JP2012031153A - 脂肪燃焼促進剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】脂肪燃焼促進効果が高い脂肪燃焼促進剤を提供すること。
【解決手段】スピロスタン型サポニン、及び不飽和脂肪酸を有効成分として含有することを特徴とする脂肪燃焼促進剤を提供する。上記のスピロスタン型サポニンとしてはジオスゲニン配糖体が、不飽和脂肪酸としては10−ヒドロキシ−2−デセン酸及びドコサヘキサエン酸が例示される。本発明の脂肪燃焼促進剤を摂取することにより、脂質代謝を亢進させ、体脂肪量を減少させることができる。従って、本発明は特に食品や医薬の分野で有用である。
【選択図】なし
【解決手段】スピロスタン型サポニン、及び不飽和脂肪酸を有効成分として含有することを特徴とする脂肪燃焼促進剤を提供する。上記のスピロスタン型サポニンとしてはジオスゲニン配糖体が、不飽和脂肪酸としては10−ヒドロキシ−2−デセン酸及びドコサヘキサエン酸が例示される。本発明の脂肪燃焼促進剤を摂取することにより、脂質代謝を亢進させ、体脂肪量を減少させることができる。従って、本発明は特に食品や医薬の分野で有用である。
【選択図】なし
Description
本発明は、スピロスタン型サポニン、及び不飽和脂肪酸を有効成分として含有することを特徴とする脂肪燃焼促進剤、並びに当該脂肪燃焼促進剤を含有する食品、医薬及び飼料に関する。
近年、肥満と成人病との関係について研究が進んでいる。特に、内臓に脂肪が蓄積する内臓脂肪型肥満は、皮下に脂肪が蓄積する皮下脂肪型肥満と比べて成人病にかかる危険が極めて高く、成人病の予防のためには内臓脂肪型肥満を防止することが重要であるとされている。かかる点から、体脂肪の蓄積を解消する物質や剤の開発が求められているが、未だその目的を充分に達成できていないのが実情である。
ジオスゲニンは性ホルモンの中間体、DHEA(Dehydroepiandrosterone)と類似した構造を持つサポゲニンである。近年、ジオスゲニンやその配糖体と滋養強壮作用との関連が研究され始めている。ヤムイモの一種であるトゲドコロには、スピロスタン型サポニンの一種であるジオスゲニン配糖体が多く含まれることが明らかになっている(特許文献1)。
不飽和脂肪酸は、心臓、循環器、脳、及び皮膚等の器官や組織に必要な栄養成分として知られている物質である。特にドコサヘキサエン酸(以下、DHAと記載することがある)は、中性脂肪の低下効果や血小板凝集の抑制効果等を有するとされ、医薬品やサプリメントに広く利用されている。また、ローヤルゼリーに含まれる不飽和脂肪酸として知られている10−ヒドロキシ−2−デセン酸(以下、10HDAと記載することがある)は、その生理活性機能として抗糖尿病作用を有すること等が報告されている(特許文献2)。
本発明の目的は、脂肪燃焼促進効果が高い脂肪燃焼促進剤を提供することにある。
上記のような状況下に本発明者らは、スピロスタン型サポニンと不飽和脂肪酸とによる相乗的な脂肪燃焼関連遺伝子発現増強効果を見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、
[1]スピロスタン型サポニン、及び不飽和脂肪酸を有効成分として含有することを特徴とする脂肪燃焼促進剤、
[2]スピロスタン型サポニンがジオスゲニン配糖体である、[1]に記載の脂肪燃焼促進剤、
[3]ジオスゲニン配糖体がトゲドコロに由来する、[2]に記載の脂肪燃焼促進剤、
[4]不飽和脂肪酸が10−ヒドロキシ−2−デセン酸又はドコサヘキサエン酸である、[1]に記載の脂肪燃焼促進剤、
[5]10−ヒドロキシ−2−デセン酸がローヤルゼリーに由来する、[4]に記載の脂肪燃焼促進剤、
[6]ドコサヘキサエン酸が魚油に由来する、[4]に記載の脂肪燃焼促進剤、
[7]トゲドコロ及びローヤルゼリーを含む、[1]に記載の脂肪燃焼促進剤、
