JP6112037B2 - エンジンのピストン構造 - Google Patents
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Description
また、ピストンピンの内部に動吸振器を設ける場合、ピストンピン内部のスペースは限られており、このため動吸振器による性能向上が制限されたり、振動レベルの大きいエンジンへの適用が制約されたりするという問題点があった。
よって、スペースが限られていることにより性能向上が制限されたり、振動レベルの大きいエンジンへの適用が制約されたりすることを抑制することができる。
図面はディーゼルエンジンのピストン構造を示し、図1はエンジンのピストンおよびコンロッドを示す図、図2は図1のA−A線矢視断面図、図3は図1のB−B線矢視断面図である。
そして上述の各リング溝1b、1c、1dには、図1に示すように、トップリング12、セカンドリング13、オイルリング14がそれぞれ装着されている。
さらに、上述の各ダンパ20,20はその軸方向移動を機械的に規制する規制手段を備えている。
また、上述の軸部20dは支持部20c側から外端側に向けて、外径がD3の第1軸部21と、外径がD1の第2軸部22と、外径がD2の第3軸部23と、外径がDOの第4軸部24とをこの順に一体形成し、DO<D1<D2<D3の関係式が成立するように各軸部21〜24の外径寸法を設定している。
上述のキャップ部40は、圧入方向先端側に位置する圧入部41と、第4軸部24の外周に遊嵌されるネック部42とを一体形成した2段円筒形状に形成されており、圧入部41の内外径と同一内外径の円筒部43と、ネック部42との間にはストッパ部44を形成し、キャップ部40の圧入時に、該ストッパ部44が段差面25に当接することで、圧入を完了すべく構成し、これにより、キャップ部40の位置決めを行なうように成している。
而して、ピストンピン2の段差面2dの最小径部の内径D4に対して、キャップ部40の外径D6(可動部20bの外径)を大きく形成(D6>D4)し、これにより規制手段31を構成し、ダンパ20が軸方向へ移動するのを規制するように構成している。
上述の表面処理としては、高周波焼入れ、浸炭焼入れ(表面に炭素を浸入固溶させる処理)、窒化(鋼に対して窒素を内部に拡散、浸透させ、表面に窒化物を形成させる表面処理)の何れの表面硬化処理であってもよい。
また、比重が大きい材料(キャップ部40の材料)としては、例えば、比重が11.4の鉛、または、比重が約8.9の銅合金を用いる。
さらに、図4に示すキャップ部40以外を、該キャップ部40を形成する材料の強度に対して、強度が高い材料(例えば、表面硬化処理された炭素鋼)を用いて構成している。
さらに、上述のキャップ部40の交換によって図示右側のダンパ20における可動部20bの質量調整ができるので、制作誤差の修正等、利便性に優れるものである。
よって、スペースが限られていることによりダンパ性能向上が制限されたり、振動レベルの大きいエンジンへの適用が制約されたりすることを抑制することができる。
図6に示すこの実施例2においてはピストンピン2の中心軸方向の中央部に実施例1の圧入部2bに代えて挿入部2eを形成している。また固定部20aの外径に対して左右のダンパ20,20の各可動部20b,20bの外径を小さく形成している。
上述の固定部20aおよび支持部20cは、例えば、比重が概ね7.812〜7.85の炭素鋼を焼入れ、焼もどしして用いている。この実施例2では、先の実施例1のようなキャップ部を採用しないので、各ダンパ20のそれぞれの可動部20b,20bの全体を、例えば、比重が11.4の鉛、または、比重が約8.9の銅合金を用いて構成している。
さらに、可動部20b以外である固定部20a、支持部20cは、可動部20bを形成する材料(例えば、鉛や銅合金)の強度に対して、強度が高い材料(例えば、炭素鋼)を用いて構成している。
また、この実施例2においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例とほぼ同様であるから、図6において、前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
図7に示す実施例3においては、ダンパ20を2つ設け、図示右側のダンパ20(他方のダンパ)の支持部20cには、当該支持部20cからピストンピン軸方向に延びる軸部20dを一体形成し、該軸部20d外周にはキャップ部40を固定して、軸部20dとキャップ部40とで可動部20bを形成すると共に、規制手段30,35を、固定部20aを固定するピストンピン2小径部の段差面2dと、可動部20bの大径部(右側においてはキャップ部40の外径部)にて構成している。
また、上述のキャップ部40の軸方向外端は、軸部20dの対応位置に装着したC形クリップ等の係止リング36で抜け止め固定している。
また可動部20bの一部であるキャップ部40は、例えば、比重が11.4の鉛、または、比重が約8.9の銅合金を用いて構成している。
