JP6046451B2 - ストレス改善用組成物 - Google Patents

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本発明は、含硫アミノ酸を有効成分とするストレスの予防または改善剤に関する。
ストレスは、種々のストレッサー、主に物理的要因、科学的要因、生物学的要因または心理社会的要因によって引き起こされ、また仕事、人間関係、家庭、健康、異常気象などの日常生活における種々の刺激または負荷によっても引き起こされる。強いストレスが持続することは、心身に過度の負担がかかり器質的、機能的な障害が生じるようになるため好ましくない。しかしながら、ストレスの原因を完全に取り除くことは不可能であるし、またストレスの原因は個々人によって様々であるうえ、同じ負荷を与えられた場合であっても、それによって受けるストレスの強さは個々人によって異なる。したがって、ストレッサーを制御することによってストレスを緩和することは困難である。
個体が受けるストレスを緩和し、または過剰なストレスを適度な状態に改善することができる手段が求められている。
ネギ、タマネギ、ニンニク等のユリ科植物は、古くから強壮作用を有する食品として摂取されている。近年では、ユリ科のネギ属植物に含まれる含硫アミノ酸であるL−システインスルフォキシド誘導体に、男性ホルモンであるテストステロンの産生増加作用(特許文献1)や肝疾患の治療作用があることが報告されている(特許文献2)。また、タマネギ由来のケルセチンアグリコンが抗酸化作用を有すること(特許文献3)や、タマネギ外皮が炎症抑制/酸化ストレス抑制作用を示し、肝疾患、消化器疾患、循環器疾患等の生活習慣病の改善効果を示すこと(特許文献4)も報告されている。しかし、ユリ科植物に含まれる含硫アミノ酸がストレス改善効果を有し得ることは全く知られていなかった。
特許第4172488号公報 特開昭62−423号公報 特開2008−201763号公報 特開2010−143831号公報
本発明は、個体に作用してそのストレスを予防または改善することができる素材を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題をすべく鋭意研究を重ね、その結果、ユリ科植物由来の含硫アミノ酸に、ストレスを予防または改善する作用があることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、S−1−プロペニル−L−システインスルフォキシド、S−プロピル−L−システインスルフォキシド、S−メチル−L−システインスルフォキシドおよびS−アリル−L−システインスルフォキシドからなる群より選択される少なくとも1種の含硫アミノ酸を有効成分とするストレス予防または改善剤を提供する。
本発明によれば、ストレスの予防または改善に有用な素材が提供される。本発明のストレス予防または改善剤は、個体に作用してそのストレスを予防または改善することができ、またストレスによって心身に生じる種々の障害や疾患を予防または改善することができる。
「ストレス」とは、「ストレッサーによって引き起こされた心身の反応」(ストレス反応)である。ストレッサーには、主に寒冷、高温、騒音などの物理的ストレッサー、化学物質などの科学的ストレッサー、炎症や感染などの生物学的ストレッサー、職場や家庭などでの日常生活における怒りや不安などの心理社会的ストレッサーが挙げられる。本発明で予防または改善されるストレスの原因となるストレッサーの種類は、特に限定されない。
ストレスには、状況の突然の変化や危機的な状況に遭遇するなど急激に強い負荷がかかることによってひき起される急性ストレスと、心身の苦痛や圧迫感などの負荷が間欠的又は持続的にかかることによってひき起される慢性ストレスとがある。本発明のストレス予防または改善剤は、急性ストレスおよび慢性ストレスのいずれに対しても効果を発揮し得るが、主として慢性ストレスに対して予防または改善効果を発揮する。
