JP2009120544A - 治療剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】カプシノイド化合物に種々の生理活性が存在することが知られている。例えば、血行促進作用、血圧低下作用、抗糖尿作用等である。本発明の課題は、これら以外の種々の疾病に、とりわけ顕著な効果でもって有効である、カプシノイド化合物を有効成分とする治療剤の提供。
【解決手段】カプシノイド化合物を有効成分とする、リウマチ、がん性疾患等の治療剤または予防剤。カルシウム吸収促進剤。カプシノイド化合物を有効成分とする、カルシウム吸収促進剤、抗骨粗鬆症剤、二日酔い予防又は改善剤、インフルエンザウイルス感染阻害剤、抗鬱・抗ストレス剤、薬物依存症治療薬、アディポネクチン産生促進剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、カプシノイド化合物を有効成分とする各種治療剤に関するものである。
カプシノイド化合物に種々の生理活性が存在することが知られている。例えば、血行促進作用(特許文献1)、血圧低下作用(特許文献2)、抗糖尿作用(特許文献3)等である。しかしながら、カプシノイド化合物が、下記で説明する本発明で適用される種々の疾病に、とりわけ顕著な効果でもって有効であるとの見地はない。
特開2007−269714号公報 特開2004−149494号公報 特開2003−342172号公報
本発明の目的は、下記で説明する本発明で適用される種々の疾病に、とりわけ顕著な効果でもって有効である各種治療剤を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、カプシノイド化合物を有効成分とすることを特徴とする、全身性エリテマトーデス、免疫介在性糸球体腎炎、多発性硬化症、膠原病、自己免疫疾患、リウマチ、がん性疾患、炎症性疾患、動脈硬化、神経疾患、虚血再潅流障害、血管機能不全、病因性血管拡張、組織損傷、心臓血管系虚血、痛感過敏症、脳虚血、血管新生を伴う疾病、肝硬変、慢性関節性リウマチ、変形性関節リウマチ、痛風性関節炎、ベーチェット病に伴う関節炎、脳虚血中および再潅流後の脳組織の損傷又はウイルス性疾患治療剤または予防剤である。
請求項2に記載の発明は、カプシノイド化合物を有効成分とすることを特徴とするカルシウム吸収促進剤である。
請求項3に記載の発明は、カプシノイド化合物を有効成分とすることを特徴とする抗骨粗鬆症剤である。
請求項4に記載の発明は、カプシノイド化合物を有効成分とすることを特徴とする二日酔い予防又は改善剤である。
請求項5に記載の発明は、カプシノイド化合物を有効成分とすることを特徴とするインフルエンザウイルス感染阻害剤である。
請求項6に記載の発明は、カプシノイド化合物を有効成分とすることを特徴とする抗鬱・抗ストレス剤である。
請求項7に記載の発明は、カプシノイド化合物を有効成分とすることを特徴とする薬物依存症治療薬である。
請求項8に記載の発明は、カプシノイド化合物を有効成分とすることを特徴とするアディポネクチン産生促進剤である。
本発明によれば、下記で説明する本発明で適用される種々の疾病に、とりわけ顕著な効果でもって有効である各種治療剤が提供される。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明で使用されるカプシノイド化合物は公知であり、例えば上記特許文献1〜3に記載されている。
すなわち、本発明で使用されるカプシノイド化合物とは、バニリルアルコール脂肪酸エステルであり、具体的にはカプシエイト、ジヒドロカプシエイト、ノルジヒドロカプシエイト、バニリルデカノエイト[4-hydroxy-3-methoxybenzyl decanoate (caprate)]、バニリルオクタノエイト[4-hydroxy-3-methoxybenzyl octanoate]等の各種直鎖脂肪酸とバニリルアルコールの脂肪酸エステル等が挙げられる。
また、上記特許文献1にも記載されているように、カプシノイド化合物は下記一般式(1)のように表すこともできる。
Figure 2009120544
(上記一般式(1)においてR1は、炭素数5〜10のアルキル基又は炭素数5から10のアルケニル基を示し、置換基を有していてもよい。)
ここで、R1で表される炭素数5〜10のアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状であってもよい。分岐鎖であることが好ましい。
R1で表される炭素数5〜10のアルケニル基は、直鎖状でも分岐鎖状であってもよい。二重結合の部位は、トランス型が好ましい。
また、これらの基は任意に1〜4の置換基によって置換されていてもよく、置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アミノ基、水酸基、アシル基、ニトロ基、シアノ基、チオール基等が挙げられる。中でも、炭素数1〜4の短鎖アルキル基により置換されたものが好ましい。置換基としてとくに好ましいのはメチル基、エチル基であって、末端のメチル側から数えて2位又は3位の炭素原子上の水素原子が置換されることが好ましい。
中でも本発明では、カプシノイド化合物として、カプシエイト、ジヒドロカプシエイト、ノルジヒドロカプシエイトが好ましい。
