実施の形態1.
以下、本発明に係る実施の形態1の農業用管理システムについて説明する。実施の形態1による農業用管理システムは、隣接する、離間する、もしくは散在する複数の小規模農地を、仮想空間で大規模農地として管理するとともに、農業用機械や農耕機等の農機、または農業生産物の生産者において、授受される複数の小規模農地の情報を、仮想空間の大規模農地として一元管理する。
図1は、実施の形態1による農業用管理システムの構成を示す図であり、(a)は概念構成を示すブロック図、(b)は情報ネットワークの回線構成を示す図である。図2は、実施の形態1による農機端末の装着された自動農機の構成を示す図であり、(a)は農機端末の搭載された自動農機を示す図であり、(b)は農機端末の構成とその周辺機器との接続構成を示すブロック図である。図3は、生産者端末の装着された農機の構成を示す図であり、(a)は生産者端末の装着された農機を示す図であり、(b)は生産者端末の構成とその周辺機器との接続構成を示すブロック図である。
図1(a)において、実施の形態1による農業用管理システムは、圃場用センサ30と、生産者端末10と、農機端末20と、遠隔センサ40と、消費者端末60と、出資者端末80と、管理センタ50と、販売者端末70と、情報ネットワーク100を備えている。圃場用センサ30、生産者端末10、農機端末20、遠隔センサ40、消費者端末60、販売者端末70、及び出資者端末80は、それぞれ情報ネットワーク100を介在して、管理センタ50に接続されている。なお、生産者端末10、農機端末20は、CPU及び記憶装置、入力装置、表示装置等を有して、衛星通信や無線通信等による通信の可能な専用端末の他、例えば衛星通信や無線通信の可能なスマートフォン(多機能携帯電話)や、衛星通信や無線通信の可能なタブレット(多機能携帯端末)型端末が用いられても良い。また、消費者端末60、出資者端末80、販売者端末70は、卓上設置型または可搬型のパソコンを用いて良いし、生産者端末10及び農機端末20と同様に、CPU及び記憶装置、入力装置、表示装置等を有して、衛星通信や無線通信等による通信の可能な専用端末の他、例えば衛星通信や無線通信の可能なスマートフォンや、衛星通信や無線通信の可能なタブレット型端末が用いられても良い。また、生産者端末10、農機端末20、消費者端末60、販売者端末70、及び出資者端末80は、農業用管理システムで利用可能なアプリケーションソフトウェアを自由に実装することが可能な、共通仕様の端末(共通プラットフォーム端末)が用いられても良い。
また、図1(b)において、情報ネットワーク100は、光通信や電線ケーブルを用いた有線回線101、LTE(Long Term Evolution)規格やWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)規格等の無線通信規格に準拠する無線端末を用いた無線回線102、携帯電話や固定電話による電話回線103、及び通信衛星を介在した衛星通信回線104等からなる複数種類の情報伝送回線により構成されている。以下の説明では、生産者端末10及び農機端末20が、衛星通信回線104または無線回線102によって管理センタ50に接続されている場合を例として説明する。
図2において、実施の形態1による自動農機25は、農機端末20と、搭載センサ21と、照明29が装着されている。農機端末20は、取り付け取り外し可能に自動農機25に装着されているが、自動農機25に内蔵されていても良い。また、自動農機25は、ECU(Electronic Control Unit)26と、駆動部27を備えている。自動農機25は、作業機24が着脱可能に取付けられており、ECU26の制御指令に従い駆動部27及び作業機24を自律制御によって駆動する。作業機24は、施肥、土壌改良、耕うん、土壌消毒、うね立て、播種等を行う。照明29は、赤外光照明、ハロゲン光照明、LED(Light Emitting Diode)照明等から構成されている。自動農機25は、照明29を備えることで夜間走行が可能となっている。
農機端末20は、測位装置22と、測位処理部201と、ナビゲーション処理部202と、記憶装置203と、農作業管理部205と、無線装置23と、表示部217を備えている。表示部217は、自動農機25を自律制御するためのオートモードと、自動農機25を人手で手動操作するためのマニュアルモードとの何れか一方を選択して切替えるための、切替ボタンが備えられている。この切替ボタンの選択により、農作業管理部205の動作をオートモードとマニュアルモードの何れか一方に切替えることができる。また、自動農機25のマニュアルモードには、自動農機25を直接操作する手動操作モードと、無線装置23を介して自動農機25を遠隔操作する遠隔操作モードがある。
また、農機端末20は、ECU26、及び搭載センサ21に接続されている。搭載センサ21は、赤外線画像または可視画像を取得するカメラ、走査方向の距離画像を取得するレーザスキャナ(レーザレンジファインダ)、ハイパースペクトルカメラ、温度センサ、水分センサ、ジャイロ及び加速度センサのような慣性センサ、高度センサ、地磁気方位センサ、オドメトリ等の各センサの1つもしくは幾つかもしくは全てが設けられており、これら各センサを用いて、各種センサデータを取得する。搭載センサ21は、各種センサデータを取得して、周囲の画像及び農場の環境状態を計測する。搭載センサ21の取得した計測データは、測位処理部201の測位データ及び時間データに対応付けられ、端末センシング情報として、一時的に記憶装置203に格納される。端末センシング情報は、例えば日付、時間(時刻)、位置、方位、高度、水分、雰囲気温度、地面温度、土壌スペクトル、レーザ距離画像、可視画像、赤外画像等の各種データから構成される。なお、搭載センサ21は、少なくとも可視画像を取得するカメラが設けてあれば良い。
ECU26は、農作業管理部205の制御操作指令に従い作業機24に対して制御指令を与える。記憶装置203は、農地形状データ210と、移動経路データ211、212が格納されている。測位装置22は、例えば1Hzから10Hzの間隔で、GPS衛星、GLONASS衛星、GALILEO衛星、準天頂衛星等のGNSS(Global Navigation Satellite Systems)衛星からの測位信号、準天頂衛星からの測位補強信号を受信し、測位情報をデコードする(なお、GNSS衛星からの測位信号、準天頂衛星からの測位補強信号の受信レートは必ずしもこれに限るものではない)。測位処理部201は、測位装置22のデコードした測位情報に基づいて、自己位置を高精度に測位する。
圃場用センサ30は、情報ネットワーク100により管理センタ50に接続される据付された遠隔カメラ、温度センサ、湿度センサ、照度センサ、風速センサ、土壌センサ等から構成され、管理農地に設置される。また、圃場用センサ30は、必ずしも管理農地に固定されるものではなくても良く、移動車両に搭載された可動式のものであっても良い。遠隔センサ40は、例えば光学衛星やレーダ衛星、地球観測衛星等のリモートセンシングを行う観測衛星が用いられ、管理農地の上空を通過する。また、遠隔センサ40は、管理農地の上空を通過する飛行船、飛行機やヘリコプターに搭載されていても良く、無人飛行船、無人飛行機や無人ヘリコプター等の移動体に搭載されていても良い。
図3において、実施の形態1による農機15は、生産者端末10と搭載センサ11が、図示しないアダプタ(装着具)を介して着脱可能に取り付けられている。また、生産者端末10は腰ベルトや衣服に装着しても良い。農機15は、人手による手動操作によって、備え付けの作業機24を駆動する。なお、上記農機端末20にてマニュアルモードの手動操作モードを選択した場合は、生産者端末10と同様に動作することができる。また、生産者端末10は、上記自動農機20に接続するための接続インターフェースを設けても良い。
生産者端末10は、測位処理部111と、ナビゲーション処理部112と、記憶装置113と、測位装置12と、無線装置13と、農作業管理部115と、表示部117を備えている。また、生産者端末10は、搭載センサ11に接続されている。記憶装置113は、農地形状データ120と、移動経路データ121、122が格納されている。搭載センサ11は、赤外線画像または可視画像を取得するカメラ、走査方向の距離画像を取得するレーザスキャナ(レーザレンジファインダ)、ハイパースペクトルカメラ、温度センサ、水分センサ、ジャイロ及び加速度センサのような慣性センサ、高度センサ、地磁気方位センサ、オドメトリ等の各センサの1つもしくは幾つかもしくは全てが設けられており、これら各センサを用いて、各種センサデータを取得する。搭載センサ11は、各種センサデータを取得して、周囲の画像及び農場の環境状態を計測する。搭載センサ11の取得した計測データは、測位処理部111の測位データ及び時間データに対応付けられ、端末センシング情報として、一時的に記憶装置113に格納される。端末センシング情報は、例えば日付、時間(時刻)、位置、方位、高度、水分、雰囲気温度、地面温度、土壌スペクトル、レーザ距離画像、可視画像、赤外画像等の各種データから構成される。なお、搭載センサ11は、少なくとも可視画像を取得するカメラが設けてあれば良い。
測位装置12は、例えば1Hzから10Hzの間隔で、GNSS衛星からの測位信号、準天頂衛星からの測位補強信号を受信し、測位情報をデコードする。測位処理部111は、測位装置12のデコードした測位情報に基づいて、自己位置を高精度に測位する(なお、GNSS衛星からの測位信号、準天頂衛星からの測位補強信号の受信レートは必ずしもこれに限るものではない)。
図4は、管理センタ50の構成を示す図である。図において、管理センタ50は、通信装置500と、システム管理部501と、データ管理部502と、出力装置503と、入力装置504と、農地属性管理部511と、農作業計画生成部512と、圃場用センサ管理部513と、農作業管理部510と、遠隔センサ管理部516と、販売者管理部517と、消費者管理部518と、出資者管理部519と、入出力管理部520と、LAN(Local Area Network)またはデータバスで接続されたデータ通信回線590を備えている。農作業管理部510は、農機管理部514と生産者管理部515を有している。圃場用センサ管理部513は、圃場用センサ30の動作状況や、センサ出力データの異常有無を管理する。遠隔センサ管理部516は、遠隔センサ40の動作状況や、センサ出力データの異常有無を管理する。また、遠隔センサ40が観測衛星や他の移動体である場合には、それに搭載された観測センサの管制(動作状況の監視やセンサの遠隔制御、テレメトリ信号の受信や制御コマンドの送信等)と、当該観測センサを搭載する人工衛星や移動体等の母機の管制(動作状況の監視や母機の遠隔制御、テレメトリ信号の受信や制御コマンドの送信等)を行う。
農作業計画生成部512は、作物の長期生産計画や短期生産計画、各農場の農作業計画等を生成する。農作業計画は、耕作日時、耕作する種子、雑草を除去する日時、農薬散布する日時、肥料を撒く日時、水を供給する日時、作物を刈り取る日時、花粉を付ける日時、害虫除けや雨除けを施す日時、収穫後の作物の脱穀や洗浄等の後処理等の各種農作業について、農作業を行う農場及び農場内で農作業を行うポイントや作業領域を含めて計画が設定される。この計画は、管理センタ50のオペレータにより、入力装置504及び出力装置503を介して、スケジュール管理用の専用ソフトウェアを用いて、適宜入力及び更新設定される。また、農作業計画生成部512は、オペレータの作業支援を行うように、オペレータに計画の入力や変更を自動的に促しても良い。また、農作業計画生成部512は、計画立案用の何らかの自動プログラムが作成されている場合に、当該自動プログラムに従って一部の農作業計画を自動的に生成するようにしても良い。
なお、農作業計画の生成では、例えば次のような処理が行われる。
1.各農場の耕作順序工程の生成処理。
2.農場間の道路の交通事情を考慮した、農場間の移動経路の生成処理。
3.農場間を最短時間で移動するための最適ルートの計算処理。
4.農機の収納時間や稼動時間の算定処理。
5.各農場の土壌状態のデータ収集時間と、収集したデータの分析計画の策定処理。
また、農作業計画生成部512は、長期天気予報及び短期天気予報の情報を加味して、1時間、半日、1週間、1ヶ月の農作業計画を自動的に生成する、或いはオペレータによる農作業計画の生成の作業支援を行う。また、農作業管理部510の農機管理部514は、自動農機25の自律制御シーケンス、農機の移動ルート、農機の作業工程、農機の収納場所や収納時刻等を管理する。また、農作業管理部510の生産者管理部515は、生産者の作業支援を行うための情報を管理する。
入力装置504は、マウス、ポインティングデバイス、キーボード等から構成される。出力装置503は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRT等の表示装置から構成される。入出力管理部520は、管理センタ50の他の各部から入力される表示出力情報を、出力装置503で表示可能な情報に変換し、出力装置503の表示装置を制御して、表示装置の画面に当該表示出力情報を表示する。また、入出力管理部520は、入力装置504から、マウスの移動やボタン操作、キーボードのキー入力等により入力される情報を、コード化してシステム管理部501に入力するとともに、当該入力情報を出力装置503にエコー表示する。
なお、管理センタ50は、入出力管理部520の一部、出力装置503及び入力装置504の一部を、複数の子局に分散して配置し、LANまたは情報ネットワーク100を介して、シンクライアント方式で各子局と管理センタ50を接続する情報ネットワークシステムを構成しても良い。これによって、各子局で管理センタ50のオペレーションを行うことが可能となる。また、各子局をオペレータの自宅に設置して、各オペレータが自宅に居ながら農業用管理システムのオペレーションを行うことも可能となるので、管理センタ50への通勤や移動が不自由なオペレータについても、自宅でオペレーションを行うことができるようになる。さらに、各子局を可搬可能な端末や携帯端末に設けるようにすれば、オペレータが任意の場所や位置でオペレーションを行うことが可能となる。
通信装置500は、衛星通信回線104または無線回線102を介在して、自動農機端末20の無線装置23と通信接続されている。また、通信装置500は、衛星通信回線104または無線回線102を介在して、生産者端末10の無線装置13と通信接続されている。
システム管理部501は、データ通信回線590を介して、管理センタ50の各部(通信装置500、データ管理部502、出力装置503、入力装置504、農地属性管理部511、農作業計画生成部512、圃場用センサ管理部513、農作業管理部510、遠隔センサ管理部516、販売者管理部517、消費者管理部518、出資者管理部519、及び入出力管理部520)に接続され、各部の動作状況をシステム管理する。農機管理部514または生産者管理部515は、所管する農機端末20及び生産者端末10に対して識別ID番号を割り振り、その動態を、当該ID番号毎に時間情報及び位置情報と対応付けて個々に管理している。
図5は、農機管理部514の構成を示す図である。図において、農機管理部514は、農機移動ルート生成部541と、農機作業工程生成部542と、農機遠隔制御部543を備えている。図6は、生産者管理部515の構成を示す図である。図において、生産者管理部515は、農作業移動ルート生成部551と、農作業工程生成部552と、農作業遠隔支援部553を備えている。
図7は、データベースをなすデータ管理部502の構成を示す図である。図において、データ管理部502は、データベース上に当該年の農地、農作業、収穫等に係る各種データを管理しており、データベースの更新をリアルタイムで行うことができる。また、データベースのデータ更新時には、常に時間情報(時刻、日付、年度等)を対応付けてデータログの記録を行う。データ管理部502は、複数のデータサーバを並列接続したデータセンタや、複数のデータセンタ間を接続してデータ管理するクラウドコンピューティング等のように、ビッグデータ(大容量データ)の管理が可能なコンピュータシステムで構成されている。
データ管理部502は、農地データ管理部910と、仮想農地データ管理部920と、農作業データ管理部930と、収穫データ管理部940と、消費者データ管理部905と、出資者データ管理部960を備えている。農作業データ管理部930には、土壌の状態、水分、肥料、害虫、収穫量等のデータが、時間情報(時刻情報)及び位置情報と関係付けて保管されている。また、バーチャル管理農地950に対応した各農場は、基本的には耕作放棄農地や休耕作地を利用しているため、過去に当該農場を耕作した時の耕作状況について、当時の生産者にその情報を確認し、確認した情報を、農地データ管理部910にデータベース化している。
図8は、実施の形態1の農業用管理システムによる管理農地の一例を示す概念図である。図において、管理農地1は区域別に複数の農場から構成されており、図8の例では、1つの区域の管理農地1に、農場A、農場B、農場C、農場D、農場Eの5つの農場を備えている。管理農地1は、例えば過去に耕作放棄地となった土地や休耕作地を選択するのが良い。耕作放棄地や休耕作地を利用することで、農地の作付面積を拡大することができる。また、各農場は小規模農地から構成することができる。
