JP2020105090A - 脂質吸着剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】脂質を効果的に吸着する脂質吸着剤を提供する。【解決手段】アルギン酸アンモニウムを含有する脂質吸着剤。アルギン酸アンモニウムの粘度は、20℃の1w/v%濃度において、20〜900mPa・sであることが好ましい。本発明の脂質吸着剤は、さらに、アルギン酸カルシウムを含有することが好ましく、この場合、アルギン酸アンモニウム1質量部に対して、アルギン酸カルシウムを0.01〜20質量部含むことが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、脂質吸着剤、及びこれを含む食品などの組成物に関する。
血液中には、主な脂質として、中性脂肪、コレステロール、遊離脂肪酸、リン脂質などが存在する。これらは、摂取した脂質の再合成や、糖質などからの代謝により生成する。中でも、血液中の中性脂肪濃度が高いと、動脈硬化が進み、脂肪肝などの内臓脂肪蓄積や肥満を誘発し、さらに急性膵炎を発症することもある。また、血液中のコレステロール濃度に異常があり、特にLDL-コレステロール濃度が高いと、動脈硬化が進み、脳梗塞、心筋梗塞など血管系の病気を発症し易くなる。血中のトリグリセリド(主な中性脂肪)濃度が一定値以上、LDL-コレステロール濃度が一定値以上、又はHDL-コレステロール濃度が一定値未満の場合、脂質異常症とされる。また、血液中の遊離脂肪酸が過剰になると、中性脂肪として脂肪組織に蓄えられたり、高脂血症などの脂質異常症を招いたり、インスリン抵抗性を増大させて糖尿病を誘発したりする。
近年の食生活の欧米化や運動不足などにより、脂質異常症やその予備軍が増えており、上記のような生活習慣病を招くことから問題視されている。
ここで、アルギン酸のカリウム塩、カルシウム塩、及びナトリウム塩は、脂質の体内への吸収を抑制する作用や脂質の体外への排出を促進する作用を有することが知られている。
例えば、特許文献1は、加水分解したアルギン酸カリウムを、高脂肪食を与えたマウスに経口投与した結果、高脂肪食摂取による体重増加、内臓脂肪蓄積、及び肝臓脂肪蓄積が抑制されたことを開示している。
また、特許文献2は、アルギン酸カルシウムを、高脂肪食を与えたラットに経口投与した結果、高脂肪食摂取による体重増加、血液中のトリグリセリド濃度の増加が抑制され、また、糞中へのトリグリセリド排泄量が増加したことを開示している。
また、非特許文献1は、アルギン酸ナトリウム又は加水分解アルギン酸ナトリウムを、高脂肪食を与えたラットに経口投与した結果、高脂肪食摂取による食後の血清および肝臓トリグリセリド濃度の上昇が抑制されたことを開示している。また、加水分解アルギン酸ナトリウムを、高脂肪食を与えたラットに経口投与した結果、糞中へのトリグリセリドの排泄が促進されたことを開示している。
また、非特許文献2は、健常な日常生活を送るヒト成人が、脂肪負荷食と共にアルギン酸カルシウムを摂取した結果、脂肪負荷食摂取による食後の血中トリグリセリド濃度の上昇が抑制されたことを開示している。
アルギン酸カリウム及びアルギン酸ナトリウムは、カリウムやナトリウムの摂取を制限する必要がある人が十分に脂質の吸収を抑制できる量を摂取することが難しい。また、アルギン酸カルシウムは水不溶性であるため、十分に脂質の吸収を抑制できる量を食品、特に液状食品中に配合することが難しい。
従って、従来の脂質吸収抑制成分よりも優れた脂質吸収抑制作用を有する成分が求められている。
特開2011-21012号 特開2017-95403号
日本食物繊維学会誌, 8(1), 13−20 2004 食生活研究 33(2), 41-46, 2013
本発明は、脂質を効果的に吸着する脂質吸着剤、脂質の体内への吸収を効果的に抑制する脂質吸収抑制用組成物、及び脂質の体外への排出を効果的に促進する脂質排出促進用組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために研究を重ね、アルギン酸塩の中でも、特にアルギン酸アンモニウムが脂質の吸着能が高いことを見出した。また、アルギン酸アンモニウムとアルギン酸カルシウムを併用することにより、両成分が相乗的に作用して、脂質の吸着能が一層高くなることを見出した。
本発明は、この知見に基づき完成されたものであり、下記の脂質吸着剤、脂質吸収抑制用組成物、及び脂質排出促進用組成物を提供する。
〔1〕 アルギン酸アンモニウムを含有する、脂質吸着剤。
〔2〕 アルギン酸アンモニウムの粘度が、20℃の1w/v%濃度において、10〜1000mPa・sである、〔1〕に記載の脂質吸着剤。
〔3〕 さらに、アルギン酸カルシウムを含有する、〔1〕又は〔2〕に記載の脂質吸着剤。
〔4〕 アルギン酸アンモニウム1質量部に対して、アルギン酸カルシウムを0.01〜20質量部含む、〔3〕に記載の脂質吸着剤。
〔5〕 ナトリウム含有量が1質量%以下である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の脂質吸着剤。
〔6〕 カリウム含有量が3質量%以下である、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の脂質吸着剤。
