JP6056787B2 - エンジンのピストン構造 - Google Patents

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Description

この発明は、シリンダ内で往復動するピストンと、小端部が上記ピストンに連結され、かつ大端部がクランクシャフトに連結されるコンロッドと、上記ピストンと上記コンロッドの小端部とを連結する断面中空のピストンピンと、上記ピストンピンの内部に設けられた動吸振器と、を備えたようなエンジンのピストン構造に関する。
一般に、自動車等の車両に搭載されたエンジンでは、ピストンとコンロッドの小端部とがピストンピンにより連結されている。具体的には、コンロッドの小端部に形成されたピン挿通孔にピストンピンが挿通されており、コンロッドの小端部はピストンピンの軸方向の中央部に位置する。ピストンの裏面(頂面と反対側の面、つまり反燃焼室側の面)におけるピストンピン軸方向の両端部には、2つのボス部がコンロッドの小端部を挟むように形成され、これら2つのボス部には、ピストンピンの軸方向の両端部が挿入されて該両端部を支持するピン支持孔がそれぞれ形成されている(例えば、特許文献1参照)。
上記エンジンでは、該エンジンの基本構造で決まる共振により燃焼騒音が生じることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。非特許文献1では、エンジン音が1.7kHz、3.3kHz、6kHzの3つのピークをもち、そのうちの1つのピーク(3.3kHz)が、コンロッドの伸縮共振によるものであり、その共振の振幅低減の余地が殆どないとされている。
特開2004−353500号公報
大塚 雅也,「ディーゼル燃焼騒音のエンジン構造での低減方法」,自動車技術会学術講演会前刷集 No.36−05,社団法人 自動車技術会,2005年5月,p7−10
本発明者らは、ピストンおよびコンロッドのバネマスモデルについて鋭意研究を重ね、その結果、以下のようなことが判明した。
ピストンおよびコンロッドのバネマスモデルにおいて、ピストン、ピストンピン、およびコンロッドの小端部が全体として、質点(質量をM(単位kg)とする)に相当し、コンロッドにおける小端部と大端部とを連結する連結部が、上記質点を該大端部に対して支持するバネ(バネ定数をK(単位N/m)とする)に相当する。これにより、ピストン、ピストンピンおよびコンロッドの小端部が一体であるとすると、これらが一体でコンロッドの大端部に対して(1/2π)・(K/M)1/2Hzの共振周波数(例えば、3kHz〜4kHz)で共振することになる。この共振は、上記非特許文献1で云うところのコンロッドの伸縮共振に相当する。
ところで、ピストンピンとコンロッドのピン挿通孔との間には、潤滑油膜が形成される。この潤滑油膜は、ピストンピンとコンロッドの小端部とを連結するバネに相当する。また、ピストンピンをボス部およびコンロッドの小端部の双方に対して回動可能とするフルフロート式の組付方式が採用された場合には、ピストンピンとコンロッドのピン挿通孔との間に加えて、ピストンピンとピストンのボス部のピン支持孔との間にも、潤滑油膜が形成される。この潤滑油膜は、ピストンピンとピストンとを連結するバネに相当する。
ピストンピンとコンロッドのピン挿通孔との間の潤滑油膜(フルフロート式では、該潤滑油膜、および、ピストンピンとピストンのボス部のピン支持孔との間の潤滑油膜)が存在すれば、ピストンは、コンロッドの小端部に対してバネを介して支持されることとなり、ピストン、ピストンピンおよびコンロッドの小端部が一体でコンロッドの大端部に対して共振するようなことはない。燃焼行程(膨張行程)以外では、ピストンが大きな力で押圧されないため、上記潤滑油膜が存在し、よって、上記共振は生じない。
一方、燃焼行程では、ピストンが大きな力で押圧されるため、上記潤滑油膜が無くなり、この結果、ピストン、ピストンピンおよびコンロッドの小端部が一体となってコンロッドの大端部に対して共振することになる。
以上の観点から、燃焼行程でピストン、ピストンピンおよびコンロッドの小端部が一体となるので、その共振を抑制する(共振周波数における振動を低減する)ために、動吸振器を利用することが考えられる。しかし、動吸振器を単純に設けるだけでは、燃焼行程で上記共振による騒音を低減できても、ピストン、ピストンピンおよびコンロッドの小端部が一体とならない他の行程で、動吸振器の振動により騒音が増大してしまう。
そこで、ピストンピンの内部に動吸振器を設けることが考えられる。この場合、ピストンピンに対して動吸振器を圧入により固定すると、動吸振器の固定部が圧入による応力を受けることになる。
上述の固定部は圧入による応力に加えて、ピストンが燃焼圧を受ける時、ピストンピンを介して動吸振器の固定部にも圧縮力が作用し、この圧縮力は燃焼行程毎に付加されることになる。
さらに、近年では、エンジンの熱効率向上に向けて燃焼圧をさらに高圧化する傾向にあり、この場合には、動吸振器に求められる耐応力性能がさらに高まり、これにより、動吸振器の固定部への応力負担がさらに顕著になって、固定部が疲労することが想定される。
