しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
搬送順序情報は、通常、所定の処理が施された基板(製品)を生産するための処理ユニットの順番を規定している。しかし、この生産用の順番と異なる順番で基板を搬送させる場合がある。
例えば、処理ユニットに対してメンテナンスを行った場合、それらの処理ユニットが正常であるかどうかについてテストを行う。テストでは、例えば、処理ユニットの動作確認を行ったり、処理ユニットにおける処理品質を検証する。このとき、生産用の順番と異なる順番で基板を搬送させるのではなく、テスト対象の処理ユニットのみに基板を搬送した方が、テストを効率よく行うことができる。
基板を搬送させる処理ユニットの順番を変える場合、搬送順序情報を変更する。ただし、搬送順序情報は生産用の順番を規定する情報であって、製品の品質に直接的に関わるものであるので、搬送順序情報を頻繁に変更することは好ましくない。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、搬送順序情報を変更することなく、基板を搬送させる処理ユニットの順番を変更することができる基板処理装置および基板処理方法を提供することを目的とする。
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、本発明は、基板処理装置であって、基板に一連の処理を行う複数の基板処理部と、搬送順序情報とユニット情報と第1禁止条件とに基づいて、複数の基板処理部を制御する制御部と、を備え、前記基板処理部は、複数の処理ユニットと、処理ユニットに基板を搬送する主搬送機構と、を有し、搬送順序情報は、基板が搬送される処理ユニットの順番を規定する情報であり、ユニット情報は、そのステータスが「第一種」である処理ユニットおよびそのステータスが「第二種」である処理ユニットを特定可能な情報であり、第1禁止条件は、搬送順序情報において同じ搬送順番に「第一種」の処理ユニット及び「第二種」の処理ユニットの双方が対応付けられている場合には当該「第一種」の処理ユニットへの基板搬送を禁止する情報であり、前記制御部は、ユニット情報に基づいて、「第二種」の処理ユニットを有しない基板処理部である第一種処理部、および、1以上の「第二種」の処理ユニットを有する基板処理部である第二種処理部をそれぞれ特定し、第一種処理部においては、搬送順序情報どおりに基板を搬送させ、第二種処理部においては、搬送順序情報とユニット情報と第1禁止条件とに基づいて、基板を搬送させる基板処理装置である。
[作用・効果]本発明に係る基板処理装置によれば、ユニット情報を参照することによって、制御部は第一種処理部と第二種処理部を特定する。そして、制御部は、第一種処理部においては搬送順序情報どおりに基板を搬送させる。これにより、第一種処理部は、一連の処理を行う。この一連の処理を構成する複数の処理は、すべて「第一種」の処理ユニットによる処理である。本明細書では、「第一種」の処理ユニットのみによって行われる一連の処理を、特に、「第一種処理」という。他方、制御部は、第二種処理部においては搬送順序情報とユニット情報と第1禁止条件とに基づいて基板を搬送させる。これにより、基板を「第二種」の処理ユニットに優先的に搬送させ、基板に一連の処理を行う。この一連の処理を構成する複数の処理の少なくとも1つは、「第二種」の処理ユニットによる処理である。本明細書では、「第二種」の処理ユニットによる処理を含む一連の処理を特に「第二種処理」という。
このように、制御部が搬送順序情報のみならずユニット情報および第1禁止条件も用いることにより、搬送順序情報自体を変更することなく、基板を搬送させる処理ユニットの順番を変えることができる。また、この順番を、基板処理部ごとに個別に変えることができる。さらに、この順番を、基板処理部が有する各処理ユニットのステータスに応じて自動的に変えることができる。よって、複数の基板処理部をそれぞれ適切に運転させることができる。
上述した発明において、さらに、基板が収容された収容器から各基板処理部に基板を搬送するインデクサ部を備え、前記制御部は、収容器内の基板の種類によって収容器を分類可能な収容器情報とユニット情報とに基づいて、基板を搬送する基板処理部を収容器ごとに選択することが好ましい。ユニット情報に基づいて第一種、第二種処理部を特定でき、収容器情報に基づいて収容器内の基板の種類を収容器ごとに特定できる。よって、基板の種類に応じて、基板の投入先を第一種処理部と第二種処理部の間で変えることができ、基板に施す一連の処理を第一種処理と第二種処理との間で変えることができる。
上述した発明において、前記制御部は、収容器が更新される度に第一種処理部および第二種処理部を特定することが好ましい。基板処理部が第一種処理部/第二種処理部であるか否かは、ユニット情報によって変わる。この構成によれば、新たな収容器に切り替わるごとに、第一種処理部および第二種処理部を特定し直すので、ユニット情報の変更に好適に対応することができる。
上述した発明において、収容器情報は、「第一種用」の収容器および「第二種用」の収容器を特定可能な情報であり、前記制御部は、「第二種用」の収容器内の基板を第二種処理部のみに搬送することが好ましい。これによれば、「第二種用」の収容器内の基板に第二処理を行うことができる。
上述した発明において、さらに、ユニット情報を設定または変更するための入力部を備えていることが好ましい。これによれば、ユーザーが入力部を操作することによって、ユニット情報を容易に変更することができる。
また、本発明は、複数の処理ユニットに基板を搬送し、基板に一連の処理を行う複数の基板処理部を制御して基板を処理する方法であって、そのステータスが「第一種」である処理ユニットおよびそのステータスが「第二種」である処理ユニットを特定可能なユニット情報に基づいて、「第二種」の処理ユニットを有しない基板処理部である第一種処理部、および、1以上の「第二種」の処理ユニットを有する基板処理部である第二種処理部をそれぞれ特定する処理部特定工程と、第一種処理部において、基板が搬送される処理ユニットの順番を規定する搬送順序情報どおりに基板を搬送することによって、「第一種」の処理ユニットのみによって行われる一連の処理である第一種処理を基板に行う第一種処理部処理工程と、第二種処理部において、搬送順序情報とユニット情報と搬送順序情報において同じ搬送順番に「第一種」の処理ユニット及び「第二種」の処理ユニットの双方が対応付けられている場合には当該「第一種」の処理ユニットへの基板搬送を禁止する第1禁止条件とに基づいて基板を搬送することによって、「第二種」の処理ユニットによる処理を含む一連の処理である第二種処理を基板に行う第二種処理部処理工程と、を備えている基板処理方法である。