〔7〕 〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の脂質吸着剤を含有する、脂質の吸収を抑制するために用いられる食品組成物。
〔8〕 〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の脂質吸着剤を含有する、脂質の排出を促進するために用いられる食品組成物。
〔9〕 〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の脂質吸着剤を含有する、血中脂質濃度の上昇を抑制するために用いられる食品組成物。
〔10〕 〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の脂質吸着剤を含有する、脂質異常症の予防又は改善のために用いられる食品組成物。
〔11〕 〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の脂質吸着剤を含有する、生活習慣病の予防又は改善のために用いられる食品組成物。
〔12〕 〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の脂質吸着剤を含有する、肥満の予防又は改善のために用いられる食品組成物。
アルギン酸アンモニウムは、脂質の体内への吸収を抑制することが知られている従来のアルギン酸塩に比べて、脂質を吸着する作用が格段に強い。従って、アルギン酸アンモニウムを摂取することにより、消化管腔内で脂質を効果的に吸着することができる。
経口投与したアルギン酸塩はほとんどが未変化のまま排泄されることが知られている(「添加物評価書 アルギン酸及びその塩類」2006年3月)。従って、アルギン酸アンモニウムは、消化管腔内で脂質を吸着し、吸着した脂質を消化管にほとんど吸収させずに体外に排出させる。アルギン酸アンモニウムは多量の水を保持してコロイド状の粘稠な液(ゾル)、又はより高い粘性を持ち流動性を失ったゲルを形成する性質があるため、脂質がゾル又はゲルに包まれて体外に排出されると考えられる。
このため、アルギン酸アンモニウムを摂取することにより、高脂質食を摂取した場合でも、血中脂質濃度の上昇が抑制され、高脂血症などの脂質異常症、それによる、動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞、脂肪肝のような内臓脂肪蓄積、糖尿病、肥満などの生活習慣病を未然に防いだり、改善することができる。
アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カルシウム、及びそれらの混合物を、それぞれコーン油含有水に添加した直後の、コーン油の吸着の程度を示す図である。 アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カルシウム、及びそれらの混合物を、それぞれコーン油含有水に添加して16時間静置した後の、コーン油の吸着の程度を示す図である。 アルギン酸アンモニウム、及びアルギン酸アンモニウムとアルギン酸カルシウムとの混合物を、それぞれラード油含有水に添加した後の、ラードの吸着の程度を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)脂質吸着剤
本発明の脂質吸着剤は、アルギン酸アンモニウムを含有する剤である。特に、アルギン酸アンモニウムからなる脂質吸着剤であり得る。
アルギン酸アンモニウム
アルギン酸は、海藻に多く含まれる成分であり、D−マンヌロン酸とL−グルクロン酸からなる多糖類である。
アルギン酸アンモニウムは、食品添加物としての使用が認められており、市販されているため、市販品を購入することができる。また、アルギン酸の中和によっても得ることができる。
アルギン酸アンモニウムは、天然アルギン酸のアンモニウム塩であってもよく、天然アルギン酸より低分子量のアルギン酸のアンモニウム塩であってもよい。低分子量アルギン酸アンモニウムは、天然アルギン酸の加水分解物の中和、又は天然アルギン酸のアンモニウム塩の加水分解により得ることができる。加水分解は、酸処理、加熱、加圧、アルギン酸リアーゼなどの酵素による処理、又はこれらの併用により行うことができる。
アルギン酸アンモニウムの、1w/v%水溶液の粘度は、20℃下で測定した場合、10mPa・s以上、100mPa・s以上、200mPa・s以上、又は300mPa・s以上とすることができる。また、1000mPa・s以下、800mPa・s以下、500mPa・s以下、又は400mPa・s以下とすることができる。この範囲であれば、十分な脂質吸着能が得られる。
アルギン酸アンモニウムの粘度は、B型回転粘度計(TVB−10形;東機産業株式会社製)を用いて20℃で測定した値である。使用するローターや回転数などの条件は、本機の取扱説明書に従い選定する。アルギン酸アンモニウムの粘度は、具体的には実施例の項目に記載の方法で測定した値である。なお、B型回転粘度計のメーカーや型番の違いは、粘度にほとんど影響を及ぼさない。
アルギン酸カルシウム
