JP2004319768A - 基板処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】様々な基板処理を柔軟に行うことができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】データ設定部の入力部(例えばタッチパネル)に、メインフローや仮フローに関するレシピの作成を入力して、基板処理を統括制御するメインコントローラ、さらには、各セルを制御するセルコントローラに転送する。一連の基板処理に関する選択肢fa、fb、fcを有するメインフローMFを作成する。そして、例えば処理する基板ごとに反射防止膜用塗布処理部8a〜8c(BARC(8a)〜BARC(8c))を指定して、メインフローMFおよび反射防止膜用塗布処理部8a〜8cに基づいて、メインフロー中の1つの選択肢fa、fb、fcを選択して仮フローを作成する。メインコントローラおよびセルコントローラは、作成された仮フローに基づいて基板処理を制御するので、作成された仮フローに合わせて、様々な基板処理を柔軟に行うことができる。
【選択図】 図12
【解決手段】データ設定部の入力部(例えばタッチパネル)に、メインフローや仮フローに関するレシピの作成を入力して、基板処理を統括制御するメインコントローラ、さらには、各セルを制御するセルコントローラに転送する。一連の基板処理に関する選択肢fa、fb、fcを有するメインフローMFを作成する。そして、例えば処理する基板ごとに反射防止膜用塗布処理部8a〜8c(BARC(8a)〜BARC(8c))を指定して、メインフローMFおよび反射防止膜用塗布処理部8a〜8cに基づいて、メインフロー中の1つの選択肢fa、fb、fcを選択して仮フローを作成する。メインコントローラおよびセルコントローラは、作成された仮フローに基づいて基板処理を制御するので、作成された仮フローに合わせて、様々な基板処理を柔軟に行うことができる。
【選択図】 図12
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体基板、液晶表示器のガラス基板、フォトマスク用のガラス基板、光ディスク用の基板(以下、単に基板と称する)に対して基板処理を行う基板処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の基板処理装置では、基板処理を行う処理部(ユニット)の温度・湿度や処理時間の条件などといった基板処理条件や、どの処理部で行うかを設定するフローのレシピが複数個登録されている。オペレータ(術者)は、これら登録されたフローレシピを選択して基板処理を行っている。
【0003】
例えば、処理部に未処理の基板を払い出して、処理済みの基板を受け取るインデクサ(Indexer)と、露光処理を行う露光処理部(Exposure)と、現像処理を行う4つの現像処理部(Spin Developer)とを備えた基板処理装置の場合には、図28に示すようなフローレシピが登録されている。なお、図28中の符号IDはインデクサを示し、符号EXPは露光処理部を示し、符号SD1,SD2,SD3,SD4は4つの現像処理部をそれぞれ示している。また、符号EXP中の『(30s)』は、露光処理部の露光処理時間が30秒であることを示し、符号SD1,SD2,SD3,SD4中の各『(120s)』は、現像処理部の現像処理時間が120秒であることを示す。
【0004】
このようなレシピの場合、インデクサ(ID)から露光処理部(EXP)に基板を払い出して、露光処理部で露光処理を行い、4つの現像処理部(SD1,SD2,SD3,SD4)のうちいずれか1つの現像処理部に露光処理済みの基板を渡して、その現像処理部で現像処理を行い、インデクサ(ID)で処理済みの基板を受け取る。
【0005】
各処理部のタイミングチャートは、図29に示すとおりである。なお、図29中の符号W1は1枚目に処理される基板を示し、符号W2は2枚目に処理される基板を示し、符号W3は3枚目に処理される基板を示し、符号W4は4枚目に処理される基板を示し、符号W5は5枚目に処理される基板を示し、符号W6は6枚目に処理される基板を示す。また、図29および後述する図31では、基板の搬送時間を考慮せずに説明する。
【0006】
1枚目の基板W1を露光処理部(EXP)で30秒間処理すると、それに続いて2枚目の基板W2を露光処理部で30秒間処理するとともに、同時に、露光処理部で処理された基板W1を現像処理部(SD1)で120秒間処理する。2枚目の基板W2を露光処理部で30秒間処理すると、それに続いて3枚目の基板W3を露光処理部で30秒間処理するとともに、同時に、露光処理部で処理された基板W2を現像処理部(SD2)で120秒間処理する。同様に、基板W3も現像処理部(SD3)で120秒間、4枚目の基板W4も露光処理部で30秒間、現像処理部(SD4)で120秒間、5枚目の基板W5も露光処理部で30秒間の処理を行う。
【0007】
基板W5の露光処理部が終了した際には、基板W1の現像処理部(SD1)での処理がちょうど終了する。従って、基板W1を現像処理部(SD1)からインデクサに渡して、空いた現像処理部(SD1)で露光処理部が終了した基板W5を120秒間処理する。このように、露光処理部の露光処理時間が30秒で、現像処理部の現像処理時間が120秒の場合には、各現像処理(SD1,SD2,SD3,SD4)にまんべんなく基板を渡して処理することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなレシピの場合には、次のような問題がある。
すなわち、図28に示すフローレシピにおいて、図30に示すように、現像処理部の現像処理時間が120秒のままで、露光処理部の露光処理時間が30秒から90秒に変更したときには、各処理部のタイミングチャートは、図31に示すように処理される現像処理部がSD1とSD2とに偏ってしまう。
【0009】
つまり、1枚目の基板W1を露光処理部(EXP)で90秒間処理すると、それに続いて2枚目の基板W2を露光処理部で90秒間処理するとともに、同時に、露光処理部で処理された基板W1を現像処理部(SD1)で120秒間処理する。2枚目の基板W2を露光処理部で90秒間処理すると、それに続いて3枚目の基板W3を露光処理部で90秒間処理するとともに、同時に、露光処理部で処理された基板W2を現像処理部(SD2)で120秒間処理する。
【0010】
基板W3の露光処理部が終了した際には、基板W1の現像処理部(SD1)での処理は既に終了している。従って、空いている現像処理部は、SD2以外のSD1,SD3,SD4となるが、優先順位の高いSD1で露光処理部が終了した基板W3を120秒間処理する。このように、処理される現像処理部がSD1とSD2とに偏り、SD3とSD4とにはいつまでも基板が処理されないことになる。
【0011】
かかる処理時間の場合には、例えば、基板処理条件を最適化するために基板処理条件を変更しながらダミーの基板を試験的に流して行う(以下、これを『条件出し』という)ときでも、SD1とSD2とに偏り、SD3とSD4とにはダミーの基板が流れないことになる。従って、条件出しも含めてSD3とSD4とに基板を流そうとすれば、従来のフローレシピからSD1とSD2とを削除して、SD3とSD4とで並行に行うフローレシピを作成する必要がある。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、様々な基板処理を柔軟に行うことができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題を解決するために鋭意研究した結果、次のような知見を得た。
すなわち、上記フローレシピの場合には、並行処理を行う処理部(上記の場合には現像処理部)ごとに優先順位があって、優先順位の高い処理部から処理が行われ、もし、優先順位の高い処理部で基板が処理されていれば次に優先順位の高い処理部で行うというフローに起因して、優先順位の高い処理部が一旦空けば、その処理部で基板を処理し続け、優先順位の低い処理部にはいつまでも基板が処理されない。
【0014】
このように、優先順位の高い処理部から処理が行われ、もし、優先順位の高い処理部で基板が処理されていれば次に優先順位の高い処理部で行うという条件以外には、フローレシピは一見制限されていないようだが、この条件によってフローレシピ内で行える処理がかなり制限されるともいえる。してみれば、様々な基板処理を柔軟に行うという点から鑑みれば、並行処理に限らず、メインとなるフローについて選択肢を有するように設定しておいて、後は、指定された処理部に基づいてメインフロー中の1つの選択肢を選択すればよい。さすれば、新たにフローを作成し直したり、メインとなるフローレシピ(以下、単に『メインフロー』と略記する)自体を作成し直す必要はない。このような知見に基づく本発明は、次のような構成をとる。
【0015】
すなわち、請求項1に記載の発明は、基板処理を行う処理部と、基板処理を制御する制御手段とを備えた基板処理装置であって、一連の基板処理に関する選択肢を有したメインフローを作成するメインフロー作成手段と、処理部を指定する処理部指定手段と、メインフロー作成手段によって作成されたメインフロー、および処理部指定手段によって指定された処理部に基づいて、メインフロー中の1つの選択肢を選択して仮フローを作成する仮フロー作成手段とを備え、制御手段は、仮フロー作成手段によって作成された仮フローに基づいて基板処理を制御することを特徴とするものである。
【0016】
〔作用・効果〕請求項1に記載の発明によれば、仮フロー作成手段は、メインフロー作成手段によって作成されたメインフロー、および処理部指定手段によって指定された処理部に基づいて、メインフロー中の1つの選択肢を選択して仮フローを作成する。そして、制御手段は、仮フロー作成手段によって作成された仮フローに基づいて基板処理を制御する。このように、メインフローに、一連の基板処理に関する選択肢を有するようにしたので、メインフロー自体を作成し直したり、メインフロー自体を変更することなく、メインフロー中の1つの選択肢によって仮フローを作成することができる。その結果、メインフロー自体を作成し直したり、メインフロー自体を変更することなく、作成された仮フローに合わせて、様々な基板処理を柔軟に行うことができる。
【0017】
本発明は、並行処理を行う基板処理装置に有用である。すなわち、処理部の少なくとも一部は、同一の処理について並行に行う複数の処理部であって、同一の処理について並行に行う複数の処理部から1つを選択する(請求項2に記載の発明)ように構成することで、並行処理において、選択された処理部に応じて仮フローを作成することができる。従って、並行処理において、基板が処理される処理部が、ある処理部に偏ったり、別の処理部に基板が処理されないという事態を低減させることができる。
【0018】
また、上述した各発明において、好ましくは、処理部指定手段は、基板ごとに指定可能(請求項3に記載の発明)に構成する。基板ごとに処理部を指定することで、基板ごとに仮フローを作成することができ、基板ごとに様々な基板処理を柔軟に行うことができる。
【0019】
また、請求項3に記載の発明において、好ましくは、処理部の少なくとも一部は、同一の処理について並行に行う複数の処理部であって、処理部指定手段は、同一の処理について並行に行う複数の処理部から1つを選択し、基板が払い出された順に処理部を指定する(請求項4に記載の発明)ように構成する。つまり、並行処理を組み合わせて、基板が払い出された順に処理部を指定することで、並行処理において、同一の処理について並行に行う複数の処理部にまんべんなく基板を渡して処理することができる。
【0020】
また、処理部の少なくとも一部を、基板の検査を行う検査部(請求項5に記載の発明)で構成することで、基板の検査を一連の基板処理に含む場合においても、様々な基板処理を柔軟に行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1は実施例に係る基板処理装置の平面図、図2はその正面図、図3は熱処理部の正面図である。
【0022】
ここでは、半導体ウエハ(以下、単に「基板」という)に、反射防止膜やフォトレジスト膜を塗布形成するとともに、露光された基板に現像処理などの薬液処理を行う基板処理装置を例に採って説明する。もちろん、本発明に係る基板処理装置が取り扱い得る基板は、半導体ウエハに限らず、液晶表示器用のガラス基板など種々の基板を含む。また、薬液処理は、フォトレジスト膜などの塗布形成処理や現像処理に限らず、種々の薬液処理を含む。
【0023】
図1を参照する。本実施例に係る基板処理装置は大きく分けて、インデクサブロック1と、基板に対して所要の薬液処理を行う3つの処理ブロック(具体的には反射防止膜用処理ブロック2、レジスト膜用処理ブロック3、および現像処理ブロック4)と、インターフェイスブロック5とからなり、これらのブロックを並設して構成されている。インターフェイスブロック5には、本実施例に係る基板処理装置とは別体の外部装置である露光装置(ステッパー)STPが並設される。以下、各ブロックの構成を説明する。
【0024】
まず、インデクサブロック1について説明する。インンデクサブロック1は、基板Wを多段に収納するカセットCからの基板の取り出しや、カセットCへの基板Wの収納を行う機構である。具体的には、複数個のカッセトCを並べて載置するカセット載置台6と、各カセットCから未処理の基板Wを順に取り出すとともに、各カセットCへ処理済の基板Wを順に収納するインデクサ用搬送機構7とを備えている。インデクサ用搬送機構7は、カセット載置台6に沿って(Y方向に)水平移動可能な可動台7aを備えている。この可動台7aに基板Wを水平姿勢で保持する保持アーム7bが搭載されている。保持アーム7bは、可動台7a上を昇降(Z方向)移動、水平面内の旋回移動、および旋回半径方向に進退移動可能に構成されている。
【0025】
上述したインデクサブロック1に隣接して反射防止膜処理ブロック2が設けられている。図4に示すように、インデクサブロック1と反射防止膜処理ブロック2との間には、雰囲気遮断用の隔壁13が設けられている。この隔壁13にインデクサブロック1と反射防止膜処理ブロック2との間で基板Wの受け渡しを行うために基板Wを載置する2つの基板載置部PASS1、PASS2が上下に近接して設けられている。
【0026】
上側の基板載置部PASS1はインデクサブロック1から反射防止膜処理ブロック2へ基板Wを払い出すために、下側の基板載置部PASS2は反射防止膜処理ブロック2からインデクサブロック1へ基板Wを戻すために、それぞれ設けられている。反射防止膜処理ブロック2を基準にして言えば、基板載置部PASS1は、反射防止膜処理ブロック2に基板Wを受け入れるための入口基板載置部に相当する。特に、インデクサブロック1から露光装置STPに向かって流れる基板Wの搬送方向を順方向とした場合に、基板載置部PASS1は、基板Wを順方向に搬送するときに使われる送り用入口基板載置部に相当する。一方、基板載置部PASS2は、反射防止膜処理ブロック2から基板Wを払い出すための出口基板載置部であり、特に、基板Wを逆方向(本実施例では、露光装置STPからインデクサブロック1に向かって流れる基板Wの搬送方向)に搬送するときに使われる戻り用出口基板載置部に相当する。
【0027】
基板載置部PASS1、PASS2は、隔壁13を部分的に貫通して設けられている。なお、基板載置部PASS1、PASS2は、固定設置された複数本の支持ピンから構成されており、この点は後述する他の基板載置部PASS3〜PASS10も同様である。また、基板載置部PASS1、PASS2には、基板Wの有無を検出する図示しない光学式のセンサが設けられており、各センサの検出信号に基づいてインデクサ用搬送機構7や、後述する反射防止膜用処理ブロック2の第1の主搬送機構10Aが、基板載置部PASS1、PASS2に対して基板を受け渡しできる状態であるかどうかを判断するようになっている。同様のセンサは他の基板載置部PASS3〜PASS10にも設けられている。
【0028】
反射防止膜処理ブロック2について説明する。反射防止膜処理ブロック2は、露光時に発生する定在波やハレーションを減少させるために、フォトレジスト膜の下部に反射防止膜を塗布形成するための機構である。具体的には、基板Wの表面に反射防止膜を塗布形成する反射防止膜用塗布処理部8と、反射防止膜の塗布形成に関連して基板Wを熱処理する反射防止膜用熱処理部9と、反射防止膜用塗布処理部8および反射防止膜用熱処理部9に対して基板Wの受け渡しをする第1の主搬送機構10Aとを備える。
【0029】
反射防止膜処理ブロック2は、第1の主搬送機構10Aを挟んで反射防止膜用塗布処理部8と反射防止膜用熱処理部9とが対向して配置されている。具体的には、塗布処理部8が装置正面側に、熱処理部9が装置背面側に、それぞれ位置している。このように薬液処理部と熱処理部とを主搬送機構を挟んで対向配置する点は、他のレジスト膜用処理ブロック3および現像処理ブロック4においても同様である。このような配置にすれば、薬液処理部と熱処理部とが隔たるので、薬液処理部が熱処理部から受ける熱的影響を抑えることができる。また、本実施例では、熱処理部9の正面側に図示しない熱隔壁を設けて、反射防止膜用塗布処理部8への熱的影響を回避している。同様な熱隔壁は、他のレジスト膜用処理ブロック3および現像処理ブロック4にも設けられている。
【0030】
反射防止膜用塗布処理部8は、図2に示すように、同様の構成を備えた3つの反射防止膜用塗布処理部8a〜8c(以下、特に区別しない場合は符号「8」で示す)を上下に積層配置して構成されている。各塗布処理部8は、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック11や、このスピンチャック11上に保持された基板W上に反射防止膜用の塗布液を供給するノズル12などを備えている。
【0031】
反射防止膜用熱処理部9は、図3に示すように、基板Wを所定の温度にまで加熱する複数個の加熱プレートHP、加熱された基板Wを常温にまで冷却する複数個の冷却プレートCP、レジスト膜と基板Wとの密着性を向上させるためにHMDS(ヘキサメチルジシラザン)の蒸気雰囲気で基板Wを熱処理する複数個のアドヒージョン処理部AHLなどの熱処理部を含む。これらの熱処理部9の下部には、ヒータコントローラ(CONT)が配設され、また熱処理部9の上部(図3中に「×」印で示した個所)には配管配線部や、予備の空きスペースが割り当てられている。
【0032】
反射防止膜用熱処理部9は、各熱処理部(HP,CP,AHL)を上下に積層配置して構成されているとともに、積層配置された一群の熱処理部が複数例(本実施例では2列)にわたり並設されている。薬液処理部を上下に積層配置している点、および上下に積層配置した一群の熱処理部を複数列にわたり並設している点は、他のレジスト膜用処理ブロック3および現像処理ブロック4においても同様である。
【0033】
上述したように各処理ブロック2〜4で薬液処理部や熱処理部を上下に積層配置することにより、基板処理装置の占有スペースを小さくすることができる。また、積層配置した一群の記熱処理部を複数列にわたり並設することにより、熱処理部のメンテナンスが容易になるとともに、熱処理部に必要なダクト配管や給電設備をあまり高い位置にまで引き延ばす必要がなくなるという利点がある。
【0034】
第1の主搬送機構10Aについて説明する。なお、後述する他のレジスト膜用処理ブロック3、現像処理ブロック4、およびインターフェイスブロック5にそれぞれ備えられた第2、第3、第4の各主搬送機構10B、10C、10Dも同様に構成されている。以下、第1〜第4の主搬送機構10A〜10Dを特に区別しない場合は、主搬送機構10として説明する。
【0035】
図6を参照する。同図(a)は主搬送機構10の平面図、(b)はその正面図である。主搬送機構10は、基板Wを水平姿勢で保持する2個の保持アーム10a、10bを上下に近接して備えている。保持アーム10a、10bは、先端部が平面視で「C]の字状になっており、この「C」の字状のアームの内側から内方に突き出た複数本のピン10cで基板Wの周縁を下方から支持するようになっている。主搬送機構10の基台10dは装置基台に対して固定設置されている。この基台10d上に螺軸10eが回転可能に立設支持されている。基台10dに螺軸10eを回転駆動するモータ10fが設けられている。螺軸10eに昇降台10gが螺合されており、モータ10fが螺軸10eを回転駆動することにより、昇降台10gがガイド軸10jに案内されて昇降移動するようになっている。昇降台10g上にアーム基台10hが縦軸心周りに旋回可能に搭載されている。昇降台10gにはアーム基台10hを旋回駆動するモータ10iが設けられている。アーム基台10h上に上述した2つの保持アーム10a、10bが上下に配設されている。各保持アーム10a、10bは、アーム基台10h内に装備された駆動機構(図示せず)によって、各々が独立してアーム基台10hの旋回半径方向に進退移動可能に構成されている。
【0036】
上述した反射防止膜処理ブロック2に隣接してレジスト膜処理ブロック3が設けられている。図4に示すように、反射防止膜処理ブロック2とレジスト膜処理ブロック3との間にも、雰囲気遮断用の隔壁13が設けられている。この隔壁13に反射防止膜処理ブロック2とレジスト膜処理ブロック3との間で基板Wの受け渡しを行うための2つの基板載置部PASS3、PASS4が上下に近接して設けられている。
【0037】
上述した基板載置部PASS1、PASS2の場合と同様に、上側の基板載置部PASS3が基板Wの払出し用、下側の基板載置部PASS4が基板Wの戻し用になっているとともに、これらの基板載置部PASS3、PASS4は隔壁13を部分的に貫通している。ここで、基板載置部PASS3は、反射防止膜処理ブロック2を基準にして言えば、送り用出口基板載置部に相当し、レジスト膜処理ブロック3を基準にして言えば、送り用入口基板載置部に相当する。また、基板載置部PASS4は、反射防止膜処理ブロック2を基準にして言えば、戻り用入口基板載置部に相当し、レジスト膜処理ブロック3を基準にして言えば、戻り用出口基板載置部に相当する。これらの基板載置部PASS3、PASS4の下側には、基板Wを大まかに冷却するために水冷式の2つの冷却プレートWCPが隔壁13を貫通して上下に設けられている。
【0038】
レジスト膜用処理ブロック3について説明する。レジスト膜用処理ブロック3は、反射防止膜が塗布形成された基板W上にフォトレジスト膜を塗布形成する機構である。なお、本実施例では、フォトレジストとして化学増幅型レジストを用いている。レジスト膜用処理ブロック3は、反射防止膜が塗布形成された基板Wにフォトレジスト膜を塗布形成するレジスト膜用塗布処理部15と、フォトレジスト膜の塗布形成に関連して基板を熱処理するレジスト膜用熱処理部16と、レジスト膜用塗布処理部15およびレジスト膜用熱処理部16に対して基板Wの受け渡しをする第2の主搬送機構10Bとを備える。
【0039】
レジスト膜用塗布処理部15は、図2に示すように、同様の構成を備えた3つのレジスト膜用塗布処理部15a〜15c(以下、特に区別しない場合は符号「15」で示す)を上下に積層配置して構成されている。各塗布処理部15は、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック17や、このスピンチャック17上に保持された基板W上にレジスト膜用の塗布液を供給するノズル18などを備えている。
【0040】
レジスト膜用熱処理部16は、図3に示すように、基板Wを所定の温度にまで加熱する基板仮置部付きの複数個の加熱部PHP、基板Wを常温にまで高い精度で冷却する複数個の冷却プレートCPなどの熱処理部を含む。各熱処理部が上下に積層されるとともに並列配置されている点は、反射防止膜用処理ブロック2の場合と同様である。
【0041】
基板仮置部付きの加熱部PHPについて説明する。
図7を参照する。同図(a)は加熱部PHPの破断側面図、(b)は破断平面図である。加熱部PHPは、基板Wを載置して加熱処理をする加熱プレートHPと、この加熱プレートHPから離れた上方位置または下方位置(本実施例では上方位置)に基板Wを載置しておく基板仮置部19と、加熱プレートHPと基板仮置部19との間で基板Wを搬送する熱処理部用のローカル搬送機構20とを備えている。加熱プレートHPには、プレート表面に出没する複数本の可動支持ピン21が設けられている。加熱プレートHPの上方には加熱処理時に基板Wを覆う昇降自在の上蓋22が設けられている。基板仮置部19には基板Wを支持する複数本の固定支持ピン23が設けられている。
【0042】
ローカル搬送機構20は、基板Wを水平姿勢で保持する保持プレート24を備え、この保持プレート24がネジ送り駆動機構25によって昇降移動されるとともに、ベルト駆動機構26によって進退移動されるようになっている。保持プレート24は、これが加熱プレートHPや基板仮置部19の上方に進出したときに、可動支持ピン21や固定支持ピン23と干渉しないように複数本のスリット24aが形成されている。また、ローカル搬送機構20は、加熱プレートHPから基板仮置部19へ基板Wを搬送する過程で基板を冷却する手段を備えている。この冷却手段は、例えば保持プレート24の内部に冷却水流路24bを設け、この冷却水流路24bに冷却水を流通させることによって構成されている。
【0043】