[作用・効果]本発明に係る基板処理方法によれば、処理部特定工程は、ユニット情報に基づいて、第一種処理部と第二種処理部を特定する。第一種処理部処理工程は、第一種処理部において搬送順序情報どおりに基板を搬送させ、基板に第一種処理を行う。第二種処理部処理工程は、第二種処理部において搬送順序情報とユニット情報と第1禁止条件とに基づいて基板を搬送させ、第二種処理を基板に行う。このように、第一種処理部処理工程および第二種処理部処理工程は、同一の搬送順序情報を用いつつ、互いに異なる順番で基板を処理ユニットに搬送することができる。これにより、複数の基板処理部をそれぞれ適切に稼働させることができる。
上述した発明において、「第一種」は、処理品質が保証されている処理ユニットの状態を示し、「第二種」は、処理品質が保証されていない処理ユニットの状態を示すことが好ましい。第一種処理によれば、所定の処理が施された基板(製品)を好適に生産することができる。また、第二種処理によれば、「第二種」の処理ユニットに基板を優先的に搬送するので、「第二種」の処理ユニットを好適にテストすることができる。
上述した発明において、基板が収容された収容器から各基板処理部に基板を投入する投入工程を備え、投入工程は、収容器内の基板の種類によって収容器を分類可能な収容器情報とユニット情報とに基づいて、基板を投入する基板処理部を収容器ごとに選択することが好ましい。これによれば、収容機情報を考慮して基板の投入先を選択するので、基板の種類に応じて、基板に行う一連の処理を第一種処理と第二種処理との間で好適に切り換えることができる。
上述した発明において、処理部特定工程は、収容器が更新される度に第一種処理部および第二種処理部を特定することが好ましい。これによれば、収容器が替わるごとに、第一種処理部および第二種処理部を特定し直すので、ユニット情報の変更に好適に対応することができる。
上述した発明において、収容器情報は、第一種処理を行うための基板を収容する「第一種用」の収容器および第二種処理を行うための基板を収容する「第二種用」の収容器を特定可能な情報であり、投入工程は、「第二種用」の収容器内の基板を第二種処理部のみに投入し、第二種処理部処理工程は、「第二種用」の収容器から投入された基板に第二種処理を行うことが好ましい。これによれば、基板の種類と、基板に行う一連の処理とを好適に適合させることができる。
上述した発明において、投入工程は、「第一種用」の収容器内の基板を第一種処理部および第二種処理部の双方に投入し、第二種処理部処理工程は、搬送順序情報とユニット情報と「第二種」の処理ユニットへの基板搬送を禁止する第2禁止条件とに基づいて「第一種用」の収容器から投入された基板を搬送することによって、当該基板に第一種処理を行うことが好ましい。第二種処理部であっても、第一種処理を基板に行うことができる場合がある。これによれば、第二種処理部に属する「第一種」の処理ユニットを有効に稼動させて、「第一種用」の収容器から投入された基板に第一種処理を行うことができる。
上述した発明において、さらに、ユニット情報を設定または変更する設定工程を備えていることが好ましい。これによれば、基板処理部を、第一種処理部と第二種処理部の間で、または、第一種処理部と第二種処理部とそれら以外の間で変更することができる。
上述した発明において、設定工程は、電源の投入により1以上の基板処理部が起動されたときには、起動された基板処理部が有する各処理ユニットに対応するステータスを「第二種」に設定することが好ましい。これによれば、各ユニット情報を適切なタイミングで、かつ、簡易に設定することができる。
上述した発明において、さらに、運転させる基板処理部を選択するための選択情報を参照し、選択情報によって選択されている基板処理部において第一種処理部処理工程または第二種処理部処理工程の実行を許容し、選択情報によって選択されていない基板処理部の運転を停止する処理部選択工程を備えていることが好ましい。これによれば、搬送順序情報を変更することなく、一部の基板処理部を運転させたり、停止させることができる。
なお、本明細書は、次のような基板処理装置および基板処理方法に係る発明も開示している。
(1)前記制御部は、搬送順序情報とユニット情報とに基づいて、第二種処理部が第一種処理を基板に行うことが可能であるか否かを判断し、可能であると判断した第二種処理部に「第一種用」の収容器から基板を投入させ、当該第二種処理部において第一種処理を基板に行わせることが好ましい。
前記(1)によれば、第二種処理部を有効に稼動させることができる。
(2)前記制御部は、同じ第二種処理部において、一部の基板に第二種処理を行わせながら、他の基板に第一種処理を行わせることが好ましい。
前記(2)によれば、第二種処理部を一層有効に稼動させることができる。
(3)前記制御部は、第二種処理部において第一種処理を基板に行わせる際、搬送順序情報とユニット情報と「第二種」の処理ユニットへの基板搬送を禁止する第2禁止条件とに基づいて基板を搬送させることが好ましい。
前記(3)に記載によれば、搬送順序情報を変更することなく、第一種処理を好適に行うことができる。
(4)さらに、搬送順序情報とユニット情報とに基づいて、第二種処理部が第一種処理を基板に行うことが可能であるか否かを判断する判断工程を備え、投入工程は、判断工程で可能と判断された第二種処理部に対して、「第一種用」の収容器内の基板を投入し、第二種処理部処理工程は、判断工程で可能と判断された第二種処理部において、第一種処理を基板に行うことが好ましい。
前記(4)によれば、第二種処理部を一層有効に稼動させることができる。
(5)前記入力部は、任意の基板処理部に関連するユニット情報を一括して設定または変更可能であることが好ましい。
前記(5)によれば、ユニット情報が多数であっても、容易に変更することができる。
(6)前記制御部は、電源の投入により1以上の基板処理部が起動されたときには、起動された基板処理部に属する各処理ユニットに対応するステータス情報を「第二種」に設定することが好ましい。
前記(6)によれば、各ユニット情報を適切なタイミングで、かつ、簡易に設定することができる。
(7)前記制御部は、さらに、運転させる基板処理部を選択するための選択情報を参照し、選択情報によって選択されている基板処理部を搬送順序情報及びユニット情報に基づいて運転させ、選択情報によって選択されていない基板処理部の運転を停止させることが好ましい。
前記(7)によれば、搬送順序情報を変更することなく、一部の基板処理部を運転させたり、停止させることができる。
本発明に係る基板処理装置および基板処理方法によれば、搬送順序情報自体を変更することなく、基板を搬送させる処理ユニットの順番を変えることができる。また、この順番を、基板処理部を構成する処理ユニットのステータスに応じて基板処理部ごとに変えることができる。よって、複数の基板処理部を適切に運転させることができる。
