以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。
図1は実施例1に係る基板処理装置の平面図、図2はその正面図、図3はは熱処理部の正面図である。
ここでは、半導体ウエハ(以下、単に「基板」という)に、反射防止膜やフォトレジスト膜を塗布形成するとともに、露光された基板に現像処理などの薬液処理を行う基板処理装置を例に採って説明する。もちろん、本発明に係る基板処理装置が取り扱い得る基板は、半導体ウエハに限らず、液晶表示器用のガラス基板など種々の基板を含む。また、薬液処理は、フォトレジスト膜などの塗布形成処理や現像処理に限らず、種々の薬液処理を含む。
図1を参照する。本実施例1に係る基板処理装置は大きく分けて、インデクサブロック1と、基板に対して所要の薬液処理を行う3つの処理ブロック(具体的には反射防止膜用処理ブロック2、レジスト膜用処理ブロック3、および現像処理ブロック4)と、インターフェイスブロック5とからなり、これらのブロックを並設して構成されている。インターフェイスブロック5には、本実施例1に係る基板処理装置とは別体の外部装置である露光装置(ステッパー)STPが並設される。以下、各ブロックの構成を説明する。
まず、インデクサブロック1について説明する。インンデクサブロック1は、基板Wを多段に収納するカセットCからの基板の取り出しや、カセットCへの基板Wの収納を行う機構である。具体的には、複数個のカッセトCを並べて載置するカセット載置台6と、各カセットCから未処理の基板Wを順に取り出すとともに、各カセットCへ処理済の基板Wを順に収納するインデクサ用搬送機構7とを備えている。インデクサ用搬送機構7は、カセット載置台6に沿って(Y方向に)水平移動可能な可動台7aを備えている。この可動台7aに基板Wを水平姿勢で保持する保持アーム7bが搭載されている。保持アーム7bは、可動台7a上を昇降(Z方向)移動、水平面内の旋回移動、および旋回半径方向に進退移動可能に構成されている。
上述したインデクサブロック1に隣接して反射防止膜処理ブロック2が設けられている。図4に示すように、インデクサブロック1と反射防止膜処理ブロック2との間には、雰囲気遮断用の隔壁13が設けられている。この隔壁13にインデクサブロック1と反射防止膜処理ブロック2との間で基板Wの受け渡しを行うために基板Wを載置する2つの基板載置部PASS1、PASS2が上下に近接して設けられている。
上側の基板載置部PASS1はインデクサブロック1から反射防止膜処理ブロック2へ基板Wを払い出すために、下側の基板載置部PASS2は反射防止膜処理ブロック2からインデクサブロック1へ基板Wを戻すために、それぞれ設けられている。反射防止膜処理ブロック2を基準にして言えば、基板載置部PASS1は、反射防止膜処理ブロック2に基板Wを受け入れるための入口基板載置部に相当する。特に、インデクサブロック1から露光装置STPに向かって流れる基板Wの搬送方向を順方向とした場合に、基板載置部PASS1は、基板Wを順方向に搬送するときに使われる送り用入口基板載置部に相当する。一方、基板載置部PASS2は、反射防止膜処理ブロック2から基板Wを払い出すための出口基板載置部であり、特に、基板Wを逆方向(本実施例では、露光装置STPからインデクサブロック1に向かって流れる基板Wの搬送方向)に搬送するときに使われる戻り用出口基板載置部に相当する。
基板載置部PASS1、PASS2は、隔壁13を部分的に貫通して設けられている。なお、基板載置部PASS1、PASS2は、固定設置された複数本の支持ピンから構成されており、この点は後述する他の基板載置部PASS3〜PASS10も同様である。また、基板載置部PASS1、PASS2には、基板Wの有無を検出する図示しない光学式のセンサが設けられており、各センサの検出信号に基づいてインデクサ用搬送機構7や、後述する反射防止膜用処理ブロック2の第1の主搬送機構10Aが、基板載置部PASS1、PASS2に対して基板を受け渡しできる状態であるかどうかを判断するようになっている。同様のセンサは他の基板載置部PASS3〜PASS10にも設けられている。
反射防止膜処理ブロック2について説明する。反射防止膜処理ブロック2は、露光時に発生する定在波やハレーションを減少させるために、フォトレジスト膜の下部に反射防止膜を塗布形成するための機構である。具体的には、基板Wの表面に反射防止膜を塗布形成する反射防止膜用塗布処理部8と、反射防止膜の塗布形成に関連して基板Wを熱処理する反射防止膜用熱処理部9と、反射防止膜用塗布処理部8および反射防止膜用熱処理部9に対して基板Wの受け渡しをする第1の主搬送機構10Aとを備える。
反射防止膜処理ブロック2は、第1の主搬送機構10Aを挟んで反射防止膜用塗布処理部8と反射防止膜用熱処理部9とが対向して配置されている。具体的には、塗布処理部8が装置正面側に、熱処理部9が装置背面側に、それぞれ位置している。このように薬液処理部と熱処理部とを主搬送機構を挟んで対向配置する点は、他のレジスト膜用処理ブロック3および現像処理ブロック4においても同様である。このような配置にすれば、薬液処理部と熱処理部とが隔たるので、薬液処理部が熱処理部から受ける熱的影響を抑えることができる。また、本実施例1では、熱処理部9の正面側に図示しない熱隔壁を設けて、反射防止膜用塗布処理部8への熱的影響を回避している。同様な熱隔壁は、他のレジスト膜用処理ブロック3および現像処理ブロック4にも設けられている。
反射防止膜用塗布処理部8は、図2に示すように、同様の構成を備えた3つの反射防止膜用塗布処理部8a〜8c(以下、特に区別しない場合は符号「8」で示す)を上下に積層配置して構成されている。各塗布処理部8は、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック11や、このスピンチャック11上に保持された基板W上に反射防止膜用の塗布液を供給するノズル12などを備えている。
反射防止膜用熱処理部9は、図3に示すように、基板Wを所定の温度にまで加熱する複数個の加熱プレートHP、加熱された基板Wを常温にまで冷却する複数個の冷却プレートCP、レジスト膜と基板Wとの密着性を向上させるためにHMDS(ヘキサメチルジシラザン)の蒸気雰囲気で基板Wを熱処理する複数個のアドヒージョン処理部AHLなどの熱処理部を含む。これらの熱処理部9の下部には、ヒータコントローラ(CONT)が配設され、また熱処理部9の上部(図3中に「×」印で示した個所)には配管配線部や、予備の空きスペースが割り当てられている。
反射防止膜用熱処理部9は、各熱処理部(HP,CP,AHL)を上下に積層配置して構成されているとともに、積層配置された一群の熱処理部が複数例(本実施例では2列)にわたり並設されている。薬液処理部を上下に積層配置している点、および上下に積層配置した一群の熱処理部を複数列にわたり並設している点は、他のレジスト膜用処理ブロック3および現像処理ブロック4においても同様である。
上述したように各処理ブロック2〜4で薬液処理部や熱処理部を上下に積層配置することにより、基板処理装置の占有スペースを小さくすることができる。また、積層配置した一群の記熱処理部を複数列にわたり並設することにより、熱処理部のメンテナンスが容易になるとともに、熱処理部に必要なダクト配管や給電設備をあまり高い位置にまで引き延ばす必要がなくなるという利点がある。
第1の主搬送機構10Aについて説明する。なお、後述する他のレジスト膜用処理ブロック3、現像処理ブロック4、およびインターフェイスブロック5にそれぞれ備えられた第2、第3、第4の各主搬送機構10B、10C、10Dも同様に構成されている。以下、第1〜第4の主搬送機構10A〜10Dを特に区別しない場合は、主搬送機構10として説明する。
図6を参照する。同図(a)は主搬送機構10の平面図、(b)はその正面図である。主搬送機構10は、基板Wを水平姿勢で保持する2個の保持アーム10a、10bを上下に近接して備えている。保持アーム10a、10bは、先端部が平面視で「C」の字状になっており、この「C」の字状のアームの内側から内方に突き出た複数本のピン10cで基板Wの周縁を下方から支持するようになっている。主搬送機構10の基台10dは装置基台に対して固定設置されている。この基台10d上に螺軸10eが回転可能に立設支持されている。基台10dに螺軸10eを回転駆動するモータ10fが設けられている。螺軸10eに昇降台10gが螺合されており、モータ10fが螺軸10eを回転駆動することにより、昇降台10gがガイド軸10jに案内されて昇降移動するようになっている。昇降台10g上にアーム基台10hが縦軸心周りに旋回可能に搭載されている。昇降台10gにはアーム基台10hを旋回駆動するモータ10iが設けられている。アーム基台10h上に上述した2つの保持アーム10a、10bが上下に配設されている。各保持アーム10a、10bは、アーム基台10h内に装備された駆動機構(図示せず)によって、各々が独立してアーム基台10hの旋回半径方向に進退移動可能に構成されている。
上述した反射防止膜処理ブロック2に隣接してレジスト膜処理ブロック3が設けられている。図4に示すように、反射防止膜処理ブロック2とレジスト膜処理ブロック3との間にも、雰囲気遮断用の隔壁13が設けられている。この隔壁13に反射防止膜処理ブロック2とレジスト膜処理ブロック3との間で基板Wの受け渡しを行うための2つの基板載置部PASS3、PASS4が上下に近接して設けられている。