また、バニリルデカノエイト、バニリルオクタノエイト、バニリルウンデカノエイト、バニリル9−メチルデカノエイト、バニリル6−メチルオクタノエイト、バニリル7−メチルノナノエイト、バニリル8−メチルデカノエイト等も好ましい。
上述したカプシノイド化合物は、トウガラシ属に属する植物体に多く含まれるものであるため、特許文献1に記載されているように、「CH-19甘」のようなトウガラシ属に属する植物体(以下「トウガラシ」という。)の植物体および/または果実から抽出・分離・精製することによって調製することができる。また、合成することも可能である(特許文献1を参照)。
本発明のカプシノイド化合物の投与量および投与回数は、ヒトであるか、それ以外の動物であるか、またそれらの性別、年齢、体重、症状の程度等によって適宜決定すればよいが、ヒトに経口投与する場合、成人1日あたり1〜50mg/kgであるのが好適である。ヒト以外の動物も同様である。また、カプシノイド化合物の投与の形態は、とくに制限されず、例えば固体、液体、ゾル、ゲル、粉末および顆粒状であることができる。
本発明のカプシノイド化合物は、各種健康食品および機能性食品として摂取可能である。これらの例としては、各種のものをあげることができるが、健康食品および機能性食品の製造に関しては、通常用いられる、食品素材、食品添加物に加え、賦形剤、増量剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、分散剤、保存剤、湿潤化剤、溶解補助剤、防腐剤、安定化材、カプセル基剤等の補助剤を用いた飲食品製剤形態で利用することができる。該補助剤の具体的な例示をすれば、乳糖、果糖、ブドウ糖、でん粉、ゼラチン、炭酸マグネシウム、合成ケイ酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、炭酸カルシウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはその塩、アラビアガム、ポリエチレングルコール、シロップ、ワセリン、グリセリン、エタノール、プロピレングリコール、クエン酸、塩化ナトリウム、亜硫酸ソーダ、リン酸ナトリウム、プルラン、カラギーナン、デキストリン、還元パラチノース、ソルビトール、キシリトール、ステビア、合成甘味料、クエン酸、アスコルビン酸、酸味料、重曹、ショ糖エステル、植物硬化油脂、塩化カリウム、サフラワー油、ミツロウ、大豆レシチン、香料等が配合できる。このような健康食品、機能性食品の製造に関しては、医薬品製剤の参考書、例えば「日本薬局方解説書(製剤総則)」(廣川書店)等を参考にすることができる。
上記以外にも本発明のカプシノイド化合物は飲食品として摂取することができる。具体的には、プリン、クッキー、クラッカー、ポテトチップス、ビスケット、パン、ケーキ、チョコレート、ドーナツ、ゼリーなどの洋菓子、煎餅、羊羹、大福、おはぎ、その他の饅頭、カステラなどの和菓子、冷菓(飴等)、チューインガム等のパン・菓子類や、うどん、そば、きしめん等の麺類や、かまぼこ、ハム、魚肉ソーセージ等の魚肉練り製品や、ハム、ソーセージ、ハンバーグ、コーンビーフ等の畜肉製品や、塩、胡椒、みそ、しょう油、ソース、ドレッシング、マヨネーズ、ケチャップ、甘味料、辛味料等の調味類や、明石焼き、たこ焼き、もんじゃ焼き、お好み焼き、焼きそば、焼きうどん等の鉄板焼き食品や、チーズ、ハードタイプのヨーグルト等の乳製品や、納豆、厚揚げ、豆腐、こんにゃく、団子、漬物、佃煮、餃子、シューマイ、コロッケ、サンドイッチ、ピザ、ハンバーガー、サラダ等の各種総菜や、各種粉末(ビーフ、ポーク、チキン等畜産物、海老、帆立、蜆、昆布等水産物、野菜・果実類、植物、酵母、藻類等)や、油脂類・香料類(バニラ、柑橘類、かつお等)を粉末固形化したものや、粉末飲食品(インスタントコーヒー、インスタント紅茶、インスタントミルク、インスタントスープ、味噌汁等)等の各種食品が挙げることができるが、これらに特に制限されない。
以下、本発明を実施例によってさらに説明するが、本発明は下記例に制限されない。
実施例1
本発明で使用されるカプシノイド化合物は、カプサイシンやバニリルアルコール等の非カプシノイド化合物に比べて顕著に優れたアポトーシス誘発活性、抗酸化活性を有すると考えられ、これにより、全身性エリテマトーデス、免疫介在性糸球体腎炎、多発性硬化症、膠原病、自己免疫疾患、リウマチ、がん性疾患、炎症性疾患、動脈硬化、神経疾患、虚血再潅流障害、毒性ショックやある種のサイトカインによる治療等による全身性血圧低下、血圧応答低下、血管機能不全、病因性血管拡張、組織損傷、心臓血管系虚血、痛感過敏症、脳虚血、血管新生を伴う疾病、肝硬変、慢性関節性リウマチ、変形性関節リウマチ、痛風性関節炎、ベーチェット病に伴う関節炎、脳虚血中および再潅流後の脳組織の損傷又はウイルス性疾患治療剤または予防剤として有効であると考えられる。前記各種疾病に対するカプシノイド化合物の投与形態は、現在医学的に許容されている手段であれば制限されない。また、飲食品として投与することもできる。
アポトーシス誘発試験
(1)56℃、30分間処理したウシ胎児血清(JRII社製)を10%含むRPMI1640培地(BIO WHITTAKER社製)にて37℃で培養したHL−60細胞(ATCC CCL−240)をRPMI1640培地にて2.5×10細胞/4.5mlとなるように懸濁した。
