JP6107765B2 - エンジンのピストン構造 - Google Patents

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本発明は、シリンダ内で往復動するピストンと、小端部が上記ピストンと連結されかつ大端部がクランクシャフトと連結されるコンロッドと、上記ピストンと上記コンロッドの小端部とを連結する断面中空のピストンピンと、上記ピストンピンの内部に設けられ、燃焼行程において上記ピストン、上記ピストンピン及び上記コンロッドの小端部が一体で上記コンロッドの大端部に対して共振するのを抑制する動吸振器とを備えた、エンジンのピストン構造に関する技術分野に属する。
エンジンのピストンが、燃焼行程においてピストンピン及びコンロッドの小端部と一体で該コンロッドの大端部に対して共振するのを抑制して、その共振による騒音を低減するために、断面中空のピストンピンの内部に動吸振器を設けたピストン構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、その動吸振器は、ピストンピンに固定される固定部と、ピストンピンの内部(貫通孔内)において該ピストンピンの中心軸方向に延びる可動部と、該可動部を上記固定部に対してピストンピンの径方向に振動可能に支持する支持部とを有している。
国際公開第2014/034034号パンフレット
上記特許文献1のピストン構造では、動吸振器が設けられた、ピストンピンの貫通孔内に、オイル(エンジンオイル)が進入可能になっているが、オイルを積極的に供給するようにはなっていないため、ピストンピンと動吸振器との間にオイルが介在する場合があったり介在しない場合があったりし、この結果、動吸振器による振動低減特性が安定しないという問題がある。
また、上記特許文献1のピストン構造では、ピストンピンと動吸振器との間にオイルが介在しない場合には、動吸振器の可動部が固定部に対してピストンピンの径方向に大きく振動し易くて支持部に大きな応力が生じ、その応力に耐えるようにするために、例えば支持部の外径(つまりピストンピンと可動部との間のバネ定数)に制約が生じ、この結果、動吸振器による振動低減のチューニングの自由度が低くなってしまう。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、断面中空のピストンピンの内部に動吸振器を設ける場合に、その動吸振器による振動低減のチューニングの自由度を高めることができるようにするとともに、動吸振器による振動低減特性の安定化を図ることができるようにすることにある。
上記の目的を達成するために、本発明では、シリンダ内で往復動するピストンと、小端部が上記ピストンと連結されかつ大端部がクランクシャフトと連結されるコンロッドと、上記ピストンと上記コンロッドの小端部とを連結する断面中空のピストンピンと、上記ピストンピンの中空の孔の内部に設けられ、燃焼行程において上記ピストン、上記ピストンピン及び上記コンロッドの小端部が一体で上記コンロッドの大端部に対して共振するのを抑制する動吸振器とを備えた、エンジンのピストン構造を対象として、上記ピストンと上記コンロッドと上記ピストンピンの周囲には、これらがスムーズに回動するようにオイルが供給され、上記ピストンピンの中心軸方向の端面には、上記中空の孔の開口が形成され、上記動吸振器は、上記ピストンピンの内壁面に固定される固定部と、上記中空の孔の内部において上記固定部から上記開口に向かって上記ピストンピンの中心軸方向に延びる可動部と、を有し、上記動吸振器による振動低減特性が安定するように、上記開口から上記中空の孔の内部への外部からのオイルの進入を抑制するとともに、上記ピストンピンの内壁面と上記動吸振器との間へのオイルの封入量を適切に設定するためのキャップが、上記開口に装着されている、という構成とした。