各農場は、それぞれ1つまたは複数の道路5によって接続されている。図8の例では、農場Aと農場Bは道路a及び道路bによって接続されている。農場Bと農場Cは道路dによって接続されている。農場Bと農場Dは道路cによって接続されている。農場Cと農場Dは道路eによって接続されている。農場Dと農場Eは道路f及び道路gによって接続されている。農場Eと農場Aは道路hによって接続されている。管理農地1には、少なくとも1つの倉庫9が設置される。図8の例では、農場Eの近辺に、農機15、自動農機25、作業機24等の農機具や、種子、肥料等を保管するための倉庫9が設置されている。また、倉庫9は収穫物倉庫を兼用しても良く、また収穫物倉庫を隣接して設けても良い。なお、収穫物倉庫については、農場毎にそれぞれ少なくとも1つ設けるのが良い。
農地データ管理部910は、管理農地1内の各農場の位置、外形形状及び外形位置、面積、土地の所有者(権利者)、土地の運営資金、後述する農場保険の契約金額及び契約条件、農場で契約している生産者の氏名、過去の作物の収穫量、過去に生産に成功した作物の種類、農場の耕作に必要な所要人数、農場内外の所有設備、最寄の駅やバス亭、周辺道路、有料道路インターチェンジ等の交通手段に係る情報等の各種情報を格納している。農地属性管理部511は、入出力管理部520を制御し、農地データ管理部910で管理される情報の入出力管理を行うとともに、情報の入出力の際に暗号化処理を施す。
また、各農場には、1つまたは複数の圃場センサ30が設けられている。耕作面積の大きい農場の場合は、農場の境界周辺または農場の中央部等の複数個所に圃場センサ30を設置する。農機15または自動農機25は、管理農地1の何れか1つまたは複数の農場に配備されて農作業を行う。農機15または自動農機25は、未使用時は倉庫9やその他の保管庫に収納される。また、農機15または自動農機25は、トラック、荷車等の搬送車により運搬される。或いは、自動農機25は、自律走行や、遠隔操作モードの遠隔操作等により、道路5を通行し、各農場間を移動する。農機15は、生産者の手動操作によって道路5を通行し、各農場間を移動する。農機15は生産者端末10が装着され、自動農機25は農機端末20が装着されている。
管理センタ50は、各農場とは異なる離隔した場所または遠隔地に設置され、必ずしも農業用地に設置される必要はなく、産業用地や都市等に設置されても良い。また、図8の遠隔センサ(40)は、観測衛星400を用いた例を示している。また、図8では、通信衛星による衛星通信回線104を用いた例を示している。また、図8において、農機15に搭載された生産者端末10及び自動農機25に搭載された農機端末20は、GNSS衛星106により測位を行う例を示している。
また、バーチャル管理農地950における各農場の周辺には、消費者が居住または所在している。この消費者は、バーチャル管理農地950を利用する利用者会員として、利用者登録を行うことできる。
消費者管理部518は、利用者登録した消費者の居住地、連絡先、氏名、農地利用形態、会員区分等の属性情報を、消費者データ管理部905に保管している。消費者管理部518は、暗号通信によって、消費者データ管理部905に保管された消費者の属性情報を、読み出しもしくは書き換えすることができる。
利用者登録した消費者は、農業用管理システムの運営団体から提供される、消費者端末60を所持している。利用者登録した消費者の会員区分としては、例えば出資者会員、予約購入利用者会員、一時購入利用者会員、支援会員等に区分される。出資者会員は、例えばバーチャル管理農地950の運営資金を提供する、もしくはバーチャル管理農地950の生産活動に投資する、もしくは損害保険に加入する、損害保険を融資する等の出資を行う個人もしくは法人等の会員である。予約購入利用者会員は、バーチャル管理農地950に対応した農場で生産される農作物を予約購入する個人もしくは法人等の会員である。一時購入利用者会員は、バーチャル管理農地950に対応した農場で生産される農作物を一時的に購入する個人会員である。支援会員は、バーチャル管理農地950の運営や生産活動を支援する個人もしくは法人等の会員である。支援会員は、例えばバーチャル管理農地950の各農場の夜回りをしたり、各農場の生産者に物資を提供したり、各農場の生産者に生産のためのアドバイス行う等のボランティアサービスもしくは有償サービスを提供する。出資者会員は、出資比率に応じて、バーチャル管理農地950の共同所有者もしくは共同経営者となることができる。
なお、出資者会員と、予約購入利用者会員もしくは一時購入利用者会員と、支援会員は、全てもしくは一部が兼用した会員になることができる。
図9は、実施の形態1によるバーチャル管理農地の一例を示す図であり、(a)はバーチャル管理農地の各仮想農場の配置例を示し、(b)は各仮想農場の属性データの一例を示す図である。
図9(a)において、各区域のバーチャル管理農地950は、1つの仮想農場951、または所定の複数の仮想農場951を一纏まりに集積して、群管理された一群の集合農場を構成する。各仮想農場951は、現実の管理農地1を構成する各農場(例えば農場A、B、C、D、E)が対応している。
図9(a)の例では、バーチャル管理農地950及び仮想農場951は、それぞれを区画するエリア区画線952が長方形状をなしており、バーチャル管理農地950の面積が小さくなるように、バーチャル管理農地950の面内に各仮想農場951が敷詰められて、各仮想農場951がバーチャル管理農地950内に圧縮されて配置される。このため、各農場を画面に表示して管理する際に、現実の管理農地1を一括して画面表示する場合に比べて、仮想農場951を一括して画面表示する場合の方が、表示画像のデータサイズを抑えることができるとともに、各農場をより大きく画面表示することができるようになる。
また、図9(a)の例では、仮想農場951は、各農場A、B、C、D、Eの外周に接して各農場を囲む最小面積を与える長方形状となっている。このように現実の小さな農場を複数集積して管理することで、区域別(群毎)に仮想的な1つの大農場を構成することができる。
バーチャル管理農地950及び仮想農場951は、ディジタル的な離散数値によって形状を定義できるものであれば、長方形状以外の他の多角形状であっても良く、また所定の方程式で記述される楕円曲線等であっても良い。また、1つのバーチャル管理農地950に属する仮想農場951の数Nk(Nkは正の整数)は、画面上で管理の可能な数とするのが良く、例えば最大で1000個以下とするのが良い。
バーチャル管理農地950及び仮想農場951の設定は、例えば図8、9において、次のように行う。
農地属性管理部511は、農地データ管理部910で管理される管理農地1内の各農場に係る情報を参照して、各農場の位置、外形形状及び外形位置を取得する。農地属性管理部511は、この取得情報を元にして、各農場の外形に接するエリア区画線を算出し、エリア区画線の割り当てを行う。なお、各農場の位置、外形形状及び外形位置のデータは、予め農場の敷地内外を測量することでデータ取得されている。この際、航空測量を利用して、農場の3次元測量データ及び農場の真上から見た航空写真(2次元測量データまたはディジタルマップ等)を取得することで、効率的に測量データを取得することができる。
次いで、農地属性管理部511は、管理農地1内の特定の農場(例えば最南端及び最西端に位置する農場)を基準農場として、基準農場のエリア区画線955に隣接する農場のエリア区画線956が、基準農場の隣接するエリア区画線955に当接する位置まで、隣接する農場のエリア区画線956を移動させる。これによって、基準農場と基準農場に隣接する農場とを結合する。同様にして、結合された農場を新たに基準農場として、新たな基準農場に隣接する他の農場を順次結合することで、各仮想農場951の配置を順次決定して行く。最終的に各仮想農場951が一つに結合されて、バーチャル管理農地950の農場エリア(仮想的な敷地の領域)が生成される。
各農場を結合する際、農場間の道路5と農場との接続点(後述する図9(a)の点1aA、1bA、1hA、・・・、1hE等)について、結合された農場間の当該接続点同士を連結したときに、その連結線が他の連結線と重なる矛盾を生じた場合は、矛盾が生じないように適宜重なりを調整する。この調整は、入力装置504及び出力装置503を用いて、人手で入出力操作することにより、適宜調整を行えば良い。
また、移動前の農場のエリア区画線が、基準農場のエリア区画線の延長上を超えないように移動させる。具体的には、移動させる隣接農場が、基準農場のエリア区画線の最南端または最西端の線の延長上に到達したところで隣接農場の移動を止めるようにしても良い。
図8、図9(a)の例で述べると、最初に農場Bを基準農場として、農場Aを農場Bの最上端に接する位置まで移動させるとともに、最左端(例えば最西端に相当)の線の延長上に位置するまで移動させ、農場Aを農場Bに結合させる。
同様に、農場A、Bの結合体を基準農場として、農場Cを農場A、Bの結合体の最右端に接する位置まで移動させるとともに、最下端(例えば最南端に相当)の線の延長上に位置するまで移動させ、農場Cを農場A、Bの結合体に結合させる。
続いて、農場A、B、Cの結合体を新たな基準農場として、農場Dを農場A、B、Cの結合体の最右端に接する位置まで移動させるとともに、最下端の線の延長上に位置するまで移動させ、農場Dを農場A、B、Cの結合体に結合させる。
最後に、農場A、B、C、Dの結合体を新たな基準農場として、農場Eを農場A、B、C、Dの結合体の中の農場Dの最上端に接する位置まで移動させるとともに、農場Dの最左端の線の延長上に位置するまで移動させ、農場Dを農場A、B、Cの結合体に結合させる。
なお、農場Eを農場Dよりも先に農場A、B、Cの結合体に結合させても良い。
また、農場の真上から見た航空写真から、各農場のエリア区画線で区画化されたオルソ画像(以下、農場オルソ画像)を生成する。この各区画化された農場オルソ画像を、パズルの如く移動させて繋ぎ合わせる(農場オルソ画像を結合する)ことで、仮想農場951の配置を容易に決めることができるとともに、バーチャル管理農地950の農場エリアを容易に生成することができる。
また、入出力管理部520にCAD(computer aided design)ソフトウェアを実装することで、バーチャル管理農地950をより容易に生成することが可能となる。また、農場オルソ画像を用いて生成されたバーチャル管理農地950は、現実の農場の写真を用いて形成されるので、バーチャル管理農地950をより現実的な農場として表示することが可能となる。
例えば、入力装置504のマウスやポインティングデバイス等を用いて、表示画面内で全農場の航空写真を切り取り、農場オルソ画像の個片を生成する。この個片化された農場オルソ画像は、各仮想農場951の形状データをそのまま反映したもの(2次元ディジタルマップ)となる。次に、各個片化された農場オルソ画像を例えばマウスのクリック操作で掴み、例えばマウスのドラッグ操作で表示画面内の所望の位置に移動させることで、各仮想農場951の位置を決定する。このとき、各仮想農場951が隣接する農場の仮想農場951と結合するように、各仮想農場951位置を順次決定していく。
このように、CADソフトウェアを利用して農場オルソ画像を結合することで、バーチャル管理農地950をより効率的に生成することが可能となる。
また、マウスやポインティングデバイス等は操作位置を正確に計測することができるので、航空写真上の元の農場の位置と、農場オルソ画像を切り出し移動させた後の仮想農場951の位置との間で、移動した位置座標値の差分(移動ベクトル)を正確に計測することができる。このため、バーチャル管理農地950をより精度高く生成することが可能となる。
仮想農地データ管理部920は、各仮想農場951に対応した現実の農地間を接続する道路5の情報を保持するため、各農地と道路5の接続点の情報と、その接続点の接続先の情報を、リンクデータとして保持している。
図9(a)の例では、農場Aに対応した仮想農場1Aは、右回りに、3つの接続点1aA、1hA、1bAを備えている。農場Bに対応した仮想農場1Bは、右回りに、4つの接続点1aB、1bB、1dB、1cBを備えている。農場Cに対応した仮想農場1Cは、右回りに、2つの接続点1dC、1eCを備えている。農場Dに対応した仮想農場1Dは、右回りに、4つの接続点1cD、1eD、1fD、1gDを備えている。農場Eに対応した仮想農場1Eは、右回りに、3つの接続点1fE、1hE、1gEを備えている。
また、図9(b)に示すように、各仮想農場951は、属性データとして農場ノードデータが付与されている。この農場ノードデータは、仮想農地データ管理部920にて保持管理されている。管理センタ7のオペレータは、入力装置504により、農場ノードデータを入力する。バーチャル管理農地950は、区域別にID番号が付与されている。また、各バーチャル管理農地950には、その所有する仮想農場951のID番号(仮想農場ID)が付与されている。仮想農地データ管理部920の農場ノードデータには、各仮想農場951の仮想農場IDに対応して、それぞれ仮想中心位置(X1A,Y1A,Z1A・・・)、中心位置(x1A,y1A,z1A・・・)、サイズ(m1A×n1A)、仮想農場951に対応した現実の農場の外形線を多角形近似した形状データ(polygondata1A・・・)、作付面積(S1A・・・)及び各仮想農場951が接続される道路5の接点データ(1aA,1bA,1hA・・・)、仮想農場951固有の特性を示す付帯情報(V1a・・・)等のデータが格納されている。
図9(b)において、現実の農場の外形線に接するエリア区画線(図8の955、956等)と、仮想農場の形状データの外形線に接するエリア区間線952は同一形状となっており、サイズはこのエリア区画線の縦横寸法を示している。仮想中心位置XYZは、仮想農場の形状データの外形線に接するエリア区間線952の中心位置を示すものであって、現実の農場の外形線に接するエリア区画線(955、956等)の中心位置xyzとの対応関係を取って、座標変換を行うことができる。また、形状データは、各仮想農場951の仮想中心位置XYZを原点とする局所座標系で表現された座標データを含んでおり、仮想位置XYZ及び中心位置xyzの位置座標と、形状データを用いることで、各仮想農場951に対応した現実の農場の外形線の絶対位置を、量子化誤差の範囲内で正確に表現することができる。これによって、バーチャル管理農地950内に圧縮された仮想農場951に対応する、現実の農場の位置や形状を常時再生することができる。作付面積は、概ね形状データの面積に対応するが、仮想農場内で実際に耕作に利用することのできる土地の面積を示すものであっても良い。
例えば、農地の仮想中心位置(X,Y、Z)と、実際の農場のエリア区間線の中心位置(x、y、z)と、形状データにおける多角形の任意の頂点(xp、yp、zp)とすると、実際の農場の形状データ(polygondata)の任意の頂点に対応する絶対位置(xpr、ypr、zpr)は、xpr=xp+x、ypr=yp+y、zpr=zp+zとなる。また、仮想農地内の任意のポイント(xi、yi、zi)の実際の位置(xir、yir、zir)は、xir=xi−X+x、yir=yi−Y+y、zir=zi−Z+zとなる。
図10は、実施の形態1による農場間の移動経路の一例を示す図である。図11は、実施の形態1による農場間リンクデータの一例を示す概念図である。図12は、実施の形態1による農場間の移動経路データの一例を示す概念図である。
図10において、各仮想農場951の接続点の間は、実際の道路5を示すリンクによって接続されている。例えば、仮想農場1Aの接続点1aAは、道路aを示すリンク1aにより仮想農場1Bの接続点1aBに接続されている。仮想農場1Aの接続点1bAは、道路bを示すリンク1bにより仮想農場1Bの接続点1bBに接続されている。仮想農場1Bの接続点1cBは、道路cを示すリンク1cにより、仮想農場1Dの接続点1cDに接続されている。仮想農場1Bの接続点1dBは、道路dを示すリンク1dにより、仮想農場1Cの接続点1dCに接続されている。仮想農場1Cの接続点1eCは、道路eを示すリンク1eにより、仮想農場1Dの接続点1eDに接続されている。仮想農場1Dの接続点1fDは、道路fを示すリンク1fにより、仮想農場1Eの接続点1fEに接続されている。仮想農場1Dの接続点1gDは、道路gを示すリンク1gにより、仮想農場1Eの接続点1gEに接続されている。仮想農場1Eの接続点1hEは、道路hを示すリンク1hにより、仮想農場1Aの接続点1hAに接続されている。
また、図11において、各仮想農場951の接続点間を接続する各リンクの属性データは、農場間リンクデータとして、仮想農地データ管理部920にて保持管理されている。管理センタ7のオペレータは、入力装置504により、農場間リンクデータを入力する。農場間リンクデータは、区域別の管理農地ID毎に、各リンクにリンクIDが付与されている。農場間リンクデータの各リンクは、リンクIDに対応して、それぞれ接続される仮想農場IDを示すリンク先農場ID(1A,1B・・・)、各リンクの長さ(即ち、各道路5の長さ)を示すリンク長(L1a・・・)、各リンクの形状を直線または多角形で表現するリンク形状(polygondata1a・・・)、及び各リンクの両端点に位置する接続点の座標を示すリンク接続点座標(一方の端点の座標(x1aA, y1aA, z1aA)、他方の端点の座標(x1aB, y1aB, z1aB)・・・)、リンク固有の特性を示す付帯情報(Wa・・・)等のデータが格納されている。