この懸濁液4.5mlに対し、125μM、250μM、500μM、1mM、2mM、4mMのカプシエイト水溶液を500μl添加し、37℃、5%炭酸ガス存在下で、24時間培養した。
培養細胞を光学顕微鏡下で観察し、最終濃度50μM以上のカプシエイト添加培養細胞に核の凝縮、細胞の縮小、アポトーシス小体の形成をそれぞれ確認した。なお、対照の生理食塩水500μl添加培養細胞においてはこれらの現象は認められなかった。
次いで、上記と同様の方法で24時間と48時間培養した細胞を用い、細胞工学別冊実験プロトコールシリーズアポトーシス実験プロトコール(秀潤社)第129〜130頁記載の方法でFACScanを用いたアポトーシス細胞の測定、イオマニュアルUPシリーズ 最新アポトーシス実験法(羊土社)第61〜63頁記載の方法でDNAの断片化の解析を行った。その結果、最終濃度50μM以上のカプシエイト添加培養細胞にアポトーシス細胞を、50、100μMのカプシエイト添加培養細胞にDNAの断片化を確認した。なお、対照の生理食塩水500μl添加培養細胞においてはこれらの現象は認められなかった。
(2)上記(1)と同様の方法で24時間培養した細胞を一部サンプリングし、0.4%トリパンブルーで染色後、光学顕微鏡で観察し、染色されていない生細胞と青く染色された死細胞の細胞数の測定を行い、生残率が50%になるカプシエイトの濃度[生残率50(μM)]をもとめた。その結果、80.0μMであった。以上のとおり、カプシエイトはアポトーシス誘発作用によるがん細胞増殖抑制活性を示した。また、ジヒドロカプシエイト、ノルジヒドロカプシエイト、バニリルデカノエイト、バニリルオクタノエイト、バニリルウンデカノエイト、バニリル9−メチルデカノエイト、バニリル6−メチルオクタノエイト、バニリル7−メチルノナノエイト、バニリル8−メチルデカノエイトも同様の活性を示した。
実施例2
過酸化脂質ラジカル産生抑制試験
スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)3A(ナショナル・コレクション・オブ・タイプ・カルチャー、NCTC 8319)を5mlのブレインハートインフュージョン培地(ディフコ社製、0037−17−8)に接種し、37℃で1晩培養した。遠心によって菌体を集め、リン酸緩衝食塩水で3回洗浄した後、1×10コロニー形成単位/mlになるようにリン酸緩衝食塩水に懸濁した。100μlの上記菌懸濁液、100μlの10、100mMのカプシエイト水溶液、100μlの1mg/mlメトヘモグロビン(シグマ社製、M9250)水溶液および600μlのリン酸緩衝食塩水および100μlの50mM tert−ブチルヒドロペルオキシド(片山化学社製、03−4 990)水溶液を混合して37℃で30分間反応させた。1mlの2×NMP培地[8gのニュートリエントブロス(ディフコ社製、0003−01−6)、5gのトリプトン(ディフコ社製、0123−17−3)、5gのNaCl、10gのマンニトール(ナカライテスク社製、213−03)、0.035gのフェノールレッド(ナカライテスク社製、268−07)を蒸留水に溶解して500mlとし、NaOHでpH7.4に調整後、ろ過滅菌したもの]を加えて反応を停止し、NMP培地(2×NMP培地を滅菌水で2倍希釈したもの)で3倍ずつ12段階希釈したもの各160μlを96ウェルマイクロタイタープレートのウェルに入れ、37℃で1晩培養した。培地の色を肉眼で観察し、菌が生育して培地が赤色から黄色に変化したウェルが見られた試料を過酸化脂質ラジカル産生抑制活性を持つものとした。
その結果を表1に示す。表1において、+は菌の生育したウェルが見られた試料を、−は菌の生育したウェルが見られなかった試料を示す。また、表の最上列に示した濃度はtert−ブチルヒドロペルオキシドおよび菌体と37℃で30分間反応させた反応液中のカプシエイトの濃度である。
Figure 2009120544
以上の結果、カプシエイトには過酸化脂質ラジカル産生抑制活性が見られた。ジヒドロカプシエイト、ノルジヒドロカプシエイト、バニリルデカノエイト、バニリルオクタノエイト、バニリルウンデカノエイト、バニリル9−メチルデカノエイト、バニリル6−メチルオクタノエイト、バニリル7−メチルノナノエイト、バニリル8−メチルデカノエイトも同様の活性を示した。
実施例3
NO産生抑制試験
(1)10%ウシ胎児血清(ギブコ社製)含有、フェノールレッド不含、2mM L−グルタミン(ライフテックオリエンタル社製、25030−149)含有ダルベッコ改良イーグル培地(バイオウィタカー社製、12−917F)にRAW264.7細胞(ATCC TIB 71)を3×10細胞/mlになるように懸濁し、48ウェルマイクロタイタープレートのウェルに500μlずつ加えて5%炭酸ガス存在下、37℃で12時間培養した。各ウェルに10μlの25μg/mlリポポリサッカライド(LPS、シグマ社製、L−2012)、500U/mlインターフェロンγ(INF−γ、コスモバイオ社販売 GZM−MG−1FN)水溶液と10μlの250、500μM カプシエイト水溶液を添加してさらに12時間培養した後、NOが培地中で酸化されることによって生ずるNO 濃度の測定を行った。なお、対照としてLPSとINF−γを加えない区分およびカプシエイトを加えない区分を設定した。
