JP7218175B2 - 脂質吸着剤 - Google Patents
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Description
近年の食生活の欧米化や運動不足などにより、脂質異常症やその予備軍が増えており、上記のような生活習慣病を招くことから問題視されている。
例えば、特許文献1は、加水分解したアルギン酸カリウムを、高脂肪食を与えたマウスに経口投与した結果、高脂肪食摂取による体重増加、内臓脂肪蓄積、及び肝臓脂肪蓄積が抑制されたことを開示している。
また、特許文献2は、アルギン酸カルシウムを、高脂肪食を与えたラットに経口投与した結果、高脂肪食摂取による体重増加、血液中のトリグリセリド濃度の増加が抑制され、また、糞中へのトリグリセリド排泄量が増加したことを開示している。
また、非特許文献1は、アルギン酸ナトリウム又は加水分解アルギン酸ナトリウムを、高脂肪食を与えたラットに経口投与した結果、高脂肪食摂取による食後の血清および肝臓トリグリセリド濃度の上昇が抑制されたことを開示している。また、加水分解アルギン酸ナトリウムを、高脂肪食を与えたラットに経口投与した結果、糞中へのトリグリセリドの排泄が促進されたことを開示している。
また、非特許文献2は、健常な日常生活を送るヒト成人が、脂肪負荷食と共にアルギン酸カルシウムを摂取した結果、脂肪負荷食摂取による食後の血中トリグリセリド濃度の上昇が抑制されたことを開示している。
従って、従来の脂質吸収抑制成分よりも優れた脂質吸収抑制作用を有する成分が求められている。
本発明は、この知見に基づき完成されたものであり、下記の脂質吸着剤、脂質吸収抑制用組成物、及び脂質排出促進用組成物を提供する。
〔1〕 アルギン酸アンモニウムを含有する、脂質吸着剤。
〔2〕 アルギン酸アンモニウムの粘度が、20℃の1w/v%濃度において、10~1000mPa・sである、〔1〕に記載の脂質吸着剤。
〔3〕 さらに、アルギン酸カルシウムを含有する、〔1〕又は〔2〕に記載の脂質吸着剤。
〔4〕 アルギン酸アンモニウム1質量部に対して、アルギン酸カルシウムを0.01~20質量部含む、〔3〕に記載の脂質吸着剤。
〔5〕 ナトリウム含有量が1質量%以下である、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の脂質吸着剤。
〔6〕 カリウム含有量が3質量%以下である、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の脂質吸着剤。
〔7〕 〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の脂質吸着剤を含有する、脂質の吸収を抑制するために用いられる食品組成物。
〔8〕 〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の脂質吸着剤を含有する、脂質の排出を促進するために用いられる食品組成物。
〔9〕 〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の脂質吸着剤を含有する、血中脂質濃度の上昇を抑制するために用いられる食品組成物。
〔10〕 〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の脂質吸着剤を含有する、脂質異常症の予防又は改善のために用いられる食品組成物。
〔11〕 〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の脂質吸着剤を含有する、生活習慣病の予防又は改善のために用いられる食品組成物。
〔12〕 〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の脂質吸着剤を含有する、肥満の予防又は改善のために用いられる食品組成物。
経口投与したアルギン酸塩はほとんどが未変化のまま排泄されることが知られている(「添加物評価書 アルギン酸及びその塩類」2006年3月)。従って、アルギン酸アンモニウムは、消化管腔内で脂質を吸着し、吸着した脂質を消化管にほとんど吸収させずに体外に排出させる。アルギン酸アンモニウムは多量の水を保持してコロイド状の粘稠な液(ゾル)、又はより高い粘性を持ち流動性を失ったゲルを形成する性質があるため、脂質がゾル又はゲルに包まれて体外に排出されると考えられる。