上記の構成により、ピストンピン(ピストンピンの内壁面)と動吸振器との間の隙間に、液体が封入されているので、その液体が、ピストンピンと動吸振器(特に可動部)との間に常に介在することになり、動吸振器による振動低減特性が安定する。また、上記液体により、動吸振器に設けられた可動部のピストンピン径方向への振動量が制限され、これにより、その可動部を支持する支持部に生じる応力を低減することができる。この結果、その応力に耐えるようにするために、支持部の形状等(つまりピストンピンと可動部との間のバネ定数)に制約を設ける必要がなくなる。また、上記液体は、ピストンピンと可動部との間のダンパとして機能し、上記バネ定数の設定に加えて、上記液体の粘性(粘度又は動粘度)及び上記隙間への封入量の設定、つまり上記ダンパの減衰係数の設定によっても、動吸振器による振動低減のチューニングを図ることができる。よって、動吸振器による振動低減のチューニングの自由度を高めることができるとともに、動吸振器による振動低減特性の安定化を図ることができる。
上記エンジンのピストン構造において、上記ピストンピンの内部に、2つの上記動吸振器が設けられており、記2つの動吸振器は、上記ピストンピンの中心軸方向の中央を通りかつ該ピストンピンの中心軸に対して垂直な面を挟んで両側にそれぞれ位置している、ことが好ましい。
このことにより、動吸振器を簡単に構成することができるとともに、ピストンピンの内部に容易に設けることができる。また、2つの動吸振器が、ピストンピンの中心軸方向の中央を通りかつ該ピストンピンの中心軸に対して垂直な面を挟んで両側にそれぞれ位置していることで、該面に対する両側(つまりコンロッドの小端部に対するピストンピン中心軸方向の両側)の重量バランスを容易にとることができる。
上記エンジンのピストン構造において、記ピストンピンの両端面に上記開口が形成されており、これら開口に上記キャップがそれぞれ装着されている、ことが好ましい。
このことで、液体を、ピストンピンの貫通孔内におけるピストンピン(貫通孔の内周面)と動吸振器との間に容易に封入することができる。
上記エンジンのピストン構造の一実施形態では、上記オイルは、上記エンジンの潤滑用のオイルである。
これにより、エンジンの潤滑用のオイルを利用することで、動吸振器による振動低減を良好に図ることができる。また、仮にピストンピンの内部の液体がピストンピンの外部に漏れ出てその外部におけるエンジン潤滑用のオイルと混ざったとしても、エンジン潤滑性能には何ら影響しない。
以上説明したように、本発明のエンジンのピストン構造によると、ピストンピンと動吸振器との間に、液体が封入されていることにより、動吸振器による振動低減のチューニングの自由度を高めることができるとともに、動吸振器による振動低減特性の安定化を図ることができる。
本発明の実施形態に係るピストン構造が採用されたエンジンのピストン及びコンロッドを示す図である。 図1のII−II線断面図である(動吸振器は非断面で表示)。 図1のIII−III線断面図である。 ピストン及びコンロッドのバネマスモデルを示す図である。 各減衰係数cd毎の、燃焼行程でのピストンの振動量(ピストンに1Nの荷重を付加したときのピストンの変位量)の周波数特性を示すグラフである。 図5のピストンの振動量の計算の前提となるバネマスモデルを示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図3は、本発明の実施形態に係るピストン構造が採用されたエンジンのピストン1及びコンロッド10を示す。このピストン1は、気筒サイクル(吸気行程、圧縮行程、燃焼行程(膨張行程)及び排気行程)を繰り返すことで、シリンダ(気筒)内でシリンダ軸心方向(図1及び図3の上下方向)に往復動するようになっている。
上記ピストン1は、ピストンピン2を介して、コンロッド10の一端部である小端部10aと連結されている。このコンロッド10の他端部である大端部10bは、不図示のクランクシャフトと連結されている。コンロッド10の小端部10aと大端部10bとは、連結部10cによって連結されている。上記ピストン1の往復動は、コンロッド10を介して上記クランクシャフトに伝達されて該クランクシャフトが回転する。ピストンピン2の中心軸方向(図3の左右方向)は、上記クランクシャフトの軸方向と一致している。