管理センタ50の農機移動ルート生成部541は、仮想農地データ管理部920から取得した農場間リンクデータに基いて、各仮想農場951の接続点間を接続するリンクを選択することにより、自動農機25が農場間を移動する際の複数の経路の組み合わせを与える、複数の移動経路データを生成する。また、農作業移動ルート生成部551は、仮想農地データ管理部920から取得した農場間リンクデータに基いて、各仮想農場間を接続するリンクを選択することにより、作業者が農機15を操作して農場間を移動する際の複数の経路の組み合わせを与える、複数の移動経路データを生成する。各生成された移動経路データは、仮想農地データ管理部920にて保持管理される。農機移動ルート生成部541及び農作業移動ルート生成部551は、入力装置504からオペレータが手入力した情報、もしくは自動計算によって得られた情報に基づいて、農機端末20及び生産者端末10の移動経路データを生成する。
図12に示すように、農場間の移動経路データは、複数の経路IDによって識別される複数の経路を備えている。経路ID毎に、各仮想農場間を接続するリンクの使用順序及び移動方向を規定した標準的な移動ルートの情報が格納されている。例えば、各経路IDに対応して、それぞれ通過するリンクIDの順序と、リンクIDの移動方向を示す情報が格納されている。例えば、+はリンクの一方の端点から他方の端点に向かう方向を示し、−はリンクの他方の端点から一方の端点に向かう方向を示す。また、経路ID毎に、経路毎の移動時間を示す情報(T1・・・)と、経路毎の特性を示す付帯情報(Q1・・・)が格納されている。
例えば、農機15または自動農機25の移動速度をv(仮に一定とする)とすると、移動時間T1は、T1=(L1h+L1A+L1a+L1B+L1d+L1C+L1e+L1D+L1g)/vにより計算することができる。また、移動時間T2は、T2=(L1f+L1D2+L1c+L1B2+L1b+L1A2+L1a+L1B+L1d+L1C+L1e+L1D+L1g)/v、T3=(L1f+L1D2+L1c+L1B3+L1d+L1C+L1e+L1D3+L1f)/vにより計算することができる。
なお、T1の計算で、L1Aは農場A内で接続点1hAから1aAに移動する際の通過に要する距離、L1Bは農場A内で接続点1aBから1dBに移動する際の通過に要する距離、L1Cは農場A内で接続点1dCから1eCに移動する際の通過に要する距離、L1Dは農場D内で接続点1eDから1gDに移動する際の通過に要する距離、をそれぞれ示す。また、T2の計算で、L1D2は農場D内で接続点1fDから1cDに移動する際の通過に要する距離、L1B2は農場B内で接続点1cBから1bBに移動する際の通過に要する距離、L1A2は農場A内で接続点1bAから1aAに移動する際の通過に要する距離、L1Bは農場B内で接続点1aBから1dBに移動する際の通過に要する距離、L1Cは農場C内で接続点1dCから1eCに移動する際の通過に要する距離、L1Dは農場D内で接続点1eDから1gDに移動する際の通過に要する距離、をそれぞれ示す。この例では明らかにT1<T2となっている。
また、T3の計算で、L1D2は農場A内で接続点1fDから1cDに移動する際の通過に要する距離、L1B3は農場A内で接続点1cBから1dBに移動する際の通過に要する距離、L1Cは農場A内で接続点1dCから1eCに移動する際の通過に要する距離、L1D3は農場D内で接続点1eDから1fDに移動する際の通過に要する距離、をそれぞれ示す。
また、経路ID1、ID2のルートは、農場AからEの全てを通過する。経路ID3のルートは、農場Aを除く全てのルートを通過する。また、経路ID3のルートは、農場Dから農場Bへの移動の際に、農場Cを飛ばして移動する例を示している。
農作業管理部510は、入力装置504からオペレータが手入力した情報、もしくは自動計算によって得られた情報に基づいて、ルート選択指令を生成する。農機遠隔制御部543は、農作業管理部510の生成したルート選択指令に従い、仮想農地データ管理部920に保管された移動経路データの中から、各農機端末20の装着された自動農機25について、実際に移動させる移動経路データを選択する。また、農機遠隔制御部543は、仮想農地データ管理部920に保管されたデータの中から、選択した移動経路データに対応した農場ノードデータ及び農場間リンクデータを抽出し、選択した移動経路データと抽出した農場ノードデータ及び農場間リンクデータを一纏まりにパケット化して、通信装置500に送る。通信装置500は、衛星通信回線104または無線回線102を介して、選択した移動経路データと抽出した農場ノードデータ及び農場間リンクデータを、自動農機25に装着された農機端末20に送り、移動経路データ、農場ノードデータ及び農場間リンクデータを農機端末20毎に設定する。
また、農作業遠隔支援部553は、農作業管理部510の生成したルート選択指令に従い、仮想農地データ管理部920に保管された移動経路データの中から、各生産者端末10の装着された農機15について、農場間の道路5を実際に移動させるための移動経路データを、選択する。また、農作業遠隔支援部553は、仮想農地データ管理部920に保管されたデータの中から、選択した移動経路データに対応した農場ノードデータ及び農場間リンクデータを抽出し、選択した移動経路データと抽出した農場ノードデータ及び農場間リンクデータを一纏まりにパケット化して、通信装置500に送る。通信装置500は、衛星通信回線104または無線回線102を介して、選択した移動経路データと抽出した農場ノードデータ及び農場間リンクデータを、農機15に装着された生産者端末10に送り、移動経路データ、農場ノードデータ及び農場間リンクデータを生産者端末10毎に設定する。
各農機端末20及び各生産者端末10は、衛星通信回線104または無線回線102を介して、管理センタ50の通信装置500との通信により、パケット化された移動経路データ、農場ノードデータ及び農場間リンクデータを取得し、記憶装置203及び記憶装置113にそれぞれ格納する。ここで、この農場ノードデータ及び農場間リンクデータは、記憶装置203の農地形状データ部210及び記憶装置113の農地形状データ部120にそれぞれ格納される。また、この移動経路データは、移動経路データ211及び移動経路データ121として、それぞれ記憶装置203及び記憶装置113に格納される。
各生産者端末10の装着された農機15及び各農機端末20の装着された自動農機25は、移動経路データ211及び移動経路データ121に従い、当該移動経路データ中に指定されたリンクを使って、手動操作または自動操作により農場間を移動し、耕作作業を順に行っていく。例えば、ナビゲーション処理部112及びナビゲーション処理部202が、移動経路データ211及び移動経路データ121に基いて、生産者端末10の表示部117及び農機端末20の表示部217の画面上に、地図と移動ルートを示す線を表示する。この地図と移動ルートの表示に従って、農機15及び自動農機25を手動操作により移動させる、または搬送車(トラック、荷車等)に運搬することにより移動させれば良い。また、移動経路データ211に従って、自動農機25を自律走行させても良く、無線回線102による無線通信を利用して遠隔操作しても良い。
農機15は、移動先の農場で、人手による手動操作によって、各種耕作を行う。また、自動農機25は、移動先の農場で、農機端末20の自律制御によって自動操作され、自動的に各種の耕作を行う。なお、自動農機25はマニュアルモードを備えているので、農機端末20または生産者端末10を用いて人手による手動操作を行っても良い。
ここで、図10を用いて仮想農場間の移動例を説明する。ここでは仮想農場間の移動を説明するが、農場と仮想農場は1対1に対応しているので、現実の農場間の移動も、同様に行われるものとする。耕作時における農場内の移動については後述する。
まず、仮想農場1Eの近辺に位置する倉庫9は農機具が保管されているので、農機端末20の装着された自動農機25及び生産者端末10の装着された農機15は、移動経路データ211または移動経路データ121に従い、倉庫9から出発して各農場に移動する。
このとき、仮想農場1Eと仮想農場1A間を接続する道路を示すリンクはリンク1hの1本しかないので、道路の混雑する時間帯は利用することができない一般道であるとし、リンク1b、1c、1fは一般道から離れた農道であると仮定する。
この混雑状況を示す情報は、図11の農場間リンクデータにおける付帯データに格納されており、例えばリンク1hの付帯データWhには正午から午後17時の間は渋滞により混雑していることを示すデータフラグが格納され、リンク1b、1c、1fの付帯データWb、Wc、Wfには正午から午後17時の間は他のリンクよりも空いていることを示すデータフラグが格納される。また、移動経路データの経路ID1の付帯データQ1には、正午から午後17時の間は使用禁止することを示すデータフラグが格納され、移動経路データの経路ID2の付帯データQ2には、正午から午後17時の間は積極的に利用を推奨することを示すデータフラグが格納される。
このような場合、農作業管理部510は、朝は道路が空いて、経路データにおける付帯データQ1、Q2の何れにも使用禁止の制約がないことから、リンク長の累計値が最も短く、最短距離かつ最短時間T1で移動することのできる経路ID1を、1つ目の経路として選択し、選択した経路ID1の移動経路データを、特定の農機端末20の移動経路データ211または特定の生産者端末10の移動経路データ121に設定する。この特定の農機端末20または特定の生産者端末10は、予め農機遠隔制御部543または農作業遠隔支援部553によって指定される。
この設定された経路1に従い、特定の農機端末20の装着された自動農機25または特定の生産者端末10の装着された農機15は、リンク1hを利用して、仮想農場1Eの対応する農場Eから仮想農場1Aの対応する農場Aに移動し、農場1Aの耕作作業を行う。その後、リンク1aを使って仮想農場1Bの対応する農場Bに移動し、農場Bの耕作作業を行う。以下、リンク1d、1e、1gを順に使用して、仮想農場1C、仮想農場1D、仮想農場1Eの対応する各農場に順に移動し、それぞれの農場で耕作作業を行い、午前中の耕作作業を終える。
また、正午から午後17時の間は交通量が増えてリンク1hが使用不可となり、リンク1hを通る経路ID1の付帯データQ1が使用禁止となっている。同時に、経路ID2の付帯データQ2に推奨フラグが設定されている。このためリンク1hを迂回する別の経路として、農作業管理部510は、予めリンク1f、1c、1bを通過する経路ID2を選択しており、選択した経路ID2の移動経路データを、特定の農機端末20の移動経路データ211または特定の生産者端末10の移動経路データ121に設定する。
特定の農機端末20の装着された自動農機25または特定の生産者端末10の装着された農機15は、この選択した経路ID2に従い、リンク1f、1c、1bを順に移動し、農場1Eの対応する農場Eから、仮想農場1Dの対応する農場D、仮想農場1Bの対応する農場Bを経由して、仮想農場1Aの対応する農場Aに至る。その後、1つ目の経路と同様に、仮想農場1Aから、仮想農場1B、仮想農場1C、仮想農場1D、仮想農場1Eの対応する各農場に順に移動して、午後の耕作作業を終える。
このように、農作業管理部510は、リンクの長さ、道路の混雑状況に応じたリンク固有の特性を示す付帯データと、当該付帯データを基に設定された経路データに従い、移動時間や移動距離が小さくなるような農場間の移動経路を選択する。
なお、農作業管理部510は、上記に示した例以外の他の方法で経路選択を行っても良い。
例えば、各道路5に設置された交通流計測器や車両検出センサを用いて実際の交通量や車両の旅行時間を計測することで、各道路5に対応したリンク毎の移動時間を計測し、農場間の移動に伴い通過する全てのリンクの移動時間を累積して移動する経路毎の移動時間を計算することで、最短時間で移動できる経路を選択するようにしても良い。
また、農作業管理部510は、例えば各仮想農場951の土壌の状態、耕作状況や収穫状況等の農場固有の状況に基いて、農場間の移動経路を選択しても良い。この場合、仮想農地データ管理部920は、農場ノードデータの付帯データとして、予め仮想農場951の土壌の状態、耕作状況や収穫状況を示す耕作状況データを格納しておく。例えば、圃場用センサ管理部513の管理する圃場用センサ30、遠隔センサ管理部516の管理する遠隔センサ40、及び搭載センサ21、搭載センサ11が、それぞれセンシングした土壌の状態、耕作状況や収穫状況に係るデータと、農作業計画生成部512が設定した耕作の農作業計画を基にして、農作業管理部510が自動的に上記各データを分析して付帯データを生成する、または入力装置504からオペレータが手入力することで、付帯データが設定される。
なお、付帯データは、土壌の状態としては水分の状況や土質の状態を示すパラメータ、耕作状況としては時期や時間に応じた耕作の農作業計画の有無や作業量を示すパラメータ、収穫状況としては単位面積当たりの収穫量を示すパラメータ等を用いて、各パラメータを段階的な数値で区域化することで指標化しても良い。
このような例を、図10を使って説明する。仮想農場1Aに対応する農場Aは土壌の改質を行う、或いは植え付け前の苗を生育しているため、農作業計画生成部512が数日または数週間の耕作の休止の計画を設定している。また、仮想農場1Cに対応する農場Cは河川流域の近傍にあり、河川が一定以上増水すると土壌浸水を生じるため、前日が暴風雨であった場合、次の日の午前中は農場C内の水溜りが乾くまでの間、耕作が出来ないと仮定する。或いは、仮想農場1Cに対応する農場Cは土壌品質が悪く、単位面積当たりの収穫量が少なく耕作面積が小さいため、1日に耕作する時間が短くなると仮定する。
このとき、農場ノードデータにおける仮想農場1Aの付帯データは、例えば利用禁止を示すデータフラグが格納される。また、農場ノードデータにおける仮想農場1Aの付帯データは、例えば午前中は利用禁止を示すデータフラグが格納される。
このような場合、農作業管理部510は、仮想農場1Aを通過せず、または午前中は仮想農場1Cを通過しないが、午後は仮想農場1Cを通過することのできる経路ID3を、特定の農機端末20の装着された自動農機25または特定の生産者端末10の装着された農機15に設定する。
この設定された経路1に従い、特定の農機端末20の装着された自動農機25または特定の生産者端末10の装着された農機15は、例えば朝にリンク1fを利用して仮想農場1Eの対応する農場Eから仮想農場1Dの対応する農場Dに移動し、農場Dの耕作作業を行う。その後、リンク1cを使って仮想農場1Bの対応する農場Bに移動し、農場Bの耕作作業を行い、午前中の耕作作業を終える。
また、午後には仮想農場1Cの対応する農場Cが使用可能となるので、リンク1dを使用して農場Cに移動し、リンク1e、1fを使用して仮想農場1D、仮想農場1Eの対応する農場D、Eにそれぞれ移動して、午後の耕作作業を終える。
次に、区域別に群管理されたバーチャル管理農地950の利用について説明する。
図13は、実施の形態1による区域別に群管理された農地の一例を示す図である。図において、バーチャル管理農地950は複数の区域毎にそれぞれの群を構成する。図13の例では、区域A、B、C、D、Eの5つの区域でそれぞれ群管理されたバーチャル管理農地950が設けられている。また、各区域の一群のバーチャル管理農地950は、それぞれ複数の仮想農場951を含んでいる。
各バーチャル管理農地950には、少なくとも1つの倉庫9が設けられている。また、区域A、B、C、D、Eを包含する地域内に、センタ倉庫959が配置される。センタ倉庫959は、各バーチャル管理農地950に配置された個々の倉庫9との間で、農機具、種子、肥料、農作物等の物資の授受や供給を行うための集積倉庫となっている。農作業管理部510は、センタ倉庫959と倉庫9の間の物資の受給を管理する。例えば、物資に非接触ICタグやバーコードを付けて物資の存在位置を計測し、出力装置503の表示画面上に物資の移動状況を表示することで、倉庫に保管される物資の在庫管理、及び物流管理を行うことができる。また、センタ倉庫959は、各バーチャル管理農地950内の各農場で生産された収穫物(生産物)が運び込まれ、運び込まれた収穫物を収納するための収穫物倉庫を兼用する。なお、このセンタ倉庫959に設ける収穫物倉庫は、センタ倉庫959の近辺に別に設けても良いことは言うまでもない。
また、図14は、実施の形態1による衛星システムを用いた農業用管理システムの一例を示す図である。図14では、複数区域のバーチャル管理農地950の中から、特定の区域のバーチャル管理農地950を選択する例を示している。図中、区域Aの上空は快晴であり、区域Bの上空は雲86がかかって雨または雨模様の天気となっている。
