JP2009126830A - 治療剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 イソロイシン、ロイシンおよびバリン(BCAA)に種々の医療・薬学的効果が存在することが知られている。例えば、慢性心不全に対する効果、肝疾患に対する効果等が挙げられる。本発明の課題は、これら以外の種々の疾病に、とりわけ顕著な効果でもって有効である、BCAAを有効成分とする治療剤の提供にある。
【解決手段】 BCAAを有効成分とする、血圧降下剤、インフルエンザウイルス感染阻害剤、抗鬱・抗ストレス剤、薬物依存症治療薬、アディポネクチン産生促進剤、抗骨粗鬆症剤、二日酔い予防又は改善剤。
【選択図】 なし
【解決手段】 BCAAを有効成分とする、血圧降下剤、インフルエンザウイルス感染阻害剤、抗鬱・抗ストレス剤、薬物依存症治療薬、アディポネクチン産生促進剤、抗骨粗鬆症剤、二日酔い予防又は改善剤。
【選択図】 なし
Description
本発明は、イソロイシン、ロイシンおよびバリンを有効成分とする各種治療剤に関するものである。
イソロイシン、ロイシンおよびバリン(以下、BCAAという)に種々の医療・薬学的効果が存在することが知られている。例えば、慢性心不全に対する効果(特許文献1)、肝疾患に対する効果等が挙げられる(特許文献2)。しかしながら、BCAAが、下記で説明する本発明で適用される種々の疾病に、顕著な効果でもって有効であるとの見地はない。
特開2007−204416号公報
国際公開WO2004/019928号パンフレット
本発明の目的は、下記で説明する本発明で適用される種々の疾病に、とりわけ顕著な効果でもって有効である各種治療剤を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、イソロイシン、ロイシンおよびバリンを有効成分とする、血圧降下剤である。
請求項2に記載の発明は、イソロイシン、ロイシンおよびバリンを有効成分とする、インフルエンザウイルス感染阻害剤である。
請求項3に記載の発明は、イソロイシン、ロイシンおよびバリンを有効成分とする、抗鬱・抗ストレス剤である。
請求項4に記載の発明は、イソロイシン、ロイシンおよびバリンを有効成分とする、薬物依存症治療薬である。
請求項5に記載の発明は、イソロイシン、ロイシンおよびバリンを有効成分とする、アディポネクチン産生促進剤である。
請求項6に記載の発明は、イソロイシン、ロイシンおよびバリンを有効成分とする、抗骨粗鬆症剤である。
請求項2に記載の発明は、イソロイシン、ロイシンおよびバリンを有効成分とする、インフルエンザウイルス感染阻害剤である。
請求項3に記載の発明は、イソロイシン、ロイシンおよびバリンを有効成分とする、抗鬱・抗ストレス剤である。
請求項4に記載の発明は、イソロイシン、ロイシンおよびバリンを有効成分とする、薬物依存症治療薬である。
請求項5に記載の発明は、イソロイシン、ロイシンおよびバリンを有効成分とする、アディポネクチン産生促進剤である。
請求項6に記載の発明は、イソロイシン、ロイシンおよびバリンを有効成分とする、抗骨粗鬆症剤である。
本発明によれば、下記で説明する本発明で適用される種々の疾病に、とりわけ顕著な効果でもって有効である各種治療剤が提供される。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明におけるBCAAは、それぞれ、L−体、D−体、DL−体のいずれも使用可能であるが、好ましくは、L−体、DL−体であり、さらに好ましくは、L−体である。また、BCAAは、塩の形態でもよい。
本発明におけるBCAAは、それぞれ、L−体、D−体、DL−体のいずれも使用可能であるが、好ましくは、L−体、DL−体であり、さらに好ましくは、L−体である。また、BCAAは、塩の形態でもよい。
本発明におけるBCAAの投与量は、性別、体重、年齢、既往症、その他の医学・薬学的見地を考慮して適宜決定すればよいが、ヒトである場合、成人1日あたり、イソロイシン0.005g/kg体重〜5g/kg体重、ロイシン0.01g/kg体重〜10g/kg体重、バリン0.005g/kg体重〜5g/kg体重が例示される。