上記培養後、100μlの培地に100μlの4%グリース試薬(シグマ社製、G4410)を加え、室温で15分間放置した後、490nmにおける吸光度を測定した。上記培地に溶解した既知の濃度のNaNOで作製した検量線から培地中のNO 濃度を計算した。測定はすべて3連で行った。
この結果、カプシエイトは濃度依存的にLPSとINF−γによるNO産生誘導を抑制することが明らかとなった。
(2)10%ウシ胎児血清含有、フェノールレッド不含、2mM L−グルタミン含有ダルベッコ改良イーグル培地にRAW264.7細胞を3×10細胞/mlになるように懸濁し、48ウェルマイクロタイタープレートのウェルに500μlずつ加えて5%炭酸ガス存在下、37℃で6時間培養した。カプシエイトを0.5mMとなるように水に溶解し、ろ過滅菌した水溶液を、各ウェルに10μlずつそれぞれ添加し、さらに、0.5時間あるいは5時間培養した。その後、各ウェルに10μlの5μg/ml LPS、2000U/ml INF−γ水溶液を添加して、12時間培養した後、NOが培地中で酸化されることによって生ずるNO 濃度の測定を行った。なお、対照としてLPS、IFN−γを加えない区分およびカプシエイトを加えない区分を設定した。
上記培養後、100μlの培養上清に100μlの4%グリース試薬を加え、室温で15分間放置した後、490nmにおける吸光度を測定した。上記培地に溶解した既知の濃度のNaNOで作製した検量線から培地中のNO 濃度を計算した。
測定は全て3連で行った。
この結果、LPS、IFNγ添加前、カプシエイト存在下0.5時間培養した区分より、5時間培養した区分で、より強いNO産生抑制が認められた。
以上、カプシエイトはNO産生抑制作用を示した。また、ジヒドロカプシエイト、ノルジヒドロカプシエイト、バニリルデカノエイト、バニリルオクタノエイト、バニリルウンデカノエイト、バニリル9−メチルデカノエイト、バニリル6−メチルオクタノエイト、バニリル7−メチルノナノエイト、バニリル8−メチルデカノエイトも同様の活性を示した。
実施例4
抗変異原性試験
抗変異原性試験を、変異の強さをβ−ガラクトシダーゼの活性で判定できるumuテストによる環境変異原の検出法[ミューテーション・リサーチ(Mutation reseach)、第147巻、第219頁(1985)]に準じた方法で行った。すなわち、50μlの各濃度(1.0、5.0、10、15mM)に調製したカプシエイトに25μlの変異原物質[マイトマイシンC(DNA架橋剤)10μg/ml、4−ニトロキノリン−1−オキシド(NQO、DNAメチル化剤)7μg/ml]を添加した。この混合液にあらかじめTGA培地中でOD600で0.12まで培養しておいたSalmonella typhimulium TA1535/pSK1002を最終容量1.5mlになるように加えて、37℃で2時間振とり培養を行った。この培養液200μlを使用してミラー(Miller)の方法[エクスペリメンツ・イン・モレキュラー・ジェネティクス(Experiments in molecular genetics)、第352頁(1972)]に従ってβ−ガラクトシダーゼ活性を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2009120544
この表から明らかな様に、カプシエイトは抗変異原活性を表した。また、ジヒドロカプシエイト、ノルジヒドロカプシエイト、バニリルデカノエイト、バニリルオクタノエイト、バニリルウンデカノエイト、バニリル9−メチルデカノエイト、バニリル6−メチルオクタノエイト、バニリル7−メチルノナノエイト、バニリル8−メチルデカノエイトも同様の活性を示した。
実施例5
制がん活性試験
(1)日本チャールスリバー社より4週令、雄性のヌードマウス(SPF/VAFBalb/cAnNCrj−nu)を購入し、1週間予備飼育した。このマウスにヒト大腸がん細胞株HCT116(ATCC CCL−247)を1.5×10細胞/マウスとなるように皮下移植した。
大腸がん細胞株移植2週間目から、カプシエイトを500μg/ml含む飲料水を自由に摂取させた。マウス1匹当り1日平均3.5ml摂取していた。また飼育用餌としてオリエンタル酵母社製のMFを自由に摂取させた。
カプシエイト投与開始後4週間目にカプシエイト投与群の各マウスの固形がんを摘出し、その重量を、通常の飲料水を摂取させた対照群の固形がん重量と比較した。なお、本試験は各群10匹で行った。
その結果、制がん試験用被検液の経口投与群において有意のがん増殖抑制が認められた。
(2)5週齢の雌性ddY系マウス(体重約25g)18匹を用い、エーリッヒ癌を腹腔内投与(1.2×10細胞/マウス)し、30日間観察し、平均生存日数および30日間生存数を算定した。1群6匹でコントロール群、カプシエイト2mg/kg投与群およびカプシエイト20mg/kg投与群の3群を設定した。カプシエイトは、癌投与の翌日より4日間腹腔内投与した。
結果を表3に示す。
Figure 2009120544
以上、カプシエイトは制がん活性を示した。また、ジヒドロカプシエイト、ノルジヒドロカプシエイト、バニリルデカノエイト、バニリルオクタノエイト、バニリルウンデカノエイト、バニリル9−メチルデカノエイト、バニリル6−メチルオクタノエイト、バニリル7−メチルノナノエイト、バニリル8−メチルデカノエイトも同様の活性を示した。
実施例6
メラニン産生抑制試験