コンロッド10の小端部10aには、ピストンピン2が挿通されるピン挿通孔10dが形成され、コンロッド10の大端部10bには、上記クランクシャフトが挿通されるシャフト挿通孔10eが形成されている。尚、図1では省略しているが、コンロッド10の大端部10bは、連結部10cの長手方向において、シャフト挿通孔10eの中央で2分割構成とされている。
コンロッド10の小端部10aにおけるピン挿通孔10dにピストンピン2が挿通されて、コンロッド10の小端部10aは、ピストンピン2の中心軸方向の中央部に位置している。また、コンロッド10の小端部10aは、ピストンピン2の中心軸方向において、ピストン1の中央に位置している。
ピストンピン2は、コンロッド10のピン挿通孔10dに対して回動可能に挿通されている。尚、コンロッド10のピン挿通孔10dの内周面には、ブッシュ11が固定されており、厳密には、このブッシュ11に対してピストンピン2が回動可能に挿通されていることになる。
ピストンピン2とコンロッド10のピン挿通孔10d(詳しくはブッシュ11)との間には、上記エンジンにおいて循環されているエンジン潤滑用のオイル(エンジンオイル)が供給されることによって潤滑油膜が形成され、この潤滑油膜と上記ブッシュ11とによって、ピストンピン2が、コンロッド10のピン挿通孔10dに対してスムーズに回動することになる。
ピストン1の頂面には、キャビティ1aが形成され、ピストン1におけるピストンピン
2よりも上側の外周面には、円環状のピストンリング1bが嵌められている。
ピストン1の裏面(頂面とは反対側の面)におけるピストンピン2中心軸方向の両端部には、2つのボス部1cがコンロッド10の小端部10aを挟むように上記クランクシャフト側に膨出形成されている。これら2つのボス部1cには、ピストンピン2の中心軸方向に延びるピン支持孔1dがそれぞれ形成されている。2つのボス部1cのピン支持孔1dに、ピストンピン2の中心軸方向の両端部がそれぞれ挿入されて支持されている。
本実施形態では、ピストンピン2の組付方式としてフルフロート式が採用されている。すなわち、ピストンピン2は、コンロッド10のピン挿通孔10dに対して回動可能であるとともに、ピストン1のボス部1cのピン支持孔1dに対しても回動可能とされている。
ピストンピン2とコンロッド10のピン挿通孔10dとの間と同様に、ピストンピン2とピストン1のボス部1cのピン支持孔1dとの間にも潤滑油膜が形成され、この潤滑油膜によって、ピストンピン2が、ピストン1のボス部1cのピン支持孔1dに対してスムーズに回動することになる。
2つのボス部1cのピン支持孔1dにおけるピストン1外周面側の端部には、スナップリング1eがそれぞれ挿入固定されており、これら2つのスナップリング1eが、ピストンピン2の中心軸方向の両端面にそれぞれ接するように位置して、ピストンピン2の中心軸方向の移動を規制している。
上記ピストンピン2は断面中空であり、ピストンピン2の中心部に、ピストンピン2の中心軸方向に延びて貫通する断面円形の貫通孔2aが形成されている。この貫通孔2aの内周面におけるピストンピン2の中心軸方向の中央部には、後述の動吸振器20の固定部20aが圧入される圧入部2bが設けられている。圧入部2bにおける貫通孔2aの内径は、他の部分(後述の収容部2c)における貫通孔2aの内径よりも小さく形成されている。
詳しくは、貫通孔2aは、ピストンピン2の中心軸方向の中央部に位置する小径の上記圧入部2bと、この圧入部2bに対してピストンピン2の中心軸方向両側に連なるように位置する、圧入部2bよりも大径の収容部2cとを有している。
圧入部2bと収容部2cとの間には、段差によってピストンピン2の中心軸方向に面する段差面2dが形成されている。このように圧入部2bを小径にすることで、ピストンピン2の剛性を向上させることができる。
