JP2006304792A - 内臓脂肪蓄積抑制食品 - Google Patents

内臓脂肪蓄積抑制食品

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Abstract

【課題】内臓脂肪蓄積抑制食品の提供。
【解決手段】ドコサヘキサエン酸又はその誘導体を有効成分として含む、血中アディポネクチン量を上昇させて内臓脂肪を効率よく減少させる内臓脂肪蓄積抑制食品。
【選択図】なし

Description

本発明は、ドコサヘキサエン酸又はその誘導体を含む、内臓脂肪蓄積抑制食品に関する。
日本人の食生活は高度成長期以降、大きく変化してきた。日本伝統の食事スタイルから欧米型の食事スタイルが普及し、脂肪、動物性タンパク質、糖分などを過剰に摂取しがちになっている。
これに伴って、近年、糖尿病、肥満、高脂血症、高血圧等のいわゆる「生活習慣病」が増加している。その中でも肥満の問題は深刻であり、日本においても食生活の変化に伴って肥満の割合は増えつつある。心臓病、脳卒中、糖尿病などの多くの病気は肥満が原因となっている。そして、内臓脂肪の蓄積が認められることが特徴である、「かくれ肥満」や「肥満予備軍」は年々、増えており、社会問題になっている。
一般に肥満を解消するため、運動などにより基礎代謝を活性化させ、内臓脂肪を減少させる方法が行われている。さらに、食事制限によって内臓脂肪を減少させる方法が行われている。しかし、基礎代謝の改善により内臓脂肪を減少させるには、基礎代謝の改善自体に長時間要し、短期間での効果を期待するには無理がある。生活習慣病に悩む患者、特に老人においては、過度の運動を強いることはできず、例えば、食事だけで短期間に内臓脂肪を減少できる治療が期待される。しかし、食事制限によりエネルギー源である脂質の摂取量を制限することは、生命活動の維持において好ましいものではない。
そこで、内臓脂肪蓄積抑制効果がある食品として、褐色脂肪細胞中のミトコンドリアを活性化させる食品の使用が提案されている(特許文献1)。褐色脂肪細胞にはミトコンドリアが多く、アンカップリングプロテイン(UCP)という熱産生タンパク質が含まれており、脂肪を直接取り込んで、内臓脂肪を取り込み、燃焼させることができるからである。
しかし、褐色脂肪細胞中のミトコンドリアを活性化させる食品を使用しても、ヒトにおいて褐色脂肪細胞の量は少ないため、効果は期待されにくい。また、褐色細胞の活性化にはアドレナリンが関与するとされているが、日本人にはβ3アドレナリン受容体が遺伝的に異常である人が3人に1人いるといわれ、さらに、UCPが遺伝的に異常である人が4人に1人いるといわれる。このことが、日本人に「かくれ肥満」や「肥満予備軍」が多い原因ともされ、褐色脂肪細胞中のミトコンドリアを活性化させる食品の使用は、限定的な範囲の患者にしか期待できない。
最近、アディポネクチンが発見され、この血中濃度と内臓脂肪との関係が注目されている。アディポネクチンは、脂肪組織に特異的に発現し、しかも高発現している遺伝子に由来するタンパク質として見出された。その血液中での濃度は脂肪細胞特異的に分泌されるにもかかわらず、肥満、すなわち脂肪を蓄積すると低下し、減量すると増加する(非特許文献1)。そして、アディポネクチンを投与したマウスの体重減少が見られたという報告(非特許文献2)があり、肥満症の病態などに大きく関与すると考えられている(非特許文献3)。
特開平10−231495号公報 Biochem. Biophys. Res.Commun.、1999年、257巻、p.79-83 Proc. Natl. Acad. Sci. USA、2001年、98巻、p.2005 Diabetes、2002年、51巻、p.2325
