JP2009126831A - 抗鬱・抗ストレス剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 目まぐるしく変化する現代社会において、ストレスなく生活することは困難である。このため、ストレス等が原因であると言われる鬱病は、現代病のひとつとして大きな社会問題にもなっている。本発明は、優れた抗鬱作用および抗ストレス作用を有する、抗鬱・抗ストレス剤および飲食品を提供すること課題とする。
【解決手段】 プロアントシアニジンを有効成分として含有することを特徴とする、抗鬱・抗ストレス剤。該抗鬱・抗ストレス剤を含有することを特徴とする飲食品。
【選択図】 なし
【解決手段】 プロアントシアニジンを有効成分として含有することを特徴とする、抗鬱・抗ストレス剤。該抗鬱・抗ストレス剤を含有することを特徴とする飲食品。
【選択図】 なし
Description
本発明は、抗鬱・抗ストレス剤およびこれを含む飲食品に関する。
目まぐるしく変化する現代社会において、ストレスなく生活することは困難である。このため、ストレス等が原因であると言われる鬱病は、現代病のひとつとして大きな社会問題にもなっている。神経症や鬱病、統合失調症等の治療には、精神安定剤や抗鬱剤、抗不安薬等の医薬品が用いられ、その改善に効果が認められている。
一方、プロアントシアニジンは植物中に含有されるポリフェノールの一種であり、抗酸化作用(特許文献1)、抗肥満作用(特許文献2)などの種々の活性を有することが知られている。
特公平3−7232号公報
特開2006−16330号公報
本発明の目的は、安全性が高く、かつ、優れた抗鬱・抗ストレス効果を有する抗鬱・抗ストレス剤およびこれを用いた飲食品を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、プロアントシアニジンを有効成分として含有することを特徴とする、抗鬱・抗ストレス剤である。
請求項2に記載の発明は、プロアントシアニジンが松樹皮由来抽出物であることを特徴とする請求項1に記載の抗鬱・抗ストレス剤である。
請求項3に記載の発明は、プロアントシアニジンがオリゴメリックプロアントシアニジンであることを特徴とする請求項1または2に記載の抗鬱・抗ストレス剤である。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の抗鬱・抗ストレス剤を含有することを特徴とする飲食品である。
請求項2に記載の発明は、プロアントシアニジンが松樹皮由来抽出物であることを特徴とする請求項1に記載の抗鬱・抗ストレス剤である。
請求項3に記載の発明は、プロアントシアニジンがオリゴメリックプロアントシアニジンであることを特徴とする請求項1または2に記載の抗鬱・抗ストレス剤である。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の抗鬱・抗ストレス剤を含有することを特徴とする飲食品である。
本発明によれば、安全性が高く、かつ、優れた抗鬱・抗ストレス効果を有する抗鬱・抗ストレス剤およびこれを用いた飲食品を提供することができる。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明の有効成分として用いられるプロアントシアニジンとは、フラバン−3−オールおよび/またはフラバン−3,4−ジオールを構成単位とする重合度が2以上、好ましくは2〜10量体、さらに好ましくは2〜4量体の縮重合体からなる化合物群、誘導体およびそれらの立体異性体を指称する。プロアントシアニジンのうち、フラバン−3−オールおよび/またはフラバン−3,4−ジオールを構成単位とする重合度が2〜4の縮重合体をOPC(オリゴメリックプロアントシアニジン;oligomeric proanthocyanidin)という。OPCは強力な抗酸化物質であり、植物の葉、樹皮、果物の皮もしくは種子の部分に豊富に含有されている。具体的には、ブドウ、松の樹皮、ピーナッツの薄皮、イチョウ、ニセアカシアの果実、コケモモ、ブルーベリー、イチゴ、アボガド、大麦、小麦、大豆、黒大豆、カカオなどに含まれている。また、西アフリカのコーラナッツ、ペルーのラタニアの根にもOPCが含まれていることが知られている。OPCはヒトの体内では生成することができない物質である。
