JP6020057B2 - エンジンのピストン構造 - Google Patents

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Description

本発明は、ピストンとコンロッドの小端部とをピストンピンにより連結するようにしたエンジンのピストン構造に関する技術分野に属する。
一般に、自動車等の車両に搭載されたエンジンでは、ピストンとコンロッドの小端部とがピストンピンにより連結されている。具体的には、コンロッドの小端部に形成されたピン挿通孔にピストンピンが挿通されて、コンロッドの小端部はピストンピンの中心軸方向の中央部に位置する。ピストンの裏面(頂面と反対側の面)におけるピストンピン中心軸方向の両端部には、2つのボス部がコンロッドの小端部を挟むように形成され、これら2つのボス部には、ピストンピンの中心軸方向の両端部が挿入されて該両端部を支持するピン支持孔がそれぞれ形成されている(例えば、特許文献1参照)。
上記エンジンでは、該エンジンの基本構造で決まる共振により燃焼騒音が生じることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。非特許文献1では、エンジン音が1.7kHz、3.3kHz、6kHzの3つのピークを持ち、そのうちの1つのピーク(3.3kHz)が、コンロッドの伸縮共振によるものであり、その共振の振幅低減の余地が殆どないとされている。
特開2004−353500号公報
大塚 雅也,「ディーゼル燃焼騒音のエンジン構造での低減方法」,自動車技術会学術講演会前刷集 No.36−05,社団法人 自動車技術会,2005年5月,p7−10
本発明者らは、ピストン及びコンロッドのバネマスモデルについて鋭意研究を重ね、その結果、以下のようなことが判明した。
ピストン及びコンロッドのバネマスモデルにおいて、ピストン、ピストンピン及びコンロッドの小端部が全体として、質点(質量をM(単位kg)とする)に相当し、コンロッドにおける小端部と大端部とを連結する連結部が、上記質点を該大端部に対して支持するバネ(バネ定数をK(単位N/m)とする)に相当する。これにより、ピストン、ピストンピン及びコンロッドの小端部が一体であるとすると、これらが一体でコンロッドの大端部に対して(1/2π)・(K/M)1/2Hzの共振周波数(例えば、3kHz〜4kHz)で共振することになる。この共振は、上記非特許文献1で言うところのコンロッドの伸縮共振に相当する。
ところで、ピストンピンとコンロッドのピン挿通孔との間には、潤滑油膜が形成される。この潤滑油膜は、ピストンピンとコンロッドの小端部とを連結するバネに相当する。また、ピストンピンをボス部及びコンロッドの小端部の双方に対して回動可能とするフルフロート式の組付方式が採用された場合には、ピストンピンとコンロッドのピン挿通孔との間に加えて、ピストンピンとピストンのボス部のピン支持孔との間にも、潤滑油膜が形成される。この潤滑油膜は、ピストンピンとピストンとを連結するバネに相当する。
ピストンピンとコンロッドのピン挿通孔との間の潤滑油膜(フルフロート式では、該潤滑油膜、及び、ピストンピンとピストンのボス部のピン支持孔との間の潤滑油膜)が存在すれば、ピストンは、コンロッドの小端部に対してバネを介して支持されることとなり、ピストン、ピストンピン及びコンロッドの小端部が一体でコンロッドの大端部に対して共振するようなことはない。燃焼行程(膨張行程)以外では、ピストンが大きな力で押圧されないため、上記潤滑油膜が存在し、よって、上記共振は生じない。
一方、燃焼行程では、ピストンが大きな力で押圧されるため、上記潤滑油膜が無くなり、この結果、ピストン、ピストンピン及びコンロッドの小端部が一体となってコンロッドの大端部に対して共振することになる。