BCAAにおいて、イソロイシン、ロイシンおよびバリンの配合割合は、それぞれ重量比で、通常、1:1.5〜2.5:0.8〜1.7の範囲であり、特に好ましくは1:1.9〜2.2:1.1〜1.3の範囲である。
本発明の治療剤は、哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル等)に好適に適用できる。
本発明の治療剤は、投与形態は特に限定されないが、経口投与、直腸投与、注射、輸液による投与等の公知の投与形態を採用できる。また、医学上安全な添加物を添加することもできる。経口投与の剤形としては、顆粒剤、細粒剤、粉剤、被覆錠剤、錠剤、坐剤、散剤、(マイクロ)カプセル剤、チュアブル剤、シロップ、ジュース、液剤、懸濁剤、乳濁液等、また注射剤としては静脈直接注入用、点滴投与用、活性物質の放出を延長する製剤等などの医薬製剤一般の剤型を採用することができる。
BCAAの投与のタイミングは、同時であっても別々であってもよい。
本発明におけるBCAAは、各種健康食品および機能性食品として摂取可能である。これらの例としては、各種のものをあげることができるが、健康食品および機能性食品の製造に関しては、通常用いられる、食品素材、食品添加物に加え、賦形剤、増量剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、分散剤、保存剤、湿潤化剤、溶解補助剤、防腐剤、安定化材、カプセル基剤等の補助剤を用いた飲食品製剤形態で利用することができる。該補助剤の具体的な例示をすれば、乳糖、果糖、ブドウ糖、でん粉、ゼラチン、炭酸マグネシウム、合成ケイ酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、炭酸カルシウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはその塩、アラビアガム、ポリエチレングルコール、シロップ、ワセリン、グリセリン、エタノール、プロピレングリコール、クエン酸、塩化ナトリウム、亜硫酸ソーダ、リン酸ナトリウム、プルラン、カラギーナン、デキストリン、還元パラチノース、ソルビトール、キシリトール、ステビア、合成甘味料、クエン酸、アスコルビン酸、酸味料、重曹、ショ糖エステル、植物硬化油脂、塩化カリウム、サフラワー油、ミツロウ、大豆レシチン、香料等が配合できる。このような健康食品、機能性食品の製造に関しては、医薬品製剤の参考書、例えば「日本薬局方解説書(製剤総則)」(廣川書店)等を参考にすることができる。
上記以外にも本発明のBCAAは飲食品として摂取することができる。具体的には、プリン、クッキー、クラッカー、ポテトチップス、ビスケット、パン、ケーキ、チョコレート、ドーナツ、ゼリーなどの洋菓子、煎餅、羊羹、大福、おはぎ、その他の饅頭、カステラなどの和菓子、冷菓(飴等)、チューインガム等のパン・菓子類や、うどん、そば、きしめん等の麺類や、かまぼこ、ハム、魚肉ソーセージ等の魚肉練り製品や、ハム、ソーセージ、ハンバーグ、コーンビーフ等の畜肉製品や、塩、胡椒、みそ、しょう油、ソース、ドレッシング、マヨネーズ、ケチャップ、甘味料、辛味料等の調味類や、明石焼き、たこ焼き、もんじゃ焼き、お好み焼き、焼きそば、焼きうどん等の鉄板焼き食品や、チーズ、ハードタイプのヨーグルト等の乳製品や、納豆、厚揚げ、豆腐、こんにゃく、団子、漬物、佃煮、餃子、シューマイ、コロッケ、サンドイッチ、ピザ、ハンバーガー、サラダ等の各種総菜や、各種粉末(ビーフ、ポーク、チキン等畜産物、海老、帆立、蜆、昆布等水産物、野菜・果実類、植物、酵母、藻類等)や、油脂類・香料類(バニラ、柑橘類、かつお等)を粉末固形化したものや、粉末飲食品(インスタントコーヒー、インスタント紅茶、インスタントミルク、インスタントスープ、味噌汁等)等の各種食品が挙げることができるが、これらに特に制限されない。
以下、本発明を実施例によってさらに説明するが、本発明は下記例に制限されない。本発明で使用されるBCAAは、血圧降下剤、インフルエンザウイルス感染阻害剤、抗鬱・抗ストレス剤、薬物依存症治療薬、アディポネクチン産生促進剤、抗骨粗鬆症剤、二日酔い予防又は改善剤としてきわめて有用である。以下、上記各種薬効について実施例でもって説明する。