(1)脂質吸着剤
本発明の脂質吸着剤は、アルギン酸アンモニウムを含有する剤である。特に、アルギン酸アンモニウムからなる脂質吸着剤であり得る。
アルギン酸アンモニウム
アルギン酸は、海藻に多く含まれる成分であり、D-マンヌロン酸とL-グルクロン酸からなる多糖類である。
アルギン酸アンモニウムは、食品添加物としての使用が認められており、市販されているため、市販品を購入することができる。また、アルギン酸の中和によっても得ることができる。
アルギン酸アンモニウムは、天然アルギン酸のアンモニウム塩であってもよく、天然アルギン酸より低分子量のアルギン酸のアンモニウム塩であってもよい。低分子量アルギン酸アンモニウムは、天然アルギン酸の加水分解物の中和、又は天然アルギン酸のアンモニウム塩の加水分解により得ることができる。加水分解は、酸処理、加熱、加圧、アルギン酸リアーゼなどの酵素による処理、又はこれらの併用により行うことができる。
本発明の脂質吸着剤は、さらにアルギン酸カルシウムを含むことができる。これにより、脂質吸着能が向上する。特に、アルギン酸アンモニウムとアルギン酸カルシウムからなる脂質吸着剤であり得る。
アルギン酸カルシウムは、食品添加物としての使用が認められており、市販されているため、市販品を購入することができる。また、アルギン酸の中和によっても得ることができる。
アルギン酸カルシウムは、天然アルギン酸のカルシウム塩であってもよく、天然アルギン酸より低分子量のアルギン酸のカルシウム塩であってもよい。
本発明の脂質吸着剤がナトリウムを含む場合のその含有量は、剤の全量に対して、1質量%以下、中でも0.5質量%以下、中でも0.3質量%以下が望ましい。
ナトリウムは、カリウムと共に、体内の水分バランス維持、細胞外液の浸透圧維持、循環血流量維持、酸・塩基平衡の維持、筋肉の収縮、神経情報伝達、栄養素の吸収・輸送などに関与しているが、ナトリウム摂取量が過剰になると、高血圧、ガン、腎障害などの原因となる。通常の食生活ではナトリウムの必要摂取量を超えることが多いため、本発明の脂質吸着剤に含まれるナトリウム量はできるだけ少ないことが望ましく、含まれないことが最も好ましい。
本発明の脂質吸着剤中がカリウムを含む場合のその含有量は、剤の全量に対して、3質量%以下、中でも1質量%以下、中でも0.3質量%以下が望ましい。
カリウムは、ナトリウムとともに、細胞の浸透圧を維持している他、酸・塩基平衡の維持、神経情報伝達、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節などに関与している。また、カリウムは腎臓でのナトリウムの再吸収を抑制して、尿中への排泄を促進するため、血圧を下げる効果がある。一方で、腎機能が低下している場合にカリウム摂取量が過剰になると、カリウム排泄が不十分になり、筋収縮が調節できなくなり、四肢のしびれ、心電図異常などの症状が現れる場合がある。通常の食生活ではカリウムの必要摂取量を超えることが多いため、本発明の脂質吸着剤に含まれるカリウム量はできるだけ少ないことが望ましく、含まれないことが最も好ましい。
上記の通り、食品に含まれる脂肪の多くは中性脂肪、特にトリグリセリドである。摂取されたトリグリセリドは十二指腸で胆汁により乳化され、次いで、膵臓や胃から分泌されるリパーゼの働きで、モノグリセリド、脂肪酸、グリセロールなどに分解される。水溶性が高いグリセロールはそのまま小腸上皮細胞に吸収されるが、モノグリセリドと脂肪酸は、胆汁酸などで構成されたミセルに取り込まれて小腸上皮細胞に吸収される。小腸上皮細胞に入ったこれらの脂質分解物乳化物は、リンパ管経由で血液中に入り全身へ運ばれるか、又は門脈経由で肝臓に運ばれる。
また、摂取されたコレステロールは、モノグリセリドと胆汁酸との混合ミセルに取り込まれて小腸上皮細胞に吸収され、肝臓に運ばれる。
本発明の脂質吸着剤を摂取すると、消化管腔内で様々な脂質を吸着して、それらが消化管、特に小腸上皮細胞に取り込まれるのを阻害又は抑制する。即ち、様々な脂質ないしは脂肪を包み込んで、或いは絡め取って、体内への取り込み又は吸収を抑制し、体外への排出を増加させる。