以上の観点から、燃焼行程でピストン、ピストンピン及びコンロッドの小端部が一体となるので、その共振を抑制する(共振周波数における振動を低減する)ために、動吸振器を利用することが考えられる。しかし、動吸振器を単純に設けるだけでは、燃焼行程で上記共振による騒音を低減できても、ピストン、ピストンピン及びコンロッドの小端部が一体とならない他の行程で、動吸振器の振動により騒音が増大してしまう。
本発明の目的とするところは、燃焼行程においてピストン、ピストンピン及びコンロッドの小端部が一体でコンロッドの大端部に対して共振するのを抑制するとともに、他の行程において騒音が増大するのを抑制しようとすることにある。
上記の目的を達成するために、本発明では、エンジンのピストン構造として、シリンダ内で往復動するピストンと、小端部が上記ピストンと連結されかつ大端部がクランクシャフトと連結されるコンロッドと、上記ピストンと上記コンロッドの小端部とを連結するピストンピンと、上記ピストンにおける上記ピストンピンを挟む2つのスカート部の内側にそれぞれ設けられ、燃焼行程において上記ピストン、上記ピストンピン及び上記コンロッドの小端部が一体で上記コンロッドの大端部に対して共振するのを抑制する動吸振器とを備え、上記各動吸振器は、上記ピストンに固定される固定部と、該固定部から上記ピストンピンの中心軸方向に延びる梁部とで構成されている、という構成とした。
上記の構成により、燃焼行程で、ピストンピンとコンロッドとの間の潤滑油膜(フルフロート式では、該潤滑油膜、及び、ピストンピンとピストンとの間の潤滑油膜)が無くなって、ピストン、ピストンピン及びコンロッドの小端部が一体となった場合、動吸振器により、それらが一体で共振するのを抑制することができる。また、動吸振器がピストンに設けられているので、ピストンピンとコンロッドとの間(フルフロート式では、ピストンピンとコンロッドとの間、及び、ピストンピンとピストンとの間)に潤滑油膜が存在する場合、つまり吸気行程、圧縮行程及び排気行程では、この潤滑油膜(バネ)により、動吸振器の振動がコンロッドに伝わることはなく、その振動により騒音が増大するようなことはない。また、動吸振器がピストンにおけるピストンピンを挟む2つのスカート部の内側にそれぞれ設けられているので、通常はデッドスペースとなっているスカート部内側のスペースを有効に利用することができて、ピストンが大きくならずに済むとともに、ピストンピンを挟む両側の重量バランスを容易にとることができる。
また、上記各動吸振器は、上記ピストンに固定される固定部と、該固定部から上記ピストンピンの中心軸方向に延びる梁部とで構成されていることにより、梁部が、固定部に対して梁部の長さ方向と垂直な方向に振動することで、上記共振を抑制することができる。したがって、動吸振器を、簡単に構成することができるとともに、ピストンのスカート部内側に容易に設けることができる。
上記エンジンのピストン構造において、上記2つの動吸振器における梁部の質量が略同じであり、上記2つの動吸振器のバネ定数が互いに異なる、ことが好ましい。
このことで、ピストンピンを挟む両側の重量バランスをとりながら、共振周波数を含む比較的広い範囲の周波数領域で振動を低減することができる。また、動吸振器の製造誤差により、共振の抑制効果が不十分になる可能性があるが、2つの動吸振器のバネ定数を互いに異ならせておけば、共振周波数を含む比較的広い範囲の周波数領域で振動を低減することができるので、動吸振器の製造誤差が生じても、共振の抑制効果が十分に得られるようになる。
以上説明したように、本発明のエンジンのピストン構造によると、ピストンにおけるピストンピンを挟む2つのスカート部の内側に動吸振器をそれぞれ設け、該各動吸振器を、上記ピストンに固定される固定部と、該固定部から上記ピストンピンの中心軸方向に延びる梁部とで構成したことにより、燃焼行程においてピストン、ピストンピン及びコンロッドの小端部が一体でコンロッドの大端部に対して共振するのを抑制することができ、その共振による騒音を低減することができるとともに、動吸振器の振動により他の行程で騒音が増大するのを抑制することができる。また、動吸振器を、簡単に構成することができるとともに、ピストンのスカート部内側に容易に設けることができる。