本発明は、ドコサヘキサエン酸又はその誘導体を有効成分として含む、内臓脂肪蓄積抑制剤、及び内臓脂肪の蓄積抑制用食品を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った。そして、ドコサヘキサエン酸又はその誘導体が血中アディポネクチン量を上昇させて、内臓脂肪を効率よく減少させることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)ドコサヘキサエン酸又はその誘導体を有効成分として含む、内臓脂肪蓄積抑制剤。
本発明において、内臓脂肪蓄積抑制は、例えば血中のアディポネクチンの上昇によるものである。
(2)ドコサヘキサエン酸又はその誘導体を有効成分として含む、内臓脂肪の蓄積抑制用食品。内臓脂肪の蓄積の抑制は、例えば血中のアディポネクチンの上昇によるものである。
本発明において、上記ドコサヘキサエン酸の誘導体には、ドコサヘキサエン酸エチルエステル又はドコサヘキサエン酸結合型リン脂質があげられる。
本発明のドコサヘキサエン酸又はその誘導体を含む内臓脂肪蓄積抑制食品等は、生活習慣病者の内臓脂肪の蓄積を抑制することができる。
さらに、本発明のドコサヘキサエン酸又はその誘導体を有効成分として含む内臓脂肪蓄積抑制食品等は、内臓脂肪蓄積抑制の他に、循環器系疾患の改善やがん化の予防など生理活性を有し、肥満や動脈硬化の悪化の指標となる分子生物学的な血漿のパラメーター、具体的には、インシュリン、PAI-1、CRPを低下させ、さらに、トリアシルグリセロール、コレステロールを低下させることができるため、これらの改善も同時に行うことができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、ドコサヘキサエン酸又はその誘導体を含む、内臓脂肪蓄積抑制剤及び内臓脂肪の蓄積を抑制することができる食品(内臓脂肪蓄積抑制食品)に関する。
<ドコサヘキサエン酸>
ドコサヘキサエン酸(以下、「DHA」ともいう)は、化学式C22H32O2、分子量が328.50で、4,7,10,13,16,19位にシス二重結合を有する炭素数22、n-3系列の直鎖不飽和脂肪酸である。DHAは、イワシ、アジ等の魚類に多く含まれるが、生体内では脳や網膜に局在する。DHAは、いわゆるn-3系列の不飽和脂肪酸を前駆体として、α-リノレン酸(18:3 n-3)
から2回の鎖長伸長と2回の不飽和化反応によりエイコサペンタエン酸(EPA)を経て、さらに鎖長伸長、不飽和化、鎖長短縮の酵素系を経由して工業的に合成できる。DHAは、抗血栓、抗動脈硬化、抗炎症、抗発ガン作用を有するほか、さらに本発明によって、DHAは内臓脂肪を効率よく減少させることができることが示され、この内臓脂肪減少は、血中アディポネクチン量を上昇させることによるものであることが判明した。従って、DHAは、内臓脂肪蓄積抑制食品等に使用することができる。
DHAは遊離の脂肪酸であってもよく、あるいは、ナトリウム、カリウム、カルシウム又はマグネシウムなどの塩の形態であっても有効に作用する。
<DHA誘導体>
DHAの誘導体としては、DHAのカルボキシル基の置換から誘導される誘導体、例えば、エステル誘導体(アシル化物としてアシル化アミノ酸、アシル化サッカライド、アルコールエステル、トコフェロールエステルなど)、リン脂質誘導体、アミド誘導体(例えば、セラミド誘導体)、塩(例えばアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩)などが挙げられるがこれらに限定されない。本発明において、DHAの誘導体として好ましくは、エステル誘導体及びリン脂質誘導体である。
DHAのエステル誘導体としては、メチルエステル誘導体、エチルエステル誘導体、グリセロールエステル誘導体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ここで、DHAのグリセロールエステルとしては、トリグリセリン型を含有するイワシ油、マグロ油、カツオ油等の魚油、タラやイカ等の肝油、あるいはDHAの遊離脂肪酸から合成される合成トリグリセリド、また、DHAのエチルエステル、メチルエステルから合成される合成トリグリセリドが挙げられる。さらには、前記トリグリセリドを加水分解又は酵素分解して得られるDHAのジグリセリン、モノグリセリンも用いることができる。前記のDHAの脂肪酸、メチルエステル及びエチルエステルは、前記の魚油や肝油、リン脂質等を加水分解した後、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)やカラムなどを用いて精製及び濃縮したものを用いることができる。
