JP6045558B2 - 空気入りタイヤの製造方法 - Google Patents

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本発明は、空気入りタイヤに関する。
近年の低燃費タイヤでは、タイヤの電気抵抗が高くなり、車両の燃料補給時に静電気によるスパークが発生して燃料に引火する等、安全性に欠けるという問題が生じている。
このような問題について、特許文献1には、導電性薄膜を配置し、導電性を確保したタイヤが提案されているが、近年の更なる低燃費化の要請により、導電性薄膜が低燃費化への足かせになっている。また、ゲージアップによる導電性の確保も有効であるが、同様に低発熱性が悪化し、コストアップという問題もある。
更に、近年の自動車社会では、タイヤの耐摩耗性能が向上した結果、市場でのタイヤの使用期間が長くなり、タイヤの内部損傷による耐久性能の低下が懸念されるようになった。そのため、内部部材であるタイヤコード被覆部材の破壊性能の向上も要求されるようになった。
ゴム組成物の破壊性能を向上させる手法として、従来からカーボンブラック等のフィラーを増量することが知られている。しかし、この手法では、ゴムの発熱性能が悪化する。このように、破壊性能と低発熱性は背反性能であり、これらの性能を両立することは困難であった。
特開平8−230407号公報
本発明は、上記課題を解決し、優れた導電性を有しながら、破壊性能及び低発熱性がバランス良く改善された空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の原料油を使用して得られたカーボンブラックなど、特定のアグリゲート特性を有するカーボンブラックをゴム組成物に配合することにより、破壊性能と低発熱性を両立できることを見出し、更に、該カーボンブラックを、ウェットマスターバッチとして配合することにより、導電性及び低発熱性を相乗的に改善できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、タイヤコード被覆部材を有する空気入りタイヤであって、上記タイヤコード被覆部材は、ゴムラテックスと、カーボンブラックの分散液とを混合して得られるウェットマスターバッチを含むゴム組成物を用いて作製されたものであり、上記カーボンブラックのうち少なくとも1種が、該カーボンブラックを製造するための原料油として、平均沸点T(°C)及び60°Fの水と比較した際の比重D(60/60°F)から以下の式で計算されるBMCI値が150以下、脂肪族炭化水素比率が30質量%以上である原料油を使用して得られたカーボンブラックである空気入りタイヤに関する。
BMCI = 48640 / (T+273) +473.7D − 456.8
上記カーボンブラックのうち少なくとも1種が、該カーボンブラックを製造するための原料油として、BMCI値が95以上、脂肪族炭化水素比率が60質量%以下である原料油を使用して得られたカーボンブラックであることが好ましい。
上記原料油に含まれる脂肪族炭化水素100質量%中、10質量%以上が動植物油またはその改質品由来の脂肪族炭化水素であることが好ましい。
上記原料油がトール油を含有することが好ましい。
上記カーボンブラックのうち少なくとも1種が、ファーネス法で製造されたカーボンブラックであることが好ましい。
本発明はまた、タイヤコード被覆部材を有する空気入りタイヤであって、上記タイヤコード被覆部材は、ゴムラテックスと、カーボンブラックの分散液とを混合して得られるウェットマスターバッチを含むゴム組成物を用いて作製されたものであり、
上記カーボンブラックのうち少なくとも1種が、アグリゲート特性としてストークス相当径の分布曲線の最大頻度径(Dmod)が79nm以下、Dmodに対する分布曲線の半値幅(△D50)の比(△D50/Dmod)が0.78以上のカーボンブラックである空気入りタイヤに関する。
上記ゴムラテックスがスチレンブタジエンゴムラテックスであることが好ましい。
上記ウェットマスターバッチが更に軟化剤を混合して得られるものであることが好ましい。
上記ゴム組成物に含まれるゴム成分の総量100質量%中、ウェットマスターバッチ由来のゴム成分の含有量が40質量%未満であることが好ましい。
上記ゴム組成物の体積固有抵抗が1×10Ω・cm以下であることが好ましい。
上記タイヤコード被覆部材が、カーカス及び/又はジョイントレスバンドであることが好ましい。
本発明によれば、タイヤコード被覆部材を有する空気入りタイヤであって、上記タイヤコード被覆部材は、ゴムラテックスと、カーボンブラックの分散液とを混合して得られるウェットマスターバッチを含むゴム組成物を用いて作製されたものであり、上記カーボンブラックのうち少なくとも1種が、特定のカーボンブラックである空気入りタイヤであるので、優れた導電性を有しながら、破壊性能及び低発熱性がバランス良く改善された空気入りタイヤを提供できる。
第一の本発明は、タイヤコード被覆部材を有する空気入りタイヤであって、上記タイヤコード被覆部材は、ゴムラテックスと、カーボンブラックの分散液とを混合して得られるウェットマスターバッチを含むゴム組成物を用いて作製されたものであり、上記カーボンブラックのうち少なくとも1種が、該カーボンブラックを製造するための原料油として、平均沸点T(°C)及び60°Fの水と比較した際の比重D(60/60°F)から以下の式で計算されるBMCI値が150以下、脂肪族炭化水素比率が30質量%以上である原料油を使用して得られたカーボンブラック(1)である空気入りタイヤに関する。
BMCI = 48640 / (T+273) +473.7D − 456.8
第二の本発明は、タイヤコード被覆部材を有する空気入りタイヤであって、上記タイヤコード被覆部材は、ゴムラテックスと、カーボンブラックの分散液とを混合して得られるウェットマスターバッチを含むゴム組成物を用いて作製されたものであり、上記カーボンブラックのうち少なくとも1種が、アグリゲート特性としてストークス相当径の分布曲線の最大頻度径(Dmod)が79nm以下、Dmodに対する分布曲線の半値幅(△D50)の比(△D50/Dmod)が0.78以上のカーボンブラック(1)である空気入りタイヤに関する。
本発明では、カーボンブラックを製造するための原料油として、BMCI値が特定値以下、脂肪族炭化水素比率が特定値以上の原料油を使用して得られたカーボンブラック(1)など、Dmodが特定値以下、△D50/Dmodが特定値以上という特定のアグリゲート特性を有するカーボンブラックをゴム組成物に配合することにより、良好な低発熱性を維持又は改善しつつ、破壊性能を改善でき、破壊性能及び低発熱性を高次に両立させることが出来る。更に本発明では、特定のカーボンブラックを、ゴムラテックスと、カーボンブラックの分散液とを混合して得られるウェットマスターバッチの形でゴム組成物に配合することにより、導電性及び低発熱性が相乗的に改善され、良好な破壊性能を維持又は改善しつつ、導電性、低発熱性を改善でき、優れた導電性を有しながら、破壊性能及び低発熱性がバランス良く改善された空気入りタイヤを提供できる。
特に、ゴムラテックスとしてスチレンブタジエンゴム(SBR)ラテックスを用いて前記ウェットマスターバッチを作製した場合、ドライ混合での作製に比べ、前述の性能が顕著に改善される。SBRは、スチレン基を有しカーボンのグラファイトと電子吸引性を示すため、カーボンを取り込み易い性質を有する。そのため、例えば、天然ゴム(NR)/SBRの非相溶系配合ゴムにおいて、予め、SBRラテックスと上記カーボンブラック(1)から作製したウェットマスターバッチを用いると、上記カーボンブラック(1)が選択的に取り込まれたSBR相による導電パスが形成され、高い導電性が発揮される。
<ウェットマスターバッチ>
本発明におけるウェットマスターバッチを製造する方法としては特に限定されず、例えば、ゴムラテックスと、上記カーボンブラック(1)の分散液とを混合し、その後、凝固、乾燥することにより調製できる。
(ゴムラテックス)