[8]トゲドコロがトゲドコロの加熱処理物の乾燥粉末である、[7]に記載の脂肪燃焼促進剤、
[9]トゲドコロがトゲドコロ加熱処理物の乾燥粉末から含水エタノール抽出された抽出物である、[7]に記載の脂肪燃焼促進剤、
[10][1]〜[9]のいずれかに記載の脂肪燃焼促進剤を含有することを特徴とする食品、
[11][1]〜[9]のいずれかに記載の脂肪燃焼促進剤を含有することを特徴とする医薬、並びに
[12][1]〜[9]のいずれかに記載の脂肪燃焼促進剤を含有することを特徴とする飼料、
に関する。
すなわち本発明は、
[1]スピロスタン型サポニン、及び不飽和脂肪酸を有効成分として含有することを特徴とする脂肪燃焼促進剤、
[2]スピロスタン型サポニンがジオスゲニン配糖体である、[1]に記載の脂肪燃焼促進剤、
[3]ジオスゲニン配糖体がトゲドコロに由来する、[2]に記載の脂肪燃焼促進剤、
[4]不飽和脂肪酸が10−ヒドロキシ−2−デセン酸又はドコサヘキサエン酸である、[1]に記載の脂肪燃焼促進剤、
[5]10−ヒドロキシ−2−デセン酸がローヤルゼリーに由来する、[4]に記載の脂肪燃焼促進剤、
[6]ドコサヘキサエン酸が魚油に由来する、[4]に記載の脂肪燃焼促進剤、
[7]トゲドコロ及びローヤルゼリーを含む、[1]に記載の脂肪燃焼促進剤、
[8]トゲドコロがトゲドコロの加熱処理物の乾燥粉末である、[7]に記載の脂肪燃焼促進剤、
[9]トゲドコロがトゲドコロ加熱処理物の乾燥粉末から含水エタノール抽出された抽出物である、[7]に記載の脂肪燃焼促進剤、
[10][1]〜[9]のいずれかに記載の脂肪燃焼促進剤を含有することを特徴とする食品、
[11][1]〜[9]のいずれかに記載の脂肪燃焼促進剤を含有することを特徴とする医薬、並びに
[12][1]〜[9]のいずれかに記載の脂肪燃焼促進剤を含有することを特徴とする飼料、
に関する。
本発明の脂肪燃焼促進剤を用いることにより、脂質代謝を亢進させ、体脂肪量を減少させることができる。
本発明の脂肪燃焼促進剤は、スピロスタン型サポニン、及び不飽和脂肪酸を有効成分として含有する。本発明の脂肪燃焼促進剤中のスピロスタン型サポニンは例えば、酸加水分解後、ODSカラムを用いたHPLCにより標準品とのUV吸収面積比を指標に測定することができる。また、本発明の脂肪燃焼促進剤中の不飽和脂肪酸の含有量は、例えば、エステル化後、水素炎イオン化検出機付きガスクロマトグラフィーなどにより、標準品とのピーク面積比を指標に測定することができる。
スピロスタン型サポニンとは、スピロスタン骨格を有するステロイドサポニンのことを言う。本発明の脂肪燃焼促進剤に使用されるスピロスタン型サポニンとしては、例えば、ジオスゲニン、ヤモゲニン、チゴゲニン、ネオチゴゲニン、サルササポゲニン、スミラゲニン、又はヘコゲニンをアグリコンとして有するサポニンが例示される。本発明を特に限定するものではないが、本発明の脂肪燃焼促進剤に使用されるスピロスタン型サポニンとしては、ジオスゲニン配糖体が好適に例示される。また、本発明の脂肪燃焼促進剤に使用されるジオスゲニン配糖体としては、例えば、ホルモサニンC(Formosanin C)、(25R)−3β−[4−O−[3−O,4−O−ビス(α−L−ラムノピラノシル)−α−L−ラムノピラノシル]−β−D−グルコピラノシルオキシ]スピロスタ−5−エン、ジオスシン(Dioscin)、グラシリン(Gracillin)、デルトニン(Deltonin)、及びプロサポゲニンA(Prosapogenin A)が例示され、このうちホルモサニンCとジオスシンが最も好適に例示される。
本発明の脂肪燃焼促進剤中のスピロスタン型サポニンは、トゲドコロに由来する物質に含まれるものであってもよい。すなわち、本発明の脂肪燃焼促進剤にはスピロスタン型サポニンを含むトゲドコロが含まれていてもよい。