本発明の脂質吸着剤は、さらにアルギン酸カルシウムを含むことができる。これにより、脂質吸着能が向上する。特に、アルギン酸アンモニウムとアルギン酸カルシウムからなる脂質吸着剤であり得る。
アルギン酸カルシウムは、食品添加物としての使用が認められており、市販されているため、市販品を購入することができる。また、アルギン酸の中和によっても得ることができる。
アルギン酸カルシウムは、天然アルギン酸のカルシウム塩であってもよく、天然アルギン酸より低分子量のアルギン酸のカルシウム塩であってもよい。
本発明の脂質吸着剤中がアルギン酸カルシウムを含む場合のその含有量は、アルギン酸アンモニウム1質量部に対して、0.01質量部以上、0.1質量部以上、0.3質量部以上、0.5質量部以上、又は1質量部以上とすることができ、また、20質量部以下、10質量部以下、8質量部以下、5質量部以下、又は3質量部以下とすることができる。この範囲であれば、アルギン酸カルシウムの配合により、アルギン酸アンモニウムの脂質吸着能を十分に向上させることができる。
ナトリウム含有量
本発明の脂質吸着剤がナトリウムを含む場合のその含有量は、剤の全量に対して、1質量%以下、中でも0.5質量%以下、中でも0.3質量%以下が望ましい。
ナトリウムは、カリウムと共に、体内の水分バランス維持、細胞外液の浸透圧維持、循環血流量維持、酸・塩基平衡の維持、筋肉の収縮、神経情報伝達、栄養素の吸収・輸送などに関与しているが、ナトリウム摂取量が過剰になると、高血圧、ガン、腎障害などの原因となる。通常の食生活ではナトリウムの必要摂取量を超えることが多いため、本発明の脂質吸着剤に含まれるナトリウム量はできるだけ少ないことが望ましく、含まれないことが最も好ましい。
カリウム含有量
本発明の脂質吸着剤中がカリウムを含む場合のその含有量は、剤の全量に対して、3質量%以下、中でも1質量%以下、中でも0.3質量%以下が望ましい。
カリウムは、ナトリウムとともに、細胞の浸透圧を維持している他、酸・塩基平衡の維持、神経情報伝達、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節などに関与している。また、カリウムは腎臓でのナトリウムの再吸収を抑制して、尿中への排泄を促進するため、血圧を下げる効果がある。一方で、腎機能が低下している場合にカリウム摂取量が過剰になると、カリウム排泄が不十分になり、筋収縮が調節できなくなり、四肢のしびれ、心電図異常などの症状が現れる場合がある。通常の食生活ではカリウムの必要摂取量を超えることが多いため、本発明の脂質吸着剤に含まれるカリウム量はできるだけ少ないことが望ましく、含まれないことが最も好ましい。
脂質
上記の通り、食品に含まれる脂肪の多くは中性脂肪、特にトリグリセリドである。摂取されたトリグリセリドは十二指腸で胆汁により乳化され、次いで、膵臓や胃から分泌されるリパーゼの働きで、モノグリセリド、脂肪酸、グリセロールなどに分解される。水溶性が高いグリセロールはそのまま小腸上皮細胞に吸収されるが、モノグリセリドと脂肪酸は、胆汁酸などで構成されたミセルに取り込まれて小腸上皮細胞に吸収される。小腸上皮細胞に入ったこれらの脂質分解物乳化物は、リンパ管経由で血液中に入り全身へ運ばれるか、又は門脈経由で肝臓に運ばれる。
また、摂取されたコレステロールは、モノグリセリドと胆汁酸との混合ミセルに取り込まれて小腸上皮細胞に吸収され、肝臓に運ばれる。
本発明の脂質吸着剤は、脂質の種類に拘わらず、広範囲の脂質、特に食品に含まれるあらゆる脂質を効果的に吸着する。従って、本発明において、「脂質」には、中性脂肪、脂肪酸、モノ又はジグリセリド、脂肪族アルコール、ロウ、ステロール(コレステロールを含む)、カロテノイドなどの非極性又は中性脂質;リン脂質、糖脂質などの極性脂質が含まれる。「脂質」は、「脂肪」と称されることもある。
本発明の脂質吸着剤を摂取すると、消化管腔内で様々な脂質を吸着して、それらが消化管、特に小腸上皮細胞に取り込まれるのを阻害又は抑制する。即ち、様々な脂質ないしは脂肪を包み込んで、或いは絡め取って、体内への取り込み又は吸収を抑制し、体外への排出を増加させる。
中性脂肪は、動物の脂肪組織に蓄えられる脂質、及び食品中の脂質のほとんどを占め、中でもトリグリセリドの占める割合が極めて高い。従って、本発明の脂質吸着剤の好適な対象は、非極性又は中性脂質、中でも中性脂肪、中でもトリグリセリドである。トリグリセリド中のアシル基の炭素数、及び不飽和結合の数は特に限定されず、食品に含まれるあらゆるトリグリセリドを対象とすることができる。
本発明の脂質吸着剤は、食品、医薬、医薬部外品などに添加して用いることができる。
(2)組成物
用途
本発明の組成物は、上記説明した本発明の脂質吸着剤を含む組成物、即ち、アルギン酸アンモニウムを含む組成物、又はアルギン酸アンモニウムとアルギン酸カルシウムを含む組成物であり、脂質吸着のために使用することができる。
摂取したアルギン酸塩は、そのほとんどが消化管腔から消化管内に吸収されずに便に含まれて体外に排出されることから、アルギン酸アンモニウム、又はアルギン酸アンモニウムとアルギン酸カルシウムを含む本発明の組成物は、脂質が体内に吸収されるのを抑制するために用いることができる。また、脂質が便に含まれて体外に排出されるのを促進するために使用することができる。