上記ゴムラテックスとしては特に限定されず、天然ゴムラテックス、合成ジエン系ゴムラテックス(ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、クロロプレンゴム、ビニルピリジンゴム、ブチルゴムなどのラテックス)などが挙げられ、市販品を使用してもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、破壊性能、低発熱性、コードとの接着性などに優れるという点から、SBRラテックス、NR、エポキシ化天然ゴム(ENR)、イソプレンゴム(IR)などのイソプレン系ゴムのラテックスが好ましく、イソプレン系ゴムと非相溶である点から、少なくともSBRラテックスをウェットマスターバッチのゴム成分として使用することがより好ましい。
SBRラテックスにおけるSBRのビニル含量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上である。ビニル含量が5質量%未満であると、低発熱性が悪化する傾向がある。該ビニル含量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。ビニル含量が50質量%を超えると、破壊性能が低下する傾向がある。
なお、SBRのビニル含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
SBRラテックスにおけるSBRのスチレン含量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。スチレン含量が20質量%未満であると、破壊性能が低下する傾向がある。該スチレン含量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは45質量%以下である。スチレン含量が60質量%を超えると、低温で硬くなり、脆性破壊を起こしやすくなる傾向があり、発熱が高くなり、低発熱性が悪化する傾向がある。
なお、SBRのスチレン含量は、H−NMR測定により算出される。
SBRラテックス中のゴム成分(ゴム固形分)の濃度は特に限定されないが、ゴムラテックス中での均一分散性の点から、ゴムラテックス(100質量%)中、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは30〜60質量%である。
(カーボンブラックの分散液)
本発明におけるカーボンブラックの分散液は、上記カーボンブラック(1)が分散された分散液である。具体的には、上記カーボンブラック(1)を水性媒体中に分散させた分散液等が挙げられる。該分散液を使用することにより、ポリマー(ゴム分子)とカーボンブラックを液体状態で混合することができ、良好なカーボンブラックの分散性が得られる。
まず、上記カーボンブラック(1)について説明する。
第二の本発明において、カーボンブラック(1)のアグリゲート特性としてストークス相当径の分布曲線の最大頻度径(Dmod)は、79nm以下、好ましくは69nm以下、より好ましくは63nm以下である。79nmを超えると、本発明の効果(特に、破壊性能の向上効果)が充分に得られない。該Dmodの下限は、特に限定されないが、好ましくは50nm以上、より好ましくは56nm以上である。50nm未満であると、分散性に劣り、破壊特性、破壊性能が低下する傾向がある。
第二の本発明において、カーボンブラック(1)のアグリゲート特性としてDmodに対する分布曲線の半値幅(△D50)の比(△D50/Dmod)は、0.78以上であり、好ましくは0.90以上、より好ましくは1.0以上、更に好ましくは1.1以上である。0.78未満であると、本発明の効果(特に、低発熱性の改善効果)が充分に得られない。△D50/Dmodの上限は、特に限定されないが、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.0以下である。2.5を超えると、破壊性能が悪化し、所望の効果が得られないおそれがある。
なお、本明細書において、カーボンブラックのDmod、△D50は、以下の方法で測定される値である。
界面活性剤(SIGMA CHEMICAL社製「NONIDET P−40」)を加えた20%エタノール水溶液に精秤したカーボンブラック試料を加えて、カーボンブラック濃度が0.01重量%の試料液を調製する。この試料液を超音波分散機(超音波工業製「超音波発生装置USV−500V」)を用いて、振動数200kHz、出力100Wとして5分間分散処理することにより、カーボンブラックスラリーを調製する。一方、遠心沈降式の粒度分布測定装置(BROOK HAVEN INSTRUMENTS社製「BI−DCP PARTICLSIZER」)にスピン液(純水)10ミリリットルを注入し、更にバッファー液(20vol%エタノール水溶液)1ミリリットルを注入した後、前記調製したカーボンブラックスラリー各1ミリリットルを注入し、回転数8000rpmで遠心沈降させることによりストークス相当径を測定し、ストークス相当径に対して相対的な発生頻度のヒストグラムを作製する。ヒストグラムのピーク(A)を通るY軸と平行な直線と、ヒストグラムのX軸との交点をCとする。このCでのストークス直径を最大頻度ストークス相当径(Dmod)とする。また線分ACの中点をFとして、Fを通りX軸に平行な直線Gとヒストグラムの分布曲線との2点の交点(D、E)を求め、このDとEのストークス直径の差の絶対値をストークス相当径半値幅値(分布曲線の半値幅(△D50))とする。
カーボンブラック(1)の臭化セチルトリメチルアンモニウム吸着比表面積(CTAB)は、好ましくは60〜150m/g、より好ましくは80〜145m/g、更に好ましくは100〜140m/g、特に好ましくは105〜135m/gである。CTABが上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
なお、本明細書において、カーボンブラックの臭化セチルトリメチルアンモニウム吸着比表面積(CTAB)は、JIS K6217−3:2001に準拠して測定される値である。
カーボンブラック(1)のヨウ素吸着量(IA)(mg/g)は、好ましくは100〜400mg/g、より好ましくは110〜300mg/g、更に好ましくは120〜250mg/gである。ヨウ素吸着量(IA)が上記範囲内であると、破壊性能の改善効果がより好適に得られ、本発明の効果がより好適に得られる。
カーボンブラック(1)のヨウ素吸着量(IA)(mg/g)に対する臭化セチルトリメチルアンモニウム吸着比表面積(CTAB)の比(CTAB/IA)は、好ましくは0.8〜1.2m/mg、より好ましくは0.85〜1.15m/mg、更に好ましくは0.9〜1.1m/mgである。CTAB/IAが上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
なお、本明細書において、カーボンブラックのヨウ素吸着量(IA)は、JIS K6217−1:2008に準拠して測定される値である。
CTAB/IAで表される表面活性指標は、カーボンブラックの結晶化度(グラファイト化率)の指標と考えることができる。すなわち、CTAB/IAが高いほど結晶化が進んでいないことを示し、カーボンブラックとゴム成分との相互作用が大きくなる傾向にある。
また、CTAB/IAは、カーボンブラック表面に存在する酸性官能基の量を評価するパラメーターとしても位置づけられる。カーボンブラック表面の酸性官能基は、ゴム成分との相互作用に寄与するが、CTAB/IAが高いほどカーボンブラックの表面に酸性官能基が多く存在していることを示す。従って、CTAB/IAが上記範囲内であると、ゴム成分に対してより顕著な補強効果を奏することができ、本発明の効果がより好適に得られる。
カーボンブラック(1)の24M4ジブチルフタレート吸油量(24M4DBP)は、好ましくは50〜120cm/100g、より好ましくは70〜120cm/100g、更に好ましくは90〜115cm/100g、特に好ましくは95〜110cm/100gである。24M4DBPが上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
なお、本明細書において、カーボンブラックの24M4ジブチルフタレート吸油量(24M4DBP)は、ASTM D3493−85aに準拠して測定される値である。