この発明は上記の課題を解決するために成されたものであり、燃焼行程においてピストン、ピストンピンおよびコンロッドの小端部が一体でコンロッドの大端部に対して共振するのを抑制すると共に、他の行程において騒音が増大するのを抑制することができ、しかも、動吸振器の固定部への応力負担を抑制し、要求される耐応力性能の高まりにも対処することができるエンジンのピストン構造の提供を目的とする。
この発明によるエンジンのピストン構造は、シリンダ内で往復動するピストンと、小端部が上記ピストンに連結され、かつ大端部がクランクシャフトに連結されるコンロッドと、上記ピストンと上記コンロッドの小端部とを連結する断面中空のピストンピンと、上記ピストンピンの内部に設けられた動吸振器と、を備えたエンジンのピストン構造であって、上記ピストンピンの内部に、上記動吸振器を取付ける取付けフランジを一体的に形成し、上記動吸振器は、該取付けフランジに固定される固定部と、上記ピストンピンの軸方向に延びる可動部と、該可動部を上記固定部に対して揺動可能に支持する支持部とを備え、上記動吸振器が、上記取付けフランジを挟んで2つ設けられ、互いにネジ結合にて上記取付けフランジに取付けられるように構成されたものである。
上記構成によれば、燃焼行程で、ピストンピンとコンロッドとの間の潤滑油膜(フルフロート式では、該潤滑油膜、および、ピストンピンとピストンとの間の潤滑油膜)が無くなって、ピストン、ピストンピンおよびコンロッドの小端部が一体となった場合、動吸振器により、それらが一体で共振するのを抑制することができる。また、動吸振器がピストンピン内部に設けられているので、ピストンピンとコンロッドとの間に潤滑油膜が存在する場合、つまり吸気行程、圧縮行程および排気行程では、この潤滑油膜(バネ)により、動吸振器の振動がコンロッドに伝わることはなく、その振動により騒音が増大するようなことはない。また、ピストンピンの内部に動吸振器を設けることで、スペースを有効に利用することができ、ピストンが大きくならずに済む。
しかも、2つの動吸振器を互いにネジ結合によりピストンピン内部の取付けフランジに取付けるので、動吸振器を圧入することなくピストンピン内部に取付けることができる。
このため、動吸振器の固定部には圧入応力が作用することはない。よって、当該固定部への応力負担を抑制することができ、要求される高い耐応力性能に対応することができる。
また、上記動吸振器はピストンピンの取付けフランジを挟んで2つ設けられているので、当該動吸振器が抜止め機能を併せもっており、これにより、動吸振器の軸方向移動を規制することができるうえ、必要に応じて組み換えることで振動低減すべき周波数の調整(チューニング)を行なうことも可能となる。
この発明の一実施態様においては、上記2つの動吸振器が、振動を低減する所期の共振周波数を異ならせて設定されたものである。
上記構成によれば、複数の共振周波数の振動低減を図ることができる。
この発明の一実施態様においては、上記所期の共振周波数が低い方の動吸振器におけるネジ結合部を、雄ネジと成したものである。
上記構成によれば、次の如き効果がある。
すなわち、共振周波数が相対的に高い場合には、振幅が小さくなり、動吸振器に作用する応力が小さくなるのに対して、共振周波数が相対的に低い場合には、振幅が大きくなり、動吸振器に作用する応力が大きくなる。
そこで、共振周波数が低い方の動吸振器のネジ結合部を、雌ネジに対して剛性が大きい雄ネジとしている。このように、低い周波数で強度的に不利な動吸振器の結合構造を雄ネジとすることで、結合強度を確保することができる。
この発明によれば、燃焼行程においてピストン、ピストンピンおよびコンロッドの小端部が一体でコンロッドの大端部に対して共振するのを抑制すると共に、他の行程において騒音が増大するのを抑制することができ、しかも、動吸振器の固定部への応力負担を抑制し、要求される耐応力性能の高まりにも対処することができる効果がある。
本発明のピストン構造が採用されたエンジンのピストンおよびコンロッドを示す図 図1のA−A線矢視断面図 図1のB−B線矢視断面図 図2の要部拡大断面図 ピストンおよびコンロッドのバネマスモデルを示す図 ピストンおよびコンロッドが振動する周波数と、クランクシャフトやシリンダブロックが振動する周波数との差異を示す特性図 エンジンのピストン構造の他の実施例を示す要部拡大断面図 エンジンのピストン構造のさらに他の実施例を示す要部拡大断面図
燃焼行程においてピストン、ピストンピンおよびコンロッドの小端部が一体でコンロッドの大端部に対して共振するのを抑制すると共に、他の行程において騒音が増大するのを抑制することができ、しかも、動吸振器の固定部への応力負担を抑制し、要求される耐応力性能の高まりにも対処するという目的を、シリンダ内で往復動するピストンと、小端部が上記ピストンに連結され、かつ大端部がクランクシャフトに連結されるコンロッドと、上記ピストンと上記コンロッドの小端部とを連結する断面中空のピストンピンと、上記ピストンピンの内部に設けられた動吸振器と、を備えたエンジンのピストン構造において、上記ピストンピンの内部に、上記動吸振器を取付ける取付けフランジを一体的に形成し、上記動吸振器は、該取付けフランジに固定される固定部と、上記ピストンピンの軸方向に延びる可動部と、該可動部を上記固定部に対して揺動可能に支持する支持部とを備え、上記動吸振器が、上記取付けフランジを挟んで2つ設けられ、互いにネジ結合にて上記取付けフランジに取付けられるように構成することで実現した。