また、本発明の組成物は、脂質の体内への吸収を抑制し、又は脂質の体外への排出を促進するため、血中脂質濃度を低下させ、又は血中脂質濃度の上昇を抑制するために使用することができる。中でも、血中中性脂肪濃度を低下させるのに好適であり、食後(特に、脂質を多く含む食事をした後)の血中中性脂肪濃度の上昇を穏やかにするために使用できる。血中中性脂肪濃度が高いと、内臓脂肪や体脂肪が蓄積することから、本発明の組成物は、内臓脂肪や体脂肪を減らしたり、それらの蓄積を低減するために使用できる。さらに、それにより、体重の減少を促したり体重の増加を抑制するため、身体のサイズ(特に、お腹周りのサイズ)を減らすため、或いは、高めのBMI(Body Mass Index)を改善するために使用できる。また、本発明の組成物は、血中のLDL-コレステロール(悪玉コレステロール)や総コレステロールの濃度を低下させるのにも好適に使用できる。
さらに、本発明の組成物は、血液中の脂質濃度が高いことに起因する様々な症状又は疾患を、予防、改善、又は治療するために用いることができる。即ち、本発明の組成物は、高脂血症などの脂質異常症、それによる、動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞、脂肪肝のような内臓脂肪蓄積、糖尿病、肥満などの生活習慣病の予防、改善、又は治療のために用いることができる。
従って、本発明の組成物の好適な使用対象として、脂肪の多い食事を好む人又は脂肪の多い食事をする人、夜遅い食事が多い人、肥満気味の人、体脂肪(特に、お腹周りの脂肪)が気になる人、胴、腕、足などの身体のサイズ(特に、ウェストサイズ)が気になる人が挙げられる。これらの人は、高脂血症などの脂質異常症の予備軍でもあるため、本発明の組成物の好適な使用対象として、高脂血症などの脂質異常症、それによる、動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞、脂肪肝のような内臓脂肪蓄積、糖尿病、肥満などの生活習慣病の患者が挙げられる。
本発明において、「予防」は、発症の回避、遅延、又は発症率の低下を包含し、「改善」は、症状の軽快、症状の進行抑制、又は症状の進行停止を包含し、「治療」は、症状の軽快、症状の進行抑制、又は治癒ないしは寛解を包含する。
性状
本発明の組成物の性状は特に限定されず、固形状又は液体状の何れであってもよい。本発明において、固形状は半固形状、ゲル状などを包含し、液体状は流動状、粘液状などを包含する。半固形状は、力を加えることにより変形させ得る塑性を有する性状をいう。
製剤形態の食品組成物
本発明の組成物は食品組成物とすることができる。この場合、一般にサプリメントと称されるような経口投与製剤の形態を採ることができる。
固形状の経口投与製剤としては、錠剤、散剤、顆粒剤、丸剤、カプセル剤(軟カプセル剤、硬カプセル剤)などが挙げられる。特殊な錠剤として、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、バッカル錠、発泡錠、分散錠、溶解錠、トローチ剤、舌下錠なども挙げられる。また、液体状の経口投与製剤としては、液剤が挙げられる。特殊な液剤として、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、リモナーデ剤、シロップ剤などが挙げられる。
アルギン酸アンモニウムは高粘度の水溶液を与え、またアルギン酸カルシウムは水難溶性であることから、服用し易く、かつ必要量を配合し易い点で、固形製剤が好ましい。固形製剤としてはカプセル剤、特に硬カプセル剤が好ましい。また、液体製剤も好ましい。
固形状の製剤形態を採る食品組成物中のアルギン酸アンモニウムの濃度は、組成物の全量に対して、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、又は20質量%以上とすることができる。この範囲であれば、無理なく摂取できる量の組成物中に、脂質吸着効果を十分奏するだけのアルギン酸アンモニウムが含まれることになる。また、組成物の全量に対して、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、又は60質量%以下とすることができる。この範囲であれば、製剤化し易く、また、服用し易い、又は食べ易いものとなる。
液体状の製剤形態を採る食品組成物中のアルギン酸アンモニウムの濃度は、組成物の全量に対して、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、又は1質量%以上とすることができる。この範囲であれば、無理なく摂取できる量の組成物中に、脂質吸着効果を十分奏するだけのアルギン酸アンモニウムが含まれることになる。また、組成物の全量に対して、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、又は5質量%以下とすることができる。この範囲であれば、製剤化し易く、また、服用し易い、又は飲み易いものとなる。
一般食品の組成物
本発明の組成物は、一般食品組成物にアルギン酸アンモニウム、又はアルギン酸アンモニウムとアルギン酸カルシウムを配合したものであってもよい。一般食品組成物にはペットの餌が含まれる。