上記ピストンピン2の内部(貫通孔2a内)には、燃焼行程においてピストン1、ピストンピン2及びコンロッド10の小端部10aが一体でコンロッド10の大端部10aに対して共振するのを抑制する2つの動吸振器20が配設されている。これら2つの動吸振器20は、ピストンピン2の中心軸方向の中央を通りかつピストンピン2の中心軸に対して垂直な面を挟んで両側にそれぞれ位置している。
ここで、ピストン1及びコンロッド10のバネマスモデルは、図4のようになる。すなわち、ピストン1、ピストンピン2及びコンロッド10の小端部10aが全体として、質点(質量をM(単位kg)とする)に相当し、コンロッド10の連結部10cが、上記質点をコンロッド10の大端部10bに対して支持するバネ(バネ定数をK(単位N/m)とする)に相当する。
ピストンピン2とコンロッド10のピン挿通孔10dとの間の潤滑油膜は、ピストンピン2とコンロッド10の小端部10aとを連結するバネに相当し、ピストンピン2とピストン1のボス部1cのピン支持孔1dとの間の潤滑油膜は、ピストンピン2とピストン1(ボス部1c)とを連結するバネに相当する。
燃焼行程では、ピストン1が大きな力で押圧されるため、ピストンピン2とコンロッド10のピン挿通孔10dとの間の潤滑油膜(ピストンピン2とコンロッド10の小端部10aとを連結するバネ)、及び、ピストンピン2とピストン1のボス部1cのピン支持孔1dとの間の潤滑油膜(ピストンピン2とピストン1とを連結するバネ)は共に無くなり、この結果、ピストン1、ピストンピン2及びコンロッド10の小端部10aが一体となる。これにより、ピストン1、ピストンピン2及びコンロッド10の小端部10aが一体でコンロッド10の大端部10bに対して、(1/2π)・(K/M)1/2Hzの共振周波数で共振することになる。
この共振を抑制する(共振周波数における振動を低減する)ために、上記2つの動吸振器20がピストンピン2の内部(貫通孔2a内)に設けられている。
図2及び図3に示すように、各動吸振器20は、ピストンピン2の貫通孔2aの内周面に設けられた圧入部2bに固定される固定部20aと、ピストンピン2の内部において該ピストンピン2の中心軸方向に延びる可動部20bと、該可動部20bを上記固定部20aに対してピストンピン2の径方向に振動可能に支持する支持部20cとを有している。
本実施形態では、2つの動吸振器20が一体に形成されている。そして、一方の動吸振器20は、固定部20a、可動部20b、及び支持部20cが金属で一体に形成されており、他方の動吸振器20は、2つの金属部材を互いに組み付けて形成される組付型の動吸振器となっている。以下、2つの動吸振器20を互いに区別する場合には、上記一方の動吸振器20を一体型動吸振器20Aといい、上記他方の動吸振器20を組付型動吸振器20Bという。
2つの動吸振器20は、各々の固定部20aで一体に連結されている。この一体化された固定部20aは、圧入部2bに圧入されて固定されている。これにより、一体型動吸振器20Aの可動部20bは、一方の収容部2cの内部に収容され、組付型動吸振器20Bの可動部20bは、他方の収容部2cの内部に収容される。
各動吸振器20の支持部20bは、該支持部20bにより支持された可動部20cよりもピストンピン2の中心軸方向の中央側に位置し、各動吸振器20の固定部20aは、該固定部20aに連結された支持部20bよりも更にピストンピン2の中心軸方向の中央側に位置している。
各動吸振器20の可動部20bは、ピストンピン2の中心軸方向に延びる円柱状に形成されていて、その外径は、可動部20bが振動しても収容部2cの内周面(ピストンピン2の内壁面)に接触しないような値に設定されている。そうして、可動部20bは、該可動部20bの外周面が収容部2cの内周面との間に隙間を隔てて対向するように、収容部2c内に配置されている。
可動部20bの外径は、圧入部2bの内径よりも大きい。このため、可動部20bは、圧入部2bへ挿通しようとしても、可動部20bの端面が段差面2dに当接して、圧入部2bへの挿通が不能となっている。
各動吸振器20の支持部20cは、略円柱状(詳しくは、可動部20b側に向かって外
