JP6042397B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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BMCI = 48640 / (T+273) + 473.7D − 456.8
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本発明に係るゴム組成物において使用できるゴム成分としては、例えば、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)等のジエン系ゴムが挙げられる。ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、本発明の効果がより好適に得られるという理由からイソプレン系ゴム、SBR、BRが好ましく、イソプレン系ゴム及びSBR及び/またはBRを併用することがより好ましい。本発明では、イソプレン系ゴム(特に、NR)及びSBR(特に、S−SBR)及び/またはBR(特に、高シスBR)を含むゴム成分と共にカーボンブラック(1)を配合することにより、本発明の効果がより好適に得られる。
界面活性剤(SIGMA CHEMICAL社製「NONIDET P−40」)を加えた20%エタノール水溶液に精秤したカーボンブラック試料を加えて、カーボンブラック濃度が0.01質量%の試料液を調製する。この試料液を超音波分散機(超音波工業製「超音波発生装置USV−500V」)を用いて、振動数200kHz、出力100Wとして5分間分散処理することにより、カーボンブラックスラリーを調製する。一方、遠心沈降式の粒度分布測定装置(BROOK HAVEN INSTRUMENTS社製「BI−DCP PARTICLSIZER」)にスピン液(純水)10ミリリットルを注入し、更にバッファー液(20vol%エタノール水溶液)1ミリリットルを注入した後、前記調製したカーボンブラックスラリー各1ミリリットルを注入し、回転数8000rpmで遠心沈降させることによりストークス相当径を測定し、ストークス相当径に対して相対的な発生頻度のヒストグラムを作製する。ヒストグラムのピーク(A)を通るY軸と平行な直線と、ヒストグラムのX軸との交点をCとする。このCでのストークス直径を最大頻度ストークス相当径(Dmod)とする。また線分ACの中点をFとして、Fを通りX軸に平行な直線Gとヒストグラムの分布曲線との2点の交点(D、E)を求め、このDとEのストークス直径の差の絶対値をストークス相当径半値幅値(分布曲線の半値幅(△D50))とする。
なお、本明細書において、カーボンブラックの臭化セチルトリメチルアンモニウム吸着比表面積(CTAB)は、JIS K6217−3:2001に準拠して測定される値である。
なお、本明細書において、カーボンブラックのヨウ素吸着量(IA)は、JIS K6217−1:2008に準拠して測定される値である。
また、CTAB/IAは、カーボンブラック表面に存在する酸性官能基の量を評価するパラメーターとしても位置づけられる。カーボンブラック表面の酸性官能基は、ゴム成分との相互作用に寄与するが、CTAB/IAが高いほどカーボンブラックの表面に酸性官能基が多く存在していることを示す。従って、CTAB/IAが上記範囲内であると、ゴム成分に対してより顕著な補強効果を奏することができ、本発明の効果がより好適に得られる。
なお、本明細書において、カーボンブラックの24M4ジブチルフタレート吸油量(24M4DBP)は、ASTM D3493−85aに準拠して測定される値である。
なお、平均沸点Tは、当該原料油について蒸留試験を実施したときに、質量基準でその50%が溜出したときの温度である。
BMCI = 48640 / (T+273) + 473.7D − 456.8
ここで動植物油とは、魚類肝臓から得られる脂肪油(肝油)やクジラからとれる海獣油のような水産動物油及び牛脂、豚脂等のような陸産動物油のほか、植物の種子、果実、核等から採取される脂肪酸グリセリドを成分とする油脂等を含有する。
なお、本発明において、通電ゴムはトレッド部に埋設されその一部はタイヤ接地面に露出し、他の一部は導電性ゴムと連結しており空気入りタイヤの走行時に発生した静電気を効果的に接地面に放出する。通電ゴムの具体例は、本願図1、特許第2944908号公報の図1等に示されている。
すなわち、前記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階で通電ゴムの形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。