上述したローカル搬送機構20は、加熱プレートHPおよび基板仮置部19を挟んで第2の主搬送機構10Bとは反対側、すなわち装置背面側に設置されている。そして、加熱プレートHPおよび基板仮置部19を覆う筐体27の上部、すなわち基板仮置部19を覆う部位には、その正面側に第2の主搬送機構10Bの進入を許容する開口部19aが、その背面側にはローカル搬送機構20の進入を許容する開口部19bが、それぞれ設けられている。また、筐体27の下部、すなわち加熱プレートHPを覆う部位は、その正面側が閉塞し、その背面側にローカル搬送機構20の進入を許容する開口部19cが設けられている。
【0044】
上述した加熱部PHPに対する基板Wの出し入れは以下のようにして行われる。まず、主搬送機構10(レジスト膜用処理ブロック3の場合は、第2の主搬送機構10B)が基板Wを保持して、基板仮置部19の固定支持ピン23の上に基板Wを載置する。続いてローカル搬送機構20の保持プレート24が基板Wの下側に進入してから少し上昇することにより、固定支持ピン23から基板Wを受け取る。基板Wを保持した保持プレート24は筐体27から退出して、加熱プレートHPに対向する位置にまで下降する。このとき加熱プレートHPの可動支持ピン21は下降しているとともに、上蓋22は上昇している。基板Wを保持した保持プレート24は加熱プレートHPの上方に進出する。可動支持ピン21が上昇して基板Wを受け取った後に保持プレート24が退出する。続いて可動支持ピン21が下降して基板Wを加熱プレートHP上に載せるとともに、上蓋22が下降して基板Wを覆う。この状態で基板Wが加熱処理される。加熱処理が終わると上蓋22が上昇するとともに、可動支持ピン21が上昇して基板Wを持ち上げる。続いて保持プレート24が基板Wの下に進出した後、可動支持ピン23が下降することにより、基板Wが保持プレート24に受け渡される。基板Wを保持した保持プレート24が退出して、さらに上昇して基板Wを基板仮置部19に搬送する。基板仮置部19内で保持プレート24に支持された基板Wが、保持プレート24が有する冷却機能によって冷却される。保持プレート24は、冷却した(常温に戻した)基板Wを基板仮置部19の固定支持ピン23上に移載する。この基板Wを主搬送機構10が取り出して搬送する。
【0045】
以上のように、主搬送機構10は、基板仮置部19に対して基板Wの受け渡しをするだけで、加熱プレートHPに対して基板の受け渡しをしないので、主搬送機構10が温度上昇するのを回避することができる。また、加熱プレートHPに基板Wを出し入れするための開口部19cが、主搬送機構10が配置された側とは反対側に位置しているので、開口部19cから漏れ出た熱雰囲気で主搬送機構10が温度上昇することがなく、またレジスト膜用塗布処理部15が開口部19cから漏れ出た熱雰囲気で悪影響を受けることもない。
【0046】
上述したレジスト膜処理ブロック3に隣接して現像処理ブロック4が設けられている。図4に示すように、レジスト膜処理ブロック3と現像処理ブロック4との間にも、雰囲気遮断用の隔壁13が設けられており、この隔壁13に両処理ブロック3、4間で基板Wの受け渡しを行うための2つの基板載置部PASS5,6と、基板Wを大まかに冷却するために水冷式の2つの冷却プレートWCPが上下に積層して設けられている。ここで、基板載置部PASS5は、レジスト膜処理ブロック3を基準にして言えば、送り用出口基板載置部に相当し、現像処理ブロック4を基準にして言えば、送り用入口基板載置部に相当する。また、基板載置部PASS6は、レジスト膜処理ブロック3を基準にして言えば、戻り用入口基板載置部に相当し、現像処理ブロック4を基準にして言えば、戻り用出口基板載置部に相当する。
【0047】
現像処理ブロック4について説明する。現像処理ブロック4は、露光された基板Wに対して現像処理をする機構である。具体的には、露光された基板Wに現像処理をする現像処理部30と、現像処理に関連して基板を熱処理する現像用熱処理部31と、現像処理部30および現像用熱処理部31に対して基板Wの受け渡しをする第3の主搬送機構10Cとを備える。
【0048】
現像処理部30は、図2に示すように、同様の構成を備えた5つの現像処理部30a〜30e(以下、特に区別しない場合は符号「30」で示す)を上下に積層配置して構成されている。各現像処理部30は、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック32や、このスピンチャック32上に保持された基板W上に現像液を供給するノズル33などを備えている。
【0049】
現像用熱処理部31は、図3に示すように、各々複数個の加熱プレートHP、基板仮置部付きの加熱部PHP、冷却プレートCPなどの熱処理部を含む。各熱処理部が上下に積層されるとともに並列配置されている点は、他の処理ブロック2、3の場合と同様である。現像用熱処理部31の右側(インターフェイスブロック5に隣接している側)の熱処理部の列には、現像処理ブロック4と、これに隣接するインターフェイスブロック5との間で基板Wの受け渡しを行うための2つの基板載置部PASS7、PASS8が上下に近接して設けられている。上側の基板載置部PASS7が基板Wの払出し用、下側の基板載置部PASS8が基板Wの戻し用になっている。ここで、基板載置部PASS7は、現像処理ブロック4を基準にして言えば、送り用出口基板載置部に相当し、インターフェイスブロック5を基準にして言えば、送り用入口基板載置部に相当する。また、基板載置部PASS8は、現像処理ブロック4を基準にして言えば、戻り用入口基板載置部に相当し、インターフェイスブロック5を基準にして言えば、戻り用出口基板載置部に相当する。
【0050】
インターフェイスブロック5について説明する。インターフェイスブロック5は、本基板処理装置とは別体の外部装置である露光装置STPに対して基板Wの受け渡しをする機構である。本実施例装置におけるインターフェイスブロック5には、露光装置STPとの間で基板Wの受け渡しをするためのインターフェイス用搬送機構35の他に、フォトレジストが塗布された基板Wの周縁部を露光する2つのエッジ露光部EEWと、現像処理ブロック4内に配設された基板仮置部付きの熱処理部PHPおよびエッジ露光部EEWに対して基板Wを受け渡しする第4の主搬送機構10Dを備えている。
【0051】
エッジ露光部EEWは、図2に示すように、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック36や、このスピンチャック36上に保持された基板Wの周縁を露光する光照射器37などを備えている。2つのエッジ露光部EEWは、インターフェイスブロック5の中央部に上下に積層配置されている。このエッジ露光部EEWと現像処理ブロック4の熱処理部とに隣接して配置されている第4の主搬送機構10Dは、図6で説明した主搬送機構10と同様の構成を備えている。
【0052】
図2および図5を参照する。図5はインターフェイスブロック5の側面図である。2つのエッジ露光部EEWの下側に、基板戻し用のバッファRBFがあり、さらにその下側に2つの基板載置部PASS9、PASS10が積層配置されている。基板戻し用のバッファRBFは、故障などのために現像処理ブロック4が基板Wの現像処理をすることができない場合に、現像処理ブロック4の加熱部PHPで露光後の加熱処理を行った後に、その基板Wを一時的に収納保管しておくものである。このバッファRBFは、複数枚の基板Wを多段に収納できる収納棚から構成されている。基板載置部PASS9、PASS10は、第4の主搬送機構10Dとインターフェイス用搬送機構35との間で基板Wの受け渡しを行うためのもので、上側が基板払出し用、下側が基板戻し用になっている。
【0053】
インターフェイス用搬送機構35は、図1および図5に示すように、Y方向に水平移動可能な可動台35aを備え、この可動台35a上に基板Wを保持する保持アーム35bを搭載している。保持アーム35bは、昇降・旋回および旋回半径方向に進退移動可能に構成されている。インターフェイス用搬送機構35の搬送経路の一端(図5中に示す位置P1)は、積層された基板載置部PASS9、PASS10の下方にまで延びており、この位置P1で露光装置STPとの間で基板Wの受け渡しを行う。また、搬送経路の他端位置P2では、基板載置部PASS9、PASS10に対する基板Wの受け渡しと、送り用バッファSBFに対する基板Wの収納と取り出しとを行う。送り用バッファSBFは、露光装置STPが基板Wの受け入れをできないときに、露光処理前の基板Wを一時的に収納保管するもので、複数枚の基板Wを多段に収納できる収納棚から構成されている。
【0054】
以上のように構成された基板処理装置は、インデクサブロック1、各処理ブロック2、3、4、およびインターフェイスブロック5内に清浄空気がダウンフローの状態で供給されており、各ブロック内でパーティクルの巻き上がりや気流によるプロセスへの悪影響を回避している。また、各ブロック内は装置の外部環境に対して若干陽圧に保たれて、外部環境からのパーティクルや汚染物質の侵入などを防いでいる。特に、反射防止膜用処理ブロック2内の気圧はインデクサブロク1内の気圧よりも高くなるように設定されている。これにより、インデクサブロック1内の雰囲気が反射防止膜用処理ブロック2に流入しないので、外部の雰囲気の影響を受けずに各処理ブロック2、3、4で処理を行うことができる。
【0055】
次に本実施例に係る基板処理装置の制御系、特に基板搬送に係る制御手法について説明する。
上述したインデクサブロック1、反射防止膜用処理ブロック2、レジスト膜用処理ブロック3、現像処理ブロック4、およびインターフェイスブロック5は、本実施例に係る基板処理装置を機構的に分割した要素である。具体的には、各ブロックは、各々個別のブロック用フレーム(枠体)に組み付けられ、各ブロック用フレームを連結して基板処理装置が構成されている(図8(a)参照)。
【0056】
一方、本発明の特徴の1つとして、基板搬送に係る被制御ユニットの単位を機械的要素である各ブロックとは別に構成している。すなわち、基板に所要の処理を行う処理部と、前記処理部に対して基板の受け渡しをする単一の主搬送機構とを含んで単一の被制御ユニットを構成し、前記被制御ユニットを並設して基板処理装置を構成している。各被制御ユニットには、その被制御ユニットに基板を受け入れるために基板を載置する入口基板載置部と、その被制御ユニットから基板を払い出すために基板を載置する出口基板載置部とが区別して設けられている。そして、各被制御ユニットの主搬送機構は、入口基板載置部と出口基板載置部とを介して、互いに基板の受け渡しを行い、かつ、各被制御ユニットの主搬送機構の基板受け渡し動作を少なくとも制御するユニット制御手段を各被制御ユニットごとに備え、各ユニット制御手段は、前記処理部に対する基板の受け渡しおよび前記基板載置部に対する基板の受け渡しを含む一連の基板搬送に係る制御を、各々独立して行うようになっている。
【0057】
以下、本実施例装置における被制御ユニットの単位を「セル」という。実施例装置の制御系を構成する各セルの配置を図8(b)に示す。
【0058】
インデクサセルC1は、カセット載置台6とインデクサ用搬送機構7とを含む。このセルC1は、結果として機械的に分割した要素であるインデクサブロック1と同じ構成になっている。反射防止膜用処理セルC2は、反射防止膜用塗布処理部8と反射防止膜用熱処理部9と第1の主搬送機構10Aとを含む。このセルC2も、結果として機械的に分割した要素である反射防止膜用処理ブロック2と同じ構成になっている。レジスト膜用処理セルC3は、レジスト膜用塗布処理部15とレジスト膜用熱処理部16と第2の主搬送機構10Bとを含む。このセルC3も、結果として機械的に分割した要素であるレジスト膜用処理ブロック3と同じ構成になっている。
【0059】
一方、現像処理セルC4は、現像処理部30と、露光後加熱に使われる熱処理部(実施例では、加熱部PHP)を除いた現像用熱処理部31と、第3の主搬送機構10Cとを含む。このセルC3は、露光後加熱に使われる加熱部PHPを含んでいない点で、機械的に分割した要素である現像処理ブロック4とは異なる構成になっている。
【0060】
露光後加熱用処理セルC5は、露光された基板Wを現像前に加熱処理する露光後加熱用の熱処理部(実施例では、現像処理ブロック4に設けられた加熱部PHP)と、エッジ露光部EEWと、第4の主搬送機構10Dとを含む。このセルC5は、機械的に分割した要素である現像処理ブロック4とインターフェイスブロック5とにまたがるもので、本実施例装置の特徴的なセルである。このように露光後加熱用の熱処理部(加熱部PHP)と第4の主搬送機構10Dとを含んで1つのセルを構成しているので、露光された基板を速やかに加熱部PHPに搬入して熱処理を行うことができる。これは露光後の加熱を速やかに行う必要がある化学増幅型フォトレジストを用いた場合に好適である。
【0061】
なお、上述した基板載置部PASS7、PASS8は、現像処理セルC4の第3の主搬送機構10Cと、露光後加熱用処理セルC5の第4の主搬送機構10Dとの間の基板Wの受け渡しに介在する。ここで、基板載置部PASS7は、現像処理セルC4を基準にして言えば、送り用出口基板載置部に相当し、露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば、送り用入口基板載置部に相当する。また、基板載置部PASS8は、現像処理セルC4を基準にして言えば、戻り用入口基板載置部に相当し、露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば、戻り用出口基板載置部に相当する。
【0062】
インターフェイスセルC6は、外部装置である露光装置STPに対して基板Wの受け渡しをするインターフェイス用搬送機構35を含む。このセルC6は、第4の主搬送機構10Dやエッジ露光部EEWを含まない点で、機械的に分割した要素であるインターフェイスブロック5とは異なる構成になっている。なお、上述した基板載置部PASS9、PASS10は、露光後加熱用処理セルC5の第4の主搬送機構10Dと、インターフェイス用搬送機構35との間の基板Wの受け渡しに介在する。ここで、基板載置部PASS9は、露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば、送り用出口基板載置部に相当し、インターフェイスセルC6を基準にして言えば、送り用入口基板載置部に相当する。また、基板載置部PASS10は、露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば、戻り用入口基板載置部に相当し、インターフェイスセルC6を基準にして言えば、戻り用出口基板載置部に相当する。
【0063】
本実施例装置は、上述した6つのセルC1〜C6を並設して構成されており、各セルC1〜C6間の基板の受け渡しは、基板載置部PASS1〜PASS10を介して行われる。換言すれば、単一の被制御ユニット(セル)は、単一の主搬送機構を含み、その主搬送機構が、特定の入口基板載置部から受け取った基板を特定の出口基板載置部に置くまでに、基板の受け渡しを行う処理部を含んで構成される。
【0064】
図9(a)に示すように、セルC1〜C6は、各々のセルの主搬送機構(インデクサ用搬送機構7およびインターフェイス用搬送機構35を含む)の基板受け渡し動作を少なくとも制御するセルコントローラ(ユニット制御手段)CT1〜CT6を個別に備えている。各セルコントローラCT1〜CT6は、所定の入口基板載置部に置かれた基板の受け取りから始まって、所定の出口基板載置部に基板を置くことによって完結する一連の制御を、各々独立して行うようになっている。具体的には、各セルC1〜C6のセルコントローラCT1〜CT6は、所定の基板載置部に基板を置いたという情報を、隣のセルのセルコントラーラに送り、その基板を受け取ったセルのセルコントローラは、所定の基板載置部から基板を受け取ったという情報を元のセルのセルコントローラに返すという情報のやり取りを行う。このような情報のやり取りは、各セルコントローラCT1〜CT6に接続されて、これらを統括的に管理するメインコントローラ(主制御手段)MCを介して行われる。メインコントローラMCは、後述するデータ設定部HCに接続され、データ設定部HCとの間で通信可能に構成されている。
【0065】
各セルコントローラCT1〜CT6は、隣接するセル内での主搬送機構の動きを考慮することなく、各セル内の基板の受け渡しだけを対象にして制御を進めている。従って、各セルコントローラCT1〜CT6の制御の負担が少なくなる。これに対して、従来の基板処理装置の制御手法によると、図9(b)に示すように、各ブロック1〜5が基板処理のスケジュール管理用のコントローラCT0に基板搬送に係る情報を与えて、コントローラCT0が統括的に基板搬送を管理しているので、コントローラCT10の負担が多くなる。
【0066】
以上のように本実施例によれば各セルのコントローラCT1〜CT6の制御負担が少なくなるので、それだけ基板処理装置のスループットを向上させることができる。また、図9(b)に示した従来の制御手法によると、新たに処理部を追加すると、コントローラCT0のスケジュール管理用のプログラムを大幅に修正する必要が生じるが、本発明に係る制御手法によれば、新たにセルを追加しても、隣接するセルに影響を与えないので、セルの追加を容易に行うことができる。追加するセルの種類は特に限定されないが、例えば、レジスト膜用処理セルC3と現像処理セルC4との間に、基板Wに塗布されたレジスト膜の厚みを検査したり、あるいは現像後のレジスト膜の線幅を検査する検査用セルを追加してもよい。この場合、検査用セルは、本実施例装置の他のセルと同様に、基板を検査する基板検査部と、この検査部に対して基板を搬送する基板検査用の主搬送機構とを含んで構成される。また、検査用セルと隣接セルとの間の基板の受け渡しは、入口基板載置部と出口基板載置部とを介して行われる。
【0067】
なお、図9(a)に示した制御手法は、いわゆる分散制御と呼ばれるものである。本実施例では、この分散制御を本発明に適用しているが、図9(b)に示した従来の制御手法にも本発明を適用することができる。
【0068】
次に、データ設定部HCの具体的構成について図10を参照して説明する。データ設定部HCの入力部38は、マウスやキーボード38aやタッチパネル38bやボタンなどのポインティングデバイスで構成されており、オペレータが入力したデータを、メインコントローラMC、さらには各セルコントローラCT1〜CT6に転送して、各セルに関する基板制御をそれぞれ行っている。また、メインコントローラMCには、図示を省略するRAM(Random Access Memory)などに代表される記憶部を備えており、各種のデータが記憶されている。
【0069】
データ設定部HCの画面は、このタッチパネル38bで表示され、タッチパネル38bの操作表示にしたがって、オペレータはタッチパネル38bに直接触って、データの入力を行う。
【0070】
本実施例の場合には、データ設定部HCの入力部38にオペレータが入力することで、後述するメインフローや仮フローに関するレシピの作成を行ったり、処理部の指定を行い、入力されたメインフローなどのデータをメインコントローラMC、さらには各セルコントローラCT1〜CT6に転送している。また、作成されたメインフローは上述した記憶部に記憶されており、必要に応じて適宜読み出し、読み出されたメインフローを変更したり、読み出されたメインフローに基づいて仮フローを作成することも可能である。マウスやキーボード38aやタッチパネル38bやボタンなどの入力部38は、本発明におけるメインフロー作成手段と処理部指定手段と仮フロー作成手段とに相当する。
【0071】
次に、本実施例に係る基板処理装置の基本的な動作について図11を参照して説明する。図11(a)は反射防止膜用処理セルC2に関する基板のフローチャート、図11(b)はレジスト膜用処理セルC3に関する基板のフローチャート、図11(c)は現像処理セルC4に関する基板のフローチャート、図11(d)は露光後加熱用処理セルC5に関する基板のフローチャートである。
【0072】
まず、インデクサセルC1(インデクサブロック1)のインデクサ用搬送機構7が、所定のカセットCに対向する位置にまで水平移動する。続いて、保持アーム7bが昇降および進退移動することにより、そのカセットCに収納されている未処理の基板Wを取り出す。保持アーム7bに基板Wを保持した状態で、インデクサ用搬送機構7が、基板載置部PASS1、PASS2に対向する位置にまで水平移動する。そして、保持アーム7b上の基板Wを基板払出し用の上側の基板載置部PASS1に載置する。基板戻し用の下側の基板載置部PASS2に処理済みの基板Wが載置されている場合、インデクサ用搬送機構7は、その処理済みの基板Wを保持アーム7b上に受け取って、所定のカッセトCに処理済みの基板Wを収納する。以下、同様にカセットCから未処理基板Wを取り出して基板載置部PASS1に搬送するとともに、処理済み基板Wを基板載置部PASS2から受け取ってカセットCに収納するという動作を繰り返し行う。
【0073】
図11(a)に示すように反射防止膜用処理セルC2では、順方向においては、基板載置部PASS1(反射防止膜用処理セルC2を基準にして言えば「送り用入口基板載置部」)、冷却プレートCP、反射防止膜用塗布処理部8、加熱プレートHP、冷却プレートWCP、基板載置部PASS3(反射防止膜用処理セルC2を基準にして言えば「送り用出口基板載置部」)の順に基板Wが処理される。逆方向においては、PASS4(反射防止膜用処理セルC2を基準にして言えば「戻り用入口基板載置部」)、基板載置部PASS2(反射防止膜用処理セルC2を基準にして言えば「戻り用出口基板載置部」)の順に基板Wが処理される。なお、図11(a)中の符号BARCは反射防止膜用塗布処理部8を示している。
【0074】
基板載置部PASS1に未処理基板Wが置かれると、セルC2の第1の主搬送機構10Aは、保持アーム10a、10bを基板載置部PASS1、PASS2に対向する位置にまで一体に昇降および旋回移動させる。そして、一方の保持アーム10bに保持している処理済みの基板Wを下側の戻し用の基板載置部PASS2に置き、その後、上側の送り用入口基板載置部PASS1に置かれている未処理基板Wを、空の状態になった一方の保持アーム10bを再び駆動して、その保持アーム10b上に受け取るという、保持アーム10bだけを使った処理済み基板Wおよび未処理基板Wの受け渡し動作を行う。
【0075】
具体的には、保持アーム10bを前進移動させて戻り用出口基板載置部PASS2上に処理済みの基板Wを置く。処理済みの基板Wを渡した保持アーム10bは元の位置にまで後退する。続いて、保持アーム10a、10bを一体に少し上昇させた後、空の状態になった保持アーム10bを再び前進移動させて送り用入口基板載置部PASS1上の未処理基板Wを保持アーム10b上に受け取る。基板Wを受け取った保持アーム10bは元の位置にまで後退する。
【0076】
上述したように、本実施例では、基板載置部PASS1、PASS2に対する処理済み基板Wおよび未処理基板Wの受け渡し動作を保持アーム10bだけを使って行っている。一方の保持アーム10aに保持した基板Wを基板載置部PASS2に渡した後は、両方の保持アーム10a、10bは空の状態になっているので、いずれの保持アーム10a、10bを使っても基板載置部PASS1の基板Wを受け取ることができる。しかし、本実施例では、後述する説明から明らかになるように、加熱プレートHPで処理されて加熱された基板Wを、上側に配置された保持アーム10aで受け取るために、元々空の状態にあった保持アーム10aを使わずに、保持アーム10bを再駆動して基板載置部PASS1の基板Wを受け取るように構成してある。この基板載置部PASS1、PASS2に対する未処理基板Wおよび処理済み基板Wの受け渡しは、図11(a)中に示した第1の主搬送機構10Aの搬送工程(1)に相当する。
【0077】
基板載置部PASS1、PASS2に対する基板Wの受け渡しが終わると、第1の主搬送機構10Aは、基板Wを保持していない空の状態の保持アーム10aと、未処理基板Wを保持した保持アーム10bとを一体に昇降・旋回移動させて、反射防止膜用熱処理部9の所定の冷却プレートCPに対向させる。通常、この冷却プレートCPには、先行処理されている基板Wが入っている。そこで、先ず、空の保持アーム10aを前進移動させて、その冷却プレートCP上の冷却処理済みの基板Wを保持アーム10a上に受け取る。続いて未処理基板Wを保持した保持アーム10bを前進移動させて、未処理基板Wをその冷却プレートCP上に置く。冷却プレートCPに載せられた基板Wは、主搬送機構10Aが他の搬送動作を行っている間に、常温にまで精度よく冷却される。この冷却プレートCPに対する基板Wの受け渡しは、図11(a)中に示した第1の主搬送機構10Aの搬送工程(2)に相当する。
【0078】
冷却プレートCPへの基板Wの受け渡しが終わると、冷却処理された基板Wを保持した保持アーム10aと空の保持アーム10bとを一体に昇降・旋回移動させて、所定の反射防止膜用塗布処理部8に対向させる。通常、この反射防止膜用塗布処理部8には、先行処理されている基板Wが入っている。そこで、先ず、空の保持アーム10bを前進移動させて、その反射防止膜用塗布処理部8にあるスピンチャック11上の処理済みの基板Wを保持アーム10b上に受け取る。続いて基板Wを保持した保持アーム10aを前進移動させて、基板Wをそのスピンチャック11上に置く。スピンチャック11上に載せられた基板Wは、主搬送機構10Aが他の搬送動作を行っている間に、反射防止膜が塗布形成される。このスピンチャック11に対する基板Wの受け渡しは、図11(a)中に示した第1の主搬送機構10Aの搬送工程(3)に相当する。
【0079】