上述した基板載置部PASS1、PASS2の場合と同様に、上側の基板載置部PASS3が基板Wの払出し用、下側の基板載置部PASS4が基板Wの戻し用になっているとともに、これらの基板載置部PASS3、PASS4は隔壁13を部分的に貫通している。ここで、基板載置部PASS3は、反射防止膜処理ブロック2を基準にして言えば、送り用出口基板載置部に相当し、レジスト膜処理ブロック3を基準にして言えば、送り用入口基板載置部に相当する。また、基板載置部PASS4は、反射防止膜処理ブロック2を基準にして言えば、戻り用入口基板載置部に相当し、レジスト膜処理ブロック3を基準にして言えば、戻り用出口基板載置部に相当する。これらの基板載置部PASS3、PASS4の下側には、基板Wを大まかに冷却するために水冷式の2つの冷却プレートWCPが隔壁13を貫通して上下に設けられている。
レジスト膜用処理ブロック3について説明する。レジスト膜用処理ブロック3は、反射防止膜が塗布形成された基板W上にフォトレジスト膜を塗布形成する機構である。なお、本実施例では、フォトレジストとして化学増幅型レジストを用いている。レジスト膜用処理ブロック3は、反射防止膜が塗布形成された基板Wにフォトレジスト膜を塗布形成するレジスト膜用塗布処理部15と、フォトレジスト膜の塗布形成に関連して基板を熱処理するレジスト膜用熱処理部16と、レジスト膜用塗布処理部15およびレジスト膜用熱処理部16に対して基板Wの受け渡しをする第2の主搬送機構10Bとを備える。
レジスト膜用塗布処理部15は、図2に示すように、同様の構成を備えた3つのレジスト膜用塗布処理部15a〜15c(以下、特に区別しない場合は符号「15」で示す)を上下に積層配置して構成されている。各塗布処理部15は、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック17や、このスピンチャック17上に保持された基板W上にレジスト膜用の塗布液を供給するノズル18などを備えている。
レジスト膜用熱処理部16は、図3に示すように、基板Wを所定の温度にまで加熱する基板仮置部付きの複数個の加熱部PHP、基板Wを常温にまで高い精度で冷却する複数個の冷却プレートCPなどの熱処理部を含む。各熱処理部が上下に積層されるとともに並列配置されている点は、反射防止膜用処理ブロック2の場合と同様である。
基板仮置部付きの加熱部PHPについて説明する。
図7を参照する。同図(a)は加熱部PHPの破断側面図、(b)は破断平面図である。加熱部PHPは、基板Wを載置して加熱処理をする加熱プレートHPと、この加熱プレートHPから離れた上方位置または下方位置(本実施例では上方位置)に基板Wを載置しておく基板仮置部19と、加熱プレートHPと基板仮置部19との間で基板Wを搬送する熱処理部用のローカル搬送機構20とを備えている。加熱プレートHPには、プレート表面に出没する複数本の可動支持ピン21が設けられている。加熱プレートHPの上方には加熱処理時に基板Wを覆う昇降自在の上蓋22が設けられている。基板仮置部19には基板Wを支持する複数本の固定支持ピン23が設けられている。
ローカル搬送機構20は、基板Wを水平姿勢で保持する保持プレート24を備え、この保持プレート24がネジ送り駆動機構25によって昇降移動されるとともに、ベルト駆動機構26によって進退移動されるようになっている。保持プレート24は、これが加熱プレートHPや基板仮置部19の上方に進出したときに、可動支持ピン21や固定支持ピン23と干渉しないように複数本のスリット24aが形成されている。また、ローカル搬送機構20は、加熱プレートHPから基板仮置部19へ基板Wを搬送する過程で基板を冷却する手段を備えている。この冷却手段は、例えば保持プレート24の内部に冷却水流路24bを設け、この冷却水流路24bに冷却水を流通させることによって構成されている。
上述したローカル搬送機構20は、加熱プレートHPおよび基板仮置部19を挟んで第2の主搬送機構10Bとは反対側、すなわち装置背面側に設置されている。そして、加熱プレートHPおよび基板仮置部19を覆う筐体27の上部、すなわち基板仮置部19を覆う部位には、その正面側に第2の主搬送機構10Bの進入を許容する開口部19aが、その背面側にはローカル搬送機構20の進入を許容する開口部19bが、それぞれ設けられている。また、筐体27の下部、すなわち加熱プレートHPを覆う部位は、その正面側が閉塞し、その背面側にローカル搬送機構20の進入を許容する開口部19cが設けられている。
上述した加熱部PHPに対する基板Wの出し入れは以下のようにして行われる。まず、主搬送機構10(レジスト膜用処理ブロック3の場合は、第2の主搬送機構10B)が基板Wを保持して、基板仮置部19の固定支持ピン23の上に基板Wを載置する。続いてローカル搬送機構20の保持プレート24が基板Wの下側に進入してから少し上昇することにより、固定支持ピン23から基板Wを受け取る。基板Wを保持した保持プレート24は筐体27から退出して、加熱プレートHPに対向する位置にまで下降する。このとき加熱プレートHPの可動支持ピン21は下降しているとともに、上蓋22は上昇している。基板Wを保持した保持プレート24は加熱プレートHPの上方に進出する。可動支持ピン21が上昇して基板Wを受け取った後に保持プレート24が退出する。続いて可動支持ピン21が下降して基板Wを加熱プレートHP上に載せるとともに、上蓋22が下降して基板Wを覆う。この状態で基板Wが加熱処理される。加熱処理が終わると上蓋22が上昇するとともに、可動支持ピン21が上昇して基板Wを持ち上げる。続いて保持プレート24が基板Wの下に進出した後、可動支持ピン23が下降することにより、基板Wが保持プレート24に受け渡される。基板Wを保持した保持プレート24が退出して、さらに上昇して基板Wを基板仮置部19に搬送する。基板仮置部19内で保持プレート24に支持された基板Wが、保持プレート24が有する冷却機能によって冷却される。保持プレート24は、冷却した(常温に戻した)基板Wを基板仮置部19の固定支持ピン23上に移載する。この基板Wを主搬送機構10が取り出して搬送する。
以上のように、主搬送機構10は、基板仮置部19に対して基板Wの受け渡しをするだけで、加熱プレートHPに対して基板の受け渡しをしないので、主搬送機構10が温度上昇するのを回避することができる。また、加熱プレートHPに基板Wを出し入れするための開口部19cが、主搬送機構10が配置された側とは反対側に位置しているので、開口部19cから漏れ出た熱雰囲気で主搬送機構10が温度上昇することがなく、またレジスト膜用塗布処理部15が開口部19cから漏れ出た熱雰囲気で悪影響を受けることもない。
上述したレジスト膜処理ブロック3に隣接して現像処理ブロック4が設けられている。図4に示すように、レジスト膜処理ブロック3と現像処理ブロック4との間にも、雰囲気遮断用の隔壁13が設けられており、この隔壁13に両処理ブロック3、4間で基板Wの受け渡しを行うための2つの基板載置部PASS5,6と、基板Wを大まかに冷却するために水冷式の2つの冷却プレートWCPが上下に積層して設けられている。ここで、基板載置部PASS5は、レジスト膜処理ブロック3を基準にして言えば、送り用出口基板載置部に相当し、現像処理ブロック4を基準にして言えば、送り用入口基板載置部に相当する。また、基板載置部PASS6は、レジスト膜処理ブロック3を基準にして言えば、戻り用入口基板載置部に相当し、現像処理ブロック4を基準にして言えば、戻り用出口基板載置部に相当する。
現像処理ブロック4について説明する。現像処理ブロック4は、露光された基板Wに対して現像処理をする機構である。具体的には、露光された基板Wに現像処理をする現像処理部30と、現像処理に関連して基板を熱処理する現像用熱処理部31と、現像処理部30および現像用熱処理部31に対して基板Wの受け渡しをする第3の主搬送機構10Cとを備える。
現像処理部30は、図2に示すように、同様の構成を備えた5つの現像処理部30a〜30e(以下、特に区別しない場合は符号「30」で示す)を上下に積層配置して構成されている。各現像処理部30は、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック32や、このスピンチャック32上に保持された基板W上に現像液を供給するノズル33などを備えている。
現像用熱処理部31は、図3に示すように、各々複数個の加熱プレートHP、基板仮置部付きの加熱部PHP、冷却プレートCPなどの熱処理部を含む。各熱処理部が上下に積層されるとともに並列配置されている点は、他の処理ブロック2、3の場合と同様である。現像用熱処理部31の右側(インターフェイスブロック5に隣接している側)の熱処理部の列には、現像処理ブロック4と、これに隣接するインターフェイスブロック5との間で基板Wの受け渡しを行うための2つの基板載置部PASS7、PASS8が上下に近接して設けられている。上側の基板載置部PASS7が基板Wの払出し用、下側の基板載置部PASS8が基板Wの戻し用になっている。ここで、基板載置部PASS7は、現像処理ブロック4を基準にして言えば、送り用出口基板載置部に相当し、インターフェイスブロック5を基準にして言えば、送り用入口基板載置部に相当する。また、基板載置部PASS8は、現像処理ブロック4を基準にして言えば、戻り用入口基板載置部に相当し、インターフェイスブロック5を基準にして言えば、戻り用出口基板載置部に相当する。