カーボンブラック(1)は、酸性、中性、塩基性のいずれであってもよいが、JIS K6220−1で測定されるpHが2.0〜10.0であることが好ましく、5.5〜9.5であることがより好ましい。カーボンブラック(1)のpHが上記範囲内であると、より好適にゴム組成物の機械的強度や破壊性能を向上でき、本発明の効果がより好適に得られる。
カーボンブラック(1)の製造方法としては、例えば、原料油(原料炭化水素)として、BMCI値が150以下、脂肪族炭化水素比率が30質量%以上の原料油を使用する点に特徴がある方法を採用することが好ましい。これにより、上記特性を有するカーボンブラック(1)が好適に得られる。また、この方法によれば、調製した複数のカーボンブラックを混合したり、調製したカーボンブラックに対して表面処理等の後処理を行うことなく、ワンポットで、すなわち、上記原料油を用いてカーボンブラックを調製するだけで、上記特性を有するカーボンブラック(1)を容易に調製できる。
ここで、本明細書において、BMCI値とは、平均沸点T(°C)及び60°Fの水と比較した際の比重D(60/60°F)から以下の式で計算される値である。
なお、平均沸点Tは、当該原料油について蒸留試験を実施したときに、質量基準でその50%が溜出したときの温度である。
BMCI = 48640 / (T+273) +473.7D − 456.8
第一の本発明において、原料油のBMCI値は、150以下であり、好ましくは140以下、より好ましくは130以下、更に好ましくは120以下、特に好ましくは110以下である。150を超えると、カーボンブラックの粒度分布がシャープとなりすぎ、上述の特定のアグリゲート特性が得られず、低発熱性が悪化する。原料油のBMCI値の下限は、特に限定されないが、好ましくは95以上である。95未満では、歩留まりが悪くなる(充分な量のカーボンブラックが得られない)おそれがある。
第一の本発明において、脂肪族炭化水素比率(原料油100質量%中の脂肪族炭化水素の含有量)は、30質量%以上であり、好ましくは40質量%以上である。30質量%未満であると、上述の特定のアグリゲート特性が得られず、低発熱性が悪化する。脂肪族炭化水素比率の上限は、特に限定されないが、好ましくは60質量%以下である。60質量%を超えると、歩留まりが悪くなる(充分な量のカーボンブラックが得られない)おそれがある。
原料油に含まれる脂肪族炭化水素100質量%中、動植物油またはその改質品由来の脂肪族炭化水素の含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上である。該含有量の上限は、特に限定されず、100質量%であってもよい。該含有量が上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られるだけではなく、非枯渇資源を原料として上記効果を達成できるため、資源の枯渇や環境にも配慮できる。
上記特性を満たす原料油としては、上記特性を満たすものを単独で使用してもよいし、上記特性を満たすように2種以上を混合したものを使用してもよい。
原料油の具体例としては、例えば、(1)アントラセン等の芳香族炭化水素;クレオソート油等の石炭系炭化水素;EHEオイル(エチレン製造時の複製油)、FCCオイル(流動接触分解残渣油)等の石油系重質油からなる群より選択される少なくとも1種と、(2)脂肪族炭化水素との混合原料油が挙げられる。なお、これらは、改質されていてもよい。なかでも、石炭系炭化水素と脂肪族炭化水素との混合原料油が好ましい。
脂肪族炭化水素としては、例えば、プロセスオイルなどに代表される石油系脂肪族炭化水素、及び大豆油、なたね油、パーム油などの脂肪酸に代表される動植物油等を使用することができる。
ここで動植物油とは、魚類肝臓から得られる脂肪油(肝油)やクジラからとれる海獣油のような水産動物油及び牛脂、豚脂などのような陸産動物油のほか、植物の種子、果実、核などから採取される脂肪酸グリセリドを成分とする油脂等を含有する。
なかでも、原料油としては、石炭系炭化水素と石油系脂肪族炭化水素との混合原料油、石炭系炭化水素と動植物油との混合原料油が好ましく、クレオソート油と石油系脂肪族炭化水素との混合原料油、クレオソート油と大豆油との混合原料油がより好ましい。また、脂肪族炭化水素を含むトール油も好適に原料油として用いることができる。なお、上記石炭系炭化水素としては、石炭系芳香族炭化水素が好ましい。
カーボンブラック(1)は、上記原料油を使用する点以外は、公知の製造方法により製造でき、その製造方式は特に限定されないが、具体的には、燃焼ガス中に原料油を噴霧してカーボンブラックを製造する方法が採用されることが好ましく、例えば、ファーネス法やチャンネル法等の従来から公知の方法が用いられる。なかでも、上述の特定のアグリゲート特性が好適に得られるという理由から、以下に示すファーネス法が好ましい。
ファーネス法(オイルファーネス法)は、例えば特開2004−43598号公報、特開2004−277443号公報などのように、反応炉内に高温燃焼ガス流を発生させる燃焼帯域、高温燃焼ガス流に原料炭化水素を導入して原料炭化水素を熱分解反応によりカーボンブラックに転化させる反応帯域、及び反応ガスを急冷して反応を停止する反応停止帯域を有する装置を用いるプロセスであって、燃焼条件、高温燃焼ガス流速、反応炉内への原料油の導入条件、カーボンブラック転化から該反応停止までの時間等の諸条件を制御することによって種々の特性のカーボンブラックを製造することができる。
燃焼帯域では、高温燃焼ガスを形成させるため、酸素含有ガスとして空気、酸素またはそれらの混合物とガス状または液体の燃料炭化水素を混合燃焼させる。燃料炭化水素としては、一酸化炭素、天然ガス、石炭ガス、石油ガス、重油等の石油系液体燃料、クレオソート油等の石炭系液体燃料が使用される。燃焼は、燃焼温度が1400℃〜2000℃の範囲となるように制御されるのが好ましい。
反応帯域では、燃焼帯域で得られた高温燃焼ガス流に並流又は横方向に設けたバーナーから原料炭化水素を噴霧導入し、原料炭化水素を熱分解させてカーボンブラックに転化させる。好ましくは、ガス流速が100〜1000m/sの範囲の高温燃焼ガス流に、原料油を1本以上のバーナーにより導入する。原料油は、2本以上のバーナーにより分割し導入することが好ましい。また、反応効率を向上させる為に反応ゾーンに絞り部を設けることが好ましい。絞り部の絞り部径/絞り部上流域径の比は、0.1〜0.8が好ましい。
反応停止帯域では、高温反応ガスを1000〜800℃以下に冷却する為、水スプレー等が行われる。原料油を導入してからの反応停止までの時間は2〜100m秒が好ましい。冷却されたカーボンブラックは、ガスから分離回収された後、造粒、乾燥等の公知のプロセスをとることができる。
次に、ウェットマスターバッチの調製方法についての説明に戻る。
前記水性媒体としては、水、アルコールなどが挙げられ、なかでも、水を使用することが好ましい。
前記カーボンブラックの分散液は、公知の方法で製造でき、例えば、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル等を用いて調製できる。具体的には、コロイドミルに水性媒体を入れ、撹拌しながらカーボンブラックを添加し、次いでホモジナイザーを用いて必要に応じて界面活性剤とともに循環することにより、上記分散液を調製できる。なお、上記分散液中のフィラーの濃度は特に限定されないが、分散液(100質量%)中、均一分散性の点から、好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは3〜7質量%である。
上述の分散液の製法のとおり、前記カーボンブラックの分散液には、分散性の点から、適宜界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、特に限定されず、公知の陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などを適宜使用できる。なお、上記分散液において、界面活性剤の添加量は特に限定されないが、分散液(100質量%)中、フィラーの均一分散性の点から、好ましくは0.01〜3質量%、より好ましくは0.05〜1質量%である。