ここで、DHAのリン脂質誘導体としては、天然由来のDHAがリン脂質のアシル基として結合したDHA結合フォスファチジルコリン、DHA結合フォスファチジルエタノールアミン、DHA結合フォスファチジルセリン、DHA結合フォスファチジルグリセロール、DHA結合イノシトール、DHA結合プラズマローゲンなどが挙げられる。さらには、グリセロフォスファチジルコリンとDHAの遊離脂肪酸やエチルエステルを用いて合成したリン脂質が用いられる。また、前記のようにして得られたリン脂質をリパーゼ、あるいはフォスフォリパーゼによって加水分解して得られるリゾリン脂質なども利用できる。
また、DHA結合フォスファチジルコリンをフォスフォリパーゼDによって塩基交換したフォスファチジルセリンや一級水酸基を有するリン脂質誘導体も利用できる。また、トコフェロールやアスコルビン酸に代表される抗酸化機能物質の一級水酸基にDHAをエステル結合させた誘導体も利用できる。
一般的なDHA結合リン脂質の構造式を下記式(1)に示す。
Figure 2006304792
(式中、R1およびR2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、ドコサヘキサエン酸残基、あるいは炭素数14〜24の飽和またはモノエン脂肪酸残基より選ばれる基を示し、R1およびR2の少なくとも一方は、ドコサヘキサエン酸残基である。R3は、主にホスホリルコリン基またはエタノールアミン基を示す。)
本発明において、R1およびR2は、すべてドコサヘキサエン酸残基であることが好ましいが、R2がドコサヘキサエン酸残基であり、R1がパルミチン酸残基、オレイン酸残基又はステアリン酸残基のDHA結合リン脂質も好ましく使用できる。
DHA結合リン脂質は、合成により製造することができるが、天然物から抽出することもできる。工業的な規模で原料入手が可能な大型の魚卵、塩漬けの鮭や鱒の卵である筋子、筋子をバラバラにしたイクラなどより抽出し製造することができる。
本発明におけるDHA結合型リン脂質のDHA含量は20%以上が好ましく、25%以上が好ましい。例えば、これらの魚卵原料から溶剤をエタノールとして抽出されたDHA結合型リン脂質はDHAを20〜35%含み、リン脂質の70%以上はフォスファチジルコリンである。
<アディポネクチン>
アディポネクチンとは、脂肪細胞で特異的に合成・分泌される分泌タンパク質であり、また、血清タンパク質としても豊富に存在する。アディポネクチンは、ヒトやマウスの様々な肥満形態において調節不能になり、ホメオスタシスに影響を与える重要な分子である。アディポネクチンはまた、Acrp30 (adipocyte complement- related protein of 30kDa)、apM-1、Glatin-binding protein、Adipose most abundunt gene transcript 1 等の別名でも知られており、遺伝子名は、APM1、ACRP30、GBP28として知られている。
内臓脂肪は、消化管の間に蓄積された脂肪組織をいい、具体的には、腸間膜、大網、腎周囲又は副睾丸周囲といった腹膜の表面に付着した脂肪組織をいう。
内臓脂肪は燃焼しやすく、燃焼時には大量に遊離脂肪酸を放出する。この遊離脂肪酸は空腹時の大切なエネルギー源となるが、過剰に存在すると、例えば、高脂血症、糖尿病、高血圧など、いわゆる生活習慣病の原因になるため、好ましくない。また、内臓脂肪が蓄積すると、血中のアディポネクチン量が低下し、また、PAI-1、CRP、レプチン、TNF-α等の値が上昇するが、このような現象は生活習慣病の原因となるため好ましくない。従って、生活習慣病の予防という観点からも、内臓脂肪の蓄積を抑制する必要がある。