トゲドコロ(学名Dioscorea esculenta)とは、クーガイモとも呼ばれる主に九州以南で栽培されているヤムイモの一種である。本発明の脂肪燃焼促進剤に使用されるトゲドコロとしては、スピロスタン型サポニンを含むものであれば特に限定はなく、トゲドコロを加工した処理物であってもよい。トゲロコロ処理物としては、例えばトゲドコロの加熱処理物の乾燥粉末、トゲドコロ由来の脂溶性物質、及びトゲドコロの発酵処理物が例示される。トゲドコロ由来の脂溶性物質としては、トゲドコロ根茎加熱処理物の乾燥粉末の含水エタノール抽出物が例示される。
本発明の脂肪燃焼促進剤中のスピロスタン型サポニンの含有量は、本発明を特に限定するものではないが、本発明の脂肪燃焼促進剤の乾燥重量に対して0.0001〜50重量%が好ましく、0.001〜30重量%がより好ましく、0.01〜10重量%が更により好ましい。
本発明の脂肪燃焼促進剤は、不飽和脂肪酸を遊離脂肪酸又はその誘導体として含む。不飽和脂肪酸の誘導体としては、不飽和脂肪酸トリグリセリド、及び不飽和脂肪酸結合リン脂質が例示される。本発明の脂肪燃焼促進剤に含まれる不飽和脂肪酸としては、特に本発明を限定するものではないが、10HDA、DHA、エイコサペンタエン酸、共役リノール酸、リノール酸、リノレン酸及びオレイン酸などが例示され、このうち10HDA及びDHAが最も好適に例示される。
本発明に使用される10HDAは、その由来や製法に特に限定はなく、合成品であっても天然物由来であってもよい。また、10HDAを含む天然物やその処理物、当該天然物から部分精製又は高度に精製された10HDA、更に10HDAの高含有加工物を本発明の脂肪燃焼促進剤に使用してもよい。上記の天然物としては、10HDAを豊富に含むことが知られており、かつ食経験が豊富で安全性に優れたローヤルゼリーが好適に例示される。ローヤルゼリーとしては、生ローヤルゼリーの他、乾燥ローヤルゼリー、調製ローヤルゼリーのようなローヤルゼリーの加工物であってもよい。
本発明に使用されるDHAは、その由来や製法に特に限定はなく、合成品であっても天然物由来であってもよい。また、DHAを含む天然物やその処理物、当該天然物から部分精製又は高度に精製されたDHA、更にDHAの高含有加工物を本発明の脂肪燃焼促進剤に使用してもよい。上記の天然物としては、DHAを豊富に含むことが知られている魚油が好適に例示される。
本発明の脂肪燃焼促進剤中の不飽和脂肪酸の含有量は、本発明を特に限定するものではないが、本発明の脂肪燃焼促進剤の乾燥重量に対して0.001〜70が好ましく、0.01〜50がより好ましく、0.1〜30が更により好ましい。
本発明の脂肪燃焼促進剤中のスピロスタン型サポニンと不飽和脂肪酸の重量比は、本発明を特に限定するものではないが、1:0.01〜1:100000が好ましく、1:0.1〜1:10000がより好ましく、1:1〜1:1000がさらにより好ましい。
本発明の脂肪燃焼促進剤は、好ましくは経口での摂取が可能な形状とされる。その製造にあたっては、固形状又は液状の適当な担体、好ましくは薬学的に許容される担体と混合し、加工すればよい。さらに、脂肪燃焼促進作用やその他の生理作用を有する他の成分を添加することもできる。その形状には、特に限定はなく、固形状(粉末状、顆粒状の組成物を包含する)、液状、カプセル状のいずれであってもよい。本発明の脂肪燃焼促進剤は、公知の加工方法により任意の形状で製造することができる。本発明を特に限定するものではないが、例えば、トゲドコロ及びローヤルゼリーを公知の方法で造粒して粒状の固形物として使用することができる。造粒方法としては、特に限定はないが、転動造粒、攪拌造粒、流動層造粒、気流造粒、押出し造粒、圧縮成型造粒、解砕造粒、噴射造粒又は噴霧造粒等が例示される。粉状の当該処理物を液体、例えば水やアルコール等に溶解又は懸濁して液状とし、本発明の脂肪燃焼促進剤として使用することもできる。さらに、タブレット状、顆粒状、カプセル状等の形状の経口的に摂取が容易な形状物としてもよい。