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面はディーゼルエンジンのピストン構造を示し、図1はエンジンのピストンおよびコンロッドを示す図、図2は図1のA−A線矢視断面図、図3は図1のB−B線矢視断面図、図4は図2の要部拡大断面図である。
図1,図2,図3において、ピストン1は、気筒サイクル(吸気行程、圧縮行程、燃焼行程(膨張行程)および排気行程)を繰返すことで、シリンダ(気筒)内でシリンダ軸心方向(図1、図2の上下方向)に往復動するように構成されている。
上記ピストン1は、図2,図3に示すピストンピン2を介して、コンロッド10(詳しくは、コネクティングロッド)の一端に位置する小端部10a(いわゆるスモールエンド)と連結されている。このコンロッド10の他端に位置する大端部10b(いわゆるラージエンド)は、クランクシャフト(図示せず)と連結されている。コンロッド10の小端部10aと大端部10bとは、連結部10c(つまり、コンロッド本体部)によって連結されている。上記ピストン1の往復動は、コンロッド10を介して上記クランクシャフトに伝達されて該クランクシャフトが回転する。ピストンピン2の中心軸方向(図2の左右方向であり、以下単に軸方向と略記する)は、上記クランクシャフトの軸方向と一致している。
コンロッド10の小端部10aには、図2に示すように、ピストンピン2が挿通されるピン挿通孔10dが形成されており、コンロッド10の大端部10bには、図1に示すように、上記クランクシャフトが挿通されるシャフト挿通孔10eが形成されている。なお、図1では、その図示を図示省略しているが、コンロッド10の大端部10bは、連結部10cの長手方向において、シャフト挿通孔10eの中央で2分割構造(いわゆる半割り構造)とされている。
図2,図4に示すように、コンロッド10の小端部10aにおけるピン挿通孔10dにピストンピン2が挿通されて、コンロッド10の小端部10aは、ピストンピン2の軸方向の中央部に位置している。また、コンロッド10の小端部10aは、ピストンピン2の軸方向において、ピストン1の中央に位置している。
ピストンピン2は、コンロッド10のピン挿通孔10dに対して回動可能に挿通されている。なお、コンロッド10のピン挿通孔10dの内周面には、ブッシュ11が固定されており、詳しくは、このブッシュ11に対してピストンピン2が回動可能に挿通されていることになる。
ピストンピン2とコンロッド10のピン挿通孔10d(詳しくは、ブッシュ11)との間には、上記エンジンにおいて循環されている潤滑油が供給されることによって、潤滑油膜が形成され、この潤滑油膜と上記ブッシュ11とによって、ピストンピン2が、コンロッド10のピン挿通孔10dに対してスムーズに回動することになる。
ピストン1の頂面(ピストンヘッド)には、図2に示すように、キャビティ1aが形成され、ピストン1のランド部にはトップリング溝1b、セカンドリング溝1c、オイルリング溝1dが形成されると共に、ピストン1の内部にはクーリングチャンネル1eが形成されている。
そして上述の各リング溝1b、1c、1dには、図1に示すように、トップリング12、セカンドリング13、オイルリング14がそれぞれ装着されている。
ピストン1の裏面(頂面とは反対側の面、つまり反燃焼室側)におけるピストンピン2の軸方向の両端部には、2つのボス部1fがコンロッド10の小端部10aをその両側から挟むように上記クランクシャフト側に膨出形成されている。これら2つのボス部1fには、ピストンピン2の軸方向に延びるピン支持孔1gがそれぞれ形成されている。2つのボス部1fのピン支持孔1gに、ピストンピン2の軸方向の両端部がそれぞれ挿入されて支持されている。
この実施例では、ピストンピン2の組付方式としてフルフロート式が採用されている。すなわち、ピストンピン2は、コンロッド10における小端部10aのピン挿通孔10dに対して回動可能であると共に、ピストン1のボス部1fにおけるピン支持孔1gに対しても回動可能とされている。
ピストンピン2とコンロッド10のピン挿通孔10dとの間と同様に、ピストンピン2とピストン1のボス部1fのピン支持孔1gとの間にも潤滑油膜が形成され、この潤滑油膜によって、ピストンピン2が、ピストン1のボス部1fのピン支持孔1gに対してスムーズに回動することになる。
2つのボス部1fのピン支持孔1gにおけるピストン1外周面側の端部には、サークリップ15がそれぞれ挿入固定されており、これら2つのサークリップ15が、ピストンピン2の軸方向の両外端面にそれぞれ当接するように位置して、ピストンピン2の軸方向の移動を規制している。