食品の種類は限定されず、米飯、雑穀飯のような飯類;そば、うどん、パスタ、はるさめ、中華麺、即席麺、カップ麺のような麺類;カレールーなどのルー、シチュー、スープ類;アイスクリーム、シャーベット、かき氷のような冷菓;ゼリー、寒天菓子、プリン、ガム、飴、グミ、焼き菓子(クッキー、ビスケットなど)、スナック菓子、チョコレート、錠菓、ジャム、クリームのような菓子類;かまぼこ、はんぺん、ハム、ソーセージ、チーズ、ヨーグルトのような水産・畜産加工食品;食用油、バター、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシングのような油脂及び油脂加工食品;サラダ、惣菜、ふりかけ、漬物、味噌などの固形状食品が挙げられる。
また、栄養ドリンク、果汁や野菜などを含むジュース、茶飲料、コーヒー飲料、清涼飲料、炭酸飲料、乳製品(乳酸飲料、乳飲料、発酵乳など)、スポーツ飲料のようなノンアルコール飲料などの飲料;ソース、ドレッシング、醤油、たれのような調味料などの液体状食品が挙げられる。
固形状の一般食品組成物中のアルギン酸アンモニウムの濃度は、組成物の全量に対して、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、又は20質量%以上とすることができる。この範囲であれば、無理なく摂取できる量の組成物中に、脂質吸着効果を十分奏するだけのアルギン酸アンモニウムが含まれることになる。また、組成物の全量に対して、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、又は60質量%以下とすることができる。この範囲であれば、商品価値のある性状にし易く、また、食べ易いものとなる。
液体状の一般食品組成物中のアルギン酸アンモニウムの濃度は、組成物の全量に対して、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、又は1質量%以上とすることができる。この範囲であれば、無理なく摂取できる量の組成物中に、脂質吸着効果を十分奏するだけのアルギン酸アンモニウムが含まれることになる。また、組成物の全量に対して、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、又は5質量%以下とすることができる。この範囲であれば、商品価値のある性状にし易く、また、飲み易いものとなる。
本発明の組成物がアルギン酸カルシウムを含む場合の、アルギン酸アンモニウムの含有量に対するアルギン酸カルシウムの含有量比は、本発明の脂質吸着剤について説明した通りである。
食品組成物は、栄養補助食品、健康補助食品、栄養調整食品、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品などとしても使用できる。
医薬組成物・医薬部外品組成物
本発明の組成物は、医薬組成物、又は医薬部外品組成物とすることもできる。何れの場合も経口投与製剤、又はチューブを用いて消化管内に投与する製剤とすることができる。製剤の具体例、アルギン酸アンモニウム及びアルギン酸カルシウムの含有量などは、製剤形態の食品組成物について説明した通りである。
組成物中のその他の成分
本発明の組成物は、アルギン酸アンモニウム及びアルギン酸カルシウム以外の活性成分や、添加剤を含むことができる。
アルギン酸アンモニウム及びアルギン酸カルシウム以外の活性成分、及び添加物は、それぞれ、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
(活性成分)
活性成分としては、アルギン酸アンモニウム及びアルギン酸カルシウム以外の脂質吸着成分、リパーゼ阻害成分、ミセル形成阻害成分などの脂質吸収抑制成分や、脂質代謝促進成分が挙げられる。
これらの成分は、アルギン酸アンモニウムと共に、相乗的な脂質吸着効果、脂質吸収抑制効果、脂質排出促進効果、又は血中脂質濃度上昇抑制効果を奏することが期待される。
アルギン酸アンモニウム及びアルギン酸カルシウム以外の脂質吸着成分としては、水溶性食物繊維(ペクチン、グア豆酵素分解物、グルコマンナン、β-グルカン、ポリデキストロース、フルクタン、レバン、グラミナン、イヌリン、アラビアガム、マルチトール、難消化性イヌリン、難消化性デキストリン、難消化性デンプン、海藻及びその抽出物、アガロース、カラギーナン、フコイダン、ポルフィラン、ラミナランなど)、コラーゲン架橋物、キトサン、キトサンと有機酸(アスコルビン酸、リンゴ酸、クエン酸、アジピン酸、酒石酸、又はフマル酸)との混合物、クロレラ、梅果実、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステルなどが挙げられる。
脂質はリパーゼにより分解されて吸収されることから、リパーゼの活性を阻害する成分は脂質の体内への吸収を抑える。リパーゼ阻害成分としては、杜仲葉抽出物、梅果肉、キトサン、ポリフェノール類(褐藻類のアスコフィラム・ノドサム(Ascophyllum nodsum)抽出物のような海藻ポリフェノール、小豆ポリフェノールなど)、ホップエキス酸化反応物、ケール及びその抽出物、ローズマリー及びその抽出物、かんきつ類由来のペクチン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、アセロラ及びその抽出物、ビワ葉及びその抽出物などが挙げられる。