図14において、衛星システムは、少なくとも1つの通信衛星1050と、少なくとも1つの通信衛星1050の地上管制局81と、少なくとも1つの観測衛星400と、少なくとも1つの観測衛星400の地上管制局82と、GPS衛星、GLONASS衛星、GALILEO衛星等のGNSS衛星106をなす複数の測位衛星1062と、測位衛星1062の測位を補強する3つ以上の補強用衛星1061と、補強用衛星1061を管制する少なくとも1つの地上管制局80とを備えて構成される。通信衛星1050は、農機端末20及び生産者端末10と地上管制局81の間で衛星通信を行う。地上管制局81は、情報ネットワーク100の有線回線101や無線回線10等を介して管理センタ50に接続されており、管理センタ50との間で情報伝送を行う。地上管制局81及び通信衛星1050は、衛星通信回線104を構成する。地上管制局82は、情報ネットワーク100の有線回線101や無線回線10等を介して管理センタ50に接続されており、管理センタ50との間で情報伝送を行う。また、地上管制局82は、情報ネットワーク100の有線回線101や無線回線10等を介して気象予報局(図示せず)と接続されており、気象予報局との間で気象情報の伝送を行う。管理センタ50は、情報ネットワーク100の有線回線101や無線回線10等を介して気象予報局から気象情報を受信する。
補強用衛星1061は、例えば準天頂衛星(QZS)が用いられる。準天頂衛星はGNSS衛星としても用いられる。地上管制局80は複数の電子基準点85に接続されている。電子基準点85は、国土地理院により全国約千2百ヶ所に設置された測位の固定基準点であり、電子基準点の位置が高精度に得られるとともに、GNSS衛星の測位信号を受信して電子基準点とGNSS衛星との間の擬似距離等の測位情報を取得する。地上管制局80は、数cmから数m程度の測位精度を得るために、電子基準点85の計測した測位情報に基づいて、日本全国の区分けされた地域毎に、電離層遅延量、対流圏遅延量、GNSS衛星の軌道誤差及び時計誤差等の精密な測位補強情報を生成し、測位補強信号として補強用衛星1061に送信する。測位補強信号は、基準点で受信したGNSS信号の誤差情報やGNSS信号の使用可否情報等を含む。
補強用衛星1061は、例えば準天頂衛星である場合、軌道傾斜角約45度、離心率約0.099、軌道長半径約42,000kmの周回軌道(準天頂衛星軌道)により、地球の自転に合わせて1日に1周回する。準天頂衛星は、昇交点赤経において例えば120度間隔で3機もしくはそれ以上配置されて運用され、上下非対称の8の字形軌道で日本上空及びオセアニア地域を含む日本近辺の準天頂衛星軌道を周回し、日本の天頂付近に少なくとも1機の衛星が常に見えるように配置される。準天頂衛星はGPS衛星から送信されるGPS信号とほぼ同一の測位信号を送信する。準天頂衛星は天頂付近にあり、常に60度以上の高い仰角で1機以上の準天頂衛星を見通すことができるので、ビルの谷間や林間等でもその送信信号を地上側で捉えることができるため、常に安定した測位を可能とする。補強用衛星1061は、地上管制局80から測位補強信号を受信し、衛星内のトランスポンダで信号の中継を行って、地上に測位補強信号(L1-SAIF、LEX)を送信する。また、GPS信号と互換の測位補完信号(L1C/A、L2C、L5、L1C)を送信する。補強用衛星1061からの測位補強信号または測位補完信号を、GNSS衛星1062からの測位信号に加えることで、GNSS衛星1062からの測位信号による測位精度を補強し、より高精度な測位を行うことができる。
農機端末20の測位装置22及び生産者端末10の測位装置12は、補強用衛星1061から送信される測位補強信号及び測位補完信号(以下、測位信号)と、概ね4つ以上のGNSS衛星1062からのL1C/A、L2C、L5、L1C等の測位信号を受信する。測位処理部201及び測位処理部111は、受信した測位信号に含まれるC/AコードやPコード等の擬似距離や搬送波位相を用いてRTK(realtime kinematic)測位の演算処理を行う際に、受信した測位補強信号に含まれる電離層遅延量や対流圏遅延量、GNSS衛星の軌道誤差、時計誤差等の補強情報を用いて誤差補正を行い、数cm乃至数10cm級(例えば、2cm乃至50cm)の高精度な測位を行って、農機端末20の位置基準点及び生産者端末10の位置基準点の自己位置を計測する。
ここで、測位処理部201は、GNSS衛星1062からの測位信号に基づく測位演算処理により、測位装置22のアンテナ位相中心位置Iaの自己位置を測位する。このとき、測位処理部201には、測位装置22のアンテナ位相中心位置Iaに対する、農機端末20の外形形状から定まる物理的な中心位置Idの相対位置ベクトルIrが予め設定されており、その相対位置ベクトルIrを用いて測位装置22のアンテナ位相中心位置Iaの並進座標変換やアフィン変換を行い、農機端末20の中心位置Idの自己位置を測位する。また、測位処理部201には、農機端末20を自動農機25に装着する際に、農機端末20の中心位置Idに対する、自動農機25の中心位置Icの相対位置ベクトルItrが予め設定入力されている。測位処理部201は、自動農機25の中心位置Icと農機端末20の中心位置Idの相対位置ベクトルItrを基に並進座標変換やアフィン変換等を行うことで、測位された農機端末20の中心位置Idから、自動農機25の中心位置Icの自己位置を計測する。この自動農機25の中心位置Icを、農機端末20の位置基準点としている。同様に、測位処理部111は、GNSS衛星1062からの測位信号に基づく測位演算処理により、測位装置12のアンテナ位相中心位置Ia2の自己位置を測位する。このとき、測位処理部111には、測位装置12のアンテナ位相中心位置Ia2に対する、生産者端末10の外形形状から定まる物理的な中心位置Id2の相対位置ベクトルIr2が予め設定されており、その相対位置ベクトルIr2を用いて測位装置12のアンテナ位相中心位置Ia2の並進座標変換やアフィン変換等を行い、生産者端末10の中心位置Id2の自己位置を測位する。また、測位処理部111には、生産者端末10を農機15に装着する際に、生産者端末10の中心位置Id2に対する、農機15の中心位置Ic2の相対位置ベクトルItr2が予め設定入力されている。測位処理部111は、農機15の中心位置Ic2と生産者端末10の中心位置Id2の相対位置ベクトルItr2を基に並進座標変換やアフィン変換を行うことで、測位された生産者端末10の中心位置Id2から、農機15の中心位置Ic2の自己位置を計測する。この農機15の中心位置Ic2を、生産者端末10の位置基準点としている。また、農機端末20の測位処理部201及び生産者端末10の測位処理部111は、補強用衛星1061から送信される補強情報の推定誤差の情報やその他の誤差情報等に基づき、測位サンプリング時に推定される測位誤差の大きさを示す誤差量Rgを算出する。
また、観測衛星400は、合成開口レーダ、高解像度光学センサ(可視カメラ、赤外カメラ、ハイパースペクトルカメラ等)、マイクロ波放射計等の搭載センサを搭載している。観測衛星400は、搭載センサにより、各管理農地1上空の衛星軌道上から地上を観測し、観測情報を地上管制局82に送信する。地上管制局82は、観測衛星400から受信した観測情報を管理センタ50に伝送する。なお、観測衛星400は、合成開口レーダ、高解像度光学センサ(可視カメラ、赤外カメラ、ハイパースペクトルカメラ等)、マイクロ波放射計等の搭載センサを個々の観測衛星に搭載して、複数の観測衛星群で地上を観測するようにしても良いことは言うまでもない。
管理センタ50の遠隔センサ管理部516は、観測衛星400の搭載センサが取得した地上の観測情報に基づいて、例えば区域Bの上空に雲86が滞在していること、雨が降っていること、降雨量等の天候情報を検出する。農作業管理部510は、遠隔センサ管理部516によって得られた天候情報を受信し、受信した天候情報に基づいて、農機端末20または生産者端末10に指示情報を送信する。また、遠隔センサ管理部516は、気象庁の作成する気象データと、観測衛星400の観測した各管理農地1上空の局地的な気象データを取得して、管理農地1毎の長期気象予報や短期気象予報等の気象予報情報を生成し、生成した気象予報情報を農地データ管理部910に格納する。農作業計画生成部512は、農地データ管理部910に格納された気象予報情報を、出力装置503を介して管理センタ50のオペレータに支援情報として表示し、オペレータは気象予報情報を用いて、農地データ管理部910からの支援情報の元で農作業計画を立案する。
また、遠隔センサ管理部516は、観測衛星400のマイクロ波放射計による地上の観測情報として得られる、例えばハイパースペクトル画像を用いることで、各管理農地1の窒素濃度、クロロフィル指数、窒素量等の観測値を解析して、土壌成分、水分状況、植生状況、作物のタンパク質の分布状況等のリモートセンシング情報を生成し、生成したリモートセンシング情報を農地データ管理部910に格納する。農作業計画生成部512は、農地データ管理部910に格納されたリモートセンシング情報を、出力装置503を介して管理センタ50のオペレータに支援情報として表示し、オペレータはリモートセンシング情報を用いて、農地データ管理部910からの支援情報の元で農作業計画を立案する。
図15は、実施の形態1によるバーチャル管理農地のモニタ画面の一例を示す図である。図において、所定の数(M<=Nk)の複数区域のバーチャル管理農地950の画像9500が、出力装置503のモニタ画面505に一括で表示されるとともに、各区域上空の雲を示す像860が表示される。画像9500内には、仮想農場951の像9510が表示される。これらの像は、仮想農地データ管理部920に格納された農場ノードデータ、農場間リンクデータの有する各種位置や形状データ等を、データ圧縮することで生成される。
また、モニタ画面505内には、選択指示を行うためのカーソル990が表示される。カーソル990は、入力装置504を構成するマウスやポントデバイス等の可動操作によって移動する。また、入力装置504の押ボタンやキーボードを操作することにより、入力装置504に情報を入力することができる。入力装置504に入力された情報は、入出力管理部520にてコード情報に変換され、変換されたコード情報はシステム管理部501に入力コード情報として入力される。システム管理部501は、予め設定された入力コード情報に応じた動作アルゴリズムに従って、入力コード情報に応じた所定の指令コマンドを、農作業管理部510に送信する。
例えば、図15において、入力装置504を構成するマウスを操作して、区域A内にカーソル990を移動し、マウスの左押ボタンを1度押下して区域Aを選択する。また、入力装置504のキーボードを操作して、数量やコード番号をキー入力する。入出力管理部520は、このボタン選択やキー入力に応じて、区域Aの選択位置(例えば画面内での区域Aの位置座標)と、左押ボタンの押下回数を示す入力コード情報と、数量やコード番号に対応した入力コード情報を取得する。システム管理部501は、当該入力コード情報に従い、耕作地の指示に係る入力コード情報に対応した指令コマンドを、農作業管理部510に送信する。これによって、例えば区域Aを、農機15及び自動農機25を重点的に稼動させて耕作を行う重点耕作対象地とするような動作指令を、農作業管理部510に対して与えることができる。
この場合、農作業管理部510は、例えば農機15及び自動農機25の稼働時間や投入数量を増加するために、区域A内での稼動時間や稼動数を高めるための作業増加指示情報を生成する。この生成された作業増加指示情報は、全てもしくは一部の特定の、農機端末20の農作業管理部205または生産者端末10の農作業管理部115に送信される。なお、一部の特定の農機端末20または生産者端末10を指定する場合は、それぞれのID番号を、例えば入力装置504のキーボード操作によって入力すれば良い。
農機端末20の農作業管理部205は、農作業管理部510から受信した指示情報に基づいて、装着された自動農機25の耕作時間を増加させる。或いは、農作業管理部510が起動のための指示情報を送信し、この出力された指示情報が倉庫9で休止中の自動農機25の農作業管理部205によって受信されることで、自動農機25が自律制御されて倉庫9から区域A内の農場に新規投入されるように動作する。
また、生産者端末10の農作業管理部115は、農作業管理部510から受信した指示情報に基づいて、農機15を操作する生産者に対して、耕作時間を増加させることを教示するための情報を、表示部117に表示する。或いは、指示情報を受信した特定の生産者端末10は、生産者端末10を所持する生産者に対して、休止中の農機15を倉庫9から引き出して、区域A内の農場に新規投入することを教示するための情報を、表示部117に表示する。
また、入力装置504を構成するマウスを操作して、雲を示す像860が重畳表示されている区域B内にカーソル990を移動し、マウスの右押ボタンを、例えば所定時間ts以下の間隔で連続的に2度押下することで、区域Bを選択する。このボタン選択に応じて、入出力管理部520は、区域Bの選択位置(例えば画面内での区域Bの位置座標)と、マウスの右押ボタンの押下回数を示す入力コード情報を所得する。この取得した入力コード情報に従い、システム管理部501は、耕作地の指示に係る入力コード情報に対応した指令コマンドを、農作業管理部510に送信する。これによって、区域Bの耕作を一時停止する耕作停止対象地とすることができる。或いは、農機15及び自動農機25の稼働時間や投入数量を減少させることができる。
この場合、農作業管理部510は、例えば農機15及び自動農機25の稼働時間をゼロにする、または減少させて、現在投入している農機15及び自動農機25の全てまたは一部を引き上げて所定の倉庫9に退避させ、区域B内での耕作を即座に取り止める、または耕作作業量を減らすための作業縮小の指示情報を生成する。この生成された作業縮小の指示情報は、全てもしくは一部の特定の、農機端末20の農作業管理部205または生産者端末10の農作業管理部115に対して送信される。なお、一部の特定の農機端末20または生産者端末10を指定する場合は、それぞれのID番号を、例えば入力装置504のキーボード操作によって入力すれば良い。
農機端末20の農作業管理部205は、農作業管理部510から受信した作業縮小の指示情報に基づいて、耕作時間を減少させる、もしくは自動農機25を倉庫9に戻すように移動させる自律制御を行う。また、生産者端末10の農作業管理部115は、農作業管理部510から受信した作業縮小の指示情報に基づいて、農機15を操作する生産者に対して耕作時間を減らすもしくは耕作を停止することを教示するための情報を、表示部117に表示する。
また、農作業管理部510は、区域Aから区域Eまで順番に農作業を行うように、自動農機25の農機端末20または農機15の作業者端末10に対して、指示情報を送信しても良い。
例えば、入力装置504を用いて、表示装置503の表示画面内の特定のバーチャル管理農地950を、その緯度や天気に応じて順次選択することで、それに応じて農作業管理部510の農機管理部514が、自動農機25を移動させるバーチャル管理農地950を次々と選択し、次々と選択されたバーチャル管理農地950内で自動農機25を移動させるようにしても良い。
また、入力装置504を用いて、表示装置503の表示画面内の特定のバーチャル管理農地950を、その緯度や天気に応じて順次選択することで、それに応じて農作業管理部510の生産者管理部515が、バーチャル管理農地950内で農機15を移動させるための指示情報を、次々と生産者端末10に送信することができる。
例えば天候の変化が予め高い精度で予想できる場合、農機管理部514が、晴れている区域を順番に耕作するように、自動農機25の農機端末20または農機15の作業者端末10に対する指示情報を送信しても良い。また、南から北に向かって順番に春が到来するのに合せて、南の地方に存在する区域から順番に耕作を行うように、自動農機25の農機端末20または農機15の作業者端末10に対する指示情報を送信しても良い。
このようにすることで、数量や稼動時間等のリソースに限りのある農機を、区域別に順番に集中投入することが可能となり、単位期間当たりの農機の稼動率を向上させることができる。
このように実施の形態1の農業用管理システムは、バーチャル管理農地950の区域毎に天候が異なる場合に天候の良い区域を選択する、或いは区域Aが不作であるときに豊作となる別の区域Dを選択する、または緯度に応じて区域を選択することで、選択した区域に生産者または農機等のリソースを集中投入することができるので、天候や作付状況に影響されることなく、何れかのバーチャル管理農地950内の農場から、安定して農作物を収穫することが可能となる。また、限られた農機のリソースを使って、より少ないコストで農作業を行うことが可能となる。
図16は、実施の形態1による実際の農場内での農機の移動ルートの一例を示す図である。移動ルート971は、自動農機25及び農機15を移動させて、農機端末20の位置基準点または生産者端末10の位置基準点を通過させるための所望の経路を示すものである。図16の例では、移動ルート971が、始点972を出発点として、各折り返しポイント974を通過し、終点973に至る経路をなしている。移動ルート971のデータは、農作業計画生成部512によって生成され、予め農作業データ管理部930に格納されている。また、農作業計画生成部512は、移動ルート971とともに、自動農機25及び農機15の立ち入りを制止し、その移動を禁ずる移動禁止領域を設定しておく。例えば仮想農地951に対応した農場の外形線よりも外側の領域が、移動禁止領域として設定される。