実施例1
血圧降下効果
BCAAを一般市販飼料(船橋農場製、船橋SP)に添加し、脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(SHR−SP)を用いて最高血圧値、体重の変化を比較した。対照区は、BCAAを添加しない一般試料を用いた。A区を対照区、B区を本発明区とし、それぞれの飼料で5週齢の雄性SHR−SPを各区6匹ずつ7週間飼育し、12週齢に達した時の血圧値と体重の変化について調べた。表1に示すように血圧の変化においては、本発明区に有意な血圧上昇の抑制が認められた。なお、本発明区においては、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−バリンのラットの1日あたりの摂取量が、それぞれ50mg/kg体重、100mg/kg体重、50mg/kg体重となるように飼料中のBCAA濃度を調整した。
血圧降下効果
BCAAを一般市販飼料(船橋農場製、船橋SP)に添加し、脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(SHR−SP)を用いて最高血圧値、体重の変化を比較した。対照区は、BCAAを添加しない一般試料を用いた。A区を対照区、B区を本発明区とし、それぞれの飼料で5週齢の雄性SHR−SPを各区6匹ずつ7週間飼育し、12週齢に達した時の血圧値と体重の変化について調べた。表1に示すように血圧の変化においては、本発明区に有意な血圧上昇の抑制が認められた。なお、本発明区においては、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−バリンのラットの1日あたりの摂取量が、それぞれ50mg/kg体重、100mg/kg体重、50mg/kg体重となるように飼料中のBCAA濃度を調整した。
参考例1
〔動物実験〕
4週令のフィッシャー344系雄ラット(日本クレア(株))を標準飼料で6日間予備飼育した後、1群25匹ずつ2群に分け、表2に示したごとくの実験飼料を給与して6カ月間飼育した。なお、飼料は自由に摂取させた。発癌物質(1,2−ジメチルヒドラジン)は試験開始後1週目より20週目まで計20回、20mg/kg体重となるようにラットの腹腔内に投与した。大腸癌の有無は、ラットを解剖して大腸を摘出して数を調べた。動物実験に用いた飼料の成分組成を表2に、大腸癌の発生頻度を表3にそれぞれ示す。なお、本発明区においては、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−バリンのラットの1日あたりの摂取量が、それぞれ50mg/kg体重、100mg/kg体重、50mg/kg体重となるように飼料中のBCAA濃度を調整した。
〔動物実験〕
4週令のフィッシャー344系雄ラット(日本クレア(株))を標準飼料で6日間予備飼育した後、1群25匹ずつ2群に分け、表2に示したごとくの実験飼料を給与して6カ月間飼育した。なお、飼料は自由に摂取させた。発癌物質(1,2−ジメチルヒドラジン)は試験開始後1週目より20週目まで計20回、20mg/kg体重となるようにラットの腹腔内に投与した。大腸癌の有無は、ラットを解剖して大腸を摘出して数を調べた。動物実験に用いた飼料の成分組成を表2に、大腸癌の発生頻度を表3にそれぞれ示す。なお、本発明区においては、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−バリンのラットの1日あたりの摂取量が、それぞれ50mg/kg体重、100mg/kg体重、50mg/kg体重となるように飼料中のBCAA濃度を調整した。
実施例2
インフルエンザウイルス感染阻害効果
BCAAの抗インフルエンザウイルス効果について、FFU assay(Focus Forming Unit Assay)により阻害率を測定し評価した。対象としたウイルスは、H5N1のトリインフルエンザウイルス(A/Kyoto/04)を用いた。