中性脂肪は、動物の脂肪組織に蓄えられる脂質、及び食品中の脂質のほとんどを占め、中でもトリグリセリドの占める割合が極めて高い。従って、本発明の脂質吸着剤の好適な対象は、非極性又は中性脂質、中でも中性脂肪、中でもトリグリセリドである。トリグリセリド中のアシル基の炭素数、及び不飽和結合の数は特に限定されず、食品に含まれるあらゆるトリグリセリドを対象とすることができる。
用途
本発明の組成物は、上記説明した本発明の脂質吸着剤を含む組成物、即ち、アルギン酸アンモニウムを含む組成物、又はアルギン酸アンモニウムとアルギン酸カルシウムを含む組成物であり、脂質吸着のために使用することができる。
摂取したアルギン酸塩は、そのほとんどが消化管腔から消化管内に吸収されずに便に含まれて体外に排出されることから、アルギン酸アンモニウム、又はアルギン酸アンモニウムとアルギン酸カルシウムを含む本発明の組成物は、脂質が体内に吸収されるのを抑制するために用いることができる。また、脂質が便に含まれて体外に排出されるのを促進するために使用することができる。
また、本発明の組成物は、脂質の体内への吸収を抑制し、又は脂質の体外への排出を促進するため、血中脂質濃度を低下させ、又は血中脂質濃度の上昇を抑制するために使用することができる。中でも、血中中性脂肪濃度を低下させるのに好適であり、食後(特に、脂質を多く含む食事をした後)の血中中性脂肪濃度の上昇を穏やかにするために使用できる。血中中性脂肪濃度が高いと、内臓脂肪や体脂肪が蓄積することから、本発明の組成物は、内臓脂肪や体脂肪を減らしたり、それらの蓄積を低減するために使用できる。さらに、それにより、体重の減少を促したり体重の増加を抑制するため、身体のサイズ(特に、お腹周りのサイズ)を減らすため、或いは、高めのBMI(Body Mass Index)を改善するために使用できる。また、本発明の組成物は、血中のLDL-コレステロール(悪玉コレステロール)や総コレステロールの濃度を低下させるのにも好適に使用できる。
本発明の組成物の性状は特に限定されず、固形状又は液体状の何れであってもよい。本発明において、固形状は半固形状、ゲル状などを包含し、液体状は流動状、粘液状などを包含する。半固形状は、力を加えることにより変形させ得る塑性を有する性状をいう。
本発明の組成物は食品組成物とすることができる。この場合、一般にサプリメントと称されるような経口投与製剤の形態を採ることができる。
固形状の経口投与製剤としては、錠剤、散剤、顆粒剤、丸剤、カプセル剤(軟カプセル剤、硬カプセル剤)などが挙げられる。特殊な錠剤として、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、バッカル錠、発泡錠、分散錠、溶解錠、トローチ剤、舌下錠なども挙げられる。また、液体状の経口投与製剤としては、液剤が挙げられる。特殊な液剤として、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、リモナーデ剤、シロップ剤などが挙げられる。
アルギン酸アンモニウムは高粘度の水溶液を与え、またアルギン酸カルシウムは水難溶性であることから、服用し易く、かつ必要量を配合し易い点で、固形製剤が好ましい。固形製剤としてはカプセル剤、特に硬カプセル剤が好ましい。また、液体製剤も好ましい。
本発明の組成物は、一般食品組成物にアルギン酸アンモニウム、又はアルギン酸アンモニウムとアルギン酸カルシウムを配合したものであってもよい。一般食品組成物にはペットの餌が含まれる。
食品の種類は限定されず、米飯、雑穀飯のような飯類;そば、うどん、パスタ、はるさめ、中華麺、即席麺、カップ麺のような麺類;カレールーなどのルー、シチュー、スープ類;アイスクリーム、シャーベット、かき氷のような冷菓;ゼリー、寒天菓子、プリン、ガム、飴、グミ、焼き菓子(クッキー、ビスケットなど)、スナック菓子、チョコレート、錠菓、ジャム、クリームのような菓子類;かまぼこ、はんぺん、ハム、ソーセージ、チーズ、ヨーグルトのような水産・畜産加工食品;食用油、バター、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシングのような油脂及び油脂加工食品;サラダ、惣菜、ふりかけ、漬物、味噌などの固形状食品が挙げられる。