本発明の有効成分として用いられるプロアントシアニジンとは、フラバン−3−オールおよび/またはフラバン−3,4−ジオールを構成単位とする重合度が2以上、好ましくは2〜10量体、さらに好ましくは2〜4量体の縮重合体からなる化合物群、誘導体およびそれらの立体異性体を指称する。プロアントシアニジンのうち、フラバン−3−オールおよび/またはフラバン−3,4−ジオールを構成単位とする重合度が2〜4の縮重合体をOPC(オリゴメリックプロアントシアニジン;oligomeric proanthocyanidin)という。OPCは強力な抗酸化物質であり、植物の葉、樹皮、果物の皮もしくは種子の部分に豊富に含有されている。具体的には、ブドウ、松の樹皮、ピーナッツの薄皮、イチョウ、ニセアカシアの果実、コケモモ、ブルーベリー、イチゴ、アボガド、大麦、小麦、大豆、黒大豆、カカオなどに含まれている。また、西アフリカのコーラナッツ、ペルーのラタニアの根にもOPCが含まれていることが知られている。OPCはヒトの体内では生成することができない物質である。
本発明の有効成分として用いられるプロアントシアニジンについては、原料の由来あるいは原料の利用部分、製造法、精製法は何ら制限されないが、上記の樹皮、果実もしくは種子の粉砕物、またはこれらの抽出物のような食品原料を使用することができる。特に松樹皮、さらに好ましくはOPCが豊富に含まれているフランス海岸松樹皮の抽出物を用いることが好ましい。フランス海岸松樹皮はプロアントシアニジンの原料として好ましく用いられる。
プロアントシアニジンは、公知の方法[例えば、特許文献1に記載の方法あるいは松の樹皮からの抽出法;アール・ダブル・ヘミングウェイ(R.W.Hemingway)ら、フィトケミストリー(Phytochemistry),1983年,第22巻、p.275−281]あるいはそれに準じた方法を採用することによって上記各種植物体から容易に得ることができる。
以下、OPCを豊富に含む松樹皮の抽出物を例に挙げて、プロアントシアニジンの調製方法を説明する。
松樹皮抽出物は、松樹皮を水または有機溶媒で抽出して得られる。水を用いる場合には、温水または熱水が用いられる。抽出に用いる有機溶媒としては、食品あるいは薬剤製造に許容される有機溶媒が用いられ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ブタン、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、含水エタノール、含水プロピレングリコール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,2−トリクロロエテンなどが挙げられる。これらの水および有機溶媒は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。特に、熱水、含水エタノール、含水プロピレングリコールが好適に用いられる。
松樹皮からプロアントシアニジンを抽出する方法は、特に限定されないが、例えば、加温抽出法、超臨界流体抽出法などが用いられる。
超臨界流体抽出法は、物質の気液の臨界点(臨界温度、臨界圧力)を超えた状態の流体である超臨界流体を用いて抽出を行う方法である。超臨界流体としては、二酸化炭素、エチレン、プロパン、亜酸化窒素(笑気ガス)などが用いられ、とりわけ二酸化炭素が好適に用いられる。
超臨界流体抽出法は、目的成分を超臨界流体によって抽出する抽出工程および目的成分と超臨界流体とを分離する分離工程からなる。分離工程は、圧力変化による抽出分離、温度変化による抽出分離、または吸着剤、吸収剤を用いた抽出分離のいずれを行ってもよい。
また、エントレーナー添加法による超臨界流体抽出を行ってもよい。この方法は、超臨界流体に、例えば、エタノール、プロパノール、n−ヘキサン、アセトン、トルエンなどを2〜20%程度添加し、得られた抽出流体で超臨界流体抽出を行うことによって、OPCなどの被抽出物の抽出流体に対する溶解度を飛躍的に上昇させる、あるいは分離の選択性を増強させる方法であり、効率的に松樹皮抽出物を得る方法である。
松樹皮からの抽出は、上記の方法以外に、液体二酸化炭素回分法、液体二酸化炭素還流法、超臨界二酸化炭素還流法などにより行ってもよい。
以上のようにして得られたプロアントシアニジンは、液状もしくは半固形状の形態で得られるが、このものから抽出溶媒を減圧留去、スプレードライ、凍結乾燥等の公知の方法によって除去すれば、そのままプロアントシアニジン含有濃縮物や乾燥物として使用することができる。さらに精製するには、カラムクロマトグラフィー、向流分配法等の公知の精製手段を採用して、目的を達成することができる。