ここで、内臓脂肪の蓄積が抑制されたか否かを判断する方法として、アディポネクチンの血中濃度を測定する方法などが挙げられる。
内臓脂肪が蓄積すると血中のアディポネクチンの分泌量が減少する。そして、本実施例により、血中のアディポネクチン濃度が上昇すれば、内臓脂肪の蓄積が抑制されることが明らかとなった。従って、血中のアディポネクチン濃度は、内臓脂肪の蓄積の抑制の指標とすることができる。
なお、DHA又はその誘導体は、血中のアディポネクチン濃度を上昇させることによる内臓脂肪蓄積抑制の他に、肥満や動脈硬化の悪化等の指標となる分子生物学的な血漿のパラメーター、具体的には、インシュリン、PAI-1、CRPを低下させ、さらに、肝臓脂質のプロフィールであるトリアシルグリセロール、コレステロールを低下させることができる。
インシュリンは、21個のアミノ酸残基からなるA鎖と、30個のアミノ酸残基からなる鎖から構成されるペプチドホルモンであり、アディポネクチンは2型糖尿病の原因である、インスリン感受性の低下を改善するため、血中のアディポネクチン濃度は糖尿病の指標となる。
PAI-1(Plasminogen Activator Inhibitor-1)は、血液中の血小板と結合し、出血を止める機能を有するが、内臓脂肪が蓄積するとPAI-1が過剰に分泌されて血栓を形成するため、血中のアディポネクチン濃度は血漿における血液凝固や線溶の指標となる。
CRP(C-reactive protein)は、ウイルスや細菌などに感染した場合など、体内で何らかの原因で炎症が起きている場合に血液中で増加するタンパク質であるが、アディポネクチンと血中CRP濃度とは逆相関し、CRPの低下は動脈硬化の抑制に働く。従って、血中のアディポネクチン濃度は動脈硬化の指標となる。
レプチンは、脂肪組織が分泌する、アミノ酸が167個つながったペプチドホルモンであり、体内の脂肪量を一定に保つ機能を有する。肥大脂肪細胞が小型脂肪細胞へ変化する際にレプチン濃度は低下し、アディポネクチン濃度は上昇することから、血中のアディポネクチン濃度は糖尿病や高脂血症の指標となる。
アディポネクチンは肝臓機能保護作用も発揮するため、肝臓脂質のプロフィールであるトリアシルグリセロール、コレステロールを低下させることもできる。
<内臓脂肪蓄積抑制剤>
DHA又はその誘導体は、血中アディポネクチン量を上昇させて、内臓脂肪を効率よく減少させることができるため、内臓脂肪蓄積抑制剤として使用することができる。
本発明の内臓脂肪蓄積抑制剤に含まれるDHA又はその誘導体は単独でも使用できるが、塩を形成していてもよく、候補物質の塩としては、生理学的に許容される酸(例えば、無機酸や有機酸など)や塩基(例えば、アルカリ金属など)などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸など)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)との塩などが用いられる。
本発明の内臓脂肪蓄積抑制剤は、常法にしたがって製剤化することができ、製剤としては固体でも、液体でもよく、例えばカプセル剤、顆粒剤、乳剤、錠剤、丸剤、糖衣剤、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁物があげられ、医薬的に許容されるキャリアーを含んでもよい。このようなキャリアーは添加物であってもよく、水、医薬的に許容される有機溶剤、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、寒天、ポリエチレングリコール、ジグリセリン、グリセリン、プロピレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、医薬添加物として許容される界面活性剤等が挙げられる。