前記カーボンブラックの分散液には、カーボンブラック(1)と共に、カーボンブラック(1)以外のカーボンブラック(以下においては、カーボンブラック(2)ともいう)を添加してもよい。これにより、本発明の効果がより好適に得られる。また、カーボンブラック(1)の分散液とは別に、カーボンブラック(2)の分散液を調製してもよい。カーボンブラック(1)の分散液とは別に、カーボンブラック(2)の分散液を調製する場合、カーボンブラック(1)の分散液と同様に調製すればよい。
カーボンブラック(2)としては、特に限定されず、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなどが挙げられる。
カーボンブラック(2)の窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは20m/g以上、より好ましくは50m/g以上である。20m/g未満であると、補強性が低下し、破壊性能が低下する傾向がある。また、該NSAは、110m/g以下、好ましくは100m/g以下、より好ましくは90m/g以下である。110m/gを超えると、低発熱性が悪化し、また、分散性に劣り、破壊性能、耐久性が低下する傾向がある。
カーボンブラック(2)のジブチルフタレート(DBP)吸油量は、60ml/100g以上、好ましくは70ml/100g以上である。60ml/100g未満であると、補強性が低下し、破壊性能が低下する傾向がある。また、該DBP吸油量は、130ml/100g以下、好ましくは120ml/100g以下である。130ml/100gを超えると、引張破断時の伸びが悪化し、破壊性能、耐久性が低下する傾向がある。
なお、本発明において、カーボンブラックのNSAはJIS K 6217−2:2001、DBP吸油量はJIS K 6217−4:2001により測定される。
カーボンブラック(2)のアグリゲート特性としてストークス相当径の分布曲線の最大頻度径(Dmod)は、好ましくは80nm以上、より好ましくは90nm以上、更に好ましくは100nm以上である。80nm未満であると、カーボンブラック(1)に加えてカーボンブラック(2)を使用する効果が充分に得られないおそれがある。一方、該Dmodの上限は、特に限定されないが、好ましくは120nm以下である。
カーボンブラック(2)のアグリゲート特性としてDmodに対する分布曲線の半値幅(△D50)の比(△D50/Dmod)は、好ましくは0.77以下、より好ましくは0.75以下、更に好ましくは0.73以下である。0.77を超えると、カーボンブラック(1)に加えてカーボンブラック(2)を使用する効果が充分に得られないおそれがある。一方、△D50/Dmodの下限は、特に限定されないが、好ましくは0.60以上、より好ましくは0.65以上である。
カーボンブラック(2)の製造方法としては、例えば、カーボンブラック(1)の製造方法と同様の製造方法において、原料油(原料炭化水素)として、BMCI値が152以上、脂肪族炭化水素比率が25質量%以下の原料油を使用すればよい。原料油以外は、カーボンブラック(1)の製造方法と同様に製造すればよい。これにより、上記特性を有するカーボンブラック(2)が好適に得られる。
カーボンブラック(2)の製造に用いられる原料油のBMCI値は、好ましくは152以上、より好ましくは155以上である。152未満では、カーボンブラック(1)に加えてカーボンブラック(2)を使用する効果が充分に得られないおそれがある。
一方、BMCI値の上限は、特に限定されないが、好ましくは170以下である。
カーボンブラック(2)の製造に用いられる原料油の脂肪族炭化水素比率(原料油100質量%中の脂肪族炭化水素の含有量)は、好ましくは25質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは5質量%以下であり、0質量%であってもよい。
25質量%を超えると、カーボンブラック(1)に加えてカーボンブラック(2)を使用する効果が充分に得られないおそれがある。
カーボンブラック(2)の製造に用いられる原料油の芳香族炭化水素比率(原料油100質量%中の芳香族炭化水素の含有量)は、好ましくは75質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは95質量%以上であり、100質量%であってもよい。75質量%未満であると、カーボンブラック(1)に加えてカーボンブラック(2)を使用する効果が充分に得られないおそれがある。
上記特性を満たす原料油としては、上記特性を満たすものを単独で使用してもよいし、上記特性を満たすように2種以上を混合したものを使用してもよい。
原料油の具体例としては、例えば、(1)アントラセン等の芳香族炭化水素;クレオソート油等の石炭系炭化水素;EHEオイル(エチレン製造時の複製油)、FCCオイル(流動接触分解残渣油)等の石油系重質油からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。なお、脂肪族炭化水素との混合原料油であってもよい。なお、これらは、改質されていてもよい。なかでも、石炭系炭化水素が好ましく、クレオソート油がより好ましい。原料油100質量%中の石炭系炭化水素の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、100質量%であってもよい。
(軟化剤)
ウェットマスターバッチの調製において、必要に応じて、軟化剤を更に配合してもよい。軟化剤を配合することにより、本発明の効果がより良好に得られる。
軟化剤としては、オイル、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂などが挙げられる。なかでも、オイルが好ましい。
オイルとしては、ゴムの加工性(軟化効果、配合剤分散効果、ポリマー鎖間の潤滑効果など)を改善するために、石油系油類等が挙げられる。具体的には、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイルの他、処理留出物芳香族系抽出物(TDAE(treated distillate aromatic extracts))、溶媒残留物芳香族系抽出物((SRAE)solvent residue aromatic extracts)等の代替アロマオイル、軽度抽出溶媒和物(MES(mild extraction solvates))等が挙げられる。なかでも、アロマ系プロセスオイルを用いることが好ましい。
C5系石油樹脂としては、ナフサ分解によって得られるC5留分中のオレフィン、ジオレフィン類を主原料とする脂肪族系石油樹脂などが挙げられる。C9系石油樹脂としては、ナフサ分解によって得られるC9留分中のビニルトルエン、インデン、メチルインデンを主原料とする芳香族系石油樹脂などが挙げられる。
C5系石油樹脂、C9系石油樹脂の軟化点は、好ましくは50℃以上、より好ましくは80℃以上である。また、該軟化点は、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下である。上記範囲内であると、本発明の効果がより良好に得られる。
(混合)
前記のとおり、ウェットマスターバッチは、前記ゴムラテックスと、前記カーボンブラックの分散液と、必要に応じて軟化剤とを混合し、その後、凝固、乾燥する製法等で調製できるものであるが、ゴムラテックス、カーボンブラックの分散液、及び必要に応じて軟化剤の混合方法としては、特に限定されず、公知の方法で製造でき、例えば、ブレンダーミル中にゴムラテックスを入れ、撹拌しながら、カーボンブラックの分散液、軟化剤を滴下する方法や、カーボンブラックの分散液、軟化剤を撹拌しながら、これにゴムラテックスを滴下する方法等が挙げられる。また、一定の流量比のゴムラテックス流、カーボンブラックの分散液流、必要に応じて軟化剤を激しい水力撹拌条件下で混合する方法等でもよい。
(凝固)