上記ピストンピン2は断面中空に形成、つまり円筒状に形成されており、ピストンピン2の径方向中心部に、該ピストンピン2の軸方向に延びる貫通孔2aが形成されている。この貫通孔2aの内周面におけるピストンピン2の軸方向の中央部(つまりピストンピン2の長手方向中央部)には、後述する動吸振器20の固定部20aを取付ける環状の取付けフランジ3が一体的に形成されている。この実施例では、該取付けフランジ3はピストンピン2の内周部に径方向内方へ突出するように一体形成されている。
図4に拡大図で示すように、上述の取付けフランジ3の内径D1は、貫通孔2aの内径D3に対して充分小さく形成(D1<D3)されており、取付けフランジ3のピストンピン軸方向両面に環状の段差面3a,3aが形成されている。また、図示左右の各段差面3a,3aは互いに平行に形成されている。
また、図示左右の貫通孔2aは中央の取付けフランジ3の内径部3bを介して左右つまりピストンピン軸方向に連続しており、後述する動吸振器20X,20Yの可動部20bが振動しても当該貫通孔2aの内周面に接触しないように構成されている。換言すれば、該貫通孔2aは動吸振器20X,20Yの可動部20bの収容部を兼ねるものである。
上記ピストンピン2の内部(貫通孔2a内)には、燃焼行程においてピストン1、ピストンピン2およびコンロッド10の小端部10aが一体でコンロッド10の大端部10bに対して共振するのを抑制する動吸振器20X,20Y(いわゆるダイナミックダンパのことで、以下単にダンパと略記する)が配設されている。これら2つのダンパ20X,20Yは、図4に示すように、ピストンピン2の軸方向の中央を通り、かつ、取付けフランジ3の段差面3a,3aを挟んで両側にそれぞれ位置している。
ここで、ピストン1およびコンロッド10のバネマスモデルは、図5のようになる。すなわち、ピストン1、ピストンピン2およびコンロッド10の小端部10aが全体として、質点(質量をM(単位kg)とする)に相当し、コンロッド10の連結部10cが、上記質点をコンロッド10の大端部10bに対して支持するバネ(バネ定数をK(単位N/m)とする)に相当する。
ピストンピン2とコンロッド10のピン挿通孔10dとの間の潤滑油膜は、ピストンピン2とコンロッド10の小端部10aとを連結するバネに相当し、ピストンピン2とピストン1のボス部1fのピン支持孔1gとの間の潤滑油膜は、ピストンピン2とピストン1(ボス部1f)とを連結するバネに相当する。
燃焼行程では、ピストン1が大きな力で押圧されるため、ピストンピン2とコンロッド10のピン挿通孔10dとの間の潤滑油膜(ピストンピン2とコンロッド10の小端部10aとを連結するバネ)、および、ピストンピン2とピストン1のボス部1fのピン支持孔1gとの間の潤滑油膜(ピストンピン2とピストン1とを連結するバネ)は共に無くなり、この結果、ピストン1、ピストンピン2およびコンロッド10の小端部10aが一体となる。
これにより、ピストン1、ピストンピン2およびコンロッド10の小端部10aが一体でコンロッド10の大端部10bに対して、(1/2π)・(K/M)1/2Hzの共振周波数で共振することになる。
この共振を抑制する(共振周波数における振動を低減する)ために、上記2つのダンパ20X,20Yがピストンピン2の内部(貫通孔2a内)に設けられている。
図示左側のダンパ20X(一方のダンパ)は、取付けフランジ3の内径部3bに挿入して固定される円柱状の固定部20aと、ピストンピン2の軸方向に延びて上記貫通孔2a内に位置する円柱状の可動部20bと、この可動部20bを上記固定部20aに対して揺動可能に支持する略円柱状または括れ形状の支持部20cと、上記固定部20aと該支持部20cとの間に一体形成されて取付けフランジ3の一方の段差面3aに当接される環状の鍔部20dと、上記固定部20aの反鍔部側に一体に突設形成された雄ネジ構造のボルト部20eと、を一体形成したものである。
そして、上述の固定部20a、可動部20b、支持部20c、鍔部20d、ボルト部20eは、中心軸を一致させた状態で内方から外方に向けて各要素20e,20a,20d,20c,20bの順に一体に連続形成されている。
また、上述の固定部20aはピストンピン2の取付けフランジ3の内径部3bに対して、圧入することなく、挿入可能な外径寸法に設定されている。
さらに、上述の可動部20bの外径D2は当該可動部20bが振動してもピストンピン2の貫通孔2aの内周面に接触しないように、貫通孔2aの内径D3よりも小さく設定(D2<D3)されている。
ここで、取付けフランジ3の内径D1と、可動部20bの外径D2と、貫通孔2aの内径D3とは、D3>D2>D1の関係式が成立するように形成されている。
図示右側のダンパ20Y(他方のダンパ)は、ピストンピン2の軸方向に延びて上記貫通孔2a内に位置する円柱状の可動部20bと、この可動部20bを後述するネジ結合部30を介してダンパ20Xの固定部20aに対して揺動可能に支持する略円柱状または括れ形状の支持部20cと、該支持部20cのピストンピン軸方向内端側に一体形成されて取付けフランジ3の他方の段差面3aに当接される環状の鍔部20fと、鍔部20fおよび支持部20cの径方向中心部に形成され、上述のボルト部20eとネジ結合される雌ネジ構造のナット部20gと、を一体形成したものである。
