JPH0714804B2 - 高密度等方性炭素材の製造方法 - Google Patents

高密度等方性炭素材の製造方法

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JPH0714804B2 JP63181621A JP18162188A JPH0714804B2 JP H0714804 B2 JPH0714804 B2 JP H0714804B2 JP 63181621 A JP63181621 A JP 63181621A JP 18162188 A JP18162188 A JP 18162188A JP H0714804 B2 JPH0714804 B2 JP H0714804B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、放電加工用電極などの電気用、シール、リン
グなどの機械用、治具、ルツボ、連続鋳造用などの冶金
用あるいは原子力用、シリコン単結晶引き上げ用ホット
ゾーン材などとして使用される高密度等方性炭素材料の
製造方法に関する。
本発明において、高密度等方性炭素材とはカサ密度1.80
g/cm3以上の炭素材を目標とする。
〔従来の技術〕
従来、高密度等方性炭素材は、微粉化したか焼コークス
にバインダーピッチを適当量添加し、約150〜250℃の温
度で数時間捏合後、冷却し、この捏合後を再び微粉砕し
て原料粉を得て、これを等方成形し、更に1000℃前後で
焼成し、その上、密度を高めるために、焼成物にピッチ
等を含浸した後、再度焼成を行ない、必要によっては、
この含浸‐再焼成を何回か繰り返した後、2,500〜2,800
℃の高温下で、黒鉛化処理を行なうことによって得てい
る。
特公昭60−13962号公報には、平均粒径が15μm以下の
生石油コークスと平均粒径が44μm以下のか焼コークス
とを主体とした配合物に粘結剤を添加して混練し、粉砕
し、粉砕したものをラバープレスにより等方成形し、次
いで常法により焼成し、さらに必要に応じて黒鉛化する
等方性特種炭素材の製造方法が開示されている。
特公昭57−25484号公報には、焼成に際し、融解するこ
となく、焼結する生コークスの微粉砕物または、それに
バインダーピッチを配合したものを加圧成型し、該成型
体を450〜700℃の低温度で一次焼成し、ついで加圧下に
ピッチ含浸し、さらに高温焼成処理して炭化ないし黒鉛
化させる高密度高強度炭素材料の製造方法が開示されて
いる。
特公昭58−1042号公報には、骨材コークスを100メッシ
ュ(タイラー)以下に粉砕し、バインダーピッチととも
に混練してなる混練物を、冷却後、28メッシュ以下に粉
砕し、粉砕物を等方加工成形し、更に溶融金属中に浸漬
して流体加圧下に焼成する高密度等方性炭素材の製造方
法が開示されている。
また特公昭61−24326号公報には、生遅延コークス微粉
砕物に軟化点75〜140℃で、固定炭素量45〜70重量%の
バインダーピッチを5重量%と生遅延コークスとバイン
ダーピッチの混合物の揮発分量が所定の値以下の範囲で
添加し、混合と同時に平均粒径100μ以下に粉砕し、こ
れを常法に従って成型、焼成、黒鉛化する炭素材の製造
方法が開示されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
前記のか焼コークスとバインダーピッチを原料とする方
法によって、高密度等方性炭素材を得るためには、焼成
後に含浸‐再焼成という処理が必要となり、工程が複雑
な上に、焼成を繰り返すことにより、熱エネルギーの消
費量も多く、全体の製造コストが高くなる等の問題点が
ある。
また特公昭61−24326号公報では、生遅延コークスとバ
インダーピッチを混合と同時に平均粒径100μm以下に
粉砕し、その後常法にしたがって成型、焼成、黒鉛化
し、炭素材を得ている。しかしながら本発明者の検討で
は、この方法によって得られる炭素材のカサ密度は1.30
〜1.75g/cm3程度であり、目標とするカサ密度1.80g/cm3
以上の高密度材は得られない。また生遅延コークスとバ
インダーピッチとをバインダーピッチの軟化点以上の温
度で捏合し、冷却後、粉砕した場合においても、特公昭
61−24326号公報に記載されたバインダーピッチの添加
量の範囲内{≦0.39×(原料生遅延コークスの揮発分)
+13.1}では、やはり、カサ密度1.80g/cm3W以上の高密
度材は得られない。この方法ではバインダーピッチが溶
融しない状態で摩砕混合されるため、焼成時に発泡し易
く、このため全体の揮発分をある値以下におさえざるを
得ない。揮発分が低く押えられる結果、焼成時の熱収縮