上記混合工程の後、通常、凝固させるが、凝固工程は、通常、ギ酸、硫酸等の酸性化合物や、塩化ナトリウム等の凝固剤を添加して行われる。なお、上記混合によって凝固される場合もあり、この場合は凝固剤を用いなくてもよい。
(乾燥)
凝固後、通常、得られた凝固物を回収し、遠心分離等によって脱水し、更に、洗浄、乾燥を行うことにより、上記ウェットマスターバッチが得られる。乾燥に使用できる乾燥機としては、例えば、真空乾燥機、エアドライヤー、ドラムドライヤー、バンドドライヤー、熱風乾燥器、キルン式乾燥機等を使用できる。
(ウェットマスターバッチの組成)
ウェットマスターバッチは、該ウェットマスターバッチ中のゴム成分100質量%中、SBRの含有量が好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、特に好ましくは100質量%である。これにより、本発明の効果がより好適に得られる。
ウェットマスターバッチは、該ウェットマスターバッチ中のゴム成分100質量部に対して、カーボンブラック(1)を1〜200質量部含むものであることが好ましい。カーボンブラック(1)の含有量が1質量部未満であると、本発明の効果が充分に得られない傾向があり、カーボンブラック(1)の含有量が200質量部を超えると、加工性が低下し、低発熱性、破壊性能、耐久性が低下するおそれがある。下限は、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、特に好ましくは20質量部以上である。上限は、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは100質量部以下、特に好ましくは60質量部以下である。
ウェットマスターバッチは、該ウェットマスターバッチ中のゴム成分100質量部に対して、カーボンブラック(2)を1〜200質量部含むものであることが好ましい。カーボンブラック(2)の含有量が1質量部未満であると、本発明の効果が充分に得られない傾向があり、カーボンブラック(2)の含有量が200質量部を超えると、加工性が低下し、低発熱性、破壊性能、耐久性が低下するおそれがある。下限は、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上である。上限は、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは100質量部以下、特に好ましくは60質量部以下、最も好ましくは40質量部以下である。
ウェットマスターバッチは、該ウェットマスターバッチ中のゴム成分100質量部に対して、カーボンブラックを合計1〜200質量部含むものであることが好ましい。カーボンブラックの合計含有量が1質量部未満では、充分な補強性が得られないおそれがあり、カーボンブラックの合計含有量が200質量部を超えると、加工性が低下し、低発熱性、破壊性能、耐久性が低下するおそれがある。下限は、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、特に好ましくは20質量部以上、最も好ましくは30質量部以上である。上限は、より好ましくは150質量部以下、更に好ましくは100質量部以下、特に好ましくは80質量部以下である。
ウェットマスターバッチに含まれるカーボンブラック100質量%中のカーボンブラック(1)の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、特に好ましくは20質量%以上、最も好ましくは40質量%以上である。1質量%未満であると、本発明の充分な効果が得られず、破壊性能と低発熱性を両立することが困難となるおそれがある。該含有量は、100質量%であってもよいが、他のカーボンブラックと共に使用する場合は80質量%以下が好ましい。
ウェットマスターバッチは、該ウェットマスターバッチ中のゴム成分100質量部に対して、軟化剤を1〜50質量部含むことが好ましく、3〜40質量部含むことがより好ましい。上記範囲内であると、本発明の効果がより良好に得られる。
<ゴム組成物>
本発明におけるゴム組成物は、前記ウェットマスターバッチを含有するものであるが、該ゴム組成物100質量%中、該ウェットマスターバッチを、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上含むことが好ましい。また、上限としては、該ウェットマスターバッチを、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは50質量%以下含むことが好ましい。このような量のウェットマスターバッチを配合することで、本発明の効果がより良好に得られる。
本発明におけるゴム組成物には、上記ウェットマスターバッチ中に含まれるゴム成分の他に、必要に応じて更にゴム成分を配合してもよい。配合するゴム成分としては、例えば、イソプレン系ゴム、BR、SBR、SIBR等のジエン系ゴムが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、操縦安定性、低発熱性、破断時伸び、繊維コードとの接着性、加工性、耐リバージョン性をバランス良く改善できるという理由から、ウェットマスターバッチの他に配合するゴム成分として、イソプレン系ゴムが好ましい。また、上述の通り、ウェットマスターバッチに使用するゴム成分としては、SBRが好ましいため、本発明では、SBRとイソプレン系ゴムを併用することが好ましい。
イソプレン系ゴムとしては、NR、IR、ENRなどが挙げられる。なかでも、タイヤの耐久性、繊維コードとの接着性などに優れるという理由から、NRが好ましい。
NRとしては、SIR20、RSS#3、TSR20など、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。IR、ENRとしては、特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
前記ゴム組成物に含まれるゴム成分の総量100質量%中、イソプレン系ゴムの合計含有量は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。40質量%未満であると、充分な破断時伸び、低発熱性、繊維コードとの接着性、加工性、タイヤの耐久性が得られないおそれがある。また、該合計含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。90質量%を超えると、充分な操縦安定性、耐リバージョン性が得られないおそれがある。
本発明におけるゴム組成物に含まれるゴム成分の総量100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。10質量%未満であると、充分な操縦安定性、耐リバージョン性、低発熱性を得られないおそれがある。SBRの含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。50質量%を超えると、イソプレン系ゴムの含有量が少なくなるため、充分な破断時伸び、低発熱性、加工性、破壊性能が得られないおそれがある。
本発明におけるゴム組成物に含まれるゴム成分の総量100質量%中のSBR及びイソプレン系ゴムの合計含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上であり、100質量%であってもよい。SBR及びイソプレン系ゴムの合計含有量が上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
なお、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、本発明におけるゴム組成物に含まれるSBRの総量100質量%中、40質量%以上をウェットマスターバッチとして配合することが好ましく、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、特に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは100質量%である。