生体内では、胆汁酸などと脂質とが接触することによりミセルが形成され、ミセル内に脂質が溶解し、脂質を包含したミセルが腸上皮細胞から体内に吸収される。従って、脂質のミセルの形成を阻害する成分は、脂質の吸収を抑える。ミセル形成阻害成分としては、紅茶及びその抽出物(テアフラビン類)などが挙げられる。
その他、大和マナ及びその抽出物、デイジー花及びその抽出物(サポニン類)、植物油由来トリテルペンアルコール、グロビン蛋白分解物、葛花及びその抽出物なども脂質の吸収を抑制する成分として例示できる。
また、吸収した脂質の代謝を促進することにより、血中脂質濃度の上昇を抑制することができる。脂質代謝促進成分としては、リボフラビン及びその誘導体、カテキン類、異性化リノール酸、カフェイン、カプサイシン、カルニチン、コエンザイムQ10、α−リポ酸、大豆ペプチド、分岐アミノ酸(バリン、イソロイシン、ロイシンなど)、アルギニン、フォスファチジルコリン、アリルスルフィド化合物、フォルスコリン、ベルゲニン、ケルセチン、アスチルビン、ヒドロキシクエン酸、グロビン蛋白分解物、ガルシニアなどが挙げられる。これらを含有する植物及びその抽出物、例えば、茶、コレウスフォコリ、アカショウマ、黄杞、大豆、唐辛子、ソバ、ニンニク、タマネギ、コーヒー豆など及びそれらの抽出物も挙げられる。
(添加物)
添加物としては、乳化剤、酸化防止剤、保存料又は防腐剤、防かび剤、増粘剤(安定化剤、ゲル化剤、糊料とも称される)、ガムベース、光沢剤、酸味料、甘味料、矯味剤、着色料、pH調整剤などが挙げられる。また、この他に、カプセル基剤、可塑剤、賦形剤又は分散剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、溶解補助剤、その他の乳化剤、等張化剤、緩衝剤、その他の防腐剤なども挙げられ、これらは、製剤形態を採る組成物に好適に配合できるが、一般食品組成物にも配合できる。
乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、サポニンなどが挙げられる。
酸化防止剤としては、L−アスコルビン酸、トコフェロール、エルソルビン酸、カテキン、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、亜硫酸塩などが挙げられる。
保存料としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、しらこたん白抽出物、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、ε−ポリリジンなどが挙げられる。
防かび剤としては、イマザリル、オルトフェニルフェノール、チアベンダゾール、フルジオキソニルなどが挙げられる。
増粘剤としては、カラギーナン、キサンタンガム、グアーガム、ペクチン、デンプン、セルロース、グリコーゲン、寒天のような多糖類や、ゼラチンのようなタンパク質、カルボキシメチルセルロースのようなセルロース類などが挙げられる。
ガムベースとしては、酢酸ビニル樹脂、ジェルトン、チクルなどが挙げられる。
光沢剤としては、シュラック、パラフィンワックス、ミツロウなどが挙げられる。
酸味料としては、クエン酸、L−酒石酸、乳酸などが挙げられる。
甘味料としては、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ステビア、キシリトール、D−ソルビトール、甘草抽出物、スクラロース、ショ糖などが挙げられる。
着色料としては、アナトー色素、ウコン色素、カラメル色素、カロテン色素、クチナシ色素、ベニバナ色素、ベニコウジ色素、銅クロロフィル色素、銅クロロフィリンナトリウム色素、コチニール色素、食用タール系色素などが挙げられる。
カプセル基剤としては、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどが挙げられる。
可塑剤は、ソフトカプセル基剤に添加されるものであり、グリセリン、ソルビトールなどが挙げられる。
賦形剤又は分散剤としては、乳糖水和物、白糖、マルトース、果糖、ブドウ糖、トレハロースのような糖類、マンニトール、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトールのような糖アルコール、デキストリン、β-シクロデキストリンのようなα−グルカン類、デンプン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプンのようなデンプン類、結晶セルロース、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウムのようなセルロース類、オニオンパウダー、オリーブパウダーのような植物エキス乾燥粉末、リン酸水素カルシウム、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、タルク、カオリンなどが挙げられる。