本発明の実施形態に係るピストン構造が採用されたエンジンのピストン及びコンロッドを示す図である。 図1のII−II線断面図である。 図2のIII−III線断面図である。 ピストン及びコンロッドのバネマスモデルを示す図である。 (a)は、動吸振器を設けない場合の燃焼行程におけるピストンの自己イナータンスの周波数特性を示すグラフであり、(b)〜(h)は、動吸振器を設けた場合であって、該動吸振器の梁部の質量を、それぞれ、0.02kg、0.04kg、0.06kg、0.08kg、0.10kg、0.15kg、0.20kgとした場合の燃焼行程におけるピストンの自己イナータンスの周波数特性を示すグラフである。 梁部の質量とピストンの自己イナータンスの最大値との関係を示すグラフである。 (a)〜(f)は、一方の動吸振器のバネ定数に対する他方の動吸振器のバネ定数の比率Cを、それぞれ、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4,1.5とした場合の燃焼行程におけるピストンの自己イナータンスの周波数特性を示すグラフである。 (a)〜(e)は、上記比率Cを、それぞれ、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0とした場合の燃焼行程におけるピストンの自己イナータンスの周波数特性を示すグラフである。 一方の動吸振器のバネ定数に対する他方の動吸振器のバネ定数の比率Cの値と、ピストンの自己イナータンスの最大値との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図3は、本発明の実施形態に係るピストン構造が採用されたエンジンのピストン1及びコンロッド10を示す。このピストン1は、気筒サイクル(吸気行程、圧縮行程、燃焼行程(膨張行程)及び排気行程)を繰り返すことで、シリンダ(気筒)内でシリンダ軸心方向(上下方向に一致)に往復動するようになっている。
上記ピストン1は、ピストンピン2を介して、コンロッド10の一端部である小端部10aと連結されている。このコンロッド10の他端部である大端部10bは、不図示のクランクシャフトと連結されている。コンロッド10の小端部10aと大端部10bとは、連結部10cによって連結されている。上記ピストン1の往復動は、コンロッド10を介して上記クランクシャフトに伝達されて該クランクシャフトが回転する。ピストンピン2の中心軸方向(図1の紙面に垂直な方向、図2の上下方向、図3の左右方向)は、上記クランクシャフトの軸方向と一致している。
コンロッド10の小端部10aには、ピストンピン2が挿通されるピン挿通孔10dが形成され、コンロッド10の大端部10bには、上記クランクシャフトが挿通されるシャフト挿通孔10eが形成されている。尚、図1では省略しているが、コンロッド10の大端部10bは、連結部10cの長手方向において、シャフト挿通孔10eの中央で2分割構成とされている。
コンロッド10の小端部10aにおけるピン挿通孔10dにピストンピン2が挿通されて、コンロッド10の小端部10aは、ピストンピン2の中心軸方向の中央部に位置している。また、コンロッド10の小端部10aは、ピストンピン2の中心軸方向において、ピストン1の中央に位置している。
ピストンピン2は、コンロッド10のピン挿通孔10dに対して回動可能に挿通されている。尚、コンロッド10のピン挿通孔10dの内周面には、ブッシュ11が固定されており、厳密には、このブッシュ11に対してピストンピン2が回動可能に挿通されていることになる。
ピストンピン2とコンロッド10のピン挿通孔10d(詳しくはブッシュ11)との間には、上記エンジンにおいて循環されている潤滑油が供給されることによって潤滑油膜が形成され、この潤滑油膜と上記ブッシュ11とによって、ピストンピン2が、コンロッド10のピン挿通孔10dに対してスムーズに回動することになる。