スピンチャック11への基板Wの受け渡しが終わると、空の状態の保持アーム10aと、反射防止膜が塗布された基板Wを保持した保持アーム10bとを一体に昇降・旋回移動させて、所定の加熱プレートHPに対向させる。通常、この加熱プレートHPにも先行処理されている基板Wが入っているので、先ず、空の保持アーム10aを前進移動させて、その加熱プレートHP上の処理済みの基板Wを保持アーム10a上に受け取る。続いて、保持アーム10bを前進移動させて、基板Wを加熱プレートHP上に置く。加熱プレートHP上に載せられた基板Wは、主搬送機構10Aが他の搬送動作を行っている間に熱処理されて、基板W上の反射防止膜に含まれる余剰の溶剤が除去される。この加熱プレートHPに対する基板Wの受け渡しは、図11(a)中に示した第1の主搬送機構10Aの搬送工程(4)に相当する。
【0080】
加熱プレートHPへの基板Wの載せ換えが終わると、熱処理された基板Wを保持した保持アーム10aと空の状態の保持アーム10bとを一体に昇降・旋回移動させて、隔壁13に設置された水冷式の冷却プレートWCPに対向させる。上述したと同様に、先ず、空の保持アーム10bを前進移動させて、その冷却プレートWCP上の処理済みの基板Wを保持アーム10b上に受け取る。続いて、保持アーム10aを前進移動させて、基板Wを冷却プレートWCP上に置く。冷却プレートWCP上に載せられた基板Wは、主搬送機構10Aが他の搬送動作を行っている間に大まかに冷却処理される。この冷却プレートWCPに対する基板Wの受け渡しは、図11(a)中に示した第1の主搬送機構10Aの搬送工程(5)に相当する。
【0081】
冷却プレートWCPへの基板Wの載せ換えが終わると、空の状態の保持アーム10aと、大まかに冷却された基板Wを保持した保持アーム10bとを一体に上昇させて、冷却プレートWCPの上方に配設されている基板載置部PASS3、PASS4に対向させる。そして、保持アーム10bを前進移動させて上側の基板載置部PASS3上に基板Wを置く。通常、下側の基板載置部PASS4に、レジスト膜用処理セルC3を介して現像処理セルC4から送られてきた現像処理済みの基板Wが置かれている。そこで、保持アーム10a、10bを一体に少し下降させた後、空の状態になった保持アーム10bを再び前進移動させて基板載置部PASS4上の現像処理済みの基板Wを保持アーム10b上に受け取る。この基板載置部PASS3、PASS4に対する基板Wの受け渡しは、図11(a)中に示した第1の主搬送機構10Aの搬送工程(6)に相当する。
【0082】
反射防止膜用処理セルC2に備えられた第1の主搬送機構10Aは、上述した各搬送工程を繰り返し行う。ここで、図11(a)に示す順方向と逆方向とを合計すると、6つの搬送工程を負担することになる。
【0083】
上述した説明から明らかなように、加熱プレートHPで加熱処理された基板Wは、常に上側の保持アーム10aで保持される。加熱された基板Wからの熱的影響は上方に強く及ぶので、加熱された基板Wの影響で下側の保持アーム10bが温度上昇するのを抑制することができる。この熱的影響をあまり受けていない下側の保持アーム10bを使って、反射防止膜用処理セルC2から次のレジスト膜用処理セルC3に基板Wを払い出すようにしているので、レジスト膜の塗付処理を受ける基板Wの温度変動を抑制することができる。
【0084】
なお、本実施例の反射防止膜用処理セルC2は、基板載置部PASS1、PASS2に対する基板Wの受け渡しと、基板載置部PASS3、PASS4に対する基板Wの受け渡しとの間に、偶数回の基板Wの受け渡し(すなわち図11(a)で「CP]、「BARC」、「HP」、「WCP」で表した各処理に伴う基板Wの受け渡し)を行う。このような場合、必ずしも上述したように、一方の保持アーム10bだけを使って基板載置部PASS1〜PASS4に対して基板Wの受け渡しを行う必要はなく、基板載置部PASS1、PASS2および基板載置部PASS3、PASS4に対してそれぞれ2つの保持アーム10a、10bを使って基板Wの受け渡しを行っても、加熱処理された直後の基板Wを保持する保持アームを、一方の保持アーム10aに固定することはできる。
【0085】
しかし、基板載置部PASS1、PASS2に対する基板Wの受け渡しと基板載置部PASS3、PASS4に対する基板Wの受け渡しとの間に行われる基板Wの受け渡し回数(基板の受け渡しを伴う処理の回数)が奇数回になった場合(後述する露光後加熱用処理セルC5のような場合)に、上記のように基板載置部PASS1、PASS2および基板載置部PASS3、PASS4の両方に対して2つの保持アーム10a、10b(1つの保持アームのみを使う場合も同様であるが)を使って基板Wの受け渡しを行うと、搬送行程の1サイクルごとに、基板Wを扱う保持アームが交互に入れ代わるので、加熱処理後の基板Wを一方の保持アーム10aだけで取り扱うことができなくなる。その結果、2つの保持アーム10a、10bが加熱された基板Wから熱的影響を受けて蓄熱し、他の基板Wに熱的悪影響を与えるという不具合を招く。
【0086】
これに対して、本実施例では、2つの保持アーム10a、10bのいずれかに基板Wを保持した状態で、2つの基板載置部に対して基板Wの受け渡しを行うにあたり、一方の保持アーム上の基板Wを先に一方の基板載置部に渡すことにより、一時的に2つの保持アーム10a、10bを空の状態にしているので、他方の基板載置部上の基板Wをいずれの保持アーム10a、10bを使っても受け取ることができる。従って、基板載置部PASS1、PASS2に対する基板Wの受け渡しと基板載置部PASS3、PASS4に対する基板Wの受け渡しとの間に、奇数回の基板Wの受け渡し(基板の受け渡しを伴う処理)がある場合には、一方の2つの基板載置部(例えば、上下に近接配置された送り用入口基板載置部と戻り用出口基板載置部)に対しては1つの保持アーム(例えば、保持アーム10b)を使って基板Wの受け渡しを行い、他方の2つの基板載置部(例えば、送り用出口基板載置部と戻り用入口基板載置部)に対しては2つの保持アーム10a、10bを使って基板Wの受け渡しを行うことにより、各処理に伴う基板Wの受け渡しを常に同じ保持アームを使って行うことができる。すなわち、保持アーム10a、10bのうち、加熱プレートHPで加熱処理がなされた基板Wを受け取る保持アームが毎搬送サイクルとも同じになるという条件を満たすように、空の状態の保持アーム10a、10bのうちの1つを駆動して、入口基板載置部に置かれている基板を受け取るようにしているのである。従って、保持アーム10a、10bから基板Wに与える熱的影響を抑制することができ、また、保持アーム10a、10bから基板Wに対して何らかの熱的影響が仮にあったとしても、その熱的影響が基板Wごとに変動するということがなく、基板Wに対する熱的影響の「変動」を最小限度に抑えることができ、もって基板処理の品質を安定させることができる。
【0087】
上記のような2つの基板載置部に対して一方の保持アーム10bだけを使って基板Wの受け渡しをする手法は、後述する他の処理セルC2〜C4(ただし、露光後加熱用処理セルC5を除く)においても同様である。なお、本発明はこのような基板Wの受け渡し手法に限定されるものでなく、保持アームから基板Wに与える熱的影響を考慮する必要がない場合などでは、全ての基板載置部に対して2つの保持アームを使って基板Wの受け渡しを行っても良い。
【0088】
図11(b)に示すようにレジスト膜用処理セルC3では、順方向においては、基板載置部PASS3(レジスト膜用処理セルC3を基準にして言えば「送り用入口基板載置部」)、冷却プレートCP、レジスト膜用塗布処理部15、加熱部PHP、冷却プレートCP、基板載置部PASS5(レジスト膜用処理セルC3を基準にして言えば「送り用出口基板載置部」)の順に基板Wが処理される。逆方向においては、基板載置部PASS6(レジスト膜用処理セルC3を基準にして言えば「戻り用入口基板載置部」)、基板載置部PASS4(レジスト膜用処理セルC3を基準にして言えば「戻り用出口基板載置部」)の順に基板Wが処理される。なお、図11(b)中の符号PRはレジスト膜用塗布処理部15を示している。
【0089】
反射防止膜が塗付形成された基板Wが基板載置部PASS3に置かれると、セルC3の第2の主搬送機構10Bは、上述した第1の主搬送機構10Aの場合と同様に、一方の保持アーム10bに保持した現像処理済みの基板Wを基板載置部PASS4上に置く。そして、基板載置部PASS3上の基板Wを再び保持アーム10b上に受け取る。この基板載置部PASS3、PASS4に対する基板Wの受け渡しは、図11(b)中に示した第2の主搬送機構10Bの搬送工程(1)に相当する。
【0090】
基板載置部PASS3、PASS4に対する基板Wの受け渡しが終わると、第2の主搬送機構10Bは、空の状態の保持アーム10aと基板Wを保持した保持アーム10bとを、レジスト膜用熱処理部16の所定の冷却プレートCPに対向する位置にまで移動させる。そして、先ず、空の保持アーム10aを前進移動させて、その冷却プレートCP上の冷却処理済みの基板Wを受け取り、続いて保持アーム10bを前進移動させて、未処理基板Wをその冷却プレートCP上に置く。この冷却プレートCPに対する基板Wの受け渡しは、図11(b)中に示した第2の主搬送機構10Bの搬送工程(2)に相当する。
【0091】
冷却プレートCPへの基板Wの載せ換えが終わると、冷却処理された基板Wを保持した保持アーム10aと空の状態の保持アーム10bとを、所定のレジスト膜用塗布処理部15に対向する位置にまで移動させる。先ず、空の保持アーム10bを前進移動させて、そのレジスト膜用塗布処理部15にあるスピンチャック17上の処理済みの基板Wを受け取るとともに、基板Wを保持した保持アーム10aを前進移動させて、その基板Wをスピンチャック17上に置く。スピンチャック17上に載せられた基板Wは、主搬送機構10Bが他の搬送動作を行っている間に、レジスト膜が塗布形成される。このスピンチャック17に対する基板Wの受け渡しは、図11(b)中に示した第2の主搬送機構10Bの搬送工程(3)に相当する。
【0092】
スピンチャック17への基板Wの受け渡しが終わると、空の状態の保持アーム10aと、レジスト膜が塗布形成された基板Wを保持した保持アーム10bとを、所定の基板仮置部付きの加熱部PHPに対向させる。先ず、空の保持アーム10aを前進移動させて、その加熱部PHP上の基板仮置部19に載置されている処理済みの基板Wを受け取る。続いて、保持アーム10bを前進移動させて、未処理基板Wを基板仮置部19上に置く。基板仮置部19上に載せられた基板Wは、主搬送機構10Bが他の搬送動作を行っている間に、その加熱部PHPのローカル搬送機構20によって、その加熱部PHPの加熱プレートHP上に移されて熱処理される。この加熱プレートHP上で熱処理された基板Wは、同じローカル搬送機構20によって基板仮置部19に戻される。その基板Wは、ローカル搬送機構20の保持プレート24に保持されて基板仮置部19に戻され、基板載置部20内で保持プレート24の冷却機構によって冷却される。この加熱部PHPに対する基板Wの受け渡しは、図11(b)中に示した第2の主搬送機構10Bの搬送工程(4)に相当する。
【0093】
加熱部PHPへの基板Wの受け渡しが終わると、熱処理された基板Wを保持した保持アーム10aと空の状態の保持アーム10bとを、レジスト膜用熱処理部16の冷却プレートCPに対向させる。そして、空の保持アーム10bを前進移動させて、その冷却プレートCP上の処理済みの基板Wを受け取るとともに、保持アーム10aを前進移動させて、未処理基板Wを冷却プレートCP上に置く。この冷却プレートCPに対する基板Wの受け渡しは、図11(b)中に示した第2の主搬送機構10Bの搬送工程(5)に相当する。
【0094】
冷却プレートCPへの基板Wの受け渡しが終わると、空の状態の保持アーム10aと、冷却された基板Wを保持した保持アーム10bとを、基板載置部PASS5、PASS6に対向させる。続いて、保持アーム10bを前進移動させて上側の基板払出し用の基板載置部PASS5上に基板Wを置くとともに、下側の基板戻し用の基板載置部PASS6に載置されている現像処理済みの基板Wを再び保持アーム10bで受け取る。この基板載置部PASS5、PASS6に対する基板Wの受け渡しは、図11(b)中に示した第2の主搬送機構10Bの搬送工程(6)に相当する。
【0095】
レジスト膜用処理セルC3に備えられた第2の主搬送機構10Bは、上述した各搬送工程を繰り返し行う。ここで、図11(b)に示す順方向と逆方向とを合計すると、第1の主搬送機構10Aと同様に6つの搬送工程を負担することになる。
【0096】
図11(c)に示すように現像処理セルC4では、順方向においては、基板載置部PASS5(現像処理セルC4を基準にして言えば「送り用入口基板載置部」)、基板載置部PASS7(現像処理セルC4を基準にして言えば「送り用出口基板載置部」)の順に基板Wが処理される。逆方向においては、PASS8(現像処理セルC4を基準にして言えば「戻り用入口基板載置部」)、冷却プレートCP、現像処理部30、加熱プレートHP、冷却プレートWCP、基板載置部PASS6(現像処理セルC4を基準にして言えば「戻り用出口基板載置部」)の順に基板Wが処理される。なお、図11(c)中の符号SDは現像処理部30を示している。
【0097】
レジスト膜が塗付形成された基板Wが基板載置部PASS5に置かれると、セルC4の第3の主搬送機構10Cは、先ず保持アーム10bに保持した現像処理済みの基板Wを基板載置部PASS6上に置き、その後、基板載置部PASS5上の基板Wを再び保持アーム10b上に受け取る。この基板載置部PASS5、PASS6に対する基板Wの受け渡しは、図11(c)中に示した第3の主搬送機構10Cの搬送工程(1)に相当する。
【0098】
基板載置部PASS5、PASS6に対する基板Wの受け渡しが終わると、第3の主搬送機構10Cは、空の状態の保持アーム10aと基板Wを保持した保持アーム10bとを、現像用熱処理部31の積層構造の中に配設された基板載置部PASS7、PASS8に対向する位置にまで移動させる。続いて、保持アーム10bを前進移動させて上側の基板払出し用の基板載置部PASS7上に、レジスト膜が塗付形成された基板Wを置き、その後、下側の基板戻し用の基板載置部PASS8に載置されている露光後の加熱処理済みの基板Wを再び保持アーム10bで受け取る。この基板載置部PASS7、PASS8に対する基板Wの受け渡しは、図11(c)中に示した第3の主搬送機構10Cの搬送工程(2)に相当する。
【0099】
基板載置部PASS7、PASS8に対する基板Wの受け渡しが終わると、第3の主搬送機構10Cは、空の状態の保持アーム10aと、露光後の加熱処理済みの基板Wを保持した保持アーム10bとを、現像用熱処理部31の所定の冷却プレートCPに対向する位置にまで移動させる。そして、先ず、空の保持アーム10aを前進移動させて、その冷却プレートCP上の冷却処理済みの基板Wを受け取り、続いて保持アーム10bを前進移動させて、未処理基板Wをその冷却プレートCP上に置く。この冷却プレートCPに対する基板Wの受け渡しは、図11(c)中に示した第3の主搬送機構10Cの搬送工程(3)に相当する。
【0100】
冷却プレートCPへの基板Wの受け渡しが終わると、冷却処理された基板Wを保持した保持アーム10aと空の状態の保持アーム10bとを、所定の現像処理部30に対向する位置にまで移動させる。先ず、空の保持アーム10bを前進移動させて、その現像処理部30にあるスピンチャック32上の処理済みの基板Wを受け取るとともに、基板Wを保持した保持アーム10aを前進移動させて、その基板Wをスピンチャック32上に置く。スピンチャック32上に載せられた基板Wは、主搬送機構10Cが他の搬送動作を行っている間に、現像処理される。このスピンチャック32に対する基板Wの受け渡しは、図11(c)中に示した第3の主搬送機構10Cの搬送工程(4)に相当する。
【0101】
スピンチャック32への基板Wの受け渡しが終わると、空の状態の保持アーム10aと、現像処理された基板Wを保持した保持アーム10bとを、現像用熱処理部31の所定の加熱プレートHPに対向させる。先ず、空の保持アーム10aを前進移動させて、その加熱プレートHP上に載置されている処理済みの基板Wを受け取る。続いて、保持アーム10bを前進移動させて、未処理基板Wを加熱プレートHP上に置く。この加熱プレートHPに対する基板Wの受け渡しは、図11(c)中に示した第3の主搬送機構10Cの搬送工程(5)に相当する。
【0102】
加熱プレートHPへの基板Wの載せ換えが終わると、加熱処理された基板Wを保持した保持アーム10aと空の状態の保持アーム10bとを、レジスト膜用処理セルC3の側にある隔壁13に設置された水冷式の冷却プレートWCPに対向させる。そして、空の保持アーム10bを前進移動させて、その冷却プレートWCP上の処理済みの基板Wを受け取るとともに、保持アーム10aを前進移動させて、未処理基板Wを冷却プレートWCP上に置く。この冷却プレートWCPに対する基板Wの受け渡しは、図11(c)中に示した第3の主搬送機構10Cの搬送工程(6)に相当する。
【0103】
現像処理セルC4に備えられた第3の主搬送機構10Cは、上述した各搬送工程を繰り返し行う。ここで、図11(c)に示す順方向と逆方向とを合計すると、第1、第2の主搬送機構10A、10Bと同様に6つの搬送工程を負担することになる。
【0104】
図11(d)に示すように露光後加熱用処理セルC5では、順方向においては、基板載置部PASS7(露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば「送り用入口基板載置部」)、エッジ露光部EEW、冷却プレートCP、基板載置部PASS9(露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば「送り用出口基板載置部」)の順に基板Wが処理される。逆方向においては、基板載置部PASS10(露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば「戻り用入口基板載置部」)、加熱部PHP、基板載置部PASS8(露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば「戻り用出口基板載置部」)の順に基板Wが処置される。なお、図11(d)中の符号PEBは、露光済みの基板Wを加熱するための加熱部PHPを示しており、露光後加熱(Post Exposure Bake)を行うためのものである。
【0105】
レジスト膜が塗付形成された基板Wが基板載置部PASS7に置かれると、セルC5の第4の主搬送機構10Dは、保持アーム10bに保持した露光後加熱処理済みの基板Wを基板載置部PASS8上に置き、その後で基板載置部PASS7上の基板Wを再び保持アーム10b上に受け取る。この基板載置部PASS7、PASS8に対する基板Wの受け渡しは、図11(d)中に示した第4の主搬送機構10Dの搬送工程(1)に相当する。
【0106】
基板載置部PASS7、PASS8に対する基板Wの受け渡しが終わると、第4の主搬送機構10Dは、空の状態の保持アーム10aと基板Wを保持した保持アーム10bとを、所定のエッジ露光部EEWに対向する位置にまで移動させる。そして、先ず、空の保持アーム10aを前進移動させて、そのエッジ露光部EEWのスピンチャック36上にある周辺露光済みの基板Wを受け取り、続いて保持アーム10bを前進移動させて、未処理基板Wをそのスピンチャック36上に置く。スピンチャック36上に載せられた基板Wは、主搬送機構10Dが他の搬送動作を行っている間に、その周縁部が露光される。このスピンチャック36に対する基板Wの受け渡しは、図11(d)中に示した第4の主搬送機構10Dの搬送工程(2)に相当する。
【0107】
スピンチャック36に対する基板Wの受け渡しが終わると、第4の主搬送機構10Dは、周辺露光された基板Wを保持した保持アーム10aと空の状態の保持アーム10bとを、現像用熱処理部31にある冷却プレートCPに対向する位置にまで移動させる。そして、空の保持アーム10bを前進移動させて、その冷却プレートCP上の処理済みの基板Wを受け取るとともに、保持アーム10aを前進移動させて、周辺露光された基板Wを冷却プレートCP上に置く。この冷却プレートCPに対する基板Wの受け渡しは、図11(d)中に示した第4の主搬送機構10Dの搬送工程(3)に相当する。
【0108】
冷却プレートCPに対する基板Wの受け渡しが終わると、第4の主搬送機構10Dは、空の状態の保持アーム10aと、冷却処理された基板Wを保持した保持アーム10bとを、基板載置部PASS9、PASS10に対向する位置にまで移動させる。続いて、保持アーム10bを前進移動させて上側の基板払出し用の基板載置部PASS9上に基板Wを置くとともに、下側の基板戻し用の基板載置部PASS10に載置されている、露光装置STPで露光された基板Wを保持アーム10aで受け取る。この基板載置部PASS9、PASS10に対する基板Wの受け渡しは、図11(d)中に示した第4の主搬送機構10Dの搬送工程(4)に相当する。
【0109】
なお、本実施例では、基板載置部PASS9、PASS10に対してだけ、2つの保持アーム10a、10bを使って基板Wの受け渡しを行っている。これは、反射防止膜用処理セルC2で説明したように、基板載置部PASS9、PASS10に対する基板Wの受け渡しと、基板載置部PASS7、PASS8との間に後述する加熱部PHPに対する基板Wの受け渡しを(1回:奇数回)行う関係で、基板載置部PASS9、PASS10に対して一方の保持アーム10bだけを使って基板の受け渡しを行うと、基板載置部PASS7、PASS8に対する基板Wの受け渡しに使う保持アームが、搬送行程の1サイクルごとに入れ代わるので、これを避けるためである。
【0110】
基板載置部PASS9、PASS10に対する基板Wの受け渡しが終わると、第4の主搬送機構10Cは、露光済みの基板Wを保持した保持アーム10aと空の状態の保持アーム10bとを、現像用熱処理部31にある所定の基板仮置部付きの加熱部PHPに対向する位置にまで移動させる。そして、先ず、空の保持アーム10bを前進移動させて、その加熱部PHP(具体的には、基板仮置部19の上)にある露光後の加熱処理済みの基板Wを受け取り、続いて保持アーム10aを前進移動させて、露光済みの基板Wを加熱部PHP(具体的には、基板仮置部19の上)に置く。基板仮置部19に置かれた基板Wは、主搬送機構10Dが他の搬送動作を行っている間に、ローカル搬送機構20によって加熱プレートHPに移されて加熱処理された後に、同じくローカル搬送機構20によって基板仮置部19に戻され、基板仮置部19内で冷却される。この加熱部PHPに対する基板Wの受け渡しは、図11(d)中に示した第4の主搬送機構10Dの搬送工程(5)に相当する。
【0111】
露光後加熱用処理セルC5に備えられた第4の主搬送機構10Dは、上述した各搬送工程を繰り返し行う。ここで、図11(d)に示す順方向と逆方向とを合計すると、第1〜第3の主搬送機構10A〜10Cよりも1つ少ない5つの搬送工程を負担することになる。
【0112】
インターフェイスセルC6の動作を説明する。周辺露光された基板Wが基板載置部PASS9(インターフェイスセルC6を基準にして言えば「送り用入口基板載置部」)に置かれると、インターフェイスセルC6のインターフェイス用搬送機構35が基板載置部PASS9から基板Wを受け取って、隣接する露光装置STPに渡す。さらに、インターフェイス用搬送機構35は、露光装置STPから露光済みの基板Wを受け取って、その基板を基板戻し用の基板載置部PASS10(インターフェイスセルC6を基準にして言えば「戻り用出口基板載置部」)に載せる。インターフェイス用搬送機構35は、このような基板搬送動作を繰り返し行う。
【0113】
次に、基板のメインフローおよび仮フローについて図12(a)を参照して説明する。例えば、反射防止膜用処理セルC2において、反射防止膜用塗布処理部8a〜8cのうち、反射防止膜用塗布処理部8a、8cで処理された基板Wについて、基板W上の反射防止膜に含まれる余剰の溶剤が自然に揮発して除去されて、その後の加熱プレートHPでの加熱処理をスキップできて、反射防止膜用塗布処理部8bで処理された基板Wについて、その後の加熱プレートHPでの加熱処理を行わないと、基板W上の反射防止膜に含まれる余剰の溶剤を除去することができないとする。
【0114】
この場合には、図11(a)中の基本的な動作の基板のフローチャートに基づいて、図12(a)に示す反射防止膜用処理セルC2のメインフローを作成する。反射防止膜用処理セルC2のメインフローMFは、図12(a)に示すように、反射防止膜用処理セルC2に関する選択肢fa、fb、fcを反射防止膜用塗布処理部8a〜8cごとに有している。
【0115】
選択肢faは、反射防止膜用塗布処理部8aで処理された基板Wについて、反射防止膜用塗布処理部8aを指定したときに加熱プレートHPでの加熱処理をスキップする仮フローでもある。また、選択肢fcも、反射防止膜用塗布処理部8cで処理された基板Wについて、選択肢faと同様に反射防止膜用塗布処理部8cを指定したときに加熱プレートHPでの加熱処理をスキップする仮フローでもある。選択肢fbは、反射防止膜用塗布処理部8bで処理された基板Wについて、反射防止膜用塗布処理部8bを指定したときに加熱プレートHPでの加熱処理を行う仮フローでもある。
【0116】
先ず、オペレータは、図13に示すように、データ設定部HCのタッチパネル38bを操作して、反射防止膜用処理セルC2のメインフローを作成する。なお、反射防止膜用処理セルC2のメインフローが記憶部(図示省略)に予め記憶されていれば、図13に示すように、『1.メインフローを読み出しますか?』の領域に直接触って、反射防止膜用処理セルC2のメインフローを記憶部から読み出す。なお、上述したように読み出されたメインフローを変更したり、読み出されたメインフローに基づいて仮フローを作成することも可能である。反射防止膜用処理セルC2のメインフローを作成する場合には、『2.メインフローを作成しますか?』の領域に直接触る。
