JP2009108022A - 治療剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 フコキサンチンは、糖尿病改善作用、血管新生抑制作用、DHA合成促進作用等の機能が知られている。本発明の課題は、これら以外の種々の疾病に、とりわけ顕著な効果でもって有効である、フコキサンチンおよび/またはフコキサンチノールを有効成分として用いる治療剤の提供にある。
【解決手段】 フコキサンチンおよび/またはフコキサンチノールを有効成分とする高尿酸血症の予防または改善剤、抗骨粗鬆症剤、抗鬱・抗ストレス剤、アディポネクチン産生促進剤、コレステロール低下剤、血圧降下剤、抗アレルギー剤。
【選択図】 なし
【解決手段】 フコキサンチンおよび/またはフコキサンチノールを有効成分とする高尿酸血症の予防または改善剤、抗骨粗鬆症剤、抗鬱・抗ストレス剤、アディポネクチン産生促進剤、コレステロール低下剤、血圧降下剤、抗アレルギー剤。
【選択図】 なし
Description
本発明は、フコキサンチンを有効成分とする各種疾病に有用な治療剤に関する。
フコキサンチンは、糖尿病改善作用(特許文献1)、血管新生抑制作用(特許文献2)、DHA合成促進作用(特許文献3)等の機能が知られている。
しかしながら、フコキサンチンが、下記で説明する本発明で適用される種々の疾病に、顕著な効果でもって有効であるとの見地はない。
特開2007−314451号公報
特開2008−1623号公報
特開2007−77067号公報
しかしながら、フコキサンチンが、下記で説明する本発明で適用される種々の疾病に、顕著な効果でもって有効であるとの見地はない。
本発明の目的は、下記で説明する本発明で適用される種々の疾病に、とりわけ顕著な効果でもって有効である各種治療剤を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、フコキサンチンおよび/またはフコキサンチノールを有効成分とする高尿酸血症の予防または改善剤である。
請求項2に記載の発明は、フコキサンチンおよび/またはフコキサンチノールを有効成分とする抗骨粗鬆症剤である。
請求項3に記載の発明は、フコキサンチンおよび/またはフコキサンチノールを有効成分とする抗鬱・抗ストレス剤である。
請求項4に記載の発明は、フコキサンチンおよび/またはフコキサンチノールを有効成分とするアディポネクチン産生促進剤である。
請求項5に記載の発明は、フコキサンチンおよび/またはフコキサンチノールを有効成分とするコレステロール低下剤である。
請求項6に記載の発明は、フコキサンチンおよび/またはフコキサンチノールを有効成分とする血圧降下剤である。
請求項7に記載の発明は、フコキサンチンおよび/またはフコキサンチノールを有効成分とする抗アレルギー剤である。
請求項2に記載の発明は、フコキサンチンおよび/またはフコキサンチノールを有効成分とする抗骨粗鬆症剤である。
請求項3に記載の発明は、フコキサンチンおよび/またはフコキサンチノールを有効成分とする抗鬱・抗ストレス剤である。
請求項4に記載の発明は、フコキサンチンおよび/またはフコキサンチノールを有効成分とするアディポネクチン産生促進剤である。
請求項5に記載の発明は、フコキサンチンおよび/またはフコキサンチノールを有効成分とするコレステロール低下剤である。
請求項6に記載の発明は、フコキサンチンおよび/またはフコキサンチノールを有効成分とする血圧降下剤である。
請求項7に記載の発明は、フコキサンチンおよび/またはフコキサンチノールを有効成分とする抗アレルギー剤である。
本発明によれば、下記で説明する本発明で適用される種々の疾病に、とりわけ顕著な効果でもって有効である各種治療剤が提供される。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明で用いられるフコキサンチンおよびフコキサンチノールは、公知の化合物であり、その調製法は、例えば前記特許文献2に記載されている。すなわち本発明において用いられるフコキサンチンは、天然物由来のものであることができ、例えば、コンブ科、チガイソ科等のコンブ目に属する褐藻類;ナガマツモ科、モズク科等のナガマツモ目に属する褐藻類;珪藻等の微細藻類等から抽出できる。