本発明の脂肪燃焼促進剤を摂取することにより、脂質代謝に関与する酵素群の遺伝子、例えば、エネルギー代謝に係る遺伝子の転写活性化因子であるPGC−1α(PPARγ coactivator−1α)、及びペルオキシソームにおける脂肪酸β酸化に関与するACO(acyl−CoA oxidase)等の発現量が増加する。これにより、体内脂肪、特に内臓脂肪が減少する。また、血中のアディポネクチン濃度が増加する。
脂質代謝に関与する酵素群の遺伝子発現の量は、後述の実施例2のように、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)により確認することができる。
本発明の脂肪燃焼促進剤は、体脂肪や内臓脂肪の低減効果、及び/又は脂質代謝の改善効果が知られている物質をさらに含有してもよい。例えば、
(A)スピロスタン型サポニン及び不飽和脂肪酸、並びに
(B)アスタキサンチン、エルカンプーレ、カツオペプチド、ガルシニア、カワラケツメイ、柑橘系フルーツエキス、キウイ果皮抽出物、キノコキトサン、共役リノール酸、黒大豆種皮抽出物、桑葉、ケツメイシ、コタラヒム、米ケフィラン、コレウスフォルスコリ、シッサスクアドラングラリス、ジャガイモ抽出物、植物ステロール、植物油脂乳化物(ファビュレス)、タマネギケルセチン、チアシード、ツルアラメ抽出物、ニーム、フェヌグリーク(コロハ)、ブドウレスベラトロール、ポリコサノール、マイタケ抽出物(グリスリン)、マカエキス、マンゴージンジャー、コエンザイムQ10、カルニチン、分岐鎖アミノ酸、α−リポ酸、及びアシタバカルコンからなる群より選択された少なくとも1種の物質を含有する脂肪燃焼促進剤も本発明の態様の一つである。
(A)スピロスタン型サポニン及び不飽和脂肪酸、並びに
(B)アスタキサンチン、エルカンプーレ、カツオペプチド、ガルシニア、カワラケツメイ、柑橘系フルーツエキス、キウイ果皮抽出物、キノコキトサン、共役リノール酸、黒大豆種皮抽出物、桑葉、ケツメイシ、コタラヒム、米ケフィラン、コレウスフォルスコリ、シッサスクアドラングラリス、ジャガイモ抽出物、植物ステロール、植物油脂乳化物(ファビュレス)、タマネギケルセチン、チアシード、ツルアラメ抽出物、ニーム、フェヌグリーク(コロハ)、ブドウレスベラトロール、ポリコサノール、マイタケ抽出物(グリスリン)、マカエキス、マンゴージンジャー、コエンザイムQ10、カルニチン、分岐鎖アミノ酸、α−リポ酸、及びアシタバカルコンからなる群より選択された少なくとも1種の物質を含有する脂肪燃焼促進剤も本発明の態様の一つである。
本発明の食品は、本発明の脂肪燃焼促進剤を含有する。本発明の食品の製造方法は、得られる食品に本発明の脂肪燃焼促進剤が含まれていれば特に限定はなく、配合、調理、加工等は一般の食品のものに従えばよい。本発明の食品の種類にも特に限定はなく、例えば、本発明に係る前記有効成分が含有されてなる、錠剤、ハードカプセル剤、ソフトカプセル剤、顆粒剤、穀物加工品、油脂加工品、大豆加工品、食肉加工品、水産物加工品、乳加工品、野菜・果実加工品、菓子類、アルコール飲料、嗜好飲料、調味料、香辛料などの農産・林産加工品、畜産加工品、水産加工品などが挙げられる。前記食品は液体形状であってもよい。すなわち、前記の食品は飲料を包含する。本発明の食品は、健康増強食品として有用であり、例えば、肥満体質あるいは体脂肪率の改善のために用いられる旨の表示を付した食品としてもよい。
本発明の医薬は、本発明の脂肪燃焼促進剤を含有する。本発明の医薬は、脂肪減少作用を有していることから、体内脂肪の減少が治療、予防に有効な疾患にも使用することができる。さらに、前記のとおり本発明の医薬は脂質代謝に関与する酵素群の遺伝子の発現を活性化することから、これら遺伝子の産物の増加が症状の改善や治癒に有効な疾患にも本発明の医薬は有効である。本発明の医薬が治療、予防に有効な疾患としては、例えばメタボリック症候群、糖尿病、高血圧、脂質異常症、インスリン抵抗性等が挙げられる。