【0117】
メインフローを作成する場合には、『2.メインフローを作成しますか?』の領域に直接触ると、図14に示すような表示画面に変わる。図14のメインフロー作成画面では、各選択肢を作成するための処理部を指定する。反射防止膜用処理セルC2の場合には、セルC2内の処理部の一覧が、図14の画面に表示される。図14中の符号BARC(8a)は反射防止膜用塗布処理部8aを、符号BARC(8b)は反射防止膜用塗布処理部8bを、符号BARC(8c)は反射防止膜用塗布処理部8cをそれぞれ示している。
【0118】
例えば、反射防止膜用塗布処理部8aに関する選択肢fa(図12(a)参照)を作成する場合には、図14に示すように、『BARC(8a)』の領域に直接触る。反射防止膜用塗布処理部8bに関する選択肢fbや、反射防止膜用塗布処理部8cに関する選択肢fcを作成する場合も、それぞれ『BARC(8b)』や『BARC(8c)』の領域に直接触る。このように、図14の処理部の一覧から各処理部を指定して、その処理部に相当する領域を直接触ると、図15に示すような表示態様に変わる。
【0119】
図15のメインフロー作成画面では、『1.全工程を行いますか?』および『2、工程をスキップしますか?』の2画面が表示される。反射防止膜用処理セルC2において全工程を行う場合には、『1.全工程を行いますか?』の領域に直接触る。もし、反射防止膜用処理セルC2において工程をスキップする場合には、『2.工程をスキップしますか?』の領域に直接触る。
【0120】
例えば、反射防止膜用塗布処理部8aに関する選択肢faを作成する場合には、加熱プレートHPでの加熱処理をスキップするので、『2.工程をスキップしますか?』の領域に直接触る。すると、図16に示すような表示態様に変わる。反射防止膜用塗布処理部8cに関する選択肢fcを作成する場合においても、加熱プレートHPでの加熱処理をスキップするので、『2.工程をスキップしますか?』の領域に直接触る。
【0121】
図16のメインフロー作成画面では、スキップする工程の一覧が、図16の画面に表示される。選択肢fa,fcでは加熱プレートHPでの加熱処理をスキップするので、図16に示すように、『HP』の領域に直接触る。このように、図16のスキップする工程の一覧から各工程を指定して、その工程に相当する領域を直接触ると、図17に示すような表示態様に変わる。
【0122】
一方、反射防止膜用塗布処理部8bに関する選択肢fbを作成する場合には、加熱プレートHPでの加熱処理を含め、反射防止膜用処理セルC2における全工程を行うので、『1.全工程を行いますか?』の領域に直接触る。すると、図17に示すような表示態様に変わる。
【0123】
図17では、『これでOKですか?』の画面が表示される。もし、OKならば、『YES』の領域に直接触ると、図18の表示態様に変わる。もし、OKでなければ、『NO』の領域に直接触ると、図14の表示態様に戻って、各選択肢を作成するために処理部を指定する処理を繰り返し行う。
【0124】
このように、各選択肢が作成されて、全選択肢の作成が済めば、すなわち図17の画面でOKならば、上述したように図18の表示態様に変わる。図18では、選択肢を処理部ごとに有したメインフローが表示される。図18の左端には、反射防止膜用塗布処理部8aに関する選択肢faが作成されて表示される。図18の中ほどには、反射防止膜用塗布処理部8bに関する選択肢fbが作成されて表示される。そして、図18の右端には、反射防止膜用塗布処理部8cに関する選択肢fcが作成されて表示される。各選択肢fa、fb、fcをまとめて有したのが、図12(a)に示す反射防止膜用処理セルC2のメインフローMFとなる。
【0125】
このように作成されたメインフローMFは記憶部に適宜記憶される。また、このようなメインフローが記憶部に予め記憶されていれば、図13の画面において、『1.メインフローを読み出しますか?』の領域に直接触って、反射防止膜用処理セルC2のメインフローを記憶部から読み出す。すると、図18の表示態様に直接変わる。また、図示を省略するが、図13の画面において、メインフローが作成、あるいは読み出されると、その作成あるいは読み出されたメインフローについて変更を行うか否かの確認画面が表示されて、そのメインフローを変更することも可能である。
【0126】
このように、メインフローが作成されれば、次に、処理部と処理される基板とを互いに割り当てる。先ず、図18に示すメインフロー画面から図19に示す表示態様に変わる。
【0127】
図19では、『並行処理ですか?』の画面が表示される。もし、OKならば、『YES』の領域に直接触ると、後述する図23の表示態様に変わる。もし、OKでなければ、『NO』の領域に直接触ると、図20の表示態様に変わる。本実施例では、各セル(被制御ユニット)C1〜C6は、単一の主搬送機構を備えている関係で、時間の無駄なく基板処理を行うためには並行処理を行うのは難しい。従って、本実施例では、並行処理を行わずに『NO』の領域に直接触る。もちろん、時間があいても単一の主搬送機構で並行処理を行うときや、条件出しを行うために並行処理を行うときには、本実施例の場合においても並行処理の『YES』の領域を選択することは可能である。
【0128】
本実施例のように並行処理を行わない場合には、上述したように図20の表示態様に変わる。図20では、『基板ごとに指定』という画面が表示される。そして、処理する基板Wごとに処理部を指定する。
【0129】
例えば、1枚目の基板Wを、反射防止膜用塗布処理部8aに関する選択肢faで処理する場合には、1枚目の基板Wには反射防止膜用塗布処理部8aを指定する。図20では、『1枚目の基板はどのBARC?』に対して『BARC(8a)』の領域に直接触って、1枚目の基板Wには反射防止膜用塗布処理部8aを指定する。これによって、1枚目の基板Wについては、指定された処理部として反射防止膜用塗布処理部8aが割り当てられ、加熱プレートHPでの加熱処理をスキップする仮フロー(選択肢fa)に基づいて、1枚目の基板Wの基板処理が制御される。そして、図21の表示態様に変わる。
【0130】
また、例えば、2枚目の基板Wを、反射防止膜用塗布処理部8cに関する選択肢fcで処理する場合には、2枚目の基板Wには反射防止膜用塗布処理部8cを指定する。図21では、『2枚目の基板はどのBARC?』に対して『BARC(8c)』の領域に直接触って、2枚目の基板Wには反射防止膜用塗布処理部8cを指定する。これによって、2枚目の基板Wについては、指定された処理部として反射防止膜用塗布処理部8cが割り当てられ、加熱プレートHPでの加熱処理をスキップする仮フロー(選択肢fc)に基づいて、2枚目の基板Wの基板処理が制御される。そして、図22の表示態様に変わる。
【0131】
また、例えば、3枚目の基板Wを、反射防止膜用塗布処理部8bに関する選択肢fbで処理する場合には、3枚目の基板Wには反射防止膜用塗布処理部8bを指定する。図22では、『3枚目の基板はどのBARC?』に対して『BARC(8b)』の領域に直接触って、3枚目の基板Wには反射防止膜用塗布処理部8bを指定する。これによって、3枚目の基板Wについては、指定された処理部として反射防止膜用塗布処理部8bが割り当てられ、加熱プレートHPでの加熱処理を含め、反射防止膜用処理セルC2における全工程を行う仮フロー(選択肢fb)に基づいて、3枚目の基板Wの基板処理が制御される。以下、それ以降に処理する各基板Wについても同様の操作を繰り返す。
【0132】
なお、図13〜図22に関するこれらの操作は、タッチパネル38bに限定されず、マウスやタッチパネル38bやボタンなどのポインティングデバイスでも可能であるのは言うまでもない。
【0133】
図13〜図22の画面にしたがって入力された、メインフローや仮フローのデータは、上述したようにメインコントローラMCに転送される。メインコントローラMCは、転送されたメインフローをフローレシピとして登録し、スケジューラとしての機能を果たす。また、メインコントローラMCは、データ設定部HCの画面に図13〜図22の表示態様を表示させるように制御する。図12(a)のメインフローMFは、反射防止膜用処理セルC2に関するものであるので、メインコントローラMCは、メインフローや仮フローのデータを、反射防止膜用処理セルC2の基板受け渡し動作を少なくとも制御するセルコントローラCT2に転送して、セルC2内の第1の主搬送機構10Aなどを操作して基板処理を制御する。なお、セルコントローラCT2は、反射防止膜用処理セルC2に関するスケジュール管理のみを行い、その他の処理(例えばレジスト膜用処理セルC3や現像処理セルC4に関する処理)のスケジュール管理については行わない。
【0134】
以上、反射防止膜用処理セルC2に関するメインフローおよび仮フローについて説明したが、レジスト膜用処理セルC3、現像処理セルC4、露光後加熱用処理セルC5に関するメインフローおよび仮フローについても同様の操作を行えばよい。また、順方向/逆方向のいずれにも適用することができる。
【0135】
また、選択肢の数はfa、fb、fcのように3つに限定されるものではなく、処理部の数によって変更される。
【0136】
以上のように、本実施例によれば、タッチパネル38bなどの入力部38は、図14〜図17のメインフロー作成画面によって作成されたメインフロー(本実施例の場合には図12(a)のメインフローMF)、および図19〜図22の処理部指定画面などによって指定された処理部(本実施例の場合には反射防止膜用塗布処理部8a〜8c)に基づいて、メインフローMF中の1つの選択肢fa、fb、fcを選択して仮フローを作成する。そして、メインコントローラMCや各セルコントローラCT1〜CT6(本実施例の場合にはセルコントローラCT2)は、作成された仮フローに基づいて基板処理を制御する。このように、メインフローMFに、一連の基板処理(本実施例の場合には反射防止膜処理)に関する選択肢(本実施例の場合には選択肢fa、fb、fc)を有するようにしたので、メインフローMF自体を作成し直したり、メインフロー自体を変更することなく、メインフローMF中の1つの選択肢によって、仮フローを作成することができる。その結果、メインフロー自体を作成し直したり、メインフロー自体を変更することなく、作成された仮フローに合わせて、様々な基板処理を柔軟に行うことができる。
【0137】
図12(a)の場合には、例えば、基板W上の反射防止膜に含まれる余剰の溶剤を除去するための、加熱プレートHPでの加熱処理をスキップすることができるなどの様々な基板処理を柔軟に行うことができる。
【0138】
また、本実施例の場合には、図19〜図22の処理部指定画面などでは、基板Wごとに処理部を指定可能に構成しているので、基板Wごとに仮フローを作成することができ、基板Wごとに様々な基板処理を柔軟に行うことができる。
【0139】
本発明は、上述した実施例のものに限らず、例えば次のように変形実施することができる。
(1)上記実施例では、各々のセルコントローラCT1〜CT6が、各セル内の基板の受け渡しだけを対象にした制御、いわゆる分散制御であったが、処理ブロックを並設して構成される基板処理装置にも本発明を適用することができる。この場合には、並設された複数個の処理ブロックで順に行われる。各処理ブロックでは各々の主搬送機構が、隣接する処理ブロックから入口基板載置部を介して受け入れられた基板の搬送、処理部に対して基板の受け渡し、および隣接する処理ブロックへ出口基板載置部を介して払い出す基板の搬送を並行して行う。つまり、各処理ブロックの主搬送機構は同時並行的に作動する。
【0140】
(2)本発明は、並行処理を行う基板処理装置にも適用することができる。
【0141】
並行処理を行う基板処理装置に適用した場合の基板のメインフローおよび仮フローについて図12(b)を参照して説明し、そのときの表示態様について図23を参照して説明する。なお、この変形例(2)では、反射防止膜用塗布処理部8a〜8cでの反射防止膜用塗布処理について並行に行うとする。
【0142】
並行処理を行う場合において、反射防止膜用処理セルC2のメインフローMFは、図12(b)に示すように、反射防止膜用処理セルC2に関する選択肢fa、fb、fcを反射防止膜用塗布処理部8a〜8cごとに有している。
【0143】
各選択肢fa、fb、fcは、実施例の図12(a)と相違し、加熱プレートHPでの加熱処理を含め、反射防止膜用処理セルC2における全工程を行う仮フローでもある。図12(b)では、反射防止膜用塗布処理部8a〜8cでの並行処理を強調するために、反射防止膜用塗布処理部8a〜8c(図12(b)中の符号BARC(8a)は反射防止膜用塗布処理部8aを、符号BARC(8b)は反射防止膜用塗布処理部8bを、符号BARC(8c)は反射防止膜用塗布処理部8cをそれぞれ示している)をそれぞれ独立に分けて図示している。
【0144】
図19での並行処理を訊く画面までは、本実施例と同様の操作を図13〜図18の画面において行う。すなわち、図13に示す画面から『2.メインフローを作成しますか?』の領域を選択して、図14のメインフロー作成画面において、反射防止膜用処理セルC2内の処理部の一覧から各処理部を指定する。図12(b)の選択肢8a、8b、8cを作成する場合には、それぞれ『BARC(8a)』、『BARC(8b)』、『BARC(8c)』の領域を選択する。図15のメインフロー作成画面では、各選択肢fa、fb、fcは、反射防止膜用処理セルC2における全工程を行うので、それぞれにおいて『1.全工程を行いますか?』の領域を選択して、図17に示す『YES』の領域を選択して、図12(b)のメインフローMFを作成する。
【0145】
このように、メインフローが作成されれば、次に、処理部と処理される基板とを互いに割り当てる。先ず、図18に示すメインフロー画面から図23の表示態様に変わる。
【0146】
すなわち、『並行処理ですか?』の画面に対して『YES』の領域を選択することで、同一の処理について並行に行う複数の処理部(変形例(2)では反射防止膜用塗布処理部8a〜8c)から1つを選択し、基板Wごとにその処理部を指定する、図23の表示態様に変わる。
【0147】
図23の並行処理画面では、『1.払い出し順?』および『2.基板ごとに指定?』の2画面が表示される。実施例のように基板Wごとに反射防止膜用塗布処理部8a〜8cを指定する場合には、『2.基板ごとに指定?』の領域を直接触る。そして、実施例の図20〜図22の処理部指定画面と同じような操作を行う。
【0148】
『1.払い出し順?』の領域を直接触った場合には、基板Wが払い出された順に反射防止膜用塗布処理部8a〜8cを指定することができる。
【0149】
例えば、冷却プレートCPでの処理、加熱プレートHPでの処理、冷却プレートWCPでの処理は、ほぼ同じ周期の24秒で行われ、反射防止膜用塗布処理部8a〜8cでの処理は32秒で行われるものとする。このときの基板のフローチャートを図24に示す。図24中の符号CP,符号HP,および符号WCP中の『(24s)』は、これらの処理時間が24秒であることを示し、図24中の符号BARC(8a),BARC(8b),BARC(8c)中の『(32s)』は、これらの処理時間が32秒であることを示す。
【0150】
基板Wが払い出された順に反射防止膜用塗布処理部8a〜8cを指定するときには、各処理部のタイミングチャートは、図25に示すとおりである。なお、図25中の符号W1は1枚目に処理される基板Wを示し、符号W2は2枚目に処理される基板を示し、符号W3は3枚目に処理される基板を示し、符号W4は4枚目に処理される基板を示す。また、図25では、基板の搬送時間を考慮せずに説明する。
【0151】
1枚目の基板W1を冷却プレートCPで24秒間処理すると、それに続いて2枚目の基板W2を冷却プレートCPで24秒間処理するとともに、同時に反射防止膜用塗布処理部8a(図25中の符号『BARC(8a)』)で32秒間処理する。2枚目の基板W2を冷却プレートCPで24秒間処理すると、それに続いて3枚目の基板W3を冷却プレートCPで24秒間処理するとともに、同時に、冷却プレートCPで処理された基板Wを反射防止膜用塗布処理部8b(図25中の符号『BARC(8b)』)で32秒間処理する。
【0152】
基板W3の冷却プレートCPでの冷却処理が終了した際には、基板W1の反射防止膜用塗布処理部8aでの処理は既に終了している。従って、空いている反射防止膜用塗布処理部8は、反射防止膜用塗布処理部8b以外の反射防止膜用塗布処理部8a,8cとなるが、反射防止膜用塗布処理部8aで先ほど処理された基板W1は加熱プレートHPに16秒前に払い出されたばかりであり、払い出された順に基板Wが処理されるので、未だ処理さえも行われていない反射防止膜用塗布処理部8cで冷却プレートCPでの冷却処理が終了した基板W3を32秒間処理する。以下、4枚目の基板W4は、反射防止膜用塗布処理部8での処理では、反射防止膜用塗布処理部8aで行われ、5枚目の基板は、反射防止膜用塗布処理部8での処理では、反射防止膜用塗布処理部8bで行われ、6枚目の基板は、反射防止膜用塗布処理部8での処理では、反射防止膜用塗布処理部8cで行われる。
【0153】
このように、並行処理において、処理される反射防止膜用塗布処理部8が、ある反射防止膜用塗布処理部8(例えば優先順位の高い反射防止膜用塗布処理部8aや8b)に偏ったり、反射防止膜用塗布処理部8cに基板Wが処理されないという事態を低減させることができる。従って、並行処理において、同一の処理について並行に行う複数の反射防止膜用塗布処理部8a〜8cにまんべんなく基板Wを渡して処理することができる。
【0154】
また、条件出しを行うためにダミーの基板を試験的に流すときでも、反射防止膜用塗布処理部8aや8bに偏り、反射防止膜用塗布処理部8cにダミーの基板が流れないという事態を低減させることができる。また、条件出しも含めて、反射防止膜用塗布処理部8cに基板を流す場合においても、従来のようにフローレシピから、優先順位の高い反射防止膜用塗布処理部8aや8bを削除して、反射防止膜用塗布処理部8cでの処理を行うフローレシピを作成する必要もない。
【0155】
また、実施例と同様に、選択肢の数はfa、fb、fcのように3つに限定されるものではなく、並行処理を行う処理部の数によって変更される。
【0156】
(3)上述した実施例と、変形例(2)とを組み合わせてもよい。すなわち、図26に示すように、図12(a)のフローと図12(b)のフローとを組み合わせてもよい。この場合には、反射防止膜用塗布処理部8a〜8cでの反射防止膜用塗布処理について並行に行いつつ、反射防止膜用塗布処理部8a、または8cで処理した場合には加熱プレートHPでの加熱処理をスキップし、反射防止膜用塗布処理部8bで処理した場合には加熱プレートHPでの加熱処理を含め、反射防止膜用処理セルC2における全工程を行う。
【0157】
(4)実施例では、各セルC1〜C6内の一連のメインフローおよび仮フローについてであったが、各セルを処理部の単位としてみた場合には、基板処理は、インデクサセルC1、反射防止膜用処理セルC2、レジスト膜用処理セルC3、露光後加熱用処理セルC5、インターフェイスセルC6、露光後加熱用処理セルC5、現像処理セルC4、インデクサセルC1の順に処理されるメインフローからなるとも言える。従って、例えば、処理時間の長いセルを複数備えて、それらのセルで同一の処理について並行に行う並行処理を行ってもよい。なお、この場合には、各セルC1〜C6が単一の主搬送機構を備えても、並行処理を行うことが容易となる。
【0158】
例えば、他のセルと比較して現像処理セルC4での処理時間が長い場合には、現像処理セルC4を複数備えて、現像処理セルC4での一連の現像処理(PASS8、冷却プレートCP、現像処理部30、加熱プレートHP、冷却プレートWCP、基板載置部PASS6の逆方向の処理)について並行に行えばよい。このときの基板Wのフローチャートは、図27(a)に示すとおりとなる。図27(a)の場合には、インデクサセルC1、反射防止膜用処理セルC2、レジスト膜用処理セルC3、露光後加熱用処理セルC5、インターフェイスセルC6、露光後加熱用処理セルC5、現像処理セルC4、インデクサセルC1の順に処理されるメインフローMFは、選択肢fa、fb、fcを各現像処理セルC4ごとに有している。
【0159】
変形例(2)と同様に、基板Wごとにどの現像処理セルC4を指定するかを決定してもよいし、基板Wが払い出された順にどの現像処理セルC4を指定するかを決定してもよい。
【0160】
(5)上述した変形例(4)では、各セルを処理部の単位としてみて、かつ、並行処理を行う場合について説明したが、各セルを処理部の単位としてみた場合には、並行処理に限定されない。例えば、露光時に発生する定在波やハレーションが少ない基板の場合には、反射防止膜用処理セルC2での処理をスキップすることができる。従って、図27(b)に示すように、反射防止膜用処理セルC2での一連の処理(基板載置部PASS1、冷却プレートCP、反射防止膜用塗布処理部8、加熱プレートHP、冷却プレートWCP、基板載置部PASS3の順方向の処理)を行わない選択肢faと、一連の処理を行う選択肢fbとをメインフローMFに含ませる。そして、基板Wごとに上述の一連の処理を行うか否かを指定し、指定された結果に基づいて、上述の一連の処理をスキップする仮フロー(図27中の選択肢fa)および上述の一連の処理を行う仮フロー(図27(b)中の選択肢fb)を作成すればよい。
【0161】
(6)実施例でも述べたように、例えば、基板Wに塗布されたレジスト膜の厚みを検査したり、あるいは現像後のレジスト膜の線幅を検査する検査用セルを追加してもよい。また、上述のような検査部をセル内に追加してもよい。この場合には、検査を行うフローを含ませた状態でメインフローを作成し、検査用セルあるいは検査部で検査を行う選択肢と、検査を行わない選択肢とをメインフローに含ませる。そして、検査用セルあるいは検査部で検査を行うか否かを指定し、指定された結果に基づいて、検査用セルあるいは検査部で検査を行う仮フローおよび検査を行わない仮フローを作成すればよい。
【0162】
このように、基板の検査を一連の基板処理に含む場合においても、様々な基板処理を柔軟に行うことができる。
【0163】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、一連の基板処理に関する選択肢を有するメインフローにおいて、仮フロー作成手段は、メインフロー作成手段によって作成されたメインフロー、および処理部指定手段によって指定された処理部に基づいて、メインフロー中の1つの選択肢を選択して仮フローを作成し、制御手段は、仮フロー作成手段によって作成された仮フローに基づいて基板処理を制御するので、作成された仮フローに合わせて、様々な基板処理を柔軟に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る基板処理装置の概略構成を示した平面図である。
【図2】実施例装置の概略構成を示した正面図である。
【図3】熱処理部の正面図である。
【図4】隔壁に設けられた基板載置部の周辺構成を示す破断正面図である。
【図5】インターフェイスブロックの概略構成を示す側面図である。
【図6】(a)は主搬送機構の概略構成を示す平面図、(b)はその正面図である。
【図7】(a)は基板仮置部付きの加熱部の破断側面図、(b)は破断平面図である。
【図8】(a)は実施例装置のブロック配置を示した平面図、(b)は実施例装置のセル配置を示した平面図である。
【図9】(a)は実施例装置の制御系を示したブロック図、(b)は比較のために示した従来装置の制御系のブロック図である。
【図10】実施例装置のデータ設定部の構成を示した図である。
【図11】(a)〜(d)は、基板処理装置の基本的な動作の説明に供するフローチャートである。
【図12】メインフローおよび仮フローに関する基板のフローチャートであって、(a)は本実施例に係るフローチャート、(b)は変形例に係る並行処理のフローチャートである。
【図13】本実施例のタッチパネルの一表示態様を示す図である。
【図14】本実施例のタッチパネルの一表示態様を示す図である。
【図15】本実施例のタッチパネルの一表示態様を示す図である。
【図16】本実施例のタッチパネルの一表示態様を示す図である。
【図17】本実施例のタッチパネルの一表示態様を示す図である。
【図18】本実施例のタッチパネルの一表示態様を示す図である。
【図19】本実施例のタッチパネルの一表示態様を示す図である。
【図20】本実施例のタッチパネルの一表示態様を示す図である。
【図21】本実施例のタッチパネルの一表示態様を示す図である。
【図22】本実施例のタッチパネルの一表示態様を示す図である。
【図23】変形例に係る並行処理のタッチパネルの一表示態様を示す図である。
【図24】変形例に係る並行処理であって、処理時間を考慮した基板のフローチャートである。
【図25】変形例に係る並行処理の基板のタイミングチャートである。
【図26】図12(a)のフローと図12(b)のフローとを組み合わせた、変形例に係るメインフローおよび仮フローに関する基板のフローチャートである。
【図27】(a),(b)は、各セルを処理部の単位としてみた場合の変形例に係る基板のフローチャートである。
【図28】従来における基板のフローチャートである。
【図29】従来における基板のタイミングチャートである。
【図30】従来における基板のフローチャートである。
【図31】従来における基板のタイミングチャートである。
【符号の説明】
CT1〜CT6 …セルコントローラ
MC …メインコントローラ