図7で示した実施例3においては、固定部20aを隔てた図示右側を組付型のダンパ20とし、固定部20aを隔てた図示左側を一体型のダンパ20としたが、図8で示すこの実施例4においては、固定部20aを隔てた図示の左右両側をそれぞれ図7の図示右側の構成と同等の組付型のダンパ20,20としたものである。
さらに、キャップ部40以外は、キャップ部40を形成する材料(例えば、鉛や銅合金)の強度に対して、強度が高い材料(例えば、炭素鋼)を用いて構成している。
図9において図示左側の一体型のダンパ20(一方のダンパ)は、ピストンピン2の段差面2dの最小径部の内径D9に対して、可動部20bの支持部20c側の外径D11を大きく形成(D11>D9)し、これにより規制手段30を構成している。
また、上述の軸部20dは支持部20c側から外端側に向けて、外径がD8の第1軸部27と、外径がD7の第2軸部28とをこの順に一体形成し、D8>D7の関係式が成立するように各軸部27,28の外径寸法を設定している。
上述のキャップ部40は、第1軸部27の軸方向の略全長にわたる圧入部41と、第2軸部28の外周に遊嵌されるネック部42とを一体形成した2段円筒形状に形成されており、圧入部41の内外径と同一内外径の円筒部43と、ネック部42との間にはストッパ部44を形成し、キャップ部40の圧入時に、該ストッパ部44が段差面25に当接することで、圧入を完了すべく構成している。
また可動部20bの一部であるキャップ部40は、例えば、比重が11.4の鉛、または、比重が約8.9の銅合金を用いて構成している。
さらに、キャップ部40以外は、キャップ部40を形成する材料(例えば、鉛や銅合金)の強度に対して、強度が高い材料(例えば、炭素鋼)を用いて構成している。
この発明の動吸振器は、実施例のダンパ20に対応し、
可動部の一部は、キャップ部40に対応し、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、実施例で例示した炭素鋼、鉛、銅合金等の材料は一例であって、これらの材料の他に比重が8.7で、かつ靭性が大である高速度鋼や、融点が2610℃で比重が10.2のモリブデン等の他の金属や合金を、可動部の少なくとも一部が、固定部、支持部を構成する材料の比重に対して、その比重が大きい材料となるように選定して用いてもよい。
さらに、図示実施例においては、ディーゼルエンジン用のピストン1を例示したが、本発明はガソリンエンジン用のピストンにも適用することができる。
2…ピストンピン
10…コンロッド
10a…小端部
10b…大端部
20…ダンパ(動吸振器)
20a…固定部
20b…可動部
20c…支持部
20d…軸部
31,35…規制手段
40…キャップ部(可動部の一部)
Claims (5)
- シリンダ内で往復動するピストンと、
小端部が上記ピストンに連結され、かつ大端部がクランクシャフトに連結されるコンロッドと、
上記ピストンと上記コンロッドの小端部とを連結する断面中空のピストンピンと、
上記ピストンピンの内部に設けられた動吸振器と、を備えたエンジンのピストン構造であって、
上記動吸振器が上記ピストンピンに固定される固定部と、
上記ピストンピンの軸方向に延びる可動部と、
該可動部を上記固定部に対して揺動可能に支持する支持部と、を備えると共に、
上記可動部の一部を交換可能に構成し、
上記可動部の一部とそれ以外を異種材料を用いて構成し、
上記可動部の一部を、固定部および支持部を形成する材料の比重に対して、比重が大きい材料を用いて構成した
エンジンのピストン構造。 - 上記可動部の一部以外を、該可動部の一部を形成する材料の強度に対して、強度が高い材料を用いて構成した
請求項1記載のエンジンのピストン構造。 - 上記動吸振器が、上記ピストンピンに固定される固定部と、
該固定部に支持部を介して設けられ、ピストンピン軸方向に延びる軸部と、
該軸部の外周に固定される上記可動部の一部としてのキャップ部と、を備え、
該キャップ部と上記軸部とで上記可動部を形成し、
上記支持部は、上記固定部に対して上記可動部を揺動可能に支持する
請求項1または2記載のエンジンのピストン構造。 - 上記動吸振器が2つ設けられ、
これら2つの各動吸振器は、上記ピストンピンに固定される固定部と、
該固定部に支持部を介して設けられ、ピストンピン軸方向に延びる軸部と、
該軸部の外周に固定される上記可動部の一部としてのキャップ部と、をそれぞれ備え、
該キャップ部と上記軸部とで上記可動部を形成し、
上記支持部は、上記固定部に対して上記可動部を揺動可能に支持する
請求項1または2記載のエンジンのピストン構造。 - 上記固定部を固定するピストンピンの小径部と、上記可動部の大径部とで、
上記動吸振器の軸方向移動を規制する規制手段が構成された
請求項1〜4の何れか1項に記載のエンジンのピストン構造。
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