なお、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、本発明におけるゴム組成物に含まれるゴム成分の総量100質量%中、5質量%以上をウェットマスターバッチとして配合することが好ましく、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上である。また、上限は特に限定されないが、その他の配合剤の混練を円滑に進めるために、ウェットマスターバッチとは別に混合するという理由から、好ましくは40質量%未満、より好ましくは35質量%以下である。
本発明におけるゴム組成物は、ウェットマスターバッチに含まれるカーボンブラックに加えて、必要に応じて更にカーボンブラック(1)、カーボンブラック(2)等のカーボンブラックを配合してもよい。
本発明におけるゴム組成物に含まれるカーボンブラック(1)の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上である。1質量部未満では、本発明の効果が充分に得られない傾向がある。また該カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは250質量部以下、より好ましくは200質量部以下、更に好ましくは150質量部以下、特に好ましくは100質量部以下、最も好ましくは60質量部以下、より最も好ましくは30質量部以下である。250質量部を超えるとゴム組成物が硬くなりすぎ、かえって破壊性能が低下してしまい、更にゴム組成物の加工性も極端に低下する傾向がある。また、低発熱性も悪化する傾向がある。
本発明におけるゴム組成物に含まれるカーボンブラック(2)の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、特に好ましくは20質量部以上である。1質量部未満では、本発明の効果が充分に得られない傾向がある。また該カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは250質量部以下、より好ましくは200質量部以下、更に好ましくは150質量部以下、特に好ましくは100質量部以下、最も好ましくは60質量部以下である。250質量部を超えるとゴム組成物が硬くなりすぎ、かえって破壊性能が低下してしまい、更にゴム組成物の加工性も極端に低下する傾向がある。また、低発熱性も悪化する傾向がある。
本発明におけるゴム組成物に含まれるカーボンブラックの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、特に好ましくは20質量部以上、最も好ましくは30質量部以上である。1質量部未満では、充分な補強性が得られないおそれがある。また、該カーボンブラックの合計含有量は、好ましくは250質量部以下、より好ましくは200質量部以下、更に好ましくは150質量部以下、特に好ましくは100質量部以下、最も好ましくは70質量部以下である。250質量部を超えると、加工性が低下し、低発熱性、破壊性能、耐久性が低下するおそれがある。
本発明におけるゴム組成物に含まれるカーボンブラック100質量%中のカーボンブラック(1)の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、特に好ましくは20質量%以上である。1質量%未満であると、本発明の充分な効果が得られず、破壊性能と低発熱性を両立することが困難となるおそれがある。該含有量は、100質量%であってもよいが、他のカーボンブラックと共に使用する場合は80質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。
なお、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、本発明におけるゴム組成物に含まれるカーボンブラック(1)の総量100質量%中、40質量%以上をウェットマスターバッチとして配合することが好ましく、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、特に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは100質量%である。
なお、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、本発明におけるゴム組成物に含まれるカーボンブラック(2)の総量100質量%中、5質量%以上をウェットマスターバッチとして配合することが好ましく、より好ましくは10質量%以上である。また、上限は特に限定されないが、その他の配合剤の混練を円滑に進めるために、ウェットマスターバッチとは別にカーボンブラック(2)を混合するという理由から、好ましくは40質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。
同様に、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、本発明におけるゴム組成物に含まれるカーボンブラックの総量100質量%中、20質量%以上をウェットマスターバッチとして配合することが好ましく、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは35質量%以上である。また、上限は特に限定されないが、同様の理由から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。
前記ゴム組成物において、カーボンブラック(1)及びカーボンブラック(2)の配合比率(カーボンブラック(1)/カーボンブラック(2)(質量比率))は、好ましくは0.1〜0.8、より好ましくは0.2〜0.5である。0.1未満では、良好な導電性が得られず、また、優れた破壊性能、低発熱性が発揮されないおそれもある。また、0.8を超えると、破壊性能が低下する傾向がある。
本発明におけるゴム組成物は、ウェットマスターバッチに含まれる前記軟化剤に加えて、必要に応じて更に該軟化剤を配合してもよい。
本発明におけるゴム組成物に含まれる軟化剤の合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上である。また、該合計含有量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。上記範囲内であると、本発明の効果がより良好に得られる。
なお、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、本発明におけるゴム組成物に含まれる軟化剤の総量100質量%中、30質量%以上をウェットマスターバッチとして配合することが好ましく、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。また、上限は特に限定されないが、ウェットマスターバッチとは別にカーボンブラックを混合する場合、カーボンブラックのゴムへの取り込みを良くするという理由から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
本発明におけるゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、シリカ、クレー、タルク等の補強用充填剤、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、加工助剤、各種老化防止剤、ワックス、硫黄、含硫黄化合物等の加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合することができる。
加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジサルファイド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、スルフェンアミド系加硫促進剤が好ましく、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドがより好ましい。加硫促進剤の使用量は、ゴム成分100質量部に対して0.1〜7質量部が好ましく、さらに好ましくは0.5〜5質量部である。