インターフェイスブロック5について説明する。インターフェイスブロック5は、本基板処理装置とは別体の外部装置である露光装置STPに対して基板Wの受け渡しをする機構である。本実施例装置におけるインターフェイスブロック5には、露光装置STPとの間で基板Wの受け渡しをするためのインターフェイス用搬送機構35の他に、フォトレジストが塗布された基板Wの周縁部を露光する2つのエッジ露光部EEWと、現像処理ブロック4内に配設された基板仮置部付きの熱処理部PHPおよびエッジ露光部EEWに対して基板Wを受け渡しする第4の主搬送機構10Dを備えている。
エッジ露光部EEWは、図2に示すように、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック36や、このスピンチャック36上に保持された基板Wの周縁を露光する光照射器37などを備えている。2つのエッジ露光部EEWは、インターフェイスブロック5の中央部に上下に積層配置されている。このエッジ露光部EEWと現像処理ブロック4の熱処理部とに隣接して配置されている第4の主搬送機構10Dは、図6で説明した主搬送機構10と同様の構成を備えている。
図2および図5を参照する。図5はインターフェイスブロック5の側面図である。2つのエッジ露光部EEWの下側に、基板戻し用のバッファRBFがあり、さらにその下側に2つの基板載置部PASS9、PASS10が積層配置されている。基板戻し用のバッファRBFは、故障などのために現像処理ブロック4が基板Wの現像処理をすることができない場合に、現像処理ブロック4の加熱部PHPで露光後の加熱処理を行った後に、その基板Wを一時的に収納保管しておくものである。このバッファRBFは、複数枚の基板Wを多段に収納できる収納棚から構成されている。基板載置部PASS9、PASS10は、第4の主搬送機構10Dとインターフェイス用搬送機構35との間で基板Wの受け渡しを行うためのもので、上側が基板払出し用、下側が基板戻し用になっている。
インターフェイス用搬送機構35は、図1および図5に示すように、Y方向に水平移動可能な可動台35aを備え、この可動台35a上に基板Wを保持する保持アーム35bを搭載している。保持アーム35bは、昇降・旋回および旋回半径方向に進退移動可能に構成されている。インターフェイス用搬送機構35の搬送経路の一端(図5中に示す位置P1)は、積層された基板載置部PASS9、PASS10の下方にまで延びており、この位置P1で露光装置STPとの間で基板Wの受け渡しを行う。また、搬送経路の他端位置P2では、基板載置部PASS9、PASS10に対する基板Wの受け渡しと、送り用バッファSBFに対する基板Wの収納と取り出しとを行う。送り用バッファSBFは、露光装置STPが基板Wの受け入れをできないときに、露光処理前の基板Wを一時的に収納保管するもので、複数枚の基板Wを多段に収納できる収納棚から構成されている。
以上のように構成された基板処理装置は、インデクサブロック1、各処理ブロック2、3、4、およびインターフェイスブロック5内に清浄空気がダウンフローの状態で供給されており、各ブロック内でパーティクルの巻き上がりや気流によるプロセスへの悪影響を回避している。また、各ブロック内は装置の外部環境に対して若干陽圧に保たれて、外部環境からのパーティクルや汚染物質の侵入などを防いでいる。特に、反射防止膜用処理ブロック2内の気圧はインデクサブロク1内の気圧よりも高くなるように設定されている。これにより、インデクサブロック1内の雰囲気が反射防止膜用処理ブロック2に流入しないので、外部の雰囲気の影響を受けずに各処理ブロック2、3、4で処理を行うことができる。
次に本実施例1に係る基板処理装置の制御系、特に基板搬送に係る制御手法について説明する。
上述したインデクサブロック1、反射防止膜用処理ブロック2、レジスト膜用処理ブロック3、現像処理ブロック4、およびインターフェイスブロック5は、本実施例1に係る基板処理装置を機構的に分割した要素である。具体的には、各ブロックは、各々個別のブロック用フレーム(枠体)に組み付けられ、各ブロック用フレームを連結して基板処理装置が構成されている(図8(a)参照)。
一方、本発明の特徴の1つとして、基板搬送に係る被制御ユニットの単位を機械的要素である各ブロックとは別に構成している。すなわち、基板に所要の処理を行う処理部と、前記処理部に対して基板の受け渡しをする単一の主搬送機構とを含んで単一の被制御ユニットを構成し、前記被制御ユニットを並設して基板処理装置を構成している。各被制御ユニットには、その被制御ユニットに基板を受け入れるために基板を載置する入口基板載置部と、その被制御ユニットから基板を払い出すために基板を載置する出口基板載置部とが区別して設けられている。そして、各被制御ユニットの主搬送機構は、入口基板載置部と出口基板載置部とを介して、互いに基板の受け渡しを行い、かつ、各被制御ユニットの主搬送機構の基板受け渡し動作を少なくとも制御するユニット制御手段を各被制御ユニットごとに備え、各ユニット制御手段は、前記処理部に対する基板の受け渡しおよび前記基板載置部に対する基板の受け渡しを含む一連の基板搬送に係る制御を、各々独立して行うようになっている。
以下、本実施例1での装置における被制御ユニットの単位を「セル」という。実施例装置の制御系を構成する各セルの配置を図8(b)に示す。
インデクサセルC1は、カセット載置台6とインデクサ用搬送機構7とを含む。このセルC1は、結果として機械的に分割した要素であるインデクサブロック1と同じ構成になっている。反射防止膜用処理セルC2は、反射防止膜用塗布処理部8と反射防止膜用熱処理部9と第1の主搬送機構10Aとを含む。このセルC2も、結果として機械的に分割した要素である反射防止膜用処理ブロック2と同じ構成になっている。レジスト膜用処理セルC3は、レジスト膜用塗布処理部15とレジスト膜用熱処理部16と第2の主搬送機構10Bとを含む。このセルC3も、結果として機械的に分割した要素であるレジスト膜用処理ブロック3と同じ構成になっている。
一方、現像処理セルC4は、現像処理部30と、露光後加熱に使われる熱処理部(実施例1では、加熱部PHP)を除いた現像用熱処理部31と、第3の主搬送機構10Cとを含む。このセルC3は、露光後加熱に使われる加熱部PHPを含んでいない点で、機械的に分割した要素である現像処理ブロック4とは異なる構成になっている。
露光後加熱用処理セルC5は、露光された基板Wを現像前に加熱処理する露光後加熱用の熱処理部(実施例では、現像処理ブロック4に設けられた加熱部PHP)と、エッジ露光部EEWと、第4の主搬送機構10Dとを含む。このセルC5は、機械的に分割した要素である現像処理ブロック4とインターフェイスブロック5とにまたがるもので、本実施例装置の特徴的なセルである。このように露光後加熱用の熱処理部(加熱部PHP)と第4の主搬送機構10Dとを含んで1つのセルを構成しているので、露光された基板を速やかに加熱部PHPに搬入して熱処理を行うことができる。これは露光後の加熱を速やかに行う必要がある化学増幅型フォトレジストを用いた場合に好適である。
なお、上述した基板載置部PASS7、PASS8は、現像処理セルC4の第3の主搬送機構10Cと、露光後加熱用処理セルC5の第4の主搬送機構10Dとの間の基板Wの受け渡しに介在する。ここで、基板載置部PASS7は、現像処理セルC4を基準にして言えば、送り用出口基板載置部に相当し、露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば、送り用入口基板載置部に相当する。また、基板載置部PASS8は、現像処理セルC4を基準にして言えば、戻り用入口基板載置部に相当し、露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば、戻り用出口基板載置部に相当する。
インターフェイスセルC6は、外部装置である露光装置STPに対して基板Wの受け渡しをするインターフェイス用搬送機構35を含む。このセルC6は、第4の主搬送機構10Dやエッジ露光部EEWを含まない点で、機械的に分割した要素であるインターフェイスブロック5とは異なる構成になっている。なお、上述した基板載置部PASS9、PASS10は、露光後加熱用処理セルC5の第4の主搬送機構10Dと、インターフェイス用搬送機構35との間の基板Wの受け渡しに介在する。ここで、基板載置部PASS9は、露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば、送り用出口基板載置部に相当し、インターフェイスセルC6を基準にして言えば、送り用入口基板載置部に相当する。また、基板載置部PASS10は、露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば、戻り用入口基板載置部に相当し、インターフェイスセルC6を基準にして言えば、戻り用出口基板載置部に相当する。
本実施例1での装置は、上述した6つのセルC1〜C6を並設して構成されており、各セルC1〜C6間の基板の受け渡しは、基板載置部PASS1〜PASS10を介して行われる。換言すれば、単一の被制御ユニット(セル)は、単一の主搬送機構を含み、その主搬送機構が、特定の入口基板載置部から受け取った基板を特定の出口基板載置部に置くまでに、基板の受け渡しを行う処理部を含んで構成される。