ピストン1の頂面には、キャビティ1aが形成され、ピストン1におけるピストンピン2よりも上側の外周面には、複数(本実施形態では、3つ)の円環状のピストンリング1bが嵌められている。
ピストン1の裏面(頂面とは反対側の面)におけるピストンピン2中心軸方向の両端部には、2つのボス部1cがコンロッド10の小端部10aを挟むように上記クランクシャフト側に膨出形成されている。これら2つのボス部1cには、ピストンピン2の中心軸方向に延びるピン支持孔1dがそれぞれ形成されている。2つのボス部1cのピン支持孔1dに、ピストンピン2の中心軸方向の両端部がそれぞれ挿入されて支持されている。
本実施形態では、ピストンピン2の組付方式としてフルフロート式が採用されている。すなわち、ピストンピン2は、コンロッド10のピン挿通孔10dに対して回動可能であるとともに、ピストン1のボス部1cのピン支持孔1dに対しても回動可能とされている。
ピストンピン2とコンロッド10のピン挿通孔10dとの間と同様に、ピストンピン2とピストン1のボス部1cのピン支持孔1dとの間にも潤滑油膜が形成され、この潤滑油膜によって、ピストンピン2が、ピストン1のボス部1cのピン支持孔1dに対してスムーズに回動することになる。
2つのボス部1cのピン支持孔1dにおけるピストン1外周面側の端部には、スナップリング1eがそれぞれ挿入固定されており、これら2つのスナップリング1eが、ピストンピン2の中心軸方向の両端面にそれぞれ接するように位置して、ピストンピン2の中心軸方向の移動を規制している。
本実施形態では、上記ピストンピン2は断面中空であり、ピストンピン2の中心部に、ピストンピン2の中心軸方向に延びる貫通孔2aが形成されている。尚、ピストンピン2は、断面中空のものに限らず、中実のものであってもよい。
ピストン1の裏面においてピストンピン2の中心軸方向と垂直なピストン径方向の両側には、スカート部1fがそれぞれ設けられている。これら2つのスカート部1fは、ピストンピン2を、該ピストンピン2の中心軸方向と垂直なピストン径方向に挟む両側にそれぞれ位置して、ピストン1の中心軸方向(シリンダ軸心方向)から見て、ピストン1の径方向外側に膨らむように円弧状をなしていて、2つのボス1c同士を連結している。
上記ピストン1における2つのスカート部1fの内側には、ピストンピン2の中心軸方向に延びかつ下側に開放された空間1gがそれぞれ形成されている。これら2つの空間1g内には、燃焼行程においてピストン1、ピストンピン2及びコンロッド10の小端部10aが一体でコンロッド10の大端部10aに対して共振するのを抑制する2つの動吸振器20がそれぞれ配設されている。
ここで、ピストン1及びコンロッド10のバネマスモデルは、図4のようになる。すなわち、ピストン1、ピストンピン2及びコンロッド10の小端部10aが全体として、質点(質量をM(単位kg)とする)に相当し、コンロッド10の連結部10cが、上記質点をコンロッド10の大端部10bに対して支持するバネ(バネ定数をK(単位N/m)とする)に相当する。
燃焼行程では、ピストン1が大きな力で押圧されるため、ピストンピン2とコンロッド10のピン挿通孔10dとの間の潤滑油膜(ピストンピン2とコンロッド10の小端部10aとを連結するバネ)、及び、ピストンピン2とピストン1のボス部1cのピン支持孔1dとの間の潤滑油膜(ピストンピン2とピストン1とを連結するバネ)は共に無くなり、この結果、ピストン1、ピストンピン2及びコンロッド10の小端部10dが一体となる。これにより、ピストン1、ピストンピン2及びコンロッド10の小端部10aが一体でコンロッド10の大端部10bに対して、(1/2π)・(K/M)1/2Hzの共振周波数で共振することになる。
この共振を抑制する(共振周波数における振動を低減する)ために、ピストン1における2つのスカート部1fの内側の空間1gに上記2つの動吸振器20がそれぞれ設けられる。