6ウェルプレートに5×10細胞/ウェル/2ml培地となるように10%牛胎児血清含有RPMI1640培地に懸濁したマウスメラノーマ細胞B16BL6を分注し、37℃でインキュベートした。2日目に、100μlのカプシエイト溶液(2mg/ml〜0.2mg/ml)を添加し、7日目に培地を交換し、同時に100μlのカプシエイト溶液(2mg/ml〜0.2mg/ml)を添加した。8日目に細胞を回収し、DNA、RNA、タンパク質を分解処理した後、400nmの吸光度を測定し、メラニン産生抑制作用を検定した。
すなわち、培地を吸引除去した後、20mM EDTA溶液に溶解した0.25%トリプシンを1ウェル当り0.3ml添加し、37℃で10分インキュベートした。つぎに、2mlの新しい培地を添加し、細胞を懸濁して試験管に回収した。ついで、培地を遠心除去した後、2mlのPBSで細胞を懸濁し、再度遠心分離した。上清を除去した後、細胞に30μlの5mM塩化マンガンを含む50mM酢酸ナトリウムバッファー(pH5.0)と1μlの70000U/mlのDNaseI(宝酒造社製)を加えて良く混合した後、37℃で2時間インキュベートして、DNAを分解した。そして10mg/mlのリボヌクレアーゼA(シグマ社製)を1μl加え、50℃で1時間インキュベートしてRNAを分解した。最後に100μg/mlのプロテイネースK(シグマ社製)、0.1%トリトンXおよび10mM EDTAを含む100mMトリス−塩酸バッファー(pH7.8)を細胞数2×10に対して液の総量が200μlとなるように加え、37℃で16時間インキュベートした後、400nmの吸光度を測定した。
その結果、カプシエイトにメラニン産生阻害活性が認められ、その美白効果が確認された。また、ジヒドロカプシエイト、ノルジヒドロカプシエイト、バニリルデカノエイト、バニリルオクタノエイト、バニリルウンデカノエイト、バニリル9−メチルデカノエイト、バニリル6−メチルオクタノエイト、バニリル7−メチルノナノエイト、バニリル8−メチルデカノエイトも同様の活性を示した。
実施例7
α−グルコシダーゼ阻害試験
(1)α−グルコシダーゼ発色基質であるp−ニトロフェニル−α−D−グルコピラノシドに酵母由来α−グルコシダーゼを作用させ、加水分解して遊離する4−ニトロフェノールを比色法で定量することにより、カプシエイトのα−グルコシダーゼ阻害活性を測定した。すなわち、10μlのα−グルコシダーゼ溶液[40mU/ml、S.cerevisiae由来、シグマ社製、10mMリン酸緩衝液、pH7.2(37℃)に溶解]に10μlの検体を含む溶液[10mMリン酸緩衝液、pH7.2(37℃)に溶解]を混合した後、1.5mg/mlの基質溶液[シグマ社製、10mMリン酸緩衝液、pH7.2(37℃)に溶解]を80μl添加して反応を開始した。37℃で40分間反応後、410nm(島津uv2200)における吸光度を測定した。その結果を表4に示す。なお、この場合の残存活性は検体を添加していないものを100%として算出した。
Figure 2009120544
上記の結果より、カプシエイトはα−グルコシダーゼ阻害活性を示した。また、ジヒドロカプシエイト、ノルジヒドロカプシエイト、バニリルデカノエイト、バニリルオクタノエイト、バニリルウンデカノエイト、バニリル9−メチルデカノエイト、バニリル6−メチルオクタノエイト、バニリル7−メチルノナノエイト、バニリル8−メチルデカノエイトも同様の活性を示した。
実施例8
抗リウマチ試験
ヒト慢性リウマチ患者の滑膜から樹立された繊維芽細胞株であるDSEK細胞を10%FBS(バイオウイタッカー社製)を含むIscov−MEM培地(IMDM:ギブコBRL社製)にて、5%CO存在下、37℃で細胞が培養器に飽和になるまで培養し、トリプシン−EDTA溶液(バイオウイタッカー社製)で細胞を3×10細胞/mlとなるように上記培地に懸濁し、96ウェルマイクロタイタープレート(FALCON社製)の各ウェルに200μlずつ分注した。培養5〜7日後、ほぼ細胞が80%飽和になった時で培地を交換し、25、50、75、100、200、もしくは400μMのカプシエイトを含有する200μlの上記培地を加えた。
24時間、72時間経過時に10μlのプレミックスWST−1(宝酒造社製、MK400)を加えて37℃で3.5時間反応させ、450nmにおける吸光度(A450)から650nmにおける吸光度(A650)を差し引いた値を細胞増殖度とした。
その結果を表5に示す。
Figure 2009120544
以上、イン ビトロ(in vitro)でのリウマチモデル−DSEK細胞において、カプシエイトを添加した場合、PBS添加の対照区と比べて各化合物添加区はリウマチ細胞の増殖が強く抑制された。また、経時的な観察において、これらの化合物は増殖抑制活性を継続するのみならず、経時的に活性を増強する傾向が認められた。
以上の結果によって、カプシエイトは強い抗リウマチ活性があり、慢性リウマチに対する有用な治療薬と健康食品として開発されることが期待される。また、ジヒドロカプシエイト、ノルジヒドロカプシエイト、バニリルデカノエイト、バニリルオクタノエイト、バニリルウンデカノエイト、バニリル9−メチルデカノエイト、バニリル6−メチルオクタノエイト、バニリル7−メチルノナノエイト、バニリル8−メチルデカノエイトも同様の活性を示した。