図9(a)に示すように、セルC1〜C6は、各々のセルの主搬送機構(インデクサ用搬送機構7およびインターフェイス用搬送機構35を含む)の基板受け渡し動作を少なくとも制御するセルコントローラ(ユニット制御手段)CT1〜CT6を個別に備えている。各セルコントローラCT1〜CT6は、所定の入口基板載置部に置かれた基板の受け取りから始まって、所定の出口基板載置部に基板を置くことによって完結する一連の制御を、各々独立して行うようになっている。具体的には、各セルC1〜C6のセルコントローラCT1〜CT6は、所定の基板載置部に基板を置いたという情報を、隣のセルのセルコントラーラに送り、その基板を受け取ったセルのセルコントローラは、所定の基板載置部から基板を受け取ったという情報を元のセルのセルコントローラに返すという情報のやり取りを行う。このような情報のやり取りは、各セルコントローラCT1〜CT6に接続されて、これらを統括的に管理するメインコントローラ(主制御手段)MCを介して行われる。メインコントローラMCは、後述するデータ設定部HCに接続され、データ設定部HCとの間で通信可能に構成されている。
各セルコントローラCT1〜CT6は、隣接するセル内での主搬送機構の動きを考慮することなく、各セル内の基板の受け渡しだけを対象にして制御を進めている。従って、各セルコントローラCT1〜CT6の制御の負担が少なくなる。これに対して、従来の基板処理装置の制御手法によると、図9(b)に示すように、各ブロック1〜5が基板処理のスケジュール管理用のコントローラCT0に基板搬送に係る情報を与えて、コントローラCT0が統括的に基板搬送を管理しているので、コントローラCT10の負担が多くなる。
以上のように本実施例1によれば各セルのコントローラCT1〜CT6の制御負担が少なくなるので、それだけ基板処理装置のスループットを向上させることができる。また、図9(b)に示した従来の制御手法によると、新たに処理部を追加すると、コントローラCT0のスケジュール管理用のプログラムを大幅に修正する必要が生じるが、本発明に係る制御手法によれば、新たにセルを追加しても、隣接するセルに影響を与えないので、セルの追加を容易に行うことができる。追加するセルの種類は特に限定されないが、例えば、レジスト膜用処理セルC3と現像処理セルC4との間に、基板Wに塗布されたレジスト膜の厚みを検査したり、あるいは現像後のレジスト膜の線幅を検査する検査用セルを追加してもよい。この場合、検査用セルは、本実施例1での装置の他のセルと同様に、基板を検査する基板検査部と、この検査部に対して基板を搬送する基板検査用の主搬送機構とを含んで構成される。また、検査用セルと隣接セルとの間の基板の受け渡しは、入口基板載置部と出口基板載置部とを介して行われる。
なお、図9(a)に示した制御手法は、いわゆる分散制御と呼ばれるものである。本実施例1では、この分散制御に本発明を適用しているが、図9(b)に示した従来の制御手法にも本発明を適用することができる。
次に、データ設定部HCの具体的構成について図10を参照して説明する。データ設定部HCの入力部38は、マウスやキーボード38aやタッチパネル38bやボタンなどのポインティングデバイスで構成されており、オペレータが入力したデータを、メインコントローラMC、さらには各セルコントローラCT1〜CT6に転送して、各セルに関する基板制御をそれぞれ行っている。また、メインコントローラMCには、図示を省略するRAM(Random Access Memory)などに代表される記憶部を備えており、各種のデータが記憶されている。
データ設定部HCの画面は、このタッチパネル38bで表示され、タッチパネル38bの操作表示にしたがって、オペレータはタッチパネル38bに直接触って、データの入力を行う。
本実施例1の場合には、データ設定部HCの入力部38にオペレータが入力することで、後述するフローレシピ(図12参照)内のパラメータ(例えばスキップ制御フラグや基板処理条件などの処理情報)を設定変更し、設定変更されたパラメータをフローレシピごとメインコントローラMC、さらには各セルコントローラCT1〜CT6に転送している。また、フローレシピは上述した記憶部に記憶されており、必要に応じて適宜読み出し、読み出されたフローレシピ内のパラメータを変更する可変レシピ機能を備えている。マウスやキーボード38aやタッチパネル38bやボタンなどの入力部38は、本発明における搬送順序設定手段と処理情報設定手段とに相当し、メインコントローラMCは、本発明における制御手段に相当する。
次に、本実施例1に係る基板処理装置の基本的な動作について図11を参照して説明する。図11(a)は反射防止膜用処理セルC2に関する基板のフローチャート、図11(b)はレジスト膜用処理セルC3に関する基板のフローチャート、図11(c)は現像処理セルC4に関する基板のフローチャート、図11(d)は露光後加熱用処理セルC5に関する基板のフローチャートである。
まず、インデクサセルC1(インデクサブロック1)のインデクサ用搬送機構7が、所定のカセットCに対向する位置にまで水平移動する。続いて、保持アーム7bが昇降および進退移動することにより、そのカセットCに収納されている未処理の基板Wを取り出す。保持アーム7bに基板Wを保持した状態で、インデクサ用搬送機構7が、基板載置部PASS1、PASS2に対向する位置にまで水平移動する。そして、保持アーム7b上の基板Wを基板払出し用の上側の基板載置部PASS1に載置する。基板戻し用の下側の基板載置部PASS2に処理済みの基板Wが載置されている場合、インデクサ用搬送機構7は、その処理済みの基板Wを保持アーム7b上に受け取って、所定のカッセトCに処理済みの基板Wを収納する。以下、同様にカセットCから未処理基板Wを取り出して基板載置部PASS1に搬送するとともに、処理済み基板Wを基板載置部PASS2から受け取ってカセットCに収納するという動作を繰り返し行う。
図11(a)に示すように反射防止膜用処理セルC2では、順方向においては、基板載置部PASS1(反射防止膜用処理セルC2を基準にして言えば「送り用入口基板載置部」)、冷却プレートCP、反射防止膜用塗布処理部8、加熱プレートHP、冷却プレートWCP、基板載置部PASS3(反射防止膜用処理セルC2を基準にして言えば「送り用出口基板載置部」)の順に基板Wが処理される。逆方向においては、PASS4(反射防止膜用処理セルC2を基準にして言えば「戻り用入口基板載置部」)、基板載置部PASS2(反射防止膜用処理セルC2を基準にして言えば「戻り用出口基板載置部」)の順に基板Wが処理される。なお、図11(a)中の符号BARCは反射防止膜用塗布処理部8を示している。
基板載置部PASS1に未処理基板Wが置かれると、セルC2の第1の主搬送機構10Aは、保持アーム10a、10bを基板載置部PASS1、PASS2に対向する位置にまで一体に昇降および旋回移動させる。そして、一方の保持アーム10bに保持している処理済みの基板Wを下側の戻し用の基板載置部PASS2に置き、その後、上側の送り用入口基板載置部PASS1に置かれている未処理基板Wを、空の状態になった一方の保持アーム10bを再び駆動して、その保持アーム10b上に受け取るという、保持アーム10bだけを使った処理済み基板Wおよび未処理基板Wの受け渡し動作を行う。
具体的には、保持アーム10bを前進移動させて戻り用出口基板載置部PASS2上に処理済みの基板Wを置く。処理済みの基板Wを渡した保持アーム10bは元の位置にまで後退する。続いて、保持アーム10a、10bを一体に少し上昇させた後、空の状態になった保持アーム10bを再び前進移動させて送り用入口基板載置部PASS1上の未処理基板Wを保持アーム10b上に受け取る。基板Wを受け取った保持アーム10bは元の位置にまで後退する。
上述したように、本実施例1では、基板載置部PASS1、PASS2に対する処理済み基板Wおよび未処理基板Wの受け渡し動作を保持アーム10bだけを使って行っている。一方の保持アーム10aに保持した基板Wを基板載置部PASS2に渡した後は、両方の保持アーム10a、10bは空の状態になっているので、いずれの保持アーム10a、10bを使っても基板載置部PASS1の基板Wを受け取ることができる。しかし、本実施例1では、後述する説明から明らかになるように、加熱プレートHPで処理されて加熱された基板Wを、上側に配置された保持アーム10aで受け取るために、元々空の状態にあった保持アーム10aを使わずに、保持アーム10bを再駆動して基板載置部PASS1の基板Wを受け取るように構成してある。この基板載置部PASS1、PASS2に対する未処理基板Wおよび処理済み基板Wの受け渡しは、図11(a)中に示した第1の主搬送機構10Aの搬送工程(1)に相当する。
基板載置部PASS1、PASS2に対する基板Wの受け渡しが終わると、第1の主搬送機構10Aは、基板Wを保持していない空の状態の保持アーム10aと、未処理基板Wを保持した保持アーム10bとを一体に昇降・旋回移動させて、反射防止膜用熱処理部9の所定の冷却プレートCPに対向させる。通常、この冷却プレートCPには、先行処理されている基板Wが入っている。そこで、先ず、空の保持アーム10aを前進移動させて、その冷却プレートCP上の冷却処理済みの基板Wを保持アーム10a上に受け取る。続いて未処理基板Wを保持した保持アーム10bを前進移動させて、未処理基板Wをその冷却プレートCP上に置く。冷却プレートCPに載せられた基板Wは、主搬送機構10Aが他の搬送動作を行っている間に、常温にまで精度よく冷却される。この冷却プレートCPに対する基板Wの受け渡しは、図11(a)中に示した第1の主搬送機構10Aの搬送工程(2)に相当する。