なお、本明細書における高性能タイヤとは、競技車両に使用する競技用タイヤをも含む概念である。
<基本構造>
本発明の空気入りタイヤの構造は、例えば、図1のタイヤ断面の右上半分に例示されるものである。空気入りタイヤ1は、トレッド部を構成するトレッドゴム7と、その両端から空気入りタイヤ1の半径方向内方に延びる一対のサイドウォール部を構成するサイドウォールゴム8と、各サイドウォール部の内方端に位置するクリンチ部を構成するクリンチゴム3及びリム上部に位置するチェーファー部を構成するチェーファーゴム2とを備える。またクリンチ部、チェーファー部間にはカーカス10が架け渡されるとともに、このカーカス10の空気入りタイヤ1の半径方向外側にブレーカー部を構成するブレーカーゴム9が配される。該カーカス10は、カーカスコードを配列する1枚以上のカーカスプライから形成され、このカーカスプライは、トレッド部からサイドウォール部を経て、ビードコア13と、該ビードコア13の上端からサイドウォール方向に延びるビードエーペックス11との廻りを空気入りタイヤ1軸方向の内側から外側に折返され、折返し部によって係止される。ブレーカー部は、ブレーカーコードを配列した2枚以上のブレーカープライからなり、各ブレーカーコードがブレーカープライ間で交差するよう向きを違えて重置している。本発明の空気入りタイヤ1においては、これに限られないが、例えば、トレッド部(トレッドゴム7、ベーストレッド)とブレーカー部との間に、ブレーカー部の上側を被覆する被覆ゴム(アンダートレッド)5が設けられる。該被覆ゴム5と接触領域を有して、カーカスプライとブレーカー部の両端部及びサイドウォール部との間にクッションゴム4が配置される。そして前記被覆ゴム5に接し一部が接地面(トレッド)に露出するようにトレッドゴム7中に通電ゴム6が配置される。また、前記クッションゴム4と接触領域を有して、カーカス10とサイドウォールゴム8との間に、少なくともクッションゴム4からクリンチゴム3又はチェーファーゴム2に接する位置に亘る内層サイドウォールゴム14が配置される。空気入りタイヤ1では、通電ゴム6と被覆ゴム5とクッションゴム4と内層サイドウォールゴム14とクリンチゴム3、チェーファーゴム2とが電気的に接続する構造となっている。
空気入りタイヤを構成するトレッドゴム、ブレーカーゴム、サイドウォールゴムの体積固有抵抗は、いずれも1×108Ω・cm以上に設定されることが好ましい。また、該体積固有抵抗の上限は、いずれも特に限定されないが、1×1015Ω・cmに設定されることが好ましい。これらの部材においては、従来、ゴム補強剤(充填剤)としてカーボンブラックが用いられていたが、これをシリカに置き換えることで転がり抵抗を軽減できる。更にシリカは石油等化石燃料由来の材料でないことから、一般に石油または石炭由来の材料であるカーボンブラックに比べ環境問題の観点からも好適に採用される。しかし、シリカを用いる場合、体積固有抵抗が大きくなる傾向にある。本発明ではシリカ配合を基本とすることで空気入りタイヤの転がり抵抗の軽減及びゴムの加工性等の基本特性を維持しつつ、前述の電気的に接続された構造によりゴム組成物の体積固有抵抗が1×108Ω・cm以上という高い電気抵抗の問題点を改善できる。
なお、本発明において、体積固有抵抗は、実施例に記載の方法により測定できる。また、本発明において、単に体積固有抵抗と記載した場合には、10Vで測定した体積固有抵抗を意味することとする。
本発明における被覆ゴム5は、上記クッションゴム4と上記通電ゴム6とに接し、ブレーカー部上部を被覆するように設けられる体積固有抵抗が1×108Ω・cm未満に設定されたゴムからなることが好ましい。該体積固有抵抗が1×108Ω・cm未満であれば空気入りタイヤの導電性の向上効果が所望の程度得られる。また、該体積固有抵抗は、より好ましくは1×107Ω・cm以下、更に好ましくは1×106Ω・cm以下、特に好ましくは1×105.5Ω・cm以下に設定され、また、好ましくは1×103Ω・cm以上、より好ましくは1×104Ω・cm以上に設定される。
被覆ゴムが2種のカーボンブラックを含有する場合、一方のカーボンブラックの窒素吸着比表面積は、30〜90m2/gが好ましく、60〜85m2/gがより好ましい。また、他方のカーボンブラックの窒素吸着比表面積は、95〜200m2/gが好ましく、105〜125m2/gがより好ましい。
