、第1分級原料を分級し、第1分級原料を除去した残分から篩式の第2分級機を用いて第2分級原料及び第3分級原料を分級した。第3分級原料は、粉砕工程に戻され、再度粉砕されるように接続されている。第2分級機の篩の目開きは180μmであった。
分級工程によって、第1分級原料及び第2分級原料が得られた。第1分級原料の50%体積累積径は21μm、第2分級原料の50%体積累積径は71μmであった。
(配合工程)
第1分級原料と第2分級原料との配合比は第1分級原料:第2分級原料=9:1を設定した。投入した炭素系原料の10質量%の第2分級原料が得られた時点で、第2分級機と第2貯蔵タンクとの間にある切り替え弁を切り替え、第2分級原料を粉砕工程に戻した。
得られた第1分級原料と第2分級原料とを9:1の配合比で配合し、成形原料を得た。得られた成形原料の粒度分布を図6に示す。
(成形工程)
内寸が950×450×1800mmのバックに前記配合工程で得られた成形原料を充填し、蓋をしてCIP成形した。CIP成形の圧力は100MPaであった。CIP成形後バックから取り出した。クラックを形成することなく成形体を得ることができた。
(焼成工程)
前記工程で得られた成形体を、焼成缶に詰め焼成した。焼成温度は900℃であり、昇温にかけた期間は一ヶ月であった。焼成後得られた焼成体にはクラックがなかった。
(黒鉛化工程)
前記工程で得られた焼成体を、アチェソン炉に詰め黒鉛化した。黒鉛化温度は2500℃であり、昇温にかけた期間は一週間であった。黒鉛化後得られた黒鉛材にはクラックがなかった。
<比較例>
一次粉砕工程及び混練工程は前記実施例と同様に比較例の黒鉛材を製造した。
(粉砕工程)
粉砕工程では炭素質原料を、ハンマーミルを用いて粉砕した。得られた粉砕原料は、回転式ロータを用いた気流分級機によって分級し、粗い側の粉砕原料は全量再粉砕し、細かい側の粉砕原料のみからなる成形原料を得た。得られた成形原料の粒度分布を図7に示す。
(成形工程)
内寸が950×450×1800mmのバックに前記配合工程で得られた成形原料を充填し、蓋をしてCIP成形した。CIP成形の圧力は100MPaであった。CIP成形後バックから取り出した。成形体にはクラックができ、完全な成形体が得られなかった。
<実施例と比較例の比較および考察>
実施例の粒度分布である図6及び比較例の粒度分布である図7を比較し、考察する。実施例では、粉砕機の能力を落とし、粉砕原料の粒度分布を粗くなるように設定しながら、徐々に粒度分布を調整しているので過粉砕することなく粉砕原料が得られている。さらに第1分級原料の質量を基準に第2分級原料を配合しているので安定した粒度分布が得られていると考えられる。
これに対し、比較例では、粉砕機で粉砕される粉砕原料に対し、粒度分布の調整がなされていないので粉砕すると同時に過粉砕されている。比較例では1〜5μmの領域にピークが存在しているが、実施例では存在していない。これは、骨材の粒子がバインダと分離して単独で存在していると考えられる。このため、比較例の成形原料は、粘着力が低下し成形性が低下したものと考えられる。このため、成形クラックが形成されたと推定される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態において示された事項に限定されず、特許請求の範囲及び明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者がその変更又は応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
本発明の黒鉛材の製造方法によれば、粒度のばらつきが小さく、結果的に寿命のばらつきが小さい黒鉛材を提供することが可能となり、種々の分野への応用が可能である。
1:粒子(一般的なセラミックス)
2:バインダピッチ
2A:焼成後のバインダ
3:骨材
10:黒鉛材製造装置
11:炭素系原料タンク
12:粉砕機
13:第1分級機
14a:切り替え弁
14b:切り替え弁
15:第2分級機
16:第1貯蔵タンク
17:第2貯蔵タンク
18:成形原料タンク
19:計量装置

Claims (8)

  1. バインダと骨材とからなる炭素系原料を粉砕して粉砕原料を得る粉砕工程と、
    当該粉砕原料を、少なくとも第1分級原料と、前記第1分級原料より粒度分布のピークの大きい第2分級原料と、に分級する分級工程と、
    前記第1分級原料の質量を基準に第2分級原料の配合量を決定し、成形原料を得る配合工程と、を含み、
    前記第2分級原料より粒径分布のピークの大きい第3分級原料が、前記分級工程においてさらに分級され、前記第2分級原料の余剰分と前記第3分級原料とを前記粉砕工程に戻して粉砕する黒鉛材の製造方法であって、
    前記粉砕原料を分級し、前記第1分級原料を得る第1分級機と、
    前記第1分級原料を除去した粉砕原料の残分から前記第2分級原料を得ると共に、余剰分を粉砕工程に戻す第2分級機と、
    前記第1分級原料を貯蔵する第1貯蔵タンクと、
    前記第2分級原料を貯蔵する第2貯蔵タンクと、
    前記第2分級機と前記第2貯蔵タンクとの間に設けられ第2分級原料を粉砕工程に戻す切り替え弁と、
    が設けられ、