抽出方法は、例えば極性有機溶媒、水と極性有機溶媒の混合液等の極性溶媒と原料とを接触させることによりなされる。極性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール等の炭素数1〜5の低級アルコール;プロピレングリコール;アセトン;酢酸エチル;ヘキサン;ジクロロメタン;クロロホルム等の単独或いは2種以上の組み合わせを挙げることができる。
なお、抽出に先立ち、フコキサンチンを含む原料を乾燥、粉砕処理しておくことが好ましい。
抽出方法は常法により行なえばよい。例えば、原料に対し2〜100倍容の上記抽出溶媒を加え、原料を浸漬処理、攪拌処理することにより、フコキサンチンを抽出することができる。
なお、抽出に先立ち、フコキサンチンを含む原料を乾燥、粉砕処理しておくことが好ましい。
抽出方法は常法により行なえばよい。例えば、原料に対し2〜100倍容の上記抽出溶媒を加え、原料を浸漬処理、攪拌処理することにより、フコキサンチンを抽出することができる。
抽出されたフコキサンチンは、減圧蒸留等により有機溶媒を取り除くことが好ましい。また、公知の各種精製方法に施すこともできる。また必要に応じて、更に、減圧乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥等の乾燥処理に施すこともできる。なお、本発明では市販品の各種フコキサンチンを使用することもできる。
フコキサンチノールは、フコキサンチンが加水分解されたものであり、公知である。加水分解反応は、例えばフコキサンチンをリパーゼやコレステロールエステラーゼなどの脂質分解酵素により達成できる。
フコキサンチンおよび/またはフコキサンチノールの投与量は、患者の年令、体重、適応症状などによって異なるが、例えば、凍結乾燥粉末として、成人1日約1mg〜1g、好ましくは3mg〜300mg程度投与するのがよい。
本発明の治療剤は、錠剤、ピル、カプセル、顆粒、粉末、散剤、液剤等の固形または溶液の形態(以下、製剤ともいう)に公知の方法により適宜調製することができる。即ち、本発明に有用な固形製剤または液状製剤は、従来充分に確立された公知の製剤製法を用いることにより製造される。添加剤としては、例えば賦形剤、pH調整剤、清涼化剤、懸濁化剤、希釈剤、消泡剤、粘稠剤、溶解補助剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、抗酸化剤、コーティング剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、可塑剤または香料などが挙げられる。
また本発明の治療剤は、各種健康食品および機能性食品として摂取可能である。これらの例としては、各種のものをあげることができるが、健康食品および機能性食品の製造に関しては、通常用いられる、食品素材、食品添加物に加え、賦形剤、増量剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、分散剤、保存剤、湿潤化剤、溶解補助剤、防腐剤、安定化材、カプセル基剤等の補助剤を用いた飲食品製剤形態で利用することができる。該補助剤の具体的な例示をすれば、乳糖、果糖、ブドウ糖、でん粉、ゼラチン、炭酸マグネシウム、合成ケイ酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、炭酸カルシウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはその塩、アラビアガム、ポリエチレングルコール、シロップ、ワセリン、グリセリン、エタノール、プロピレングリコール、クエン酸、塩化ナトリウム、亜硫酸ソーダ、リン酸ナトリウム、プルラン、カラギーナン、デキストリン、還元パラチノース、ソルビトール、キシリトール、ステビア、合成甘味料、クエン酸、アスコルビン酸、酸味料、重曹、ショ糖エステル、植物硬化油脂、塩化カリウム、サフラワー油、ミツロウ、大豆レシチン、香料等が配合できる。このような健康食品、機能性食品の製造に関しては、医薬品製剤の参考書、例えば「日本薬局方解説書(製剤総則)」(廣川書店)等を参考にすることができる。