以下、図面を参照してこの発明の実施例1を説明する。図1は、実施例に係る基板処理装置の概略構成を示す平面図であり、図2と図3は基板処理装置が有する処理ユニットの配置を示す概略側面図であり、図4は、図1におけるa−a矢視の各垂直断面図である。
[基板処理部等の構成]
基板処理装置1は、それぞれ基板(例えば、半導体ウエハ)Wに処理を行う。基板処理装置1は、インデクサ部(以下、「ID部」と呼ぶ)3と複数の基板処理列5、6とインターフェイス部(以下、「IF部」と呼ぶ)7とを備えている。図2乃至図4に示すように、基板処理列5、6は、上下方向に並ぶように積層されている。ID部3は、各基板処理列5、6の一側方に隣接するように設けられている。IF部7は、各基板処理列5、6の他側方に隣接するように設けられている。図1に示すように、IF部7は、さらに、基板処理装置1とは別体の外部装置である露光機EXPに隣接している。各基板処理列5、6は、それぞれこの発明における基板処理部に相当する。以下、ID部3、基板処理列5、6、IF部7について順に説明する。
ID部3は、各基板処理列5、6に基板Wを投入する。ID部3は、載置台4とID用搬送機構TIDを備えている。載置台4は、複数(4個)のカセットCを載置可能である。カセットCは複数の基板Wを収容する。ID用搬送機構TIDは、水平方向および鉛直方向に移動可能に構成され、載置台4に載置されたカセットCおよび基板処理列5、6に対して基板Wを搬送する。カセットCは、本発明における収容器に相当する。
各基板処理列5、6は、それぞれ基板Wに一連の処理を行う。一連の処理は、例えば、基板Wにレジスト膜等を形成し、かつ、露光された基板Wを現像する処理である。以下では、各基板処理列5、6は略同じ構成であるので、基板処理列5について説明し、基板処理列6については同符号を付すことで説明を省略する。
基板処理列5は、複数の処理ユニットと、これら処理ユニットに基板Wを搬送する主搬送機構T1、T2を備えている。各主搬送機構T1、T2は、ID部3とIF部7とを結ぶ方向に並ぶように配置されている。各主搬送機構T1、T2は、水平方向および鉛直方向に移動可能である。主搬送機構T1は、ID用搬送機構TIDおよび主搬送機構T2の間で双方向に基板Wを受け渡すとともに、処理ユニットに基板Wを搬送する。主搬送機構T2は、主搬送機構T1およびIF部7(後述するIF用搬送機構TIF1)の間で基板Wを受け渡すとともに、処理ユニットに基板Wを搬送する。これにより、基板処理列5は、ID部3とIF部7の間にわたって基板Wを往復搬送する。
ID用搬送機構TIDと主搬送機構T1の間には、基板Wを載置する載置部PASS1が配置されている。同様に、主搬送機構T1と主搬送機構T2の間、および、主搬送機構T2とIF用搬送機構TIF1の間には、それぞれ、載置部PASS2および載置部PASS3が配置されている。搬送機構TID、T1、T2、TIF1は、載置部PASS1乃至PASS3に基板Wを一時的に載置することによって、他の搬送機構に基板Wを受け渡す。
図4を参照する。載置部PASS1は、載置部PASS1Aと載置部PASS1Bを有する。載置部PASS1A、PASS1Bは、基板Wの搬送方向によって使い分けられる。たとえば、載置部PASS1Aには、ID用搬送機構TIDから主搬送機構T1へ搬送される基板Wが載置され、載置部PASS1Bには、主搬送機構T1からID用搬送機構TIDへ搬送される基板Wが載置される。載置部PASS2および載置部PASS3も同様である。
図1を参照する。基板処理列5が有する処理ユニットは、主搬送機構T1が基板Wの搬送を負担する処理ユニットと、主搬送機構T2が基板Wの搬送を負担する処理ユニットとに大きく分けられる。
まず、前者について説明する。主搬送機構T1が基板Wの搬送を負担する処理ユニットは、基板Wに塗膜を形成する塗布処理ユニット11と、基板Wに熱処理を行う熱処理ユニット13である。塗布処理ユニット11は、主搬送機構T1の一側方に配置され、熱処理ユニット13は主搬送機構T1の他側方に配置されている。
図2に示すように、塗布処理ユニット11は、具体的には、反射防止膜用塗布処理ユニットBARCと、レジスト膜用塗布処理ユニットRESISTである。反射防止膜用塗布処理ユニットBARCは、基板Wに反射防止膜材料を塗布し、基板Wの表面上に反射防止膜を形成する処理を行う。レジスト膜用塗布処理ユニットRESISTは、基板Wにレジストを塗布し、基板Wの表面上にレジスト膜を形成する処理を行う。
図1を参照する。各塗布処理ユニット11は、いわゆる回転式塗布処理ユニットであり、ノズル15と飛散防止カップ17を備えている。ノズル15は、基板Wに処理液を吐出する。飛散防止カップ17は、基板Wから飛散する処理液を受け止めて回収する。さらに、塗布処理ユニット11は、単一の基板Wを略水平姿勢で回転可能に保持する保持部等(不図示)を備えている。
図3に示すように、熱処理ユニット13は、具体的には、冷却ユニットCP、加熱冷却ユニットPHPおよびアドヒージョン処理ユニットAHLである。冷却ユニットCPは基板Wを冷却する。加熱冷却ユニットPHPは、加熱処理と冷却処理を続けて行う。アドヒージョン処理ユニットAHLは、基板Wと被膜の密着性を向上させるためにHMDS(ヘキサメチルシラザン)の蒸気雰囲気で熱処理する。
図1を参照して、主搬送機構T2が基板Wの搬送を負担する処理ユニットについて説明する。この処理ユニットとしては、現像処理ユニットDEVと、熱処理ユニット23およびエッジ露光ユニットEEWである(エッジ露光ユニットEEWについては図3を参照)。現像処理ユニットDEVは、主搬送機構T2の一側方に配置され、熱処理ユニット23およびエッジ露光ユニットEEWは主搬送機構T2の他側方に配置されている。
現像処理ユニットDEVは、基板Wに現像処理を行う。現像処理ユニットDEVは、ノズル25と飛散防止カップ27を備えている。ノズル25は基板Wに処理液を吐出する。飛散防止カップ27は基板Wから飛散する処理液を受け止めて回収する。さらに、現像処理ユニットDEVは、単一の基板Wを略水平姿勢で回転可能に保持する保持部等(不図示)を備えている。
図3に示すように、熱処理ユニット23は、加熱ユニットHPおよび冷却ユニットCPである。加熱ユニットHPは基板Wを加熱する。なお、IF部7側に配置されている加熱冷却ユニットPHPに関しては、IF部7(IF用搬送機構TIF1)が基板Wの搬送を負担する。エッジ露光ユニットEEWは、基板Wの周縁を露光する。エッジ露光ユニットEEWは、図示を省略するが、基板Wを保持する保持部と、保持部を回転するモータと、基板Wに光を照射する光照射部等を備えている。