入出力管理部520は、移動ルート971を作成するためのCADソフトウェアが実装されている。管理センタ50のオペレータは、入力装置504及び入出力管理部520から、農作業計画生成部512に対して移動ルート971の生成を要求する指令を入力する。農作業計画生成部512は、この入力された指令に従い、移動ルート971の生成を開始し、入出力管理部520を介して出力装置504の表示画面上に、バーチャル管理農地950内の各仮想農地951を表示する。管理センタ50のオペレータは、表示された仮想農地951の中から、入力装置504のマウス及び入出力管理部520を用いて、特定の仮想農地951を選択し、拡大表示する。その後、管理センタ50のオペレータは、入力装置504のマウス及び入出力管理部520を用いて、出力装置504の表示画面内に直線や曲線、選択指定範囲等を描くことで、仮想農地951内に移動ルート971及び移動禁止領域を描画する。描画した移動ルート971及び移動禁止領域の幾何学的形状データは、入出力管理部520から農作業計画生成部512に入力される。農作業計画生成部512は、入力された移動ルート971及び移動禁止領域を農作業データ管理部930に格納する。
なお、これらの描画制御及び入出力制御は、入出力管理部520のCADソフトウェアの実行動作によって処理を行う。また、移動ルート971及び移動禁止領域を描画する際、出力装置504の表示画面内に、農場オルソ画像によって生成された仮想農地951の画像を重畳表示しても良い。これによって、現実の農場内の実情に即して移動ルート971を生成することができる。
管理センタ50の農機移動ルート生成部541及び農作業移動ルート生成部551は、仮想農地951に対応した農地毎に、自動農機25または農機15が移動ルート971に沿って走行するように、所望の移動ルート971から移動指示ルート情報を生成する。移動指示ルート情報は、各仮想農地951に対応した農地の移動ルート971上の離散的な通過点を、2次元座標の点群データで表現したものである。また、移動指示ルート情報には、所望の移動ルート971上で自動農機25または農機15を停止させるポイント及びその停止時間、移動速度等の付帯情報も含まれている。移動指示ルート情報は、入力装置504を介して管理センタ50のオペレータが入力した情報または農作業計画生成部512の生成した農作業計画に従って、所望の移動ルート971を元にして、自動的または人手により生成される。なお、移動禁止領域は、移動指示ルート情報に含めて、移動や立ち入りを禁止する指示領域が設定される。
また、管理センタ50の農機管理部514の農作業工程生成部542及び生産者管理部515の農作業工程生成部552は、それぞれ仮想農地951に対応した農地毎に、自動農機25及び農機15が実行するための農作業の制御シーケンスを生成する。自動農機25、及び農機15を操作する生産者は、移動ルート971に沿って移動しながら、この制御シーケンスに従い、農作業を実行する。
農機作業工程生成部542は、この制御シーケンスを作業指示情報として、通信装置500を介して外部に作業指示情報を送信する。無線装置23は、管理センタ50の通信装置500から送信された、農作業管理部205の作業指示情報を受信する。農作業管理部205は、受信した作業指示情報に従い、上記農作業の制御シーケンスを生成する。例えば、制御シーケンスは自動制御プログラムから構成されており、作業機24を用いて、耕うん、種まき、苗の植付け、刈取、肥料配給等の各種農作業を実行するための実行プログラムが設けられている。
また、農機作業工程生成部552は、上記制御シーケンスを作業指示情報として、通信装置500を介して外部に作業指示情報を送信する。無線装置13は、管理センタ50の通信装置500から送信された、農作業管理部115の作業指示情報を受信する。農作業管理部115は、受信した作業指示情報に従い、上記農作業の制御シーケンスを生成する。例えば、制御シーケンスは作業支援用の表示情報を提供する出力表示制御用のプログラムから構成されている。農作業管理部115は、生産者端末10の表示部117の画面上に、作業機24を用いて耕うん、種まき、苗の植付け、刈取、肥料配給等の各種農作業を実行するための、手順マニュアル、作業上の注意点や作業内容、及び作業例等の作業指示内容を、文字や図柄や写真や動画等で表示することで、農機15の作業者に対して作業内容を教示する。
農機移動ルート生成部541及び農作業移動ルート生成部551の生成した移動指示ルート情報は、通信装置500を介して、生産者端末10の無線装置13及び農機端末20の無線装置23に送信される。無線装置13及び無線装置23の受信した移動指示ルート情報は、それぞれ記憶装置203及び記憶装置113に、移動経路データ212及び移動経路データ122として格納される。
なお、移動指示ルート情報に含まれる、自動農機25及び農機15の移動や立ち入りを禁ずる移動禁止領域についても、同様にして移動経路データ212及び移動経路データ122に格納される。
また、倉庫9には、複数の作業機24、自動農機25、農機15や、種子、肥料、収穫物等の保管部350等が収納されている。仮想農地951に対応した実際の農地には、スプリンクラーや、用水路から水をくみ上げて供給するポンプ等の水供給部351が設けられている。
また、図17は、実施の形態1による仮想農場の移動ルートの一例を示す図であり、(a)は仮想農場の移動ルートを示し、(b)は自己位置とセンシングポイントとの関係を示し、(c)は自己位置とセンシングポイントとの他の関係を示す。
図17において、形状データ952は、仮想農場951に対応した現実の農場の外形線を示している。符号954は、現実の農場内に作付けされた農作物の作付け位置データを示している。記憶装置203及び記憶装置113の農地形状データ210及び120には、形状データ952と、位置データ954が保持される。
図17の符号956は、測位処理部111及び測位処理部201の測位した各位置基準点の自己位置を示している。センシングポイント955は、所定の間隔で離散的に配置される端末センシング情報の取得ポイントを示している。図示の都合上、センシングポイント955のデータ収集間隔が広く記述されているが、実際には、図17(b)に例示するように、所定の絶対位置間隔(例えば10乃至50cm四方の間隔)でセンシングポイント955が設けられる。或いは、図17(c)に例示するように移動ルート971上の所定の移動距離間隔(例えば数10cm間隔)でセンシングポイント955が設けられる。
センシングポイント955では、自動農機25の搭載センサ21及び農機15の搭載センサ11によるデータ収集がなされる。また、符号958は、誤差量Rの大きさを擬似的に表現する誤差円を示している。誤差量Rは、測位処理部111または測位処理部201による測位誤差の誤差量Rgと、自動農機25または農機15の走行位置誤差Rsとを加えた誤差を与える。また、図17(b)及び図17(c)の各点線は、それぞれ農機端末20及び生産者端末10の各位置基準点が実際に通過した移動軌跡957を示している。
図17(b)の例では、自動農機25の走行位置誤差(誤差量Rs)が20cm程度の範囲内に収まり、また農機端末20の測位誤差(誤差量Rg)が10cm程度の範囲内に収まって、安定して自律走行した場合の移動軌跡957を示している。また、図17(c)の例では、農機15に装着された生産者端末10の位置誤差(誤差量R)が50cm程度の範囲内でばらついている場合の移動軌跡957を示している。
管理センタ50の農機管理部514及び生産者管理部515は、予め仮想農地データ管理部920の農場ノードデータの仮想中心位置XYZ、中心位置xyz、及び形状データを参照して、形状データ952を生成する。また、仮想農地データ管理部920には予め農作物の作付け位置データ954が格納されており、農機管理部514及び生産者管理部515は、仮想農地データ管理部920から作付け位置データ954を取り出す。農機管理部514及び生産者管理部515は、生成した形状データ952と取り出した作付け位置データ954に基いて、農機15及び自動農機25の移動指示ルート情報のデータを生成する。このとき、現実の農場に作付けされた農作物が存在する場合、農機15及び自動農機25は作付け位置データ954の直上を走行しないように、移動指示ルート情報のデータを生成する。なお、作付け位置データ954は、端末センシング情報から取得した作物の位置データから生成され、例えば農作物の芽の出た位置、または苗を植えた位置等によって与えられる。
また、現実の農場に作付けされた農作物が存在しない場合は、農機管理部514及び生産者管理部515が、作物の作付け位置上を通過するように、移動指示ルート情報のデータを生成する。生成された移動指示ルート情報のデータと形状データ952及び作付け位置データ954は、通信装置500及び衛星通信回線104または無線回線102を介して、各農機端末20及び生産者端末10に送信される。
農機端末20の無線装置23は移動指示ルート情報のデータ及び形状データ952、作付け位置データ954を受信し、受信した移動指示ルート情報のデータを移動経路データ212として、記憶装置203に記憶するとともに、受信した形状データ952及び作付け位置データ954を記憶装置203に記憶する。
同様に、生産者端末10の無線装置13は移動指示ルート情報のデータ及び形状データ952、作付け位置データ954を受信し、受信した移動指示ルート情報のデータを移動経路データ122として、記憶装置113に記憶するとともに、受信した形状データ952及び作付け位置データ954を記憶装置113に記憶する。
次に、自動農機25及び農機15の移動動作について説明する。
図16において、倉庫9に収容された自動農機25は、装着された農機端末20の農作業管理部205にて予め設定された制御シーケンスに従い、所定の作業機24を選択し、選択した作業機24を自動農機25に装着する。また、農機15は、人手による操作で作業機24を取り付ける。
なお、無線装置23は、管理センタ50の通信装置500を介して作業指示情報を受信し、農作業管理部205はこの受信した作業指示情報に従い、上述した農作業の制御シーケンスを生成する。
倉庫9内は屋根が設置されているので、農機端末20はGNSS衛星からの測位信号を受信することができない。このため、農作業管理部205は、搭載センサ21のカメラ、レーザスキャナ等を用いて、倉庫9内の画像を取得し、取得画像と予め設定された特定物を示す基準パターン画像とを比較することによって、取得画像中の特定物までの距離や方向や位置ずれ等を識別し、予め設定された当該特定物の位置座標や基準線等との比較を行うことで、自己位置の走行位置または自己の走行ラインを特定する。農作業管理部205は、この自己の走行位置または走行ラインの特定結果を用いて、自己の走行位置または走行ラインが所定の軌道に沿うように、ECU26に操作指令を送る自律制御を行い、その操作指令を基にECU26が駆動部27を制御することで、自動農機25が倉庫内を自律走行する。例えば特定物としては、倉庫9内の床面に設けられた白線を用いて、自動農機25が白線上をトレースするように自律走行を行う。
自動農機25は倉庫9から出庫した後、農機端末20の測位装置22が、補強用衛星1061から送信される測位補強信号及び測位信号とGNSS衛星1062からの測位信号を受信する。測位処理部201は、測位装置22の受信した測位補強信号及び測位信号に基づいて測位演算処理を行い、高精度に自己位置956を標定する。
また、記憶装置203の移動経路データ212には、予め離散的に設定された所望の移動ルート971上の通過点の座標が設定されている。ナビゲーション処理部202は、この移動経路データ212の通過点の座標と、測位処理部201の自己位置標定結果とを比較して、所望の移動ルート971からの自己位置956のずれを修正するように、ECU26に操作指令を送る自律制御を行い、その操作指令を基にECU26が駆動部27を制御して、移動ルートに沿って自律走行が行われる。自動農機25は、この自律走行によって農地1内に入り、始点972に移動する。また、移動禁止領域については、自動農機25が当該領域内に移動しまたは立ち入りらないように、自動農機25の自律制御が行われる。
なお、上述した農場間の道路5上を自動農機25が移動する時にも、移動経路データ211に従い、自動農機25が同様にして自律走行を行うことができる。このとき、移動経路データ211に従い、自動農機25が農場から道路に移動する段階で、その道路への移動を禁止していた移動禁止領域が解除されることは、言うまでもない。
自動農機25は、農地1内の所望の移動ルート971に対応する移動経路データ212に従って自律走行し、農地1内を移動する。移動ルート971は、各折り返しポイント974を通過して、始点972から終点973に至るまで移動する経路をなしている。
農作業管理部205は、農作業の制御シーケンスに従い、ECU26が制御指令を駆動部27に出力し駆動制御することで、作業機24を自動操作する。これによって、自動農機25は、農地1内の移動中に、自律制御によって自動的に農作業を行う。例えば、自動農機25が、耕うん用、うね立て用、播種用、移植用、収穫用等の複数の作業機24が装着可能な複合作業機械である場合を想定する。このような場合、予め設定された農作業の制御シーケンスが、図16において、位置K1で畑を耕し、位置K2で種を撒き、位置K3で苗を植えつける指令である場合を例に説明する。
農機端末20の位置基準点が位置K1に到達した時点で、農作業の制御シーケンスに従い、作業機24を位置K1近辺の作業位置N1に存在する土表に移動させ、土を掘り起す作業を行う。次に、農機端末20の位置基準点が位置K2に到達した時点で、農作業の制御シーケンスに従い、位置K2近辺の作業位置N2に存在する土表に向けて作業機24が種を撒く。次に、農機端末20の位置基準点が位置K3に到達した時点で、農作業の制御シーケンスに従い、位置K3近辺の作業位置N3に存在する土表に向けて作業機24が苗を植え付ける。このとき、搭載センサ11、21の慣性センサを用いて自己位置に対する方位方向を計測し、自己位置に対する相対位置を求めて、各作業位置N1、N2、N3を正確に特定する。
また、搭載センサ11、21のレーザスキャナやカメラ(ステレオカメラ)等を用いて、周辺環境の3次元距離方位画像(3次元地物画像)を取得し、3次元距離方位画像(3次元地物画像)から、各作業位置N1、N2、N3を特定するようにしても良い。例えば、早朝に農場スキャン(農場内の地物形状の事前計測走査)用の自動農機25を走行させて農場内の3次元地物画像を取得し、取得した画像に基いてランドマーカ(基準点(GCP;ground control point))を設定する。2回目以降の自動農機25の走行時には、予め設定したランドマーカと、現在走行中に取得された3次元地物画像との相対位置及び相対方向の関係から、各作業位置N1、N2、N3を正確に特定するようにしても良い。
勿論、観測衛星400や無人飛行機等を用いて上空から農場を撮影し、その撮影画像からランドマーカ(基準点(GCP;ground control point))を設定しても良い。また、無人飛行機や飛行船を用いて上空から農場を撮影し、その撮影画像から自動農機25の位置をリアルタイムで把握するようにしても良い。
なお、ここで説明したような複合作業機械は、実際には製造コストが高く付く。このため、耕うん用の作業機24が単体で装着された自動農機25と、うね立て用の作業機24が単体で装着された自動農機25と、播種用の作業機24が単体で装着された自動農機25と、移植用の作業機24が単体で装着された自動農機25と、収穫用の作業機24が単体で装着された自動農機25等とを、それぞれ個別で構成して、個々の自動農機25を複数個組み合わせて配備し、複数の自動農機25の編隊を組むようにしても良い。これにより、作業用途の異なる作業機24をそれぞれ装着した複数台の自動農機25を用いて、編隊を組んで農作業を行うことができる。この場合、耕うん用の作業機24が装着される自動農機25と、うね立て用の作業機24が装着される自動農機25と、播種用の作業機24が装着される自動農機25と、移植用の作業機24が装着される自動農機25と、収穫用の作業機24が装着される自動農機25等を、全て共通の自動農機25で構成しても良い。このように自動農機25のプラットフォームを共通化する(共通プラットフォーム農機を備える)ことで、自動農機25の製品品種が少なくなり、より低価格化を図ることが可能となる。
また、自動農機25の移動に伴い、搭載センサ21は、周囲の画像及び農場の土壌成分、水分、温度、大気成分等の環境状態を計測する。例えば、周囲の画像からは、農作物の生育状況、雑草や害虫の発生状況等を検出する。また、土壌成分としては、窒素の含有量や土中温度等を検出する。また、ハイパースペクトルカメラにより作物のタンパク質の分布状況を検出する。
この搭載センサ21の取得した計測データは、上述したように、測位処理部201の測位データ(測位した位置、測位計算に利用した擬似距離を含むパラメータ、測位誤差等)、及び時間(時刻、日付、年度等)データに対応付けて、端末センシング情報として一時的に記憶装置203に格納されていく。
図17(b)、(c)に示すように、この端末センシング情報は、移動ルート971に沿って、予め設定されたセンシングポイント955の近傍における自己位置計測の誤差円958の円内に到達した時点で、データ収集される。センシングポイント955は、例えば図17(b)では例えば10cm乃至50cm(数10cm)四方の間隔で設定され、図17(c)では移動ルート971に沿って例えば10cm乃至50cm(数10cm)の間隔で設定される。