HC …データ設定部
38 …入力部
38b …タッチパネル
MF …メインフロー
fa、fb、fc …選択肢
W …基板
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体基板、液晶表示器のガラス基板、フォトマスク用のガラス基板、光ディスク用の基板(以下、単に基板と称する)に対して基板処理を行う基板処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の基板処理装置では、基板処理を行う処理部(ユニット)の温度・湿度や処理時間の条件などといった基板処理条件や、どの処理部で行うかを設定するフローのレシピが複数個登録されている。オペレータ(術者)は、これら登録されたフローレシピを選択して基板処理を行っている。
【0003】
例えば、処理部に未処理の基板を払い出して、処理済みの基板を受け取るインデクサ(Indexer)と、露光処理を行う露光処理部(Exposure)と、現像処理を行う4つの現像処理部(Spin Developer)とを備えた基板処理装置の場合には、図28に示すようなフローレシピが登録されている。なお、図28中の符号IDはインデクサを示し、符号EXPは露光処理部を示し、符号SD1,SD2,SD3,SD4は4つの現像処理部をそれぞれ示している。また、符号EXP中の『(30s)』は、露光処理部の露光処理時間が30秒であることを示し、符号SD1,SD2,SD3,SD4中の各『(120s)』は、現像処理部の現像処理時間が120秒であることを示す。
【0004】
このようなレシピの場合、インデクサ(ID)から露光処理部(EXP)に基板を払い出して、露光処理部で露光処理を行い、4つの現像処理部(SD1,SD2,SD3,SD4)のうちいずれか1つの現像処理部に露光処理済みの基板を渡して、その現像処理部で現像処理を行い、インデクサ(ID)で処理済みの基板を受け取る。
【0005】
各処理部のタイミングチャートは、図29に示すとおりである。なお、図29中の符号W1は1枚目に処理される基板を示し、符号W2は2枚目に処理される基板を示し、符号W3は3枚目に処理される基板を示し、符号W4は4枚目に処理される基板を示し、符号W5は5枚目に処理される基板を示し、符号W6は6枚目に処理される基板を示す。また、図29および後述する図31では、基板の搬送時間を考慮せずに説明する。
【0006】
1枚目の基板W1を露光処理部(EXP)で30秒間処理すると、それに続いて2枚目の基板W2を露光処理部で30秒間処理するとともに、同時に、露光処理部で処理された基板W1を現像処理部(SD1)で120秒間処理する。2枚目の基板W2を露光処理部で30秒間処理すると、それに続いて3枚目の基板W3を露光処理部で30秒間処理するとともに、同時に、露光処理部で処理された基板W2を現像処理部(SD2)で120秒間処理する。同様に、基板W3も現像処理部(SD3)で120秒間、4枚目の基板W4も露光処理部で30秒間、現像処理部(SD4)で120秒間、5枚目の基板W5も露光処理部で30秒間の処理を行う。
【0007】
基板W5の露光処理部が終了した際には、基板W1の現像処理部(SD1)での処理がちょうど終了する。従って、基板W1を現像処理部(SD1)からインデクサに渡して、空いた現像処理部(SD1)で露光処理部が終了した基板W5を120秒間処理する。このように、露光処理部の露光処理時間が30秒で、現像処理部の現像処理時間が120秒の場合には、各現像処理(SD1,SD2,SD3,SD4)にまんべんなく基板を渡して処理することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなレシピの場合には、次のような問題がある。
すなわち、図28に示すフローレシピにおいて、図30に示すように、現像処理部の現像処理時間が120秒のままで、露光処理部の露光処理時間が30秒から90秒に変更したときには、各処理部のタイミングチャートは、図31に示すように処理される現像処理部がSD1とSD2とに偏ってしまう。
【0009】
つまり、1枚目の基板W1を露光処理部(EXP)で90秒間処理すると、それに続いて2枚目の基板W2を露光処理部で90秒間処理するとともに、同時に、露光処理部で処理された基板W1を現像処理部(SD1)で120秒間処理する。2枚目の基板W2を露光処理部で90秒間処理すると、それに続いて3枚目の基板W3を露光処理部で90秒間処理するとともに、同時に、露光処理部で処理された基板W2を現像処理部(SD2)で120秒間処理する。
【0010】
基板W3の露光処理部が終了した際には、基板W1の現像処理部(SD1)での処理は既に終了している。従って、空いている現像処理部は、SD2以外のSD1,SD3,SD4となるが、優先順位の高いSD1で露光処理部が終了した基板W3を120秒間処理する。このように、処理される現像処理部がSD1とSD2とに偏り、SD3とSD4とにはいつまでも基板が処理されないことになる。
【0011】
かかる処理時間の場合には、例えば、基板処理条件を最適化するために基板処理条件を変更しながらダミーの基板を試験的に流して行う(以下、これを『条件出し』という)ときでも、SD1とSD2とに偏り、SD3とSD4とにはダミーの基板が流れないことになる。従って、条件出しも含めてSD3とSD4とに基板を流そうとすれば、従来のフローレシピからSD1とSD2とを削除して、SD3とSD4とで並行に行うフローレシピを作成する必要がある。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、様々な基板処理を柔軟に行うことができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題を解決するために鋭意研究した結果、次のような知見を得た。
すなわち、上記フローレシピの場合には、並行処理を行う処理部(上記の場合には現像処理部)ごとに優先順位があって、優先順位の高い処理部から処理が行われ、もし、優先順位の高い処理部で基板が処理されていれば次に優先順位の高い処理部で行うというフローに起因して、優先順位の高い処理部が一旦空けば、その処理部で基板を処理し続け、優先順位の低い処理部にはいつまでも基板が処理されない。
【0014】
このように、優先順位の高い処理部から処理が行われ、もし、優先順位の高い処理部で基板が処理されていれば次に優先順位の高い処理部で行うという条件以外には、フローレシピは一見制限されていないようだが、この条件によってフローレシピ内で行える処理がかなり制限されるともいえる。してみれば、様々な基板処理を柔軟に行うという点から鑑みれば、並行処理に限らず、メインとなるフローについて選択肢を有するように設定しておいて、後は、指定された処理部に基づいてメインフロー中の1つの選択肢を選択すればよい。さすれば、新たにフローを作成し直したり、メインとなるフローレシピ(以下、単に『メインフロー』と略記する)自体を作成し直す必要はない。このような知見に基づく本発明は、次のような構成をとる。
【0015】
すなわち、請求項1に記載の発明は、基板処理を行う処理部と、基板処理を制御する制御手段とを備えた基板処理装置であって、一連の基板処理に関する選択肢を有したメインフローを作成するメインフロー作成手段と、処理部を指定する処理部指定手段と、メインフロー作成手段によって作成されたメインフロー、および処理部指定手段によって指定された処理部に基づいて、メインフロー中の1つの選択肢を選択して仮フローを作成する仮フロー作成手段とを備え、制御手段は、仮フロー作成手段によって作成された仮フローに基づいて基板処理を制御することを特徴とするものである。
【0016】
〔作用・効果〕請求項1に記載の発明によれば、仮フロー作成手段は、メインフロー作成手段によって作成されたメインフロー、および処理部指定手段によって指定された処理部に基づいて、メインフロー中の1つの選択肢を選択して仮フローを作成する。そして、制御手段は、仮フロー作成手段によって作成された仮フローに基づいて基板処理を制御する。このように、メインフローに、一連の基板処理に関する選択肢を有するようにしたので、メインフロー自体を作成し直したり、メインフロー自体を変更することなく、メインフロー中の1つの選択肢によって仮フローを作成することができる。その結果、メインフロー自体を作成し直したり、メインフロー自体を変更することなく、作成された仮フローに合わせて、様々な基板処理を柔軟に行うことができる。
【0017】
本発明は、並行処理を行う基板処理装置に有用である。すなわち、処理部の少なくとも一部は、同一の処理について並行に行う複数の処理部であって、同一の処理について並行に行う複数の処理部から1つを選択する(請求項2に記載の発明)ように構成することで、並行処理において、選択された処理部に応じて仮フローを作成することができる。従って、並行処理において、基板が処理される処理部が、ある処理部に偏ったり、別の処理部に基板が処理されないという事態を低減させることができる。
【0018】
また、上述した各発明において、好ましくは、処理部指定手段は、基板ごとに指定可能(請求項3に記載の発明)に構成する。基板ごとに処理部を指定することで、基板ごとに仮フローを作成することができ、基板ごとに様々な基板処理を柔軟に行うことができる。
【0019】
また、請求項3に記載の発明において、好ましくは、処理部の少なくとも一部は、同一の処理について並行に行う複数の処理部であって、処理部指定手段は、同一の処理について並行に行う複数の処理部から1つを選択し、基板が払い出された順に処理部を指定する(請求項4に記載の発明)ように構成する。つまり、並行処理を組み合わせて、基板が払い出された順に処理部を指定することで、並行処理において、同一の処理について並行に行う複数の処理部にまんべんなく基板を渡して処理することができる。
【0020】
また、処理部の少なくとも一部を、基板の検査を行う検査部(請求項5に記載の発明)で構成することで、基板の検査を一連の基板処理に含む場合においても、様々な基板処理を柔軟に行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1は実施例に係る基板処理装置の平面図、図2はその正面図、図3は熱処理部の正面図である。
【0022】
ここでは、半導体ウエハ(以下、単に「基板」という)に、反射防止膜やフォトレジスト膜を塗布形成するとともに、露光された基板に現像処理などの薬液処理を行う基板処理装置を例に採って説明する。もちろん、本発明に係る基板処理装置が取り扱い得る基板は、半導体ウエハに限らず、液晶表示器用のガラス基板など種々の基板を含む。また、薬液処理は、フォトレジスト膜などの塗布形成処理や現像処理に限らず、種々の薬液処理を含む。
【0023】
図1を参照する。本実施例に係る基板処理装置は大きく分けて、インデクサブロック1と、基板に対して所要の薬液処理を行う3つの処理ブロック(具体的には反射防止膜用処理ブロック2、レジスト膜用処理ブロック3、および現像処理ブロック4)と、インターフェイスブロック5とからなり、これらのブロックを並設して構成されている。インターフェイスブロック5には、本実施例に係る基板処理装置とは別体の外部装置である露光装置(ステッパー)STPが並設される。以下、各ブロックの構成を説明する。
【0024】
まず、インデクサブロック1について説明する。インンデクサブロック1は、基板Wを多段に収納するカセットCからの基板の取り出しや、カセットCへの基板Wの収納を行う機構である。具体的には、複数個のカッセトCを並べて載置するカセット載置台6と、各カセットCから未処理の基板Wを順に取り出すとともに、各カセットCへ処理済の基板Wを順に収納するインデクサ用搬送機構7とを備えている。インデクサ用搬送機構7は、カセット載置台6に沿って(Y方向に)水平移動可能な可動台7aを備えている。この可動台7aに基板Wを水平姿勢で保持する保持アーム7bが搭載されている。保持アーム7bは、可動台7a上を昇降(Z方向)移動、水平面内の旋回移動、および旋回半径方向に進退移動可能に構成されている。
【0025】
上述したインデクサブロック1に隣接して反射防止膜処理ブロック2が設けられている。図4に示すように、インデクサブロック1と反射防止膜処理ブロック2との間には、雰囲気遮断用の隔壁13が設けられている。この隔壁13にインデクサブロック1と反射防止膜処理ブロック2との間で基板Wの受け渡しを行うために基板Wを載置する2つの基板載置部PASS1、PASS2が上下に近接して設けられている。
【0026】
上側の基板載置部PASS1はインデクサブロック1から反射防止膜処理ブロック2へ基板Wを払い出すために、下側の基板載置部PASS2は反射防止膜処理ブロック2からインデクサブロック1へ基板Wを戻すために、それぞれ設けられている。反射防止膜処理ブロック2を基準にして言えば、基板載置部PASS1は、反射防止膜処理ブロック2に基板Wを受け入れるための入口基板載置部に相当する。特に、インデクサブロック1から露光装置STPに向かって流れる基板Wの搬送方向を順方向とした場合に、基板載置部PASS1は、基板Wを順方向に搬送するときに使われる送り用入口基板載置部に相当する。一方、基板載置部PASS2は、反射防止膜処理ブロック2から基板Wを払い出すための出口基板載置部であり、特に、基板Wを逆方向(本実施例では、露光装置STPからインデクサブロック1に向かって流れる基板Wの搬送方向)に搬送するときに使われる戻り用出口基板載置部に相当する。
【0027】
基板載置部PASS1、PASS2は、隔壁13を部分的に貫通して設けられている。なお、基板載置部PASS1、PASS2は、固定設置された複数本の支持ピンから構成されており、この点は後述する他の基板載置部PASS3〜PASS10も同様である。また、基板載置部PASS1、PASS2には、基板Wの有無を検出する図示しない光学式のセンサが設けられており、各センサの検出信号に基づいてインデクサ用搬送機構7や、後述する反射防止膜用処理ブロック2の第1の主搬送機構10Aが、基板載置部PASS1、PASS2に対して基板を受け渡しできる状態であるかどうかを判断するようになっている。同様のセンサは他の基板載置部PASS3〜PASS10にも設けられている。
【0028】
反射防止膜処理ブロック2について説明する。反射防止膜処理ブロック2は、露光時に発生する定在波やハレーションを減少させるために、フォトレジスト膜の下部に反射防止膜を塗布形成するための機構である。具体的には、基板Wの表面に反射防止膜を塗布形成する反射防止膜用塗布処理部8と、反射防止膜の塗布形成に関連して基板Wを熱処理する反射防止膜用熱処理部9と、反射防止膜用塗布処理部8および反射防止膜用熱処理部9に対して基板Wの受け渡しをする第1の主搬送機構10Aとを備える。
【0029】
反射防止膜処理ブロック2は、第1の主搬送機構10Aを挟んで反射防止膜用塗布処理部8と反射防止膜用熱処理部9とが対向して配置されている。具体的には、塗布処理部8が装置正面側に、熱処理部9が装置背面側に、それぞれ位置している。このように薬液処理部と熱処理部とを主搬送機構を挟んで対向配置する点は、他のレジスト膜用処理ブロック3および現像処理ブロック4においても同様である。このような配置にすれば、薬液処理部と熱処理部とが隔たるので、薬液処理部が熱処理部から受ける熱的影響を抑えることができる。また、本実施例では、熱処理部9の正面側に図示しない熱隔壁を設けて、反射防止膜用塗布処理部8への熱的影響を回避している。同様な熱隔壁は、他のレジスト膜用処理ブロック3および現像処理ブロック4にも設けられている。
【0030】
反射防止膜用塗布処理部8は、図2に示すように、同様の構成を備えた3つの反射防止膜用塗布処理部8a〜8c(以下、特に区別しない場合は符号「8」で示す)を上下に積層配置して構成されている。各塗布処理部8は、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック11や、このスピンチャック11上に保持された基板W上に反射防止膜用の塗布液を供給するノズル12などを備えている。
【0031】
反射防止膜用熱処理部9は、図3に示すように、基板Wを所定の温度にまで加熱する複数個の加熱プレートHP、加熱された基板Wを常温にまで冷却する複数個の冷却プレートCP、レジスト膜と基板Wとの密着性を向上させるためにHMDS(ヘキサメチルジシラザン)の蒸気雰囲気で基板Wを熱処理する複数個のアドヒージョン処理部AHLなどの熱処理部を含む。これらの熱処理部9の下部には、ヒータコントローラ(CONT)が配設され、また熱処理部9の上部(図3中に「×」印で示した個所)には配管配線部や、予備の空きスペースが割り当てられている。
【0032】
反射防止膜用熱処理部9は、各熱処理部(HP,CP,AHL)を上下に積層配置して構成されているとともに、積層配置された一群の熱処理部が複数例(本実施例では2列)にわたり並設されている。薬液処理部を上下に積層配置している点、および上下に積層配置した一群の熱処理部を複数列にわたり並設している点は、他のレジスト膜用処理ブロック3および現像処理ブロック4においても同様である。
【0033】
上述したように各処理ブロック2〜4で薬液処理部や熱処理部を上下に積層配置することにより、基板処理装置の占有スペースを小さくすることができる。また、積層配置した一群の記熱処理部を複数列にわたり並設することにより、熱処理部のメンテナンスが容易になるとともに、熱処理部に必要なダクト配管や給電設備をあまり高い位置にまで引き延ばす必要がなくなるという利点がある。
【0034】
第1の主搬送機構10Aについて説明する。なお、後述する他のレジスト膜用処理ブロック3、現像処理ブロック4、およびインターフェイスブロック5にそれぞれ備えられた第2、第3、第4の各主搬送機構10B、10C、10Dも同様に構成されている。以下、第1〜第4の主搬送機構10A〜10Dを特に区別しない場合は、主搬送機構10として説明する。
【0035】
図6を参照する。同図(a)は主搬送機構10の平面図、(b)はその正面図である。主搬送機構10は、基板Wを水平姿勢で保持する2個の保持アーム10a、10bを上下に近接して備えている。保持アーム10a、10bは、先端部が平面視で「C]の字状になっており、この「C」の字状のアームの内側から内方に突き出た複数本のピン10cで基板Wの周縁を下方から支持するようになっている。主搬送機構10の基台10dは装置基台に対して固定設置されている。この基台10d上に螺軸10eが回転可能に立設支持されている。基台10dに螺軸10eを回転駆動するモータ10fが設けられている。螺軸10eに昇降台10gが螺合されており、モータ10fが螺軸10eを回転駆動することにより、昇降台10gがガイド軸10jに案内されて昇降移動するようになっている。昇降台10g上にアーム基台10hが縦軸心周りに旋回可能に搭載されている。昇降台10gにはアーム基台10hを旋回駆動するモータ10iが設けられている。アーム基台10h上に上述した2つの保持アーム10a、10bが上下に配設されている。各保持アーム10a、10bは、アーム基台10h内に装備された駆動機構(図示せず)によって、各々が独立してアーム基台10hの旋回半径方向に進退移動可能に構成されている。
【0036】
上述した反射防止膜処理ブロック2に隣接してレジスト膜処理ブロック3が設けられている。図4に示すように、反射防止膜処理ブロック2とレジスト膜処理ブロック3との間にも、雰囲気遮断用の隔壁13が設けられている。この隔壁13に反射防止膜処理ブロック2とレジスト膜処理ブロック3との間で基板Wの受け渡しを行うための2つの基板載置部PASS3、PASS4が上下に近接して設けられている。
【0037】
上述した基板載置部PASS1、PASS2の場合と同様に、上側の基板載置部PASS3が基板Wの払出し用、下側の基板載置部PASS4が基板Wの戻し用になっているとともに、これらの基板載置部PASS3、PASS4は隔壁13を部分的に貫通している。ここで、基板載置部PASS3は、反射防止膜処理ブロック2を基準にして言えば、送り用出口基板載置部に相当し、レジスト膜処理ブロック3を基準にして言えば、送り用入口基板載置部に相当する。また、基板載置部PASS4は、反射防止膜処理ブロック2を基準にして言えば、戻り用入口基板載置部に相当し、レジスト膜処理ブロック3を基準にして言えば、戻り用出口基板載置部に相当する。これらの基板載置部PASS3、PASS4の下側には、基板Wを大まかに冷却するために水冷式の2つの冷却プレートWCPが隔壁13を貫通して上下に設けられている。
【0038】
レジスト膜用処理ブロック3について説明する。レジスト膜用処理ブロック3は、反射防止膜が塗布形成された基板W上にフォトレジスト膜を塗布形成する機構である。なお、本実施例では、フォトレジストとして化学増幅型レジストを用いている。レジスト膜用処理ブロック3は、反射防止膜が塗布形成された基板Wにフォトレジスト膜を塗布形成するレジスト膜用塗布処理部15と、フォトレジスト膜の塗布形成に関連して基板を熱処理するレジスト膜用熱処理部16と、レジスト膜用塗布処理部15およびレジスト膜用熱処理部16に対して基板Wの受け渡しをする第2の主搬送機構10Bとを備える。
【0039】
レジスト膜用塗布処理部15は、図2に示すように、同様の構成を備えた3つのレジスト膜用塗布処理部15a〜15c(以下、特に区別しない場合は符号「15」で示す)を上下に積層配置して構成されている。各塗布処理部15は、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック17や、このスピンチャック17上に保持された基板W上にレジスト膜用の塗布液を供給するノズル18などを備えている。
【0040】
レジスト膜用熱処理部16は、図3に示すように、基板Wを所定の温度にまで加熱する基板仮置部付きの複数個の加熱部PHP、基板Wを常温にまで高い精度で冷却する複数個の冷却プレートCPなどの熱処理部を含む。各熱処理部が上下に積層されるとともに並列配置されている点は、反射防止膜用処理ブロック2の場合と同様である。
【0041】
基板仮置部付きの加熱部PHPについて説明する。
図7を参照する。同図(a)は加熱部PHPの破断側面図、(b)は破断平面図である。加熱部PHPは、基板Wを載置して加熱処理をする加熱プレートHPと、この加熱プレートHPから離れた上方位置または下方位置(本実施例では上方位置)に基板Wを載置しておく基板仮置部19と、加熱プレートHPと基板仮置部19との間で基板Wを搬送する熱処理部用のローカル搬送機構20とを備えている。加熱プレートHPには、プレート表面に出没する複数本の可動支持ピン21が設けられている。加熱プレートHPの上方には加熱処理時に基板Wを覆う昇降自在の上蓋22が設けられている。基板仮置部19には基板Wを支持する複数本の固定支持ピン23が設けられている。
【0042】
ローカル搬送機構20は、基板Wを水平姿勢で保持する保持プレート24を備え、この保持プレート24がネジ送り駆動機構25によって昇降移動されるとともに、ベルト駆動機構26によって進退移動されるようになっている。保持プレート24は、これが加熱プレートHPや基板仮置部19の上方に進出したときに、可動支持ピン21や固定支持ピン23と干渉しないように複数本のスリット24aが形成されている。また、ローカル搬送機構20は、加熱プレートHPから基板仮置部19へ基板Wを搬送する過程で基板を冷却する手段を備えている。この冷却手段は、例えば保持プレート24の内部に冷却水流路24bを設け、この冷却水流路24bに冷却水を流通させることによって構成されている。
【0043】
上述したローカル搬送機構20は、加熱プレートHPおよび基板仮置部19を挟んで第2の主搬送機構10Bとは反対側、すなわち装置背面側に設置されている。そして、加熱プレートHPおよび基板仮置部19を覆う筐体27の上部、すなわち基板仮置部19を覆う部位には、その正面側に第2の主搬送機構10Bの進入を許容する開口部19aが、その背面側にはローカル搬送機構20の進入を許容する開口部19bが、それぞれ設けられている。また、筐体27の下部、すなわち加熱プレートHPを覆う部位は、その正面側が閉塞し、その背面側にローカル搬送機構20の進入を許容する開口部19cが設けられている。
【0044】
上述した加熱部PHPに対する基板Wの出し入れは以下のようにして行われる。まず、主搬送機構10(レジスト膜用処理ブロック3の場合は、第2の主搬送機構10B)が基板Wを保持して、基板仮置部19の固定支持ピン23の上に基板Wを載置する。続いてローカル搬送機構20の保持プレート24が基板Wの下側に進入してから少し上昇することにより、固定支持ピン23から基板Wを受け取る。基板Wを保持した保持プレート24は筐体27から退出して、加熱プレートHPに対向する位置にまで下降する。このとき加熱プレートHPの可動支持ピン21は下降しているとともに、上蓋22は上昇している。基板Wを保持した保持プレート24は加熱プレートHPの上方に進出する。可動支持ピン21が上昇して基板Wを受け取った後に保持プレート24が退出する。続いて可動支持ピン21が下降して基板Wを加熱プレートHP上に載せるとともに、上蓋22が下降して基板Wを覆う。この状態で基板Wが加熱処理される。加熱処理が終わると上蓋22が上昇するとともに、可動支持ピン21が上昇して基板Wを持ち上げる。続いて保持プレート24が基板Wの下に進出した後、可動支持ピン23が下降することにより、基板Wが保持プレート24に受け渡される。基板Wを保持した保持プレート24が退出して、さらに上昇して基板Wを基板仮置部19に搬送する。基板仮置部19内で保持プレート24に支持された基板Wが、保持プレート24が有する冷却機能によって冷却される。保持プレート24は、冷却した(常温に戻した)基板Wを基板仮置部19の固定支持ピン23上に移載する。この基板Wを主搬送機構10が取り出して搬送する。