また、栄養ドリンク、果汁や野菜などを含むジュース、茶飲料、コーヒー飲料、清涼飲料、炭酸飲料、乳製品(乳酸飲料、乳飲料、発酵乳など)、スポーツ飲料のようなノンアルコール飲料などの飲料;ソース、ドレッシング、醤油、たれのような調味料などの液体状食品が挙げられる。
本発明の組成物は、医薬組成物、又は医薬部外品組成物とすることもできる。何れの場合も経口投与製剤、又はチューブを用いて消化管内に投与する製剤とすることができる。製剤の具体例、アルギン酸アンモニウム及びアルギン酸カルシウムの含有量などは、製剤形態の食品組成物について説明した通りである。
本発明の組成物は、アルギン酸アンモニウム及びアルギン酸カルシウム以外の活性成分や、添加剤を含むことができる。
アルギン酸アンモニウム及びアルギン酸カルシウム以外の活性成分、及び添加物は、それぞれ、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
活性成分としては、アルギン酸アンモニウム及びアルギン酸カルシウム以外の脂質吸着成分、リパーゼ阻害成分、ミセル形成阻害成分などの脂質吸収抑制成分や、脂質代謝促進成分が挙げられる。
これらの成分は、アルギン酸アンモニウムと共に、相乗的な脂質吸着効果、脂質吸収抑制効果、脂質排出促進効果、又は血中脂質濃度上昇抑制効果を奏することが期待される。
添加物としては、乳化剤、酸化防止剤、保存料又は防腐剤、防かび剤、増粘剤(安定化剤、ゲル化剤、糊料とも称される)、ガムベース、光沢剤、酸味料、甘味料、矯味剤、着色料、pH調整剤などが挙げられる。また、この他に、カプセル基剤、可塑剤、賦形剤又は分散剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、溶解補助剤、その他の乳化剤、等張化剤、緩衝剤、その他の防腐剤なども挙げられ、これらは、製剤形態を採る組成物に好適に配合できるが、一般食品組成物にも配合できる。
可塑剤は、ソフトカプセル基剤に添加されるものであり、グリセリン、ソルビトールなどが挙げられる。
本発明の組成物が乳化剤又は分散剤を含む場合のその含有量は、アルギン酸アンモニウム1質量部に対して、0.1質量部以上、1質量部以上、又は5質量部以上とすることができ、また、30質量部以下、20質量部以下、又は10質量部以下とすることができる。この範囲であれば、乳化剤又は分散剤の配合により、アルギン酸アンモニウム、又はアルギン酸アンモニウムとアルギン酸カルシウムによる脂質吸着効果を十分に向上させることができる。
本発明の組成物は、アルギン酸アンモニウムのヒト成人の1日摂取量又は投与量が100mg以上、200mg以上、300mg以上、600mg以上、又は900mg以上となるように、摂取又は投与することができる。この範囲であれば、血中脂質濃度の上昇を十分に抑制できる。また、アルギン酸が食品成分であることから、アルギン酸アンモニウムのヒト成人の1日摂取量又は投与量の上限値は特に制限されないが、例えば、1500mg以下、2400mg以下、又は3000mg以下とすることができる。
1日摂取又は投与回数は、1回、2回、3回、4回、又は5回などとすることができ、1~3回が好ましい。食事、特に高脂質食と共に摂取することも好ましい。
使用期間は、対象者の食生活、状態、又は症状に合わせて適宜設定できる。単回使用でもよく、長期継続して使用してもよい。
試験例1(アルギン酸アンモニウムの脂質吸着作用の評価No.1)
表1に組成を示す被験試料1~6を、それぞれ容量2mLのプラスチックチューブに入れ、そこにコーン油(生化学用,和光純薬株式会社製)を300μL加えた。得られた混合物を混和した後、そこに0.002%トリパンブルー水溶液を1mL加え、再度混和した。その後、16時間静置した。トリパンブルー水溶液を加えて混和した直後の状態、及び16時間静置後の状態を図1及び図2にそれぞれ示す。
トリパンブルーは、水に溶解するが油には溶解しないことから、水相を青色に着色するために用いた。