図2及び図3に示すように、各動吸振器20は、上記ピストン1に固定される固定部20aと、該固定部20aからピストンピン2の中心軸方向に延びる、断面矩形状の梁部20bとで構成されている。本実施形態では、互いにピストンピン2の中心軸方向に離れた位置に位置する2つの固定部に、梁部20bの長さ方向両端が接続されている。すなわち、梁部20bは、固定部20a(つまりピストン1)に両持ち梁状に支持されている。2つの固定部20a及び梁部20bは一体形成されたものであり、各固定部20aは梁部2bと同じ断面形状を有している。
尚、梁部20bは、固定部20a(ピストン1)に片持ち梁状に支持されるようにしてもよい。この片持ち梁状の支持の場合、一方の動吸振器20の固定部20aが、ピストンピン2の中心軸方向の一方側に位置し、他方の動吸振器20の固定部20aが、ピストンピン2の中心軸方向の他方側又は上記一方側に位置するようにすればよい。
ピストン1の裏面における各スカート部1fの内側部分には、各動吸振器20の2つの固定部20aがそれぞれ取付固定される2つの台座部1hが下側に突出形成されている。これら2つの台座部1hは、ピストン1の裏面におけるスカート部1fの内側部分において互いにピストンピン2の中心軸方向に離れた位置に設けられている。これら2つの台座部1hの下面に、各動吸振器20の2つの固定部20aがボルト25によりそれぞれ取付固定される。
各動吸振器20の梁部20bは、質量m(単位kg)の質点及びバネ定数k(単位N/m)のバネに相当し、上記共振を抑制するためには、基本的には、k/mの値をK/Mと略同じになるようにすればよい。このようなk/mの値が得られるように、梁部20bの材料、長さ、幅及び厚みを設定する。尚、共振周波数以外の周波数で振動が大きくなってもよい場合には、k/mの値がK/Mと略同じである必要はない。
本実施形態では、各動吸振器20の梁部20bは、ピストン1の中心軸方向(シリンダ軸心方向)から見て、梁部20bの長さ方向中央部が両端に対してピストン1の径方向外側に突出するように湾曲しているが、基本的には、ピストンピン2の中心軸方向に延びていると言える。このように梁部20bを湾曲させるのは、梁部20bの長さを長くして、その長さを調整し易くするためである。梁部20bの長さによっては、梁部20bが、ピストンピン2の中心軸方向に直線状に延びていてもよい。
2つの動吸振器20の梁部20bの重心位置は、ピストン1の中心軸を含みかつピストンピン2の中心軸に対して垂直な平面上に位置するとともに、ピストン1の中心軸及びピストンピン2の中心軸を共に含む平面に対して互いに略対称な位置に位置している。また、2つの動吸振器20の梁部20bの質量は略同じである。これにより、ピストンピン2を挟む両側の重量バランスと、ピストン1の中心軸を含みかつピストンピン2の中心軸に対して垂直な平面に対する両側の重量バランスとを容易にとることができる。
2つの動吸振器20の梁部20bの質量を略同じにして、2つの動吸振器20のバネ定数(梁部20bの長さ方向と垂直な方向(特に梁部20bの厚み方向)のバネ定数)を、互いに異ならせることが好ましい。これは、共振周波数における振動だけでなく、共振周波数を含む比較的広い範囲の周波数領域で振動を低減することができるからである。2つの動吸振器20のバネ定数を互いに異ならせるには、2つの動吸振器20における梁部20cの材料、長さ、幅又は厚みを互いに異ならせればよい。尚、2つの動吸振器20のバネ定数を略同じにしてもよい。
2つの動吸振器20のバネ定数を互いに異ならせる場合、例えば、一方の動吸振器20のバネ定数を、k/mの値がK/Mと略同じになるように設定し、他方の動吸振器20のバネ定数を、一方の動吸振器20のバネ定数よりも大きくするか又は小さくする。
動吸振器20の梁部20bは、断面矩形状のものに限らず、どのような断面形状であってもよい。また、動吸振器20は、上記共振を抑制できるものであれば、どのような形態であってもよい。