冷却プレートCPへの基板Wの受け渡しが終わると、冷却処理された基板Wを保持した保持アーム10aと空の保持アーム10bとを一体に昇降・旋回移動させて、所定の反射防止膜用塗布処理部8に対向させる。通常、この反射防止膜用塗布処理部8には、先行処理されている基板Wが入っている。そこで、先ず、空の保持アーム10bを前進移動させて、その反射防止膜用塗布処理部8にあるスピンチャック11上の処理済みの基板Wを保持アーム10b上に受け取る。続いて基板Wを保持した保持アーム10aを前進移動させて、基板Wをそのスピンチャック11上に置く。スピンチャック11上に載せられた基板Wは、主搬送機構10Aが他の搬送動作を行っている間に、反射防止膜が塗布形成される。このスピンチャック11に対する基板Wの受け渡しは、図11(a)中に示した第1の主搬送機構10Aの搬送工程(3)に相当する。
スピンチャック11への基板Wの受け渡しが終わると、空の状態の保持アーム10aと、反射防止膜が塗布された基板Wを保持した保持アーム10bとを一体に昇降・旋回移動させて、所定の加熱プレートHPに対向させる。通常、この加熱プレートHPにも先行処理されている基板Wが入っているので、先ず、空の保持アーム10aを前進移動させて、その加熱プレートHP上の処理済みの基板Wを保持アーム10a上に受け取る。続いて、保持アーム10bを前進移動させて、基板Wを加熱プレートHP上に置く。加熱プレートHP上に載せられた基板Wは、主搬送機構10Aが他の搬送動作を行っている間に熱処理されて、基板W上の反射防止膜に含まれる余剰の溶剤が除去される。この加熱プレートHPに対する基板Wの受け渡しは、図11(a)中に示した第1の主搬送機構10Aの搬送工程(4)に相当する。
加熱プレートHPへの基板Wの載せ換えが終わると、熱処理された基板Wを保持した保持アーム10aと空の状態の保持アーム10bとを一体に昇降・旋回移動させて、隔壁13に設置された水冷式の冷却プレートWCPに対向させる。上述したと同様に、先ず、空の保持アーム10bを前進移動させて、その冷却プレートWCP上の処理済みの基板Wを保持アーム10b上に受け取る。続いて、保持アーム10aを前進移動させて、基板Wを冷却プレートWCP上に置く。冷却プレートWCP上に載せられた基板Wは、主搬送機構10Aが他の搬送動作を行っている間に大まかに冷却処理される。この冷却プレートWCPに対する基板Wの受け渡しは、図11(a)中に示した第1の主搬送機構10Aの搬送工程(5)に相当する。
冷却プレートWCPへの基板Wの載せ換えが終わると、空の状態の保持アーム10aと、大まかに冷却された基板Wを保持した保持アーム10bとを一体に上昇させて、冷却プレートWCPの上方に配設されている基板載置部PASS3、PASS4に対向させる。そして、保持アーム10bを前進移動させて上側の基板載置部PASS3上に基板Wを置く。通常、下側の基板載置部PASS4に、レジスト膜用処理セルC3を介して現像処理セルC4から送られてきた現像処理済みの基板Wが置かれている。そこで、保持アーム10a、10bを一体に少し下降させた後、空の状態になった保持アーム10bを再び前進移動させて基板載置部PASS4上の現像処理済みの基板Wを保持アーム10b上に受け取る。この基板載置部PASS3、PASS4に対する基板Wの受け渡しは、図11(a)中に示した第1の主搬送機構10Aの搬送工程(6)に相当する。
反射防止膜用処理セルC2に備えられた第1の主搬送機構10Aは、上述した各搬送工程を繰り返し行う。ここで、図11(a)に示す順方向と逆方向とを合計すると、6つの搬送工程を負担することになる。
上述した説明から明らかなように、加熱プレートHPで加熱処理された基板Wは、常に上側の保持アーム10aで保持される。加熱された基板Wからの熱的影響は上方に強く及ぶので、加熱された基板Wの影響で下側の保持アーム10bが温度上昇するのを抑制することができる。この熱的影響をあまり受けていない下側の保持アーム10bを使って、反射防止膜用処理セルC2から次のレジスト膜用処理セルC3に基板Wを払い出すようにしているので、レジスト膜の塗付処理を受ける基板Wの温度変動を抑制することができる。
なお、本実施例1の反射防止膜用処理セルC2は、基板載置部PASS1、PASS2に対する基板Wの受け渡しと、基板載置部PASS3、PASS4に対する基板Wの受け渡しとの間に、偶数回の基板Wの受け渡し(すなわち図11(a)で「CP」、「BARC」、「HP」、「WCP」で表した各処理に伴う基板Wの受け渡し」を行う。このような場合、必ずしも上述したように、一方の保持アーム10bだけを使って基板載置部PASS1〜PASS4に対して基板Wの受け渡しを行う必要はなく、基板載置部PASS1、PASS2および基板載置部PASS3、PASS4に対してそれぞれ2つの保持アーム10a、10bを使って基板Wの受け渡しを行っても、加熱処理された直後の基板Wを保持する保持アームを、一方の保持アーム10aに固定することはできる。
しかし、基板載置部PASS1、PASS2に対する基板Wの受け渡しと基板載置部PASS3、PASS4に対する基板Wの受け渡しとの間に行われる基板Wの受け渡し回数(基板の受け渡しを伴う処理の回数)が奇数回になった場合(後述する露光後加熱用処理セルC5のような場合)に、上記のように基板載置部PASS1、PASS2および基板載置部PASS3、PASS4の両方に対して2つの保持アーム10a、10b(1つの保持アームのみを使う場合も同様であるが)を使って基板Wの受け渡しを行うと、搬送行程の1サイクルごとに、基板Wを扱う保持アームが交互に入れ代わるので、加熱処理後の基板Wを一方の保持アーム10aだけで取り扱うことができなくなる。その結果、2つの保持アーム10a、10bが加熱された基板Wから熱的影響を受けて蓄熱し、他の基板Wに熱的悪影響を与えるという不具合を招く。
これに対して、本実施例1では、2つの保持アーム10a、10bのいずれかに基板Wを保持した状態で、2つの基板載置部に対して基板Wの受け渡しを行うにあたり、一方の保持アーム上の基板Wを先に一方の基板載置部に渡すことにより、一時的に2つの保持アーム10a、10bを空の状態にしているので、他方の基板載置部上の基板Wをいずれの保持アーム10a、10bを使っても受け取ることができる。従って、基板載置部PASS1、PASS2に対する基板Wの受け渡しと基板載置部PASS3、PASS4に対する基板Wの受け渡しとの間に、奇数回の基板Wの受け渡し(基板の受け渡しを伴う処理)がある場合には、一方の2つの基板載置部(例えば、上下に近接配置された送り用入口基板載置部と戻り用出口基板載置部)に対しては1つの保持アーム(例えば、保持アーム10b)を使って基板Wの受け渡しを行い、他方の2つの基板載置部(例えば、送り用出口基板載置部と戻り用入口基板載置部)に対しては2つの保持アーム10a、10bを使って基板Wの受け渡しを行うことにより、各処理に伴う基板Wの受け渡しを常に同じ保持アームを使って行うことができる。すなわち、保持アーム10a、10bのうち、加熱プレートHPで加熱処理がなされた基板Wを受け取る保持アームが毎搬送サイクルとも同じになるという条件を満たすように、空の状態の保持アーム10a、10bのうちの1つを駆動して、入口基板載置部に置かれている基板を受け取るようにしているのである。従って、保持アーム10a、10bから基板Wに与える熱的影響を抑制することができ、また、保持アーム10a、10bから基板Wに対して何らかの熱的影響が仮にあったとしても、その熱的影響が基板Wごとに変動するということがなく、基板Wに対する熱的影響の「変動」を最小限度に抑えることができ、もって基板処理の品質を安定させることができる。
上記のような2つの基板載置部に対して一方の保持アーム10bだけを使って基板Wの受け渡しをする手法は、後述する他の処理セルC2〜C4(ただし、露光後加熱用処理セルC5を除く)においても同様である。なお、本発明はこのような基板Wの受け渡し手法に限定されるものでなく、保持アームから基板Wに与える熱的影響を考慮する必要がない場合などでは、全ての基板載置部に対して2つの保持アームを使って基板Wの受け渡しを行っても良い。
図11(b)に示すようにレジスト膜用処理セルC3では、順方向においては、基板載置部PASS3(レジスト膜用処理セルC3を基準にして言えば「送り用入口基板載置部」)、冷却プレートCP、レジスト膜用塗布処理部15、加熱部PHP、冷却プレートCP、基板載置部PASS5(レジスト膜用処理セルC3を基準にして言えば「送り用出口基板載置部」)の順に基板Wが処理される。逆方向においては、基板載置部PASS6(レジスト膜用処理セルC3を基準にして言えば「戻り用入口基板載置部」)、基板載置部PASS4(レジスト膜用処理セルC3を基準にして言えば「戻り用出口基板載置部」)の順に基板Wが処理される。なお、図11(b)中の符号PRはレジスト膜用塗布処理部15を示している。
反射防止膜が塗付形成された基板Wが基板載置部PASS3に置かれると、セルC3の第2の主搬送機構10Bは、上述した第1の主搬送機構10Aの場合と同様に、一方の保持アーム10bに保持した現像処理済みの基板Wを基板載置部PASS4上に置く。そして、基板載置部PASS3上の基板Wを再び保持アーム10b上に受け取る。この基板載置部PASS3、PASS4に対する基板Wの受け渡しは、図11(b)中に示した第2の主搬送機構10Bの搬送工程(1)に相当する。
基板載置部PASS3、PASS4に対する基板Wの受け渡しが終わると、第2の主搬送機構10Bは、空の状態の保持アーム10aと基板Wを保持した保持アーム10bとを、レジスト膜用熱処理部16の所定の冷却プレートCPに対向する位置にまで移動させる。そして、先ず、空の保持アーム10aを前進移動させて、その冷却プレートCP上の冷却処理済みの基板Wを受け取り、続いて保持アーム10bを前進移動させて、未処理基板Wをその冷却プレートCP上に置く。この冷却プレートCPに対する基板Wの受け渡しは、図11(b)中に示した第2の主搬送機構10Bの搬送工程(2)に相当する。