インフルエンザウイルス感染阻害効果
BCAAの抗インフルエンザウイルス効果について、FFU assay(Focus Forming Unit Assay)により阻害率を測定し評価した。対象としたウイルスは、H5N1のトリインフルエンザウイルス(A/Kyoto/04)を用いた。
まず、96穴マイクロプレートに実施例1のBCAAを水に分散させた1%希釈液(L−イソロイシン、L−ロイシン、L−バリンの濃度は、それぞれ5μg/ml、10μg/ml、5μg/ml)を50μl入れた。次に、トリインフルエンザウイルスを約200FFU/50μl MEM加え、混和し30分静置した。そして、96穴マイクロプレートに培養したMDCK細胞を加え、上記トリインフルエンザウイルスを感染させ、16時間培養した。その後、細胞をエタノールで固定し、抗A型NP(核蛋白質)モノクローナル抗体を用いて酵素抗体法により感染細胞(1FFU=1感染性ウイルス)を染色し、感染細胞数を数え、下記式により、トリインフルエンザウイルスの感染率(%)を測定した。
感染率(%)=(BCAAを添加したウエルのFFU)/(BCAAを添加しないウエルのFFU) × 100
感染率(%)=(BCAAを添加したウエルのFFU)/(BCAAを添加しないウエルのFFU) × 100
その結果、感染率は4%であり、BCAAのインフルエンザ感染阻害効果が確認された。なお、インフルエンザウイルスA/Aichi/2/68(H3N2)を用いた場合も同様の結果を得た。
実施例3
抗鬱・抗ストレス効果
マウス強制水泳試験による精神安定作用の評価
本実施例の抗鬱・抗ストレス評価は、1977年にPorsoltにより開発されたマウス強制水泳試験を採用した。本試験は鬱病の動物モデル実験として最も多用される方法のひとつである。本試験では、マウスをある限られたスペースの中で強制的に泳がせて「無動状態」を惹起させる。この無動状態は、ストレスを負荷された動物が水からの逃避を放棄した一種の「絶望状態」を反映するものと考えられ、ヒトにおける鬱状態、ストレス状態と関連づけられている。事実、抗鬱薬は特異的にこの状況下における無動状態の持続時間を短縮させることがわかっており、この短縮作用は臨床力価との間に有意な相関を有することが認められている。
抗鬱・抗ストレス効果
マウス強制水泳試験による精神安定作用の評価
本実施例の抗鬱・抗ストレス評価は、1977年にPorsoltにより開発されたマウス強制水泳試験を採用した。本試験は鬱病の動物モデル実験として最も多用される方法のひとつである。本試験では、マウスをある限られたスペースの中で強制的に泳がせて「無動状態」を惹起させる。この無動状態は、ストレスを負荷された動物が水からの逃避を放棄した一種の「絶望状態」を反映するものと考えられ、ヒトにおける鬱状態、ストレス状態と関連づけられている。事実、抗鬱薬は特異的にこの状況下における無動状態の持続時間を短縮させることがわかっており、この短縮作用は臨床力価との間に有意な相関を有することが認められている。
本試験方法は次のとおりである。
25℃の水を深さ15cmまで入れたプラスチック円筒中でマウスを強制水泳させる。5分間の強制水泳後、30℃の乾燥機中で15分間乾燥し、ホームケージに戻す。翌日マウスに試験試料を腹腔内投与して、その1時間後に再び5分間の強制水泳を課し、現れた無動状態の持続時間をストップウォッチを用いて測定する。マウスが水に浮かんで静止している状態を無動状態と判定する。無動状態持続時間については有意差検定を行い、統計学的に有意差を検定する。実験には雄のddYマウスを使用し、1群6匹とする。なお、試験は全て午後1時から午後6時の間に行う。また、ポジティブコントロールとして抗鬱薬であるイミプラミンを用いた試験も行う。
25℃の水を深さ15cmまで入れたプラスチック円筒中でマウスを強制水泳させる。5分間の強制水泳後、30℃の乾燥機中で15分間乾燥し、ホームケージに戻す。翌日マウスに試験試料を腹腔内投与して、その1時間後に再び5分間の強制水泳を課し、現れた無動状態の持続時間をストップウォッチを用いて測定する。マウスが水に浮かんで静止している状態を無動状態と判定する。無動状態持続時間については有意差検定を行い、統計学的に有意差を検定する。実験には雄のddYマウスを使用し、1群6匹とする。なお、試験は全て午後1時から午後6時の間に行う。また、ポジティブコントロールとして抗鬱薬であるイミプラミンを用いた試験も行う。