本発明の飼料は、本発明の脂肪燃焼促進剤を含有する。本発明の飼料の給餌対象に特に限定はないが、たとえば養殖動物、ペット動物、競技動物などが挙げられる。養殖動物としてはウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラクダ、ラマなどの家畜、マウス、ラット、モルモット、ウサギなどの実験動物、ニワトリ、アヒル、七面鳥、駝鳥などの家禽、魚類が例示される。ペット動物としてはイヌ、ネコなどが例示される。競技動物としては、競走馬、競走犬、競走ラクダ等が例示される。動物飼料としては体調の維持及び/又は改善用飼料が例示される。本発明の飼料としては、飼料添加剤、又は飲料用添加剤が例示される。
本発明の飼料の製造法に特に限定はなく、例えば、飼育しようとする生物に適した公知の飼料に本発明の脂肪燃焼促進剤を含有せしめればよい。また、配合も一般の飼料に準じた、飼育しようとする生物の生育や健康に影響を与えないものとすればよい。
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はそれらの例により限定されない。
実施例1
(1)トゲドコロ加熱処理粉末の調製
トゲドコロ(Dioscorea esculenta)を約5mmにスライスしたものを70℃で約8時間加熱することにより乾燥した。その後、乾燥物をさらに加熱処理(135〜140℃、15秒)し、粉砕することによりトゲドコロ乾燥粉末を得た。
(1)トゲドコロ加熱処理粉末の調製
トゲドコロ(Dioscorea esculenta)を約5mmにスライスしたものを70℃で約8時間加熱することにより乾燥した。その後、乾燥物をさらに加熱処理(135〜140℃、15秒)し、粉砕することによりトゲドコロ乾燥粉末を得た。
(2)トゲドコロ60%エタノール抽出物の分画
トゲドコロ乾燥粉末10gに対して、60%エタノール水溶液100mLを添加し、攪拌しながら25℃で24時間抽出を行った。抽出液を吸引濾過後、濃縮乾固し、乾固物を60%エタノール10mLに溶解した。得られた溶解液のうち2.5mL分をHPLCに処し分画を行った。HPLC条件を表1に示す。
トゲドコロ乾燥粉末10gに対して、60%エタノール水溶液100mLを添加し、攪拌しながら25℃で24時間抽出を行った。抽出液を吸引濾過後、濃縮乾固し、乾固物を60%エタノール10mLに溶解した。得られた溶解液のうち2.5mL分をHPLCに処し分画を行った。HPLC条件を表1に示す。
各フラクションはUV205nmの吸収を指標に表2に示す保持時間ごとに分画した。
次に、分画した各フラクションを濃縮乾固し、乾固物を60%エタノール1mLに溶解した。
(3)フラクション8の構造解析
質量分析装置(API300、Applied Biosystems社製)を用いてフラクション8に含まれる化合物の分子量の測定を行った。その結果、フラクション8に含まれる化合物の分子量は、約1014Daであることが分かった。
質量分析装置(API300、Applied Biosystems社製)を用いてフラクション8に含まれる化合物の分子量の測定を行った。その結果、フラクション8に含まれる化合物の分子量は、約1014Daであることが分かった。
次に、フラクション8の0.1mLに80%エタノール0.2mLを加えて撹拌し、次に10M硫酸0.2mLを加えて100℃で1時間酸加水分解を行った。反応終了後、水3mLを加え、2mLのt−ブチルメチルエーテル(BME)で液―液分配しBME層を回収した。水層については2mLのBMEによる液―液分配をさらに2回繰り返した。次に、計3回の液−液分配により得られたBME層を混合し、そこに1M水酸化ナトリウム水溶液1mLを加え攪拌後BME層を回収した。回収したBME層に再度1M水酸化ナトリウム水溶液1mLを加えて攪拌後、BME層を回収した。得られたBME層に水1mLを加えて攪拌後、BME層を回収して濃縮乾固し、乾固物をエタノール1mLに溶解した。こうして得られた酸加水分解物を表3の条件でHPLC分析し、市販のジオスゲニン標準物質(和光純薬工業社製)と比較した。その結果ジオスゲニンが検出されたことから、フラクション8に含まれる化合物がジオスゲニン配糖体であることが明らかとなった。