本発明のプロアントシアニジンは、水によく溶解し、生体への吸収性が高い。酸性、中性、アルカリ性のいずれの条件においても安定性が高く、その機能を維持した状態で飲食品に配合することが容易である。また、摂取開始後短期間で効果が期待でき、少量の摂取でも十分な効果を得られるため、飲食品としての摂取許容量および摂取形態に制限のある幼児や老人等への食事素材として、利用価値が高い。そのため、本発明の飲食品は、例えば健康食品、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)等であってよい。
本発明の抗鬱・抗ストレス剤は、錠剤、ピル、カプセル、顆粒、粉末、散剤、液剤等の固形または溶液の形態(以下、製剤ともいう)に公知の方法により適宜調製することができる。即ち、本発明に有用な固形製剤または液状製剤は、プロアントシアニジンと所望により添加剤とを混合し、従来充分に確立された公知の製剤製法を用いることにより製造される。添加剤としては、例えば賦形剤、pH調整剤、清涼化剤、懸濁化剤、希釈剤、消泡剤、粘稠剤、溶解補助剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、抗酸化剤、コーティング剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、可塑剤または香料などが挙げられる。
上記賦形剤としては、例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール或いはキシリトールなどの糖アルコール、ブドウ糖、白糖、乳糖或いは果糖などの糖類、結晶セルロース、カルメロースナトリウム、リン酸水素カルシウム、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デキストリン、βーシクロデキストリン、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、またはメタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが挙げられる。
上記pH調整剤としては、例えばクエン酸、リンゴ酸、リン酸水素ナトリウムまたはリン酸二カリウムなどが挙げられる。
上記清涼化剤としては、例えばl−メントールまたはハッカ水などが挙げられる。
上記懸濁化剤としては、例えば、カオリン、カルメロースナトリウム、キサンタンガム、メチルセルロースまたはトラガントなどが挙げられる。
上記希釈剤としては、例えば精製水、エタノール、植物油または乳化剤等が挙げられる。
上記消泡剤としては、例えばジメチルポリシロキサンまたはシリコン消泡剤などが挙げられる。
上記清涼化剤としては、例えばl−メントールまたはハッカ水などが挙げられる。
上記懸濁化剤としては、例えば、カオリン、カルメロースナトリウム、キサンタンガム、メチルセルロースまたはトラガントなどが挙げられる。
上記希釈剤としては、例えば精製水、エタノール、植物油または乳化剤等が挙げられる。
上記消泡剤としては、例えばジメチルポリシロキサンまたはシリコン消泡剤などが挙げられる。
上記粘稠剤としては、例えばキサンタンガム、トラガント、メチルセルロースまたはデキストリンなどが挙げられる。
上記溶解補助剤としては、例えばエタノール、ショ糖脂肪酸エステルまたはマクロゴールなどが挙げられる。
上記崩壊剤としては、例えば低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチまたは部分アルファー化デンプンなどが挙げられる。
上記溶解補助剤としては、例えばエタノール、ショ糖脂肪酸エステルまたはマクロゴールなどが挙げられる。
上記崩壊剤としては、例えば低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチまたは部分アルファー化デンプンなどが挙げられる。
上記結合剤としては、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニールピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、プルラン、アルファー化デンプン、カンテン、トラガント、アルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸プロピレングリコールエステルなどが挙げられる。