結合剤としては、ポビドン、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウムのようなセルロース類、デンプン、α化デンプン、寒天、プルラン、ゼラチン、アラビアゴム、トラガントゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、塩基性(メタ)アクリレートコポリマーなどが挙げられる。
崩壊剤としては、クロスポビドン、カルボキシメチルセルロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウムのようなセルロース類、デンプン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウムのようなデンプン類、デキストリンのようなα−グルカン類、ケイ酸カルシウムなどが挙げられる。
滑沢剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、モノステアリン酸グリセリン、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、タルク、ショ糖脂肪酸エステル、酒石酸ナトリウムカリウムなどが挙げられる。
溶解補助剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。
その他の乳化剤としては、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子;シェラックロウ、ミツロウ、カルナバロウ、鯨ロウ、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、環状ラノリン、ラノリンワックス、キャンデリラロウ、モクロウ、モンタンロウ、セラックロウ、ライスワックスなどのワックス類などが挙げられる。
等張化剤としては、塩化ナトリウム、グリセリン、マンニトールなどが挙げられる。
緩衝剤としては、リン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤などが挙げられる。
その他の防腐剤としては、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸などが挙げられる。
賦形剤又は分散剤は、アルギン酸アンモニウム、又はアルギン酸アンモニウムとアルギン酸カルシウムの分散を促進し、これらによる脂質吸着を一層効果的なものにすることができる。
本発明の組成物が乳化剤又は分散剤を含む場合のその含有量は、アルギン酸アンモニウム1質量部に対して、0.1質量部以上、1質量部以上、又は5質量部以上とすることができ、また、30質量部以下、20質量部以下、又は10質量部以下とすることができる。この範囲であれば、乳化剤又は分散剤の配合により、アルギン酸アンモニウム、又はアルギン酸アンモニウムとアルギン酸カルシウムによる脂質吸着効果を十分に向上させることができる。
用法・用量
本発明の組成物は、アルギン酸アンモニウムのヒト成人の1日摂取量又は投与量が100mg以上、200mg以上、300mg以上、600mg以上、又は900mg以上となるように、摂取又は投与することができる。この範囲であれば、血中脂質濃度の上昇を十分に抑制できる。また、アルギン酸が食品成分であることから、アルギン酸アンモニウムのヒト成人の1日摂取量又は投与量の上限値は特に制限されないが、例えば、1500mg以下、2400mg以下、又は3000mg以下とすることができる。
1日摂取又は投与回数は、1回、2回、3回、4回、又は5回などとすることができ、1〜3回が好ましい。食事、特に高脂質食と共に摂取することも好ましい。
使用期間は、対象者の食生活、状態、又は症状に合わせて適宜設定できる。単回使用でもよく、長期継続して使用してもよい。
以下、実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
試験例1(アルギン酸アンモニウムの脂質吸着作用の評価No.1)
表1に組成を示す被験試料1〜6を、それぞれ容量2mLのプラスチックチューブに入れ、そこにコーン油(生化学用,和光純薬株式会社製)を300μL加えた。得られた混合物を混和した後、そこに0.002%トリパンブルー水溶液を1mL加え、再度混和した。その後、16時間静置した。トリパンブルー水溶液を加えて混和した直後の状態、及び16時間静置後の状態を図1及び図2にそれぞれ示す。
トリパンブルーは、水に溶解するが油には溶解しないことから、水相を青色に着色するために用いた。
被験試料、コーン油、トリパンブルー水溶液を混和した直後の状態を図1に示す。
アルギン酸カルシウムのみを含む被験試料1は、トリパンブルー水溶液を加えて混和した直後にコーン油が液面に浮いているが、アルギン酸アンモニウムを含む被験試料2〜6は、コーン油が液面に浮いていない。コーン油が、これらのアルギン酸塩のゲル又はゾル中に補足されることで吸着されていると考えられる。なお、アルギン酸アンモニウム及びアルギン酸カルシウムは、疎水性部分を有さず界面活性剤でないことに加え、混和液が白濁していないことから、アルギン酸アンモニウム及びアルギン酸カルシウムが乳化作用により、コーン油の分離を抑制したのではないことが分かる。