アルギン酸カルシウムのみを含む被験試料1は、トリパンブルー水溶液を加えて混和した直後にコーン油が液面に浮いているが、アルギン酸アンモニウムを含む被験試料2~6は、コーン油が液面に浮いていない。コーン油が、これらのアルギン酸塩のゲル又はゾル中に補足されることで吸着されていると考えられる。なお、アルギン酸アンモニウム及びアルギン酸カルシウムは、疎水性部分を有さず界面活性剤でないことに加え、混和液が白濁していないことから、アルギン酸アンモニウム及びアルギン酸カルシウムが乳化作用により、コーン油の分離を抑制したのではないことが分かる。
アルギン酸カルシウムのみを含む被験試料1、及びアルギン酸アンモニウムのみを含む被験試料6は、16時間静置後にはコーン油が液面に浮いているが、アルギン酸アンモニウムとアルギン酸カルシウムを含む被験試料2~5は、コーン油が液面に浮いておらず、アルギン酸アンモニウムとアルギン酸カルシウムの混合物に吸着していることが分かる。アルギン酸アンモニウムとアルギン酸カルシウムとの相乗効果が認められた。
摂取した食品が小腸から大腸に移動するのは、摂取の約11~13時間後である。アルギン酸アンモニウムとアルギン酸カルシウムは、消化管腔内で、少なくとも16時間は脂質を吸着しているため、体内への脂質の吸収を十分に抑制することができる。
表1に組成を示す被験試料2、5、及び6を、それぞれ容量2mLのプラスチックチューブに入れ、そこに45℃に加温した純製ラード(雪印メグミルク株式会社製)を300μL加えた。得られた混合物を混和した後、そこに45℃に加温した0.002%トリパンブルー水溶液を1mL加え、再度混和した。その後、室温にて自然冷却を行った。自然冷却後の状態を図3に示す。
アルギン酸アンモニウムのみを含む被験試料6は、ラードの分離が大きいが、アルギン酸アンモニウムとアルギン酸カルシウムを含む被験試料2及び5は、ラードの分離が小さい。アルギン酸アンモニウムとアルギン酸カルシウムを併用することで、アルギン酸アンモニウム単独の場合に比べて、脂質吸着力が向上したことが分かる。
また、コーン油、及びラードは、中性脂肪、特にトリグリセリドを多く含み、その他の様々な脂質も含む混合物である。従って、アルギン酸アンモニウム、及びアルギン酸アンモニウムとアルギン酸カルシウムとの混合物は、広範囲の脂質を吸着できることが示された。
試験例1、2に供したアルギン酸アンモニウムの1w/v%水溶液の粘度を下記方法で測定した結果、350mPa・sであった。
(粘度測定条件)
粘度の測定条件は、以下の通りである。
測定機器:B型回転粘度計(TVB-10形;東機産業株式会社製)
測定温度:20℃
回転数:30rpm
ローター:適宜選択
測定値:測定開始から60秒後の数値を測定値とした。
Claims (11)
- アルギン酸アンモニウム及びアルギン酸カルシウムを含有する、脂質吸着剤。
- アルギン酸アンモニウムの粘度が、20℃の1w/v%濃度において、10~1000mPa・sである、請求項1に記載の脂質吸着剤。
- アルギン酸アンモニウム1質量部に対して、アルギン酸カルシウムを0.01~20質量部含む、請求項1又は2に記載の脂質吸着剤。
- ナトリウム含有量が1質量%以下である、請求項1~3のいずれかに記載の脂質吸着剤。
- カリウム含有量が3質量%以下である、請求項1~4のいずれかに記載の脂質吸着剤。
- 請求項1~5のいずれかに記載の脂質吸着剤を含有する、脂質の吸収を抑制するために用いられる食品組成物。
- 請求項1~5のいずれかに記載の脂質吸着剤を含有する、脂質の排出を促進するために用いられる食品組成物。
- 請求項1~5のいずれかに記載の脂質吸着剤を含有する、血中脂質濃度の上昇を抑制するために用いられる食品組成物。
- 請求項1~5のいずれかに記載の脂質吸着剤を含有する、脂質異常症の予防又は改善のために用いられる食品組成物。
- 請求項1~5のいずれかに記載の脂質吸着剤を含有する、生活習慣病の予防又は改善のために用いられる食品組成物。
- 請求項1~5のいずれかに記載の脂質吸着剤を含有する、肥満の予防又は改善のために用いられる食品組成物。
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