図1を参照する。IF部7は、基板処理列5、6と露光機EXPに対して基板Wを搬送する。IF部7は基板Wを搬送する複数のIF用搬送機構TIF1、TIF2を備えている。IF用搬送機構TIF1は、基板処理列5、6、および、IF用搬送機構TIF2の間で基板Wを受け渡すとともに、上述した加熱冷却ユニットPHPに基板Wを搬送する。IF用搬送機構TIF2は、IF用搬送機構TIF1のほかに、さらに露光機EXPとの間で基板Wを搬送する。
IF用搬送機構TIF1、TIF2の間には、基板Wを載置し、冷却する載置部PASS−CPが配置されている。載置部PASS−CPの下方には、基板Wを載置する載置部PASS4が配置されている。載置部PASS−CPには、IF用搬送機構TIF1からIF用搬送機構TIF2へ搬送される基板Wが載置される。載置部PASS4には、IF用搬送機構TIF2からIF用搬送機構TIF1へ搬送される基板Wが載置される。
[制御系の構成]
図5は、実施例1に係る基板処理装置の制御ブロック図である。
図示するように、基板処理装置1は、制御部31と記憶部35とタッチパネル37を備えている。制御部31は、コントローラ32と設定部33を有する。コントローラ32は、記憶部35に記憶される各種の情報に基づいて、ID部3、基板処理列5、6およびIF部7を統括的に制御する。設定部33は、記憶部35に記憶される各種の情報を設定、変更する。タッチパネル37は、各種情報を設定、変更するための命令を受け付けて、設定部33に送る。
記憶部35は、フローレシピFRと、ユニット情報USと、禁止条件と、収容器情報CCと、選択情報SLとを記憶する。フローレシピFRは、基板Wが搬送される処理ユニットの順番を規定する情報である。ユニット情報USは、少なくともステータスが「第一種」の処理ユニットおよびステータスが「第二種」の処理ユニットを特定可能な情報である。禁止条件は、特定の処理ユニットへの搬送を禁止する条件に関する情報である。収容器情報CCは、カセットC内の基板Wの種類によってカセットCを分類可能な情報である。選択情報SLは、運転させる基板処理列5、6を選択するための情報である。
図6を参照して、フローレシピFRを説明する。図6は、フローレシピFRの構成を示す模式図である。図示するように、フローレシピFRは、搬送順番にカテゴリーおよび処理ユニットの識別情報(以下、適宜に「処理ユニット識別情報」という)が対応付けられている。本実施例では、フローレシピFRは、所定の処理が施された基板W(製品)を生産するときの処理ユニットの順番を規定するように予め設定されており、記憶部35に記憶されている。
カテゴリーは、処理ユニットの種類を示す情報である。図6では、各基板処理列5、6が有する処理ユニットを、「cp」、「barc」、「php」、「resist」、「eew」、「dev」、「hp」の7種類のカテゴリーに分類した例を示す。
処理ユニット識別情報は、各処理ユニットを一意に識別できる情報である。図6において、「UT1」、「UT2」…「UT29」は、基板処理列5が有する全ての処理ユニットにそれぞれ対応づけられた処理ユニット識別情報である。たとえば、「UT1」は、基板処理列5に設けられる特定の冷却ユニットCPを示す情報であり、「UT2」は基板処理列5に設けられる特定の反射防止膜用塗布処理ユニットBARCを示す情報である。他方、「UB1」、「UB2」…「UB29」は、基板処理列6が有する各処理ユニットに割り当てられた処理ユニット識別情報である。したがって、図6において、部分PTは、基板処理列5に対応するフローレシピFRの部分であり、部分PBは、基板処理列6に対応するフローレシピFRの部分である。
図6に示すフローレシピFRでは、基板処理列5においては、1番目(最初)の基板Wの搬送先は、「UT1」に対応する冷却ユニットCPである。続く2番目の搬送先は、「UT2」、「UT3」のいずれかに対応する反射防止膜用塗布処理ユニットBARCである。続く3番目の搬送先は、「UT4」、「UT5」、「UT6」および「UT7」のいずれかに対応する加熱冷却ユニットPHPである。以降、同様に、搬送順番に従って、各搬送順番に対応付けられた処理ユニットに搬送する。搬送順番に複数の処理ユニットが対応付けられている場合は、いずれか1の処理ユニットに搬送する。基板処理列6においても同様である。フローレシピFRは、本発明における搬送順序情報に相当する。
図7を参照して、ユニット情報USを説明する。図7は、ユニット情報USの模式図である。図示するように、ユニット情報USは、処理ユニット識別情報に、その処理ユニットのステータス(状態)を示すステータス情報が対応付けられている。「第1種」を示すステータス情報は「PU」であり、「第二種」を示すステータス情報は「TU」である。ここで、「第1種」は、処理品質が保証されている処理ユニットの状態を意味する。「第二種」は、処理品質が保証されていない処理ユニットの状態を意味する。ユニット情報USは、予め設定されているが、設定部33によって適宜に設定・変更される。
図5を参照して、禁止条件を説明する。禁止条件は、第1禁止条件を含む。第1禁止条件は、フローレシピFRにおいて同じ搬送順番に「第一種」の処理ユニット及び「第二種」の処理ユニットの双方が対応付けられている場合には当該「第一種」の処理ユニットへの基板搬送を禁止する。
収容器情報CCは、「第一種用」のカセットCおよび「第二種用」のカセットCを特定可能である。「第一種用」のカセットCは第一種処理(後述)を行うための基板Wを収容するのに対して、「第二種用」のカセットCは第二種処理(後述)を行うための基板Wを収容する。収容器情報CCは、カセットCの識別情報(図5では「カセット識別情報」と記載する)とカセットCを分類する情報(以下、「分類情報」という)が相互に関連づけられている。「第一種用」を示す分類情報は「PC」であり、「第二種用」を示す分類情報は「TC」である。なお、収容器情報CCは、外部に設けられる不図示のホストコンピュータから与えられてもよいし、載置台4に載置されるカセットCに基づいて作成されたものであってもよい。
選択情報SLは、基板処理列識別情報に、運転させる基板処理列に指定されているか否かを示す設定情報が対応付けられている。基板処理列識別情報「LT」、「LB」は、それぞれ基板処理列5、6を意味する。運転させる基板処理列に指定されている(「選択」に設定されている)とき、設定情報は「1」となる。運転させる基板処理列に指定されていない(「選択」が解除されている/「非選択」に設定されている)ときには、設定情報は「0」となる。設定情報は例えばフラグによって構成される。選択情報SLは、予め設定されているが、設定部33によって適宜に設定・変更される。