被験試料、コーン油、トリパンブルー水溶液を混和して16時間後の状態を図2に示す。
アルギン酸カルシウムのみを含む被験試料1、及びアルギン酸アンモニウムのみを含む被験試料6は、16時間静置後にはコーン油が液面に浮いているが、アルギン酸アンモニウムとアルギン酸カルシウムを含む被験試料2〜5は、コーン油が液面に浮いておらず、アルギン酸アンモニウムとアルギン酸カルシウムの混合物に吸着していることが分かる。アルギン酸アンモニウムとアルギン酸カルシウムとの相乗効果が認められた。
摂取した食品が小腸から大腸に移動するのは、摂取の約11〜13時間後である。アルギン酸アンモニウムとアルギン酸カルシウムは、消化管腔内で、少なくとも16時間は脂質を吸着しているため、体内への脂質の吸収を十分に抑制することができる。
試験例2(アルギン酸アンモニウムの脂質吸着作用の評価No.2)
表1に組成を示す被験試料2、5、及び6を、それぞれ容量2mLのプラスチックチューブに入れ、そこに45℃に加温した純製ラード(雪印メグミルク株式会社製)を300μL加えた。得られた混合物を混和した後、そこに45℃に加温した0.002%トリパンブルー水溶液を1mL加え、再度混和した。その後、室温にて自然冷却を行った。自然冷却後の状態を図3に示す。
アルギン酸アンモニウムのみを含む被験試料6は、ラードの分離が大きいが、アルギン酸アンモニウムとアルギン酸カルシウムを含む被験試料2及び5は、ラードの分離が小さい。アルギン酸アンモニウムとアルギン酸カルシウムを併用することで、アルギン酸アンモニウム単独の場合に比べて、脂質吸着力が向上したことが分かる。
以上の結果は、アルギン酸アンモニウムは脂質を吸着する作用がアルギン酸カルシウムよりも高く、また、アルギン酸アンモニウムにアルギン酸カルシウムを添加することにより、相乗的に作用して、脂質吸着作用が顕著に高まることを示している。
また、コーン油、及びラードは、中性脂肪、特にトリグリセリドを多く含み、その他の様々な脂質も含む混合物である。従って、アルギン酸アンモニウム、及びアルギン酸アンモニウムとアルギン酸カルシウムとの混合物は、広範囲の脂質を吸着できることが示された。
アルギン酸アンモニウムの粘度測定
試験例1、2に供したアルギン酸アンモニウムの1w/v%水溶液の粘度を下記方法で測定した結果、350mPa・sであった。
(粘度測定条件)
粘度の測定条件は、以下の通りである。
測定機器:B型回転粘度計(TVB−10形;東機産業株式会社製)
測定温度:20℃
回転数:30rpm
ローター:適宜選択
測定値:測定開始から60秒後の数値を測定値とした。
アルギン酸アンモニウムは、脂質の体内への吸収を抑制することが知られている従来のアルギン酸塩に比べて、脂質を吸着する能力が格段に高い。従って、アルギン酸アンモニウムを含む本発明の脂質吸着剤を摂取することにより、脂質の吸収が効果的に抑制されて、高脂血症などの脂質異常症、それによる、動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞、内臓脂肪の蓄積、糖尿病、肥満などの生活習慣病を予防又は改善することができる。

Claims (12)

  1. アルギン酸アンモニウムを含有する、脂質吸着剤。
  2. アルギン酸アンモニウムの粘度が、20℃の1w/v%濃度において、10〜1000mPa・sである、請求項1に記載の脂質吸着剤。
  3. さらに、アルギン酸カルシウムを含有する、請求項1又は2に記載の脂質吸着剤。
  4. アルギン酸アンモニウム1質量部に対して、アルギン酸カルシウムを0.01〜20質量部含む、請求項3に記載の脂質吸着剤。
  5. ナトリウム含有量が1質量%以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の脂質吸着剤。
  6. カリウム含有量が3質量%以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の脂質吸着剤。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の脂質吸着剤を含有する、脂質の吸収を抑制するために用いられる食品組成物。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の脂質吸着剤を含有する、脂質の排出を促進するために用いられる食品組成物。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の脂質吸着剤を含有する、血中脂質濃度の上昇を抑制するために用いられる食品組成物。
  10. 請求項1〜6のいずれかに記載の脂質吸着剤を含有する、脂質異常症の予防又は改善のために用いられる食品組成物。
  11. 請求項1〜6のいずれかに記載の脂質吸着剤を含有する、生活習慣病の予防又は改善のために用いられる食品組成物。
  12. 請求項1〜6のいずれかに記載の脂質吸着剤を含有する、肥満の予防又は改善のために用いられる食品組成物。
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