本発明におけるクッションゴム4は、後述のカーカス10を構成するカーカスプライとブレーカー部のエッジ部分及びサイドウォール部との間、かつ、ブレーカー両端部の下側領域に、内層サイドウォールゴム14と接触領域を有して設けられる体積固有抵抗が1×108Ω・cm未満に設定されたゴムからなることが好ましい。前記体積固有値が1×108Ω・cm未満であれば、空気入りタイヤの導電性の向上効果が得られる。クッションゴムの体積固有抵抗は、より好ましくは1×107Ω・cm以下、更に好ましくは1×106.5Ω・cm以下、特に好ましくは1×106Ω・cm以下に設定され、また、好ましくは1×103Ω・cm以上、より好ましくは1×104Ω・cm以上に設定される。
本発明において、通電ゴムは該通電ゴムの一部が露出するようにトレッド部に埋設され、他の一部は被覆ゴムと連結(接触)していることが好ましい。また、通電ゴムはトレッド部の中央部にあることが好ましい。図1において通電ゴム6は、トレッド部の中央部に1箇所埋設された構造として示されているが、複数個の通電ゴムを埋設することもできる。そして空気入りタイヤの幅方向の通電ゴムの幅は、例えば、0.2〜10mm、好ましくは2〜4mmである。0.2mm未満の場合は通電効果は少なく、一方、10mmを超えるとトレッド部における通電ゴムの接地領域が相対的に増加し、接地特性を損なったり、転がり抵抗特性や耐摩耗性が損なわれたりするおそれがある。更に、通電ゴムは空気入りタイヤの周方向に連続層として形成することが好ましいが、空気入りタイヤの周方向に断続的に形成することもできる。
内層サイドウォールゴム14は、クッションゴム4と接触領域を有して、カーカス10とサイドウォールゴム8との間に、少なくともクッションゴム4からクリンチゴム3又はチェーファーゴム2に接する位置に亘って配置され、例えば、該内層サイドウォールゴムの上端部でクッションゴム、下端部でクリンチゴム又はチェーファーゴムと電気的に接続する構造となっている。内層サイドウォールゴムの体積固有抵抗は1×108Ω・cm未満に設定されている。前記体積固有値が1×108Ω・cm未満であれば空気入りタイヤの導電性の向上効果が得られる。該内層サイドウォールゴムの体積固有抵抗は、好ましくは1×107Ω・cm以下、より好ましくは1×106.5Ω・cm以下、更に好ましくは1×106Ω・cm以下、特に好ましくは1×105.5Ω・cm以下に設定される。導電性成分を多量に配合されたゴム組成物を採用すると電気抵抗が小さくなるが、一方では空気入りタイヤがリムに接する領域における電気化学反応が促進されリムが錆び易くなる。これを回避するためには、該クッションゴムの体積固有抵抗は、好ましくは1×103Ω・cm以上、より好ましくは1×104Ω・cm以上に設定される。
本発明で、ビード部のリムフランジに接する領域に配置されるビード部ゴムはクリンチゴム及びチェーファーゴムを含む概念である。空気入りタイヤが走行する際にビード部ゴムを介してリムから駆動力が伝達されるが、この際にリムとビード部ゴムとの摩擦で静電気が発生しやすい。ビード部ゴムは上記内層サイドウォールゴムと接触領域を有するので、静電気は該内層サイドウォールゴムを通って空気入りタイヤの外部に有効に放出される。図1においてクリンチゴム3、チェーファーゴム2は、内層サイドウォールゴム14と電気的に接続している。
本発明におけるトレッド部からサイドウォール部を経てビード部に至るカーカスは、カーカスコードを配列する1枚以上のカーカスプライから構成される。該カーカスプライは、カーカスコードを平行に引き揃えてゴム中に埋設した構成である。上記カーカスコードを構成する繊維材料としては、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、アラミド等を例示することができ、これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。環境に配慮する目的で、天然資源材料であることからレーヨンを用いても良い。この場合、カーカスコードを構成する繊維材料に対してレーヨンを90質量%以上配合することが好ましい。
本発明の空気入りタイヤにおける被覆ゴム、クッションゴム、内層サイドウォールゴム、ビード部ゴム、トレッドゴム、ブレーカーゴム、及びサイドウォールゴムは、例えば以下のゴム組成物から構成される。
空気導入ダクトと燃焼バーナーを備える内径500mm、長さ1750mmの燃焼帯域、該燃焼帯域に連なっており、周辺から原料ノズルを貫通設置した内径55mm、長さ700mmの狭径部からなる原料導入帯域、クエンチ装置を備えた内径200mm、長さ2700mmの後部反応帯域を順次接合したカーボンブラック製造設備を用いた。
[製造条件](ファーネス法)