その結果、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−バリンのラットをそれぞれ50mg/kg体重、100mg/kg体重、50mg/kg体重投与したマウスの無動状態持続時間は、170.0±6.0秒であった。コントロール(生理食塩水のみ)は215.0±2.2秒であった。ポジティブコントロール(30mg/kg投与)のマウスの無動状態持続時間は、176.5±4.0秒であった。本実施例およびポジティブコントロールの無動状態持続時間は、危険率1%で有意差を有する。
実施例4
アルコール依存に対するBCAAの効果の検討を行った。すなわち、Pharmacology Biochemistry and behavior,第35巻,第485〜487頁,1990年に記載の方法に従って試験を行った。
アルコール依存に対するBCAAの効果の検討を行った。すなわち、Pharmacology Biochemistry and behavior,第35巻,第485〜487頁,1990年に記載の方法に従って試験を行った。
(1)薬物用量
L−イソロイシン、L−ロイシン、L−バリンを、各試行においてエタノール投与の30分前に、それぞれ50mg/kg体重、100mg/kg体重、50mg/kg体重経口投与した。
(2)実験方法
動物はウイスター系雄性ラットの8〜9週齢のものを使用した。動物は1群10匹とした。実験装置は幅30cm、長さ60cm、高さ30cmのアクリル板製の2−compartments boxで、区画は中央に設置されているギロチンドアにより白及び黒区画に等分割されている。さらに、その床面は白区画では滑り難く、一方黒区画では滑り易く加工した、いわゆる白、黒の視覚刺激と床面の触覚刺激の両方を兼ね備えたシャトルボックスを用いた。
条件づけは1日1回、6日間行った。ラットにエタノール(0.5あるいは1g/kg)あるいは生理食塩液を処置後、一方の区画内に50分間入れ、翌日は前日とは異なる処置をしてもう一方の区画内に50分間入れるという試行を3回繰り返した。なお、条件づけ手順の差による結果への影響を最小限にするため、カウンターバランス方式を用い、即ちエタノール処置群、生理食塩液処置群と白あるいは黒区画との組合せについては、4通りの組合せを行った。
L−イソロイシン、L−ロイシン、L−バリンを、各試行においてエタノール投与の30分前に、それぞれ50mg/kg体重、100mg/kg体重、50mg/kg体重経口投与した。
(2)実験方法
動物はウイスター系雄性ラットの8〜9週齢のものを使用した。動物は1群10匹とした。実験装置は幅30cm、長さ60cm、高さ30cmのアクリル板製の2−compartments boxで、区画は中央に設置されているギロチンドアにより白及び黒区画に等分割されている。さらに、その床面は白区画では滑り難く、一方黒区画では滑り易く加工した、いわゆる白、黒の視覚刺激と床面の触覚刺激の両方を兼ね備えたシャトルボックスを用いた。
条件づけは1日1回、6日間行った。ラットにエタノール(0.5あるいは1g/kg)あるいは生理食塩液を処置後、一方の区画内に50分間入れ、翌日は前日とは異なる処置をしてもう一方の区画内に50分間入れるという試行を3回繰り返した。なお、条件づけ手順の差による結果への影響を最小限にするため、カウンターバランス方式を用い、即ちエタノール処置群、生理食塩液処置群と白あるいは黒区画との組合せについては、4通りの組合せを行った。
1)エタノールと白、次の日は生理食塩液と黒
2)生理食塩液と黒、次の日はエタノールと白
3)エタノールと黒、次の日は生理食塩液と白
4)生理食塩液と白、次の日はエタノールと黒
また、対照として、エタノール処置の代わりに生理食塩液を投与した群を設け同様に条件付けを行った。