上述の鍔部20f、支持部20c、可動部20bは、中心軸を一致させた状態でこの順に内方から外方に向けて一体形成されている。
また、上述の可動部20bは一方のダンパ20Xのそれと同様に、当該可動部20bの外径D2が貫通孔2aの内径D3よりも小さく設定(D2<D3)されており、可動部20bが振動してもピストンピン2の貫通孔2aの内周面に接触しないように構成されている。
そして、図4に示すようにダンパ20X,20Yは、取付けフランジ3を挟んで2つ設けられており、ダンパ20Xのボルト部20eと、ダンパ20Yのナット部20gとを互いにネジ結合することで、該ネジ結合部30にて上記取付けフランジ3に取付けられるように構成しており、この際、各鍔部20d,20fにより上記取付けフランジ3が両側から挟持される。また、上述の各鍔部20d,20fはダンパ20X,20Yが軸方向へ移動するのを規制する抜止めストッパを兼ねるものである。
なお、必要に応じて、取付けフランジ3の他方の段差面3a(図示右側の段差面3a)と、ダンパ20Yにおける鍔部20fとの間には、スプリングワッシャを介設してもよい。
上述の各ダンパ20X,20Yの支持部20cは、可動部20b(可動部20bの質量をm(単位kg)とする)を支持するバネに相当し、そのバネ定数をk(単位N/m)とすると、上記共振を抑制するためには、基本的には、k/mの値をK/Mと略同じになるように構成すればよい。このようなk/mの値が得られるように、可動部20bの長さ、および径、並びに、支持部20cの長さ、および径を設定する。厳密には、支持部20cの質量も考慮する必要があるが、支持部20cの質量は可動部20bの質量に比較して極めて小さいので、支持部20cの質量を無視することができる。
上記のように、燃焼行程では、ピストンピン2とコンロッド10のピン挿通孔10dとの間の潤滑油膜(ピストンピン2とコンロッド10の小端部10aとを連結するバネ)、および、ピストンピン2とピストン1のボス部1fのピン支持孔1gとの間の潤滑油膜(ピストンピン2とピストン1とを連結するバネ)は共に無くなり、この結果、ピストン1、ピストンピン2および、コンロッド10の小端部10aが一体となって大端部10bに対して共振しようとする。しかし、この実施例では、ピストンピン2の内部に設けられたダンパ20X,20Yにより、その共振が抑制され、共振による騒音を低減することができる。
一方、吸気行程、圧縮行程および排気行程では、ピストンピン2とコンロッド10のピン挿通孔10dとの間、および、ピストンピン2とピストン1のボス部1fのピン支持孔1gとの間に、それぞれ潤滑油膜が存在する。この結果、上記燃焼行程で生じるような共振は生じない。仮にダンパがコンロッドの小端部に設けられていたとすると、燃焼行程では上記共振を抑制することができるものの、共振が生じない吸気行程、圧縮行程および排気行程においても、ダンパが振動する。このため、吸気行程、圧縮行程および排気行程では、ダンパの振動により、却って騒音が大きくなってしまう。しかし、この実施例では、ダンパ20X,20Yがピストンピン2の内部に設けられているので、吸気行程、圧縮行程および排気行程では、ピストンピン2とコンロッド10のピン挿通孔10dとの間の潤滑油膜(ピストンピン2とコンロッド10の小端部10aとを連結するバネ)により、ダンパ20X,20Yの振動がコンロッド10に伝わることはなく、その振動により騒音が増大するようなことはない。また、ピストンピン2の内部にダンパ20X,20Yを設けることで、スペースを有効に利用することができ、ピストン1が大きくならずに済む。
この実施例では、2つのダンパ20X,20Yは、振動を低減する所期の共振周波数を異ならせて設定している。
図6は、少なくともクランクシャフトおよびシリンダブロックの何れか一方の振動と、ピストン1およびコンロッド10の振動の共振周波数の差異を示す特性図で、少なくともクランクシャフトおよびシリンダブロックの何れか一方の共振周波数f1,f2は、ピストン1およびコンロッド10の共振周波数f3よりも低いことが実測値の結果、判明している。図6の共振周波数はf1<f2<f3の関係にある。
そこで、この実施例では図4において、図示左側のダンパ20Xで共振周波数f1,f2における振動を低減すべく、ダンパ20Xの少なくとも可動部20bの質量を相対的に大きくしている。
また、図示右側のダンパ20Yで共振周波数f3における振動を低減すべく、ダンパ20Yの少なくとも可動部20bの質量を相対的に小さくしている。
ダンパ20Xとダンパ20Yとで質量に大小の差をつける手段としては、各ダンパ20X,20Yを同一材料で形成すると共に、可動部20b,20bの体積に差をつける手段もあるが、この実施例では、可動部20bの体積を同一とする一方で、図示左側のダンパ20Xを、相対的に比重が大きい材料で構成し、図示右側のダンパ20Yを相対的に比重が小さい材料で構成している。