また、DSEK細胞培養において、24時間、72時間経過時に150μl/ウェルの培養上清を回収し、この細胞由来のサイトカン(ヒトTGF−β、ヒトFGF−β、ヒトIL−1αおよびヒトIL−10)産生(発現の影響)に対する、カプシエイトの影響を、それぞれのサイトカインに特異的なETISA−Kit(ヒトFGF−βとヒトIL−10、INTERGEN社製;ヒトIL−1αとヒトTGF−β、Promega社製)を用いて測定した。
その結果、カプシエイトはヒトIL−1αの産生抑制作用、ヒトIL−10の産生増強作用、ヒトFGF−βの産生抑制作用、およびヒトTGF−βの産生増強作用を示した。
実施例9
プロスタグランジンE産生抑制試験
10%ウシ胎児血清含有ダルベッコ改良イーグル培地にRAW264.7細胞を3×10細胞/mlになるように懸濁し、48ウェルマイクロタイタープレートのウェルに500μlずつ加えて5%炭酸ガス存在下、37℃で6時間培養した。カプシエイトを0.5mMとなるように水に溶解し、ろ過滅菌した水溶液を、各ウェルに10μlずつ添加し、さらに、0.5時間あるいは5時間培養した。その後、各ウェルに50μg/ml LPS水溶液10μlを添加して、12時間培養した後、プロスタグランジンEの量を測定した。なお、対照としてLPSを加えない区分およびカプシエイトを加えない区分を設定した。
上記培養後、培養上清中のプロスタグランジンE量をプロスタグランジンE ELISA KIT(ネオジェン社製、Code.404110)を用い測定した。測定は全て3連で行った。
その結果、カプシエイトはLPSによるプロスタグランジンE産生誘導を抑制した。また、LPS添加前、カプシエイト存在下0.5時間培養した区分より、5時間培養した区分で、より強いプロスタグランジンE産生抑制が認められた。
実施例10
カルシウム吸収促進試験
9週齢のSD計雄性ラット6匹を1群とし、セルロースを10重量%含む対照食を対照群、このセルロースの10重量%の一部をカプシエイト(試験試料)に置き換えたものを実施例10群とした。なお、実施例10群において、前記カプシエイトは、摂取量として1日平均500μg/kgとなるように、実験飼料中の試験試料の濃度を調整した。なお、実験飼料は2時間おきに交換した。
Figure 2009120544
水と対照食あるいは実施例10の飼料を5日間自由に摂取させ、給餌開始後3日目より2日間出納実験を行った。飼料摂取量は給餌した飼料の重量から残された飼料の重量を差し引くことにより求めた。出納実験終了後、糞を採取し、110℃の恒温器内で3時間乾燥させた。この糞を粉砕機で砕き、さらに乳鉢で細かくすり潰した後、3Nの塩酸に溶解し、カルシウムの含有量を市販のカルシウム測定キットを用いて測定し、糞中のカルシウム含有率を求めた。各実験飼料中のカルシウム含有率は0.536%であり、下式によりカルシウム(Ca)の見かけの吸収率を算出した。
Figure 2009120544
その結果、カルシウム吸収率は対照群が48.50±2.55(%)であったのに対し、実施例10群が61.60±3.09(%)であり、危険率1%で有意差が示された。また、ジヒドロカプシエイト、ノルジヒドロカプシエイト、バニリルデカノエイト、バニリルオクタノエイト、バニリルウンデカノエイト、バニリル9−メチルデカノエイト、バニリル6−メチルオクタノエイト、バニリル7−メチルノナノエイト、バニリル8−メチルデカノエイトも同様の活性を示した。
実施例11
骨粗鬆症改善効果試験
SD系ラット(22週齢)メスの卵巣を外科的に取り除き、骨粗鬆症のモデルラットを作成した。卵巣摘出ラットを7匹ずつ6群に分け、35日間の試験期間中、1日置きに(計17回)、カプシエイトを、500μg/kgとなるように生理食塩水に分散させて経口投与した。飼料はオリエンタル酵母株式会社のマウス・ラット・ハムスター用固形飼料CRF−1を用い、給餌および給水方法は自由摂取とした。試験期間中、各群間で、餌の摂取量に差は認められなかった。試験開始後35日目にラットの体重を測定した後、大腿骨を取り出した。大腿骨は、接着組織および筋肉を取り除いて分析に使用した。大腿骨の体積を測定した後、エタノールで3回洗浄し、次にアセトンで3回洗浄したのち、一晩乾燥し、その後、重量を測定して大腿骨の乾燥重量を求めた。体積および乾燥重量から、骨密度(乾燥重量g/体積mm3 )を測定した。なお対照実験として、前記試験試料を含まない生理食塩水をラットに投与したこと以外は、上記実験を繰り返した例(比較例)も併せて、その結果を表7に示す。
Figure 2009120544
実施例11と比較例とを対比したところ、実施例11はp<0.05の危険率で有意差が認められた。また、ジヒドロカプシエイト、ノルジヒドロカプシエイト、バニリルデカノエイト、バニリルオクタノエイト、バニリルウンデカノエイト、バニリル9−メチルデカノエイト、バニリル6−メチルオクタノエイト、バニリル7−メチルノナノエイト、バニリル8−メチルデカノエイトも同様の活性を示した。
実施例12
二日酔い改善効果試験
以下の処方にてジュースを調製した。
冷凍濃縮オレンジ果汁 5.0質量部
果糖ブドウ糖液糖 1.0質量部
クエン酸 0.10質量部
L−アスコルビン酸 0.09質量部
カプシエイト (適当量)
エタノールパッチテストでアルデヒド脱水素酵素欠損型と判定された健常人5名(年齢25〜32才、男性3名、女性2名)をパネルとし、上記ジュースおよび上記ジュースからカプシエイトを除いた対照ジュースを用いた。なお、上記ジュースにおけるカプシエイトの量は、下記の試験において摂取量が50mgとなるようにした。