続いて、図2を参照してタッチパネル37を説明する。タッチパネル37は、基板処理装置1の側壁に配置され、ユーザーによって操作される。タッチパネル37は、その画面上に、ボタン(GUI. Button)37a、37b、37c、37dを表示している。ボタン37a、37bによって、基板処理列5、6の「選択」およびその解除を切り換える命令を入力可能である。また、ボタン37c、37dによって、基板処理列5、6が有する各処理ユニットのステータスを「第1種」、「第二種」に一括に設定する命令を入力可能である。さらに、タッチパネル37は、各処理ユニットのステータスを個別に設定・変更するための命令を入力可能に構成されている。タッチパネル37は、本発明における入力部に相当する。
図5を参照してコントローラ32の制御対象を説明する。コントローラ32がID部3において制御する対象は、ID用搬送機構TIDである。基板処理列5における制御対象は、基板処理列5が有する主搬送機構T1、T2および各処理ユニットである。基板処理列6の制御対象も同様である。IF部7における制御対象は、IF用搬送機構TIF1、TIF2および加熱冷却ユニットPHPである。
制御部31および記憶部35は、各種処理を実行する中央演算処理装置(CPU)や、演算処理の作業領域となるRAM(Random-Access Memory)や、各種情報を記憶する固定ディスク等の記憶媒体等によって実現されている。
次に、実施例に係る基板処理装置1の動作について説明する。
[基板処理装置1の基本的な動作]
まず、基板処理装置1の基本的な動作を説明する。ここでは、「第一種用」のカセットCから各基板処理列5、6に基板Wを投入し、基板処理列5、6においてフローレシピFR通りに基板Wを搬送する場合を例に採る。以下では、ID部3からIF部7への搬送と、IF部7からID部3への搬送とに分けて説明する。
<ID部3からIF部7への搬送>
ID用搬送機構TIDは、カセットCから基板Wを搬出し、搬出した基板Wを基板処理列5、6に交互に搬送する。
各基板処理列5/6では、それぞれ同様に動作する。まず、主搬送機構T1が、ID部3から受け取った基板WをフローレシピFRの搬送順番1乃至7に規定されているとおりに搬送する。具体的には、冷却ユニットCP、反射防止膜用塗布処理ユニットBARC、加熱冷却ユニットPHP、冷却ユニットCP、レジスト膜用塗布処理ユニットRESIST、加熱冷却ユニットPHP、冷却ユニットCPの順に、基板Wを搬送する。各処理ユニットはそれぞれ基板Wに所定の処理を行う。これにより、反射防止膜およびレジスト膜を形成する塗布処理が基板Wに施される。その後、主搬送機構T1は、基板Wを主搬送機構T2に渡す。主搬送機構T2は、受け取った基板Wをエッジ露光ユニットEEWに搬送する(搬送順番8)。エッジ露光ユニットEEWは、基板Wの周縁部を露光する。主搬送機構T2は、エッジ露光処理が施された基板WをIF部7に搬出する。
IF用搬送機構TIF1は、各基板処理列5、6から交互に基板Wを受け取り、IF用搬送機構TIF2に渡す。IF用搬送機構TIF2は、受け取った基板Wを露光機EXPに送る。
<IF部7からID部3への搬送>
IF用搬送機構TIF2は、露光機EXPから露光済みの基板Wを受け取り、IF用搬送機構TIF1に渡す。IF用搬送機構TIF1は、受け取った基板Wを加熱冷却ユニットPHPに搬送する(搬送順番9)。加熱冷却ユニットPHPは、基板Wに露光後加熱処理(Post Exposure Bake)を行う。IF用搬送機構TIF1は、露光後加熱処理が施された基板Wを各基板処理列5、6に搬出する。
各基板処理列5/6では、主搬送機構T2がIF部7から基板Wを受け取り、現像処理ユニットDEV、加熱ユニットHP、冷却ユニットCPの順に、基板Wを搬送する(搬送順番10乃至13)。これにより、基板Wを現像する現像処理が行われる。主搬送機構T2は、現像処理が施された基板Wを主搬送機構T1に渡す。主搬送機構T1は、受け取った基板WをID部3に搬出する。
ID用搬送機構TIDは、基板処理列5、6から基板Wを交互に受け取り、カセットC内に搬入する。
このように、各基板処理列5、6はそれぞれ基板Wを往復搬送させながら、13の処理からなる一連の処理を基板Wに施す。なお、フローレシピFRの搬送順番8と搬送順番9との間には、露光機EXPへの搬送が行われる。
[設定部33の動作〜設定工程]
次に、設定部33が、選択情報SLおよびユニット情報USを設定・変更する動作について説明する。
ユーザーが選択情報SL/ユニット情報USを設定・変更するための命令をタッチパネル37に入力すると、タッチパネル37はその命令を設定部33に出力する。設定部33は、この命令に基づいて、記憶部35に記憶される選択情報SL/ユニット情報USを書き換える。
また、設定部33は、タッチパネル37からの命令に関わらず、ユニット情報USを自動的に設定・変更することもできる。本実施例では、電源を投入することによって基板処理列5、6の少なくともいずれかが起動されたときには、設定部33は、起動された基板処理列が有する各処理ユニットのステータスを一律に「第二種」に設定する。言い換えれば、処理ユニットが起動されたときには、設定部33はそれらの処理ユニットのステータス情報を一旦、「TU」にリセットする。
なお、選択情報SLやユニット情報USは、フローレシピFRとは別個独立の情報であるので、基板処理列5、6が運転しているときであっても、選択情報SLやユニット情報USを支障なく設定・変更できる。
また、選択情報SLやユニット情報USが設定・変更されても、コントローラ32は、ID部3および基板処理列5、6の制御内容を直ちに変更しない。以下に説明するように、コントローラ32の制御内容の変更は、カセットCの更新時のみに限られている。
[コントローラ32の動作]
図8を参照して、コントローラ32が、ID部3および基板処理列5、6を制御する動作について説明する。図8は、ID部3および基板処理列5、6を制御する手順を示すフローチャートである。
<ステップS1> 新規のカセットか?
ID部3は、カセットCを随時、新規なカセットCに更新しながら、基板Wを投入する。より詳しく説明すると、ID部3が基板処理列5、6の少なくともいずれかに基板Wを投入するときには、カセットC内の全ての基板Wを投入し終わるごとに、空になったカセットCを未処理の基板Wが収容された新たなカセットCに代え、新たなカセットCから基板Wの投入を再開する。コントローラ32は、カセットCの更新を監視し、新規なカセットCに更新される度に、ステップS2、S3、S4に並列的に進む。そうでないときは、再びステップS1に戻る。
<ステップS2> カセットの判別
コントローラ32は、収容器情報CCを参照して、新規なカセットCが「第一種用」であるか、「第二種用」であるかを判別する。そして、ステップS7に進む。
<ステップS3> 処理列5が選択されているか?