実施例2 不飽和脂肪酸とジオスゲニン配糖体との共添加による脂肪酸代謝関連遺伝子の発現量の増強
マウス肝臓由来Hepa1c1c7細胞を、10%ウシ胎児血清、1%Penicillin−Streptomycin含有、ダルベッコ改良イーグル培地(シグマ社製、D5796)に4×105個/mLになるように懸濁した。この細胞懸濁液12穴プレートの各ウェルに2mLずつ加えた後、5%炭酸ガス存在下、37℃で一晩培養した。その後培地を新鮮な培地に交換し、各ウェルに実施例1−(2)で調製したフラクション8をジオスゲニン配糖体の終濃度が2μMになるように、10−ヒドロキシデセン酸(10HDA、キシダ化学社製、378−37792)を終濃度10μM又は20μMになるように、ドコサヘキサエン酸(DHA、シグマ社製、D2534)を終濃度10μM又は100μMになるように、それぞれ単独または共添加し、24時間培養した。なお、陰性対照として終濃度0.2%のジメチルスルホキシド(DMSO)添加の区分を設定した。
マウス肝臓由来Hepa1c1c7細胞を、10%ウシ胎児血清、1%Penicillin−Streptomycin含有、ダルベッコ改良イーグル培地(シグマ社製、D5796)に4×105個/mLになるように懸濁した。この細胞懸濁液12穴プレートの各ウェルに2mLずつ加えた後、5%炭酸ガス存在下、37℃で一晩培養した。その後培地を新鮮な培地に交換し、各ウェルに実施例1−(2)で調製したフラクション8をジオスゲニン配糖体の終濃度が2μMになるように、10−ヒドロキシデセン酸(10HDA、キシダ化学社製、378−37792)を終濃度10μM又は20μMになるように、ドコサヘキサエン酸(DHA、シグマ社製、D2534)を終濃度10μM又は100μMになるように、それぞれ単独または共添加し、24時間培養した。なお、陰性対照として終濃度0.2%のジメチルスルホキシド(DMSO)添加の区分を設定した。
培養終了後、培地を除き、0.5mLのRNAiso Plus(タカラバイオ社製)を加え、細胞を1.5mLのエッペンチューブに回収した。室温で5分間放置後、0.1mLのクロロホルムを加え、乳白色になるまでよく振り混ぜた。再度室温で5分間放置した後、5600×g、15分間、4℃で遠心し、上清を別のエッペンチューブに移した。この上清に0.25mLのイソプロパノールを加え、よく混合し、室温で10分間放置した。5600×g、10分間、4℃で遠心し、得られた沈殿を0.5mLの75%エタノールで洗浄した後、沈殿を乾燥させた。20μLの注射用水で沈殿を溶解し、total RNA水溶液を得た。
逆転写反応及びリアルタイムPCRは、SYBR(登録商標) PrimeScript(登録商標) RT−PCR Kit(タカラバイオ社製)を用いて行った。リアルタイムPCRには、mouse PGC−1α mRNAおよびmouse ACO mRNAのそれぞれに特異的なプライマーと、対照としてmouse Actb mRNA特異的プライマーを用いた。
PGC−1α、ACO、及びActbの各遺伝子より転写されるmRNA発現量の測定に使用されたプライマー対の塩基配列を、配列番号1及び2、配列番号3及び4、並びに配列番号5及び6にそれぞれ示す。
リアルタイムPCRによるmRNA発現量の測定は、Thermal Cycler Dice(登録商標) Real Time System(タカラバイオ社製)を用いて行った。測定は、全て3連で行った。なお、各mRNA発現量は、陰性対照区分のmRNA発現量に対する相対量として算出した。