ジュースおよび対照ジュース服用後20分にビール(アルコール濃度約 5.5%)135ml を飲酒させて、飲酒後20分での自覚症状を質問票で回答させた。
パネルテストは順序効果を考慮し、ブラインドで行い、同一時間帯に日を変えて実施した。
自覚症状の評価は1〜5(1:症状なし、2:やや症状あり、3:症状あり、4:ややひどい、5:ひどい)の5段階で行い、Paired-t 検定により有意差を検定した。
結果を以下に示す。実施例12のジュースは、危険率 5%で酔いの程度および顔のほてりを改善し、悪酔いを予防することが明らかになった。
ジュースおよび対照ジュースの悪酔い予防効果(平均値)
実施例12のジュース:
酔いの程度2.2*
顔のほてり2.0*
心臓の鼓動2.5
眠気の程度3.3
対照ジュース:
酔いの程度3.5
顔のほてり3.7
心臓の鼓動3.3
眠気の程度3.4
*:対照ジュースに比べて有意差あり(P<0.05)
また、ジヒドロカプシエイト、ノルジヒドロカプシエイト、バニリルデカノエイト、バニリルオクタノエイト、バニリルウンデカノエイト、バニリル9−メチルデカノエイト、バニリル6−メチルオクタノエイト、バニリル7−メチルノナノエイト、バニリル8−メチルデカノエイトも同様の活性を示した。
実施例13
抗インフルエンザウイルス効果
カプシエイトの抗インフルエンザウイルス効果について、FFU assay(Focus Forming Unit Assay)により阻害率を測定し評価した。対象としたウイルスは、H5N1のトリインフルエンザウイルス(A/Kyoto/04)を用いた。
まず、96穴マイクロプレートにカプシエイトを水に分散させた1%希釈液を50μl入れた。次に、トリインフルエンザウイルスを約200FFU/50μl MEM加え、混和し30分静置した。そして、96穴マイクロプレートに培養したMDCK細胞を加え、上記トリインフルエンザウイルスを感染させ、16時間培養した。その後、細胞をエタノールで固定し、抗A型NP(核蛋白質)モノクローナル抗体を用いて酵素抗体法により感染細胞(1FFU=1感染性ウイルス)を染色し、感染細胞数を数え、下記式により、トリインフルエンザウイルスの感染率(%)を測定した。
感染率(%)=(カプシエイトを添加したウエルのFFU)/(カプシエイトを添加しないウエルのFFU) × 100
その結果、感染率は4%であり、カプシエイトのインフルエンザ感染阻害効果が確認された。また、ジヒドロカプシエイト、ノルジヒドロカプシエイト、バニリルデカノエイト、バニリルオクタノエイト、バニリルウンデカノエイト、バニリル9−メチルデカノエイト、バニリル6−メチルオクタノエイト、バニリル7−メチルノナノエイト、バニリル8−メチルデカノエイトも同様の活性を示した。
実施例14
マウス強制水泳試験による精神安定作用の評価
本実施例の抗鬱・抗ストレス評価は、1977年にPorsoltにより開発されたマウス強制水泳試験を採用した。本試験は鬱病の動物モデル実験として最も多用される方法のひとつである。本試験では、マウスをある限られたスペースの中で強制的に泳がせて「無動状態」を惹起させる。この無動状態は、ストレスを負荷された動物が水からの逃避を放棄した一種の「絶望状態」を反映するものと考えられ、ヒトにおける鬱状態、ストレス状態と関連づけられている。事実、抗鬱薬は特異的にこの状況下における無動状態の持続時間を短縮させることがわかっており、この短縮作用は臨床力価との間に有意な相関を有することが認められている。
本試験方法は次のとおりである。
25℃の水を深さ15cmまで入れたプラスチック円筒中でマウスを強制水泳させる。5分間の強制水泳後、30℃の乾燥機中で15分間乾燥し、ホームケージに戻す。翌日マウスに試験試料を腹腔内投与して、その1時間後に再び5分間の強制水泳を課し、現れた無動状態の持続時間をストップウォッチを用いて測定する。マウスが水に浮かんで静止している状態を無動状態と判定する。無動状態持続時間については有意差検定を行い、統計学的に有意差を検定する。実験には雄のddYマウスを使用し、1群6匹とする。なお、試験は全て午後1時から午後6時の間に行う。また、ポジティブコントロールとして抗鬱薬であるイミプラミンを用いた試験も行う。
その結果、カプシエイトを30mg/kg投与したマウスの無動状態持続時間は、170.1±8.0秒であった。コントロール(生理食塩水のみ)は215.0±2.2秒であった。ポジティブコントロール(30mg/kg投与)のマウスの無動状態持続時間は、176.5±4.0秒であった。本実施例およびポジティブコントロールの無動状態持続時間は、危険率1%で有意差を有する。また、ジヒドロカプシエイト、ノルジヒドロカプシエイト、バニリルデカノエイト、バニリルオクタノエイト、バニリルウンデカノエイト、バニリル9−メチルデカノエイト、バニリル6−メチルオクタノエイト、バニリル7−メチルノナノエイト、バニリル8−メチルデカノエイトも同様の活性を示した。
実施例15
アルコール依存に対するカプシエイトの効果の検討を行った。すなわち、Pharmacology Biochemistry and behavior,第35巻,第485〜487頁,1990年に記載の方法に従って試験を行った。
(1)薬物用量