本発明のストレス予防または改善剤は、含硫アミノ酸を有効成分とする。当該含硫アミノ酸としては、アルキルまたはアルケニルシステインスルフォキシドおよびその誘導体が挙げられ、例えば、S−1−プロペニル−L−システインスルフォキシド、S−プロピル−L−システインスルフォキシド、S−メチル−L−システインスルフォキシド、S−アリル−L−システインスルフォキシド等が挙げられる。
本発明のストレス予防または改善剤には、上記に挙げた含硫アミノ酸からなる群より選択される少なくとも1種が、有効成分として含有されていればよい。すなわち、本発明のストレス予防または改善剤においては、上記に挙げた含硫アミノ酸は、いずれか1種が単独で含有されていてもよく、または2種以上が組み合わせて含有されていてもよい。
本発明のストレス予防または改善剤は、上記に挙げた含硫アミノ酸からなる群より選択される少なくとも1種からなるものであってもよいが、上記に挙げた含硫アミノ酸からなる群より選択される少なくとも1種を含む組成物であってもよい。当該組成物は、好ましくは、上記に挙げた含硫アミノ酸を25質量%以上、より好ましくは28質量%以上含有する組成物である。組成物中の含硫アミノ酸量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量することができる。
本発明のストレス予防または改善剤の有効成分として用いられる上記含硫アミノ酸としては、市販されているものを使用することができる。市販品としては、例えば、L(+)Alliin(LKT laboratories社)、(+/−)−S−Methyl−L−cysteine−S−oxide(LKT laboratories社)などが挙げられる。
あるいは、本発明で用いられる含硫アミノ酸は、化学合成することができる。化学合成の方法としては、例えば、塩基性下にてL−システインと臭化アリルよりS−アリル−L−システインを合成し、過酸化水素による酸化反応にてS−アリル−L−システインスルフォキシドを得る方法を採用することができる。
またあるいは、本発明で用いられる含硫アミノ酸は、ユリ科植物に由来するものであり得る。ユリ科植物の例としては、ネギ属植物が挙げられ、タマネギ、ネギ、ワケギ、アサツキ、ニラ、ニンニク、ギョウジャニンニク、ラッキョウ、リーキが好ましい。さらに、タマネギ、ネギ、ニンニク、ラッキョウは、安価であり且つ含硫アミノ酸を多く含有しているため、本発明で用いられる含硫アミノ酸の原料としてより好ましい。
上記の植物には、上記含硫アミノ酸が、その前駆体であるグルタミル体とともに多く含まれている。しかし、これらの植物中には、システインスルフォキシドをスルフェン酸に変換する酵素であるC−Sリアーゼ(アリイナーゼ)が存在するため、抽出や調理などの操作により植物組織が破壊されると、当該酵素の作用により該植物中のシステインスルフォキシドは失われる。そのため、従来の通常の方法で得られる上記植物の抽出物や上記植物を含む調理済み食品には、システインスルフォキシドはほとんど含まれていない。
したがって、上述したユリ科植物から本発明で用いられる含硫アミノ酸を調製する場合、当該植物を切断処理する前に加熱処理してC−Sリアーゼを失活させた後に、抽出処理にかけることが好ましい。このような方法としては、特許文献1に記載されているネギ属植物からシステインスルフォキシドを調製する方法を採用することができる。より詳細には、切断処理していないネギ属植物を、圧力1〜5気圧、温度40〜150℃の条件で、5〜120分加熱処理することによって、植物中に含まれる含硫アミノ酸を分解するC−Sリアーゼを失活させる。次いで、得られたネギ属植物の加熱処理物をアルコール抽出及び減圧濃縮することにより、L−システインスルフォキシド誘導体を含む抽出物を得ることができる。