上記滑沢剤としては、例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ポリオキシル、セタノール、タルク、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル、ジメチルポリシロキサン、ミツロウまたはサラシミツロウなどが挙げられる。
上記抗酸化剤としては、例えばアスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、トコフェロール、アスコルビン酸またはクエン酸などが挙げられる。
上記抗酸化剤としては、例えばアスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、トコフェロール、アスコルビン酸またはクエン酸などが挙げられる。
上記コーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、メタアクリル酸コポリマー、ポリビニルアセタートジエチルアミノアセテートまたはセラックなどが挙げられる。
上記着色剤としては、例えばウコン抽出液、リボフラビン、酸化チタンまたはカロチン液などが挙げられる。
上記着色剤としては、例えばウコン抽出液、リボフラビン、酸化チタンまたはカロチン液などが挙げられる。
上記矯味矯臭剤としては、例えばクエン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、果糖、D−ソルビトール、ブドウ糖、サッカリンナトリウム、単シロップ、白糖、ハチミツ、アマチャ、カンゾウ、クエン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、オレンジ油、トウヒチンキ、ウイキョウ油、ハッカまたはメントールなどが挙げられる。
上記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン、ポリソルベート類、ラウリル硫酸ナトリウム、マクロゴール類またはショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。
上記可塑剤としては、例えばクエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、トリアセチンまたはセタノールなどが挙げられる。
上記香料としては、例えば、動物性香料或いは植物性香料等の天然香料、または単離香料或いは純合成香料等の合成香料などが挙げられる。
上記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン、ポリソルベート類、ラウリル硫酸ナトリウム、マクロゴール類またはショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。
上記可塑剤としては、例えばクエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、トリアセチンまたはセタノールなどが挙げられる。
上記香料としては、例えば、動物性香料或いは植物性香料等の天然香料、または単離香料或いは純合成香料等の合成香料などが挙げられる。
上記各種製剤の形態において、プロアントシアニジンの量は、製剤全体に対して、通常約1〜80重量%、好ましくは約2〜50重量%である。
本発明の製剤の投与方法は、経口でも非経口であってもよい。また、本発明の有効成分であるプロアントシアニジンの投与量は、その種類、その剤型、また患者の年令、体重、適応症状などによって異なるが、例えば内服剤の場合は、成人1日1〜数回、1回量約1〜500mg、好ましくは3〜300mg程度投与するのがよい。
本発明の製剤の投与方法は、経口でも非経口であってもよい。また、本発明の有効成分であるプロアントシアニジンの投与量は、その種類、その剤型、また患者の年令、体重、適応症状などによって異なるが、例えば内服剤の場合は、成人1日1〜数回、1回量約1〜500mg、好ましくは3〜300mg程度投与するのがよい。