上記以外にも本発明の治療剤は飲食品として摂取することができる。具体的には、納豆、厚揚げ、豆腐、こんにゃく、団子、漬物、佃煮、コロッケ、サンドイッチ、ピザ、ハンバーガー、餃子、シューマイ、サラダ等の各種総菜や、各種粉末(ビーフ、ポーク、チキン等畜産物、海老、帆立、蜆、昆布等水産物、野菜・果実類、植物、酵母、藻類等)や、プリン、クッキー、クラッカー、パン、ケーキ、チョコレート、ポテトチップス、ビスケット、ドーナツ、ゼリーなどの洋菓子、煎餅、羊羹、大福、おはぎ、その他の饅頭、カステラなどの和菓子、冷菓(飴等)、チューインガム等のパン・菓子類や、うどん、そば、きしめん等の麺類や、かまぼこ、ハム、魚肉ソーセージ等の魚肉練り製品や、ハム、ソーセージ、ハンバーグ、コーンビーフ等の畜肉製品や、塩、胡椒、みそ、しょう油、ソース、ドレッシング、マヨネーズ、ケチャップ、甘味料、辛味料等の調味類や、明石焼き、たこ焼き、もんじゃ焼き、お好み焼き、焼きそば、焼きうどん等の鉄板焼き食品や、チーズ、ハードタイプのヨーグルト等の乳製品や、油脂類・香料類(バニラ、柑橘類、かつお等)を粉末固形化したものや、粉末飲食品(インスタントコーヒー、インスタント紅茶、インスタントミルク、インスタントスープ、味噌汁等)等の各種食品が挙げることができるが、これらに特に制限されない。
さらに本発明においては、例えば、ローヤルゼリー、プロポリス、ビタミン類(A、C、D、E、K、葉酸、パントテン酸、ビオチン、これらの誘導体等)、ミネラル(鉄、マグネシウム、カルシウム、亜鉛等)、セレン、レシチン、カロテノイド(リコピン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、ルテイン等)、サポニン(ギムネマ酸、大豆サポニン、人参サポニン等)、脂肪酸、タンパク質(コラーゲン、エラスチン等)、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、環状オリゴ糖等)、リン脂質及びその誘導体(フォスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、セラミド等)、含硫化合物(アリイン、セパエン、タウリン、グルタチオン、メチルスルホニルメタン等)、糖アルコール、リグナン類(セサミン等)、これらを含有する動植物抽出物、根菜類(ウコン、ショウガ等)、などを併用することもできる。
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明の治療剤は、高尿酸血症の予防または改善剤、抗骨粗鬆症剤、抗鬱・抗ストレス剤、アディポネクチン産生促進剤、コレステロール低下剤、血圧降下剤、抗アレルギー剤としてきわめて有用である。以下、上記各種薬効について実施例でもって説明する。
調製例
上記特許文献2に記載の方法にしたがって、フコキサンチンおよびフコキサンチノールを調製した。方法を以下に示す。
粉砕機で粉末状にした市販の乾燥ワカメ(乾燥重量約100g)に、アセトン:メタノール(7:3,v/v)1Lを数回に分けて加え、襞濾紙を用いて濾過し、粗抽出画分を得た。エバポレーターで溶媒を除去し、メタノール100mLに溶解した後、ヘキサン100mLと水10mLを加えて分液漏斗を用いて液々分配した。
上記特許文献2に記載の方法にしたがって、フコキサンチンおよびフコキサンチノールを調製した。方法を以下に示す。
粉砕機で粉末状にした市販の乾燥ワカメ(乾燥重量約100g)に、アセトン:メタノール(7:3,v/v)1Lを数回に分けて加え、襞濾紙を用いて濾過し、粗抽出画分を得た。エバポレーターで溶媒を除去し、メタノール100mLに溶解した後、ヘキサン100mLと水10mLを加えて分液漏斗を用いて液々分配した。