結果を以下の表4及び表5に示す。すなわち、表4はジオスゲニン配糖体と10HDA、表5はジオスゲニン配糖体とDHAを単独あるいは共添加した細胞における、陰性対照の細胞に対するPGC−1α又はACOのmRNA発現量比を示すものである。ジオスゲニン配糖体の単独添加よりも、10HDAやDHAを共添加することで、PGC−1α又はACOのmRNA発現をさらに発現誘導する活性が認められた。この結果は、ジオスゲニン配糖体と不飽和脂肪酸とによる脂肪燃焼遺伝子発現促進の相乗効果を示すものである。
本発明の脂肪燃焼促進剤を摂取することにより、脂質代謝を亢進させ、体脂肪量を減少させることができる。従って、本発明は特に食品や医薬の分野で有用である。
SEQ ID NO:1 ; Primer to amplify the cDNA fragment of mouse PGC-1alpha gene.
SEQ ID NO:2 ; Primer to amplify the cDNA fragment of mouse PGC-1alpha gene.
SEQ ID NO:3 ; Primer to amplify the cDNA fragment of mouse ACO gene.
SEQ ID NO:4 ; Primer to amplify the cDNA fragment of mouse ACO gene.
SEQ ID NO:5 ; Primer to amplify the cDNA fragment of mouse Actb gene.
SEQ ID NO:6 ; Primer to amplify the cDNA fragment of mouse Actb gene.
SEQ ID NO:2 ; Primer to amplify the cDNA fragment of mouse PGC-1alpha gene.
SEQ ID NO:3 ; Primer to amplify the cDNA fragment of mouse ACO gene.
SEQ ID NO:4 ; Primer to amplify the cDNA fragment of mouse ACO gene.
SEQ ID NO:5 ; Primer to amplify the cDNA fragment of mouse Actb gene.
SEQ ID NO:6 ; Primer to amplify the cDNA fragment of mouse Actb gene.
Claims (12)
- スピロスタン型サポニン、及び不飽和脂肪酸を有効成分として含有することを特徴とする脂肪燃焼促進剤。
- スピロスタン型サポニンがジオスゲニン配糖体である、請求項1に記載の脂肪燃焼促進剤。
- ジオスゲニン配糖体がトゲドコロに由来する、請求項2に記載の脂肪燃焼促進剤。
- 不飽和脂肪酸が10−ヒドロキシ−2−デセン酸又はドコサヘキサエン酸である、請求項1に記載の脂肪燃焼促進剤。
- 10−ヒドロキシ−2−デセン酸がローヤルゼリーに由来する、請求項4に記載の脂肪燃焼促進剤。
- ドコサヘキサエン酸が魚油に由来する、請求項4に記載の脂肪燃焼促進剤。
- トゲドコロ及びローヤルゼリーを含む、請求項1に記載の脂肪燃焼促進剤。
- トゲドコロがトゲドコロの加熱処理物の乾燥粉末である、請求項7に記載の脂肪燃焼促進剤。
- トゲドコロがトゲドコロ加熱処理物の乾燥粉末から含水エタノール抽出された抽出物である、請求項7に記載の脂肪燃焼促進剤。
- 請求項1〜9いずれか1項に記載の脂肪燃焼促進剤を含有することを特徴とする食品。
- 請求項1〜9いずれか1項に記載の脂肪燃焼促進剤を含有することを特徴とする医薬。
- 請求項1〜9いずれか1項に記載の脂肪燃焼促進剤を含有することを特徴とする飼料。
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