上記のように、燃焼行程では、ピストンピン2とコンロッド10のピン挿通孔10dとの間の潤滑油膜(ピストンピン2とコンロッド10の小端部10aとを連結するバネ)、及び、ピストンピン2とピストン1のボス部1cのピン支持孔1dとの間の潤滑油膜(ピストンピン2とピストン1とを連結するバネ)は共に無くなり、この結果、ピストン1、ピストンピン2及びコンロッド10の小端部10dが一体となって大端部10bに対して共振しようとする。しかし、本実施形態では、ピストン1に設けられた動吸振器20の梁部20bが、梁部20bの長さ方向と垂直な方向(特に、梁部20bの厚み方向である、ピストン1の中心軸方向)に振動することにより、その共振が抑制され、共振による騒音を低減することができる。
一方、吸気行程、圧縮行程及び排気行程では、ピストンピン2とコンロッド10のピン挿通孔10dとの間、及び、ピストンピン2とピストン1のボス部1cのピン支持孔1dとの間に、それぞれ潤滑油膜が存在する。この結果、上記燃焼行程で生じるような共振は生じない。仮に動吸振器20がコンロッド10の小端部10aに設けられていたとすると、燃焼行程では上記共振を抑制することができるものの、共振が生じない吸気行程、圧縮行程及び排気行程においても、動吸振器20が振動する。このため、吸気行程、圧縮行程及び排気行程では、動吸振器20の振動により、却って騒音が大きくなってしまう。しかし、本実施形態では、動吸振器20がピストン1に設けられているので、吸気行程、圧縮行程及び排気行程では、ピストンピン2とコンロッド10のピン挿通孔10dとの間の潤滑油膜(ピストンピン2とコンロッド10の小端部10aとを連結するバネ)、及び、ピストンピン2とピストン1のボス部1cのピン支持孔1dとの間の潤滑油膜(ピストンピン2とピストン1とを連結するバネ)により、動吸振器20の振動がコンロッド10に伝わることはなく、その振動により騒音が増大するようなことはない。また、ピストン1におけるスカート部1fの内側の空間1gに動吸振器20を設けることで、通常はデッドスペースとなっているスカート部内側のスペースを有効に利用することができて、ピストン1が大きくならずに済む。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
ここで、上記実施形態と同様の構成の2つの動吸振器を、ピストンにおける2つのスカート部の内側空間にそれぞれ設けて、該動吸振器による共振の抑制効果を調べる試験を行った。上記エンジンにおいて動吸振器を設けない場合の燃焼行程におけるピストンの自己イナータンス(ピストンに1Nの荷重を付加したときのピストンの振動の加速度)の周波数特性は、図5(a)のようになっており、共振周波数が約3500Hzとなっている。
上記2つの動吸振器の梁部の質量mを同じにしながら、その各梁部の幅及び厚みを変化させることで、各梁部の質量mを、0.02kg、0.04kg、0.06kg、0.08kg、0.10kg、0.15kg、0.20kgと変化させて、それぞれの質量で、ピストンの自己イナータンスの周波数特性を調べた。このとき、2つの動吸振器のバネ定数kは同じであるが、質量mが大きくなるに連れて、kの値を大きくしている。ここでは、k/mの値は、質量mが大きくなるに連れて大きくなっている。
上記試験の結果を、図5(b)〜(h)に示す。図5(b)〜(h)は、2つの動吸振器の梁部の質量を、それぞれ0.02kg、0.04kg、0.06kg、0.08kg、0.10kg、0.15kg、0.20kgとした場合の燃焼行程におけるピストンの自己イナータンスの周波数特性を示す。図5(b)〜(h)の破線のグラフは、図5(a)の動吸振器を設けない場合のものである。また、図6に、梁部の質量(図5(a)の動吸振器を設けない場合は、梁部の質量を0としている)と、ピストンの自己イナータンスの最大値との関係を示す。
図5及び図6より、ピストンの自己イナータンスの最大値は、梁部の質量mを所定値(上記試験の場合、例えば0.02kg)以上とすれば、低い値で安定し、共振の抑制効果が十分に得られることが分かる。すなわち、梁部の質量は、該質量に対してバネ定数を適切に設定できれば、いくらでもよいが、梁部の質量が上記所定値よりも小さいと、動吸振器の製造誤差の影響を受けて、共振の抑制効果が不十分になる可能性がある。したがって、梁部の質量は、動吸振器の製造誤差の影響を受け難いように、上記所定値以上とすればよい。但し、梁部の質量が大きすぎると、動吸振器をピストンに設けることが困難になるとともにピストンが動吸振器によって重くなるので、上記所定値に近い値であることが好ましい。