2)生理食塩液と黒、次の日はエタノールと白
3)エタノールと黒、次の日は生理食塩液と白
4)生理食塩液と白、次の日はエタノールと黒
また、対照として、エタノール処置の代わりに生理食塩液を投与した群を設け同様に条件付けを行った。
6日間の条件づけ試行の後、15分間、各区画における滞在時間を測定する試験試行を行った。条件づけしたラットにはエタノール、生理食塩液のいずれの投与も行わず、装置には区画分割部であるボックス中央部に、白黒の中間色である灰色の金網製プラットフォーム(幅2cm,長さ5cm)を設置した。滞在時間の測定は、プラットフォーム上にラットを乗せ、その後、ラットが床に降り、自由に白黒両区画を行き来できる状況になってから15分間、ラットの前足と頭部が区画内に入っている時間をその区画における滞在時間として測定した。なお、薬物処置区画に対する欲求効果、即ちplace preferenceは、薬物処置区画の滞在時間から生理食塩液処置区画の滞在時間を引いた値で求めた。
結果を表5に示す。エタノール処置区画に対する欲求効果は用量依存的に増加した。BCAAはエタノール依存を抑制した(表4)。BCAAは有意な効果を示した。なお、別実験では、BCAAは用量依存的にエタノール依存を抑制できることも確認されている。
実施例5
アディポネクチン産生上昇確認試験
正常ヒト前駆脂肪細胞を使用し、1.0×104個となるように96ウェルマイクロプレートに播種した。播種培地にはヒト前駆脂肪細胞基礎培地を用いた。24時間後に分化誘導添加剤とBCAAを加えた増殖培地に交換し、さらに1週間培養した。その後、培養上清中に産生されたアディポネクチン量をELISA法により定量した。各試料の評価結果を、ブランク(試料未添加)のアディポネクチン量を100とした場合の相対値にて下記に示す。なお、添加したBCAA濃度は、イソロイシンおよびバリンともに、10μg/ml、ロイシンは22μg/mlであった。
アディポネクチン産生上昇確認試験
正常ヒト前駆脂肪細胞を使用し、1.0×104個となるように96ウェルマイクロプレートに播種した。播種培地にはヒト前駆脂肪細胞基礎培地を用いた。24時間後に分化誘導添加剤とBCAAを加えた増殖培地に交換し、さらに1週間培養した。その後、培養上清中に産生されたアディポネクチン量をELISA法により定量した。各試料の評価結果を、ブランク(試料未添加)のアディポネクチン量を100とした場合の相対値にて下記に示す。なお、添加したBCAA濃度は、イソロイシンおよびバリンともに、10μg/ml、ロイシンは22μg/mlであった。
上記試験結果:相対値=379。この数値は、危険率1%で有意差を有する。
実施例6
骨粗鬆症改善効果試験
SD系ラット(22週齢)メスの卵巣を外科的に取り除き、骨粗鬆症のモデルラットを作成した。卵巣摘出ラットを7匹ずつ6群に分け、35日間の試験期間中、1日置きに(計17回)、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−バリンがそれぞれ50mg/kg体重、100mg/kg体重、50mg/kg体重となるように生理食塩水に分散させて経口投与した。飼料はオリエンタル酵母株式会社のマウス・ラット・ハムスター用固形飼料CRF−1を用い、給餌および給水方法は自由摂取とした。試験期間中、各群間で、餌の摂取量に差は認められなかった。試験開始後35日目にラットの体重を測定した後、大腿骨を取り出した。大腿骨は、接着組織および筋肉を取り除いて分析に使用した。大腿骨の体積を測定した後、エタノールで3回洗浄し、次にアセトンで3回洗浄したのち、一晩乾燥し、その後、重量を測定して大腿骨の乾燥重量を求めた。体積および乾燥重量から、骨密度(乾燥重量g/体積mm3 )を測定した。なお対照実験として、BCAAを含まない生理食塩水をラットに投与したこと以外は、上記実験を繰り返した例(比較例)も併せて、その結果を表5に示す。
骨粗鬆症改善効果試験