本発明の飲食品は、飲食品製造時にプロアントシアニジンまたは上記プロアントシアニジン含有製剤を飲食品材料に配合することにより製造される。例えば、パン、チューインガム、クッキー、チョコレート、シリアル等の固形食品、ジャム、アイスクリーム、ヨーグルト、ゼリー等のジャム状、クリーム状またはゲル状食品、ジュース、コーヒー、ココア、緑茶、ウーロン茶、紅茶等の飲料等のあらゆる食品形態にすることが可能である。また、調味料、食品添加物等に配合することもできる。プロアントシアニジンまたは上記プロアントシアニジン含有製剤の飲食品材料への配合量は、特に限定されないが、通常約0.0001〜80重量%、好ましくは約0.005〜50重量%である。また、特に飲料の場合は、1mg/L〜20g/L、好ましくは2mg/L〜10g/Lである。
また、本発明が飲食品である場合のプロアントシアニジンの摂取量は、副作用の心配がないことから上記内服剤の投与量と同等の量であってよい。
また本発明では、葛花処理物を併用するのも好ましい形態である。
本発明で用いられる葛花処理物とは、マメ科植物に属する葛植物の花部の処理物であれば、特に制限されない。葛花には、蕾から全開した花までの段階で採集した花が含まれる。蕾を用いることが好ましい。本明細書において、「葛花処理物」は、葛花に乾燥処理、粉砕処理、および抽出処理のうちの少なくとも1種の処理を行って得られるものをいう。葛花処理物には、葛花の乾燥物、葛花破砕物、葛花の乾燥粉砕物(葛花粉末)、および葛花抽出物が含まれる。葛花抽出物には、葛花、葛花破砕物、葛花乾燥物または葛花粉末から抽出処理を行って得られる抽出物が含まれる。葛花抽出物の形状は問わず、液状、ペースト状、粉状であってもよい。
本発明で用いられる葛花処理物とは、マメ科植物に属する葛植物の花部の処理物であれば、特に制限されない。葛花には、蕾から全開した花までの段階で採集した花が含まれる。蕾を用いることが好ましい。本明細書において、「葛花処理物」は、葛花に乾燥処理、粉砕処理、および抽出処理のうちの少なくとも1種の処理を行って得られるものをいう。葛花処理物には、葛花の乾燥物、葛花破砕物、葛花の乾燥粉砕物(葛花粉末)、および葛花抽出物が含まれる。葛花抽出物には、葛花、葛花破砕物、葛花乾燥物または葛花粉末から抽出処理を行って得られる抽出物が含まれる。葛花抽出物の形状は問わず、液状、ペースト状、粉状であってもよい。
本発明で用いられる葛花処理物は、イソフラボン類などのフラボノイドの他に、サポニン、トリプトファン配糖体などを含有し、好ましくは、イソフラボン類およびサポニンを含有し得る。これらの成分の含有量は特に制限されない。好ましくは、葛花処理物中のイソフラボン類が乾燥質量換算で3質量%以上、より好ましくは5質量%〜90質量%である。サポニンは、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%〜50質量%である。このようなイソフラボン類およびサポニンを高含有する葛花処理物として、葛花抽出物が好適に用いられる。葛花抽出物は、内臓脂肪および皮下脂肪の蓄積防止効果および低減効果を有することから、体脂肪の蓄積防止効果および低減効果を有する。その結果、体重を減少させる抗肥満効果を有する。また、血中脂質改善効果も有する。これらの体脂肪蓄積防止効果、体脂肪低減効果、抗肥満効果、および血中脂質改善効果は、葛花中に含まれるイソフラボン類以外の成分も関与していることが考えられ、例えば、後述する実施例で示すように、同量のイソフラボン類またはサポニンを含有する大豆抽出物などに比べて優れている。
以下、上記葛花処理物である、葛花の乾燥物、葛花粉末および葛花抽出物の調製方法について説明する。
葛花の乾燥物は、葛花、好ましくは蕾の段階の葛花を、日干し、熱風乾燥などの方法により乾燥したものである。好ましくは、水分含有量が10質量%またはそれ以下となるまで行われ得る。
葛花粉末は、上記葛花の乾燥物を粉砕して得られる。粉末化は、当業者が通常用いる方法、例えば、ボールミルやハンマーミル、ローラーミルなどを用いて行われる。
葛花粉末はまた、採取した葛花を、マスコロイダー、スライサー、コミトロールなどを用いて破砕して葛花破砕物を得、この葛花破砕物を乾燥することによっても得られる。
葛花抽出物は、例えば、葛花採集物、葛花破砕物、葛花の乾燥物あるいは葛花粉末(以下、単に抽出原料ということがある)に溶媒を添加して、必要に応じて加温して抽出を行い、遠心分離または濾過により抽出液を回収することによって得られる。
上記抽出に用いる溶媒としては、上述の松樹皮抽出物と同様の水、有機溶媒、含水有機溶媒などが挙げられ、最も好ましくはエタノールである。