相対的に比重が大きい材料としては、比重が11.4の鉛、比重が約8.9の銅合金の他に比重が8.7の高速度鋼や比重が10.2のモリブデンを用いることができ、相対的に比重が小さい材料としては、炭素の含有量により比重に差異があるものの、その比重が概ね7.812〜7.85の炭素鋼を用いることができる。
さらに、この実施例では、所期の共振周波数が低い方のダンパ、すなわち、図示左側のダンパ20Xにおけるネジ結合部30を、雄ネジ構造のボルト部20eと成している。
つまり、共振周波数が相対的に高い場合には、振幅が小さくなり、ダンパに作用する応力が小さくなるのに対して、共振周波数が相対的に低い場合には、振幅が大きくなり、ダンパに作用する応力が大きくなる。
そこで、共振周波数が低い方のダンパ20Xのネジ結合部30を、雌ネジ構造のナット部20gに対して剛性が大きい雄ネジ構造のボルト部20eとしている。このように、低い周波数で強度的に不利なダンパ20Xの結合構造を雄ネジとすることで、結合強度を確保すべく構成したものである。
このように、図1〜図6で示した実施例1のエンジンのピストン構造は、シリンダ内で往復動するピストン1と、小端部10aが上記ピストン1に連結され、かつ大端部10bがクランクシャフトに連結されるコンロッド10と、上記ピストン1と上記コンロッド10の小端部10aとを連結する断面中空のピストンピン2と、上記ピストンピン2の内部に設けられたダンパ20X,20Yと、を備えたエンジンのピストン構造であって、上記ピストンピン2の内部に、上記ダンパ20X,20Yを取付ける取付けフランジ3を一体的に形成し、上記ダンパ20X,20Yは、該取付けフランジ3に固定される固定部20aと、上記ピストンピン2の軸方向に延びる可動部20bと、該可動部20bを上記固定部20aに対して揺動可能に支持する支持部20cとを備え、上記ダンパ20X,20Yが、上記取付けフランジ3を挟んで2つ設けられ、互いにネジ結合(ネジ結合部30参照)にて上記取付けフランジ3に取付けられるように構成されたものである(図1,図2,図4参照)。
この構成によれば、燃焼行程で、ピストンピン2とコンロッド10との間の潤滑油膜(フルフロート式では、該潤滑油膜、およびピストンピン2とピストン1との間の潤滑油膜)が無くなって、ピストン1、ピストンピン2およびコンロッド10の小端部10aが一体となった場合、ダンパ20X,20Y(特に、ダンパ20Y参照)により、それらが一体で共振するのを抑制することができる。また、ダンパ20X,20Yがピストンピン2内部に設けられているので、ピストンピン2とコンロッド10との間に潤滑油膜が存在する場合、つまり吸気行程、圧縮行程および排気行程では、この潤滑油膜(バネ)により、ダンパ20X,20Yの振動がコンロッド10に伝わることはなく、その振動により騒音が増大するようなことはない。また、ピストンピン2の内部にダンパ20X,20Yを設けることで、スペースを有効に利用することができ、ピストン1が大きくならずに済む。
しかも、2つのダンパ20X,20Yを互いにネジ結合によりピストンピン2内部の取付けフランジ3に取付けるので、ダンパ20X,20Yを圧入することなくピストンピン2内部に取付けることができる。
このため、ダンパ20Xの固定部20aには圧入応力が作用することはない。よって、当該固定部20aへの応力負担を抑制することができ、要求される高い耐応力性能に対応することができる。
また、上記ダンパ20X,20Yはピストンピン2の取付けフランジ3を挟んで2つ設けられているので、当該ダンパ20X,20Yが抜止め機能を併せもっており、これにより、ダンパ20X,20Yの軸方向移動を規制することができるうえ、必要に応じて、ダンパ20Xまたは20Yを、組み換えることで振動低減すべき周波数の調整(チューニング)を行なうことも可能となる。
この発明の一実施形態においては、上記2つのダンパ20X,20Yが、振動を低減する所期の共振周波数を異ならせて設定されたものである(図4,図6参照)。
この構成によれば、複数の共振周波数の振動低減を図ることができる。
この発明の一実施形態においては、上記所期の共振周波数が低い方のダンパ20Xにおけるネジ結合部30を、雄ネジ(雄ネジ構造のボルト部20e参照)と成したものである(図4参照)。
この構成によれば、次の如き効果がある。
すなわち、共振周波数が相対的に高い場合には、振幅が小さくなり、ダンパに作用する応力が小さくなるのに対して、共振周波数が相対的に低い場合には、振幅が大きくなり、ダンパに作用する応力が大きくなる。
そこで、共振周波数が低い方のダンパ20Xのネジ結合部30を、雌ネジ(雌ネジ構造のナット部20g参照)に対して剛性が大きい雄ネジ(雄ネジ構造のボルト部20e参照)としている。このように、低い周波数で強度的に不利なダンパ20Xの結合構造を雄ネジとすることで、結合強度を確保することができる。
図7はエンジンのピストン構造の他の実施例を示す要部拡大断面図である。