【0045】
以上のように、主搬送機構10は、基板仮置部19に対して基板Wの受け渡しをするだけで、加熱プレートHPに対して基板の受け渡しをしないので、主搬送機構10が温度上昇するのを回避することができる。また、加熱プレートHPに基板Wを出し入れするための開口部19cが、主搬送機構10が配置された側とは反対側に位置しているので、開口部19cから漏れ出た熱雰囲気で主搬送機構10が温度上昇することがなく、またレジスト膜用塗布処理部15が開口部19cから漏れ出た熱雰囲気で悪影響を受けることもない。
【0046】
上述したレジスト膜処理ブロック3に隣接して現像処理ブロック4が設けられている。図4に示すように、レジスト膜処理ブロック3と現像処理ブロック4との間にも、雰囲気遮断用の隔壁13が設けられており、この隔壁13に両処理ブロック3、4間で基板Wの受け渡しを行うための2つの基板載置部PASS5,6と、基板Wを大まかに冷却するために水冷式の2つの冷却プレートWCPが上下に積層して設けられている。ここで、基板載置部PASS5は、レジスト膜処理ブロック3を基準にして言えば、送り用出口基板載置部に相当し、現像処理ブロック4を基準にして言えば、送り用入口基板載置部に相当する。また、基板載置部PASS6は、レジスト膜処理ブロック3を基準にして言えば、戻り用入口基板載置部に相当し、現像処理ブロック4を基準にして言えば、戻り用出口基板載置部に相当する。
【0047】
現像処理ブロック4について説明する。現像処理ブロック4は、露光された基板Wに対して現像処理をする機構である。具体的には、露光された基板Wに現像処理をする現像処理部30と、現像処理に関連して基板を熱処理する現像用熱処理部31と、現像処理部30および現像用熱処理部31に対して基板Wの受け渡しをする第3の主搬送機構10Cとを備える。
【0048】
現像処理部30は、図2に示すように、同様の構成を備えた5つの現像処理部30a〜30e(以下、特に区別しない場合は符号「30」で示す)を上下に積層配置して構成されている。各現像処理部30は、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック32や、このスピンチャック32上に保持された基板W上に現像液を供給するノズル33などを備えている。
【0049】
現像用熱処理部31は、図3に示すように、各々複数個の加熱プレートHP、基板仮置部付きの加熱部PHP、冷却プレートCPなどの熱処理部を含む。各熱処理部が上下に積層されるとともに並列配置されている点は、他の処理ブロック2、3の場合と同様である。現像用熱処理部31の右側(インターフェイスブロック5に隣接している側)の熱処理部の列には、現像処理ブロック4と、これに隣接するインターフェイスブロック5との間で基板Wの受け渡しを行うための2つの基板載置部PASS7、PASS8が上下に近接して設けられている。上側の基板載置部PASS7が基板Wの払出し用、下側の基板載置部PASS8が基板Wの戻し用になっている。ここで、基板載置部PASS7は、現像処理ブロック4を基準にして言えば、送り用出口基板載置部に相当し、インターフェイスブロック5を基準にして言えば、送り用入口基板載置部に相当する。また、基板載置部PASS8は、現像処理ブロック4を基準にして言えば、戻り用入口基板載置部に相当し、インターフェイスブロック5を基準にして言えば、戻り用出口基板載置部に相当する。
【0050】
インターフェイスブロック5について説明する。インターフェイスブロック5は、本基板処理装置とは別体の外部装置である露光装置STPに対して基板Wの受け渡しをする機構である。本実施例装置におけるインターフェイスブロック5には、露光装置STPとの間で基板Wの受け渡しをするためのインターフェイス用搬送機構35の他に、フォトレジストが塗布された基板Wの周縁部を露光する2つのエッジ露光部EEWと、現像処理ブロック4内に配設された基板仮置部付きの熱処理部PHPおよびエッジ露光部EEWに対して基板Wを受け渡しする第4の主搬送機構10Dを備えている。
【0051】
エッジ露光部EEWは、図2に示すように、基板Wを水平姿勢で吸着保持して回転するスピンチャック36や、このスピンチャック36上に保持された基板Wの周縁を露光する光照射器37などを備えている。2つのエッジ露光部EEWは、インターフェイスブロック5の中央部に上下に積層配置されている。このエッジ露光部EEWと現像処理ブロック4の熱処理部とに隣接して配置されている第4の主搬送機構10Dは、図6で説明した主搬送機構10と同様の構成を備えている。
【0052】
図2および図5を参照する。図5はインターフェイスブロック5の側面図である。2つのエッジ露光部EEWの下側に、基板戻し用のバッファRBFがあり、さらにその下側に2つの基板載置部PASS9、PASS10が積層配置されている。基板戻し用のバッファRBFは、故障などのために現像処理ブロック4が基板Wの現像処理をすることができない場合に、現像処理ブロック4の加熱部PHPで露光後の加熱処理を行った後に、その基板Wを一時的に収納保管しておくものである。このバッファRBFは、複数枚の基板Wを多段に収納できる収納棚から構成されている。基板載置部PASS9、PASS10は、第4の主搬送機構10Dとインターフェイス用搬送機構35との間で基板Wの受け渡しを行うためのもので、上側が基板払出し用、下側が基板戻し用になっている。
【0053】
インターフェイス用搬送機構35は、図1および図5に示すように、Y方向に水平移動可能な可動台35aを備え、この可動台35a上に基板Wを保持する保持アーム35bを搭載している。保持アーム35bは、昇降・旋回および旋回半径方向に進退移動可能に構成されている。インターフェイス用搬送機構35の搬送経路の一端(図5中に示す位置P1)は、積層された基板載置部PASS9、PASS10の下方にまで延びており、この位置P1で露光装置STPとの間で基板Wの受け渡しを行う。また、搬送経路の他端位置P2では、基板載置部PASS9、PASS10に対する基板Wの受け渡しと、送り用バッファSBFに対する基板Wの収納と取り出しとを行う。送り用バッファSBFは、露光装置STPが基板Wの受け入れをできないときに、露光処理前の基板Wを一時的に収納保管するもので、複数枚の基板Wを多段に収納できる収納棚から構成されている。
【0054】
以上のように構成された基板処理装置は、インデクサブロック1、各処理ブロック2、3、4、およびインターフェイスブロック5内に清浄空気がダウンフローの状態で供給されており、各ブロック内でパーティクルの巻き上がりや気流によるプロセスへの悪影響を回避している。また、各ブロック内は装置の外部環境に対して若干陽圧に保たれて、外部環境からのパーティクルや汚染物質の侵入などを防いでいる。特に、反射防止膜用処理ブロック2内の気圧はインデクサブロク1内の気圧よりも高くなるように設定されている。これにより、インデクサブロック1内の雰囲気が反射防止膜用処理ブロック2に流入しないので、外部の雰囲気の影響を受けずに各処理ブロック2、3、4で処理を行うことができる。
【0055】
次に本実施例に係る基板処理装置の制御系、特に基板搬送に係る制御手法について説明する。
上述したインデクサブロック1、反射防止膜用処理ブロック2、レジスト膜用処理ブロック3、現像処理ブロック4、およびインターフェイスブロック5は、本実施例に係る基板処理装置を機構的に分割した要素である。具体的には、各ブロックは、各々個別のブロック用フレーム(枠体)に組み付けられ、各ブロック用フレームを連結して基板処理装置が構成されている(図8(a)参照)。
【0056】
一方、本発明の特徴の1つとして、基板搬送に係る被制御ユニットの単位を機械的要素である各ブロックとは別に構成している。すなわち、基板に所要の処理を行う処理部と、前記処理部に対して基板の受け渡しをする単一の主搬送機構とを含んで単一の被制御ユニットを構成し、前記被制御ユニットを並設して基板処理装置を構成している。各被制御ユニットには、その被制御ユニットに基板を受け入れるために基板を載置する入口基板載置部と、その被制御ユニットから基板を払い出すために基板を載置する出口基板載置部とが区別して設けられている。そして、各被制御ユニットの主搬送機構は、入口基板載置部と出口基板載置部とを介して、互いに基板の受け渡しを行い、かつ、各被制御ユニットの主搬送機構の基板受け渡し動作を少なくとも制御するユニット制御手段を各被制御ユニットごとに備え、各ユニット制御手段は、前記処理部に対する基板の受け渡しおよび前記基板載置部に対する基板の受け渡しを含む一連の基板搬送に係る制御を、各々独立して行うようになっている。
【0057】
以下、本実施例装置における被制御ユニットの単位を「セル」という。実施例装置の制御系を構成する各セルの配置を図8(b)に示す。
【0058】
インデクサセルC1は、カセット載置台6とインデクサ用搬送機構7とを含む。このセルC1は、結果として機械的に分割した要素であるインデクサブロック1と同じ構成になっている。反射防止膜用処理セルC2は、反射防止膜用塗布処理部8と反射防止膜用熱処理部9と第1の主搬送機構10Aとを含む。このセルC2も、結果として機械的に分割した要素である反射防止膜用処理ブロック2と同じ構成になっている。レジスト膜用処理セルC3は、レジスト膜用塗布処理部15とレジスト膜用熱処理部16と第2の主搬送機構10Bとを含む。このセルC3も、結果として機械的に分割した要素であるレジスト膜用処理ブロック3と同じ構成になっている。
【0059】
一方、現像処理セルC4は、現像処理部30と、露光後加熱に使われる熱処理部(実施例では、加熱部PHP)を除いた現像用熱処理部31と、第3の主搬送機構10Cとを含む。このセルC3は、露光後加熱に使われる加熱部PHPを含んでいない点で、機械的に分割した要素である現像処理ブロック4とは異なる構成になっている。
【0060】
露光後加熱用処理セルC5は、露光された基板Wを現像前に加熱処理する露光後加熱用の熱処理部(実施例では、現像処理ブロック4に設けられた加熱部PHP)と、エッジ露光部EEWと、第4の主搬送機構10Dとを含む。このセルC5は、機械的に分割した要素である現像処理ブロック4とインターフェイスブロック5とにまたがるもので、本実施例装置の特徴的なセルである。このように露光後加熱用の熱処理部(加熱部PHP)と第4の主搬送機構10Dとを含んで1つのセルを構成しているので、露光された基板を速やかに加熱部PHPに搬入して熱処理を行うことができる。これは露光後の加熱を速やかに行う必要がある化学増幅型フォトレジストを用いた場合に好適である。
【0061】
なお、上述した基板載置部PASS7、PASS8は、現像処理セルC4の第3の主搬送機構10Cと、露光後加熱用処理セルC5の第4の主搬送機構10Dとの間の基板Wの受け渡しに介在する。ここで、基板載置部PASS7は、現像処理セルC4を基準にして言えば、送り用出口基板載置部に相当し、露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば、送り用入口基板載置部に相当する。また、基板載置部PASS8は、現像処理セルC4を基準にして言えば、戻り用入口基板載置部に相当し、露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば、戻り用出口基板載置部に相当する。
【0062】
インターフェイスセルC6は、外部装置である露光装置STPに対して基板Wの受け渡しをするインターフェイス用搬送機構35を含む。このセルC6は、第4の主搬送機構10Dやエッジ露光部EEWを含まない点で、機械的に分割した要素であるインターフェイスブロック5とは異なる構成になっている。なお、上述した基板載置部PASS9、PASS10は、露光後加熱用処理セルC5の第4の主搬送機構10Dと、インターフェイス用搬送機構35との間の基板Wの受け渡しに介在する。ここで、基板載置部PASS9は、露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば、送り用出口基板載置部に相当し、インターフェイスセルC6を基準にして言えば、送り用入口基板載置部に相当する。また、基板載置部PASS10は、露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば、戻り用入口基板載置部に相当し、インターフェイスセルC6を基準にして言えば、戻り用出口基板載置部に相当する。
【0063】
本実施例装置は、上述した6つのセルC1〜C6を並設して構成されており、各セルC1〜C6間の基板の受け渡しは、基板載置部PASS1〜PASS10を介して行われる。換言すれば、単一の被制御ユニット(セル)は、単一の主搬送機構を含み、その主搬送機構が、特定の入口基板載置部から受け取った基板を特定の出口基板載置部に置くまでに、基板の受け渡しを行う処理部を含んで構成される。
【0064】
図9(a)に示すように、セルC1〜C6は、各々のセルの主搬送機構(インデクサ用搬送機構7およびインターフェイス用搬送機構35を含む)の基板受け渡し動作を少なくとも制御するセルコントローラ(ユニット制御手段)CT1〜CT6を個別に備えている。各セルコントローラCT1〜CT6は、所定の入口基板載置部に置かれた基板の受け取りから始まって、所定の出口基板載置部に基板を置くことによって完結する一連の制御を、各々独立して行うようになっている。具体的には、各セルC1〜C6のセルコントローラCT1〜CT6は、所定の基板載置部に基板を置いたという情報を、隣のセルのセルコントラーラに送り、その基板を受け取ったセルのセルコントローラは、所定の基板載置部から基板を受け取ったという情報を元のセルのセルコントローラに返すという情報のやり取りを行う。このような情報のやり取りは、各セルコントローラCT1〜CT6に接続されて、これらを統括的に管理するメインコントローラ(主制御手段)MCを介して行われる。メインコントローラMCは、後述するデータ設定部HCに接続され、データ設定部HCとの間で通信可能に構成されている。
【0065】
各セルコントローラCT1〜CT6は、隣接するセル内での主搬送機構の動きを考慮することなく、各セル内の基板の受け渡しだけを対象にして制御を進めている。従って、各セルコントローラCT1〜CT6の制御の負担が少なくなる。これに対して、従来の基板処理装置の制御手法によると、図9(b)に示すように、各ブロック1〜5が基板処理のスケジュール管理用のコントローラCT0に基板搬送に係る情報を与えて、コントローラCT0が統括的に基板搬送を管理しているので、コントローラCT10の負担が多くなる。
【0066】
以上のように本実施例によれば各セルのコントローラCT1〜CT6の制御負担が少なくなるので、それだけ基板処理装置のスループットを向上させることができる。また、図9(b)に示した従来の制御手法によると、新たに処理部を追加すると、コントローラCT0のスケジュール管理用のプログラムを大幅に修正する必要が生じるが、本発明に係る制御手法によれば、新たにセルを追加しても、隣接するセルに影響を与えないので、セルの追加を容易に行うことができる。追加するセルの種類は特に限定されないが、例えば、レジスト膜用処理セルC3と現像処理セルC4との間に、基板Wに塗布されたレジスト膜の厚みを検査したり、あるいは現像後のレジスト膜の線幅を検査する検査用セルを追加してもよい。この場合、検査用セルは、本実施例装置の他のセルと同様に、基板を検査する基板検査部と、この検査部に対して基板を搬送する基板検査用の主搬送機構とを含んで構成される。また、検査用セルと隣接セルとの間の基板の受け渡しは、入口基板載置部と出口基板載置部とを介して行われる。
【0067】
なお、図9(a)に示した制御手法は、いわゆる分散制御と呼ばれるものである。本実施例では、この分散制御を本発明に適用しているが、図9(b)に示した従来の制御手法にも本発明を適用することができる。
【0068】
次に、データ設定部HCの具体的構成について図10を参照して説明する。データ設定部HCの入力部38は、マウスやキーボード38aやタッチパネル38bやボタンなどのポインティングデバイスで構成されており、オペレータが入力したデータを、メインコントローラMC、さらには各セルコントローラCT1〜CT6に転送して、各セルに関する基板制御をそれぞれ行っている。また、メインコントローラMCには、図示を省略するRAM(Random Access Memory)などに代表される記憶部を備えており、各種のデータが記憶されている。
【0069】
データ設定部HCの画面は、このタッチパネル38bで表示され、タッチパネル38bの操作表示にしたがって、オペレータはタッチパネル38bに直接触って、データの入力を行う。
【0070】
本実施例の場合には、データ設定部HCの入力部38にオペレータが入力することで、後述するメインフローや仮フローに関するレシピの作成を行ったり、処理部の指定を行い、入力されたメインフローなどのデータをメインコントローラMC、さらには各セルコントローラCT1〜CT6に転送している。また、作成されたメインフローは上述した記憶部に記憶されており、必要に応じて適宜読み出し、読み出されたメインフローを変更したり、読み出されたメインフローに基づいて仮フローを作成することも可能である。マウスやキーボード38aやタッチパネル38bやボタンなどの入力部38は、本発明におけるメインフロー作成手段と処理部指定手段と仮フロー作成手段とに相当する。
【0071】
次に、本実施例に係る基板処理装置の基本的な動作について図11を参照して説明する。図11(a)は反射防止膜用処理セルC2に関する基板のフローチャート、図11(b)はレジスト膜用処理セルC3に関する基板のフローチャート、図11(c)は現像処理セルC4に関する基板のフローチャート、図11(d)は露光後加熱用処理セルC5に関する基板のフローチャートである。
【0072】
まず、インデクサセルC1(インデクサブロック1)のインデクサ用搬送機構7が、所定のカセットCに対向する位置にまで水平移動する。続いて、保持アーム7bが昇降および進退移動することにより、そのカセットCに収納されている未処理の基板Wを取り出す。保持アーム7bに基板Wを保持した状態で、インデクサ用搬送機構7が、基板載置部PASS1、PASS2に対向する位置にまで水平移動する。そして、保持アーム7b上の基板Wを基板払出し用の上側の基板載置部PASS1に載置する。基板戻し用の下側の基板載置部PASS2に処理済みの基板Wが載置されている場合、インデクサ用搬送機構7は、その処理済みの基板Wを保持アーム7b上に受け取って、所定のカッセトCに処理済みの基板Wを収納する。以下、同様にカセットCから未処理基板Wを取り出して基板載置部PASS1に搬送するとともに、処理済み基板Wを基板載置部PASS2から受け取ってカセットCに収納するという動作を繰り返し行う。
【0073】
図11(a)に示すように反射防止膜用処理セルC2では、順方向においては、基板載置部PASS1(反射防止膜用処理セルC2を基準にして言えば「送り用入口基板載置部」)、冷却プレートCP、反射防止膜用塗布処理部8、加熱プレートHP、冷却プレートWCP、基板載置部PASS3(反射防止膜用処理セルC2を基準にして言えば「送り用出口基板載置部」)の順に基板Wが処理される。逆方向においては、PASS4(反射防止膜用処理セルC2を基準にして言えば「戻り用入口基板載置部」)、基板載置部PASS2(反射防止膜用処理セルC2を基準にして言えば「戻り用出口基板載置部」)の順に基板Wが処理される。なお、図11(a)中の符号BARCは反射防止膜用塗布処理部8を示している。
【0074】
基板載置部PASS1に未処理基板Wが置かれると、セルC2の第1の主搬送機構10Aは、保持アーム10a、10bを基板載置部PASS1、PASS2に対向する位置にまで一体に昇降および旋回移動させる。そして、一方の保持アーム10bに保持している処理済みの基板Wを下側の戻し用の基板載置部PASS2に置き、その後、上側の送り用入口基板載置部PASS1に置かれている未処理基板Wを、空の状態になった一方の保持アーム10bを再び駆動して、その保持アーム10b上に受け取るという、保持アーム10bだけを使った処理済み基板Wおよび未処理基板Wの受け渡し動作を行う。
【0075】
具体的には、保持アーム10bを前進移動させて戻り用出口基板載置部PASS2上に処理済みの基板Wを置く。処理済みの基板Wを渡した保持アーム10bは元の位置にまで後退する。続いて、保持アーム10a、10bを一体に少し上昇させた後、空の状態になった保持アーム10bを再び前進移動させて送り用入口基板載置部PASS1上の未処理基板Wを保持アーム10b上に受け取る。基板Wを受け取った保持アーム10bは元の位置にまで後退する。
【0076】
上述したように、本実施例では、基板載置部PASS1、PASS2に対する処理済み基板Wおよび未処理基板Wの受け渡し動作を保持アーム10bだけを使って行っている。一方の保持アーム10aに保持した基板Wを基板載置部PASS2に渡した後は、両方の保持アーム10a、10bは空の状態になっているので、いずれの保持アーム10a、10bを使っても基板載置部PASS1の基板Wを受け取ることができる。しかし、本実施例では、後述する説明から明らかになるように、加熱プレートHPで処理されて加熱された基板Wを、上側に配置された保持アーム10aで受け取るために、元々空の状態にあった保持アーム10aを使わずに、保持アーム10bを再駆動して基板載置部PASS1の基板Wを受け取るように構成してある。この基板載置部PASS1、PASS2に対する未処理基板Wおよび処理済み基板Wの受け渡しは、図11(a)中に示した第1の主搬送機構10Aの搬送工程(1)に相当する。
【0077】
基板載置部PASS1、PASS2に対する基板Wの受け渡しが終わると、第1の主搬送機構10Aは、基板Wを保持していない空の状態の保持アーム10aと、未処理基板Wを保持した保持アーム10bとを一体に昇降・旋回移動させて、反射防止膜用熱処理部9の所定の冷却プレートCPに対向させる。通常、この冷却プレートCPには、先行処理されている基板Wが入っている。そこで、先ず、空の保持アーム10aを前進移動させて、その冷却プレートCP上の冷却処理済みの基板Wを保持アーム10a上に受け取る。続いて未処理基板Wを保持した保持アーム10bを前進移動させて、未処理基板Wをその冷却プレートCP上に置く。冷却プレートCPに載せられた基板Wは、主搬送機構10Aが他の搬送動作を行っている間に、常温にまで精度よく冷却される。この冷却プレートCPに対する基板Wの受け渡しは、図11(a)中に示した第1の主搬送機構10Aの搬送工程(2)に相当する。
【0078】
冷却プレートCPへの基板Wの受け渡しが終わると、冷却処理された基板Wを保持した保持アーム10aと空の保持アーム10bとを一体に昇降・旋回移動させて、所定の反射防止膜用塗布処理部8に対向させる。通常、この反射防止膜用塗布処理部8には、先行処理されている基板Wが入っている。そこで、先ず、空の保持アーム10bを前進移動させて、その反射防止膜用塗布処理部8にあるスピンチャック11上の処理済みの基板Wを保持アーム10b上に受け取る。続いて基板Wを保持した保持アーム10aを前進移動させて、基板Wをそのスピンチャック11上に置く。スピンチャック11上に載せられた基板Wは、主搬送機構10Aが他の搬送動作を行っている間に、反射防止膜が塗布形成される。このスピンチャック11に対する基板Wの受け渡しは、図11(a)中に示した第1の主搬送機構10Aの搬送工程(3)に相当する。
【0079】
スピンチャック11への基板Wの受け渡しが終わると、空の状態の保持アーム10aと、反射防止膜が塗布された基板Wを保持した保持アーム10bとを一体に昇降・旋回移動させて、所定の加熱プレートHPに対向させる。通常、この加熱プレートHPにも先行処理されている基板Wが入っているので、先ず、空の保持アーム10aを前進移動させて、その加熱プレートHP上の処理済みの基板Wを保持アーム10a上に受け取る。続いて、保持アーム10bを前進移動させて、基板Wを加熱プレートHP上に置く。加熱プレートHP上に載せられた基板Wは、主搬送機構10Aが他の搬送動作を行っている間に熱処理されて、基板W上の反射防止膜に含まれる余剰の溶剤が除去される。この加熱プレートHPに対する基板Wの受け渡しは、図11(a)中に示した第1の主搬送機構10Aの搬送工程(4)に相当する。
【0080】
加熱プレートHPへの基板Wの載せ換えが終わると、熱処理された基板Wを保持した保持アーム10aと空の状態の保持アーム10bとを一体に昇降・旋回移動させて、隔壁13に設置された水冷式の冷却プレートWCPに対向させる。上述したと同様に、先ず、空の保持アーム10bを前進移動させて、その冷却プレートWCP上の処理済みの基板Wを保持アーム10b上に受け取る。続いて、保持アーム10aを前進移動させて、基板Wを冷却プレートWCP上に置く。冷却プレートWCP上に載せられた基板Wは、主搬送機構10Aが他の搬送動作を行っている間に大まかに冷却処理される。この冷却プレートWCPに対する基板Wの受け渡しは、図11(a)中に示した第1の主搬送機構10Aの搬送工程(5)に相当する。
【0081】
冷却プレートWCPへの基板Wの載せ換えが終わると、空の状態の保持アーム10aと、大まかに冷却された基板Wを保持した保持アーム10bとを一体に上昇させて、冷却プレートWCPの上方に配設されている基板載置部PASS3、PASS4に対向させる。そして、保持アーム10bを前進移動させて上側の基板載置部PASS3上に基板Wを置く。通常、下側の基板載置部PASS4に、レジスト膜用処理セルC3を介して現像処理セルC4から送られてきた現像処理済みの基板Wが置かれている。そこで、保持アーム10a、10bを一体に少し下降させた後、空の状態になった保持アーム10bを再び前進移動させて基板載置部PASS4上の現像処理済みの基板Wを保持アーム10b上に受け取る。この基板載置部PASS3、PASS4に対する基板Wの受け渡しは、図11(a)中に示した第1の主搬送機構10Aの搬送工程(6)に相当する。