抽出温度は、使用する溶媒の沸点以下の温度であれば特に制限はない。抽出温度は、用いる溶媒によっても異なるが、有効成分の分解などを考慮して、一般に、4℃〜130℃である。好ましくは50℃〜130℃、より好ましくは70℃〜100℃である。加温して抽出する場合は、例えば、加熱還流などの加温抽出法、超臨界抽出法などが採用され得る。加温する場合、加圧して行ってもよい。
抽出時間は、抽出原料から十分に可溶性成分が抽出される時間であればよく、抽出温度などに応じて適宜設定すればよい。好ましくは30分〜48時間である。例えば、抽出温度が50℃未満の場合は、6時間〜48時間抽出され得、50℃以上の場合は、30分〜24時間抽出され得る。
また、得られた抽出液は、必要に応じて、減圧濃縮や凍結乾燥等の当業者が用いる方法により濃縮され、液状、ペースト状、あるいは粉末とすることにより、葛花抽出物が得られる。なお、粉末状の葛花抽出物を抽出エキス末ということがある。
あるいは、この抽出物を合成吸着剤(ダイアイオンHP20やセファビースSP825、アンバーライトXAD4、MCIgelCHP20P等)やデキストラン樹脂(セファデックスLH−20など)を用いてさらに精製し、フラボノイドやサポニンなどの濃度が高い葛花抽出物を得ることができる。
葛花処理物の摂取量は、上記のプロアントシアニジンの場合と同様である。すなわち、成人1日1〜数回、1回量約1〜500mg、好ましくは3〜300mg程度投与するのがよい。
さらに本発明においては、例えば、ローヤルゼリー、プロポリス、ビタミン類(A、C、D、E、K、葉酸、パントテン酸、ビオチン、これらの誘導体等)、ミネラル(鉄、マグネシウム、カルシウム、亜鉛等)、セレン、レシチン、カロテノイド(リコピン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、ルテイン等)、サポニン(ギムネマ酸、大豆サポニン、人参サポニン等)、脂肪酸、タンパク質(コラーゲン、エラスチン等)、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、環状オリゴ糖等)、リン脂質及びその誘導体(フォスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、セラミド等)、含硫化合物(アリイン、セパエン、タウリン、グルタチオン、メチルスルホニルメタン等)、糖アルコール、リグナン類(セサミン等)、これらを含有する動植物抽出物、根菜類(ウコン、ショウガ等)、麦若葉末等のイネ科植物の緑葉、ケール等のアブラナ科植物の緑葉、サボテンの乾燥葉、ターミナリアベリリカ抽出物、サツマイモの茎葉をまるごと粉砕した素材、大豆から抽出したセラミド様成分含有物、チャンカピエドラのようなハーブ類、などを使用することもできる。中でも、麦若葉末等のイネ科植物の緑葉、ケール等のアブラナ科植物の緑葉、サボテンの乾燥葉、ターミナリアベリリカ抽出物、サツマイモの茎葉をまるごと粉砕した素材、大豆から抽出したセラミド様成分含有物、チャンカピエドラのようなハーブ類を併用した場合は、上記のプロアントシアニジンと葛花処理物を併用した形態と同等の抗鬱・抗ストレス効果を奏する。
以下、OPCを豊富に含む松樹皮抽出物を例に挙げて、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1
松樹皮900gに精製水7.2Lを加え、ブレンダー(Waring Blender)で破砕した後、100℃で10分間加熱抽出した。次いで、直ちに濾過して濾液を得た。濾過後の残渣を精製水1.8Lで洗浄し、濾液と洗浄液とを合わせて9Lの松樹皮の熱水粗抽出液を得た。この抽出液1mLを凍結乾燥したところ、乾燥重量は8mgであった。
松樹皮900gに精製水7.2Lを加え、ブレンダー(Waring Blender)で破砕した後、100℃で10分間加熱抽出した。次いで、直ちに濾過して濾液を得た。濾過後の残渣を精製水1.8Lで洗浄し、濾液と洗浄液とを合わせて9Lの松樹皮の熱水粗抽出液を得た。この抽出液1mLを凍結乾燥したところ、乾燥重量は8mgであった。