が大きくないため密度が上らないものと考えられる。
本発明の目的は、前記の従来技術の課題を解決し、カサ
密度1.80g/cm3以上の高密度等方性炭素材の製造方法を
提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、粒径200メッシュ(タイラー)以下で揮発分
量7.0〜13.0重量%である「重質油をディレード・コー
キング法又はフルード・コーキング法によりコークス化
し、未だか焼していない生コークス」に、軟化点50〜15
0℃で固定炭素量45〜70重量%のバインダーピッチを、
捏合後の揮発分量が下記の式で表わされる範囲内となる
様な量を加え、160〜300℃の温度範囲で十分に捏合し、
室温まで冷却後、200メッシュ(タイラー)以下の粒径
となる様に再粉砕し、この再粉砕物を等方成型し、更に
常法に従って焼成し、黒鉛化することを特徴とする高密
度等方性炭素材の製造方法である。
重質油をディレード・コーキング法又は フルード・コーキング法によりコークス化し、 未だか焼していない生コークスの揮発分量:VM重量% 捏合後の混練物の揮発分量:VMtotal重量% とすると 7.0≦VM≦9.0においては 17.0≦VMtotal≦20.0 9.0<VM≦13.0においては 17.0+0.3×(VM−9.0)≦VMtotal≦20.0 本発明においては石炭タール、石油系重質油、石炭液化
油(SRC)等の重質油をディレード・コーキング法(遅
延コークス化法)、フルード・コーキング法(流動コー
クス化法)等の方法により、コークス化し、未だか焼
(カルサイニング)していないコークスを原料として使
用する。以下において生遅延コークス又は生流動コーク
スと称する。該生コークスは、揮発分を7〜15%含有し
ている。これらの内でディレード・コーキング法による
生遅延コークスが好ましい。
即ち本発明で使用する生遅延コークス又は生流動コーク
スは揮発分量(以下VMで示す)が7.0〜13.0重量%の
範囲内であれば、特に出発原料に制限はない。一般的に
は、石炭系ピッチから得た生遅延コークス又は生流動コ
ークスが最も効果的である。
VMが7.0重量%未満の場合には、焼成時にクラックが
発生し易く、逆にVMが13.0重量%を超えると、焼成時
に材料が発泡変形し、いずれも好ましくない。VMの最
も好ましい範囲は8.0〜12.0重量%である。
また生遅延コークス又は生流動コークスの粒度は200メ
ッシュ(タイラー)以下、即ち74μm以下であることが
必要である。粒径が200メッシュを超えると得られる炭
素材中に組織の不均一な部分が発生し好ましくない。
高密度材を得るための最適粒径は、粒径が200メッシュ
以下で、平均粒径が3〜20μmの場合である。
本発明で使用するバインダーピッチは軟化点50〜150℃
で、かつ固定炭素量45〜70重量%のものである。
軟化点が50℃未満の場合は、ピッチの固定炭素量が低
く、揮発分量が増加するため、焼成時に材料が発泡して
変形を起こす。
軟化点が150℃を超す場合は、生遅延コークス又は生流
動コークスとバインダーピッチの捏合が難しく、得られ
る材料は均一性を欠いたものになる。
バインダーピッチとしては軟化点80〜120℃、固定炭素
量50〜65重量%のものが最適である。
本発明では、バインダーピッチの添加量として、捏合後
の混練物の揮発分量をVMtotal重量%とすると 7.0≦VM≦9.0の場合には 17.0≦VMtotal≦20.0 9.0<VM≦13.0の場合には 17.0+0.3×(VM−9.0)≦VMtotal≦20.0 VMtotalがこの範囲内になるように添加するものであ
る。
これは第1図のVM〜VMtotalの図表で斜線と網目の範
囲にVMtotalが入るようにバインダーピッチを添加する
必要がある。
この点で特公昭61−24326号公報と全く異なることが明
らかである。捏合物の揮発分量VMtotalが第1図に表わ
される範囲より低い場合、焼成、黒鉛化過程での体積収
縮が小さく、目標とする高密度材は得られない。またVM
totalが第1図に表わされる範囲より高い場合は、焼成
過程で材料が発泡変形し、好ましくない。最適範囲のVM
totalは第1図の網目部分の範囲内である。
捏合における温度は、バインダーピッチの軟化点からコ
ーキング温度の範囲であれば制限はないが、操作性等か
ら見て、160〜300℃の範囲が最も適当である。
本発明において、捏合物の再粉砕後の粒径は200メッシ
ュ(タイラー)以下、即ち74μm以下であることが必要
である。
粒径が200メッシュを超えると、得られる炭素材中に不
均一部分が発生し易くなり好ましくない。均一な高密度