また好ましくは、本発明で用いられる含硫アミノ酸は、(i)ネギ属植物を加熱し、(ii)加熱されたネギ属植物をγ−グルタミル結合切断酵素で処理し、次いで(iii)得られた酵素処理物をイオン交換クロマトグラフィーに供することによって調製することができる。以下に、本方法の詳細な手順を説明する。
上記工程(i)〜(iii)は、酵素反応等のために必要とされない限り、酸性pH条件下で行われるのが含硫アミノ酸の変質を防ぐ上で好ましい。好ましいpHは、pH5.5以下、より好ましくはpH4.5以下である。
原料となるネギ属植物は、可食部、例えば、タマネギ、ニンニク、ラッキョウであれば鱗茎、ワケギ、アサツキ、ニラであれば葉、ネギであれば葉及び偽茎が好ましく使用される。また、当該ネギ属植物の外皮は、含硫アミノ酸を含んでいないため、予め除去しておくことが好ましい。
工程(i)では、ネギ属植物を加熱する。該加熱により、該ネギ属植物中に含まれる含硫アミノ酸を分解する酵素C−Sリアーゼを失活させる。上記加熱の条件は、目的の含硫アミノ酸を変質させることなくC−Sリアーゼを失活させることができる条件であれば、特に限定されないが、例えば、圧力1〜5気圧、温度40〜150℃で5〜120分間が好ましく、圧力1〜2気圧、温度が80〜120℃で15〜40分間がより好ましい。
ネギ属植物は、切断、破砕、穿孔などによりその内部が空気中に露出すると、含まれる含硫アミノ酸が分解されて、その含有量が減少する。したがって、上記加熱は、好ましくは、細分されていないネギ属植物に対して行われる。ここで、「細分されていない」ネギ属植物とは、切断、分断、破砕、穿孔、傷をつける等の加工がされていないか、または当該加工がされているが、その加工により含硫アミノ酸含量が大きく減少していないもの、例えば、最終的な含硫アミノ酸の収量として無傷の植物に対して80%以上を達成できるものをいう。
工程(ii)は、上記工程(i)で加熱されたネギ属植物をγ−グルタミル結合切断酵素で処理する工程である。上記ネギ属植物中の含硫アミノ酸の一部はグルタミル体として存在するため、酵素処理により該グルタミル体からグルタミン酸を切断し、含硫アミノ酸を遊離させる。酵素反応を十分に進行させるためには、酵素処理の前に、上記工程(i)で加熱されたネギ属植物を切断、破砕、細断等しておくことが好ましい。細分されたネギ属植物は、さらに水、酸性水、アルカリ水等の水性液体で2〜20倍程度に希釈する。該水性液体のpHは、後で用いるγ−グルタミル結合切断酵素の至適pHやその付近のpHに調整する。
酵素処理に使用されるγ−グルタミル結合切断酵素としては、例えば、γ−グルタミナーゼ、γ−グルタミルトランスフェラーゼ、γ−グルタミルトランスペプチダーゼ、γ−グルタミルペプチダーゼ等が挙げられる。これらの酵素は、動物、植物、微生物等から抽出されたものであっても、又は市販品であってもよい。市販品としては、天野エンザイム社のグルタミナーゼSD-C100S等が挙げられる。酵素処理の条件は、酵素の至適条件、または用いるネギ属植物の種類、用いる部位、大きさや細分の状態等によって適宜設定すればよい。一般的には、酵素の添加量は、ネギ属植物の全量に対して0.001〜1質量%、好ましくは0.01〜0.1質量%である。反応条件は、酵素の至適pHで、温度15〜65℃で1〜24時間程度、好ましくは35〜60℃で2〜6時間程度であり得る。上記酵素処理の終了後は、加熱又はpH調整等により、γ−グルタミル結合切断酵素を失活させておくことが好ましい。必要に応じて、上記酵素処理で得られた反応物を濾過、遠心、圧搾等にかけ、含硫アミノ酸を含む溶液を分離してもよい。さらに得られた溶液を濃縮してもよい。