コントローラ32は、選択情報SLを参照して、基板処理列5が運転させる基板処理列に選択されているか否かを判断する。選択されていると判断した場合には、ステップS4に進む。そうでない場合には、ステップS7に進む。
<ステップS4> 処理列5の判別 〜処理部特定工程
コントローラ32は、ユニット情報USを参照して、基板処理列5が1以上の「第二種」の処理ユニットを有しているか否かを判断する。有していると判断したときには、基板処理列5は第二種処理列であると特定する。そうでないときは、基板処理列5が第一種処理列であると特定する。そして、ステップS7に進む。
<ステップS5、6> 〜処理部特定工程
コントローラ32は、基板処理列6に関しても同様の判別処理を行う。これにより、基板処理列6が選択されているか否かを特定する。また、基板処理列6が選択されている場合には、基板処理列6が第一種処理列および第二種処理列のいずれであるかを特定する。そして、ステップS7に進む。
ここで、図7の場合を例に採って、第一種処理列と第二種処理列を説明する。図7に示すように、処理ユニット識別情報UT1乃至UT29に関連付けられるステータス情報は全て「PU」であり、基板処理列5は「第二種」の処理ユニットを有していない。このため、基板処理列5は第一種処理列であると特定される。また、処理ユニット識別情報UB2、UB3、UB6、UB7に関連付けられるステータス情報は「TU」であり、基板処理列6は「第二種」の処理ユニットを有している。このため、基板処理列6は「第二種処理列」であると特定される。
<ステップS7> ID部および基板処理列の制御
コントローラ32は、ステップS2乃至S6における判別結果と、各種情報に基づいて、ID部3および基板処理列5、6を以下のように制御する。
基板処理列5が選択情報SLによって選択されていない場合、コントローラ32は、選択されていない基板処理列5に対応するフローレシピFRの部分PT(図6参照)を無視し、基板処理列5の運転を停止させる。また、コントローラ32は、ID部3から基板処理列5への基板Wの投入を停止させる。なお、この場合、フローレシピFR自体は変更されない。
基板処理列5が選択されており、かつ、第一種処理列である場合、基板処理列5に対して、「第一種用」のカセットCから基板Wを投入させる。基板処理列5においては、フローレシピFRどおりに基板Wを搬送させる。
基板処理列5が選択されており、かつ、第二種処理列である場合、基板処理列5に対して、「第二種用」のカセットCから基板Wを投入させる。基板処理列5においては、フローレシピFR、ユニット情報USおよび第1禁止条件に基づいて基板Wを搬送させる。
基板処理列6に関連する制御も、基板処理列5の場合と同様である。すなわち、まず、3つの場合のいずれに該当するかを判断する。3つの場合とは、基板処理列6が選択されていない場合、基板処理列6が選択されており、かつ、第一種処理列である場合、および、基板処理列6が選択されており、かつ、第二種処理列である場合である。そして、各場合に応じて、ID部3および基板処理列6の制御内容を決定し、実行する。なお、ステップS7は、本発明の選択行程、投入工程、第一種処理部処理工程および第二種処理部処理工程に相当する。
図9を参照して、第一種処理列および第二種処理列における基板Wの搬送について説明する。図9では、説明の便宜上、各処理ユニットをその識別情報によって模式的に示している。また、参考のため、搬送順番と処理ユニットのカテゴリーを示している。
図9に示す基板処理列5、6は、図7に示すユニット情報USと対応しており、基板処理列5が第一種処理列であり、基板処理列6が第二種処理列である場合を示している。以下の説明では、基板処理列5/6はいずれも、選択情報SLによって選択されているものとし、基板処理列5/6の制御では、図6に示すフローレシピFRが用いられるものとする。
図9に示すように、基板処理列5では、「第一種用」のカセットC1から投入された基板WをフローレシピFR通りに搬送し、基板Wに一連の処理を施す。この一連の処理は、「第一種」の処理ユニットによる処理のみから構成されている。このような一連の処理を、特に「第一種処理」と呼ぶ。
基板処理列6に関しては、まず、フローレシピFRおよびユニット情報USを参照して、各搬送順番に対応付けられる処理ユニットが「第一種」および「第二種」のいずれであるか、を特定する。そうすると、搬送順番3に、「第一種」の処理ユニットと「第二種」の処理ユニットの双方が対応付けられていることが判明する。ちなみに、搬送順番1、4乃至13には「第一種」の処理ユニットのみが対応付けられており、搬送順番2には「第二種」の処理ユニットのみが対応付けられている。
第1禁止条件は搬送順番3に関して働き、「第一種」の処理ユニット(処理ユニット識別情報UB4、UB5に相当する処理ユニット)への基板搬送を禁止し、「第二種」の処理ユニット(UB6、UB7)への基板搬送を許容する。言い換えれば、処理ユニット(UB4、UB5に)を無視する(無効とみなす)。図9では、無効とみなされた処理ユニットを点線で図示する。また、その他の搬送順番に関しては、第1禁止条件は働かない。
なお、第1禁止条件が働く場合であっても、働かない場合であっても、フローレシピFR自体は変更されない。
その結果、基板処理列6では、次のように基板Wを搬送する。すなわち、「第二種用」のカセットC2から投入された基板Wを、搬送順番3では処理ユニット(UB6、UB7)のいずれかに搬送し、その他の搬送順番1、2、4乃至13ではフローレシピFRどおりに搬送する。これにより、フローレシピFR上で「第一種」および「第二種」の各処理ユニットのいずれにも基板Wを搬送可能な場合には、「第二種」の処理ユニットに優先的に基板Wを搬送させることができる。そして、基板Wに施される一連の処理は、「第二種」の処理ユニット(UB2、UB3)、(UB6、UB7)による処理を必ず含むことになる。本明細書では、「第二種」の処理ユニットによる処理を含む一連の処理を、特に「第二種処理」という。
このように、本実施例によれば、コントローラ32は、フローレシピFRに基づいて第一種処理列を制御し、フローレシピFRとユニット情報USと第1禁止条件とに基づいて第二種処理列を制御する。このため、フローレシピFR自体を変更することなく、基板Wを搬送する処理ユニットの順番を異ならせることができる。
また、複数の基板処理列5、6を備えているので、各基板処理列5、6における当該順番を個別に変更することができる。よって、複数の基板処理列5、6をそれぞれ適切に運転させることができる。さらに、各基板処理列5、6をそれぞれ同時に運転させることができるので、基板処理装置1を効率よく稼動させることができる。
また、コントローラ32はユニット情報USに基づいて第一種、第二種処理列をそれぞれ特定するので、第一種処理列に応じた制御と第二種処理列に応じた制御との間で自動的に切り替えることができる。
また、本実施例では、「第一種」を処理品質が保証されている処理ユニットのステータスとし、「第二種」を処理品質が保証されていない処理ユニットのステータスとしている。この場合、第一種処理列の運転は製品を生産するための運転となり、第一種処理が施された基板Wを製品として扱うことができる。他方、第二種処理列の運転は、処理品質が保証されていない処理ユニットをテストするための運転となる。そして、第二種処理が施された基板Wを用いることで、処理ユニットの処理品質を好適に検証できる。