    前記第2貯蔵タンクに前記第1分級原料の質量を基準に算出される一定量の第2分級原料を貯蔵した後、前記切り替え弁を切り替えて、余剰分の第2分級原料を前記粉砕工程に戻して粉砕する黒鉛材の製造方法。
  2. バインダと骨材とからなる炭素系原料を粉砕して粉砕原料を得る粉砕工程と、
    当該粉砕原料を、少なくとも第1分級原料と、前記第1分級原料より粒度分布のピークの大きい第2分級原料と、に分級する分級工程と、
    前記第1分級原料の質量を基準に第2分級原料の配合量を決定し、成形原料を得る配合工程と、を含み、
    前記第2分級原料より粒径分布のピークの大きい第3分級原料が、前記分級工程においてさらに分級され、前記第2分級原料の余剰分と前記第3分級原料とを前記粉砕工程に戻して粉砕する黒鉛材の製造方法であって、
    前記粉砕原料を分級し、前記第1分級原料を得る第1分級機と、
    前記第1分級原料を除去した粉砕原料の残分から第2分級原料を得ると共に、余剰分を粉砕工程に戻す第2分級機と、
    前記第1分級原料を貯蔵する第1貯蔵タンクと、
    前記第2分級原料を貯蔵する第2貯蔵タンクと、
    前記第1分級機と前記第2分級機との間に設けられ前記第1分級原料を除去した粉砕原料の残分を粉砕工程に戻す切り替え弁と、
    が設けられ、
    前記第2貯蔵タンクに前記第1分級原料の質量を基準に算出される一定量の第2分級原料を貯蔵した後、前記切り替え弁を切り替えて、余剰分の第2分級原料を前記粉砕工程に戻して粉砕する黒鉛材の製造方法。
  3. バインダと骨材とからなる炭素系原料を粉砕して粉砕原料を得る粉砕工程と、
    当該粉砕原料を、少なくとも第1分級原料と、前記第1分級原料より粒度分布のピークの大きい第2分級原料と、に分級する分級工程と、
    前記第1分級原料の質量を基準に第2分級原料の配合量を決定し、成形原料を得る配合工程と、を含み、
    前記粉砕原料を分級し、前記第1分級原料と前記第2分級原料とを得る第1分級機と、
    前記第1分級原料を貯蔵する第1貯蔵タンクと、
    前記第2分級原料を貯蔵する第2貯蔵タンクと、
    前記第1分級機と前記第2貯蔵タンクとの間に設けられ第2分級原料を粉砕工程に戻す切り替え弁と、
    が設けられ、
    前記第2貯蔵タンクに前記第1分級原料の質量を基準に算出される一定量の第2分級原料を貯蔵した後、前記切り替え弁を切り替えて、余剰分の第2分級原料を前記粉砕工程に戻して粉砕する黒鉛材の製造方法。
  4. 前記骨材は、か焼コークスである、請求項1からのいずれか1項に記載の黒鉛材の製造方法。
  5. 請求項1からのいずれか1項に記載の黒鉛材の製造方法であって、
    前記成形原料を成形して成形体を得る成形工程と、
    当該成形体を焼成して焼成体を得る焼成工程と、
    当該焼成体を黒鉛化して黒鉛材を得る黒鉛化工程と、
    をさらに有する黒鉛材の製造方法。
  6. バインダと骨材とからなる炭素系原料を粉砕して粉砕原料を得る粉砕装置であって、
    粉砕原料を分級し、第1分級原料と第2分級原料とを得る第1分級機と、
    前記第1分級原料を貯蔵する第1貯蔵タンクと、
    前記第2分級原料を貯蔵し、計量器を有する第2貯蔵タンクと、
    前記第1分級機と前記第2貯蔵タンクとの間に設けられ、前記第2分級原料を粉砕工程に戻す切り替え弁と、
    前記計量器の計量値と、任意に設定される設定値とを比較し、前記切り替え弁を切り替え、前記第2分級原料を粉砕工程に戻す計量装置と、
    を備える粉砕装置。
  7. バインダと骨材とからなる炭素系原料を粉砕して粉砕原料を得る粉砕装置であって、
    粉砕原料を分級し、第1分級原料を得る第1分級機と、
    前記第1分級原料を除去した粉砕原料の残分から第2分級原料を得ると共に、余剰分を粉砕機に戻す第2分級機と、
    前記第1分級原料を貯蔵する第1貯蔵タンクと、
    前記第2分級原料を貯蔵し、計量器を有する第2貯蔵タンクと、
    前記第2分級機と前記第2貯蔵タンクとの間に設けられ、前記第2分級原料を粉砕工程に戻す切り替え弁と、
    前記計量器の計量値と、任意に設定される設定値とを比較し、前記切り替え弁を切り替え、前記第2分級原料を粉砕工程に戻す計量装置と、
    を備える粉砕装置。
  8. バインダと骨材とからなる炭素系原料を粉砕して粉砕原料を得る粉砕装置であって、
    粉砕原料を分級し、第1分級原料を得る第1分級機と、
    前記第1分級原料を除去した粉砕原料の残分から第2分級原料を得ると共に、余剰分を粉砕工程に戻す第2分級機と、
    前記第1分級原料を貯蔵する第1貯蔵タンクと、
    前記第2分級原料を貯蔵し、計量器を有する第2貯蔵タンクと、
    前記第1分級機と前記第2分級機との間に設けられ、前記第1分級原料を除去した粉砕原料の残分を粉砕工程に戻す切り替え弁と、
    前記計量器の計量値と、任意に設定される設定値とを比較し、前記切り替え弁を切り替え、前記第2分級原料を粉砕工程に戻す計量装置と、
    を備える粉砕装置。
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