冷却プレートCPへの基板Wの載せ換えが終わると、冷却処理された基板Wを保持した保持アーム10aと空の状態の保持アーム10bとを、所定のレジスト膜用塗布処理部15に対向する位置にまで移動させる。先ず、空の保持アーム10bを前進移動させて、そのレジスト膜用塗布処理部15にあるスピンチャック17上の処理済みの基板Wを受け取るとともに、基板Wを保持した保持アーム10aを前進移動させて、その基板Wをスピンチャック17上に置く。スピンチャック17上に載せられた基板Wは、主搬送機構10Bが他の搬送動作を行っている間に、レジスト膜が塗布形成される。このスピンチャック17に対する基板Wの受け渡しは、図11(b)中に示した第2の主搬送機構10Bの搬送工程(3)に相当する。
スピンチャック17への基板Wの受け渡しが終わると、空の状態の保持アーム10aと、レジスト膜が塗布形成された基板Wを保持した保持アーム10bとを、所定の基板仮置部付きの加熱部PHPに対向させる。先ず、空の保持アーム10aを前進移動させて、その加熱部PHP上の基板仮置部19に載置されている処理済みの基板Wを受け取る。続いて、保持アーム10bを前進移動させて、未処理基板Wを基板仮置部19上に置く。基板仮置部19上に載せられた基板Wは、主搬送機構10Bが他の搬送動作を行っている間に、その加熱部PHPのローカル搬送機構20によって、その加熱部PHPの加熱プレートHP上に移されて熱処理される。この加熱プレートHP上で熱処理された基板Wは、同じローカル搬送機構20によって基板仮置部19に戻される。その基板Wは、ローカル搬送機構20の保持プレート24に保持されて基板仮置部19に戻され、基板載置部20内で保持プレート24の冷却機構によって冷却される。この加熱部PHPに対する基板Wの受け渡しは、図11(b)中に示した第2の主搬送機構10Bの搬送工程(4)に相当する。
加熱部PHPへの基板Wの受け渡しが終わると、熱処理された基板Wを保持した保持アーム10aと空の状態の保持アーム10bとを、レジスト膜用熱処理部16の冷却プレートCPに対向させる。そして、空の保持アーム10bを前進移動させて、その冷却プレートCP上の処理済みの基板Wを受け取るとともに、保持アーム10aを前進移動させて、未処理基板Wを冷却プレートCP上に置く。この冷却プレートCPに対する基板Wの受け渡しは、図11(b)中に示した第2の主搬送機構10Bの搬送工程(5)に相当する。
冷却プレートCPへの基板Wの受け渡しが終わると、空の状態の保持アーム10aと、冷却された基板Wを保持した保持アーム10bとを、基板載置部PASS5、PASS6に対向させる。続いて、保持アーム10bを前進移動させて上側の基板払出し用の基板載置部PASS5上に基板Wを置くとともに、下側の基板戻し用の基板載置部PASS6に載置されている現像処理済みの基板Wを再び保持アーム10bで受け取る。この基板載置部PASS5、PASS6に対する基板Wの受け渡しは、図11(b)中に示した第2の主搬送機構10Bの搬送工程(6)に相当する。
レジスト膜用処理セルC3に備えられた第2の主搬送機構10Bは、上述した各搬送工程を繰り返し行う。ここで、図11(b)に示す順方向と逆方向とを合計すると、第1の主搬送機構10Aと同様に6つの搬送工程を負担することになる。
図11(c)に示すように現像処理セルC4では、順方向においては、基板載置部PASS5(現像処理セルC4を基準にして言えば「送り用入口基板載置部」)、基板載置部PASS7(現像処理セルC4を基準にして言えば「送り用出口基板載置部」)の順に基板Wが処理される。逆方向においては、PASS8(現像処理セルC4を基準にして言えば「戻り用入口基板載置部」)、冷却プレートCP、現像処理部30、加熱プレートHP、冷却プレートWCP、基板載置部PASS6(現像処理セルC4を基準にして言えば「戻り用出口基板載置部」)の順に基板Wが処理される。なお、図11(c)中の符号SDは現像処理部30を示している。
レジスト膜が塗付形成された基板Wが基板載置部PASS5に置かれると、セルC4の第3の主搬送機構10Cは、先ず保持アーム10bに保持した現像処理済みの基板Wを基板載置部PASS6上に置き、その後、基板載置部PASS5上の基板Wを再び保持アーム10b上に受け取る。この基板載置部PASS5、PASS6に対する基板Wの受け渡しは、図11(c)中に示した第3の主搬送機構10Cの搬送工程(1)に相当する。
基板載置部PASS5、PASS6に対する基板Wの受け渡しが終わると、第3の主搬送機構10Cは、空の状態の保持アーム10aと基板Wを保持した保持アーム10bとを、現像用熱処理部31の積層構造の中に配設された基板載置部PASS7、PASS8に対向する位置にまで移動させる。続いて、保持アーム10bを前進移動させて上側の基板払出し用の基板載置部PASS7上に、レジスト膜が塗付形成された基板Wを置き、その後、下側の基板戻し用の基板載置部PASS8に載置されている露光後の加熱処理済みの基板Wを再び保持アーム10bで受け取る。この基板載置部PASS7、PASS8に対する基板Wの受け渡しは、図11(c)中に示した第3の主搬送機構10Cの搬送工程(2)に相当する。
基板載置部PASS7、PASS8に対する基板Wの受け渡しが終わると、第3の主搬送機構10Cは、空の状態の保持アーム10aと、露光後の加熱処理済みの基板Wを保持した保持アーム10bとを、現像用熱処理部31の所定の冷却プレートCPに対向する位置にまで移動させる。そして、先ず、空の保持アーム10aを前進移動させて、その冷却プレートCP上の冷却処理済みの基板Wを受け取り、続いて保持アーム10bを前進移動させて、未処理基板Wをその冷却プレートCP上に置く。この冷却プレートCPに対する基板Wの受け渡しは、図11(c)中に示した第3の主搬送機構10Cの搬送工程(3)に相当する。
冷却プレートCPへの基板Wの受け渡しが終わると、冷却処理された基板Wを保持した保持アーム10aと空の状態の保持アーム10bとを、所定の現像処理部30に対向する位置にまで移動させる。先ず、空の保持アーム10bを前進移動させて、その現像処理部30にあるスピンチャック32上の処理済みの基板Wを受け取るとともに、基板Wを保持した保持アーム10aを前進移動させて、その基板Wをスピンチャック32上に置く。スピンチャック32上に載せられた基板Wは、主搬送機構10Cが他の搬送動作を行っている間に、現像処理される。このスピンチャック32に対する基板Wの受け渡しは、図11(c)中に示した第3の主搬送機構10Cの搬送工程(4)に相当する。
スピンチャック32への基板Wの受け渡しが終わると、空の状態の保持アーム10aと、現像処理された基板Wを保持した保持アーム10bとを、現像用熱処理部31の所定の加熱プレートHPに対向させる。先ず、空の保持アーム10aを前進移動させて、その加熱プレートHP上に載置されている処理済みの基板Wを受け取る。続いて、保持アーム10bを前進移動させて、未処理基板Wを加熱プレートHP上に置く。この加熱プレートHPに対する基板Wの受け渡しは、図11(c)中に示した第3の主搬送機構10Cの搬送工程(5)に相当する。
加熱プレートHPへの基板Wの載せ換えが終わると、加熱処理された基板Wを保持した保持アーム10aと空の状態の保持アーム10bとを、レジスト膜用処理セルC3の側にある隔壁13に設置された水冷式の冷却プレートWCPに対向させる。そして、空の保持アーム10bを前進移動させて、その冷却プレートWCP上の処理済みの基板Wを受け取るとともに、保持アーム10aを前進移動させて、未処理基板Wを冷却プレートWCP上に置く。この冷却プレートWCPに対する基板Wの受け渡しは、図11(c)中に示した第3の主搬送機構10Cの搬送工程(6)に相当する。
現像処理セルC4に備えられた第3の主搬送機構10Cは、上述した各搬送工程を繰り返し行う。ここで、図11(c)に示す順方向と逆方向とを合計すると、第1、第2の主搬送機構10A、10Bと同様に6つの搬送工程を負担することになる。
図11(d)に示すように露光後加熱用処理セルC5では、順方向においては、基板載置部PASS7(露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば「送り用入口基板載置部」)、エッジ露光部EEW、冷却プレートCP、基板載置部PASS9(露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば「送り用出口基板載置部」)の順に基板Wが処理される。逆方向においては、基板載置部PASS10(露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば「戻り用入口基板載置部」)、加熱部PHP、基板載置部PASS8(露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば「戻り用出口基板載置部」)の順に基板Wが処置される。なお、図11(d)中の符号PEBは、露光済みの基板Wを加熱するための加熱部PHPを示しており、露光後加熱(Post Exposure Bake)を行うためのものである。
レジスト膜が塗付形成された基板Wが基板載置部PASS7に置かれると、セルC5の第4の主搬送機構10Dは、保持アーム10bに保持した露光後加熱処理済みの基板Wを基板載置部PASS8上に置き、その後で基板載置部PASS7上の基板Wを再び保持アーム10b上に受け取る。この基板載置部PASS7、PASS8に対する基板Wの受け渡しは、図11(d)中に示した第4の主搬送機構10Dの搬送工程(1)に相当する。