工程(iii)では、上記工程(ii)の酵素処理で得られた反応物を、イオン交換クロマトグラフィーに供する。当該イオン交換クロマトグラフィーのためのイオン交換樹脂は、陽イオン交換樹脂であればよいが、強酸性陽イオン交換樹脂が好ましく、スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂がより好ましい。当該イオン交換樹脂は、市販品を使用することができ、例えば、ダイヤイオン(登録商標)UBK−550、ダイヤイオン(登録商標)SK1B(三菱化学社製)、アンバーライト(登録商標)IR120B、アンバーライト(登録商標)200C、ダウエックス(登録商標)MSC−1(The Dow Chemical Company)、デュオライトC26(Rohm and Haas)、LEWATIT(登録商標)SP−112(LANXESS Distribution GmbH)等が好適に使用され得る。イオン交換クロマトグラフィーは、通常の手順に従って行えばよい。イオン交換クロマトグラフィーで得られた目的の含硫アミノ酸を含む溶出液は、そのまま本発明に利用してもよいが、濃縮又はさらに脱塩処理を行うと、含硫アミノ酸の純度が高まるため好ましい。さらに必要に応じて、乾固、凍結乾燥、固形化、液状化、顆粒若しくは粉末化等の処理を施してもよい。
上述の方法により、ユリ科植物から、含硫アミノ酸を高含有する組成物を得ることができる。得られた組成物は、そのまま本発明のストレス予防または改善剤として用いることができる。
本発明のストレス予防または改善剤は、ストレス予防もしくは改善のため、またはストレスに起因する疾患や障害の予防もしくは改善のための医薬、飲食品、飼料等を製造するために使用することができる。よって本発明によれば、本発明のストレス予防または改善剤を含有する、ストレス予防もしくは改善のため、またはストレスに起因する疾患や障害の予防もしくは改善のための医薬、飲食品、および飼料が提供される。当該医薬、飲食品、および飼料は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物に適用され得る。非ヒト哺乳動物としては愛玩動物や家畜動物、および飼育施設等で飼育されている動物が挙げられる。
上記医薬の剤型は、経口剤であっても非経口剤であってもよい。当該医薬は、有効成分である本発明のストレス予防または改善剤に加えて、必要に応じて薬学的に許容される種々の担体、例えば賦形剤、安定化剤、その他の添加剤等を含有していてもよく、あるいは、さらに他の薬効成分を含有していてもよい。当該医薬は、本発明のストレス予防または改善剤に、上述の担体および他の薬効成分を配合し、常法に従って製造することができる。
上記飲食品または飼料は、本発明のストレス予防または改善剤を有効成分として含有し、且つストレス予防または改善、またはストレスに起因する疾患や障害の予防もしくは改善の効果を企図して、その旨を表示した健康食品、機能性飲食品、特定保健用飲食品、病者用飲食品、家畜、競走馬、鑑賞動物等のための飼料、ペットフード等であり得る。
上記飲食品および飼料の形態は特に制限されず、固形、半固形または液状であり得、あるいは、錠剤、チュアブル錠、粉剤、カプセル、顆粒、ドリンク、ゲル、シロップ、経管経腸栄養用流動食等の各種形態であってもよい。上記飲食品や飼料は、本発明のストレス予防または改善剤を含有しているのに加えて、必要に応じて他の食材、栄養成分や薬効成分、または食品に通常使用される添加剤を組み合わせて含有していてもよい。当該飲食品および飼料は、本発明のストレス予防または改善剤に、上記他の食材、栄養成分や薬効成分、添加剤等を配合し、常法に従って製造することができる。
上記医薬、飲食品および飼料における本発明のストレス予防または改善剤の含有量は、所望のストレス予防または改善効果が得られる量であればよく、医薬の剤型や飲食品または飼料の形態、投与または摂取する個体の種、症状、年齢、性別などに応じて適宜変更され得る。上記医薬、飲食品および飼料中の本発明のストレス予防または改善剤の含有量は、アルキルまたはアルケニルシステインスルフォキシドの量に換算して、好ましくは0.1〜60質量%であり、より好ましくは0.5〜30質量%であり、さらに好ましくは1〜15質量%である。なお好ましくは、含有量は、医薬、健康食品やサプリメントの場合5〜15質量%、飼料の場合1〜5%程度である。上記医薬の剤型もしくは投与レジメン、または上記飲食品もしくは飼料の形態は、投与または摂取量を適切に管理できるような形であることが望ましい。