また、コントローラ32は基板処理列5、6の判別をカセットCが更新されるごとに繰り返すので、ユニット情報USが変更された場合であっても、第一種、第二種処理列をそれぞれ適確に特定することができる。
また、コントローラ32は、収容器情報CCに基づいてカセットCを判別することによって、カセットC内の基板Wの種類を特定できる。よって、基板Wの種類に応じて、基板Wを投入する基板処理列5、6を好適に選択することができる。
特に、収容器情報CCに含まれる分類情報は「第一種用」および「第二種用」の区別を示すので、基板Wの種類と基板Wに施す処理とを好適に適合させることができる。本実施例では、製品用の基板Wに第一種処理を施すことによって、品質のよい製品を生産することができる。また、試験用の基板Wに第二種処理を施すことによって、処理ユニットを好適にテストできる。
さらに、コントローラ32は「第二種用」のカセットCから基板Wを第二種処理列のみに搬送させ、第一種処理列に搬送させない。これにより、第一種処理列で「第二種用」の基板Wを処理させるなど、無用な運転を回避できる。
また、設定部33を備えているので、各基板処理列5、6を、第一種処理列と第二種処理列との間で好適に変更することができる。
また、設定部33は、基板処理列5/6が起動されたときには、起動された基板処理列5/6が有する各処理ユニットのステータスを自動的に「第二種」に設定する。これにより、各ユニットのステータスを適切、かつ、簡易に設定することができる。本実施例の場合では、基板処理列5/6を起動した後に、各処理ユニットのテストを円滑に行うことができる。
また、タッチパネル37を備えているので、ユーザーは、各処理ユニットのステータス(ユニット情報US)を容易に変更させることができる。
また、コントローラ32が選択情報SLに基づいて制御することによって、フローレシピFRを変更せずに、基板処理列5/6の運転・停止を個別に切り換えることができる。
以下、図面を参照してこの発明の実施例2を説明する。実施例2の基板処理装置1の構成は、基本的に実施例1と同様であるが、記憶部35に記憶される情報が異なる。なお、実施例1と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
便宜上、図5を参照して、説明する。記憶部35に記憶される禁止条件は、第1禁止条件のほかに、第2禁止条件を含む。第2禁止条件は、「第二種」の処理ユニットへの基板搬送を禁止する。
次に、実施例2に係る基板処理装置1の動作について説明する。実施例2では、コントローラ32の制御に関する動作が、実施例1と異なる。そこで、コントローラ32の動作について説明する。
[コントローラ32の動作]
ID部3および基板処理列5、6を制御する手順は、基本的に実施例1と同様であるので、便宜上、図8を参照して、説明する。
<ステップS1> 新規のカセットか?
コントローラ32は、カセットCが更新されるたびに、ステップS2、S3、S4に並列的に進む。そうでないときは、再びステップS1に戻る。
<ステップS2> カセットの判別
コントローラ32は、収容器情報CCを参照して、カセットCが「第一種用」であるか、「第二種用」であるかを判別する。そして、ステップS7に進む。
<ステップS3> 処理列5が選択されているか?
コントローラ32は、選択情報SLを参照して、基板処理列5が選択されているか否かを判断する。選択されていると判断した場合には、ステップS4に進む。そうでない場合には、ステップS7に進む。
<ステップS4> 処理列5の判別
コントローラ32は、ユニット情報USを参照して、基板処理列5が第二種処理列であるか、または、第一種処理列であるか、を特定する。基板処理列5が第二処理列であると特定したときは、コントローラ32は、さらに、ユニット情報USおよびフローレシピFRを参照して、各搬送順番1乃至13に少なくとも1以上の「第一種」の処理ユニットが対応付けられているか否かを判断する。対応付けられていると判断したときは、基板処理列5が基板Wに第一種処理を行うことが可能であるとみなす。そして、ステップS7に進む。
<ステップS5、6>
コントローラ32は、基板処理列6に関しても、同様の判別処理を行う。
ここで、基板Wに第一種処理を行うことが可能な第二種処理列とそうでない第二処理列について説明する。図7に示すユニット情報USの場合、基板処理列6は第二処理列である。図6に示すフローレシピFRを併せて参照すると、搬送順番2には、「第二種」の処理ユニット(UB2、UB3)のみが対応づけられ、「第一種」の処理ユニットが対応付けられていない。よって、図6、7の場合、基板処理列6は、基板Wに第一種処理を行うことが可能ではない第二種処理列と判定される。
仮に、図7に示すユニット情報USにおいて、処理ユニット識別情報UB2、UB3に対応する処理ユニットの少なくともいずれかのステータスが「第一種」に変わると、基板処理列6は、基板Wに第一種処理を行うことが可能となる。
<ステップS7> ID部および基板処理列の制御
コントローラ32は、ステップS2乃至S6における判別結果と、各種情報に基づいて、ID部3および基板処理列5、6を以下のように制御する。
基板処理列5が選択情報SLによって選択されていない場合、基板処理列5の運転を停止させ、ID部3から基板処理列5への基板Wの投入を停止させる。
基板処理列5が選択されており、かつ、第一種処理列である場合、基板処理列5に対して、「第一種用」のカセットCから基板Wを投入させる。基板処理列5においては、フローレシピFRどおりに基板Wを搬送させる。
基板処理列5が選択されており、基板Wに第一種処理を行うことが可能ではない第二種処理列である場合、基板処理列5に対して、「第二種用」のカセットCから基板Wを投入させる。基板処理列5においては、フローレシピFR、ユニット情報USおよび第1禁止条件に基づいて基板Wを搬送させる。
基板処理列5が選択されており、基板Wに第一種処理を行うことが可能である第二種処理列である場合、基板処理列5に対して、「第二種用」のカセットCから基板Wを投入させるのみならず、「第一種用」のカセットCから基板Wを投入する。基板処理列5においては、「第一種用」のカセットCの基板Wについては、フローレシピFR、ユニット情報USおよび第2禁止条件に基づいて搬送させる。また、「第二種用」のカセットCの基板Wについては、フローレシピFR、ユニット情報USおよび第1禁止条件に基づいて基板Wを搬送させる。
基板処理列6に関する制御も、基板処理列5の場合と同様である。
図10を参照して、第一種処理列および第二種処理列における基板Wの搬送について説明する。図10では、説明の便宜上、各処理ユニットをその識別情報によって模式的に示している。
図10に示す基板処理列5、6は、図7に示すユニット情報USにおいて、処理ユニット識別情報UB2、UB3に対応する各処理ユニットのステータスを「第一種」に置き換えたものと対応する。また、基板処理列5/6の制御では、図6に示すフローレシピFRが用いられるものとする。そうすると、図10に示す基板処理列5は第一種処理列であり、基板処理列6は第一種処理を基板Wに行うことが可能な第二種処理列である。
図10に示すように、基板処理列5に対しては、「第一種用」のカセットC1から基板Wが投入される。基板処理列5では、基板WをフローレシピFR通りに搬送し、基板Wに第一種処理を施す。