この製造設備を用い、燃料に天然ガスを用い、特性を表1に示した油及び石油系炭化水素を原料油として用い、その他条件として表2に示した各条件によりカーボンブラックを製造した。各製造例により得られたカーボンブラックの歩留まり、各種特性を表2に併せて示した。なお、カーボンブラックの各種特性の測定は、上述の方法により行った。また、製造例2−5、7−14により得られたカーボンブラックは、上記カーボンブラック(1)に相当する。なお、製造例12−14により得られたカーボンブラックについては、歩留まりが悪く、評価を行えるほどのカーボンブラックが得られなかったため、該製造条件における原料油量の値は確認できず、更に、カーボンブラックの各種特性の測定、及び後述するカーボンブラックをゴム組成物に配合する試験は行わなかった。
<材料>
NR(天然ゴム):TSR20
SBR1(スチレンブタジエンゴム):日本ゼオン(株)製のNS116R(S−SBR、ビニル含有量:63質量%、スチレン含有量:21質量%)
カーボンブラック:製造例1〜11により得られたカーボンブラック
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「桐」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−フェニル−N′−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン)
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース0355
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
BR(ブタジエンゴム):宇部興産(株)製のBR150B(シス含量:95質量%)
SBR2:住友化学工業(株)製のSBR1502(スチレン含有量:23.5質量%)
シリカ:デグッサ社製のウルトラシルVN3(N2SA:175m2/g)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
カーボンブラック1:三菱化学(株)製のダイアブラックI(N2SA:114m2/g)
カーボンブラック2:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN330(N2SA:75m2/g、DBP:102ml/100g)
カーボンブラック3:デグッサ社製のPRINTEX XE2B(N2SA:1000m2/g、DBP:420ml/100g)
アロマオイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX−140(芳香族系プロセスオイル)
石油系レジン:(株)日本触媒製のSP1068レジン
ステアリン酸コバルト:日鉱金属(株)製のCOST−S
不溶性硫黄:三新化学(株)のサンフェルEX
地面に接触し、かつタイヤの帯電防止性能を確保するためのタイヤ導電部材(一部がトレッドの表面に露出するようにトレッドに埋設される通電ゴム)については、表3、表4に示す配合成分のうち工程1に示す成分を、密閉式バンバリーミキサーを用いて排出温度が150℃となるように4分間混練した(ベース練り工程1)。次に、ベース練り工程1により得られた混練物と、工程2に示す成分とを、密閉式バンバリーミキサーを用いて排出温度が100℃となるように3分間混練した(ベース練り工程2)。更に、ベース練り工程2により得られた混練物を、下記で調製されるトレッドゴム、被覆ゴム(アンダートレッド)と合わせて押出しし、通電ゴムを調製した。なお、通電ゴムの形状は、特許第2944908号公報に記載の形状とした。
表5に示す配合成分のうち硫黄及び加硫促進剤を除いた成分を、密閉式バンバリーミキサーを用いて排出温度が150℃になるように4分間混練した後、硫黄及び加硫促進剤を加えて排出温度が100℃になるように3分間更に練り込み、従来法により通電ゴム、トレッドゴムと合わせて押出しし、被覆ゴム組成物(アンダートレッドゴム組成物)を調製した。
表6〜表8に示す配合成分のうち硫黄及び加硫促進剤を除いた成分を、密閉式バンバリーミキサーを用いて排出温度が150℃になるように4分間混練した後、硫黄及び加硫促進剤を加えて排出温度が100℃になるように3分間更に練り込み、従来法により押出し工程、カレンダー工程を経て、トレッドゴム組成物、サイドウォールゴム組成物、ブレーカーゴム組成物を調製した。トレッドゴム組成物については、被覆ゴム組成物や通電ゴム組成物と合わせて押し出してトレッド形状に成形することにより得た。
表9に示す配合成分のうち工程1に示す成分を、密閉式バンバリーミキサーを用いて排出温度が150℃になるように4分間混練した(ベース練り工程1)。次に、ベース練り工程1により得られた混練物と、工程2に示す成分とを、密閉式バンバリーミキサーを用いて排出温度が150℃になるように3分間混練した(ベース練り工程2)。更に、ベース練り工程2により得られた混練物を、密閉式バンバリーミキサーを用いて排出温度が140℃になるように3分間混練した(再練り工程)。次に、再練り工程により得られた混練物に、硫黄及び加硫促進剤を加えて排出温度が100℃になるように3分間更に練り込み、従来法により押出し工程、カレンダー工程を経て、内層サイドウォールゴム組成物、クッションゴム組成物を調製した。