次に、2つの動吸振器の梁部の質量を共に0.025kgと一定にしながら、2つの動吸振器のバネ定数(梁部の厚み方向のバネ定数)を互いに異ならせた。一方の動吸振器のバネ定数に対する、他方の動吸振器のバネ定数の比率Cを、1.0から2.0まで0.1刻みで変化させた。各比率C毎に、燃焼行程におけるピストンの自己イナータンスの周波数特性を調べた。
この結果を、図7(a)〜(f)及び図8(a)〜(e)に示す。図7(a)は、C=1.0とした場合のものであって、2つの動吸振器のバネ定数は同じである。図7(b)〜(f)は、上記比率Cの値を、それぞれ、1.1、1.2、1.3、1.4,1.5とした場合のものであり、図8(a)〜(e)は、上記比率Cの値を、それぞれ、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0とした場合のものである。図7(a)〜(f)及び図8(a)〜(e)の破線のグラフは、図5(a)の動吸振器を設けない場合のものである。また、図9に、上記比率Cの値とピストンの自己イナータンスの最大値との関係を実線で示す。図9の一点鎖線のラインは、図5(a)の動吸振器を設けない場合におけるピストンの自己イナータンスの最大値を示すラインである。
図7及び図8より、上記比率Cの値を大きくしていくことで、2つの動吸振器のバネ定数が同じである場合に比べて広い範囲の周波数領域(共振周波数を含む)で振動を低減できることが分かる。但し、図7〜図9より、上記比率Cの値を大きくしすぎると、共振周波数における振動の低減効果が低くなることが分かる。したがって、上記比率Cの値としては、共振周波数における振動を大きく低減しながら出来る限り広い範囲の周波数領域で振動を低減できるような所定範囲(例えば1.1〜1.3)内とすることが好ましい。尚、動吸振器を設けない場合(破線のグラフ)よりも振動が低減する上記周波数領域の外側では、動吸振器を設けない場合よりも振動が大きくなっているが、その大きさ自体がかなり小さいので、騒音として問題にはならない。
このように2つの動吸振器のバネ定数を互いに異ならせれば、共振周波数を含む比較的広い範囲の周波数領域で振動を低減することができるので、動吸振器の製造誤差が生じても、共振の抑制効果が十分に得られるようになる。
本発明は、ピストンとコンロッドの小端部とをピストンピンにより連結するようにしたエンジンのピストン構造に有用である。
1 ピストン
1f スカート部
2 ピストンピン
10 コンロッド
10a 小端部
10b 大端部
20 動吸振器
20a 固定部
20b 梁部

Claims (2)

  1. シリンダ内で往復動するピストンと、
    小端部が上記ピストンと連結されかつ大端部がクランクシャフトと連結されるコンロッドと、
    上記ピストンと上記コンロッドの小端部とを連結するピストンピンと、
    上記ピストンにおける上記ピストンピンを挟む2つのスカート部の内側にそれぞれ設けられ、燃焼行程において上記ピストン、上記ピストンピン及び上記コンロッドの小端部が一体で上記コンロッドの大端部に対して共振するのを抑制する動吸振器とを備え、
    上記各動吸振器は、上記ピストンに固定される固定部と、該固定部から上記ピストンピンの中心軸方向に延びる梁部とで構成されていることを特徴とするエンジンのピストン構造。
  2. 請求項記載のエンジンのピストン構造において、
    上記2つの動吸振器における梁部の質量が略同じであり、
    上記2つの動吸振器のバネ定数が互いに異なることを特徴とするエンジンのピストン構造。
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