この実施例2においては、図示左側のダンパ20Xと図示右側のダンパ20Yとのピストンピン軸方向の内端側にそれぞれ固定部20a,20aを一体形成し、これらの各固定部20a,20aを、ピストンピン2の取付けフランジ3における内径部3bに対して圧入することなく、挿入して固定するように形成している。
図示左側のダンパ20Xにおける固定部20aの反鍔部側にはボルト部20eを一体に突設形成し、図示右側のダンパ20Yにおける固定部20a、鍔部20f、支持部20cの径方向中心部には、上述のボルト部20eにネジ結合されるナット部20gを形成している。
動吸振器としてのダンパ20X,20Yは、ピストンピン2の取付けフランジ3を挟んで2つ設けられ、互いにネジ結合にて当該取付けフランジ3に取付けられるように構成している。
すなわち、一方のダンパ20Xのボルト部20eと、他方のダンパ20Yのナット部20gとをネジ結合することで、該ネジ結合部30により左右の各ダンパ20X,20Yが取付けフランジ3に取付けられた状態で一体化するように構成したものである。
上述のボルト部20eとナット部20gとの締結完了時には、ダンパ20Xの鍔部20dと、ダンパ20Yの鍔部20fとで、取付けフランジ3がその両側から挟持される。
ここで、図示左側のダンパ20Xは、ピストンピン2の内方から外方にかけて、ボルト部20e、固定部20a、鍔部20d、支持部20c、可動部20bを、この順に一体形成している。
また、図示右側のダンパ20Yは、ピストンピン2の内方から外方にかけて、固定部20a、鍔部20f、支持部20c、可動部20bを、この順に一体形成している。
このように、図7で示した実施例2においても、上記ピストンピン2の内部に、上記ダンパ20X,20Yを取付ける取付けフランジ3を一体的に形成し、上記ダンパ20X,20Yは、該取付けフランジ3に固定される固定部20aと、上記ピストンピン2の軸方向に延びる可動部20bと、該可動部20bを上記固定部20aに対して揺動可能に支持する支持部20cと、をそれぞれ備え、上記ダンパ20X,20Yが、上記取付けフランジ3を挟んで2つ設けられ、互いにネジ結合(ネジ結合部30参照)にて上記取付けフランジ3に取付けられるように構成されたものである(図7参照)。
このように、2つのダンパ20X,20Yを互いにネジ結合によりピストンピン2内部の取付けフランジ3に取付けるので、ダンパ20X,20Yを圧入することなくピストンピン2内部に取付けることができる。
このため、ダンパ20X,20Yの固定部20aには圧入応力が作用することはない。よって、当該固定部20aへの応力負担を抑制することができ、要求される高い耐応力性能に対応することができる。
図7で示したこの実施例2においても、一方のダンパ20Xを相対的に比重が大きい材料で形成し、他方のダンパ20Yを相対的に比重が小さい材料で構成すると、所期の共振周波数が低い方の図示左側のダンパ20Xにおけるネジ結合部30を、雄ネジであるボルト部20eと成すことができる。また、図7で示したこの実施例2においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例とほぼ同様であるから、図7において前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
図8はエンジンのピストン構造のさらに他の実施例を示す要部拡大断面図である。
この実施例3においては、ピストンピン2の軸方向中心位置CL1に対して、取付けフランジ3の軸方向中心位置CL2を、オフセット量OSだけ一方側(図示左側へずらせている)
そして、この実施例3においても、先の実施例1と同様に、図示左側のダンパ20Xは、ピストンピン軸方向内方から同外方にかけて、ボルト部20e、固定部20a、鍔部20d、支持部20c、可動部20bをこの順に一体形成し、上記固定部20aを取付けフランジ3の内径部3bに対して圧入することなく挿入して固定するように形成している。
また、図示右側のダンパ20Yは、ピストンピン軸方向内方から同外方にかけて、鍔部20f、支持部20c、可動部20bをこの順に一体形成し、上記鍔部20fおよび支持部20cの径方向中心部には、上述のボルト部20eに結合されるナット部20gを形成している。
この実施例3においては、一方のダンパ20Xと他方のダンパ20Yとを同一材料で形成する一方、ダンパ20X側の可動部20bの質量を、ダンパ20Y側の可動部20bの質量に対して大きく設定している。
また、ダンパ20X側の支持部20cの外径Dxを、ダンパ20Y側の支持部20cの外径Dyに対して小さく設定(Dx<Dy)し、ダンパ20X側のバネ定数を、ダンパ20Y側のバネ定数に対して小さくなるように形成している。
共振周波数fは(1/2π)・(K/M)1/2[Hz]で示すことができるので、2つのダンパ20X,20Yの比較において、質量が相対的に大きく、かつバネ定数が相対的に小さい図示左側のダンパ20Xの所期の共振周波数を相対的に低く設定することができ、この所期の共振周波数が低い方の図示左側のダンパ20Xにおけるネジ結合部30を、雄ネジであるボルト部20eと成すことができる。