【0082】
反射防止膜用処理セルC2に備えられた第1の主搬送機構10Aは、上述した各搬送工程を繰り返し行う。ここで、図11(a)に示す順方向と逆方向とを合計すると、6つの搬送工程を負担することになる。
【0083】
上述した説明から明らかなように、加熱プレートHPで加熱処理された基板Wは、常に上側の保持アーム10aで保持される。加熱された基板Wからの熱的影響は上方に強く及ぶので、加熱された基板Wの影響で下側の保持アーム10bが温度上昇するのを抑制することができる。この熱的影響をあまり受けていない下側の保持アーム10bを使って、反射防止膜用処理セルC2から次のレジスト膜用処理セルC3に基板Wを払い出すようにしているので、レジスト膜の塗付処理を受ける基板Wの温度変動を抑制することができる。
【0084】
なお、本実施例の反射防止膜用処理セルC2は、基板載置部PASS1、PASS2に対する基板Wの受け渡しと、基板載置部PASS3、PASS4に対する基板Wの受け渡しとの間に、偶数回の基板Wの受け渡し(すなわち図11(a)で「CP]、「BARC」、「HP」、「WCP」で表した各処理に伴う基板Wの受け渡し)を行う。このような場合、必ずしも上述したように、一方の保持アーム10bだけを使って基板載置部PASS1〜PASS4に対して基板Wの受け渡しを行う必要はなく、基板載置部PASS1、PASS2および基板載置部PASS3、PASS4に対してそれぞれ2つの保持アーム10a、10bを使って基板Wの受け渡しを行っても、加熱処理された直後の基板Wを保持する保持アームを、一方の保持アーム10aに固定することはできる。
【0085】
しかし、基板載置部PASS1、PASS2に対する基板Wの受け渡しと基板載置部PASS3、PASS4に対する基板Wの受け渡しとの間に行われる基板Wの受け渡し回数(基板の受け渡しを伴う処理の回数)が奇数回になった場合(後述する露光後加熱用処理セルC5のような場合)に、上記のように基板載置部PASS1、PASS2および基板載置部PASS3、PASS4の両方に対して2つの保持アーム10a、10b(1つの保持アームのみを使う場合も同様であるが)を使って基板Wの受け渡しを行うと、搬送行程の1サイクルごとに、基板Wを扱う保持アームが交互に入れ代わるので、加熱処理後の基板Wを一方の保持アーム10aだけで取り扱うことができなくなる。その結果、2つの保持アーム10a、10bが加熱された基板Wから熱的影響を受けて蓄熱し、他の基板Wに熱的悪影響を与えるという不具合を招く。
【0086】
これに対して、本実施例では、2つの保持アーム10a、10bのいずれかに基板Wを保持した状態で、2つの基板載置部に対して基板Wの受け渡しを行うにあたり、一方の保持アーム上の基板Wを先に一方の基板載置部に渡すことにより、一時的に2つの保持アーム10a、10bを空の状態にしているので、他方の基板載置部上の基板Wをいずれの保持アーム10a、10bを使っても受け取ることができる。従って、基板載置部PASS1、PASS2に対する基板Wの受け渡しと基板載置部PASS3、PASS4に対する基板Wの受け渡しとの間に、奇数回の基板Wの受け渡し(基板の受け渡しを伴う処理)がある場合には、一方の2つの基板載置部(例えば、上下に近接配置された送り用入口基板載置部と戻り用出口基板載置部)に対しては1つの保持アーム(例えば、保持アーム10b)を使って基板Wの受け渡しを行い、他方の2つの基板載置部(例えば、送り用出口基板載置部と戻り用入口基板載置部)に対しては2つの保持アーム10a、10bを使って基板Wの受け渡しを行うことにより、各処理に伴う基板Wの受け渡しを常に同じ保持アームを使って行うことができる。すなわち、保持アーム10a、10bのうち、加熱プレートHPで加熱処理がなされた基板Wを受け取る保持アームが毎搬送サイクルとも同じになるという条件を満たすように、空の状態の保持アーム10a、10bのうちの1つを駆動して、入口基板載置部に置かれている基板を受け取るようにしているのである。従って、保持アーム10a、10bから基板Wに与える熱的影響を抑制することができ、また、保持アーム10a、10bから基板Wに対して何らかの熱的影響が仮にあったとしても、その熱的影響が基板Wごとに変動するということがなく、基板Wに対する熱的影響の「変動」を最小限度に抑えることができ、もって基板処理の品質を安定させることができる。
【0087】
上記のような2つの基板載置部に対して一方の保持アーム10bだけを使って基板Wの受け渡しをする手法は、後述する他の処理セルC2〜C4(ただし、露光後加熱用処理セルC5を除く)においても同様である。なお、本発明はこのような基板Wの受け渡し手法に限定されるものでなく、保持アームから基板Wに与える熱的影響を考慮する必要がない場合などでは、全ての基板載置部に対して2つの保持アームを使って基板Wの受け渡しを行っても良い。
【0088】
図11(b)に示すようにレジスト膜用処理セルC3では、順方向においては、基板載置部PASS3(レジスト膜用処理セルC3を基準にして言えば「送り用入口基板載置部」)、冷却プレートCP、レジスト膜用塗布処理部15、加熱部PHP、冷却プレートCP、基板載置部PASS5(レジスト膜用処理セルC3を基準にして言えば「送り用出口基板載置部」)の順に基板Wが処理される。逆方向においては、基板載置部PASS6(レジスト膜用処理セルC3を基準にして言えば「戻り用入口基板載置部」)、基板載置部PASS4(レジスト膜用処理セルC3を基準にして言えば「戻り用出口基板載置部」)の順に基板Wが処理される。なお、図11(b)中の符号PRはレジスト膜用塗布処理部15を示している。
【0089】
反射防止膜が塗付形成された基板Wが基板載置部PASS3に置かれると、セルC3の第2の主搬送機構10Bは、上述した第1の主搬送機構10Aの場合と同様に、一方の保持アーム10bに保持した現像処理済みの基板Wを基板載置部PASS4上に置く。そして、基板載置部PASS3上の基板Wを再び保持アーム10b上に受け取る。この基板載置部PASS3、PASS4に対する基板Wの受け渡しは、図11(b)中に示した第2の主搬送機構10Bの搬送工程(1)に相当する。
【0090】
基板載置部PASS3、PASS4に対する基板Wの受け渡しが終わると、第2の主搬送機構10Bは、空の状態の保持アーム10aと基板Wを保持した保持アーム10bとを、レジスト膜用熱処理部16の所定の冷却プレートCPに対向する位置にまで移動させる。そして、先ず、空の保持アーム10aを前進移動させて、その冷却プレートCP上の冷却処理済みの基板Wを受け取り、続いて保持アーム10bを前進移動させて、未処理基板Wをその冷却プレートCP上に置く。この冷却プレートCPに対する基板Wの受け渡しは、図11(b)中に示した第2の主搬送機構10Bの搬送工程(2)に相当する。
【0091】
冷却プレートCPへの基板Wの載せ換えが終わると、冷却処理された基板Wを保持した保持アーム10aと空の状態の保持アーム10bとを、所定のレジスト膜用塗布処理部15に対向する位置にまで移動させる。先ず、空の保持アーム10bを前進移動させて、そのレジスト膜用塗布処理部15にあるスピンチャック17上の処理済みの基板Wを受け取るとともに、基板Wを保持した保持アーム10aを前進移動させて、その基板Wをスピンチャック17上に置く。スピンチャック17上に載せられた基板Wは、主搬送機構10Bが他の搬送動作を行っている間に、レジスト膜が塗布形成される。このスピンチャック17に対する基板Wの受け渡しは、図11(b)中に示した第2の主搬送機構10Bの搬送工程(3)に相当する。
【0092】
スピンチャック17への基板Wの受け渡しが終わると、空の状態の保持アーム10aと、レジスト膜が塗布形成された基板Wを保持した保持アーム10bとを、所定の基板仮置部付きの加熱部PHPに対向させる。先ず、空の保持アーム10aを前進移動させて、その加熱部PHP上の基板仮置部19に載置されている処理済みの基板Wを受け取る。続いて、保持アーム10bを前進移動させて、未処理基板Wを基板仮置部19上に置く。基板仮置部19上に載せられた基板Wは、主搬送機構10Bが他の搬送動作を行っている間に、その加熱部PHPのローカル搬送機構20によって、その加熱部PHPの加熱プレートHP上に移されて熱処理される。この加熱プレートHP上で熱処理された基板Wは、同じローカル搬送機構20によって基板仮置部19に戻される。その基板Wは、ローカル搬送機構20の保持プレート24に保持されて基板仮置部19に戻され、基板載置部20内で保持プレート24の冷却機構によって冷却される。この加熱部PHPに対する基板Wの受け渡しは、図11(b)中に示した第2の主搬送機構10Bの搬送工程(4)に相当する。
【0093】
加熱部PHPへの基板Wの受け渡しが終わると、熱処理された基板Wを保持した保持アーム10aと空の状態の保持アーム10bとを、レジスト膜用熱処理部16の冷却プレートCPに対向させる。そして、空の保持アーム10bを前進移動させて、その冷却プレートCP上の処理済みの基板Wを受け取るとともに、保持アーム10aを前進移動させて、未処理基板Wを冷却プレートCP上に置く。この冷却プレートCPに対する基板Wの受け渡しは、図11(b)中に示した第2の主搬送機構10Bの搬送工程(5)に相当する。
【0094】
冷却プレートCPへの基板Wの受け渡しが終わると、空の状態の保持アーム10aと、冷却された基板Wを保持した保持アーム10bとを、基板載置部PASS5、PASS6に対向させる。続いて、保持アーム10bを前進移動させて上側の基板払出し用の基板載置部PASS5上に基板Wを置くとともに、下側の基板戻し用の基板載置部PASS6に載置されている現像処理済みの基板Wを再び保持アーム10bで受け取る。この基板載置部PASS5、PASS6に対する基板Wの受け渡しは、図11(b)中に示した第2の主搬送機構10Bの搬送工程(6)に相当する。
【0095】
レジスト膜用処理セルC3に備えられた第2の主搬送機構10Bは、上述した各搬送工程を繰り返し行う。ここで、図11(b)に示す順方向と逆方向とを合計すると、第1の主搬送機構10Aと同様に6つの搬送工程を負担することになる。
【0096】
図11(c)に示すように現像処理セルC4では、順方向においては、基板載置部PASS5(現像処理セルC4を基準にして言えば「送り用入口基板載置部」)、基板載置部PASS7(現像処理セルC4を基準にして言えば「送り用出口基板載置部」)の順に基板Wが処理される。逆方向においては、PASS8(現像処理セルC4を基準にして言えば「戻り用入口基板載置部」)、冷却プレートCP、現像処理部30、加熱プレートHP、冷却プレートWCP、基板載置部PASS6(現像処理セルC4を基準にして言えば「戻り用出口基板載置部」)の順に基板Wが処理される。なお、図11(c)中の符号SDは現像処理部30を示している。
【0097】
レジスト膜が塗付形成された基板Wが基板載置部PASS5に置かれると、セルC4の第3の主搬送機構10Cは、先ず保持アーム10bに保持した現像処理済みの基板Wを基板載置部PASS6上に置き、その後、基板載置部PASS5上の基板Wを再び保持アーム10b上に受け取る。この基板載置部PASS5、PASS6に対する基板Wの受け渡しは、図11(c)中に示した第3の主搬送機構10Cの搬送工程(1)に相当する。
【0098】
基板載置部PASS5、PASS6に対する基板Wの受け渡しが終わると、第3の主搬送機構10Cは、空の状態の保持アーム10aと基板Wを保持した保持アーム10bとを、現像用熱処理部31の積層構造の中に配設された基板載置部PASS7、PASS8に対向する位置にまで移動させる。続いて、保持アーム10bを前進移動させて上側の基板払出し用の基板載置部PASS7上に、レジスト膜が塗付形成された基板Wを置き、その後、下側の基板戻し用の基板載置部PASS8に載置されている露光後の加熱処理済みの基板Wを再び保持アーム10bで受け取る。この基板載置部PASS7、PASS8に対する基板Wの受け渡しは、図11(c)中に示した第3の主搬送機構10Cの搬送工程(2)に相当する。
【0099】
基板載置部PASS7、PASS8に対する基板Wの受け渡しが終わると、第3の主搬送機構10Cは、空の状態の保持アーム10aと、露光後の加熱処理済みの基板Wを保持した保持アーム10bとを、現像用熱処理部31の所定の冷却プレートCPに対向する位置にまで移動させる。そして、先ず、空の保持アーム10aを前進移動させて、その冷却プレートCP上の冷却処理済みの基板Wを受け取り、続いて保持アーム10bを前進移動させて、未処理基板Wをその冷却プレートCP上に置く。この冷却プレートCPに対する基板Wの受け渡しは、図11(c)中に示した第3の主搬送機構10Cの搬送工程(3)に相当する。
【0100】
冷却プレートCPへの基板Wの受け渡しが終わると、冷却処理された基板Wを保持した保持アーム10aと空の状態の保持アーム10bとを、所定の現像処理部30に対向する位置にまで移動させる。先ず、空の保持アーム10bを前進移動させて、その現像処理部30にあるスピンチャック32上の処理済みの基板Wを受け取るとともに、基板Wを保持した保持アーム10aを前進移動させて、その基板Wをスピンチャック32上に置く。スピンチャック32上に載せられた基板Wは、主搬送機構10Cが他の搬送動作を行っている間に、現像処理される。このスピンチャック32に対する基板Wの受け渡しは、図11(c)中に示した第3の主搬送機構10Cの搬送工程(4)に相当する。
【0101】
スピンチャック32への基板Wの受け渡しが終わると、空の状態の保持アーム10aと、現像処理された基板Wを保持した保持アーム10bとを、現像用熱処理部31の所定の加熱プレートHPに対向させる。先ず、空の保持アーム10aを前進移動させて、その加熱プレートHP上に載置されている処理済みの基板Wを受け取る。続いて、保持アーム10bを前進移動させて、未処理基板Wを加熱プレートHP上に置く。この加熱プレートHPに対する基板Wの受け渡しは、図11(c)中に示した第3の主搬送機構10Cの搬送工程(5)に相当する。
【0102】
加熱プレートHPへの基板Wの載せ換えが終わると、加熱処理された基板Wを保持した保持アーム10aと空の状態の保持アーム10bとを、レジスト膜用処理セルC3の側にある隔壁13に設置された水冷式の冷却プレートWCPに対向させる。そして、空の保持アーム10bを前進移動させて、その冷却プレートWCP上の処理済みの基板Wを受け取るとともに、保持アーム10aを前進移動させて、未処理基板Wを冷却プレートWCP上に置く。この冷却プレートWCPに対する基板Wの受け渡しは、図11(c)中に示した第3の主搬送機構10Cの搬送工程(6)に相当する。
【0103】
現像処理セルC4に備えられた第3の主搬送機構10Cは、上述した各搬送工程を繰り返し行う。ここで、図11(c)に示す順方向と逆方向とを合計すると、第1、第2の主搬送機構10A、10Bと同様に6つの搬送工程を負担することになる。
【0104】
図11(d)に示すように露光後加熱用処理セルC5では、順方向においては、基板載置部PASS7(露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば「送り用入口基板載置部」)、エッジ露光部EEW、冷却プレートCP、基板載置部PASS9(露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば「送り用出口基板載置部」)の順に基板Wが処理される。逆方向においては、基板載置部PASS10(露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば「戻り用入口基板載置部」)、加熱部PHP、基板載置部PASS8(露光後加熱用処理セルC5を基準にして言えば「戻り用出口基板載置部」)の順に基板Wが処置される。なお、図11(d)中の符号PEBは、露光済みの基板Wを加熱するための加熱部PHPを示しており、露光後加熱(Post Exposure Bake)を行うためのものである。
【0105】
レジスト膜が塗付形成された基板Wが基板載置部PASS7に置かれると、セルC5の第4の主搬送機構10Dは、保持アーム10bに保持した露光後加熱処理済みの基板Wを基板載置部PASS8上に置き、その後で基板載置部PASS7上の基板Wを再び保持アーム10b上に受け取る。この基板載置部PASS7、PASS8に対する基板Wの受け渡しは、図11(d)中に示した第4の主搬送機構10Dの搬送工程(1)に相当する。
【0106】
基板載置部PASS7、PASS8に対する基板Wの受け渡しが終わると、第4の主搬送機構10Dは、空の状態の保持アーム10aと基板Wを保持した保持アーム10bとを、所定のエッジ露光部EEWに対向する位置にまで移動させる。そして、先ず、空の保持アーム10aを前進移動させて、そのエッジ露光部EEWのスピンチャック36上にある周辺露光済みの基板Wを受け取り、続いて保持アーム10bを前進移動させて、未処理基板Wをそのスピンチャック36上に置く。スピンチャック36上に載せられた基板Wは、主搬送機構10Dが他の搬送動作を行っている間に、その周縁部が露光される。このスピンチャック36に対する基板Wの受け渡しは、図11(d)中に示した第4の主搬送機構10Dの搬送工程(2)に相当する。
【0107】
スピンチャック36に対する基板Wの受け渡しが終わると、第4の主搬送機構10Dは、周辺露光された基板Wを保持した保持アーム10aと空の状態の保持アーム10bとを、現像用熱処理部31にある冷却プレートCPに対向する位置にまで移動させる。そして、空の保持アーム10bを前進移動させて、その冷却プレートCP上の処理済みの基板Wを受け取るとともに、保持アーム10aを前進移動させて、周辺露光された基板Wを冷却プレートCP上に置く。この冷却プレートCPに対する基板Wの受け渡しは、図11(d)中に示した第4の主搬送機構10Dの搬送工程(3)に相当する。
【0108】
冷却プレートCPに対する基板Wの受け渡しが終わると、第4の主搬送機構10Dは、空の状態の保持アーム10aと、冷却処理された基板Wを保持した保持アーム10bとを、基板載置部PASS9、PASS10に対向する位置にまで移動させる。続いて、保持アーム10bを前進移動させて上側の基板払出し用の基板載置部PASS9上に基板Wを置くとともに、下側の基板戻し用の基板載置部PASS10に載置されている、露光装置STPで露光された基板Wを保持アーム10aで受け取る。この基板載置部PASS9、PASS10に対する基板Wの受け渡しは、図11(d)中に示した第4の主搬送機構10Dの搬送工程(4)に相当する。
【0109】
なお、本実施例では、基板載置部PASS9、PASS10に対してだけ、2つの保持アーム10a、10bを使って基板Wの受け渡しを行っている。これは、反射防止膜用処理セルC2で説明したように、基板載置部PASS9、PASS10に対する基板Wの受け渡しと、基板載置部PASS7、PASS8との間に後述する加熱部PHPに対する基板Wの受け渡しを(1回:奇数回)行う関係で、基板載置部PASS9、PASS10に対して一方の保持アーム10bだけを使って基板の受け渡しを行うと、基板載置部PASS7、PASS8に対する基板Wの受け渡しに使う保持アームが、搬送行程の1サイクルごとに入れ代わるので、これを避けるためである。
【0110】
基板載置部PASS9、PASS10に対する基板Wの受け渡しが終わると、第4の主搬送機構10Cは、露光済みの基板Wを保持した保持アーム10aと空の状態の保持アーム10bとを、現像用熱処理部31にある所定の基板仮置部付きの加熱部PHPに対向する位置にまで移動させる。そして、先ず、空の保持アーム10bを前進移動させて、その加熱部PHP(具体的には、基板仮置部19の上)にある露光後の加熱処理済みの基板Wを受け取り、続いて保持アーム10aを前進移動させて、露光済みの基板Wを加熱部PHP(具体的には、基板仮置部19の上)に置く。基板仮置部19に置かれた基板Wは、主搬送機構10Dが他の搬送動作を行っている間に、ローカル搬送機構20によって加熱プレートHPに移されて加熱処理された後に、同じくローカル搬送機構20によって基板仮置部19に戻され、基板仮置部19内で冷却される。この加熱部PHPに対する基板Wの受け渡しは、図11(d)中に示した第4の主搬送機構10Dの搬送工程(5)に相当する。
【0111】
露光後加熱用処理セルC5に備えられた第4の主搬送機構10Dは、上述した各搬送工程を繰り返し行う。ここで、図11(d)に示す順方向と逆方向とを合計すると、第1〜第3の主搬送機構10A〜10Cよりも1つ少ない5つの搬送工程を負担することになる。
【0112】
インターフェイスセルC6の動作を説明する。周辺露光された基板Wが基板載置部PASS9(インターフェイスセルC6を基準にして言えば「送り用入口基板載置部」)に置かれると、インターフェイスセルC6のインターフェイス用搬送機構35が基板載置部PASS9から基板Wを受け取って、隣接する露光装置STPに渡す。さらに、インターフェイス用搬送機構35は、露光装置STPから露光済みの基板Wを受け取って、その基板を基板戻し用の基板載置部PASS10(インターフェイスセルC6を基準にして言えば「戻り用出口基板載置部」)に載せる。インターフェイス用搬送機構35は、このような基板搬送動作を繰り返し行う。
【0113】
次に、基板のメインフローおよび仮フローについて図12(a)を参照して説明する。例えば、反射防止膜用処理セルC2において、反射防止膜用塗布処理部8a〜8cのうち、反射防止膜用塗布処理部8a、8cで処理された基板Wについて、基板W上の反射防止膜に含まれる余剰の溶剤が自然に揮発して除去されて、その後の加熱プレートHPでの加熱処理をスキップできて、反射防止膜用塗布処理部8bで処理された基板Wについて、その後の加熱プレートHPでの加熱処理を行わないと、基板W上の反射防止膜に含まれる余剰の溶剤を除去することができないとする。
【0114】
この場合には、図11(a)中の基本的な動作の基板のフローチャートに基づいて、図12(a)に示す反射防止膜用処理セルC2のメインフローを作成する。反射防止膜用処理セルC2のメインフローMFは、図12(a)に示すように、反射防止膜用処理セルC2に関する選択肢fa、fb、fcを反射防止膜用塗布処理部8a〜8cごとに有している。
【0115】
選択肢faは、反射防止膜用塗布処理部8aで処理された基板Wについて、反射防止膜用塗布処理部8aを指定したときに加熱プレートHPでの加熱処理をスキップする仮フローでもある。また、選択肢fcも、反射防止膜用塗布処理部8cで処理された基板Wについて、選択肢faと同様に反射防止膜用塗布処理部8cを指定したときに加熱プレートHPでの加熱処理をスキップする仮フローでもある。選択肢fbは、反射防止膜用塗布処理部8bで処理された基板Wについて、反射防止膜用塗布処理部8bを指定したときに加熱プレートHPでの加熱処理を行う仮フローでもある。
【0116】
先ず、オペレータは、図13に示すように、データ設定部HCのタッチパネル38bを操作して、反射防止膜用処理セルC2のメインフローを作成する。なお、反射防止膜用処理セルC2のメインフローが記憶部(図示省略)に予め記憶されていれば、図13に示すように、『1.メインフローを読み出しますか?』の領域に直接触って、反射防止膜用処理セルC2のメインフローを記憶部から読み出す。なお、上述したように読み出されたメインフローを変更したり、読み出されたメインフローに基づいて仮フローを作成することも可能である。反射防止膜用処理セルC2のメインフローを作成する場合には、『2.メインフローを作成しますか?』の領域に直接触る。
【0117】
メインフローを作成する場合には、『2.メインフローを作成しますか?』の領域に直接触ると、図14に示すような表示画面に変わる。図14のメインフロー作成画面では、各選択肢を作成するための処理部を指定する。反射防止膜用処理セルC2の場合には、セルC2内の処理部の一覧が、図14の画面に表示される。図14中の符号BARC(8a)は反射防止膜用塗布処理部8aを、符号BARC(8b)は反射防止膜用塗布処理部8bを、符号BARC(8c)は反射防止膜用塗布処理部8cをそれぞれ示している。
【0118】
例えば、反射防止膜用塗布処理部8aに関する選択肢fa(図12(a)参照)を作成する場合には、図14に示すように、『BARC(8a)』の領域に直接触る。反射防止膜用塗布処理部8bに関する選択肢fbや、反射防止膜用塗布処理部8cに関する選択肢fcを作成する場合も、それぞれ『BARC(8b)』や『BARC(8c)』の領域に直接触る。このように、図14の処理部の一覧から各処理部を指定して、その処理部に相当する領域を直接触ると、図15に示すような表示態様に変わる。
【0119】
図15のメインフロー作成画面では、『1.全工程を行いますか?』および『2、工程をスキップしますか?』の2画面が表示される。反射防止膜用処理セルC2において全工程を行う場合には、『1.全工程を行いますか?』の領域に直接触る。もし、反射防止膜用処理セルC2において工程をスキップする場合には、『2.工程をスキップしますか?』の領域に直接触る。
【0120】
例えば、反射防止膜用塗布処理部8aに関する選択肢faを作成する場合には、加熱プレートHPでの加熱処理をスキップするので、『2.工程をスキップしますか?』の領域に直接触る。すると、図16に示すような表示態様に変わる。反射防止膜用塗布処理部8cに関する選択肢fcを作成する場合においても、加熱プレートHPでの加熱処理をスキップするので、『2.工程をスキップしますか?』の領域に直接触る。