また、製剤化においては、賦形剤を加えることができる。賦形剤としては、目的によって、充填剤、結合剤、凝固剤、滑たく剤、崩壊剤、色素、甘味料、香料、コーティング剤等を単独もしくは、これらを組み合わせて使用することができる。さらに、DHA又はその誘導体を乳化剤によって、乳化し使用することもできる。
本発明の内臓脂肪蓄積抑制剤は、DHA又はその誘導体を有効成分として含むものであるが、他の油性成分が含まれていてもよい。併用される成分には、EPA、リノレン酸やそれらを含む油脂、リン脂質、脂溶性ビタミン、脂溶性生理活性物質等が挙げられる。DHAが摂取後の生体内で酸化を受けやすいことから、脂溶性の抗酸化剤、トコフェロール、α−リポ酸、CoQ10、カロチノイド、ルテイン、アスタキサンチン、プラズマローゲン、セサミンなどや水溶性の抗酸化剤、アスコルビン酸、アントシアニジン、カテキン、グルタチオン、没食子酸等が挙げられる。これらの成分は、本発明の内臓脂肪蓄積抑制剤の形態に応じて上記の中から単独で、又は適宜組み合わせて用いることができる。
本発明の内臓脂肪蓄積抑制剤の投与形態は、経口、非経口投与のいずれでも可能である。経口投与の場合は、上記したような適当な剤型であるカプセルなどによる投与が可能である。非経口投与の場合は、経肺剤型(例えばネフライザーなどを用いたもの)、経鼻投与剤型、経皮投与剤型(例えば軟膏、クリーム剤)、注射剤型等が挙げられる。注射剤型の場合は、例えば点滴等の静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射等により全身又は局部的に直接的又は間接的に投与することができる。本発明の内臓脂肪蓄積抑制剤の投与量は、年齢、性別、症状、投与経路、投与回数、剤型によって異なる。投与方法は、患者の年齢、症状により上記の方法から適宜選択する。
本発明の内臓脂肪蓄積抑制剤又は内臓脂肪蓄積抑制食品に含まれるDHA又はその誘導体の含有量は、上記のような剤型等にあわせて適宜選択することができるが、例えば、本実施例で得られた値を用いて、以下の2つの一般則(1)(2)を適用することができる。
一般則(1)は、動物実験での効果確認で1%混餌の場合、動物の体重kg当たり1gに相当し、その量はヒトでの適正摂取量の1gに相当する。ここでは、本発明の内臓脂肪蓄積抑制剤に含められうるDHA等の適用量はヒトでは、1.6gとなる。
一般則(2)は、ラットやマウスでの体重1kgの有効量の約1/50がヒトでの適正用量である。200gのラットでは1.6%混餌の場合(餌摂取量20g/日と算定)を、60kgのヒトに換算すると適用量は1.86gとなる。この一般則によれば、本発明の内臓脂肪蓄積抑制剤中に含まれるDHA等の含有量は、DHA等の1日の摂取量が0.5〜25g、好ましくは0.5〜5g、より好ましくは1〜2gとなるように設定することができる。
本発明において、DHA又はその誘導体の内臓脂肪蓄積抑制効果は、肥満モデル動物を用いて確認することができる。例えば、DHA等を肥満モデル動物に投与し、コントロール群としてDHAを含まないコーン油を投与した動物と比較検討することにより、本発明のDHA等投与群が内臓脂肪蓄積抑制効果を有することが示される。肥満モデル動物としては、たとえば、食欲制御ホルモン受容体変異により過食を生じ、肥満、高脂血症、糖尿病を発症するモデル動物であるOLETF (Otsuka Long-Evans Tokushima Fatty)ラットを用いることができる。また、糖尿病を全く発症しないコントロールラットとして、OLETFの野生型ラットであるLETO(Long-Evans Tokushima Otsuka)ラットを用いることができる。
<内臓脂肪蓄積抑制食品>
本発明のDHA又はその誘導体は、医薬品に限らず、食品などにおいて特に適用範囲が広く、極めて有用である。そこで以下に、本発明の内臓脂肪蓄積抑制食品について説明する。