得られた溶液の上層を除去し、下層をヘキサン100mLで2回洗浄した。その後、下層に水31mLを加えてメタノールの割合を70%にした後、ヘキサン100mLを加えて分配した。さらに、下層をエバポレータ−でボリュームが1/3になるまで濃縮した後、ジエチルエーテル150mLと水100mLを加えて分配した。
上層(エーテル層)を集めてエバポレータ−で溶媒を除去し、得られた抽出物を薄層クロマトグラフィー(展開溶媒=ヘキサン:アセトン(6:4,v/v);PLCプレート(15 PLC plates20×20cm,Silica gel60 F254,1mm,Merck Ltd.,Japan))で展開した。
分離されたカロテノイド画分をプレートより掻き取り、再度抽出し、カロテノイド抽出物を得た。
分離されたカロテノイド画分をプレートより掻き取り、再度抽出し、カロテノイド抽出物を得た。
上記で得られたカロテノイド抽出物をHPLCに供し、測定波長444nmにて保持時間8.7分に現れるフコキサンチンのピーク部分の画分を分取し、分取した画分に対してをジクロロメタンと水を加えて抽出して精製した。HPLCの条件は下記に示すとおりである。フコキサンチンをアセトンに溶解し、比吸光度を濃度として用いて算出したところ、約11mgのフコキサンチンが得られた。これを凍結乾燥し、以下の各例で用いた粉末1とした。
(HPLC分取条件)
・流速 1.0mL/min
・カラム温度 40℃
・移動相
(A)アセトニトリル:メタノール:水=75:15:10(v/v/v,0.1%酢酸アンモニウムを含む)と
(B)酢酸エチル:メタノール=30:70(v/v,0.1%酢酸アンモニウムを含む)を用いた2液グラジエント
(HPLC分取条件)
・流速 1.0mL/min
・カラム温度 40℃
・移動相
(A)アセトニトリル:メタノール:水=75:15:10(v/v/v,0.1%酢酸アンモニウムを含む)と
(B)酢酸エチル:メタノール=30:70(v/v,0.1%酢酸アンモニウムを含む)を用いた2液グラジエント
また、上記のようにして得られたフコキサンチンをコレステロールエステラーゼを用いて酵素分解し、フコキサンチノールを得た。
実施例1(高尿酸血症の改善効果)
実験方法
供試動物はWistar系ラット雌(8週令、体重約180g)を1群6匹で用いた。
試験飼料に0.75%の濃度でアデニンを加えてラットに給与し、腎臓からの尿中への尿酸排泄阻害を起こさせて高尿酸血症のモデル動物とした。
対照群は、上記の0.75%アデニン飼料のみ、薬剤投与群は、0.75%アデニンと上記粉末1含有飼料とした。飼料は自由摂取としたが、薬剤投与群の試験飼料中の上記粉末1の濃度を、摂取量が1mg/kg体重となるように調整した。試験開始日及び24日目に血中の尿酸値を測定した。
その結果、対照群の試験開始日の血中尿酸濃度は、0.57mg/mlであり、24日目が2.33mg/mlであったのに対し、薬剤投与群の24日目の血中尿酸濃度は0.80mg/mlであった。
この結果から明らかなように、対照群では血中尿酸濃度が大幅に増加するのに対し、薬剤投与群ではいずれもその濃度は増加しなかった。したがって、フコキサンチンは、高尿酸血症の予防または改善剤として有用であることが示された。
実験方法
供試動物はWistar系ラット雌(8週令、体重約180g)を1群6匹で用いた。
試験飼料に0.75%の濃度でアデニンを加えてラットに給与し、腎臓からの尿中への尿酸排泄阻害を起こさせて高尿酸血症のモデル動物とした。
対照群は、上記の0.75%アデニン飼料のみ、薬剤投与群は、0.75%アデニンと上記粉末1含有飼料とした。飼料は自由摂取としたが、薬剤投与群の試験飼料中の上記粉末1の濃度を、摂取量が1mg/kg体重となるように調整した。試験開始日及び24日目に血中の尿酸値を測定した。
その結果、対照群の試験開始日の血中尿酸濃度は、0.57mg/mlであり、24日目が2.33mg/mlであったのに対し、薬剤投与群の24日目の血中尿酸濃度は0.80mg/mlであった。
この結果から明らかなように、対照群では血中尿酸濃度が大幅に増加するのに対し、薬剤投与群ではいずれもその濃度は増加しなかった。したがって、フコキサンチンは、高尿酸血症の予防または改善剤として有用であることが示された。