表10に示す配合成分のうち工程1に示す成分を、密閉式バンバリーミキサーを用いて排出温度が150℃となるように4分間混練した(ベース練り工程1)。次に、ベース練り工程1により得られた混練物と、工程2に示す成分とを、密閉式バンバリーミキサーを用いて排出温度が150℃となるように3分間混練した(ベース練り工程2)。更に、ベース練り工程2により得られた混練物を、密閉式バンバリーミキサーを用いて排出温度が140℃となるように3分間混練した(再練り工程)。次に、再練り工程により得られた混練物に、硫黄及び加硫促進剤を加えて排出温度が100℃となるように3分間更に練り込み、従来法により押出し工程、カレンダー工程を経て、クリンチゴム組成物、チェーファーゴム組成物を調製した。
表3〜表10の各ゴム組成物を170℃で15分間加硫することにより加硫ゴムスラブシート(2mm×130mm×130mm)を作製した。この加硫ゴムスラブシートを使用して以下の評価を行った。結果を表3〜表10に示す。なお、表3の基準比較例を比較例1、表4の基準比較例を比較例2とした。
上記加硫ゴムスラブシート(表3、表4、表9、表10の各ゴム組成物)から測定用試験片を切り出し、JIS K 6812「ポリオレフィン管、継手及びコンパウンドの顔料分散又はカーボン分散の評価方法」に準じて、加硫ゴム組成物中のカーボンブラックの凝集塊をカウントして、カーボンブラックの分散率(%)をそれぞれ算出した。分散率が大きいほどカーボンブラックの分散性に優れることを示す。
上記加硫ゴムスラブシート(表3〜表10の各ゴム組成物。厚さ2mm×130mm×130mm。)を用いてADVANTEST社製の超高抵抗微小電流計R8340Aを用いて印加電圧10V、気温23℃、相対湿度55%の条件下でゴム組成物の体積固有抵抗(体積抵抗率)を測定した。その結果の常用対数を表3〜表10に示す。値が大きいほどゴム組成物の体積固有抵抗が高く、導電性が悪いことを示す。
LAT試験機(Laboratory Abration and Skid Tester)を用い、荷重50N、速度20km/h、スリップアングル5°の条件にて、各加硫ゴム組成物の容積損失量を測定した。結果を基準比較例の容積損失量を100として指数表示した。指数が大きいほど耐摩耗性に優れている。
上記加硫ゴムスラブシート(表3、表4の各ゴム組成物)から測定用試験片を切り出し、粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度50℃、初期歪み10%、動歪み2%、周波数10Hzの条件下で、各試験用ゴム組成物のtanδを測定し、基準比較例の転がり抵抗指数を100として、下記計算式により、転がり抵抗特性をそれぞれ指数表示した(転がり抵抗指数)。指数が大きいほど転がり抵抗特性(低発熱性)が優れることを示す。指数が95以上の場合に良好と判断した。
(転がり抵抗指数)=(基準比較例のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
表3、表4に示す各配合で調製したゴム組成物を通電ゴムに適用し、表5〜表10のゴム配合で調製したゴム組成物を被覆ゴム、トレッドゴム、サイドウォールゴム、ブレーカーゴム、内層サイドウォールゴム及びクッションゴム、並びに、クリンチゴム及びチェーファーゴムに適用し、それぞれのゴムを貼り合わせ、170℃で15分間加硫成形し、図1に示す構造を有するサイズ195/65R15の空気入りタイヤ(試験用タイヤ)を作製した。
<カーカスプライ>
コード角度:タイヤ周方向に90度
コード材料:ポリエステル 1670dtex/2
<ブレーカー>
コード角度:タイヤ周方向に24度×24度
コード材料:スチールコード(2+2×0.25)
また、被覆ゴムとクッションゴムの接触はタイヤ周方向に帯状で5mmの幅、被覆ゴムと通電ゴムの接触は通電ゴムのタイヤ幅方向の全面、内層サイドウォールゴムとクッションゴムの接触はタイヤ周方向に帯状で5mmの幅、内層サイドウォールゴムとクリンチゴムの接触はカーカス形状に沿って5mm以上の幅の構造のものを採用した。
図2に示されるように、絶縁板51(電気抵抗値が1012Ω以上)の上に設置された表面が研磨された金属板52(電気抵抗値は10Ω以下)と、タイヤ・リム組立体を保持する導電性のタイヤ取付軸53と、電気抵抗測定器54とを含む測定装置を使用し、JATMA規定に準拠してタイヤとリムRの組立体の電気抵抗値を測定した。なお各試験用タイヤは、予め表面の離型剤や汚れが充分に除去されており、かつ、充分に乾燥した状態のものを用いた。また他の条件は、次の通りである。