SD系ラット(22週齢)メスの卵巣を外科的に取り除き、骨粗鬆症のモデルラットを作成した。卵巣摘出ラットを7匹ずつ6群に分け、35日間の試験期間中、1日置きに(計17回)、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−バリンがそれぞれ50mg/kg体重、100mg/kg体重、50mg/kg体重となるように生理食塩水に分散させて経口投与した。飼料はオリエンタル酵母株式会社のマウス・ラット・ハムスター用固形飼料CRF−1を用い、給餌および給水方法は自由摂取とした。試験期間中、各群間で、餌の摂取量に差は認められなかった。試験開始後35日目にラットの体重を測定した後、大腿骨を取り出した。大腿骨は、接着組織および筋肉を取り除いて分析に使用した。大腿骨の体積を測定した後、エタノールで3回洗浄し、次にアセトンで3回洗浄したのち、一晩乾燥し、その後、重量を測定して大腿骨の乾燥重量を求めた。体積および乾燥重量から、骨密度(乾燥重量g/体積mm3 )を測定した。なお対照実験として、BCAAを含まない生理食塩水をラットに投与したこと以外は、上記実験を繰り返した例(比較例)も併せて、その結果を表5に示す。
実施例6と比較例とを対比したところ、実施例6はp<0.05の危険率で有意差が認められた。
実施例7
二日酔い改善効果試験
以下の処方にてジュースを調製した。
冷凍濃縮オレンジ果汁 5.0質量部
果糖ブドウ糖液糖 1.0質量部
クエン酸 0.10質量部
L−アスコルビン酸 0.09質量部
BCAA (適当量)
二日酔い改善効果試験
以下の処方にてジュースを調製した。
冷凍濃縮オレンジ果汁 5.0質量部
果糖ブドウ糖液糖 1.0質量部
クエン酸 0.10質量部
L−アスコルビン酸 0.09質量部
BCAA (適当量)
エタノールパッチテストでアルデヒド脱水素酵素欠損型と判定された健常人5名(年齢25〜32才、男性3名、女性2名)をパネルとし、上記ジュースおよび上記ジュースから紅花抽出物を除いた対照ジュースを用いた。なお、上記ジュースにおけるBCAAの量は、イソロイシンおよびバリンともに、0.04質量部、ロイシンは0.08質量部であった。
ジュースおよび対照ジュース服用後20分にビール(アルコール濃度約 5.5%)135ml を飲酒させて、飲酒後20分での自覚症状を質問票で回答させた。
パネルテストは順序効果を考慮し、ブラインドで行い、同一時間帯に日を変えて実施した。
自覚症状の評価は1〜5(1:症状なし、2:やや症状あり、3:症状あり、4:ややひどい、5:ひどい)の5段階で行い、Paired-t 検定により有意差を検定した。
パネルテストは順序効果を考慮し、ブラインドで行い、同一時間帯に日を変えて実施した。
自覚症状の評価は1〜5(1:症状なし、2:やや症状あり、3:症状あり、4:ややひどい、5:ひどい)の5段階で行い、Paired-t 検定により有意差を検定した。
結果を以下に示す。実施例7のジュースは、危険率 5%で酔いの程度および顔のほてりを改善し、悪酔いを予防することが明らかになった。
ジュースおよび対照ジュースの悪酔い予防効果(平均値)
実施例7のジュース:
酔いの程度2.2*
顔のほてり2.0*
心臓の鼓動2.5
眠気の程度3.3
対照ジュース:
酔いの程度3.5
顔のほてり3.7
心臓の鼓動3.3
眠気の程度3.4
*:対照ジュースに比べて有意差あり(P<0.05)
実施例7のジュース:
酔いの程度2.2*
顔のほてり2.0*
心臓の鼓動2.5
眠気の程度3.3
対照ジュース:
酔いの程度3.5
顔のほてり3.7
心臓の鼓動3.3
眠気の程度3.4
*:対照ジュースに比べて有意差あり(P<0.05)
Claims (6)
- イソロイシン、ロイシンおよびバリンを有効成分とする、血圧降下剤。
- イソロイシン、ロイシンおよびバリンを有効成分とする、インフルエンザウイルス感染阻害剤。
- イソロイシン、ロイシンおよびバリンを有効成分とする、抗鬱・抗ストレス剤。
- イソロイシン、ロイシンおよびバリンを有効成分とする、薬物依存症治療薬。
- イソロイシン、ロイシンおよびバリンを有効成分とする、、アディポネクチン産生促進剤。
- イソロイシン、ロイシンおよびバリンを有効成分とする、抗骨粗鬆症剤。
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