また、センシングポイント955の誤差円958は、測位サンプリング時の推定誤差の情報に応じて決定される。耕作時の自動農機25の移動速度は毎秒10cm程度であるので、端末センシング情報のサンプリングレートは1Hz以上とするのが良く、測位処理部201のサンプリングレートに合せても良い。このとき、実際の移動軌跡957は、移動ルート971から若干ずれたものとなるが、そのずれ量は誤差円958に対応した測位処理部201の測位誤差及び自動農機25の自律制御に係る位置誤差に依存する。
無線装置23は、記憶装置203に格納された一定時間内の纏まった端末センシング情報をパケット化し、送信情報を生成する。無線装置23は、端末センシング情報を含むパケット化された送信情報を、情報ネットワーク100の無線回線102または衛星通信回線104を介して、管理センタ50の通信装置500に送信する。
なお、自動農機25は、照明29を備えているので、夜間走行時にも、端末センシング情報を取得することができる。特に、照明29に赤外光照明を用いて、搭載センサ21に赤外線カメラを用いることで、夜間走行時の可視照明の光量を少なくした状態であっても、人間の眼で気にならない光量の赤外光により、農作物や土表の撮影画像を取得することが可能となる。
同様にして、農機15に装着された生産者端末10は、生産者端末10の測位装置12が、補強用衛星1061から送信される測位補強信号及び測位信号とGNSS衛星1062からの測位信号を受信する。測位処理部111は、測位装置12の受信した測位補強信号及び測位信号に基づいて測位演算処理を行い、高精度に自己位置956を標定する。
また、記憶装置113の移動経路データ122には、予め離散的に設定された所望の移動ルート971上の通過点の座標が設定されている。ナビゲーション処理部112は、記憶装置113の移動経路データ122を参照して、移動ルート971を表示部117の画面上に表示する。また、生産者端末10は、測位処理部111の測位した自己位置956を表示部117の同一画面上に重ねて表示し、同時に移動ルート971からの自己位置956の位置ずれ量を表示部117に表示する。これによって農機15を操作する生産者は、表示部117の表示に従って自己位置956が移動ルート971に沿って移動するように誘導されるので、生産者端末10の装着された農機15は、予め設定された移動経路データ122に従って、農地内を移動することができる。
また、農機15に移動に伴い、搭載センサ11は、カメラ、レーザスキャナ、ハイパースペクトルカメラ等により、周囲の画像及び農場の環境状態を計測する。この搭載センサ11の取得した計測データは、測位処理部111の測位データに対応付けて、端末センシング情報として一時的に記憶装置113に格納される。
図17(c)に示すように、この端末センシング情報は、移動ルート971に沿って、予め設定されたセンシングポイント955の近傍における自己位置計測の誤差円958の円内に到達した時点で、データ収集される。センシングポイント955は、移動ルート971に沿って例えば50cmの間隔で設定される。また、センシングポイント955の誤差円958は、測位サンプリング時の推定誤差の情報に応じて決定される。耕作時の農機15の移動速度は毎秒10cm程度であるので、端末センシング情報のサンプリングレートは1Hz以上とするのが良く、測位処理部111のサンプリングレートに合せても良い。このとき、実際の移動軌跡957は、生産者の操作状況に応じて移動ルート971からずれたものとなるが、そのずれ量は誤差円958に対応した測位処理部111の測位誤差、及び農機15の操作精度に依存することとなる。
また、農地がぬかるんでいたり、農機の操作が難しく、移動ルート971に沿って正確に位置合わせする操作が難しい場合には、自己位置計測値の積算により自己の移動距離を計測し、当該移動距離が所定の間隔に到達する度に、センシングポイント955を随時設定するようにしても良い。
例えば、図17(c)において、測位処理部111の基準点の移動軌跡957上で、通過点Xi−1から通過点Xiまでの移動距離が所定距離(例えば数10cm)に到達した位置をセンシングポイント955に設定して、当該位置で端末センシング情報を取得するようにしても良い。この場合は、センシングポイント955の絶対位置が農機15の走行の度にずれることとなるが、農場内の例えば10mの間隔で、随時分解能の高い(10cmの相対位置間隔)端末センシング情報を得ることができるので、得られたデータを平滑化することで、例えば土壌分析や、農作物の作付け状況、害虫の発生状況等を観察するための十分な分解能のデータを取得することができる。
なお、農機端末20についても、生産者端末10と同様に、自己位置計測値の積算により自己の移動距離を計測し、当該移動距離が所定の間隔に到達する度に、センシングポイント955を随時設定するようにしても良い。
勿論、農機端末20及び生産者端末10は、所定時間間隔(所定のサンプリングレート)で、端末センシング情報を随時取得するようにしても良いことは言うまでもない。
無線装置13は、記憶装置113に格納された一定時間内の纏まった端末センシング情報をパケット化し、送信情報を生成する。無線装置13は、端末センシング情報を含むパケット化された送信情報を、情報ネットワーク100の無線回線102または衛星通信回線104を介して、管理センタ50の通信装置500に送信する。
また、生産者は、農機15を用いて、農地1内の移動中に人手による操作で作業機24を操作する。このとき、無線装置23は、管理センタ50の通信装置500を介して、作業指示情報を受信し、農作業管理部115はこの受信した作業指示情報に従い、農作業の制御シーケンスを生成する。農作業管理部115は生成した制御シーケンスに従い、表示部117の表示画面上に、作業指示内容を表示する。
農作業管理部510は、通信装置500が無線装置23及び無線装置13から受信した端末センシング情報を、農機管理部514及び生産者管理部515に送るとともに、データ管理部502の農作業データ管理部930に格納する。すなわち、農機15または自動農機25の移動に伴い、生産者端末10または農機端末20から送信された端末センシング情報が、農作業データ管理部930にて、逐次データ収集されることとなる。
また、農作業管理部510は、端末センシング情報中の、日付、時間、位置、方位、高度、水分、雰囲気温度、地面温度、土壌スペクトル、レーザ距離画像、可視画像、赤外画像等の各種データについて、データ解析ソフトウェアの利用または人手により、データ分析を行う。このデータ分析により、単位面積当たりの害虫発生数、肥料の供給量、農作物の収穫量等の分析情報を得ることができる。農作業計画生成部512は、農作業データ管理部930にて収集された端末センシング情報と、当該端末センシング情報から得られた分析情報に基づいて、人手または何らかの自動プログラムにより、農作業計画を適宜更新する。
また、農作業管理部510は、端末センシング情報中のカメラによる農作物の撮影画像を、管理センタ50の出力装置503上で画面表示する。管理センタ50のオペレータは、出力装置503の表示画面をモニタすることで、農場を常時監視することができる。
また、農作業管理部510は、端末センシング情報中のカメラによる画像データについて、画像解析を行い、自動的に画像目標検出処理を行うことによって、画像中の移動物体や、画像中の像の変化を検出する。これによって、害鳥、害獣、不審者等や、農作物が風雨で倒れた状況等の何らかの異常事象を、異常事象を発生した位置情報と対応付けて検出することができる。
また、農作業管理部510は、上記画像中の異常事象の検出に応じて、警報信号を発生する。農作業管理部510は、警報信号の発生に応じて、出力装置503から警告音を発生する、或いは出力装置503の画面中に警報表示と異常事象の発生位置の表示を行う。これによって、管理センタ50のオペレータに警報を促すとともに、異常事象の発生位置を通報することができる。
また、農作業管理部510は、異常事象の発生時に、消費者管理部518に対して警報信号と異常事象の発生位置の情報を送る。消費者管理部518は、消費者データ管理部905に格納される、支援会員の居住地及び連絡先を含む属性情報を参照して、異常事象の発生位置に近くに居住するバーチャル管理農地950の支援会員を割り出し、支援会員の連絡先の情報を農作業管理部510に送る。農作業管理部510は、受信した支援会員の連絡先の情報を用いて、支援会員に対して警報信号の発生に伴う警報を通報することで、当該支援会員に対して見回りを行うように促すことができる。
また、農作業計画生成部512により立案した農作業計画に従い、農作物の刈り取り作業を行っている場合には、農作業管理部510は、農作業データ管理部930の端末センシング情報において取得された農作物の画像情報と当該画像情報の得られた農作物の位置情報(以下、収穫位置)を、出力装置503に画面表示して、管理センタ50のオペレータに画像情報を提供する。
オペレータは、画像情報に基づいて、農場内の個々の農作物について、農作物の刈り取り作業が完了したことを確認する。また、管理センタ50のオペレータは、この確認に応じて、入力装置504を通じて予め設定された収穫量の基準定義に基いて農作物の収穫量を計算し、計算により求めた収穫量と収穫位置を対応付けて、農作業管理部510に入力する。農作業管理部510は、入力された収穫量のデータと収穫位置のデータを対応付けて、収穫データ管理部940に格納する。
自動農機25または生産者は、収穫量の計算された種別毎の各収穫物(農作物)を、所定の基準収穫単位毎に纏め、基準収穫単位毎に仕分する。自動農機25または生産者は、仕分した基準収穫単位毎の収穫物に対して、非接触ICタグやバーコードシール等の識別タグを付ける。なお、例えば大根や人参やキャベツであれば、大根1本または人参1本またはキャベツ1個を基準収穫単位とし、個々の大根、人参、キャベツの種別毎に、それぞれ識別タグを付ける。また、所定の枡で計量した複数の豆または複数の小麦であれば、1枡で計量した単位毎に基準収穫単位を設けて、1枡毎に袋詰めし、詰めた袋毎に識別タグを付ける。これらの識別タグの付けられた収穫物は、自動農機25または生産者により、生産物として、収穫物倉庫に運ばれる。収穫物倉庫に運ばれる段階で、自動農機25または生産者は、農機端末20または生産者端末10により、識別タグを付けたどの種別の生産物が、どこの収穫物倉庫にどれだけの数だけ収納されているのかを数え、農作業管理部510に対して、収穫位置、収穫物倉庫の位置及び生産物の収穫量の数量データを送信する。農作業管理部510は、送信を受けた収穫物倉庫の位置、及び生産物の種別、収穫位置、収穫量の数量等のデータを、収穫データ管理部910に格納するとともに販売者管理部517にも送信する。なお、収穫物倉庫は、バーチャル管理農地950内の各農場に1つ設けられるのが良いが、バーチャル管理農地950の1つの倉庫9を収穫物倉庫として利用しても良い。
また、農作業管理部510は、センタ倉庫959と倉庫9の間の物資の受給を管理する。例えば、物流管理者が、物資に非接触ICタグやバーコードを付けて物資の存在位置を計測し、出力装置503の表示画面上に物資の移動状況を表示することで、倉庫に保管される物資の在庫管理、及び物流管理を行うことができる。また、センタ倉庫959は、各バーチャル管理農地950内の各農場で生産された生産物の一部または全てが運び込まれ、運び込まれた生産物を収納するための収穫物倉庫を兼用する。収穫物倉庫は、センタ倉庫959の近辺に別に設けても良いことは言うまでもない。センタ倉庫959と倉庫9の間の生産物の移動は、識別タグを用いて在庫管理が行われる
販売者管理部517は、収穫データ管理部940に入力された生産物の種別、数量、及びその生産物の収納されている収穫物倉庫の位置等のデータ基いて、どの収穫物が、どこで収穫され、どこの収穫物倉庫に、どれだけの数量存在しているのかを示す、在庫管理を行う。
また、入出力管理部520は、拡張現実を利用して出力装置503の画像表示を行っても良い。例えば、入出力管理部520は、出力装置503の表示画面に、仮想農地950の形状を画面表示する。農作業データ管理部930の端末センシング情報から、実際の農地の画像とその画像の位置情報を取得する。この位置情報に基づいて、実際の農地の画像を、仮想農地950の2次元形状を示す画像上で、当該画像の位置情報に対応する仮想農地950内の位置上に、重ねて表示する。
これによって、管理センタ50のオペレータは、どこの位置でどのような状況が発生しているのかを、出力装置503に表示される実際の農地の画像を用いて、判断することが可能となる。
また、自動農機25をマニュアルモードの遠隔操作モードで使用する場合、この拡張現実を利用して画像表示することで、管理センタ50のオペレータは、無線回線102または衛星通信回線104を介して自動農機25の搭載センサ21の取得した現実の農地の画像を見ながら、より容易に自動農機25を遠隔操作することが可能となる。
同様に、農機端末20及び生産者端末10についても、表示部217及び表示部117において、拡張現実を利用して画像表示しても良い。生産者端末10は、農作業管理部115の生成した制御シーケンスに従い、表示部117の表示画面上で作業指示内容を表示する際に、拡張現実を利用した表示を行う。例えば、搭載センサ11により、目前の農地の画像を撮影し、撮影した農地の画像を表示画面上に表示する。この農地の画像に、当該画像を撮影した位置に植え付ける農作物の過去の生育写真を、重ねて表示する。これによって、農作物の植え付け前の段階で、農作物を植え付けた後の予想育成状態を、より現実的に想像することができるようになるので、農作物の植え付位置を配慮した農作業を行うことができる。
次に、実施の形態1による農業用管理システムを用いた農作業の動作フローを説明する。実施の形態1による農業用管理システムは、次のステップS1〜S8で農作業を行う。
ステップS1;各農場の位置及び形状データ、接続される道路、各農場に植付ける種、複数の農機具、複数の水供給部、複数の倉庫、収穫物倉庫等の農地内及び農地周辺の各農場の属性情報を取得し、取得した各農場の属性情報をデータベース化する。農場は小規模農地を含んでいても良い。
ステップS2;複数の農場を仮想的に結合して、大規模なバーチャル管理農地950を生成し、現実の農場のデータと対応付けてデータベース化する。バーチャル管理農地950は複数区域に設定する。また、一箇所の管理センタ50のデータ管理部502で、複数区域の各バーチャル管理農地950に対応したデータベースを管理する。
ステップS3;農作業計画生成部512にて、長期気象予報に対応した、バーチャル管理農地の長期生産計画を提供する農作業計画を生成する。
ステップS4;農作業計画生成部512にて、実際の農場での実作業時の天気及び短期天気予報に基づいて、短期生産計画を提供する農作業計画を生成する。
ステップS5;農機(自動農機25、農機15)の作業状況や、遠隔センサ40や農機端末20または生産者端末10から取得されるデータに基いて、位置及び時間情報と対応付けてデータ管理部502のデータベースを逐次更新する。また、データ管理部502のデータベースには、過去のデータを保存した状態で、当該年の新たなデータを蓄積していく。
ステップS6;農作業は、農地耕し→種まき→水供給→草取→害虫監視→収穫→収穫後作業等の各作業を順次実施するために、ステップS3、S4の農作業計画を元にして、ステップS1、S2、S5による農機(自動農機25、農機15)及び農場のリソース状況に基いて、作業する農場、作業する農機や作業内容を決定し、実農作業を行う。
ステップS7;各区域の各バーチャル管理農地950で利用される農機端末20または生産者端末10と、管理センタ50との間は、衛星通信回線104または無線回線102を利用して、情報を送受信する。
ステップS8;基本作業単位としては、各バーチャル管理農地950の農場間で一連の作業を一括して管理するが、農場や区域の天候、緯度及び農作物の状況に応じて、各区域間の農機具(自動農機25、農機15、作業機24やその他の農機具)及び倉庫を融通し合い、最適化して利用を図る。
次に、実施の形態1による農業用管理システムを用いた農作物の販売方法について説明する。図18は、販売者管理部517と消費者管理部518の構成を示す図であり、(a)は販売者管理部517の構成を示し、(b)は消費者管理部518の構成を示す。
販売者管理部517は、販売計画生成部871と、商品流通管理部872と、商品販売管理部873を備えている。消費者管理部518は、予約購入者管理部881と、一時購入者管理部882と、バーチャル生産加入者管理部883を備えている。
販売計画生成部871は、消費者端末60を通じて、消費者の居住する場所、要求する農作物の品目、農作物の購入希望時期(或いは後述の購入予約情報)等の消費者購買データを計画的に把握し、把握した消費者購買データを消費者データ管理部905にて保持管理する。販売計画生成部871は、消費者データ管理部905で管理される消費者購買データに基いて、最適な販売計画を生成する。例えば、バーチャル管理農地950の仮想農地1に対応した農場Aの周辺に居住する消費者Wの有無を検索し、当該消費者Wの予約購入の状況(後述の購入予約情報)から、その消費者Wが農場Aで収穫された農作物の購入を希望しているか否か、及びその購入希望時期を確認する。農場Aで収穫された農作物の購入を希望している場合は、消費者Wの購入希望時期に、農場Aの生産物を販売する計画を立てる。