基板載置部PASS7、PASS8に対する基板Wの受け渡しが終わると、第4の主搬送機構10Dは、空の状態の保持アーム10aと基板Wを保持した保持アーム10bとを、所定のエッジ露光部EEWに対向する位置にまで移動させる。そして、先ず、空の保持アーム10aを前進移動させて、そのエッジ露光部EEWのスピンチャック36上にある周辺露光済みの基板Wを受け取り、続いて保持アーム10bを前進移動させて、未処理基板Wをそのスピンチャック36上に置く。スピンチャック36上に載せられた基板Wは、主搬送機構10Dが他の搬送動作を行っている間に、その周縁部が露光される。このスピンチャック36に対する基板Wの受け渡しは、図11(d)中に示した第4の主搬送機構10Dの搬送工程(2)に相当する。
スピンチャック36に対する基板Wの受け渡しが終わると、第4の主搬送機構10Dは、周辺露光された基板Wを保持した保持アーム10aと空の状態の保持アーム10bとを、現像用熱処理部31にある冷却プレートCPに対向する位置にまで移動させる。そして、空の保持アーム10bを前進移動させて、その冷却プレートCP上の処理済みの基板Wを受け取るとともに、保持アーム10aを前進移動させて、周辺露光された基板Wを冷却プレートCP上に置く。この冷却プレートCPに対する基板Wの受け渡しは、図11(d)中に示した第4の主搬送機構10Dの搬送工程(3)に相当する。
冷却プレートCPに対する基板Wの受け渡しが終わると、第4の主搬送機構10Dは、空の状態の保持アーム10aと、冷却処理された基板Wを保持した保持アーム10bとを、基板載置部PASS9、PASS10に対向する位置にまで移動させる。続いて、保持アーム10bを前進移動させて上側の基板払出し用の基板載置部PASS9上に基板Wを置くとともに、下側の基板戻し用の基板載置部PASS10に載置されている、露光装置STPで露光された基板Wを保持アーム10aで受け取る。この基板載置部PASS9、PASS10に対する基板Wの受け渡しは、図11(d)中に示した第4の主搬送機構10Dの搬送工程(4)に相当する。
なお、本実施例では、基板載置部PASS9、PASS10に対してだけ、2つの保持アーム10a、10bを使って基板Wの受け渡しを行っている。これは、反射防止膜用処理セルC2で説明したように、基板載置部PASS9、PASS10に対する基板Wの受け渡しと、基板載置部PASS7、PASS8との間に後述する加熱部PHPに対する基板Wの受け渡しを(1回:奇数回)行う関係で、基板載置部PASS9、PASS10に対して一方の保持アーム10bだけを使って基板の受け渡しを行うと、基板載置部PASS7、PASS8に対する基板Wの受け渡しに使う保持アームが、搬送行程の1サイクルごとに入れ代わるので、これを避けるためである。
基板載置部PASS9、PASS10に対する基板Wの受け渡しが終わると、第4の主搬送機構10Cは、露光済みの基板Wを保持した保持アーム10aと空の状態の保持アーム10bとを、現像用熱処理部31にある所定の基板仮置部付きの加熱部PHPに対向する位置にまで移動させる。そして、先ず、空の保持アーム10bを前進移動させて、その加熱部PHP(具体的には、基板仮置部19の上)にある露光後の加熱処理済みの基板Wを受け取り、続いて保持アーム10aを前進移動させて、露光済みの基板Wを加熱部PHP(具体的には、基板仮置部19の上)に置く。基板仮置部19に置かれた基板Wは、主搬送機構10Dが他の搬送動作を行っている間に、ローカル搬送機構20によって加熱プレートHPに移されて加熱処理された後に、同じくローカル搬送機構20によって基板仮置部19に戻され、基板仮置部19内で冷却される。この加熱部PHPに対する基板Wの受け渡しは、図11(d)中に示した第4の主搬送機構10Dの搬送工程(5)に相当する。
露光後加熱用処理セルC5に備えられた第4の主搬送機構10Dは、上述した各搬送工程を繰り返し行う。ここで、図11(d)に示す順方向と逆方向とを合計すると、第1〜第3の主搬送機構10A〜10Cよりも1つ少ない5つの搬送工程を負担することになる。
インターフェイスセルC6の動作を説明する。周辺露光された基板Wが基板載置部PASS9(インターフェイスセルC6を基準にして言えば「送り用入口基板載置部」)に置かれると、インターフェイスセルC6のインターフェイス用搬送機構35が基板載置部PASS9から基板Wを受け取って、隣接する露光装置STPに渡す。さらに、インターフェイス用搬送機構35は、露光装置STPから露光済みの基板Wを受け取って、その基板を基板戻し用の基板載置部PASS10(インターフェイスセルC6を基準にして言えば「戻り用出口基板載置部」)に載せる。インターフェイス用搬送機構35は、このような基板搬送動作を繰り返し行う。
次に、フローレシピおよびパラメータについて図12を参照して説明する。図12(a)は、フローレシピの全体の概要を示す図であって、図12(b)は、各フローレシピおよびパラメータの内容を示す図であって、図12(c)は、基板処理条件に係るパラメータの内容を示す図である。フローレシピは、処理部の温度・湿度や処理時間の条件などといった基板処理条件や、各々の処理部に対して基板Wの受け渡しを行う搬送順序などを設定するものであって、パラメータは、例えば後述するスキップ制御フラグや上述した基板処理条件などの処理情報であって、基板処理中に変更することが可能になるように構成されている。
図12(a)に示すように、フローレシピ39は、レシピ番号と各フローレシピとから構成されているとともに、レシピ番号の種類だけ各フローレシピを設定登録することができるように構成されている。上述したようにフローレシピ39は、メインコントローラMCに備えられた記憶部に記憶されており、マウスやキーボード38aやタッチパネル38bやボタンなどの入力部38によって各フローレシピを設定することができる。
図12(b)に示すように、各々のフローレシピ40は、搬送順序を決定する情報とそれに付随したパラメータとから構成されているとともに、パラメータは、基板処理条件とスキップ制御フラグとから構成されている。スキップ制御フラグは、各々の処理部に対して基板Wの処理を行うか否かを設定するものである。搬送順序は、例えば図11(a)〜図11(d)に示すフローが設定されている。図12(b)の搬送順序では、レシピ番号の「1」には図11(a)の反射防止膜用処理セルC2に関する順方向のフローが登録されており、レシピ番号の「2」には図11(b)のレジスト膜用処理セルC3に関する順方向のフローが登録されている。
パラメータのうち、基板処理条件に係るパラメータには、各々の搬送順序ごとに番号が割り当てられており、割り当てられた番号は、図12(c)に示すように具体的な基板処理条件41にさらに割り当てられている。例えば、レシピ番号の「1」の搬送順序「CP」には、図12(b)に示すように基板処理条件の欄に番号「1」が割り当てられているが、「CP」の具体的な基板処理条件41については、図12(c)に示すように「冷却温度」や「冷却時間」などが記載されており、割り当てられた番号「1」に対応する箇所に「冷却温度」や「冷却時間」などのように具体的な基板処理条件41がさらに割り当てられる。同じように、レシピ番号の「1」の搬送順序「BARC」には、図12(b)に示すように基板処理条件の欄に番号「2」が割り当てられているが、「BARC」の具体的な基板処理条件41については、図12(c)に示すように「塗布液の種類」や「スピンチャックの回転数」などが記載されており、割り当てられた番号「2」に対応する箇所に「塗布液の種類」や「スピンチャックの回転数」などのように具体的な基板処理条件41がさらに割り当てられる。つまり、図12(c)に示す、これらの具体的な基板処理条件41が、図12(b)に示す基板処理条件に対応することになる。
パラメータのうち、スキップ制御フラグには、各々の搬送順序における処理部ごとに「ON」または「OFF」のいずれか1つが割り当てられており、フラグが「OFF」の場合には、そのフラグにおける処理部で基板の処理を行い、フラグが「ON」の場合には、そのフラグにおける処理部で基板Wの処理を行わずに、次の処理部に対して基板Wの受け渡しを行う。すなわち、フラグが「ON」の場合には、そのフラグにおける処理部でスキップする。例えば、図11(a)での反射防止膜用処理セルC2に関する順方向のフローにおいて加熱プレートHPでの加熱処理をスキップする場合には、図12(b)に示すレシピ番号の「1」におけるフローレシピ40では、搬送順序「HP」におけるフラグは「ON」となり、それ以外の搬送順序「PASS1」,「CP」,「BARC」,「WCP」,「PASS3」における各フラグは「OFF」となる。図11(b)でのレジスト膜用処理セルC3に関する順方向のフローにおいて冷却プレートCPでの冷却処理をスキップする場合には、図12(b)に示すレシピ番号の「2」におけるフローレシピ40では、搬送順序「CP」におけるフラグは「ON」となり、それ以外の搬送順序「PASS3」,「PR」,「PHP」,「PASS5」における各フラグは「OFF」となる。レシピ番号の「2」の場合には、冷却プレートCPでの冷却処理は、「PASS3」と「PR」との間の「CP」と、「PHP」と「PASS5」との間の「CP」と2つある。例えば「PASS3」と「PR」との間の「CP」をスキップして、「PHP」と「PASS5」との間の「CP」を行う場合には、「PASS3」と「PR」との間の「CP」におけるフラグを「ON」として、「PHP」と「PASS5」との間の「CP」におけるフラグを「OFF」とすればよい。