径が徐々に小さくなる円錐台形状)に形成されていて、可動部20bと固定部20aとの間に介在している。支持部20cの外径は、固定部20a及び可動部20bの外径並びに圧入部2bの内径よりも小さくて、支持部20cは圧入部2bに挿通可能となっている。
支持部20cは、該支持部20cの外周面が圧入部2bの内周面との間に十分な隙間を隔てて対向するように、圧入部2bの内部に配置されている。これにより、支持部20cは、可動部20bを固定部20aに対してピストンピン2の径方向に振動可能に支持する。
各動吸振器20の固定部20aは、可動部20bと同様に、円柱状に形成されている。固定部20aの外径は、可動部20bの外径よりも小さくされているとともに、固定部20aを圧入部2bに圧入可能なように圧入部2bの内径よりも僅かに大きくされている。各動吸振器20の固定部20a、可動部20b及び支持部20cは、それぞれの中心軸を一致させた状態で直列に連なっており、これらの中心軸が各動吸振器20の中心軸となる。
2つの動吸振器20の中心軸は、ピストンピン2の中心軸と一致するように配置されている。また、2つの動吸振器20の可動部20bの質量は略同じであり、2つの動吸振器20における可動部20bの重心位置が、ピストンピン2の中心軸上に位置しているとともに、ピストンピン2の中心軸方向の中央を通りかつピストンピン2の中心軸に対して垂直な面に対して互いに対称な位置に位置している。
上記組付型動吸振器20Bの可動部20bは、質量調整部50と、固定部20a及び支持部20cと一体形成されかつピストンピン2の中心軸方向に延びる軸部51とで構成されていて、この軸部51の外周面に質量調整部50を圧入により組み付けることによって形成されている。これにより、組付型動吸振器20Bは、一体型動吸振器20Aと比べて、可動部20bの質量調整が容易にでき、製造誤差の修正等、利便性に優れる利点がある。
質量調整部50を軸部51に組み付けたときには、軸部51の先端部(支持部2cとは反対側の端部)が質量調整部50の端面から突出する。この突出部分の外周面には、周方向に凹むリング状の嵌合溝が形成されており、この嵌合溝に、略C形状をなす固定クリップ55が嵌め込まれる。
上記軸部51の外径は、圧入部2bの内径より小さくて、圧入部2bに挿通可能である。これにより、ピストンピン2の貫通孔2a内に一体の2つの動吸振器20を組み付ける際には、貫通孔2a内に、一体型動吸振器20A、及び、軸部51に質量調整部50を組み付ける前の状態の組付型動吸振器20Bを貫通孔2a内に挿入して2つの動吸振器20の固定部20aを圧入部2bに圧入した後に、組付型動吸振器20Bの軸部51に質量調整部50を圧入して組み付ける。本実施形態では、可動部20bが圧入部2bに挿通不能となっているが、組付型動吸振器20Bの可動部20bは、このように質量調整部50を後付けして形成できるため、2つの動吸振器20を一体に形成しても、ピストンピン2に支障なく組み付けることができる。
尚、2つの動吸振器20を共に、一体型動吸振器20Aにすることも可能である。この場合も、2つの動吸振器20を一体に形成することが好ましい。共に一体型動吸振器20Aである2つの動吸振器20を一体に形成した場合には、該2つの動吸振器20をピストンピン2に組み付けることができるように、2つの動吸振器20の可動部20bの外径を圧入部2bの内径よりも小さく設定しておけばよい。また、2つの動吸振器20を共に、組付型動吸振器20Bにすることも可能である。
各動吸振器20の支持部20cは、可動部20b(可動部20bの質量をmd(単位kg)とする)を支持するバネに相当し、そのバネ定数をkd(単位N/m)とすると、上記共振を抑制するためには、基本的には、kd/mdの値をK/Mと略同じになるようにすればよい。このようなkd/mdの値が得られるように、可動部20bの長さ及び外径並びに支持部20cの長さ及び外径を設定する。厳密には、支持部20cの質量も考慮する必要があるが、支持部20cの質量は可動部20bの質量に比べてかなり小さいので、支持部20cの質量を無視することができる。