本発明のDHA又はその誘導体を含む食品は、食品の形態に特に制限はなく、一般の加工食品のほかに、健康食品、機能性食品、栄養補助食品、飲料及び食品を含む飲食物、または、これらの添加物とすることができる。
また本発明の食品の態様としては、本発明のDHA又はその誘導体の乾燥粉末、抽出物若しくは精製物をそのまま食材に混合したり、又は、液状、ゲル状、粉末状あるいは固形状の食品、例えば、飲料、茶、スープ、ゼリー、ヨーグルト、アイスクリーム、シャーベット、フローズンヨーグルト、プリン、ドレッシング、マヨネーズ、ふりかけ、味噌、醤油、焼肉のたれ等の調味料、麺類、ハムやソーセージ等の畜肉魚肉加工食品、ジャム、牛乳、クリーム、バターやチーズ等の粉末状、固形状又は液状の乳製品、マーガリン、パン、菓子類の原材料として加工して用いたりすることが挙げられる。本発明の食品は極めて多種類の形態にわたり、前記の例示に限定されるものではないが、内臓脂肪蓄積抑制の点から油脂類や糖質を多量に含む食品類に添加した形態、前記の栄養補助食品や健康食品の形態が好ましい。また、DHAは酸化に弱いため、カプセル形態などであってもよい。
本発明の食品はDHAの他、食品の形態に応じて他の添加物を含むものであってもよい。
このような添加物として、賦形剤、増量剤、結合剤、防湿剤、防腐剤、強化剤、増粘剤、乳化剤、甘味料、酸味料、食品添加物、調味料等を挙げることができる。食品添加物としてはビタミン類、ミネラル、キチン、キトサン、レシチン、ローヤルゼリーなどが挙げられる。調味料としては、グラニュー糖、蜂蜜、ソルビットなどの甘味料、クエン酸、リンゴ酸、洒石酸などの酸味料、香料、色素などが挙げられ、本発明の食品を好みの味や色に調整するために用いることができる。
また、内臓脂肪蓄積の抑制と関連する痩身やダイエットに用いられる公知の素材を併用してもよい。この具体例としては、ガルシニア・カンボジア果皮エキス、ヒドロキシクエン酸及びその塩、ブドウ種子エキス、リンゴ等の果実ポリフェノール、山査子果実エキス、グアバ葉エキス、ギムネマ・シルベスタ葉エキス、イチョウ葉エキス、リパーゼ阻害剤、α−及びβ−アミラーゼ阻害剤、L−カルニチン及びこれを含む畜肉ペプチド、アオサやアオノリ等の緑藻類抽出物、コンブ等の褐藻類エキス、唐辛子末及びそのエキス、ニンニク抽出エキス、スベリヒユ、プーアール茶葉粉末及びそのエキス、杜仲葉末及びそのエキス、ウーロン茶葉粉末及びそのエキス、サイリウム種皮、キサンチン誘導体、シトラス・アウランチウムの抽出エキス、センナ葉又は茎のエキス、陳皮等を挙げることができる。
また、本発明の食品は、DHA又はその誘導体を含むものであるが、他の油性成分が含まれてもよい。併用される成分には、EPA、リノレン酸やそれらを含む油脂、リン脂質、脂溶性ビタミン、脂溶性生理活性物質等が挙げられる。脂溶性の抗酸化剤、トコフェロール、α−リポ酸、CoQ10、カロチノイド、ルテイン、アスタキサンチン、プラズマローゲン、セサミンなどや水溶性の抗酸化剤、アスコルビン酸、アントシアニジン、カテキン、グルタチオン、没食子酸等が挙げられる。これらの添加物等は、本発明の食品の形態に応じて上記の中から単独で、又は適宜組み合わせて用いることができる。
本発明の食品は、当業者が通常行う方法により製造することができる。例えば、粉末状の食品を得るには、DHAに、デキストリン、シクロデキストリン、デンプン、マルトースなどの賦形剤を必要に応じて添加して、凍結乾燥、噴霧乾燥などの乾燥方法により粉末とすることにより得ることができる。また、必要に応じてデキストリン、乳糖、澱粉又はその加工素材、セルロース末等の賦形剤、ビタミン、ミネラル、動植物や魚介類の油脂、タンパク質、糖質、色素、香料、その他の食用添加剤等と共に、当業者が通常行う方法により、粉末、顆粒、ペレット、丸剤、錠剤等に加工したり、ゼラチン等で被覆して、ハードカプセル、ソフトカプセルなどのカプセルに成形したり、あるいはドリンク類にして、栄養補助食品や健康食品として利用できる。DHAを水不溶性カプセル中に封入したものを飲料に混ぜることにより飲料とすることもできる。このような形態は、DHAの空気酸化を防ぐことができる面でも好ましい。