加硫剤としては、特に限定されないが、硫黄を好適に使用できる。硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5〜5質量部、より好ましくは1〜3質量部である。これにより、本発明の効果がより好適に得られる。
本発明におけるゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで上記ウェットマスターバッチ、他の成分を混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。
本発明におけるゴム組成物は、100Vで測定した体積固有抵抗が好ましくは1×10Ω・cm以下、より好ましくは0.5×10Ω・cm以下、更に好ましくは0.18×10Ω・cm以下である。なお、本発明において、体積固有抵抗は、実施例に記載の方法により測定できる。
本発明におけるゴム組成物は、タイヤコード被覆用ゴム組成物として好適に使用でき、タイヤコードを被覆してタイヤコード被覆部材を形成することができる。なかでも、カーカストッピング用ゴム、ジョイントレスバンドトッピング用ゴムとして好適に使用でき、それぞれ、タイヤコードを被覆して、カーカス、ジョイントレスバンドを形成する。
カーカスとは、タイヤコード及びタイヤコード被覆ゴム層からなる部材であり、具体的には、特開2008−75066号公報(それら全てを参照して引用する)の図1等に示される部材である。
ジョイントレスバンドとは、タイヤコード及びタイヤコード被覆ゴム層からなる部材であり、車両の走行時のタイヤ回転に伴う遠心力によってブレーカーがカーカスから浮き上がるのを抑制するために、ブレーカーのタイヤ半径方向外側に設けられる部材であり、具体的には、特開2009−007437号公報(それら全てを参照して引用する)の図3などに示される部材である。
本発明のカーカスは、従来公知の方法により製造でき、例えば、複数のカーカスコードを引き伸ばして並列に配列した状態でカーカスコードの上下に未加硫のタイヤコード被覆用ゴム組成物をトッピングすることにより作製することができる。なお、カーカスコードとしては、従来から公知のものを用いることができ、例えば、ポリエステル等の有機繊維からなるテキスタイルコード(繊維コード)、スチールからなるスチールコード等を用いることができる。また、本発明のバンド等も従来公知の方法により製造でき、バンドコード等としても公知のものが使用できる。
<空気入りタイヤ>
本発明の空気入りタイヤとしては、前記ゴム組成物を用いて作製したカーカス、バンド等のタイヤコード被覆部材と、必要に応じて、100Vで測定した体積固有抵抗が1×10Ω・cm以上のサイドウォールとを有するもの等を好適に使用できる。該サイドウォールは、このような体積固有抵抗を持つサイドウォール用ゴム組成物により作製可能である。サイドウォール用ゴム組成物の配合は、前記体積固有抵抗を有する高シリカ配合ゴム等を任意に使用できる。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、上記配合剤を混練りした後、得られた混練物でカーカスコード、バンドコード等を被覆し、タイヤ成型機上にて、カーカス、バンド等のタイヤコード被覆部材の形状に成形し、他のタイヤ各部材と貼りあわせた後、加硫することにより本発明のタイヤを製造することができる。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、高性能タイヤ等として好適に用いられ、特に高性能タイヤとして好適に用いられる。本発明により得られる空気入りタイヤは、ドライ路面におけるグリップ性能に優れている。
なお、本明細書における高性能タイヤとは、ドライ路面におけるグリップ性能に特に優れたタイヤであり、競技車両に使用する競技用タイヤをも含む概念である。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
[カーボンブラック製造設備]
空気導入ダクトと燃焼バーナーを備える内径500mm、長さ1750mmの燃焼帯域、該燃焼帯域に連なっており、周辺から原料ノズルを貫通設置した内径55mm、長さ700mmの狭径部からなる原料導入帯域、クエンチ装置を備えた内径200mm、長さ2700mmの後部反応帯域を順次接合したカーボンブラック製造設備を用いた。
[製造条件](ファーネス法)
この製造設備を用い、燃料に天然ガスを用い、特性を表1に示した油及び石油系炭化水素を原料油として用い、その他条件として表2に示した各条件によりカーボンブラックを製造した。各製造例により得られたカーボンブラックの歩留まり、各種特性を表2に併せて示した。なお、カーボンブラックの各種特性の測定は、上述の方法により行った。また、製造例2−5、7−14により得られたカーボンブラックは、上記カーボンブラック(1)に相当する。なお、製造例12−14により得られたカーボンブラックについては、歩留まりが悪く、評価を行えるほどのカーボンブラックが得られなかったため、該製造条件における原料油量の値は確認できず、更に、カーボンブラックの各種特性の測定、及び後述するカーボンブラックをゴム組成物に配合する試験は行わなかった。
Figure 0006045558
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以下、カーボンブラックの分散液の調製及びウェットマスターバッチの調製において使用した各種薬品について、まとめて説明する。
SBRラテックス:日本ゼオン(株)製のLX110(E−SBR、ビニル含量:18質量%、スチレン含量:37.5質量%、ゴムラテックス中のゴム成分の濃度:40.5質量%)
カーボンブラック(A):製造例1〜11により得られたカーボンブラック
カーボンブラック(B):三菱化学(株)製のダイアブラックH(N330、NSA:79m/g、DBP:105ml/100g)
デモールN:花王(株)製の界面活性剤デモールN(β−ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、陰イオン性界面活性剤)
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスAH−24(アロマ系プロセスオイル)
(カーボンブラック(A)の分散液の調製)
ローター径30mmのコロイドミルに脱イオン水1900gと、表3及び表4に示すカーボンブラック100gとを投入し、ローター・ステーター間隔1mm、回転数2000rpmで10分間撹拌した。次いで、デモールNを0.05質量%の濃度となるように加え、圧力式ホモジナイザーを用いて3回循環させ、カーボンブラック(A)分散液を調製した。
(カーボンブラック(B)の分散液の調製)
ローター径30mmのコロイドミルに脱イオン水1900gと、カーボンブラック(B)100gとを投入し、ローター・ステーター間隔1mm、回転数2000rpmで10分間撹拌した。次いで、デモールNを0.05質量%の濃度となるように加え、圧力式ホモジナイザーを用いて3回循環させ、カーボンブラック(B)分散液を調製した。
(ウェットマスターバッチの調製)
ゴム成分(固形分):表3及び表4に示すカーボンブラック(A)成分(固形分):カーボンブラック(B)成分(固形分):オイルの質量比が乾燥時に100:40:20:20となるように、SBRラテックス、カーボンブラック(A)分散液、カーボンブラック(B)分散液、オイルを混合し、溶液が均一になった後、撹拌を続けながら硫酸を添加し、pH5に調整して凝固した。得られた固形物をろ過してゴム分を回収し、洗浄後の液体(洗浄水)がpH7になるまで純水でゴム分を洗浄し、乾燥し、ウェットマスターバッチを得た。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:TSR20
SBR:日本ゼオン(株)製のNipol1502(E−SBR、ビニル含量:18質量%、スチレン含量:23.5%)
カーボンブラック(A):製造例1〜11により得られたカーボンブラック