2つの動吸振器20の可動部20bの質量を略同じにして、2つの動吸振器20(支持部20c)のバネ定数を、互いに異ならせてもよい。これは、共振周波数における振動だけでなく、共振周波数を含む比較的広い範囲の周波数領域で振動を低減することができるからである。2つの動吸振器20のバネ定数を互いに異ならせるには、2つの動吸振器20における支持部20cの長さ又は外径を互いに異ならせればよい。或いは、2つの動吸振器20における支持部20cの長さ及び外径の両方を互いに異ならせてもよい。或いは、2つの動吸振器20における支持部20cの材料を互いに異ならせてもよい。尚、2つの動吸振器20のバネ定数を略同じにしてもよい。
2つの動吸振器20のバネ定数を互いに異ならせる場合、例えば、一方の動吸振器20のバネ定数を、kd/mdの値がK/Mと略同じになるように設定し、他方の動吸振器20のバネ定数を、一方の動吸振器20のバネ定数よりも大きくするか又は小さくする。
上記のように、燃焼行程では、ピストンピン2とコンロッド10のピン挿通孔10dとの間の潤滑油膜(ピストンピン2とコンロッド10の小端部10aとを連結するバネ)、及び、ピストンピン2とピストン1のボス部1cのピン支持孔1dとの間の潤滑油膜(ピストンピン2とピストン1とを連結するバネ)は共に無くなり、この結果、ピストン1、ピストンピン2及びコンロッド10の小端部10aが一体となって大端部10bに対して共振しようとする。しかし、本実施形態では、ピストンピン2に設けられた動吸振器20により、その共振が抑制され、共振による騒音を低減することができる。
一方、吸気行程、圧縮行程及び排気行程では、ピストンピン2とコンロッド10のピン挿通孔10dとの間、及び、ピストンピン2とピストン1のボス部1cのピン支持孔1dとの間に、それぞれ潤滑油膜が存在する。この結果、上記燃焼行程で生じるような共振は生じない。仮に動吸振器20がコンロッド10の小端部10aに設けられていたとすると、燃焼行程では上記共振を抑制することができるものの、共振が生じない吸気行程、圧縮行程及び排気行程においても、動吸振器20が振動する。このため、吸気行程、圧縮行程及び排気行程では、動吸振器20の振動により、却って騒音が大きくなってしまう。しかし、本実施形態では、動吸振器20がピストンピン2に設けられているので、吸気行程、圧縮行程及び排気行程では、ピストンピン2とコンロッド10のピン挿通孔10dとの間の潤滑油膜(ピストンピン2とコンロッド10の小端部10aとを連結するバネ)により、動吸振器20の振動がコンロッド10に伝わることはなく、その振動により騒音が増大するようなことはない。また、ピストンピン2の内部に動吸振器20を設けることで、スペースを有効に利用することができ、ピストン1が大きくならずに済む。
ここで、ピストンピン2の両端面における貫通孔2aの開口が開放されていたとすると、その開口から貫通孔2a内にオイル(エンジンオイル)が進入する場合がある。この貫通孔2a内には、オイルを積極的に供給するようにはなっていないため、ピストンピン2と各動吸振器20との間にオイルが介在する場合があったり介在しない場合があったりする。このため、上記開口が開放された状態では、動吸振器20による振動低減特性が安定しなくなる。
また、ピストンピン2と各動吸振器20(特に可動部20b)との間にオイルが介在しない場合には、可動部20bが固定部20aに対してピストンピン2の径方向に大きく振動して支持部20cに大きな応力が生じ、その応力に耐えるようにするために、例えば支持部20cの外径(つまりピストンピン2と可動部2bとの間のバネ定数k)に制約が生じる。
そこで、本実施形態では、貫通孔2a内におけるピストンピン2と各動吸振器20との間(貫通孔2aの内周面と各動吸振器20の可動部20b及び支持部20cの外周面との間)の隙間に、液体31を封入して、ピストンピン2と各動吸振器20(特に可動部20b)との間に液体31が常に介在するようにする。