基板処理列6に対しては、「第一種用」のカセットC1および「第二種用」のカセットC2の双方から基板Wが投入される。ここで、前者を「「第一種用」の基板W」と呼び、後者を「「第二種用」の基板W」と呼ぶ。基板処理列6では、「第一種用」の基板Wと「第二種用」の基板Wとで、基板Wを搬送する処理ユニットの順番が異なる。
「第一種用」の基板Wを搬送する場合、第2禁止条件によって、処理ユニット(UB6、UB7)への基板Wの搬送を禁止する。その結果、搬送順番3では、基板Wは処理ユニット(UB4、UB5)のいずれかに必ず搬送され、処理ユニット(UB6、UB7)に搬送されることは無い。それ以外の搬送順番では、フローレシピFRどおりに基板Wが搬送される。これにより、基板Wに第一種処理が施される。
「第二種用」の基板Wを搬送する場合、第1禁止条件によって、処理ユニット(UB4、UB5)への基板Wの搬送を禁止する。その結果、搬送順番3では、基板Wは処理ユニット(UB6、UB7)のいずれかに必ず搬送される。それ以外の搬送順番では、フローレシピFRどおりに基板Wが搬送される。これにより、基板Wに第二種処理が施される。
なお、第1、第2禁止条件のいずれが働く場合であっても、フローレシピFR自体は変更されない。
このように、本実施例2によっても、実施例1と同様な効果を奏する。すなわち、フローレシピFR自体を変更することなく、第一、第二種処理列の間で基板Wを搬送する処理ユニットの順番を異ならせることができる。
さらに、本実施例2によれば、コントローラ32がフローレシピFR、ユニット情報USおよび第2禁止条件に基づいて第二種処理列を制御することによって、フローレシピFRを変更することなく、第二種処理列において基板Wに第一種処理を行うことができる。これにより、第二種処理列に属する「第一種」の処理ユニットを有効に稼動させることができる。
また、同じ第二種処理列において、一部の基板Wに第二種処理を行わせながら、他の基板Wに第一種処理を行わせることができるので、第二種処理列を一層有効に稼動させることができる。
また、第二種処理列において第一種処理を基板Wに行わせるときには、コントローラ32は、「第一種用」のカセットCから第二種処理列に基板Wを投入するので、基板Wの種類と基板Wに施す処理とを好適に適合させることができる。
また、コントローラ32は、フローレシピFRとユニット情報USとに基づいて、第二種処理列が第一種処理を基板Wに行うことが可能であるか否かを判断するので、第二種処理列に関する制御を自動的に切り替えることができる。
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)上述した実施例1、2では、搬送順番、処理ユニット識別情報およびカテゴリーが互いに関連付けられたフローレシピFRを例示したが、フローレシピFRの構成はこれに限られない。例えば、カテゴリーを含まないフローレシピに変更してもよいし、その他の情報を含むフローレシピに変更してもよい。
(2)上述した実施例1、2では、ユニット情報USは、「第1種」および「第2種」の処理ユニットを特定可能に構成されていたが、これに限られない。すなわち、ユニット情報USは、「第1種」、「第2種」のみならず、他のステータスの処理ユニットを特定可能であってもよい。他のステータスとしては、たとえば、停止している状態、異常である状態または故障している状態等が例示される。これに応じて、ステータス情報も適宜に変更してもよい。
上述したように、各処理ユニットのステータスを「第1種」、「第2種」を含む3以上に区分する場合であっても、第一種処理列および第二種処理列の定義は変わらない。たとえば、基板処理列5が停止状態の処理ユニットを有している場合であっても、「第二種」の処理ユニットを有していない限り、基板処理列5は第一種処理列である。このような場合には、予め、停止状態の処理ユニットへの基板Wの搬送を禁止する第3禁止条件を禁止条件として規定しておき、この第3禁止条件とフローレシピFRとに基づいて第一種処理列を制御することによって、第一種処理列を好適に運転させることができる。
(3)上述した実施例1、2では、「第1種」は処理品質が保証されている処理ユニットの状態を意味し、「第二種」は処理品質が保証されていない処理ユニットの状態を意味したが、これに限られない。「第1種」および「第二種」によって規定される処理ユニットの状態は、基板処理列5、6の運用に応じて適宜に選択、変更することができる。
(4)上述した実施例1、2では、収容器情報CCは、「第一種用」のカセットCと「第二種用」のカセットCとを特定可能に構成されていたが、これに限られない。すなわち、収容器情報CCは、「第1種用」、「第2種用」を含む3以上の種別に、カセットCを分類してもよい。これに応じて、分類情報を適宜に変更してもよい。
(5)上述した実施例1、2では、基板処理列識別情報LT、LBに設定情報が対応付けられた選択情報SLを例示したが、これに限られない。その他の情報を含む選択情報に変更してもよい。
(6)上述した実施例1、2では、コントローラ32による制御内容の変更を、カセットCの更新時のみに限られていたが、これに限られない。たとえば、その他のタイミングで制御内容の変更をしてもよい。
(7)上述した実施例1、2では、入力部としてタッチパネル37を例示したが、これに限られない。タッチパネル37に代えて、物理的なボタンスイッチ等で入力部を構成してもよい。
(8)上述した実施例1、2では、基板処理列5、6がともに第一種処理列であるときには、同じカセットCから基板処理列5、6に基板Wを振り分け搬送したが、これに限られない。すなわち、基板処理列5に基板Wを供給するカセットCと、基板処理列6に基板Wを供給するカセットCとが異なっていてもよい。この場合には、コントローラ32は、各基板処理列5、6に関する制御を別個独立に行うことができる。すなわち、コントローラ32は、基板処理列5用のカセットCが更新される度に基板処理列5に関する制御を決定・実行し、基板処理列6用のカセットCが更新される度に基板処理列6に関する制御を決定・実行すればよい。
(9)上述した実施例1、2では、基板処理列5、6は2基の主搬送機構T1、T2を備えていたが、これに限られない。例えば、1基の主搬送機構を備える基板処理部に変更してもよいし、3基以上の主搬送機構を備える基板処理部に変更してもよい。
(10)上述した実施例1、2では、各種の処理ユニットは、基本的に、基板Wを1枚ずつ処理する処理ユニット(いわゆる「枚葉式処理ユニット」)であったが、これに限られない。例えば、複数枚の基板Wを一括して処理する処理ユニット(いわゆる「バッチ式処理ユニット」)に変更してもよい。
(11)上述した実施例1、2では、基板処理列5、6は、同じ処理を行うものであったが、これに限られない。すなわち、基板処理列5、6が互いに異なる処理を行うように変更してもよい。
(12)上述した実施例1、2では、一連の処理は、基板Wにレジスト膜等を形成し、かつ、基板Wを現像する処理であったが、これに限られない。例えば、一連の処理の内容を、処理対象の基板Wに応じて適宜に変更してもよい。
(13)上述した実施例1、2では、基板処理装置1は2つの基板処理列5、6を備えていたが、これに限られない。すなわち、3以上の基板処理部を備えるように変更してもよい。
(14)上述した各実施例1、2および各変形実施例の各構成を適宜に組み合わせるように変更してもよい。