ここで、図示左側のダンパ20Xにより、少なくともクランクシャフトおよびシリンダブロックの何れか一方の振動(共振周波数f1,f2)を抑制し、図示右側のダンパ20Yにより、ピストン1およびコンロッド10の振動(共振周波数f3)を抑制すべく、上記質量およびバネ定数を設定してもよい。
また、図示左側のダンパ20Xの可動部20bの重心をGxとし、図示右側のダンパ20Yの可動部20bの重心をGyとし、中心位置CL2と重心Gxとの間の距離に、ダンパ20Xの可動部20bの質量を乗じた値(つまりモーメント)と、中心位置CL2と重心Gyとの間の距離に、ダンパ20Yの可動部20bの質量を乗じた値(つまりモーメント)と、を略同等に設定して、ダンパ20X,20Yの振動時に、これら各ダンパ20X,20Yをピストンピン軸方向へ移動させる力が発生するのを抑制すべく構成してもよい。
このように、図8で示した実施例3においても、上記ピストンピン2の内部に、上記ダンパ20X,20Yを取付ける取付けフランジ3を一体的に形成し、上記ダンパ20X,20Yは、該取付けフランジ3に固定される固定部20aと、上記ピストンピン2の軸方向に延びる可動部20bと、該可動部20bを上記固定部20aに対して揺動可能に支持する支持部20cと、を備え、上記ダンパ20X,20Yが、上記取付けフランジ3を挟んで2つ設けられ、互いにネジ結合(ネジ結合部30参照)にて上記取付けフランジ3に取付けられるように構成されたものである(図8参照)。
この実施例3においても、2つのダンパ20X,20Yを互いにネジ結合によりピストンピン2内部の取付けフランジ3に取付けるので、ダンパ20X,20Yを圧入することなくピストンピン2内部に取付けることができる。
このため、ダンパ20X,20Yの固定部20aには圧入応力が作用することはない。よって、当該固定部20aへの応力負担を抑制することができ、要求される高い耐応力性能に対応することができる。
図8で示したこの実施例3においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例とほぼ同様であるから、図8において前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の動吸振器は、実施例のダンパ20X,20Yに対応し、
以下同様に、
所期の共振周波数が低い方の動吸振器は、ダンパ20Xに対応し、
雄ネジは、ボルト部20eに対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、上記各実施例においては、ピストンピン2の組付方式としてフルフロート式を採用したが、これに限定されるものではなく、ピストンピン2が、コンロッド10のピン挿通孔10dに対して回動可能であり、かつ、ピストン1のボス部1fのピン支持孔1gに固定されたセミフロート式であってもよい。
また、図示実施例においては、ディーゼルエンジン用のピストン1を例示したが、本発明はガソリンエンジン用のピストンにも適用することができる。
以上説明したように、本発明は、シリンダ内で往復動するピストンと、小端部が上記ピストンに連結され、かつ大端部がクランクシャフトに連結されるコンロッドと、上記ピストンと上記コンロッドの小端部とを連結する断面中空のピストンピンと、上記ピストンピンの内部に設けられた動吸振器と、を備えたエンジンのピストン構造について有用である。
1…ピストン
2…ピストンピン
3…取付けフランジ
10…コンロッド
10a…小端部
10b…大端部
20X,20Y…ダンパ(動吸振器)
20a…固定部
20b…可動部
20c…支持部
20e…ボルト部(雄ネジ)
30…ネジ結合部

Claims (3)

  1. シリンダ内で往復動するピストンと、
    小端部が上記ピストンに連結され、かつ大端部がクランクシャフトに連結されるコンロッドと、
    上記ピストンと上記コンロッドの小端部とを連結する断面中空のピストンピンと、
    上記ピストンピンの内部に設けられた動吸振器と、を備えたエンジンのピストン構造であって、
    上記ピストンピンの内部に、上記動吸振器を取付ける取付けフランジを一体的に形成し、
    上記動吸振器は、該取付けフランジに固定される固定部と、
    上記ピストンピンの軸方向に延びる可動部と、
    該可動部を上記固定部に対して揺動可能に支持する支持部とを備え、
    上記動吸振器が、上記取付けフランジを挟んで2つ設けられ、互いにネジ結合にて上記取付けフランジに取付けられるように構成された
    エンジンのピストン構造。
  2. 上記2つの動吸振器が、振動を低減する所期の共振周波数を異ならせて設定された
    請求項1記載のエンジンのピストン構造。
  3. 上記所期の共振周波数が低い方の動吸振器におけるネジ結合部を、雄ネジと成した
    請求項2記載のエンジンのピストン構造。
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