本実施形態では、ピストンピン2の両端面に、該両端面における貫通孔2aの開口を閉塞することで、貫通孔2a内におけるピストンピン2と各動吸振器20との間に液体31を封入する封入キャップ32がそれぞれ装着固定されている。この封入キャップ32は、ピストンピン2の端面に対して、容易に外れないようにするために溶接により装着固定することが好ましいが、その他の方法(例えば接着)で装着固定することも可能である。
上記液体31は、図4に示すように、ピストンピン2と可動部20bとの間のダンパとして機能し、その液体31の粘性(粘度又は動粘度)及び貫通孔2a内の上記隙間への封入量によって、そのダンパの減衰係数cd(単位N・s/m)の値が決まる。上記バネ定数kdと共に減衰係数cdを適切に設定することで、動吸振器20による燃焼行程でのピストン1の振動低減を良好に図ることができるようになる。
本実施形態では、上記液体31として、上記エンジンの潤滑用のオイル(エンジンオイル)を用いる。このオイルの動粘度は、5.6cSt〜9.3cStである。このオイルの貫通孔2a内の上記隙間への封入量を適切に設定することによって、動吸振器20による燃焼行程でのピストン1の振動低減を良好に図ることができる。また、仮にピストンピン2の内部の液体31がピストンピン2の外部に漏れ出てその外部のエンジン潤滑用のオイルと混ざったとしても、エンジン潤滑性能には何ら影響しない。尚、液体31は、エンジンオイルに限らず、後述するような適切な減衰係数cdが得られる液体(特に粘性液体)であればよい。
ここで、減衰係数cdの値が、燃焼行程でのピストン1(ピストンピン2及びコンロッド10の小端部10aを含む)の振動にどのように影響を及ぼすのかを計算で求めた結果を図5に示す。この計算は、図6に示すバネマスモデルを用いて行った。ここでは、コンロッド10の小端部10aと大端部10bとの間にもダンパ(エンジンオイル)があるとし、その減衰係数をC(単位N・s/m)としている。上記計算では、M=0.53kg、K=2.7×108N/m、C=135N・s/m、md=0.05kg、kd=2.7×107N/mとし、cdの値を、5N・s/m、10N・s/m、20N・s/m、50N・s/m、100N・s/m、200N・s/mと変化させて、該各cdの値毎に、燃焼行程でのピストン1の振動量(単位m/N)(ピストン1に1Nの荷重を付加したときのピストン1の変位量)の周波数特性を求めた。
燃焼行程でのピストン1の振動量は、基本的に、共振周波数で、動吸振器20を設けない場合よりも大きく減少して、極小となり、共振周波数よりも大きい第1特定周波数、及び、共振周波数よりも小さい第2特定周波数の2箇所で極大となる。これら第1及び第2特定周波数のいずれか一方で、ピストン1の振動量が最大となる。
図5によると、減衰係数cdの値を大きくするに連れて、共振周波数における上記振動
量の極小値が大きくなる一方、上記第1及び第2特定周波数における上記振動量の極大値が小さくなることが分かる。共振周波数における上記振動量の極小値が大きくなっても、上記第1及び第2特定周波数における上記振動量の極大値よりも小さければ、燃焼行程においてピストン1、ピストンピン2及びコンロッド10の小端部10aが一体でコンロッド10の大端部10aに対して共振するのを効果的に抑制できていることになる。また、上記第1及び第2特定周波数における上記振動量の極大値が小さくなることで、ピストン1の振動量の最大値を小さくすることができ、共振周波数を含む広い範囲の周波数領域でピストン1の振動を低減できることになる。このことから、減衰係数cdは、上記共振を効果的に抑制できかつ広い範囲の周波数領域でピストン1の振動を低減できるような値に設定すればよい。