これらの搬送順序およびスキップ制御フラグといったパラメータは基板処理中に変更することも可能となっており、マウスやキーボード38aやタッチパネル38bやボタンなどの入力部38によって各パラメータを設定変更することができる。なお、本実施例1では、並設しているセル間で基板Wの受け渡しが行われることから基板Wは基板載置部PASS1,PASS3,PASS5を必ず通る。したがって、本実施例1では「PASS1」,「PASS3」,「PASS5」における各フラグについては、入力部38の設定に関わらず常に「OFF」にするのが好ましい。
このように設定された基板処理条件やスキップ制御フラグなどのパラメータは、搬送順序を決定する情報に付随されて、記憶部に記憶されたフローレシピ39を読み出して、設定されたこれらのパラメータに書き換える。スキップ制御フラグを例に採ると、図13に示すように、入力部38からの設定により「ON」または「OFF」の設定が行われ、搬送順序を決定する情報に付随してメインコントローラMCに与えられて、記憶部に記憶されたフローレシピ39を読み出して、設定されたフラグに関して「ON」または「OFF」に書き換える。
書き換えられたフローレシピ39内の各フローレシピ40は、各セルに対応したセルコントローラCT1〜CT6に送られる。例えば、各フローレシピ40において、レシピ番号の「1」には図11(a)の反射防止膜用処理セルC2に関する順方向のフローが、レシピ番号の「2」には図11(b)のレジスト膜用処理セルC3に関する順方向のフローが、それぞれ登録されているが、図13に示すように、レシピ番号「1」に係るフローレシピ40が、反射防止膜用処理セルC2に対応したセルコントローラCT2に送られるとともに、レシピ番号の「2」に係るフローレシピ40が、レジスト膜用処理セルC3に対応したセルコントローラCT3に送られる。このとき、各フローレシピ40内のパラメータも搬送順序を決定する情報に付随して各セルコントローラCT1〜CT6に送られる。したがって、スキップする命令であるスキップ制御フラグの「ON」、または基板Wの処理を行う命令であるスキップ制御フラグの「OFF」も搬送順序を決定する情報に付随して各セルコントローラCT1〜CT6に送られる。フローレシピ40に関する各セルコントローラCT1〜CT6への送信は、基板処理の開始のときに行われる。
また、これらのパラメータは上述したように基板処理中に変更することができる。すなわち、基板処理の開始時にメインコントローラMCを介して各セルコントローラCT1〜CT6に送られた各フローレシ40ピ内のパラメータは、各セルコントローラCT1〜CT6内の図示を省略する記憶部に一時的に記憶され、基板処理中にこれらのパラメータを書き換えることが可能である。スキップ制御フラグを例に採ると、レシピ番号の「2」に係るフローレシピ40において、基板処理前に設定された冷却プレートCPでのスキップ制御フラグ「ON」(図12(b)参照)を、基板処理中に「OFF」に変更するとともに、基板処理前に設定されたレジスト膜用塗布処理部15でのスキップ制御フラグ「OFF」(図12(b)では「PR」はレジスト膜用塗布処理部15)を、基板処理中に「ON」に変更する場合には、基板処理中に入力部38からの設定により「ON」または「OFF」の設定が行われ、搬送順序「CP」,「PR」に付随されてメインコントローラMCを介してレジスト膜用処理セルC3に対応したセルコントローラCT3に送られて、セルコントローラCT3内の記憶部に記憶されたレシピ番号の「2」に係るフローレシピ40を読み出して、設定されたフラグに関して「ON」または「OFF」に書き換える。
次に、スキップ制御フラグが「ON」の場合、すなわち基板処理をスキップする場合での搬送について、反射防止膜用処理セルC2を例に採って説明する。ここで、反射防止膜用処理セルC2に関する順方向のフローにおいて加熱プレートHPでの加熱処理をスキップする(図12(b)を参照)場合、すなわちレシピ番号の「1」におけるフローレシピ40において搬送順序「HP」における制御フラグを「ON」にして、それ以外の搬送順序「PASS1」,「CP」,「BARC」,「WCP」,「PASS3」における各フラグを「OFF」にする場合での搬送について説明する。基板Wが「PASS1」,「CP」,「BARC」の順に搬送されて処理されるが、ここでの搬送における基板Wの受け渡しは、図11(a)で説明した基板処理装置の基本的な動作と同じであるのでその説明を省略する。
「BARC」、すなわち反射防止膜用塗布処理部8にあるスピンチャック11上の処理済みの基板Wを保持アーム10bが受け取り、それに続いて未処理の基板Wを保持した保持アーム10aを前進移動させて、基板Wをそのスピンチャック11上に置くと、空の状態の保持アーム10aと、反射防止膜が塗布された基板Wを保持した保持アーム10bとを一体に昇降・旋回移動させて、加熱プレートHPに対向させる。そして、空の保持アーム10aを前進移動させて、その加熱プレートHP上の処理済みの基板Wを保持アーム10a上に受け取り、それに続いて保持アーム10bを前進移動させて、基板Wを加熱プレートHP上に置く。通常の基板処理では、加熱プレートHP上に載せられた基板Wは、主搬送機構10Aが他の搬送動作を行っている間に熱処理されて、基板W上の反射防止膜に含まれる余剰の溶剤が除去されるが、搬送順序「HP」における制御フラグが「ON」で加熱プレートHPでの加熱処理を行わずにスキップするので、他の搬送動作を行っている間に加熱プレートHP上に基板Wを載せた状態で加熱処理を行わないように加熱プレートHPのヒータコントローラ(CONT)(図3を参照)を制御する。
その後、基板Wは「WCP」,「PASS3」の順に搬送されて処理されるが、ここでの搬送における基板Wの受け渡しは、図11(a)で説明した基板処理装置の基本的な動作と同じであるのでその説明を省略する。なお、処理を行わずにスキップする場合において、スキップの対象である加熱プレートHPに基板Wを載置せずに加熱プレートHPを通過して、「HP」の次の搬送順序である「WCP」、すなわち水冷式の冷却プレートWCPに基板Wを渡してもよい。
以上のように、本実施例1によれば、入力部38が、主搬送機構10A〜10Dによる基板Wの搬送順序を含んだフローレシピ39、各フローレシピ40を設定するとともに、基板Wの処理情報であるパラメータも設定する。その搬送順序を決定する情報に図12(b)に示すようにパラメータが付随して、メインコントローラMCに転送されて与えられる。これらの情報が与えられたメインコントローラMCは、搬送順序を決定する情報と、これに付随する処理情報であるパラメータに基づき、(α)搬送順序を決定する情報に基づいて処理部に対して基板Wの受け渡しを行うとともに、(β1 )パラメータが「基板の処理を行う」ことを設定するものである場合には、すなわち本実施例1ではパラメータの1つであるスキップ制御フラグを「OFF」に設定した場合には、そのフラグに基づいてフラグにおけるその処理部で基板Wの処理を行い、(β2 )パラメータが「基板の処理を行わない」ことを設定する場合には、すなわち本実施例1ではスキップ制御フラグを「ON」に設定した場合には、そのフラグにおける処理部で基板Wの処理を行わずに、次の処理部に対して基板Wの受け渡しを行うように、処理部および主搬送機構10A〜10Dを制御する。
スキップ制御フラグは、各々の処理部に対して基板Wの処理を行うか否かを設定する情報であるので、上述した(β1 ),(β2 )のように「基板の処理を行う」および「基板の処理を行わない」(すなわち基板Wの処理をスキップする)の双方についてスキップ制御フラグによって操作することができる。また、そのスキップ制御フラグは搬送順序を決定する情報に付随しているので、搬送順序自体、さらにはフローレシピ39,各フローレシピ40全体を変更する必要はなく、スキップ制御フラグの設定に合わせて様々な基板処理を柔軟に行うことができる。
また、本実施例1では図9(a)に示した分散制御に本発明を適用していることで、隣接するセル間の主搬送機構10A〜10Dの動きを考慮する必要がなくなる。すなわち、図9(b)に示した従来の制御手法に本発明を適用した場合には、柔軟な基板処理によって生じた相互のセル(従来の場合ではブロック)の影響が生じ易い。例えば、図12(b)において、反射防止膜用処理セルC2に関する順方向のフローにおいて加熱プレートHPでの加熱処理をスキップする場合には「PASS1」,「CP」,「BARC」,「WCP」,「PASS3」の順で搬送が行われ、レジスト膜用処理セルC3に関する順方向のフローにおいて冷却プレートCPでの冷却処理をスキップする場合には「PASS3」,「PR」,「PHP」,「PASS5」の順で搬送が行われ、搬送工程の数がブロック間で異なってくる。一方、分散制御の場合では、搬送工程の数が異なることで生じる待ち時間はセル間での基板載置部に基板Wを載置することで吸収されるので、以上の理由から、従来の制御手法と比較すると、搬送工程の数がセル間で異なったとしても、柔軟な基板処理によって生じた相互の各セルの影響が生じ難くなる。
なお、本実施例1では、反射防止膜用処理セルC2に関する順方向のフローおよびレジスト膜用処理セルC3に関する順方向のフローを例に採って説明したが、逆方向のフロー、あるいは他のセルに関する順方向または逆方向のフローについても同様である。