材を得るための最適粒径は 200メッシュ以下で、平均粒径が3〜20μmの場合であ
る。
〔作用〕
本発明における方法によって、高密度材が得られるの
は、焼成過程における体積収縮率が30〜50%と非常に大
きくなり、その結果、密度が大巾に増加するためであ
る。焼成過程における体積収縮率が大きくなる理由につ
いては、現在のところ明確ではないが生遅延コークス又
は生流動コークスの焼成過程での自己収縮性とバインダ
ーピッチの収縮性とが一種の相乗効果を表わすためでは
ないかと推定される。
〔実施例〕
次に実施例によって、本発明を更に詳細に説明するが、
本発明はこの実施例によって何等限定されるものではな
い。
(実施例1) 石炭系ピッチを出発原料として得た揮発分量VM=11.0
重量%の生遅延コークスをハンマーミルによって粉砕
し、200メッシュ(タイラー)のフルイによって、200メ
ッシュ以上の粒を除去し、平均粒径18μmの生遅延コー
クス粉を得た。
これに軟化点90℃、固定炭素分量55重量%のバインダー
ピッチを該生遅延コークス100重量部に対して、25〜50
重量部添加し、250℃でニーダーによって十分に捏合
し、室温まで冷却後再びハンマーミルによって粉砕し、
200メッシュのフルイによって200メッシュ以上の粒を除
去し、最終的に揮発分量VMtotalの異なる7種類の平均
粒径18μmの捏合物の粉を得た。これをラバープレスに
より、成型圧力1.0t/cm2で等方成型し、1,000℃で焼成
し、更に2,600℃で黒鉛化して等方性炭素材を得た。
捏合物の揮発分量VMtotalと得られた材料の物性値を併
せて第1表に示す。
(実施例2) 石炭系ピッチを出発原料として得た揮発分量VM=8.2
重量%の生遅延コークスと軟化点90℃、固定炭素分量55
重量%のバインダーピッチとを用いて、実施例1と全く
同様の方法により、VMtotalの異なる6種類の捏合物粉
を得た。これらを、やはり実施例1と同様方法にて、成
型、焼成、黒鉛化を行い、等方性炭素材を得た。捏合物
の揮発分量VMtotalと得られた材料の物性値を併せて第
2表に示す。
(比較例3) 石炭系ピッチを出発原料として得た揮発分量6.1重量%
の生遅延コークスについて、実施例1,2と全く同様の方
法によって、等方性炭素材の製造を試みた。しかしなが
ら、この場合は、焼成時にクラックが発生し易く、均一
な材料を得るのは困難であった。
(比較例4) 石炭系ピッチを出発原料として得た揮発分量14.0重量%
の生遅延コークスについても、比較例1と同様のことを
試みた。しかしながらこの場合は、焼成時の発泡変形を
生じ、均一な材料は得られなかった。
〔発明の効果〕
本発明によれば、含浸‐再焼成の様な複雑な工程を必要
とせず、極めて容易に且つ低コストで、カサ密度1.80g/
cm3以上の高密度等方性炭素材料が得られる。
実用上の効果の極めて大きい発明である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明における生遅延コークス又は生流動コー
クスの揮発分量VMと捏合物の揮発分量VMtotalとの関
係で表わした図である。第1図中の斜線部と網目部が本
発明の特許請求の範囲であり、網目部は最も好ましい範
囲である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粒径200メッシュ(タイラー)以下で、
    「重質油をディレード・コーキング法又はフルード・コ
    ーキング法によりコークス化し、未だか焼していない生
    コークス(揮発分量7.0〜13.0重量%である)」に、軟
    化点50〜150℃で固定炭素量45〜70重量%のバインダー
    ピッチを、捏合後の揮発分量が下記の式で表わされる範
    囲内となる様な量を加え、160〜300℃の温度範囲で十分
    に捏合し、室温まで冷却後、200メッシュ(タイラー)
    以下の粒径となる様に再粉砕し、この再粉砕物を等方成
    型し、更に常法に従って焼成し、黒鉛化することを特徴
    とする高密度等方性炭素材の製造方法。 重質油をディレード・コーキング法又は フルード・コーキング法によりコークス化し、 未だか焼していない生コークスの揮発分量:VM重量% 捏合後の混練物の揮発分量:VMtotal重量% とすると 7.0≦VM≦9.0においては 17.0≦VMtotal≦20.0 9.0<VM≦13.0においては 17.0+0.3×(VM−9.0)≦VMtotal≦20.0
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