したがって、本実施形態では、貫通孔2a内におけるピストンピン2と各動吸振器20との間(貫通孔2aの内周面と各動吸振器20の可動部20b及び支持部20cの外周面との間)の隙間に、液体31が封入されているので、その液体31が、ピストンピン2と各動吸振器20(特に可動部20b)との間に常に介在することになり、動吸振器20による振動低減特性が安定する。また、液体31により、動吸振器20の可動部20bのピストンピン2径方向への振動量が制限され、これにより、その可動部20bを支持する支持部20cに生じる応力を低減することができる。この結果、その応力に耐えるようにするために、支持部20cの形状等(つまりピストンピン2と可動部20bとの間のバネ定数kd)に制約を設ける必要がなくなる。また、液体31は、ピストンピン2と可動部20bとの間のダンパとして機能し、上記バネ定数kdの設定に加えて、液体31の粘性(粘度又は動粘度)及び貫通孔2a内の上記隙間への封入量の設定、つまり上記ダンパの減衰係数cdの設定によっても、動吸振器20による振動低減のチューニングを図ることができる。よって、動吸振器20による振動低減のチューニングの自由度を高めることができるとともに、動吸振器20による振動低減特性の安定化を図ることができる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明は、シリンダ内で往復動するピストンと、小端部が上記ピストンと連結されかつ大端部がクランクシャフトと連結されるコンロッドと、上記ピストンと上記コンロッドの小端部とを連結する断面中空のピストンピンと、上記ピストンピンの内部に設けられ、燃焼行程において上記ピストン、上記ピストンピン及び上記コンロッドの小端部が一体で上記コンロッドの大端部に対して共振するのを抑制する動吸振器とを備えた、エンジンのピストン構造に有用である。
1 ピストン
2 ピストンピン
10 コンロッド
10a 小端部
10b 大端部
20 動吸振器
20a 固定部
20b 可動部
20c 支持部
31 液体
32 封入キャップ

Claims (4)

  1. シリンダ内で往復動するピストンと、小端部が上記ピストンと連結されかつ大端部がクランクシャフトと連結されるコンロッドと、上記ピストンと上記コンロッドの小端部とを連結する断面中空のピストンピンと、上記ピストンピンの中空の孔の内部に設けられ、燃焼行程において上記ピストン、上記ピストンピン及び上記コンロッドの小端部が一体で上記コンロッドの大端部に対して共振するのを抑制する動吸振器とを備えた、エンジンのピストン構造であって、
    上記ピストンと上記コンロッドと上記ピストンピンの周囲には、これらがスムーズに回動するようにオイルが供給され、
    上記ピストンピンの中心軸方向の端面には、上記中空の孔の開口が形成され、
    上記動吸振器は、上記ピストンピンの内壁面に固定される固定部と、上記中空の孔の内部において上記固定部から上記開口に向かって上記ピストンピンの中心軸方向に延びる可動部と、を有し、
    上記動吸振器による振動低減特性が安定するように、上記開口から上記中空の孔の内部への外部からのオイルの進入を抑制するとともに、上記ピストンピンの内壁面と上記動吸振器との間へのオイルの封入量を適切に設定するためのキャップが、上記開口に装着されていることを特徴とするエンジンのピストン構造。
  2. 請求項1記載のエンジンのピストン構造において、
    上記ピストンピンの内部に、2つの上記動吸振器が設けられており、
    記2つの動吸振器は、上記ピストンピンの中心軸方向の中央を通りかつ該ピストンピンの中心軸に対して垂直な面を挟んで両側にそれぞれ位置していることを特徴とするエンジンのピストン構造。
  3. 請求項1又は2記載のエンジンのピストン構造において、
    記ピストンピンの両端面に上記開口が形成されており、これら開口に上記キャップがそれぞれ装着されていることを特徴とするエンジンのピストン構造。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載のエンジンのピストン構造において、
    上記オイルは、上記エンジンの潤滑用のオイルであることを特徴とするエンジンのピストン構造。
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