実施例2(抗骨粗鬆症効果)
骨粗鬆症改善効果試験
SD系ラット(22週齢)メスの卵巣を外科的に取り除き、骨粗鬆症のモデルラットを作成した。卵巣摘出ラットを7匹ずつ6群に分け、35日間の試験期間中、1日置きに(計17回)、前記粉末1の摂取量が1mg/kgとなるように、生理食塩水溶解した液体を2ml経口投与した。飼料はオリエンタル酵母株式会社のマウス・ラット・ハムスター用固形飼料CRF−1を用い、給餌および給水方法は自由摂取とした。試験期間中、各群間で、餌の摂取量に差は認められなかった。試験開始後35日目にラットの体重を測定した後、大腿骨を取り出した。大腿骨は、接着組織および筋肉を取り除いて分析に使用した。大腿骨の体積を測定した後、エタノールで3回洗浄し、次にアセトンで3回洗浄したのち、一晩乾燥し、その後、重量を測定して大腿骨の乾燥重量を求めた。体積および乾燥重量から、骨密度(乾燥重量g/体積mm3 )を測定した。なお対照実験として、前記粉末1を含まない生理食塩水をラットに投与したこと以外は、上記実験を繰り返した例(比較例)も行なった。その結果、比較例の骨密度が1.009mg/mm3であったのに対し、本実施例2では、骨密度が1.087mg/mm3であった。
骨粗鬆症改善効果試験
SD系ラット(22週齢)メスの卵巣を外科的に取り除き、骨粗鬆症のモデルラットを作成した。卵巣摘出ラットを7匹ずつ6群に分け、35日間の試験期間中、1日置きに(計17回)、前記粉末1の摂取量が1mg/kgとなるように、生理食塩水溶解した液体を2ml経口投与した。飼料はオリエンタル酵母株式会社のマウス・ラット・ハムスター用固形飼料CRF−1を用い、給餌および給水方法は自由摂取とした。試験期間中、各群間で、餌の摂取量に差は認められなかった。試験開始後35日目にラットの体重を測定した後、大腿骨を取り出した。大腿骨は、接着組織および筋肉を取り除いて分析に使用した。大腿骨の体積を測定した後、エタノールで3回洗浄し、次にアセトンで3回洗浄したのち、一晩乾燥し、その後、重量を測定して大腿骨の乾燥重量を求めた。体積および乾燥重量から、骨密度(乾燥重量g/体積mm3 )を測定した。なお対照実験として、前記粉末1を含まない生理食塩水をラットに投与したこと以外は、上記実験を繰り返した例(比較例)も行なった。その結果、比較例の骨密度が1.009mg/mm3であったのに対し、本実施例2では、骨密度が1.087mg/mm3であった。
実施例3(抗鬱・抗ストレス効果)
上記粉末1の治療効果を調べた。
マウス強制水泳試験による精神安定作用の評価
本発明の治療剤の評価は、1977年にPorsoltにより開発されたマウス強制水泳試験を採用した。本試験は鬱病の動物モデル実験として最も多用される方法のひとつである。本試験では、マウスをある限られたスペースの中で強制的に泳がせて「無動状態」を惹起させる。この無動状態は、ストレスを負荷された動物が水からの逃避を放棄した一種の「絶望状態」を反映するものと考えられ、ヒトにおける鬱状態、ストレス状態と関連づけられている。事実、抗鬱薬は特異的にこの状況下における無動状態の持続時間を短縮させることがわかっており、この短縮作用は臨床力価との間に有意な相関を有することが認められている。
上記粉末1の治療効果を調べた。
マウス強制水泳試験による精神安定作用の評価
本発明の治療剤の評価は、1977年にPorsoltにより開発されたマウス強制水泳試験を採用した。本試験は鬱病の動物モデル実験として最も多用される方法のひとつである。本試験では、マウスをある限られたスペースの中で強制的に泳がせて「無動状態」を惹起させる。この無動状態は、ストレスを負荷された動物が水からの逃避を放棄した一種の「絶望状態」を反映するものと考えられ、ヒトにおける鬱状態、ストレス状態と関連づけられている。事実、抗鬱薬は特異的にこの状況下における無動状態の持続時間を短縮させることがわかっており、この短縮作用は臨床力価との間に有意な相関を有することが認められている。
本試験方法は次のとおりである。