本発明の食品に含まれるDHA又はその誘導体の含有量は、上記のような食品の種類、形態、利用目的や本発明の食品の種類、摂取態様等にあわせて適宜設定することができるが、上記した2つの一般則から算定した、本実施例から推測されるヒトの適正摂取量をもとに設定してもよい。
本発明において、DHA又はその誘導体の内臓脂肪蓄積抑制効果は、上記のように肥満モデル動物を用いて確認することができる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
DHAエチルエステルを用いた実施例
4週齢の雄性OLETFラット6匹に、AIN-76組成に準じた食餌にDHAエチルエステル(精製度97%)を1.6%添加した本発明の食品を摂食させた。OLETFラットは、慢性病である肥満のモデルラットであり、株式会社ホクドーより入手した。食餌組成は表1に示す。
Figure 2006304792
2週間飼育し、9時間絶食後、エーテル麻酔下で腹部大動脈採血により屠殺を行い、脂肪組織を摘出した。血液から血漿を得た。ラットの生育の状態を表2に、摘出した脂肪組織の重量を表3に示す。
Figure 2006304792
Figure 2006304792
なお、本発明の実施例等において、血漿脂質濃度は酵素法により測定した。即ち、アディポネクチン濃度はマウス/ラットアディポネクチンELISAキット(大塚製薬)で測定した。インシュリン濃度は、レビス・ラットインシュリンキット(シバヤギ)で測定した。レプチン濃度は、Rat Leptin ELISA kit(矢内原研究所)で測定した。PAI-1濃度は、IMUCLONE RatPAI-1 ELISA kit(American Diagnostica Inc.)で測定した。CRP濃度は、Rat CRP ELISA kit(Alpha Diagnostic Inc.)を用いて測定した。トリアシルグリセロール濃度は、トリグリセライドE-テストワコー(GPO・DAOS法)(和光純薬)で測定した。コレステロール濃度は、C-E-テストワコー(コレステロールオキシダーゼ・DAOS法)(和光純薬)で測定した。
比較例1
4週齢の雄性OLETFラット6匹に、AIN-76組成に準じた食餌に紅花油(αリノレン酸精製度78%)を2%添加し、他は実施例1と同様に実験した。実験に用いた食餌組成は上記表1のとおりである。
上記表2の結果より、本発明の食品を摂取させても、比較例のコントロールと同様に生育できることが明らかである。
上記表3の結果より、本発明の食品を摂食させることで、内臓脂肪の減少が認められ、内臓脂肪蓄積の抑制効果がみられた(図1)。また、食餌による血清中のパラメーターを表4に示す。
Figure 2006304792
表4の結果より、本発明の食品を摂食させることで、肥満や動脈硬化の悪化の指標となる分子生物学的な血漿のパラメーター、具体的には、インシュリン、PAI-1、CRPを低下させた。
DHA結合型リン脂質を用いた実施例
食餌組成及び飼育方法は以下の方法によって行った。
4週齢の雄性OLETFラットを1週間予備飼育し、2群に分け(1群6匹)、対照群(Con群)として、5週齢からAIN-76組成に準じた食餌を摂取させ、他の一群をDHA群としてDHA結合型リン脂質を2%添加した食餌を摂食させた。食餌組成は表5に示す。
Figure 2006304792
今回使用したDHA結合型リン脂質は、イクラから抽出したDHA結合型リン脂質(日本油脂株式会社製 サンオメガPC-DHA-N)100gを、-80℃で冷却した1Lのアセトン中に滴下し、不溶成分として沈殿したリン脂質画分を濾過して溶媒を留去して再抽出したものを使用した。組成に関しては表6および表7に示す。
サフラワー油は、高リノール酸含有サフラワー油(ルノール酸78%含有)を用いた。