上記粗抽出液1L(粉末乾燥重量8g)を25℃まで放冷し、塩化ナトリウムを100%飽和濃度となるまで添加してよく攪拌した後、4℃で24時間静置した。静置後、この溶液を濾過し、910mLの濾液を得た。この濾液を以下に示す工程によりさらに精製した。まず、水で膨潤させた芳香族系合成樹脂(ダイアイオンHP−20:三菱化学株式会社製)を100mL充填した30×300mmのカラムに上記濾液を通液し、さらに1Lの精製水で洗浄した。次いで、カラムから15%(V/V)のエタノール−水混合溶媒で溶出し、200mLの松樹皮の熱水抽出精製物を得た(以下、松樹皮の熱水抽出物1とする)。得られた精製物を凍結乾燥して粉末化した。本操作を繰り返して、9Lの松樹皮の熱水抽出液から松樹皮の熱水抽出物1の乾燥粉末7.51gを得た。
上記乾燥粉末中のプロアントシアニジンおよびOPCの含有量を、特開2005−23032号公報に記載の方法により測定した結果、プロアントシアニジンは、上記乾燥粉末中に40重量%含有されていた。また、OPCは、2〜4量体として、上記乾燥粉末中に20重量%含有されていた。
上記熱水抽出物1の乾燥粉末の抗鬱・抗ストレス効果を調べた。
マウス強制水泳試験による精神安定作用の評価
本発明の抗鬱・抗ストレス剤の評価は、1977年にPorsoltにより開発されたマウス強制水泳試験を採用した。本試験は鬱病の動物モデル実験として最も多用される方法のひとつである。本試験では、マウスをある限られたスペースの中で強制的に泳がせて「無動状態」を惹起させる。この無動状態は、ストレスを負荷された動物が水からの逃避を放棄した一種の「絶望状態」を反映するものと考えられ、ヒトにおける鬱状態、ストレス状態と関連づけられている。事実、抗鬱薬は特異的にこの状況下における無動状態の持続時間を短縮させることがわかっており、この短縮作用は臨床力価との間に有意な相関を有することが認められている。
マウス強制水泳試験による精神安定作用の評価
本発明の抗鬱・抗ストレス剤の評価は、1977年にPorsoltにより開発されたマウス強制水泳試験を採用した。本試験は鬱病の動物モデル実験として最も多用される方法のひとつである。本試験では、マウスをある限られたスペースの中で強制的に泳がせて「無動状態」を惹起させる。この無動状態は、ストレスを負荷された動物が水からの逃避を放棄した一種の「絶望状態」を反映するものと考えられ、ヒトにおける鬱状態、ストレス状態と関連づけられている。事実、抗鬱薬は特異的にこの状況下における無動状態の持続時間を短縮させることがわかっており、この短縮作用は臨床力価との間に有意な相関を有することが認められている。
本試験方法は次のとおりである。
25℃の水を深さ15cmまで入れたプラスチック円筒中でマウスを強制水泳させる。5分間の強制水泳後、30℃の乾燥機中で15分間乾燥し、ホームケージに戻す。翌日マウスに試験試料を腹腔内投与して、その1時間後に再び5分間の強制水泳を課し、現れた無動状態の持続時間をストップウォッチを用いて測定する。マウスが水に浮かんで静止している状態を無動状態と判定する。無動状態持続時間については有意差検定を行い、統計学的に有意差を検定する。実験には雄のddYマウスを使用し、1群6匹とする。なお、試験は全て午後1時から午後6時の間に行う。また、ポジティブコントロールとして抗鬱薬であるイミプラミンを用いた試験も行う。
25℃の水を深さ15cmまで入れたプラスチック円筒中でマウスを強制水泳させる。5分間の強制水泳後、30℃の乾燥機中で15分間乾燥し、ホームケージに戻す。翌日マウスに試験試料を腹腔内投与して、その1時間後に再び5分間の強制水泳を課し、現れた無動状態の持続時間をストップウォッチを用いて測定する。マウスが水に浮かんで静止している状態を無動状態と判定する。無動状態持続時間については有意差検定を行い、統計学的に有意差を検定する。実験には雄のddYマウスを使用し、1群6匹とする。なお、試験は全て午後1時から午後6時の間に行う。また、ポジティブコントロールとして抗鬱薬であるイミプラミンを用いた試験も行う。
その結果、熱水抽出物1を30mg/kg投与したマウスの無動状態持続時間は、175.9±8.0秒であった。コントロール(生理食塩水のみ)は220.0±2.2秒であった。ポジティブコントロール(30mg/kg投与)のマウスの無動状態持続時間は、176.5±4.0秒であった。本実施例およびポジティブコントロールの無動状態持続時間は、危険率1%で有意差を有する。なお、熱水抽出物1を2〜3倍量使用しても、同様の結果を得た。
実施例2
葛花破砕物の乾燥品に対し、20倍量の熱水(80℃)を加え、2時間攪拌し、熱水抽出物2を得た。該熱水抽出物2を減圧濃縮および凍結乾燥し、粉末を得た。