リム:アルミニウム合金製 15×6JJ
内圧:200kPa
荷重:5.3kN
試験環境温度(試験室温度):25℃
湿度:50%
電気抵抗測定器の測定範囲:103〜1.6×1016Ω
試験電圧(印加電圧):1000V
試験の要領は、次の通りである。
(1)試験用タイヤをリムRに装着しタイヤ・リム組立体を準備する。この際、両者の接触部に潤滑剤として石けん水が用いられる。
(2)タイヤ・リム組立体を試験室内で2時間放置させた後、タイヤ取付軸53に取り付ける。
(3)タイヤ・リム組立体に前記荷重を0.5分間負荷し、解放後にさらに0.5分間、解放後にさらに2分間負荷する。
(4)試験電圧が印加され、5分経過した時点で、タイヤ取付軸53と金属板52との間の電気抵抗値を電気抵抗測定器54によって測定する。前記測定は、タイヤ周方向に90°間隔で4カ所で行われ、そのうちの最大値を当該タイヤの電気抵抗値(測定値)とする。
この測定を走行前(新品タイヤ)と2万km走行後に行い、各々の電気抵抗値の常用対数を表3、表4にまとめた。かかる常用対数値が、8以下であると良好な導電性を有すると判断した。また、走行前と2万km走行後のタイヤの電気抵抗値を比較して、2万km走行することによる電気抵抗値の上昇値も併記した。上昇値が低いほど、タイヤのライフを通してタイヤ走行時の静電気の蓄積を防止できる(良好な帯電防止性能を発揮できる)ことを示す。
タイヤを装着し、2万km走行させた後、通電ゴムを含むトレッド表面の外観を観測し、段差(耐摩耗性が悪く優先的に摩耗するおそれがある通電ゴムと周囲の部材(トレッドゴム)の間に生じる段差)の有無を目視により評定した。○は段差がなく良好、△は小さな段差あり、×は大きな段差ありを示す。
2:チェーファーゴム
3:クリンチゴム
4:クッションゴム
5:被覆ゴム
6:通電ゴム
7:トレッドゴム
8:サイドウォールゴム
9:ブレーカーゴム
10:カーカス
11:ビードエーペックス
12:バンド
13:ビードコア
14:内層サイドウォールゴム
51:絶縁板
52:金属板
53:タイヤ取付軸
54:電気抵抗測定器
R:リム
Claims (6)
- ゴム成分と1種以上のカーボンブラックとを混練する工程、及び、
該工程により得られたゴム組成物を用いて、通電ゴムを作製する工程を含み、
前記カーボンブラックのうち少なくとも1種が、該カーボンブラックを製造するための原料油として、平均沸点T(°C)及び60°Fの水と比較した際の比重D(60/60°F)から以下の式で計算されるBMCI値が150以下、脂肪族炭化水素比率が30質量%以上である原料油を使用して得られたカーボンブラックである前記通電ゴムが該通電ゴムの一部が露出するように埋設するトレッドを備える空気入りタイヤの製造方法。
BMCI = 48640 / (T+273) + 473.7D − 456.8 - 前記カーボンブラックのうち少なくとも1種が、該カーボンブラックを製造するための原料油として、BMCI値が95以上、脂肪族炭化水素比率が60質量%以下である原料油を使用して得られたカーボンブラックである請求項1に記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記原料油に含まれる脂肪族炭化水素100質量%中、10質量%以上が動植物油またはその改質品由来の脂肪族炭化水素である請求項1又は2に記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記原料油がトール油を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記カーボンブラックが、ファーネス法で製造されたカーボンブラックである請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 1種以上のカーボンブラックを含むゴム組成物で構成される通電ゴムを該通電ゴムの一部が露出するように埋設するトレッドを備える空気入りタイヤにおいて、
前記カーボンブラックのうち少なくとも1種が、アグリゲート特性としてストークス相当径の分布曲線の最大頻度径(Dmod)が43〜79nm、Dmodに対する分布曲線の半値幅(△D50)の比(△D50/Dmod)が0.78〜2.5のカーボンブラックである空気入りタイヤ。
Priority Applications (5)
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