カプシエイトを、各試行においてエタノール投与の30分前に100mg/kg経口投与した。
(2)実験方法
動物はウイスター系雄性ラットの8〜9週齢のものを使用した。動物は1群10匹とした。実験装置は幅30cm、長さ60cm、高さ30cmのアクリル板製の2−compartments boxで、区画は中央に設置されているギロチンドアにより白及び黒区画に等分割されている。さらに、その床面は白区画では滑り難く、一方黒区画では滑り易く加工した、いわゆる白、黒の視覚刺激と床面の触覚刺激の両方を兼ね備えたシャトルボックスを用いた。
条件づけは1日1回、6日間行った。ラットにエタノール(0.5あるいは1g/kg)あるいは生理食塩液を処置後、一方の区画内に50分間入れ、翌日は前日とは異なる処置をしてもう一方の区画内に50分間入れるという試行を3回繰り返した。なお、条件づけ手順の差による結果への影響を最小限にするため、カウンターバランス方式を用い、即ちエタノール処置群、生理食塩液処置群と白あるいは黒区画との組合せについては、4通りの組合せを行った。
1)エタノールと白、次の日は生理食塩液と黒
2)生理食塩液と黒、次の日はエタノールと白
3)エタノールと黒、次の日は生理食塩液と白
4)生理食塩液と白、次の日はエタノールと黒
また、対照として、エタノール処置の代わりに生理食塩液を投与した群を設け同様に条件付けを行った。
6日間の条件づけ試行の後、15分間、各区画における滞在時間を測定する試験試行を行った。条件づけしたラットにはエタノール、生理食塩液のいずれの投与も行わず、装置には区画分割部であるボックス中央部に、白黒の中間色である灰色の金網製プラットフォーム(幅2cm,長さ5cm)を設置した。滞在時間の測定は、プラットフォーム上にラットを乗せ、その後、ラットが床に降り、自由に白黒両区画を行き来できる状況になってから15分間、ラットの前足と頭部が区画内に入っている時間をその区画における滞在時間として測定した。なお、薬物処置区画に対する欲求効果、即ちplace preferenceは、薬物処置区画の滞在時間から生理食塩液処置区画の滞在時間を引いた値で求めた。
結果を表8に示す。エタノール処置区画に対する欲求効果は用量依存的に増加した。本実施例の試験試料はエタノール依存を抑制した(表8)。本実施例の試験試料は有意な効果を示した。なお、別実験では、本発明の試験試料は用量依存的にエタノール依存を抑制できることも確認されている。また、ジヒドロカプシエイト、ノルジヒドロカプシエイト、バニリルデカノエイト、バニリルオクタノエイト、バニリルウンデカノエイト、バニリル9−メチルデカノエイト、バニリル6−メチルオクタノエイト、バニリル7−メチルノナノエイト、バニリル8−メチルデカノエイトも同様の活性を示した。
Figure 2009120544
実施例16
アディポネクチン産生上昇確認試験
正常ヒト前駆脂肪細胞を使用し、1.0×10個となるように96ウェルマイクロプレートに播種した。播種培地にはヒト前駆脂肪細胞基礎培地を用いた。24時間後に分化誘導添加剤とカプシエイトを加えた増殖培地に交換し、さらに1週間培養した。その後、培養上清中に産生されたアディポネクチン量をELISA法により定量した。各試料の評価結果を、ブランク(試料未添加)のアディポネクチン量を100とした場合の相対値にて下記に示す。なお、添加したカプシエイト濃度は、10μg/mlであった。
上記試験結果:相対値=381。この数値は、危険率1%で有意差を有する。
なお、以上の各種試験において、バニリルアルコールおよびカプサイシンをカプシエイトの替わりに用いた場合、有意な効果の確認はできなかった。

Claims (8)

  1. カプシノイド化合物を有効成分とすることを特徴とする、全身性エリテマトーデス、免疫介在性糸球体腎炎、多発性硬化症、膠原病、自己免疫疾患、リウマチ、がん性疾患、炎症性疾患、動脈硬化、神経疾患、虚血再潅流障害、血管機能不全、病因性血管拡張、組織損傷、心臓血管系虚血、痛感過敏症、脳虚血、血管新生を伴う疾病、肝硬変、慢性関節性リウマチ、変形性関節リウマチ、痛風性関節炎、ベーチェット病に伴う関節炎、脳虚血中および再潅流後の脳組織の損傷又はウイルス性疾患治療剤または予防剤。
  2. カプシノイド化合物を有効成分とすることを特徴とするカルシウム吸収促進剤。
  3. カプシノイド化合物を有効成分とすることを特徴とする抗骨粗鬆症剤。
  4. カプシノイド化合物を有効成分とすることを特徴とする二日酔い予防又は改善剤。
  5. カプシノイド化合物を有効成分とすることを特徴とするインフルエンザウイルス感染阻害剤。
  6. カプシノイド化合物を有効成分とすることを特徴とする抗鬱・抗ストレス剤。
  7. カプシノイド化合物を有効成分とすることを特徴とする薬物依存症治療薬。
  8. カプシノイド化合物を有効成分とすることを特徴とするアディポネクチン産生促進剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2017179225A1 (ja) * 2016-04-13 2017-10-19 味の素株式会社 加齢に伴う身体機能低下もしくは身体機能障害、または加齢に伴う精神機能低下もしくは精神機能障害の抑制または改善用組成物

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