本発明のストレス予防または改善剤はまた、個体のストレス予防もしくは改善のため、またはストレスに起因する疾患や障害の予防もしくは改善のために使用され得る。よって本発明はまた、対象に本発明のストレス予防または改善剤を有効量で投与するかまたは摂取させることを含む、ストレス予防もしくは改善のため、またはストレスに起因する疾患や障害の予防もしくは改善のための方法を提供する。当該使用または方法は、治療的に行われてもよいが、医療行為を含まない非治療的な使用または方法であってもよい。
投与または摂取の対象としては、上述したヒトおよび非ヒト哺乳動物が挙げられる。投与または摂取の有効量及び用法は、所望のストレス予防または改善効果が得られる量であればよく、対象の種、症状、年齢、性別などに応じて適宜変更され得る。例えば対象がヒトの場合、有効量は、アルキルまたはアルケニルシステインスルフォキシドの量に換算して、好ましくは成人1人1日あたり10〜500mg、より好ましくは20〜100mgであり得る。当該1日あたりの用量は、1回で投与されてもよいが、数回に分けて投与されてもよい。
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(製造例1)
タマネギ(北もみじ2000)5000gを洗浄、脱皮した後に、切断せず丸ごと95℃の湯浴中にて20分間加熱処理した。
加熱処理後のタマネギを、ミキサー(Oster社製)を用いて破砕し、ここにタマネギ1g当たり1mLの水を添加し分散させた。得られた分散液に、グルタミナーゼ(グルタミナーゼSD-C100S;天野エンザイム製)を液中のタマネギの全量に対して0.025質量%の量で添加し、60℃にて2時間反応させ、反応終了後90℃で15分間加熱して酵素を失活させた。得られた反応液を6,000rpm、30分間遠心分離し、吸引ろ過し、その後凍結乾燥して、含硫アミノ酸約3質量%を含むタマネギ粗抽出物約500gを得た。
上記タマネギ粗抽出物に蒸留水を添加して30%(w/v)水溶液を得た。この水溶液1000mLを試料溶液として、塩酸により再生した強酸性陽イオン交換樹脂(ダイヤイオンSK1B、三菱化学製)500mLに通液した。次いで、蒸留水3000mLによりカラム内に残留した試料溶液を洗い出した。その後、5%水酸化ナトリウム溶液(pH=14)1000mLをカラムに通液し、イオン交換樹脂に吸着した含硫アミノ酸を溶出させた。さらに蒸留水2000mLを添加し、カラム内に残留した液を溶出させた。水酸化ナトリウム溶液により溶出した溶出液と蒸留水により溶出した溶出液とを合一し、エバポレーター(東京理科機械製)により濃縮後、脱塩処理を行って、含硫アミノ酸含有溶液を得た。これを凍結乾燥し、含硫アミノ酸を含む組成物を約40g得た。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析の結果、当該組成物は、S−1−プロペニル−L−システインスルフォキシドおよびS−メチル−L−システインスルフォキシドを合計で約28質量%含有していた。
(実施例1 抗ストレス効果確認試験)
生体がストレス環境下に置かれると、副腎皮質の機能が亢進し、副腎皮質ホルモンであるコルチコステロンの産生が増加することにより、種々のストレス反応が惹起されることが知られている(ストレスの事典、河野友信・石川俊男編、朝倉書店、2005年10月)。そこで、夜間拘束ストレスモデル動物(J of Andrology, 1989, Vol.10, No.3:210-213を参照)を用いて、含硫アミノ酸含有組成物の抗ストレス効果を調べた。すなわち、動物に拘束ストレスを負荷し、このストレスにより生じるコルチコステロンの血中量増加に対する含硫アミノ酸含有組成物の効果を測定した。