カーボンブラック(B):三菱化学(株)製のダイアブラックH(N330、NSA:79m/g、DBP:105ml/100g、Dmod:112nm、△D50/Dmod:0.71、原料油:クレオソート油100質量%(BMCI:160、脂肪族炭化水素比率:0質量%、芳香族炭化水素比率:100質量%))
WMB:上記ウェットマスターバッチの調製により得られたウェットマスターバッチ
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスAH−24(アロマ系プロセスオイル)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
老化防止剤:精工化学(株)製のオゾノン6C(N−(1、3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
実施例及び比較例
表3、4に示す配合処方に従い、BP型バンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で3分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤質量部を添加し、オープンロールを用いて、50℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を170℃で12分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
なお、WMB54質量部は、SBR30質量部、上記各製造例で調製したカーボンブラック12質量部、カーボンブラック(B)6質量部、オイル6質量部からなる。
また、各例において、ウェットマスターバッチの調製に使用したカーボンブラックは、表3、4中に記載の使用カーボンブラック欄に記載のカーボンブラックを使用した。すなわち、実施例1では、ウェットマスターバッチの調製、すなわち、カーボンブラック(A)の分散液の調製に、製造例2により調製したカーボンブラックを使用した。
得られた加硫ゴム組成物を使用して、下記の評価を行った。それぞれの試験結果を表3、4に示す。なお、表3の基準比較例を比較例2、表4の基準比較例を比較例6とした。
(導電性)
上記加硫ゴム組成物を用いて厚さ2mm、15cm×15cmの試験片を作成し、ADVANTEST社製の電気抵抗測定R8340Aを用いて、温度25℃及び相対湿度50%の恒温恒湿条件下で、印加電圧100Vとし、それ以外についてはJIS K 6217:2008に準拠し、ゴム組成物の体積固有抵抗を測定した。値が小さいほどゴム組成物の体積固有抵抗が低く、タイヤコード被覆部材に使用した場合、タイヤの導電性が良好であることを示す。
(破壊性能)
JIS K 6251に準拠し、上記加硫ゴム組成物(加硫ゴムシート)の引張強度と破断伸びを測定した。(引張強度×破断伸び/2)により破壊エネルギーを計算し、基準比較例の破壊エネルギー指数を100として、下記式により指数表示した。指数が大きいほど、タイヤコード被覆部材に使用した場合、タイヤの破壊性能が優れることを示す。
(破壊エネルギー指数)=(各配合の破壊エネルギー)/(基準比較例の破壊エネルギー)×100
(低発熱性)
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度50℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件下で加硫ゴム組成物の損失正接(tanδ)を測定し、基準比較例のtanδを100として、下記式により指数表示した。指数が大きいほど、タイヤコード被覆部材に使用した場合、タイヤの転がり抵抗特性(低発熱性)が優れることを示す。
(低発熱性指数)=(基準比較例のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
Figure 0006045558
Figure 0006045558
表3、4より、ゴムラテックスと、カーボンブラックの分散液とを混合して得られるウェットマスターバッチを含むゴム組成物において、上記カーボンブラックのうち少なくとも1種が、特定のカーボンブラックである実施例では、優れた導電性を有しながら、破壊性能及び低発熱性がバランス良く改善できることが分かった。具体的には、比較例2〜4、実施例1の対比により、特定のカーボンブラックを、ウェットマスターバッチとして配合することにより、導電性及び低発熱性が相乗的に改善されることが分かった。
また、実施例1〜9の配合をカーカス用ゴム組成物、100Vで測定した体積固有抵抗が1×10Ω・cm以上のサイドウォール用ゴム組成物を用いて試験用タイヤを作製し、導電性、破壊性能(耐久性)、低発熱性を評価しても、同様に優れた性能が得られることが明らかとなった。
同様に、実施例1〜9の配合をバンド用ゴム組成物、100Vで測定した体積固有抵抗が1×10Ω・cm以上のサイドウォール用ゴム組成物を用いて試験用タイヤを作製し、導電性、破壊性能(耐久性)、低発熱性を評価しても、同様に優れた性能が得られることが明らかとなった。

Claims (11)

  1. タイヤコード被覆部材を有する空気入りタイヤの製造方法であって、
    前記タイヤコード被覆部材、ゴムラテックスと、カーボンブラックの分散液とを混合して得られるウェットマスターバッチを含むゴム組成物を用いて作製する工程を含み、
    前記カーボンブラックのうち少なくとも1種が、該カーボンブラックを製造するための原料油として、平均沸点T(°C)及び60°Fの水と比較した際の比重D(60/60°F)から以下の式で計算されるBMCI値が150以下、脂肪族炭化水素比率が30質量%以上である原料油を使用して得られたカーボンブラックである空気入りタイヤの製造方法
    BMCI = 48640 / (T+273) +473.7D − 456.8
  2. 前記カーボンブラックのうち少なくとも1種が、該カーボンブラックを製造するための原料油として、BMCI値が95以上、脂肪族炭化水素比率が60質量%以下である原料油を使用して得られたカーボンブラックである請求項1に記載の空気入りタイヤの製造方法
  3. 前記原料油に含まれる脂肪族炭化水素100質量%中、10質量%以上が動植物油またはその改質品由来の脂肪族炭化水素である請求項1または2に記載の空気入りタイヤの製造方法
  4. 前記原料油がトール油を含有する請求項1〜3の何れか1項に記載の空気入りタイヤの製造方法
  5. 前記カーボンブラックのうち少なくとも1種が、ファーネス法で製造されたカーボンブラックである請求項1〜4の何れか1項に記載の空気入りタイヤの製造方法
  6. タイヤコード被覆部材を有する空気入りタイヤの製造方法であって、
    前記タイヤコード被覆部材、ゴムラテックスと、カーボンブラックの分散液とを混合して得られるウェットマスターバッチを含むゴム組成物を用いて作製する工程を含み、
    前記カーボンブラックのうち少なくとも1種が、アグリゲート特性としてストークス相当径の分布曲線の最大頻度径(Dmod)が43〜79nm、Dmodに対する分布曲線の半値幅(△D50)の比(△D50/Dmod)が0.78〜2.5のカーボンブラックである空気入りタイヤの製造方法
  7. 前記ゴムラテックスがスチレンブタジエンゴムラテックスである請求項1〜6の何れか1項に記載の空気入りタイヤの製造方法
  8. 前記ウェットマスターバッチが更に軟化剤を混合して得られるものである請求項1〜7の何れか1項に記載の空気入りタイヤの製造方法
  9. 前記ゴム組成物に含まれるゴム成分の総量100質量%中、ウェットマスターバッチ由来のゴム成分の含有量が40質量%未満である請求項1〜8の何れか1項に記載の空気入りタイヤの製造方法
  10. 前記ゴム組成物の体積固有抵抗が1×10Ω・cm以下である請求項1〜9の何れか1項に記載の空気入りタイヤの製造方法
  11. 前記タイヤコード被覆部材が、カーカス及び/又はジョイントレスバンドである請求項1〜10の何れか1項に記載の空気入りタイヤの製造方法
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