25℃の水を深さ15cmまで入れたプラスチック円筒中でマウスを強制水泳させる。5分間の強制水泳後、30℃の乾燥機中で15分間乾燥し、ホームケージに戻す。翌日マウスに試験試料を腹腔内投与して、その1時間後に再び5分間の強制水泳を課し、現れた無動状態の持続時間をストップウォッチを用いて測定する。マウスが水に浮かんで静止している状態を無動状態と判定する。無動状態持続時間については有意差検定を行い、統計学的に有意差を検定する。実験には雄のddYマウスを使用し、1群6匹とする。なお、試験は全て午後1時から午後6時の間に行う。また、ポジティブコントロールとして抗鬱薬であるイミプラミンを用いた試験も行う。
25℃の水を深さ15cmまで入れたプラスチック円筒中でマウスを強制水泳させる。5分間の強制水泳後、30℃の乾燥機中で15分間乾燥し、ホームケージに戻す。翌日マウスに試験試料を腹腔内投与して、その1時間後に再び5分間の強制水泳を課し、現れた無動状態の持続時間をストップウォッチを用いて測定する。マウスが水に浮かんで静止している状態を無動状態と判定する。無動状態持続時間については有意差検定を行い、統計学的に有意差を検定する。実験には雄のddYマウスを使用し、1群6匹とする。なお、試験は全て午後1時から午後6時の間に行う。また、ポジティブコントロールとして抗鬱薬であるイミプラミンを用いた試験も行う。
その結果、粉末1を30mg/kg投与したマウスの無動状態持続時間は、170.4±2.9秒であった。コントロール(生理食塩水のみ)は220.0±2.2秒であった。ポジティブコントロール(30mg/kg投与)のマウスの無動状態持続時間は、176.5±4.0秒であった。本実施例およびポジティブコントロールの無動状態持続時間は、危険率1%で有意差を有する。なお、粉末1を2〜3倍量使用しても、同様の結果を得た。
実施例4
アディポネクチン産生上昇確認試験
正常ヒト前駆脂肪細胞を使用し、1.0×104個となるように96ウェルマイクロプレートに播種した。播種培地にはヒト前駆脂肪細胞基礎培地を用いた。24時間後に分化誘導添加剤と粉末1を加えた増殖培地に交換し、さらに1週間培養した。その後、培養上清中に産生されたアディポネクチン量をELISA法により定量した。各試料の評価結果を、ブランク(試料未添加)のアディポネクチン量を100とした場合の相対値にて下記に示す。なお、添加した粉末1濃度は、10μg/mlであった。
アディポネクチン産生上昇確認試験
正常ヒト前駆脂肪細胞を使用し、1.0×104個となるように96ウェルマイクロプレートに播種した。播種培地にはヒト前駆脂肪細胞基礎培地を用いた。24時間後に分化誘導添加剤と粉末1を加えた増殖培地に交換し、さらに1週間培養した。その後、培養上清中に産生されたアディポネクチン量をELISA法により定量した。各試料の評価結果を、ブランク(試料未添加)のアディポネクチン量を100とした場合の相対値にて下記に示す。なお、添加した粉末1濃度は、10μg/mlであった。
上記試験結果:相対値=366。この数値は、危険率1%で有意差を有する。
実施例5(コレステロール低下作用)
体重20g前後のICR系雄性マウス(1群5匹)に、高コレステロール−コール酸食餌(71.9%標準餌、15%ショ糖、2%食塩、10%ココナッツオイル、0.6%コレステロール、0.2%コール酸、0.3%塩化コリン)を試験第1日目から第7日目まで給餌(自由摂取)した。試験第6日目と第7日目に、上記粉末1の5mgを蒸留水に溶解し、経口投与した。その後、24時間の絶食を行い、試験第8日目にマウスから血液を採取し、血清を分離した。
体重20g前後のICR系雄性マウス(1群5匹)に、高コレステロール−コール酸食餌(71.9%標準餌、15%ショ糖、2%食塩、10%ココナッツオイル、0.6%コレステロール、0.2%コール酸、0.3%塩化コリン)を試験第1日目から第7日目まで給餌(自由摂取)した。試験第6日目と第7日目に、上記粉末1の5mgを蒸留水に溶解し、経口投与した。その後、24時間の絶食を行い、試験第8日目にマウスから血液を採取し、血清を分離した。