動物はマウス(雄性ddy、11週齢)を用い、検疫期間中に異常の認められない個体を、体重に偏りの無いように1群4匹ずつに群分けして試験に供した。動物は、昼12時間、夜12時間の照明条件で飼育及び試験を行った。予備飼育として5週間、S−1−プロペニル−L−システインスルフォキシド(PCSO;日本ケミカル交易株式会社製)を2質量%含有する水、および飼料(CE−2;日本クレア株式会社製)を自由摂取させた。その後1週間、1日あたり18時間(夜間)、50mLプラスチックチューブに呼吸口を加工した拘束ストレスホルダーにて各動物に拘束ストレスを負荷した。ストレス負荷期間の飲水(PCSO 2質量%含有水)および飼料の摂取は自由とした。なお対照群には、PCSO 2質量%含有水の代わりにPCSOを添加しない水を与え、同じ拘束ストレスを負荷した。ストレス期間1週間を含む投与期間6週間の後、各動物から採血を行って、下記のELISA法により血中のコルチコステロン量を測定した。
コルチコステロン量測定ELISA法
(1)試薬
標準抗原:コルチコステロン(SIGMA製)。
標識抗原:コルチコステロン(SIGMA製)をビオチンヒドラジドと反応させ、ビオチン化コルチコステロンを調製した。
抗血清:コルチコステロン(SIGMA製)をフロイント完全アジュバント化したものをウサギに免疫し、抗コルチコステロン血清を調製した。
希釈液:0.04%Tween20、0.5%BSA、25mMEDTAを含有するリン酸緩衝液を用いた。
(2)測定
マイクロプレート(Nunc製)をヤギ抗ウサギγグロブリン抗体(2mg/Well)にて固相化し、1%BSA−リン酸緩衝液にてブロッキングを行った。採血後の血液から血漿サンプルを調製した。希釈液で希釈した血漿サンプル、標識抗原および抗血清をウェルに添加して室温で1時間反応させた。反応終了後、各ウェルを洗浄し、ストレプトアビジン結合ペルオキシダーゼ(Jackson immunoresearch製)を添加して30分間反応させた。反応終了後、ウェルを洗浄し、o−フェニレンジアミン/過酸化水素水溶液を添加して発色させ、プレートリーダーを用いて各ウェルの吸光度を測定した。測定結果を用いて、標準抗原であるコルチコステロンの検量線から血中コルチコステロン量を算出した。
血中コルチコステロン量の測定結果を表1に示す。PCSOの摂取により、血中コルチコステロン量が顕著に低下し、動物のストレスが低減されたことが示された。
Figure 0006046451
(実施例2 抗ストレス効果確認試験)
実施例1と同様の手順で、ただしPCSOの代わりに製造例1で調製した含流アミノ酸含有組成物を8質量%含有する水を与え、投与6週間後の血中のコルチコステロン量を測定した。結果を表2に示す。製造例1の組成物の摂取により、血中コルチコステロン量が顕著に低下し、動物のストレスが低減されたことが示された。
Figure 0006046451

Claims (4)

  1. S−1−プロペニル−L−システインスルフォキシドを有効成分とするストレス予防または改善剤。
  2. 前記S−1−プロペニル−L−システインスルフォキシドがネギ属植物に由来する、請求項1記載のストレス予防または改善剤。
  3. 前記S−1−プロペニル−L−システインスルフォキシドを25質量%以上含有する組成物である、請求項1又は2記載のストレス予防または改善剤。
  4. (i)ネギ属植物を加熱し、(ii)加熱されたネギ属植物をγ−グルタミル結合切断酵素で処理し、次いで(iii)得られた酵素処理物をイオン交換クロマトグラフィーに供して、S−1−プロペニル−L−システインスルフォキシドを含む溶出液を得ることを含む、ストレス予防または改善剤の製造方法。
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