実施例1のマウス強制水泳試験による精神安定作用の評価試験において、熱水抽出物1の乾燥粉末に加え、本実施例2の粉末を添加し、実施例1と同様の実験を行った。本実施例2の粉末は、摂取量が30mg/kg体重とした。その結果、マウスの無動状態持続時間は、170.9±8.0秒であった。
葛花破砕物の乾燥品に対し、20倍量の熱水(80℃)を加え、2時間攪拌し、熱水抽出物2を得た。該熱水抽出物2を減圧濃縮および凍結乾燥し、粉末を得た。
実施例1のマウス強制水泳試験による精神安定作用の評価試験において、熱水抽出物1の乾燥粉末に加え、本実施例2の粉末を添加し、実施例1と同様の実験を行った。本実施例2の粉末は、摂取量が30mg/kg体重とした。その結果、マウスの無動状態持続時間は、170.9±8.0秒であった。
参考例1
実施例2において、熱水抽出物1を使用しなかったこと以外は、実施例2を繰り返した。その結果、マウスの無動状態持続時間は、179.8±6.3秒であった。
実施例2において、熱水抽出物1を使用しなかったこと以外は、実施例2を繰り返した。その結果、マウスの無動状態持続時間は、179.8±6.3秒であった。
実施例3
85℃の熱水で抽出した烏龍茶、紅茶、緑茶、ほうじ茶、ジャスミン茶の抽出液に対して、茶葉使用率が0.8重量%になるように脱イオン水を追加した。その際、アスコルビン酸を0.025重量%になるように添加し、ついで重曹を用いて飲みやすいpHに調整した。さらに当該調合液100gに対して、前記熱水抽出物1の乾燥粉末が5mgとなるように添加した後、常法通りUHT殺菌をおこない、350ml容PETボトルに充填し、各種飲料を得た。
85℃の熱水で抽出した烏龍茶、紅茶、緑茶、ほうじ茶、ジャスミン茶の抽出液に対して、茶葉使用率が0.8重量%になるように脱イオン水を追加した。その際、アスコルビン酸を0.025重量%になるように添加し、ついで重曹を用いて飲みやすいpHに調整した。さらに当該調合液100gに対して、前記熱水抽出物1の乾燥粉末が5mgとなるように添加した後、常法通りUHT殺菌をおこない、350ml容PETボトルに充填し、各種飲料を得た。
実施例4
以下の処方にてジュースを調製した。
冷凍濃縮オレンジ果汁 5.0質量部
果糖ブドウ糖液糖 1.0質量部
クエン酸 0.10質量部
L−アスコルビン酸 0.09質量部
前記熱水抽出物1の乾燥粉末 0.05質量部
以下の処方にてジュースを調製した。
冷凍濃縮オレンジ果汁 5.0質量部
果糖ブドウ糖液糖 1.0質量部
クエン酸 0.10質量部
L−アスコルビン酸 0.09質量部
前記熱水抽出物1の乾燥粉末 0.05質量部
本発明の抗鬱・抗ストレス剤は、医薬、食品、飼料の形態として有用である。
Claims (4)
- プロアントシアニジンを有効成分として含有することを特徴とする、抗鬱・抗ストレス剤。
- プロアントシアニジンが松樹皮由来抽出物であることを特徴とする請求項1に記載の抗鬱・抗ストレス剤。
- プロアントシアニジンがオリゴメリックプロアントシアニジンであることを特徴とする請求項1または2に記載の抗鬱・抗ストレス剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の抗鬱・抗ストレス剤を含有することを特徴とする飲食品。
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---|---|---|---|
JP2007303880A JP2009126831A (ja) | 2007-11-26 | 2007-11-26 | 抗鬱・抗ストレス剤 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014094901A (ja) * | 2012-11-08 | 2014-05-22 | Nisshin Pharma Inc | ストレス改善用組成物 |
CN104856173A (zh) * | 2015-04-24 | 2015-08-26 | 南京林业大学 | 一种原花色素天然保健饮料及其制备方法 |
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2007
- 2007-11-26 JP JP2007303880A patent/JP2009126831A/ja active Pending
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