また、採取した血清の一部にヘパリンを添加し沈降させ、低比重リポタンパク(LDL)としてヘパリン沈降リポタンパクを得た。血清中の総コレステロール値及びLDL中のコレステロール値を、シー・シー・アライン(C.C.Allain et al.)らの報告(クリニカル ケミストリイ(Clinical Chemistry)、1974年、20巻、470−475頁)に従って、測定した。
血清中の総コレステロール値からLDLコレステロール値を引いた値を、高比重リポタンパク(HDL)コレステロール値として算出した。なお対照群は、上記粉末1を投与していない群である。
その結果を表1に示した。表1から明らかなように、血清中総コレステロールを低下させる明らかな作用が認められた。
実施例6(血圧降下効果)
実施例1の粉末1を一般市販飼料(船橋農場製、船橋SP)に添加し、脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(SHR−SP)を用いて最高血圧値、体重の変化を比較した。対照区は、粉末1を添加しない一般試料を用いた。A区を対照区、B区を本発明区とし、それぞれの飼料で5週齢の雄性SHR−SPを各区6匹ずつ7週間飼育し、12週齢に達した時の血圧値と体重の変化について調べた。表2に示すように血圧の変化においては、本発明区に有意な血圧上昇の抑制が認められた。なお、本発明区においては、粉末1の1日あたりの粉末1の摂取量が、50mg/kg体重となるように飼料中の粉末1の濃度を調整した。
実施例1の粉末1を一般市販飼料(船橋農場製、船橋SP)に添加し、脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(SHR−SP)を用いて最高血圧値、体重の変化を比較した。対照区は、粉末1を添加しない一般試料を用いた。A区を対照区、B区を本発明区とし、それぞれの飼料で5週齢の雄性SHR−SPを各区6匹ずつ7週間飼育し、12週齢に達した時の血圧値と体重の変化について調べた。表2に示すように血圧の変化においては、本発明区に有意な血圧上昇の抑制が認められた。なお、本発明区においては、粉末1の1日あたりの粉末1の摂取量が、50mg/kg体重となるように飼料中の粉末1の濃度を調整した。
実施例6(抗アレルギー効果)
RAST法による食物アレルゲン陽性の慢性じんま疹の患者20名(20〜22歳の男性10名及び女性10名)に、1回の食事と共に前記粉末1を500mg、1カ月投与した。結果を以下の表3に示す。
RAST法による食物アレルゲン陽性の慢性じんま疹の患者20名(20〜22歳の男性10名及び女性10名)に、1回の食事と共に前記粉末1を500mg、1カ月投与した。結果を以下の表3に示す。
実施例7
RAST法によるアトピー性皮膚炎患者20名(20〜22歳の男性10名及び女性10名)に、1回の食事と共に前記粉末1を500mg、1カ月投与した。結果を以下の表4に示す。
RAST法によるアトピー性皮膚炎患者20名(20〜22歳の男性10名及び女性10名)に、1回の食事と共に前記粉末1を500mg、1カ月投与した。結果を以下の表4に示す。
なお、上記各例において、粉末1の替わりに、フコキサンチノールの粉末を用いた場合においても、上記と同様の結果を得た。本発明の治療剤は、飼料の形態としても有用である。
Claims (7)
- フコキサンチンおよび/またはフコキサンチノールを有効成分とする高尿酸血症の予防または改善剤。
- フコキサンチンおよび/またはフコキサンチノールを有効成分とする抗骨粗鬆症剤。
- フコキサンチンおよび/またはフコキサンチノールを有効成分とする抗鬱・抗ストレス剤。
- フコキサンチンおよび/またはフコキサンチノールを有効成分とするアディポネクチン産生促進剤。
- フコキサンチンおよび/またはフコキサンチノールを有効成分とするコレステロール低下剤。
- フコキサンチンおよび/またはフコキサンチノールを有効成分とする血圧降下剤。
- フコキサンチンおよび/またはフコキサンチノールを有効成分とする抗アレルギー剤。
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