Figure 2006304792
Figure 2006304792
表6の脂質組成は、薄層クロマトグラフィーに脂質をスポットし、展開溶媒をクロロホルム-メタノール-水(65:25:4(v/v))で分離した。終了後、50%硫酸で検出を行い、デンシトメーターのシグナル比で定量した。表7の脂肪酸組成分析はガスクロマトグラフィーで行った。
なお、本発明の実施例等において、血漿脂質濃度は酵素法により測定した。即ち、アディポネクチン濃度はマウス/ラットアディポネクチンELISAキット(大塚製薬)で測定した。インシュリン濃度は、レビス・ラットインシュリンキット(シバヤギ)で測定した。レプチン濃度は、Rat Leptin ELISA kit(矢内原研究所)で測定した。トリアシルグリセロール濃度は、トリグリセライドE-テストワコー(GPO・DAOS法)(和光純薬)で測定した。コレステロール濃度は、C-E-テストワコー(コレステロールオキシダーゼ・DAOS法)(和光純薬)で測定した。
比較例2
実施例2に準拠し、4週齢の雄性OLETFラットを1週間予備飼育し、2群に分け(1群6匹)、対照群(Con群)として、5週齢からAIN-76組成に準じた食餌を摂取させ、紅花油(αリノレン酸精製度78%)を2%添加した食餌を摂食させた。食餌組成は表5に示す。
表8の結果より、本発明の食品を摂取させても、比較例のコントロールと同様に生育できることが明らかである。
Figure 2006304792
表9、図2及び図3の結果より、本発明の食品を摂食させることで、内臓脂肪の減少が認められ、内臓脂肪蓄積の抑制効果がみられた。
Figure 2006304792
また、食餌による血清中のパラメーターを表10に示す。
Figure 2006304792
血清中アディポネクチンの測定
本発明のDHA又はその誘導体を有効成分含む食品は、内臓脂肪蓄積抑制効果があることが確認されたが、その作用を確認するため、実施例及び比較例におけるラットの血清中のアディポネクチン量を測定した。結果を表11に示す。
Figure 2006304792
表11の結果より、本発明のDHA又はその誘導体を有効成分として含む食品は、血中のアディポネクチンを上昇させることで、内臓脂肪の蓄積を抑制し、これを減少させることが確認された。
血清中アディポネクチンの測定
実施例3と同様に実施例2および比較例2におけるラットの血清中のアディポネクチン量を測定した。結果を表12に示す。
Figure 2006304792
表12の結果より、本発明のDHA又はその誘導体を有効成分として含む食品は、血中のアディポネクチンを上昇させることで、内臓脂肪の蓄積を抑制し、これを減少させることが確認された。
DHA含有食の2週間摂取により内蔵脂肪の低下傾向が認められたことを示す図である。 肥満モデルOLETFラットを用いてDHA結合型リン脂質の生理作用評価を行ったことを示す図である。 DHA結合型リン脂質含有食の4週間摂取により内蔵脂肪の低下傾向が認められたことを示す図である。

Claims (6)

  1. ドコサヘキサエン酸又はその誘導体を有効成分として含む、内臓脂肪蓄積抑制剤。
  2. 内臓脂肪蓄積抑制が血中のアディポネクチンの上昇によるものである、請求項1記載の内臓脂肪蓄積抑制剤。
  3. ドコサヘキサエン酸又はその誘導体を有効成分として含む、内臓脂肪の蓄積抑制用食品。
  4. 内臓脂肪の蓄積抑制が血中のアディポネクチンの上昇によるものである、請求項3記載の食品。
  5. ドコサヘキサエン酸の誘導体がドコサヘキサエン酸エチルエステル又はドコサヘキサエン酸結合型リン脂質である請求項1又は2記載の内臓脂肪蓄積抑制剤。
  6. ドコサヘキサエン酸の誘導体がドコサヘキサエン酸エチルエステル又はドコサヘキサエン酸結合型リン脂質である請求項3又は4記載の食品。


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