また、商品流通管理部872は、販売者の操作により、バーチャル管理農地950で収穫された農作物の生産物について、収穫データ管理部940に格納された、その生産物の種別、数量及び収穫位置、収穫物倉庫の位置等のデータに基き、個々の農場で生産された個々の生産物について、その在庫の有無、在庫数、その在庫を保管している収穫物倉庫の位置等の流通状況を管理する。また、商品流通管理部872は、各生産物の販売のために払い出した払い出し先を管理する。これらの管理データは、収穫データ管理部940にて保持管理される。例えば、バーチャル管理農地950の仮想農地1に対応した農場Aで生産された生産物について、農場Aで生産された大根の在庫数、在庫の存在する収穫物倉庫、及び払い出し先を把握する。
また、商品販売管理部873は、販売計画生成部871の生成した販売計画に従い、商品流通管理部872を通じて在庫の確認を行い、在庫の在る生産物の払い出しを行い、所定の販売ルートを通じた消費者への販売にかかわる処理を行う。この払い出したデータは、商品流通管理部872に対して販売ルートにおける払い出し先の情報を入力する。
バーチャル管理農地950に対応した農場での農作物の生産物を購入する消費者は、消費者管理部518により、その生産物の購入管理がなされる。予約購入者管理部881は、その生産物を予約購入する予約購入利用者会員である消費者について、販売計画生成部871及び商品販売管理部873とデータの授受を行いながら、予約購入の管理を行う。消費者は、消費者端末60を用いて、その生産物の購入を希望する日時と、購入希望数量と、生産物の購入指定を行う農場に対応する仮想農地1とを、購入予約情報として入力する。入力された購入予約情報は、消費者端末60から予約購入者管理部881に送信される。予約購入者管理部881は、この購入予約情報を消費者データ管理部905に保管するとともに、販売計画生成部871に送信する。
なお、予約購入利用者会員が生産物の購入を予定する日時は、年間を通して設定しても良く、月別に設定しても良い。また、予約購入者管理部881は、購入予約情報に基づいて、所定の購入予約日になると、予約した生産物を、予約購入した消費者に販売するための処理を行う。この販売に関る処理は、例えば予約購入した消費者の居住地の周辺のコンビニエンスストアや店舗等の販売店に卸すための手配伝票を自動的に発行してもいいし、バーチャル管理農地950に対応した農場の周辺に直売所、巡回販売店を設けて、直売所や巡回販売店に卸すための手配伝票を自動的に発行してもいい。予約購入した消費者は、販売店や直売所や巡回販売店等から、予約購入した生産物を受け取る。なお、この予約購入の販売に伴う金銭(マネー)授受のデータは、出資者管理部519にて管理されるので、商品販売管理部873は出資者管理部519との間で、この購入情報の授受を行う。
また、一時購入者管理部882は、生産物を一時的に購入する一時購入利用者会員である消費者について、商品販売管理部873とデータの授受を行いながら、購入管理を行う。一時購入者管理部882は、消費者端末60を介したネット販売で、もしくは販売店で、消費者がバーチャル管理農地950で収穫された生産物の種別を指定し、指定した生産物を購入して、現金や電子マネー、クレジットカード等で代金の支払いを行うと、その購入数量や購入した生産物の購入データが商品販売管理部873に送信される。商品販売管理部873は、その消費者の居住する近辺の販売店の中で、消費者が購入した指定した生産物の在庫を保有している最も近くの販売店を、払い出し先として一時購入者管理部882に入力する。消費者は、消費者端末60を介して、一時購入者管理部882から、近辺の販売店の中で自分が購入した生産物の在庫を保有している最も近くの販売店の情報を受信し、その販売店に出向いて、購入した生産物を購入する。なお、この販売に伴う金銭(マネー)や代金授受に関る購入情報のデータは、資者管理部519にて管理されるので、商品販売管理部873は資者管理部519との間で、購入情報の授受が行われる。
例えば、バーチャル管理農地950の仮想農地1に対応した農場Aの周辺に居住する消費者Wは、消費者端末60を用いて、予約購入者管理部881に対し、農場Aから直接大根を購入する予約購入を設定する。予約購入者管理部881は、生産者の収穫した農作物について、その農場Aの生産物の購入を予約した消費者とその購入予約日を確認し、消費者データ管理部905の格納データに基いて、その予約購入した消費者の近辺の販売店や直売所を確認し、その購入予約した消費者及び販売品の情報、及び販売店や直売所の情報を商品販売管理部873に伝送する。商品販売管理部873は、その購入予約した消費者及び販売品の情報、及び販売店や直売所の情報を受けると、農場Aの周辺の収穫物倉庫から、その予約購入した消費者の購入予約日前に、その販売店や直売所に農作物を直送するとともに、購入予約した消費者及び販売品の情報を伝える。販売店や直売所は、送られた農作物を、購入を予約した消費者に対して、店頭販売もしくは自動販売機による販売を行う。勿論、各農場から、購入予約した消費者の自宅に、その農場の生産物を直送する販売処理を行っても良い。
なお、自動販売機による販売の場合は、販売相手に予約購入者番号の入力を促し、販売相手の入力した予約購入者番号を予約購入者管理部881に照会し、購入予約した消費者の予約購入者番号と一致した場合に、その販売品を販売する処理を行うようにすると良い。
また、バーチャル生産加入者管理部883は、農作業計画生成部512に対し、バーチャル管理農地950の仮想農場1に対応した個別委託生産の農作業計画を入力する。農作業計画生成部512は、この入力された個別委託生産の農作業計画に基いて、仮想農場1の仮想的な農作業計画を立案する。この立案した仮想的な農作業計画が、バーチャル管理農地950内の現実の農場の農作業計画に整合し、かつ現実の農場の農作業計画に組み込んでも、その農作業や生産性に悪影響を及ぼさないと判断される場合に、仮想的な農作業計画を現実の農場の農作業計画の一部に組み込む処理を行う。これによって、バーチャル生産加入者管理部883は、農作業計画の段階から、消費者が購入を希望する所望の農作物を、生産者に個別に委託して生産することができる。かくして、バーチャル管理農地950を利用する消費者は、バーチャル管理農地950を用いて、所望の農作物を自己のために生産し、消費者管理部518を通じて、収穫した生産物を購入することが可能となる。
なお、現実の農場の農作業計画に組み込んでも、その農作業や生産性に悪影響を及ぼさないか否かの判断は、管理センタ50のオペレータが人手で判断されるが、何らかの判断基準に基いて自動的に判断されるようにしても良い。
次に、実施の形態1による農業用管理システムを用いた出資方法について説明する。図19は、実施の形態1による出資者管理部519の構成を示す図である。出資者管理部519は、資金管理部5191と、保険管理部5192を備えている。資金管理部5191、及び保険管理部5192は、出資者データ管理部960を用いて、データの記録、再生、及び書き換えの管理を行う。
資金管理部5191は、バーチャル管理農地950を運営もしくは経営する法人、及びバーチャル管理農地950内の各仮想農地951に対応した農場の経営者に対して、投資や融資、資金提供等の出資を行う出資者のデータと、その出資者の出資金のデータを管理する。例えば、各出資者は出資者会員となっているので、その会員名簿や、各会員の属性を管理する。各出資者は、何れも出資者端末80を所持している。資金管理部5191は、情報ネットワーク100を介して、出資者端末80との間でデータを授受することで、出資者の出資金のデータや、銀行を介したマネーの出入りを管理するようになされている。出資者は、バーチャル管理農地950を運営もしくは経営する法人であっても良いし、生産者、販売者、もしくは消費者であっても良い。
また、資金管理部5191は、情報ネットワーク100を介して、生産者端末10との間でデータを授受することで、生産者やバーチャル管理農地950を運営する運営法人または経営法人に対する融資金額のデータや、銀行を介したマネーの出入りを管理するようになされている。ここでは、バーチャル管理農地950を運営する運営法人または経営法人が、生産者端末10を持っている例についても説明する。このような運営法人または経営法人は、図3で説明した農場で作業を行う作業者用の生産者端末10とは機能の異なる(例えば機能の簡略化された)、別仕様の端末を所持していても良い。
また、資金管理部5191は、情報ネットワーク100を介して、消費者端末60との間でデータを授受することで、消費者の購入金額のデータや、銀行を介したマネーの出入りを管理するようになされている。
以下では、資金管理部5191と、出資者端末80、生産者端末10、消費者端末60との間のデータ処理について、処理の詳細を省いて簡略的に説明する。なお、資金管理部5191は、上述の通り出資者データ管理部960を用いてデータ管理が行われる。
資金管理部5191は、バーチャル管理農地950及び各仮想農地951に対応した農場で出入する資金の財務管理を行う。例えば、バーチャル管理農地950を運営する運営法人または経営法人に対して、運営資金を融資する、もしくは投資を行う等の出資を行う各出資者について、出資した金額と、その出資した金額に応じた報酬や配当等の対価のデータと、マネーの出入り等を一括して管理する。
また、資金管理部5191は、バーチャル管理農地950内の各仮想農地951に対応する農場で、生産活動を営む個々の生産者に対して、肥料の購入費用や、種の購入費用、収穫物の梱包材の購入費用や、農機の燃料代金、農機のメンテナンス費用等について、その融資する資金のデータを一括して管理する。
また、資金管理部5191は、バーチャル管理農地950内の農場で生産される生産物が売却された場合に、当該売却された生産物を生産した生産者の個々に対して、月別の販売金額の累計から所定利率の手数料を差し引き、その差し引いた金額から、月別の融資の返済金額を更に差し引いた金額を、当該生産者に対する生産対価として支払うための、支払い金額を算定し、算定に係る全てのデータを管理する。資金管理部5191は、この生産者毎に融資する資金と、生産者毎に算定した支払い金額のマネーの出入りを、一括して管理する。また、バーチャル管理農地950の運営を支援する支援会員に対して、その支援に応じた謝礼金やポイントサービス等の支払い費用のデータと、マネーの出入りを一括して管理する。
また、資金管理部5191は、一時購入利用者会員が、消費者端末60を通じたネットワーク売買を通じて、もしくはバーチャル管理農地950内の生産物を販売する販売店から、バーチャル管理農地950内の農場で生産された生産物を購入した場合に、その購入した金額の累計データと、そのマネーの出入りを一括して管理する。また、資金管理部5191は、消費者端末60を介して、予約購入利用者会員及び一時購入利用者会員が年間で支払う会費について、一括して管理する。
また、資金管理部5191は、消費者端末60を介して、個々の予約購入利用者会員が、バーチャル管理農地950内の農場で生産される生産物の購入のために購入予約を行っている場合、その購入予約のために個々に前払いする金額と、実際に購入した個々の金額と、予約購入及び購入数量による個々の割引金額について、一括してデータ管理する。例えば、予約購入利用者会員は、消費者端末60を通じて、バーチャル管理農地950で生産される生産物について、年間の購入日時と、購入数量と、特に購入を指定する農場に対応した仮想農地1を指定した場合、指定した情報に基いて年間の予約購入金額を月別に算定し、算定した予約購入金額のデータと、予約キャンセルせずに実際に購入した生産物におけるバーチャル管理農地950での販売価格の実績金額とを、月別でデータ管理する。資金管理部5191は、各月別の予約購入金額と、実績金額との差分を算定し、その差分が正の場合は一定利率の手数料(例えば差分額の30%)を引いた上で、予約購入による固定割引金額及び購入数量に応じた割引金額を加算し、消費者端末60に対応付けて、予約購入利用者会員の銀行口座にキャッシュバックする清算処理を行う。また、資金管理部5191は、消費者端末60に対応付けて、各月別の予約購入金額と、実績金額との差分を算定し、その差分が負の場合は、その差分金額から、予約購入による固定割引金額及び購入数量に応じた割引金額を減算し、減算後の金額を予約購入利用者会員の銀行口座から引き落としする清算処理を行う。この清算処理は、月別に限ることはなく、半期に分割または年間で一括して処理しても良い。
次に、保険管理部5192について説明する。図20は、実施の形態1の保険管理部5192による、損害保険の仕組みを説明するための図である。実施の形態1の農業用管理システムは、バーチャル管理農地950内の各仮想農地951に対応した農場の生産活動を一括して管理するため、天候や災害等による損害リスクを最小限に抑える必要がある。このため、保険管理部5192を設けて損害保険金の運用を管理している。各バーチャル管理農地950の所有責任者(例えば農場経営者、農場の共同運営者や農場の地主等)は、この損害保険に保険加入者として加入する。保険加入者は、保険管理部5192にて損害保険加入者IDが割り振られ、加入条件が管理される。複数の保険加入者の中の一部の者に損害が発生した時に、他の保険加入者は損害保険金を代理支払いする。保険管理部5192は、出資者データ管理部960を用いてデータ管理を行う。
例えば、複数の保険加入者の中の特定の保険加入者の生産物が、天候や災害、害虫の異常発生等によって損害を受ける、または生産量が不調となる、または生産品質が著しく悪くなり、市場価格が一定額以上低下するような被害が発生した場合、特定の保険加入者に多額の損害金額(被害額)が発生する。図20は、この保険加入者(2001)が損害を被った一部の被害額Aが、複数の他の保険加入者(2002)から、代理で支払われる様子を示している。また、通常時は損害が発生しないので、一定期間(例えば1年間)損害が発生しない場合は、損害の発生しなかった特定の保険加入者(2001)は、所定の保険金額を、年間一括払いもしくは毎月の分割払いで、他の保険加入者(2002)に支払う(逆に、他の保険加入者(2002)はこの所定の保険金額を特定の保険加入者(2001)から貰う)。即ち、他の保険加入者は保険加入者にもなり、保険加入者は他の保険加入者にもなって、保険加入者は相互に保険金を融通し合うこととなる。
図20において、a、b、c、d、e、fは、被害(被害額A)が発生した場合に、保険加入者(2002)が支払う損害支払い金額を示している。また、a2、b2、c2、d2、e2、f2は、被害(被害額A)が発生した場合に、保険加入者(2002)が支払う保険支払い金額を示している。また、Ma、Mb、Mc、Md、Me、Mf、・・・、Mzは、説明の都合上、保険加入者(2001)以外の他の保険加入者(2002)または保険加入希望者を識別するための符号として記述し、Mnは保険加入者(2001)としても記述している。保険加入者(2001)及び保険加入者(2002)は、何れも出資者端末80を所持しており、出資者端末80は保険管理部5192との間で、情報ネットワーク100を介して、データの授受が行われる。
図20において、保険管理部5192は、各バーチャル管理農地950の生産において、次のステップS101からステップS103に従い、保険金管理の処理を行う。
ステップS101;まず、保険管理部5192は、出資者端末80を介し、区域Aから区域Z(Zは5以上の正の整数)にある全てのバーチャル管理農地950における各バーチャル管理農地950の所有責任者に対して、出資者端末80を介し、バーチャル管理農地950内の農場に被害が発生した場合の被害額Uを予め予想するように促し、予想に基き被害時に受領する被害額A(被害額Uの全部もしくは一部)を、受領額として提示させるように促す。この被害額Aを提示したバーチャル管理農地950の所有責任者を、保険加入者(2001)とすると、保険加入者(2001)が提示した被害額Aは、出資者端末80を通じて保険管理部5192に入力されて、データ管理がなされる。なお、保険加入者(2001)はZ人であるとする。
ステップS102;次に、保険管理部5192は、各保険加入者(2001)についてそれぞれの損害発生時に、それぞれの被害額Aの負担金を支払うことを約定する保険加入者(2002)となる保険加入希望者、を応募する。この応募は、年に一回または数回、決まった時期に行い、Z人全ての保険加入者(2001)に対して応募をかける。なお、この保険加入希望者は、保険加入が決定した段階で、後の保険加入者2002となる。
このとき保険管理部5192は、出資者端末80を介し、被害額Aを提示したバーチャル管理農地以外のバーチャル管理農地の保険加入希望者(後の保険加入者2002に相当)に対して、保険加入者(2001)に被害が発生した場合の被害額Aに対する支払い可能額Bを提示するように促す。
ここでは、被害額Aの提示に対して、応募してきたバーチャル管理農地以外のバーチャル管理農地の保険加入希望者が、仮にN人(<Z人)であったとする。同時に、保険管理部5192は、出資者端末80を介し、このN人の保険加入希望者(後の保険加入者2002に相当)に対して、保険加入者(2001)に被害がなかったときに保険加入者(2001)から貰う金額Cを、保険管理部5192に対して提示するように促す。保険加入希望者(後の保険加入者2002に相当)は、出資者端末80を介して、支払い可能額B及び貰う金額Cを入力し、保険管理部5192は入力されたデータを、出資者データ管理部960にて保持管理する。