【0121】
図16のメインフロー作成画面では、スキップする工程の一覧が、図16の画面に表示される。選択肢fa,fcでは加熱プレートHPでの加熱処理をスキップするので、図16に示すように、『HP』の領域に直接触る。このように、図16のスキップする工程の一覧から各工程を指定して、その工程に相当する領域を直接触ると、図17に示すような表示態様に変わる。
【0122】
一方、反射防止膜用塗布処理部8bに関する選択肢fbを作成する場合には、加熱プレートHPでの加熱処理を含め、反射防止膜用処理セルC2における全工程を行うので、『1.全工程を行いますか?』の領域に直接触る。すると、図17に示すような表示態様に変わる。
【0123】
図17では、『これでOKですか?』の画面が表示される。もし、OKならば、『YES』の領域に直接触ると、図18の表示態様に変わる。もし、OKでなければ、『NO』の領域に直接触ると、図14の表示態様に戻って、各選択肢を作成するために処理部を指定する処理を繰り返し行う。
【0124】
このように、各選択肢が作成されて、全選択肢の作成が済めば、すなわち図17の画面でOKならば、上述したように図18の表示態様に変わる。図18では、選択肢を処理部ごとに有したメインフローが表示される。図18の左端には、反射防止膜用塗布処理部8aに関する選択肢faが作成されて表示される。図18の中ほどには、反射防止膜用塗布処理部8bに関する選択肢fbが作成されて表示される。そして、図18の右端には、反射防止膜用塗布処理部8cに関する選択肢fcが作成されて表示される。各選択肢fa、fb、fcをまとめて有したのが、図12(a)に示す反射防止膜用処理セルC2のメインフローMFとなる。
【0125】
このように作成されたメインフローMFは記憶部に適宜記憶される。また、このようなメインフローが記憶部に予め記憶されていれば、図13の画面において、『1.メインフローを読み出しますか?』の領域に直接触って、反射防止膜用処理セルC2のメインフローを記憶部から読み出す。すると、図18の表示態様に直接変わる。また、図示を省略するが、図13の画面において、メインフローが作成、あるいは読み出されると、その作成あるいは読み出されたメインフローについて変更を行うか否かの確認画面が表示されて、そのメインフローを変更することも可能である。
【0126】
このように、メインフローが作成されれば、次に、処理部と処理される基板とを互いに割り当てる。先ず、図18に示すメインフロー画面から図19に示す表示態様に変わる。
【0127】
図19では、『並行処理ですか?』の画面が表示される。もし、OKならば、『YES』の領域に直接触ると、後述する図23の表示態様に変わる。もし、OKでなければ、『NO』の領域に直接触ると、図20の表示態様に変わる。本実施例では、各セル(被制御ユニット)C1〜C6は、単一の主搬送機構を備えている関係で、時間の無駄なく基板処理を行うためには並行処理を行うのは難しい。従って、本実施例では、並行処理を行わずに『NO』の領域に直接触る。もちろん、時間があいても単一の主搬送機構で並行処理を行うときや、条件出しを行うために並行処理を行うときには、本実施例の場合においても並行処理の『YES』の領域を選択することは可能である。
【0128】
本実施例のように並行処理を行わない場合には、上述したように図20の表示態様に変わる。図20では、『基板ごとに指定』という画面が表示される。そして、処理する基板Wごとに処理部を指定する。
【0129】
例えば、1枚目の基板Wを、反射防止膜用塗布処理部8aに関する選択肢faで処理する場合には、1枚目の基板Wには反射防止膜用塗布処理部8aを指定する。図20では、『1枚目の基板はどのBARC?』に対して『BARC(8a)』の領域に直接触って、1枚目の基板Wには反射防止膜用塗布処理部8aを指定する。これによって、1枚目の基板Wについては、指定された処理部として反射防止膜用塗布処理部8aが割り当てられ、加熱プレートHPでの加熱処理をスキップする仮フロー(選択肢fa)に基づいて、1枚目の基板Wの基板処理が制御される。そして、図21の表示態様に変わる。
【0130】
また、例えば、2枚目の基板Wを、反射防止膜用塗布処理部8cに関する選択肢fcで処理する場合には、2枚目の基板Wには反射防止膜用塗布処理部8cを指定する。図21では、『2枚目の基板はどのBARC?』に対して『BARC(8c)』の領域に直接触って、2枚目の基板Wには反射防止膜用塗布処理部8cを指定する。これによって、2枚目の基板Wについては、指定された処理部として反射防止膜用塗布処理部8cが割り当てられ、加熱プレートHPでの加熱処理をスキップする仮フロー(選択肢fc)に基づいて、2枚目の基板Wの基板処理が制御される。そして、図22の表示態様に変わる。
【0131】
また、例えば、3枚目の基板Wを、反射防止膜用塗布処理部8bに関する選択肢fbで処理する場合には、3枚目の基板Wには反射防止膜用塗布処理部8bを指定する。図22では、『3枚目の基板はどのBARC?』に対して『BARC(8b)』の領域に直接触って、3枚目の基板Wには反射防止膜用塗布処理部8bを指定する。これによって、3枚目の基板Wについては、指定された処理部として反射防止膜用塗布処理部8bが割り当てられ、加熱プレートHPでの加熱処理を含め、反射防止膜用処理セルC2における全工程を行う仮フロー(選択肢fb)に基づいて、3枚目の基板Wの基板処理が制御される。以下、それ以降に処理する各基板Wについても同様の操作を繰り返す。
【0132】
なお、図13〜図22に関するこれらの操作は、タッチパネル38bに限定されず、マウスやタッチパネル38bやボタンなどのポインティングデバイスでも可能であるのは言うまでもない。
【0133】
図13〜図22の画面にしたがって入力された、メインフローや仮フローのデータは、上述したようにメインコントローラMCに転送される。メインコントローラMCは、転送されたメインフローをフローレシピとして登録し、スケジューラとしての機能を果たす。また、メインコントローラMCは、データ設定部HCの画面に図13〜図22の表示態様を表示させるように制御する。図12(a)のメインフローMFは、反射防止膜用処理セルC2に関するものであるので、メインコントローラMCは、メインフローや仮フローのデータを、反射防止膜用処理セルC2の基板受け渡し動作を少なくとも制御するセルコントローラCT2に転送して、セルC2内の第1の主搬送機構10Aなどを操作して基板処理を制御する。なお、セルコントローラCT2は、反射防止膜用処理セルC2に関するスケジュール管理のみを行い、その他の処理(例えばレジスト膜用処理セルC3や現像処理セルC4に関する処理)のスケジュール管理については行わない。
【0134】
以上、反射防止膜用処理セルC2に関するメインフローおよび仮フローについて説明したが、レジスト膜用処理セルC3、現像処理セルC4、露光後加熱用処理セルC5に関するメインフローおよび仮フローについても同様の操作を行えばよい。また、順方向/逆方向のいずれにも適用することができる。
【0135】
また、選択肢の数はfa、fb、fcのように3つに限定されるものではなく、処理部の数によって変更される。
【0136】
以上のように、本実施例によれば、タッチパネル38bなどの入力部38は、図14〜図17のメインフロー作成画面によって作成されたメインフロー(本実施例の場合には図12(a)のメインフローMF)、および図19〜図22の処理部指定画面などによって指定された処理部(本実施例の場合には反射防止膜用塗布処理部8a〜8c)に基づいて、メインフローMF中の1つの選択肢fa、fb、fcを選択して仮フローを作成する。そして、メインコントローラMCや各セルコントローラCT1〜CT6(本実施例の場合にはセルコントローラCT2)は、作成された仮フローに基づいて基板処理を制御する。このように、メインフローMFに、一連の基板処理(本実施例の場合には反射防止膜処理)に関する選択肢(本実施例の場合には選択肢fa、fb、fc)を有するようにしたので、メインフローMF自体を作成し直したり、メインフロー自体を変更することなく、メインフローMF中の1つの選択肢によって、仮フローを作成することができる。その結果、メインフロー自体を作成し直したり、メインフロー自体を変更することなく、作成された仮フローに合わせて、様々な基板処理を柔軟に行うことができる。
【0137】
図12(a)の場合には、例えば、基板W上の反射防止膜に含まれる余剰の溶剤を除去するための、加熱プレートHPでの加熱処理をスキップすることができるなどの様々な基板処理を柔軟に行うことができる。
【0138】
また、本実施例の場合には、図19〜図22の処理部指定画面などでは、基板Wごとに処理部を指定可能に構成しているので、基板Wごとに仮フローを作成することができ、基板Wごとに様々な基板処理を柔軟に行うことができる。
【0139】
本発明は、上述した実施例のものに限らず、例えば次のように変形実施することができる。
(1)上記実施例では、各々のセルコントローラCT1〜CT6が、各セル内の基板の受け渡しだけを対象にした制御、いわゆる分散制御であったが、処理ブロックを並設して構成される基板処理装置にも本発明を適用することができる。この場合には、並設された複数個の処理ブロックで順に行われる。各処理ブロックでは各々の主搬送機構が、隣接する処理ブロックから入口基板載置部を介して受け入れられた基板の搬送、処理部に対して基板の受け渡し、および隣接する処理ブロックへ出口基板載置部を介して払い出す基板の搬送を並行して行う。つまり、各処理ブロックの主搬送機構は同時並行的に作動する。
【0140】
(2)本発明は、並行処理を行う基板処理装置にも適用することができる。
【0141】
並行処理を行う基板処理装置に適用した場合の基板のメインフローおよび仮フローについて図12(b)を参照して説明し、そのときの表示態様について図23を参照して説明する。なお、この変形例(2)では、反射防止膜用塗布処理部8a〜8cでの反射防止膜用塗布処理について並行に行うとする。
【0142】
並行処理を行う場合において、反射防止膜用処理セルC2のメインフローMFは、図12(b)に示すように、反射防止膜用処理セルC2に関する選択肢fa、fb、fcを反射防止膜用塗布処理部8a〜8cごとに有している。
【0143】
各選択肢fa、fb、fcは、実施例の図12(a)と相違し、加熱プレートHPでの加熱処理を含め、反射防止膜用処理セルC2における全工程を行う仮フローでもある。図12(b)では、反射防止膜用塗布処理部8a〜8cでの並行処理を強調するために、反射防止膜用塗布処理部8a〜8c(図12(b)中の符号BARC(8a)は反射防止膜用塗布処理部8aを、符号BARC(8b)は反射防止膜用塗布処理部8bを、符号BARC(8c)は反射防止膜用塗布処理部8cをそれぞれ示している)をそれぞれ独立に分けて図示している。
【0144】
図19での並行処理を訊く画面までは、本実施例と同様の操作を図13〜図18の画面において行う。すなわち、図13に示す画面から『2.メインフローを作成しますか?』の領域を選択して、図14のメインフロー作成画面において、反射防止膜用処理セルC2内の処理部の一覧から各処理部を指定する。図12(b)の選択肢8a、8b、8cを作成する場合には、それぞれ『BARC(8a)』、『BARC(8b)』、『BARC(8c)』の領域を選択する。図15のメインフロー作成画面では、各選択肢fa、fb、fcは、反射防止膜用処理セルC2における全工程を行うので、それぞれにおいて『1.全工程を行いますか?』の領域を選択して、図17に示す『YES』の領域を選択して、図12(b)のメインフローMFを作成する。
【0145】
このように、メインフローが作成されれば、次に、処理部と処理される基板とを互いに割り当てる。先ず、図18に示すメインフロー画面から図23の表示態様に変わる。
【0146】
すなわち、『並行処理ですか?』の画面に対して『YES』の領域を選択することで、同一の処理について並行に行う複数の処理部(変形例(2)では反射防止膜用塗布処理部8a〜8c)から1つを選択し、基板Wごとにその処理部を指定する、図23の表示態様に変わる。
【0147】
図23の並行処理画面では、『1.払い出し順?』および『2.基板ごとに指定?』の2画面が表示される。実施例のように基板Wごとに反射防止膜用塗布処理部8a〜8cを指定する場合には、『2.基板ごとに指定?』の領域を直接触る。そして、実施例の図20〜図22の処理部指定画面と同じような操作を行う。
【0148】
『1.払い出し順?』の領域を直接触った場合には、基板Wが払い出された順に反射防止膜用塗布処理部8a〜8cを指定することができる。
【0149】
例えば、冷却プレートCPでの処理、加熱プレートHPでの処理、冷却プレートWCPでの処理は、ほぼ同じ周期の24秒で行われ、反射防止膜用塗布処理部8a〜8cでの処理は32秒で行われるものとする。このときの基板のフローチャートを図24に示す。図24中の符号CP,符号HP,および符号WCP中の『(24s)』は、これらの処理時間が24秒であることを示し、図24中の符号BARC(8a),BARC(8b),BARC(8c)中の『(32s)』は、これらの処理時間が32秒であることを示す。
【0150】
基板Wが払い出された順に反射防止膜用塗布処理部8a〜8cを指定するときには、各処理部のタイミングチャートは、図25に示すとおりである。なお、図25中の符号W1は1枚目に処理される基板Wを示し、符号W2は2枚目に処理される基板を示し、符号W3は3枚目に処理される基板を示し、符号W4は4枚目に処理される基板を示す。また、図25では、基板の搬送時間を考慮せずに説明する。
【0151】
1枚目の基板W1を冷却プレートCPで24秒間処理すると、それに続いて2枚目の基板W2を冷却プレートCPで24秒間処理するとともに、同時に反射防止膜用塗布処理部8a(図25中の符号『BARC(8a)』)で32秒間処理する。2枚目の基板W2を冷却プレートCPで24秒間処理すると、それに続いて3枚目の基板W3を冷却プレートCPで24秒間処理するとともに、同時に、冷却プレートCPで処理された基板Wを反射防止膜用塗布処理部8b(図25中の符号『BARC(8b)』)で32秒間処理する。
【0152】
基板W3の冷却プレートCPでの冷却処理が終了した際には、基板W1の反射防止膜用塗布処理部8aでの処理は既に終了している。従って、空いている反射防止膜用塗布処理部8は、反射防止膜用塗布処理部8b以外の反射防止膜用塗布処理部8a,8cとなるが、反射防止膜用塗布処理部8aで先ほど処理された基板W1は加熱プレートHPに16秒前に払い出されたばかりであり、払い出された順に基板Wが処理されるので、未だ処理さえも行われていない反射防止膜用塗布処理部8cで冷却プレートCPでの冷却処理が終了した基板W3を32秒間処理する。以下、4枚目の基板W4は、反射防止膜用塗布処理部8での処理では、反射防止膜用塗布処理部8aで行われ、5枚目の基板は、反射防止膜用塗布処理部8での処理では、反射防止膜用塗布処理部8bで行われ、6枚目の基板は、反射防止膜用塗布処理部8での処理では、反射防止膜用塗布処理部8cで行われる。
【0153】
このように、並行処理において、処理される反射防止膜用塗布処理部8が、ある反射防止膜用塗布処理部8(例えば優先順位の高い反射防止膜用塗布処理部8aや8b)に偏ったり、反射防止膜用塗布処理部8cに基板Wが処理されないという事態を低減させることができる。従って、並行処理において、同一の処理について並行に行う複数の反射防止膜用塗布処理部8a〜8cにまんべんなく基板Wを渡して処理することができる。
【0154】
また、条件出しを行うためにダミーの基板を試験的に流すときでも、反射防止膜用塗布処理部8aや8bに偏り、反射防止膜用塗布処理部8cにダミーの基板が流れないという事態を低減させることができる。また、条件出しも含めて、反射防止膜用塗布処理部8cに基板を流す場合においても、従来のようにフローレシピから、優先順位の高い反射防止膜用塗布処理部8aや8bを削除して、反射防止膜用塗布処理部8cでの処理を行うフローレシピを作成する必要もない。
【0155】
また、実施例と同様に、選択肢の数はfa、fb、fcのように3つに限定されるものではなく、並行処理を行う処理部の数によって変更される。
【0156】
(3)上述した実施例と、変形例(2)とを組み合わせてもよい。すなわち、図26に示すように、図12(a)のフローと図12(b)のフローとを組み合わせてもよい。この場合には、反射防止膜用塗布処理部8a〜8cでの反射防止膜用塗布処理について並行に行いつつ、反射防止膜用塗布処理部8a、または8cで処理した場合には加熱プレートHPでの加熱処理をスキップし、反射防止膜用塗布処理部8bで処理した場合には加熱プレートHPでの加熱処理を含め、反射防止膜用処理セルC2における全工程を行う。
【0157】
(4)実施例では、各セルC1〜C6内の一連のメインフローおよび仮フローについてであったが、各セルを処理部の単位としてみた場合には、基板処理は、インデクサセルC1、反射防止膜用処理セルC2、レジスト膜用処理セルC3、露光後加熱用処理セルC5、インターフェイスセルC6、露光後加熱用処理セルC5、現像処理セルC4、インデクサセルC1の順に処理されるメインフローからなるとも言える。従って、例えば、処理時間の長いセルを複数備えて、それらのセルで同一の処理について並行に行う並行処理を行ってもよい。なお、この場合には、各セルC1〜C6が単一の主搬送機構を備えても、並行処理を行うことが容易となる。
【0158】
例えば、他のセルと比較して現像処理セルC4での処理時間が長い場合には、現像処理セルC4を複数備えて、現像処理セルC4での一連の現像処理(PASS8、冷却プレートCP、現像処理部30、加熱プレートHP、冷却プレートWCP、基板載置部PASS6の逆方向の処理)について並行に行えばよい。このときの基板Wのフローチャートは、図27(a)に示すとおりとなる。図27(a)の場合には、インデクサセルC1、反射防止膜用処理セルC2、レジスト膜用処理セルC3、露光後加熱用処理セルC5、インターフェイスセルC6、露光後加熱用処理セルC5、現像処理セルC4、インデクサセルC1の順に処理されるメインフローMFは、選択肢fa、fb、fcを各現像処理セルC4ごとに有している。
【0159】
変形例(2)と同様に、基板Wごとにどの現像処理セルC4を指定するかを決定してもよいし、基板Wが払い出された順にどの現像処理セルC4を指定するかを決定してもよい。
【0160】
(5)上述した変形例(4)では、各セルを処理部の単位としてみて、かつ、並行処理を行う場合について説明したが、各セルを処理部の単位としてみた場合には、並行処理に限定されない。例えば、露光時に発生する定在波やハレーションが少ない基板の場合には、反射防止膜用処理セルC2での処理をスキップすることができる。従って、図27(b)に示すように、反射防止膜用処理セルC2での一連の処理(基板載置部PASS1、冷却プレートCP、反射防止膜用塗布処理部8、加熱プレートHP、冷却プレートWCP、基板載置部PASS3の順方向の処理)を行わない選択肢faと、一連の処理を行う選択肢fbとをメインフローMFに含ませる。そして、基板Wごとに上述の一連の処理を行うか否かを指定し、指定された結果に基づいて、上述の一連の処理をスキップする仮フロー(図27中の選択肢fa)および上述の一連の処理を行う仮フロー(図27(b)中の選択肢fb)を作成すればよい。
【0161】
(6)実施例でも述べたように、例えば、基板Wに塗布されたレジスト膜の厚みを検査したり、あるいは現像後のレジスト膜の線幅を検査する検査用セルを追加してもよい。また、上述のような検査部をセル内に追加してもよい。この場合には、検査を行うフローを含ませた状態でメインフローを作成し、検査用セルあるいは検査部で検査を行う選択肢と、検査を行わない選択肢とをメインフローに含ませる。そして、検査用セルあるいは検査部で検査を行うか否かを指定し、指定された結果に基づいて、検査用セルあるいは検査部で検査を行う仮フローおよび検査を行わない仮フローを作成すればよい。
【0162】
このように、基板の検査を一連の基板処理に含む場合においても、様々な基板処理を柔軟に行うことができる。
【0163】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、一連の基板処理に関する選択肢を有するメインフローにおいて、仮フロー作成手段は、メインフロー作成手段によって作成されたメインフロー、および処理部指定手段によって指定された処理部に基づいて、メインフロー中の1つの選択肢を選択して仮フローを作成し、制御手段は、仮フロー作成手段によって作成された仮フローに基づいて基板処理を制御するので、作成された仮フローに合わせて、様々な基板処理を柔軟に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る基板処理装置の概略構成を示した平面図である。
【図2】実施例装置の概略構成を示した正面図である。
【図3】熱処理部の正面図である。
【図4】隔壁に設けられた基板載置部の周辺構成を示す破断正面図である。
【図5】インターフェイスブロックの概略構成を示す側面図である。
【図6】(a)は主搬送機構の概略構成を示す平面図、(b)はその正面図である。
【図7】(a)は基板仮置部付きの加熱部の破断側面図、(b)は破断平面図である。
【図8】(a)は実施例装置のブロック配置を示した平面図、(b)は実施例装置のセル配置を示した平面図である。
【図9】(a)は実施例装置の制御系を示したブロック図、(b)は比較のために示した従来装置の制御系のブロック図である。
【図10】実施例装置のデータ設定部の構成を示した図である。
【図11】(a)〜(d)は、基板処理装置の基本的な動作の説明に供するフローチャートである。
【図12】メインフローおよび仮フローに関する基板のフローチャートであって、(a)は本実施例に係るフローチャート、(b)は変形例に係る並行処理のフローチャートである。
【図13】本実施例のタッチパネルの一表示態様を示す図である。
【図14】本実施例のタッチパネルの一表示態様を示す図である。
【図15】本実施例のタッチパネルの一表示態様を示す図である。
【図16】本実施例のタッチパネルの一表示態様を示す図である。
【図17】本実施例のタッチパネルの一表示態様を示す図である。
【図18】本実施例のタッチパネルの一表示態様を示す図である。
【図19】本実施例のタッチパネルの一表示態様を示す図である。
【図20】本実施例のタッチパネルの一表示態様を示す図である。
【図21】本実施例のタッチパネルの一表示態様を示す図である。
【図22】本実施例のタッチパネルの一表示態様を示す図である。
【図23】変形例に係る並行処理のタッチパネルの一表示態様を示す図である。
【図24】変形例に係る並行処理であって、処理時間を考慮した基板のフローチャートである。
【図25】変形例に係る並行処理の基板のタイミングチャートである。
【図26】図12(a)のフローと図12(b)のフローとを組み合わせた、変形例に係るメインフローおよび仮フローに関する基板のフローチャートである。
【図27】(a),(b)は、各セルを処理部の単位としてみた場合の変形例に係る基板のフローチャートである。
【図28】従来における基板のフローチャートである。
【図29】従来における基板のタイミングチャートである。
【図30】従来における基板のフローチャートである。
【図31】従来における基板のタイミングチャートである。
【符号の説明】
CT1〜CT6 …セルコントローラ
MC …メインコントローラ
HC …データ設定部
38 …入力部
38b …タッチパネル
MF …メインフロー
fa、fb、fc …選択肢
W …基板
Claims (5)
- 基板処理を行う処理部と、基板処理を制御する制御手段とを備えた基板処理装置であって、
一連の基板処理に関する選択肢を有したメインフローを作成するメインフロー作成手段と、
処理部を指定する処理部指定手段と、
メインフロー作成手段によって作成されたメインフロー、および処理部指定手段によって指定された処理部に基づいて、メインフロー中の1つの選択肢を選択して仮フローを作成する仮フロー作成手段とを備え、
制御手段は、仮フロー作成手段によって作成された仮フローに基づいて基板処理を制御することを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1に記載の基板処理装置において、
前記処理部の少なくとも一部は、同一の処理について並行に行う複数の処理部であって、
前記処理部指定手段は、同一の処理について並行に行う複数の処理部から1つを選択することを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1または請求項2に記載の基板処理装置において、
前記処理部指定手段は、基板ごとに指定可能であることを特徴とする基板処理装置。 - 請求項3に記載の基板処理装置において、
前記処理部の少なくとも一部は、同一の処理について並行に行う複数の処理部であって、
前記処理部指定手段は、同一の処理について並行に行う複数の処理部から1つを選択し、基板が払い出された順に処理部を指定することを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記処理部の少なくとも一部は、基板の検査を行う検査部であることを特徴とする基板処理装置。
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