例えば図20では、保険加入(希望)者Maの支払い可能額Bはaであり、貰う金額Cはa2となっている。同様に、保険加入(希望)者Mbの支払い可能額Bはb、貰う金額Cはb2、保険加入(希望)者Mcの支払い可能額Bはc、貰う金額Cはc2、保険加入(希望)者Mdの支払い可能額Bはd、貰う金額Cはd2、保険加入(希望)者Meの支払い可能額Bはe、貰う金額Cはe2、保険加入(希望)者Mfの支払い可能額Bはf、貰う金額Cはf2となっている。支払い可能額B、及び貰う金額Cは、保険加入希望者(後の保険加入者2002に相当)によって異なる。
続いて、保険管理部5192は、出資者データ管理部960の管理データを用いて、N人分の保険加入(希望)者について、貰う金額Cの小さい順に並べ替えを行う。例えば、a2、b2、c2、d2、e2、f2・・・の順に、貰う金額Cが小さいと仮定する。
ステップS103;続いて、保険管理部5192は、貰う金額Cの小さい順に、支払い可能額B(a、b、c、d、e、f)を加算して、その和である支払い可能額合計Σを計算する。
例えば、支払い可能額合計Σは次のように計算される。
Σ=a+b+c+d+e+f+・・・
この際、保険管理部5192は、支払い可能額合計Σが被害額A以上となるまで、N人分の各保険加入(希望)者の支払い可能額Bを、順次加算して行く。
保険管理部5192は、支払い可能額合計Σが被害額A以上となった段階で、この保険加入応募を終了し、出資者端末80を通じた募集情報の提供を停止する。例えば、Ma、Mb、Mc、Md、Me、Mfの6人(<N人)の保険加入(希望)者の支払い可能額B(a、b、c、d、e、f)の合計が、被害額A以上となれば、この6人が保険加入者2002となる。この6人の保険加入者2002については、出資者端末80を通じて、もしくは直接保険管理部5192に対応した手続店舗で、保険契約手続処理を行う。
一方、保険加入(希望)者がN人に到達しても支払い可能額合計Σが被害額Aより小さい場合、保険管理部5192は、出資者端末80を通じて、支払い可能額合計Σが被害額A以上となるまで、保険加入(希望)者の保険加入の追加応募を行う。また、保険管理部5192は、保険加入者(2001)に対する保険加入応募のための募集情報(例えば、保険加入(希望)者の人数、募集する被害額A、保険加入(希望)者毎の支払い可能額B及び貰う金額C等)を、全ての保険加入(希望)者に対して提供する。
このように支払い可能額合計Σが被害額Aより小さい場合は、後の保険加入者2002となる各保険加入(希望)者(Ma、Mb、Mc、Md、Me、Mf、・・・)が貰う金額C(a2、b2、c2、d2、e2、f2・・・)を、それぞれの支払い可能額B(a、b、c、d、e、f+・・・)で除算して、C/B=αを保険加入(希望)者毎に求める。
次に、保険管理部5192は、出資者データ管理部960の管理するデータの中から、このαの値が最も大きい保険加入(希望)者(後の保険加入者2002に相当)から順に、対応するαの値を抽出する。保険管理部5192は、出資者端末80を通じて、全ての保険加入(希望)者(後の保険加入者2002に相当)に対して、この抽出したαの値が小さくならないかどうかの働きかけ(調停)を行う。
例えば、出資者端末80を通じて、αの値が大きい順に、αの値を下げるように促す依頼書信の電子メールや手紙等を送信する。この依頼書信を受けた保険加入(希望)者(2002)が、αの値を上げた場合に、再度Σの値を計算する。かくして、支払い可能額合計Σが被害額A以上となった段階で、依頼書信の送信を停止する。保険管理部5192は、支払い可能額合計Σが被害額A以上となるまで、この依頼書信の送信を継続する。支払い可能額合計Σが被害額A以上となった段階で、そのときの全ての保険加入希望者は、出資者端末80を通じて、もしくは直接保険管理部5192に対応した手続店舗で、保険契約手続処理を行い、保険加入者2002となる。
ステップS104;保険管理部5192は、上記のステップS101からステップS103までの処理を、全てのバーチャル管理農地950の責任者(Z人)について行い、保険加入者2002の設定を終え、全ての責任者(Z人)の保険契約手続を完了する。
ステップS105;保険加入者の中の、少なくとも一人の保険加入者2001に損害が発生した場合、保険管理部5192は、出資者端末80を通じて、保険加入者2001から損害額の支払い請求を受ける。保険管理部5192は、請求を受けた損害額について予め設定された何らかの評価法に基き、予め設定された被害額A以下の範囲内で被害額を算定し、銀行を通じ、保険加入者2001に対して被害額の保険金を支払う支払い処理を行う。
また、保険契約で定められた一定期間(例えば1年間)の間、特定の保険加入者2001に損害が発生しない場合、保険管理部5192は、損害の発生しなかった特定の保険加入者2001が、各保険加入者2002(Ma、Mb、Mc、Md、Me、Mf、・・・)に対して、各保険加入者2002が貰う金額C(a2、b2、c2、d2、e2、f2、・・・)をそれぞれに支払うように、銀行を通じて支払いの清算処理を行う。
なお、各バーチャル管理農地950の責任者は、出資者端末80を通じて、被害が発生しないように相互に情報交換を行い、情報交換したデータは出資者データ管理部960に格納される。バーチャル管理農地950は、この情報交換した情報を用いて、被害発生を未然に防ぐように努力することができる。
このように実施の形態1による保険管理部5192は、各農場の責任者(2001)が支払う損害額Aを分担して負担する複数の他の農場の保険金加入者(2002)を、当該農場の責任者(2001)の農場における損害の非発生時に、他の農場の保険金加入者(2002)が当該農場の責任者(2001)から貰う金額Cが少ない順に選定する処理を行うことで、当該損害の非発生時に当該農場の責任者(2001)から他の保険金加入者(2002)への支払い額Bを低額化することができる。これによって、保険金加入への参加者を、支払い負担をより少なくして集めることが可能となり、バーチャル管理農地950で発生する損害額の一部もしくは全てを補填する効率的な仕組みを構築することができるので、バーチャル管理農地950をより安定して運営もしくは経営することが可能となる。
実施の形態1による農業用管理システムは、以上説明した通りに構成され、主に次のように動作する。
1.バーチャル管理農地950の各農場の耕作順序工程を生成する。
2.バーチャル管理農地950の農場間の道路5をどのようなルートで移動すると最短時間になるかの計算を行う。
3.農機の収納時間の算定を行う。
4.自動農機25または農機15により、バーチャル管理農地950の各農場の土壌状態を数10cm四方でデータ収集し、収集したデータの管理を行う。
5.バーチャル管理農地950の各農場の土壌の状態、水分、肥料、害虫、収穫量等のデータを、位置情報と関係付けてデータ管理部502のデータベースに保管する。
6.バーチャル管理農地950の農場間の道路5の交通事情を考慮し、農場間の移動経路を生成する。
7.1時間、半日、1日、1週間、1ヶ月の天気予報に基づき農作業計画を検討し、自動的またはオペレータの作業支援により農作業計画を生成し、農作業計画を更新する。
8.管理センタ50で各農場の活動状況を表示する。
9.消費者の居住場所、要求品目(農作物)、購入時期等を計画的に把握し、最適な販売計画を生成する。
10.消費者はバーチャル管理農地950の会員別に区別して(例えば予約購入者会員の人と予約購入者会員でない人に別けて)、データ管理する。
11.生産者が収穫した農作物を予約購入する消費者を確認し、予約購入した消費者に対して、各農場から農作物を直送する。
12.各農場は基本的には耕作放棄農地であるため、過去の耕作状況について、当時の生産者に確認し、データベース化する。
13.天候等による不作時のリスクを最小限にするように農業生産に関る損害保険を設定する。
14.耕作、種付、作物の観測、草取、収穫は、自動農機25の自律走行とマニュアル操作の選択により動作する。管理センタと自動農機25に装着された農機端末20との間は、衛星通信回線104または無線回線102を利用して通信接続する。
15.管理センタ50のデータ管理部502には様々なデータベースが管理され、作業状態のモニタ、作業管理、及び生産者への指示を実施する。
16.農機の搭載センサ21、11により農作物を撮影し、管理センタのモニタで監視する。異常発生時には農場に近いバーチャル管理農場の支援登録者が見回りを行う。
このように動作することにより、複数の点在する小規模な農地を、IT(Information Technology)情報化により大規模な仮想的農地として管理することができるので、農産物の生産効率を高めることができる。
次に、実施の形態1による農業用管理システムを適用したサービスの実施例について説明する。
実施例1.
実施の形態1による農業用管理システムを用いて、価格の高い自動農機25を有効に活用し、より効率的な農業生産活動を行う。例えば、自動農機25を販売せずに、自動農機25の運用サービスを提供することで、自動農機25を利用した例えば次の4つのサービスを、利用者に対して安価に提供することができる。
1.農地属性管理部511が、日本全国に分布する小規模な農場に仮想農地951を対応付けて管理し、農作業管理部510が、各仮想農地951の対応付けられた農場に対して、複数台の自動農機25を一括して提供する業務サービス。
2.予め契約する仮想農地951の対応付けられた農地の形状を測定して、データ管理部502に測定データを格納しておき、例えば農作業計画生成部512が、田植えや収穫のルートを設定し、最短時間で農作業を行うサービス。
3.対象となる自動農機25を使う時期が来たら、例えば田植えならば南の地方から順次田植えを進めていく農作業計画を、農作業計画生成部512が立案するサービス。
4.農作業管理部510が、センタ倉庫959を利用して農薬の購入および農薬の配給を集中管理し、仮想農地951の対応付けられた農地毎に一括して提供する統合化管理サービス。
ここで、農作物の生産効率をより高めるサービス3について更に詳述する。例えば、1箇所の農地の処理時間は最適化しておき、それと合わせて農地から農地への農機の移動経路も、天気予報や気象観測の情報から最適化する。ここで、該当する自動農機25の稼働率が最大になるように、管理センタ50の農作業計画生成部512及び農作業管理部510で、最適化計算及び運用管理を行う。例えば田植えの場合、田植え機の年間稼働率が例えば5日(年間動作時間の1.3%)、コンバインの年間稼働率が例えば2日(年間動作時間の0.5%)であるとすると、日本を南から北に向かって順次田植え作業を行うように、農作業管理部510が特定のバーチャル管理農地950を順次選択して行く管理を行う。
このようなサービスを提供することによって、各農機の稼働率をより向上させることができる。また、自動農機25を自律制御することで、農作業の種類(例えば耕うん、土壌改良、土壌消毒等)や騒音、照明が問題とならない場所によっては、夜間作業が可能となり、作業効率や農機の稼働率を更に向上させることができる。かくして、土地の利用料を除けば、コストミニマムで農業生産活動を営むことができる。また、耕作放棄地や休耕田を活用することが可能となるので、更に効率的な農業生産活動を行うことが可能となる。
実施例2.
実施の形態1による農業用管理システムを利用し、生産者の生産した農作物を市場へ卸すのではなく、個人へ直接宅配するサービスを提供する。例えば、会員ユーザからどのような農作物を、目標コストを含めてどの時期にいくらくらい欲しいのかを調査する。調査した情報は、消費者が消費者端末60に直接入力する、もしくは販売者が販売者端末70に入力して、データ管理部502に情報入力しデータ管理する。消費者管理部518は、各地区の農地がどの農作物に適正であるのかを分析し、分析結果を消費者端末60または販売者端末70を通じて、消費者または販売者に直接提供する。このサービスを提供することによって、バーチャル管理農地950内の各農場へ、価格の買い付け保証をつけた上で、生産により得られる対価をより確実に保証して、生産者に作付けを依頼することができる。
以上説明した通り、実施の形態1による農業用管理システムは、測位装置22により得られた測位情報を補強用衛星1061からの測位補強情報により補正し、自己位置を測位する測位処理部201と、農地形状データ210、移動経路データ211及び作業指示情報に基いて、農機の移動経路及び作業状態を管理する農作業管理部205と、周囲の画像及び農場の環境状態を計測するセンサ(搭載センサ)21の取得した計測データを、測位処理部201の測位データに対応付けて端末情報(端末センシング情報)として送信するとともに、作業指示情報を受信する無線装置23と、を有し、農機に装着される農機端末20と、複数の農場を(仮想農場951として)仮想的に集積してなる一群のバーチャル管理農地950を、複数群管理し、各バーチャル管理農地950内の複数の農場について、農場の位置、形状を特定するためのデータ、及び上記農機端末20から送信された端末情報を保持するとともに、農場間を接続する道路のデータを保持する仮想農地データ管理部920と、上記仮想農地データ管理部920により管理される複数のバーチャル管理農地950の中から、特定のバーチャル管理農地950を選択し、選択したバーチャル管理農地950内で農機を稼動する指示情報を生成し、生成した指示情報を特定の上記農機端末20に送信するとともに、当該選択したバーチャル管理農地950内の各農場の作業工程、及び農場間の農機の移動経路を設定し、設定した作業工程及び移動経路を、特定の上記農機端末20に送信する農機管理部514と、を有した管理センタ50と、を備えたことを特徴とする。
また、管理センタ50は、気象情報をバーチャル管理農地に重ねて画面表示する表示装置503と、表示装置503の表示画面内の特定のバーチャル管理農地950を選択して、農機管理部514に入力する入力装置を備え、上記農機管理部514は、気象情報に応じて選択したバーチャル管理農地950内の自動農機25の稼動数を可変する。また、管理センタ50は、表示装置503の表示画面内の特定のバーチャル管理農地950を順次選択して、農機管理部514に入力する入力装置504を備え、上記農機管理部514は、緯度に応じて選択したバーチャル管理農地950内の自動農機25を移動させる。
また、測位装置12により得られた測位情報を補強用衛星1061からの測位補強情報により補正し、自己位置を測位する測位処理部111と、農地形状データ、移動経路データ及び作業指示情報に基いて、農機の移動経路及び作業状態を管理する農作業管理部115と、周囲の画像及び農場の環境状態を計測するセンサ(搭載センサ)11の取得した計測データを、測位処理部111の測位データに対応付けて端末情報として送信するとともに、作業指示情報を受信する無線装置13と、を有して生産者の所持する生産者端末10と、複数の農場を仮想的に集積してなる一群のバーチャル管理農地950を、複数群管理し、各バーチャル管理農地950内の複数の農場について、農場の位置、形状を特定するためのデータ、及び生産者端末10から送信された端末情報(端末センシング情報)を保持するとともに、農場間を接続する道路のデータを保持する仮想農地データ管理部920と、上記仮想農地データ管理部920により管理される複数のバーチャル管理農地950の中から、特定のバーチャル管理農地950を選択し、選択したバーチャル管理農地950内で生産者に作業指示する指示情報を生成し、生成した指示情報を特定の上記生産者端末10に送信するとともに、当該選択したバーチャル管理農地950内の各農場の作業工程、及び農場間の農機の移動経路を設定し、設定した作業工程及び移動経路を特定の上記生産者端末10に送信する生産者管理部515と、を備えたことを特徴とする。
また、管理センタ50は、気象情報をバーチャル管理農地に重ねて画面表示する表示装置503と、表示装置503の表示画面内の特定のバーチャル管理農地950を選択して、生産者管理部515に入力する入力装置504を備え、上記生産者管理部515は、気象情報に応じて選択したバーチャル管理農地950内の農機の稼動数を可変する指示情報を、生産者端末10に送信する。また、管理センタ50は、表示装置503の表示画面内の特定のバーチャル管理農地950を順次選択して、生産者管理部515に入力する入力装置504を備え、上記生産者管理部515は、緯度に応じて選択したバーチャル管理農地950内の農機を移動させる指示情報を、生産者端末10に送信する。
このように実施の形態1による農業用管理システムは、複数の小規模農地を仮想空間で大規模農地として管理するとともに、農機または農業生産物の生産者において、授受される複数の小規模農地の情報を、仮想空間の大規模農地として一元管理する。
これによって複数の点在する小規模な農地を、IT(Information Technology)情報化により大規模な仮想的農地として管理することができるので、農産物の生産効率を高めることができる。また、農産物を生産する生産者及び農場経営者のみならず、農産物を購入する消費者や、生産者と消費者の間に介在する販売者等の各種階層の者が、個々の端末を通じて農業用管理システムの情報ネットワークに有機的に参画することができるので、IT(Information Technology)情報をスマートに活用して、より効率性の高い農産業や農場経営(スマートファーム経営)、及び食料産業を構築することが可能となる。